IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社インターネットイニシアティブの特許一覧

<>
  • 特許-通信制御装置、方法およびシステム 図1
  • 特許-通信制御装置、方法およびシステム 図2
  • 特許-通信制御装置、方法およびシステム 図3
  • 特許-通信制御装置、方法およびシステム 図4
  • 特許-通信制御装置、方法およびシステム 図5
  • 特許-通信制御装置、方法およびシステム 図6
  • 特許-通信制御装置、方法およびシステム 図7
  • 特許-通信制御装置、方法およびシステム 図8
  • 特許-通信制御装置、方法およびシステム 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】通信制御装置、方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/10 20180101AFI20221101BHJP
   H04W 36/10 20090101ALI20221101BHJP
   H04W 88/14 20090101ALI20221101BHJP
   H04W 8/02 20090101ALI20221101BHJP
【FI】
H04W76/10
H04W36/10
H04W88/14
H04W8/02
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021163205
(22)【出願日】2021-10-04
【審査請求日】2021-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】397036309
【氏名又は名称】株式会社インターネットイニシアティブ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100162846
【弁理士】
【氏名又は名称】大牧 綾子
(72)【発明者】
【氏名】柿島 純
【審査官】松野 吉宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-017379(JP,A)
【文献】特開2017-143363(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0359440(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0389813(US,A1)
【文献】特開平10-148536(JP,A)
【文献】国際公開第2015/028090(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加入者情報管理サーバと、第1拠点の第1のモビリティ管理デバイスと、センタサーバとに接続可能に構成された通信制御装置であって、
ユーザデバイスが在圏している前記第1拠点の前記第1のモビリティ管理デバイスの識別子と、前記ユーザデバイスの識別子と、前記ユーザデバイスが実行したクラウドアプリケーションに関する第1のアプリケーション情報とを前記加入者情報管理サーバから取得し、
取得した前記第1のモビリティ管理デバイスの識別子と、前記第1のアプリケーション情報とに基づいて、前記センタサーバから、前記第1のモビリティ管理デバイスの識別子と、前記第1のアプリケーション情報とに関連付けられる第1のユーザプレーンデバイスの識別子を取得し、
取得した前記第1のユーザプレーンデバイスの識別子と、前記ユーザデバイスの識別子とに基づいて、前記第1のモビリティ管理デバイスに対し、前記ユーザデバイスの識別子に対応するユーザデバイスと、前記第1のユーザプレーンデバイスの識別子に対応する第1のユーザプレーンデバイスのとの間で通信路を設定するよう指示する
よう構成される、通信制御装置。
【請求項2】
前記第1のユーザプレーンデバイスの識別子は、前記クラウドアプリケーションを提供可能なクラウドサーバと物理的に近いユーザブレーンデバイスの識別子である、請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項3】
前記通信制御装置は、さらに、第2拠点の第2のモビリティ管理デバイスと接続可能に構成されており、
移動した前記ユーザデバイスが在圏している第2拠点の第2のモビリティ管理デバイスの識別子と、前記ユーザデバイスの識別子と、前記ユーザデバイスが実行したクラウドアプリケーションに関する第2のアプリケーション情報とを前記加入者情報管理サーバから取得し、
取得した前記第2のモビリティ管理デバイスの識別子と、前記第2のアプリケーション情報とに基づいて、前記センタサーバから、前記第2のモビリティ管理デバイスの識別子と、前記第2のアプリケーション情報とに関連付けられる第2のユーザプレーンデバイスの識別子を取得し、
取得した前記第2のユーザプレーンデバイスと、前記ユーザデバイスの識別子とに基づいて、前記第2のモビリティ管理デバイスに対し、前記ユーザデバイスの識別子に対応するユーザデバイスと、前記第2のユーザプレーンデバイスとの間で通信路を設定するよう前記第2のモビリティ管理デバイスに指示する、
よう構成される、請求項に記載の通信制御装置。
【請求項4】
前記通信制御装置は、さらに、第2拠点の第2のモビリティ管理デバイスと接続可能に構成されており、
前記ユーザデバイスから、前記ユーザデバイスの識別子と、前記ユーザデバイスが実行したクラウドアプリケーションに関する第2のアプリケーション情報とを取得し、
前記センタサーバから、前記第2のアプリケーション情報に関連付けられる第2のユーザプレーンデバイスの識別子を取得し、
取得した前記第2のユーザプレーンデバイスの識別子と、前記ユーザデバイスの識別子とに基づいて、前記第2のモビリティ管理デバイスに対し、前記第1のユーザプレーンデバイスと、前記第2のユーザプレーンデバイスとの間を接続し、ユーザデバイスの識別子に対応するユーザデバイスと、前記第2のユーザプレーンデバイスとの間で通信路を設定するよう前記第1のユーザプレーンデバイスに指示する、
よう構成される、請求項に記載の通信制御装置。
【請求項5】
前記ユーザデバイスと、前記第2のユーザプレーンデバイスとの間で通信路が設定されると、前記ユーザデバイスと、前記第1のユーザプレーンデバイスとの間の通信路を切断する、請求項またはに記載の通信制御装置。
【請求項6】
前記センタサーバは、前記モビリティ管理デバイスの識別子と、前記ユーザプレーンデバイスの識別子とを関連付けたデータベースを格納する請求項からのいずれか1項に記載の通信制御装置。
【請求項7】
前記ユーザデバイスは、前記ユーザデバイスと、前記第2のユーザプレーンデバイスとの間で通信路が設定されると、前記第2のユーザプレーンデバイスに接続されるエッジクラウドサーバから、前記第2拠点に関連付けられた情報を取得する、請求項からのいずれか1項に記載の通信制御装置。
【請求項8】
前記第2拠点に関連付けられた情報は、前記エッジクラウドサーバが管理する第2拠点の駐車場の空き情報、または第2拠点の宿泊施設における施設空室情報である、請求項に記載の通信制御装置。
【請求項9】
前記通信制御装置はLTEに準拠しており、
前記加入者情報管理サーバは、HSS(Home Subscriber Server)であり、
前記モビリティ管理デバイスは、MME(Mobility Management Entity)前記ユーザデバイスの位置登録や呼出・基地局間ハンドオーバーの管理を行うサーバであり、
前記ユーザプレーンデバイスは、SGW(Serving Gateway)およびPGW(PDN(Packet Data Network) Gateway)を含む、請求項に記載の通信制御装置。
【請求項10】
前記通信制御装置は5Gに準拠しており、
前記加入者情報管理サーバは、UDR(User Data Repository)であり、
前記モビリティ管理デバイスは、AMF(Access and Mobility management Function)であり、
前記ユーザプレーンデバイスは、UPF(User Plane Function)である、請求項に記載の通信制御装置。
【請求項11】
加入者情報管理サーバと、第1拠点の第1のモビリティ管理デバイスと、センタサーバとに接続可能に構成された通信制御装置で実行される方法であって、
ユーザデバイスが在圏している前記第1拠点の前記第1のモビリティ管理デバイスの識別子と、前記ユーザデバイスの識別子と、前記ユーザデバイスが実行したクラウドアプリケーションに関する第1のアプリケーション情報とを前記加入者情報管理サーバから取得するステップと、
取得した前記第1のモビリティ管理デバイスの識別子と、前記第1のアプリケーション情報とに基づいて、前記センタサーバから、前記第1のモビリティ管理デバイスの識別子に関連付けられる第1のユーザプレーンデバイスの識別子を取得するステップと、
