(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】ドラム式洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 39/14 20060101AFI20221101BHJP
【FI】
D06F39/14 Z
(21)【出願番号】P 2020534693
(86)(22)【出願日】2019-07-31
(86)【国際出願番号】 JP2019029950
(87)【国際公開番号】W WO2020027176
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2022-03-23
(31)【優先権主張番号】P 2018145901
(32)【優先日】2018-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】澁谷 大輔
【審査官】高橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2010-0065847(KR,A)
【文献】国際公開第2018/135019(WO,A1)
【文献】特開2004-65957(JP,A)
【文献】韓国公開特許第2003-0000256(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 39/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯機本体の前面部の全体を覆うドアを有するドラム式洗濯機であって、
前記ドアは、ドア背面部材、前面板および側面カバーを具備しており、前記側面カバーが前記前面板と前記ドア背面部材との間に跨がるように配置され、
前記ドアの1辺に沿った側面には、前記ドア背面部材の背面から側面の一部にかけて窪んでいる凹部を有する取っ手が形成されており、
前記取っ手では、前記ドアを背面側から見た場合に、前記ドア背面部材と前記側面カバーとの間の隙間を覆う取っ手保護部が設けられた構造となっていることを特徴とするドラム式洗濯機。
【請求項2】
請求項1に記載のドラム式洗濯機であって、
前記取っ手保護部は、前記取っ手の形成箇所に対応して前記ドア背面部材に設けられ、前記凹部の底面から側方に延伸させた突出部であることを特徴とするドラム式洗濯機。
【請求項3】
請求項1に記載のドラム式洗濯機であって、
前記取っ手保護部は、前記取っ手の形成箇所に対応して前記側面カバーに設けられ、前記側面カバーの前記背面側端面から後方に延伸し、さらに前記ドアの内側に折れ曲がるように形成されていることを特徴とするドラム式洗濯機。
【請求項4】
請求項1に記載のドラム式洗濯機であって、
前記取っ手保護部は、第1平板部と第2平板部とから構成される断面略L字形状の部材であって、前記ドア背面部材および前記側面カバーと別部材として設けられており、前記第1平板部が前記側面カバーを外側から覆い、前記第2平板部が前記ドア背面部材の前記凹部を背面側から覆うように配置されていることを特徴とするドラム式洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドラム式洗濯機、特に洗濯機本体の前面部の全体を覆う全面タイプドアを有するドラム式洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯機には、洗濯中に洗濯槽を覆うためのドアが設けられている。ドラム式洗濯機では、洗濯機本体の前面側に洗濯槽の洗濯物投入口が設けられているため、ドアも洗濯機本体の前面側に備えられている。従来のドラム式洗濯機では洗濯槽の洗濯物投入口の形に合わせた丸型のドアが一般的であったが、特許文献1には、洗濯機本体の前面部の全体(もしくは略全体)を覆う矩形形状のドア(全面タイプドア)を有する洗濯機が開示されている。このような全面タイプドアを備えるドラム式洗濯機は、デザイン性と低コスト化と取扱い性とを兼ね備えることができる。
【0003】
また、洗濯機は、洗濯中にドアが不所望に開かないようにドア保持機構を有している。このようなドア保持機構は、例えば、ドアの背面側に係合部を設け、洗濯機本体の前面側に被係合部を設け、ドアを閉めたときに係合部と被係合部とが係合することでドアを閉鎖状態で保持するものとなっている。また、このようなドア保持機構では、ドアには可動式の取っ手(ハンドル)が設けられ、ユーザによって取っ手が操作されることでドア保持機構における上記係合状態が外れ(ドアの保持が解除され)、ドアが開放可能となる構成が一般的である。
