(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】光ファイバケーブルの製造方法および光ファイバケーブル
(51)【国際特許分類】
G02B 6/44 20060101AFI20221101BHJP
【FI】
G02B6/44 381
G02B6/44 391
G02B6/44 366
(21)【出願番号】P 2019185963
(22)【出願日】2019-10-09
【審査請求日】2021-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126882
【氏名又は名称】五十嵐 光永
(74)【代理人】
【識別番号】100160093
【氏名又は名称】小室 敏雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】梶 智晃
(72)【発明者】
【氏名】鯰江 彰
(72)【発明者】
【氏名】大里 健
【審査官】奥村 政人
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-101175(JP,A)
【文献】米国特許第05218658(US,A)
【文献】特開昭63-259912(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0378119(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0355430(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光ファイバを有するコアを送り出す送り出し工程と、
補強部材を前記コアに巻き付け、前記補強部材の端部同士が周方向の一部で重なる重なり部を形成する巻き付け工程と、
前記補強部材の外側にシースを押出成形する押出成形工程と、を有し、
前記押出成形工程において、前記重なり部の少なくとも一部に前記シースを構成する樹脂を入り込ませる、光ファイバケーブルの製造方法。
【請求項2】
前記重なり部の周方向における幅をW2とし、前記重なり部に入り込んでいる前記樹脂の周方向における幅をW1とするとき、W1/W2≧0.10を満足する、請求項1に記載の光ファイバケーブルの製造方法。
【請求項3】
前記押出成形工程における樹脂圧は、W1/W2≧0.10を満足するように、予め求めた圧力とする、請求項2に記載の光ファイバケーブルの製造方法。
【請求項4】
前記巻き付け工程において、前記重なり部を接着剤によって仮固定する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の光ファイバケーブルの製造方法。
【請求項5】
前記押出成形工程において、前記シースを構成する樹脂の樹脂圧を調整し、前記重なり部の少なくとも一部に前記樹脂を入り込ませる、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の光ファイバケーブルの製造方法。
【請求項6】
複数の光ファイバを有するコアと、
前記コアを囲繞する補強部材と、
前記コアと前記補強部材とを収容するシースと、を備え、
前記補強部材は、端部同士が周方向の一部で重ねられた重なり部を有し、前記シースを構成する樹脂が前記重なり部の少なくとも一部に入り込んでいる、光ファイバケーブル。
【請求項7】
前記補強部材は、径方向外側に凸となる山部と、径方向内側に凸となる谷部とが、長手方向に沿って交互に形成されたコルゲート形状であり、
前記重なり部において、前記山部同士が径方向に対向して配置され、前記谷部同士が径方向に対向して配置されている、請求項6に記載の光ファイバケーブル。
【請求項8】
少なくとも前記重なり部の前記谷部同士の間に前記樹脂が入り込んでいる、請求項7に記載の光ファイバケーブル。
【請求項9】
前記シースが難燃性樹脂で形成されている、請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の光ファイバケーブル。
【請求項10】
前記重なり部の周方向における幅をW2とし、前記重なり部に入り込んでいる前記樹脂の周方向における幅をW1とするとき、W1/W2≧0.10を満足する、請求項6から請求項9のいずれか1項に記載の光ファイバケーブル。
【請求項11】
前記コアと前記補強部材との間に配置されたリップコードをさらに備え、
横断面視において、前記リップコードは、前記重なり部と周方向で異なる位置に配置されている、請求項6から請求項10のいずれか1項に記載の光ファイバケーブル。
【請求項12】
前記補強部材のうち前記シースを向く面に接着層が形成されている、請求項6から請求項11のいずれか1項に記載の光ファイバケーブル。
【請求項13】
前記シースと前記重なり部に入り込んだ前記樹脂とが連続して形成されている、請求項6から請求項12のいずれか1項に記載の光ファイバケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバケーブルの製造方法および光ファイバケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光ファイバ心線と、光ファイバ心線を囲んで配置された補強部材と、光ファイバ心線と補強部材との間に充填される充填剤と、補強部材の外側を被覆するシースとを備えた光ケーブルが開示されている。
