(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】プラスチック材料を洗浄および分離する方法および装置
(51)【国際特許分類】
B03B 5/66 20060101AFI20221101BHJP
B03B 5/00 20060101ALI20221101BHJP
B03B 11/00 20060101ALI20221101BHJP
B08B 3/04 20060101ALI20221101BHJP
B01F 35/222 20220101ALI20221101BHJP
B01F 35/75 20220101ALI20221101BHJP
B01F 27/90 20220101ALI20221101BHJP
B01F 27/112 20220101ALI20221101BHJP
【FI】
B03B5/66
B03B5/00 Z
B03B11/00
B08B3/04 B
B01F35/222
B01F35/75
B01F27/90
B01F27/112
(21)【出願番号】P 2019554019
(86)(22)【出願日】2017-12-20
(86)【国際出願番号】 EP2017083781
(87)【国際公開番号】W WO2018115104
(87)【国際公開日】2018-06-28
【審査請求日】2020-12-18
(31)【優先権主張番号】102016000129016
(32)【優先日】2016-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】512261322
【氏名又は名称】プレビエロ エンネ ソシエタ ア レスポンサビリタ リミタータ
(74)【代理人】
【識別番号】100064012
【氏名又は名称】浜田 治雄
(72)【発明者】
【氏名】プレビエロ,フラビオ
【審査官】小久保 勝伊
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-058382(JP,A)
【文献】特開昭55-041351(JP,A)
【文献】特開昭59-212218(JP,A)
【文献】特表2002-539967(JP,A)
【文献】特開2002-154115(JP,A)
【文献】特開平11-005218(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02703086(EP,A1)
【文献】米国特許第05443652(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B03B 5/00-5/74
B01F 27/00-27/96、35/00-35/95
B08B 3/04
B29B 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック材料片(P)を洗浄し、金属要素(M)を含む汚染物質(C)から分離する方法であって、
a, 第1の比重値(γ1)を有する洗浄液(W)、および汚染物質(C)を含むプラスチック材料
片(P)を、入口ポート(30)を通して洗浄容器(2)に供給し、
b, 前記洗浄容器(2)内でブレード(4)を備えた撹拌手段(3)を駆動して、洗浄液(W)中に機械的作用を介してプラスチック材料片(P)から付着した汚染物質(C)を除去するための乱流撹拌作用を発生させ、
c, 前記ブレード(4)の傾斜を設定し、前記
撹拌手段(3)の回転速度(V
R)を調整して推力作用(F
T)を上方に発生させて、
前記洗浄液(W)の前記第1の値(γ1)よりも大きい第2の比重値(γ2)を備える第2のプラスチック材料片(P)を浮遊状態に維持し、
d, 前記推力作用(F
T)の力を、前記第2の値(γ2)より大きい更なる比重値(γ3)を有する前記汚染金属要素(M)の下方への析出を妨げないような値に制限し、
e,
回転可能制御手段(9)は、前記導入口ポート(30)と正反対の排出チャネル(25)に配置され
、所望の純度で除染された除染プラスチック材料(P’)を得るような時間で前記プラスチック材料片(P)を前記洗浄容器(2)内部に保持し、
f, 前記洗浄容器(2)の前記排出チャネル(25)によって画定された出口ポート(5)を通して、制御されたオーバーフローを介して、洗浄液(W)の外向きの流れ(F
