IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-表示装置 図1
  • 特許-表示装置 図2
  • 特許-表示装置 図3
  • 特許-表示装置 図4
  • 特許-表示装置 図5
  • 特許-表示装置 図6
  • 特許-表示装置 図7
  • 特許-表示装置 図8
  • 特許-表示装置 図9
  • 特許-表示装置 図10
  • 特許-表示装置 図11
  • 特許-表示装置 図12
  • 特許-表示装置 図13
  • 特許-表示装置 図14
  • 特許-表示装置 図15
  • 特許-表示装置 図16
  • 特許-表示装置 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20221101BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20221101BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20221101BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
G09F9/30 338
G09F9/30 310
G09F9/30 365
H01L27/32
H05B33/02
H05B33/14 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021188563
(22)【出願日】2021-11-19
(62)【分割の表示】P 2018540664の分割
【原出願日】2017-07-27
(65)【公開番号】P2022024117
(43)【公開日】2022-02-08
【審査請求日】2021-12-03
(31)【優先権主張番号】P 2016184280
(32)【優先日】2016-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤井 拓磨
(72)【発明者】
【氏名】豊村 直史
【審査官】石本 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-053639(JP,A)
【文献】特開2016-053641(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0292622(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2005-0104611(KR,A)
【文献】特開2015-111275(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F9/30-9/46
H01L27/32
51/50
H05B33/00-33/28
44/00
45/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
サンプリングトランジスタ、駆動トランジスタ、第1スイッチトランジスタ、第2スイッチトランジスタ、容量素子および発光素子を各々含む複数の画素回路と、
第1走査線、第2走査線および第3走査線を含む複数の走査線と、
少なくとも1つが前記サンプリングトランジスタの第1端子に電気的に繋がる複数の信号線と、
を備え、
前記第1走査線は、
前記サンプリングトランジスタのゲート電極に電気的に繋がり、
前記第2走査線は、
前記第1スイッチトランジスタのゲート電極に電気的に繋がり、
前記第3走査線は、
前記第2スイッチトランジスタのゲート電極に電気的に繋がり、
前記第1走査線および前記第2走査線は、第1の配線層に設けられ、
前記信号線は、第2の配線層に設けられ、
前記第1走査線および前記第2走査線は、第1の方向に延伸し、
前記信号線は、前記第1の方向と直交する第2の方向に延伸し、
前記第1の配線層は、前記基板と前記第2の配線層との間に位置
前記第1の配線層は、
複数の層で構成され、
前記第1走査線および前記第2走査線は、
前記複数の層に分かれて配置され、
前記第1走査線および前記第2走査線は、
前記複数の層のうち、下層側が上層側に比べて走査線の数が多い、
表示装置。
【請求項2】
前記第1の配線層には、
前記容量素子の下部電極が形成され、
前記第2の配線層には、
前記容量素子の上部電極が形成される、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1の配線層および前記第2の配線層それぞれには、
前記発光素子のアノードに係る接続配線が形成される、
請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1の配線層には、
前記信号線に係る接続配線が形成される、
請求項1~のいずれか1つに記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1の配線層は、
前記基板に形成される拡散層であって、前記サンプリングトランジスタ、前記駆動トランジスタ、前記第1スイッチトランジスタおよび前記第2スイッチトランジスタが形成される拡散層と前記第2の配線層との間に位置する、
請求項1~のいずれか1つに記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆるアクティブマトリックス方式によって駆動される表示装置では、表示面の横方向(以下、水平方向ともいう)に沿って延伸し、表示面の縦方向(以下、垂直方向ともいう)に複数並べられて配置される走査線と、垂直方向に沿って延伸し、水平方向に複数並べられて配置されるデータ線(信号線)との各交点に対応する位置に、発光素子及び当該発光素子を駆動させるための駆動回路からなる画素回路が設けられる構成が一般的である。1つの画素回路が、1つの画素又は副画素に対応する。走査線及び信号線の電位が適切なタイミングで変更されることにより、画素回路内の駆動回路に設けられるアクティブ素子(トランジスタ等)のオン/オフが適宜制御され、当該画素回路における発光素子の発光が制御される。アクティブマトリックス方式によって駆動される表示装置として、例えば、発光素子として有機発光ダイオード(OLED:Organic Light Emitting Diode)を用いた表示装置(以下、有機EL(electroluminescence)表示装置ともいう)が開発されている(例えば、特許文献1-4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-55763号公報
【文献】特開2016-53636号公報
【文献】特開2016-53640号公報
【文献】特開2016-53641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、表示装置においては、例えばより高精細な表示を実現するためや、ウェアラブルデバイス等の比較的小型の電子機器に搭載するために、その画素サイズをより小型化することが求められている。画素サイズを小型化すると、画素回路のレイアウトも微細化されるため、以下のような不具合が生じ得る。すなわち、配線間の寄生容量の増大による各電極間のノイズ干渉による発光輝度均一性の悪化、容量素子の電極の面積の圧迫に起因するノイズ耐性悪化による輝度均一性の悪化、画素配線が密になることによる配線間ショート不良、及び小面積の配線パターンが正常に形成されないこと(いわゆる膜とび)による配線オープン不良等である。高精細で、かつより信頼性の高い表示装置を実現するためには、これらの不具合の発生を抑制する必要がある。
【0005】
そこで、本開示では、より信頼性を向上させることが可能な、新規かつ改良された表示装置及び電子機器を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示によれば、基板と、サンプリングトランジスタ、駆動トランジスタ、第1スイッチトランジスタ、第2スイッチトランジスタ、容量素子および発光素子を各々含む複数の画素回路と、第1走査線、第2走査線および第3走査線を含む複数の走査線と、少なくとも1つが前記サンプリングトランジスタの第1端子に電気的に繋がる複数の信号線と、を備え、前記第1走査線は、前記サンプリングトランジスタのゲート電極に電気的に繋がり、前記第2走査線は、前記第1スイッチトランジスタのゲート電極に電気的に繋がり、前記第3走査線は、前記第2スイッチトランジスタのゲート電極に電気的に繋がり、前記第1走査線および前記第2走査線は、第1の配線層に設けられ、前記信号線は、第2の配線層に設けられ、前記第1走査線および前記第2走査線は、第1の方向に延伸し、前記信号線は、前記第1の方向と直交する第2の方向に延伸し、前記第1の配線層は、前記基板と前記第2の配線層との間に位置する、表示装置が提供される。
【0007】
また、本開示によれば、映像信号に基づいて表示を行う表示装置、を備え、前記表示装置は、発光素子及び当該発光素子を駆動するための駆動回路から構成される画素回路が行列状に複数並べられて構成される画素部と、前記画素回路の各々に接続される配線であって、複数の前記画素回路の各行に対応して第1の方向に延伸して設けられる走査線と、前記画素回路の各々に接続される配線であって、複数の前記画素回路の各列に対応して前記第1の方向と直交する第2の方向に延伸して設けられる信号線と、を有し、前記走査線及び前記信号線のうちで、1つの前記画素回路に対して設けられる本数がより多い方が、より下層の配線層に位置し、前記駆動回路に含まれる容量素子の電極が、前記走査線及び前記信号線のいずれかが設けられる配線層に位置する、電子機器が提供される。
【0008】
本開示によれば、画素部に対して設けられる互いに直交する2種類の配線(走査線及び信号線)について、1つの画素回路に対して設けられる本数がより多い方が、より下層の配線層に形成される。従って、より上層の配線層における配線パターンを比較的疎にすることができる。また、画素回路に含まれる容量素子の電極が、その2種類の配線のいずれかが設けられる配線層に形成される。つまり、配線パターンが比較的疎である配線層に容量素子の電極を設けることができるため、当該電極の配置の自由度が向上するとともに、当該電極の面積を十分確保することが可能になる。従って、配線パターンが比較的密であることに起因する不具合や、容量素子の電極の面積を十分に確保できないことに起因する不具合等を解消することが可能になる。よって、より信頼性の高い表示装置が実現され得る。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように本開示によれば、より信頼性を向上させることが可能になる。なお、上記の効果は必ずしも限定的なものではなく、上記の効果とともに、又は上記の効果に代えて、本明細書に示されたいずれかの効果、又は本明細書から把握され得る他の効果が奏されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係る表示装置の全体構成を示す概略図である。
図2図1に示す画素部、走査部及び選択部の構成をより詳細に示す概略図である。
図3図2に示す画素回路の構成例を示す概略図である。
図4】本実施形態に係る画素回路の動作について説明するための図である。
図5】本実施形態に係る画素回路の他の構成例を示す概略図である。
図6】画素回路の積層構造を概略的に示す断面図である。
図7】本実施形態に係る配線層のレイアウトの一例について説明するための図である。
図8図7に示すレイアウトと比較するための図であって、第1配線層及び第2配線層にH走査線及びV信号線を形成する場合において、本実施形態とは異なる配線層にH走査線及びV信号線を形成した場合の一レイアウト例を示す図である。
図9】本実施形態に係る配線層のレイアウトの他の例について説明するための図である。
図10図9に示すレイアウトと比較するための図であって、第1配線層、第2配線層及び第3配線層にH走査線及びV信号線を形成する場合において、本実施形態とは異なる配線層にH走査線及びV信号線を形成した場合の一レイアウト例を示す図である。
図11】3つの副画素で1つの画素が形成される場合における、これら3つの副画素における第3ビアの配置の一例を示す図である。
図12】4つの副画素で1つの画素が形成される場合における、これら4つの副画素における第3ビアの配置の一例を示す図である。
図13】本実施形態に係る表示装置の具体的な一構成例を示す断面図である。
図14】本実施形態に係る表示装置が適用され得る電子機器の一例である、スマートフォンの外観を示す図である。
図15】本実施形態に係る表示装置が適用され得る電子機器の他の例である、デジタルカメラの外観を示す図である。
図16】本実施形態に係る表示装置が適用され得る電子機器の他の例である、デジタルカメラの外観を示す図である。
図17】本実施形態に係る表示装置が適用され得る電子機器の他の例である、ヘッドマウントディスプレイの外観を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0012】
