(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】深底リムの製造方法、深底リム及び深底リムに取り付けられた商用車両用の車両ホイール
(51)【国際特許分類】
B60B 21/02 20060101AFI20221101BHJP
B21D 53/30 20060101ALI20221101BHJP
B21H 1/10 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
B60B21/02 L
B21D53/30 B
B21H1/10
(21)【出願番号】P 2019510779
(86)(22)【出願日】2017-09-15
(86)【国際出願番号】 IB2017055596
(87)【国際公開番号】W WO2018051282
(87)【国際公開日】2018-03-22
【審査請求日】2020-09-07
(31)【優先権主張番号】102016117510.2
(32)【優先日】2016-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515210455
【氏名又は名称】マキシオン ホイールズ ホールディング ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ボース,アヒム
(72)【発明者】
【氏名】シェレンベルク,ヤーコブ
(72)【発明者】
【氏名】ラング,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ツァイエン,クラウス ベルンハルト
【審査官】西田 侑以
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/140249(WO,A1)
【文献】特開平11-059107(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0300176(US,A1)
【文献】特表2004-522636(JP,A)
【文献】特開2000-254746(JP,A)
【文献】特開平09-048221(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60B 21/00 - 21/02
B21D 53/30
B21H 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用車両の車両ホイール用の一片の実質的に回転対称である深底リムを製造する方法であって、複数の材料形成ステップを備え、前記深底リムが、少なくとも一つの内側リムフランジ(11;111)及び少なくとも一つの外側リムフランジ(20;120)、内側の15°の急テーパ状ビードシート(12;112)及び外側の15°の急テーパ状ビードシート(19;119)、深底基部(13;113)を備えたリム深底、前記15°の急テーパ状ビードシートの間の内側深底側部(14;114)及び外側深底側部(15;115)を区域として受け止め、前記区域の一つは車両ディスクのためのディスク取付領域(A)として設けられており、前記材料形成ステップは、少なくとも一つの成形ステップを備えており、前記材料形成ステップの少なくとも一つにより、前記深底リムの材料厚さは、他の区域に対して削減された壁厚を備えた少なくとも一つの部分的区域を受け止め、前記15°の急テーパ状ビードシート(12、19;112、119)の少なくとも一つの成形ステップにおいて、少なくとも一つの部分的区域の壁厚の削減が生じ、前記15°の急テーパ状ビードシート(12、19;112、119)は、ディスク取付領域(A)に設けられた区域の壁厚(D)に対して、20%を超える壁厚の削減がされた区画を受け止め、前記壁厚の削減がされた前記区画は、円錐状の外形をしており、前記リムフランジにより近い側面よりも、前記深底基部により近い側面の方で、より大きい厚さの削減がされていることを特徴とする、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記外側急テーパ状ビードシート(19;19)及び/又は前記内側急テーパ状ビードシート(12;112)のみが、前記ディスク取付領域の前記壁厚に対して、前記20%を超える壁厚の削減がされ、あるいは前記外側急テーパ状ビードシート(119)及び前記内側急テーパ状ビードシート(112)、及び前記リム深底(113)のみが、前記ディスク取付領域に設けられた前記区域の壁厚に対して、20%を超える壁厚の削減がされていることを特徴とする、方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法であって、前記急テーパ状ビードシートの壁厚が削減された区間の成形は、直近のリムフランジに向かう方向に行われることを特徴とする、方法。