out)およびすでに汚染除去されたプラスチック材料片(P)を排出し、前記既に洗浄され汚染除去されたプラスチック材料(P ')は、前記回転可能制御手段(9)の作用によって制御された方法で前記出口ポート(5)に移送し、
g, プラスチック材料
片(P)の洗浄中に前記底部(6)上に蓄積する重い汚染物質(C)を前記洗浄容器の底部(6)から定期的に排出する方法。
【請求項2】
前記
撹拌手段
(3)を、垂直に配置された回転軸(7)を有する少なくとも1つの
撹拌機(3A,3B)で構成し、その上に一連のインペラユニット(8)を上に取り付け、各インペラユニット(8)が一群のブレード(4)を含み、インペラユニット(8)のブレード(4)と反対側に傾斜してインペラユニット(8)のブレード(4)を向けて真上または真下に配置する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
水平面に対して5°~30°の間に含まれる第1の傾斜角(α1)でインペラユニット(8)のブレード(4)を方向付け、水平面に対して-5°~-30°の間に含まれる第2の傾斜角(α2)で
さらなる隣接したインペラユニット(8)のブレード(4)に配置する請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記
撹拌手段(3)が、200~400rpmの間に含まれる回転速度(V
R)で駆動されて、前記推力作用(F
T)の値に到達するように駆動力を維持することにより、約1kg / dm
3~約2kg / dm
3から選択することができる比重(γ2)を有するプラスチック材料
片(P)の浮遊
条件は、(γ3)>(γ2)の比重を有する
汚染物質(C)を前記底部(6)へ沈殿させる請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
乱流
撹拌作用が、前記洗浄容器(2)の長手方向軸(X)に関して反対側に配置された2つの
撹拌機(3A、3B)によって生じる請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記
撹拌
機(3A、3B)の各ローターシャフト(7A、7B)が4~12の範囲の数のインペラユニット(8)を備え、各インペラユニット(8)は少なくとも2つのブレード(4)を備える請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記回転
可能制御手段(9)がローラ、ドラムまたはベルトタイプであり、前記プラスチック材料
片(P)を前記洗浄容器内に保持するような回転速度で駆動し、所望の程度の純度および汚染除去を得るのに十分な平均滞留時間(T
p)、および洗浄液(W)の前記外向き流れ(F
out)の前進とは無関係に前記出口ポート(5)に既に洗浄および汚染除去されたプラスチック
材料(P ')を制御された方法で搬送する請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
汚れたプラスチック材料片(P)が、流速を有する水を含む
洗浄液(W)の流入流(F
in)によって洗浄容器(2)に連続的に供給される出口ポート(5)から出る
洗浄液(W)の流れの流量に対応する請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
プラスチック材料
片(P)から分離されたより軽い汚染物質(C)は洗浄液(W)の外向きの流れ(F
out)によって運ばれて排出され、前記底部(6)上にデカントする金属要素(M)を含むより高い比重(γ3)を有する汚染物質(C)は、バルブまたはポンプ排出装置(11)を通して除去される請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
プラスチック材料片(P)を汚染物質(C)から洗浄および分離するための装置であって、金属要素(M)をも含み、
第1の比重値(γ1)を有する洗浄液(W)と、汚染物質(C)を含むプラスチック材料片(P)とを収容するのに適した洗浄容器(2)と、
入口
ポート(30)を通して、前記洗浄液(W)と汚染除去されるべきプラスチック材料
片(P)の流入流(F
in)を前記洗浄容器(2)に供給するのに適した供給手段(12)と、
洗浄液(W)中に、
除染されたプラスチック材料(P’)を得るために機械的作用によって