なお、各図面では、説明のため、断面図における一部の層や、レイアウトを示す上面図における一部の領域の大きさ等を誇張して表現している場合がある。各図面において図示される各層や各領域等の相対的な大きさは、必ずしも実際の層間又は領域間等における大小関係を正確に表現するものではない。
【0013】
また、以下では、本開示の一例として、表示装置が有機EL表示装置である実施形態について説明する。ただし、本開示はかかる例に限定されず、本開示の対象となる表示装置は、アクティブマトリックス型の駆動方式によって駆動される表示装置であれば、各種の表示装置であってよい。
【0014】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.表示装置の全体構成
2.画素回路の構成
3.画素回路の動作
4.配線層のレイアウト
5.表示装置の具体的な構成例
6.適用例
7.補足
【0015】
(1.表示装置の全体構成)
図1及び図2を参照して、本開示の一実施形態に係る表示装置の全体構成について説明する。図1は、本実施形態に係る表示装置の全体構成を示す概略図である。図2は、図1に示す画素部、走査部及び選択部の構成をより詳細に示す概略図である。
【0016】
図1を参照すると、本実施形態に係る表示装置1は、表示パネル10上に、画素部20と、走査部30と、選択部40と、が配置されて構成される。図2に示すように、画素部20は、複数の画素回路210が行列状に並べられて構成される。なお、便宜的に画素回路210と記載しているが、図2に示す「画素回路210」は、画素回路210の配線層を除いた部分を示しており、実際には、図2に示す「画素回路210」に対して各配線(後述する走査部30や選択部40から延伸する配線や、電源線332等)が接続されることにより、画素回路210が構成され得る。つまり、これらの配線は、複数の画素回路210に対して共通して設けられ得るものであるが、画素回路210の一部を構成し得るものでもあるため、図2では画素回路210の配線層を除いた部分を、便宜的に画素回路210として図示している。本明細書において、画素回路210と記載した場合には、このように、便宜的に、その配線層を除いた部位のみを指すことがある。
【0017】
1つの画素回路210が1つの副画素に対応する。ここで、表示装置1は、カラー表示が可能な表示装置であり、カラー画像を形成する単位となる1つの画素は、複数の副画素から構成される。具体的には、1つの画素は、赤色光を発光する副画素、緑色光を発光する副画素、及び青色光を発光する副画素の3つの副画素から構成される。図2では、模擬的に、各画素回路210に、各副画素に対応する色(R、G、B)を記載している。各画素回路210(すなわち、各副画素)における発光が適宜制御されることにより、画素部20において所望の画像が表示される。このように、画素部20は、表示装置1における表示面に対応する。
【0018】
ただし、本実施形態では、1つの画素を構成する副画素の組み合わせは、RGBの3原色の副画素の組み合わせに限定されない。例えば、3原色の副画素に更に1色あるいは複数色の副画素を加えて1つの画素を構成することも可能である。具体的には、例えば、輝度向上のために3原色の副画素に対して白色光を発光する副画素を加えて1つの画素を構成したり、色再現範囲を拡大するために3原色の副画素に対して補色光を発光する少なくとも1つの副画素を加えて1つの画素を構成したりすることも可能である。あるいは、表示装置1は、副画素が存在せず、1つの画素回路210が1つの画素に対応するように構成されてもよい。更にあるいは、表示装置1はカラー表示可能なものでなくてもよく、モノクロ表示を行うものであってもよい。
【0019】
走査部30は、画素部20の水平方向における一側に配置される。走査部30からは、垂直方向に並べられて設けられる複数の配線が、画素部20に向かって水平方向に延伸する。具体的には、図2に示すように、走査部30は、書き込み走査部301と、第1駆動走査部311と、第2駆動走査部321と、から構成される。書き込み走査部301からは複数の書き込み走査線302がそれぞれ画素回路210の各行に向かって延伸し、第1駆動走査部311からは複数の第1駆動線312がそれぞれ画素回路210の各行に向かって延伸し、第2駆動走査部321からは複数の第2駆動線322がそれぞれ画素回路210の各行に向かって延伸する。これら複数の配線(書き込み走査線302、第1駆動線312及び第2駆動線322)は、各画素回路210にそれぞれ接続されている。書き込み走査部301、第1駆動走査部311及び第2駆動走査部321は、これら複数の配線の電位を適宜変更することにより、表示面全体として所望の画像が表示され得るように各画素回路210の動作を制御する。書き込み走査線302、第1駆動線312及び第2駆動線322と、画素回路210との接続状態の詳細、並びに書き込み走査部301、第1駆動走査部311及び第2駆動走査部321の機能については、図3を参照して後述する。
【0020】
選択部40は、画素部20の垂直方向における一側に配置される。選択部40からは、水平方向に並べられて設けられる複数の配線が、画素部20に向かって垂直方向に延伸する。具体的には、図2に示すように、選択部40は、信号出力部401から構成される。信号出力部401からは複数の信号線402がそれぞれ画素回路210の各列に向かって延伸する。これら複数の信号線402は、画素部20における各画素回路210にそれぞれ接続されている。信号出力部401は、これら複数の信号線402の電位を適宜変更することにより、表示面全体として所望の画像が表示され得るように各画素回路210の動作を制御する。信号線402と画素回路210との接続状態の詳細、及び信号出力部401の機能については、図3を参照して後述する。
【0021】
このように、走査部30から水平方向に延伸する配線が、行列状に並べられた画素回路210の各行に対応して設けられ、各画素回路210に接続される。また、選択部40から垂直方向に延伸する配線が、行列状に並べられた画素回路210の各列に対応して設けられ、各画素回路210に接続される。そして、走査部30及び選択部40によって、これら複数の配線の電位が適宜変更されることにより、画素部20の各画素回路210の動作が制御される。
【0022】
(2.画素回路の構成)
図3を参照して、図2に示す画素回路210の構成について説明する。図3は、図2に示す画素回路210の構成を示す概略図である。図3では、図2に示す複数の画素回路210のうちの1つの画素回路210の回路構成を示すとともに、当該画素回路210における、書き込み走査線302、第1駆動線312、第2駆動線322及び信号線402の接続状態を示している。
【0023】
図3に示すように、画素回路210は、発光素子である有機発光ダイオード211と、当該有機発光ダイオード211に電流を流すことによって当該有機発光ダイオード211を駆動する駆動回路と、から構成される。当該駆動回路は、アクティブ素子である4つのトランジスタ(駆動トランジスタ212、サンプリングトランジスタ213、発光制御トランジスタ214、及びスイッチングトランジスタ217)と、容量素子(保持容量215、及び補助容量216)と、から構成される。これらの素子に対して各配線(上記の書き込み走査線302、第1駆動線312、第2駆動線322及び信号線402、並びに後述する電源線332等)が接続されて、画素回路210が構成される。
【0024】
なお、有機発光ダイオード211としては、一般的な構造を有する有機発光ダイオードを用いることができる。また、駆動トランジスタ212、サンプリングトランジスタ213、発光制御トランジスタ214及びスイッチングトランジスタ217は、シリコン(Si)等の半導体上に形成されるPチャネル型の4端子(ソース/ゲート/ドレイン/バックゲート)のトランジスタであり、その構造は、一般的なPチャネル型の4端子のトランジスタと同様であってよい。従って、ここでは、有機発光ダイオード211、駆動トランジスタ212、サンプリングトランジスタ213、発光制御トランジスタ214及びスイッチングトランジスタ217の構造については、その詳細な説明を省略する。
【0025】
有機発光ダイオード211のカソードは、画素部20の全ての画素回路210に対して共通に設けられる共通電源線331(電位:VCATH)に接続される。有機発光ダイオード211のアノードには、駆動トランジスタ212のドレイン電極が接続される。
【0026】
駆動トランジスタ212のソース電極には発光制御トランジスタ214のドレイン電極が接続され、発光制御トランジスタ214のソース電極は電源線332(電位:Vcc、Vccは電源電位)に接続される。また、駆動トランジスタ212のゲート電極はサンプリングトランジスタ213のドレイン電極に接続され、サンプリングトランジスタ213のソース電極は信号線402に接続される。
【0027】
従って、サンプリングトランジスタ213が導通状態にされることにより、駆動トランジスタ212のゲート電極に信号線402の電位に対応する電位が印加され(信号線402の電位が書き込まれ)、駆動トランジスタ212が導通状態にされる。また、このとき、発光制御トランジスタ214が導通状態にされることにより、駆動トランジスタ212のソース電極に信号電位Vccに対応する電位が印加され、駆動トランジスタ212にドレイン-ソース間電流Idsが発生し、有機発光ダイオード211が駆動されることとなる。このとき、ドレイン-ソース間電流Idsの大きさは、駆動トランジスタ212のゲート電位Vgに応じて変化するため、駆動トランジスタ212のゲート電位Vg、すなわちサンプリングトランジスタ213によって書き込まれた信号線402の電位に応じて、有機発光ダイオード211の発光輝度が制御されることとなる。
【0028】
このように、駆動トランジスタ212は、そのドレイン-ソース間電流Idsによって有機発光ダイオード211を駆動させる機能を有する。また、サンプリングトランジスタ213は、信号線402の電位に応じて駆動トランジスタ212のゲート電圧を制御する、すなわち駆動トランジスタ212のオン/オフを制御することにより、信号線402の電位を画素回路210に書き込む機能を有する(すなわち、信号線402の電位を書き込む画素回路210をサンプリングする機能を有する)。また、発光制御トランジスタ214は、駆動トランジスタ212のソース電極の電位を制御することにより、駆動トランジスタ212のドレイン-ソース間電流Idsを制御し、有機発光ダイオード211の発光/非発光を制御する機能を有する。
【0029】
保持容量215は、駆動トランジスタ212のゲート電極(すなわち、サンプリングトランジスタ213のドレイン電極)と、駆動トランジスタ212のソース電極との間に接続される。つまり、保持容量215は、駆動トランジスタ212のゲート-ソース間電圧Vgsを保持する。補助容量216は、駆動トランジスタ212のソース電極と、電源線332との聞に接続される。補助容量216は、信号線402の電位を書き込んだときに駆動トランジスタ212のソース電位が変動するのを抑制する作用をなす。
【0030】
信号出力部401は、信号線402の電位(信号線電圧Date)を適宜制御することにより、当該信号線402の電位を画素回路210に書き込む(具体的には、上述したように、サンプリングトランジスタ213によって選択された画素回路210に対して信号線402の電位が書き込まれる)。本実施形態では、信号出力部401は、信号線402を介して、映像信号に対応する信号電圧Vsigと、第1基準電圧Vrefと第2基準電圧Vofsとを選択的に出力する。ここで、第1基準電圧Vrefは、有機発光ダイオード211を確実に消光させるための基準電圧である。また、第2基準電圧Vofsは、映像信号に対応する信号電圧Vsigの基準となる電圧(例えば、映像信号の黒レベルに相当する電圧)であり、後述するしきい値補正動作を行う際に用いられる。
【0031】
サンプリングトランジスタ213のゲート電極には書き込み走査線302が接続される。書き込み走査部301は、書き込み走査線302の電位(走査線電圧WS)を変更することによりサンプリングトランジスタ213のオン/オフを制御し、上述した信号線402の電位(例えば、映像信号に対応する信号電圧Vsig)を画素回路210に書き込む処理を実行する。実際には、図2を参照して説明したように、行列状に並べられた複数の画素回路210の各行に対して、複数の書き込み走査線302がそれぞれ延伸されている。書き込み走査部301は、各画素回路210への信号線402の電位の書き込みに際して、複数の書き込み走査線302に対して所定の値の走査線電圧WSを順次供給することにより、各画素回路210を行単位で順番に走査する。
【0032】
なお、信号線402についても、実際には、図2を参照して説明したように、行列状に並べられた複数の画素回路210の各列に対して、複数の信号線402がそれぞれ延伸されている。信号出力部401から択一的に出力される映像信号に対応する信号電圧Vsig、第1基準電圧Vref、及び第2基準電圧Vofsは、複数の信号線402を介して各画素回路210に対して、書き込み走査部301による走査によって選択された画素行の単位で書き込まれる。つまり、信号出力部401は、信号線402の電位を行単位で書き込む。
