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特許7168809太陽電池およびその製造方法、光起電力モジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】太陽電池およびその製造方法、光起電力モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0224 20060101AFI20221101BHJP
【FI】
H01L31/04 260
H01L31/04 264
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022078171
(22)【出願日】2022-05-11
【審査請求日】2022-05-24
(31)【優先権主張番号】202210174806.7
(32)【優先日】2022-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519095522
【氏名又は名称】ジョジアン ジンコ ソーラー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【弁理士】
【氏名又は名称】大行 尚哉
(74)【代理人】
【識別番号】100087859
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 秀治
(72)【発明者】
【氏名】金井昇
(72)【発明者】
【氏名】張彼克
(72)【発明者】
【氏名】チュー ホン ガオ
(72)【発明者】
【氏名】ヂァン シン ウ
【審査官】桂城 厚
(56)【参考文献】
【文献】特許第6890371(JP,B1)
【文献】特開2010-251343(JP,A)
【文献】国際公開第2017/170529(WO,A1)
【文献】特開2015-201648(JP,A)
【文献】特許第6916972(JP,B1)
【文献】国際公開第2018/062158(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0041911(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第112133780(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/00-31/078
H01L 31/18-31/20
H01L 51/42-51/48
H02S 10/00-10/40
H02S 30/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
前記ベースの第1面に位置し、前記ベースから離れる方向に順に設けられたトンネル酸化層、ドープ導電層および第1パッシベーション層と、
前記第1パッシベーション層を貫通して前記ドープ導電層に電気的に接続された第1金属電極、および、前記トンネル酸化層を貫通して前記ベースに接触し、かつ前記第1金属電極の幅より小さい幅を有し、前記第1金属電極の前記ベースを向く表面に接続される第2金属電極と、
前記ベース内に位置し、前記ベース内に位置する前記第2金属電極を被覆する局所ドーピングエリアであって、前記ベースと同じ導電型のドーパントを有し、かつドーピング濃度が前記ベースのドーピング濃度よりも大きい局所ドーピングエリアと、
を備えることを特徴とする太陽電池。
【請求項2】
前記第2金属電極と前記第1金属電極との接触面積の、前記第1金属電極の断面積に対する比が、1:16~2:3である、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】
前記第2金属電極は、間隔を置いて配列された複数のサブ電極を含み、かつ、前記トンネル酸化層が前記ベースに向かう方向に沿って、前記サブ電極の幅が徐々に小さくなつている、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項4】
前記トンネル酸化層が前記ベースに向かう方向に沿った方向において、前記ベース内にある前記第2金属電極の長さと前記第2金属電極の長さとの比が、1:10~9:10である、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項5】
前記ベースのドーピング濃度に対する前記局所ドーピングエリアのドーピング濃度の比が、10000:1~200000:1である、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項6】