【0004】
一方、特許文献1では、よりデザイン性を高めるために、ドアにおいて可動式の取っ手が省略されている。その代わりに、特許文献1では、ドアの前面にドア開ボタンを設け、ユーザがドア開ボタンを操作することでドア保持機構におけるドアの保持が解除され、ドアが開放可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の構成では、ドア開ボタンとドア保持機構をリンクする機構が必要となるため、コストや信頼性における課題が発生する。具体的には、ユーザがドア開ボタンを操作したことを検知する検知手段や、ドア開ボタンの操作が検知されたときにドア保持機構を駆動する駆動手段などが必要となり、これらの手段は洗濯機のコストを増大させる。また、検知手段や駆動手段に故障が生じたときにドアを開放できなくなる恐れもある。
【0007】
特許文献1における上記課題に対しては、ドア開ボタンを省略することも考えられる。すなわち、洗濯機において、ドア側の係合部と洗濯機本体側の被係合部とからなるドア保持機構は設けるが、このドア保持機構における上記係合状態は、ユーザがドアを所定以上の力で引くことで解除されるような構成とすることが考えられる。
【0008】
また、特許文献1において詳細な開示はされていないが、全面タイプドアにおいては、ドア前面側の全体をガラス板とし、このガラス板の周縁部を側面カバーにて覆う構成とすることが考えられる。この場合、ドア本体となるドア背面部材の前面にガラス板を配置し、側面カバーはガラス板とドア背面部材との側面を覆うようにガラス板の端部に嵌められる。
【0009】
さらに、全面タイプドアにおいて、ユーザがドアを所定以上の力で引くことでドアの保持が解除されるようなドア保持機構を設ける場合、ユーザがドアを開くときに手を掛けるための取っ手を設けることも必要である。このような取っ手は、例えば
図7(a)~(d)に示すように、ドアの背面から側面の一部にかけて取っ手となる凹部261を設けることで形成される。
【0010】
図7に示す構成において、取っ手となる凹部261はドア背面部材21に形成される。一方で、側面カバー23は、前面板(例えばガラス板)22とドア背面部材21との側面を覆うように前面板22の端部に嵌められているため、側面カバー23とドア背面部材21との間の隙間が取っ手となる凹部261に露出している。このため、ユーザがドアを開こうとして取っ手に手を掛けたときに、当該隙間にもユーザの手が掛かる場合がある。場合によっては、凹部261には十分に手が掛からず、側面カバー23の背面側端面231のみに手が掛かることもあり得る。そして、この状態で、ユーザがドアを開放方向に強く引くと、側面カバー23に過剰な力が掛かり、側面カバー23が変形して当該隙間が広がる恐れがある。この変形によって拡大するドア背面部材21と側面カバー23との隙間からドア内への水の侵入を生じさせる恐れもある。さらに、広がった隙間がユーザの手に引っ掛かり、ユーザが違和感を感じる恐れもある。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ユーザがドアを開くときにドアの側面カバーへの過剰な力が働くことを防止し、側面カバーの変形を防止できるドラム式洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明のドラム式洗濯機は、洗濯機本体の前面部の全体を覆うドアを有するドラム式洗濯機であって、前記ドアは、ドア背面部材、前面板および側面カバーを具備しており、前記側面カバーが前記前面板と前記ドア背面部材との間に跨がるように配置され、前記ドアの1辺に沿った側面には、前記ドア背面部材の背面から側面の一部にかけて窪んでいる凹部を有する取っ手が形成されており、前記取っ手では、前記ドアを背面側から見た場合に、前記ドア背面部材と前記側面カバーとの間の隙間を覆う取っ手保護部が設けられた構造となっていることを特徴としている。
【0013】