【0033】
発光制御トランジスタ214のゲート電極には第1駆動線312が接続される。第1駆動走査部311は、第1駆動線312の電位(第1駆動線電圧DS)を変更することにより発光制御トランジスタ214のオン/オフを制御し、上述した有機発光ダイオード211の発光/非発光を制御する処理を実行する。実際には、図2を参照して説明したように、行列状に並べられた複数の画素回路210の各行に対して、複数の第1駆動線312がそれぞれ延伸されている。第1駆動走査部311は、書き込み走査部301による走査に同期して、複数の第1駆動線312に対して所定の値の第1駆動線電圧DSを順次供給することにより、各画素回路210の発光/非発光を適宜制御する。
【0034】
ここで、更に、画素回路210には、有機発光ダイオード211のアノードにスイッチングトランジスタ217のソース電極が接続される。スイッチングトランジスタ217のドレイン電極はグランド線333(電位:Vss、Vssはグランド電位)に接続される。当該スイッチングトランジスタ217によって形成される電流経路によって、有機発光ダイオード211の非発光期間に駆動トランジスタ212に流れる電流が、グランド線333に流れることとなる。
【0035】
ここで、後述するように、本実施形態に係る画素回路210を駆動する際には、駆動トランジスタ212のしきい値電圧Vthを補正するしきい値補正動作が行われ、更に、当該しきい値補正動作を行う前段階として、しきい値補正準備動作が行われる。かかるしきい値補正準備動作では、駆動トランジスタ212のゲート電位Vg及びソース電位Vsを初期化する動作が行われるが、その結果、駆動トランジスタ212のゲート-ソース間電圧Vgsが、駆動トランジスタ212のしきい値電圧Vthよりも大きくなる。これは、駆動トランジスタ212のゲート-ソース間電圧Vgsを、当該駆動トランジスタ212のしきい値電圧Vthよりも大きくしておかなければ、しきい値補正動作を正常に行うことができないからである。
【0036】
従って、上記の駆動トランジスタ212のゲート電位Vg及びソース電位Vsを初期化する動作が行われると、有機発光ダイオード211の非発光期間であるにもかかわらず、有機発光ダイオード211のアノード電位Vanoが当該有機発光ダイオード211のしきい値電圧Vthelを超えてしまう事態が生じ得る。すると、駆動トランジスタ212から有機発光ダイオード211に電流が流れ込み、非発光期間であるにもかかわらず有機発光ダイオード211が発光する現象が生じることになる。
【0037】
そこで、本実施形態では、かかる現象を防止するために、上述したスイッチングトランジスタ217による電流回路を設ける。これにより、上記の駆動トランジスタ212からの電流が、有機発光ダイオード211に流れ込むことなく、かかる電流回路の方に流れ込むこととなり、意図せぬ有機発光ダイオード211の発光を防止することが可能となる。
【0038】
スイッチングトランジスタ217のゲート電極には、第2駆動線322が接続される。第2駆動走査部321は、第2駆動線322の電位(第2駆動線電圧AZ)を変更することによりスイッチングトランジスタ217のオン/オフを制御する。具体的には、第2駆動走査部321は、第2駆動線電圧AZを適宜変更することにより、被発光期間の間、より詳細には少なくともしきい値補正準備動作を行い、駆動トランジスタ212のゲート-ソース間電圧Vgsが駆動トランジスタ212のしきい値電圧Vthよりも大きくなっている期間の間、スイッチングトランジスタ217を導通状態にし、上述した電流回路を開放する。実際には、図2を参照して説明したように、行列状に並べられた複数の画素回路210の各行に対して、複数の第2駆動線322がそれぞれ延伸されている。第2駆動走査部321は、書き込み走査部301による走査に同期して、複数の第2駆動線322に対して所定の値の第2駆動線電圧AZを順次供給することにより、上記の期間の間スイッチングトランジスタ217が導通状態となるように、当該スイッチングトランジスタ217の駆動を適宜制御する。
【0039】
なお、書き込み走査部301、第1駆動走査部311、第2駆動走査部321及び信号出力部401は、例えばシフトレジスタ回路等、上述した機能を実現し得る各種の回路によって、公知の手法を用いて構成され得るため、ここではその詳細な回路構成についての説明は省略する。
【0040】
以上、本実施形態に係る画素回路210の構成について説明した。
【0041】
(3.画素回路の動作)
以上説明した画素回路210の動作について説明する。図4は、本実施形態に係る画素回路210の動作について説明するための図である。図4では、画素回路210の動作に係る各信号のタイミング波形図を示している。具体的には、図4では、1水平期間(1H期間)における、信号線402の電位(信号線電圧Date)、書き込み走査線302の電位(走査線電圧WS)、第1駆動線312の電位(第1駆動線電圧DS)、第2駆動線322の電位(第2駆動線電圧AZ)、駆動トランジスタ212のソース電位Vs、及び駆動トランジスタ212のゲート電位Vgの変化の様子をそれぞれ示している。
【0042】
なお、サンプリングトランジスタ213、発光制御トランジスタ214、及びスイッチングトランジスタ217はPチャネル型であるため、走査線電圧WS、第1駆動線電圧DS及び第2駆動線電圧AZが低電位の状態で、これらのトランジスタがオン状態、すなわち導通状態となり、走査線電圧WS、第1駆動線電圧DS及び第2駆動線電圧AZが高電位の状態で、これらのトランジスタがオフ状態、すなわち非導通状態となることに留意されたい。駆動トランジスタ212についても同様に、ゲート電位Vgが低電位の場合に当該駆動トランジスタ212が導通状態となり、ゲート電位Vgが高電位の場合に当該駆動トランジスタ212が非導通状態となる。また、上述したように、信号線電圧Dateについては、映像信号に対応する信号電圧Vsig、第1基準電圧Vref、及び第2基準電圧Vofsのいずれかが択一的に選択される。図4に示す波形図では、一例として、Vref=Vcc(電源電位)としている。
【0043】
有機発光ダイオード211の発光期間の終了時には、走査線電圧WSが高電位から低電位に遷移し、サンプリングトランジスタ213が導通状態にされる(時刻t1)。一方、時刻t1において、信号線電圧Dateは第1基準電圧Vrefに制御されている。従って、走査線電圧WSが高電位から低電位に遷移することで、駆動トランジスタ212のゲート-ソース間電圧Vgsが、当該駆動トランジスタ212のしきい値電圧Vth以下になるため、駆動トランジスタ212がカットオフする。駆動トランジスタ212がカットオフすると、有機発光ダイオード211への電流供給の経路が遮断されるため、有機発光ダイオード211のアノード電位Vanoが徐々に低下する。やがて、当該アノード電位Vanoが、有機発光ダイオード211のしきい値電圧Vthel以下になると、有機発光ダイオード211が完全に消光状態となる(時刻t1~t2の期間:消光期間)。
【0044】
消光期間に次いで、後述するしきい値補正動作を行う前の準備動作(しきい値補正準備動作)を行う期間が設けられる(時刻t2~t3の期間:しきい値補正準備期間)。具体的には、しきい値補正準備期間が開始されるタイミングである時刻t2で、走査線電圧WSが高電位から低電位に遷移することで、サンプリングトランジスタ213が導通状態になる。一方、時刻t2において、信号線電圧Dateは第2基準電圧Vofsに制御されている。信号線電圧Dateが第2基準電圧Vofsである状態において、サンプリングトランジスタ213が導通状態になることで、駆動トランジスタ212のゲート電位Vgが当該第2基準電圧Vofsになる。
【0045】
また、時刻t2では、第1駆動線電圧DSが低電位の状態にあり、発光制御トランジスタ214が導通状態にされている。従って、駆動トランジスタ212のソース電位Vsは電源電圧Vccになる。このとき、駆動トランジスタ212のゲート-ソース間電圧Vgsは、Vgs=Vofs-Vccとなる。
【0046】
ここで、しきい値補正動作を行うためには、駆動トランジスタ212のゲート-ソース間電圧Vgsを、当該駆動トランジスタ212のしきい値電圧Vthよりも大きくしておく必要がある。そのため、|Vg|=|Vofs-Vcc|>|Vth|となるように各電圧値が設定される。
【0047】
このように、駆動トランジスタ212のゲート電位Vgを第2基準電圧Vofsに設定し、かつ、駆動トランジスタ212のソース電位Vsを電源電圧Vccに設定する初期化動作が、しきい値補正準備動作である。つまり、第2基準電圧Vofs及び電源電圧Vccが、それぞれ、駆動トランジスタ212のゲート電位Vg及びソース電位Vsの初期化電圧である。
【0048】
しきい値補正準備期間が終了すると、次に、駆動トランジスタ212のしきい値電圧Vthを補正するしきい値補正動作が行われる(時刻t3~t4の期間:しきい値補正期間)。しきい値補正動作を行う期間では、まず、当該しきい値補正期間が開始されるタイミングである時刻t3で、第1駆動線電圧DSが低電位から高電位に遷移し、発光制御トランジスタ214が非導通状態になる。これにより、駆動トランジスタ212のソース電位Vsがフローティング状態になる。一方、時刻t3において、走査線電圧WSは高電位に制御されており、サンプリングトランジスタ213は非導通状態になっている。従って、時刻t3において、駆動トランジスタ212のゲート電位Vgもフローティング状態となり、駆動トランジスタ212のソース電極とゲート電極は、互いにフローティングの状態で、保持容量215を介して接続された状態になる。これにより、図示するように、駆動トランジスタ212のソース電位Vs及びゲート電位Vgが、当該駆動トランジスタ212のしきい値電圧Vthに応じた所定の値に徐々に変化していく。
【0049】
このように、駆動トランジスタ212のゲート電位Vgの初期化電圧Vofs及び駆動トランジスタ212のソース電位Vsの初期化電圧Vccを基準として、フローティング状態において駆動トランジスタ212のしきい値電圧Vthに応じた所定の値に駆動トランジスタ212のソース電位Vs及びゲート電位Vgを変化させる動作が、しきい値補正動作である。このしきい値補正動作が進むと、やがて、駆動トランジスタ212のゲート-ソース間電圧Vgsは、駆動トランジスタ212のしきい値電圧Vthに収束する。このしきい値電圧Vthに相当する電圧は保持容量215に保持される。
【0050】
ここで、駆動トランジスタ212のしきい値電圧Vthには当然設計値が存在するが、製造ばらつき等により、実際のしきい値電圧Vthは、必ずしも当該設計値とは一致しない。これに対して、上記のようなしきい値補正動作を行うことにより、有機発光ダイオード211を発光させる前に、実際のしきい値電圧Vthに相当する電圧を保持容量215に保持させることができる。これにより、後述するように、その後に有機発光ダイオード211を発光させるために駆動トランジスタ212を駆動させる際に、当該駆動トランジスタ212のしきい値電圧Vthのばらつきを打ち消すことができる。従って、駆動トランジスタ212の駆動をより精度良く制御することが可能となり、所望の輝度をより好適に得ることが可能となる。
【0051】
しきい値補正期間が終了すると、次に、映像信号に対応する信号電圧Vsigを書き込む信号書き込み動作が行われる(時刻t4~t5の期間:信号書き込み期間)。信号書き込み期間では、当該信号書き込み期間が開始されるタイミングである時刻t4において、走査線電圧WSが高電位から低電位に遷移し、サンプリングトランジスタ213が導通状態にされる。一方、時刻t4において、信号線電圧Dateは映像信号に応じた信号電圧Vsigに制御されているため、保持容量215に当該映像信号に応じた信号電圧Vsigが書き込まれることとなる。この映像信号に対応する信号電圧Vsigの書き込みの際に、駆動トランジスタ212のソース電極と電源線332との聞に接続されている補助容量216は、駆動トランジスタ212のソース電位Vsが変動するのを抑える役割を果たす。そして、映像信号に応じた信号電圧Vsigが書き込まれる際、すなわち映像信号に応じた信号電圧Vsigが駆動トランジスタ212のゲート電極に印加され当該駆動トランジスタ212が駆動される際に、駆動トランジスタ212のしきい値電圧Vthが、しきい値補正動作において保持容量215に保持されたしきい値電圧Vthに相当する電圧と相殺される。つまり、上記のしきい値補正動作を行ったことにより、画素回路210ごとの駆動トランジスタ212のしきい値電圧Vthのばらつきが打ち消される。
【0052】
時刻t5において走査線電圧WSが低電位から高電位に遷移し、サンプリングトランジスタ213が非導通状態にされることで、信号書き込み期間が終了する。信号書き込み期間が終了すると、次に、時刻t6から発光期間が開始される。発光期間が開始されるタイミングである時刻t6では、第1駆動線電圧DSが高電位から低電位に遷移することで、発光制御トランジスタ214が導通状態にされる。これにより、電源電圧Vccを有する電源線332から発光制御トランジスタ214を介して駆動トランジスタ212のソース電極に電流が供給される。
