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▶ 吉村 きよ美の特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】鍵付き折り畳みハンガ-
(51)【国際特許分類】
   A47G 25/28 20060101AFI20221101BHJP
   E05B 69/00 20060101ALI20221101BHJP
   A47G 25/40 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
A47G25/28 C
E05B69/00
A47G25/40 A
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2022014515
(22)【出願日】2022-01-14
【審査請求日】2022-01-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513074747
【氏名又は名称】吉村 きよ美
(72)【発明者】
【氏名】吉村 善四郎
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】実開昭54-113625(JP,U)
【文献】英国特許出願公開第02184008(GB,A)
【文献】実開平5-84272(JP,U)
【文献】登録実用新案第3215493(JP,U)
【文献】特開昭62-197013(JP,A)
【文献】韓国公開実用新案第20-2017-3780(KR,U)
【文献】特開平7-255584(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 25/28
E05B 69/00
A47G 25/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蝶番部と該蝶番部の両側に持ち出し片を備えてマチ部とし、
該マチ部の両側に、襟部と肩掛け部からなるハンガ-体の襟部をそれぞれ横方向に向けて連設し、
該両側のハンガ-体が前記蝶番部の回動によって対向したとき、前記マチ部と襟部によって生じる区画と、
前記ハンガ-体の対向状態でハンガ-体が開かない状態を維持するように施錠するとともに、解錠可能な施解錠機構を前記区画内に備えた鍵付き折り畳みハンガー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンガ-に衣服を掛けた状態から、ポケットの内容物を抜き取る等の盗難を防止するためと、一定幅の間により多くの衣服を掛けられるようにするために、ハンガーに衣服を掛けたあとで、掛けてある衣服ごとハンガーを中央から前合わせに折り畳み、この状態を持続するための錠と鍵を備えた鍵付き折り畳みハンガーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、衣服用のハンガーに鍵と錠を備えたものはなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-264246
【文献】実開昭60-120669
【文献】実開昭54-105735
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
先ず特許文献1は、VまたはU字状の腕部は、洗濯直後の衣服の袖にハンガーを挿通するとき、首回りを広げすぎないようにするために、ハンガーを中央で折り曲げて腕部の幅を小さくしたものであり、また腕部と腕部の間隔を調整できるように、文献1の請求項1には可 性若しくは弾性材と記載している。
更に文献1の請求項4には、腕部と腕部の連結部に蝶番またはヒンジを用いて腕部を回動可能との記載もあるが、これは単に腕部と腕部の間隔を調節して、袖にハンガーを通しやすくするための手段であって、本願の蝶番とは目的と効果ともに異なるし、鍵を設ける思考はない。
【0005】
次に文献2は、本願の元となる構成であって、図によれば全ての実施例において、中央で蝶着された左右の肩掛部を畳むと、蝶着部にマチ部がないので、肩掛部と肩掛部が密着してしまう構成になっている。
従って、このハンガーに衣服を掛けて折り畳むと左右の襟が内側で二重に挟まるために、左右の肩掛部が蝶着部を芯にV字形に開いてしまう、この状態は文献2の第8図に記載されている。
