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特許7168803広告枠取引支援システム、広告枠取引支援方法及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】広告枠取引支援システム、広告枠取引支援方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20221101BHJP
【FI】
G06Q30/02 380
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022031937
(22)【出願日】2022-03-02
【審査請求日】2022-03-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504133028
【氏名又は名称】株式会社博報堂DYメディアパートナーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】糸永 洋三
(72)【発明者】
【氏名】大石 崇史
(72)【発明者】
【氏名】島村 徹
(72)【発明者】
【氏名】見並 良治
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 雄介
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼▲柳▼ 太志
(72)【発明者】
【氏名】保戸田 未桜
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 新
【審査官】田中 寛人
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-030671(JP,A)
【文献】吉野 琢生,広告ビジネスに関わる人のメディアガイド2020 初版 MEDIA GUIDE 2020,第1版,株式会社宣伝会議 東 彦弥,2021年05月10日,p.94, p.96, p.149, p.151
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
広告枠の取引を支援する広告枠取引支援システムであって、
予約型広告に関する複数の広告枠であって媒体が互いに異なる複数の広告枠の情報をネットワーク上に公開するように構成される公開部と、
前記複数の広告枠のそれぞれについて共通指標を算出するように構成される算出部と、
前記共通指標に基づいて、ユーザに前記複数の広告枠のうちの少なくとも1つを提示するように構成される提示部と、
ターゲットセグメントに関する条件を取得するように構成されるターゲット取得部と、
前記共通指標を算出するために用いられる各種データが記憶されているデータベースと、
を備え、
前記共通指標は、前記広告枠の効果及び/又は効率を表す指標であって、媒体が互いに異なる前記複数の広告枠に共通して用いられる指標であり、
前記各種データは、調査対象者に対してメディアへの接触状況を調査して得られるデータであるメディア接触調査データと、前記広告枠に出稿される広告の広告注目率に関する調査データである広告注目率調査データと、を含み、
前記メディア接触調査データは、前記調査対象者を識別するためのモニタID、前記調査対象者の属性であるモニタ属性、ウェイトバック集計に用いられる重みである人口ウェイト、及び、前記調査対象者のビークルごとの接触頻度であるビークル接触頻度を含み、
前記広告注目率は、特定のビークルに接触した人のうち、そのビークルにおける特定の広告枠に出稿された広告に注目する人の割合であり、
前記算出部は、前記各種データを用いて、前記ターゲットセグメントに対する前記広告枠に出稿される広告の接触度合いを前記共通指標として算出する、
広告枠取引支援システム。
【請求項2】
広告枠の取引を支援する広告枠取引支援システムであって、
予約型広告に関する複数の広告枠であって媒体が互いに異なる複数の広告枠の情報をネットワーク上に公開するように構成される公開部と、
前記複数の広告枠のそれぞれについて共通指標を算出するように構成される算出部と、
前記共通指標に基づいて、ユーザに前記複数の広告枠のうちの少なくとも1つを提示するように構成される提示部と、
前記共通指標を算出するために用いられる各種データが記憶されているデータベースと、
を備え、
前記共通指標は、前記広告枠の効果及び/又は効率を表す指標であって、媒体が互いに異なる前記複数の広告枠に共通して用いられる指標であり、
前記各種データは、態度変容寄与指標の算出に用いる態度変容寄与パラメータを含み、
前記算出部は、前記各種データを用いて、前記広告枠に出稿される広告が態度変容にどの程度寄与するかを表す指標である前記態度変容寄与指標を前記共通指標として算出する、
広告枠取引支援システム。
【請求項3】
請求項2に記載の広告枠取引支援システムであって、
前記態度変容寄与パラメータは、広告に接触した人の回答と前記広告に接触していない人の回答とを比較して算出される態度変容率であり、
前記態度変容率は、どの程度の人が態度変容したかを示す割合である、
広告枠取引支援システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の広告枠取引支援システムであって、
ターゲットセグメントに関する条件を取得するように構成されるターゲット取得部を備え、
前記算出部は、前記各種データを用いて、前記ターゲットセグメントに対する前記広告枠に出稿される広告の接触度合い又は当該接触度合いに基づき算出される量を、前記広告枠の料金で除した値をコスト効率として算出して、前記コスト効率を前記共通指標として算出する、
広告枠取引支援システム。
【請求項5】
広告枠の取引を支援する広告枠取引支援システムであって、
予約型広告に関する複数の広告枠であって媒体が互いに異なる複数の広告枠の情報をネットワーク上に公開するように構成される公開部と、
前記複数の広告枠のそれぞれについて共通指標を算出するように構成される算出部と、
前記共通指標に基づいて、ユーザに前記複数の広告枠のうちの少なくとも1つを提示するように構成される提示部と、
前記共通指標を算出するために用いられる各種データが記憶されているデータベースと、
対象となる業種である対象業種又は対象となる商品若しくはサービスのカテゴリである対象カテゴリを取得するように構成される業種カテゴリ取得部と、
を備え、
前記各種データは、過去に行われた広告出稿に関するデータである出稿実績データを含み、
前記出稿実績データは、前記広告枠を用いて行われた広告出稿の総出稿量を含んでおり、
前記算出部は、前記各種データを用いて、前記広告枠を用いて行われた広告出稿の総出稿量のうち、前記対象業種又は前記対象カテゴリに関する広告出稿の出稿量の構成比を、当該広告枠の前記共通指標として算出する、広告枠取引支援システム。
【請求項6】
広告枠の取引を支援する広告枠取引支援システムであって、
予約型広告に関する複数の広告枠であって媒体が互いに異なる複数の広告枠の情報をネットワーク上に公開するように構成される公開部と、
前記複数の広告枠のそれぞれについて共通指標を算出するように構成される算出部と、
前記共通指標に基づいて、ユーザに前記複数の広告枠のうちの少なくとも1つを提示するように構成される提示部と、
前記共通指標を算出するために用いられる各種データが記憶されているデータベースと、
対象となる業種である対象業種又は対象となる商品若しくはサービスのカテゴリである対象カテゴリを取得するように構成される業種カテゴリ取得部と、
を備え、
前記各種データは、過去に行われた広告出稿に関するデータである出稿実績データを含み、
前記出稿実績データは、前記広告枠を用いて行われた広告出稿の総出稿量を含んでおり、
前記算出部は、前記各種データを用いて、前記複数の広告枠のそれぞれについて、当該広告枠を用いて行われた前記対象業種又は前記対象カテゴリに関する広告出稿の出稿量、又は、前記対象業種若しくは前記対象カテゴリに関する広告出稿の総広告出稿量に対する当該広告枠の前記出稿量の構成比を、当該広告枠の前記共通指標として算出する、広告枠取引支援システム。
【請求項7】
広告枠の取引を支援する広告枠取引支援システムであって、
予約型広告に関する複数の広告枠であって媒体が互いに異なる複数の広告枠の情報をネットワーク上に公開するように構成される公開部と、
前記複数の広告枠のそれぞれについて共通指標を算出するように構成される算出部と、
前記共通指標に基づいて、ユーザに前記複数の広告枠のうちの少なくとも1つを提示するように構成される提示部と、
前記共通指標を算出するために用いられる各種データが記憶されているデータベースと、
ターゲットセグメントに関する条件を取得するように構成されるターゲット取得部と、
を備え、
前記各種データは、過去に行われた広告出稿に関するデータである出稿実績データを含み、