上記の構成によれば、ドア背面部材と側面カバーとの間の隙間が取っ手保護部によって覆われるため、ユーザがドアを開こうとして取っ手に手を掛けたときに、ドア背面部材と側面カバーとの間の隙間にユーザの手が掛かることはない。そのため、ユーザがドアを開放方向に強く引いても、ドア背面部材と側面カバーとの間の隙間に過剰な力が掛かることはなく、側面カバーの変形を防止することができる。
【0014】
また、上記ドラム式洗濯機では、前記取っ手保護部は、前記取っ手の形成箇所に対応して前記ドア背面部材に設けられ、前記凹部の底面から側方に延伸させた突出部である構成とすることができる。
【0015】
また、上記ドラム式洗濯機では、前記取っ手保護部は、前記取っ手の形成箇所に対応して前記側面カバーに設けられ、前記側面カバーの前記背面側端面から後方に延伸し、さらに前記ドアの内側に折れ曲がるように形成されている構成とすることができる。
【0016】
また、上記ドラム式洗濯機では、前記取っ手保護部は、第1平板部と第2平板部とから構成される断面略L字形状の部材であって、前記ドア背面部材および前記側面カバーと別部材として設けられており、前記第1平板部が前記側面カバーを外側から覆い、前記第2平板部が前記ドア背面部材の前記凹部を背面側から覆うように配置されている構成とすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のドラム式洗濯機は、ドア背面部材と側面カバーとの間の隙間が取っ手保護部によって覆われ、ユーザがドアを開こうとして取っ手に手を掛けたときに、ドア背面部材と側面カバーとの間の隙間にユーザの手が掛からない構成とされている。そのため、ユーザがドアを開放方向に強く引いても、ドア背面部材と側面カバーとの間の隙間に過剰な力が掛かることはなく、側面カバーの変形を防止することができるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施の形態1に係るドラム式洗濯機を斜め前方かつ斜め上方から見たときの外観を示しており、ドラム式洗濯機のドアを閉鎖した状態を示す斜視図である。
【
図2】実施の形態1に係るドラム式洗濯機を斜め前方かつ斜め上方から見たときの外観を示しており、ドラム式洗濯機のドアを開放した状態を示す斜視図である。
【
図3】実施の形態1に係る取っ手の形状を示すものであり、(a)は取っ手をドアの斜め後方かつ斜め上方から見たときの斜視図、(b)は取っ手をドアの側方から見たときの側面図、(c)は取っ手をドアの後方から見たときの背面図、(d)は(c)のA-A断面図である。
【
図4】実施の形態2に係る取っ手の形状を示すものであり、(a)は取っ手をドアの斜め後方かつ斜め上方から見たときの斜視図、(b)は取っ手をドアの側方から見たときの側面図、(c)は取っ手をドアの後方から見たときの背面図、(d)は(c)のA-A断面図である。
【
図5】実施の形態3に係る取っ手の形状を示すものであり、(a)は取っ手をドアの斜め後方かつ斜め上方から見たときの斜視図、(b)は取っ手をドアの側方から見たときの側面図、(c)は取っ手をドアの後方から見たときの背面図、(d)は(c)のA-A断面図である。
【
図6】実施の形態4に係る取っ手が形成されたドアの背面図である。
【
図7】従来の取っ手の形状を示すものであり、(a)は取っ手をドアの斜め後方かつ斜め上方から見たときの斜視図、(b)は取っ手をドアの側方から見たときの側面図、(c)は取っ手をドアの後方から見たときの背面図、(d)は(c)のA-A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔実施の形態1〕
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1および
図2は、本実施の形態1に係るドラム式洗濯機1を斜め前方かつ斜め上方から見たときの外観を示す斜視図であり、
図1がドア20を閉鎖した状態、
図2がドア20を開放した状態を示している。尚、本願では、洗濯と乾燥とを行うことができるドラム式洗濯乾燥機と、乾燥を行わず洗濯のみを行うドラム式洗濯機とを総称して、ドラム式洗濯機1と呼んでいる。
【0020】
ドラム式洗濯機1は、大略的には、洗濯機本体10とドア20とにより構成されており、洗濯機本体10はその前面に洗濯物投入口11を有している。ドア20は、洗濯物投入口11を覆うように洗濯機本体10の前面に設けられている。すなわち、ドア20は洗濯機本体10の前面を開閉するように設けられている。
【0021】
