IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コンティネンタル・ライフェン・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツングの特許一覧

特許7168774分配装置、シールのためのシステム及び方法並びに配量ユニットの使用
<>
  • 特許-分配装置、シールのためのシステム及び方法並びに配量ユニットの使用 図1
  • 特許-分配装置、シールのためのシステム及び方法並びに配量ユニットの使用 図2
  • 特許-分配装置、シールのためのシステム及び方法並びに配量ユニットの使用 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】分配装置、シールのためのシステム及び方法並びに配量ユニットの使用
(51)【国際特許分類】
   B29C 73/16 20060101AFI20221101BHJP
【FI】
B29C73/16
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021517862
(86)(22)【出願日】2019-10-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-12
(86)【国際出願番号】 EP2019076508
(87)【国際公開番号】W WO2020094299
(87)【国際公開日】2020-05-14
【審査請求日】2021-03-30
(31)【優先権主張番号】102018219038.0
(32)【優先日】2018-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510156561
【氏名又は名称】コンチネンタル・ライフェン・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100208258
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 友子
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ダールケ・マルクス
(72)【発明者】
【氏名】シュロッサー・フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】ベッカー・レイモンド
(72)【発明者】
【氏名】バウフス・アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ゲルラッハ・マルクス
【審査官】関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第10314075(DE,A1)
【文献】米国特許第04765367(US,A)
【文献】特開2007-112113(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 73/00-73/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体(10)とシーリング剤(9)とを含むエアロゾル(8)を発生するための分配装置であって、
- 少なくとも1つの圧縮空気源(11)と接続するための少なくとも1つのガスコネクタ(2)と、
- 少なくとも1つのシーリング剤容器(12)と接続するための少なくとも1つのシーリング剤コネクタ(3)と、
- 車両用空気タイヤ(16)又は膨張可能な技術的ゴム物品と接続するための1つ又は複数の接続要素(4)と
を有する分配装置において、分配装置(1)に供給されるシーリング剤量を適量に計り分けるための配量ユニット(5)を有し、
生成されるエアロゾル粒子の少なくとも50重量%は、0.01μmから500μmの範囲、又は1μmから100μmの範囲の粒形を有することを特徴とする分配装置。
【請求項2】
量ユニット(5)は、シーリング剤を分配装置(1)に供給するための少なくとも1つの供給口(7)を有し、及び1つ又は少なくとも1つの供給口(7)は、0.01mmから10mmの範囲の直径(13)、又は0.1mmから5mmの範囲の直径(13)、又は0.1mmから1.5mmの範囲の直径(13)、又は0.1mmから1mmの範囲の直径(13)を有する、請求項1に記載の分配装置。
【請求項3】
量ユニット(5)は、以下の条件又は式(2)
【数1】
を満たすように形成されていて、この条件又は式(2)には、以下のパラメータ、
mm :供給口(7)の直径(13)[mm]、及び
a:供給口(7)の数
が含まれている、請求項2に記載の分配装置。
【請求項4】
量ユニット(5)は、
- 供給口(7)の数及び/又は1つ又は少なくとも1つの供給口(7)の直径(13)を変更することができ、
- シーリング剤液滴(9)と気体(10)とを含むエアロゾル(8)が生じ、又はシーリング剤液滴(9)と気体(10)とを含むエアロゾル(8)が分配装置(1)のシーリング剤輸送チャネル(6)内で生じ、及び/又は
配装置(1)に供給されるシーリング剤量の配量速度を調節することができるように形成されている、請求項に記載の分配装置。
【請求項5】
量ユニット(5)は、シーリング剤コネクタ(3)内に若しくはシーリング剤コネクタ(3)に接して配置され、及び/又は分配装置(1)は、エアロゾル(8)を配量ユニット(5)から1つ又は複数の接続要素(4)に輸送するためのシーリング剤輸送チャネル(6)を有する、請求項1から4の何れか一項に記載の分配装置。
【請求項6】
車両用空気タイヤ(16)をシールするため及び車両用空気タイヤ(16)を膨張させるためのシステムであって、
- 請求項1から5の何れか一項に記載の分配装置(1)と、
- シール圧力又はポンプ圧力を発生するための少なくとも1つの圧縮空気源(11)と、
- シーリング剤及び/又は気体(10)を収容するための少なくとも1つのシーリング剤容器(12)と
を含むシステム。
【請求項7】
- シーリング剤液滴(9)と気体(10)とを含むエアロゾル(8)を発生させて、発生したエアロゾル(8)を、車両用空気タイヤ(16)若しくは膨張可能な技術的ゴム物品中に導入するための、及び/又は
- 車両用空気タイヤ(16)若しくは膨張可能な技術的ゴム物品をシールするためのエアロゾル(8)を発生させて、発生したエアロゾル(8)を、車両用空気タイヤ(16)若しくは膨張可能な技術的ゴム物品中に導入するための、
請求項1から5の何れか一項に記載の配量ユニット(5)、又は請求項1から5の何れか一項に記載の分配装置(1)、又は請求項6に記載のシステム(15)、の使用。
【請求項8】
車両用空気タイヤ又は膨張可能な技術的ゴム物品をシールするための方法であって、
A)- 請求項6に記載のシステム(15)、
- シーリング剤容器(12)内のシーリング剤、及び
- 漏出箇所のある車両用空気タイヤ(16)又は漏出箇所のある膨張可能な技術的ゴム物品
を提供又は製造するステップ、
)シーリング剤と気体(10)、例えば圧縮空気とを、システム(15)の分配装置(1)を通して、漏出箇所のある車両用空気タイヤ(16)又は漏出箇所のある膨張可能な技術的ゴム物品中に導入するステップ、
C)漏出箇所のある車両用空気タイヤ(16)又は漏出箇所のある膨張可能な技術的ゴム物品を少なくとも部分的にシールするステップ
を含む方法。
【請求項9】
両用空気タイヤ(16)又は膨張可能な技術的ゴム物品は、ステップC)中及び/又はステップB)とC)との間の時間において移動しない、又は回転しない、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ステップB)において、シーリング剤液滴(9)と気体(10)とから成るエアロゾル(8)は、シーリング剤をシーリング剤輸送チャネル(6)に配量ユニット(5)を用いて供給することによって発生される、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
ステップB)において、漏出箇所のある車両用空気タイヤ(16)又は漏出箇所のある膨張可能な技術的ゴム物品中に導かれるエアロゾル(8)のエアロゾル粒子の少なくとも50重量%は、0.01μmから500μmの範囲、又は1μmから100μmの範囲の粒径を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
以下の条件又は式(1)
【数2】
が満たされていて、この条件又は式(1)には、以下のパラメータ、