前記出稿実績データは、前記広告枠を用いて行われた広告出稿の総出稿量を含んでおり、
前記算出部は、前記各種データを用いて、前記広告枠に出稿される広告の接触者全体における、前記ターゲットセグメントに属する接触者が占める割合をターゲット含有率として算出して、前記ターゲット含有率を前記共通指標として算出する、
広告枠取引支援システム。
【請求項8】
コンピュータの動作方法のうち広告枠の取引を支援する広告枠取引支援方法であって、
予約型広告に関する複数の広告枠であって媒体が互いに異なる複数の広告枠の情報をネットワーク上に公開することと、
前記複数の広告枠のそれぞれについて共通指標を算出することと、
前記共通指標に基づいて、ユーザに前記複数の広告枠のうちの少なくとも1つを提示することと、
ターゲットセグメントに関する条件を取得することと、
前記共通指標を算出するために用いられる各種データをデータベースに記憶させることと、
を含み、
前記共通指標は、前記広告枠の効果及び/又は効率を表す指標であって、媒体が互いに異なる前記複数の広告枠に共通して用いられる指標であり、
前記各種データは、調査対象者に対してメディアへの接触状況を調査して得られるデータであるメディア接触調査データと、前記広告枠に出稿される広告の広告注目率に関する調査データである広告注目率調査データと、を含み、
前記メディア接触調査データは、前記調査対象者を識別するためのモニタID、前記調査対象者の属性であるモニタ属性、ウェイトバック集計に用いられる重みである人口ウェイト、及び、前記調査対象者のビークルごとの接触頻度であるビークル接触頻度を含み、
前記広告注目率は、特定のビークルに接触した人のうち、そのビークルにおける特定の広告枠に出稿された広告に注目する人の割合であり、
前記共通指標を算出することは、前記各種データを用いて、前記ターゲットセグメントに対する前記広告枠に出稿される広告の接触度合いを前記共通指標として算出すること、を含む、
広告枠取引支援方法。
【請求項9】
コンピュータの動作方法のうち広告枠の取引を支援する広告枠取引支援方法であって、
予約型広告に関する複数の広告枠であって媒体が互いに異なる複数の広告枠の情報をネットワーク上に公開することと、
前記複数の広告枠のそれぞれについて共通指標を算出することと、
前記共通指標に基づいて、ユーザに前記複数の広告枠のうちの少なくとも1つを提示することと、
前記共通指標を算出するために用いられる各種データをデータベースに記憶させることと、
を含み、
前記共通指標は、前記広告枠の効果及び/又は効率を表す指標であって、媒体が互いに異なる前記複数の広告枠に共通して用いられる指標であり、
前記各種データは、態度変容寄与指標の算出に用いる態度変容寄与パラメータを含み、
前記共通指標を算出することは、前記各種データを用いて、前記広告枠に出稿される広告が態度変容にどの程度寄与するかを表す指標である前記態度変容寄与指標を前記共通指標として算出すること、を含む、
広告枠取引支援方法。
【請求項10】
コンピュータの動作方法のうち広告枠の取引を支援する広告枠取引支援方法であって、
予約型広告に関する複数の広告枠であって媒体が互いに異なる複数の広告枠の情報をネットワーク上に公開することと、
前記複数の広告枠のそれぞれについて共通指標を算出することと、
前記共通指標に基づいて、ユーザに前記複数の広告枠のうちの少なくとも1つを提示することと、
前記共通指標を算出するために用いられる各種データをデータベースに記憶させることと、
対象となる業種である対象業種又は対象となる商品若しくはサービスのカテゴリである対象カテゴリを取得することと、
を含み、
前記各種データは、過去に行われた広告出稿に関するデータである出稿実績データを含み、
前記出稿実績データは、前記広告枠を用いて行われた広告出稿の総出稿量を含んでおり、
前記共通指標を算出することは、前記各種データを用いて、前記広告枠を用いて行われた広告出稿の総出稿量のうち、前記対象業種又は前記対象カテゴリに関する広告出稿の出稿量の構成比を、当該広告枠の前記共通指標として算出すること、を含む、
広告枠取引支援方法。
【請求項11】
コンピュータの動作方法のうち広告枠の取引を支援する広告枠取引支援方法であって、
予約型広告に関する複数の広告枠であって媒体が互いに異なる複数の広告枠の情報をネットワーク上に公開することと、
前記複数の広告枠のそれぞれについて共通指標を算出することと、
前記共通指標に基づいて、ユーザに前記複数の広告枠のうちの少なくとも1つを提示することと、
前記共通指標を算出するために用いられる各種データをデータベースに記憶させることと、
対象となる業種である対象業種又は対象となる商品若しくはサービスのカテゴリである対象カテゴリを取得することと、
を含み、
前記各種データは、過去に行われた広告出稿に関するデータである出稿実績データを含み、
前記出稿実績データは、前記広告枠を用いて行われた広告出稿の総出稿量を含んでおり、
前記共通指標を算出することは、前記各種データを用いて、前記複数の広告枠のそれぞれについて、当該広告枠を用いて行われた前記対象業種又は前記対象カテゴリに関する広告出稿の出稿量、又は、前記対象業種若しくは前記対象カテゴリに関する広告出稿の総広告出稿量に対する当該広告枠の前記出稿量の構成比を、当該広告枠の前記共通指標として算出すること、を含む、
広告枠取引支援方法。
【請求項12】
コンピュータの動作方法のうち広告枠の取引を支援する広告枠取引支援方法であって、
予約型広告に関する複数の広告枠であって媒体が互いに異なる複数の広告枠の情報をネットワーク上に公開することと、
前記複数の広告枠のそれぞれについて共通指標を算出することと、
前記共通指標に基づいて、ユーザに前記複数の広告枠のうちの少なくとも1つを提示することと、
前記共通指標を算出するために用いられる各種データをデータベースに記憶させることと、
ターゲットセグメントに関する条件を取得することと、
を含み、
前記各種データは、過去に行われた広告出稿に関するデータである出稿実績データを含み、
前記出稿実績データは、前記広告枠を用いて行われた広告出稿の総出稿量を含んでおり、
前記共通指標を算出することは、前記各種データを用いて、前記広告枠に出稿される広告の接触者全体における、前記ターゲットセグメントに属する接触者が占める割合をターゲット含有率として算出して、前記ターゲット含有率を前記共通指標として算出すること、を含む、
広告枠取引支援方法。
【請求項13】
請求項1~請求項7のうちいずれか一項に記載の広告枠取引支援システムとしての機能を、コンピュータに実現させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、広告枠の取引を支援する広告枠取引支援システム、広告枠取引支援方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の広告媒体にわたる複数の広告枠の情報をネットワーク上に公開し、ユーザから広告枠の購入申込みを受け付けるシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-357294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、広告媒体及び広告枠の種類は多岐に渡る。このため、特許文献1のシステムにおいて、特許文献1のシステムにおいて、ユーザが所望の広告枠を選定することは容易ではない。
【0005】
本開示の一局面は、媒体が異なる複数の広告枠の中からユーザが所望の広告枠を選定することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、広告枠の取引を支援する広告枠取引支援システムであって、公開部と、算出部と、提示部と、を備える。公開部は、予約型広告に関する複数の広告枠であって媒体が互いに異なる複数の広告枠の情報をネットワーク上に公開するように構成される。算出部は、複数の広告枠のそれぞれについて共通指標を算出するように構成される。提示部は、共通指標に基づいて、ユーザに複数の広告枠のうちの少なくとも1つを提示するように構成される。共通指標は、広告枠の効果及び/又は効率を表す指標であって、媒体が互いに異なる複数の広告枠に共通して用いられる指標である。
【0007】
このような構成によれば、媒体が異なる複数の広告枠の中からユーザが所望の広告枠を選定することを支援できる。
本開示の一態様では、広告枠取引支援システムは、ターゲット取得部を備えてもよい。ターゲット取得部は、ターゲットセグメントに関する条件を取得するように構成される。そして、算出部は、ターゲットセグメントに対する広告枠に出稿される広告の接触度合いを共通指標として算出してもよい。
【0008】
このような構成によれば、ユーザは、各広告枠の前記接触度合いを基に、複数の広告枠の中から広告枠を選定できる。
