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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】電気接続箱
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/16 20060101AFI20221101BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
H02G3/16
B60R16/02 610B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019183613
(22)【出願日】2019-10-04
(65)【公開番号】P2021061666
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2021-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】倉田 翔
(72)【発明者】
【氏名】河村 英樹
(72)【発明者】
【氏名】梅▲崎▼ 稔
(72)【発明者】
【氏名】神谷 健太
(72)【発明者】
【氏名】増田 純也
【審査官】木村 励
(56)【参考文献】
【文献】実開平6-52326(JP,U)
【文献】特開2000-270440(JP,A)
【文献】特開2018-198486(JP,A)
【文献】特開2000-357878(JP,A)
【文献】特開平11-215647(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/16
H02G 3/14
B60R 16/02
H05K 5/02
H01R 13/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品と、前記電子部品に電気的に接続される電線と、が組付けられる嵌合部品と、
前記嵌合部品が嵌合および保持される筐体と、を備えた電気接続箱であって、
前記嵌合部品は、当該嵌合部品の外側面を形成する第1周壁と、前記第1周壁の下側の開口を覆う第1底壁と、前記第1底壁に設けられた第1水抜き穴と、前記第1底壁において前記第1水抜き穴の縁部から下側に向かって突出する筒状の水抜き部と、を有し、
前記筐体は、当該筐体の外側面を形成する第2周壁と、前記第2周壁の外側に突設され、前記水抜き部が挿入され、前記水抜き部を囲む囲み壁と、前記囲み壁の下側の開口を覆う第2底壁と、前記第2底壁に設けられた第2水抜き穴と、を有
前記囲み壁は、前記第2周壁の外周面から突設されて、前記第2周壁の外周面の外側に上下両側に開口する中空部を画成し、前記中空部の下側の開口が前記第2底壁によって覆われ、前記中空部の上側の開口から前記中空部に前記水抜き部が挿入される、
電気接続箱。
【請求項2】
請求項1に記載の電気接続箱であって、
前記第1水抜き穴と前記第2水抜き穴とが、鉛直方向と直交する方向にずれた位置に設けられる、
電気接続箱。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電気接続箱であって、
前記筐体には、前記嵌合部品の嵌合および保持位置の下側に設けられた、前記電子部品を収容するための収容室を有し、
前記第2周壁の前記収容室を形成する部分に、前記囲み壁および前記第2底壁が設けられている、
電気接続箱。
【請求項4】
請求項1~3何れか1項に記載の電気接続箱であって、
前記第1底壁は、下側に突出する球面に設けられ、当該球面の最も下側の位置に前記第1水抜き穴が設けられている、
電気接続箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒューズボックス、ジャンクションボックス等の電気接続箱、に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばヒューズやリレー等の電子部品を表面に着脱可能に装着する車載用の電気接続箱が知られている(特許文献1、2等参照)。この種の電気接続箱には、電子部品および電線が組付けられた接続体(嵌合部品)を筐体の電子部品収容室上に重ねて配置したものが知られている。この接続体に組付けられた電線を保護するために、接続体に底壁を設けることが考えられる。しかしながら、底壁を設けると底壁に水が溜まってしまう、という恐れがあった。そこで、底壁に水抜き穴を設けることが考えられるが、単に水抜き穴を設けただけでは、高圧洗浄時などに水抜き穴から水が入ってしまう、という問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-127078号公報
