(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】黒ニンニクエキスを用いたコーヒー添加物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A23F 5/24 20060101AFI20221101BHJP
A23L 19/00 20160101ALI20221101BHJP
【FI】
A23F5/24
A23L19/00 C
(21)【出願番号】P 2020187086
(22)【出願日】2020-11-10
【審査請求日】2020-11-10
(31)【優先権主張番号】10-2019-0177936
(32)【優先日】2019-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0110513
(32)【優先日】2020-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520440113
【氏名又は名称】ハアノン フーズ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Haanong Foods. Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】12, Eoryong-gil, Pocheon-si, Gyeonggi-do 11150 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【氏名又は名称】松浦 憲三
(72)【発明者】
【氏名】イ ジュンビン
【審査官】山本 英一
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2016-0149790(KR,A)
【文献】特開2017-077214(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1616955(KR,B1)
【文献】特開平04-112749(JP,A)
【文献】特開平08-107758(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106417842(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103098950(CN,A)
【文献】黒にんにくエキスクイーンのレシピ QUEEN風味 カラメルの焼プリン,株式会社エビサワ農園 [online],2019年04月07日,[検索日 2021年12月6日], インターネット<URL: https://ebisawa.touhoku-g.jp/%E3%83%AC%E3%82%B7%E3%83%94/924/>
【文献】黒の極味 カラメルソースがけバニラアイス,クックパッド [online],2015年04月05日,[検索日 2021年12月6日], インターネット<URL: https://cookpad.com/recipe/3103881>,レシピID: 3103881
【文献】牛乳でキャラメルソース♪,クックパッド [online],2014年07月06日,[検索日 2021年12月6日], インターネット<URL: https://cookpad.com/recipe/2352588>,レシピID: 2352588
【文献】万能調味料 黒の極味(フルーツガーリックエキス),Amazon [online],2013年02月27日,[検索日 2021年12月6日],インターネット<URL: https://www.amazon.co.jp/%E3%83%95%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%84%E3%82%AC%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF-KM-100-%E4%B8%87%E8%83%BD%E8%AA%BF%E5%91%B3%E6%96%99-%E9%BB%92%E3%81%AE%E6%A5%B5%E5%91%B3-%E3%83%95%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%84%E3%82%AC%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%A8%E3%82%AD%E3%82%B9/dp/B00BLWWH02>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23F 3/00 - 5/50
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
