(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】ガス混合物の混合比を調節するための装置
(51)【国際特許分類】
F23N 1/02 20060101AFI20221101BHJP
F23N 5/00 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
F23N1/02 K
F23N5/00 F
(21)【出願番号】P 2021518165
(86)(22)【出願日】2018-10-05
(86)【国際出願番号】 EP2018077146
(87)【国際公開番号】W WO2019185181
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-09-09
(73)【特許権者】
【識別番号】515023349
【氏名又は名称】センシリオン アーゲー
【氏名又は名称原語表記】Sensirion AG
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホーナング,マルク
(72)【発明者】
【氏名】リューグ,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】モンナン,エリク
(72)【発明者】
【氏名】キリアニ,ダーヴィト
(72)【発明者】
【氏名】ウェールリ,ザームエル
(72)【発明者】
【氏名】トラウトライン,ダニエル
【審査官】宮下 浩次
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/126545(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第2574918(EP,A1)
【文献】米国特許第4162889(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23N 1/02
F23N 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のガス及び第2のガスを含むガス混合物の混合比(x)を調節するための調節装置であって:
前記第1のガスの流れを運ぶための第1の導管(1);
前記第2のガスの流れを運ぶための導管であって、前記ガス混合物を生成するために、前記第1の導管(1)とともに、混合領域(M)で共通導管(3)に開口する第2の導管(2);
前記ガス混合物の混合比(x)を調整するための調整装置(V1);及び
前記調整装置(V1)に対する制御信号を導出するように構成される制御装置(10)、を備える調節装置において、
前記調節装置は、前記混合領域(M)の下流側の前記ガス混合物の少なくとも1つの熱パラメータを測定するように構成される第1のセンサ(S1)を備え、及び
前記制御装置(10)は、前記第1のセンサ(S1)から、前記ガス混合物の前記少なくとも1つの熱パラメータを示すセンサ信号を受信し、前記少なくとも1つの熱パラメータに基づいて前記調整装置に対する制御信号を導出するように構成されることを特徴とする調節装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの熱パラメータは、ガス混合物の熱伝導率、熱拡散率、比熱容量、体積比熱容量、又はこれらの組み合わせを示すパラメータである、請求項1に記載の調節装置。
【請求項3】
前記調整装置は、前記第2の導管(2)を通る前記第2のガスの流量を調整するための制御弁(V1)を備える、請求項1
又は2に記載の調節装置。
【請求項4】
前記調節装置は、前記第1のガスとして酸素キャリアガスを、前記第2のガスとして
機能性ガスを、含むガス混合物の混合比(x)を調節するように構成されている、請求項1
~3のいずれかに記載の調節装置。
【請求項5】
前記第1のガスは、空気、又は空気と排気ガスの混合物であり、前記第2のガスは、燃料ガスであり、又は
前記第1のガスは、自然の空気、酸素富化空気、酸素と1つ又は複数の不活性ガスの混合物、又は、純粋な酸素ガスであり、前記第2のガスは、医療用ガスである、請求項4に記載の調節装置。
【請求項6】
前記医療用ガスは、麻酔ガスである、請求項5に記載の調節装置。
【請求項7】
前記第1のセンサ(S1)は、前記ガス混合物の少なくとも2つの熱パラメータを測定するように構成され、前記2つの熱パラメータは一緒になって、前記ガス混合物の熱伝導率(λ
mix)及び熱拡散率(D
mix)を示し、及び
前記制御装置(10)は、前記少なくとも2つの熱パラメータを考慮するように構成されている、請求項1~
6のいずれかに記載の調節装置。
【請求項8】
前記制御装置は、前記第1のセンサ(S1)によって測定される前記熱パラメータの1つに基づいて前記制御信号を導出し、前記第1のセンサ(S2)によって測定される前記熱パラメータの他の1つに基づいて整合性チェックを実行するように構成されている、請求項
7に記載の調節装置。
【請求項9】
前記制御装置(10)は、以下の手順を実行するように構成されている、請求項
7又は
8に記載の調節装置:
前記調整装置を、前記第1のガスの流れがゼロでない流量を有すると同時に、前記第2のガスの流れが遮断される基準状態に設定するステップ;
前記第1のセンサ(S1)からセンサ信号を受信し、該センサ信号は前記基準状態における前記少なくとも2つの熱パラメータを示すステップ;及び
前記基準状態における前記少なくとも2つの熱パラメータに基づいて、前記基準状態における前記第1のガスの密度又は圧力を示す圧力パラメータ(p
air)を求めるステップ。
【請求項10】
前記制御装置(10)が以下の手順を実行するように構成されている、請求項1~
9のいずれかに記載の調節装置:
前記調整装置を、前記第1のガスの流れがゼロでない流量を有すると同時に、前記第2のガスの流れが遮断される基準状態に設定するステップ;
前記第1のセンサ(S1)からセンサ信号を受信し、該センサ信号は前記基準状態における前記第1のガスの少なくとも1つの熱パラメータを示すステップ;
前記調整装置を、前記第2のガスの流れ及び前記第1のガスの流れの両方がゼロでない流量を有する作動状態に設定するステップ;
前記第1のセンサ(S1)からセンサ信号を受信し、該センサ信号は前記作動状態における前記ガス混合物の少なくとも1つの熱パラメータを示すステップ;及び
前記作動状態における前記ガス混合物の前記少なくとも1つの熱パラメータと、前記基準状態における前記第1のガスの前記少なくとも1つの熱パラメータとの比較に基づいて前記制御信号を導出するステップ。
【請求項11】
前記ガス混合物を使用場所に運ぶためのファン(4)を備えている、請求項1~
10のいずれかに記載の調節装置。
【請求項12】
前記ファン(4)は前記混合領域の下流側に配置されており、第1のセンサ(S1)が前記ファン(4)に一体化されている、請求項
11に記載の調節装置。
【請求項13】
前記制御装置(10)は以下の手順を実行するように構成されている、請求項
11又は
12に記載の調節装置:
前記第2のガスの流れが遮断されている間に、前記ファン(4)を複数の異なる出力レベルで作動させるステップ;
各出力レベルに対して、前記第1のセンサ(S1)から受信した前記センサ信号に基づいて圧力パラメータ(pair)を求め、該圧力パラメータ(pair)は前記出力レベルでの前記第1のガスの密度又は圧力を示すステップ;及び
さまざまな出力レベルでの前記圧力パラメータ(pair)に基づいて、閉塞又はファンの誤動作が発生しているかどうかを示す閉塞信号(B)を導出するステップ。
【請求項14】
前記共通導管(3)の、前記混合領域(M)の下流側且つ前記第1のセンサ(S1)の上流側に配置されるスワール部材(5)をさらに備え、該スワール部材は前記ガス混合物内に乱流を生成するように構成されている、請求項1~
13のいずれかに記載の調節装置。
【請求項15】
第2のセンサ(S2)をさらに備え、該第2のセンサ(S2)は、前記第1のガスの少なくとも1つの熱パラメータを測定するように構成されており、
前記制御装置(10)は、前記第2のセンサ(S2)から、前記第1のガスの前記少なくとも1つの熱パラメータを示すセンサ信号を受信し、前記第1及び第2のセンサ(S1,S2)の両方から受信した前記センサ信号に基づいて前記制御信号を導出するように構成されている、請求項1~
14のいずれかに記載の調節装置。
【請求項16】
前記制御装置は、前記第1のセンサによって測定される前記ガス混合物の前記少なくとも1つの熱パラメータを、前記第2のセンサによって測定される前記第1のガスの前記少なくとも1つの熱パラメータと比較するように構成されている、請求項15に記載の調節装置。
【請求項17】
前記第2のセンサ(S2)は、少なくとも2つの熱パラメータを測定するように構成され、前記第2のセンサ(S2)によって測定される前記少なくとも2つの熱パラメータは一緒になって、前記第1のガスの熱伝導率(λ
air)及び熱拡散率(D
air)を示し、及び
前記制御装置は、前記第2のセンサ(S2)によって測定される前記少なくとも2つの熱パラメータに基づいて、前記第1のガスの密度又は圧力を示す酸素キャリア圧力パラメータ(p
air)を導出するように構成されている、請求項
15又は16に記載の調節装置。
【請求項18】
前記第1のセンサ(S1)は、少なくとも2つの熱パラメータを測定するように構成され、前記第1のセンサ(S1)によって測定される前記少なくとも2つの熱パラメータは一緒になって、前記混合物の熱伝導率(λ
mix)及び熱拡散率(D
mix)を示し、
前記第2のセンサ(S2)は、少なくとも2つの熱パラメータを測定するように構成され、前記第2のセンサ(S2)によって測定される前記少なくとも2つの熱パラメータは一緒になって、前記第1のガスの熱伝導率(λ
air)及び熱拡散率(D
air)を示し、