【0053】
このとき、サンプリングトランジスタ213が非導通状態にあることで、駆動トランジスタ212のゲート電極は信号線402から電気的に切り離されてフローティング状態にある。駆動トランジスタ212のゲート電極がフローティング状態にあるときは、駆動トランジスタ212のゲート-ソース間に保持容量215が接続されていることにより、駆動トランジスタ212のソース電位Vsの変動に連動してゲート電位Vgも変動する。すなわち、駆動トランジスタ212のソース電位Vs及びゲート電位Vgは、保持容量215に保持されているゲート-ソース間電圧Vgsを保持したまま上昇する。そして、駆動トランジスタ212のソース電位Vsは、トランジスタの飽和電流に応じた有機発光ダイオード211の発光電圧Voledまで上昇する。
【0054】
このように、駆動トランジスタ212のゲート電位Vgがソース電位Vsの変動に連動して変動する動作のことをブートストラップ動作という。換言すれば、ブートストラップ動作は、保持容量215に保持されたゲート-ソース間電圧Vgs、すなわち保持容量215の両端間電圧を保持したまま、駆動トランジスタ212のゲート電位Vg及びソース電位Vsが変動する動作である。
【0055】
そして、駆動トランジスタ212のドレイン-ソース間電流Idsが有機発光ダイオード211に流れ始めることにより、当該ドレイン-ソース間電流Idsに応じて有機発光ダイオード211のアノード電位Vanoが上昇する。やがて、有機発光ダイオード211のアノード電位Vanoが有機発光ダイオード211のしきい値電圧Vthelを超えると、有機発光ダイオード211に駆動電流が流れ始め、有機発光ダイオード211が発光を開始する。
【0056】
以上説明した動作が、1H期間内に、各画素回路210において実行される。なお、上述したように、スイッチングトランジスタ217は、非発光期間に駆動トランジスタ212から有機発光ダイオード211に向かって流れ込む電流に起因して発生する当該有機発光ダイオード211の意図せぬ発光を防止するためのものであるから、第2駆動線電圧AZは、非発光期間においてスイッチングトランジスタ217が導通状態になるように適宜制御される。図示する例であれば、発光期間が終了する時刻t1において第2駆動線電圧AZが高電位から低電位に遷移し、次の発光期間が終開始される時刻t6の直前で、第2駆動線電圧AZが低電位から高電位に遷移する。
【0057】
なお、以上説明した本実施形態に係る表示装置1の全体構成や、画素回路210の構成、画素回路210の動作については、下記(4.配線層のレイアウト)で後述する点を除いては、本願出願人による先行出願である国際公開第2014/103500号を参照することができる。換言すれば、本実施形態に係る表示装置1の全体構成、画素回路210の構成、及び画素回路210の動作は、下記(4.配線層のレイアウト)で後述する点を除いては、国際公開第2014/103500号に記載のものと同様であってよい。ただし、以上説明したものはあくまで一例であって、本実施形態はかかる例に限定されない。本実施形態に係る表示装置1には、下記(4.配線層のレイアウト)で後述する点が反映されていればよく、その他の点については、一般的な表示装置において用いられている各種の公知の構成を適用することができる。
【0058】
例えば、上述した構成例では、画素回路210は、4つのトランジスタを有していたが、画素回路210の構成はかかる例に限定されない。表示装置1に適用され得る画素回路の他の構成例を、図5に示す。図5は、本実施形態に係る画素回路の他の構成例を示す概略図である。
【0059】
図5を参照すると、画素回路220は、有機発光ダイオード221と、5つのトランジスタ222、223、224、225、226と、1つの保持容量227と、から構成される。かかる画素回路220の構成及び動作は、一般的なトランジスタを5つ有する画素回路の構成及び動作と同様であるから、ここでは詳細な説明は省略する。このように、本実施形態では、画素回路の構成として、各種の公知のものが適用されてよい。
【0060】
(4.配線層のレイアウト)
以上説明した画素回路210、220は、各トランジスタが形成される拡散層の上層に、配線が形成される配線層(メタル層)を複数層積層し、更にその上層に有機発光ダイオード211を形成することによって構成される。この画素回路210、220における配線層のレイアウトについて説明する。ここでは、一例として、図5に示す画素回路220における配線層のレイアウトについて説明する。
【0061】
なお、上記では詳細な説明を省略したが、画素回路210と同様に、画素回路220においても、各トランジスタ(図5に示す構成例ではトランジスタ222、223、225、226)のゲート電極に、水平方向に延伸する配線が接続される。図5では1つの画素回路220のみを図示しているが、実際には、これらの配線は、行列状に並べられた複数の画素回路220の各行に対してそれぞれ設けられる。以下の説明では、複数の画素回路220の各行に対応して、水平方向に延伸して設けられる配線のことをH走査線とも呼称する。図5に示すように、1つの画素回路220には、4本のH走査線228が存在することとなる(図5では、配線層における実際の形状を模擬してH走査線228を示している)。
【0062】
また、画素回路210と同様に、画素回路220においても、映像信号に対応する信号電圧等を供給するための、垂直方向に延伸する配線(信号線)が接続される。図5では1つの画素回路220のみを図示しているが、実際には、当該配線は、行列状に並べられた複数の画素回路220の各列に対してそれぞれ設けられる。以下の説明では、複数の画素回路220の各列に対応して、垂直方向に延伸して設けられる配線のことをV信号線とも呼称する。図5に示すように、1つの画素回路220には、1本のV信号線229が存在することとなる(図5では、配線層における実際の形状を模擬してV信号線229を示している)。
【0063】
まず、図6を参照して、画素回路220の積層構造について説明する。図6は、画素回路220の積層構造を概略的に示す断面図である。図6では、画素回路220について、拡散層から有機発光ダイオード221のアノードまでの積層構造を概略的に図示している。
【0064】
図6を参照すると、画素回路220は、拡散層231の上層に、複数の配線層234、237、240が形成されて構成される。拡散層231では、Si等の半導体基板上において、ソース領域、ドレイン領域及びチャネル領域として機能するアクティブ領域や、ゲート絶縁膜、ゲート電極等が形成されることにより、各トランジスタ(トランジスタ222~226)が形成される。なお、図6では、簡単のため、トランジスタ等の拡散層に形成される素子については図示を省略している。
【0065】
拡散層231の上に絶縁体層232(以下、第1絶縁体層232という)が積層される。第1絶縁体層232は、例えばシリコン酸化物(SiO2)等の絶縁体が所定の厚さ積層されて形成される(後述する第2絶縁体層235、第3絶縁体層238、及び第4絶縁体層241も同様)。
【0066】
第1絶縁体層232には、拡散層231の各トランジスタの各電極(ソース電極、ドレイン電極、及びゲート電極)等の上層の配線層と接続される領域に対応する位置に、当該領域と上層の後述する第1配線層234に形成される配線とを電気的に接続するためのコンタクト233が形成される。コンタクト233は、第1絶縁体層232に貫通孔(コンタクトホール)を形成した後、当該コンタクトホールに例えばタングステン(W)等の導電体を埋め込むことによって形成される。
【0067】
コンタクト233が形成された第1絶縁体層232の上に、配線層234(以下、第1配線層234という)が形成される。第1配線層234は、例えばアルミニウム(Al)等の導電体を所定の厚さ積層した後、その導電体膜を所定の形状にパターニングすることによって形成される(後述する第2配線層237、及び第3配線層240も同様)。第1配線層234、第2配線層237、及び/又は第3配線層240に、図5に示す各配線(H走査線228及びV信号線229を含む各種の配線)が形成される。
【0068】
第1配線層234の上に、絶縁体層235(以下、第2絶縁体層235という)が形成される。第2絶縁体層235には、下層の第1配線層234に形成された対応する配線と、上層の後述する第2配線層237に形成される対応する配線とを電気的に接続するためのビア236(以下、第1ビア236という)が形成される。第1ビア236は、第2絶縁体層235に貫通孔(ビアホール)を形成した後、当該ビアホールに例えばW等の導電体を埋め込むことによって形成される(後述する第2ビア239、及び第3ビア242も同様)。
【0069】
第1ビア236が形成された第2絶縁体層235の上に、配線層237(以下、第2配線層237という)が形成される。第2配線層237の上に、絶縁体層238(以下、第3絶縁体層238という)が形成される。第3絶縁体層238には、下層の第2配線層237に形成された対応する配線と、上層の後述する第3配線層240に形成される対応する配線とを電気的に接続するためのビア239(以下、第2ビア239という)が形成される。
【0070】
第2ビア239が形成された第3絶縁体層238の上に、配線層240(以下、第3配線層240という)が形成される。第3配線層240の上に、絶縁体層241(以下、第4絶縁体層241という)が形成される。第4絶縁体層241には、下層の第3配線層240に形成された対応する配線と、上層の後述するアノード243とを電気的に接続するためのビア242(以下、第3ビア242という)が形成される。
【0071】
第3ビア242が形成された第4絶縁体層241の上に、有機発光ダイオード211が形成されることで、画素回路210が作製される。図6では有機発光ダイオード211のアノード243のみを図示しているが、アノード243の上に、発光層として機能する有機層、及びカソードが順次積層されることで、有機発光ダイオード211が形成される。
【0072】
ここで、本実施形態では、第2配線層237及び第3配線層240に、容量素子(図5に示す保持容量227)が形成される。具体的には、容量素子の下部電極(容量素子下部電極251)が、第2配線層237に形成される。当該第2配線層237の上層には、容量素子の容量に応じた厚さの絶縁体を介して、容量素子の上部電極(容量素子上部電極252)が形成される。容量素子上部電極252は、第3絶縁体層238の内部に設けられる。つまり、上記では説明を省略していたが、実際には、第3絶縁体層238は、容量素子上部電極252を境に2段階で積層されている。第2配線層237を形成した後、容量素子の容量に応じた厚さの絶縁体を積層し、その上に配線層と同様の方法によって容量素子上部電極252が形成される。その後、更に所定の厚さの絶縁体を積層することによって、第3絶縁体層238が形成される。
【0073】
第3絶縁体層238においては、容量素子上部電極252に対応する位置にも第2ビア239が設けられる。そして、容量素子上部電極252は、第3配線層240に形成される電極254と、当該第2ビア239によって電気的に接続される。電極254は、容量素子上部電極252の電位を引き出すためのものであり、容量素子上部電極252と同電位の電極であるから、以下では、当該電極254のことも容量素子上部電極254と呼称することとする。
【0074】
ここで、画素回路210を構成する各配線(すなわち、H走査線228及びV信号線229等)と、容量素子(すなわち、保持容量227)の具体的なレイアウトについて検討する。上述したように、これらの各配線は第1配線層234、第2配線層237、及び/又は第3配線層240に形成される。また、容量素子の容量素子下部電極251及び容量素子上部電極254は、第2配線層237及び第3配線層240にそれぞれ形成される。このように、各配線と容量素子の容量素子下部電極251及び容量素子上部電極254は、同一の配線層内に形成され得る。
【0075】
ここで、例えば表示装置1における表示の高精細化等の理由により、画素サイズを小型化しようとすると、画素回路220の正常な動作を妨げる各種の不具合が生じ得る。例えば、配線間の寄生容量の増大による各電極間のノイズ干渉による発光輝度均一性の悪化、容量素子の電極の面積の圧迫に起因するノイズ耐性悪化による輝度均一性の悪化、画素配線が密になることによる配線間ショート不良、及び小面積の配線パターンの膜とびによる配線オープン不良等である。従って、特に比較的小型の画素サイズが求められる場合においては、画素サイズを小型に保ちつつ、これらの不具合を極力発生させないように、第1配線層234、第2配線層237、及び第3配線層240のレイアウトを工夫することが重要となる。
【0076】
本発明者らは、鋭意検討した結果、上記の不具合を回避し得る、第1配線層234、第2配線層237、及び第3配線層240の好適なレイアウトに想到した。以下、図面を参照して、この好適なレイアウトについて詳細に説明する。