プラスチック材料片(P)からそれに付着している汚染物質(C)の一部を除去するための乱流撹拌作用を生じさせるように配置されたブレード(4)を備えた撹拌手段(3)とからなり、
前記ブレード(4)は、前記プラスチック
材料片(P)に上向きの流体力学的推力を加えるように配向され、さらに
前記入口ポート(30)と正反対にある排出チャネル(25)によって境界を定められ、オーバーフローを通して
除染されたプラスチック材料(P ')および前記洗浄液(W)の外向き流れ(F
out)とごく一部の別の汚染物質(C)を排出するための出口ポート(5)を有し、
前記排出チャネル(25)内に配置され、前記洗浄容器(2)内に前記プラスチック材料
片(P)を一定時間保持し、前記
除染されたプラスチック
材料(P ')を前記出口ポート(5)へ制御された方法で進めるように構成される回転制御手段(9)を備え、
前記洗浄容器(2)の底部(6)に堆積する金属要素(M)を含む重い汚染物質(C)を定期的に除去するように構成された排出装置(11)を備え、
前記
撹拌手段(3)の回転速度(V
R)を上方に向けて推力作用(F
T)を生じさせて第2の特定の特性を有し、前記
洗浄液(W)の前記第1の値(γ1)よりも大きい第2の比重値(γ2)のプラスチック材料
片(P)を維持するようにプログラムされた制御ユニット(CU)を備え、
前記制御ユニット(CU)は、前記推力作用(F
T)の力を、前記金属要素(M)および前記第2の値(γ2)よりも大きい第3の比重値(γ3)の汚染物質(C)の下方への沈殿を妨げないような値に制限するようにプログラムされるプラスチック材料(P ')を金属材料(M)を含む汚染物質(C)から洗浄し分離する装置。
【請求項11】
前記
撹拌手段
(3)が、可変速モータ手段(18)によって駆動される少なくとも1つの
撹拌
機(3A; 3B)を含み、各
撹拌
機(3A; 3B)が、垂直に配置されたロータシャフト(7)を有し、そして一連のインペラユニット(8)が互いに取り付けられ、各インペラユニット(8)は、等角度に分配された一群のブレード(4)を含み、その中にインペラユニット(8)のブレード(4)が配置されて、インペラユニット(8)直上または直下に配置されたインペラユニット(8)のブレード(4)と反対側に傾斜する請求項10に記載の装置。
【請求項12】
第1群のインペラユニット(8)のブレード(4)が、水平面に対して5°~30°の間に含まれる第1の入射角(α1)だけ傾斜し、第2群のインペラユニット(8)のブレード(4)は、水平面に対して-5°~-30°の範囲の第2入射角(α2)だけ傾斜し、
撹拌手段(3)は200~400rpmの回転速度(V
R)で稼動するように構成されている請求項10または11に記載の装置。
【請求項13】
前記
撹拌手段(3)が、垂直方向に延びかつ前記洗浄容器(2)のX長手方向軸に対して反対側に配置されたそれぞれのロータシャフト(7)を有する2つの
撹拌機(3A、3B)を含む請求項10から12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記
撹拌
機(3A、3B)の各ローターシャフト(7A、7B)は、4~12個のインペラユニット(8)を含み、各インペラユニット(8)は、少なくとも2つのブレード(4)、特に3つのブレード(4)を備える請求項10~13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記回転可能な制御手段(9)がローラ、ドラムまたはベルトタイプであって、さらなる可変速モータ手段(19)によって駆動され、金属要素(M)の排出装置(11)はバルブまたはポンプ装置である請求項10から14のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本発明は、様々なタイプの汚染物質から、特に金属タイプの汚染要素から、粉砕された、または小片にされた家庭および/または産業廃棄物から生じるプラスチック材料を洗浄および分離するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術