この光ケーブルの製造方法は、まず、補強部材となる帯状材料を用意し、帯状材料の両端部に接着剤を塗布する。次に、帯状材料上に光ファイバ心線を配置し、帯状材料および光ファイバ心線上に充填剤を充填する。次いで、フォーマーに帯状材料および光ファイバ心線を通過させることによって、帯状材料の両端部が重なり合い、補強部材が形成される。そして、補強部材を押出形成機に導入し、通過させることによって補強部材に樹脂が被覆されシースが形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の光ケーブルでは、補強部材の重なり部分が接着剤により接合されているため、光ケーブルの長手方向において、接着力の弱い部分が生じる可能性がある。接着力の弱い部分では、例えば、光ケーブルを曲げたときに重なり部分が開いてしまい、その部分を覆うシースに応力が集中し、シースが割れてしまう場合がある。
【0005】
本発明はこのような事情を考慮してなされ、シースの割れを抑制することが可能な光ファイバケーブルの製造方法および光ファイバケーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の第一態様に係る光ファイバケーブルの製造方法は、複数の光ファイバを有するコアを送り出す送り出し工程と、補強部材を前記コアに巻き付け、前記補強部材の端部同士が周方向の一部で重なる重なり部を形成する巻き付け工程と、前記補強部材の外側にシースを押出成形する押出成形工程と、を有し、前記押出成形工程において、前記重なり部の少なくとも一部に前記シースを構成する樹脂を入り込ませる。
【0007】
本発明の第二態様に係る光ファイバケーブルは、複数の光ファイバを有するコアと、前記コアを囲繞する補強部材と、前記コアと前記補強部材とを収容するシースと、を備え、前記補強部材は、端部同士が周方向の一部で重ねられた重なり部を有し、前記シースを構成する樹脂が前記重なり部の少なくとも一部に入り込んでいる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の上記態様によれば、シースの割れを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る光ファイバケーブルの斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係る光ファイバケーブルの横断面図である。
【
図4】
図1の光ファイバケーブルの外部シースを被覆する前の横断面図である。
【
図5】
図1の光ファイバケーブルの外部シースを被覆する前の横断面図である。
【
図6】第1実施形態に係る光ファイバケーブルの製造方法を示す図である。
【
図7】第1実施形態に係る光ファイバケーブルの横断面図である。
【
図8】第1実施形態に係る光ファイバケーブルの製造方法により製造された光ファイバケーブルの抵抗力を示す図である。
【
図9】第2実施形態に係る光ファイバケーブルの横断面図である。
【
図10】第2実施形態に係る光ファイバケーブルの外部シースを被覆する前の横断面図である。
【
図11】第2実施形態に係る光ファイバケーブルの外部シースを被覆する前の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態に係る光ファイバケーブルの構成を、
図1~
図8を参照しながら説明する。
図1に示すように、光ファイバケーブル1Aは、光ファイバを有する内層ケーブル10と、補強ユニット(補強部材)20と、外部シース30と、一対の第1リップコード12と、を備えている。
【0011】
(方向定義)
ここで本実施形態では、内層ケーブル10の長手方向を単に長手方向といい、内層ケーブル10の中心軸線を中心軸線Oという。また、中心軸線Oに直交する断面を横断面という。横断面視で、中心軸線Oに交差する方向を径方向といい、中心軸線O回りに周回する方向を周方向という。
【0012】
内層ケーブル10は、複数の光ファイバを有するコア11と、一対の第2リップコード16と、一対の抗張力体(テンションメンバ)13と、内部シース14と、を有している。なお、内層ケーブル10は、第2リップコード16を有していなくてもよい。
コア11は、長手方向に延びている。コア11は、複数本の光ファイバを集合することで構成されている。コア11を構成する光ファイバとしては、光ファイバ素線、光ファイバ心線、光ファイバテープ心線などを用いることができる。コア11を構成する複数の光ファイバは、例えば、束ねられた状態で、結束材によって結束され、光ファイバユニットとなっていてもよい。複数の光ファイバは、押さえ巻きや吸水テープで覆われている。
【0013】
一対の第2リップコード16は、
図2に示すように、横断面視においてコア11を径方向で挟むように、内部シース14に埋設されている。一対の第2リップコード16は、長手方向に延びている。一対の第2リップコード16は、横断面視において、後述する中立線Lに直交して中心軸線Oを通る直線上に位置している。一対の第2リップコード16は、コア11の外周面に接している。第2リップコード16の材質としては、ポリエステル、アラミドなどの合成繊維からなる紐の他、PPやナイロン製の円柱状ロッドなどを用いることができる。
【0014】