【0077】
図7は、本実施形態に係る配線層のレイアウトの一例について説明するための図である。図7、及び後述する図8図10では、拡散層231、第1配線層234、第2配線層237、及び第3配線層240のレイアウトを、概略的に示している。
【0078】
なお、図7、及び後述する図8図10では、配線層のレイアウトについて説明するため、拡散層231については、コンタクト233のレイアウトのみを示している。また、第1配線層234、第2配線層237、及び第3配線層240については、各配線層間の接続状態について示すため、各配線層内の配線のレイアウトに加えて、第1ビア236、第2ビア239、及び第3ビア242のレイアウトについても併せて図示している。
【0079】
また、図7、及び後述する図8図10において、符号の末尾に「a」を付しているコンタクト及びビアは、最終的に上層においてアノード243に接続されるコンタクト及びビアを表している。同様に、符号の末尾に「b」を付しているコンタクト及びビアは、最終的に上層において容量素子下部電極251に接続されるコンタクト及びビアを表している。同様に、符号の末尾に「c」を付しているコンタクト及びビアは、最終的に上層においてV信号線229に接続されるコンタクト及びビアを表している。同様に、符号の末尾に「d」を付しているコンタクト及びビアは、最終的に上層においてH走査線228に接続されるコンタクト及びビアを表している。
【0080】
更に、図7、及び後述する図8図10においては、説明のため、第1配線層234、第2配線層237、及び第3配線層240について、アノード243に係る配線(つまり、アノード243と同電位の配線)を破線で、容量素子下部電極251に係る配線(つまり、容量素子下部電極251自身、及び容量素子下部電極251と同電位の配線)を太い実線で、V信号線229に係る配線(つまり、V信号線229自身、及びV信号線229と同電位の配線)を一点鎖線で、H走査線228に係る配線(つまり、H走査線228自身、及びH走査線228と同電位の配線)を細い実線で、示している。
【0081】
図7では、第1配線層234及び第2配線層237にH走査線228及びV信号線229を形成する場合における一レイアウト例を示している。図7に示すように、本実施形態では、H走査線228とV信号線229について、1つの画素回路220に対して設けられる本数がより多い方をより下層に形成する。図5に示す画素回路220の構成例であれば、上述したように、1つの画素回路220に対して設けられるH走査線228の本数は、V信号線229の本数よりも多い。従って、図示するように、第1配線層234及び第2配線層237にH走査線228及びV信号線229を形成する場合であれば、第1配線層234においてH走査線228を形成し、第2配線層237においてV信号線229を形成する。
【0082】
この場合、図7に示すように、第1配線層234には、H走査線228とともに、拡散層231の対応する電極を第3配線層240の上層に形成されるアノード243まで接続するための配線(図中に破線で示す配線。以下、アノード243に係る接続配線ともいう)、拡散層231の対応する電極を第2配線層237に形成される容量素子下部電極251まで接続するための配線(図中に太い実線で示す配線。以下、容量素子に係る接続配線ともいう)、及び拡散層231の対応する電極を第2配線層237に形成されるV信号線229まで接続するための配線(図中に一点鎖線で示す配線。以下、V信号線229に係る接続配線ともいう)が形成される。そして、第2配線層237には、V信号線229とともに、容量素子下部電極251、及びアノード243に係る接続配線が形成される。更に、第3配線層240には、容量素子上部電極254、及びアノード243に係る接続配線が形成される。なお、アノード243に係る接続配線、容量素子に係る接続配線、及びV信号線229に係る接続配線は、各配線層においてそれぞれ1つずつ形成される。
【0083】
ここで、比較のため、図8に、第1配線層234及び第2配線層237にH走査線228及びV信号線229を形成する場合における、本実施形態とは異なる配線層の一レイアウト例を示す。図8は、図7に示すレイアウトと比較するための図であって、第1配線層234及び第2配線層237にH走査線228及びV信号線229を形成する場合において、本実施形態とは異なる配線層にH走査線228及びV信号線229を形成した場合の一レイアウト例を示す図である。図8に示すように、図7に示す本実施形態に係るレイアウトとは逆に、H走査線228とV信号線229について、1つの画素回路220に対して設けられる本数がより多い方を、より上層に形成したとする。つまり、第1配線層234においてV信号線229を形成し、第2配線層237においてH走査線228を形成したとする。
【0084】
この場合、図8に示すように、第1配線層234には、V信号線229とともに、アノード243に係る接続配線、容量素子に係る接続配線、及び拡散層231の対応する電極を第2配線層237に形成されるH走査線228まで接続するための配線(図中に細い実線で示す配線。以下、H走査線228に係る接続配線ともいう)が形成される。H走査線228に係る接続配線は、H走査線228の本数に応じた数だけ形成される。そして、第2配線層237には、より多くの本数が存在するH走査線228とともに、容量素子下部電極251、及びアノード243に係る接続配線が形成される。更に、第3配線層240には、容量素子上部電極254、及びアノード243に係る接続配線が形成される。
【0085】
図7に示す本実施形態に係るレイアウトと、図8に示すレイアウトとを比較すると、本実施形態に係るレイアウトでは、より本数が多い配線であるH走査線228がより下層の第1配線層234に形成されるため、当該第1配線層234の配線パターンは比較的密となる。一方、図8に示すレイアウトでは、より本数が多い配線であるH走査線228は第1配線層234に形成されないものの、H走査線228に係る接続配線をH走査線228の本数に応じた数だけ第1配線層234に形成する必要がある。従って、H走査線228に係る接続配線の方が、H走査線228よりも面積は小さいとはいえ、結果的に、第1配線層234における配線パターンの疎密は、本実施形態に係るレイアウトと比べて大幅に小さいものとはならない。
【0086】
これに対して、本実施形態に係るレイアウトでは、より本数が少ない配線であるV信号線229が第2配線層237に形成されるため、当該第2配線層237の配線パターンは比較的疎になる。一方、図8に示すレイアウトでは、より本数が多い配線であるH走査線228が第2配線層237に形成されるため、当該第2配線層237の配線パターンは比較的密となる。
【0087】
このように、本実施形態によれば、H走査線228とV信号線229について、1つの画素回路220に対して設けられる本数がより多い方の配線であるH走査線228をより下層の第1配線層234に形成するように、第1配線層234及び第2配線層237のレイアウトを構成することにより、より上層の第2配線層237における配線パターンをより疎にすることが可能になる。
【0088】
第2配線層237における配線パターンがより疎になることにより、上述した、当該第2配線層237における配線間寄生容量の増大に起因する輝度均一性の悪化や、配線間ショート不良等の発生を抑制することが可能になる。また、本実施形態では、第2配線層237に容量素子下部電極251が設けられるため、第2配線層237の配線パターンが疎になることにより、当該容量素子下部電極251のレイアウトの自由度が増すとともに、当該容量素子下部電極251について、所望の容量を実現し得るような十分な面積を確保することが可能になる。従って、容量素子の電極の面積の圧迫に起因する輝度均一性の悪化や、小面積の配線パターン(電極)が設けられることによる配線オープン不良等の発生を抑制することが可能になる。よって、これらの各種の不具合の発生を抑制することができ、より信頼性の高い、かつより高精細な表示装置1を実現することが可能になる。
【0089】
ここで、図7では、第1配線層234及び第2配線層237にH走査線228及びV信号線229をそれぞれ形成する場合における一レイアウト例を示したが、本実施形態はかかる例に限定されない。本実施形態に係るレイアウト方法(すなわち、H走査線228とV信号線229について、1つの画素回路220に対して設けられる本数がより多い方をより下層に形成する方法)は、H走査線228及びV信号線229を他の配線層に形成する場合であっても、適用可能である。
【0090】
図9を参照して、本実施形態に係る配線層のレイアウトの他の例について説明する。図9は、本実施形態に係る配線層のレイアウトの他の例について説明するための図である。
【0091】
図9では、第1配線層234、第2配線層237及び第3配線層240にH走査線228及びV信号線229を形成する場合における一レイアウト例を示している。図9に示すように、かかる場合であっても、本実施形態では、H走査線228とV信号線229について、1つの画素回路220に対して設けられる数がより多い方をより下層に形成する。従って、例えば、図示するように、第1配線層234及び第2配線層237においてH走査線228を形成し、第3配線層240においてV信号線229を形成する。
【0092】
この場合、図9に示すように、例えば、第1配線層234には、H走査線228の一部(図示する例では3本)とともに、アノード243に係る接続配線、容量素子に係る接続配線、及びV信号線229に係る接続配線が形成される。そして、第2配線層237には、残りのH走査線228(図示する例では1本)とともに、容量素子下部電極251、アノード243に係る接続配線、及びV信号線229に係る接続配線が形成される。更に、第3配線層240には、V信号線229とともに、容量素子上部電極254、及びアノード243に係る接続配線が形成される。図7に示す例では、複数のH走査線228が同一の配線層に形成されていたが、このように、本実施形態では、複数のH走査線228が互いに異なる配線層に分散して形成されてもよい。
【0093】
ここで、比較のため、図10に、第1配線層234、第2配線層237及び第3配線層240にH走査線228及びV信号線229を形成する場合における、本実施形態とは異なる配線層の一レイアウト例を示す。図10は、図9に示すレイアウトと比較するための図であって、第1配線層234、第2配線層237及び第3配線層240にH走査線228及びV信号線229を形成する場合において、本実施形態とは異なる配線層にH走査線228及びV信号線229を形成した場合の一レイアウト例を示す図である。図10に示すように、図9に示す本実施形態に係るレイアウトとは逆に、H走査線228とV信号線229について、1つの画素回路220に対して設けられる本数がより多い方を、より上層に形成したとする。ここでは、第1配線層234においてV信号線229を形成し、第3配線層240においてH走査線228を形成したとする。
【0094】
この場合、図10に示すように、第1配線層234には、V信号線229とともに、アノード243に係る接続配線、容量素子に係る接続配線、及びH走査線228に係る接続配線が形成される。そして、第2配線層237には、容量素子下部電極251とともに、アノード243に係る接続配線、及びH走査線228に係る接続配線が形成される。なお、第1配線層234及び第2配線層237において、H走査線228に係る接続配線は、H走査線228の本数に応じた数だけ形成される。更に、第3配線層240には、より多くの本数が存在するH走査線228とともに、容量素子上部電極254、及びアノード243に係る接続配線が形成される。
【0095】
図9に示す本実施形態に係るレイアウトと、図10に示すレイアウトとを比較すると、本実施形態に係るレイアウトでは、より本数が多い配線であるH走査線228の大半がより下層の第1配線層234に形成されるため、当該第1配線層234の配線パターンは比較的密となる。一方、図8に示すレイアウトでは、より本数が多い配線であるH走査線228は第1配線層234に形成されないものの、H走査線228に係る接続配線をH走査線228の本数に応じた数だけ第1配線層234に形成する必要がある。従って、H走査線228に係る接続配線の方が、H走査線228よりも面積は小さいとはいえ、結果的に、第1配線層234における配線パターンの疎密は、本実施形態に係るレイアウトと比べて大幅に小さいものとはならない。
【0096】
これに対して、本実施形態に係るレイアウトでは、より本数が少ない配線であるV信号線229が第3配線層240に形成されるため、第2配線層237及び第3配線層240の配線パターンは比較的疎になる。一方、図8に示すレイアウトでは、より本数が多い配線であるH走査線228が第3配線層240に形成されるため、H走査線228に係る接続配線をH走査線228の本数に応じた数だけ第2配線層237に形成する必要があり、当該第2配線層237の配線パターンは比較的密となる。
【0097】
