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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】電動冷却液ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/58 20060101AFI20221101BHJP
【FI】
F04D29/58 D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020568222
(86)(22)【出願日】2018-06-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-07
(86)【国際出願番号】 EP2018065170
(87)【国際公開番号】W WO2019233600
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】515069336
【氏名又は名称】ピアーブルグ パンプ テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Pierburg Pump Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Alfred-Pierburg-Strasse 1, 41460 Neuss, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘルミス, マルティン
【審査官】北村 一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/022019(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0057005(US,A1)
【文献】中国実用新案第201144881(CN,Y)
【文献】特開平10-024192(JP,A)
【文献】特開2015-149855(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 1/00-13/16;17/00-19/02;21/00-25/16;29/00-35/00
H02K 7/00- 7/20
H02K 9/00- 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプハウジング(12)と、電動モータ(30)と、ポンプホイール(58)とを備える電動冷却液ポンプ(10)であって、
前記ポンプハウジング(12)は、ポンプチャンバ(20)と、モータチャンバ(28)とを備え、
前記ポンプチャンバ(20)は、半径方向内側ポンプ吸込口(22)と、半径方向外側ポンプ排出口(24)と、前記半径方向内側ポンプ吸込口(22)の下流から前記半径方向外側ポンプ排出口(24)まで延びるポンプ渦巻部(26)とを備えて、ポンプの運転中は冷却液で充填され、
前記モータチャンバ(28)は、半径面内に延在する分離側壁(18)によって前記ポンプチャンバ(20)から流体的に分離され、
前記電動モータ(30)は、回転可能なモータロータ(32)と、スタティックモータステータ(34)と、モータエレクトロニクス(36)とを備え、
前記スタティックモータステータ(34)は、前記モータチャンバ(28)内で前記モータロータ(32)に対して横方向に配置された単一の小型ステータコイル配置(50)を備え、
前記モータエレクトロニクス(36)は、前記単一の小型ステータコイル配置(50)を励磁するために前記モータチャンバ(28)内に配置され、
前記ポンプホイール(58)は、前記ポンプチャンバ(20)内に配置されると共に、前記モータロータ(32)と連結回転可能に接続され、
前記単一の小型ステータコイル配置(50)は、前記ポンプ渦巻部(26)の渦巻冷却セクタ(60)に軸方向に隣接して配置され
前記渦巻冷却セクタ(60)は、前記半径方向外側ポンプ排出口(24)にて始まり120°の渦巻角(A)で終わり、
前記渦巻冷却セクタ(60)は、前記渦巻冷却セクタ(60)によって規定される分離側壁(18)の冷却セクション(62)と熱的に接触し、
冷却セクション(62)は、10W/(m・K)よりも高い熱伝導率を有する材料で作製される、電動冷却液ポンプ(10)。
【請求項2】
前記単一の小型ステータコイル配置(50)は、単一のステータコイル(52)によって規定されることを特徴とする請求項1に記載の電動冷却液ポンプ(10)。
【請求項3】
前記単一の小型ステータコイル配置(50)と前記冷却セクション(62)との間の熱接触は、軸方向であって、前記冷却セクション(62)と前記単一の小型ステータコイル配置(50)との間において配置されると共に前記冷却セクション(62)と前記単一の小型ステータコイル配置(50)とに直接接触する熱伝導素子(64)によって提供される、請求項1または2に記載の電動冷却液ポンプ(10)。