すなわち、このV字形の角度が、布地の厚さと縫製の仕方次第で変化してしまうので、明らかに鍵を付けられる構成ではないし、発明者としてその思考はなかった。
【0006】
次に文献3は、構成自体は文献2と同じであるが、文献3の6図のみに連結手段として縦設中間連結部材(9)が描かれ、そしてこの縦設中間連結部材(9)の両側に上下2ヵ所ずつ設けた蝶番部材(8)を介して、肩掛杆(41)と吊下杆(42)からなるハンガー体形成部材(6)を左右に設けている。
すなわち、縦設中間連結部材(9)の両側に回動軸が存在すことで、左右のハンガー体成形部材(6)を閉じようとすると二箇所でそれぞれに回動してしまう。
従って、ハンガー体成形部材(6)が密着したときには、仮に左側の蝶番が180度開くと、右側の蝶番は0度となり、逆に左側の蝶番が0度のときは右側の蝶番は180度開いてしまい、左右のハンガー体形成部材(6)をが、閉じた時点で縦設中間連結部材(9)の幅の分ズレる状態で、そしてそのズレ幅は正逆両方向に生じるので縦設中間連結部材の幅の約二倍になる。
因って、左右のハンガー体成形部材の間隔が定まらないし、位置もズレる構成であるから、鍵を付けることはできないし、その思考は全くなされていない。
【0007】
また、文献3の7頁最下2行から「(11)は前記吊下杆の好ましくは開放端部(2a)に設けた係止用補助具であって、前記肩掛杆を実質上折り畳んだ状態で維持させる目的のための補助具である」との記載があるが、この記載された文言のほかにこれに関する記載はなく、第1図に係止用補助具として線のみが描かれているが、全く具体性はない。
また、左右のハンガー体成形部材の位置のズレと、間隔が定まらない以上、係止用補助具と記載しても使用できる金物はないし、作ることも難しい。
そこで本願の発明は、ハンガ-に衣服掛けた状態のままで、胸と胸が密着するように折り畳むことができ、盗難を防止することと、一定幅の間により多くの衣服を掛けることができる、鍵付き折り畳みハンガーを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は蝶番部と該蝶番部の両側に持出し部を備えてマチ部とし、該マチ部の両側に、襟部と肩掛け部からなるハンガー体の襟部をそれぞれ横方向に向けて連設し、該両側のハンガー体が前記蝶番部の回動によって対向したとき、前記マチ部によって生じる区画内に、前記ハンガー体の対向状態で作用する錠を前記襟部に備えている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の鍵付き折り畳みハンガーは、折り畳んで対向するハンガー体のマチ部によって生じる区画内に錠を取り付けることで、以下に述べる効果がある。
1.通常のハンガーと同じ要領で衣服を掛けたのち、左右の胸と胸が密着するように折り畳むので、通常外側のポケットは向き合う形で密着し、内ポケットは更に内側に入り、その状態を維持したまま鍵を掛けられるので、鍵の所有者以外の者がポケット内に手を入れることは困難であるから、防犯効果を高められる。
更に、防犯効果が高いことで、飲食店や理髪店などのように、掛けた衣服に目が届きにくい店内であっても、安心して衣服を掛けておける。
このことは、衣服の持ち主の安心だけではなく、店側にとっても、客側に対して防犯行動を示せるので、店の信用を高める効果もある。
また、鍵が掛かることで犯罪の抑止効果も得られる。
2.本発明のハンガーは、衣服を掛けて折り畳んだときの幅が従来のハンガーの半分しかないので、一定幅の間に掛けられる衣服の数が従来の2倍になり、特に狭い店内では有効である。
【図面の簡単な説明】
【00010】
図1】 本発明の実施例1のハンガー体を広げた状態の正面図である。
図2図1のa-a矢視図である。
図3図1のハンガー体を折り畳んだ状態の正面図である。
図4図3のb-b矢視図である。
図5】 実施例1の使用状態を示す斜視図である。
図6】 本発明の実施例2の一部を具象化した一例を示す正面図である。
図7】 本発明の実施例3のハンガー体を広げた状態の正面図である。
図8】 本発明の実施例4のハンガー体を折り畳んだ状態の部分正面図である。
図9図8のハンガー体を広げた状態の部分正面図である。
図10図8のc-c矢視図である。
図11】 本発明の実施例5のハンガー体を折り畳んだ状態の部分平面図である。
図12図11のハンガー体を少し広げた状態の部分平面図である。
