(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】太陽電池及び光起電力モジュール
(51)【国際特許分類】
H01L 31/068 20120101AFI20221101BHJP
【FI】
H01L31/06 300
(21)【出願番号】P 2022007484
(22)【出願日】2022-01-20
【審査請求日】2022-01-27
(31)【優先権主張番号】202111501018.6
(32)【優先日】2021-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519095522
【氏名又は名称】ジョジアン ジンコ ソーラー カンパニー リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】519095533
【氏名又は名称】ジンコ ソーラー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【氏名又は名称】大行 尚哉
(72)【発明者】
【氏名】金井昇
(72)【発明者】
【氏名】ヂァン シン ウ
(72)【発明者】
【氏名】楊楠楠
(72)【発明者】
【氏名】張彼克
(72)【発明者】
【氏名】張臨安
(72)【発明者】
【氏名】廖光明
【審査官】佐竹 政彦
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2018-0050171(KR,A)
【文献】特開2005-123447(JP,A)
【文献】中国実用新案第208889671(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第112542521(CN,A)
【文献】特表2013-524514(JP,A)
【文献】特開2017-017323(JP,A)
【文献】特開2015-207598(JP,A)
【文献】特開2016-111357(JP,A)
【文献】国際公開第2011/162203(WO,A1)
【文献】中国実用新案第210926046(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第108447918(CN,A)
【文献】国際公開第2017/163498(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/04-31/078
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池であって、
基板と、
前記基板の表面上に位置されたトンネル誘電体層およびドープされた導電層であり、前記
トンネル誘電体層は、前記ドープされた導電層と前記基板との間に位置され、前記ドープされた導電層はドーピング元素を有し、前記ドーピング元素のタイプはN型またはP型であり、前記ドープされた導電層は、間隔を置いて配置された複数の第1高濃度ドープされた領域を有し、前記第1高濃度ドープされた領域は第1方向に沿って延在し、前記第1高濃度ドープされた領域におけるドーピング濃度は、前記ドープされた導電層における前記第1高濃度ドープされた領域以外のドーピング濃度より大きいことと、
前記ドープされた導電層の基板から離れた表面に位置された不動態化層と、
間隔を置いて配置された複数の電極であり、前記電極が第2方向に沿って延在し、前記電極が前記不動態化層を貫通して前記ドープされた導電層と接触し、且つ少なくとも2つの前記第1高濃度ドープされた領域が同じ前記電極と接触することとを含み、
前記第1高濃度ドープされた領域の総表面積と前記ドープされた導電層の表面積との比は、1%~20%の範囲であ
り、
前記基板は第2高濃度ドープされた領域を有し、前記第2高濃度ドープされた領域におけるドーピング濃度は、前記基板における前記第2高濃度ドープされた領域以外のドーピング濃度より大きく、前記第1高濃度ドープされた領域と前記第2高濃度ドープされた領域とは整列し、且つドーピング元素のタイプが同じであることを特徴とする太陽電池。
【請求項2】
前記基板の表面と垂直になる方向において、前記第1高濃度ドープされた領域の深さは、前記第1高濃度ドープされた領域以外の前記ドープされた導電層の厚さ以下であることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】
前記第1高濃度ドープされた領域の深さと前記ドープされた導電層の厚さとの比は、80%~100%の範囲であることを特徴とする請求項2に記載の太陽電池。
【請求項4】
前記ドープされた導電層の厚さは40nm~150nmの範囲であることを特徴とする請求項
1に記載の太陽電池。
【請求項5】
前記第2高濃度ドープされた領域のドーピング濃度は、前記第1高濃度ドープされた領域のドーピング濃度以下であることを特徴とする請求項
1に記載の太陽電池。
【請求項6】
前記第1高濃度ドープされた領域のドーピング濃度は、2E+20cm
-3~1E+22cm
-3であることを特徴とする請求項
1に記載の太陽電池。
【請求項7】
前記基板の表面と垂直になる方向において、前記第2高濃度ドープされた領域の深さは0.001μm~1μmの範囲であることを特徴とする請求項
1に記載の太陽電池。
【請求項8】
前記トンネル誘電体層は、前記トンネル誘電体層の厚さを貫通する第3高濃度ドープされた領域を有し、前記第3高濃度ドープされた領域は前記第1高濃度ドープされた領域および前記第2高濃度ドープされた領域とそれぞれに接触し、且つ前記第1高濃度ドープされた領域、前記第2高濃度ドープされた領域および前記第3高濃度ドープされた領域は整列して、且つドーピング元素のタイプが同じであることを特徴とする請求項
1に記載の太陽電池。
【請求項9】
複数の前記第1高濃度ドープされた領域の配置方向に沿って、前記第1高濃度ドープされた領域の幅は、前記第2高濃度ドープされた領域の幅より小さく、前記第1高濃度ドープされた領域の幅は、前記第3高濃度ドープされた領域の幅以下であることを特徴とする請求項
8に記載の太陽電池。
【請求項10】
複数の前記第1高濃度ドープされた領域の配置方向に沿って、前記第1高濃度ドープされた領域の幅は20μm~100μmであることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項11】
複数の前記第1高濃度ドープされた領域の配置方向に沿って、隣接する前記第1高濃度ドープされた領域の間の間隔は、0.8mm~4mmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項12】
前記ドープされた導電層の材料は、多結晶シリコン、アモルファスシリコン、または微結晶シリコンのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項13】
前記基板は、互いに対向して配置された第1表面と第2表面を有し、前記トンネル誘電体層と前記ドープされた導電層は、前記基板の第1表面側および/または第2表面側に位置されることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項14】
前記基板におけるドーピング元素のタイプは、前記ドープされた導電層におけるドーピング元素のタイプと同じであることを特徴とする請求項
1に記載の太陽電池。
【請求項15】
光起電モジュールであって、
請求項1~
14のいずれかの1項に記載の太陽電池を接続することによって形成された電池ストリングと、
前記電池ストリングの表面を覆うために使用されるカプセル化フィルムと、
前記カプセル化フィルムの前記電池ストリングから離れた表面を覆うために使用されるカバープレートとを含むことを特徴とする光起電モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、太陽電池の技術分野に関し、特に太陽電池および光起電力モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池の性能(例えば、光電変換効率)に影響を与える理由には、光損失及び電気損失を含む。光損失には、電池前表面の反射損失、接触グリッド線のシャドウ損失、及び長波非吸収損失などを含み、電気損失には、半導体表面と本体の光生成キャリア再結合、半導体と金属グリッド線との接触抵抗、および金属と半導体との接触抵抗などの損失を含む。
【0003】
太陽電池の電気損失を低減するために、電池の表面にトンネル酸化物層不動態化金属接触構造を形成する。トンネル酸化物層不動態化金属接触構造は、極薄のトンネル誘電体層とドープされた導電層で構成され、良好な表面不動態化を提供することにより、金属接触再結合電流を低減し、電池の開回路電圧と短絡電流を改善する。トンネル酸化物層不動態化金属接触構造は太陽電池の性能を改善することができるが、このような太陽電池の性能に影響を与える多くの要因がまだあり、効率的な不動態化接触太陽電池の開発は非常に重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、不動態化接触太陽電池の光電変換効率を改善するのに有利である太陽電池および光起電力モジュールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態は、一方では、太陽電池を提供し、基板と、基板の表面上に位置されたトンネル誘電体層およびドープされた導電層であり、トンネリング誘電体層は、ドープされた導電層と基板との間に位置され、ドープされた導電層はドーピング元素を有し、ドーピング元素のタイプはN型またはP型であり、ドープされた導電層は、間隔を置いて配置された複数の第1高濃度ドープされた領域を有し、第1高濃度ドープされた領域は第1方向に沿って延在し、第1高濃度ドープされた領域におけるドーピング濃度は、ドープされた導電層における第1高濃度ドープされた領域以外のドーピング濃度より大きいことと、ドープされた導電層の基板から離れた表面に位置された不動態化層と、間隔を置いて配置された複数の電極であり、電極が第2方向に沿って延在し、電極が不動態化層を貫通してドープされた導電層と接触し、且つ少なくとも2つの第1高濃度ドープされた領域が同じ電極と接触することとを含む。