前記局所ドーピングエリアのドーピング濃度は、1×1020atoms/cm~2×1021atoms/cmである、
ことを特徴とする請求項5に記載の太陽電池。
【請求項7】
前記ベースは、前記トンネル酸化層が前記ベースに向かう方向に沿って並べられる第1エリアと第2エリアを有し、前記第1エリアと前記第2エリアとの境界線が前記局所ドーピングエリアの前記第2金属電極から離間している上面と面一となり、そのうち、前記第1エリアのドーピング濃度が前記第2エリアのドーピング濃度よりも大きく、かつ、前記局所ドーピングエリアのドーピング濃度が前記第1エリアのドーピング濃度よりも大きい、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項8】
前記第2金属電極は、前記第1金属電極と間接的に接続する、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項9】
請求項1~のいずれか1項に記載の太陽電池を複数接続してなるセルストリングと、
前記セルストリングの表面を覆う封止層と、
前記封止層の前記セルストリングから離れた面を覆うカバープレートと、を備える、
ことを特徴とする光起電力モジュール。
【請求項10】
ベースを提供することと、
前記ベースの第1面にかつ前記ベースから離れる方向に、トンネル酸化層、ドープ導電層、および第1パッシベーション層を順に形成することと、
前記第1パッシベーション層を貫通して前記ドープ導電層に電気的に接続された第1金属電極、および、前記トンネル酸化層を貫通して前記ベースに接触し、かつ前記第1金属電極の幅より小さい幅を有し、前記第1金属電極の前記ベースを向く表面に接続される第2金属電極を形成することと、
前記ベース内には、前記ベース内に位置する前記第2金属電極を被覆する局所ドーピングエリアであって、前記ベースと同じ導電型のドーパントを有し、かつドーピング濃度が前記ベースのドーピング濃度よりも大きい局所ドーピングエリアが形成されることと、を含む、
ことを特徴とする太陽電池の製造方法。
【請求項11】
前記第1金属電極および第2金属電極を形成する方法には、
前記ベースの前記第1パッシベーション層の一部にレーザ加工を施すことにより、レーザ処理領域を形成し、前記レーザ処理領域が前記第2金属電極形成待ち領域に対応し、前記第1パッシベーション層において、前記レーザ処理領域以外の領域が、前記第1金属電極形成待ち領域を含む平坦エリアとなり、前記レーザ処理領域が前記第1金属電極形成待ち領域に位置されることと、
前記第1面のレーザ処理領域及び前記第1金属電極形成待ち領域に、前記ベースのドーピングイオンと同じ種である第1ドーピングイオンを含む導電性ペーストを印刷することと、
前記導電性ペーストに対して焼結処理を行い、前記第2金属電極及び前記第1金属電極を形成することと、が含まれる、
ことを特徴とする請求項10に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項12】
前記ベースの第1パッシベーション層の一部にレーザ加工を施すことによりレーザ処理領域を形成する方法には、レーザ加工により、前記のレーザ処理領域を形成する1パッシベーション層を、前記ドープ導電層の表面の一部が露出するまでレーザエッチングして、前記レーザ処理領域を形成することが含まれる、
ことを特徴とする請求項11に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項13】
前記ベースの第1パッシベーション層の一部にレーザ加工を施すことによりレーザ処理領域を形成する方法には、レーザ加工により、前記のレーザ処理領域を形成する第1パッシベーション層に対してレーザエッチングを行うことが含まれ、前記形成待ちレーザ処理領域は、第1形成待ちレーザ処理領域と第2形成待ちレーザ処理領域を含み、そのうち、前記ドープ導電層の表面の一部が露出するように、前記第1形成待ちレーザ処理領域をレーザエッチングし、予め設定された厚さを有する第2パッシベーション層を形成するように、第2形成待ちレーザ処理領域をレーザエッチングする、
ことを特徴とする請求項11に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項14】
前記第1パッシベーション層の厚さに対する前記第2パッシベーション層の厚さの比は、1:10~2:3である、
ことを特徴とする請求項13に記載の太陽電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、太陽電池の分野に関し、特に太陽電池およびその製造方法、光起電力モジュールに関する。
【0002】
