(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】情報処理装置及びその入力制御方法並びにプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0338 20130101AFI20221101BHJP
G06F 3/02 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
G06F3/0338 412
G06F3/02 440
(21)【出願番号】P 2021175329
(22)【出願日】2021-10-27
【審査請求日】2021-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】森 英俊
(72)【発明者】
【氏名】堀越 正太
(72)【発明者】
【氏名】工藤 奈々
(72)【発明者】
【氏名】渡村 憲司
【審査官】滝谷 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-61225(JP,A)
【文献】国際公開第2020/227473(WO,A1)
【文献】米国特許第6400355(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/0338
G06F 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポインティングスティックと、
マウスカーソル移動に関する複数のモードのそれぞれに対して、マウスカーソルの移動速度に関するパラメータが登録されたパラメータ情報を格納する記憶部と、
前記ポインティングスティックに所定値以上のZ軸方向の圧力が加えられたか否かを判定する判定部と、
前記ポインティングスティックに所定値以上のZ軸方向の圧力が加えられたか否かに応じて、いずれか一つの前記モードを選択モードとして設定するモード設定部と、
前記選択モードの前記パラメータ情報に応じてマウスカーソルの移動速度を制御するマウスカーソル制御部と
を具備する情報処理装置。
【請求項2】
複数の前記モードは、第1モードと、前記第1モードよりもマウスカーソルの移動速度が速い第2モードとを含み、
前記モード設定部は、前記ポインティングスティックに所定値以上のZ軸方向の圧力が加えられている場合に、前記第1モードを選択モードとして設定する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第1モードに対応する前記パラメータ及び前記第2モードに対応する前記パラメータは、ユーザによって設定可能とされている請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
ポインティングスティックのスティックの根元部に設けられた複数のひずみセンサを備え、
前記判定部は、前記ひずみセンサのひずみの方向及び単位時間当たりの変化量に基づいて判定を行う請求項1から3のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項5】
ポインティングスティックと、マウスカーソル移動に関する複数のモードとを有し、選択されているいずれかの前記モードに応じてマウスカーソルの移動速度を制御する情報処理装置であって、
少なくともいずれか一つの前記モードに対応するマウスカーソルの移動速度に関するパラメータをユーザが設定するための設定入力部と、
前記設定入力部で設定された情報を用いて、各前記モードに対応するパラメータを設定するパラメータ設定部と、
前記ポインティングスティックに所定値以上のZ軸方向の圧力が加えられたか否かに応じて、いずれか一つの前記モードを選択モードとして設定するモード設定部と
を具備する情報処理装置。
【請求項6】
コンピュータを請求項1から4のいずれかに記載の情報処理装置として機能させるためのプログラム。
【請求項7】
ポインティングスティックを有するとともに、マウスカーソル移動に関する複数のモードを有する情報処理装置の入力制御方法であって、
前記ポインティングスティックに所定値以上のZ軸方向の圧力が加えられたか否かを判定する工程と、
前記ポインティングスティックに所定値以上のZ軸方向の圧力が加えられたか否かに応じて、複数の前記モードのうちのいずれか一つを選択モードとして設定する工程と、
前記選択モードに対応して登録されているマウスカーソルの移動速度に関するパラメータに応じてマウスカーソルの移動速度を制御する工程と