取得した前記第1のユーザプレーンデバイスの識別子と、前記ユーザデバイスの識別子とに基づいて、前記第1のモビリティ管理デバイスに対し、前記ユーザデバイスの識別子に対応するユーザデバイスと、前記第1のユーザプレーンデバイスの識別子に対応する第1のユーザプレーンデバイスのとの間で通信路を設定するよう指示するステップと
を備える、方法。
【請求項12】
前記通信制御装置は、さらに、第2拠点の第2のモビリティ管理デバイスと接続可能に構成されており、
移動した前記ユーザデバイスが在圏している第2拠点の第2のモビリティ管理デバイスの識別子と、前記ユーザデバイスの識別子と、前記ユーザデバイスが実行したクラウドアプリケーションに関する第2のアプリケーション情報とを前記加入者情報管理サーバから取得するステップと、
取得した前記第2のモビリティ管理デバイスの識別子と、前記第2のアプリケーション情報とに基づいて、前記センタサーバから、前記第2のモビリティ管理デバイスの識別子と、前記第2のアプリケーション情報とに関連付けられる第2のユーザプレーンデバイスの識別子を取得するステップと、
取得した前記第2のユーザプレーンデバイスと、前記ユーザデバイスの識別子とに基づいて、前記第2のモビリティ管理デバイスに対し、前記ユーザデバイスの識別子に対応するユーザデバイスと、前記第2のユーザプレーンデバイスとの間で通信路を設定するよう前記第2のモビリティ管理デバイスに指示するステップと
を備える、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記通信制御装置は、さらに、第2拠点の第2のモビリティ管理デバイスと接続可能に構成されており、前記方法は、さらに、
前記ユーザデバイスから、前記ユーザデバイスの識別子と、前記ユーザデバイスが実行したクラウドアプリケーションに関する第2のアプリケーション情報とを取得するステップと、
前記センタサーバから、前記第2のアプリケーション情報に関連付けられる第2のユーザプレーンデバイスの識別子を取得するステップと、
取得した前記第2のユーザプレーンデバイスの識別子と、前記ユーザデバイスの識別子とに基づいて、前記第2のモビリティ管理デバイスに対し、前記第1のユーザプレーンデバイスと、前記第2のユーザプレーンデバイスとの間を接続し、前記ユーザデバイスの識別子に対応するユーザデバイスと、前記第2のユーザプレーンデバイスとの間で通信路を設定するよう前記第1のユーザプレーンデバイスに指示するステップと、
を備える、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
センタサーバと、
加入者情報管理サーバと、第1拠点の第1のモビリティ管理デバイスと、前記センタサーバとに接続可能に構成された通信制御装置と、
を備えるシステムであって、
前記通信制御装置は、
ユーザデバイスが在圏している前記第1拠点の前記第1のモビリティ管理デバイスの識別子と、前記ユーザデバイスの識別子と、前記ユーザデバイスが実行したクラウドアプリケーションに関する第1のアプリケーション情報とを前記加入者情報管理サーバから取得し、
取得した前記第1のモビリティ管理デバイスの識別子と、前記第1のアプリケーション情報とに基づいて、前記センタサーバから、前記第1のモビリティ管理デバイスの識別子と、前記第1のアプリケーション情報とに関連付けられる第1のユーザプレーンデバイスの識別子を取得し、
取得した前記第1のユーザプレーンデバイスの識別子と、前記ユーザデバイスの識別子とに基づいて、前記第1のモビリティ管理デバイスに対し、前記ユーザデバイスの識別子に対応するユーザデバイスと、前記第1のユーザプレーンデバイスの識別子に対応する第1のユーザプレーンデバイスのとの間で通信路を設定するよう指示する
よう構成され、
前記センタサーバは、前記第1のモビリティ管理デバイスの識別子と、前記クラウドアプリケーションを提供可能なクラウドサーバと物理的に近い前記第1のユーザプレーンデバイスの識別子とを関連付けたデータベースを格納するよう構成されるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コアネットワークデバイスとクラウドサーバとの間の通信を制御するための通信制御装置、通信制御方法、および通信制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のセルラー方式の無線エリア設計においては、ユーザデバイスがLTE(Long Term Evolution)などの無線ネットワークを介してクラウドサービスを実行すると、ユーザデバイスは自身が在圏するセルの拠点ごとに配置されるコアネットワークデバイス(LTEネットワークであればMME(Mobility Management Entity))に接続する。このコアネットワークデバイス(MME)は、コアネットワークデバイスと、クラウドサーバとの間の接続構成を管理する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来においては、コアネットワークデバイスは、クラウドサービスの利用状況に応じて、コアネットワークデバイスと、クラウドサーバとの間の接続構成を管理することはない。例えば、クラウドサービスを利用するユーザデバイスが移動し、ユーザデバイスの接続先となるコアネットワークデバイスが変更となっても、この変更に基づいて、コアネットワークデバイスが、コアネットワークデバイスと、クラウドサーバとの間の接続構成を変更することはなかった。
【0004】
本発明の目的は、ユーザのクラウドアプリケーションの利用状況に応じて、ユーザデバイスとコアネットワーク側の設備との間の接続構成を決定することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための装置の特徴構成は、加入者情報管理サーバと、第1拠点の第1のモビリティ管理デバイスと、センタサーバとに接続可能に構成された通信制御装置であって、
ユーザデバイスが在圏している前記第1拠点の前記第1のモビリティ管理デバイスの識別子と、前記ユーザデバイスの識別子と、前記ユーザデバイスが実行したクラウドアプリケーションに関する第1のアプリケーション情報とを前記加入者情報管理サーバから取得し、
取得した前記第1のモビリティ管理デバイスの識別子と、前記第1のアプリケーション情報とに基づいて、前記センタサーバから、前記第1のモビリティ管理デバイスの識別子と、前記第1のアプリケーション情報とに関連付けられる第1のユーザプレーンデバイスの識別子を取得し、
取得した前記第1のユーザプレーンデバイスの識別子と、前記ユーザデバイスの識別子とに基づいて、前記第1のモビリティ管理デバイスに対し、前記ユーザデバイスの識別子に対応するユーザデバイスと、前記第1のユーザプレーンデバイスの識別子に対応する第1のユーザプレーンデバイスのとの間で通信路を設定するよう指示する
よう構成される、通信制御装置にある。
【0006】
上記目的を達成するための方法の特徴構成は、加入者情報管理サーバと、第1拠点の第1のモビリティ管理デバイスと、センタサーバとに接続可能に構成された通信制御装置で実行される方法であって、
ユーザデバイスが在圏している前記第1拠点の前記第1のモビリティ管理デバイスの識別子と、前記ユーザデバイスの識別子と、前記ユーザデバイスが実行したクラウドアプリケーションに関する第1のアプリケーション情報とを前記加入者情報管理サーバから取得するステップと、
取得した前記第1のモビリティ管理デバイスの識別子と、前記第1のアプリケーション情報とに基づいて、前記センタサーバから、前記第1のモビリティ管理デバイスの識別子に関連付けられる第1のユーザプレーンデバイスの識別子を取得するステップと、
取得した前記第1のユーザプレーンデバイスの識別子と、前記ユーザデバイスの識別子とに基づいて、前記第1のモビリティ管理デバイス(MME・AMF)に対し、前記ユーザデバイスの識別子に対応するユーザデバイスと、前記第1のユーザプレーンデバイスの識別子に対応する第1のユーザプレーンデバイスのとの間で通信路を設定するよう指示するステップと
を備える、方法にある。
【0007】
上記目的を達成するためのシステムの特徴構成は、センタサーバと、
加入者情報管理サーバと、第1拠点の第1のモビリティ管理デバイスと、前記センタサーバとに接続可能に構成された通信制御装置と、
を備えるシステムであって、
前記通信制御装置は、
ユーザデバイスが在圏している前記第1拠点の前記第1のモビリティ管理デバイスの識別子と、前記ユーザデバイスの識別子と、前記ユーザデバイスが実行したクラウドアプリケーションに関する第1のアプリケーション情報とを前記加入者情報管理サーバから取得し、
取得した前記第1のモビリティ管理デバイスの識別子と、前記第1のアプリケーション情報とに基づいて、前記センタサーバから、前記第1のモビリティ管理デバイスの識別子と、前記第1のアプリケーション情報とに関連付けられる第1のユーザプレーンデバイスの識別子を取得し、