【文献】特開2015-56994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、嵌合部品の底壁に設けた水抜き穴からの水の侵入を抑制することができる電気接続箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述した目的を達成するために、本発明に係る電気接続箱は、下記[1]~[4]を特徴としている。
[1]
電子部品と、前記電子部品に電気的に接続される電線と、が組付けられる嵌合部品と、
前記嵌合部品が嵌合および保持される筐体と、を備えた電気接続箱であって、
前記嵌合部品は、当該嵌合部品の外側面を形成する第1周壁と、前記第1周壁の下側の開口を覆う第1底壁と、前記第1底壁に設けられた第1水抜き穴と、前記第1底壁において前記第1水抜き穴の縁部から下側に向かって突出する筒状の水抜き部と、を有し、
前記筐体は、当該筐体の外側面を形成する第2周壁と、前記第2周壁の外側に突設され、前記水抜き部が挿入され、前記水抜き部を囲む囲み壁と、前記囲み壁の下側の開口を覆う第2底壁と、前記第2底壁に設けられた第2水抜き穴と、を有
前記囲み壁は、前記第2周壁の外周面から突設されて、前記第2周壁の外周面の外側に上下両側に開口する中空部を画成し、前記中空部の下側の開口が前記第2底壁によって覆われ、前記中空部の上側の開口から前記中空部に前記水抜き部が挿入される、
電気接続箱であること。
[2]
[1]に記載の電気接続箱であって、
前記第1水抜き穴と前記第2水抜き穴とが、鉛直方向と直交する方向にずれた位置に設けられる、
電気接続箱であること。
[3]
[1]又は[2]に記載の電気接続箱であって、
前記筐体には、前記嵌合部品の嵌合および保持位置の下側に設けられた、前記電子部品を収容するための収容室を有し、
前記第2周壁の前記収容室を形成する部分に、前記囲み壁および前記第2底壁が設けられている、
電気接続箱であること。
[4]
[1]~[3]何れか1項に記載の電気接続箱であって、
前記第1底壁は、下側に突出する球面に設けられ、当該球面の最も下側の位置に前記第1水抜き穴が設けられている、
電気接続箱であること。
【0006】
上記[1]の構成の電気接続箱によれば、筐体の第2周壁の外側に突設された囲み壁に水抜き部が挿入される。水抜き部は、囲み壁および第2底壁に覆われるため、第1水抜き穴から嵌合部品内への水の浸入を抑制することができる。また、第1水拭き穴から排水された水は、水抜き部、第2底壁に設けた第2水抜き穴を通って外部に排水される。
上記[2]の構成の電気接続箱によれば、第1水抜き穴と第2水抜き穴とが鉛直方向と直交する方向にずれた位置に設けられる。これにより、第1水抜き穴から嵌合部品内への水の浸入を、より一層、抑制することができる。
上記[3]の構成の電気接続箱によれば、第2周壁の収容室を形成する部分が、嵌合部品の水抜き部に対向するため、その部分に囲み壁および底壁を設けることができる。
上記[4]の構成の電気接続箱によれば、第1底壁は、下側に突出する球面に設けられ、当該球面の最も下側の位置に第1水抜き穴が設けられている。これにより、嵌合部品内に侵入した水が、重力によって第1底壁を第1水抜き穴に向かって進み、第1水抜き穴から排水することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、水抜き部は、囲み壁および第2底壁に覆われるため、第1水抜き穴から嵌合部品への水の浸入を抑制することができる電気接続箱を提供することができる。
【0008】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施形態の電気接続箱のアッパカバーを取り外した状態の分解斜視図である。
図2図2は、図1に示す電気接続箱から嵌合部品を取り外した状態の分解斜視図である。
図3図3は、図1に示す電気接続箱を構成する嵌合部品の分解斜視図である。
図4図4は、図2のI-I線部分断面図である。
図5図5は、図1のII-II線部分断面図である。
図6図6は、図3に示すカバーを下側から見た斜視図である。
図7図7は、図1に示す電気接続箱の部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0011】
本実施形態に係る電気接続箱1は、例えば、車両に搭載され、図示しない車両の電源(二次電池)と電子機器との間に介在させ、その電源から電子機器への供給電力を調整するものである。この電気接続箱1は、リレーボックス、ヒューズボックス、ジャンクションボックス等と称される場合もある。