太陽電池は、良好な光電変換能力を有しており、太陽電池におけるベースの表面のキャリア再結合を抑制し、ベースに対するパッシベーション効果を向上させるために、通常、ベースの表面にトンネル酸化層およびド一プ導電層を作製する。そのうち、トンネル酸化層は化学的なパッシベーション効果が優れており、ド一プ導電層はフィールドパッシベーション効果が優れている。また、太陽電池で発生した光生成キャリアを輸送し、収集するため、一部のベースの表面に電極を作製することもある。
【0003】
しかしながら、現在製造されている太陽電池は、直列抵抗が比較的高いという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願は、少なくとも太陽電池の直列抵抗の低減に有利な太陽電池およびその製造方法、光起電力モジュールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の実施例により提供される太陽電池は、ベースと、ベースの第1面に位置し、ベースから離れる方向に順に設けられたトンネル酸化層、ドープ導電層および第1パッシベーション層と、第1パッシベーション層を貫通してドープ導電層に電気的に接続された第1金属電極、および、第1金属電極のベースを向く表面に接続され、トンネル酸化層を貫通してベースに接触し、かつ第1金属電極の幅より小さい幅を有する第2金属電極と、ベース内に位置し、ベース内に位置する第2金属電極を被覆する局所ドーピングエリアであって、ベースと同じ導電型のドーパントを有し、かつドーピング濃度がベースのドーピング濃度よりも大きい局所ドーピングエリアと、を備える。
【0006】
また、第2金属電極と第1金属電極との接触面積の、第1金属電極の断面積に対する比は、1:16~2:3である。
【0007】
また、第2金属電極は、間隔を置いて配列された複数のサブ電極を含み、かつ、トンネル酸化層がベースに向かう方向に沿って、サブ電極の幅が徐々に小さくなつている。
【0008】
また、トンネル酸化層がベースに向かう方向に沿った方向において、ベース内にある第2金属電極の長さと第2金属電極の長さとの比が、1:10~9:10である。
【0009】
また、ベースのドーピング濃度に対する局所ドーピングエリアのドーピング濃度の比は、10000:1~200000:1である。
【0010】
局所ドーピングエリアのドーピング濃度は、1×1020atoms/cm~2×1021atoms/cmである。
【0011】
また、ベースは、トンネル酸化層がベースに向かう方向に沿って並べられる第1エリアと第2エリアを有し、第1エリアと第2エリアとの境界線が局所ドーピングエリアの第2金属電極から離間している上面と面一となり、そのうち、第1エリアのドーピング濃度が第2エリアのドーピング濃度よりも大きく、かつ、局所ドーピングエリアのドーピング濃度が第1エリアのドーピング濃度よりも大きい。
【0012】
これに応じて、本願の実施例は、上記のいずれか1項に記載の太陽電池を複数接続してなるセルストリングと、セルストリングの表面を覆う封止層と、封止層のセルストリングから離れた面を覆うカバープレートと、を備える光起電力モジュールをさらに提供する。
【0013】
これに応じて、本願の実施例は、ベースを提供することと、ベースの第1面にかつベースから離れる方向に、トンネル酸化層、ドープ導電層、および第1パッシベーション層を順に形成することと、第1パッシベーション層を貫通してドープ導電層に電気的に接続された第1金属電極、および、第1金属電極のベースを向く表面に接続され、トンネル酸化層を貫通してベースに接触し、かつ第1金属電極の幅より小さい幅を有する第2金属電極を形成することと、ベース内には、ベース内に位置する第2金属電極を被覆する局所ドーピングエリアであって、ベースと同じ導電型のドーパントを有し、かつドーピング濃度がベースのドーピング濃度よりも大きい局所ドーピングエリアが形成されることとを含む、太陽電池の製造方法をさらに提供する。
【0014】
また、第1金属電極および第2金属電極を形成する方法には、ベースの第1パッシベーション層の一部にレーザ加工を施すことにより、レーザ処理領域を形成し、レーザ処理領域が第2金属電極形成待ち領域に対応し、第1パッシベーション層において、レーザ処理領域以外の領域が、第1金属電極形成待ち領域を含む平坦エリアとなり、レーザ処理領域が第1金属電極形成待ち領域に位置されることと、第1面のレーザ処理領域及び第1金属電極形成待ち領域に、ベースのドーピングイオンと同じ種である第1ドーピングイオンを含む導電性ペーストを印刷することと、導電性ペーストに対して焼結処理を行い、第2金属電極及び第1金属電極を形成することと、が含まれる。