ρ:20℃での輸送気体の密度[kg/m]、
ν:ASTM D3154-14に従って測定される、分配装置に供給される気体又は圧縮空気量の流速[m/s]、
DM:ISO 1217、付属書Cに従って測定される、分配装置に供給されるシーリング剤量の体積流量[m/s]、
:供給口の直径[m]、
γDM:ASTM D1333-14(方法A)に従って測定される、20℃及び常圧でのシーリング剤の表面張力[kg/s]、及び
a:供給口(7)の数
が含まれている、請求項8から11の何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
ステップC)中、
両用空気タイヤ(16)内のシーリング圧力は、少なくとも部分的に0.5バールから3バールの範囲であり、及び/又は
ーリング剤輸送チャネル(6)内のエアロゾル(8)の体積流量の動水圧は、少なくとも部分的に0.2バールから8バールの範囲である、請求項8から12の何れか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
エアロゾルを発生するための分配装置、車両用空気タイヤをシールするため及び車両用空気タイヤを膨張させるためのシステム、並びに車両用空気タイヤ又は膨張可能な技術的ゴム物品をシールするための方法、並びにエアロゾルを発生するための配量ユニットの使用。
【0002】
本発明は、気体とシーリング剤との両方を含むエアロゾルを発生するための分配装置であって、少なくとも1つの圧縮気体源接続するための少なくとも1つのガスコネクタと、少なくとも1つのシーリング剤容器接続するための少なくとも1つのシーリング剤コネクタと、車両用空気タイヤ接続するための1つ又は複数の接続要素とを含む分配装置に関する。本発明はまた、車両用空気タイヤをシールするため及び車両用空気タイヤを膨張させるためのシステムと、車両用空気タイヤ又は膨張可能な技術的物品をシールするための方法と、エアロゾルを発生するための配量ユニットの使用とに関する。
【背景技術】
【0003】
タイヤにかかわる故障の場合、一般に、例えば乗用自動車においてこれまで慣例的となっているように、空気を満たしてホイールリムに取り付けたスペアタイヤを搭載しておき、タイヤがパンクしたときに交換しなければならないという問題がある。その後、不良となったパンクタイヤを、車両内のスペアタイヤのために設けられた積込みスペースに固定し、後に修理しなければならない。そのために、対応するスペアホイールの積込みスペースに到達するために、車の荷物を片付け、さらに車両自体を、ジャッキを用いてジャッキアップし、骨の折れる修理作業を行わなければならない。
【0004】
これらの欠点を回避するために、タイヤの仮修理のための修理キット又は故障対応キットが長年にわたり知られており、このキットは、コンプレッサ、シーリング剤、対応する接続ホース及び電源に必要なケーブル接続並びに作業員のための制御要素を含み、したがってスペアホイールの代わりとなる永久的に使用可能な完全な修理キットを構成する。
【0005】
このような既知の故障対応キットの場合、タイヤ関連の故障が発生すると、エアコンプレッサ始動した後、対応するシーリング剤容器から損傷タイヤにシーリング剤が運ばれる。第二のプロセスステップでは、損傷タイヤが特定の最低圧力まで空気で満たされる。従来のシステムでは、このタイヤの再充填は、タイヤにある漏出箇所からの空気の排出に対処するために行われる。漏出箇所は、パンクしたタイヤ安定な最低圧力まで空気を入れ、その後、空気を入れたタイヤを用いて前進走行した後でなければシールできない。このため、タイヤの漏出箇所を、タイヤを移動させずにシールして、タイヤにシーリング剤を分配させることは、これまでほとんど不可能であった。
【0006】
上述したように、前進走行及びしたがってタイヤの運動は、タイヤ内で特定の最低圧力が得られて初めて可能となる。タイヤの漏出個所の大きさに応じて、これまでの故障状況では、タイヤのシーリングは、必要な最低圧力が確立されないために不可能であることがあり得た。そのため、特定の最低圧力がまず確立されていなくても、漏出箇所のあるタイヤをシールできることが望ましい。
【0007】
次の点が先行技術においてすでに知られている。
【0008】
独国特許出願公開第102016209302号明細書では、「膨張可能な物品をシール及び膨張可能な物品を膨張させる、特に自動車用タイヤをシール及び自動車用タイヤを膨張させるための方法であって、好ましくは電気モータによって駆動されるコンプレッサにより、シーリング及び送出圧力が発生し、シーリング及び送出圧力により、シーリング剤及び圧縮空気のためのバルブ及び分配装置を介して、またバルブと分配装置との間の圧縮空気及びシーリング剤のホース並びに膨張可能な物品の入口バルブ又は入口ノズルを介して、バルブと分配装置とに接続されたシーリング剤容器内にあるシーリング剤が膨張可能な物品中に運ばれ、同時に膨張可能な物品がシールされ、所定の動作圧力まで膨張させる、方法」が開示されている(請求項1を参照されたい)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】独国特許出願公開第102016209302号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明により対処される問題は、車両用空気タイヤ又は膨張可能な技術的ゴム物品を、車両用空気タイヤ又は膨張可能な技術的ゴム物品を移動させる必要なく、及び/又は車両用空気タイヤ若しくは膨張可能な技術的ゴム物品中に最低圧力が存在することなく、少なくとも部分的にシールすることのできる装置を提供することを含む。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この問題は、本発明によれば、気体とシーリング剤との両方を含むエアロゾルを発生するための分配装置であって、
- 少なくとも1つの圧縮空気源接続するための少なくとも1つのガスコネクタと、
- 少なくとも1つのシーリング剤容器接続するための少なくとも1つのシーリング剤コネクタと、
- 自動車用空気タイヤ又は膨張可能な技術的ゴム物品接続するための1つ又は複数の接続要素と
を含む分配装置において、分配装置に供給されるシーリング剤量を適量に計り分けるための配量ユニットを有することを特徴とする分配装置によって解決される。
【0012】
本出願人ら自身の研究の過程において、驚くべきことに、タイヤの漏出箇所は、気体、例えば空気とシーリング剤との両方を含むエアロゾルが、漏出箇所のあるタイヤ中に導入されるか又は送り込まれることにより、少なくとも部分的にシールできることがわかった。タイヤの漏出箇所は、そこからエアロゾルがタイヤ中に導入される導入口から、そこからエアロゾルの主に気体又は気体のみが漏出するタイヤの漏出箇所までのエアロゾルの流れを生じさせる。この導入口は、通常、タイヤバルブの内端に配置される。
【0013】
ここで、本発明による分配装置からのエアロゾルのシーリング剤粒子は、漏出箇所の壁に付着し、そのようにして少なくとも部分的に漏出箇所をシールする。本発明による分配装置によるタイヤの漏出箇所までのエアロゾルの流れが十分な長さの時間にわたって継続すれば、特にシーリング剤のエアロゾル収量が十分に良好であれば、タイヤの漏出箇所は、多くの場合、
- 完全にシールすることができるか、又は
- 少なくとも、部分的にシールされたタイヤを用いた前進走行に必要な最低圧力が達成される程度までシールすることができる。
【0014】
これは、有利には、好ましくはタイヤ自体を移動させずに実現される。前進走行は、したがって、発進時にタイヤに残っているシーリング剤が分配され、その結果、タイヤの残りの漏出箇所を完全に又はさらにシールすることができる。本発明に関して、車両用空気タイヤは、好ましくは、自動車用空気タイヤである。
【0015】
驚くべきことに、前述又は後述の本出願人ら自身の研究の過程において、上述のエアロゾルは、単位時間あたりで分配装置に供給されるシーリング剤正確に適量に計り分けることによって限定される場合のみ又は特にそのような場合に製造できることがわかった。
【0016】
本発明による分配装置の配量ユニットは、したがって、特に好ましくはシーリング剤輸送チャネルに供給されるシーリング剤量を限定するための配量ユニットである。
【0017】
分配装置に一度に供給されるシーリング剤が多すぎると、エアロゾル収量は、大幅に減少するか、最悪の場合にはエアロゾルがそれ以上形成されなくなる。その結果、シーリング剤は、大きい非懸濁状態のシーリング剤液滴の形態でパンクしたタイヤ中に通過する可能性がある。これは、以下の3つの理由から不利である:
1.このやり方では、非懸濁状態の液滴の回収地点であるパンクしたタイヤの最下点にない漏出箇所をシールできないこと、
2.最低圧力を実現するためにコンプレッサを比較的長時間にわたり動作させなければならないこと、及び
3.非懸濁状態のシーリング剤液滴がその側壁の漏出箇所のシールに適していないこと。
【0018】
したがって、車両用空気タイヤ又は膨張可能な技術的ゴム物品をシールするための十分なエアロゾルを確実に得るために、分配装置に供給されるシーリング剤量を適量に計り分けることが必要である。
【0019】
本発明に関して、「分散液」という用語は、異なる相の少なくとも2つの物質の混合物、例えば固体液体若しくは固体気体又は液体気体混合物を指す。本発明に関して、「エアロゾル」という用語は、気体が連続相を形成し、エアロゾル粒子の形態の液体が分散相を形成する特殊な分散液を指す。本発明に関して、エアロゾルは、好ましくは、気体が連続相を形成し、エアロゾル粒子の形態の液体が分散相を形成する特殊な分散液であり、少なくとも1つのエアロゾル粒子の粒径は、最大で100μmであり、特に好ましくは、エアロゾル粒子の少なくとも幾つかの粒径は、最大で100μmであり、非常に特に好ましくは、エアロゾル粒子の数の少なくとも過半数の粒径は、最大で100μm又は500μmであり、エアロゾル粒子の全部の粒径は、最大で100μm又は500μmである。本発明に関して、エアロゾルは、特に好ましくは、気体が連続層を形成し、エアロゾル粒子の形態の液体が懸濁分散層を形成する特殊な分散液であり、少なくとも1つのエアロゾル粒子の粒径は、最大で100μmであり、特に好ましくは、エアロゾル粒子の少なくとも幾つかの粒径は、最大で100μmであり、非常に特に好ましくは、エアロゾル粒子の数の少なくとも過半数の粒径は、最大で100μmであり、エアロゾル粒子の全部の粒径は、最大で100μmである。
【0020】
本発明に関して、シーリング剤のエアロゾル収量とは、発生したエアロゾルのシーリング剤粒子の総質量と、使用されたシーリング剤の総質量との比である。したがって、エアロゾル収量100%とは、シーリング剤の全質量がエアロゾルに変換されたことを意味する。
【0021】
前述のように、本発明に関して、上述のエアロゾルは、本発明による分配装置に供給されるシーリング剤量が特殊な方法で適量に計り分けられることによって発生でき、すなわち供給されるシーリング剤量が制御されるだけでなく、気体の流れに入るシーリング剤量が適量に計り分けられ、それにより、エアロゾル粒子は、ガスコネクタから流入する気体の流れ中のシーリング剤液滴から形成される。シーリング剤量及び適量に計り分けられる添加剤の性質の何れも、本発明に関して、本発明による分配装置の配量ユニットによって実現される。
【0022】
本発明に関して、エアロゾルの気体は、好ましくは、エアロゾルの連続相を構成し、エアロゾル粒子を輸送するキャリアガスである。エアロゾルのキャリアガスは、例えば、コンプレッサ又は他の何れかの圧縮空気源からの圧縮空気である。「気体」及び「キャリアガス」という用語は、本発明に関して同義で使用される。
【0023】
好ましいものは、前述の又は好ましいとして前述された本発明による分配装置であり、分配装置は、エアロゾルを配量ユニットから1つ又は複数の接続要素に輸送するための少なくとも1つのシーリング剤輸送チャネルを有し、好ましくは、シーリング剤輸送チャネルは、ガスコネクタをシーリング剤コネクタ及び1つ又は複数の接続要素に空間的に接続する。したがって、シーリング剤輸送チャネルは、好ましくは1つ又は複数の分岐点及びチャネルセクションを備える。
【0024】
本発明に関して、「空間的に接続される/空間的に接続する」という用語は、各種のコネクタ又はチャネルセクションが、圧縮空気の流れ及び/又は分散液、好ましくは空気並びにシーリング剤で構成されるエアロゾルが1つのチャネルセクション又はコネクタから他に移動できるように向き付けられることを意味する。
【0025】
特に好ましいものは、前述の又は好ましいとして前述された本発明による分配装置であり、配量ユニットは、分配装置に供給されるシーリング剤がガスコネクタから流入する気体の流れ中にエアロゾル粒子を形成できるように、好ましくは気体の流れがシーリング剤輸送チャネル内で形成可能であるように形成されている。
【0026】
本発明の上述の態様の利点は、コンプレッサからの一般的に使用される空気の流れ、一般的に使用されるシーリング剤輸送チャネル及び一般的に使用されるシーリング剤容器の上記の条件が満たされると、エアロゾル粒子が本発明による分配装置のシーリング剤輸送チャネル内のシーリング剤から特に効果的な方法で発生することができることである。
【0027】
好ましいものは、前述の又は好ましいとして前述された本発明による分配装置であり、配量ユニットは、シーリング剤コネクタ内若しくはシーリング剤コネクタに接して又はシーリング剤コネクタとシーリング剤チャネルとの間に配置され、及び/又は分配装置は、エアロゾルを配量ユニットから1つ又は複数の接続要素に輸送するためのシーリング剤輸送チャネルを有する。配量ユニットは、特に好ましくは、供給方向においてシーリング剤コネクタの最大で10cm下流、非常に特に好ましくは供給方向においてシーリング剤コネクタの最大で5cm下流、特に非常に特に好ましくは供給方向においてシーリング剤コネクタの最大で2cm下流に配置される。
【0028】
本発明に関して、本発明による分配装置のシーリング剤輸送チャネルは、
- 10mmから10000mmの範囲、好ましくは10mmから1000mmの範囲、特に好ましくは10mmから600mmの範囲の長さ、及び/又は
- 0.1mmから100mmの範囲、好ましくは1mmから20mmの範囲、特に好ましくは1mmから8mmの範囲の内径
を有する。
【0029】
上述の2つの態様の1つの利点は、シーリング剤コネクタ、配量ユニット、ガスコネクタ及びシーリング剤輸送チャネルの特にコンパクトで省スペースの配置を、エアロゾル収量を損なわずに実現できることである。本発明による分配装置のコンパクトで省スペースの構成には、特に、形成されるエアロゾル粒子が、これらが漏出箇所のあるタイヤに入る前に凝集又は他に大型化し得ないという利点がある。
【0030】
好ましいものは、前述の又は好ましいとして前述された本発明による分配装置であり、配量ユニットは、シーリング剤を分配装置内、好ましくはシーリング剤輸送チャネル内に供給するための少なくとも1つの供給口を有し、好ましくは、その1つ又はその少なくとも1つの供給口は、0.01mmから10mmの範囲の直径、好ましくは0.1mmから5mmの範囲の直径、特に好ましくは0.1mmから1.5mmの範囲の直径、非常に特に好ましくは0.1mmから1mmの範囲の直径を有する。
【0031】
前述の態様の1つの利点は、このような供給口により、エアロゾル粒子がシーリング剤輸送チャネル内のシーリング剤から特に有効な方法で発生することができることである。
【0032】
特に好ましいものは、前述の又は好ましいとして前述された本発明による分配装置であり、配量ユニットは、シーリング剤を分配装置に供給するための少なくとも1つの供給口を有し、
- 1つの供給口は、0.1mmから5mmの範囲の直径を有するか、又は
- 好ましくは、その少なくとも1つの供給口は、0.1mmから1.5mmの範囲の直径を有し、供給口の数は、1から若しくは1から2の範囲であるか、又は
- 特に好ましくは、その少なくとも1つの供給口は、0.1mmから1mmの範囲の直径を有し、供給口の数は、少なくとも2であるか、2から10の範囲、好ましくは3から5の範囲である。
【0033】
本発明に関して、供給口は、非円形の形状も有することができそれに応じて直径の代わりに特定の対角線を有することができる。例えば、供給口が多角形の形状を有する場合、直径は、四角形、五角形、六角形等の対角線に、又は配量ユニットの供給口の形状が三角形であれば高さに置き換えられる。供給口が非対称の形状を有する場合、直径又は対角線は、供給口の境界を定める開口の縁辺上の最も離れた地点間の距離に置き換えられる。
【0034】
配量ユニットの供給口が非対称形状を形成する一例は、例えば、本発明による分配装置の配量ユニットが連続気泡発泡体プラスチックであり、シーリング剤が連続気泡発泡体プラスチックの異なるチャネルを通して本発明による分配装置に適量に計り分けられる場合である。ここでの利点は、セル構造の性質に応じて、シーリング剤容器から適量に計り分ける際、使用中により均一な配量速度を実現できることであり、これは、それによって重力の影響を軽減させることができるからである。