一対の抗張力体13は、横断面視においてコア11を径方向で挟むように、内部シース14に埋設されている。各抗張力体13は、長手方向に延びている。各抗張力体13は、長手方向でコア11に対して平行に配置されていてもよく、コア11を中心とした螺旋状に配置されていてもよい。
抗張力体13は、光ファイバケーブル1Aに作用する張力から、コア11の光ファイバを保護する役割を有している。抗張力体13の材質は、例えば、金属線(鋼線等)、抗張力繊維(アラミド繊維等)、FRPなどである。抗張力体13は単線であってもよく、複数の素線を束ねたり互いに撚り合わせたりしたものであってもよい。
【0015】
横断面視において、一対の抗張力体13の各中心を結ぶ直線を、中立線Lという。中立線Lに対して垂直な方向(
図2における上下方向)に光ファイバケーブル1Aを曲げると、その他の方向に光ファイバケーブル1Aを曲げた場合と比較して、抗張力体13の伸縮が小さくなる。従って、光ファイバケーブル1Aは、中立線Lに対して垂直な方向に曲げることが比較的容易である。
なお、内層ケーブル10には3本以上の抗張力体13が含まれていてもよい。3本以上の抗張力体13を周方向で等間隔に配置した場合、内層ケーブル10の曲げの方向性が小さくなり、光ファイバケーブル1Aをより取扱いやすくすることができる。
【0016】
内部シース14は、
図2に示すように、コア11、一対の抗張力体13、および一対の第2リップコード16を一括して被覆する。内部シース14の材質としては、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)等の樹脂が使用可能である。内部シース14は、長手方向に延びる円筒状に形成されている。内部シース14は、押出成形などによって形成されている。
【0017】
外部シース30は、内層ケーブル10、一対の第1リップコード12、および補強ユニット20を収容している。
補強ユニット20は、長手方向に延びており、内層ケーブル10を囲繞する筒状に形成されている。補強ユニット20は、第1接着フィルム21(接着層)と、第2接着フィルム22と、補強シート23と、を有している。
【0018】
補強シート23の材質としては、ステンレス鋼、銅、銅合金などの金属を用いることができる。なお、補強シート23の材質は適宜変更可能である。補強シート23は、例えばテープ状とされ、長さ方向を内層ケーブル10の長手方向に合わせて設けられることが望ましい。補強シート23の厚さは、例えば0.1~0.3mm程度である。補強シート23の厚さをこの範囲とすることで、動物の食害によりコア11の光ファイバが損傷するのを防ぎ、かつ、第1リップコード12によって補強シート23を切り裂く操作を容易にすることができる。
【0019】
なお、本実施形態では、補強ユニット20は、第1接着フィルム21および第2接着フィルム22を備えている構成を例に挙げて説明するが、補強ユニット20は、少なくとも第1接着フィルム21を備えていればよい。第1接着フィルム21に加えて第2接着フィルム22を設けた場合、重なり部20c(後述)におけるフィルム接着力のさらなる強化や補強シート23の錆の抑制を図ることができる。
【0020】
補強ユニット20は、内層ケーブル10を全周にわたって囲繞するとともに、周方向の一部で重ねられている。本明細書では、補強ユニット20の周方向における第1端部20aと第2端部20bとが重ねられた部分を重なり部20cという。重なり部20cにおいて、第1端部20aおよび第2端部20bは、径方向において互いに対向している。
本実施形態では、横断面視において、重なり部20cの全体と抗張力体13とが周方向において異なる位置に配置されている。
【0021】
第1接着フィルム21は、補強シート23における外部シース30を向く面に貼り付けられている。第2接着フィルム22は、補強シート23における内層ケーブル10を向く面に貼り付けられている。第1接着フィルム21および第2接着フィルム22に用いられる接着剤としては、例えば熱硬化型やホットメルト型の接着剤を用いることができる。なお、接着剤の材質は適宜変更してもよい。第1接着フィルム21は、外部シース30を補強シート23に固定する役割を有している。第2接着フィルム22は、後述する第1リップコード12の被覆12aとともに、第1リップコード12を補強シート23に固定する役割を持たせてもよい。第1接着フィルム21および第2接着フィルム22のうち、重なり部20cにおいて補強シート23同士の間に位置している部分は、重なり部20cで補強シート23同士を固定する役割を有している。
【0022】
補強ユニット20は、
図3に示すように、径方向外側に凸となる山部24と、径方向内側に凸となる谷部25とが長手方向に沿って交互に形成されたコルゲート形状である。重なり部20cでは、第1端部20aの山部24aと第2端部20bの山部24bとが径方向に対向して配置され、第1端部20aの谷部25aと第2端部20bの谷部25bとが径方向に対向して配置されている。
【0023】
重なり部20cでは、第1接着フィルム21および第2接着フィルム22による第1端部20aと第2端部20bとの接着状態が、長手方向において均一でない場合がある。本明細書では、第1端部20aと第2端部20bとが、接着フィルム21、22によって、所定のフィルム接着力以上で接着されている状態を状態S1といい、所定のフィルム接着力より小さいフィルム接着力で接着されている状態を状態S2という。状態S2では、例えば