本開示の一態様では、算出部は、広告枠に出稿される広告の広告注目率を用いて共通指標を算出してもよい。
【0009】
このような構成によれば、共通指標が広告注目率を用いて算出されない場合と比較して、広告枠の効果を適切に反映した共通指標を算出できる。
本開示の一態様では、広告枠取引支援システムは、前記ターゲット取得部を備えてもよい。そして、算出部は、コスト効率を共通指標として算出してもよい。コスト効率は、ターゲットセグメントに対する広告枠に出稿される広告の接触度合い又は当該接触度合いに基づき算出される量を、広告枠の料金で除した値である。
【0010】
このような構成によれば、ユーザは、各広告枠のコスト効率を基に、複数の広告枠の中から広告枠を選定できる。
本開示の一態様では、算出部は、態度変容寄与指標を共通指標として算出してもよい。態度変容寄与指標は、広告枠に出稿される広告が態度変容にどの程度寄与するかを表す指標である。
【0011】
このような構成によれば、ユーザは、態度変容寄与指標を基に、複数の広告枠の中から広告枠を選定できる。
本開示の一態様では、広告枠取引支援システムは、業種カテゴリ取得部を備えてもよい。業種カテゴリ取得部は、対象となる業種である対象業種又は対象となる商品若しくはサービスのカテゴリである対象カテゴリを取得するように構成される。そして、算出部は、広告枠を用いて行われた広告出稿の総出稿量のうち、対象業種又は対象カテゴリに関する広告出稿の出稿量の構成比を、当該広告枠の共通指標として算出してもよい。
【0012】
このような構成によれば、ユーザは、前記構成比を基に、複数の広告枠の中から広告枠を選定できる。
本開示の一態様では、広告枠取引支援システムは、前記業種カテゴリ取得部を備えてもよい。そして、算出部は、複数の広告枠のそれぞれについて、当該広告枠を用いて行われた対象業種又は対象カテゴリに関する広告出稿の出稿量、又は、対象業種若しくは対象カテゴリに関する広告出稿の総広告出稿量に対する当該広告枠の前記出稿量の構成比を、当該広告枠の共通指標として算出してもよい。
【0013】
このような構成によれば、ユーザは、広告枠を用いて行われた対象業種又は対象カテゴリに関する広告出稿の出稿量又は前記構成比を基に、複数の広告枠の中から広告枠を選定できる。
【0014】
本開示の一態様では、広告枠取引支援システムは、前記ターゲット取得部を備えてもよい。そして、算出部は、ターゲット含有率を共通指標として算出してもよい。ターゲット含有率は、広告枠に出稿される広告の接触者全体における、ターゲットセグメントに属する接触者が占める割合である。
【0015】
このような構成によれば、ユーザは、各広告枠のターゲット含有率を基に、複数の広告枠の中から広告枠を選定できる。
本開示の別の態様は、広告枠の取引を支援する広告枠取引支援方法であって、予約型広告に関する複数の広告枠であって媒体が互いに異なる複数の広告枠の情報をネットワーク上に公開することと、複数の広告枠のそれぞれについて共通指標を算出することと、共通指標に基づいて、ユーザに複数の広告枠のうちの少なくとも1つを提示することと、を含む。
【0016】
本開示の別の態様は、コンピュータプログラムであって、コンピュータを、前記公開部と、前記算出部と、前記提示部と、として機能させる。
これらの態様によれば、前述した広告枠取引支援システムと同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は広告枠取引支援システムの全体構成の説明図である。
図2図2は広告枠取引支援装置の構成を示すブロック図である。
図3図3はマイページ画面の一例を示す図である。
図4図4は検索画面の一例を示す図である。
図5図5は広告枠情報出力画面の一例を示す図である。
図6図6は共通指標検索処理のフローチャートである。
図7図7は第1実施形態の算出処理のフローチャートである。
図8図8は第1実施形態の検索条件入力画面の一例を示す図である。
図9図9は検索結果出力画面の一例を示す図である。
図10図10は第2実施形態の検索条件入力画面の一例を示す図である。
図11図11は第2実施形態に係る第1算出処理のフローチャートである。
図12図12は第2実施形態に係る第2算出処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
図1に示す広告枠取引支援システム100は、インターネット等のネットワークN上で行われる広告枠取引を支援するシステムである。
【0019】
広告枠取引は、広告枠を提供する広告枠提供者と、広告枠を利用する広告枠利用者と、の間で行われる取引である。なお、広告枠提供者と広告枠利用者との間で行われる取引には、広告枠提供者と広告枠利用者との間で直接的に行われる取引のみならず、広告枠提供者と広告枠利用者との間に第三者が介在して間接的に行われる取引も含まれる。
【0020】
ここで、広告枠とは、取引対象物であり、新聞、雑誌、ラジオ、テレビ、アウトドア・メディア、デジタル(換言すれば、インターネット)等の媒体における、広告を入れるスペースを指す。広告枠利用者は、取引にて入手した広告枠に広告を出稿することができる。なお、アウトドア・メディア(以下「ODM」という。)とは、家庭以外の場所で接触する媒体の総称であり、例えば、駅構内、電車、バス車内などで接触する交通広告媒体や、街中、商業施設といった屋外で接触する屋外広告媒体等を含む。
【0021】
本実施形態では、広告枠提供者は、媒体社又は媒体社の広告枠販売活動を代理する広告会社である。また、広告枠利用者は、広告主又は広告主の広告活動を代理する広告会社である。
【0022】
広告枠取引支援システム100は、広告枠の中でも予約型広告の広告枠の取引を支援する。予約型広告とは、特定の広告枠を事前予約して購入し、出稿する形式の広告である。予約型広告は、例えば、出稿金額、出稿場所、出稿期間(例えば、掲載金額、掲載面、掲載期間)等があらかじめ定められている広告であってもよい。
【0023】
予約型広告としては、例えば、テレビCM、ラジオCM、新聞広告及び雑誌広告の4マス広告や、ODMによる広告(以下「ODM広告」という。)、デジタル広告等が挙げられる。なお、ODM広告には、交通広告や屋外広告などが含まれる。
【0024】
広告枠取引支援システム100は、このように複数の媒体の広告枠の取引を支援する。換言すれば、媒体が異なる複数の広告枠の取引が支援される。
広告枠取引支援システム100は、広告枠取引支援装置1と、提供者側端末2と、利用者側端末3と、データベース4と、を備える。なお、図示の都合上、図1には、提供者側端末2及び利用者側端末3をそれぞれ1つずつ図示しているが、実際には、提供者側端末2及び利用者側端末3は、それぞれ複数存在する。
<広告枠取引支援装置>
広告枠取引支援装置1は、広告枠取引支援システム100の中心機能を担う機器であり、広告枠の取引を支援する。広告枠取引支援装置1は、コンピュータ、具体的にはサーバコンピュータによって構成されており、図2に示すように、通信部11と、記憶部12と、制御部13と、を備える。
【0025】
通信部11は、通信用インタフェースである。広告枠取引支援装置1は、図1に示すようにインターネット等のネットワークNに接続されており、ネットワークNを経由して、提供者側端末2や利用者側端末3等との間でデータの送受信を行う。
【0026】
記憶部12は、ハードディスクドライブやソリッドステートドライブ等のストレージであり、各種データを記憶する。
制御部13は、CPU等のプロセッサ13a、RAM、ROM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ(以下「メモリ13b」という。)と、を有する周知のマイクロコンピュータを中心に構成される。制御部13の各種機能は、プロセッサ13aが非遷移的実体的記憶媒体に格納されたプログラムを実行することにより実現される。この例では、メモリ13bが、プログラムを格納した非遷移的実体的記憶媒体に該当する。また、このプログラムの実行により、プログラムに対応する方法が実行される。なお、制御部13を構成するマイクロコンピュータの数は1つでも複数でもよい。
【0027】
本実施形態では、記憶部12には、広告枠取引支援装置1の機能を発生させるためのプログラム(以下、広告枠取引支援プログラム)があらかじめインストールされている。この広告枠取引支援プログラムがプロセッサ13aによって読み取られて実行されることで、広告枠取引支援装置1によるデータ処理サービス(広告枠の取引に関連するサービス。以下「広告枠取引サービス」という。)が提供される。
<提供者側端末>
提供者側端末2は、広告枠提供者が保有する端末であり、PC、タブレット、スマートフォン等の通信機器によって構成されている。広告枠提供者は、提供者側端末2を通じて、提供する広告枠に関する情報(すなわち、広告枠情報)を広告枠取引支援装置1に向けて送信する。これにより、広告枠提供者は、新たな広告枠を取引対象品として提供した際に、その広告枠情報を、利用者側端末3及び広告枠取引支援装置1を通じて広告枠利用者等に知らせることが可能である。