知られているように、固形の都市廃棄物および産業廃棄物から生じるプラスチック材料は、予備洗浄、洗浄、小寸法の小片への粉砕、および1つまたはそれ以上のより正確な洗浄ステップを含む様々な処理を受ける。消費後のプラスチック材料には、ボトル、容器、その他の物品が含まれ、PET (ポリエチレンテレフタレート)だけでなく、P.E. (ポリエチレン)、P.V.C (ポリ塩化ビニル)、P.P. (ポリプロピレン)、P.S. (ポリスチレン)、その他のプラスチック材料も含まれる。
【0003】
このようなプラスチック材料を再生材料としてうまく再利用できるようにするためには、プラスチック材料が、元々それと結合しているか、または都市または産業現場からプラスチックリサイクルプラントまでの収集プロセス中に必然的にそれに付着するすべての望ましくない物質を除去しながら、注意深く汚染除去することが必要である。
【0004】
プラスチック材料を洗浄するための装置は、EP特許2703086号公報、DE特許4337206号公報、US特許5443652号公報、DE特許2804729号公報およびEP特許0359106号公報から公知である。
【0005】
処理される材料が、例えば、プラスチック材料で作られたボトルおよび/または容器からなる場合、ボトルおよび/または容器が、ラベルなどのより粗い汚染、および収集および保管中などにボトル上に付着した汚れの一部を除去するために、予備洗浄動作を受ける、回転シリンダを備える機器内の第1の予備洗浄ステップがある。次に、容器/ボトルを粉砕ミルに送り、小片にする。次に、粉砕されたプラスチック材料は、他の洗浄装置、例えば遠心分離ユニットに移送され、ここで、小片材料は、洗浄及びすすぎ作業を完了するのに必要な時間の間残ることで、回収された材料のその後の使用を損なう汚染残渣の残留を回避する。
【0006】
特に感じられる対処すべき深刻で困難な問題の1つは、処理されるプラスチック材料中に残念ながら見出される、例えば、スプレーボトル、分配/計量キャップ、噴霧装置などの小型プラスチック材料ボトルなどの日常の消費財から生じる金属要素または破片の望ましくない存在であり、そのような物体の内部には、実際には、金属ばね、金属ボール、および/またはリサイクルプロセスにおいてプラスチック材料構成要素と共に必然的に前進する他の金属片が存在する。
【0007】
金属要素は、上述した日常の消費財だけでなく、例えば自動車産業のようなセクターに由来する一連の廃棄物全体にも見出されることに留意すべきである。WEEE (廃棄電気電子機器)に分類されるあらゆる種類のごみも考慮しなければならず、これは、銅、鉄、鋼、アルミニウム、ガラス、銀、鉛などを分離する必要がある広範囲のプラスチック材料を含む。
【0008】
実質的に、金属を分離するのに必要なプラスチック材料は、上記で引用したPET、PS、PE、PVC、PP、PSだけでなく、ABS (アクリロニトリルブタジエンスチレン)、PC (ポリカーボネート)、PMMA (ポリメチルメタクリレート)、PA (ポリアミド)、SAN (スチレンアクリロニトリル樹脂)、および多くの他のプラスチック材料を含む。
【0009】
例えば、US特許5948276号公報に開示されたプラントのような、いくつかのタイプの公知のプラントでは、ハイドロサイクロンユニットが下流に設けられ、その下流に遠心分離ユニットを設けることができる。ハイドロサイクロンユニットでは、渦によって発生する「サイクロン」効果により、プラスチック材料の小片が重い汚染物質から分離し、重力によってタンクの底部に落下し、そこから定期的に除去される。
【0010】
洗浄流体の渦流は、プラスチック材料片をタンクの上縁に再上昇させ、単純なオーバーフローを介して洗浄流体と共に排出されて、さらに下流の遠心ユニットに送られる。
【0011】
ハイドロサイクロンユニット内の流体の渦運動は、異なる浮遊の程度を利用することによって、より軽いプラスチック材料の一部をより重い材料から分離する傾向がある一方、それにもかかわらず、プラスチック材料を洗浄する動作において十分に有効ではなく、プラスチックに付着する汚染要素の完全な分離を達成しない。言い換えれば、単純な渦運動によって引き起こされるおだやかな洗浄作用は、汚染物質をプラスチック材料片から分離することができない。
【0012】