図2に示すように、第1端部20aと第2端部20bとの間に隙間26が形成される。「所定のフィルム接着力」とは、接着フィルム21、22によって、第1端部20aと第2端部20bとが充分に強く接着される力である。
図3の例では、長手方向の一部が状態S1となっており、その他の部分が状態S2となっている。状態S2では、山部24aと山部24bとの間に隙間26aが形成され、谷部25aと谷部25bとの間に隙間26bが形成されている。隙間26は、長手方向において連続的に形成されている場合もあり、連続的に形成されていない場合もある。
【0024】
ここで本実施形態では、
図2に示すように、第1端部20aと第2端部20bとの間の隙間26に、外部シース30を構成する樹脂30aが入り込んでいる。すなわち、外部シース30と、隙間26に入り込んでいる樹脂30aとは一体に形成されている。
図3に示すように、山部24における第1端部20aと第2端部20bとの隙間26aおよび谷部25における第1端部20aと第2端部20bとの隙間26bに、それぞれ樹脂30aが入り込んでいる。
谷部25aと谷部25bとの間の樹脂30aの径方向における寸法M2は、山部24aと山部24bとの間の樹脂30aの径方向における寸法M1よりも厚くなっている。
【0025】
ここで本実施形態では、
図2に示すように、隙間26に入り込んでいる樹脂30aの周方向における幅をW1とし、重なり部20cの周方向における幅をW2とすると、重なり幅W2に対する樹脂幅W1の割合W1/W2は、0.10以上である。W1/W2の値は、特に限定されないが、0.10以上にすることにより、第1端部20aと第2端部20bとを樹脂30aにより確実に接着させることが可能である。
【0026】
外部シース30は、
図1に示すように、長手方向に延びる筒状に形成されるとともに、上述したように隙間26に入り込んでいる。外部シース30の材質としては、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)等の樹脂が使用可能である。本実施形態の外部シース30は、難燃フィラーを多く含む難燃性樹脂((EVA:Ethylene Vinyl Acetate)、エラストマ等)により構成されている。
【0027】
一対の第1リップコード12は、
図1に示すように、長手方向に延びており、内層ケーブル10と補強ユニット20との間に配置されている。一対の第1リップコード12は、内部シース14の外周面に接している。一対の第1リップコード12は、補強ユニット20の内周面、すなわち第2接着フィルム22の内面に接している。
図2に示すように、一対の第1リップコード12は、横断面視において、中立線L上に位置している。第1リップコード12としては、ポリエステル、アラミド等の合成繊維を撚り合わせた紐を用いることができる。なお、光ファイバケーブル1Aは、第1リップコード12を有していなくてもよい。
【0028】
第1リップコード12の周囲には、接着性樹脂によって形成された被覆12aが設けられている。被覆12aの材質としては、ポリエチレンやその共重合体(例えばEVA)などのポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリアミド系などの熱可塑性樹脂、あるいは熱硬化性樹脂などの接着性を有する樹脂、または合成ゴムなどを用いることができる。被覆12aとして、上記の各材質を単独で使用することも可能であり、接着性やタック性、熱融着させる際の温度などを調整するために、2つ以上の上記材質を混合したり、官能基を導入する変性を施したりしてもよい。
【0029】
また、補強ユニット20が第2接着フィルム22を有さない場合は、第1リップコード12と補強シート23との接着性を確保するために、官能基を含む樹脂を被覆12aの材質として用いることが好ましい。被覆12aは、これらの接着性樹脂を第1リップコード12の外周に塗布することで形成することができる。
【0030】
第1リップコード12は、補強シート23および外部シース30を引き裂く作業(以下、単に引き裂き作業という)の際に使用される。第1リップコード12には、補強シート23および外部シース30を切り裂くことができる程度の機械的強度(例えば引張強度)が要求される。
【0031】
第1リップコード12は、
図2に示すように、横断面視において、補強ユニット20の重なり部20cと周方向で異なる位置に配置されている。ここで、第1リップコード12が、補強ユニット20の重なり部20cと周方向で重なる位置に配置されている場合、重なり部20cの径方向の厚みが厚いため、第1リップコード12による補強ユニット20を引き裂く操作が困難になってしまう。本実施形態では、第1リップコード12は、補強ユニット20の重なり部20cと周方向で異なる位置に配置されているため、補強ユニット20を引き裂く操作性を向上させることができる。
【0032】
さらに、本実施形態では、横断面視において、重なり部20cにおける側縁23aと、第1リップコード12とが周方向において異なる位置に配置されている。これにより、補強ユニット20を引き裂く際、第1リップコード12が重なり部20cの側縁23aで切れてしまい、補強ユニット20を引き裂く作業が阻害されることを抑制することが可能である。
【0033】
(製造方法)