をコンピュータが実行する入力制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及びその入力制御方法並びにプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ノートPC等の一部の情報処理装置には、ディスプレイに表示されたマウスカーソルを操作するためのポインティングスティックが設けられている(例えば、特許文献1参照)。ポインティングスティックの代表例として、トラックポイントが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ポインティングスティック、マウス、タッチパッド等のポインティングデバイスについては、マウスカーソルの移動速度をユーザが調整できる設定機能が設けられている。近年、ディスプレイの高解像度化やマルチディスプレイ環境の使用頻度の増加に伴い、画面上でマウスカーソルを動かす距離が従前に比べて増加している。このため、ポインティングデバイスの移動速度を速める設定、換言すると、感度を高める設定が好まれるようになっている。しかしながら、ポインティングデバイスの移動速度を速める設定を行うと、細かいマウスカーソルの動きを行うことが難しくなる。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、ポインティングスティックの操作性を向上させることのできる情報処理装置及びその入力制御方法並びにプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一態様は、ポインティングスティックと、マウスカーソル移動に関する複数のモードのそれぞれに対して、マウスカーソルの移動速度に関するパラメータが登録されたパラメータ情報を格納する記憶部と、前記ポインティングスティックに所定値以上のZ軸方向の圧力が加えられたか否かを判定する判定部と、前記ポインティングスティックに所定値以上のZ軸方向の圧力が加えられたか否かに応じて、いずれか一つの前記モードを選択モードとして設定するモード設定部と、前記選択モードの前記パラメータ情報に応じてマウスカーソルの移動速度を制御するマウスカーソル制御部とを具備する情報処理装置である。
【0007】
本発明の第二態様は、ポインティングスティックと、マウスカーソル移動に関する複数のモードとを有し、選択されているいずれかの前記モードに応じてマウスカーソルの移動速度を制御する情報処理装置であって、少なくともいずれか一つの前記モードに対応するマウスカーソルの移動速度に関するパラメータをユーザが設定するための設定入力部と、前記設定入力部で設定された情報を用いて、各前記モードに対応するパラメータを設定するパラメータ設定部と、前記ポインティングスティックに所定値以上のZ軸方向の圧力が加えられたか否かに応じて、いずれか一つの前記モードを選択モードとして設定するモード設定部とを具備する情報処理装置である。
【0008】
本発明の第三態様は、コンピュータを上記情報処理装置として機能させるためのプログラムである。
【0009】
本発明の第四態様は、ポインティングスティックを有するとともに、マウスカーソル移動に関する複数のモードを有する情報処理装置の入力制御方法であって、前記ポインティングスティックに所定値以上のZ軸方向の圧力が加えられたか否かを判定する工程と、前記ポインティングスティックに所定値以上のZ軸方向の圧力が加えられたか否かに応じて、複数の前記モードのうちのいずれか一つを選択モードとして設定する工程と、前記選択モードに対応して登録されているマウスカーソルの移動速度に関するパラメータに応じてマウスカーソルの移動速度を制御する工程とをコンピュータが実行する入力制御方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ポインティングスティックの操作性を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る情報処理装置の概略外観図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るポインティングスティックの概略の断面構成の一例を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るポインティングスティックのキャップを取り外した状態を示す平面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る情報処理装置のハードウェアの概略構成の一例を示した図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る情報処理装置が有する機能の一例を示した機能ブロック図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るパラメータ情報の一例を示した図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る感度パラメータテーブルの一例を示した図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係るポインティングスティックの設定画面の一例を示した図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る情報処理装置によって実行される入力制御方法の処理手順の一例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る情報処理装置及びその入力制御方法並びにプログラムの一実施形態について、図面を参照して説明する。以下の説明では、情報処理装置1の一例として、ノートPCを例示して説明するが、この例に限定されない。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置1の概略外観図である。