【請求項4】
商用車両の車両ホイール用の深底リムであって、複数の区域を備え、内側リムフランジ(11;111)及び外側リムフランジ(20;120)、内側の15°の急テーパ状ビードシート(12;120)及び外側の15°の急テーパ状ビードシート(19;119)、深底基部(13;113)を備えたリム深底、並びに、前記急テーパ状ビードシートの間の内側深底側部(14;114)及び外側深底側部(15;115)を形成し、前記区域の一つは車両ディスクのためのディスク取付領域(A)として設けられており、前記深底リムは、他の区域に対して削減された壁厚を備えた少なくとも一つの部分的区域を有しており、前記15°の急テーパ状ビードシート(12、19;112、119)は上側面(110’’)および下側面(110’)を有し、前記15°の急テーパ状ビードシート(12、19;112、119)の少なくとも一つは、ディスク取付領域(A)として設けられた区域の壁厚(D)に対して、前記下側面(110’)における凹部で生じる20%を超える壁厚の削減がされた区画を有し、前記壁厚の削減がされた区画は、円錐状の外形を有し、前記リムフランジにより近い側面よりも、前記深底基部により近い側面の方で、より大きい厚さの削減がされていることを特徴とする、深底リム。
【請求項5】
請求項4に記載の深底リムであって、1つのビードシートのみ、又は双方のビードシート(12、19)のみが、前記ディスク取付領域(A)に設けられた前記区域に対して、20%を超える壁厚の削減がされ、あるいは前記外側急テーパ状ビードシート(119)及び前記内側急テーパ状ビードシート(112)、及び前記リム深底(113)のみが、前記ディスク取付領域(A)に設けられた前記区域の壁厚に対して、20%を超える壁厚の削減がされていることを特徴とする、深底リム。
【請求項6】
請求項4または5に記載の深底リムであって、前記円錐状領域
は傾斜角度(α)を備え、前記傾斜角度(α)は好ましくは、0.5度~1.5度であることを特徴とする、深底リム。
【請求項7】
請求項
4~6のいずれかに記載の深底リムであって、前記深底リムを製造するのに使用される初期シートの初期壁厚に対して、壁厚の削減がされた前記区画の最大の壁厚の削減(D1、D2)は、前記初期壁厚に基づくと、20%~40%、好ましくは25%~35%、特に28%~32%であることを特徴とする、深底リム。
【請求項8】
請求項4~7のいずれかに記載の深底リムであって、壁厚の削減がされた前記区画は、各半径(R)及び半径同士の間に形成される変曲点により、前記区画のすぐ隣に隣接する区域に結合することを特徴とする、深底リム。
【請求項9】
請求項
4~8のいずれかに記載の深底リムであって、前記深底リムは上側面と下側面(110´)を有し、前記壁厚の削減は、前記下側面(110´)の急テーパ状ビードシート(112、119)に形成されることを特徴とする、深底リム。
【請求項10】
請求項1~3のいずれかに記載の方法、又は請求項4~9のいずれかに記載の深底リムであって、遷移区画にバルブホールを設けるための、前記リム深底と前記急テーパ状ビードシートの一つの間の遷移区画により特徴付けられる、方法又は深底リム。
【請求項11】
商用車両用の車両ホイールであって、実質的に回転対称の深底リム、及び前記車両ホイールを車両に固定するための前記深底リムの内部に配置された点在穴を有し、前記ディスク取付領域(A)の前記深底リムに連結され、特に溶接されているホイールディスクを有し、前記深底リムは、請求項4~10のいずれかにより設計されていることを特徴とする、車両ホイール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商用車両の車両ホイール用の一片の実質的に回転対称である、15度の深底リムを製造する方法であって、複数の材料形成ステップを備える方法に関し、深底リムが、少なくとも一つの内側リムフランジ及び少なくとも一つの外側リムフランジ、内側急テーパ状ビードシート及び外側急テーパ状ビードシート、深底基部を備えたリム深底、急テーパ状ビードシートの間の内側深底側部及び外側深底側部を区域として受け止め、前記区域の一つは車両ディスクのためのディスク取付領域として設けられており、前記材料形成ステップは、少なくとも一つの成形ステップを備えており、前記材料形成ステップの少なくとも一つにより、深底リムの材料厚さは、他の区域に対して削減された壁厚を備えた少なくとも一つの部分的区域を受け止めている。