【0035】
好ましいものは、前述の又は好ましいとして前述された本発明による分配装置であり、配量ユニットは、
シーリング剤液滴と気体とを含むエアロゾルが生じ、好ましくは、シーリング剤液滴と気体とを含むエアロゾルが本発明による分配装置のシーリング剤輸送チャネル内で生じ
- 供給口の数及び/又はその1つの若しくはその少なくとも1つの供給口の直径調節することができ、及び/又は
- 分配装置に供給されるシーリング剤量の配量速度調節することができるように形成されている。
【0036】
上述の態様の利点は、
- 供給口の数、
- 供給口の直径、及び/又は
配量速度
の設定に基づいて、シーリング剤液滴と気体とを含むエアロゾルが形成されるように常に条件を選択できることである。シーリング剤の体積流量は、通常、シーリング剤容器内のシーリング剤の残量によって定められ、シーリング剤輸送チャネルの内径Dは、本発明による装置の動作中に変えることが難しいため、供給口の大きさ又は数は、比較的制御しやすく、またシーリング剤容器内のシーリング剤量の減少と共にエアロゾルが好ましくは形成されるように適合され得るパラメータであり、特に好ましくは本発明による装置の動作中に後述の式(1)を満たすことができる。これは、本技術分野における長年のニーズを表す。
【0037】
供給口の数及び/又は直径は、好ましくは、シーリング剤容器の充填レベル等の各種のパラメータ又はその粘性等のシーリング剤の液体特性に依存する配量速度に合わせられるだけではない。エアロゾル収量を増やすために、供給口の数及び/又は直径は、圧縮空気源からの体積流量にも合わせられ場合にも有利である。供給口の数及び/又は直径の調節は、圧縮空気源の調節より正確に且つより迅速に行うことができる。
【0038】
以上の理由により、したがって、特に好ましいものは、本発明による分配装置であり、配量ユニットは、
- 分配装置内において、分配装置の動作中に配量ユニットがシーリング剤輸送チャネルの上になるように取り付けられ、及び/又は
- 加えて、1つの又はその少なくとも1つの供給口を開閉するための移動式ディスクを有する。
【0039】
好ましいものは、前述の又は好ましいとして前述された本発明による分配装置であり、その1つ又はその複数の接続要素は、以下の要素の1つ、2つ又は全部を含む:
- 接続要素とタイヤバルブとの間の気密接続のためのシーリング要素であって、好ましくは接続要素をタイヤバルブに手で固定するための補助要素を有するシーリング要素、
- タイヤバルブを開くためのバルブ開放要素、及び
- ホイール内圧力を外圧力と平衡化するための放出要素。
【0040】
本発明に関して、ホイール内圧力は、車両用空気タイヤと車両ホイールリムとの間のホイール内部内にある圧力であり、及び外圧力は、車両空気圧ホイールの外、特にホイール内部の外にある圧力である。
【0041】
以下の段落では、式(2)を先に説明し、その後、式(1)をさらに説明する。
【0042】
好ましいものは、前述の又は好ましいとして前述された本発明による分配装置であり、配量ユニットは、以下の条件又は式(2
【数1】
が満たすように形成されていて、この条件又は式(2)には、以下のパラメータ
mm:供給口の直径[mm]、及び
a:供給口の数
まれている
【0043】
したがって、式(2)により、≦10mmであるだけでなく、≦1mm、特に好ましくは≦0.5mm、非常に特に好ましくは≦0.1mmの値が得られる場合に好ましい。本出願人らの実験において、式(2)の左辺が小さいほど、エアロゾル内のシーリング剤液滴の平均直径を小さく設定できることがわかった。
【0044】
エアロゾルの発生におけるこれらの2つの重要なパラメータ、すなわち配量ユニットの供給口の数及び直径は、式(2)のように又は好ましいと前述されたように正確に設定しなければならないことがわかったことは、本発明の特に大きい成果である。
【0045】
好ましいものは、前述の又は好ましいとして前述された本発明による分配装置であり、配量ユニットは、以下の条件又は式(3
【数2】
を満たすことが適していて、この条件又は式(3)には、以下のパラメータ
ρ:20℃での空気の密度[kg/m]、
νDM:ASTM D7042及びStabinger粘度計によって20℃において測定される、20℃での水の絶対粘度[kg/m・s]、
DM:ISO 1217、付属書Cに従って測定される1000000から100000000m/sの体積流量、
ν:ASTM D3154-14に従って測定される0.000001から1の流速[m/s]、
D:0.01mmから5mmの供給口の直径[m]、
γDM:ASTM D1331-14(方法A)に従って測定される、20℃での水の表面張力[kg/s]、
a:1から100の供給口の数、
ηDN:Brookfield DV-II+、スピンドル1、20℃に従って測定される、20℃でのシーリング剤の絶対粘度[kg/(m・s)]、及び
η:G.Meerlender,Rheologica Acta,(1965),4,(1):pages 21-36に従い、常圧においてRankine粘度計によって20℃で測定される、20℃での空気の絶対粘度[kg/(m・s)]
が含まれている
【0046】
本発明による上述の分配装置は、特に好ましくは、シーリング剤輸送チャネルも含み、シーリング剤輸送チャネルの内径は、好ましくは、体積流の方向に第一の供給口で測定される。ここで、特に好ましいものは、前述の又は好ましいとして前述された本発明による分配装置であり、配量ユニットは、気体とシーリング剤粒子との両方を含むエアロゾル又は気体及びシーリング剤粒子で構成されるエアロゾルをシーリング剤輸送チャネル内で発生するのに適している。
【0047】
前述の式(2)及び(3)を本出願人ら自身の研究及び考察に基づいて確認したことと、したがって本発明による分配装置におけるエアロゾルの生成に関する量的な記述を導き出すことができることとは、本発明の大きい成果である。
【0048】
上述の態様の1つの利点は、エアロゾル収量をより良好に調整できることである。式(2)の結果が小さいほど又は式(3)の結果が大きいほど、エアロゾル収量がより良好である。一般に、これは、エアロゾルがより小さいシーリング剤液滴、すなわちシーリング剤粒子を有することを意味する。一般に、エアロゾル中のシーリング剤液滴は、円形であり、したがって粒径を有する。
【0049】
本発明に関して、「エアロゾル粒子」及び「エアロゾル液滴」という用語は、同義で用いられており、エアロゾル粒子がシーリング剤で構成される場合、「シーリング剤粒子」、「シーリング剤エアロゾル粒子」又は「シーリング剤液滴」が存在する。
【0050】
本発明に関して、前述又は後述の式(1)、(2)又は(3)において、ν≧10VDM/(πD)、特に好ましくはν≧50VDM/(πD)、非常に特に好ましくはν≧100VDM/(πD)、特に非常に特に好ましくはν=500VDM/(πD)、特に極めて好ましくはν≧1000VDM/(πD)である場合に好ましい。
【0051】
したがって、式(3)により、10-9超だけでなく、10-8超、特に好ましくは10-7超、より非常に特に好ましくは10-6超の値が得られる場合に好ましい。式(3)の左辺の結果が大きいほど、エアロゾル収量がより高い。一般に、これは、エアロゾル中のシーリング剤液滴の平均直径がより小さいことを意味する。
【0052】
エアロゾルの発生において、シーリング剤及び輸送気体又は圧縮空気の粘度が、式(3)に明示された方法でエアロゾル収量に影響を与えることを見出したことは、本発明の特に大きい成果である。
【0053】
特に極めて好ましいものは、前述の分配装置であり、分配装置は、
- 少なくとも1つの圧縮空気源接続するための少なくとも1つのガスコネクタと、
- 少なくとも1つのシーリング剤容器接続するための少なくとも1つのシーリング剤コネクタと、
- 車両用空気タイヤ接続するための1つ又は複数の接続要素と
を含み、
- 分配装置は、分配装置に供給されるシーリング剤量を適量に計り分けるための配量ユニットを有し、
配量ユニットは、シーリング剤コネクタ内又はシーリング剤コネクタ接して配置され、
配量ユニットは、シーリング剤を分配装置に供給するための2、3又は4つの供給口を有し、2、3又は4つの供給口は、0.1mmから1.5mm又は0.1mmから0.7mmの範囲の直径を有し、
配量ユニットは、供給口の数又はその1つ若しくはその少なくとも1つの供給口の内径を変更できるように形成されている。
【0054】