このように、図9に示すレイアウトによれば、H走査線228とV信号線229について、1つの画素回路220に対して設けられる数がより多い方の配線であるH走査線228をより下層の第1配線層234及び第2配線層237に形成するように、第1配線層234、第2配線層237及び第3配線層240のレイアウトを構成することにより、より上層の第2配線層237及び第3配線層240における配線パターンをより疎にすることが可能になる。従って、上述した図7に示すレイアウトを適用した場合と同様の効果を得ることが可能になる、すなわち、高精細でありつつ、より信頼性の高い表示装置1を実現することが可能になる。
【0098】
更に、本実施形態によれば、以下の効果も奏することができる。
【0099】
例えば図8及び図10に示すようなレイアウトを行うことによって、容量素子下部電極251について第2配線層237において所望の容量を実現し得るような十分な面積を確保することができなかった場合には、所望の容量の容量素子を作成するために、配線層を増加させ、その増加させた配線層に容量素子を形成する必要が生じることがある。この場合、配線層を増加させることによるマスクの増加、工程の増加が発生するため、製造コストが増大化してしまう。これに対して、本実施形態に係るレイアウトによれば、上述したように、容量素子下部電極251の面積を十分に確保することが可能となるため、このような配線層の増加を生じさせることなく、所望の容量を有する容量素子を形成することが可能となる。このように、本実施形態によれば、製造コストの増加を抑える効果も奏することができる。
【0100】
また、本実施形態では、下層の配線層により本数の多い配線が形成されることにより、上層の配線層により本数の多い配線が形成され下層の配線層に孤立した接続配線(上述したH走査線228に係る接続配線等)が形成される場合に比べて、少なからず当該下層の配線層の配線パターンが密になる。このように、各トランジスタが形成される拡散層231により近い下層の配線層における配線パターンが密になることにより、トランジスタへの遮光効果を向上させることができる。従って、光が当たることによるトランジスタの特性変動をより抑制することができ、表示装置1の信頼性を更に向上させることができる。
【0101】
また、上層の配線層、特に最上層の配線層における配線パターンを比較的疎にすることが可能になることにより、当該最上層の配線層の更に上層に形成される有機発光ダイオード221のアノード243の平坦性を向上させることができる。これにより、有機発光ダイオード221の発光効率を向上させることができ、表示品質の更なる向上が実現され得る。
【0102】
また、上層の配線層の配線パターンを比較的疎にすることが可能になることにより、最上層の配線層である第3配線層240に形成されるアノード243に係る接続配線の配置(すなわち、当該アノード243に係る接続配線と上層のアノード243とを接続する第3ビア242の配置)の自由度が向上する。これにより、画素のレイアウトの設計がより容易になる。
【0103】
この点について、図11及び図12を参照してより詳細に説明する。図11は、3つの副画素で1つの画素が形成される場合における、これら3つの副画素における第3ビア242の配置の一例を示す図である。図12は、4つの副画素で1つの画素が形成される場合における、これら4つの副画素における第3ビア242の配置の一例を示す図である。
【0104】
図11及び図12では、いずれも、図中左側に、1つの画素に対応する、アノード243及び有機層261(有機発光ダイオード221において発光層として機能する層)が積層された構成の上面図を示すとともに、かかる構成に対する第3ビア242の配置を模擬的に示している。また、図中右側に、同じく1つの画素に対応する、拡散層231及び配線層(第1配線層234、第2配線層237及び第3配線層240)が積層された構成262の上面図を示すとともに、かかる構成に対する第3ビア242の配置を模擬的に示している。拡散層231及び配線層が積層された構成262については、簡単のため、各層の内部の詳細な図示は省略している。なお、図11及び図12において、有機層261、並びに拡散層231及び配線層が積層された構成262については、その対応する副画素の色を表す文字(R:Red、G:Green、B:Blue、W:White)を、符号の末尾に付している。実際には、各副画素の色は、有機発光ダイオード221よりも上層に設けられるカラーフィルタ(CF)によって制御されるため、有機層261、並びに拡散層231及び配線層が積層された構成262について、色による構造の違いは存在しない。
【0105】
図11に示すように、3つの副画素で1つの画素が形成される場合には、各副画素において、第3ビア242の配置は略同一である。従って、第3ビア242の配置の自由度が向上することによるメリットはあまり存在しない。
【0106】
一方、図12に示すように、4つの副画素で1つの画素が形成される場合には、各副画素において、第3ビア242の配置は異なる。つまり、副画素ごとに、第3配線層240におけるアノード243に係る接続配線の配置も変更する必要が生じる。この場合に、例えば図10に示すようなレイアウトを行った結果、第3配線層240における配線パターンが密であると、アノード243に係る接続配線の配置の自由度が低い。従って、アノード243に係る接続配線の配置を副画素ごとに異なるものとするために、副画素ごとに第3配線層240のレイアウト全体を異なるものとする必要が生じる恐れがある。この場合、それに応じて下層の第2配線層237及び第1配線層234のレイアウトも副画素ごとに異ならせる必要が生じ得るため、レイアウトのための作業量が膨大となり、設計者にとって大きな負担となる。
【0107】
これに対して、本実施形態によれば、上層の配線層の配線パターンを比較的疎にすることが可能になるため、第3配線層240におけるアノード243に係る接続配線の配置の自由度が高い。従って、アノード243に係る接続配線の配置だけが副画素ごとに異なり、その他の配線の配置は副画素ごとに同一であるように、第3配線層240のレイアウトを構成することが可能になる。この場合、下層の第2配線層237及び第1配線層234のレイアウトについても、アノード243に係る接続配線の配置だけを副画素ごとに異ならせればよいため、レイアウトの設計の難易度は下がる。このように、本実施形態に係る配線層のレイアウト方法は、4つの副画素で1つの画素が形成される場合のように、副画素ごとに第3ビア242(すなわち、最上層の配線層とアノード243とを接続するビア)の配置が異なる場合において、その画素のレイアウト設計の難易度を低下させることができるという効果ももたらす。
【0108】
以上、本実施形態に係る配線層のレイアウトについて説明した。なお、以上では、図7及び図9に示す2つのレイアウト例だけを取り上げたが、配線層の数が上記で例示した3層とは異なる場合(例えばより多く4層以上である場合)、それらの配線層におけるH走査線228及びV信号線229の配置位置が異なる場合、H走査線228及びV信号線229の本数が異なる場合(例えばともに複数である場合)、及び1つの画素回路210、220に対して設けられるH走査線228及びV信号線229の本数の大小関係が逆である場合等であっても、本実施形態に係る配線層のレイアウト方法を適用することが可能である。本実施形態に係る配線層のレイアウト方法は、アクティブマトリックス方式によって駆動される表示装置であれば、各種の表示装置に対して適用され得る。配線層の数等にかかわらず、本実施形態に係る配線層のレイアウト方法を適用することにより、より下層の配線層におけるH走査線228に係る接続配線又はV信号線229に係る接続配線の数が削減されるため、結果的に、より上層の配線層の配線パターンを比較的疎にすることが可能となる。また、この配線パターンが比較的疎である配線層に、容量素子の電極(容量素子下部電極251及び/又は容量素子上部電極254)を設けることにより、当該容量素子の電極の面積を十分確保することができる。従って、上述した実施形態と同様に、信頼性向上等の各種の効果を得ることが可能になる。
【0109】
(5.表示装置の具体的な構成例)
以上説明した本実施形態に係る表示装置1の、より具体的な構成例について説明する。図13は、本実施形態に係る表示装置1の具体的な一構成例を示す断面図である。図13では、表示装置1の一部断面図を示している。
【0110】
図13を参照すると、本実施形態に係る表示装置1は、第1基板11上に、白色光を発する発光素子である複数の有機発光ダイオード211と、当該有機発光ダイオード211の上層に設けられ、当該有機発光ダイオード211の各々に対応して各色のCFが形成されるCF層33と、を備える。また、CF層33の上層には、有機発光ダイオード211からの光に対して透明な材料で形成される第2基板34が配置される。また、第1基板11には、有機発光ダイオード211の各々に対応して、当該有機発光ダイオード211を駆動するための薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)15が設けられる。TFT15は、上述した画素回路210を構成する各トランジスタ(駆動トランジスタ212、サンプリングトランジスタ213、発光制御トランジスタ214及びスイッチングトランジスタ217)に対応するものである。TFT15によって任意の有機発光ダイオード211が選択的に駆動され、駆動された当該有機発光ダイオード211からの光が対応するCFを通過してその色が適宜変換され、第2基板34を介して上方から出射されることにより、所望の画像、文字等が表示される。
【0111】
なお、以下の説明では、表示装置1における各層の積層方向を上下方向とも呼称する。その際、第1基板11が配置される方向を下方向とし、第2基板34が配置される方向を上方向とする。また、上下方向に垂直な面のことを水平面とも呼称する。
【0112】
このように、図13に示す表示装置1は、カラー表示可能な、アクティブマトリックス方式で駆動される上面発光型の表示装置である。ただし、本実施形態はかかる例に限定されず、本実施形態に係る表示装置1は、第1基板11を介して光が出射される下面発光型の表示装置であってもよい。
【0113】
(第1基板及び第2基板)
図示する構成例では、第1基板11はSi基板から構成される。また、第2基板34は石英ガラスから構成される。ただし、本実施形態はかかる例に限定されず、第1基板11及び第2基板34としては、各種の公知の材料が用いられてよい。例えば、第1基板11及び第2基板34は、高歪点ガラス基板、ソーダガラス(Na2O、CaO及びSiO2の混合物)基板、硼珪酸ガラス(Na2O、B2O3及びSiO2の混合物)基板、フォルステライト(Mg2SiO4)基板、鉛ガラス(Na2O、PbO及びSiO2の混合物)基板、表面に絶縁膜が形成された各種ガラス基板、石英基板、表面に絶縁膜が形成された石英基板、表面に絶縁膜が形成されたSi基板、又は有機ポリマー基板(例えば、ポリメチルメタクリレート(ポリメタクリル酸メチル:PMMA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルフェノール(PVP)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリイミド、ポリカーボネート、若しくはポリエチレンテレフタレート(PET)等)によって形成され得る。第1基板11と第2基板34を構成する材料は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。ただし、上述したように表示装置1は上面発光型であるから、第2基板34は、有機発光ダイオード211からの光を好適に透過し得る、透過率の高い材料によって形成されることが好ましい。
【0114】
(発光素子及び第2部材)
有機発光ダイオード211は、第1電極21と、第1電極21の上に設けられる有機層23と、有機層23上に形成される第2電極22と、を有する。より具体的には、第1電極21の上に、当該第1電極21の少なくとも一部を露出するように開口部25が設けられる第2部材52が積層されており、有機層23は、当該開口部25の底部において露出した第1電極21の上に設けられる。つまり、有機発光ダイオード211は、第2部材52の開口部25において、第1電極21、有機層23及び第2電極22がこの順に積層された構成を有する。この積層構造が各画素の発光部24として機能する。つまり、有機発光ダイオード211の、第2部材52の開口部25に当たる部分が発光面となる。また、第2部材52は、画素間に設けられ画素の面積を画定する画素定義膜として機能する。
【0115】
有機層23は、有機発光材料からなる発光層を備え、白色光を発光可能に構成される。有機層23の具体的な構成は限定されず、各種の公知な構成であってよい。例えば、有機層23は、正孔輸送層と発光層と電子輸送層との積層構造、正孔輸送層と電子輸送層を兼ねた発光層との積層構造、又は正孔注入層と正孔輸送層と発光層と電子輸送層と電子注入層との積層構造等から構成することができる。また、これらの積層構造等を「タンデムユニット」とする場合、有機層23は、第1のタンデムユニット、接続層、及び第2のタンデムユニットが積層された2段のタンデム構造を有してもよい。あるいは、有機層23は、3つ以上のタンデムユニットが積層された3段以上のタンデム構造を有してもよい。有機層23が複数のタンデムユニットからなる場合には、発光層の発光色を赤色、緑色、青色と各タンデムユニットで変えることで、全体として白色を発光する有機層23を得ることができる。