前記制御装置は、前記第1及び第2のセンサ(S1,S2)によって測定される前記熱パラメータの1つの比較に基づいて前記制御信号を導出し、且つ、前記第1及び第2のセンサ(S1,S2)によって測定される前記少なくとも2つの熱パラメータの他の1つの比較に基づいて整合性チェックを行うように構成されている、請求項
15~17のいずれかに記載の調節装置。
【請求項19】
前記第1のセンサ(S1)は、前記ガス混合物の温度(T
mix)を測定するように構成され、
前記第2のセンサ(S2)は、前記第1のガスの温度(T
air)を測定するように構成され、及び
前記制御装置は、前記ガス混合物と前記第1のガスの温度(T
mix,T
air)の比較に基づいて整合性チェックを実行するように構成されている、請求項
15~
18のいずれかに記載の調節装置。
【請求項20】
第3のセンサ(S3)をさらに備え、該第3のセンサ(S3)は、前記第2のガスの少なくとも1つの熱パラメータを測定するように構成されており、
前記制御装置(10)は、前記第3のセンサ(S3)から、前記第2のガスの前記少なくとも1つの熱パラメータを示すセンサ信号を受信し、且つ、前記第1及び第3のセンサ(S1,S3)の両方から受信した前記センサ信号に基づいて前記制御信号を導出するように構成されている、請求項1~
19のいずれかに記載の調節装置。
【請求項21】
前記制御装置は、前記第1のセンサによって測定される前記ガス混合物の前記少なくとも1つの熱パラメータを、前記第2のセンサによって測定される前記第1のガスの前記少なくとも1つの熱パラメータと比較し、前記第1のガスの前記少なくとも1つの熱パラメータを、前記第3のセンサによって測定される前記第2のガスの前記少なくとも1つの熱パラメータと比較するように構成されている、請求項20に記載の調節装置。
【請求項22】
前記第1の導管(1)内に第1の質量流量計(F1)を、及び/又は、前記第2の導管(2)内に第2の質量流量計(F2)をさらに備え、
前記制御装置(10)は、前記第1及び/又は第2の質量流量計(F1,F2)からの質量流量信号に基づいて、前記第1又は第2の導管(1;2)内の質量流量を示す質量流量パラメータを求めるように構成されている、請求項1~
21のいずれかに記載の調節装置。
【請求項23】
前記第1又は第2の導管(1;2)内の流量制限器(6;7);及び
前記流量制限器(6;7)の上流側の、前記第1及び第2の導管(1,2)の間の差圧を求めるように構成された差圧センサ(D1)をさらに備え、
前記制御装置(10)は、前記差圧センサ(D1)からの差圧信号に基づいて、前記第1又は第2の導管(1;2)内の質量流量を示す質量流量パラメータを求めるように構成されている、請求項1~
22のいずれかに記載の調節装置。
【請求項24】
第1のガス及び第2のガスを含むガス混合物の混合比(x)を調節する方法であって、
前記第1のガスの流れを生成する工程;
前記第2のガスの流れを生成する工程;
混合領域(M)で前記第1のガスと前記第2のガスの流れを混合することによって前記ガス混合物を生成する工程を含む方法において、
第1のセンサ(S1)を使用して、前記混合領域(M)の下流側の前記ガス混合物の少なくとも1つの熱パラメータを測定する工程、及び
前記少なくとも1つの熱パラメータに基づいて、前記混合比(x)を調整する工程を特徴とする方法。
【請求項25】
前記少なくとも1つの熱パラメータは、ガス混合物の熱伝導率、熱拡散率、比熱容量、体積比熱容量、又はこれらの組み合わせを示すパラメータである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記第1のガスが酸素キャリアガスであり、前記第2のガスが
機能性ガスである、請求項
24又は25に記載の方法。
【請求項27】
前記第1のガスは、空気、又は空気と排気ガスの混合物であり、前記第2のガスは、燃料ガスであり、又は
前記第1のガスは、自然の空気、酸素富化空気、酸素と1つ又は複数の不活性ガスの混合物、又は、純粋な酸素ガスであり、前記第2のガスは、医療用ガスである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記医療用ガスは、麻酔ガスである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記混合比(x)を調整する工程には、前記第2のガスの流量を調整するための制御弁を操作する工程を含む、請求項
24~28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
前記ガス混合物の少なくとも2つの熱パラメータは、前記第1のセンサ(S1)を使用して測定され、前記少なくとも2つの熱パラメータは一緒になって、前記ガス混合物の熱伝導率(λ
mix)及び熱拡散率(D
mix)を示し、及び
前記混合比(x)を調整する際に、前記ガス混合物の前記少なくとも2つの熱パラメータを考慮する、請求項
24~
29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
前記混合比は、前記第1のセンサによって測定された前記熱パラメータの1つに基づいて調整され、前記第1のセンサによって測定された前記熱パラメータの他の1つに基づいて整合性チェックが実行される、請求項
30に記載の方法。
【請求項32】
前記第1のガスの流れがゼロでない流量を有すると同時に前記第2のガスの流れが遮断される基準状態を作り出す工程;
前記第1のセンサ(S1)からセンサ信号を受信し、該センサ信号は前記基準状態における前記第1のガスの少なくとも2つの熱パラメータを示す工程;及び
前記基準状態における前記第1のガスの前記少なくとも2つの熱パラメータに基づいて、前記基準状態における前記第1のガスの密度又は圧力を示す圧力パラメータ(p
air)を求める工程を含む、請求項
30又は
31に記載の方法。
【請求項33】
前記第1のガスの流れがゼロでない流量を有すると同時に前記第2のガスの流れが遮断される基準状態を作り出す工程;
前記第1のセンサ(S1)からセンサ信号を受信し、該センサ信号は、前記基準状態における前記第1のガスの少なくとも1つの熱パラメータを示す工程;
前記第2のガスの流れと前記第1のガスの流れの両方がゼロでない流量を有する作動状態を作り出す工程;
前記第1のセンサ(S1)からセンサ信号を受信し、該センサ信号は、前記作動状態における前記ガス混合物の少なくとも1つの熱パラメータを示す工程;及び
前記作動状態における前記ガス混合物の前記少なくとも1つの熱パラメータと、前記基準状態における前記第1のガスの前記少なくとも1つの熱パラメータとの比較に基づいて、前記混合比(x)を調整する工程を含む、請求項
24~
32のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
ファン(4)を使用して前記ガス混合物を使用場所に運ぶ工程を含む、請求項
24~
33のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
前記第2のガスの流れが遮断されている間に、複数の異なる出力レベルで前記ファン(4)を作動させる工程;
各出力レベルに対して、前記第1のセンサ(S1)によって測定されたセンサ信号から圧力パラメーター(p
air)を導出し、該圧力パラメーター(p
air)は、前記出力レベルでの前記第1のガスの密度又は圧力を示す工程;及び
さまざまな出力レベルでの前記圧力パラメータ(p
air)に基づいて、閉塞又はファンの誤動作が発生しているかどうかを示す閉塞信号(B)を導出する工程を含む、請求項
34に記載の方法。
【請求項36】
第2のセンサ(S2)を使用して、前記混合領域(M)の上流側の前記第1のガスの少なくとも1つの熱パラメータを測定する工程;及び
前記第1のセンサ(S1)によって測定された前記ガス混合物の前記少なくとも1つの熱パラメータ及び前記第2のセンサ(S2)によって測定された前記第1のガスの前記少なくとも1つの熱パラメータに基づいて、前記混合比(x)を調整する工程を含む、請求項
24~
35のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
前記混合比(x)を調整する前記工程は、前記第1のセンサによって測定される前記ガス混合物の前記少なくとも1つの熱パラメータを、前記第2のセンサによって測定される前記第1のガスの前記少なくとも1つの熱パラメータと比較する工程を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記第2のセンサ(S2)によって、少なくとも2つの熱パラメータが測定され、前記第2のセンサ(S2)によって測定された前記少なくとも2つの熱パラメータは一緒になって、前記第1のガスの熱伝導率(λ
air)及び熱拡散率(D
air)を示し、
前記第2のセンサ(S2)によって測定された前記少なくとも2つの熱パラメータに基づいて、酸素キャリア圧力パラメータ(p
air)を導出し、該酸素キャリア圧力パラメータは前記第1のガスの密度又は圧力を示す工程を含む、請求項
36又は37に記載の方法。
【請求項39】
前記第1のセンサ(S1)を使用して前記ガス混合物の少なくとも2つの熱パラメータを測定し、前記第1のセンサ(S1)によって測定された前記少なくとも2つの熱パラメータは一緒になって、前記ガス混合物の熱伝導率(λ
mix)及び熱拡散率(D
mix)を示す工程;
前記第2のセンサ(S2)を使用して前記第1のガスの少なくとも2つの熱パラメータを測定し、前記第2のセンサ(S2)によって測定された前記少なくとも2つの熱パラメータは一緒になって、前記第1のガスの熱伝導率(λ
air)及び熱拡散率(Dair)を示す工程;
前記第1及び第2のセンサ(S1,S2)によって測定された前記熱パラメータの1つの比較に基づいて前記混合比(x)を調整する工程;及び
前記第1及び第2のセンサ(S1,S2)によって測定された前記熱パラメータの他の1つの比較に基づいて整合性チェックを実行する工程を含む、請求項
36~38のいずれかに記載の方法。
【請求項40】
前記第1のセンサ(S1)を使用して前記ガス混合物の温度(T