次に、本実施形態における光ファイバケーブル1Aの製造方法について説明する。
【0034】
まず、内層ケーブル10を準備する。内層ケーブル10は、例えばコア11および一対の抗張力体13を送り出し、コア11および一対の抗張力体13を内部シース14で被覆することで得られる。(送り出し工程)。なお、内層ケーブル10は、別工程で準備してもよいし、その後の工程とタンデムで行って準備してもよい。
次に、平板状の補強シート23に第1接着フィルム21および第2接着フィルム22が貼り付けられた補強ユニット20を用意する。そして、平板状の補強ユニット20を加工して山部24および谷部25を形成する。なお、第1接着フィルム21および第2接着フィルム22を補強シート23に貼り付ける工程の順序はこれに限定されず、適宜変更してもよい。
次に、補強ユニット20に2本の第1リップコード12を縦添えする。このとき、2本の第1リップコード12は、互いに略平行に配置されるとともに、第1リップコード12同士の間には所定の間隔が設けられている。
【0035】
次に、補強ユニット20の第1端部20aと第2端部20bとが周方向の一部で重なる重なり部20cを形成するように、内層ケーブル10に対して補強ユニット20を巻き付ける(巻き付け工程)。これにより、第1端部20aと第2端部20bとが第1接着フィルム21および第2接着フィルム22により仮固定され、補強ユニット20は内層ケーブル10を囲繞して長手方向に延びる筒状となる。また、巻き付け工程では、第1端部20aおよび第2端部20bの山部24同士および谷部25同士を径方向で対向させる。
次に、対向して配置されたコロ(回転体、図示略)により、第1端部20aと第2端部20bとを近づけるように、補強ユニット20を押圧する。
このとき、補強ユニット20の重なり部20cは、所定のフィルム接着力以上で接着されている状態S1と、所定のフィルム接着力に満たないフィルム接着力で接着されている状態S2とが存在している。
【0036】
所定のフィルム接着力に満たない状態S2には、例えば、
図4に示す状態S2aと、
図5に示す状態S2bとが含まれる。
図4に示す状態S2aでは、第1端部20aと第2端部20bとが一部接触し、隙間26が形成されている。
図5に示す状態S2bでは、第1端部20aと第2端部20bとが接触せずに、重なり部20cの周方向における全体において隙間26が形成されている。
【0037】
次に、補強ユニット20を覆うように、
図6に示すような押出被覆装置40を用いて外部シース30を押出成形する(押出成形工程)。
押出被覆装置40は、補強ユニット20により囲繞された内層ケーブル10が挿通されるニップル41と、ニップル41の外側にほぼ同軸上に設けられたダイス42とを備えている。補強ユニット20により囲繞された内層ケーブル10をニップル41の挿通孔43に挿通し、ニップル41の出口44から出てくる補強ユニット20の外周上に、樹脂流路45から溶融した難燃性の樹脂30aを押し出して被覆する。
【0038】
押出成形工程における樹脂圧は、重なり幅W2に対する樹脂幅W1の割合W1/W2が0.10以上となるように、予め求めた圧力とする。樹脂圧の調整は、例えばニップル41の先端41aとダイス42の先端41aとの距離Nを変えることにより可能である。そこで、W1/W2が0.10以上となるような距離Nを、製造開始前の実験などにより予め算出しておく。なお、樹脂圧を他の手段で調整してもよい。他の手段としては、例えば、ダイス42、ニップル41の形状や樹脂流路45の内径、押出被覆装置40から吐出される樹脂30aの量、温度の設定等が挙げられる。
【0039】
本実施形態では、ニップル41とダイス42との距離が予め算出した距離Nとなるように、ニップル41とダイス42とを設置した状態で、樹脂30aにより補強ユニット20を被覆する。このように、外部シース30を押出成形することで、内層ケーブル10および補強ユニット20を外部シース30内に収容する。
【0040】
このようにして、重なり部20cのうち、第1端部20aと第2端部20bとが所定のフィルム接着力に満たないフィルム接着力で接着されている部分(状態S2の部分)に、樹脂30aを入り込ませる。これにより、
図2に示す光ファイバケーブル1Aが製造される。
なお、重なり部20cのうち、第1端部20aと第2端部20bとが隙間なく密着しており、接着フィルム21、22によって所定のフィルム接着力で接着されている部分(状態S1の部分)がある場合、当該部分には樹脂30aが入り込まない。つまり、押出成形工程における樹脂圧が一定であっても、接着フィルム21、22による第1端部20aと第2端部20bとの接着状態の違いによって、樹脂30aが入り込む部分と入り込まない部分とが生じうる。
【0041】
ここで、本実施形態により得られる効果について、
図8を用いて説明する。
図8は、予め算出された樹脂圧により補強ユニット20を被覆した結果を示す概念図である。本実施形態では、隙間26に樹脂30aが入り込むことにより、重なり部20cには、フィルム接着力に加えて、外部シース30による第1端部20aを抑える抑え力が付与される。具体的には、
図2及び