図1に示すように、情報処理装置1は、クラムシェル型のパーソナルコンピュータであり、本体側筐体2及びディスプレイ側筐体3を備える。本体側筐体2は、入力デバイス4を備える。入力デバイス4は、ユーザが入力操作を行うためのユーザインターフェースであり、例えば、キーボード5、ポインティングスティック6、及びタッチパッド7を備えている。ポインティングスティック6及びタッチパッド7は、表示画面上のカーソルを移動させたり、各種メニューを選択するための操作を行うためのポインティングデバイスである。
ディスプレイ側筐体3は、画像を表示するディスプレイ8を備える。
本実施形態では、
図1に示すように、本体側筐体2の長手方向をX軸方向、幅方向をY軸方向、X軸及びY軸に直交する方向(上下方向)をZ軸方向と定義する。
【0014】
図2は、ポインティングスティック6の概略の断面構成の一例を示す図、
図3はポインティングスティック6のキャップを取り外した状態を示す平面図である。
図2、
図3に示すように、ポインティングスティック6は、ラバーキャップ31と、スティック32と、ひずみプレート33とを備えている。ラバーキャップ31は、スティック32の上部を覆うように設けられている。スティック32はひずみプレート33に取り付けられ、ユーザがポインティングスティック6を操作した場合に、その力がスティック32からひずみプレート33に伝達される構成となっている。
【0015】
ひずみプレート33は、平板状に形成され、スティック32から伝達された力に応じてZ方向(上下方向)等に撓むように構成されている。また、ひずみプレート33の下面には、ひずみセンサ34が設けられている。
図3に示すように、ひずみセンサ34は、例えば、スティック32から見て前後左右の4か所に設けられている。
【0016】
ポインティングスティック6がユーザによって操作されると、その操作による押圧力がスティック32を通じてひずみプレート33に伝達され、ひずみプレート33が弾性変形する。ひずみプレート33の弾性変形により、各ひずみセンサ(ひずみゲージ)34が圧縮又は伸長し、その変化に応じた検出値が出力される。ひずみセンサ34の検出値は、ケーブル、バス等を介して後述する処理回路20(
図4参照)に出力される。
なお、ポインティングスティック6に与えられた押圧力の検出手法については公知の技術であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0017】
図4は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置1のハードウェアの概略構成の一例を示した図である。
図4に示すように、情報処理装置1は、例えば、処理回路20、通信部14、外部インターフェース15等を備えている。また、情報処理装置1は、上述した入力デバイス4、ディスプレイ8、及びひずみセンサ34を備えている。また、情報処理装置1は、マルチディスプレイ機能を搭載しており、複数のディスプレイに対する表示制御が可能な構成とされている。
【0018】
処理回路20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)11、メインメモリ12、及び記憶部13を備えている。これら各部は、バスを介して直接または間接的に接続されている。
【0019】
CPU11は、例えば、バスを介して接続された記憶部13に格納されたOS(Operating System)により情報処理装置1全体の制御を行うとともに、記憶部13に格納された各種プログラムを実行することにより各種処理を実行する。
【0020】
メインメモリ12は、例えば、キャッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)等の書き込み可能なメモリで構成され、CPU11の実行プログラムの読み出し、実行プログラムによる処理データの書き込み等を行う作業領域として利用される。
【0021】
記憶部13は、非一時的な記録媒体(non-transitory computer readable storage medium)であり、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等が一例として挙げられ、目的に応じて複数設けられていてもよい。記憶部13は、例えば、Windows(登録商標)、iOS(登録商標)、Android(登録商標)等の情報処理装置1全体の制御を行うためのOS、BIOS(Basic Input/Output System)、周辺機器類をハードウェア操作するための各種デバイスドライバ、各種アプリケーションソフトウェア、及び各種データやファイル等を格納する。また、記憶部13には、各種処理を実現するためのプログラムや、各種処理を実現するために必要とされる各種データが格納されている。
【0022】