【0002】
本発明は更に、商用車両の車両ホイール用深底リムであって、前記深底リムに形成された複数の区域であって、内側リムフランジ及び外側リムフランジ、内側急テーパ状ビードシート及び外側急テーパ状ビードシート、及び深底基部を有するリム深底、急テーパ状ビードシートの間の内側深底側部及び外側深底側部を形成する複数の区域を有する深底リムに関するものであり、前記区域の一つはホイールディスク用ディスク取付領域として設けられており、前記深底リムは、他の区域に対して削減された壁厚を備える少なくとも一つの部分的区域を有する深底リムに関する。
【0003】
本発明は更に、商用車両用の車両ホイールであって、実質的に回転対称の深底リム、及び車両ホイールを車両に固定するための深底リムの内部に配置された点在穴を有し、ディスク取付領域の深底リムに連結され、特に溶接されているホイールディスクを有する、車両ホイールに関する。
【背景技術】
【0004】
何十年にもわたり、一片の鋼製深底リム及び溶接されたホイールディスクを有する商用車両ホイールは、商用車両の標準であった。多くの場合、対応する商用車両ホイールは、外部バルブ、すなわちリムの外部急テーパ状ビードシートとホイールディスクの外部表面の間のホイールディスク外部の空間にある車両ホイール上に位置しており、商用車両のディスクブレーキのための充分な空き区域を形成するのに適切な形状を有している。15度の急テーパ状ビードシートを有する対応する深底リムの基本構造及び必要な寸法は、例えば、ETRTОにより規格化されている。商用車両の基本設計要件は、最小重量及び低製造コストで最大強度である。
【0005】
重量を削減するためには、リム又は車両ホイールの操作使用中に、比較的低い機械負荷に耐える必要がある区域の壁厚や材料厚さを削減したリムを提供することが、車両ホイールの分野で知られている実務である。この目的を達成するために、例えば、特許文献1は、型付けローラによりリム外形が形成される前に、円筒状の圧延マンドレル上のリムを製造するのに使用されるリムブランク(薄板状の金属リング)を固定した後、回転ローラにより軸方向にブランクを延長させることにより、画定された壁厚の削減がされた部分的区域を製造することを提案している。リム成形は、次いで分離成形機で最終形状に成形された。
【0006】
特許文献2は、最適化された重量のリムを製造する装置、及び当該装置で使用される方法であって、回転ステーションがリムブランクを円錐状に拡張するのに使用されることにより、端部成形が行われる前に、回転ステーションに続き、回流ステーションで回流させることにより、リムブランクの拡張された両側面において、リムブランクの壁厚は可変となる装置及び方法を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】ドイツ特許第19924062号明細書
【文献】ドイツ実用新案出願公開第202005021881号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、深底リムを備え、効果的な態様で製造可能な軽量化された商用車両ホイールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために、本発明は、少なくとも一つの急テーパ状ビードシートの成形ステップにおいて、少なくとも一つの部分的区域の壁厚の削減が生じる方法であって、前記急テーパ状ビードシートは、ディスク取付領域に設けられた区域の壁厚に対して、20%を超える壁厚の削減がされた区画を受け止めている。予備成形ステップのリムブランクのリング両端部を傾斜させた後、成形ステップ、好ましくは第1の成形ステップの一つにおける壁厚の削減を選択的に製造することにより、追加のステーション又は機械を設ける必要がなく、ひいては製造時間が短縮できるという効果が生じる。型付けローラによる成形過程では、急テーパ状ビードシートの壁厚の削減を選択的に提供することにより、完成した車両ホイールのディスク取付領域とリム深底の間で若干の応力緩和があり、その結果、予想外にも、本発明に対応して設計される深底を備えて製造された車両ホイールの強度が全体的に改善されることが、研究結果に示されている。