取得した前記第1のユーザプレーンデバイスの識別子と、前記ユーザデバイスの識別子とに基づいて、前記第1のモビリティ管理デバイスに対し、前記ユーザデバイスの識別子に対応するユーザデバイスと、前記第1のユーザプレーンデバイスの識別子に対応する第1のユーザプレーンデバイスのとの間で通信路を設定するよう指示する
よう構成され、
前記センタサーバは、前記モビリティ管理デバイスの識別子と、前記ユーザプレーンデバイスの識別子とを関連付けたデータベースを格納するよう構成されるシステムにある。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ユーザのクラウドアプリケーションの利用状況に応じて、ユーザデバイスとコアネットワーク側の設備との間の接続構成を決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施形態による無線アクセス・ネットワークシステムの概略の構成例を示す。
図2】本開示の一実施形態による、図1のシステムを構成するモバイル制御装置のハードウェア構成を例示する。
図3】本開示の第1実施形態によるシステムにおいて実行される処理フローの例を示す。
図4】本開示の一実施形態によるセンタサーバが格納するデータベースを例示する。
図5】本開示の第2実施形態に係る無線アクセス・ネットワークシステムを例示する。
図6】本開示の第2実施形態によるシステムにおいて実行される処理フローの例を示す。
図7】本開示の一実施形態による無線アクセス・ネットワークシステムにおいて実行される処理フローの例を示す。
図8】本開示の一実施形態による無線アクセス・ネットワークシステムにおいて実行される処理フローの例を示す。
図9】従来の無線アクセス・ネットワークシステムの概略の構成例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本発明の実施形態の説明]
最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明の一実施形態は、以下のような構成を備える。
【0011】
〔構成1〕 本発明に係る装置の特徴構成は、加入者情報管理サーバ(HSS・UDR)と、第1拠点の第1のモビリティ管理デバイス(MME・AMF)と、センタサーバとに接続可能に構成された通信制御装置であって、
ユーザデバイスが在圏している前記第1拠点の前記第1のモビリティ管理デバイスの識別子と、前記ユーザデバイスの識別子と、前記ユーザデバイスが実行したクラウドアプリケーションに関する第1のアプリケーション情報とを前記加入者情報管理サーバから取得し、
取得した前記第1のモビリティ管理デバイスの識別子と、前記第1のアプリケーション情報とに基づいて、前記センタサーバから、前記第1のモビリティ管理デバイスの識別子と、前記第1のアプリケーション情報とに関連付けられる第1のユーザプレーンデバイス(SGW/UPF)の識別子を取得し、
取得した前記第1のユーザプレーンデバイス(SGW/UPF)の識別子と、前記ユーザデバイスの識別子とに基づいて、前記第1のモビリティ管理デバイス(MME・AMF)に対し、前記ユーザデバイスの識別子に対応するユーザデバイスと、前記第1のユーザプレーンデバイス(SGW/UPF)の識別子に対応する第1のユーザプレーンデバイス(SGW/UPF)のとの間で通信路を設定するよう指示する
よう構成される、通信制御装置にある。
【0012】
〔構成2〕 本発明に係る装置の特徴構成は、前記通信制御装置が、さらに、第2拠点の第2のモビリティ管理デバイスと接続可能に構成されており、
移動した前記ユーザデバイスが在圏している第2拠点の第2のモビリティ管理デバイス(MME・AMF)の識別子と、前記ユーザデバイスの識別子と、前記ユーザデバイスが実行したクラウドアプリケーションに関する第2のアプリケーション情報とを前記加入者情報管理サーバ(HSS・UDR)から取得し、
取得した前記第2のモビリティ管理デバイス(MME・AMF)の識別子と、前記第2のアプリケーション情報とに基づいて、前記センタサーバから、前記第2のモビリティ管理デバイス(MME・AMF)の識別子と、前記第2のアプリケーション情報とに関連付けられる第2のユーザプレーンデバイス(SGW/UPF)の識別子を取得し、
取得した前記第2のユーザプレーンデバイス(SGW/UPF)と、前記ユーザデバイスの識別子とに基づいて、前記第2のモビリティ管理デバイス(MME・AMF)に対し、前記ユーザデバイスの識別子に対応するユーザデバイスと、前記第2のユーザプレーンデバイス(SGW/UPF)との間で通信路を設定するよう前記第2のモビリティ管理デバイス(MME・AMF)に指示する、
よう構成される、構成1に記載の通信制御装置にある。
【0013】
〔構成3〕 本発明に係る装置の特徴構成は、前記通信制御装置が、さらに、第2拠点の第2のモビリティ管理デバイスと接続可能に構成されており、
前記ユーザデバイスから、前記ユーザデバイスの識別子と、前記ユーザデバイスが実行したクラウドアプリケーションに関する第2のアプリケーション情報とを取得し、
前記センタサーバから、前記第2のアプリケーション情報に関連付けられる第2のユーザプレーンデバイス(SGW/UPF)の識別子を取得し、
取得した前記第2のユーザプレーンデバイス(SGW/UPF)の識別子と、前記ユーザデバイスの識別子とに基づいて、前記第2のモビリティ管理デバイスに対し、前記第1のユーザプレーンデバイスと、前記第2のユーザプレーンデバイスとの間を接続し、ユーザデバイスの識別子に対応するユーザデバイスと、前記第2のユーザプレーンデバイス(SGW/UPF)との間で通信路を設定するよう前記第1のユーザプレーンデバイス(SGW/UPF)に指示する、
よう構成される、構成1に記載の通信制御装置にある。
【0014】
〔構成4〕 本発明に係る装置の特徴構成は、前記ユーザデバイスと、前記第2のユーザプレーンデバイス(SGW/UPF)との間で通信路が設定されると、前記ユーザデバイスと、前記第1のユーザプレーンデバイス(SGW/UPF)との間の通信路を切断する、構成2または3に記載の通信制御装置にある。
【0015】
〔構成5〕 本発明に係る装置の特徴構成は、前記センタサーバが、前記モビリティ管理デバイス(MME・AMF)の識別子と、前記ユーザプレーンデバイス(SGW/UPF)の識別子とを関連付けたデータベースを格納する構成2から4のいずれか1項に記載の通信制御装置にある。
【0016】
〔構成6〕 本発明に係る装置の特徴構成は、前記ユーザデバイスが、前記ユーザデバイスと、前記第2のユーザプレーンデバイス(SGW/UPF)との間で通信路が設定されると、前記第2のユーザプレーンデバイスに接続されるエッジクラウドサーバから、第2拠点に関連付けられた情報を取得する、構成2から5のいずれか1項に記載の通信制御装置にある。
【0017】
〔構成7〕 本発明に係る装置の特徴構成は、前記第2拠点に関連付けられた情報は、前記エッジクラウドサーバが管理する第2拠点の駐車場の空き情報、または第2拠点の宿泊施設における施設空室情報である、構成6に記載の通信制御装置にある。
【0018】
〔構成8〕 本発明に係る装置の特徴構成は、LTEに準拠しており、
前記加入者情報管理サーバは、HSS(Home Subscriber Server)であり、
前記モビリティ管理デバイスは、MME(Mobility Management Entity)前記ユーザデバイスの位置登録や呼出・基地局間ハンドオーバーの管理を行うサーバであり、
前記ユーザプレーンデバイスは、SGW(Serving Gateway)およびPGW(PDN(Packet Data Network) Gateway)を含む、構成2に記載の通信制御装置にある。
【0019】
〔構成9〕 本発明に係る装置の特徴構成は、5Gに準拠しており、
前記加入者情報管理サーバは、UDR(User Data Repository)であり、
前記モビリティ管理デバイスは、AMF(Access and Mobility management Function)であり、
前記ユーザプレーンデバイスは、UPF(User Plane Function)である、構成3に記載の通信制御装置にある。
【0020】
〔構成10〕 本発明に係る方法の特徴構成は、加入者情報管理サーバ(HSS・UDR)と、第1拠点の第1のモビリティ管理デバイス(MME・AMF)と、センタサーバとに接続可能に構成された通信制御装置で実行される方法であって、
ユーザデバイスが在圏している前記第1拠点の前記第1のモビリティ管理デバイスの識別子と、前記ユーザデバイスの識別子と、前記ユーザデバイスが実行したクラウドアプリケーションに関する第1のアプリケーション情報とを前記加入者情報管理サーバから取得するステップと、