【発明を実施するための形体】
【0011】
本発明の鍵付き折り畳みハンガーは、以下に述べる実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内、すなわち同一の作用効果を発揮できる形状及び寸法の範囲内で、適宜変更することができる。
【実施例1】
【0012】
先ず本発明の実施例1を、図1図2図3図4図5に基づいて詳細に説明する。
実施例1は本発明の代表的な構成を示すもので、図1はハンガー体Aとハンガー体Bを開いた状態の正面図であって、左右の肩掛け部1・2に連設する襟部3・4はともに図2に記載する持出し片7及び8を介して蝶番部9によって中央で連結して開閉可能とし、なお襟部3に凹部6を形成する吊部5を設けけている。
更に襟部3の手前面に通常「風呂屋錠」と呼ばれる、錠と鍵に同番号が付された錠21を設けている。
ここで吊部5に形成する凹部6の位置は、本ハンガーに衣服を掛けて折り畳み、凹部6をフックに吊るしたときに、衣服が垂下することを要する。
そしてこの風呂屋錠は、固定部24を備えた押し体23を押し込むことで施錠され、施錠された時点で札形の鍵25が抜き取れるものであり、鍵25を元の位置に差し入れることで施錠を解除できるものである。
因みに鍵に付された番号41は説明のためのもので任意である。
【0013】
また、本実施例は風呂屋錠をもって説明していて、錠21をハンガー体Aの側に設けているので、ハンガー体Bを閉じると、錠21がハンガー体Bの裏に隠れて番号が見えなくなってしまう。
そこで、従来の錠に付すべき番号を襟部4の裏側の面、すなわちハンガー体Bを閉じたときに正面となる位置に付さなければならない。
従って従来は錠と鍵に同番号を付し、その状態で販売すれば済んだのであるが、本実施例の場合は、錠に付す番号を錠とは別途に番号付す手段を設ける必要があり、その分費用が嵩んでしまうが、本実施例には使いやすさの点において風呂屋錠が最も適している。
【0014】
次に図2図1を上から見た図であって、蝶番部9に備えた持出し片7の端部から左に向け且つ直角に、襟部3と吊部5と肩掛け部1からなるハンガー体Aの襟部を連設し、また、蝶番部9に備えた持出し片8の端部から右に向け且つ直角に、襟部4と肩掛け部2からなるハンガー体Bの襟部を連設している。
更に、ハンガー体A側の襟部3に錠21を設け、この錠21の左側に固定部24を有する押し体23を設けている。
【0015】
次に図3図1の蝶番部9を芯にしてハンガー体Bを180度反転し、本ハンガーを折り畳んだ状態の正面図であって、ハンガー体Aとハンガー体Bが重なった状態を示している。
本図において押し体23が押し込まれ、この押し体23に形成する固定部24は襟部4の手前に被さるように移動し、ハンガー体4が開かない状態、すなわち施錠した状態を示している。
そして引き抜いた鍵25と襟部4に同番号が記されている。
【0016】
次に図4図3の錠の部分を上から見た図であって、蝶番9を介して持出し片7から直角方向にハンガー体Aを連設し、更に持出し片8から直角方向にハンガー体Bを連設している。
また、押し体23が押し込まれると、固定部24が襟部4の前に被さる状態になって施錠状態であることを示している。
ここで重要なことは、ハンガー体Aとハンガー体Bを閉じたときに、蝶番部9と持出し片7と8とによるマチ部10が造りだす区画であって、マチ部10の幅は、本ハンガーに衣服を掛けて折り畳んだときに、たとえ分厚い生地で二重になったとしても、ハンガー体Aとハンガー体Bの平行を維持できる幅を確保できることである。
また、このマチ部10による区画が存在することで、ここに錠を設けることができるのである。
【0017】
次に従来からの風呂屋錠と本実施例の風呂屋錠との違いについて述べる。
従来の風呂屋錠は鍵を掛けるために錠の左側に位置する押し体を押し込むと、本実施例の固定部24に相当する部材が錠の右側に突き出し、この突き出た部分が、そこに設けた受け部の内に進入することで施錠される。
しかし本実施例に必要な風呂屋錠は従来のものとは異なるもので、固定部24が錠21の左側に位置する押し体23の側に設けられていているので、押し体23を押し込むのと同時に錠21の左側で施錠される。
従って錠21の右側に固定部24が突き出ることはなく、受け部も存在しない。
また、本実施例において錠をハンガー体Aの側に設けているが、逆勝手の風呂屋錠によればハンガー体Bに錠を設けることもできる。