mix)測定する工程;
前記第2のセンサ(S2)を使用して前記第1のガスの温度(T
air)を測定する工程;及び
前記混合ガスと前記第1のガスの温度(T
mix,T
air)の比較に基づいて整合性チェックを実行する工程を含む、請求項
36~
39のいずれかに記載の方法。
【請求項41】
第3のセンサ(S3)を使用して前記第2のガスの少なくとも1つの熱パラメータを測定する工程;及び
前記第1のセンサ(S1)によって測定された前記ガス混合物の前記少なくとも1つの熱パラメータ、及び前記第3のセンサ(S3)によって測定された前記第2のガスの前記少なくとも1つの熱パラメータに基づいて前記混合比(x)を調整する工程を含む、請求項
24~
40のいずれかに記載の方法。
【請求項42】
前記混合比(x)を調整する前記工程は、前記第1のセンサによって測定される前記ガス混合物の前記少なくとも1つの熱パラメータを、前記第2のセンサによって測定される前記第1のガスの前記少なくとも1つの熱パラメータと比較する工程と、前記第1のガスの前記少なくとも1つの熱パラメータを、前記第3のセンサによって測定される前記第2のガスの前記少なくとも1つの熱パラメータと比較する工程とを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記第1のガスの質量流量及び/又は前記第2のガスの質量流量を測定する工程をさらに含む、請求項
24~
42のいずれかに記載の方法。
【請求項44】
前記第1のガスの流れ又は前記第2のガスの流れを流量制限器(7;8)に通す工程;
前記流量制限器(7;8)の上流側の、前記第1のガスと前記第2のガスの間の差圧を求める工程;及び
前記差圧に基づいて、前記第1のガス又は前記第2のガスの質量流量を示す質量流量パラメータを求める工程を含む、請求項
43に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1のガスと第2のガスとを含むガス混合物の混合比を調節するための装置、及び、対応する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス作動エネルギー変換器、例えば、ガスバーナーや、ガスエンジン又はガスモーターなどの内燃機関を適切に作動させるために重要な量が、エネルギー変換器に供給される空気-燃料混合物の混合比である。混合比はさまざまな方法で定義することができる。本明細書では、混合比を、空気-燃料混合物中の燃料のv/v濃度で表す。しかしながら、他の定義を用いることもできる。燃料濃度が高すぎると、煤煙が発生するおそれがある。一方、燃料濃度が低すぎると、エネルギー変換器の性能が低下するおそれがある。従って、混合比は慎重に調節されなければならない。
【0003】
特許文献1は、ガスバーナー用の調整システムを開示する。燃料ガス流と燃焼空気流がバーナーに供給される。燃料ガス流は、燃焼空気流の圧力に応じて調整される。この目的のために、差圧センサが燃料ガス流と燃焼空気流の間に配置される。差圧センサは、燃料ガス用のガスバルブを調整するために使用される電気信号を発生する。
【0004】
特許文献2は、ガス作動エネルギー変換プラントにおいて酸素キャリアガス(oxygen carrier gas)と燃料ガスとの間の混合比を調節するための方法を開示する。混合比を調節するために、酸素キャリアガス及び/又は燃料ガスの質量流量又は体積流量が検出される。質量流量又は体積流量や、熱伝導率又は熱容量など、燃料ガスの少なくとも2つの物理的パラメータが、センサを使用して測定される。これらの物理的パラメータから、混合比の目標値が決定される。この目標値は、混合比の調節のために用いられる。
【0005】
特許文献3は、燃焼システムの燃焼室内において空気と燃料ガスの混合物を制御するための燃焼コントローラを開示する。燃焼コントローラは、さまざまなセンサからのセンサ入力に基づいて、燃料導管内の燃料バルブを開閉し、空気導管内のエアダンパーを開閉することによって混合物を制御する。これらのセンサには、燃料と空気の流れ特性を測定するための、燃料導管と空気導管に置かれた流量センサが含まれる。これらセンサには、さらに、燃料の熱パラメータを測定するための、燃料導管に置かれた追加のセンサが含まれ、このセンサは、直接流に曝されないように、燃料導管の行き止まりになっている空洞に入れ置かれている。これらセンサは、さらに、圧力センサ及び温度センサを含むことができる。
【0006】
これら従来技術のシステムにおいて、混合比の調節は、空気と燃料ガスが混合される地点から上流側での空気流と燃料ガス流の流量測定に基づいている。しかしながら、これはさまざまな理由で問題になる可能性がある。第1に、空気流量は通常、燃料ガス流量よりもはるかに大きく、混合気中の典型的な燃料濃度はわずか10%v/vの範囲にある。これにより、空気流と燃料流の流量センサに異なる要求が課せられる。第2に、最新のガスバーナーは加熱ダイナミックレンジ(dynamic heating range)を大きくすることができ、最大燃料需要と最小燃料需要の比率が10:1、さらには20:1を容易に超えることができる。このため、空気流と燃料流に対する流量センサのそれぞれは、広い流量範囲をカバーする必要がある。同時に、すべての作動条件に対し、最高の精度と長期安定性が求められる。現在入手可能な流量センサは、たいていの場合、これらの高い要求を満たすことができない。
【0007】
同様の問題は、燃料ガスと空気以外のガスの混合、特に機能性ガスと酸素キャリアガスの混合、例えば、ガス麻酔薬と空気の混合にも存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】US 6,561,791 B1
【文献】EP 2 843 214 A1
【文献】US 5,486,107 B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、第1のガスと第2のガスとの間の混合比を、これらの流量の間に大きな違いが存在していても、これらガスの絶対流量の広いダイナミックレンジにわたって、信頼でき且つ正確に制御することのできる調節装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、請求項1の特徴を有する調節装置によって達成される。本発明のさらなる実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0011】
第1のガスと第2のガスとを含むガス混合物の混合比を調節するための調節装置であって、以下を備える装置を提案する:
第1のガスの流れを運ぶための第1の導管;
第2のガスの流れを運ぶための導管であって、ガス混合物を生成するために、第1の導管とともに、混合領域で共通導管に開口する第2の導管;
ガス混合物の混合比を調整するための調整装置;及び
調整装置に対する制御信号を導出するように構成される制御装置。
【0012】
本発明の調節装置は、混合領域の下流側のガス混合物の少なくとも1つの熱パラメータを測定するように構成される第1のセンサを備える。上記制御装置は、この第1のセンサから、ガス混合物の上記少なくとも1つの熱パラメータを示すセンサ信号を受信し、上記少なくとも1つの熱パラメータに基づいて調整装置に対する制御信号を導出するように構成される。上記熱パラメータは、特に、ガス混合物の熱伝導率λ、熱拡散率D、比熱容量cp又は体積比熱容量(volumetric specific heat capacity)cpρ、あるいはこれらの任意の組み合わせを示すパラメータとすることができる。
【0013】
本発明によれば、混合領域の下流側のガス混合物の少なくとも1つの熱パラメータの測定を行い、混合比を制御するためにこのパラメータを使用することが提案される。熱パラメータの値は概してガス混合物中の第1のガスと第2のガスとの間の混合比に依存する。重要な利点は、測定された熱パラメータが概して混合物の流量には依存しないことである。従って、センサは、流量に関係なく常にほぼ同じ動作点で作動され、提案された調節装置は、精度を損なうことなく、広い加熱ダイナミックレンジに適応できる。
【0014】
多くの用途では、第2のガスの流量は第1のガスの流量よりもはるかに小さくなる。ガス混合物の少なくとも1つの熱パラメータの提案された測定は、ガス混合物中の第2のガスの濃度の決定に本質的に対応する。装置はそれに応じて構成することができる。特に、第2の導管は、第1の導管の断面積よりもはるかに小さい断面積を有してよい。いくつかの実施形態では、第1の導管の最小断面積(すなわち、導管の最も狭い位置での断面積)は、第2の導管の最小断面積の少なくとも5倍である。本発明の調節装置は、混合領域内の第1のガスの流れに第2のガスの流れを噴射するための1つ又は複数のノズルを備えることができる。このことは、主流が第1のガスの流れであるため有益である。噴射の方向は、混合領域のすぐ上流の第1のガスの流れ方向に対して軸方向、放射状、又は他の任意の角度であってよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、第1のガスは酸素キャリアガスであり得、第2のガスは酸素キャリアガスと混合される何らかの機能性ガスであり得る。例えば、第1のガスは、空気、又は空気と排気ガスの混合物であり得、第2のガスは、燃料ガス、特に天然ガスであり得る。別の例として、第1のガスは、自然の空気、酸素富化空気、酸素と1つ又は複数の不活性ガスとの任意の他の混合物、又は、純粋な酸素ガスであり得、第2のガスは、医療用ガス、特に、イソフルランのような麻酔ガスであり得る。調節装置は、このようなガスと共に使用されるように特定的に構成されてよい。例えば、ガスバーナー用途の調節装置には、病院で麻酔剤を調合するための医療装置とは異なるコネクタと異なる材料を用いることになる。
【0016】