【0015】
また、ベースの第1パッシベーション層の一部にレーザ加工を施すことによりレーザ処理領域を形成する方法には、レーザ加工により、レーザ処理領域を形成する待つ第1パッシベーション層を、ドープ導電層の表面の一部が露出するまでレーザエッチングして、レーザ処理領域を形成することが含まれる。
【0016】
また、ベースの第1パッシベーション層の一部にレーザ加工を施すことによりレーザ処理領域を形成する方法には、レーザ加工により、形成待ちレーザ処理領域の第1パッシベーション層に対してレーザエッチングを行うことが含まれ、形成待ちレーザ処理領域は、第1形成待ちレーザ処理領域と第2形成待ちレーザ処理領域を含み、そのうち、ドープ導電層の表面の一部が露出するように、第1形成待ちレーザ処理領域をレーザエッチングし、予め設定された厚さを有する第2パッシベーション層を形成するように、第2形成待ちレーザ処理領域をレーザエッチングする。
【0017】
また、第1パッシベーション層の厚さに対する第2パッシベーション層の厚さの比は、1:10~2:3である。
【0018】
本願の実施例により提供される技術案は、少なくとも以下の利点を有する。
【0019】
本願の実施例により提供される太陽電池の技術案では、ベースの第1面にかつベースから離れる方向に、トンネル酸化層、ドープ導電層、および第1パッシベーション層を順に形成し、かつ、第1パッシベーション層を貫通してドープ導電層に電気的に接続された第1金属電極と、第1金属電極のベースを向く表面に接続され、トンネル酸化層を貫通してベースに接触する第2金属電極を設置しており、これにより、第2金属電極によるキャリアの輸送がトンネル酸化層によって制限されず、輸送効率が比較的高く、かつ、第1金属電極がトンネル酸化層を貫通しないので、トンネル酸化層が良いパッシベーション効果を維持し、そして、第2金属電極の幅が第1金属電極の幅よりも小さい、つまり、トンネル酸化層を貫通する第2金属電極を少なく設けることで、第2金属電極における再結合損失が大幅に増加しないようにする。さらに、ベース内に位置し、ベース内に位置する第2金属電極を被覆する局所ドーピングエリアであって、ベースと同じ導電型のドーパントを有し、かつドーピング濃度がベースのドーピング濃度よりも大きい局所ドーピングエリアを設置している。局所ドーピングエリアの濃度はベースの濃度よりも大きい、すなわち高濃度ドーピングエリアを形成し、この高濃度ドーピングエリアはベースと高低接合を形成し、良好な界面パッシベーション効果を奏し、キャリアの再結合を低減できる一方、局所ドーピングエリアは第2金属電極とオーミックコンタクトを形成し、太陽電池の直列抵抗を低減することで、キャリア輸送能力を向上させるとともに、良好なパッシベーション効果を保つことを実現する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
一つ又は複数の実施例は、対応する添付の図面における図で例示的に説明されるが、これらの例示的な説明は、実施例を限定するものではなく、特に断りのない限り、添付の図面における図は縮尺に制限されない。
図1図1は、本願の一実施例に係る太陽電池の一種の構成を示す図である。
図2図2は、本願の一実施例に係る太陽電池のもう一種の構成を示す図である。
図3図3は、本願の一実施例に係る太陽電池の別の一種の構成を示す図である。
図4図4は、本願の一実施例に係る太陽電池のさらに別の一種の構成を示す図である。
図5図5は、本願の一実施例に係る光起電力モジュールの構成を示す図である。
図6図6は、本願の他の実施例に係る太陽電池の製造方法において提供されたベースに対応する構成を示す図である。
図7図7は、本願の他の実施例に係る太陽電池の製造方法におけるエミッタ形成工程に対応する構成を示す図である。
図8図8は、本願の他の実施例に係る太陽電池の製造方法におけるトンネル酸化層およびドープ導電層を形成する工程に対応する構成を示す図である。
図9図9は、本願の他の実施例に係る太陽電池の製造方法における反射防止層形成工程に対応する構成を示す図である。
図10図10は、本願の他の実施例に係る太陽電池の製造方法における第1パッシベーション層を形成する工程に対応する構成を示す図である。
図11図11は、本願の他の実施例に係る太陽電池の製造方法におけるレーザ処理領域を形成する工程に対応する構成を示す図である。
図12図12は、本願の他の実施例に係るもう一種の太陽電池の製造方法におけるレーザ処理領域を形成する工程に対応する構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
背景技術から分かるように、現在では太陽電池の直列抵抗が高いという問題がある。