【請求項4】
前記モータエレクトロニクス(36)は、前記分離側壁(18)と熱的に接触するように設けられる、請求項1からのいずれか一に記載の電動冷却液ポンプ(10)。
【請求項5】
前記モータロータ(32)は、分離キャン(40)によって前記モータチャンバ(28)から流体的に分離されたロータチャンバ(38)内に配置されていることを特徴とする請求項1からのいずれか一に記載の電動冷却液ポンプ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動冷却液ポンプ、好ましくは自動車用の電動冷却液ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の電動冷却液ポンプは、一般的には、主に自動車の内燃機関を冷却するために、自動車の冷却回路の冷却液を循環させるために設けられている。内燃機関の損傷を避けるために、電動冷却液ポンプは、信頼性が高く、かつフェイルセーフでなければならない。自動車のエンジンルーム内の利用可能な空間は制限されているので、電動冷却液ポンプは、一般的には非常にコンパクトに設計されている。電動冷却液ポンプは、例えば、モータステータのために小さなスペースのみを必要とするコンパクトなステータコイル配置を有する電動モータを備えることができる。しかしながら、コンパクトステータコイル配置は、高い機械的ポンプ性能を可能にするために、高い駆動エネルギ密度で駆動される必要がある。ステータコイル配置における高いエネルギ密度は、抵抗加熱によって生じる相当の熱を発生させる。発生した熱は、電動モータ、特に感熱モータエレクトロニクスの過熱を避けるために、また、高いモータ効率を可能にするために、効率的に放散されなければならない。
【0003】
自動車用の電動冷却液ポンプは、例えば、国際公開第2017/220119号に開示されている。冷却液ポンプには、ポンプチャンバおよびモータチャンバを規定するポンプハウジングが設けられている。ポンプチャンバは、冷却液で満たされ、半径方向内側ポンプ吸込口と、半径方向外側ポンプ排出口と、ポンプ吸込口の下流からポンプ排出口まで延びるポンプ渦巻部とを備える。モータチャンバは、半径方向面内に実質的に延在する分離側壁によって、ポンプチャンバから流体的に分離されている。冷却液ポンプには、回転可能なモータロータを備えた電動機と、コンパクトなステータコイル配置を備えたモータステータと、ステータコイル配置を励磁するためのモータエレクトロニクスとが設けられている。ステータコイル配置は、モータロータに対して横方向に配置される単一のステータコイルによって画定されている。モータステータとモータエレクトロニクスは、乾式モータチャンバ内に配置される。冷却液ポンプは、ポンプチャンバ内に配置されると共に、軸方向に延びるロータシャフトによってモータロータと連結回転可能に接続されたポンプホイールを備えるので、ポンプホイールは、電動モータによって駆動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2017/220119 A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ステータコイル配置は、ポンプ渦巻部の渦巻冷却セクタと軸方向に隣接して設けられている。ステータコイル配置は、分離側壁と、特に、渦巻冷却セクタによって画定される分離側壁の冷却セクションと熱的に接触しており、その結果、ステータコイル配置は、ポンプ渦巻部を介して汲み上げられると共に、側壁冷却セクションに沿って流れる冷却液によって冷却される。しかしながら、側壁冷却セクションは、比較的小さい。その結果、渦巻冷却セクタに対して半径方向にさらに外側に位置するステータコイル配置の少なくとも一部は、効率的に冷却されず、故に、このステータコイル配置は、比較的高速で加熱される。ステータコイル配置の温度が高いほど、その電磁効率は低くなる。その結果、ステータコイル配置は、所定のモータ性能を達成するためにより高い駆動エネルギで駆動されなければならず、その結果、ステータコイル配置で発生する熱が増大する。さらに、より高い駆動エネルギは、ステータコイル配置に駆動エネルギを供給するモータエレクトロニクスの付加的な加熱を引き起こす。その結果、電動モータ、特に、モータエレクトロニクスは、電動冷却液ポンプの故障、又は故障を引き起こす可能性のある過熱を引き起こすことがある。
【0006】
本発明の目的は、高いポンプ性能を備えたコンパクトで信頼性の高い電動冷却液ポンプを提供することである。
【0007】