いくつかの実施形態では、調整装置は、第2の導管内の第2のガスの流量を調整するための制御弁を含む。他の実施形態では、調整装置は、第2の導管内の第2のガスの流量を制御するために、制御可能なファン又はポンプを備えてよい。加えて又はこれに代えて、調整装置は、第1の導管内の第1のガスの流れを制御するために、弁、フラップ、あるいは、制御可能なファン又はポンプを備えてよい。
【0017】
有利な実施形態では、第1のセンサは、ガス混合物の1より多い熱パラメータを測定するように構成される。特に、第1のセンサは、ガス混合物の少なくとも2つの熱パラメータを測定するように構成することができ、これら熱パラメータは一緒になって、ガス混合物の熱伝導率及び熱拡散率を示す。
【0018】
次に、制御装置は、前記少なくとも2つの熱パラメータを考慮するように構成することができる。これはさまざまな方法でなされ得る。例えば、制御装置は、第1のセンサによって測定される前記少なくとも2つの熱パラメータから導出される結合パラメータを求め、この結合パラメータに基づいて制御信号を導出するように構成することができる。他の実施形態では、制御装置を、第1のセンサによって測定される熱パラメータの第1のパラメータ、例えば熱伝導率に基づいて制御信号を導出し、第1のセンサによって測定される熱パラメータの第2のパラメータ、例えば熱拡散率に基づいて整合性チェック(consistency check)を実行するように構成することができる。整合性チェックが、第2の熱パラメータが第1の熱パラメータと矛盾していることを示した場合に、制御装置はエラー信号を発するように構成できる。このエラー信号により、調整装置が燃料ガスの流れを遮断するようにできる。このようにして、安全性を高めることができる。
【0019】
上記第1のセンサは、混合比を調節するためだけでなく、第1のガスの密度又は圧力を求めるためにも用いることができる。特に、制御装置は、次の手順を実行するように構成できる:
調整装置を、第1のガスの流れがゼロでない流量を有すると同時に、第2のガスの流れが遮断される基準状態に設定するステップ;
第1のセンサからセンサ信号を受信し、該センサ信号は基準状態における第1のガスの少なくとも2つの熱パラメータを示すステップ;及び
基準状態における第1のガスの少なくとも2つの熱パラメータに基づいて、基準状態における第1のガスの密度又は圧力を示す圧力パラメータを求めるステップ。
【0020】
特に、第1のガスの密度は、その比熱容量が他の情報源から分かっている場合、その熱伝導率と熱拡散率から容易に計算できる。第1のガスの絶対圧力をその密度から計算するには、その温度を知る必要のある場合がある。この目的のために、第1のセンサは、それが曝されるガスの温度を測定するように構成することができ、制御装置は、圧力パラメータの決定を、第1のガスの少なくとも2つの熱パラメータだけでなく、第1のセンサによって測定されるその温度にも基づくように構成することができる。
【0021】
同じ手順は、第2のガスの既知の比熱容量を使用し、場合によってはその温度を測定することにより、第2のガスに対しても実行することができる。
【0022】
有利な実施形態では、制御信号は、第1のセンサによって測定されるガス混合物の熱パラメータを、同じく第1のセンサによって測定される第1のガスの熱パラメータと比較する差分測定(differential measurement)に基づく。このようにして、第1のセンサの較正誤差(calibration errors)を大幅に相殺することができる。このために、制御装置は次の手順を実行するように構成できる:
調整装置を、第1のガスの流れがゼロでない流量を有すると同時に、第2のガスの流れが遮断される基準状態に設定するステップ;
第1のセンサからセンサ信号を受信し、該センサ信号は基準状態における第1のガスの少なくとも1つの熱パラメータを示すステップ;
調整装置を、第2のガスの流れ及び第1のガスの流れの両方がゼロでない流量を有する作動状態に設定するステップ;
第1のセンサからセンサ信号を受信し、該センサ信号は、今回は、作動状態におけるガス混合物の少なくとも1つの熱パラメータを示すステップ;及び、
作動状態におけるガス混合物の少なくとも1つの熱パラメータと、基準状態における第1のガスの少なくとも1つの熱パラメータとの比較に基づいて制御信号を導出するステップ。
上記比較は、例えば、ガス混合物の熱パラメータと第1のガスの熱パラメータの差又は商を算出することによって行うことができる。
【0023】
調節装置は、ガス混合物を使用場所に運ぶためのファンを備えることができる。「ファン」という用語は、ガス流を駆動することのできるあらゆる種類のブロワー又はポンプを包含するものとして広く理解されるべきである。いくつかの実施形態では、ファンは、混合領域の下流側、例えば、共通導管の下流端に配置することができる。他の実施形態では、ファンは、混合領域の上流側、例えば、第1の導管の上流端に配置することができる。ファンが混合領域の下流側に配置される場合、有利には、第1のセンサをファンに一体化することができる。
【0024】
第1のセンサは、ファンの閉塞や誤動作を検出するために使用できる。このために、制御装置は次の手順を実行するように構成できる:
第2のガスの流れが遮断されている間に、ファンを複数の異なる出力レベルで作動させるステップ;
各出力レベルに対して、第1のセンサから受信したセンサ信号に基づいて圧力パラメータを求め、該圧力パラメータは、前記出力レベルでの第1のガスの密度又は圧力を示すステップ;及び
さまざまな出力レベルでの圧力パラメータに基づいて、閉塞又はファンの誤動作が発生しているかどうかを示す閉塞信号(blockage signal)を導出するステップ。
【0025】
制御装置は、閉塞信号が閉塞又はファンの誤動作が発生していることを示す場合には、エラーメッセージを出力する、及び/又は、ファンを停止する、及び/又は、調整装置を、第1及び/又は第2のガスの流れが停止される状態に設定するように構成してもよい。
【0026】
ガス混合物の均一性を改善するために、本発明の調節装置は、共通導管の、混合領域の下流側且つ第1のセンサの上流側にスワール部材を配備してよく、該スワール部材は、ガス混合物内に乱流を生成するように構成されている。
【0027】
第1のセンサに加えて、第1のガス及び/又は第2のガスの、1つ又は複数の熱パラメータを測定するための、1つ又は複数のさらなるセンサを使用することによって、調節を単純化及び改善することができる。
【0028】
特に、本発明の調節装置は、第2のセンサを備えることができ、第2のセンサは、第1のガスの少なくとも1つの熱パラメータを測定するように構成される。第2のセンサは、混合領域の上流側の第1の導管に配置することができる。他の実施形態では、これは、混合領域を迂回するバイパス管路に配置することができる。制御装置は、第2のセンサから、第1のガスの少なくとも1つの熱パラメータを示すセンサ信号を受信し、第1及び第2のセンサの両方から受信したセンサ信号に基づいて制御信号を導出するように構成することができる。言い換えれば、制御装置は、第1のセンサによって測定されるガス混合物と第2のセンサによって測定される第1のガスの両方の、1つ又は複数の熱パラメータを考慮するように構成することができる。特に、制御装置は、第1のセンサによって測定されるガス混合物の少なくとも1つの熱パラメータと、第2のセンサによって測定される第1のガスの少なくとも1つの熱パラメータの比較に基づく制御信号を導出することによって、例えば、これらの熱パラメータの差又は商を算出することによって、ガス混合物及び第1のガスの差分測定を実行するように構成することができる。
【0029】
有利な実施形態では、第2のセンサは、第1のガスの密度及び/又は圧力を求めるために用いられる。この目的のために、第2のセンサは、少なくとも2つの熱パラメータを測定するように構成することができ、第2のセンサによって測定される少なくとも2つの熱パラメータは一緒になって、第1のガスの熱伝導率及び熱拡散率を示す。制御装置は、第2のセンサによって測定される少なくとも2つの熱パラメータに基づいて、第1のガスの密度又は圧力を示す酸素キャリア圧力パラメータを導出するように構成することができる。このようにして、調節装置の動作を監視するのに役立つ追加の診断パラメータが得られる。
【0030】
有利な実施形態では、第2のセンサは、ガス混合物と第1のガスの差分測定を実行するためだけでなく、加えて整合性チェックも実行するために用いられる。この目的のために、第1のセンサは、少なくとも2つの熱パラメータを測定するように構成することができ、第1のセンサによって測定される少なくとも2つの熱パラメータは一緒になって、混合物の熱伝導率及び熱拡散率を示す。第2のセンサは、少なくとも2つの熱パラメータを測定するように構成することができ、第2のセンサによって測定される少なくとも2つの熱パラメータは一緒になって、第1のガスの熱伝導率及び熱拡散率を示す。制御装置は、第1及び第2のセンサによって測定される熱パラメータの1つ、例えば熱伝導率、の比較に基づいて制御信号を導出し、第1及び第2のセンサによって測定される少なくとも2つの熱パラメータの他の1つ、例えば、熱拡散率、の比較に基づいて整合性チェックを実行するように構成することができる。
【0031】
第1及び第2のセンサの両方は、ガスの熱パラメータに加えて、センサが曝されるそれぞれのガスの温度を測定するように構成することができる。特に、第1のセンサは、ガス混合物の温度を測定するように構成することができ、第2のセンサは、第1のガスの温度を測定するように構成することができる。このとき、制御装置は、ガス混合物と第1のガスの温度の比較に基づいて整合性チェックを実行するように構成することができる。これらの温度は少なくとも類似している必要がある。第1及び第2のセンサが、熱伝導性の共通の担体、例えば、共通のプリント回路基板上に取り付けられる場合、第1及び第2のセンサによって測定される温度間の差はさらに小さくなると予測される。
【0032】