全キャラメル組成物に対して10重量%の生クリーム、42重量%のホワイトチョコレート、21重量%の砂糖、13重量%の煉乳、10重量%のバター、3重量%の黒ニンニクエキスおよび1重量%の水からなる黒ニンニクエキスを含んで製造された黒ニンニクキャラメル組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の黒ニンニクエキスを含んで製造された黒ニンニクキャラメル組成物に、その77重量%の牛乳を一次添加し、75~80℃で攪拌しながら2分間加熱した後、再びその23重量%の牛乳を二次添加し、85~90℃に昇温して5~10分間攪拌しながら加熱するのが特徴である黒ニンニクコーヒー添加剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、黒ニンニクエキスを含有するコーヒー添加剤及びその製造方法に関するものとして、さらに詳細には、黒ニンニクの還元糖とSACなどの機能性成分を含むコーヒー添加用組成物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コーヒーは現代人の代表的な嗜好食品として、それ自体が持つ覚醒作用で疲労回復、思考力増進効果の他にも、コーヒー特有の風味により、全世界にわたって嗜好人口が急激に増加してきており、特に韓国の場合、最近の10年間、その需要が爆発的に増加した。
【0003】
しかし、コーヒーの飲み過ぎはコーヒー中に含有するカフェイン成分の活性に興奮、不眠、利尿、食欲減退、不安、耳鳴り、心悸亢進、下痢などの副作用の発生が報告されている。
【0004】
これらの理由から、カフェインの副作用を軽減し、コーヒーに様々な機能性を付与するための試みが研究されてきた。
【0005】
韓国公開特許第10-2013-0130149号には耽羅五加皮を利用したインスタントコーヒー及びその製造方法がそして韓国公開特許第10-2006-0028229号には、ガシオガピを利用したインスタントコーヒー及びその製造方法が開示されており、また、韓国登録特許第10-1616955号には、青麦葉エキスが含まれているインスタントコーヒー及びその製造方法が知られている。
【0006】
上記文献によると、コーヒー本来の風味を保ちながらも、カフェイン成分の過剰摂取による副作用を低減させようという試みだ。
【0007】
また、韓国特許第10-134114号には、砂糖をカラメル化反応させた後、牛乳、生クリーム、オリゴ糖を添加した後、水を加えて攪拌して熱処理した後、顆粒、コーヒー4~16重量部を添加して、50~70℃で加熱して得する新規な食品素材としてコーヒージャム及びその製造方法が、韓国特許第10-1890042号には、紅参粉末20~30重量部の粉末コーヒー15~20重量部を主材料とする新規な食品素材として紅参コーヒー丸が、また、韓国公開特許第10-2018-0125233号には、黒ニンニクの汁1~5重量部の他の様々な食材を添加して製造される蒸し鶏用ソース及びその製造方法が今まで存在しなかった新規な食品素材がそれぞれ開示されている。
【0008】
前記前者の二種類の新規な食品素材も組成物全体に対して、顆粒コーヒーまたは粉末コーヒーが含まれている食品素材組成物に関するものである一方、後者の新規な食品素材は、蒸した鶏肉を飲食するのに有用な黒ニンニクエキスが含まれているソース組成物に関するものである。しかし、これまで黒ニンニクエキスを含む飲料としてのコーヒー添加用組成物は、開示または暗示されたことがない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】韓国公開特許第10-2013-0130149号公報
【文献】韓国公開特許第10-2006-0028229号公報
【文献】韓国特許第10-1616955号公報
【文献】韓国特許第10-1341114号公報
【文献】韓国特許第10-1890042号公報
【文献】韓国公開特許第10-2018-0125233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、コーヒーに添加えて甘くて喉ごしがやわらかいながらもSACなどの機能性成分が含有された新規なタイプのコーヒー添加剤とその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の上記目的は、黒ニンニクエキスを原料に使用してキャラメル組成物を先に製造する段階(a)と、上記の手順で得られた黒ニンニクエキス添加キャラメル組成物を牛乳に添加して加熱攪拌する段階(b)を含むからなる、上記で製造されたコーヒーの添加剤の官能検査を実行して、嗜好性を評価することにより達成される。上記(a)段階は、容器を予熱する段階(1)と、生クリームをさらに添加して攪拌、加熱する段階(2)と、ホワイトチョコレートを添加して攪拌、加熱する段階(3)と、砂糖をさらに添加して攪拌、加熱する段階(4)と;煉乳を追加でさらに添加して加熱する段階(5)と、最後に、バターと黒ニンニクエキスを添加して撹拌加熱する段階(6)を含むからなる、保管及び有用性の便宜のために乾燥粉末を実行する段階をさらに含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明により製造されたコーヒーの添加剤は、これまで存在しなかった新規なタイプのコーヒー添加用組成物を提供する効果があり、官能検査の結果甘味があり、牛乳が添加されて、首めくりがやわらかいながらもSACなどの機能性成分を含有したコーヒーの添加剤を提供する優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1a及び
図1bは、本発明のコーヒー添加剤の製造工程を区分して示したダイアグラム、
【
図2】
図2は、本発明により製造された最終的な液状コーヒーの添加剤の写真図、
【
図3】