通信部14は、ネットワークに接続して他の装置と通信を行い、情報の送受信を行うためのインターフェースとして機能する。例えば、通信部14は、有線又は無線により他の装置と通信を行う。無線通信として、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi、専用の通信プロトコルを用いた通信等が挙げられる。有線通信の一例として、有線LAN(Local Area Network)等が挙げられる。
【0023】
外部インターフェース15は、外部機器と接続するためのインターフェースである。外部機器の一例として、外部モニタ、マウス等の入力デバイス等が挙げられる。外部インターフェース15は、例えば、接続される機器に応じてそれぞれ適切な入出力端子等を有している。
【0024】
図5は、本実施形態に係る情報処理装置1が有する機能の一例を示した機能ブロック図である。
図5に示すように、情報処理装置1は、一例として、記憶部21、判定部22、モード設定部23、マウスカーソル制御部24、表示制御部25、パラメータ設定部26を備えている。
【0025】
後述する機能の全て又は一部は、例えば、処理回路(processing circuitry)20によって実現される。例えば、以下に示す機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記憶部13に記憶されており、このプログラムをCPU11がメインメモリ12に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。
【0026】
なお、プログラムは、記憶部13に予めインストールされている形態や、他のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0027】
記憶部21には、マウスカーソル移動に関する複数のモードのそれぞれに対して、マウスカーソルの移動速度に関するパラメータが登録されたパラメータ情報が格納されている。複数のモードとして、例えば、第1モードと、第1モードよりもマウスカーソルの移動速度が速い第2モードを有している。なお、複数のモードはこれに限定されず、3つ以上のモードが設定されていてもよい。
【0028】
図6に、パラメータ情報の一例を示す。パラメータ情報には、第1モードに対応するパラメータとして第1パラメータ「D」が、第2モードに対応するパラメータとして第2パラメータ「L」が設定されている。本実施形態において、第1パラメータ、第2パラメータは、例えば、ポインティングスティック6からの入力に対する感度を示す感度パラメータである。例えば、感度パラメータは、ポインティングスティック6に与えられる押圧力をマウスカーソルの移動量に変換する際に用いられるパラメータ(例えば、係数)であり、感度パラメータの値が大きいほど、ポインティングスティック6の単位押圧力に対するマウスカーソルの移動量が大きな値となる。
第1モード及び第2モードに対応するパラメータは、後述するように、設定入力部40、43(
図8)を介してユーザによる設定が可能な構成とされている。
【0029】
また、記憶部21には、例えば、
図7に示すように、感度パラメータテーブルが格納されている。本実施形態では、感度パラメータは、16段階で設定されており、レベルが上がるほど、感度が高くなる、すなわち、上述した単位押圧力に対するマウスカーソルの移動量が大きくなるように、換言すると、移動速度が速くなるように設定されている。また、感度パラメータテーブルには、第1モードで設定可能なレベル範囲(例えば、レベル1~8)及び第2モードで設定可能なレベル範囲(例えば、レベル9~16)の情報が付加されている。
図7に例示したテーブルでは、第1モードと第2モードとで感度パラメータのレベル範囲に重複が生じないように設定されているが、この例に限定されない。例えば、第1モードはレベル1~10のレベル範囲、第2モードは、レベル8~16のレベル範囲のように、感度パラメータのレベル範囲が重複するように設定されていてもよい。また、第1モードで設定可能なレベル範囲、第2モードで設定可能なレベル範囲をユーザが設定できるような構成としてもよい。
【0030】
判定部22は、ポインティングスティック6に所定値以上のZ軸方向の圧力が加えられたか否かを判定する。例えば、判定部22は、各ひずみセンサ34のひずみの方向および単位時間当たりの圧力変化量に基づいて、ポインティングスティック6に所定値以上のZ軸方向の圧力が加えられたか否かを判定する。具体的には、判定部22は、各ひずみセンサ34の検出値に基づいて、ポインティングスティック6に与えられた押圧力Fの各軸に対応する成分、すなわち、X軸方向における押圧力Fx、Y軸方向における押圧力Fy、Z軸方向における押圧力Fzを演算する。そして、Z軸方向における押圧力Fzの単位時間あたりの変化量が所定値以上の場合に、ポインティングスティック6にZ軸方向の圧力が加えられたと判定する。
【0031】
モード設定部23は、ポインティングスティック6に所定値以上のZ軸方向の圧力が加えられたか否かに応じて、いずれか一つのモードを選択モードとして設定する。例えば、モード設定部23は、ポインティングスティック6に所定値以上のZ軸方向の圧力が加えられたと判定された場合に、第1モードを選択モードとして設定する。
【0032】