ドラム式洗濯機の多くでは、ドアの形状は洗濯槽の投入口に合わせた丸型となっているが、本実施の形態1に係るドラム式洗濯機1では、ドア20は、洗濯機本体10前面のほぼ全体を覆う矩形形状の全面タイプドアとされている。このような全面タイプドアを用いるドラム式洗濯機1は、一枚物のドア20によって洗濯機本体10前面の全体が覆われるため、ドア20が洗濯物投入口11の形状に依存する必要性がなくなり、複数のパネル部品を組み立てるときに生じる分割線もドア20で隠される。その結果、デザイン性と低コスト化と取扱性とを兼ね備えるドラム式洗濯機1を提供できる。
【0022】
ドア20は、大略的には、ドア背面部材21、前面板22および側面カバー23により構成されている。すなわち、ドア20では、前面板22がドア背面部材21の前面側に配され、側面カバー23によってその周縁部が固定される。一例として、前面板22はガラス板や樹脂板などであり、ドア背面部材21および側面カバー23は樹脂成形品である。具体的には、側面カバー23は、ドア20の各辺でドア背面部材21の側面を覆う側板と前面板22の周縁部を前面側から覆う前板とが断面L字形状となる枠部材であり、側面カバー23は前面板22とドア背面部材21との側面に跨るように前面板22の周縁部に嵌められる。これにより、側面カバー23とドア背面部材21との間に前面板22の周縁部を挟み込むようにして前面板22が固定される。尚、ここでは、ドア背面部材21を1つの部材として扱うが、ドア背面部材21は複数のパネル部品を組み合わせて構成されるものであってもよい。
【0023】
ドア20は、左右の何れかの一端側で2つのヒンジ30によって洗濯機本体10に対して回動自在に軸支されており、他端側にはドア係合部24が設けられている。また、洗濯機本体10の前面には、ドア係合部24と対向する箇所にドア被係合部12が設けられている。すなわち、ドラム式洗濯機1では、ドア係合部24とドア被係合部12とによってドア保持機構が構成されており、ドア20を閉めたときにはドア係合部24とドア被係合部12との係合によってドア20の閉鎖状態が保持される。尚、ドラム式洗濯機1におけるドア保持機構は他の要素(可動式の取っ手やドア開ボタンなど)とは連動しておらず、ユーザがドア20を開く場合には、ドア20を所定以上の力で引くことでドアの保持が解除されるようになっている。
【0024】
洗濯物投入口11はドア20によって閉じられるが、詳細には、ドア20に設けられた突出閉止部25にて閉じられる。すなわち、ドア20の背面側には、突出閉止部25が設けられている。突出閉止部25は、ドア20の背面から後方側に突出しており、洗濯物投入口11を液密で閉じるように構成されている。また、突出閉止部25は、透光性の部材から構成されている。したがって、ドア20の閉鎖状態においては、前面板22および突出閉止部25を通じて洗濯物投入口11の内部(洗濯槽の内部)を視認できる。
【0025】
さらに、ドア20の他端側には、閉鎖状態のドア20を開くときに、ユーザが手を掛けて力を作用させるための取っ手26が設けられている。本実施の形態1に係るドア20は取っ手26の形状に特徴を有するものであり、以下、取っ手26についての詳細な説明を行う。
図3は本実施の形態1に係る取っ手26の形状を示すものであり、(a)は取っ手26をドア20の斜め後方かつ斜め上方から見たときの斜視図、(b)は取っ手26をドア20の側方から見たときの側面図、(c)は取っ手26をドア20の後方から見たときの背面図、(d)は(c)のA-A断面図である。尚、取っ手26は、ドア20の左右端側に限らず、上下端側に設けてもよく、この場合も、ドア20がヒンジ30によって軸支されている側とは反対側(上記の他端側)に取っ手26を寄せて配置することが好ましい。
【0026】
取っ手26は、基本的には、ドア背面部材21においてドア20の背面から側面の一部にかけて窪んでいる凹部261として形成される。但し、このような凹部261を設けるのみでは、
図7に示したような構成となり、取っ手の形成箇所で側面カバー23とドア背面部材21との間の隙間が露出する。このため、上述したように、ユーザがドア20を開こうとする場合に当該隙間に過剰な力が掛かり、側面カバー23の変形を引き起こす恐れがある。
【0027】
これに対し、