この目的は、請求項1に記載の特徴を有する電動冷却液ポンプによって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による電動冷却液ポンプは、ポンプチャンバおよびモータチャンバを画定するポンプハウジングを備え、両者は、半径方向面内に実質的に延在する分離側壁によって互いに流体的に分離されている。ポンプチャンバは、ポンプ動作中、液状冷却液で満たされ、半径方向内側ポンプ吸込口と半径方向外側ポンプ排出口とを備える。好ましくは、ポンプ吸込口は、実質的にモータ軸方向に延在し、ポンプ排出口は、半径方向面内に実質的に延在するので、ポンプ吸込口は、ポンプ排出口に対して実質的に垂直方向に延在する。ポンプ吸込口およびポンプ排出口は、ポンプ吸込口の下流からポンプ排出口まで半径方向面内に延びるポンプ渦巻部によって流体的に接続される。ポンプ渦巻部の流れ断面積は、ポンプ吸込口からポンプ排出口まで増加して、効率的な冷却液放出を提供する。
【0009】
電動冷却液ポンプは、回転可能なモータロータと、スタティックモータステータと、ステータコイル配置を励磁するためのモータエレクトロニクスとを備えた電動モータを備える。回転可能なモータロータは、モータステータによって磁気的に駆動される。好ましくは、モータロータは、永久磁石であるので、モータロータを電磁的に磁化するために摩耗しやすい摺動接点を必要としない。電気部品、すなわち、モータエレクトロニクスと電磁モータステータは、冷却液に敏感であり、その結果、乾式モータチャンバ内に配置される。
【0010】
モータステータは、単一のステータコイルによって規定されるか、又は複数のステータコイルを備え得る単一のコンパクトステータコイル配置を備える。いずれの場合においても、ステータコイル配置の全てのステータコイルは、コンパクトなクラスタに集中して配置される、すなわち、全てのステータコイルは、互いに直接接近して配置される。ステータコイル配置は、モータロータに対して横方向に配置され、ステータコイル配置の全てのステータコイルは、モータロータの同じ側に配置される。ステータコイルは、モータロータの円周に沿って分布していない。その結果、ステータコイル配置に必要なスペースはわずかである。
【0011】
電動冷却液ポンプには、モータロータと連結回転可能に接続されたポンプホイールが備えられ、故に、ポンプホイールは、電動モータにより駆動される。ポンプホイールは、モータロータと一体的に設けることができ、又は代替的に、例えばロータシャフトによって、モータロータと連結回転可能に接続することができる。ポンプホイールは、ポンプ吸込口からポンプ渦巻部を通ってポンプ排出口まで冷却液を汲み上げるために、ポンプチャンバ内に配置される。好ましくは、ポンプホイールが、ポンプ渦巻部の半径方向中心に位置し、その結果、好ましくは軸方向ポンプ吸込口を介してポンプチャンバに入る冷却液が、ポンプホイールに対して実質的に軸方向に流れ、回転ポンプホイールによって半径方向外方に加速される。
【0012】
本発明によれば、ステータコイル配置は、ポンプ渦巻部の渦巻冷却セクタに軸方向に隣接して位置している。渦巻冷却セクタは、渦巻冷却セクタをモータチャンバから軸方向に分離する側壁冷却セクションを画定する。側壁冷却セクションは、渦巻冷却セクタを流れる冷却液によって冷却される。ステータコイル配置は、側壁冷却セクションと熱的に接触している、すなわち、ステータコイル配置と側壁冷却セクションとの間に空隙が存在しない。その結果、ステータコイル配置は、ポンプ渦巻部を介して汲み上げられる冷却液によって冷却される。
【0013】
渦巻冷却セクタは、ポンプ排出口で始まる120°の渦巻角にわたって延在し、すなわち、渦巻冷却セクタは、ポンプ排出口に位置する。その結果、渦巻冷却セクタは、ポンプ渦巻部の流れ断面がポンプ吸込口からポンプ排出口に向かって増加するため、比較的大きな側壁冷却断面積を規定する。これは、ステータコイル配置の温度を減少させるステータコイル配置全体と、ステータコイル配置によってモータチャンバ内に放散される熱との効率的な冷却を可能にする。
【0014】
低減されたステータコイル配置温度は、電気伝導度を改善し、その結果、ステータコイル配置の電磁気的効率を改善し、故に、より低い駆動エネルギが、所定のポンプ性能を達成するために必要とされる。これは、モータエレクトロニクス内での廃熱発生を低減する。モータエレクトロニクス内における廃熱発生の減少と、モータチャンバ内へのステータコイル配置の放熱の減少とは、モータエレクトロニクスの過熱を回避する。加えて、改善された電磁気的効率は、所定の駆動エネルギに対してより高いポンプ性能を可能にする。その結果、本発明による電動冷却液ポンプは、高い機械的ポンプ性能を確実に提供することができる。
【0015】