例えば、モード設定部23は、ポインティングスティック6に所定値以上のZ軸方向の圧力が加えられている期間において、第1モードを選択モードとして設定し、ポインティングスティック6に所定値以上のZ軸方向の圧力が加えられていない期間において、第2モードを選択モードとして設定する。
【0033】
また、モード設定部23は、上記態様に代えて、例えば、第2モードが選択モードとして選択されている場合に、ポインティングスティック6に所定値以上のZ軸方向の圧力が加えられたと判定された場合に、選択モードを第1モードに切り替え、第1モードが選択モードとして選択されている場合に、ポインティングスティック6に所定値以上のZ軸方向の圧力が加えられたと判定された場合に、選択モードを第2モードに切り替えてもよい。この場合、ポインティングスティック6がモード切替のスイッチのような役割を果たすこととなる。
【0034】
マウスカーソル制御部24は、例えば、ポインティングスティック6、タッチパッド7、マウス等のポインティングデバイスから入力される入力信号に基づいてマウスカーソルを移動させる。また、ポインティングスティック6については、選択モードのパラメータ情報に応じてマウスカーソルの移動速度(移動距離)を制御する。例えば、第1モードが選択されている場合には、記憶部21から第1モードに対応するパラメータ、例えば、感度パラメータ「D」を取得し、感度パラメータ「D」に基づいてマウスカーソルの移動速度を制御する。また、マウスカーソル制御部24は、第2モードが選択されている場合には、記憶部21から第2モードに対応するパラメータ、例えば、感度パラメータ「L」を取得し、感度パラメータ「L」に基づいてマウスカーソルの移動速度を制御する。
【0035】
第1モードの感度パラメータよりも第2モードの感度パラメータの方が大きい値に設定されているので、ポインティングスティック6に同じ力が与えられた場合には、第1モードにおけるマウスカーソルの移動距離よりも第2モードにおけるマウスカーソルの移動距離の方が大きくなる。すなわち、第1モードに比べて第2モードの方がマウスカーソルの移動速度が速くなる。
【0036】
表示制御部25は、ディスプレイ8に対する表示を制御する。また、表示制御部25は、外部モニタが外部インターフェース15を介して接続されている場合には、拡張表示制御等を行い、マルチディスプレイ環境を提供する。なお、マルチディスプレイ機能については周知であるから、ここでの詳細な説明は省略する。
【0037】
また、表示制御部25は、ユーザからの入力指示に基づいて、ポインティングスティック6の設定画面をディスプレイ8に表示させる。当該設定画面には、少なくともいずれか一つのモードに対応するマウスカーソルの移動速度に関するパラメータをユーザが設定するための設定入力部が設けられている。
【0038】
図8にポインティングスティック6の設定画面の一例を示す。
図8に例示した設定画面では、第1モード及び第2モードのそれぞれについてユーザが感度パラメータを設定するための設定入力部40が設けられている。設定入力部40は、例えば、スライダーとして表示される。スライダーの位置を調整することにより、それぞれの感度パラメータを調整できるようになっている。第1モードの感度パラメータを設定するためのスライダーと、第2モードの感度パラメータを設定するためのスライダーとは、そのパラメータ値が比較可能に表示される。
【0039】
また、設定入力部40には、第1モード、第2モードにおけるそれぞれのデフォルト値がわかるように表示されてもよい。
図8では、各モードにおいて、各感度パラメータのデフォルト値を示す矢印42a、42bが表示されている。
また、設定画面には、デフォルト値を使用するか否かをユーザが選択するための設定入力部43が設けられていてもよい。例えば、第1モードの感度パラメータのデフォルト値は、レベル4の「D」、第2モードの感度パラメータのデフォルト値は、レベル12の「L」に設定されている。
【0040】
また、設定入力部40において、第1モードにおいて設定可能な感度パラメータ範囲と、第2モードにおいて設定可能な感度パラメータ範囲とを示すための情報が表示されてもよい。
図8に示す設定画面では、パラメータ範囲を区切る点線41が表示されており、この点線を超えてスライダーが移動しない設定とされている。
【0041】
なお、設定入力部40の表示態様は、
図8に例示した態様に限られない。例えば、いずれか一つのモード(例えば、第2モード)に対応する感度パラメータを調整するためのスライダーを表示し、残りのモード(例えば、第1モード)については、スライダーによって設定された感度パラメータの値に連動して自動的に設定されるような構成としてもよい。また、設定入力部40は、スライダーとして提供される他、例えば、数値を直接入力するような設定としてもよいし、他の公知の調整手法を用いて提供されてもよい。
【0042】
また、設定画面には、第1モードまたは第2モードの設定をオフにするためのオフボタンが設けられていてもよい。第1モード又は第2モードがオフに設定されることで、ポインティングスティック6のZ軸方向に所定値以上の圧力がかかるか否かにかかわらず、1つの感度パラメータを用いたマウスカーソルの移動速度の制御が可能となる。