エアロゾルを発生するための本発明による分配装置の上述の有利な態様は、後述のシステムの全ての態様にも当てはまり、後述の本発明によるシステムの有利な態様は、エアロゾルを発生するための本発明による分配装置の全ての態様にも同様に当てはまる。
【0055】
本発明は、車両用空気タイヤをシールするため及び車両用空気タイヤを膨張させるためのシステムにも関し、これは、
- 前述の又は好ましいとして前述された分配装置と、
- シーリング圧力又はポンプ圧力を発生するための少なくとも1つの圧縮空気源と、
シーリング剤及び/又は気体を収容するための少なくとも1つのシーリング剤容器と
を含む。
【0056】
ここで、本発明によるシステムは、シーリング剤容器からのシーリング剤が、重力及び/又はコンプレッサからの圧縮空気により、配量ユニットを通して本発明による分配装置内に移動するように構成できる。後者の場合、本発明によるシステムは、好ましくは、圧縮空気の流れを制御するためのバルブを含み、バルブは、バイパスモードでは、それが圧縮空気をシールすべきタイヤ中に直接案内し、シーリング剤モードでは、それが圧縮空気を少なくとも部分的にまずシーリング剤容器内に導くように、好ましくは圧縮空気がシーリング剤と共に配量ユニットを通して運ばれるように構成される。
【0057】
本発明によるシステムは、好ましくは、個々のシステム構成要素を接続するためのホース及びライン並びに作業員によるシステムのより容易な制御のためのスイッチ、制御及び表示装置を追加的に含む。
【0058】
好ましいものは、前述の又は好ましいとして前述された本発明によるシステムであり、システムは、シーリング剤容器を冷却するための温度制御ユニットを追加的に含む。
【0059】
特に極めて好ましいものは、前述の又は好ましいとして前述された本発明によるシステムであり、システムは、
- 前述の又は好ましいとして前述された分配装置と、
- シーリング圧力又はポンプ圧力を発生するための少なくとも1つの圧縮空気源と、
シーリング剤及び/又は気体を収容するための少なくとも1つのシーリング剤容器と
を有し、
- 分配装置は、シーリング剤輸送チャネルを有し、
配量ユニットは、シーリング剤コネクタ内又はシーリング剤コネクタ接して配置され、
配量ユニットは、以下の条件又は式(2
【数3】
を満たすように形成されていて、この条件又は式(2)には、以下のパラメータ
mm:供給口の直径[mm]、及び
a:供給口の数
まれている
【0060】
本発明による分配装置及び本発明によるシステムの前述の有利な態様は、後述の配量ユニットの使用の全ての態様にも当てはまり、後述の配量ユニットの発明的な使用の有利な態様は、本発明による分配装置及び本発明によるシステムの全ての態様に当てはまる。
【0061】
本発明は
シーリング剤液滴と気体とを含むエアロゾルを発生させて、発生したエアロゾル、好ましくは、車両用空気タイヤ若しくは膨張可能な技術的ゴム物品中に導入するための、及び/又は
- 車両用空気タイヤ若しくは膨張可能な技術的ゴム物品をシールするためのエアロゾルを発生させて、発生したエアロゾル、好ましくは、車両用空気タイヤ又は膨張可能な技術的ゴム物品中に導入するための、
前述の若しくは好ましいとして前述された配量ユニットの、又は前述の若しくは好ましいとして前述された分配装置の、
使用にも関する。
【0062】
前述の本発明による分配装置、本発明によるシステム及び本発明による使用の有利な態様は、後述の方法の全ての態様にも当てはまり、後述の本発明による方法の有利な態様は、したがって、本発明による分配装置、本発明によるシステム及び本発明による使用の全ての態様にも当てはまる。
【0063】
本発明は、車両用空気タイヤ又は膨張可能な技術的ゴム物品をシールするための方法にも関し、これは、
A)- 前述の又は好ましいとして前述されたシステム、
シーリング剤容器内のシーリング剤、及び
- 漏出箇所のある車両空気タイヤ又は漏出箇所のある膨張可能な技術的ゴム物品
を提供又は製するステップ、
B)シーリング剤と気体、例えば圧縮空気とを、システムの分配装置を通して、漏出箇所のある車両用空気タイヤ又は漏出箇所のある膨張可能な技術的ゴム物品中に導くステップ、C)漏出箇所のある車両用空気タイヤ又は漏出箇所のある膨張可能な技術的ゴム物品を少なくとも部分的にシールするステップ
を含む。
【0064】
本発明による方法は、前述の利点を有し、特に本発明による方法では、漏出箇所のあるタイヤ、漏出箇所を部分的又は完全にシールするために回転る必要がないことが言及されるべきである。これは、漏出箇所のあるタイヤの内部においてエアロゾルの発生をもたらし、これは、ステップC)により車両用空気タイヤが少なくとも部分的にシールされることにつながる。
【0065】
好ましくは、シーリング剤又は本発明による方法のシーリング剤は、水と、ゴム又は樹脂に基づく少なくとも1つのシーリング物質とで構成されるか又はそれらを含み、ポリイソプレンは、ゴムとして好ましいか、又はロジン樹脂は、樹脂として好ましく、シーリング剤の水含有量は、好ましくは、シーリング剤の総重量の少なくとも80重量%、特に好ましくは少なくとも90重量%、非常に特に好ましくは少なくとも99重量%を占める。
【0066】
好ましいものは、前述の又は好ましいとして前述された方法であり、車両用空気タイヤ又は膨張可能な技術的ゴム物品は、ステップC)中及び/又はステップB)C)との間の時間において移動ない、特に回転ない。
【0067】
好ましいものは、前述の又は好ましいとして前述された方法であり、ステップB)において、シーリング剤液滴及び気体で構成されるエアロゾルは、シーリング剤配量ユニットによってシーリング剤輸送チャネル内に供給することによって発生される。
【0068】
好ましいものは、前述の又は好ましいとして前述された方法であり、その際、この方法は、以下のステップ、即ち、
B-C)エアロゾルを分配装置の配量ユニットから、その又はあるシーリング剤輸送チャネルを介して漏出箇所のある自動車用タイヤ又は漏出箇所のある膨張可能な技術的ゴム物品中に導くステップであって、エアロゾルは、好ましくは、前述又は後述の通りである、ステップ
を追加的に含み、このステップBC)は、ステップC)より前の時点で実行される。
【0069】
上述の態様の1つの利点は、エアロゾルを輸送するためのシーリング剤輸送チャネルがエアロゾル粒子の不利な凝集又はその不利な合体を防止し、したがってエアロゾル粒子のできるだけ大きい割合が、漏出箇所のあるタイヤ又は漏出箇所のある膨張可能な技術的ゴム物品中に変化せずにできるだけ遠くまで確実に通過できることである。本発明による分配装置のシーリング剤輸送チャネルは、例えば、市販のポリプロピレンで構成され、タイヤバルブを有するシーリング剤輸送チャネルを構成する市販のタイヤコネクタを含み得るか、又は膨張可能な技術的ゴム物品に接続するための手段を含み得る。ポリプロピレンの代わりに、その表面上の水接触角が、ASTM D7334-08(2013)により測定したときに90°超である市販の何れのプラスチックも利用され得る。エアロゾルを輸送するための上述のシーリング剤輸送チャネルは、特に、前述の又は好ましいとして前述された本発明による分配装置のシーリング剤輸送チャネルである。
【0070】
好ましいものは、前述の又は好ましいとして前述された方法であり、ステップB)において、シーリング剤液滴及び気体で構成されるエアロゾルは、シーリング剤シーリング剤輸送チャネル内に配量ユニットによって供給することによって発生され、及び/又はステップB)において、漏出箇所のある車両用空気タイヤ又は漏出箇所のある膨張可能な技術的ゴム物品中に導かれるエアロゾルのエアロゾル粒子の少なくとも50重量%は、0.01μmから500μmの範囲、好ましくは1μmから100μmの範囲の粒径を有する。
【0071】
本発明に関して、エアロゾル粒子の直径又はエアロゾル粒子の平均粒径は、好ましくは、既知の光学的粒子カウンタを用いて、特に好ましくは「Grimm Aerosol Technik GmbH」と称する企業の「GRIMMワイドレンジシステム」を用いて測定される。平均粒径は、非常に特に好ましくは、エアロゾル粒子の様々な粒径の数値平均である。
【0072】
上述の態様の利点は、上述又は前述のエアロゾル粒子により、以下が実現されることである。
- 車両用空気タイヤ若しくは膨張可能な技術的ゴム物品が特に効果的にシールされ、及び/又は
- エアロゾルの特に大きい割合を漏出箇所に輸送でき、これは、特に、タイヤコネクタを使用する場合に有利であり、それは、上述のようなエアロゾル粒径分布がそれを特に効果的に通過するためである。
【0073】