ステータコイル配置のより高い電気伝導率の他に、ステータコイル配置の効率的な冷却は、側壁冷却セクションを介してより多くの熱を冷却液中に放散させることも可能にし、より多くの熱を、ステータコイル配置を過熱させずにステータコイル配置内で発生させることができる。その結果、ステータコイル配置の効率的な冷却により、モータ効率を損なわずに、且つステータコイル配置を過熱させずに、ステータコイル配置のコイルワイヤ断面を減少させることが可能になる。これにより、よりコンパクトなステータコイル配置を可能にし、その結果、コンパクトな電動モータを可能にする。
【0016】
好ましくは、前記ステータコイル配置は、前記モータロータに対して横方向及び衛星状に配置される単一のステータコイルによって規定される。単一のステータコイルは、ステータコイル配置の非常にコンパクトな実現、そして、その結果として電動冷却液ポンプの非常にコンパクトな実現を可能にする。さらに、単一のステータコイルは、容易に、側壁冷却セクションに軸方向に隣接して且つ熱的に接触して配置することができる。
【0017】
本発明の好ましい実施形態では、ステータコイル配置と側壁冷却セクションとの間の熱接触は、側壁冷却セクションとステータコイル配置との軸方向の間で行われ、且つ、側壁冷却セクションとステータコイル配置とに直接接触する熱伝導素子によって行われる。熱伝導素子は、少なくとも1W/(m・K)の高い熱伝導率を備える。好ましくは、熱伝導素子は、比較的柔軟であるため、熱伝導素子は、ステータコイル配置の輪郭に形を合わせることができる。これは、熱伝導素子とステータコイル配置との間の大きな接触面積を可能にし、その結果、ステータコイル配置から、伝導素子及び側壁冷却セクションを介して冷却液中への非常に効率的な熱放散を可能にする。その結果、ステータコイル配置の効率的な冷却を可能にする。
【0018】
好ましくは、分離側壁の少なくとも冷却セクションは、高い熱伝導率を有する材料、例えばアルミニウムから作製される。好ましくは、側壁冷却セクションの材料の熱伝導率は、10W/(m・K)よりも高いが、少なくとも、熱伝導率はプラスティック材料のものよりも高い。これは、ステータコイル配置から側壁冷却セクションを介して冷却液への効率的な熱伝達を可能にし、その結果、ステータコイル配置の効率的な冷却を可能にする。
【0019】
かなりの熱がモータの動作中にモータエレクトロニクス内に発生するので、モータエレクトロニクスの十分な冷却が、モータエレクトロニクスの誤動作または損傷を回避し、その結果として、電動冷却液ポンプの故障を回避するために必要とされる。本発明の好ましい実施形態では、モータエレクトロニクスは、分離側壁と熱的に接触して設けられ、その結果、モータエレクトロニクスは、冷却液ポンプを通じて汲み上げられる冷却液によって冷却される。これは、信頼性のある電動モータを提供し、その結果、信頼性のある電動冷却液ポンプを提供する。好ましくは、モータエレクトロニクスの幾何学的形状は、ポンプ渦巻部の幾何学的形状に従うように形成されているので、モータエレクトロニクス全体が分離側壁と熱的に接触するように設けられている。
【0020】
好ましくは、モータロータは、分離キャンによってモータチャンバから流体的に分離されているロータチャンバ内に配置されている。この分離は、モータロータとモータステータとの間の空隙の中を延びることができ、モータステータによって生成される磁場に対して透磁性を有する材料で作られている。ロータチャンバは、モータチャンバから流体的に分離されているので、ロータチャンバをポンプチャンバに対して密閉する必要はない。これにより、モータロータとポンプホイールとの簡単な連結回転可能な接続が可能となり、高価で摩耗しやすい複雑なシール素子を必要としない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明による電動冷却液ポンプの部分断面側面図を示す。
図2図1の冷却液ポンプの電動モータの概略部分断面上面図を示す。
図3図1の冷却液ポンプのポンプチャンバカバーの概略上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態を、添付図面を参照して説明する。電動冷却液ポンプ10は、マルチパーツポンプハウジング12を備え、マルチパーツポンプハウジング12は、ポンプチャンバカバー素子14と、モータチャンバカバー素子16と、半径方向平面内に実質的に延在する分離側壁18とを備える。本実施形態では、分離側壁18は、熱伝導率の高い材料、例えばアルミニウムで作製されている。ポンプチャンバカバー素子14および分離側壁18は、ポンプ動作中に冷却液が充填されるポンプチャンバ20を画定する。ポンプチャンバ20は、半径方向内側ポンプ吸込口22と、半径方向外側ポンプ排出口24と、ポンプ吸込口22の下流から半径方向面内のポンプ排出口24に延びるポンプ渦巻部26とを備える。ポンプ吸込口22は、モータ軸方向に実質的に延在し、ポンプ排出口24は、半径方向面内に実質的に延在し、その結果、ポンプ吸込口22は、ポンプ排出口24に対して実質的に垂直に配置される。ポンプ渦巻部26の流れ断面積は、ポンプ吸込口22からポンプ排出口24に向かって増加する。モータチャンバカバー素子16及び分離側壁18は、分離側壁18によってポンプチャンバ20から流体的に分離されるモータチャンバ28を画定する。