【0043】
パラメータ設定部26は、上述した設定画面において設定された情報を用いて各モードに対応するパラメータ(感度パラメータ)を設定する。すなわち、パラメータ設定部26は、設定画面において感度パラメータの値が変更された場合に、設定画面の入力情報に基づいて記憶部21に格納されているパラメータ情報を更新する。
【0044】
次に、情報処理装置1によって実行される入力制御方法について
図9を参照して説明する。
図9は、入力制御方法の処理手順の一例を示したフローチャートである。以下の一連の処理は、主に処理回路(processing circuitry)20によって実行され、より具体的には、記憶部13に記憶されているプログラムをCPU11がメインメモリ12に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより実行される。
【0045】
ポインティングスティック6が操作され、スティック32に押圧力が加えられると(SA1)、ひずみセンサ34によってその押圧力に応じた検出値が検出される(SA2)。続いて、ひずみセンサ34の検出値に基づいて所定値以上のZ軸方向の圧力が加えられたか否かを判定する(SA3)。この結果、所定値以上のZ軸方向の圧力が加えられている場合には(SA3:YES)、第1モードを選択モードとして設定し(SA4)、所定値以上のZ軸方向の圧力が加えられていない場合には(SA3:NO)、第2モードを選択モードとして設定する(SA5)。続いて、選択モードとして設定されているモードの感度パラメータに基づいてマウスカーソルを移動させ(SA6)、ステップSA1に戻り、上述の処理を繰り返し行う。
【0046】
以上説明してきたように、本実施形態に係る情報処理装置1及びその入力制御方法並びにプログラムによれば、以下の作用効果を奏する。
【0047】
マウスカーソル移動に関する複数のモードを有し、ポインティングスティック6に所定値以上のZ軸方向の圧力が加えられたか否かによって選択モードを切り替える。これにより、ユーザは、ポインティングスティック6に所定値以上のZ軸方向の力を加えるか否かによって、シームレスでマウスカーソルの移動速度を切り替えることが可能となる。
【0048】
第1モードに対応する感度パラメータ及び第2モードに対応する感度パラメータは、ユーザによって設定可能とされているので、ユーザは各モードに対する移動速度をカスタマイズすることができる。これにより、操作性を更に向上させることが可能となる。
【0049】
また、ポインティングスティック6の操作量は、スティック32の根元部に設けられた複数のひずみセンサ34を用いて検出することが一般的である。したがって、ポインティングスティック6に所定値以上のZ軸方向の力が加えられているか否かをひずみセンサ34の検出値を用いて判定することにより、新たなセンサを追加する必要がない。これにより、低コスト化及び装置の大型化を回避することが可能となる。
【0050】
以上、本発明について実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
また、上記実施形態で説明した入力制御方法の処理手順も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
【0051】
例えば、上述した実施形態では、ひずみセンサ34を用いて、ポインティングスティック6に所定値以上のZ軸方向の力が加えられているか否かを判定することとしたが、これに限られない。すなわち、Z軸方向における力を検出するためのセンサは、ひずみセンサ34に限らず、Z軸方向の力を検出できるセンサであればよい。例えば、圧電素子によって圧力を検出する圧電式センサを用いてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 :情報処理装置
2 :本体側筐体
3 :ディスプレイ側筐体
4 :入力デバイス
5 :キーボード
6 :ポインティングスティック
7 :タッチパッド
8 :ディスプレイ
11 :CPU
12 :メインメモリ
13 :記憶部
14 :通信部
15 :外部インターフェース
20 :処理回路
21 :記憶部
22 :判定部
23 :モード設定部
24 :マウスカーソル制御部
25 :表示制御部
26 :パラメータ設定部
31 :ラバーキャップ
32 :スティック
33 :プレート
34 :ひずみセンサ
40 :設定入力部
43 :設定入力部
【要約】
【課題】ポインティングスティックの操作性を向上させることを目的とする。
【解決手段】情報処理装置は、ポインティングスティックと、マウスカーソル移動に関する複数のモードのそれぞれに対して、マウスカーソルの移動速度に関するパラメータが登録されたパラメータ情報を格納する記憶部21と、ポインティングスティックに所定値以上のZ軸方向の圧力が加えられたか否かを判定する判定部22と、ポインティングスティックに所定値以上のZ軸方向の圧力が加えられたか否かに応じて、いずれか一つのモードを選択モードとして設定するモード設定部23と、選択モードのパラメータ情報に応じてマウスカーソルの移動速度を制御するマウスカーソル制御部24とを備える。
【選択図】
図5