【0006】
また、基板の表面と垂直になる方向において、第1高濃度ドープされた領域の深さは、第1高濃度ドープされた領域以外のドープされた導電層の厚さ以下である。
【0007】
また、第1高濃度ドープされた領域の深さとドープされた導電層の厚さとの比は、80%~100%の範囲である。
【0008】
また、基板は第2高濃度ドープされた領域を有し、第2高濃度ドープされた領域におけるドーピング濃度は、基板における第2高濃度ドープされた領域以外のドーピング濃度より大きく、第1高濃度ドープされた領域と第2高濃度ドープされた領域とは整列し、且つドーピング元素のタイプが同じである。
【0009】
また、第2高濃度ドープされた領域のドーピング濃度は、第1高濃度ドープされた領域のドーピング濃度以下である。
【0010】
また、第1高濃度ドープされた領域のドーピングイオン濃度は、2E+20cm-3~2E+21cm-3である。
【0011】
また、基板の表面と垂直になる方向において、第2高濃度ドープされた領域の深さは、0.001μm~1μmの範囲である。
【0012】
また、トンネル誘電体層は、トンネル誘電体層の厚さを貫通する第3高濃度ドープされた領域を有し、第3高濃度ドープされた領域の一端は第1高濃度ドープされた領域と接触し、第3高濃度ドープされた領域の他端は第2高濃度ドープされた領域と接触し、且つ第1高濃度ドープされた領域、第2高濃度ドープされた領域および第3高濃度ドープされた領域はドーピングイオンのタイプが同じであり、且つお互いに真向かう。
【0013】
また、複数の第1高濃度ドープされた領域の配置方向に沿って、第1高濃度ドープされた領域の幅は、第2高濃度ドープされた領域の幅より小さく、第1高濃度ドープされた領域の幅は、第3高濃度ドープされた領域の幅以下である。
【0014】
また、第1高濃度ドープされた領域の総表面積とドープされた導電層の表面積との比は、1%~20%の範囲である。
【0015】
また、複数の第1高濃度ドープされた領域の配置方向に沿って、第1高濃度ドープされた領域の幅は20μm~100μmである。
【0016】
また、複数の第1高濃度ドープされた領域の配置方向に沿って、隣接する第1高濃度ドープされた領域の間の間隔は、0.8mm~4mmの範囲である
【0017】
また、ドープされた導電層の材料は、多結晶シリコン、アモルファスシリコン、または微結晶シリコンのうちの少なくとも1つを含む。
【0018】
また、基板は、互いに対向して配置された第1表面と第2表面を有し、トンネル誘電体層とドープされた導電層は、基板の第1表面側および/または第2表面側に位置される。
【0019】
また、基板におけるドーピング元素のタイプは、ドープされた導電層におけるドーピング元素のタイプと同じである。
【0020】
相応的に、他方では、本発明の別の実施形態は、光起電モジュールを提供し、複数の上記のいずれか1つの太陽電池を接続することによって形成された電池ストリングと、電池ストリングの表面を覆うために使用されるカプセル化フィルムと、電池ストリングから離れたカプセル化フィルムの表面を覆うために使用されるカバープレートとを含む。
【0021】
本発明の実施形態によって提供された技術考案は、少なくとも以下の利点を有する。
本発明の実施形態によって提供された太陽電池の技術考案において、ドープされた導電層は、間隔を置いて配置された複数の第1高濃度ドープされた領域を有し、第1高濃度ドープされた領域におけるドーピング濃度は、ドープされた導電層における第1高濃度ドープされた領域以外のドーピング濃度より大きく、複数の電極が間隔を置いて配置され、少なくとも2つの第1高濃度ドープされた領域が同じ電極と接触し、このように、ドープされた導電層は、第1高濃度ドープされた領域と、第1高濃度ドープされた領域以外の領域と分割し、すなわち、第1高濃度ドープされた領域のドーピング濃度およびドーピング深さを適当に設置することができ、且つ第1高濃度ドープされた領域以外のドープされた導電層のドーピング濃度および厚さに影響を与えなく、ドープされた導電層のシート抵抗およびドープされた導電層の光吸収を低減することに有利であり、太陽電池の光電変換効率を向上させることができる。ドープされた導電層は、間隔を置いて配置された複数の第1高濃度ドープされた領域を有し、第1高濃度ドープされた領域のドーピングイオン濃度は、ドープされた導電層における第1高濃度ドープされた領域以外のドーピングイオン濃度より大きく、第1高濃度ドープされた領域の多数キャリアの数は、第1高濃度ドープされた領域以外の多数キャリアより多く、電流の伝送能力を増加させ、それにより太陽電池の直列抵抗を減少し、光電変換効率を向上させることに有利である。少なくとも2つの第1高濃度ドープされた領域が同じ電極と接触し、高いドーピング濃度の第1高濃度ドープされた領域と電極との間に良好なオーミック接触が形成され、高いドーピング濃度の第1高濃度ドープされた領域と電極との間の接触抵抗は、第1高濃度ドープされた領域以外のドープされた導電層と電極との間の接触抵抗より低く、電流の伝導効果はより良く、光電変換効率を向上させることに有利である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
1つ又は複数の実施例を対応する添付図面の図によって例示的に説明する。これらの例示的な説明は実施例を限定するものではなく、特に説明しない限り、添付図面の図は比例的制限を構成しない。
【0023】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態によって提供された太陽電池の構造の概略図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態によって提供された太陽電池の部分構造の概略図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態によって提供された太陽電池の別の部分構造の概略図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態によって提供された太陽電池のECVドーピング曲線の図である。
【
図5】
図5は、本発明の別の実施形態によって提供された太陽電池の構造の概略図である。
【
図6】
図6は、本発明の別の実施形態によって提供された太陽電池の構造の概略図である。
【
図7】
図7は、本発明の別の実施形態によって提供された太陽電池の構造の概略図である。
【
図8-16】
図8-16は、本発明の実施形態によって提供された太陽電池の製造方法における各ステップに対応する構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
背景技術から、現在の不動態化接触太陽電池の光電変換効率を最適化して改善する必要があることがわかる。
【0025】
このために、本発明の実施形態は、太陽電池及び製造方法、光起電力モジュールを提供し、間隔を置いて配置された複数の第1高濃度ドープされた領域が太陽電池のドープされた導電層に形成され、第1高濃度ドープされた領域が第1方向に沿って延在し、第1高濃度ドープされた領域におけるドーピング濃度は、ドープされた導電層における第1高濃度ドープされた領域以外のドーピング濃度より大きく、少なくとも2つの第1高濃度ドープされた領域は同じ電極と接触するので、ドープされた導電層におけるドーピング濃度は、電流の伝送能力を改善することができ、ドープされた導電層のシート抵抗を減らすことができ、開回路電圧を下げるのに有利であり、それによって光電変換効率を改善することができる。第1高濃度ドープされた領域におけるドーピング濃度は、ドープされた導電層における第1高濃度ドープされた領域以外のドーピング濃度より大きく、少なくとも2つの第1高濃度ドープされた領域が同じ電極と接触し、第1高濃度ドープされた領域のドープされた導電層と電極との間に良好なオーミック接触が形成され、これにより、ドープされた導電層と電極との間の接触抵抗を減らすことができ、太陽電池の光電変換効率を改善するのに有利である。同時に、電極間の距離を伸ばすことができ、電極材料の使用量を減らすことで製造コストを節約し、太陽電池の光受容表面積を増やして、光電変換効率を向上させることができる。
【0026】
以下、本発明の様々な実施形態を、添付の図面と併せて以下に詳細に説明する。しかしながら、当業者は、本発明の各実施形態において、読者が本発明をよりよく理解するために多くの技術的詳細が提案されていることを理解することができる。しかしながら、これらの技術的詳細および以下の実施形態に基づく様々な変更および修正がなくても、本発明で主張される技術考案を実現することができる。
【0027】
図1~4を参照し、
図1は本発明の一つの実施形態によって提供された太陽電池の構造の概略図であり、
図2は本発明の一つの実施形態によって提供された太陽電池の部分構造の概略図であり、
図3は本発明の一つの実施形態によって提供された太陽電池の別の部分構造の概略図であり、
図4は本発明の一つの実施形態によって提供された太陽電池のECVドーピング曲線の図である。
【0028】
本発明の実施形態は、一方では、太陽電池を提供し、