言い換えれば、プラスチック材料片に付着した汚染物を取り外す機械的作用はない。かくして、再度、攪拌器及びハイドロサイクロンユニットによって処理された全ての製品を処理するために、直列に且つ更に下流に配置された更なる洗浄ユニット、この場合は遠心ユニットに頼る必要がある。このプラント構成は、製造および管理が構造的および機能的により複雑であることに加えて、プラスチック材料を満足に処理することさえも可能にせず、しばしば、金属断片をプラスチックから効果的に分離することができず、回収される材料の品質を大幅に低下させるので、極めて有害である。
【0013】
したがって、既知の洗浄および分離装置の欠点および限界を克服することができるシステムを利用可能にすることが依然として大きな必要性として残っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的
本発明の1つの目的は、プラスチック材料のための現在の洗浄および分離システムを改良することである。
【0015】
別の目的は、特に金属タイプの汚染物質に関してプラスチック材料を洗浄し、汚染物質から分離するプロセスにおいて、高レベルの効率を達成することを可能にする方法および装置を提供することである。
【0016】
別の目的は、機能的および構造的観点からそれぞれ非常に単純であるが、同時に同等に効率的であり、従来のシステムよりも優れた質的にも高レベルの回収製品を提供することができ、同時に洗浄流体の限られた消費および低減されたエネルギー出力を確実にする方法および装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
発明の要約
これらおよびさらなる目的および利点は、請求項1に記載の方法、および請求項10に記載のプラスチック材料のための洗浄および分離装置によって達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
洗浄および分離方法および装置のこれらおよびさらなる特徴および利点は、図面を参照した以下の説明からより明確になるであろう。
【
図3】
図2のIII-III線に沿った縦断面図である。
【
図7】本発明による洗浄および分離方法のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
発明の詳細な説明
添付の図面を参照すると、消費後の様々な物体の予備洗浄および粉砕から生じるプラスチック材料Pのための洗浄および分離装置1が開示されている。プラスチック材料Pは、装置1に導入される前に、数mm~数cmの寸法を有する小片にされ、以下に開示される方法および装置1は、金属および非金属汚染物質から、小片にされた前述のプラスチック材料を洗浄および分離する目的を有する。
【0020】
装置1は、適切な供給手段12によって、入口ポート30から、洗浄流体W、特に可能な洗浄添加剤を含む水、の流入流Finと、除去される汚染物質Cが付着するプラスチック材料片Pとを受け取るように構成された洗浄容器2を備える。
【0021】
出口ポート5が設けられており、この出口ポートを通って、処理された、すなわち洗浄されたプラスチック材料P'を有するオーバーフローによって、洗浄流体Wの外向きの流れFoutが出て行き、このプラスチック材料P'から、汚染物質Cが機械的作用によって分離される。
【0022】
出口ポート5は、洗浄容器2の側壁から横方向外方に突出する排出チャネル25によって境界付けられている。排出チャネル25は、プラスチック材料Pおよび洗浄流体Wを供給するための入口ポート30の正反対にある。
【0023】
したがって、装置1は、互いに直径方向に対向して配置された入口ポート30および出口ポート5を備えた単一の洗浄容器2を備える。このような単一の洗浄容器2を含む装置1は、単一の洗浄チャンバ(洗浄容器2によって画定される)内に、洗浄流体Wおよび処理されるプラスチック材料Pを収容するように構成される。
【0024】
排出チャネル25は、2つの側壁26によって横方向に境界付けられ、その下は、容器2の側壁の第1の高さから突出し、第2のより高い高さまで上方に傾斜して延在する傾斜壁27によって境界付けられる。
【0025】
洗浄容器2を横方向に画定する外壁は、円筒形状である。しかしながら、そのような外壁は、別の適切な形状を有してもよい。洗浄容器2の外径は、非限定的な例として、必要に応じて1200mm~2200mmまで変化させることができる。
【0026】