【0116】
図示する構成例では、有機層23は、有機材料を真空蒸着することによって形成される。ただし、本実施形態はかかる例に限定されず、有機層23は各種の公知の方法によって形成されてよい。例えば、有機層23の形成方法としては、真空蒸着法等の物理的気相成長法(PVD法)、スクリーン印刷法やインクジェット印刷法といった印刷法、転写用基板上に形成されたレーザ吸収層と有機層の積層構造に対してレーザを照射することでレーザ吸収層上の有機層を分離して当該有機層を転写するレーザ転写法、又は各種の塗布法等を用いることができる。
【0117】
第1電極21は、アノードとして機能する。つまり、第1電極21は、上記図6に示すアノード243に対応する。上述したように表示装置1は上面発光型であるから、第1電極21は、有機層23からの光を反射し得る材料によって形成される。図示する構成例では、第1電極21はアルミニウムとネオジムとの合金(Al-Nd合金)によって形成される。また、第1電極21の膜厚は、例えば0.1μm~1μm程度である。ただし、本実施形態はかかる例に限定されず、第1電極21は、一般的な有機EL表示装置においてアノードとして機能する光反射側の電極の材料として用いられている各種の公知の材料によって形成することができる。また、第1電極21の膜厚も上記の例に限定されず、第1電極21は、一般的に有機EL表示装置において採用されている膜厚の範囲で適宜形成され得る。
【0118】
例えば、第1電極21は、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、クロム(Cr)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、若しくはタンタル(Ta)といった仕事関数の高い金属、又は合金(例えば、銀を主成分とし、0.3質量%~1質量%のパラジウム(Pd)と、0.3質量%~1質量%の銅とを含むAg-Pd-Cu合金、又はAl-Nd合金等)によって形成され得る。あるいは、第1電極21としては、アルミニウム又はアルミニウムを含む合金等の仕事関数の値が小さく、かつ光反射率の高い導電材料を用いることができる。この場合には、第1電極21上に適切な正孔注入層を設けるなどして正孔注入性を向上させることが好ましい。あるいは、第1電極21は、誘電体多層膜やアルミニウムといった光反射性の高い反射膜上に、インジウムとスズの酸化物(ITO)やインジウムと亜鉛の酸化物(IZO)等の正孔注入特性に優れた透明導電材料を積層した構造とすることもできる。
【0119】
第2電極22は、カソードとして機能する。上述したように表示装置1は上面発光型であるから、第2電極22は、有機層23からの光を透過し得る材料によって形成される。図示する構成例では、第2電極22はマグネシウムと銀との合金(Mg-Ag合金)によって形成される。また、第2電極22の膜厚は、例えば10nm程度である。ただし、本実施形態はかかる例に限定されず、第2電極22は、一般的な有機EL表示装置においてカソードとして機能する光透過側の電極の材料として用いられている各種の公知の材料によって形成することができる。また、第2電極22の膜厚も上記の例に限定されず、第2電極22は、一般的に有機EL表示装置において採用されている膜厚の範囲で適宜形成され得る。
【0120】
例えば、第2電極22は、アルミニウム、銀、マグネシウム、カルシウム(Ca)、ナトリウム(Na)、ストロンチウム(Sr)、アルカリ金属と銀との合金、アルカリ土類金属と銀との合金(例えば、マグネシウムと銀との合金(Mg-Ag合金))、マグネシウムとカルシウムとの合金(Mg-Ca合金)、アルミニウムとリチウムとの合金(Al-Li合金)等によって形成され得る。これらの材料を単層で用いる場合には、第2電極22の膜厚は、例えば4nm~50nm程度である。あるいは、第2電極22は、有機層23側から、上述した材料層と、例えばITOやIZOからなる透明電極(例えば、厚さ30nm~1μm程度)とが積層された構造とすることもできる。このような積層構造とした場合には、上述した材料層の厚さを例えば1nm~4nm程度と薄くすることもできる。あるいは、第2電極22は、透明電極のみで構成されてもよい。あるいは、第2電極22に対して、アルミニウム、アルミニウム合金、銀、銀合金、銅、銅合金、金、金合金等の低抵抗材料から成るバス電極(補助電極)を設け、第2電極22全体として低抵抗化を図ってもよい。
【0121】
図示する構成例では、第1電極21及び第2電極22は、真空蒸着法によって所定の厚さだけ材料を成膜した後に、当該膜をエッチング法によってパターニングすることにより形成される。ただし、本実施形態はかかる例に限定されず、第1電極21及び第2電極22は、各種の公知の方法によって形成されてよい。第1電極21及び第2電極22の形成方法としては、例えば、電子ビーム蒸着法、熱フィラメント蒸着法、真空蒸着法を含む蒸着法、スパッタリング法、化学的気相成長法(CVD法)、有機金属化学気相蒸着法(MOCVD法)、イオンプレーティング法とエッチング法との組合せ、各種の印刷法(例えば、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法、若しくはメタルマスク印刷法等)、メッキ法(電気メッキ法、若しくは無電解メッキ法等)、リフトオフ法、レーザアブレーション法、又はゾルゲル法等を挙げることができる。
【0122】
第2部材52は、SiO2をCVD法によって所定の膜厚だけ成膜し、その後当該SiO2膜をフォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用いてパターニングすることにより形成される。ただし、第2部材52の材料はかかる例に限定されず、第2部材52の材料としては、絶縁性を有する各種の材料を用いることができる。例えば、第2部材52を構成する材料としては、SiO2、MgF、LiF、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、フッ素系ポリマー、又はシリコーン系ポリマー等を挙げることができる。ただし、後述するように、第2部材52は、第1部材51の材料よりも屈折率が低い材料によって形成される。
【0123】
(発光素子よりも下層の構成)
第1基板11において、有機発光ダイオード211を構成する第1電極21は、SiONからなる層間絶縁層16上に設けられている。そして、この層間絶縁層16は、第1基板11上に形成された発光素子駆動部を覆っている。
【0124】
発光素子駆動部は、複数のTFT15から構成される。つまり、発光素子駆動部は、画素回路210の駆動回路に対応するものである。TFT15は、第1基板11上に形成されるゲート電極12、第1基板11及びゲート電極12上に形成されるゲート絶縁膜13、並びにゲート絶縁膜13上に形成される半導体層14から構成される。半導体層14のうち、ゲート電極12の直上に位置する領域がチャネル領域14Aとして機能し、当該チャネル領域14Aを挟むように位置する領域がソース/ドレイン領域14Bとして機能する。なお、図示する例では、TFT15はボトムゲート型であるが、本実施形態はかかる例に限定されず、TFT15はトップゲート型であってもよい。
【0125】
半導体層14の上層に、CVD法によって2層からなる層間絶縁層16(下層層間絶縁層16A及び上層層間絶縁層16B)が積層される。その際、下層層間絶縁層16Aが積層された後、当該下層層間絶縁層16Aのソース/ドレイン領域14Bに当たる部分に、例えばフォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用いて当該ソース/ドレイン領域14Bを露出させるようにコンタクトホール17が設けられ、当該コンタクトホール17を埋め込むようにアルミニウムからなる配線18が形成される。配線18は、例えば真空蒸着法とエッチング法とを組み合わせて形成される。その後、上層層間絶縁層16Bが積層される。
【0126】
上層層間絶縁層16Bの配線18が設けられる部分には、例えばフォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用いて当該配線18を露出させるようにコンタクトホール19が設けられる。そして、有機発光ダイオード211の第1電極21を形成する際には、当該第1電極21がコンタクトホール19を介して配線18と接触するように形成される。このように、有機発光ダイオード211は、その第1電極21が、配線18を介してTFT15のソース/ドレイン領域14B(図3に示す画素回路例であれば、駆動トランジスタ212のドレイン領域に対応する)と電気的に接続される。
【0127】
なお、上記の例では層間絶縁層16をSiONによって構成していたが、本実施形態はかかる例に限定されない。層間絶縁層16は、一般的な有機EL表示装置において層間絶縁層として用いられ得る各種の公知の材料によって形成されてよい。例えば、層間絶縁層16の構成材料としては、SiO2系材料(例えば、SiO2、BPSG、PSG、BSG、AsSG、PbSG、SiON、SOG(スピンオングラス)、低融点ガラス、又はガラスペースト等)、SiN系材料、絶縁性樹脂(例えば、ポリイミド樹脂、ノボラック系樹脂、アクリル系樹脂、ポリベンゾオキサゾール等)を、単独で、あるいは適宜組み合わせて使用することができる。また、層間絶縁層16の形成方法も上記の例に限定されず、層間絶縁層16の形成には、CVD法、塗布法、スパッタリング法、又は各種印刷法等の公知の方法を用いることができる。更に、上記の例では、配線18を、アルミニウムを真空蒸着法及びエッチング法によって成膜及びパターニングすることによって形成していたが、本実施形態はかかる例に限定されない。配線18は、一般的な有機EL表示装置において配線として用いられる各種の材料を各種の方法によって成膜及びパターニングすることによって形成されてよい。
【0128】
また、図13では、簡単のため、配線層を1層のみ図示している。実際には、図6を参照して説明したように、TFT15が形成された拡散層の上に複数の配線層が形成され、更にその上に有機発光ダイオード211が形成され得る。
【0129】
(発光素子よりも上層の構成)
有機発光ダイオード211の第2部材52に設けられる開口部25は、その側壁が、下方に向かうにつれて開口面積が増加するように傾斜したテーパ形状を有するように形成される。そして、当該開口部25に第1部材51が埋め込まれる。つまり、第1部材51は、有機発光ダイオード211の発光面の直上に設けられる、発光素子からの出射光を上方に向かって伝播する層である。また、第2部材52の開口部25を上記のように形成することにより、第1部材51は、その積層方向における断面形状(すなわち、図示する断面形状)が略台形を有し、上方に底面を向けた切頭錐体形状を有する。
【0130】
第1部材51は、Si1-xNxを真空蒸着法によって開口部25を埋め込むように成膜し、その後当該Si1-xNx膜の表面を化学機械研磨法(CMP法)等によって平坦化することにより形成される。ただし、第1部材51の材料はかかる例に限定されず、第1部材51の材料としては、絶縁性を有する各種の材料を用いることができる。例えば、第1部材51を構成する材料としては、Si1-xNx、ITO、IZO、TiO2、Nb2O5、臭素含有ポリマー、硫黄含有ポリマー、チタン含有ポリマー、又はジルコニウム含有ポリマー等を挙げることができる。第1部材51の形成方法もかかる例に限定されず、第1部材51の形成方法としては、各種の公知の方法が用いられてよい。
【0131】
ただし、本実施形態では、第1部材51の屈折率n1と、第2部材52の屈折率n2とがn1>n2の関係を満たすように、第1部材51及び第2部材52の材料が選択される。屈折率が上記の関係を満たすように第1部材51及び第2部材52の材料を選択することにより、第1部材51と対向する第2部材52の表面において、第1部材51を伝播した光が少なくとも一部反射されることとなる。より具体的には、第1部材51と第2部材52との間には、有機発光ダイオード211の有機層23及び第2電極22が形成されているので、第2部材52と有機層23との界面において、第1部材51を伝播した光が少なくとも一部反射される。つまり、第1部材51と対向する第2部材52の表面は光反射部(リフレクタ)53として機能する。
【0132】
本実施形態では、上記のように第1部材51は有機発光ダイオード211の発光面の直上に設けられる。そして、第1部材51は上方に底面を向けた切頭錐体形状を有するため、有機発光ダイオード211の発光面から出射された光は、第1部材51と第2部材52との界面、すなわちリフレクタ53によって、光出射方向である上方に向かって反射されることとなる。このように、本実施形態によれば、リフレクタ53を設けることにより、有機発光ダイオード211からの出射光の取り出し効率を向上させることができ、表示装置1全体としての輝度を向上させることができる。