<利用者側端末>
利用者側端末3は、広告枠利用者が保有する端末であり、ブラウジング機能を有するPC、タブレット、スマートフォン等の通信機器によって構成されている。利用者側端末3は、ディスプレイと、ディスプレイに表示された情報に対するユーザの入力操作を受け付ける入力デバイスと、を備える。広告枠利用者は、利用者側端末3を通じて、各広告枠提供者が提供した広告枠の情報を受信し、受信した情報をディスプレイに表示させて確認する。また、広告枠利用者は、利用者側端末3にて広告枠の選定及び購入の申込みを行うことができる。
<データベース>
データベース4は、広告枠取引サービスに関する各種データが記憶される。本実施形態では、データベース4には、広告枠マスタデータが記憶される。
【0028】
広告枠マスタデータは、各広告枠提供者が提供する広告枠の情報を含む。広告枠情報は、広告枠に関する情報であり、媒体ID、ビークルID、ユニットID、広告枠の料金等の情報を含む。
【0029】
媒体IDは、新聞、雑誌、ラジオ、テレビ、ODM、デジタルなどの広告媒体の種別(分類)を識別するIDである。ビークルIDは、ビークルを識別するIDである。ここで、ビークルとは、広告媒体の銘柄である。例えば、「新聞」という広告媒体に対して「〇〇新聞」という個別銘柄がビークルである。ユニットIDは、ユニットを識別するIDである。ここで、ユニットとは、広告媒体において価格が設定され、広告枠提供者により販売される広告枠の単位である。例えば、「新聞」という広告媒体において「全15段モノクロ」、「2段1/2モノクロ」などの販売単位がユニットである。ユニットは、広告媒体における広告の位置、サイズ及び色の少なくとも1つを特定するものであってもよい。
【0030】
なお、広告枠情報は、上記以外の情報を含んでいてもよく、例えば、広告の出稿時期(例えば、掲載時期)、広告枠の購入申込期限、広告の入稿期限が含まれていてもよい。
広告枠情報は、各広告枠提供者が提供者側端末2を介して広告枠に関するデータをアップロードすることでデータベース4に記憶される。
【0031】
データベース4には、広告枠マスタデータのほか、後述する共通指標を算出するために用いられる各種データが記憶されている。これらのデータについては後述する。
[1-2.機能]
[1-2-1.検索・購入申込機能]
次に、広告枠取引支援システム100の基本的機能である広告枠の検索機能及び購入申込機能について、図3図5を用いて説明する。図3図5は、利用者側端末3のディスプレイに表示される画面の一例である。以下では、利用者側端末3を保有する広告枠利用者として、広告主の広告活動を代理する広告会社を想定して説明する。
【0032】
まず、広告会社の担当者であるユーザは、利用者側端末3を起動して広告枠取引支援装置1が提供する広告枠取引サービスのウェブサイトにアクセスする。そして、ユーザは、ユーザIDやパスワード等の認証情報を入力し、ログインする。すると、図3に示すマイページ画面A1が利用者側端末3のディスプレイに表示される。
【0033】
マイページ画面A1には、各種操作ボタンが表示される。各種操作ボタンには、キャンペーン作成ボタンB1、キャンペーン検索ボタンB2、購入申込ボタンB3及び検索ボタンB4が含まれる。キャンペーン作成ボタンB1は、広告主の広告キャンペーン(以下「キャンペーン」という。)の作成(登録)を行うためのボタンである。ユーザがキャンペーン作成ボタンB1を操作すると、図示省略するキャンペーン作成画面が表示される。キャンペーン作成画面において各種情報(例えば、キャンペーン名、広告主名、広告主の業種、広告対象の商品又はサービスのカテゴリ、キャンペーンの予算総額や期間等)を設定すると、キャンペーンが新規に登録される。登録されたキャンペーンの情報は、データベース4に記憶されるとともに、マイページ画面A1のキャンペーン表示領域R1にそのキャンペーン名が表示される。以降、ユーザは、登録したキャンペーンについて、広告枠の追加や購入申込み等を行う。なお、本実施形態では、キャンペーンに広告枠を追加しただけでは広告枠の購入は行われず、広告枠の追加後、その広告枠について購入申込みを行うことで広告枠が購入される。
【0034】
キャンペーン検索ボタンB2は、登録したキャンペーンの中から所望のキャンペーンを検索するためのボタンである。
購入申込ボタンB3は、キャンペーンに追加した広告枠の購入申込みを行うためのボタンである。ここで、マイページ画面A1の広告枠表示領域R2には、キャンペーンに追加された広告枠の情報(本実施形態では、最も直近でキャンペーンに追加された広告枠の情報)と、購入申込ボタンB3と、が表示される。表示される広告枠の情報としては、例えば、キャンペーン名21、ビークル名22、ユニット23、空枠状況24、広告枠の具体的なイメージ画像25、料金26、購入申込期限27、入稿期限28の情報等が挙げられる。購入申込ボタンB3を操作することで、広告枠表示領域R2に表示された広告枠の購入申込みが行われる。
【0035】
一方、検索ボタンB4は、広告枠を検索するためのボタンである。ユーザが検索ボタンB4を操作すると、図4の検索画面A2に遷移する。
検索画面A2では、ユーザは広告枠の検索方法を選択できる。検索方法として、媒体検索、キーワード検索、条件検索及び共通指標検索が選択可能である。媒体検索は媒体別の検索、キーワード検索はキーワードによる検索、条件検索は条件(例えば、ターゲットセグメント、キャンペーンの予算総額・期間、エリアなどの条件)による検索である。共通指標検索は、広告枠取引支援装置1の特徴的機能であり、これについては後で詳述する。
【0036】
図4には、媒体検索が選択された場合の画面例が示されている。なお、媒体検索では、ユーザが画面左側の媒体選択領域R3から媒体を選択すると、選択された媒体に該当する各種ビークルがビークル表示領域R4に表示される。図4に示す例では媒体として「新聞」が選択されている。ビークル表示領域R4においてユーザがいずれかのビークルを選択すると、図5に示す広告枠情報出力画面A3に遷移する。
【0037】
なお、本実施形態では、キーワード検索や条件検索による検索が行われた場合は、条件に合致する1又は複数のビークルが表示される。そして、表示された1又は複数のビークルの中からユーザがビークルを選択すると、図5に示す広告枠情報出力画面A3に遷移する。
【0038】
広告枠情報出力画面A3には、検索画面A2で選択されたビークルに関する広告枠の情報が表示される。具体的には、広告枠情報出力画面A3には、ビークル名31、媒体社名32、ビークルに関する説明33、広告枠の具体的なイメージ画像34、広告枠一覧35等が表示される。
【0039】
広告枠一覧35には、1又は複数のユニットのそれぞれについて、料金及びキャンペーン追加ボタンB6が表示される。ユーザは、広告枠一覧35から広告枠を選択し、キャンペーン追加ボタンB6を操作する。すると、進行中のキャンペーンの一覧が表示され、ユーザは表示された一覧の中から広告枠を追加したいキャンペーンを選択する。すると、選択されたキャンペーンに対して広告枠が追加される。
【0040】
広告枠が追加されると、図3に示すマイページ画面A1の広告枠表示領域R2に、追加された広告枠の情報が表示される。そして、ユーザが購入申込ボタンB3を操作すると、広告枠提供者に広告枠の発注の連絡が送信され、広告枠の購入処理が行われる。
【0041】
[1-2-2.共通指標検索機能]
次に、広告枠取引支援装置1の特徴的機能である共通指標検索について説明する。共通指標検索とは、共通指標を用いた広告枠の検索である。共通指標とは、広告枠の効果及び/又は効率を表す指標であって、媒体が互いに異なる複数の広告枠に共通して用いられる指標である。共通指標は、複数の広告枠のそれぞれについて算出される。
【0042】
本実施形態では、共通指標として、ターゲット接触度合い、態度変容寄与指標及びコスト効率が用いられる。
ターゲット接触度合いとは、ターゲットセグメントに対する広告枠に出稿される広告の接触度合いである。ここでいうターゲットセグメントとは、ターゲットとなるセグメント(共通する属性を有したグループ)である。セグメントを特定する属性としては、性別、年齢等のデモグラフィック属性、居住都道府県等のジオグラフィック属性、興味・関心等のサイコグラフィック属性、商品又はサービスの購買・利用状況に関する属性等が挙げられる。接触度合いは、例えば、広告に接触した人の人数(すなわち、接触人数)や、その割合(すなわち、接触率)等である。
【0043】