非常に特に好ましいものは、前述の又は好ましいとして前述された方法であり、エアロゾル粒子は、
- 50から150μmの範囲のエアロゾル粒子の平均粒径を有し、エアロゾル粒子の粒径は、9000μm以下、好ましくは5000μm以下、非常に特に好ましくは100μm以下であり、
- 特に好ましくは、50から100μmの範囲のエアロゾル粒子の平均粒径を有し、エアロゾル粒子の粒径は、5000μm以下、好ましくは1000μm以下、特に好ましくは500μm以下、非常に特に好ましくは100μm以下である。
【0074】
同じく非常に特に好ましいものは、前述の、又は好ましいとして前述された、又は特に好ましいとして前述された方法であり、エアロゾル粒子は、50から150μmの範囲のエアロゾル粒子の平均粒径を有し、
- エアロゾル粒子の少なくとも50質量パーセント、好ましくは少なくとも90質量パーセントは、1μmから100μmの範囲のエアロゾル粒子の粒径を有する。
【0075】
好ましいものは、前述の又は好ましいとして前述された方法であり、以下の条件又は式(1
【数4】
が満たされていて、この条件又は式(1)には、以下のパラメータ
ρ:20℃での輸送気体の密度[kg/m]、
ν:ASTM D3154-14に従って測定される、分配装置に供給される気体又は圧縮空気の量の流速[m/s]、
DM:ISO 1217、付属書Cに従って測定される、分配装置に供給されるシーリング剤量の体積流量[m/s]、
D:供給口の直径[m]、
γDM:ASTM D1331-14(方法A)に従って測定される、20℃及び常圧でのシーリング剤の表面張力[kg/s]、及び
a:供給口の数
が含まれている。
【0076】
したがって、式(1)により、10-4超だけでなく、10-3超、特に好ましくは10-2超、非常に特に好ましくは10-1超、特に非常に特に好ましくは1超、特に極めて好ましくは10超の値が得られる場合に好ましい。式(1)の左辺の結果が大きいほど、エアロゾル収量が高くなる。一般に、これは、エアロゾル中のシーリング剤液滴の平均粒径がより小さい。
【0077】
エアロゾルの発生において、シーリング剤の表面張力が、式(1)に明示される方法でエアロゾル収量に影響を与えることがわかったことは、本発明の特に大きい成果である。
【0078】
好ましいものは、前述の又は好ましいとして前述された方法であり、以下の条件又は式(3
【数5】
が満たされていて、この条件又は式(3)には、以下のパラメー
ρ:20℃での輸送気体の密度[kg/m]、
ηDN ASTM D7042及びStabinger粘度計によって20℃において測定される、20℃でのシーリング剤の絶対粘度[kg/m・s)]、
ν:ASTM D3154-14に従って測定される、分配装置に供給される気体又は圧縮空気の量の流速[m/s]、
DM:ISO 1217、付属書Cに従って測定される、分配装置に供給されるシーリング剤量の体積流量[m/s]、
D:供給口の直径[m]、
γDM:ASTM D1331-14(方法A)に従って測定される、20℃及び常圧でのシーリング剤表面張力[kg/s]、
a:供給口の数、及び
η:G.Meerlender,Rheologica Acta,(1965),4,(1):page 21-36に従い、常圧においてRankine粘度計によって20℃で測定される、20℃での輸送気体の絶対粘度[kg/(m・s)]
まれている。
【0079】
上述の事項は、式(3)に当てはまる。
【0080】
好ましいものは、前述の又は好ましいとして前述された方法であり、
シーリング剤輸送チャネル内における、及び/又は、好ましくは及び
- 車両用空気タイヤ中への、及び/又は、好ましくは及び
- 膨張可能な技術的ゴム物品中への、
- エアロゾルのシーリング剤の質量流量は、少なくとも部分的にシーリング剤の総重量に関して0.001g/sから10/sの範囲、特に好ましくは0.1g/sから1.5g/sの範囲であり、
- 好ましくは、ステップBC)中のシーリング剤輸送チャネル内のエアロゾルのシーリング剤の質量流量は、シーリング剤の総重量に関して0.001g/sから10g/sの範囲、特に好ましくは0.01g/sから1.5g/sである。
【0081】
上述の態様の1つの利点は、シーリング剤の質量流量の上述の範囲において、車両用空気タイヤ又は膨張可能な技術的ゴム物品を特に効果的にシールできることである。この理由は、これらの質量流量範囲内で特に良好なエアロゾル収量があることが多いことである。これは、特に、シーリング剤輸送チャネルにタイヤコネクタが続く場合に当てはまり、それは、上述の質量流量によって上述の有利なエアロゾル粒径分布が得られるからである。
【0082】
好ましいものは、前述の又は好ましいとして前述された方法であり、
- 車両用空気タイヤ又は膨張可能な技術的ゴム物品中へのエアロゾルの体積流量は、エアロゾルの総体積に関して0.00001l/sから0.1l/sの範囲、特に好ましくは0.0001l/sから0.01l/sの範囲であるか、又は
- ステップBC)中のシーリング剤輸送チャネル内のエアロゾルの流速は、少なくとも部分的に1m/sから100m/sの範囲、特に好ましくは10m/sから50m/sの範囲である。
【0083】
上述の態様の1つの利点は、圧縮空気又は他の何れかのキャリアガスの質量流量の上述の範囲において、車両用空気タイヤ又は膨張可能な技術的ゴム物品を特に効果的にシールできることである。この理由は、これらの体積流量の範囲において、多くの場合、特に良好なエアロゾル収量があることである。これは、特に、シーリング剤輸送チャネル後にタイヤコネクタが続く場合に当てはまり、それは、上述の体積流量により、特に上述の質量流量との組合せで上述の有利なエアロゾル粒径分布が得られるからである。
【0084】
好ましいものは、前述の又は好ましいとして前述された方法であり、エアロゾルは、ステップB)において、配量ユニットにより、シーリング剤シーリング剤輸送チャネル内又はその中のキャリアガスの気体流中に供給することによって発生される。キャリアガスは、好ましくは、コンプレッサ又は他の何れかの圧縮空気源からの圧縮空気である。
【0085】
好ましいものは、前述の又は好ましいとして前述された方法であり、ステップC)中、- 車両用空気タイヤ中のシーリング圧力は、少なくとも部分的に0.5バールから3バールの範囲であり、及び/又は
シーリング剤輸送チャネル内のエアロゾルの体積流量の動水圧は、少なくとも部分的に0.2バールから8バールの範囲である。
【0086】
本発明に関して、車両用空気タイヤ内のシーリング圧力は、漏出箇所のある車両用空気タイヤ中にエアロゾルが流れている間、市販の圧力計を用いて測定できる圧力である。
【0087】
上述の態様の1つの利点は、上述の圧力範囲でタイヤ又は膨張可能な技術的ゴム物品のシーリングが特に効果的であることである。この理由は、多くの場合、これらの圧力範囲において特に良好なエアロゾル収量があることである。これは、特に、シーリング剤輸送チャネルに続いてタイヤコネクタがある場合に当てはまり、それは、上述の圧力範囲により、上述の有利なエアロゾル粒径分布が得られるからである。
【0088】
特に好ましいものは、前述の方法であり、
A)- 前述の又は好ましいとして前述されたシステム、
シーリング剤容器内のシーリング剤、及び
- 漏出箇所のある車両用空気タイヤ又は漏出箇所のある膨張可能な技術的ゴム物品
を提供又は製するステップ、
B)シーリング剤と、気体、例えば圧縮空気とを、システムの分配装置を通して、漏出箇所のある車両用空気タイヤ又は漏出箇所のある膨張可能な技術的ゴム物品中に導くステップ、
C)エアロゾルを、分配装置のシーリング剤輸送チャネルから、漏出箇所のある車両用空気タイヤ中に導くステップ、
C)漏出箇所のある車両用空気タイヤ又は漏出箇所のある膨張可能な技術的ゴム成形を少なくとも部分的にシールするステップ
を含み、
ステップB)において、シーリング剤液滴及び気体で構成されるエアロゾルは、シーリング剤シーリング剤輸送チャネル内に配量ユニットによって供給することによって発生され、
- ステップC)中及び/又はステップB)C)との間の時間において、車両用空気タイヤ又は膨張可能な技術的ゴム物品は、移動されず、特に回転されず、
- ステップB)で発生するエアロゾルのシーリング剤液滴の少なくとも50重量%は、1μmから100μmの範囲の粒径を有し、
- エアロゾルのシーリング剤の車両用空気タイヤへの質量流量は、シーリング剤の総重量に関して0.01g/sから10g/sの範囲であり、車両用空気タイヤへのエアロゾルの体積流量は、エアロゾルの総体積に関して0.01l/sから1.5l/sの範囲であり、