取得した前記第1のモビリティ管理デバイスの識別子と、前記第1のアプリケーション情報とに基づいて、前記センタサーバから、前記第1のモビリティ管理デバイスの識別子に関連付けられる第1のユーザプレーンデバイス(SGW/UPF)の識別子を取得するステップと、
取得した前記第1のユーザプレーンデバイス(SGW/UPF)の識別子と、前記ユーザデバイスの識別子とに基づいて、前記第1のモビリティ管理デバイス(MME・AMF)に対し、前記ユーザデバイスの識別子に対応するユーザデバイスと、前記第1のユーザプレーンデバイス(SGW/UPF)の識別子に対応する第1のユーザプレーンデバイス(SGW/UPF)のとの間で通信路を設定するよう指示するステップと
を備える、方法にある。
【0021】
〔構成11〕 本発明に係る方法の特徴構成は、前記通信制御装置は、さらに、第2拠点の第2のモビリティ管理デバイスと接続可能に構成されており、
移動した前記ユーザデバイスが在圏している第2拠点の第2のモビリティ管理デバイス(MME・AMF)の識別子と、前記ユーザデバイスの識別子と、前記ユーザデバイスが実行したクラウドアプリケーションに関する第2のアプリケーション情報とを前記加入者情報管理サーバ(HSS・UDR)から取得するステップと、
取得した前記第2のモビリティ管理デバイス(MME・AMF)の識別子と、前記第2のアプリケーション情報とに基づいて、前記センタサーバから、前記第2のモビリティ管理デバイス(MME・AMF)の識別子と、前記第2のアプリケーション情報とに関連付けられる第2のユーザプレーンデバイス(SGW/UPF)の識別子を取得するステップと、
取得した前記第2のユーザプレーンデバイス(SGW/UPF)と、前記ユーザデバイスの識別子とに基づいて、前記第2のモビリティ管理デバイス(MME・AMF)に対し、前記ユーザデバイスの識別子に対応するユーザデバイスと、前記第2のユーザプレーンデバイス(SGW/UPF)との間で通信路を設定するよう前記第2のモビリティ管理デバイス(MME・AMF)に指示するステップと
を備える、構成10に記載の方法にある。
【0022】
〔構成12〕 本発明に係る方法の特徴構成は、前記通信制御装置は、さらに、第2拠点の第2のモビリティ管理デバイスと接続可能に構成されており、前記方法は、さらに、
前記ユーザデバイスから、前記ユーザデバイスの識別子と、前記ユーザデバイスが実行したクラウドアプリケーションに関する第2のアプリケーション情報とを取得するステップと、
前記センタサーバから、前記第2のアプリケーション情報に関連付けられる第2のユーザプレーンデバイス(SGW/UPF)の識別子を取得するステップと、
取得した前記第2のユーザプレーンデバイス(SGW/UPF)の識別子と、前記ユーザデバイスの識別子とに基づいて、前記第2のモビリティ管理デバイスに対し、前記第1のユーザプレーンデバイスと、前記第2のユーザプレーンデバイスとの間を接続し、前記ユーザデバイスの識別子に対応するユーザデバイスと、前記第2のユーザプレーンデバイス(SGW/UPF)との間で通信路を設定するよう前記第1のユーザプレーンデバイス(SGW/UPF)に指示するステップと、
を備える、構成10に記載の方法にある。
【0023】
〔構成13〕 本発明に係るシステムの特徴構成は、センタサーバと、
加入者情報管理サーバ(HSS・UDR)と、第1拠点の第1のモビリティ管理デバイス(MME・AMF)と、前記センタサーバとに接続可能に構成された通信制御装置と、
を備えるシステムであって、
前記通信制御装置は、
ユーザデバイスが在圏している前記第1拠点の前記第1のモビリティ管理デバイスの識別子と、前記ユーザデバイスの識別子と、前記ユーザデバイスが実行したクラウドアプリケーションに関する第1のアプリケーション情報とを前記加入者情報管理サーバから取得し、
取得した前記第1のモビリティ管理デバイスの識別子と、前記第1のアプリケーション情報とに基づいて、前記センタサーバから、前記第1のモビリティ管理デバイスの識別子と、前記第1のアプリケーション情報とに関連付けられる第1のユーザプレーンデバイス(SGW/UPF)の識別子を取得し、
取得した前記第1のユーザプレーンデバイス(SGW/UPF)の識別子と、前記ユーザデバイスの識別子とに基づいて、前記第1のモビリティ管理デバイス(MME・AMF)に対し、前記ユーザデバイスの識別子に対応するユーザデバイスと、前記第1のユーザプレーンデバイス(SGW/UPF)の識別子に対応する第1のユーザプレーンデバイス(SGW/UPF)のとの間で通信路を設定するよう指示する
よう構成され、
前記センタサーバは、前記モビリティ管理デバイス(MME・AMF)の識別子と、前記ユーザプレーンデバイス(SGW/UPF)の識別子とを関連付けたデータベースを格納するよう構成されるシステムにある。
【0024】
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0025】
本開示に係るシステムは、クラウドサービスをユーザデバイス(UE)へ提供するためのシステムである。本開示によると、ユーザデバイスは、ある拠点に関連付けられたクラウドサービスを利用した後、異なる拠点へ移動して、異なる拠点に関連付けられたクラウドサービスを利用することができる(第1実施形態)。また、ユーザデバイスは移動せずに、ユーザデバイスが現在在圏する拠点とは異なる拠点に関連付けられたクラウドサービスを利用することができる(第2実施形態)。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が本開示に含まれることが意図される。以下の説明では、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を繰り返さない。
【0026】
図1は、本開示の一実施形態による無線アクセス・ネットワークシステム100の概略の構成例を示す。無線アクセス・ネットワークシステム100は、ユーザデバイス(UE)110からの要求に応じて、クラウドサービスをUE110へ提供する。無線アクセス・ネットワークシステム100は、図1に示されたもの以外の他の要素を含むことができる。無線アクセス・ネットワークシステム100は複数の拠点を含み、各拠点の装置は、不図示の有線ネットワークまたは無線ネットワークを介して互いに他の拠点の装置と通信するように構成することができる。
【0027】
図1に示すように、本開示の無線アクセス・ネットワークシステム100は、センタサーバ102と、センタサーバ102に通信可能に接続されたモバイル制御装置200と、モバイル制御装置200に通信可能に接続された加入者情報管理サーバ104およびモビリティ管理デバイス106と、ユーザプレーン(UP)デバイス108と、エッジクラウドサーバ112と、基地局114とを備えることができる。センタサーバ102と、モバイル制御装置200と、加入者情報管理サーバ104と、モビリティ管理デバイス106と、ユーザプレーンデバイス108とはコアネットワーク側の設備である。エッジクラウドサーバ112はクラウドサービスを提供するプラットフォーム側の設備である。UE110は、不図示のネットワークを介して基地局114と通信可能に接続される。基地局114はモビリティ管理デバイス106と通信可能に接続される。なお、図1に示す接続は論理接続の一例であり、実際の物理接続は図示の例とは異なる場合がある。
【0028】
図1の例では、第1拠点にはモビリティ管理デバイス106(1)と、ユーザプレーンデバイス108(1)と、エッジクラウドサーバ112(1)と、基地局114(1)とが示され、第2拠点には、モビリティ管理デバイス106(2)と、ユーザプレーンデバイス108(2)と、エッジクラウドサーバ112(2)と、基地局114(2)とが示される。以下、モビリティ管理デバイス106(1)と、モビリティ管理デバイス106(2)を区別する必要がない場合、モビリティ管理デバイス106と称することがある。ユーザプレーンデバイス108、エッジクラウドサーバ112、基地局114についても同様である。なお、エッジクラウドサーバ112は、同一拠点あるいは異なる拠点の複数のユーザプレーンデバイス108のうち1つと通信可能に接続することができる。例えば、図1の例では、エッジクラウドサーバ112は、ユーザプレーンデバイス108(1)からユーザプレーンデバイス108(n)までn台のユーザプレーンデバイス108のうち1つに接続可能である。
【0029】
無線アクセス・ネットワークシステム100は、LTE(Long Term Evolution)に準拠してもよいし、5Gに準拠してもよい。無線アクセス・ネットワークシステム100がLTEに準拠する場合、加入者情報管理サーバ104はHSS(Home Subscriber Server)、モビリティ管理デバイス106はMME(Mobility Management Entity)であってもよい。また、ユーザプレーンデバイス108はSGW-C(Serving Gateway-Control)およびPGW-C(PDN(Packet Data Network)Gateway-Control)であってもよい。