態度変容寄与指標とは、広告枠に出稿される広告が態度変容にどの程度寄与するかを表す指標である。態度変容とは、出稿された広告により、広告や広告主のブランド、広告対象の商品やサービスなどに対する生活者や消費者などの対象となるユーザの態度(広告認知、ブランド知名、ブランド理解、興味喚起、購買意向、好意度、イメージ想起等)が変容することである。本実施形態では、態度変容寄与指標は、広告枠に出稿される広告によって態度変容する人の人数や割合である。後述のとおり、態度変容寄与指標は、広告枠に出稿される広告の接触度合いに基づき算出される。
【0044】
コスト効率とは、ターゲット接触度合い又はターゲット接触度合いに基づき算出される量を、広告枠の料金で除した値である。なお、ターゲット接触度合いに基づき算出される量としては、例えば、前述した態度変容寄与指標等が挙げられる。
【0045】
共通指標検索では、ユーザにより選択された共通指標に基づいて、1又は複数の広告枠がユーザに提示される。以下では、まず、データベース4に記憶されている、共通指標を算出するために用いられる各種データについて説明する。その後、広告枠取引支援装置1の制御部13が実行する共通指標検索処理について説明する。
<データベース>
データベース4は、共通指標を算出するために用いられる各種データとして、前述した広告枠マスタデータのほか、メディア接触調査データ、広告注目率調査データ、態度変容寄与パラメータ、キャンペーン情報及び出稿実績データが記憶されている。
【0046】
メディア接触調査データは、調査対象者(すなわち、モニタ)に対してメディアへの接触状況を調査して得られるデータである。メディア接触調査データには、各モニタについて、モニタID、モニタ属性、人口ウェイト及びビークル接触頻度が含まれる。
【0047】
モニタIDは、モニタを識別するためのIDである。モニタ属性は、モニタの属性であり、例えば、デモグラフィック属性、ジオグラフィック属性、サイコグラフィック属性、商品又はサービスの購買・利用状況の属性等である。
【0048】
人口ウェイトは、ウェイトバック集計に用いられる重みである。具体的には、人口ウェイトは、調査を実施した全モニタの属性別の人口構成比を、母集団(例えば、日本全国の男女)の属性別の人口構成比に補正するための重みである。
【0049】
ビークル接触頻度は、モニタのビークルごとの接触頻度であり、具体的には、そのモニタが所定の調査期間内にどの程度、そのビークルに接触したかを指す。例えば、調査所定期間が7日間であり、モニタが〇〇新聞というビークルに6日間接触していた場合、そのモニタのそのビークルに関するビークル接触頻度は6/7などと算出される。
【0050】
なお、メディア接触調査データは、日記式調査を実施して収集されることが想定されるが、これ以外の調査を実施して収集されてもよい。
一方、広告注目率調査データは、広告注目率に関する調査データである。広告注目率調査データは、モニタ属性、ビークルID、ユニットID及び広告注目率が対応付けられたデータである。広告注目率とは、特定のビークルに接触した人のうち、そのビークルにおける特定のユニットの広告(換言すれば、そのビークルにおける特定の広告枠に出稿された広告)に注目する人の割合である。データベース4には、広告枠取引サービスで取引される各ビークルの各ユニット(すなわち、各広告枠)に関する、モニタ属性ごとの広告注目率が記憶されている。
【0051】
なお、本実施形態では、メディア接触調査データや広告注目率調査データといった各種調査データは外部の調査機関等から提供されることになっている。ただし、調査データの提供元については、特に限定されるものではなく、調査データの一部が広告枠提供者や広告枠利用者から提供されてもよい。
【0052】
一方、態度変容寄与パラメータは、態度変容寄与指標を算出する際に用いられるパラメータである。すなわち、本実施形態では、ターゲットセグメントにおいて、その広告枠に出稿される広告のターゲット接触度合い(例えば、ターゲット接触人数)に応じた態度変容寄与指標が算出される。具体的には、或る広告枠の態度変容寄与指標は、その広告枠に出稿される広告のターゲット接触度合い(例えば、ターゲット接触人数)に、ターゲットセグメントに応じたパラメータを乗じることで算出される。このパラメータが態度変容寄与パラメータである。
【0053】
本実施形態では、態度変容寄与パラメータは以下の各変数の組合せに対して算出される。
・指標種別:広告認知、ブランド知名、ブランド理解、興味喚起、購買意向、好意度、イメージ想起等
・広告対象の商品又はサービスのカテゴリ:自動車、飲料など
・ターゲットセグメント:30代、女性など
・媒体種別とユニットとの組合せ:「新聞」×「全15段モノクロ」など
態度変容寄与パラメータは、例えば、次のようにして決定されてもよい。すなわち、まず、調査対象の広告枠(例えば「新聞」×「全15段モノクロ」の広告枠)に対し、1又は複数回広告を出稿する。複数回広告を出稿する場合は、広告対象の商品又はサービスのカテゴリ(以下「商品サービスカテゴリ」という。)が異なる広告を複数回出稿する。そして、各広告出稿について、広告が掲載されたビークルに接触した人に対してアンケート調査を行う。アンケートは、モニタの属性(性別、年齢など)に関する質問項目、態度変容に関する質問項目(広告を見たか、広告に係るブランドを知っているか、広告対象の商品を購入したくなったか、など)等によって構成される。そして、広告に接触した人の回答と広告に接触していない人の回答とを比較して、セグメントごとの態度変容率を算出し、算出した態度変容率を態度変容寄与パラメータとして決定する。すなわち、本実施形態では、態度変容寄与指標は態度変容率を基に算出される。なお、態度変容率とは、どの程度の人が態度変容したかを示す割合である。本実施形態では、調査対象の広告枠を代えてこのような調査を複数回実施し、各広告枠について、商品サービスカテゴリやセグメントごとの態度変容寄与パラメータを算出する。
【0054】
一方、キャンペーン情報は、ユーザが登録したキャンペーンに関する情報である。キャンペーン情報には、キャンペーン名、広告主名、広告主の業種、広告対象の商品サービスカテゴリ、キャンペーンの予算総額や期間等の情報が含まれる。
【0055】
一方、出稿実績データは、過去に行われた広告出稿に関するデータである。本実施形態では、広告枠取引支援装置1が提供する広告枠取引サービスを利用して広告枠が取引されて行われた広告出稿に関するデータが出稿実績データとして記憶されている。出稿実績データには、過去に行われた広告出稿のそれぞれについて、広告枠の情報(媒体ID、ビークルID、ユニットID等)、広告主の情報、広告対象の商品又はサービスの情報、広告素材に関する情報等が記憶されている。
<共通指標検索処理>
次に、広告枠取引支援装置1の制御部13が実行する共通指標検索処理について図6図7のフローチャートを用いて説明する。なお、共通指標検索処理は、図4に示す検索画面A2において共通指標検索ボタンB5が操作されることで実行される。
【0056】
まず、制御部13は、図6のS101(Sはステップを表す。)で、利用者側端末3から次のように検索条件を取得する。すなわち、制御部13は、図8に示す検索条件入力画面A4を表示するためのデータを利用者側端末3に送信する。すると、当該データを受信した利用者側端末3のディスプレイに検索条件入力画面A4が表示され、ユーザは入力画面A4で各種検索条件を設定する。
【0057】
各種検索条件としては、広告主名、指標種別、キャンペーン条件、ターゲット条件、エリア条件、媒体条件、ビークル条件、ユニット条件等が含まれる。指標種別は、共通指標の種別である。本実施形態では、ユーザは、複数の共通指標の中から指標を選択する。具体的には、ユーザは、ターゲット接触度合い、態度変容寄与指標、ターゲット接触度合いに基づくコスト効率、及び、態度変容寄与指標に基づくコスト効率の中から指標を選択する。また、態度変容寄与指標を選択した場合、広告認知、ブランド知名、ブランド理解、興味喚起、購買意向、好意度、イメージ想起等の中から更に指標を選択する。キャンペーン条件は、キャンペーンに関する条件であり、本実施形態では、キャンペーンの予算総額及び実施期間(開始日及び終了日)に関する条件である。ターゲット条件は、ターゲットセグメントに関する条件であり、本実施形態では、ターゲットの性別及び年齢に関する条件である。エリア条件は、広告を出すエリアに関する条件である。媒体条件は、媒体に関する条件であり、本実施形態では、媒体種別に関する条件である。ビークル条件及びユニット条件は、それぞれ、ビークル及びユニットに関する条件である。検索条件入力画面A4に表示されるビークル条件及びユニット条件の選択項目は、媒体条件で選択された媒体種別によって変動する。図8では、媒体条件において「新聞」が選択された場合のビークル条件及びユニット条件が表示されている。なお、ユーザはこれらの検索条件のうち一部の条件のみを設定してもよい。
【0058】
ユーザが検索条件を設定すると、利用者側端末3から広告枠取引支援装置1に検索条件を示すデータが送信される。当該データを受信することで、広告枠取引支援装置1の制御部13は検索条件を取得する。
【0059】