- ステップC)中、車両タイヤのシーリング圧力は、0.2バールから8バールの範囲である。
【図面の簡単な説明】
【0089】
図1】画像平面がシーリング剤輸送チャネル内のエアロゾルの輸送方向に平行に、且つ配量ユニットを通るシーリング剤の供給方向に垂直に延びる、概略的に描かれた本発明による分配装置の上面図を示す。
図2】断面平面が図1に示される断面A-Aに沿って延びる、概略的に描かれた本発明による分配装置の断面図を示す。
図3】タイヤバルブを介して車両用空気タイヤに接続された本発明によるシステムの概要を示す。
【発明を実施するための形態】
【0090】
図1は、第一の実施形態における本発明による分配装置1の概略図を上面図で示し、断面平面は、シーリング剤輸送チャネル6内のエアロゾル8の輸送方向20に平行に、且つシーリング剤の供給方向23に垂直に延びる。本発明による分配装置1は、ガスコネクタ2と、シーリング剤コネクタ3と、タイヤコネクタ4と、またシーリング剤輸送チャネル6とを有する。シーリング剤コネクタ3は、上面図で概略的に描かれており、シーリング剤容器(図示せず)をシーリング剤コネクタ3にねじで固定し、それにより、シーリング剤容器の開口が、供給口7を有する配量ユニット5の上に位置付けられるようにするためにリング形状を有する。図1に示される分配装置1は、シーリング剤容器を開くための開放ユニットを含まないため、シーリング剤容器(図示せず)をシーリング剤コネクタ3に固定する前に開放して、シーリング剤シーリング剤容器から分配装置1内に流れるか又は供給されるようにしなければならない。
【0091】
図2は、別の実施形態における本発明による分配装置1の断面図の概略図であり、断面平面は、図1に示される断面A-Aに沿って延びる。本発明による分配装置1は、ガスコネクタ2と、シーリング剤コネクタ3と、タイヤコネクタ(図2では図示せず)と、また内径14を有するシーリング剤輸送チャネル6とを有する。図2において、一部のみ描かれているシーリング剤容器12は、シーリング剤コネクタ3にねじ止めされており、シーリング剤容器12は、シーリング剤21と保護フォイル23とを含む。図2に示される本発明の実施形態では、シーリング剤容器12は、本発明による分配装置にねじ止めされ、保護フィルム23は、開放ユニット17によって穿刺され、それにより、シーリング剤21は、シーリング剤容器12から分配装置1の配量ユニット5に重力の作用によって通過できる。図2に示される実施形態では、シーリング剤21は、重力を用いて供給方向32にシーリング剤輸送チャネル6に供給され、その後、圧縮空気10によって噴霧される。ここで、供給口7の内径15により、シーリング剤輸送チャネル6に供給されるシーリング剤量は、確実にエアロゾル8がシーリング剤輸送チャネル6内で形成されるように設定される。ここで、エアロゾル8は、エアロゾル粒子9及びキャリアガスとしての圧縮空気10で構成され、タイヤコネクタ(図示せず)を介して車両用空気タイヤ(同じく図示せず)に輸送方向20において輸送される。本発明による別の実施形態において、圧縮空気10が少なくとも部分的にシーリング剤容器12に導かれ、したがって単位時間当たりでより多くの量のシーリング剤が本発明による分配装置1に供給されるようにすることも可能である。
【0092】
図3は、1つの実施形態における本発明によるシステム15の概略図である。ここで、本発明によるシステム15は、圧縮空気10を本発明による分配装置1に案内する圧縮空気源としてのコンプレッサ11と、本発明による分配装置1自体と、またシーリング剤容器12とを含む。図3において、圧縮空気10は、圧縮空気チャネル25を通してコンプレッサ11から本発明による分配装置1に導かれ、そこでシーリング剤21に衝突し、これが、精密に設定された配量ユニット5により、エアロゾル粒子9を有するエアロゾル8に変化することが概略的に示されている。エアロゾル8は、したがって、シーリング剤輸送チャネル6内で輸送方向20にタイヤコネクタ4を介して、且つタイヤバルブ18を介して車両用空気タイヤ16の内部に案内される。車両用空気タイヤ16の内部に到達すると、エアロゾルは、車両用空気タイヤ16内にシーリング圧力を発生させ、その中でそれまでに存在していた空気を、漏出箇所24を通して移動させる。このプロセスは、エアロゾル8が漏出するまで続く。漏出箇所24での流れの変化により、エアロゾル8の一部が漏出箇所24の表面で堆積し、したがって少なくとも部分的に漏出箇所24をシールする。どの程度のエアロゾル8が漏出箇所24に到達するかに応じて、このプロセスは、状況により、漏出箇所24が、漏出箇所24まで移動したシーリング剤21でエアロゾル8によって完全にシールされるまでさらに続き得る。
【実施例
【0093】
エアロゾル収量を特定するための試験手順
本発明によらない分配装置及びと本発明による分配装置のエアロゾル収量を特定するために以下の対象物を用いた:
- 本発明によるシステムの例として、Continental社の商品名「ContiMobilityKit」の故障対応キット、
- 円筒の高さが23cmであり、円筒形回収容器の上端に9cmの開口を有する円筒形回収容器、
- 供給口の数及び/又は直径の異なる各種の配量ユニット、
- タイヤのない従来のタイヤバルブ、及び
- 故障対応キットの「タイヤコネクタ」保持するためのスタンド。
【0094】
比較試験の試験手順を以下に述べる。それに従って本発明による分配装置で本発明による試験が実行され、比較試験と異なり、それぞれの分配装置に、表1に示される定量供給ユニットのそれぞれの1を設けた。
【0095】
従来のタイヤバルブを、車両用空気タイヤに接続するための接続要素の例としての故障対応キットの「タイヤコネクタ」に接続し、スタンドを用いて、円筒形回収容器の上に、タイヤバルブのうち、タイヤコネクタに接続されていない端が円筒形回収容器の上端の開口の上方の中央に、円筒形回収容器の上端の開口の方向に向かうように設置した。円筒形回収容器の上端の開口と、タイヤバルブのうち、タイヤコネクタに接続されていない端との間の距離は、約10cmに対応した。
【0096】
次に、故障対応キットのコンプレッサを4バールのポンプ圧力及び流速約29m/sの圧縮空気流で始動させ、最大容積500mlのシーリング剤容器に367gの従来のシーリング剤(Continental AG社のシーリング剤「API」)を補給した。補給されたシーリング剤容器を、その後、故障対応キットの分配装置のシーリング剤コネクタにねじ止めし、従来のシーリング剤376gがシーリング剤輸送チャネルを通り、タイヤコネクタを通り、且つタイヤバルブを通し回収容器内に輸送されるようにした。タイヤバルブから出ると、異なるサイズのシーリング剤液滴の混合物が形成され、それが故障対応キットのコンプレッサからの圧縮空気によって回収容器の方向に噴霧された。これらのシーリング剤液滴が十分に小さく、エアロゾルを形成すると、このようなシーリング剤液滴は、回収容器に送り込まれなかった。代わりに、タイヤバルブから噴霧されたシーリング剤液滴は、強制的に送り出され、したがって回収容器を通り過ぎた。比較的大きい直径の残りのシーリング剤液滴は、重すぎるため、回収容器内に捕集された。376gの従来のシーリング剤の全量がタイヤバルブを通して導かれたところで、シーリング剤容器内に捕集されたシーリング剤液滴の重さを測定した。
【0097】
ごく一般的に言えば、回収容器内に回収されたシーリング剤量が多いほど、当初の376gの従来のシーリング剤から得られるエアロゾルが少なく、すなわちエアロゾル収量が低いと言うことができる。
【0098】
上述の試験手順を、本発明による分配装置を用いた本発明による試験について対応して実行した。このようにして、配量ユニットを有さない故障対応キットの分配装置(本発明によらない)及び配量ユニットを有する故障対応キットの本発明による各分配装置について、エアロゾル収量を特定した(下の表1を参照されたい)。
【0099】
ここで、エアロゾル収量ABを以下のように計算した。
【数6】
式中、
- 指数xは、VV(比較試験)、E1、E2又はE3(本発明による試験)の何れかであり得及び
- mauffang,x=それぞれの試験(VV、E1、E2又はE3)中に回収容器内に回収されたシーリング剤の質量[g]である
【0100】
ここで、エアロゾル収量の改善VAB,x(パーセント)を以下のように計算した。
【数7】
式中、
- 指数xは、この場合、VV(比較試験)、E1、E2又はE3(本発明による試験)であり得る。
【0101】
結果
【0102】
【表1】