【0010】
効果的で実現可能な処理により、外側急テーパ状ビードシート及び/又は内側急テーパ状ビードシートのみが、ディスク取付領域の壁厚に対して、20%を超える壁厚の削減を受け止めている。これに代えて、外側急テーパ状ビードシート及び内側急テーパ状ビードシート、及びリム深底のみが、ディスク取付領域に設けられた区域の壁厚に対して、20%を超える壁厚の削減がされた区域を受け止めてもよい。他の区域も同様に、ディスク取付領域の壁厚に対して、削減された壁厚を受け止めることが可能であることは言うまでもないが、この削減は前述した部分的区域において、本発明にかかる壁厚の削減よりも少ない。本発明により達成される双方の急テーパ状ビードシートの削減された壁厚、及び深底リムに製造される削減された壁厚は、一つの急テーパ状ビードシート又は双方の急テーパ状ビードシートの区域の削減された壁厚と同じ寸法であるか、これとは異なってもよい。
【0011】
急テーパ状ビードシートの壁厚が削減された区間の成形は、直近のリムフランジに向かう方向に行われ、この目的を達成するために、完成した車両ホイールの壁厚の削減がされた区画は、好ましくは円錐状の外形を有し、リムフランジにより近い側面よりも、深底基部により近い側面のより大きい厚さ削減を受け止めている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、車両ホイールの場合、上記目的は、急テーパ状ビードシートの少なくとも一つは、ディスク取付領域として設けられた範囲の壁厚に対して、20%を超える壁厚の削減がされた区画を有している、という事実により達成されている。成形ステップの急テーパ状ビードシートの少なくとも一つを選択的に壁厚の削減することにより、同時に重量を削減しつつ、上記効果が提供される。
【0013】
ビードシートのうち一つだけが、ディスク取付領域に設けられた区域に対して、20%を超える壁厚の削減がされているとしてもよく、より効果的には双方のビードシートは、ディスク取付領域に設けられた区域に対して、20%を超える壁厚の削減がされている。これに代えて、外側急テーパ状ビードシート及び内側急テーパ状ビードシート、更にリム深底は、ディスク取付領域に設けられた区域の壁厚に対して、20%を超える壁厚の削減がされているとすることも可能であろう。他の領域も同様に、ディスク取付領域を壁厚に対して、壁厚の削減を受け止めることが可能であることは言うまでもないが、これは、前述した部分的区域において、本発明にかかる壁厚の削減よりも少ないことが好ましい。その結果、絶対的には、最小壁厚は、2つの急テーパ状ビードシートの一つ又は双方の急テーパ状ビードシート、及び選択的には深底に製造され、又は存在する。
【0014】
ディスク取付領域の壁厚に対して、20%を超える壁厚の削減がされた区間は、好ましくは円錐状の外形を有し、リムフランジにより近い(隣接するリムフランジにより近い)側面よりも、深底基部により近い側面、すなわち深底により近い側面の方が、より大きい厚さの削減がされており、すなわちより浅い壁厚を有しており、円錐状領域の傾斜角度は好ましくは、0.5度~1.5度である。
【0015】
深底リムを製造するのに使用される初期シートの初期壁厚に対して、壁厚の削減がされた区画の最大壁厚の削減は、初期壁厚に基づくと、20%~40%、好ましくは25%~35%、特に28%~32%である。壁厚の削減がされた区画は、各半径及び半径同士の間に形成される変曲点により、当該区画のすぐ隣に隣接する区域に融合(結合)することが好ましい。
【0016】
深底リムは上側面と下側面を有し、壁厚の削減は、下側面の急テーパ状ビードシートに形成されることが好ましい。15度の急テーパ状ビードシートの上側面は、深底リムのタイヤ上の漏止ビードのための軸受面を形成するため、平坦を維持する。
【0017】
深底リムを備えて製造される車両ホイールは、ツインホイール又はシングルホイールであってもよい。バルブホールを設けるための遷移区画は、リム深底と急テーパ状ビードシートの一つの間の遷移区画に設けられていてもよい。
【0018】