【0030】
無線アクセス・ネットワークシステム100が5Gに準拠する場合、加入者情報管理サーバ104はUDR(User Data Repository)であり、モビリティ管理デバイス106はAMF(Access and Mobility Management Function)であってもよい。また、ユーザプレーンデバイス108はUPF(User Plane Function)であってもよい。
【0031】
以下では、無線アクセス・ネットワークシステム100はLTEに準拠しているものとして説明する。無線アクセス・ネットワークシステム100が5Gに準拠する場合は、上述したLTEの各構成要素(HSS、MME、SGW/PGW)をそれぞれ5Gの各構成要素(UDR、AMF、UPF)に読み替えて得られる構成となる。
【0032】
センタサーバ102は、モビリティ管理デバイス(MME)106の接続先となるユーザプレーンデバイス(SGW/PGW)108を特定することができる。詳細には、センタサーバ102は、UE110が在圏する拠点に配置されるモビリティ管理デバイス(MME)106の識別子に基づいて、複数のユーザプレーンデバイス(SGW/PGW)108のうち1つを特定することができる。
【0033】
さらに、センタサーバ102は、UE110が実行するクラウドアプリケーションに関連付けられるアプリケーション情報(以下、「アプリ情報」ともいう)に応じて、ユーザプレーンデバイス(SGW/PGW)108を特定することができる。アプリ情報は、UE110が実行したクラウドアプリケーションに関する情報の問い合わせや、UE110が実行するクラウドアプリケーションに割り当てられたアプリケーション種別の識別子(以下アプリ種別識別子という。)を含むことができる。このアプリ種別識別子は、さらに、UE110により要求されたクラウドアプリケーション情報を提供可能なエッジクラウドサーバ112が属する拠点に対応付けられてもよい。
【0034】
さらに、センタサーバ102は、特定したユーザプレーンデバイス(SGW/PGW)108をモバイル制御装置200に通知することができる。これにより、センタサーバ102は、モバイル制御装置200を介して、間接的に、モビリティ管理デバイス(MME)106と、ユーザプレーンデバイス(SGW/PGW)108と、ユーザプレーンデバイス(SGW/PGW)108の接続先であるエッジクラウドサーバ112の動作を管理することができる。
【0035】
センタサーバ102は、少なくとも、各種データを一時的又は永続的に記憶する記憶部130を備える。記憶部130には、少なくともセンタサーバ102がモバイル制御装置200と通信するためのプログラムと、データベース(図4のデータベース400)とが格納されている。記憶部130は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスク、フラッシュメモリ、光ディスク等によって構成することができる。
【0036】
データベース400(図4)は、モビリティ管理デバイス(MME)106が、どのユーザプレーンデバイス(SGW/PGW)108に接続されるかを管理するデータベースである。センタサーバ102は、このデータベース400を参照して、モビリティ管理デバイス(MME)106の接続先となるユーザプレーンデバイス(SGW/PGW)108を特定することができる。データベース400の詳細は、図4において後述する。
【0037】
加入者情報管理サーバ(HSS)104は、モバイルネットワークを利用する加入者情報を管理する加入者情報データベースを保持する。加入者情報は、SIMカードに紐付けられている電話番号、契約内容、SIMの識別番号であるIMSI(International Mobile Subscription Identity)等の少なくとも一部を備えることができる。さらに、加入者情報管理サーバ(HSS)104は、UE110から、アプリ情報を取得し、これをモバイル制御装置200へ通知することができる。
【0038】
モビリティ管理デバイス(MME)106は、加入者情報管理サーバ(HSS)104と、ユーザプレーンデバイス(SGW/PGW)108と、モバイル制御装置200とに接続される。モビリティ管理デバイス(MME)106は、UE110の位置情報管理と、アクセス制御等を行う。例えば、モビリティ管理デバイス(MME)106はユーザデバイスの位置登録や呼出・基地局間ハンドオーバーの管理を行う。
【0039】
ユーザプレーンデバイス(SGW/PGW)108は、モバイル制御装置200と、エッジクラウドサーバ112とに接続される。ユーザプレーンデバイス108は、U-plane処理に特化した機能等を提供する。
【0040】
UE110は、セル116を提供する各エッジクラウド拠点の基地局114と無線接続するように構成される。UE110はスマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)、タブレット型コンピュータ、ラップトップ型コンピュータ(いわゆる、ノートパソコン)、デスクトップ型コンピュータとして実現される。UE110は、自動車などの移動体に備えられる、あるいは組み込まれるデバイスであってもよいし、固定的に配置される機器に備えられる、あるいは組み込まれるデバイスであってもよい。UE110は、IoT(Internet of Things)機器であってもよい。図1の例では、ユーザデバイス110が第1拠点に在圏するとき、ユーザデバイス110は第1拠点の基地局114(1)に接続され、ユーザデバイス110が第2拠点に在圏するとき、ユーザデバイス110は第2拠点の基地局114(2)に接続される。
【0041】
エッジクラウドサーバ112は、インターネットを通じてUE110が利用可能な、クラウドベースで動作する各種クラウドサービスを提供するサーバである。エッジクラウドサーバ112は、各拠点に関連づけられた各種情報を管理する。
【0042】
クラウドサービスが提供するクラウドアプリケーションは、UE110からの要求に応じて、エッジクラウドサーバ112が管理する、各拠点に関連付けられた各種情報を、UE110に送信等することができる。
【0043】
一例では、クラウドアプリケーションは、駐車場空き情報通知アプリケーションである。駐車場空き情報通知アプリケーションは、ユーザにより要求された拠点の駐車場の空き情報をUE110に送信等することができる。エッジクラウドサーバ112(1)は第1拠点に、エッジクラウドサーバ112(2)は第2拠点にそれぞれ関連付けられた駐車場の現在の空き情報、現在の混雑情報等(以下、「駐車場空き情報」という)をリアルタイムで管理する。駐車場空き情報は、拠点を中心とする領域にある各施設の駐車場の空きの有無、空きの数等が挙げられる。UE110はエッジクラウドサーバ112(2)にアクセスし、目的とする第2拠点に関連付けられた各種情報をリアルタイムで取得し、UE110の画面に表示等することができる。
【0044】
他の例では、クラウドアプリケーションは、宿泊施設空室状況通知アプリケーションである。宿泊施設空室状況通知アプリケーションは、ユーザにより要求された拠点の宿泊施設空室状況をUE110に送信等することができる。エッジクラウドサーバ112(1)は第1拠点に、エッジクラウドサーバ112(2)は第2拠点にそれぞれ関連付けられた宿泊施設の現在の空室情報等(以下、「施設空室情報」という)をリアルタイムで管理する。施設空室情報は、拠点を中心とする領域にある各施設の空室の有無、空室の数等が挙げられる。UE110は、エッジクラウドサーバ112(2)にアクセスし、目的とする第2拠点に関連付けられた各種情報をリアルタイムで取得し、UE110の画面に表示等することができる。
【0045】
基地局114は、1つ又は複数の基地局アンテナを介して、セル116に在圏するUE110と無線通信することができる。基地局114の各々は、それぞれ物理的な領域に通信セル116を提供することができる。また、基地局114はUE110とコアネットワーク間の接続をサポートする。基地局114は、eNodeB(evolved NodeB)と呼ばれることがある。
【0046】
モバイル制御装置200は、センタサーバ102と、拠点側の装置である加入者情報管理サーバ(HSS)104および、モビリティ管理デバイス(MME)106と接続され、これらの間の通信を制御する通信制御装置である。モバイル制御装置200は、センタサーバ102で特定された、ユーザプレーンデバイス(SGW/PGW)108の識別子を取得し、これをモビリティ管理デバイス(MME)106へ通知する装置である。
【0047】