【0103】
表1から、試験E1、E2及びE3で使用された本発明による分配装置内での配量ユニットの使用により、エアロゾル収量の有意な改善VABを実現できることがわかる。先行技術で知られている配量ユニットを有さない分配装置と比較したエアロゾル収量の特に大幅な改善VAB(682%)は、試験E3において実現された。ここで、4つの供給口を有し、各々の直径が0.5mmの配量ユニットを含む本発明による分配装置が使用された。
【0104】
試験E1と試験E2とを比較すると、試験E2において、供給口の数がより少ないことから配量速度がより低いことにより、エアロゾル収量の75%から141%への改善VABを実現できたことがわかる。供給口の数は、同じであり、直径がより小さい場合にも同様の所見が得られる。
【0105】
試験E1及びE3では、供給口の数と供給口の直径との積を一定にして、配量速度がおそらく一定である場合の供給口の直径の違いの影響を調査した。試験E1及びE3を比較すると、供給口の面積が同じであっても、試験E3でエアロゾル収量の有意な改善VABを実現できたことがわかる。したがって、試験1及びE3の比較から、直径1mm未満の供給口を有する配量ユニットを使用すれば、シーリング剤をエアロゾルにより効果的に変換できることがわかる。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の観点として以下も含む。
1.気体(10)とシーリング剤(9)とを含むエアロゾル(8)を発生するための分配装置であって、
- 少なくとも1つの圧縮空気源(11)と接続するための少なくとも1つのガスコネクタ(2)と、
- 少なくとも1つのシーリング剤容器(12)と接続するための少なくとも1つのシーリング剤コネクタ(3)と、
- 車両用空気タイヤ(16)又は膨張可能な技術的ゴム物品と接続するための1つ又は複数の接続要素(4)と
を有する分配装置において、前記分配装置(1)に供給されるシーリング剤量を適量に計り分けるための配量ユニット(5)を有することを特徴とする分配装置。
2.前記配量ユニット(5)は、シーリング剤を前記分配装置(1)に供給するための少なくとも1つの供給口(7)を有し、及び前記1つ又は前記少なくとも1つの供給口(7)は、好ましくは、0.01mmから10mmの範囲の直径(13)、好ましくは0.1mmから5mmの範囲の直径(13)、特に好ましくは0.1mmから1.5mmの範囲の直径(13)、非常に特に好ましくは0.1mmから1mmの範囲の直径(13)を有する、上記1に記載の分配装置。
3.前記配量ユニット(5)は、以下の条件又は式(2)
【数1】
を満たすように形成されていて、この条件又は式(2)には、以下のパラメータ、
mm :前記供給口(7)の直径(13)[mm]、及び
a:供給口(7)の数
が含まれている、上記1又は2に記載の分配装置。
4.前記配量ユニット(5)は、
- 供給口(7)の数及び/又は前記1つ又は前記少なくとも1つの供給口(7)の前記直径(13)を変更することができ、
- シーリング剤液滴(9)と気体(10)とを含むエアロゾル(8)が生じ、好ましくはシーリング剤液滴(9)と気体(10)とを含むエアロゾル(8)が前記分配装置(1)のシーリング剤輸送チャネル(6)内で生じ、及び/又は
- 前記分配装置(1)に供給される前記シーリング剤量の配量速度を調節することができるように形成されている、上記1から3の何れか一つに記載の分配装置。
5.前記配量ユニット(5)は、前記シーリング剤コネクタ(3)内に若しくは前記シーリング剤コネクタ(3)に接して配置され、及び/又は前記分配装置(1)は、エアロゾル(8)を前記配量ユニット(5)から前記1つ又は複数の接続要素(4)に輸送するためのシーリング剤輸送チャネル(6)を有する、上記1から4の何れか一つに記載の分配装置。
6.車両用空気タイヤ(16)をシールするため及び車両用空気タイヤ(16)を膨張させるためのシステムであって、
- 上記1から5の何れか一つに記載の分配装置(1)と、
- シール圧力又はポンプ圧力を発生するための少なくとも1つの圧縮空気源(11)と、
- シーリング剤及び/又は気体(10)を収容するための少なくとも1つのシーリング剤容器(12)と
を含むシステム。
7.- シーリング剤液滴(9)と気体(10)とを含むエアロゾル(8)を発生させて、発生したエアロゾル(8)を、好ましくは車両用空気タイヤ(16)又は膨張可能な技術的ゴム物品中に導入するための、及び/又は
- 車両用空気タイヤ(16)若しくは膨張可能な技術的ゴム物品をシールするためのエアロゾル(8)を発生させて、発生したエアロゾル(8)を、好ましくは車両用空気タイヤ(16)若しくは膨張可能な技術的ゴム物品中に導入するための、
上記1から6の何れか一つに記載の配量ユニット(5)、又は上記1から5の何れか一つに記載の分配装置(1)、又は上記6に記載のシステム(15)、の使用。
7.車両用空気タイヤ又は膨張可能な技術的ゴム物品をシールするための方法であって、
A)- 上記6に記載のシステム(15)、
- シーリング剤容器(12)内のシーリング剤、及び
- 漏出箇所のある車両用空気タイヤ(16)又は漏出箇所のある膨張可能な技術的ゴム物品
を提供又は製造するステップ、
B)前記シーリング剤と気体(10)、例えば圧縮空気とを、前記システム(15)の前記分配装置(1)を通して、漏出箇所のある前記車両用空気タイヤ(16)又は漏出箇所のある前記膨張可能な技術的ゴム物品中に導入するステップ、
C)漏出箇所のある前記車両用空気タイヤ(16)又は漏出箇所のある前記膨張可能な技術的ゴム物品を少なくとも部分的にシールするステップ
を含む方法。
9.前記車両用空気タイヤ(16)又は前記膨張可能な技術的ゴム物品は、ステップC)中及び/又はステップB)とC)との間の時間において移動しない、特に回転しない、上記8に記載の方法。
10.ステップB)において、シーリング剤液滴(9)と気体(10)とから成るエアロゾル(8)は、前記シーリング剤を前記シーリング剤輸送チャネル(6)に前記配量ユニット(5)を用いて供給することによって発生される、上記8又は9に記載の方法。
11.ステップB)において、漏出箇所のある前記車両用空気タイヤ(16)又は漏出箇所のある前記膨張可能な技術的ゴム物品中に導かれる前記エアロゾル(8)の前記エアロゾル粒子(9)の少なくとも50重量%は、0.01μmから500μmの範囲、好ましくは1μmから100μmの範囲の粒径を有する、上記10に記載の方法。
12.以下の条件又は式(1)
【数2】
が満たされていて、この条件又は式(1)には、以下のパラメータ、
ρ :20℃での前記輸送気体の密度[kg/m ]、
ν :ASTM D3154-14に従って測定される、前記分配装置に供給される気体又は圧縮空気量の流速[m/s]、
DM :ISO 1217、付属書Cに従って測定される、前記分配装置に供給される前記シーリング剤量の体積流量[m /s]、
D:前記供給口の直径[m]、
γ DM :ASTM D1333-14(方法A)に従って測定される、20℃及び常圧での前記シーリング剤の表面張力[kg/s ]、及び
a:供給口(7)の数
が含まれている、上記8から11の何れか一つに記載の方法。
13.ステップC)中、
- 前記車両用空気タイヤ(16)内のシーリング圧力は、少なくとも部分的に0.5バールから3バールの範囲であり、及び/又は
- 前記シーリング剤輸送チャネル(6)内の前記エアロゾル(8)の体積流量の動水圧は、少なくとも部分的に0.2バールから8バールの範囲である、上記8から12の何れか一つに記載の方法。
【符号の説明】
【0106】
1 本発明による分配装置
2 ガスコネクタ
シーリング剤コネクタ
4 接続要素、タイヤコネクタ
配量ユニット
シーリング剤輸送チャネル
7 供給口
8 エアロゾル
9 エアロゾル粒子、エアロゾル液滴シーリング剤液滴シーリング剤粒子
10 気体、輸送ガス、圧縮空気
11 圧縮空気源、コンプレッサ
12 シーリング剤容器
13 供給口の直径
14 シーリング剤輸送チャネルの内径D
15 車両用空気タイヤをシールするため及び車両用空気タイヤを膨張させるための本発明によるシステム
16 漏出箇所のある車両用空気タイヤ、漏出箇所のある膨張可能な技術的ゴム物品
17 シーリング剤容器を開放するための開放ユニット
18 タイヤバルブ
19 リム
20 エアロゾルの輸送方向
21 シーリング剤
22 配量ユニットを通るシーリング剤の供給方向
23 保護フォイル、アルミニウムフォイル
24 漏出箇所
25 圧縮空気チャネル
A-A 図2のための図1の断面
図1
図2
図3