図7に示すように、補強ユニット20の外周側に設けられた外部シース30と隙間26に入り込んでいる樹脂30aとが、連続して形成されている。これにより、光ファイバケーブル1Aを曲げたときに第1端部20aが光ファイバケーブル1Aの外周側に向かう力が抑制される。従って、光ファイバケーブル1Aを曲げたときに重なり部20cが開こうとする力に抗する抵抗力は、本実施形態では、フィルム21,22によるフィルム接着力と、樹脂30aによる抑え力との和となる。
【0042】
図8の縦軸は、抵抗力であり、横軸は、先述の状態S1,状態S2a,状態S2bである。
図8では、破線が、外部シース30を被覆する前のフィルム接着力を示し、実線が、外部シース30を被覆した後の抵抗力(すなわち、フィルム接着力と樹脂30aによる抑え力との和)を示す。
図8における「所定の抵抗力」とは、光ファイバケーブル1Aを曲げたときに、重なり部20cが開いて外部シース30に割れが生じることを抑制するための力の閾値である。
状態S1では、
図8の実線で示すように、フィルム接着力が、所定の抵抗力を超えている。つまり、状態S1では、接着フィルム21、22によるフィルム接着力によって、第1端部20aと第2端部20bとが充分に強く接着されている。
【0043】
状態S2bでは、第1端部20aと第2端部20bとが接触していないため、フィルム接着力はゼロとなる。一方、第1端部20aと第2端部20bとが接触していなくても、外部シース30の樹脂30aが第1端部20aと第2端部20bとの間に入り込み、重なり部20cには抑え力が付与される。このように、樹脂30aが抑え力を作用させることで、状態S2bの部位において、抵抗力は所定の抵抗力を超えるまで引き上げられる。
【0044】
状態S2aでは、第1端部20aと第2端部20bとが一部接触して隙間26が形成されているため、状態S1におけるフィルム接着力よりも小さいフィルム接着力が存在する(
図8の破線)。隙間26に樹脂30aが入り込むことにより、隙間26に入り込んだ樹脂30aが抑え力を作用させて、状態S2bの部位において、抵抗力は所定の抵抗力を超えるまで引き上げられる。
【0045】
このように、状態S1、S2a、およびS2bのいずれの状態においても、重なり部20cにおける抵抗力が、所定の抵抗力を超えるまで引き上げられているのが分かる。
【0046】
以上説明したように、本実施形態の光ファイバケーブル1Aの製造方法は、複数の光ファイバを有する内層ケーブル10としてのコア11を送り出す送り出し工程と、補強ユニット(補強部材)20をコア11に巻き付け、補強ユニット20の端部20a、20b同士が周方向の一部で重なる重なり部20cを形成する巻き付け工程と、補強ユニット20の外側に外部シース(シース)30を押出成形する押出成形工程と、を有している。そして、押出成形工程において、重なり部20cの少なくとも一部に外部シース30を構成する樹脂30aを入り込ませている。
【0047】
このような製造方法によれば、重なり部20cのうち所定のフィルム接着力に満たない部分S2に、外部シース30を構成する樹脂30aを入り込ませることにより、抑え力が付与され、当該部分の抵抗力を引き上げることができる。これにより、長手方向における重なり部20cの抵抗力を所定の抵抗力以上に引き上げることができるので、光ファイバケーブル1Aが曲げられた場合に重なり部20cが開いてしまう現象を抑えることができる。したがって、外部シース30が割れることを抑制することができる。
【0048】
また、補強ユニット20は、径方向外側に凸となる山部24と、径方向内側に凸となる谷部25とが、長手方向に沿って交互に形成されたコルゲート形状であり、重なり部20cにおいて、山部24同士が径方向に対向して配置され、谷部25同士が径方向に対向して配置されている。この構成により、光ファイバケーブル1Aを曲げやすくすることができる。さらに、補強ユニット20をコルゲート形状とすることにより、補強ユニット20と外部シース30との接触面積を大きくすることができる。これにより、補強ユニット20と外部シース30とのフィルム接着力を高めることができる。
【0049】
また、外部シース30を構成する樹脂30aが、難燃性樹脂で形成されている。この構成の場合、樹脂30aには融点や軟化温度が比較的低いフィラーが添加されるため、高温環境下での光ファイバケーブル1Aの強度が低くなることが課題となりうる。一般的な光ファイバケーブルでは、樹脂が難燃性樹脂である場合、高温環境下において、光ファイバケーブルを曲げたときに、重なり部20cが開いてしまい、歪み(割れ)が生じてしまう。これに対して、本実施形態の光ファイバケーブル1Aでは、補強ユニット20の重なり部20cに外部シース30を構成する樹脂30aが入り込んでいるため、高温環境下であっても、重なり部20cが開こうとする力を抑えることができる。従って、樹脂30aが難燃性樹脂であっても、外部シース30の割れを抑えることができる。
【0050】
なお、第1実施形態では、補強ユニット20が、第1接着フィルム21および第2接着フィルム22を備えた構成を例に挙げて説明したが、少なくとも第1接着フィルム21を備えていればよい。第2接着フィルム22が無いことで、フィルム接着力が低い部分が出現したとしても、当該フィルム接着力の弱い部分は、樹脂30aにより抑え力が付与されて抵抗力が引き上げられる。したがって、第2接着フィルム22を省略して、低コスト化などを図ることが可能である。
また、横断面視において、重なり部20cの全体と抗張力体13とが周方向において異なる位置に配置されていると説明したが、重なり部20cの全体と抗張力体13とが周方向において同じ位置に配置されていてもよい。