いくつかの実施形態では、本発明の調節装置は、第2のガスの1つ又は複数の熱パラメータを考慮することができる。この目的のために、調節装置は、第3のセンサを備えることができ、第3のセンサは、第2のガスの少なくとも1つの熱パラメータを測定するように構成される。第3のセンサは、混合領域の上流側の第2の導管に配置することができる。制御装置は、第3のセンサから、第2のガスの上記少なくとも1つの熱パラメータを示すセンサ信号を受信し、第1及び第3のセンサの両方から受信したセンサ信号に基づいて制御信号を導出するように構成することができる。
【0033】
調節装置が3つすべてのセンサ、すなわち、ガス混合物の1つ又は複数の熱パラメータを測定するための第1のセンサ、第1のガスの1つ又は複数の熱パラメータを測定するための第2のセンサ、及び、第2のガスの1つ又は複数の熱パラメータを測定するための第3のセンサを備えることも可能である。制御装置は、例えば、ガス混合物と第1のガスとの間、並びに第1のガスと第2のガスとの間で差分測定を実行するように構成することができる。この目的のために、制御装置は、第1のセンサによって測定されるガス混合物の熱パラメータを、第2のセンサによって測定される第1のガスの熱パラメータと比較し、第1のガスの前記熱パラメータを第3のセンサによって測定される第2のガスの熱パラメータと比較するように構成することができる。上記比較は、それぞれの熱パラメータの差又は商の算出を含んでよい。
【0034】
上記調節装置は、1つ又は複数の質量流量計によって補足することができる。特に、調節装置は、第1の導管内に第1の質量流量計を、及び/又は、第2の導管内に第2の質量流量計を備えることができ、上記制御装置は、第1及び/又は第2の質量流量計からの質量流量信号に基づいて、第1及び/又は第2の導管内の質量流量を示す1つ又は複数の質量流量パラメータを求めるように構成することができる。制御装置は、制御信号を導出するときにこうした質量流量パラメータを考慮するように構成することができる。他の実施形態では、第1のガスが酸素キャリアガスであり、第2のガスが燃料ガスである場合、制御装置は、1つ又は複数の質量流量パラメータに基づいて、ガス混合物流の火力を示す火力パラメータを求めるように構成することができる。
【0035】
第1又は第2の導管を通る質量流量は、第1及び第2の導管の間での差圧測定を行うことによって求めることもできる。この目的のために、調節装置は、第1又は第2の導管内の流量制限器と、流量制限器の上流側の、第1及び第2の導管の間の差圧を測定するように構成された差圧センサとを備えることができる。制御装置は、差圧センサからの差圧信号に基づいて、第1又は第2の導管内の質量流量を示す質量流量パラメータを求めるように構成することができる。
【0036】
本発明はさらに、第2のガスと第1のガスとを含むガス混合物の混合比を調節する、対応する方法を提供する。この方法は以下を含む:
第1のガスの流れを生成する工程;
第2のガスの流れを生成する工程;
混合領域で第1のガスと第2のガスの流れを混合することによってガス混合物を生成する工程;
第1のセンサを使用して、混合領域の下流側のガス混合物の少なくとも1つの熱パラメータを測定する工程;及び
上記少なくとも1つの熱パラメータに基づいて、混合比を調整する工程。
【0037】
混合比の調整する工程は、例えば、第2のガスの流量を調整するための制御弁を操作する工程を含むことができる。
【0038】
上でより詳細に説明したように、第1のセンサを使用してガス混合物の少なくとも2つの熱パラメータを測定することが可能であり、これら少なくとも2つの熱パラメータは一緒になって、ガス混合物の熱伝導率及び熱拡散率を示し、混合比を調整するときに、ガス混合物のこれら少なくとも2つの熱パラメータを考慮することができる。特に、混合比は、第1のセンサによって測定された熱パラメータの1つに基づいて調整することができ、第1のセンサによって測定された熱パラメータの他の1つに基づいて整合性チェックを実行することができる。
【0039】
上でより詳細に説明したように、本方法の有利な実施形態は以下を含む:
第1のガスの流れがゼロでない流量を有すると同時に第2のガスの流れが遮断される基準状態を作り出す工程;
第1のセンサからセンサ信号を受信し、該センサ信号は基準状態における第1のガスの少なくとも2つの熱パラメータを示す工程;及び
基準状態における第1のガスの上記少なくとも2つの熱パラメータに基づいて、基準状態における第1のガスの密度又は圧力を示す圧力パラメータを求める工程。
【0040】
上でより詳細に説明したように、本方法の有利な実施形態は以下を含む:
第1のガスの流れがゼロでない流量を有すると同時に第2のガスの流れが遮断される基準状態を作り出す工程;
第1のセンサからセンサ信号を受信し、該センサ信号は基準状態における第1のガスの少なくとも1つの熱パラメータを示す工程;
第2のガスの流れと第1のガスの流れの両方がゼロでない流量を有する作動状態を作り出す工程;
第1のセンサからセンサ信号を受信し、該センサ信号は作動状態におけるガス混合物の少なくとも1つの熱パラメータを示す工程;及び
作動状態におけるガス混合物の少なくとも1つの熱パラメータと、基準状態における第1のガスの少なくとも1つの熱パラメータとの比較に基づいて混合比を調整する工程。
【0041】
上でより詳細に説明したように、本方法は、ファンを使用してガス混合物を使用場所に運ぶ工程を含むことができる。その場合、この方法は以下を含むことができる:
第2のガスの流れが遮断されている間に、複数の異なる出力レベルでファンを作動させる工程;
各出力レベルに対して、第1のセンサによって測定されたセンサ信号から圧力パラメータを導出し、該圧力パラメータは前記出力レベルでの第1のガスの密度又は圧力を示す工程;及び
さまざまな出力レベルでの圧力パラメータに基づいて、閉塞又はファンの誤動作が発生しているかどうかを示す閉塞信号を導出する工程。
【0042】
上でより詳細に説明したように、本方法は、さらに、第1のガスの1つ又は複数の熱パラメータを測定するための第2のセンサを使用することができる。特に、本方法は以下を含むことができる:
第2のセンサを使用して、混合領域の上流側の第1のガスの少なくとも1つの熱パラメータを測定する工程;及び
第1のセンサによって測定されたガス混合物の少なくとも1つの熱パラメータと、第2のセンサによって測定された第1のガスの少なくとも1つの熱パラメータとに基づいて混合比を調整する工程。
【0043】
上でより詳細に説明したように、第2のセンサを使用して、第1のガスの密度又は圧力を求めることができる。特に、本方法は、第2のセンサによって少なくとも2つの熱パラメータを測定し、該第2のセンサによって測定された少なくとも2つの熱パラメータは一緒になって、第1のガスの熱伝導率及び熱拡散率を示す工程、及び、第2のセンサによって測定された少なくとも2つの熱パラメータに基づいて、酸素キャリア圧力パラメータを導出し、該酸素キャリア圧力パラメータは、第1のガスの密度又は圧力を示す工程を含むことができる。
【0044】
上でより詳細に説明したように、第2のセンサを使用して、整合性チェックを実行することができる。特に、本方法は以下を含むことができる:
第1のセンサを使用してガス混合物の少なくとも2つの熱パラメータを測定し、該第1のセンサによって測定された少なくとも2つの熱パラメータは一緒になって、ガス混合物の熱伝導率及び熱拡散率を示す工程;及び
第2のセンサを使用して第1のガスの、第1の熱パラメータ及び第2の熱パラメータを測定し、該第2のセンサによって測定された少なくとも2つの熱パラメータは一緒になって、第1のガスの熱伝導率及び熱拡散率を示す工程;
第1及び第2のセンサによって測定された熱パラメータの1つの比較に基づいて混合比を調整する工程;及び
第1及び第2のセンサによって測定された熱パラメータの他の1つの比較に基づいて整合性チェックを実行する工程。
【0045】
上でより詳細に説明したように、本方法は以下を含むことができる:
第1のセンサを使用してガス混合物の温度を測定する工程;
第2のセンサを使用して第1のガスの温度を測定する工程;及び
混合ガスと第1のガスの温度の比較に基づいて整合性チェックを実行する工程。
【0046】
上でより詳細に説明したように、この方法はさらに以下を含むことができる:
第3のセンサを使用して第2のガスの少なくとも1つの熱パラメータを測定する工程;及び
第1のセンサによって測定されたガス混合物の少なくとも1つの熱パラメータと、第3のセンサによって測定された第2のガスの少なくとも1つの熱パラメータとに基づいて混合比を調整する工程。
【0047】
上でより詳細に説明したように、本方法は、第1のガスの質量流量及び/又は第2のガスの質量流量を測定する工程をさらに含むことができる。これらの質量流量の1つを測定する工程は、以下を含むことができる:
第1のガスの流れ又は第2のガスの流れを流量制限器に通す工程;
流量制限器の上流側の、第1のガスと第2のガスの間の差圧を求める工程;及び
前記差圧に基づいて、第1のガス又は第2のガスの質量流量を示す質量流量パラメータを求める工程。
【0048】
上でより詳細に説明したように、いくつかの実施形態では、第2のガスは燃料ガスであり得る。他の実施形態では、第2のガスは、医療用ガス、例えば、ガス状麻酔薬であり得る。いくつかの用途では、ガス混合物は、その後、医療処置、例えば、人体又は動物の体の麻酔を開始又は維持するために用いてもよい。他の実施形態では、第2のガスは医療用ガスではなく、ガス混合物はその後、医療処置で使用されない。人体又は動物の体に施される外科手術又は治療方法による、人体又は動物の体を処置する方法が、管轄区域における特許対象から除外されている範囲で、そのような除外される方法は、そのような管轄区域での本発明の範囲から放棄されると理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0049】
本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して以下に説明するが、これらは本発明の現況の好ましい実施形態を説明するためのものであり、本発明を限定するためのものではない。