【0022】
分析したところ、太陽電池の直列抵抗が高い要因の一つは、太陽電池を製造する際に、ベースの裏面にトンネル酸化層及びドープ導電層を作製していることであることがわかった。また、ベースの表面には金属電極が作製され、金属電極はドープ導電層と接触するが、トンネル酸化層を貫通しなく、これによりトンネル酸化層の良いパッシベーション効果を保つ。しかしながら、トンネル酸化層の存在により、金属電極によるキャリアの輸送が制限されるため、キャリアの輸送能力が低くなり、太陽電池の直列抵抗を増大してしまう。現在の研究では、キャリアがトンネル酸化層を通過するメカニズムは、「ピンホール理論」に従うと考えられており、すなわち、トンネル酸化層の厚さがある上限値を超えると、キャリアがトンネルする確率が大きく低下し、この時キャリアは主に「ピンホール」によって輸送され、トンネル酸化層における「ピンホール」の数が小さすぎると、キャリア輸送が制限される一方、「ピンホール」の数が多すぎると、トンネル酸化層の欠陥が多すぎて、トンネル酸化層の化学的なパッシベーション効果が低下してしまうことを示す。従って、どのようにして太陽電池の直列抵抗を低減しつつ、太陽電池の良好なパッシベーション効果を保つかは、解決すべき緊急の課題である。
【0023】
本願の実施例により提供される太陽電池は、ベースの第1面に位置し、ベースから離れる方向に順に設けられたトンネル酸化層、ドープ導電層および第1パッシベーション層と、第1パッシベーション層を貫通してドープ導電層に電気的に接続された第1金属電極、および、第1金属電極のベースを向く表面に接続され、トンネル酸化層を貫通してベースに接触し、かつ第1金属電極の幅より小さい幅を有する第2金属電極と、を備えており、これにより、第2金属電極によるキャリアの輸送がトンネル酸化層によって制限されず、輸送効率が比較的高く、かつ、第1金属電極がトンネル酸化層を貫通しないので、トンネル酸化層が良いパッシベーション効果を維持する。また、第2金属電極の幅が第1金属電極の幅よりも小さい、つまり、トンネル酸化層を貫通する第2金属電極を少なく設けることで、第2金属電極における再結合損失が大幅に増加しないようにする。さらに、ベース内に局所ドーピングエリアを設置し、かつ、局所ドーピングエリアは、ベース内に位置する第2金属電極を被覆し、ベースと同じ導電型のドーパントを有し、且つドーピング濃度がベースのドーピング濃度よりも大きく、これにより高濃度ドーピングエリアを形成する。このように、この高濃度ドーピングエリアはベースと高低接合を形成し、良好な界面パッシベーション効果を奏し、キャリアの再結合を低減できる一方、局所ドーピングエリアは第2金属電極とオーミックコンタクトを形成し、太陽電池の直列抵抗を低減することで、キャリア輸送能力を向上させるとともに、良好なパッシベーション効果を保つことを実現する。
【0024】
以下、本願の各実施例について図面を結合して詳細に説明する。しかしながら、当業者は理解できるが、読者に本願をよりよく理解させるために、本願の各実施例において多数の技術的細部が提案されているが、これらの技術的細部がなくても、または以下の各実施例に基づく種々の変更や修正は、本願が保護を要求している技術案を実現することができる。
【0025】
図1は、本願の一実施例に係る一種の太陽電池の構成を示す図である。
【0026】
図1を参照して、太陽電池は、ベース100と、ベース100の第1面に位置し、ベース100から離れる方向に順に設けられたトンネル酸化層110、ドープ導電層120および第1パッシベーション層130と、第1パッシベーション層130を貫通してドープ導電層120に電気的に接続された第1金属電極141、および、第1金属電極141のベース100を向く表面に接続され、トンネル酸化層110を貫通してベース100に接触し、かつ第1金属電極141の幅より小さい幅を有する第2金属電極142と、ベース100内に位置し、ベース100内に位置する第2金属電極142を被覆する局所ドーピングエリア150であって、ベース100と同じ導電型のドーパントを有し、かつドーピング濃度がベース100のドーピング濃度よりも大きい局所ドーピングエリア150と、を備える。
【0027】
ベース100は、入射光線を受光して光生成キャリアを生成するためのものであり、いくつかの実施例において、ベース100は、シリコンベースであってもよく、シリコンベースの材料は、単結晶シリコン、ポリシリコン、アモルファスシリコン、または微結晶シリコンのうちの少なくとも一種を含み得る。他のいくつかの実施例において、ベース100の材料は、炭素単体、有機材料、または多価化合物のうちの少なくとも一種であってもよく、多価化合物は、ガリウムヒ素、テルル化カドミウム、銅インジウムセレン等を含む。