図9は、従来の無線アクセス・ネットワークシステム900の概略の構成例を示す。従来構成の無線アクセス・ネットワークシステム900は、本開示のセンタサーバ102(図1)と、モバイル制御装置200(図1)は備えない。従来の構成例では、無線アクセス・ネットワークシステム900は、UE910がクラウドサービスを利用する際、UE910は自身が在圏するモビリティ管理デバイス(MME)906に接続し、コアネットワーク側の設備であるモビリティ管理デバイス906が指定したユーザプレーンデバイス(SGW/PGW)908(例えば908(1))を介して、1台のエッジクラウドサーバ712に接続していた。つまり、モビリティ管理デバイス(MME)906が、エッジクラウドサーバ912へ接続するためのユーザプレーンデバイス(SGW/PGW)908を管理していた。一例では、モビリティ管理デバイス(MME)906はラウンドロビン方式で複数(図9の例ではn台)あるユーザプレーンデバイス(SGW/PGW)908のうち1つを指定する。また、加入者情報管理サーバ(HSS)904は、ユーザデバイス(UE)910が、どの拠点のモビリティ管理デバイス(MME)906に在圏しているかを管理するものの、どの拠点のユーザプレーンデバイス(SGW/PGW)908を介してエッジクラウドサーバ912に接続するかを管理していなかった。このため、モビリティ管理デバイス906は、モビリティ管理デバイス906が位置する第1拠点とは離れた第2拠点のユーザプレーンデバイス(SGW/PGW)908(n)を指定することがあった。その結果、モビリティ管理デバイス906と、ユーザプレーンデバイス(SGW/PGW)908(n)との間の物理的距離、ユーザプレーンデバイス(SGW/PGW)908(n)とエッジクラウドサーバ712との間の物理的距離によって通信に遅延が生じることがあった。さらに、1台のエッジクラウドサーバ912に、複数のユーザプレーンデバイス(SGW/PGW)908からのアクセスが一極集中することがあった。
【0048】
本開示の無線アクセス・ネットワークシステム100(図1)は、センタサーバ102と、モバイル制御装置200とを備える。本開示によると、モビリティ管理デバイス(MME)106ではなく、センタサーバ102がモビリティ管理デバイス(MME)106の接続先となるユーザプレーンデバイス(SGW/PGW)108を特定し、これをモバイル制御装置200に通知する。センタサーバ102は、モビリティ管理デバイス(MME)106や、エッジクラウドサーバ112と物理的に近い、例えば、エッジクラウドサーバ112と同じ場所に配置されたユーザプレーンデバイス(SGW/PGW)108を特定することができる。
【0049】
また、本開示の無線アクセス・ネットワークシステム100では、エッジクラウドサーバ112はクラウド拠点ごとに配置されている。UE110がクラウドサービスを利用すると、センタサーバ102は、UE110が実行するクラウドアプリケーションの利用状況(上述のアプリ情報)に応じて、エッジクラウドサーバ112と接続するユーザプレーンデバイス(SGW/PGW)108等を特定する。このため、複数のUE110からクラウドアプリケーションへのアクセスがあっても、その利用状況に応じて、異なる複数拠点のエッジクラウドサーバ112へUE110からのアクセスを分散することができる。
【0050】
<モバイル制御装置200のハードウェア構成>
図2は、本開示の一実施形態による、図1の無線アクセス・ネットワークシステム100を構成するモバイル制御装置200のハードウェア構成を例示する図である。なお、図2は、本開示のモバイル制御装置200を特定の構成に限定するものではない。図2に示す様々な構成要素は、組み合わされるか細分化されるか、または省略されてもよく、追加の構成要素が、特定の必要性に従って追加されてもよい。
【0051】
(モバイル制御装置200)
モバイル制御装置200は図2に示すように、プロセッサ202と、メモリ204と、ストレージ206と、通信インターフェイス(IF)208とを備える。モバイル制御装置200が備えるこれらの構成は、通信バス262によって互いに電気的に接続される。
【0052】
プロセッサ202は、モバイル制御装置200の全体の動作を制御する。プロセッサ202は、CPU(Central Processing Unit)、およびMPU(Micro Processing Unit)等のデバイスとして実現される。プロセッサ202は、後述するストレージ206からプログラムを読み出す。そして、プロセッサ202は、それぞれ、読み出したプログラムを、後述するメモリ204へ展開する。プロセッサ202は、展開したプログラムを実行する。一例として、プロセッサ202は、モバイル制御装置200に与えられる信号に基づいて、あるいは、予め定められた条件が成立したことに基づいて、メモリ204に展開したプログラムに含まれる一連の命令を実行する。
【0053】
メモリ204は主記憶装置である。メモリ204は、プログラム及びデータを一時的に保存する。メモリ204は、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)等の記憶装置として実現される。一例として、メモリ204は、プロセッサ202が後述するストレージ206から読み出したプログラムおよび各種データを一時的に記憶することにより、プロセッサ202に作業領域を提供する。メモリ204には、少なくともオペレーティングシステムが格納されている。オペレーティングシステムは、モバイル制御装置200の全体的な動作を制御するためのコンピュータプログラムである。
【0054】
ストレージ206は補助記憶装置である。ストレージ206は、プログラムおよびデータを永続的に保持する。ストレージ206は、例えば、ROM(Read-Only Memory)、ハードディスク装置、フラッシュメモリ等の不揮発性記憶装置として実現される。ストレージ206には、例えば、他のコンピュータ等との通信を実現するためのプログラム等が格納される。
【0055】
通信IF208は、所定の通信プロトコルに従ってモバイル制御装置200と通信可能な各種装置との間で各種データの送受信を制御する。通信IF208は、各種装置(センタサーバ102、加入者情報管理サーバ104、モビリティ管理デバイス106)との間の有線、無線ネットワーク上での通信をサポートする。
【0056】
本開示によると、センタサーバ102は、UE110が実行したクラウドアプリケーションのアプリ情報等に応じて、ユーザプレーンデバイス(SGW/PGW)108を特定し、特定したユーザプレーンデバイス(SGW/PGW)108と、モビリティ管理デバイス(MME)106との間の接続を可能にする。UE110はある拠点から異なる拠点に移動すると、移動先の拠点に近いエッジクラウドサーバ112に接続しクラウドサービスを利用することができる(第1実施形態)。あるいは、センタサーバ102は、UE110が実行したクラウドアプリケーションのアプリ情報等に応じて、ユーザプレーンデバイス(SGW/PGW)108を特定し、特定したユーザプレーンデバイス(SGW/PGW)108と、他のユーザプレーンデバイス(SGW/PGW)108との間の接続を可能にする。UE110は移動せずに、アプリ情報等に応じて、UE110が在圏する拠点、あるいは在圏する拠点とは異なる拠点に近いエッジクラウドサーバ112に接続し、クラウドサービスを利用することができる(第2実施形態)。以下、まず第1実施形態について説明する。
【0057】
<第1実施形態>
図1は本開示の第1実施形態に係る無線アクセス・ネットワークシステム100を例示する。第1実施形態に係る無線アクセス・ネットワークシステム100は、図1に示すように、UE110が、第1のエッジクラウド拠点から第2のエッジクラウド拠点に移動したときに、UE110が移動先に物理的に近いユーザプレーンデバイス(SGW/PGW)108をモビリティ管理デバイス(MME)106の接続先として特定し、ユーザプレーンデバイス(SGW/PGW)108を介して、エッジクラウドサーバ112を利用可能にする。
【0058】
図1の例では、UE110が第1のエッジクラウド拠点に在圏するとき、モバイル制御装置200は、MME106(1)に対して第1の拠点のSGW/PGW108(1)を介してエッジクラウドサーバ112(1)とデータ通信路を設定するよう指示する。その後、UE110が第1のエッジクラウド拠点から第2のエッジクラウド拠点に移動し、UE110が第2の拠点に在圏すると、モバイル制御装置200は、MME106(2)に対して第2の拠点のSGW/PGW108(2)を介してエッジクラウドサーバ112(2)とデータ通信路を設定するよう指示する。
【0059】
図3は、本開示の第1実施形態による無線アクセス・ネットワークシステム100において実行される処理フロー300の例を示す。UE110には、一例として拠点の駐車場空き情報を取得するためのクラウドアプリケーションがインストールされているものとする。
【0060】