容器2は、底部6の壁によって下側が境界付けられている。底部6の壁は、内側に、すなわち、上向きに凹状であり、これにより、重い汚染物質C、特に金属要素Mが、その特定の重量のために沈殿した後、底部6の中央ゾーンに局所的に蓄積することができるので、容易に周期的に移動することができる。この目的のために、排出装置11が、底部6上に堆積される汚染生成物、特にバルブまたはポンプタイプの金属要素Mのために設けられる。
【0027】
特に、デュアルバルブシステム11、すなわち、導管内に配置された一対のバルブ(例えば、ソレノイドバルブタイプ)が設けられ、一方が他方の下にあり、各々がそれ自身のアクチュエータによって駆動される。
【0028】
2つのバルブを選択的に開閉することにより、底部6に蓄積した重い堆積物を定期的に排出することができ、洗浄液Wの流出を最小限に抑えることができる。
【0029】
洗浄容器2の内部には、攪拌手段3が設けられており、この攪拌手段3は、洗浄流体W内に乱流攪拌作用を発生させて、機械的作用によってプラスチック材料Pに付着している汚染物質Cをそこから除去するように配置されたブレード4を備えている。
【0030】
第1の実施形態では、攪拌手段は単一の攪拌機3を含む。添付図面に示す別の実施形態では、攪拌手段は、洗浄容器2の長手方向軸線Xの両側に配置された2つの別個の攪拌器3A、3Bを含む。特に、
図6に見られるように、ロータシャフト7A、7Bの軸は、入口30の開口部を通過し、排出チャネル25を長手方向に横切る正中面に直交して配置される垂直面上にある。
【0031】
インペラユニット8は、450~650mmの間に含まれる直径DGを有する。ロータシャフト7Aおよび/または7Bは、円形軌道の間、ブレード4が洗浄容器2の側壁から最小距離に留まるように配置された回転軸を有する。この距離は、インペラユニット8の直径DG と相関し、この直径DG.の0.1~0.4倍まで変化することができる。一例として、ブレードによってプロットされた円形軌道と容器2の横方向内面との間の最小距離「d」は、上述の直径DGの値に応じて、約45mmから約260mmまで変化することができる。
【0032】
ロータシャフト7A、7Bの軸線は、洗浄容器2及びインペラユニット8の直径に応じて、中心長手方向軸線Xから約350~約550mmである。
【0033】
各攪拌機3は、垂直に配置され、インバータタイプの電気モータのような可変速度モータ18によって駆動されるロータシャフト7を備える。
【0034】
多数の激しい実験テストから、攪拌手段3の回転速度VRが200~400rpmの間に含まれる場合、洗浄および分離プロセスにおいて最適な有効性レベルが得られることが分かった。2つの撹拌機3A、3Bの回転は、2つの異なる速度および反対方向を有することもできる。回転数値VRに適切に介在させることによって、2kg/dm3までの、1kg/dm3より大きいかまたは同じ比重を有するプラスチック材料を浮遊させるのに適した推力を設定することができる。
【0035】
制御ユニットCUは、特定のプロセスニーズに基づいて、処理される材料P、汚染物質Cおよび洗浄流体Wの特性を、1つ以上の攪拌器3を含む回転速度VRを最適な方法で調節するように設けられる。
【0036】
各攪拌機ロータシャフト7には、一連のインペラユニット8が取り付けられ、これらのインペラユニット8は、装置1の幾何学的寸法及び/又は特定のプロセスニーズに応じて、互いに上下に、4~12まで変化する数で配置される。各インペラユニット8は、特に、図示の実施形態では、少なくとも2つのブレード4を備え、各インペラユニット8に対して、角度的に等距離で、それぞれのロータシャフト7から横方向に突出する3つのブレード4が設けられる。ブレード4の数は、以下に開示する効果を達成するのに適していれば、いずれにせよ、プロセスの必要性に応じて変えることができる。
【0037】
各単一インペラユニット8において、ブレード4は互いに同一の方法で方向付けされている。それにもかかわらず、インペラユニット8のブレードの向きは、すぐ上またはすぐ下に配置された隣接するインペラユニット8の向きと反対である。言い換えれば、ブレード4の傾斜または向きは、1つのインペラユニット8から次のインペラユニットへと往復的に変化する。次に、攪拌機3の回転方向を考慮すると、上方に傾斜した一連のブレード4と、下方に傾斜した一連のブレードとがある。
【0038】
ブレード4のグループは、プラスチック材料片Pを振動させる攪拌及び乱流作用を流体Wに発生させる所望の効果を得るような傾斜角で方向付けられ、これにより汚染物質Cの後者からの分離を効果的に促進し、同時にプラスチック材料Pに上向きの流体力学的推力を加える効果を有する。