【0133】
なお、本発明者らによる検討の結果、有機発光ダイオード211からの出射光の取り出し効率をより好適に向上させるためには、第1部材51及び第2部材52の屈折率は、n1-n2≧0.20の関係を満たすことが好ましい。更に好ましくは、第1部材51及び第2部材52の屈折率は、n1-n2≧0.30の関係を満たすことが望ましい。更に、有機発光ダイオード211からの出射光の取り出し効率をより向上させるためには、第1部材51の形状が、0.5≦R1/R2≦0.8、かつ0.5≦H/R1≦0.8の関係を満たすことが好ましい。ここで、R1は第1部材51の光入射面(すなわち、積層方向における下方を向いた部位であって、有機発光ダイオード211の発光面と対向する面)の直径、R2は第1部材51の光出射面(すなわち、積層方向における上方を向いた面)の直径、Hは第1部材51を切頭錐体とみなした場合の底面と上面との距離(積層方向における高さ)である。
【0134】
平坦化された第1部材51の上層には、保護膜31及び平坦化膜32がこの順に積層される。保護膜31は、例えば、Si1-yNyを真空蒸着法によって所定の膜厚(3.0μm程度)だけ積層することによって形成される。また、平坦化膜32は、例えば、SiO2をCVD法によって所定の膜厚(2.0μm程度)だけ積層し、その表面をCMP法等によって平坦化することによって形成される。
【0135】
ただし、保護膜31及び平坦化膜32の材料及び膜厚はかかる例に限定されず、保護膜31及び平坦化膜32は、一般的な有機EL表示装置の保護膜及び平坦化膜として用いられている各種の公知の材料によって、一般的に有機EL表示装置において採用されている膜厚を有するように適宜形成されてよい。
【0136】
ただし、本実施形態では、好適に、保護膜31の屈折率n3が、第1部材51の屈折率n1と同等又は第1部材51の屈折率n1よりも小さくなるように、保護膜31の材料が選択される。更に、好適に、保護膜31の屈折率n3と、平坦化膜32の屈折率n4との差分の絶対値が0.30以下、より好ましくは0.20以下になるように、保護膜31及び平坦化膜32の材料が選択される。このように保護膜31及び平坦化膜32の材料を選択することにより、有機発光ダイオード211からの出射光が、第1部材51と保護膜31との界面、及び保護膜31と平坦化膜32との界面において反射または散乱されることを抑制することができ、光取り出し効率を更に向上させることができる。
【0137】
平坦化膜32の上層には、CF層33が形成される。このように、表示装置1は、有機発光ダイオード211が形成される第1基板11上にCF層33が形成される、いわゆるオンチップカラーフィルタ(OCCF)方式の表示装置である。CF層33の上層に、例えばエポキシ樹脂等の封止樹脂膜35を介して第2基板34が貼り合わされることにより、表示装置1が作製される。なお、封止樹脂膜35の材料はかかる例に限定されず、封止樹脂膜35の材料は、有機発光ダイオード211からの出射光に対する透過性が高いこと、下層に位置するCF層33及び上層に位置する第2基板34との接着性に優れていること、及び下層に位置するCF層33との界面及び上層に位置する第2基板34との界面における光の反射性が低いこと等を考慮して、適宜選択されてよい。ただし、本実施形態はかかる例に限定されず、表示装置1は、第2基板34上にCF層33が形成され、当該CF層33が有機発光ダイオード211と対向するように、第1基板11と第2基板34とが貼り合わされて作製される、いわゆる対向CF方式の表示装置であってもよい。
【0138】
CF層33は、有機発光ダイオード211の各々に対して所定の面積を有する各色のCFが設けられるように、形成される。CF層33は、例えばレジスト材をフォトリソグラフィ技術で所定の形状に露光、現像することにより、形成され得る。また、CF層33の膜厚は、例えば2μm程度である。ただし、CF層33の材料、形成方法及び膜厚はかかる例に限定されず、CF層33は、一般的な有機EL表示装置のCF層として用いられている各種の公知の材料、及び各種の公知の方法によって、一般的に有機EL表示装置において採用されている膜厚を有するように適宜形成されてよい。
【0139】
図示する例では、CF層33は、それぞれが所定の面積を有する赤色のCF33R、緑色のCF33G、及び青色のCF33Bが連続的に水平面内に分布するように構成されている。なお、以下の説明では、CF33R、CF33G及びCF33Bを特に区別する必要がない場合には、これらのうちの1つ又は複数を指して、単にCF33aとも記載することとする。1つの有機発光ダイオード211と1つのCF33aとの組み合わせにより、1つの副画素が形成される。
【0140】
以上、表示装置1の具体的な構成例について説明した。なお、以上説明した表示装置1の構成、特にリフレクタ53の構成については、例えば本出願人による先行出願である、特開2013-191533号公報を参照することができる。ただし、本実施形態に係る表示装置1の構成はかかる例に限定されない。上述したように、本実施形態に係る表示装置1には、上記(4.配線層のレイアウト)で説明した点が反映されていればよく、その他の点については、一般的な表示装置において用いられている各種の公知の構成を適用することができる。
【0141】
(6.適用例)
以上説明した本実施形態に係る表示装置1の適用例について説明する。ここでは、以上説明した本実施形態に係る表示装置1が適用され得る電子機器のいくつかの例について説明する。
【0142】
図14は、本実施形態に係る表示装置1が適用され得る電子機器の一例である、スマートフォンの外観を示す図である。図14に示すように、スマートフォン501は、ボタンから構成されユーザによる操作入力を受け付ける操作部503と、各種の情報を表示する表示部505と、を有する。当該表示部505に、表示装置1が適用され得る。
【0143】
図15及び図16は、本実施形態に係る表示装置1が適用され得る電子機器の他の例である、デジタルカメラの外観を示す図である。図15は、デジタルカメラ511を前方(被写体側)から眺めた外観を示しており、図16は、デジタルカメラ511を後方から眺めた外観を示している。図15及び図16に示すように、デジタルカメラ511は、本体部(カメラボディ)513と、交換式のレンズユニット515と、撮影時にユーザによって把持されるグリップ部517と、各種の情報を表示するモニタ519と、撮影時にユーザによって観察されるスルー画を表示する電子ビューファインダ(EVF:Electronic View Finder)521と、を有する。当該モニタ519及びEVF521に、表示装置1が適用され得る。
【0144】
図17は、本実施形態に係る表示装置1が適用され得る電子機器の他の例である、ヘッドマウントディスプレイ(HMD:Head Mounted Display)の外観を示す図である。図17に示すように、HMD531は、各種の情報を表示する眼鏡形の表示部533と、装着時にユーザの耳に掛止される耳掛け部535と、を有する。当該表示部533に、表示装置1が適用され得る。
【0145】
以上、本実施形態に係る表示装置1が適用され得る電子機器のいくつかの例について説明した。なお、表示装置1が適用され得る電子機器は上記で例示したものに限定されず、表示装置1は、例えば、テレビジョン装置、電子ブック、スマートフォン、携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistant)、ノート型PC(Personal Computer)、ビデオカメラ、又はゲーム機器等、外部から入力された画像信号又は内部で生成した画像信号に基づいて表示を行うあらゆる分野の電子機器に搭載される表示装置に適用することが可能である。
【0146】
(7.補足)
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0147】
例えば、上述した実施形態では、画素回路210の駆動回路を構成する各トランジスタ(駆動トランジスタ212、サンプリングトランジスタ213、発光制御トランジスタ214及びスイッチングトランジスタ217)は、Pチャネル型であったが、本開示に係る技術はかかる例に限定されない。例えば、これらのトランジスタはNチャネル型であってもよい。
【0148】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的又は例示的なものであって限定的なものではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、又は上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏し得る。
【0149】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
発光素子及び当該発光素子を駆動するための駆動回路から構成される画素回路が行列状に複数並べられて構成される画素部と、
前記画素回路の各々に接続される配線であって、複数の前記画素回路の各行に対応して第1の方向に延伸して設けられる走査線と、
前記画素回路の各々に接続される配線であって、複数の前記画素回路の各列に対応して前記第1の方向と直交する第2の方向に延伸して設けられる信号線と、
を備え、
前記走査線及び前記信号線のうちで、1つの前記画素回路に対して設けられる本数がより多い方が、より下層の配線層に位置し、
前記駆動回路に含まれる容量素子の電極が、前記走査線及び前記信号線のいずれかが設けられる配線層に位置する、
表示装置。
(2)
前記駆動回路は複数のトランジスタを有し、
複数の前記トランジスタが形成される拡散層の上に、前記走査線、前記信号線及び前記容量素子が形成される複数の配線層が積層される、
前記(1)に記載の表示装置。
(3)
前記発光素子は有機発光ダイオードであり、
前記有機発光ダイオードが、最上層の前記配線層の上に位置する、
前記(2)に記載の表示装置。
(4)
1つの前記画素回路によって1つの副画素が構成され、
4つの前記副画素によって1つの画素が構成される、
前記(1)~(3)のいずれか1項に記載の表示装置。
(5)
前記走査線の数が、前記信号線の数よりも多い、
前記(1)~(4)のいずれか1項に記載の表示装置。
(6)
前記走査線は水平方向に延伸する配線であり、
前記信号線は垂直方向に延伸する配線である、
前記(1)~(5)のいずれか1項に記載の表示装置。
(7)
複数の前記走査線の全てが同一の配線層に位置する、又は複数の前記信号線の全てが同一の配線層に位置する、
前記(1)~(6)のいずれか1項に記載の表示装置。
(8)
複数の前記走査線が互いに異なる複数の配線層に分散して配置される、又は複数の前記信号線が互いに異なる複数の配線層に分散して配置される、
前記(1)~(7)のいずれか1項に記載の表示装置。
(9)
映像信号に基づいて表示を行う表示装置、
を備え、
前記表示装置は、
発光素子及び当該発光素子を駆動するための駆動回路から構成される画素回路が行列状に複数並べられて構成される画素部と、
前記画素回路の各々に接続される配線であって、複数の前記画素回路の各行に対応して第1の方向に延伸して設けられる走査線と、
前記画素回路の各々に接続される配線であって、複数の前記画素回路の各列に対応して前記第1の方向と直交する第2の方向に延伸して設けられる信号線と、
を有し、
前記走査線及び前記信号線のうちで、1つの前記画素回路に対して設けられる本数がより多い方が、より下層の配線層に位置し、
前記駆動回路に含まれる容量素子の電極が、前記走査線及び前記信号線のいずれかが設けられる配線層に位置する、
電子機器。
【符号の説明】
【0150】
1 表示装置
10 表示パネル
20 画素部
30 走査部
40 選択部
210、220 画素回路
211、221 有機発光ダイオード
212 駆動トランジスタ
213 サンプリングトランジスタ
214 発光制御トランジスタ
215、227 保持容量
216 補助容量
217 スイッチングトランジスタ
222、223、224、225、226 トランジスタ
228 H走査線
229 V信号線
231 拡散層
232、235、238、241 絶縁体層
233 コンタクト
236、239、242 ビア
234、237、240 配線層
243 アノード
251 容量素子下部電極
252、254 容量素子上部電極
261 有機層
301 書き込み走査部
302 書き込み走査線
311 第1駆動走査部
312 第1駆動線
321 第2駆動走査部
322 第2駆動線
331 共通電源線
332 電源線
333 グランド線
401 信号出力部
402 信号線
501 スマートフォン(電子機器)
511 デジタルカメラ(電子機器)
531 HMD(電子機器)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17