続いて、制御部13は、S102で、S101で取得した検索条件に合致する広告枠情報をデータベース4の広告枠マスタデータから取得する。具体的には、制御部13は、検索条件のうち、キャンペーン条件、エリア条件、媒体条件、ビークル条件及びユニット条件のうちユーザによって設定された条件に合致する広告枠情報を取得する。なお、キャンペーン条件に合致する広告枠とは、例えば、広告枠の料金がキャンペーンの予算総額以下であり、及び/又は、広告枠の出稿時期がキャンペーンの実施期間に含まれる広告枠であってもよい。なお、S102では一般に、複数の広告枠の広告枠情報が取得される。
【0060】
続いて、制御部13は、S103で、算出処理を実行する。算出処理は、S102で取得した広告枠情報に係る複数の広告枠のそれぞれについて共通指標を算出する処理である。制御部13は、複数の広告枠のそれぞれを順次、処理対象の広告枠(以下「対象広告枠」という。)に設定し、対象広告枠に対して算出処理を実行していく。以下、算出処理について図7のフローチャートを用いて説明する。
<算出処理>
まず、制御部13は、S201で、図6のS101で取得した検索条件に合致するモニタのデータ(以下「モニタデータ」という。)をデータベース4のメディア接触調査データから取得する。具体的には、制御部13は、検索条件のうち、ターゲット条件やエリア条件などに合致するモニタデータを取得する。例えば、ターゲットの年齢及び性別が50歳以上65歳未満の女性に設定され、エリア条件が関東及び関西に設定されている場合、関東又は関西に居住する50歳以上65歳未満の女性のモニタデータが取得される。
【0061】
制御部13は、以下のS202~S205の処理をS201で取得した各モニタデータについて繰り返す。具体的には、制御部13は、処理対象のモニタデータを順次特定し、S202~S205の処理を実行していく。以下、処理対象のモニタデータに係るモニタを「対象モニタ」という。
【0062】
制御部13は、S202で、ビークル接触率を取得する。ビークル接触率とは、対象広告枠に係るビークルに対象モニタが接触する確率である。S202では、制御部13は、まず、データベース4の広告枠マスタデータから対象広告枠に係るビークルのビークルIDを取得する。例えば、対象広告枠が「〇〇新聞朝刊全国版 記事下全15段モノクロ」ならビークル「〇〇新聞朝刊全国版」のビークルIDが取得される。そして、制御部13は、データベース4のメディア接触調査データから、前記ビークルIDのビークルに対象モニタが接触する頻度に対応するビークル接触頻度をビークル接触率として取得する。
【0063】
続いて、制御部13は、S203で、データベース4の広告注目率調査データから対象広告枠に関する広告注目率を取得する。
具体的には、制御部13は、広告枠マスタデータから対象広告枠に係る媒体及びユニットに係る媒体ID及びユニットIDを取得する。例えば、対象広告枠が「〇〇新聞朝刊全国版 記事下全15段モノクロ」ならビークル「〇〇新聞朝刊全国版」のビークルID及びユニット「記事下全15段モノクロ」のユニットIDが取得される。
【0064】
また、制御部13は、メディア接触調査データから対象モニタのモニタIDのモニタ属性を取得する。そして、制御部13は、広告注目率調査データから前記モニタ属性の前記ビークルID及び前記ユニットIDに関する広告注目率を取得する。
【0065】
続いて、制御部13は、S204で、S202で取得したビークル接触率とS203で取得した広告注目率とを乗じることで広告枠接触率を算出する。広告枠接触率とは、モニタが対象広告枠に出稿される広告に接触する確率である。例えば、ビークル接触率が0.857、広告注目率が0.628なら、広告枠接触率は0.857×0.628=0.538などと算出される。
【0066】
続いて、制御部13は、S205で、対象広告枠に出稿された広告の接触度合いを算出する。本実施形態では、接触度合いは、接触人数である。
具体的には、制御部13は、メディア接触調査データから対象モニタのモニタIDに係る人口ウェイトを取得する。そして、制御部13は、取得した人口ウェイトに対してS204で算出した広告枠接触率を乗じることで接触人数を算出する。例えば、人口ウェイトが593、広告枠接触率が0.538なら、接触人数は593×0.538=0.319などと算出される。
【0067】
制御部13は、以上のS202~S205の処理を、S201で取得した全てのモニタデータについて終了するまで繰り返す。
続いて、制御部13は、S206で、全モニタデータの接触度合い(接触人数)を合計することで、ターゲット接触度合い(本実施形態では、ターゲット接触度人数)を算出する。
【0068】
続いて、制御部13は、S207で、データベース4から態度変容寄与パラメータを取得する。
具体的には、制御部13は、図6のS101で取得した検索条件から、指標種別(広告認知、ブランド知名、ブランド理解、興味喚起、購買意向、好意度又はイメージ想起等)、ターゲット条件(年齢、性別)及び商品サービスカテゴリを取得する。また、制御部13は、対象広告枠から媒体種別とユニットとの組合せ(例えば、「新聞」×「全15段モノクロ」)を取得する。そして、制御部13は、取得されたこれらの条件に合致する態度変容寄与パラメータをデータベース4から取得する。なお、商品サービスカテゴリについては、データベース4に記憶されているキャンペーン情報において、検索条件に含まれる広告主名に紐付けられた商品サービスカテゴリが取得される。
【0069】
続いて、制御部13は、S208で、S206で算出したターゲット接触人数にS207で取得した態度変容寄与パラメータを乗じることで、態度変容寄与指標を算出する。
続いて、制御部13は、S209で、コスト効率を算出する。
【0070】
ここで、制御部13は、S206で算出したターゲット接触人数を対象広告枠の料金で除することでターゲット接触人数に基づくコスト効率を算出する。例えば、制御部13は、ターゲット接触人数を対象広告枠の料金で除して1000を乗じた値(CPM:Cost Per Mille)をコスト効率として算出してもよい。
【0071】
また、制御部13は、S208で算出した態度変容寄与指標を対象広告枠の料金で除することで態度変容寄与指標に基づくコスト効率を算出する。
制御部13は、S209を実行すると、図7の算出処理を終了する。
【0072】
図6に戻り、S104で、制御部13は、提示処理を実行する。提示処理は、共通指標に基づいてユーザに複数の広告枠の少なくとも1つを提示する処理である。
具体的には、制御部13は、共通指標に基づいて複数の広告枠をソートして一覧表示するためのデータを生成し、利用者側端末3に送信する。当該データを受信した利用者側端末3のディスプレイには図9に示す検索結果出力画面A5が表示される。
【0073】
検索結果出力画面A5では、共通指標に基づく順位に従って複数の広告枠41が表示される。例えば、共通指標の値が高い広告枠ほど出力画面A5において上位に表示される。
また、検索結果出力画面A5では、検索条件を再設定するための各種ボタンB7が表示される。また、共通指標を切り替えて複数の広告枠をソートし直すための各種ボタンB8も表示される。例えば、各種ボタンB8のうち「度合い」及び「アドリーチ」を選択するとターゲット接触度合いに基づくソートが行われ、「効率」及び「アドリーチ」を選択するとターゲット接触度合いに基づくコスト効率に基づくソートが行われる。また、「度合い」、及び、「態度変容」のいずれかの種別(広告認知、ブランド知名、ブランド理解、興味喚起、購買意向、好意度、イメージ想起等のいずれか)を選択すると選択された態度変容寄与指標によるソートが行われる。また、「効率」及び「態度変容」のいずれかの種別を選択すると態度変容寄与指標に基づくコスト効率によるソートが行われる。
【0074】
本実施形態では、共通指標の値は検索結果出力画面A5に表示されない。すなわち、共通指標は、各広告枠の並び順を決定するためにシステムのバックエンド側で用いられる。
検索結果出力画面A5において、ユーザは、複数の広告枠41のいずれかを選択してキャンペーンに追加する。そして、ユーザは、図3のマイページ画面A1の購入申込ボタンB3を操作して、該当する広告枠を購入する。
【0075】
制御部13は、S104を実行すると、図6に示す共通指標検索処理を終了する。
[1-3.効果]
以上詳述した第1実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0076】
(1a)制御部13は、複数の広告枠のそれぞれについて共通指標を算出する。そして、制御部13は、共通指標に基づいて、ユーザに複数の広告枠のうちの少なくとも1つを提示する。したがって、媒体が異なる複数の広告枠の中から、ユーザが広告枠を選定するのを支援できる。
【0077】