まず、ステップS302において、UE110が、基地局114(図1)を介して、UE110が在圏する第1拠点のMME106(1)に、UE110に固有の識別子で在圏登録要求をする。UEの識別子は、例えばIMSI(International mobile Subscriber Identity)である。また、UE110は、UE110が実行したクラウドアプリケーションのアプリ情報を、MME106(1)に送信する。本実施形態において、アプリ情報は、UE110が実行したクラウドアプリケーション(例えば、駐車場空き情報通知アプリケーション)より要求された、UE110が在圏する拠点の駐車場空き情報の問い合わせを含むことができる。MME106(1)はUE110から、UE110の識別子と、端末の登録要求と、UE110が実行したクラウドアプリケーションのアプリ情報とを受信すると、UE110の在圏登録をする。
【0061】
次に、ステップS304において、MME106(1)は、第1拠点のMME106(1)の識別子と、UE110の識別子と、アプリ情報とをHSS104に送信する。
【0062】
次に、ステップS306において、HSS104は、第1拠点のMME106(1)の識別子と、UE110の識別子と、アプリ情報とをMME106(1)から取得する。HSS104は、第1拠点のMME106(1)の識別子と、アプリ情報とに基づいて、MME106(1)が、どのSGW/PGW108へ接続すべきか、モバイル制御装置200に問い合わせする。例えば、UE110が実行したクラウドアプリケーション(駐車場空き情報通知アプリケーション)に関連する情報(駐車場空き情報の問い合わせ)に基づいて、MME106(1)がどのSGW/PGW108へ接続すべきか問い合わせする。
【0063】
次に、ステップS308において、モバイル制御装置200は、アプリ情報から、UE110により実行されたクラウドアプリケーションに割り当てられたアプリ種別識別子を特定する。また、モバイル制御装置200は、センタサーバ102にMME106(1)の識別子と、アプリ種別識別子とに関連付けられたSGW/PGW108を問い合わせする。
【0064】
次に、ステップS310において、センタサーバ102は、センタサーバ102の記憶部130に記憶されているデータベース400(図4)を参照して、MME106(1)の識別子と、アプリ種別識別子とに関連付けられたSGW/PGW108(1)を特定する。
【0065】
図4は、本開示の一実施形態によるセンタサーバ102が格納するデータベース400を例示する。データベース400は、センタサーバ102に予め格納されており、アプリ種別識別子と、MME106の識別子と、SGW/PGW108の識別子とを関連付ける。データベース400は、複数のアプリ種別識別子(図示の例ではアプリ種別識別子(A)から(C))を管理することができる。アプリ種別識別子(A)は、複数のアプリ種別識別子のうち、UE110により実行された第1のクラウドアプリケーション(本例では駐車場空き情報通知アプリケーション)に割り当てられたアプリ種別識別子である。アプリ種別識別子(B)および(C)は、UE110により実行された第2のクラウドアプリケーション(本例では宿泊施設空室状況通知アプリケーション)に割り当てられたアプリ種別識別子である。アプリ種別識別子(B)と(C)は、さらに、UE110により要求されたクラウドアプリケーション情報を提供可能なエッジクラウドサーバ112が属する拠点や、エリアを区別できるよう、拠点あるいはエリアごとに別の識別子を割り当てることができる(アプリ種別識別子(B)は拠点1、アプリ種別識別子(C)は拠点2)。
【0066】
また、データベース400は、クラウドアプリケーションに関する情報を提供可能なエッジクラウドサーバ112と、物理的に近いSGW/PGW108を、MME106に関連付けて格納することができる。例えば、データベース400は、UE110により実行されたクラウドアプリケーションに関する情報(本例では拠点1の駐車場空き情報)を提供可能な拠点1のエッジクラウドサーバ112(1)に物理的に近い拠点1のSGW/PGW108(1)と、MME106(1)とを関連付けて格納することができる。このように、本開示によると、センタサーバ102のデータベース400を利用して、エッジクラウドサーバ112(2)が提供するクラウドアプリケーションの実行の効率性の観点から、MME106と、SGW/PGW108との構成を任意に設定することができる。
【0067】
図3に戻り、ステップS312において、センタサーバ102は、特定したSGW/PGW108(1)の識別子をモバイル制御装置200へ送信する。
【0068】
次に、ステップS314において、モバイル制御装置200は、MME106(1)に、UE110の識別子とともに、特定されたSGW/PGW108(1)の識別子を通知する。
【0069】
次に、ステップS316において、MME106(1)は、特定されたSGW/PGW108(1)の識別子に対応するSGW/PGW108との間でデータ通信路を設定する。MME106(1)とSGW/PGW108(1)との間でセッションが確立すると、UE110は、SGW/PGW108(1)を介して、第1拠点のエッジクラウドサーバ112(1)と通信することができる。これにより、UE110は、エッジクラウドサーバ112(1)により提供される各種情報を取得することができる。一例では、UE110は、第1拠点のエッジクラウドサーバ112(1)から、第1拠点を中心とする領域の駐車場の空き情報を取得することができる。
【0070】
以上、ステップS302からステップS316までの処理により、UE110は、センタサーバ102により特定されたSGW/PGW(1)を介して、エッジクラウドサーバ112(1)と通信をすることができる。
【0071】
図3に戻り、UE110が第1拠点から第2拠点に移動すると、ステップ318において、UE110が、基地局114(2)(図1)を介して、UE110が在圏する第2拠点のMME106(2)に、UE110に固有の識別子で在圏登録要求をする。MME106(2)はUE110から受信したUE110の識別子で在圏登録をする。
【0072】
次に、ステップS320において、第2拠点のMME106(2)の識別子と、UE110の識別子と、UE110が実行したクラウドアプリケーションに関連するアプリ情報とをHSS104に送信する。
【0073】
次に、ステップS322において、HSS104は、第2拠点のMME106(2)の識別子と、UE110の識別子と、アプリ情報とをMME106(2)から取得する。HSS104は、第2拠点のMME106(2)の識別子と、ステップS322にて取得したアプリ情報とから、MME106(2)が、どのSGW/PGW108へ接続すべきか、モバイル制御装置200に問い合わせする。例えば、UE110が実行したクラウドアプリケーション(駐車場空き情報通知アプリケーション)に関連する情報(駐車場空き情報の問い合わせ)に基づいて、MME106(2)がどのSGW/PGW108へ接続すべきか問い合わせする。
【0074】
次に、ステップS324において、モバイル制御装置200は、アプリ情報から、UE110により実行されたクラウドアプリケーションに割り当てられたアプリ種別識別子を特定する。また、モバイル制御装置200は、センタサーバ102にMME106(2)の識別子と、アプリ種別識別子とに関連付けられたSGW/PGW108を問い合わせする。
【0075】
次に、ステップS326において、センタサーバ102は、センタサーバ102の記憶部130に記憶されているデータベース400(図4)を参照して、MME106(2)の識別子と、アプリ種別識別子(A)とに関連付けられたSGW/PGW108(2)を特定する。
【0076】
次に、ステップS328において、センタサーバ102は、特定したSGW/PGW108(2)の識別子をモバイル制御装置200へ送信する。
【0077】
次に、ステップS330において、モバイル制御装置200は、MME106(2)に、UE110の識別子とともに、特定されたSGW/PGW108(2)の識別子を通知する。
【0078】
次にステップS332において、MME106(2)は、特定されたSGW/PGW108(2)の識別子に対応するSGW/PGW108との間でデータ通信路を設定する。MME106(2)とSGW/PGW108(2)との間でセッションが確立すると、UE110は、SGW/PGW108(2)を介して、移動先の第2拠点のエッジクラウドサーバ112(2)と通信をすることができる。これによりUE110は、エッジクラウドサーバ112(2)が管理する各種情報を取得することができる。一例では、UE110は、第2拠点のエッジクラウドサーバ112(2)から、第2拠点を中心とする領域にある駐車場の空き情報を取得することができる。
【0079】