図2に示すように、基板100と、基板100の表面上に位置されたトンネル誘電体層140およびドープされた導電層150であり、トンネル誘電体層140は、ドープされた導電層150と基板100との間に位置され、ドープされた導電層150にはドーピング元素が含まれ、ドーピング元素のタイプは、N型またはP型であり、ドープされた導電層150は、間隔を置いて配置された複数の第1高濃度ドープされた領域151を有し、第1高濃度ドープされた領域151は第1方向に沿って延在し、第1高濃度ドープされた領域151におけるドーピング濃度は、ドープされた導電層150における第1高濃度ドープされた領域151以外のドーピング濃度より大きいことと、基板100から離れたドープされた導電層150の表面に位置された不動態化層160と、間隔を置いて配置された複数の電極170であり、電極170は第2方向に沿って延在し、且つ各電極170は、不動態化層160を貫通してドープされた導電層150と接触し、且つ少なくとも2つの第1高濃度ドープされた領域151が同じ電極170と接触することとを含む。
【0029】
いくつかの実施形態において、太陽電池は、トンネル酸化物不動態化接触電池(Tunnel Oxide Passivated Contact、TOPCon)であり、両面トンネル酸化物不動態化接触電池または片面トンネル酸化物不動態化接触電池を含む。
【0030】
基板100は、入射光子を吸収して光生成キャリアを生成する領域である。いくつかの実施形態において、基板100はシリコン基板100であり、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン、または微結晶シリコンのうちの1つまたは複数を含んでもよく、他の実施形態において、基板100の材料は、炭化シリコン、有機物材料または多成分化合物であってもよい。多成分化合物には、ペロブスカイト、ガリウムヒ素、テルル化カドミウム、銅インジウムセレンなどの材料を含むことができるが、これらに限定されない。例示的に、本発明における基板100は、単結晶シリコン基板である。
【0031】
いくつかの実施形態において、基板100は、互いに対向して設置された第1表面101と第2表面102を有し、基板100の第1表面101は前表面と呼ばれ、基板100の第2表面102は背表面と呼ばれる。さらに、片面電池の場合、基板100の第1表面101は、光受容面であり、基板100の第2表面102は、バックライト面であり、両面電池の場合、第1表面101と第2表面102は、両方とも入射光を吸収するための光受容面とすることができる。
【0032】
いくつかの実施形態において、基板100はドーピング元素を有し、ドーピング元素のタイプはN型またはP型であり、N型元素は、リン(P)元素、ビスマス(Bi)元素、アンチモン(Sb)元素またはヒ素(As)元素などのV族元素であってもよく、P型元素は、ホウ素(B)元素、アルミニウム(Al)元素、ガリウム(Ga)元素、またはインジウム(In)元素などのIII族元素であってもよい。例えば、基板100がP型基板である場合、その内部のドーピング元素のタイプはP型である。別の例として、基板100がN型基板である場合、その内部のドーピング元素のタイプはN型である。
【0033】
いくつかの実施形態において、基板100内のドーピング元素のタイプとドープされた導電層150内のドーピング元素のタイプとは同じであってもよく、例えば、基板100内のドーピング元素のタイプはN型であり、ドープされた導電層150のドーピング元素のタイプはN型である。
【0034】
いくつかの実施形態において、太陽電池は、基板100の第1表面101の側に位置されたエミッター110を含む。基板100とエミッター110とは、PN接合を形成し、例えば、基板100は、N型ドーピング元素を有し、エミッター110は、P型ドーピング元素を有する。他の実施形態において、エミッター110は、基板100の一部として、または言い換えれば、基板100の延長として見なされることができる。さらに、エミッター110の表面は、エミッター110の表面が光に対しての反射を低減し、光の吸収利用率を増加させ、太陽電池の変換効率を改善するために、ピラミッドスエードとして設置することができる。
【0035】
いくつかの実施形態において、トンネル誘電体層140とドープされた導電層150は、基板100の第2表面102側に位置される。トンネル誘電体層140は、化学的な不動態化によって基板100とドープされた導電層150との間の界面状態密度を低減し、少数キャリアと空洞の再結合を低減し、Jo負荷電流を低減することに有利である。トンネル誘電体層140は、多数キャリアを、ドープされた導電層150にトンネリングさせ、次に、多数キャリアは、ドープされた導電層150内で横方向に輸送され、電極170によって収集され、それによって、電極170とドープされた導電層150との接触再結合電流を大幅に低減し、太陽電池の開回路電圧と短絡電流を改善する。
【0036】
いくつかの実施形態において、トンネル誘電体層140の材料は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、固有アモルファスシリコン、固有多結晶シリコンなどのトンネリング効果を有する誘電体材料を含むが、これらに限定されない。トンネル誘電体層140の厚さは、0.5nm~2nmであり、選択できるように、トンネル誘電体層140の厚さは、0.5nm~1.5nmであり、さらに、トンネル誘電体層140の厚さは、0.5nm~1.2nmである。
【0037】
ドープされた導電層150のドーピング濃度および深さは、太陽電池の光電変換効率に影響を与え、ドープされた導電層150のドーピング濃度および深さが適切な範囲である場合、ドープされた導電層150と電極170が良好なオーミック接触を形成することが保証され、多数キャリアを効果的に輸送させることができ、すなわち、太陽電池はより高い変換効率を有すると同時に、基板100の表面での再結合損失が小さく、およびトンネル誘電体層140の界面不動態化効果が保証され、それによって太陽電池の変換効率を改善する。
【0038】
不純物濃度分布を検出する方法には、拡張抵抗法、静電容量-電圧法(C-V)、二次イオン質量分析(SIMS)、微分ホール法、電気化学的静電容量-電圧法(Electrochemical Capacitance-Voltage、ECV)などが含まれる。いくつかの実施形態において、ドープされた導電層150のドーピング濃度および深さの範囲を検出することは、電気化学的静電容量-電圧法である。
図4に示すように、本発明の太陽電池におけるドープされた導電層150のドーピング濃度と深さとの間の関係は、
図4におけるドープされた導電層150のECVドーピング曲線に一致し、ドープされた導電層150のECVドーピング曲線は、第1高濃度ドープされた領域151のドープされた導電層150のECVドーピング曲線と、第1高濃度ドープされた領域151以外のドープされた導電層150のECVドーピング曲線とを含む。本発明は、ドープされた導電層150の特定のドーピング濃度および特定のドーピング深さを制限せず、
図4におけるドープされた導電層150のECVドーピング曲線を満たす必要があるだけである。
【0039】
ドープされた導電層150の材料は、多結晶半導体、アモルファス半導体、または微結晶半導体のうちの少なくとも1つであってもよい。好ましくは、ドープされた導電層の材料は、多結晶シリコン、アモルファスシリコン、または微結晶シリコンのうちの少なくとも1つを含む。ドープされた導電層150の厚さは、40nm~150nmの範囲であり、選択できるように、ドープされた導電層150の厚さは、60nm~90nmの範囲であり、ドープされた導電層150の厚さ範囲は、小さいドープされた導電層150の光損失、及びよりよいトンネル誘電体層140の界面不動態化効果を保証し、それによって電池効率を向上させることができる。例示的に、本発明におけるドープされた導電層150の材料は多結晶シリコンであり、ドープされた導電層150の厚さは80nmである。
【0040】
第1高濃度ドープされた領域151のドープされた導電層150のドーピング濃度と深さとの間の関係は、
図4における第1高濃度ドープされた領域151のドープされた導電層150のECVドーピング曲線に一致し、本発明は第1高濃度ドープされた領域151のドープされた導電層150の特定のドーピング濃度および特定のドーピング深さに制限せず、
図4における第1高濃度ドープされた領域151のドープされた導電層のECVドーピング曲線を満たす必要があるだけである。同様に、第1高濃度ドープされた領域151以外のドープされた導電層150のドーピング濃度と深さとの間の関係は、
図4における第1高濃度ドープされた領域151以外のドープされた導電層150のECVドーピング曲線と一致する。
【0041】
図1~3を参照し続けると、いくつかの実施形態において、第1高濃度ドープされた領域151の総表面積とドープされた導電層150の表面積との比は、1%~20%の範囲であり、選択できるように、基板100上の第1高濃度ドープされた領域151の正射影の総面積と、基板100上のドープされた導電層150の正射影の面積との比は、1%~20%の範囲であり、具体的には5%、3%、10%、15%、または20%であってもよく、この比の範囲は、第1高濃度ドープされた領域151の面積が大きすぎて、太陽電池の過度の光吸収を回避することができ、太陽電池の光電変換効率を改善するのに有利であり、同時に、この比の範囲は、第1高濃度ドープされた領域151の面積が小さすぎて、第1高濃度ドープされた領域151のドープされた導電層のシート抵抗が大きく、且つ電極170との接触面積が小さいことを回避することができ、ドープされた導電層150と電極170との接触抵抗の抵抗値を低減することに有利であるので、電流の伝導性および太陽電池の光電変換効率を改善する。
【0042】
いくつかの実施形態において、第1高濃度ドープされた領域151のドープされた導電層150が基板100から離れた上面は、第1高濃度ドープされた領域151以外のドープされた導電層150の上面と同一平面上にある。他の実施形態において、第1高濃度ドープされた領域151のドープされた導電層150が基板100から離れた上面は、第1高濃度ドープされた領域151以外のドープされた導電層150の上面より低く、高さの差は、第1高濃度ドープされた領域151以外のドープされた導電層150の厚さの20%未満であることができる。