実質的に回転対称な深底リム、及び車両に車両ホイールを結びつけるための深底リムの内部に配置された点在穴を有し、ディスク取付領域の深底リムに連結され、特に溶接されているホイールディスクを有する、本発明にかかる車両ホイールは、上記したように、テーパ状ビードシートの少なくとも一つの領域において、成形ステップの一つで薄板状の金属リング上に製造される壁厚の削減がされた一片の鋼製深底リムにより特徴付けられる。
【0019】
更に、本発明の効果及び改良点は、以下の図面に図示された例示的実施形態を参照して、以下の説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】非常に簡略化された概略図により、シートブランクからリムブランクを製造するのに必要なステップを示している。
【
図2】非常に簡略化された概略図により、リムブランクから型付けローラにより、本発明にかかる深底リムを製造するのに必要なステップを示している。
【
図3】断面図により連結されたホイールディスクと共に、第1の例示的実施形態により、本発明にかかる深底リムの外形を示している。
【
図4】外形断面図の変化により、概略的に簡略化された形態の
図3をもとに、深底リムの製造のための外形圧延ステップを示している。
【
図5】断面図における連結されたホイールディスクと共に、第2の例示的実施形態により、本発明にかかる深底リムの外形断を示している。
【
図6】
図5で図示する第2の例示的実施形態により、本発明にかかる深底リムの外形断面の成形に関する第1の方法の変形方法による型付けローラの形成輪郭を、断面図により示している。
【
図7A】本発明にかかる深底リムの急テーパ状ビードシートの一つの素材削減又は厚さ削減の製造のための形成輪郭と共に、
図6による工具の細部を示している。
【
図7B】
図5に図示された深底リムのリム深底の材料削減の製造のための形成輪郭と共に、
図6による工具の細部を示している。
【
図8】本発明にかかる深底リムの急テーパ状ビードシートの細部を示している。
【
図9】
図5で図示する第2の例示的実施形態により、本発明にかかる深底リムの外形断面の成形に関する第2の方法の変形方法による型付けローラの形成輪郭を示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、非常に簡略化された概略図形式にて、本発明にかかる深底リムのためのリムブランク60の製造のための方法ステップ又はステーションを示している。出発材料としては、鋼板から成る矩形状の薄板ブランク1が使用され、スタック2から取り出され、供給ライン(細部は図示せず)を介して円形テーブル3に供給され、ここで薄板ブランク1は複数のローラにより変形され、実質的に閉リングが提供される。以下、溶接機4においては、球状となった後は互いに対向するブランクの両端の縁部は、平坦に押圧された後、適切な方法で共に溶接される。好ましくは、溶接により未だ高温である間は、一方では、薄板状の金属リングのリム縁部、並びに溶接線は、この場合は2つのデバリングステーション5、6でデバリングされ、これにより形成されたリムブランクは、必要であればトリミングされ、丸みを付され、円形リムブランク60(「リング」又は「薄板状の金属リング」と称されることが多い)が提供される。上記ステップは、薄板ブランクからリム又はリムブランクを製造する技術分野において、当業者に十分周知であるため、より詳細な説明は省くこととする。
【0022】
本発明にかかる処理は、本発明にかかる外形断面を備えた深底リムを提供するために、当初は円筒状であるリムブランクの成形に関する。ここに
図2は、非常に簡略化された概略図形式にて、4つの連続的成形ステップ2.1、2.2、2.3、2.4による成形を示しており、このとき成形は、ステップ2.2と2.3の間の追加の成形ステップ2.5で示すように、複数のステップで生じる場合もある。
【0023】
実際には予備成形ステップに過ぎない成形ステップ2.1においては、当初は円筒状であるリムブランクは、両端部が円錐状に拡張され、対応して参照符号60´´により示す中間輪郭を備えたリムブランクが提供される。その後のリム成形の特定の区域(対象区域)は未だ存在しておらず、予備成形ステップの最終段階でも認識できない。リムを提供するためのブランクの実際の成形は、成形ステップ2.2~2.4(及び2.5)で生じ、ここでは操作の態様は各ステップでほぼ類似しており、深底リム10の最終形状を提供するための中間形状60´´及び60´´´を備えた段階的形成は、当該技術分野の当業者にもそれ自体、知られているように、各々の圧延ステップ又は成形ステップで使用される工具の形成輪郭の設計により画定される。各成形ステップ2.2、2.3、2.4において、一対の工具が使用され、各工具は、ブランクに入り込んでこれを支持する成形マンドレル又は下部ローラ80を有しており、更に上部ローラ70を有しており、ブランクは上部ローラ70により回転下部ローラ80に押し付けられる。これもまた当該技術分野の当業者に基本的には知られているため、より詳細な説明は省くこととする。