【0050】
【
図1】
図1は、第1の実施形態による調節装置を備えるガスバーナーの大幅に概略化した図である。
【
図2】
図2は、第2の実施形態による調節装置の大幅に概略化した図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態による混合比を調節する方法のフローチャートを示す。
【
図4】
図4は、閉塞又はファンの誤動作が発生しているかどうかをチェックする方法のフローチャートを示す。
【
図5】
図5は、第3の実施形態による調節装置の大幅に概略化した図である。
【
図6】
図6は、第2の実施形態による混合比を調節する方法のフローチャートを示す。
【
図7】
図7は、第4の実施形態による調節装置の大幅に概略化した図である。
【
図8】
図8は、第5の実施形態による調節装置の大幅に概略化した図である。
【
図9】
図9は、第6の実施形態による調節装置の大幅に概略化した図である。
【
図10】
図10は、第7の実施形態による調節装置の大幅に概略化した図である。
【
図11】
図11は、本発明に関連して使用され得るマイクロサーマルセンサ(microthermal sensor)の大幅に概略化した図である。
【
図12】
図12は、本発明に関連して使用され得る制御装置のブロック図の大幅に概略化した図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
(センサを1つ用いての混合比の調節)
図1は、ガスバーナーを大幅に概略化して示した図である。ガス混合物は、1つ又は複数のバーナーノズル21を通って燃焼室22に入る。煙道ガスは、排気管23を通って燃焼室を出る。
【0052】
ガス混合物の供給は、調節装置Rによって調節される。調節装置Rは空気導管1と燃料ガス導管2とを備え、空気導管1を通って空気が調節装置に入り、燃料ガス導管2を通って燃料ガス、例えば天然ガスが調節装置に入る。燃料ガス導管2内の燃料ガスの流れは、燃料制御弁V1の形態の調整装置によって調節される。混合領域Mにおいて、燃料ガス導管2は空気導管1へと開口しており、燃料ガスと空気からなる燃焼ガス混合物を生成する。空気導管1の、燃料ガス流の空気流への噴射点から下流側にある部分は、ガス混合物のための共通導管3と見なすことができる。ガス混合物を共通導管3からバーナーノズル21へと運ぶために、共通導管3の下流端にファン4が配置されている。
【0053】
ガス混合物の1つ又は複数の熱パラメータを決定するための第1のセンサS1は、センサS1がガス混合物に曝されるように、共通導管3の、混合領域Mの下流側且つファン4の上流側に配置される。有利には、センサS1は、共通導管3内のガス混合物の指向された流れ(directed flow)がセンサS1を直接通過しないように配置及び/又は構成される。例えば、センサS1は、共通導管3の側壁で、行き止まりになっている凹部に収容されてもよい。加えて又はこれに代えて、センサS1を、共通導管3とセンサS1との間でガスの拡散による交換のみを可能にする透過膜によって保護してもよく、これによりセンサS1に向けられたガス混合物の流れを防ぐ。
【0054】
制御装置10は、第1のセンサS1からセンサ信号を受信する。このセンサ信号に基づいて、制御装置10は、燃料制御弁V1の開口度を調整するための制御信号を導出する。制御装置10は、さらに、ファン4を作動させる電力を調整する。
【0055】
図2は、調節装置の別の実施形態を示す。この実施形態では、第1のセンサS1は、ファン4に一体化されている、すなわち、ファン4のハウジング内に収容されている。他の実施形態では、センサS1をファン4の下流側に配置することもできる。
【0056】
図3は、
図1又は
図2に示されるような調節装置を使用して、第1の実施形態によるガス混合物の混合比を調節する方法を示す。
【0057】
ステップ101において、燃料制御弁V1が閉じられ、ファン4を既定のファンの出力又はファン回転速度で作動させて、空気導管1及び共通導管3を通る空気の流れを引き起こす。
【0058】
ステップ102において、第1のセンサS1が作動され、共通導管3を通過している空気の熱伝導率λair及び熱拡散率Dairが測定される。
【0059】
ステップ103において、燃料制御弁V1が開かれ、空気流に燃料ガス流が入れられる。
【0060】
ステップ104において、第1のセンサS1が作動され、得られたガス混合物の熱伝導率λmix及び熱拡散率Dmixが測定される。
【0061】
ステップ105において、ガス混合物の混合比xが求められる。これは次のように求めることができる。本議論の目的のために、混合比xは、ガス混合物中の燃料ガスのv/v濃度として定義することができる。この定義を用いると、熱伝導率λmixは、適切な近似で(to a good approximation)、混合比xに線形従属する:
λmix=x・λfuel+(1-x)・λair 式(1)
【0062】
式(1)をxについて解くと次のようになる:
x=(λmix-λair)/(λfuel-λair) 式(2)
【0063】
λairとλmixの値は、ステップ102と104の測定から分かる。λfuelの値は直接には測定されないが、代表的な燃料ガス(例えば、「平均的な」天然ガス)に対する既定値を使用することができる。
【0064】
熱拡散率は式(2)に入らない、つまり、熱拡散率は冗長な情報を提供することに注意しなければならない。熱拡散率Dmixも、適切な近似で、混合比xに線形従属する:
Dmix=x・Dfuel+(1-x)・Dair 式(3)
【0065】
この関係を使用して、ステップ106にて、式(2)によって求められた混合比xの値を用いて、熱拡散率Dmixの測定値が、式(3)によって計算された期待値に一致するかどうかをチェックすることによって、整合性チェックが行われる。整合性チェックには、代表的な燃料ガスのDfuelの既定値を使用することができる。Dmixの測定値と計算値の差ΔDが閾値ΔDmaxを超えると、制御装置10からエラーメッセージが出力され、安全対策として燃料制御弁V1が閉じられる。
【0066】
ステップ107において、制御アルゴリズムが実行され、このとき、センサS1のセンサ信号から求めた実際の混合比(制御アルゴリズムのプロセス変数)が、所望する混合比(制御アルゴリズムの設定ポイント)と比較され、それに応じて、ガス制御弁V1の新しい設定が決定される。任意の公知の制御アルゴリズム、例えば、よく知られている比例-積分-微分(PID)制御アルゴリズムを用いることができる。
【0067】
その後、プロセスはステップ103にループバックし、そこで燃料制御弁V1が新しい設定に従って操作される。
【0068】
(センサS1を用いた空気圧の決定)
ステップ102で測定された共通導管3内の空気の熱伝導率λair及び熱拡散率Dairの値を使用して、空気の密度ρair及び/又は圧力pairを以下のように求めることができる。ガスの熱拡散率Dは、次の式によって、その熱伝導率λ、その密度ρ及びその比熱容量cpに関連付けられる:
D=λ/(cpρ) 式(4)
熱伝導率と熱拡散率の両方が分かっている場合、体積比熱容量(volumetric specific heat capacity)cpρは式(4)を用いて容易に計算できる。ガスの比熱容量cpが別の情報源から分かっている場合、密度ρについて上記の方程式を解くことができる。ガスの温度Tもわかっている場合は、関係式p=ρRspecTによってガス圧力pを容易に求めることができ、ここで、Rspecはガスの比気体定数(specific gas constant)である。
【0069】
乾燥空気の定圧比熱容量(isobaric specific heat capacity)cpはよく知られており、標準状態付近では温度と圧力にほとんど依存しない。乾燥空気の比気体定数Rspecもよく知られている。従って、ステップ102で空気の熱伝導率λairと熱拡散率Dairを測定することにより、空気の密度ρairを求めることが可能である。温度Tairも分かる場合は、さらに空気圧pairを求めることができる。温度Tairを求めるために、第1のセンサS1を絶対温度モードで操作するか、又は、別の温度センサ(図示せず)を空気導管1及び/又は共通導管3に設けてもよい。当該技術分野でよく知られているように、湿った空気に対しては適切な補正を適用することができる。そのような補正を適用できるようにするために、空気の相対湿度を測定するための湿度センサを、空気導管1及び/又は共通導管3に設けてもよい。
【0070】
(センサS1を用いてのファンの誤動作又は閉塞の検出)
このように求めた空気密度ρair又は空気圧pairは、さらなる診断パラメータとして用いることができる。例えば、空気密度ρair又は空気圧pairは、ファン4の誤動作、あるいは、空気導管1又は共通導管3の閉塞を検出するために用いることができる。
【0071】
このような誤動作や閉塞を検出するための考え得る方法を
図4に示す。ステップ201において、燃料制御弁V1が閉じられる。ステップ202において、ファン4に供給される電力は、何らかのゼロでない値に設定される。その結果、空気が共通導管3を通過する。ステップ203において、このファンの出力での空気の熱伝導率λ
air、熱拡散率D
air及び気体温度T
airは、第1のセンサS1を用いて測定される。ステップ204において、空気圧p
air又は空気密度は、上記のように、これらのパラメータから求められる。この手順は、所定の数の異なるファンの出力に対して体系的に繰り返される。その後、空気圧p
air又は空気密度のファンの出力への依存度を、予想される依存度と比較して、閉塞パラメータBを得る。特に、
図1及び
図2の構成では、ファン4によって吸引効果が発生するため、ファンの出力の増加に伴い、空気圧p
airがわずかに低下すると予想される。空気圧が予想よりも大幅に低下する場合、これはセンサS1の上流側にある空気導管1又は共通導管3での閉塞を示す。空気圧が全く下がらない場合、これはファン4の下流側での閉塞、又は、ファン4の誤作動を示す。閉塞パラメータは、測定データから導出される。例えば、閉塞パラメータBは、測定された空気圧p