【0043】
いくつかの実施形態において、複数の第1高濃度ドープされた領域151の配置方向に沿って、第1高濃度ドープされた領域151の幅は20μm~100μmであり、具体的には、20μm、40μm、58μm、82μm、または100μmであってもよい。複数の第1高濃度ドープされた領域151の配置方向に沿って、隣接する第1高濃度ドープされた領域151の間の距離は、0.8mm~4mmの範囲であり、具体的には、0.8mm、1.5mm、2.8mm、3.6mm、または4mmであってもよい。第1高濃度ドープされた領域151の幅および隣接する第1高濃度ドープされた領域151の間の距離範囲は、基板100上のすべての第1高濃度ドープされた領域151の正射影の総面積と基板100上のドープされた導電層150の正射影の面積との比が1%~20%の範囲であることをさらに特定することができる。
【0044】
いくつかの実施形態において、異なる電極170の下方に位置された各第1高濃度ドープされた領域151は、等間隔で設置され、その結果、各第1高濃度ドープされた領域151の電流収集は比較的均一である。選択できるように、同じ電極170の下方に位置された各第1高濃度ドープされた領域151は、等間隔に設置され、その結果、各第1高濃度ドープされた領域151の電流収集はより均一になる。
【0045】
いくつかの実施形態において、第1高濃度ドープされた領域151のドーピング濃度は、2E+20cm-3~1E+22cm-3である。第1高濃度ドープされた領域151以外のドープされた導電層150のドーピングイオン濃度は1E+20cm-3~2E+20cm-3であり、第1高濃度ドープされた領域151のドーピングイオン濃度は2E+20cm-3~2E+21cm-3である。
【0046】
理解できるように、ドーピング元素のドーピングとは、一定の量および一定種類の不純物または元素を結晶に組み込み、電気活性元素および非電気活性元素を含み、一般的に「ドーピング濃度」で漠然と表され、本発明の実施形態におけるドーピングイオン濃度とは、電気活性不純物濃度(イオン化状態)を指すため、ドーピング濃度はドーピングイオン濃度より高い。
【0047】
図2に示すように、いくつかの実施形態において、基板100の表面102と垂直になる方向において、第1高濃度ドープされた領域151の深さは、第1高濃度ドープされた領域151以外のドープされた導電層150の厚さ以下である。
【0048】
いくつかの実施形態において、第1高濃度ドープされた領域151の深さとドープされた導電層150の厚さとの比は、50%~100%の範囲であり、好ましくは、第1高濃度ドープされた領域151の深さとドープされた導電層150の厚さとの比は、80%~100%の範囲であり、具体的には、80%、88%、92%、または100%であってもよい。
【0049】
なお、前述(
図2)は、第1高濃度ドープされた領域151がドープされた導電層150の厚さを貫通しないことを例とすることに留意されたい。本発明の実施形態は、ドープされた導電層150の厚さを貫通する第1高濃度ドープされた領域151を形成してもよく、すなわち、第1高濃度ドープされた領域151の深さとドープされた導電層150の厚さとの比は100%であり、具体的には、以下で
図3と併せて具体的に説明する。
【0050】
図3に示すように、基板100は、第2高濃度ドープされた領域103を有し、第2高濃度ドープされた領域103におけるドーピング濃度は、基板100における第2高濃度ドープされた領域103以外のドーピング濃度より大きく、第1高濃度ドープされた領域151と第2高濃度ドープされた領域103とは整列し、且つドーピング元素のタイプが同じである。
【0051】
基板100は、第2高濃度ドープされた領域103を有し、且つ基板100は、第2高濃度ドープされた領域103の表面から露出し、第2高濃度ドープされた領域103におけるドーピング濃度は、基板100における第2高濃度ドープされた領域103以外のドーピング濃度より大きく、キャリアの輸送効率の改善に有利であり、開回路電圧および電流の伝送効率の改善に有利であるので、太陽電池の光電変換効率を改善するのに有利である。
【0052】
いくつかの実施形態において、基板100の第2表面102と垂直になる方向において、第2高濃度ドープされた領域103の深さは、0.001μm~1μmの範囲であり、具体的には、0.005μm、0.02μm、0.09μm、0.4μmまたは0.9μmであってもよい。第2高濃度ドープされた領域103の深さ範囲は、第2高濃度ドープされた領域103の高ドーピングによって引き起こされるトンネル効果を回避することができ、すなわち、第2高濃度ドープされた領域103のドーピング元素は、基板100とエミッター110と接触する表面またはエミッター110の内部に拡散しなく、太陽電池の開回路電圧を増加させることができ、太陽電池の光電変換効率を改善することに有利である。
【0053】
いくつかの実施形態において、複数の第1高濃度ドープされた領域151の配置方向に沿って、第1高濃度ドープされた領域151の幅は、第2高濃度ドープされた領域103の幅より小さい。第2高濃度ドープされた領域103におけるドーピング濃度は、第1高濃度ドープされた領域151におけるドーピング濃度と等しく、第2高濃度ドープされた領域103におけるドーピング濃度は、1E+20cm-3~1E+22cm-3である。第2高濃度ドープされた領域103におけるドーピングイオン濃度は、1E+20cm-3~2E+20cm-3である。他の実施形態において、第2高濃度ドープされた領域103におけるドーピング濃度は、第1高濃度ドープされた領域151におけるドーピング濃度より小さい。
【0054】
いくつかの実施形態において、トンネル誘電体層140は、トンネル誘電体層140の厚さを貫通する第3高濃度ドープされた領域141を有し、第3高濃度ドープされた領域141は、第1高濃度ドープされた領域151および第2高濃度ドープされた領域103と接触し、且つ第1高濃度ドープされた領域151、第2高濃度ドープされた領域103、および第3高濃度ドープされた領域141は整列され、かつドーピング元素のタイプが同じであり、このように、トンネル誘電体層140と基板100、トンネル誘電体層140とドープされた導電層150との間の再結合損失を減少することができ、キャリアの輸送効率を改善することに有利であり、開回路電圧および電流の伝送効率を改善することに有利であるので、太陽電池の光電変換効率を改善することに有利である。好ましくは、第3高濃度ドープされた領域141の一端は、第1高濃度ドープされた領域151と接触し、第3高濃度ドープされた領域141の他端は、第2高濃度ドープされた領域103と接触する。
【0055】
いくつかの実施形態において、複数の第1高濃度ドープされた領域151の配置方向に沿って、第2高濃度ドープされた領域103の幅は、第3高濃度ドープされた領域141の幅より小さく、第1高濃度ドープされた領域151の幅は、第3高濃度ドープされた領域141の幅と等しい。他の実施形態において、第2高濃度ドープされた領域103の幅は、第3高濃度ドープされた領域141の幅と等しく、第1高濃度ドープされた領域151の幅は、第3高濃度ドープされた領域141の幅より小さい。さらに他の実施形態において、第1高濃度ドープされた領域151の幅、第3高濃度ドープされた領域141の幅、および第2高濃度ドープされた領域103の幅は徐々に増加する。一例において、第1高濃度ドープされた領域151の幅は50μmであり、第3高濃度ドープされた領域141の幅は60μmであり、第2高濃度ドープされた領域103の幅は70μmである。
【0056】
いくつかの実施形態において、第3高濃度ドープされた領域141におけるドーピング濃度は、6E+19cm-3~2E+20cm-3である。第3高濃度ドープされた領域141のドーピングイオン濃度は、6E+19cm-3~1E+20cm-3である。第3高濃度ドープされた領域141におけるドーピング濃度、第2高濃度ドープされた領域103におけるドーピング濃度、および第1高濃度ドープされた領域151におけるドーピング濃度は同じであってもよい。他の実施形態において、第1高濃度ドープされた領域151におけるドーピング濃度、第3高濃度ドープされた領域141におけるドーピング濃度、および第2高濃度ドープされた領域103におけるドーピング濃度は、段階的に減少し、例えば、第1高濃度ドープされた領域151におけるドーピング濃度は4E+20cm-3であり、第3高濃度ドープ領域141におけるドーピング濃度は3E+20cm-3であり、第2高濃度ドープされた領域103におけるドーピング濃度は2E+20cm-3である。
【0057】
理解できるように、第1高濃度ドープされた領域151のドーピング濃度は、第1高濃度ドープされた領域151のどこでも同じであってもよく、または、第1高濃度ドープされた領域151が第2高濃度ドープされた領域103へ向かう方向において、段階的分布または勾配分布であってもよく、電極に近いほど、ドーピング濃度が高くなる。第2高濃度ドープされた領域103のドーピング濃度は、第2高濃度ドープされた領域103のどこでも同じであり、また、第1高濃度ドープされた領域151が第2高濃度ドープされた領域103へ向かう方向において、段階的分布または勾配分布であってもよく、第1高濃度ドープされた領域151に近いほど、ドーピング濃度は高くなる。第3高濃度ドープされた領域141のドーピング濃度は、第3高濃度ドープされた領域141のどこでも同じであり、また、第1高濃度ドープされた領域151が第2高濃度ドープされた領域103へ向かう方向において、段階的分布または勾配分布であってもよく、第1高濃度ドープされた領域151に近いほど、ドーピング濃度は高くなる。
【0058】
図2に示された太陽電池の第1高濃度ドープされた領域151のドープされた導電層150のドーピング濃度は、