【0023】
冷却液ポンプ10は、回転可能な永久磁気モータロータ32と、スタティック電磁モータステータ34と、モータステータ34を励磁するためのモータエレクトロニクス36とを備える電動モータ30を有する。モータロータ32は、分離キャン40によってモータチャンバ28から流体的に分離されているロータチャンバ38内に配置されている。モータステータ34およびモータエレクトロニクス36は、乾式モータチャンバ28内に配置される。
【0024】
モータロータ32は、回転軸Rを中心として回転可能なロータシャフト42に連結回転可能に固定されている。ロータシャフト42は、2つの適切な軸受44、46によって分離キャン40内及び分離側壁18内に回転可能に支持されている。ロータシャフト42は、ロータチャンバ38からポンプチャンバ20内へと軸方向に延在する。
【0025】
モータステータ34は、積層されたステータ本体48と、単一の電磁ステータコイル配置50とを備えている。本発明の実施形態では、ステータコイル配置50が、モータロータ32に対して横方向及び衛星状に配置された単一のステータコイル52によって規定されている。ステータコイル配置50は、モータエレクトロニクス36と電気的に接続されて、モータエレクトロニクス36によって励磁される。ステータコイル配置50及びモータエレクトロニクス36は、モータロータ32に対して直径方向に互いに反対側に配置される。
【0026】
モータエレクトロニクス36は、プリント回路基板56上に配置されるいくつかのパワー半導体54を備える。本発明の実施形態では、モータエレクトロニクス36のプリント回路基板56が、分離側壁18と直接的に熱的に接触しており、その結果、モータエレクトロニクス36は、ポンプ渦巻部26を通って汲み上げられる冷却液によって冷却される。
【0027】
冷却液ポンプ10は、ポンプホイール58を備える。ポンプホイール58は、ポンプチャンバ20内に配置され、ポンプ吸込口22からポンプ渦巻部26を通ってポンプ排出口24まで冷却液を汲み上げる。ポンプホイール58は、ロータシャフト42と連結回転可能に連結され、故に、ポンプホイール58が電動モータ30によって駆動される。ポンプホイール58は、ポンプ吸込口22を介してポンプチャンバ20に入る冷却液がポンプホイール58に対して実質的に軸方向に流れて、回転するポンプホイール58によって半径方向外方に加速されるように、ポンプチャンバ20内に配置される。
【0028】
ステータコイル配置50は、ポンプ渦巻部26の渦巻冷却セクタ60に軸方向に隣接して位置している。渦巻冷却セクタ60は、ポンプ排出口24で始まり、ポンプ渦巻部26のポンプ吸込口対向円周方向に走る渦巻角A=120°に亘って延在する。渦巻冷却セクタ60は、渦巻冷却セクタ60をモータチャンバ28に向けて軸方向に制限する側壁冷却セクション62を画定する。側壁冷却セクション62は、渦巻冷却セクタ60を流れる冷却液によって冷却される。
【0029】
ステータコイル配置50は、側壁冷却セクション62の横方向の範囲内に横方向に配置される。熱伝導素子64は、側壁冷却セクション62とステータコイル配置50との軸方向の間に配置される。熱伝導素子64は、高い熱伝導率を有する可撓性材料で構成される。本発明の実施形態では、熱伝導素子64は、少なくとも1W/(m・K)の熱伝導率を有する市販のサーマルパッドである。熱伝導素子64は、側壁冷却セクション62及びステータコイル配置50と直接に大面積で接触するので、熱伝導素子64は、ステータコイル配置50と側壁冷却セクション62との間での熱接触を提供する。その結果、ステータコイル配置50は、ポンプ作動中にポンプ渦巻部20を介して汲み上げられる冷却液によって効率的に冷却される。
【符号の説明】
【0030】
10 電動冷却液ポンプ
12 ポンプハウジング
14 ポンプチャンバカバー素子
16 モータチャンバカバー素子
18 分離側壁
20 ポンプチャンバ
22 ポンプ吸込口
24 ポンプ排出口
26 ポンプ渦巻部
28 モータチャンバ
30 電動モータ
32 モータロータ
34 モータステータ
36 モータエレクトロニクス
38 ロータチャンバ
40 分離キャン
42 ロータシャフト
44 軸受
46 軸受
48 ステータ本体
50 ステータコイル配置
52 ステータコイル
54 パワー半導体
56 プリント回路基板
58 ポンプホイール
60 渦巻冷却セクタ
62 側壁冷却セクション
64 熱伝導素子
A 渦巻角
R 回転軸
図1
図2
図3