【0012】
本実施形態の電気接続箱1は、図1に示すように、電子部品20および電子部品20に接続された電線30が収容され、車両の前方に設けられたエンジンルームに配置されている。電子部品20とは、例えば、リレー、ヒューズやヒュージブルリンク等のことである。電子部品20は、筐体21の内方に配置されたリレー本体やヒューズ本体等の電子部品本体(図示略)と、その電子部品本体に対して電気的に接続された電気接続部としての複数の端子(図示略)と、を備える。これら電子部品20の端子には、電線30が電気的に接続されている。
【0013】
この電子部品20の端子に対して電気的に接続される電線30は、一方の端部を電子部品20の端子に対して電気的に接続させ、他方の端部を電源(二次電池)や電子機器に対して電気的に接続させるものである。この電線30は、相手側端子(図示略)を介して電子部品20の端子に電気的に接続する。電気接続箱1から引き出された複数本の電線30は、粘着テープやコルゲートチューブ等の外装材40で一纏めに束ねられている。
【0014】
電気接続箱1は、図1に示すように、筐体2と、第1アッパカバー3と、第2アッパカバー4と、ロアカバー5と、を備えている。筐体2は、筐体本体6と、筐体本体6内を仕切る仕切り壁7、8と、筐体本体6内に収容される複数のブロック9~11(ブロック11は図2参照)と、筐体本体6に嵌合保持される嵌合部品12と、を有している。
【0015】
筐体本体6は、開口607が略長方形の角筒状に形成されている。筒長さ方向一方の開口607は2枚の第1アッパカバー3および第2アッパカバー4によって塞がれ、他方の開口(図示略)は1枚のロアカバー5によって塞がれる。上記筐体本体6は、第1、第2アッパカバー3、4に塞がれる開口607が上側に向かい、ロアカバー5に塞がれる開口が下側に向かうように、筒長さ方向が車両の上下方向に沿って配置される。また、筐体本体6は、略長方形の開口607の長手方向が車両の前後方向に沿い、短手方向が車両の左右方向に沿うように配置されている。
【0016】
上記筐体本体6は、筐体2の外側面を形成する周壁(第2周壁)601~606を有している。周壁601、602は、前後方向に沿い、周壁603、604は、左右方向に沿って設けられている。筐体本体6は、周壁601、602の後端間に周壁603が連なり、周壁602の前端間に周壁604が連なることにより、略角筒状に形成される。また、筐体本体6の右側かつ前側の角部には、内側に凹む凹み部608が設けられている。周壁605、606は、この凹み部608を形成する。周壁605は、周壁601の前端から左側に延在して設けられ、周壁606は、周壁604の左端から前側に向かって延在して設けられる。周壁605の左端と周壁606の後端とは連続している。
【0017】
仕切り壁7は、筐体本体6内に前後方向に直交して設けられ、左右方向の両端が筐体本体6の周壁601、602に連なっている。即ち、仕切り壁7は、筐体本体6内を前後方向に並んだ2つのエリアに仕切る。本実施形態では、2つのエリアのうち前後方向の前側のエリアがユーザメンテナンスエリアとなり、後側のエリアがディーラメンテナンスエリアとなる。ユーザメンテナンスエリアは、ユーザがメンテナンスを行う電子部品20が収容されている。ディーラメンテナンスエリアは、ディーラがメンテナンスを行う電子部品20が収容されている。このデューラーメンテナンスエリアの上方開口607を第1アッパカバー3が覆い、ユーザメンテナンスエリアの上方開口607を第2アッパカバー4が覆う。
【0018】
仕切り壁8は、筐体本体6の上述したユーザメンテナンスエリア内に前後方向に直交して設けられ、左右方向の両側が周壁601、602に連なっている。即ち、仕切り壁8は、ユーザメンテナンスエリア内を前後方向に並んだ2つのエリアに仕切る。周壁601の仕切り壁8よりも前側から周壁604の左端部に亘って、上端が切り欠かれた1つの切り欠き84が設けられている。
【0019】
ブロック9~11は、複数の電子部品20を収容および保持する収容室が設けられている。ブロック9~11は、電子部品20の筐体本体6を上側に向け、端子部を下側に向けて電子部品20を収容保持している。本実施形態では、仕切り壁7よりも後側のディーラメンテナンスエリアと、ユーザメンテナンスエリアにおいて仕切り壁8よりも後側のエリアと、仕切り壁8よりも前側のエリアと、にそれぞれブロック9~11が配置されている。
【0020】