air対関連するファンの出力に対応するデータ対の線形回帰分析によって得られた回帰直線の傾き(the slope of a best-fit line)に相当するとしてもよい。
【0072】
(スワール部材)
図5の実施形態では、任意選択のスワール部材5が、混合領域Mの下流側の共通導管1及び/又は混合領域Mに設けられている。スワール部材は、空気-燃料混合物の均一性を改善するために、乱流を生み出すように作用する。
【0073】
(空気導管及び/又は燃料導管でのさらなるセンサの使用;スワール部材)
空気導管1及び/又は燃料導管2に、さらなるセンサを設けることができる。これも
図5に示す。この実施例では、混合領域Mの上流側の空気導管1に第2のセンサS2が設けられている。加えて又はこれに代えて、燃料導管2の、燃料制御弁V1の下流側且つ混合領域Mの上流側に、第3のセンサS3が設けられている。第1のセンサS1と同様に、第2及び/又は第3のセンサS2,S3もまた、有利には、各センサをそれぞれの導管の壁の行き止まりになっている凹部に配置することによって、及び/又は、各センサをガス透過膜で保護することによって、それぞれのガス流に直接曝されることから保護される。
【0074】
図6は、センサS1並びにセンサS2及びS3を用いて混合比を調節することが可能な方法を示す。
【0075】
ステップ301において、燃料制御弁V1を操作して、燃料ガスのゼロでない流れを提供する。
【0076】
ステップ302において、センサS1を作動して、混合領域Mの下流側の共通導管3内のガス混合物の熱伝導率λmix、熱拡散率Dmix及び温度Tmixを測定する。
【0077】
ステップ303において、センサS2を作動して、混合領域Mの上流側の空気導管1内の空気の熱伝導率λair、熱拡散率Dair、温度Tairを測定する。
【0078】
ステップ304において、これらの量から空気圧p
airを求める。センサS2の信号から求めた空気圧p
air又は空気密度は、追加の診断パラメータとして使用できる。特に、空気圧p
air又は空気密度を用いて、ファン4の閉塞又は誤動作を検出することができる。例えば、空気圧又は密度を、調節装置の作動中に恒久的又は定期的に監視することができる。一定のファンの出力でファンを作動させている間の、空気圧又は密度の変化は、閉塞又はファンの誤動作を示すであろう。
図4の実施形態とは対照的に、センサS2の信号から空気圧又は密度を求めることは、調節装置の通常動作中であっても可能であるが、
図4と関連して上記で説明した上記の実施形態では、閉塞及び誤動作を、燃料供給を停止している間しか検出できない。
【0079】
ステップ305において、センサS3を作動して、燃料制御弁V1の下流側且つ混合領域Mの上流側の燃料導管2内の燃料ガスの熱伝導率λfuel、熱拡散率Dfuel及び温度Tfuelを測定する。
【0080】
ステップ306において、混合比xは、式(3)に基づき、センサS1によって測定されたλ
mix、センサS2によって測定されたλ
air、及びセンサS3によって測定されたλ
fuelの値を使用して求められる。センサS2を省略した場合、
図3と関連して説明したように、代わりに、ガス制御バルブを閉じている間にセンサS1によって測定されたλ
airの値を用いることができる。センサS3を省略した場合、典型的な燃料ガスに対して予め決まっているλ
fuelの値を用いることができる。
【0081】
ステップ307において、いくつかの診断チェックが実行される。特に、
図3と関連して既に説明したように、熱拡散率D
mixの測定値が、式(2)によって求めた混合比xの値を用いて、式(3)によって計算された期待値に一致するかどうかを判断することによって、第1の整合性チェックが実行される。
図3の実施形態とは対照的に、センサS2及びS3によって測定された、酸素キャリアガス及び燃料ガスの熱拡散率の実際の値を、この整合性チェックのために使用することができる。D
mixの測定値と計算値の差ΔDの絶対値が閾値ΔD
maxを超えると、制御装置10からエラーメッセージが出力され、安全対策として燃料制御弁V1が閉じられる。センサS1とS2によってそれぞれ測定された温度T
mixとT
airが異なるかどうかをチェックすることによって、第2の整合性チェックが実行される。温度差ΔT=T
mix-T
airの絶対値が閾値ΔT
maxを超えると、制御装置10によって再びエラーメッセージが出力され、安全対策として燃料制御弁V1が閉じられる。この整合性チェックは、センサS1及びS2が、共通のプリント回路基板などの熱伝導性のある共通の担体に取り付けられている場合に特に効き目がある。上述のように、センサS2の信号から求めた空気圧p
airがファンの閉塞又は誤動作を示しているかどうかをチェックすることによって、第3の整合性チェックが実行される。ファンの閉塞又は誤動作を示していれば、やはり、制御装置10からエラーメッセージが出力され、安全対策として燃料制御弁V1が閉じられる。
【0082】
ステップ308において、
図3の実施形態におけるステップ107と関連して上記で説明したように、燃料制御弁V1のための制御信号を導出するために制御アルゴリズムが実行される。
【0083】
λairの値を求めるためにセンサS2を用いる場合、空気の相対湿度など、センサS1とS2の両方の出力に影響を与える任意のパラメータの影響は、差分λmix-λairをとる際に大部分が相殺される。これは、混合比(つまり、ガス混合物中の燃料濃度)が小さい場合特にあてはまる(true)。何故なら、この場合、どんな変化であれλairの変化は、λmixにほぼ同一の変化として現れるからである。このようにして、混合比のより精密な制御が達成されるであろう。
【0084】
λfuelの値を求めるためにセンサS3が使用される場合、調節装置は燃料ガスに適応できるようになる。一方で、混合比の決定には、代表的な燃料ガスに対する既定値ではなく、λfuelの実際の値を考慮する。これにより、混合比の制御の精度が向上する。他方で、λfuel、Dfuel、及びTfuelを測定し、任意選択でセンサS2によって取得した圧力pairを考慮することにより(空気導管1と燃料導管2内の圧力がほぼ等しいと仮定)、燃料ガスを精密に特性づけることが可能になる。特に、測定されたパラメータλfuel、Dfuel、Tfuelと任意選択でpairとに基づいて、最適化された燃焼が期待される最適な混合比を求め、それに応じて、制御アルゴリズムの設定ポイントを設定することが可能になる。加えて又はこれに代えて、これらのパラメータに基づいて、単位体積あたりの燃焼熱Hρ、ウォッベ指数Iw及び/又はメタン価(methane number)NMなどの、燃料ガスの燃焼パラメータを求めることが可能になる。これは、測定されたパラメータをこれらの燃焼パラメータの1つ又は複数に相関させる、経験的に求められた相関関数及び/又はルックアップテーブルを使用することによってなし得る。
【0085】
(流量の測定)
図7及び8に示すように、質量流量計6を使用して、空気導管1内の空気流、燃料導管2内の燃料流、又は共通導管3内のガス混合物流の、質量流量を、付加的に測定することができる。このようにして、ガスバーナーに運ばれるガス混合物の絶対火力(absolute heating power)を求めることが可能となる。質量流量を用いて、火力を調節するためにファン4を制御することができる。
【0086】
図7の実施形態では、混合領域Mの上流側の空気導管1に質量流量計6が配置される。質量流量計6は、空気導管1内の流量制限器7と、この流量制限器7を迂回する狭いバイパス管路8とを備える。流量センサD1は、バイパス管路8を通る流量又は流速を測定し、この流量/流速は、流量制限器7を挟んだ差圧を示す。従って、流量センサDは差圧センサとして働く。前記差圧は、流量制限器7を通る質量流量を示す。
【0087】
図8の実施形態では、同様に設計された質量流量計6が燃料導管2に配置されている。
【0088】
図9に示すように、空気導管1の質量流量は、混合領域Mの上流側の空気導管1に流量制限器7を配置し、流量制限器7の上流側の空気導管1と燃料導管2との間の差圧Δpを、これらの導管の間の狭いバイパス管路8を用いて測定することによって、求めることもできる。この差圧は、流量制限器7の下流側の空気導管1内の圧力p
airが燃料導管2内の圧力p
fuelと同じであると仮定して、流量制限器7を挟んだ圧力に相当する。
【0089】
図10に示すように、同じ意図で(in the same spirit)、混合領域Mの上流側の燃料導管2に流量制限器7を配置し、流量制限器7の上流側の燃料導管2と空気導管1との間の差圧Δpを測定することにより、燃料導管2の質量流量を求めることができる。
【0090】
(センサS1,S2,S3,D1)
熱伝導率及び熱拡散率を示す熱パラメータを測定することができるセンサは、当技術分野でよく知られている。好ましくは、マイクロサーマルセンサが使用される。多くのタイプのマイクロサーマルセンサが知られており、本発明は特定のタイプのマイクロサーマルセンサに限定されない。
【0091】
本発明に関連して使用することができる、実装可能なマイクロサーマルセンサを
図11に示す。マイクロサーマルセンサは、基板31、特にシリコン基板を備える。基板31は、開口部又は凹部32を中に配備する。マイクロサーマルセンサは、この開口部又は凹部32に架かる複数の隔てられたブリッジを備える。詳細については、EP 3 367 087 A2を参照されたい。
【0092】