図3に示す取っ手26の構成では、ドア背面部材21において、凹部261の底面から側方に延伸させた突出部(取っ手保護部)262を形成している。このため、取っ手26では、ドア20を背面側から見た場合に、ドア背面部材21と側面カバー23との間の隙間が突出部262によって覆われ、側面カバー23の背面側端面231が露出しない構造となる。この場合、ユーザがドア20を開こうとして取っ手26に手を掛けたときに、ドア背面部材21と側面カバー23との間の隙間や側面カバー23の背面側端面231にユーザの手が掛かることはない。そのため、ユーザがドア20を開放方向に強く引いても、ユーザの力が直接作用する部分(図中、斜線ハッチングにて示す)はドア背面部材21にのみ存在し、側面カバー23に過剰な力が掛かることはなく、側面カバー23の変形を防止することができる。
【0028】
尚、
図3に示す取っ手26において、突出部262の先端は、側面カバー23よりもさらに外側に僅かに突出した構成とされている。この場合、ドア20の閉鎖状態でドラム式洗濯機1を正面から見たときに、突出部262の先端がユーザから視認でき、ユーザが取っ手26の位置を容易に認識できるといった利点もある。
【0029】
〔実施の形態2〕
本実施の形態2では、取っ手26の変形例を説明する。
図4は本実施の形態2に係る取っ手26の形状を示すものであり、(a)は取っ手26をドア20の斜め後方かつ斜め上方から見たときの斜視図、(b)は取っ手26をドア20の側方から見たときの側面図、(c)は取っ手26をドア20の後方から見たときの背面図、(d)は(c)のA-A断面図である。
【0030】
図4に示す取っ手26において、ドア背面部材21には、ドア20の背面から側面の一部にかけて窪んでいる凹部261が形成されるが、
図3に示す突出部262は設けられていない。その代りに、側面カバー23において保護板(取っ手保護部)263が設けられている。
【0031】
保護板263は、取っ手26の形成箇所に対応して設けられており、側面カバー23の背面側端面231から後方に延伸し、さらにドア20の内側に折れ曲がるように形成されている。そして、取っ手26において、保護板263は凹部261の底面に対して背面側から接触するように配置されている。
【0032】
図4に示す取っ手26では、ドア20を背面側から見た場合に、ドア背面部材21と側面カバー23との間の隙間が保護板263によって覆われ、ドア20の側面部におけるドア背面部材21と側面カバー23との間の隙間が露出しない構造となる。この場合、ユーザがドア20を開こうとして取っ手26に手を掛けたときに、ユーザの力が直接作用する部分(図中、斜線ハッチングにて示す)は側面カバー23の保護板263となる。但し、保護板263は凹部261の底面に対して背面側から接触しているため、保護板263に加えられる力の殆どは、保護板263からドア背面部材21に伝達される。したがって、ユーザがドア20を開放方向に強く引いても、ドア背面部材21と側面カバー23との間の隙間が拡大する力が掛かることはなく、側面カバー23の変形を防止することができる。
【0033】
〔実施の形態3〕
本実施の形態3では、取っ手26の他の変形例を説明する。
図5は本実施の形態3に係る取っ手26の形状を示すものであり、(a)は取っ手26をドア20の斜め後方かつ斜め上方から見たときの斜視図、(b)は取っ手26をドア20の側方から見たときの側面図、(c)は取っ手26をドア20の後方から見たときの背面図、(d)は(c)のA-A断面図である。
【0034】
図5に示す取っ手26において、ドア背面部材21には、ドア20の背面から側面の一部にかけて窪んでいる凹部261が形成されるが、
図3に示す突出部262は設けられていない。その代りに、ドア背面部材21および側面カバー23の両方を覆うような取っ手カバー部材(取っ手保護部)27が別部材として追加されている。
【0035】
取っ手カバー部材27は、第1平板部271と第2平板部272とから構成される断面略L字形状の部材である。取っ手カバー部材27は、第1平板部271が側面カバー23を外側から覆い、第2平板部272がドア背面部材21の凹部261を背面側から覆うように配置される。すなわち、取っ手26において、取っ手カバー部材27の第2平板部272は凹部261の底面に対して背面側から接触するように配置されている。尚、取っ手カバー部材27は、ドア背面部材21や側面カバー23に対して嵌合、接着、またはビス(図示せず)などにより取り付けることができる。