【0028】
いくつかの実施例において、太陽電池は、TOPCON(Tunnel Oxide Passivated Contact、トンネル酸化層がパッシベーションコンタクトしている)電池であり、ベース100は、第1面に対向する第2面をさらに有し、ベース100の第1面と第2面は、いずれも入射光線または反射光線を受光するために用いられる。いくつかの実施例において、ベース100の第2面は、入射光線に対するベース100の第2面の反射率が小さくなるようにピラミッドテクスチャーとして設けられることができ、これにより、光線に対する吸収利用率が大きくなる。ベース100の第1面は、例えば積層した段差模様のような非ピラミッドテクスチャーとして設けられてもよく、これにより、ベース100の第1面に位置するトンネル酸化層110が高い緻密性および均一性を有し、ベース100の第1面に対するトンネル酸化層110の不動態化効果を良好にする。いくつかの実施例において、第1面は、ベース100の裏面であり、第2面は、ベース100の表面であってもよい。他の幾つかの実施例において、第1面がベース100の表面であれば、第2面はベース100の裏面である。
【0029】
いくつかの実施例において、ベース100は、N型半導体ベースであり、即ち、ベース100内にN型ドーピングイオンがドープされており、N型ドーピングイオンは、リンイオン、ヒ素イオン、またはアンチモンイオンのいずれであってもよい。ベース100の第2面においてエミッタ160を有し、エミッタ160は、P型イオンがドーピングされたP型ドーピング層であってもよく、エミッタ160は、ベース100とPN接合を形成している。いくつかの実施例において、エミッタ160は、ベース100の表層に対してP型イオンの拡散ドーピングを行うことによって得られ、ドーピングされた一部のベース100がエミッタ160に変換されている。具体的には、いくつかの実施例において、P型イオンは、ボロンイオンであってもよい。
【0030】
トンネル酸化層110およびドープ導電層120は、パッシベーションコンタクト層としてもよく、そのうち、トンネル酸化層110は、ベース100の第1面の界面パッシベーションを実現するために使用され、化学的不動態化の効果を奏する。具体的には、ベース100の界面に界面準位欠陥(interface state defects)が存在するため、ベース100の界面準位密度が大きくなり、界面準位密度の増大により光生成キャリアの再結合が促進され、太陽電池の曲線因子および変換効率が低下する。そこで、トンネル酸化層110をベース100の第1面側に位置させるように設置することで、トンネル酸化層110はベース100の第1面に対して化学的不動態化の効果を奏し、具体的には、ベース100の表面のダングリングボンドを飽和させることにより、ベース100の表面の界面欠陥密度を低減し、ベース100の表面の再結合中心を低減してキャリア再結合レートを低減する。
【0031】
トンネル酸化層110は、化学的不動態化の効果が優れているが、トンネル酸化層110の存在により、第1金属電極141によるキャリアの輸送が制限され、特にトンネル酸化層110の厚さが増加した後、第1金属電極141によるキャリアの輸送がさらに制限される。この点を踏まえて、本願実施例では、第2金属電極142がトンネル酸化層110を貫通するよう設けることで、第2金属電極142によるキャリアの輸送がトンネル酸化層110に制限されないようにし、さらに太陽電池の直列抵抗を小さくし、太陽電池の変換効率を向上させている。一方、第2金属電極142によるキャリアの輸送は、トンネル酸化層110による制限を受けないので、トンネル酸化層110の厚さに対する制限を小さくすることができ、これにより、第2金属電極142によるキャリアの輸送能力を損なうことなく、トンネル酸化層110の厚さを適正に制御して、トンネル酸化層110の化学的不動態化の効果を良好にし、ベース100の界面準位密度をさらに低減し、太陽電池の曲線因子および変換効率を向上させることができる。このことから、幾つかの実施例において、トンネル酸化層110の厚さは、0.5nm~2.5nmであってもよく、例えば、1.5nmであってもよい。具体的には、いくつかの実施例において、トンネル酸化層110の材料は、誘電体材料であってもよく、例えば、酸化シリコンであってもよい。
【0032】