図3に示された太陽電池の第1高濃度ドープされた領域151のドープされた導電層150のドーピング濃度と同じであっても異なっていてもよいが、太陽電池の第1高濃度ドープされた領域151のドープされた導電層150のドーピング濃度は2E+20cm
-3~1E+22cm
-3の範囲である。
【0059】
同様に、第1高濃度ドープされた領域151の幅および長さ、ならびに隣接する第1高濃度ドープされた領域151の間の距離範囲は、異なる構造要件に従って設定することができるが、第1高濃度ドープされた領域151の総表面積とドープされた導電層150の表面積との比は1%~20%の範囲であることを満たす必要がある。
【0060】
図1~
図3を参照し続けると、不動態化層160は、電極170と基板100との接触によって生成された金属領域の再結合を低減させ、それによって電池効率を改善することができる。不動態化層160は、単層構造または積層構造であってもよく、不動態化層160の材料は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、酸窒化シリコン炭素、酸化チタン、酸化ハフニウム、または酸化アルミニウムなどの材料のうちの一つまたは複数であってもよい。
【0061】
電極170は、太陽電池のグリッド線であり、太陽電池の電流を収集および集約するために使用される。電極170は、バーンスルースラリーから焼結することによって形成する。電極170とドープされた導電層150との接触は、ローカル接触または完全接触であってもよい。電極170の材料は、アルミニウム、銀、金、ニッケル、モリブデン、または銅のうちの1つまたは複数であってもよい。いくつかの実施形態において、前記ドープされた導電層150が前記基板100の背表面に位置される場合、電極170は、下部電極または背面電極である。場合によっては、前記電極170は、メイングリッド線またはバスバーと区別するために、細いグリッド線または指形のグリッド線を指す。
【0062】
少なくとも2つの第1高濃度ドープされた領域151が同じ電極170と接触するために、第1方向と第2方向は交差することができ、第1方向と第2方向との角度は、0°~90°であってもよく、好ましくは、第1方向と第2方向との角度は90°であってもよく、すなわち、第1高濃度ドープされた領域151の伸長方向は、電極170の伸長方向と垂直になって正交する。
【0063】
いくつかの実施形態において、
図1を参照し続けると、太陽電池は、基板100から離れたエミッター110の表面に位置され、フロント不動態化層と見なされる第1不動態化層120と、間隔を置いて設置され、第2方向に沿って延在し、且つ第1不動態化層120を貫通してエミッター110と接触する複数の電極130とを含む。
【0064】
いくつかの実施形態において、第1不動態化層120は、単層構造または積層構造であってもよく、第1不動態化層120の材料は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、酸窒化シリコン炭素、酸化チタン、酸化ハフニウムまたは酸化アルミニウムなどの材料のうちの一つ又は複数であってもよい。
【0065】
電極130は、バーンスルースラリーから焼結することによって形成することができる。電極130とエミッター110との接触は、ローカル接触または完全接触であってもよい。電極130の材料は、アルミニウム、銀、ニッケル、金、モリブデン、または銅のうちの1つまたは複数であってもよい。いくつかの実施形態において、電極130は、上部電極または正面電極である。場合によっては、電極130は、メイングリッド線またはバスバーと区別するために、細いグリッド線または指形のグリッド線を指す。
【0066】
本発明の実施形態によって提供された太陽電池の技術考案において、ドープされた導電層150は、間隔を置いて配置された複数の第1高濃度ドープされた領域151を有し、第1高濃度ドープされた領域151におけるドーピングイオン濃度は、ドープされた導電層150における第1高濃度ドープされた領域151以外のドーピングイオン濃度より大きく、複数の電極170が間隔を置いて配置され、少なくとも2つの第1高濃度ドープされた領域151が同じ電極170と接触し、このように、ドープされた導電層150は、第1高濃度ドープされた領域151と、第1高濃度ドープされた領域151以外の領域と分割し、すなわち、第1高濃度ドープされた領域151のドーピング濃度およびドーピング深さを適当に設置することができ、且つ第1高濃度ドープされた領域151以外のドープされた導電層150のドーピング濃度および厚さに影響を与えなく、ドープされた導電層150のシート抵抗およびドープされた導電層150の光吸収を低減することに有利であり、太陽電池の光電変換効率を向上させることができる。ドープされた導電層150は、間隔を置いて配置された複数の第1高濃度ドープされた領域151を有し、第1高濃度ドープされた領域151のドーピングイオン濃度は、ドープされた導電層150における第1高濃度ドープされた領域151以外のドーピングイオン濃度より大きく、第1高濃度ドープされた領域151の多数キャリアの数は、第1高濃度ドープされた領域151以外の多数キャリアより多く、電流の伝送能力を増加させ、それにより太陽電池の直列抵抗を減少し、光電変換効率を向上させることに有利である。少なくとも2つの第1高濃度ドープされた領域151が同じ電極170と接触し、高いドーピング濃度の第1高濃度ドープされた領域151と電極170との間に良好なオーミック接触が形成され、高いドーピング濃度の第1高濃度ドープされた領域151と電極170との間の接触抵抗は、第1高濃度ドープされた領域151以外のドープされた導電層150と電極170との間の接触抵抗より低く、電流の伝導効果はより良く、光電変換効率を向上させることに有利である。
【0067】
図5は、本発明の別の実施形態によって提供された太陽電池の構造の概略図である。
図5に示された太陽電池は、
図1~
図3に示された太陽電池の一部の構造および組成が同じであり、主な相違点は、トンネル誘電体層とドープされた導電層が基板の第1表面(前表面とも呼ばれる)に位置されるという点にある。
図1~
図3に示された実施形態における説明と同じまたは類似の内容または要素の詳細は繰り返されず、上記の説明とは異なる説明のみが詳細に説明する。本発明の別の実施形態によって提供された太陽電池は、
図5と併せて以下で詳細に説明する。
【0068】
図5に示すように、太陽電池は、互いに対向する第1表面201(前表面201とも呼ばれる)および第2表面202(背表面202とも呼ばれる)を有する基板200と、基板200の第1表面201側に設置されたトンネル誘電体層240およびドープされた導電層250であり、トンネル誘電体層240は、ドープされた導電層250と基板200との間に位置されることと、基板200から離れたドープされた導電層250の表面に位置され、フロント不動態化層と見なされる不動態化層260と、間隔を置いて配置された複数の電極270(第1電極270とも呼ばれる)であり、電極270は、第2方向に沿って延在し、各電極270は、不動態化層260を貫通し、且つドープされた導電層250と接触することと、基板200の第2表面202側に位置された第2不動態化層207および電極208(また、第2電極208とも呼ばれる)であり、電極208は、第2不動態化層207を貫通し、且つ基板200と接触し、第2不動態化層207は、ビハインド不動態化層と見なされることとを含む。
【0069】
理解できるように、
図5に示された太陽電池は、逆接合太陽電池であってもよく、すなわち、前記電池のPN接合が電池の背面を形成する。前記ドープされた導電層250におけるドーピング元素と、前記基板200におけるドーピング元素のタイプとは同じであり、例えば、基板200はN型基板であり、ドープされた導電層250にはN型元素がドープされ、または、基板200はP型基板であり、ドープされた導電層250にはP型元素がドープされる。第2表面202に近い基板200の内部は、基板200のドーピング元素のタイプと反対であるエミッター領域が形成される。
【0070】
理解できるように、前記ドープされた導電層250と前述ドープされた導電層150(
図1~3を参照する)は、同じまたは類似の部品であり、すなわち、本発明の他の実施形態において、ドープされた導電層250は、間隔を置いて配置された複数の第1高濃度ドープされた領域を有する。同様に、基板200は、第2高濃度ドープされた領域を有してもよい。トンネル誘電体層240は、第3高濃度ドープされた領域を有してもよい。
【0071】
いくつかの実施形態において、第2不動態化層207は、単層構造または積層構造であってもよく、第2不動態化層207の材料は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化ケイ素、酸窒化シリコン炭素、酸化チタン、酸化ハフニウムまたは酸化アルミニウムなどの材料のうちの一つ又は複数であってもよい。
【0072】
電極208は、バーンスルースラリーから焼結することによって形成することができる。電極208と基板200との接触は、ローカル接触または完全接触であってもよい。電極208の材料は、アルミニウム、銀、ニッケル、金、モリブデン、または銅のうちの1つまたは複数であってもよい。
【0073】
いくつかの実施形態において、電極270は上部電極または前面電極であり、電極208は下部電極または背面電極である。
【0074】