なお、本実施形態では、ディーラメンテナンスエリア内のブロック9は筐体本体6と一体に固定されて設けられる。ユーザメンテナンスエリア内のブロック10、11は筐体本体6に対して着脱自在に設けられている。また、図2に示すように、仕切り壁8よりも前側のエリアに配置されるブロック11は、上述した切り欠き84よりも下側に配置されている。詳しく説明するとブロック11は、仕切り壁8と、仕切り壁8よりも前側の周壁601、602と、周壁604~606と、によって囲まれた空間に収容される。
【0021】
次に、嵌合部品12について説明する。嵌合部品12は、図2などに示すように、電子部品20と、電子部品20に電気的に接続される電線30と、が組付けられている。嵌合部品12は、筐体本体6に設けた切り欠き84から仕切り壁8、周壁601、周壁602に囲まれたエリア内に収容されて、筐体本体6に嵌合および保持される。嵌合部品12は、仕切り壁8よりも前側のエリアに配置されるブロック11の上側に配置される。
【0022】
嵌合部品12は、図3に示すように、コネクタブロック13と、このコネクタブロック13の下側を覆うカバー14と、を備えている。コネクタブロック13とカバー14とを上下方向に沿って近づけると、互いにロックされて、コネクタブロック13の下側にカバー14が取り付けられる。
【0023】
コネクタブロック13は、筐体本体6の周壁601、602に連続する外側面を形成する周壁131、132(第1周壁)と、ブロック133と、樋状部134と、を有している。周壁131は、左右方向に沿って設けられ、周壁132は、前後方向に沿って設けられる。周壁131の右端および周壁132の前端がそれぞれ連続して、L字状に形成されている。また、周壁131の下端は、図4に示すように、前後方向に離間する外壁部131Aおよび内壁部131Bから構成され、2重壁構造となっている。周壁132の下端は、図5に示すように、前後方向に離間する外壁部132Aおよび内壁部132Bから構成され、2周壁構造となっている。
【0024】
ブロック133は、図3に示すように、上述したブロック9~11と同様に、複数の電子部品20を収容および保持する収容室が設けられている。ブロック13は、周壁131、132の内側に一体に固定されて設けられている。樋状部134は、周壁131と周壁132とが連続する角部から下側に向けて突出し、凹面が電気接続箱1の内側に向かうにように設けられる。
【0025】
カバー14は、コネクタブロック13の下側に組付けられる。カバー14は、図3に示すように、略四角筒状に形成された周壁141~144(第1周壁)と、周壁141~144の下側の開口を覆う底壁145(第1底壁)と、底壁145に設けられた水抜き穴146(第1水抜き穴)(図5)および水抜き部147(図5)と、樋状部148と、を備えている。周壁142、144は、前後方向に沿い、周壁141、143は、左右方向に沿って設けられている。
【0026】
周壁142、144の後端間に周壁143が連なり、周壁144の前端間に周壁141が連なることにより、周壁141~144は四角筒状に形成される。なお、周壁142の前端と、周壁141の右端とは、離間して設けられている。また、カバー14およびコネクタブロック13が組付けられると、周壁131、141が同一平面上となり、周壁132、142が同一平面上となる。
【0027】
底壁145は、この四角筒状に形成された周壁141~144の下側開口を覆う。水抜き穴146は、この底壁145の右端かつ前後方向の中央に四角形状に設けられている。底壁142は、図5に示すように、下側に向かって凸となる球面に設けられ、球面の最も下側の位置に水抜き穴146が設けられている。水抜き部147は、図5および図6に示すように、底壁145の水抜き穴146の縁部から下側に向かって突出し、略四角筒状に形成されている。
【0028】
また、底壁145の右端かつ前端の角部には切り欠きが設けられている。樋状部148は、この切り欠きの縁部から下側に向かって突出し、凹面が電気接続箱1の外側に向かうように設けられている。コネクタブロック13とカバー14とを組付けたときに、上記樋状部134、148同士が左右方向に重なり、筒状の電線取出口15を形成する。
【0029】
周壁141の上端は、図4に示すように、前後方向に離間する外壁部141Aおよび内壁部141Bから構成され、2重壁構造となっている。コネクタブロック13とカバー14とを組付けると、コネクタブロック13に設けた外壁部131Aおよび内壁部131B間に、このカバー14に設けた内壁部141Bが挿入される。
【0030】
周壁142の上端は、図5に示すように、左右方向に離間する外壁部142A、中壁部142Bおよび内壁部142Cから構成され、3重壁構造となっている。本実施形態では、周壁142の上端が3重壁構造となっている例について説明するが、2周壁構造であってもよい。コネクタブロック13とカバー14とを組付けると、コネクタブロック13に設けた外壁部132Aおよび内壁部132B間に、このカバー14に設けた中壁部142Bが挿入される。