【0051】
また、本実施形態では、外部シース30の樹脂30aで第1端部20aと第2端部20bとを接着させる前に、巻き付け工程において、少なくとも第1接着フィルム21により、第1端部20aと第2端部20bとを仮固定させている。第1接着フィルム21による接着強度が不充分であった場合でも、フィルム接着力が弱い部分に樹脂30aが入り込むため、長手方向の抵抗力を所定の抵抗力以上に引き上げることができる。なお、第1端部20aと第2端部20bとを仮固定する際は、補強シート23の全面に第1接着フィルム21を設けなくてもよく、例えば重なり部20cにのみ接着剤を設けて第1端部20aと第2端部20bとを仮固定させてもよい。
【0052】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態について説明するが、第1実施形態と基本的な構成は同様である。このため、同様の構成には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
本実施形態の光ファイバケーブル1Bでは、
図9に示すように、補強ユニット20Aが第1接着フィルム21および第2接着フィルム22を備えていない点において第1実施形態と異なる。すなわち、本実施形態の補強ユニット(補強部材)20Aは、第1実施形態における補強シート23に対応している。
【0053】
次に、本実施形態における光ファイバケーブル1Bの製造方法について説明する。
本実施形態では、補強ユニット20Aが第1接着フィルム21および第2接着フィルム22を備えていないため、内層ケーブル10に対して山部24および谷部25を有する補強ユニット20Aを巻き付けた際、重なり部20cは固定、または、仮固定されず、補強ユニット20Aは内層ケーブル10を囲繞して長手方向に延びる筒状となる。
このとき、補強ユニット20Aの重なり部20cは、横断面視において、第1端部20aと第2端部20bとが隙間なく接触している状態S3a(図示略)と、
図10に示すように、第1端部20aと第2端部20bとが一部接触し、隙間26が形成されている状態S3bと、
図11に示すように、第1端部20aと第2端部20bとが接触せずに隙間26が形成されている状態S3cと、が存在し得る。
【0054】
次に、補強ユニット20Aを覆うように、第1実施形態と同様に押出被覆装置40を用いて外部シース30を押出成形する。
このとき、予め樹脂圧と接着強度との関係を求めておき、W1/W2の値が、第1実施形態と同様に、0.10以上となるように、距離Nを算出しておく。
【0055】
ニップル41とダイス42との距離がNとなるように、ニップル41とダイス42とを設置した状態で、樹脂30aにより補強ユニット20Aを被覆する。外部シース30の外径寸法を長手方向に沿って均一に保つために、樹脂圧はほぼ均一に保たれる。これにより、長手方向にわたって重なり部20cに均等に樹脂30aが入り込む。このようにして、
図10に示す状態S3bの隙間26に樹脂30aが入り込み、
図11に示す状態S3cの隙間26に樹脂30aが入り込む。また、先述の状態S3aとなっている重なり部20cにも、樹脂圧によって第1端部20aと第2端部20bとの間が押し広げられ、その隙間に樹脂30aが入り込む。このように、いずれの状態においても、
図9に示すように、重なり部20cに樹脂30aが入り込んだ外部シース30が形成され、光ファイバケーブル1Bが製造される。
【0056】
本実施形態では、補強ユニット20Aが第1接着フィルム21および第2接着フィルム22を備えていないため、外部シース30による第1端部20aの抑え力が、光ファイバケーブル1Aを曲げたときに重なり部20cが開こうとする力に抗する抵抗力となる。光ファイバケーブル1Bにおいても、第1実施形態の光ファイバケーブル1Aと同様に、状態S3a,状態S3b,状態S3cのいずれの状態においても、抵抗力は、所定の抵抗力以上に引き上げられる。
【0057】
以上説明したように、本実施形態の光ファイバケーブル1Bの製造方法においても、複数の光ファイバを有するコア11を送り出す送り出し工程と、補強ユニット(補強部材)20Aをコア11に巻き付け、補強ユニット20Aの端部20a、20b同士が周方向の一部で重なる重なり部20cを形成する巻き付け工程と、補強ユニット20Aの外側に外部シース(シース)30を押出成形する押出成形工程と、を有している。そして、押出成形工程において、重なり部20cに外部シース30を構成する樹脂30aを入り込ませている。これにより、第1実施形態と同様に、長手方向における重なり部20cの抵抗力を所定の抵抗力以上に引き上げることができるので、光ファイバケーブル1Bが曲げられた場合に重なり部20cが開いてしまう現象を抑えることができる。したがって、外部シース30が割れることを抑制することができる。
【実施例】
【0058】
以下、具体的な実施例を用いて、上記実施形態を説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されない。
【0059】
上述した第1実施形態に係る製造方法を用いて製造された光ファイバケーブル1Aの評価を行った。