【0024】
本発明は本質的には、少なくとも一つの成形ステップ、好ましくは第1の真の成形ステップ2.2の過程では、実行されるリムブランク60´の更なる変形のみならず、この成形ステップの過程で同時に、ディスク取付のために設けられた領域の材料削減に対して、少なくとも20%につき、2つの急テーパ状ビードシートのうち少なくとも一つの壁厚の削減も実行されることにより構成される。説明のために、本発明にかかる急テーパ状ビードシート10の外形断面が、ディスク取付領域Aに溶接されたホイールディスク50と共に示されている
図3を最初に参照する。
図3では、参照符号90は、一方では深底リム10、及び特に点在穴を有するホイールディスク50から成る車両ホイールを示しており、ホイールディスク50の部分的区画のみが示されている。実際の発明は、不可欠の区域(対象区域)として、内側リムフランジ11、これに隣接する内側急テーパ状ビードシート12、内側深底側部14及び外側深底側部15を備えたリム深底13、遷移領域16、遷移ベベル17、保持領域としての小突起部分18(すなわちハンプ)、外側急テーパ状ビードシート19、外側リムフランジ20を有する深底リム10のリム外形又は外形断面で明らかになっている。ここで、「内部」及び「外部」の名称は、車両(図示せず)にこのような車両ホイール90が組み立てられた状態を指しており、ホイールディスク50、及び外側急テーパ状ビードシート19及び遷移ベベル17を備えた外側リムフランジ20のみを組み立てられた状態で見ることができ、他の領域は、車両ホイール90に更に配置されているため、見ることができない。バルブ用バルブホールは、外部に置かれることになるため、一般には遷移領域17に配置されている。
【0025】
図3が既に鮮明に示しているように、本発明にかかる深底リム10の内側急テーパ状ビードシート12及び外側急テーパ状ビードシート19の双方には、成形ステップの一つで選択的に製造された大きな壁厚の削減が備わっており、削減された壁厚の区域は、選択された処理により、2つの急テーパ状ビードシート12、19の領域にのみ位置している。
【0026】
様々なリムブランク60´、60´´、60´´´、及び最終製品としての深底リム10により、
図4は、成形ステップにおける成形断面の変化及び成形輪郭の変化を示しており、最上部の形成ステップ4.1のリムブランク60´の成形形状及び成形断面は、
図2の予備成形ステップ2.1に対応しており、
図4の成形ステップ4.2のリムブランク60´´の成形形状は、
図2の成形ステップ2.2に対応しており、
図4の成形ステップ4.3のリムブランク60´´´の成形形状は、成形ステップ2.3に対応しており、成形ステップ4.4の成形形状は、
図3に示す深底リムの成形ステップ2.4又は最終輪郭に対応しているため、参照符号10で示す。予備成形プロセスでは、リムブランクを形成する薄板状の金属リングは、各々の両端部にのみ存在する当初の中間形状60´に拡張される。第1の真の成形ステップにおいては、中間形状60´´が製造され、ここでは深底及び遷移区画が既に鮮明に認識できる。同時に、他の領域の壁厚Dに対して壁厚D
1及びD
2まで厚さを大きく削減した各部分的エリアが上向き区画に製造されており、ここでは壁厚の削減がされたこれら領域は、
図4の成形ステップ4.4に従い、深底リム10の最終外形で急テーパ状ビードシート12及び19を各々 形成する。非常に巧みに図示されているように、厚さ削減がされたリムブランク60´´には、リムブランク60´´´を提供するための成形ステップ4.3又は最終製品としての深底フランジ10を製造するその後の最終成形ステップ4.4において、ビードシート12、19の壁厚の更なる削減はされず、この壁厚の削減は、成形ステップ4.2で工具によってのみ生じている。
【0027】