既存の移動体通信システムにおけるプロトコル上、UE110に割り当てられるSGW/PGWは1つでなければならず、複数のSGW/PGWを割り当てることはできない。このため、既存のシステムでは、UE110の移動に追従させて、SGW/PGWを変更するには、例えばUE110とSGW/PGWの間を一旦切断して再接続する必要があった。また、HSSはUE110がどのSGW/PGWに割り当てられているのか把握していない。本実施形態に係る無線アクセス・ネットワークシステム100では、UE110が移動しても、センタサーバ102において特定されたSGW/PGWとの間で通信路を設定できる。
【0080】
<第2実施形態>
図5は本開示の第2実施形態に係る無線アクセス・ネットワークシステム500を例示する。本開示の第2実施形態に係る無線アクセス・ネットワークシステム100は、UE110が第1拠点から第2拠点に物理的に移動する第1実施形態とは異なり、UE110は拠点間を移動せず、第1拠点に在圏したまま、第2拠点のエッジクラウドサーバ112(2)に接続することができる。
【0081】
図6は、本開示の第2実施形態による無線アクセス・ネットワークシステム500(図5)において実行される処理フロー600の例を示す。UE110には、一例として拠点の宿泊施設空室状況を取得するためのクラウドアプリケーションがインストールされているものとする。
【0082】
本実施形態におけるステップS602からステップS616までの処理は、上述した第1実施形態に係るステップS302からステップS316までの処理と略同じであるので、ここでは詳細の説明を割愛する。
【0083】
ステップ618において、UE110はモバイル制御装置200に対し、基地局114(1)、およびMME106(1)(図1)を介して、UE110固有の識別子と共に、第2拠点のエッジクラウドサーバ112(2)が管理する各種情報の問い合わせを行う。一例では、UE110は、第2拠点のエッジクラウドサーバ112(2)が管理する、第2拠点に位置する宿泊施設の施設空室情報を問い合わせする。また、UE110は、UE110が実行したクラウドアプリケーションのアプリ情報を、モバイル制御装置200に送信する。本実施形態において、アプリ情報は、UE110が実行した宿泊施設空室状況通知アプリケーションより要求された、ある拠点の宿泊施設空室状況の情報の問い合わせと、UE110により要求されたクラウドアプリケーション情報を提供可能なエッジクラウドサーバ112が属する拠点(例えば拠点2)と対応したアプリ種別識別子(C)を含むことができる。
【0084】
次に、ステップS620において、モバイル制御装置200は、UE110から受信したアプリ情報のアプリ種別識別子(C)をセンタサーバ102に送信する。
【0085】
次に、ステップS622において、センタサーバ102は、センタサーバ102の記憶部130に記憶されているデータベース400(図4)を参照して、アプリ種別識別子(C)に関連付けられたSGW/PGW108(2)を特定する。データベース400(図4)のアプリ種別識別子(C)は、複数のアプリ種別識別子のうち、UE110により実行された拠点2に関する情報を提供可能なクラウドアプリケーション(本例では宿泊施設空室状況通知アプリケーション)に割り当てられたアプリ種別識別子である。データベース400は、UE110により実行されたクラウドアプリケーションに関する情報(本例では拠点2の宿泊施設空室状況の情報)を提供可能な拠点2のエッジクラウドサーバ112(2)に物理的に近い拠点2のSGW/PGW108(2)を、MME106(2)の識別子に関連付けて格納することができる。このように、本開示によると、センタサーバ102のデータベース400を利用して、エッジクラウドサーバ112(2)が提供するアプリケーションの実行の効率性の観点から、MME106と、SGW/PGW108との構成を任意に設定することができる。
【0086】
次に、ステップS624において、センタサーバ102は、特定したSGW/PGW108(2)の識別子をモバイル制御装置200へ送信する。
【0087】
次に、ステップS626において、モバイル制御装置200は、SGW/PGW108(1)に、UE110の識別子とともに、特定されたSGW/PGW108(2)の識別子を送信するとともに、SGW/PGW108(1)に対し、SGW/PGW108(2)とのデータ通信路を設定するよう指示する。
【0088】
次に、ステップS628において、SGW/PGW108(1)は、SGW/PGW108(2)との間でデータ通信路を設定する。SGW/PGW108(1)とSGW/PGW108(2)との間でセッションが確立すると、UE110は、SGW/PGW108(1)とSGW/PGW108(2)とを介して、移動先の第2拠点のエッジクラウドサーバ112(2)と通信をすることができる。
【0089】
第2実施形態によると、センタサーバ102は、UE110から受信したアプリ情報に応じて、ユーザプレーンデバイス(SGW/PGW)108を特定し、特定されたユーザプレーンデバイス(SGW/PGW)108と、UE110が在圏する拠点のモビリティ管理デバイス(MME)106に関連付けられるユーザプレーンデバイス(SGW/PGW)108との間の接続を可能にする。これにより、UE110は、在圏する第1拠点とは異なる拠点のエッジクラウドサーバ112(2)と接続し、エッジクラウドサーバ112(2)から、第2拠点を中心とする領域に或る宿泊施設の施設空室情報を取得することができる。センタサーバ102は、異なる拠点に配置されるユーザプレーンデバイス(SGW/PGW)108同士の接続を可能にする。
【0090】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0091】
ある実施形態では、無線アクセス・ネットワークシステム100は5Gに準拠してもよい。図7は、無線アクセス・ネットワークシステム100において実行される処理フロー700の例を示す。本実施形態においては、センタサーバ102は、UE110が実行したクラウドアプリケーションのアプリ情報等に応じて、ユーザプレーンデバイス(UPF)108’を特定し、特定したユーザプレーンデバイス(UPF)108’と、モビリティ管理デバイス(AMF)106’との間の接続を可能にする。なお、無線アクセス・ネットワークシステム100が5Gに準拠する場合は、上述した<第1実施形態>に係るLTEの各構成要素(HSS、MME、SGW/PGW)をそれぞれ5Gの各構成要素(UDR、AMF、UPF)に読み替えて得られる構成となり、その処理の詳細は省略する。
【0092】
他の実施形態では、無線アクセス・ネットワークシステム100は5Gに準拠してもよい。図8は、無線アクセス・ネットワークシステム100において実行される処理フロー800の例を示す。本実施形態においては、センタサーバ102は、UE110が実行したクラウドアプリケーションのアプリ情報等に応じて、ユーザプレーンデバイス(UPF)108’を特定し、特定したユーザプレーンデバイス(UPF)108’と、他のユーザプレーンデバイス(UPF)108’との間の接続を可能にする。なお、無線アクセス・ネットワークシステム100が5Gに準拠する場合は、上述した<第2実施形態>に係るLTEの各構成要素(HSS、MME、SGW/PGW)をそれぞれ5Gの各構成要素(UDR、AMF、UPF)に読み替えて得られる構成となり、その処理の詳細は省略する。
【符号の説明】
【0093】
100…無線アクセス・ネットワークシステム
102…センタサーバ
104…加入者情報管理サーバ
106…モビリティ管理デバイス
108…ユーザプレーンデバイス
110…ユーザデバイス
112…エッジクラウドサーバ
114…基地局
200…モバイル制御装置
202…プロセッサ
204…メモリ
206…ストレージ
400…データベース
500…無線アクセス・ネットワークシステム
700…無線アクセス・ネットワークシステム
706…モビリティ管理デバイス
708…ユーザプレーンデバイス
710…ユーザデバイス
712…エッジクラウドサーバ
【要約】
【課題】クラウドアプリケーションの利用状況に応じて、ユーザデバイスとコアネットワーク側の設備の間の接続構成を決定する。
【解決手段】通信制御装置であって、ユーザデバイスが在圏している第1拠点の第1のモビリティ管理デバイスの識別子と、ユーザデバイスの識別子と、ユーザデバイスが実行したクラウドアプリケーションに関する第1のアプリケーション情報とを加入者情報管理サーバから取得し、第1のモビリティ管理デバイスの識別子と、第1のアプリケーション情報に基づいて、センタサーバから第1のモビリティ管理デバイスの識別子と、第1のアプリケーション情報に関連付けられる第1のユーザプレーンデバイスの識別子を取得し、第1のユーザプレーンデバイスの識別子と、ユーザデバイスの識別子に基づいて、第1のモビリティ管理デバイスに対し、ユーザデバイスと第1のユーザプレーンデバイスのとの間で通信路を設定するよう指示するよう構成される、通信制御装置。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9