図5に示された太陽電池の場合、トンネル誘電体層240およびドープされた導電層250は、基板200の第1表面201に位置され、且つドープされた導電層250は、第1高濃度ドープされた領域を有し、ドープされた導電層250のシート抵抗およびドープされた導電層250の光吸収を減少することができ、太陽電池の光電変換効率を改善することができる。同時に、2つの第1高濃度ドープされた領域は、同じ電極270と接触し、良好なオーミック接触を形成することができ、電流の伝導効果がよりよく、光電変換効率を改善することに有利である。また、トンネル誘電体層240およびドープされた導電層250は、基板200の第1表面201に位置され、基板200の第1表面201上のキャリアおよび空洞の再結合の可能性を低減することができ、電極270と基板200との直接接触によって金属再結合も減少することができ、光電変換効率を改善することに有利である。
【0075】
前記(
図1または
図5に示された太陽電池)は、基板の単一表面(第1表面または第2表面)にトンネル誘電体層および高濃度ドープされた領域を備えたドープされた導電層が設置された例であり、本発明の他の実施形態は、基板の両面(第1表面および第2表面)にトンネル誘電体層およびドープされた導電層を設置し、すなわち、太陽電池は、両面トンネル酸化物層不動態化接触電池である。
図1~
図5の実施形態での説明と同じまたは類似の内容または部品の詳細は繰り返されず、上記の説明とは異なる説明のみが詳細に説明する。詳細な説明は、
図6および
図7と併せて以下のように説明する。
【0076】
図6は、本発明の別の実施形態によって提供された太陽電池の概略構造図である。
図6に示すように、太陽電池は、互いに対向する第1表面301および第2表面302を有する基板300と、基板300の第1表面301側に位置されたトンネル誘電体層340(第1トンネル層340とも呼ばれる)およびドープされた導電層350(第1導電層350とも呼ばれる)であり、トンネル誘電体層340は、ドープされた導電層350と基板300との間に位置されることと、基板300から離れたドープされた導電層350の表面に位置され、フロント不動態化層と見なされる不動態化層360と、間隔を置いて配置された複数の電極370であり、電極370は第2方向に延在し、各電極370は不動態化層360を貫通し、且つドープされた導電層350と接触し、電極370は、上部電極または前面電極であることと、基板300の第2表面302の側に順次に積み重ねられた第1トンネル誘電体層381、第1ドープされた導電層382、第3不動態化層383、および電極384であり、電極384は、第3不動態化層383を貫通し、且つ第1ドープされた導電層382と接触し、第3不動態化層383は、ビハインド不動態化層と見なされ、電極384は、下部電極または背面電極であることとを含む。
【0077】
いくつかの実施形態において、ドープされた導電層350のドーピング元素のタイプは、基板300のドーピング元素のタイプと同じであり、第1ドープされた導電層382のドーピング元素のタイプは、基板300のドーピング元素のタイプと反対である。一例において、基板300はN型ドーピング元素を有し、ドープされた導電層350はN型ドーピング元素を有し、第1ドープされた導電層382はP型ドーピング元素を有する。別の例において、基板300はP型ドーピング元素を有し、ドープされた導電層350はP型ドーピング元素を有し、第1ドープされた導電層382はN型ドーピング元素を有する。
【0078】
理解できるように、
図6に示された太陽電池は、逆接合太陽電池であってもよい。
【0079】
前記ドープされた導電層350と
図1~3に記載のドープされた導電層150とは同じまたは類似の部品であり、前記ドープされた導電層350は、間隔を置いて配置された複数の第1高濃度ドープされた領域を有してもよい。同様に、基板300は、第2高濃度ドープされた領域を有してもよい。トンネル誘電体層340は、第3高濃度ドープされた領域を有してもよい。
【0080】
いくつかの実施形態において、第1トンネル誘電体層381の材料は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、固有アモルファスシリコン、および固有多結晶シリコンのうちのいずれか1つであってもよい。第1トンネル誘電体層381の厚さは0.5nm~2nmであってもよく、選択できるように、第1トンネル誘電体層381の厚さは0.5nm~1.5nmであり、さらに、第1トンネル誘電体層381の厚さは0.5nm~1.2nmである。第1ドープされた導電層382の材料は、多結晶シリコン、アモルファスシリコン、または微結晶シリコンのうちの少なくとも1つを含む。第1ドープされた導電層382の厚さは、40nm~150nmの範囲であり、選択できるように、第1ドープされた導電層382の厚さは、60nm~90nmの範囲である。
【0081】
いくつかの実施形態において、第3不動態化層383は、単層構造または積層構造であってもよく、第3不動態化層383の材料は、窒化シリコン、酸窒化シリコン、酸窒化シリコン炭素、酸化チタン、酸化ハフニウム、または酸化アルミニウムなどの材料のうちの1つまたは複数であってもよい。
【0082】
電極384は、バーンスルースラリーから焼結することによって形成することができる。電極384と第1ドープされた導電層381との接触は、ローカル接触または完全接触であってもよい。電極384の材料は、アルミニウム、銀、ニッケル、金、モリブデン、または銅のうちの1つまたは複数であってもよい。
【0083】
図6に示された太陽電池の場合、トンネル誘電体層340およびドープされた導電層350は、基板300の第1表面301に位置され、基板300の第1表面301のキャリアおよび空洞の再結合の可能性を低減することができ、電極370と基板300との直接接触による金属再結合も低減することができ、光電変換効率を改善することに有利であり、ドープされた導電層350は、第1高濃度ドープされた領域を有し、ドープされた導電層350のシート抵抗およびドープされた導電層350の光吸収を減少し、太陽電池の光電変換効率を改善することができる。同時に、2つの第1高濃度ドープされた領域は、同じ電極370と接触し、良好なオーミック接触を形成し、電流の伝導効果がよりよく、光電変換効率を改善することに有利である。さらに、基板300の第2表面302側に順次に積み重ねられた第1トンネル誘電体層381、第1ドープされた導電層382、第3不動態化383、および電極384であり、電極384は、第3不動態化層383を貫通し、且つ第1ドープされた導電層382と接触し、すなわち、太陽電池は両面トンネル酸化物層不動態化接触電池であり、基板300の第1表面301および第2表面302は両方とも光受容面であり、つまり、光生成キャリアを収集するための表面積を増やし、太陽電池の光電変換効率を向上させることに有利である。
【0084】
図7は、本発明の別の実施形態によって提供された太陽電池の概略構造図である。
図7が提供された太陽電池は、前述の実施形態(
図6)より提供された太陽電池の一部の構造および組成が同じであり、前述の実施形態の説明と同じまたは類似の内容または部品の詳細は繰り返されず、上記説明と異なる部分のみを詳細的に説明する。
【0085】
図7を参照すると、太陽電池は、互いに対向された第1表面401および第2表面402を有する基板400と、基板400の第1表面401側に順次に積み重ねられた第1トンネル誘電体層481、第1ドープされた導電層482、第3不動態化層483および電極484であり、電極484は第3不動態化層483を貫通し、且つ第1ドープされた導電層482と接触し、第3不動態化層483はフロント不動態化層と見なされ、電極484は、上部電極または前面電極であることと、基板400の第2表面402側に位置されたトンネル誘電体層440(第2トンネル層440とも呼ばれる)およびドープされた導電層450(第2導電層450とも呼ばれる)であり、トンネル誘電体層440は、ドープされた導電層450と基板400との間に位置されることと、基板400から離れたドープされた導電層450の表面に位置され、ビハインド不動態化層と見なされる不動態化層460と、間隔を置いて配置された複数の電極470であり、電極470は第2方向に沿って延在し、各電極470は不動態化層460を貫通し、且つドープされた導電層450と接触し、電極470は下部電極または背面電極であることとを含む。
【0086】
前記ドープされた導電層450と
図1~3に記載のドープされた導電層150とは、同じまたは類似の部品であり、前記ドープされた導電層450は、間隔を置いて配置された複数の第1高濃度ドープされた領域を有してもよい。同様に、基板400は、第2高濃度ドープされた領域を有してもよい。トンネル誘電体層440は、第3高濃度ドープされた領域を有してもよい。
【0087】
いくつかの実施形態において、ドープされた導電層450のドーピング元素のタイプは、基板400内のドーピング元素のタイプと同じであり、第1ドープされた導電層482のドーピング元素のタイプは、基板400内のドーピング元素のタイプと反対である。一例において、基板400はN型ドーピング元素を有し、ドープされた導電層450はN型ドーピング元素を有し、第1ドープされた導電層482はP型ドーピング元素を有する。別の例において、基板400はP型ドーピング元素を有し、ドープされた導電層450はP型ドーピング元素を有し、第1ドープされた導電層482はN型ドーピング元素を有する。
【0088】
理解できるように、
図7に示された太陽電池は、正接合太陽電池であってもよい。
【0089】
相応的に、一方で、本発明の実施形態は、受け取った光エネルギーを電気エネルギーに変換するために使用される光起電力モジュールを提供する。光起電力モジュールは、複数の上記(
図1~
図7)のいずれか1項の太陽電池を接続することによって形成された電池ストリングと、電池ストリングの表面を覆うために使用されるカプセル化フィルムと、カプセル化フィルムの電池ストリングから離れた表面を覆うために使用されるカバープレートとを含む
【0090】