内層ケーブル10の外径が14.6mmであり、補強ユニット20の周方向の長さが64mm、補強ユニット20の重なり部20cの周方向における幅W2が10mmであり、光ファイバケーブル1Aの外径が22.1mmである。外部シース30の材料としてはEVAを用いた。なお、難燃剤として、例えば金属水酸化物(水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム)やリン系難燃剤などのフィラーが添加されている。難燃剤のようなフィラーを添加するために、融点や軟化温度が比較的低く、柔らかいEVA、EEA(エチレンエチルアクリレート共重合体)、エラストマを配合したベース樹脂を用いることができる。
【0060】
上記条件のもと、外部シース30を押出成形する際のニップル41とダイス42との距離を変えて、W1/W2の値を変化させた複数のサンプルを用意した。各サンプルを70℃、3日間の条件で放置した後、曲げ直径φ40D(D:光ファイバケーブル1Aの外径)およびφ30Dにおける外部シース30の割れの有無を調べた。なお、上記の曲げ直径は、種々の光ファイバケーブルの規格に基づいて採用した。また、70℃で3日間との放置条件については、経験則に基づいて、外部シース30の信頼性を確認できる条件として設定した。
試験結果を表1に示す。
【0061】
【0062】
表1から分かるように、重なり部20cの幅W2に対する、重なり部20cに入り込んでいる樹脂30aの幅W1の割合(W1/W2)の値が0.10以上であるとき、曲げ直径φ40Dおよびφ30Dのいずれにおいても外部シース30の割れが無かった。従って、W1/W2の値を0.10以上にすることにより、より確実に外部シース30の割れを抑えることが可能となることが分かった。
この結果に基づき、押出成形工程における樹脂圧は、W1/W2≧0.10を満足するように、予め求めた圧力とすることが好ましい。
【0063】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0064】
例えば、第1実施形態の製造方法では、補強ユニット20が、状態S1と、状態S2aと、状態S2bと、を有しているとして説明したが、これら全ての状態を含んでいなくてもよい。すなわち、補強ユニット20が、状態S2a、状態S2bのうち少なくとも一つの状態を含んでいれば、外部シース30の割れを抑制することができるとともに、長手方向においてフィルム接着力が弱い部分では、抑え力が付与され、抵抗力が増すため、光ファイバケーブル1Aの信頼性を向上させることができるという効果を得ることができる。同様に第2実施形態の製造方法においても、補強ユニット20が、状態S3a、状態S3b、状態S3cのすべての状態を含んでいなくてもよく、状態S3a、状態S3b、状態S3cのうち少なくとも一つの状態を含んでいればよい。
【0065】
また、上記各実施形態の補強ユニット20、20Aでは、長手方向に沿って、山部24と谷部25とが交互に形成された構成を例に挙げて説明したが、補強ユニット20にコルゲート加工が施されていなくてもよい。また、補強ユニット20のコルゲート形状は上述した構成に限定されない。例えば、コルゲート形状は、長手方向に対して斜めに延びる山部24と谷部25とが、長手方向に交互に形成された構成であってもよい。
【0066】
前記第1、第2実施形態の光ファイバケーブルでは、補強ユニット20が内層ケーブル10を囲繞する構成としたが、これに限らず、補強ユニット20がコア11を囲繞する構成であってもよい。この構成の場合、前記第1、第2実施形態において、内層ケーブル10ではなく、コア11のみを送り出すこととなり、巻き付け工程において、コア11に対して補強ユニット20を巻き付ければよい。
また、前記第1、第2実施形態の製造方法では、補強ユニット20(20A)の山部24および谷部25を形成した後で巻き付け工程を行ったが、平坦なシート状の補強ユニット20(20A)を用いて巻き付け工程を行った後、押出成形工程の前に、山部24および谷部25を形成してもよい。
【0067】
また、前記第1、第2実施形態では、谷部25aと谷部25bとの間の樹脂30aの径方向の寸法M2は、山部24aと山部24bとの間の樹脂30aの径方向の寸法M1よりも厚いとしたが、これに限定されない。すなわち、寸法M2が寸法M1より薄い構成や、樹脂30aの厚みが、山部24間および谷部25間で均一である構成であってもよい。
【0068】
また、樹脂30aは、重なり部20cの第1端部20aと第2端部20bとの間の少なくとも谷部25aと谷部25bとの間に入り込んでいてもよい。
【0069】
また、内層ケーブル10は、上述した構成に限らず、ルースチューブ、ラッピングチューブケーブル(WTC)、スロットタイプであってもよい。また、外部シース30に抗張力体が埋め込まれていてもよい。また、複数の光ファイバや内層ケーブル10は、必要に応じて、押さえ巻きや吸水テープ(シート)で覆われていてもよいし、覆われていなくてもよい。また、吸水テープ(シート)に限らず、他の防水材や吸水材を必要に応じて備えてもよいし、備えていなくてもよい。
また、上記各実施形態では、コア11の横断面形状が円形であったが、コア11の横断面形状は楕円形や矩形などであってもよい。
【符号の説明】
【0070】
1A,1B…光ファイバケーブル 11…コア 12…第1リップコード 20、20A…補強ユニット(補強部材) 20c…重なり部 21…第1接着フィルム(接着層) 24…山部 25…谷部 30…外部シース(シース) 30a…樹脂