【0031】
なお、本実施形態では、図4に示すように、コネクタブロック13に設けた外壁部131Aおよび内壁部131B間に、誤ってカバー14に設けた外壁部141Aが挿入される誤結を防止するため、以下のような構成としている。即ち、外壁部141Aの少なくとも一部の厚みD1がコネクタブロック13の外壁部131Aおよび内壁部131B間の距離L1よりも大きくなるように設けられている。本実施形態では、外壁部141Aの上端に外側に向かって突出するリブR1を設けることにより、リブR1を含めた外壁部141Aの厚みD1が、距離L1よりも大きくなるように設けている。これにより、外壁部131Aおよび内壁部131B間に、外壁部141Aを挿入することができず、誤結を防止することができる。
【0032】
また、本実施形態では、図5に示すように、コネクタブロック13に設けた外壁部132Aおよび内壁部132B間に、誤ってカバー14に設けた外壁部142Aが挿入される誤結を防止するため、以下のような構成としている。即ち、外壁部142Aの少なくとも一部の厚みD2がコネクタブロック13の外壁部132Aおよび内壁部132B間の距離L2よりも大きくなるように設けられている。本実施形態では、外壁部142Aの上端に外側に向かって突出するリブR2を設けることにより、リブR2を含めた外壁部142Aの厚みD2が、距離L2よりも大きくなるように設けている。これにより、外壁部132Aおよび内壁部132B間に、外壁部142Aを挿入することができず、誤結を防止することができる。
【0033】
本実施形態では、外壁部141A、142Aの上端にリブR1、R2を設けて、厚みD1、D2を距離L1、L2よりも大きくなるように設けていたが、これに限ったものではない。リブR1、R2の位置は上端に限定されるものではなく、外壁部141A、142の上下方向中央に設けられていてもよい。また、リブR1、R2を設けずに、外壁部141A、142A全体の厚みを距離L1、L2よりも大きくなるように設けてもよい。
【0034】
上述した嵌合部品12を筐体本体6に組付けると、図7に示すように、上記水抜き部147および電線取出口15が凹み部608の外側に位置する。また、筐体本体6は、図1および図7に示すように、周壁605の外側に突設され、水抜き部147が挿入され、水抜き部147を囲む囲み壁609と、囲み壁609の下側の開口を覆う底壁610(第2底壁)と、底壁610に設けられた水抜き穴611(第2水抜き穴)と、を有する。
【0035】
囲み壁609は、周壁605から前側に突出する一対の壁部609A、609Bと、一対の壁部609A、609Bの前端間を連結する連結壁609Cと、から構成されている。この囲み壁609の下側は、底壁610によって覆われ、上側は開口されている。この上側の開口から囲み壁609内に、水抜き部147を挿入すると、囲み壁609と周壁605とで水抜き部147の上下方向を軸とした軸回りを囲む。水抜き穴146と水抜き穴611とは上下方向(鉛直方向)に並べて配置されておらず、上下方向と直交する方向にずれた位置に配置されている。本実施形態では水抜き穴146と水抜き穴611は左右方向に離間してずれた位置に配置されている。
【0036】
上述した実施形態によれば、嵌合部品12の底壁145は、水抜き穴146と、水抜き穴146の周縁から下側に向かって突出する筒状の水抜き部147と、を有する。筐体本体6の周壁605の外側に突設された囲み壁609に上記水抜き部147が挿入される。水抜き部147は、囲み壁609および囲み壁609の下側の開口を覆う底壁610に覆われるため、高圧洗浄時などに、水抜き穴146から嵌合部品12内に水が浸入するのを抑制することができる。また、水拭き穴146から排水された水は、水抜き部147、底壁610に設けた水抜き穴611を通って外部に排水される。
【0037】
また、上述した実施形態によれば、水抜き穴146と2水抜き穴611とが左右方向にずれた位置に設けられる。これにより、水抜き穴146から嵌合部品12内に水が浸入するのをより一層、抑制することができる。
【0038】
また、上述した実施形態によれば、筐体2には、嵌合部品12の嵌合および保持位置の下側に設けられた、ブロック11を収容する収容室を有し、この収容室を形成する周壁605に囲み壁609および底壁610が設けられている。周壁605が、嵌合部品12の水抜き部147に対向するため、その部分に囲み壁609および底壁610を設けることができる。
【0039】