【0039】
より正確には、
図3および
図4を参照すると、インペラユニット8の第1のグループのブレード4は、水平面に対して5°と30°との間に含まれる第1の傾斜角α1だけ傾斜しており、インペラユニット8の第2のグループのブレード4は、水平面に対して-5°~-30°の間に含まれる第2の傾斜角α2だけ傾斜している。
【0040】
このように構成された装置1は、比重が非常に小さいプラスチック材料だけでなく、洗浄流体Wの比重γ1よりも大きい比重γ2を有するプラスチック材料を浮遊状態に維持することを可能にする。
【0041】
傾斜角α1、α2の値を上述の間隔から選択し、撹拌手段3の回転速度sVRを200~400rpmとし、上記に開示した寸法上の特徴および構造上の構成と組み合わせると、洗浄の機械的作用および浮遊作用の有効性に関して優れた性能が得られる。
【0042】
装置1は、所与の時間の間、洗浄容器2内にプラスチック材料Pを保持するように構成された回転制御手段9を備え、プラスチック材料Pが、ひとたび洗浄容器2に供給されると、機械的攪拌による洗浄プロセスを最初に受けることなく、直ちに出ることを防止する。回転手段9は、制御ユニットCUによって適切に調整された速度で回転し、制御された方法で、処理されたプラスチック材料P'の一定量を排出チャネル25に、次いで出口ポート5に進める。
【0043】
回転制御手段9は、水平軸を有するローラまたはドラムタイプ、またはベルトタイプであり、インバータタイプの電気モータなどのさらなる可変速度モータ手段19によって駆動される。回転手段9、例えばローラ要素9は、排出チャネル25の2つの側壁26の間で、このチャネルの傾斜壁27の上方に延在する。回転可能な制御要素9は、半径方向に突出する回転シャフト28を備え、軸平面に従ってプラスチック材料Pと相互作用するのに適したバッフル29を備える。回転可能な制御要素9は、バッフル29が自由表面Lの下の洗浄流体Wに接触するか、または部分的に浸透してプラスチック材料Pの小片を遮断するように、傾斜壁27に対して高さ方向に位置決めされる。
【0044】
制御ユニットCUは、プラスチック材料Pに対して所望の程度の純度および汚染除去を得るのに十分な所与の平均滞留時間の間、洗浄容器2内に留まることをプラスチック材料Pに課すような速度でローラ要素9を回転させるように構成される。
【0045】
上述したように、制御ユニットCUは、撹拌手段3A、3Bの回転速度VRを調整して推力作用、FTを生成し、洗浄流体Wよりも大きな比重を有するプラスチック材料Pを浮遊状態に維持するようにプログラムされる。特に、流体Wが実質的に水を含み、比重γ1が1kg/ dm3である場合、撹拌手段3の適切な回転速度は、上述したようなブレード4の特定の配向と組み合わされて、例えばポリエチレンテレフタレート (比重γ2が1.4kg/ dm3に等しい)、PVC (γ2が1.3kg/ dm3に等しい)、ナイロン(γ2が1.13kg/ dm3に等しい)、ポリスチレン(γ2が1.04kg/ dm3に等しい)などのプラスチック材料も浮いた状態で押し上げる効果がある。同時に、攪拌装置3の回転数VRは、前述の推力作用FTが、2kg/dm3 (例えば、アルミニウム)をほとんど上回らない値からより高い値に及ぶが、より大きな比重γ3値を有する重い汚染物質、特に有害な金属要素Mの下向きの沈殿を妨げないような値に制限されるようなものでなければならない。
【0046】
換言すれば、攪拌器3のブレード4によって課せられる上方への浮遊推力は、(重いプラスチック片に作用する重力に打ち勝つには不十分な)静水圧推力と共に、重いプラスチック片が自由表面Lの近くで浮遊状態に留まるのを助けるように十分に高くなければならないが、同時に、上方への推力作用は、金属のような望ましくない重い物体が底部6に沈殿するのを妨げないように、特定の値を超えてはならない。
【0047】
図7のブロック図の助けを借りて、本発明による洗浄および分離方法が開示され、これは、今開示された洗浄および分離装置1によって実施される。
【0048】