図3は、本発明に係る粉末状コーヒー添加剤の写真図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、まず、黒ニンニクエキスを利用して、キャラメルを製造する段階と、前記段階で得られた黒ニンニクエキスが含まれているキャラメルを牛乳に添加して加熱攪拌する段階と、上記段階で製造されたコーヒーの添加剤を包装、冷却して完成される。
【0015】
以下、本発明の黒ニンニクエキスが含まれているキャラメルの製造方法と、上記で製造された黒ニンニクエキスキャラメルを牛乳に添加した後、加熱攪拌して製造されたコーヒー添加用組成物(以下、「コーヒー添加物」という。)の製造方法を製造段階別に詳しく説明するが、本発明の権利範囲がこれに限定されず、添加する均等物の置換、均等物の添加として、または添加量及び製造段階別に温度及び物理的手段の単純な変更は、通常の技術者にその実施が非常に容易な場合、本発明の権利範囲に属することはもちろんである。
【実施例1】
【0016】
黒ニンニクエキスの製造
本発明の一実施例によれば、通常の方法で黒ニンニクエキスを製造したり、または市販中のK社またはN社の製品(K、N)を購入して使用してもよい。また、本発明者らが開発した先の韓国出願の発明特許第10-2019-177879号に記載された方法によって製造された黒ニンニクエキス(H)を使用して黒ニンニクキャラメルを製造した後、本発明のコーヒーの添加剤を製造した。
【実施例2】
【0017】
黒ニンニク
キャラメル製造
本発明のコーヒーの添加剤は、まず黒ニンニクキャラメル(
図1a)を製造した後、製造する(
図1b)。
【0018】
コーティングパンを80~90℃に予熱した上で
キャラメル組成物全体の10重量%に相当する生クリーム50gを一次に添加して、85~90℃を維持し、2分間攪拌し、加熱した。二次に
ホワイトチョコレート200g(42重量%)を添加して、同じ温度でさらに5~10分間撹拌して加熱した。砂糖100g(21重量%)を秤量して、三次に付け加えて、やはり85~90℃が維持されるように均一に攪拌して加熱した。砂糖が加糖されて、直に煉乳60g(13重量%)を添加してカラメル反応を
誘起させるために2分間再度均一に攪拌しながら加熱した。その次のエマルジョン化を誘導するために、バター50g(10重量%)を添加し、徐々に均一に攪拌しながら5~10分間加熱して最後に、流状/水状が分離しないよう3重量%の黒ニンニクエキスを含む
キャラメルを製造した(
図1a)。上記の方法によって製造された黒ニンニクエキス
キャラメル470gを殺菌処理された瓶に投入して、冷蔵庫に入れておいた後以下、本発明のコーヒー添加剤原料用
キャラメル3種(K、N、及びH)を準備した。
【実施例3】
【0019】
液状コーヒー添加剤の製造(
図1b~
図2)
前記実施例2によって、製造または購入して準備された黒ニンニクエキスを原料(K、N、及びH)で使用して製造された黒ニンニクエキスキャラメルをそれぞれ使用して本発明のコーヒーの添加剤を製造した。
【0020】
まず、コーティングパンに、本発明のコーヒー添加剤全体組成物の77重量%に相当する牛乳500gを秤量して、75~80℃で均一に攪拌しながら2分間加熱した後、本発明のコーヒー添加剤全体組成物の23重量%に相当する150gを2次添加して85~90℃に昇温して5~10分間(本発明者の赤褐色の黒ニンニクエキスを原料として使用して製造されたキャラメル(H)を原料とする場合粘度(cp)と還元糖の含有量が高いので(他社K社及びN社比)加熱時間を5分にして、他社製品の黒ニンニクエキスに製造されたキャラメル(K、H)を使用している場合は、10分間を加熱して製造した(
図1b)。上記とのように、それぞれ製造されたコーヒーの添加剤は、概して、
図2の写真を助けるような形状を示した。
【実施例4】
【0021】
粉末状コーヒー添加剤(
図3)
前記実施例3によって製造された液状コーヒーの添加剤組成物を保管及び流通に適した粉末タイプの製品に製剤化した。粉末状コーヒー添加剤は、通常の噴霧乾燥機(spray dryer)を使用してinlet Temp。190±30℃、out Temp。100±10℃で噴霧乾燥を行うことが最も好ましいものだった。本発明粉末状コーヒーの添加剤は、使用時に精製水と混合して使用した。
【実験例】
【0022】
本発明コーヒー添加剤の官能検査
上記実施によって製造されたコーヒーの添加剤3種を官能検査要員10人をpanelでrandom samplingして(男5人、女5人)cafe市販用エスプレッソとアメリカーノにそれぞれ一定量を任意に添加して試食させて、その結果を5点尺度法(1点:全く悪い。2点:悪い、3点:まあまあ。4点:よい。5点:非常によい。)で評価して合算平均値を算出した実験結果は、下記の[表1]の通りである。
【0023】
【0024】
実験結果本発明によるコーヒー添加剤は、EspressoとAmericanoに汎用的に使用できることが確認された。特に苦み過ぎによって飲食を嫌うEspressoお客様には、優れた効果が現れた。本発明のコーヒー添加剤は、甘味の他にSACなどの健康機能性物質をコーヒーと一緒に食べるという認識がある場合、コーヒーの販売量を増加させることができると判断され、特に、今まで存在しなかったニンニクエキスが添加された新規な液状または粉末状コーヒーの添加剤を提供することにより、カフェイン中毒を解消するのに貢献できるという優れた事実が確認された。