図3に示す車両ホイール90の場合は、ホイールディスク50は遷移領域16の下側面にディスクリム52により連結されている。遷移領域のこの区画は、ホイールディスク50のためのディスク取付領域を形成しているため、より鮮明な記述のために、参照符号Aで示している。ディスク取付領域Aに対する2つの急テーパ状ビードシート12,19の壁厚の削減は、2つの急テーパ状ビードシート12、19の壁厚D
1及びD
2が少なくとも部分的に、ディスク取付領域Aのうち特定の領域、すなわちこの場合は遷移区画16のうち特定の領域の厚さDよりも20%を超えて薄くなるように選択される。厚さD
1、D
2を備えた厚さが削減された領域と、薄板の厚さDの間の厚さのこのような差異は、ここでは、第1の真の成形ステップ4.2においてのみ達成される。鮮明にするため、厚さの対応する変化又は削減された壁厚D
1及びD
2、及びディスク取付領域Aの壁厚Dは、
図4で示す外形断面4.2に記入されている。
【0028】
図5は、本発明にかかる深底リム110を有する車両ホイール190の第2の例示的実施形態を示している。ここでも深底リム110は、内側リムフランジ111、内側急テーパ状ビードシート112、内側深底側部114及び外側深底側部115を備えたリム深底113、小突起部分118により形成される保持領域、外側急テーパ状ビードシート119、外側リムフランジ120を有している。前の例示的実施形態にあるように、内側急テーパ状ビードシート112及び外側急テーパ状ビードシート119の双方には、削減された壁厚D
1及びD
2を備えており、ここでは削減された厚さの部分的区域のうち、最小壁厚D
1、D
2は、ホイールディスク150のためのディスク取付領域Aの領域において深底リム110の壁厚Dより少なくとも20%薄い。ここで、ディスク取付領域Aは、平坦な深底基部113の下側面113´に位置している。前の例示的実施形態から更に推し進められているように、深底基部113は、車両ホイール190の2つの急テーパ状ビードシート112、119に加え、削減された壁厚D
3の部分的区域130も一部には備えている。
図5は、急テーパ状ビードシート112、119が各々、表面に凹部を備えた下側面110´に設けられており、他方で図示された例示的実施形態では、深底130の厚さの削減が、深底リム110の上側面110´´に製造されていることを鮮明に示している。この理由は特に、
図6、7A,7Bに記述されており、ここでは第1の真の成形ステップの深底リムの成形断面の製造のための工具又は工具の区画が、概略的に示されている。
【0029】
図6では再び、参照符号170は上部ローラを示し、参照符号180は下部ローラを示しており、これらはこの場合多部分ローラであり、あるいは圧延マンドレルである。成形機の成形プロセスにおいては、形成される薄板状の金属リングは、2つの工具170及び180の間のリムブランクとして位置しており、工具180はその都度、薄板状の金属リング又はリムブランクの中まで到達して回転し、他方で工具170はその都度、供給動作を行うことが好ましい。中心では、工具180の表面の形成輪郭は平坦な区画186を有しており、深底が形成され、これにブランクの下側面が寄りかかっている。深底の側面には、隆起部分184、185を備えた2つの斜面182、183が各々存在し、成形ステップにおいてその後の急テーパ状ビードシートの領域の厚さの削減を生じさせている。対向する工具170上の形成輪郭171は同様に、これらの領域に斜めに伸びているが、工具170の輪郭上の表面172、173から鮮明に見て取ることができるように、隆起部分もなく直線状に継続している。これとは対照的に、工具170の形成輪郭171の中心領域176では、隆起部分174が再び形成されており、成形ステップにおいてリム深底の対応する領域の厚さが確実に削減されることになる。
【0030】
図7A及び
図7Bは、
図6で示す深底リムの材料厚さの削減を製造するための工具170及び180上の区画の詳細図を示している。
図7Aでは工具180上の隆起部分184が、工具170上の対向する表面173に平行ではないが、この場合は1度という小さな斜角を形成していることが見て取れる。よって
図7Aの右側にある隆起部分184の角部は、
図7Aの左側にある隆起部分184の側面がブランクの表面とは未だ接しない時点で、既に拡張されたリムブランクの材料を貫通している。この手法により、成形ステップにおいては、材料が外側に向けて、すなわち直近のリムフランジに向けて移動され、最初ではあるが後に成形されるため、その全長に沿って観察した場合ここでは材料削減は継続的な態様で厚さが変化し、最小厚さは選択的に削減された壁厚を備えた深底リムの領域の最大厚さよりも、リム深底により近い。