消費後のプラスチック廃棄物の予備洗浄および粉砕から生じる、小片(数mmから数cmの寸法)にされ、汚染物質Cを含むプラスチック材料Pは、洗浄容器2の内部に、可能性のある添加剤を含む水などの洗浄流体Wの流入流Finと共に装填される(ブロックS1)。ブロックS2は、攪拌装置3A及び/又は3Bの回転速度を設定する動作と、ブレード4の適切な(傾斜の)角度α1.2を選択する予備ステップとを示している。
【0049】
次に、乱流攪拌動作を実行する攪拌機3を駆動して(ブロックS3)、プラスチック材料Pを激しく摩擦し、汚染物質Cをプラスチック材料Pから機械的に分離し、攪拌機3は、プラスチック材料Pを機械的に攪拌することに加えて、プラスチック材料Pを浮遊状態に誘導する一方で、金属Mを含むより重い汚染物質Cを沈殿させる(ブロックS4)。
【0050】
プロセスの間、制御手段9を回転させることによって、容器2内のプラスチック材料Pを保持するステップ(ブロックS5)が適切な時間提供され、その後の制御された放出が提供され、その結果、除染されたプラスチック材料P'が、流体Wの外向きの流れFinと共にオーバーフローすることによって排出される(ブロックS6)。
【0051】
流入するFinおよび流出するFoutの流れは、洗浄容器2内の洗浄流体Wに望まれる「リフレッシュ」の程度に応じて調整可能である。「リフレッシュ」の正しい程度は、意図される純度および汚染除去の程度、ならびに満たされるべき特定の消費節約要件の両方を考慮することによって決定される。
【0052】
回転制御手段9の速度は、流入/流出する流体の流量と、処理されたプラスチック材料Pについて得ることが望まれる純度の程度とに応じて調整することができる。
【0053】
洗浄流体Wの大きな交換、したがって大きな流入および流出流量および強いオーバーフロー効果を有する動作の場合、保持および制御された搬送のための回転制御手段9は、流体Wの外向きの流れに対して、流出するプラスチック材料の流れを遅くするように作用し、出口ポート5への引きずり流体力学的作用とは対照的に、出口ポート5へプラスチック材料Pをゆるやかに解放する。
【0054】
流体Wの流入および流出が減少し、したがってオーバーフローおよび引きずり効果がより小さい動作の場合、回転制御手段9は、処理済みプラスチック材料P'が出口ポート5に進むことを可能にする引きずり効果を実行する。
【0055】
洗浄中、重い汚染物質は重力によって落下し、容器2の底部6に蓄積し(ブロックS7)、そこから、関連するバルブ装置11を駆動することによって定期的に排出することができる(ブロックS8)。
【0056】
開示され、図面に示されたことから、本発明による洗浄および分離方法および装置が、設定された目的を成功裏に達成することは明らかである。
【0057】
上記に開示された方法および装置は、洗浄容器2から汚染物質を即座に連続的に除去することにより、回収されたプラスチック材料において高レベルの純度を短時間で得ることを可能にする。攪拌機3によって行われる機械的攪拌および浮遊推力の2つの機能による、簡単ではあるが効果的な解決策を用いて、プラスチック材料Pからの汚染物質の最適な分離が得られ、とりわけ、回収されるプラスチック材料からの金属の効果的な除去が得られる。得られた結果は、特に流体中で機械的な乱流および攪拌作用を行うことができず、流体が付着するプラスチック材料片から汚れを分離する操作において効果的ではないハイドロサイクロンシステムに関して、従来の装置を用いた場合よりも明らかに良好である。
【0058】
したがって、本発明の目的は、機能的および構造的に単純であって、一般的なプロセスコストを低減し、リサイクルされるプラスチック材料から汚染物質を分離する際の非常に高い効率を保証することができる解決策を提供することである。
【0059】
単一の洗浄容器2によって画定される単一の洗浄および分離チャンバの存在のおかげで、顕著な構造的単純性が達成され、同時に、洗浄および分離プロセスの有効性および速度の観点から優れた結果が得られることに留意されたい。
【0060】
添付図面を参照して説明し、示したものは、単に、本方法および洗浄分離装置の一般的な特徴の例として述べたものであり、したがって、請求項の範囲内に留まりながら、本方法、装置全体、またはその一部に対して他の修正または変形を行うことができることを理解されたい。特に、洗浄装置の1つまたは複数の部品を構成する幾何学的形状、寸法、位置、および材料は、特定の使用ニーズおよび処理される材料に基づいて選択および/または最適化することができる。