また、媒体社等の広告枠提供者が自身で公表する媒体資料に掲載される広告枠の効果や効率に関する指標(例えば、新聞、雑誌などの発行部数や交通広告では乗客数など)は媒体間で不揃いである。よって、これだけでは媒体が異なる複数の広告枠の効果等を比較できない。これに対して、本実施形態では、媒体が異なる複数の広告枠に共通して用いられる共通指標が算出される。このため、媒体が異なる複数の広告枠の効果等を比較して、ユーザに広告枠を推薦等できる。
【0078】
(1b)制御部13は、ターゲット接触人数を共通指標として算出する。したがって、ユーザは、各広告枠に係るターゲット接触人数を基に、複数の広告枠の中から広告枠を選定できる。
【0079】
(1c)制御部13は、広告注目率を用いて共通指標を算出する。したがって、共通指標が広告注目率を用いて算出されない場合と比較して、広告枠の効果を適切に反映した共通指標を算出できる。
【0080】
(1d)制御部13は、コスト効率を共通指標として算出する。したがって、ユーザは、各広告枠のコスト効率を基に、複数の広告枠の中から広告枠を選定できる。
(1e)制御部13は、態度変容寄与指標を共通指標として算出する。したがって、ユーザは、態度変容寄与指標を基に、複数の広告枠の中から広告枠を選定できる。
【0081】
なお、本実施形態では、S101がターゲット取得部としての処理に相当し、S103が算出部としての処理に相当し、S104が公開部及び提示部としての処理に相当する。また、広告枠取引支援プログラムがコンピュータプログラムに相当し、接触度人数が接触度合いに相当し、コスト効率について、「態度変容寄与指標を広告枠の料金で除した値」が「接触度合いに基づき算出される量を広告枠の料金で除した値」に相当する。
【0082】
[2.第2実施形態]
[2-1.第1実施形態との相違点]
第2実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0083】
前述した第1実施形態では、共通指標としてターゲット接触度合い、コスト効率及び態度変容寄与指標が用いられる。これに対して、第2実施形態では、共通指標として以下の2つの共通指標(第1シェア指標及び第2シェア指標)が用いられる。なお、以下において「対象業種」及び「対象カテゴリ」とは、ユーザによって指定された、対象となる業種、及び、対象となる商品若しくはサービスのカテゴリをそれぞれ意味する。
・第1シェア指標
或る広告枠の第1シェア指標とは、その広告枠を用いて行われた広告出稿の総出稿量のうち、対象業種又は対象カテゴリに関する広告出稿の出稿量の構成比(すなわち、シェア)である。なお、本実施形態では、広告出稿の出稿量として、広告出稿を行った回数(出稿回数)を例示する。
【0084】
例えば、対象業種が自動車メーカーである場合において、或る広告枠Aを用いて過去に行われた広告出稿の総出稿量が100回であり、その内訳が広告主の業種が自動車メーカー(すなわち、対象業種)である広告の出稿量が40回、広告主の業種が飲料メーカーである広告の出稿量が30回・・・であるとする。この場合、対象業種が自動車メーカーである場合の前記広告枠Aの第1シェア指標は40回/100回=40%と算出される。他の広告枠についても同様に第1シェア指標が算出される。
・第2シェア指標
或る広告枠の第2シェア指標とは、その広告枠を用いて行われた対象業種又は対象カテゴリに関する広告出稿の出稿量、又は、対象業種若しくは対象カテゴリに関する広告出稿の総広告出稿量に対するその広告枠の前記出稿量の構成比(すなわち、シェア)である。
【0085】
例えば、対象業種が自動車メーカーである場合において、広告主が自動車メーカー(すなわち、)である広告が出稿された広告枠(全広告枠)が広告枠A,B,Cの3つであると仮定する。そして、広告主の業種が対象業種(自動車メーカー)である広告の出稿量がそれぞれ広告枠Aについては50回、広告枠Bについては30回、広告枠Cについては20回であるとする。この場合、対象業種が自動車メーカーである場合の各広告枠A,B,Cの第2シェア指標はそれぞれ50回、30回、20回、又は、構成比に換算して50%、30%、20%として算出される。
【0086】
なお、第1、第2シェア指標でいう「広告出稿の総出稿量」とは、厳密な意味での総出稿量でなくてもよい。目的の効果(ユーザによる広告枠の選定を支援する)を奏するのであれば厳密な意味での総出稿量でなくてもよい。また、「広告出稿の総出稿量」には、広告枠取引サービスを利用して行われた広告出稿の出稿量に加え、広告枠取引サービスを利用せずに行われた広告出稿の出稿量が含まれてもよい。
【0087】
第2実施形態では、上記2種類の指標が共通指標として用いられる。以下、第2実施形態について詳細に説明する。
第2実施形態の広告枠取引支援システム100のハードウェア構成は、第1実施形態と同様である。一方、第2実施形態では、広告枠取引支援装置1の制御部13が実行する共通指標検索処理の内容が第1実施形態と相違する。
【0088】
[2-2.機能]
次に、第2実施形態の広告枠取引支援装置1の制御部13が実行する共通指標算出処理について、前述した図6のフローチャートを用いて説明する。
【0089】
まず、制御部13は、S101で、利用者側端末3から検索条件を取得する。第2実施形態のS101は基本的には第1実施形態のS101と同様であるが、取得する検索条件が相違する。
【0090】
第2実施形態では、図10に示す検索条件入力画面A6が利用者側端末3のディスプレイに表示される。入力画面A6で設定される各種検索条件には、広告主情報、指標種別、キャンペーン条件等が含まれる。
【0091】
広告主情報は、広告主の情報であり、例えば、広告主名、広告主の業種、広告対象の商品又はサービスのカテゴリ等である。本実施形態では、ユーザが広告主選択欄61において広告主名を選択すると、データベース4のキャンペーン情報において、選択された広告主名に紐付いている広告主の業種や商品サービスカテゴリが業種選択欄62やカテゴリ選択欄63において自動選択される。又は、ユーザは、業種選択欄62やカテゴリ選択欄63において、業種や商品サービスカテゴリを直接選択してもよい。
【0092】
指標種別については、2つの指標(第1シェア指標及び第2シェア指標)の中から指標を選択可能である。キャンペーン条件については第1実施形態と同様である。
制御部13は、以上の検索条件を利用者側端末3から取得する。なお、検索条件に含まれる業種及び商品サービスカテゴリが対象業種及び対象カテゴリである。
【0093】
続いて、制御部13は、S102で、S101で取得した検索条件に合致する広告枠情報をデータベース4から取得する。具体的には、制御部13は、検索条件のうち、キャンペーン条件(例えば、キャンペーンの予算総額や実施期間)に合致する広告枠情報を取得する。
【0094】
続いて、制御部13は、S103で、算出処理を実行する。制御部13は、S101で取得した検索条件に含まれる指標種別に応じて、図11の第1算出処理又は図12の第2算出処理を算出処理として実行する。以下、第1、第2算出処理について順に説明する。
<第1算出処理>
制御部13は、指標種別として第1シェア指標が選択された場合、図11に示す第1算出処理を実行する。
【0095】
第1算出処理では、制御部13は、図6のS102で取得した広告枠情報に係る複数の広告枠のそれぞれを順次、対象広告枠に設定し、対象広告枠に対して図11のS301~S302の処理を実行していく。
【0096】
制御部13は、まず、S301で、データベース4における対象広告枠に関する出稿実績データを参照し、対象広告枠を用いた広告出稿について業種又は商品サービスカテゴリごとの出稿量を集計する。集計の結果、例えば、対象広告枠について、広告主の業種ごとの広告出稿量が、業種が自動車メーカーである広告の出稿量40回、業種が飲料メーカーである広告の出稿量30回・・・などと集計される。
【0097】
続いて、S302で、制御部13は、対象広告枠を用いて行われた広告出稿の総出稿量のうち、対象業種又は対象カテゴリに関する広告の出稿量の構成比を対象広告枠の第1シェア指標として算出する。例えば、対象広告枠を用いた行われた広告出稿の総出稿量が100回であり、そのうち広告主の業種が対象業種である広告の出稿量が40回である場合、対象広告枠の第1シェア指標は40回/100回=40%と算出される。
【0098】
制御部13は、前述したS301~S302の処理を、対象広告枠を変えて、S102で取得した全ての広告枠について実行する。
<第2算出処理>
一方、制御部13は、指標種別として第2シェア指標が選択された場合、図12に示す第2算出処理を実行する。第2算出処理では、第1算出処理と異なり、対象広告枠を設定して個々の広告枠に対して処理が実行されるのではなく、S102で取得した複数の広告枠全ての対象に以下のS401~S402が実行される。
【0099】