【0036】
図5に示す取っ手26では、ドア20を背面側から見た場合に、ドア背面部材21と側面カバー23との間の隙間が取っ手カバー部材27によって覆われ、側面カバー23の背面側端面231が露出しない構造となる。この場合、ユーザがドア20を開こうとして取っ手26に手を掛けたときに、ユーザの力が直接作用する部分(図中、斜線ハッチングにて示す)は取っ手カバー部材27となる。但し、取っ手カバー部材27の第2平板部272は凹部261の底面に対して背面側から接触しているため、取っ手カバー部材27に加えられる力の殆どは、第2平板部272からドア背面部材21に伝達される。したがって、ユーザがドア20を開放方向に強く引いても、ドア背面部材21と側面カバー23との間の隙間や側面カバー23の背面側端面231に過剰な力が掛かることはなく、側面カバー23の変形を防止することができる。さらに、本実施の形態3では、取っ手カバー部材27を側面カバー23とは別部材としているため、取っ手カバー部材27に加えられる力が側面カバー23に伝達することを防止できる。したがって、ユーザがドア20を開放方向に強く引いても、側面カバー23に過剰な力が掛かることをさらに抑制でき、側面カバー23の変形を防止することができる。
【0037】
また、
図5に示す取っ手26においては、第1平板部271が側面カバー23よりもさらに外側に配置されるため、ドア20の閉鎖状態でドラム式洗濯機1を正面から見たときに、第1平板部271がユーザから視認でき、ユーザが取っ手26の位置を容易に認識できるといった利点もある。
【0038】
〔実施の形態4〕
本実施の形態4では、取っ手26のさらに他の変形例を説明する。
図6は本実施の形態4に係る取っ手26が形成されたドア20の背面図である。本実施の形態4における取っ手26は、実施の形態1に係る取っ手26と類似した構成である。但し、実施の形態1に係る取っ手26では、凹部261および突出部262がドア背面部材21に形成されているのに対し、本実施の形態4では、ドア20に取っ手パネル28を設け、凹部261および突出部262が取っ手パネル28に形成される構成としている。
【0039】
図6に示すように、本実施の形態4に係るドア20では、ドア20の背面の一部がドア背面部材21から別部材として分割された取っ手パネル28(図中、太線にて囲んだ部材)とされている。取っ手パネル28は、ドア背面部材21に対して嵌合、接着、またはビス(図示せず)などにより取り付けることができる。
【0040】
本実施の形態4に係る取っ手26(凹部261および突出部262)は取っ手パネル28において形成されるが、側面カバー23の背面側端面231が突出部262にて覆われる構成となることは実施の形態1に係る取っ手26と同じである。したがって、ユーザがドア20を開こうとして取っ手26を開放方向に引いた場合、ユーザの力は取っ手パネル28からドア背面部材21に伝達し、側面カバー23に過剰な力が掛かることはなく、側面カバー23の変形を防止することができる。また、本実施の形態4では、ユーザの力が掛かる取っ手26は取っ手パネル28に形成されるため、ドア背面部材21とは異なる材質とすることができる。したがって、取っ手パネル28のみを強度の高い材質や形状としながら、コストを抑えることができる。また、凹部261および突出部262といった複雑な形状をドア背面部材21に形成する必要がなくなるため、ドア背面部材21の形成や強度確保が容易になる。
【0041】
今回開示した実施形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0042】
〔援用の記載〕
本国際出願は、2018年8月2日に日本特許庁に出願された日本国特許出願第2018-145901号に基づく優先権を主張するものであり、日本国特許出願第2018-145901号の全内容を参照により本国際出願に援用する。
【符号の説明】
【0043】
1 ドラム式洗濯機
10 洗濯機本体
11 洗濯物投入口
12 ドア被係合部
20 ドア
21 ドア背面部材
22 前面板
23 側面カバー
231 背面側端面
24 ドア係合部
25 突出閉止部
26 取っ手
261 凹部
262 突出部(取っ手保護部)
263 保護板(取っ手保護部)
27 取っ手カバー部材(取っ手保護部)
271 第1平板部
272 第2平板部
28 取っ手パネル