また、上述した実施形態によれば、底壁145は、下側に突出する球面に設けられ、当該球面の最も下側の位置に水抜き穴146が設けられている。これにより、嵌合部品12内に侵入した水が、重力によって底壁145を水抜き穴146に向かって進み、水抜き穴146から排水することができる。
【0040】
また、上述した実施形態によれば、コネクタブロック13の周壁131、132の下端が2重壁構造に設けられ、カバー14の周壁141、142の上端が2重壁構造、3重壁構造に設けられていたが、これに限ったものではない。周壁131、132、141、142は、1枚の壁部から構成されていてもよい。
【0041】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0042】
上述した実施形態によれば、水抜き穴146と水抜き穴611とは左右方向に離間してずれた位置に設けられていたが、これは必須ではない。水抜き部147が囲み壁609に囲まれていれば、高圧洗浄時の水平方向からの水の侵入を防ぐことができ、水抜き穴146と水抜き穴611とが上下方向に対向していてもよい。また、水抜き穴146と水抜き穴611とが左右方向にずれた位置にあればよく、水抜き穴146の一部と水抜き穴611の一部とが上下方向に対向していてもよい。
【0043】
また、上述した実施形態によれば、嵌合部品12の下側には、電子部品20が保持されたブロック11が収容され、このブロック11を収容する収容室を形成する周壁605に、囲み壁609および底壁610を設けていたが、これに限ったものではない。嵌合部品12の下側に、ブロック11が収容されていなくてもよい。
【0044】
また、上述した実施形態によれば、底壁145は、球状に設けられていたが、これに限ったものではない。底壁145は球状に設けられていなくてもよい。
【0045】
また、上述した実施形態によれば、嵌合部品12は、コネクタブロック13およびカバー14の2部品から構成されていたが、これに限ったものではない。嵌合部品12は、1部品から構成されていてもよい。
【0046】
ここで、上述した本発明に係る電気接続箱の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[4]に簡潔に纏めて列記する。
[1]
電子部品(20)と、前記電子部品(20)に電気的に接続される電線(30)と、が組付けられる嵌合部品(12)と、
前記嵌合部品(12)が嵌合および保持される筐体(2)と、を備えた電気接続箱(1)であって、
前記嵌合部品(12)は、当該嵌合部品(12)の外側面を形成する第1周壁(131、132、141~144)と、前記第1周壁(131、132、141~144)の下側の開口を覆う第1底壁(145)と、前記第1底壁(131、132、141~144)に設けられた第1水抜き穴(146)と、前記第1底壁(131、132、141~144)において前記第1水抜き穴(146)の縁部から下側に向かって突出する筒状の水抜き部(146)と、を有し、
前記筐体(2)は、当該筐体(2)の外側面を形成する第2周壁(601~606)と、前記第2周壁(601~606)の外側に突設され、前記水抜き部(146)が挿入され、前記水抜き部(146)を囲む囲み壁(609)と、前記囲み壁(609)の下側の開口を覆う第2底壁(610)と、前記第2底壁(610)に設けられた第2水抜き穴(611)と、を有する、
電気接続箱(1)。
[2]
[1]に記載の電気接続箱(1)であって、
前記第1水抜き穴(146)と前記第2水抜き穴(611)とが、鉛直方向と直交する方向にずれた位置に設けられる、
電気接続箱(1)。
[3]
[1]又は[2]に記載の電気接続箱(1)であって、
前記筐体(2)には、前記嵌合部品(12)の嵌合および保持位置の下側に設けられた、前記電子部品(20)を収容するための収容室を有し、
前記第2周壁(601~606)の前記収容室を形成する部分に、前記囲み壁(609)および前記第2底壁(610)が設けられている、
電気接続箱(1)。
[4]
[1]~[3]何れか1項に記載の電気接続箱(1)であって、
前記第1底壁(145)は、下側に突出する球面に設けられ、当該球面の最も下側の位置に前記第1水抜き穴(146)が設けられている、
電気接続箱(1)。
【符号の説明】
【0047】
1 電気接続箱
2 筐体
12 嵌合部品
20 電子部品
30 電線
131、132 周壁(第1周壁)
141~144 周壁(第1周壁)
145 底壁(第1底壁)
146 水抜き穴(第1水抜き穴)
147 水抜き部
601~606 周壁(第2周壁)
609 囲み壁
610 底壁(第2底壁)
611 水抜き穴(第2水抜き穴)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7