そしてこの錠は本実施例では風呂屋錠としているが、これに限るものではなく、他にシリンダー錠、ダイヤル錠、プッシュ錠、ネジ締まり錠等、大きさと形状を適宜に合わせればどの様な錠でも利用できる。
【0018】
次に図5は実施例1の本ハンガーに衣服を掛けて折り畳み、施錠した状態を示していて、図示するように胸と胸が密着し、全てのポケットが内側になる。
また、図示するように衣服を本ハンガーに掛けてフックに吊るしたとき、抜き取った手持ちの鍵と同番号の数字が襟の上に見えるようにしている。
【実施例2】
【0019】
次に本発明の実施例2を図6に基づいて詳細に説明する。
本実施例は実施例1の吊り部5の形状を具象化したもので、図示は白鳥がモチーフであり、喉の位置が凹部14としてここをフックに吊るすようにしている。
そして本実施例の吊部13は一例として鳥類としているが、これに限るものではなく、その他動植物や物体など何をモチーフにしてもよい。
【0020】
次に本発明の実施例3を図7に基づいて詳細に説明する。
本実施例は基本的には前述の実施例1と同じであって、ハンガー体Aに設けた吊部5をハンガー体Bの側にも設けたもので、本実施例を使用する場合は、本ハンガーを折り畳むと吊部5と吊部15が重なるので強度を二倍にすることができる。
【0021】
次に本発明の実施例4を図面8・9・10に基づいて詳細に説明する。
先ず図8は本実施例を閉じた状態の部分正面図であって、シリンダー錠26は通常ロッカー等に使用する錠であるが、その大きさと構造はそのままの状態で本実施例にも使用することができ、ハンガー体B側の襟部4に固定している。
次に図9はハンガー体Bを開いた状態の部分正面図であって、図示はハンガー体Bの裏面が見えていて、シリンダー錠26を後方から見た図である。
シリンダー錠26の後端には固定体27を有し、施錠する際はハンガー体Bを閉じて、鍵によって定体27を矢印の方向に旋回させ、ハンガー体A側に設けた受け部28の中に進入すると施錠を完了する。
次に図10図8のc-c矢視図であって、シリンダー錠26をハンガー体Bの襟部4に固定し、固定体27の先端部が受け部28内に位置して施錠状態を示している。
そして本実施例においても実施例1と同じく、蝶番部9と持出し部7と8によってマチ部10としている。
【0022】
次に本発明の実施例5を図面11・12に基づいて詳細に説明する。
先ず図11は本実施例のハンガー体Aとハンガー体Bを閉じた状態の平面図であって、錠22を蝶番部9と持出し片7・8とからなるマチ部に設けていて、押し体29にハンガー体A側の襟部3とハンガー体B側の襟部4とに係わる固定部24・24を備えている。
図視は押し部29が押し込まれていて施錠状態を示している。
次に図12図11に示すハンガー体Aとハンガー体Bを少し開いた状態を示していて、錠21は蝶番部9に固定しているが、持出し片7またはハンガー体8に固定することもできる。
ここで全ての実施例において起こりうる問題であるが、本ハンガーに衣服を掛けるとき、仮にハンガー体Aを片手に持ち、もう片方の手に衣服を持って掛けようとしたとき、蝶番部によってハンガー体Bが不用意に回動してしまうと、衣服を掛けにくくなる。
そこでこの状況を回避するために、ハンガー体Aとハンガー体Bを開いたときに直線の状態を持続する手段として、ハンガー体Aとハンガー体Bに係わる磁石またはバネ等を設けるとよい。
【符号の説明】
【0023】
A・B:ハンガー体 1・2:肩掛け部 3・4:襟部
5:吊部 6:凹部 7・8:持出し片
9:蝶番部 10:マチ部 11:肩掛け部
12:襟部 13:具象体 14:凹部
21:錠 22:鍵穴 23:押し体
24:固定部 25:鍵 26:シリンダー錠
27:固定体 28:受け部 29:押し体
【要約】
【課題】 これまでに衣服を掛けたハンガーを前合わせに中心にて折り畳み、その状態を維持するための錠と鍵を備えたものはなかった。
【解決手段】 本発明は蝶番部と該蝶番部の両側に持出し部を備えてマチ部とし、該マチ部の両側に、襟部と肩掛け部からなるハンガー体の襟部をそれぞれ横方向に向けて連設し、該両側のハンガー体が前記蝶番部の回動によって対向したとき、前記マチ部によって生じる区画内に、前記ハンガー体の対向状態で作用する錠を前記襟部に備えている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12