まず、制御部13は、S401で、データベース4から対象業種又は対象カテゴリに関する広告の出稿実績データを取得する。ここで、対象業種又は対象カテゴリに関する広告とは、広告主の業種が対象業種である、又は、広告対象の商品サービスカテゴリが対象カテゴリである広告である。一般に、S401では、複数の広告枠に係る広告出稿実績データが取得される。
【0100】
続いて、制御部13は、S402で、S401で取得した対象業種又は対象カテゴリに関する出稿実績データに係る各広告枠について、対象業種又は対象カテゴリに関する広告の出稿量を第2シェア指標として算出する。又は、制御部13は、S401で取得した対象業種又は対象カテゴリに関する全広告の出稿量の合計(総出稿量)に対する各広告枠の対象業種又は対象カテゴリに関する出稿量の構成比を第2シェア指標として算出する。
【0101】
例えば、対象業種に関する広告出稿が過去に広告枠A,B,Cの3つの広告枠で行われているとする。そして、対象業種に関する広告出稿の総出稿量が100回であり、各広告枠A,B,Cの対象業種に関する出稿量がそれぞれ50回、30回、20回、又は、構成比に換算して50%、30%、20%である場合、これらの値が各広告枠A,B,Cの第2シェア指標として算出される。制御部13は、S402を実行すると第2算出処理を終了する。
【0102】
図6に戻り、制御部13は、S104で、提示処理を実行する。第2実施形態のS104は基本的には第1実施形態のS104と同様の処理である。
第2実施形態においても第1実施形態の検索結果出力画面A5(図9)のような検索結果出力画面が表示される。当該出力画面では、S103で算出された第1シェア指標又は第2シェア指標に基づく順位に従って複数の広告枠が表示される。例えば、第1シェア指標又は第2シェア指標が高い広告枠ほど出力画面において上位に表示される。
【0103】
なお、第2実施形態においても第1実施形態と同様に、検索結果出力画面において各広告枠の共通指標の値は表示されない。
制御部13は、S104を実行すると、図6に示す共通指標検索処理を終了する。
【0104】
[2-3.効果]
以上詳述した第2実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果(1a)を奏し、さらに、以下の効果を奏する。
【0105】
(2a)制御部13は、第1、第2シェア指標を共通指標として算出する。したがって、ユーザは、第1、第2シェア指標を基に、複数の広告枠の中から広告枠を選定できる。
また、第1、第2シェア指標は、様々な広告主の広告出稿実績データを使って算出される。よって、ユーザは、他の広告主(すなわち、キャンペーンに係る広告主以外の広告主)がどの広告枠を用いて広告をよく出稿しているかがわかり、それを踏まえて広告枠を選定できる。
【0106】
なお、本実施形態では、S101が業種カテゴリ取得部としての処理に相当する。
[3.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は前述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0107】
(3a)上記各実施形態では、共通指標としてターゲット接触度合い等を例示したが、共通指標はこれに限られない。例えば、共通指標は、ターゲット含有率であってもよい。或る広告枠のターゲット含有率とは、その広告枠に出稿される広告の接触者全体における、ターゲットセグメントに属する接触者が占める割合である。また、ターゲット含有率は、市場全体に対する広告の接触人数を分母、ターゲットセグメントに対する広告の接触人数を分子、とした比率であってもよい。このような構成によれば、ユーザは、各広告枠のターゲット含有率を基に、複数の広告枠の中から広告枠を選定できる。
【0108】
(3b)ユーザが選択できる共通指標の組合せは上記各実施形態のものに限られない。例えば、ターゲット接触度合い、態度変容寄与指標、コスト効率、第1シェア指標及び第2シェア指標、ターゲット含有率等のいずれか1つ以上の中から共通指標を選択できてもよい。
【0109】
(3c)上記第2実施形態では、或る広告枠を用いて行われた広告出稿の出稿量として、その広告枠を用いて行われた広告出稿の回数(出稿回数)を例示したが、出稿量はこれに限られない。例えば、広告出稿の出稿量は、その広告枠を用いて広告出稿が行われたキャンペーンの数、その広告枠を用いて行われた広告出稿の金額(出稿金額)、その広告枠に出稿された広告の接触回数等であってもよい。なお、広告の接触回数としては、例えば、GRP(Gross Rating Point)や広告露出回数等が用いられてもよい。
【0110】
(3d)上記各実施形態の提示処理(S104)において、複数の共通指標に基づいて複数の広告枠がソートされてもよい。具体的には例えば、複数の共通指標のうち第1の共通指標(例えば、ターゲット接触度合い)に基づいて複数の広告枠をソートした場合において、前記複数の広告枠のうちいずれか2つ以上の広告枠について第1の共通指標の値が同じであるときは、複数の共通指標のうち、第1の共通指標とは異なる第2の共通指標(例えば、コスト効率)に基づいて前記いずれか2つ以上の広告枠を更にソートしてもよい。この場合において例えば、ターゲット接触度合いが同じ広告枠同士では、コスト効率が高い順に複数の広告枠がソートされてもよい。
【0111】
(3e)上記第1実施形態では、態度変容寄与指標は、ターゲット接触度合いに態度変容寄与パラメータ(態度変容率)を乗じることで算出される。換言すれば、態度変容寄与指標は、ターゲット接触度合いを線形変換することで算出される。しかしながら、態度変容寄与指標の算出方法はこれに限られない。
【0112】
例えば、態度変容寄与指標は、ターゲット接触度合いを非線形変換することで算出されてもよい。つまり、態度変容寄与指標は、ターゲット接触度合いや態度変容率の関数として算出されてもよい。この場合もターゲット接触度合いに応じた態度変容寄与指標が算出される。
【0113】
また、上記第1実施形態では、態度変容寄与指標を算出する際に用いられるパラメータ(態度変容寄与パラメータ)として態度変容率を例示したが、態度変容寄与パラメータはこれ以外であってもよい。
【0114】
また例えば、態度変容寄与指標は、ターゲット接触度合い以外の指標等に基づき算出されてもよい。
(3f)上記第1実施形態における態度変容寄与指標の算出について、都度、広告の接触度合いを算出しなくてもよい。例えば、データベース4にあらかじめ記憶しておいた接触度合いのデータを用いて態度変容寄与指標が算出されてもよい。
【0115】
(3g)態度変容寄与指標及び態度変容寄与パラメータは、上記第第1実施形態と異なる方法で算出されてもよい。
(3h)上記第1実施形態において、特定の時点(例えば、特定の日時等)の広告注目率を用いて共通指標が算出されてもよい。例えば、対象広告枠に係る広告出稿日が特定の時点(例えば、元旦)である場合、その特定の時点における広告注目率を用いてその広告枠の共通指標を算出してもよい。
【0116】
(3i)上記各実施形態では、検索結果出力画面A5(図9)において、共通指標の値が高い広告枠ほど上位に表示されるが、広告枠の表示の仕方はこれに限られない。例えば、共通指標の値に関する条件(例えば、共通指標の値の範囲等)をユーザが設定できるようにし、設定された条件に合致する広告枠を表示するようにしてもよい。
【0117】
(3j)上記各実施形態の検索結果出力画面A5(図9)において、各広告枠の共通指標の値を表示してもよい。
(3k)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【0118】
(3l)前述した広告枠取引支援装置1の制御部13の他、広告枠取引支援装置1を構成要素とする広告枠取引支援システム100、制御部13としてコンピュータを機能させるためのプログラム、このプログラムを記憶した半導体メモリ等の非遷移的実体的記憶媒体、広告枠取引支援方法など、種々の形態で本開示を実現することもできる。
【符号の説明】
【0119】
1…広告枠取引支援装置、2…提供者側端末、3…利用者側端末、4…データベース、
100…広告枠取引支援システム。
【要約】
【課題】媒体が異なる複数の広告枠の中からユーザが所望の広告枠を選定することを支援する。
【解決手段】広告枠取引支援システムは、公開部と、算出部と、提示部と、を備える。公開部は、予約型広告に関する複数の広告枠であって媒体が互いに異なる複数の広告枠の情報をネットワーク上に公開するように構成される。算出部は、複数の広告枠のそれぞれについて共通指標を算出するように構成される。提示部は、共通指標に基づいて、ユーザに複数の広告枠のうちの少なくとも1つを提示するように構成される。共通指標は、広告枠の効果及び/又は効率を表す指標であって、媒体が互いに異なる複数の広告枠に共通して用いられる指標である。
【選択図】図6
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12