【0031】
処理はここでもリム深底とも類似しており、工具170上の隆起部分174は、一側面、この場合は隆起部分174の左側面上の隣接表面に対する方が、右側面上の隣接表面に対するより大きく上昇しており、結果として
図7Bでは配列に対して材料は右側に移動される。それは、隆起部分174の左半分が、隆起部分174の右半分よりも早く成形される材料に入り込むからである。しかしビードシートの場合と異なり、移動が、好ましくはより近いリムフランジの方向又はより短い側面の方向にされても、リム深底の移動の方向は自由に選択可能である。
【0032】
図8は再び、例を挙げてビードシート119の領域のリム外形断面の区分により、ビードシート119の領域の継続的に可変の削減された壁厚及びその外形を記述している。前述したように、工具の形状作成は、深底リムの厚さの最大削減、すなわち最小材料厚D
2がビードシート119の内部領域内で製造されることを意味し、これは
図8の右側に示してある。この領域から出発して、材料厚さはより近いリムフランジに向かって継続的に増加し、この厚さ増加は、下側面119´と一致する第1のラインと第2のライン131の間の角度αにより記述されている。ライン131は厚さ削減のない領域の表面と同一平面であるため、厚さ削減(すなわち表面の凹部)が本発明によりここで製造されなかった場合は存在したであろう材料厚さに対応している。減少する壁厚の削減により、ライン130と131の間の2つの深さT
1及びT
2が示すように、凹部の深さはリム深底からその後に続くリムフランジに向かって継続的に減少しており、ここで深さT
1は深さT
2より浅い。隣接する領域の遷移は、
図8に示すように、いずれの場合も半径Rにより形成されており、更に2つの隣接する半径R間に形成された変曲点が存在する。
【0033】
既に説明したように、複数の成形ステップ、特に(
図2の2.5で示す)追加の成形ステップを設けることも可能である。できる限り少ない成形ステップで深底リムの成形を実行することが目的であっても、
図5を参照して説明するように、例えば、深底リムが急テーパ状ビードシートとリム深底の双方の厚さの削減を受け止めることを前提とする場合は、対応する追加の成形ステップは効果的となり得る。よって
図9は、一方では急テーパ状ビードシートの厚さ削減を製造する工具と、他方では別個の成形ステップのリム深底の厚さ削減を製造する別個の工具を示している。
図9で上に示す工具270´、280´は例えば、成形ステップ2.2で使用可能であり、この成形ステップでは、リム深底の領域の材料厚さ削減のみが工具270´、280´により製造される。よって工具270´のみがその表面輪郭に対応する隆起部分274´を有している。第2の成形ステップ(
図2の2.5)においてのみ、厚さ削減は2つの急テーパ状ビードシートの領域で製造される。この目的で使用される
図9の下側領域にある工具280´´は、これに対応して隆起部分284´´、285´´を有しており、他方で相互に対向する中心領域276´、286´は各々平坦であるため、他方でリム深底にはこの成形ステップで厚さの更なる削減も形状の変化もされない。
【産業上の利用可能性】
【0034】
添付された特許請求の範囲の保護の範囲に属する複数の改変が、当業者による上記記述から得られる。リム深底の厚さ削減も下側面で製造できる。双方の急テーパ状ビードシートの厚さ削減も、同一の工具を使用して同時に実行されることが好ましい。このような削減が行われる場合は、リム深底の領域の追加の厚さ削減は、一つの方法ステップで工具により、又はすでに説明したように様々な方法ステップの様々な工具により製造可能である。選択により製造された削減された壁厚の各々は、互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよく、削減された壁厚の領域の最小壁厚が、ディスク取付領域のうち特定の領域の最小壁厚より、要求される値だけ薄ければ充分である。ディスク取付領域の壁厚は、ブランクを製造するのに使用される薄板ブランクの当初の厚さに対応していてもよい。しかし、特に対応する領域がその後、機械的に製造される場合は、より薄い壁厚があってもよい。必要であれば、15度の急テーパ状ビードシートの材料削減を成形及び形成するための工具は、別個に保護を許可されてもよい。