カプセル化フィルムは、EVAまたはPOEなどの有機カプセル化フィルムであってもよく、カプセル化フィルムは、密封のために電池ストリングの表面を覆い、カバープレートは、ガラスカバープレートまたはプラスチックカバープレートなどであってもよく、カバープレートは、電池ストリングから離れたカプセル化層の表面を覆う。いくつかの実施形態において、入射光の利用率を高めるために、カバープレートに光トラップ構造が設置される。光起電力モジュールは、より高い集電容量とより低いキャリアの再結合率を持ち、より高い光電変換効率を実現することができる。
【0091】
相応的に、本発明の実施態様は、前述の実施形態(
図1~
図7)が提供された太陽電池を製造するために使用される太陽電池の製造方法を提供する。前述の実施形態での説明と同じまたは類似の内容または部品の詳細は繰り返されず、上記の説明とは異なる説明のみが詳細に説明される。例示的に、本発明の実施形態は、
図1~3に示されるような太陽電池を製造するための太陽電池の製造方法を提供する。
【0092】
図4、
図8~
図16を参照すると、
図8~
図16は、本発明の実施形態によって提供された太陽電池の製造方法における各ステップに対応する概略構造図である。ここで、
図11~
図14は、部分的な構造概略図であり、太陽電池の基板の第2表面の側の構造のみを示す。
【0093】
図8を参照すると、基板100が提供され、基板100は、互いに対向して設置された第1表面101と第2表面102を有する。
【0094】
図9を参照すると、エミッター110が形成され、エミッター110は、基板100の第1表面101側に位置される。
【0095】
図10~13を参考すると、トンネル誘電体層140およびドープされた導電層150が形成され、ドープされた導電層150は、基板100の第2表面102側に位置され、トンネル誘電体層140は、ドープされた導電層150と基板100との間に位置され、ドープされた導電層150は、ドーピング元素を有し、ドーピング元素のタイプは、N型またはP型であり、ドープされた導電層150は、間隔を置いて設置された複数の第1高濃度ドープされた領域151を有し、第1高濃度ドープされた領域151は第1方向に沿って延在し、且つドープされた導電層150は、基板100から離れた第1高濃度ドープされた領域151の表面から露出し、第1高濃度ドープされた領域151におけるドーピング濃度は、ドープされた導電層150における第1高濃度ドープされた領域151以外のドーピング濃度より大きい。
【0096】
いくつかの実施形態において、低圧化学蒸着(Low Pressure Chemical Vapor Deposition、LPCVD)またはプラズマ化学気相成長法(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition、PECVD)のうちの一つ又は複数によってトンネル誘電体層140が形成される。
【0097】
以下、ドープされた導電層150を形成するステップを、
図11~
図14を参照して詳細に説明する。
【0098】
図11を参照すると、初期ドープされた導電層104が形成され、初期ドープされた導電層104は、トンネル誘電体層140の基板100から離れた側に位置され、且つ初期ドープされた導電層150は、ドーピング元素を有する。
【0099】
いくつかの実施形態において、LPCVDによって本質ドープされた導電層が形成された後、拡散またはイオン注入によってドープされ、初期ドープされた導電層104が形成され、本質ドープされた導電層は、本質多結晶シリコン層であってもよい。他の実施形態において、PECVDによって初期導電性フィルムが堆積・ドープされて、次いでアニールされて初期ドープされた導電層104が形成され、初期導電性フィルムの材料は、アモルファスシリコンまたは微結晶シリコンであってもよい。初期ドープされた導電層104の材料は、多結晶シリコン、アモルファスシリコン、または微結晶シリコンであってもよい。例示的に、本発明における初期ドープされた導電層104の材料は、多結晶シリコンである。
【0100】
いくつかの実施形態において、初期ドープされた導電層104のドーピング濃度と深さとの間の関係は、
図4におけるドープされた導電層のECVドーピング曲線に一致し、ドープされた導電層のECVドーピング曲線は、第1高濃度ドープされた領域のドープされた導電層のECVドーピング曲線と、第1高濃度ドープされた領域以外のドープされた導電層のECVドーピング曲線とを含む。本発明は、初期ドープされた導電層104の特定のドーピング濃度および特定のドーピング深さを制限せず、
図4におけるドープされた導電層のECVドーピング曲線を満たす必要があるだけである。
【0101】
いくつかの実施形態において、初期ドープされた導電層104のドーピング元素のタイプは、基板100のドーピング元素のタイプと同じであってもよく、例えば、基板100のドーピング元素のタイプは、N型であり、初期ドープされた導電層104のドーピング元素のタイプはN型である。
【0102】
いくつかの実施形態において、初期ドープされた導電層104の厚さは、40nm~150nmの範囲であり、選択できるように、初期ドープされた導電層104の厚さは、60nm~90nmの範囲であり、初期ドープされた導電層104の厚さ範囲は、後続いて形成されたドープされた導電層の光損失が小さく、およびトンネル誘電体層140の界面不動態化効果がより良好であることを保証することができ、それによって電池の効率を改善する。初期ドープされた導電層104の厚さは、40nm~150nmであることを含むが、これらに限定されなく、当業者が知られている他の厚さであってもよい。
【0103】
図11と
図12を参考すると、第1高濃度ドープされた領域151を形成するために、初期ドープされた導電層104の一部の領域に対してドーピング処理を行って、一部の領域のドーピング元素の濃度を増加させる。残りの初期ドープされた導電層104は、ドープされた導電層150として機能する。
【0104】
理解できるように、ドーピング処理におけるドーピングとは、電気活性不純物や非電気活性不純物を含み、一定量・種類の不純物や元素を結晶に取り込むことを指し、一般に「ドーピング濃度」で漠然と表現し、本発明の実施形態におけるドーピングイオン濃度は、電気活性不純物濃度(イオン化状態)を指し、したがって、ドーピング濃度は、ドーピングイオン濃度より大きい。
【0105】
具体的には、
図11を参照すると、初期ドープされた導電層104の表面上にドーピング源層105が形成され、ドーピング源層105は、ドーピング元素を含む。
【0106】
いくつかの実施形態において、ドーピング源層105は、初期ドープされた導電層104の表面全体に位置される。ドーピング源層105の材料は、ホスホシリケートガラス(Phosphosilicate Glass、PSG)またはボロホスホシリケートガラス(Borophosphosilicate Glass、BPSG)を含むが、これらに限定されない。
【0107】
図12を参照すると、拡散プロセスを行い、一部の領域のドーピング源層105(
図10を参照する)内のドーパントイオンが初期ドープされた導電層104に拡散されることで、第1高濃度ドープされた領域151が形成され、ドーピング源層105を除去する。
【0108】
いくつかの実施形態において、ローカルレーザー技術によって拡散処理を行う。ウェットエッチングによってドーピング源層105を完全に除去し、残留ホスホシリケートガラスの存在によってシリコンウェーハの表面を空気中で湿らせて電流を減少させ、電力を減衰させることを回避し、後続きにドープされた導電層150で形成された不動態化層の脱落を回避することができ、太陽電池の光電変換効率を改善することに有利である。ウェットエッチング液は、HNO3とHFの混合液である。他の実施形態において、熱拡散プロセスまたはイオン注入プロセスによって拡散処理を行うことができる。
【0109】
なお、前述(
図11~12)は、ドーピング源層105が初期ドープされた導電層104の表面全体に位置されることを例とし、本発明の実施形態は、間隔を置いて分布する複数のドーピング源層が形成されてもよい。具体的には、以下を
図13と併せて具体的に説明する。
【0110】
図13を参照すると、複数のサブドーピング源層106が、初期半導体層150の表面上に間隔を置いて形成され、且つ各サブドーピング源層106は、第1方向に沿って延在する。
【0111】
いくつかの実施形態において、サブドーピング源層106の総表面積と初期ドープされた導電層104の面積との比は、1%~20%の範囲であり、具体的には、基板100におけるすべてのサブドーピング源層106の正射影の総面積と、基板100における初期ドープされた導電層104の正射影の面積との比は、1%~20%の範囲であり、具体的には5%、3%、10%、15%、または20%であり、この比の範囲は、その後に形成された第1高濃度ドープされた領域の面積が大きすぎるため、太陽電池の過度の光吸収を回避することができ、太陽電池の光電変換効率を改善することに有利であり、同時に、第1高濃度ドープされた領域の面積が小さすぎるため、第1高濃度ドープされた領域の初期ドープされた導電層104のシート抵抗が大きくなることを回避することができ、且つその後に形成された電極との接触面積が小さい場合、ドープされた導電層とその後に形成された電極との接触抵抗の抵抗値を低減することに有利であり、それによって電流の伝導率および太陽電池の光電変換効率を向上させる。
【0112】
いくつかの実施形態において、その後に形成されて電極の下方に位置された異なるサブドーピング源層106は、等間隔で配置され、その結果、その後に形成された各第1高濃度ドープされた領域の電流収集は比較的均一である。好ましくは、その後に形成された電極の下方に位置された同じサブドーピング源層106は、等間隔で配置され、その結果、各第1高濃度ドープされた領域の電流収集はより均一になる。
【0113】