図11の実施例では、マイクロサーマルセンサは、加熱ブリッジ33、第1の検出ブリッジ35、及び第2の検出ブリッジ36を備え、各ブリッジは、凹部又は開口部2に架かり、基板1に固定されている。各ブリッジは、複数の誘電体層、金属層、及びポリシリコン層によって形成することができる。以下でより詳細に説明するように、金属層又はポリシリコン層は、加熱構造体及び温度センサを形成する。誘電体層は、特に、それぞれのブリッジの誘電性ベース材料として酸化シリコン及び/又は窒化シリコンの層を備えることができる。検出ブリッジ35,36は、加熱ブリッジ33を挟んで、対向する側に(opposite sides)配置される。第1の検出ブリッジ35は、加熱ブリッジ33に対して距離d1で配置され、第2の検出ブリッジ36は、加熱ブリッジ33に対して同じ距離か、又は異なる距離d2で配置される。
【0093】
加熱ブリッジ33は、加熱構造体34と、例えば酸化シリコンからなる誘電性ベース材料に付設された温度センサTS1とを備える。加熱構造体34と温度センサTS1は、誘電性ベース材料によって互いに電気的に絶縁されている。第1の検出ブリッジ35は、温度センサTS2を備える。同様に、第2の検出ブリッジ36は、温度センサTS3を備える。温度センサTS1は、加熱ブリッジ33の温度を測定するように調整され、温度センサTS2は、第1の検出ブリッジ35の温度を測定するように調整され、温度センサTS3は、第2の検出ブリッジ36の温度を測定するように調整される。
【0094】
マイクロサーマルセンサは、マイクロサーマルセンサの動作を制御するための制御回路37a,37bをさらに備える。制御回路37a,37bは、基板31上の集積回路として具体化することができる。それは、加熱構造体34を駆動するための、及び温度センサTS1,TS2及びTS3からの信号を処理するための回路を含む。この目的のために、制御回路37a,37bは、相互接続回路38を介して、加熱構造体34及び温度センサTS1,TS2及びTS3に電気的に接続される。有利には、制御回路37a,37bは、CMOS技術で基板31上に集積される。CMOS回路を基板31に集積させることにより、基板へのボンディング数を減らせ、信号対雑音比を高めることができる。
図11に示されているタイプの構造は、例えば、EP 2 278 308又はUS 2014/0208830に記載されているような技術を使用して構築することができる。
【0095】
(熱伝導率及び熱拡散率の決定)
図11のマイクロサーマルセンサを使用して、センサが曝されるガスの熱伝導率λと体積比熱容量c
pρを、EP 3 367 087 A2に記載される方法で求めることができる。
【0096】
特に、熱伝導率λは、加熱構造体34を作動させ、温度センサTS1によって測定することができる定常状態温度まで加熱して、温度センサTS2及び/又はTS3における定常状態温度を測定することによって求めることができる。センサTS2及びTS3における定常状態温度は、ガスの熱伝導率に依存する。
【0097】
体積比熱容量cpρは、複数の異なる温度でガスの熱伝導率を測定し、熱伝導率の温度依存性の係数を求め、フィッティング関数(fitting function)を使用してこれらの係数から体積比熱容量を導出することによって求めることができる。詳細については、EP 3 367 087 A2を参照されたい。
【0098】
一旦、熱伝導率λと体積比熱容量cpρが分かれば、熱拡散率Dは、式D=λ/(cpρ)(式(4))を用いて容易に求めることができる。
【0099】
さらに、温度センサTS1,TS2及びTS3のそれぞれは、ガスの絶対温度を求めるために、加熱力がない状態で作動させることができる。
【0100】
ガスとそれぞれのブリッジの間の熱転移を排除するために、異なる距離d1及びd2を用いて差分測定を実行できる。一例として、比(TS1-TS2)/THは、熱伝導率λの尺度としてとらえることができ、ここで、TS1は、第1の検出ブリッジ35での測定温度を示し、TS2は、第2の検出ブリッジ36での測定温度を示し、THは、加熱ブリッジ33での加熱温度を示す。
【0101】
マイクロサーマルセンサを使用した、ガスの熱伝導率及び熱拡散率を示す熱パラメータを求める他の方法が当技術分野で知られており、本発明は特定の方法に限定されない。
【0102】
例えば、US 4,944,035 B1は、マイクロサーマルセンサを使用して、対象の流体の熱伝導率λ及び比熱容量cpを求める方法を開示する。マイクロサーマルセンサは、対象の流体によって結合される抵抗ヒーターと温度センサを備える。過渡変化と、実質的に定常状態温度の両方が温度センサで発生するような、レベル及び継続時間を有する電気エネルギーのパルスが、ヒーターに加えられる。対象の流体の熱伝導率は、定常状態のセンサ温度での温度センサ出力と熱伝導率との間の既知の関係に基づいて求められる。比熱容量は、熱伝導率、センサでの過渡温度変化時の温度センサ出力の変化率、及び比熱容量の間の既知の関係に基づいて求められる。
【0103】
US 6,019,505 B1は、マイクロサーマルセンサを使用した、対象の流体の熱伝導率、熱拡散率、及び比熱容量を決定するための方法を開示する。マイクロサーマルセンサは、ヒーターと、間隔を隔てた温度センサとを備え、両方とも対象の流体に結合される。時間可変入力信号がヒーターエレメントに提供され、ヒーターエレメントが周囲の流体を加熱する。選択した入力AC信号と出力AC信号との間の可変位相又はタイムラグが測定され、ここから、熱伝導率、熱拡散率、及び比熱容量が求められる。
【0104】
(制御装置)
デジタル制御装置500の簡略化された非常に概略的なブロック図を
図12に示す。制御装置は、プロセッサ(CPU)μP、揮発性(RAM)メモリ52、及び不揮発性(例えば、フラッシュROM)メモリ53、を備える。プロセッサμPは、データバス51を介してメモリデバイス52,53と通信する。不揮発性メモリ53は、とりわけ、様々なセンサのための較正データのセットを複数記憶する。
図12には、ルックアップテーブルLUT1,LUT2の形で、較正データ54,55の、例示的なセットが2つだけ示されている。ルックアップテーブルは、例えば、マイクロサーマルセンサの温度センサによって測定された温度の値を、熱伝導率や熱拡散率などの熱パラメータに関連付けることができる。不揮発性メモリ53はさらに、プロセッサμPで実行するための機械実行可能(machine-executable)プログラム56を格納する。デバイスインターフェースIFを介して、制御装置は、様々なセンサS1,S2,S3及び/又はD1と通信する。デバイスインターフェースはさらに、ファン4及び燃料制御バルブV1と、並びに、キーボード及び/又はマウス、LCDスクリーンなどの入力/出力デバイスI/Oと通信するためのインターフェースを備える。
【0105】
(変形)
本発明の範囲を逸脱することなく、上記実施形態に対して多くの変形が可能である。
【0106】
特に、空気導管1は、空気以外の別の酸素キャリアガスの流れを運ぶことができる。例えば、排気ガスの再循環を実施する実施形態では、空気導管1は、空気と煙道(排気)ガスとの混合物を運ぶことができる。
【0107】
燃料ガスは、任意の可燃性ガスにすることができる。好ましくは、燃料ガスは天然ガスである。
【0108】
酸素キャリアガスと燃料ガスとの混合は、図示とは異なる方法で実施することができる。例えば、燃料ガスは、任意に配置することのできる複数の噴射ノズルを通して酸素キャリアガス流に噴射してもよく、あるいは、専用のミキサーを使用して混合することもできる。
【0109】
本明細書に開示した調節装置は、ガスバーナーに対してだけでなく、内燃機関(ガスモーター又はガスタービン)等の、燃料ガスと酸素キャリアガスの混合物が必要とされる他の用途にも使用することができる。
【0110】
共通導管3の下流端にファン4を配置する代わりに、別の場所にファン4を配置することが可能である。例えば、ファン4を、空気導管1の上流端に配置してもよい。ガス流を生成することのできる任意のタイプのファン、例えば、当該技術分野でよく知られているラジアルファン又はアキシャルファンを使用してもよい。制御装置10は、燃料制御弁V1を制御するだけでなく、ファンの出力を制御するようにも構成してもよい。空気導管1を通る酸素キャリアガスの流れを付加的に調節するために、空気弁又は空気フラップが空気導管内に存在してもよく、制御装置10を、空気弁又は空気フラップをも制御するように構成してもよい。
【0111】
上記の実施例において、センサS1,S2,S3は熱伝導率と熱拡散率を測定する。しかしながら、センサによって測定される熱パラメータから熱伝導率及び/又は熱拡散率を導き出すことが可能である限り、センサが熱伝導率及び熱拡散率に関連する他の熱パラメータを測定することも可能である。上記の実施例では、混合比は熱伝導率の測定に基づいて制御される。しかしながら、熱伝導率及び/又は熱拡散率に関連する任意の他の熱パラメータに基づいて混合比の制御を行うことが可能である。
【0112】
上記の実施例では、混合比xは、測定された熱パラメータから明示的に求められ、燃料及び/又は空気の流れを調節するための制御アルゴリズムのプロセス変数として使用される。しかしながら、これは必須ではない。例えば、制御アルゴリズムのプロセス変数は、直接的に、センサS1によって測定される熱パラメータの1つ、又はそこから導出される量、例えば熱伝導率の差分λmix-λairであってもよい。このとき、制御アルゴリズムの設定ポイントはこの差分の所望する値となる。この設定ポイントは、λfuel,Dfuel,Tfuel,λair,pair,Tair及びTmixのうちの1つ又は複数から事前に決定できるか、又は計算できる。
【0113】
調節装置は、2つのガスからなる、まったく異なる種類の二成分の混合物を調節するために使用できる。これらのガスは、キャリアガス及び機能性ガスと呼ぶことができる。従って、上記の実施形態の空気導管は、より一般的には、キャリアガス用の第1の導管の一例と見なすことができ、燃料導管は、機能性ガス用の第2の導管の一例と見なすことができる。例えば、調節装置は、酸素キャリアガスと、ガス状麻酔薬などの医療用ガスとの混合物を調節するように構成することができる。
【0114】
当業者には、本発明の範囲を逸脱することなく様々な他の変更が可能であることが理解されるであろう。