いくつかの実施形態において、複数のサブドーピング源層106の配置方向に沿って、サブドーピング源層106の幅は20μm~100μmであり、具体的には、20μm、40μm、58μm、82μm、または100μmである。複数のサブドーピング源層106の配置方向に沿って、隣接するサブドーピング源層106の間の距離は、0.8mm~4mmの範囲であり、具体的には、0.8mm、1.5mm、2.8mm、3.6mm、または4mmである。サブドーピング源層106の幅と隣接するブドーピング源層106との間の間隔距離は、その後に形成された第1高濃度ドープされた領域の総表面積とドープされた導電層の表面積との比が1%~20%の範囲であることをさらに確実にすることができる。
【0114】
いくつかの実施形態において、サブドーピング源層106の材料は、ホスホシリケートガラスまたはボロホスホシリケートガラスを含むが、これに限定されない。
【0115】
図11を参照し続けると、拡散プロセスを行い、サブドーピング源層106(
図13を参照)のドーピング元素が初期ドープされた導電層104に拡散されることで、第1高濃度ドープされた領域151が形成される。サブドーピング源層106を除去する。
【0116】
理解できるように、ドーピング処理を行い、基板100から離れた初期ドープされた導電層104の上面をある程度で排除し、すなわち、第1高濃度ドープされた領域151のドープされた導電層150が基板100から離れた上面は、第1高濃度ドープされた領域151以外のドープされた導電層150の上面より低く、高さ差は、第1高濃度ドープされた領域151以外のドープされた導電層150の厚みの20%より小さい。選択できるように、第1高濃度ドープされた領域151の基板100から離れた上面は、第1高濃度ドープされた領域151以外のドープされた導電層150の上面と同一平面である。
【0117】
他の実施形態において、
図14を参照して、拡散プロセスを行い、一部の領域のドーピング源層105(
図11を参照する)内のドーピング元素を初期ドープされた導電層104に拡散させることで、第1高濃度ドープされた導電層151を形成し、また、ドーピング源層105内のドーピング元素をトンネル誘電体層140および部分的な厚さの基板100に拡散させることで、基板100内に第1高濃度ドープされた導電層151と真向かう第2高濃度ドープされた領域103を形成し、トンネル誘電体層140内に、第1高濃度ドープされた領域151と真向う第3高濃度ドープされた領域141を形成し、ドーピング源層105を除去する。
【0118】
いくつかの実施形態において、第1高濃度ドープされた領域151は、ドープされた導電層150の厚さを貫通し、すなわち、第1高濃度ドープされた領域151の深さとドープされた導電層150の厚さとの比は100%である。
【0119】
なお、
図12に示された太陽電池の第1高濃度ドープされた領域151のドーピング濃度と、
図14に示された太陽電池の第1高濃度ドープされた領域151のドーピング濃度とは、同じであっても異なっていてもよく、ただし、太陽電池の第1高濃度ドープされた領域151のドーピング範囲は2E+20cm
-3~1E+22cm
-3である。
【0120】
同様に、第1高濃度ドープされた領域151の幅および長さ、ならびに隣接する第1高濃度ドープされた領域151の間の距離は、異なる構造要件に従って設定することができるが、第1高濃度ドープされた領域151の総表面積とドープされた導電層150の表面積との比は1%~20%の範囲であることを満たす必要がある。
【0121】
532nmのレーザー波長を有するナノ秒レーザーまたはドーピングを実現できる他のレーザーを使用して、
図12および14の太陽電池を形成し、、且つ
図12および
図14の太陽電池を形成するための拡散処理のプロセスパラメーターが異なってもよい。いくつかの実施形態において、
図12に示された太陽電池を形成するためのプロセスパラメーターは、レーザー出力が5W~40Wで、レーザー周波数が50KHz~250KHzであることを含み、
図14に示された太陽電池を形成するためのプロセスパラメーターは、レーザー出力が40W~100Wで、レーザー周波数は250KHz~450KHzであることを含む。
【0122】
図15を参照すると、不動態化層160が形成され、不動態化層160は、基板100から離れたドープされた導電層150の表面に位置される。
【0123】
図15を参照し続けると、第1不動態化層120が形成され、第1不動態化層120は、基板100から離れたエミッター110の表面に位置される。
【0124】
図16を参照すると、間隔を置いて配置された複数の電極170が形成され、電極170が第2方向に沿って延在し、各電極170は不動態化層160を貫通し、且つドープされた導電層150と接触し、且つ少なくとも2つの第1高濃度ドープされた領域151は同じ電極170と接触する。
【0125】
図16を参照し続けると、間隔を置いて配置された複数の電極130が形成され、電極130は第2方向に沿って延在し、且つ各電極130は第1不動態化層120を貫通し、且つエミッター110と接触する。
【0126】
他の実施形態において、太陽電池の製造方法によって、
図5に示すような太陽電池を形成することができ、互いに対向する第1表面201および第2表面202を有する基板200と、第1表面101の側に順次に積み重ねられたトンネル誘電体層240、ドープされた導電層250、不動態化層260、および間隔を置いて配置された複数の電極270であり、電極270は不動態化層260を貫通し、且つドープされた導電層250と接触することと、第2表面202の側に順次に形成された第2不動態化層207および電極208であり、電極208は、第2不動態化層207を貫通し、且つ基板200と接触することとを含む。
【0127】
理解できるように、第2不動態化層207を形成するためのプロセスステップは、前述の実施形態における第1不動態化層120(
図15を参照する)を形成するためのプロセスステップと同じまたは類似であり、ここでは繰り返されない。同様に、電極208を形成するためのプロセスステップは、前述の実施形態における電極130(
図16を参照する)を形成するためのプロセスステップと同じまたは類似である。
【0128】
さらに、他の実施形態において、太陽電池の製造方法は、
図6に示すような太陽電池を形成することができ、互いに対向する第1表面301および第2表面302を有する基板300と、第1表面301の側に順次に積み重ねられて形成されたトンネル誘電体層340、ドープされた導電層350、不動態化層360、および間隔を置いて配置された複数の電極370であり、電極370は不動態化層360を通過し、且つドープされた導電層350と接触することと、第2表面302の側に順次に積み重ねられて形成された第1トンネル誘電体層381、第1ドープされた導電層382、第3不動態化層383、および電極384であり、電極384は第3不動態化層383を貫通し、且つ第1ドープされた導電層382と接触することとを含む。
【0129】
理解できるように、第1トンネル誘電体層381を形成するためのプロセスステップは、前述の実施形態におけるトンネル誘電体層140(
図10を参照する)を形成するためのプロセスステップと同じまたは類似であり、ここで繰り返されない。同様に、第1ドープされた導電層382を形成するためのプロセスステップは、前述の実施形態におけるドープされた導電層150(
図10を参照する)を形成するためのプロセスステップと同じまたは類似である。第3不動態化層383を形成するためのプロセスステップは、前述の実施形態における不動態化層160(
図15を参照する)を形成するためのプロセスステップと同じまたは類似である。電極384を形成するためのプロセスステップは、前述の実施形態における電極170(
図15を参照する)を形成するためのプロセスステップと同じまたは類似である。
【0130】
さらに、他の実施形態において、太陽電池の製造方法は、
図7に示すような太陽電池を形成することができ、互いに対向する第1表面401および第2表面402を有する基板400と、第1表面401の側に順次に積み重ねられて形成された第1トンネル誘電体層481、第1ドープされた導電層482、第3不動態化層483、および電極484であり、電極484は第3不動態化層483を貫通し、且つ第1ドープされた導電層484と接触することと、第2表面402の側に順次に積み重ねられて形成されたトンネル誘電体層440、ドープされた導電層450、不動態化層460、および間隔を置いて配置された複数の電極470であり、電極470は不動態化層460を貫通し、且つドープされた導電層450と接触することとを含む。
【0131】
当業者が理解できるように。上記の各実施例は、本発明を実現するための具体的な実施例であるが、実際の応用において、形式及び細部で種々の変更を行うことができ、本発明の精神及び範囲から逸脱することない。当業者が本発明の精神及び範囲から逸脱しない範囲で、独自の変更および修正を行うことができ、したがって、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲によって定義される範囲に従うものとする。
【要約】 (修正有)
【課題】不動態化接触太陽電池の光電変換効率を改善する。
【解決手段】太陽電池は、基板と、基板の表面上に位置されたトンネル誘電体層およびドープされた導電層であり、トンネリング誘電体層は、ドープされた導電層と基板との間に位置され、ドーピング元素のタイプはN型またはP型である。ドープされた導電層は、間隔を置いて配置された複数の第1高濃度ドープされた領域を有し、第1高濃度ドープされた領域は第1方向に沿って延在し、第1高濃度ドープされた領域におけるドーピング濃度は、第1高濃度ドープされた領域以外のドーピング濃度より大きいことと、ドープされた導電層の基板から離れた表面に位置された不動態化層と、間隔を置いて配置された複数の電極であり、電極が第2方向に沿って延在し、電極が不動態化層を貫通してドープされた導電層と接触し、且つ少なくとも2つの第1高濃度ドープされた領域が同じ電極と接触することとを含む。
【選択図】
図2