ドープ導電層120は、フィールドパッシベーション層を形成するためのものであり、フィールドパッシベーション作用としては、ベース100の界面に、ベース100内部を指向する一つの静電界を形成し、少数キャリアを界面から逃がすことで少数キャリア濃度を低くし、ベース100の界面でのキャリア再結合レートを低くして、太陽電池の開放電圧、短絡電流、および曲線因子を大きくし、太陽電池の光電変換性能を向上させることである。いくつかの実施例において、ドープ導電層120は、ベース100と同じ導電型のドーパントを有し、ドープ導電層120はドーピングシリコンであってもよく、ドーピングシリコンは、具体的にはN型ドーピングポリシリコン、N型ドーピング微結晶シリコン、またはN型ドーピングアモルファスシリコンの1種または複数種であってもよく、ドープ導電層120にはN型ドーピングイオンが含まれ、例えばリンイオン、ヒ素イオン、又はアンチモンイオンのいずれかであってもよい。
【0033】
第1金属電極141は、トンネル酸化層110を貫通することなく、ドープ導電層120と電気的に接続されており、これにより、第1金属電極141は、ドープ導電層120を介してキャリアの輸送を行うことができる一方、第1金属電極141はトンネル酸化層110を貫通していない、すなわちトンネル酸化層110の完全性が高いため、トンネル酸化層110の良好なパッシベーション効果を保つことができる。また、電極としてトンネル酸化層110を貫通する第2金属電極142のみを設けるよりも、第1金属電極141がドープ導電層120と電気的に接続され、かつ第2金属電極142がトンネル酸化層110を貫通してベース100と直接接触することで、トンネル酸化層110の良好なパッシベーション能力を保持しつつ、第1金属電極141及び第2金属電極142をともにキャリア輸送の役割を果たすため、キャリア輸送レートがより速くなり、太陽電池の直列抵抗が大きく低減する。なお、いくつかの実施例において、第2金属電極142は、第1金属電極141と直接接触して電気的に接続されていてもよい。他のいくつかの実施例において、第2金属電極142は、第1金属電極141と直接接触しなくてもよく、すなわち間接的に接続するように電気的に接続されていてもよく、例えば導電線により電気的に接続されていてもよい。本願実施例は、第1金属電極141及び第2金属電極142の具体的な接続形態を限定するものではなく、第1金属電極141及び第2金属電極142が電気的に接続されていることを満たしていればよい。
【0034】
トンネル酸化層110を貫通する第2金属電極142を設けてキャリアの輸送効率を高めるとともに、第2金属電極142によるトンネル酸化層110のパッシベーション能力への影響を考慮する必要、すなわち、第2金属電極142の方が大きな断面積を有し、良好なキャリア輸送能力を有するようにして太陽電池の直列抵抗を低減する必要があると共に、トンネル酸化層110とベース100との接触面積が大きく、トンネル酸化層110がベース100の第1面に対して良い化学的不動態化の効果を有するようにする必要がある。以上のことから、幾つかの実施例では、第2金属電極142と第1金属電極141との接触面積の、第1金属電極141の断面積に対する比は、1:16~2:3であってもよく、例えば、1:2であってもよい。この範囲では、第2金属電極142がトンネル酸化層110に位置する再結合損失が小さく、かつ、第2金属電極142によるキャリアの輸送能力が大幅に向上することで、太陽電池の直列抵抗が低減され、太陽電池の光電変換効率が向上する。なお、第1金属電極141の断面積とは、ベース100の第1面に平行な方向における断面積をいう。
【0035】
図2は、本願の一実施例に係る太陽電池のもう一種の構成を示す図である。図2を参照して、幾つかの実施例において、第2金属電極142は、間隔を置いて配列された複数のサブ電極を含み、トンネル酸化層110がベース100に向かう方向に沿った方向において、サブ電極の幅は徐々に小さくなっている。サブ電極の幅を変えない場合よりも、第2金属電極142がトンネル酸化層110の中に位置する体積が小さくなるようにサブ電極の幅を徐々に小さくすることで、トンネル酸化層110へのダメージを小さくすることができる。そして、トンネル酸化層110がベース100に向かう方向に沿った方向において、トンネル酸化層110中に位置するサブ電極の断面積が、トンネル酸化層110のベース100の第1面との接触面積が大きくなるように徐々に小さくなるので、第2金属電極142によるキャリアの輸送能力を高めつつ、トンネル酸化層110のパッシベーション効果に対する第2金属電極142による影響をさらに弱めることができ、トンネル酸化層110の化学的不動態化の能力を維持する上で有利となる。また、第2金属電極142は、間隔を置いて配列された複数のサブ電極を含み、このように、サブ電極ごとに局所ドーピングエリア150により被覆されており、1つの第2金属電極142のみが局所ドーピングエリア150により被覆される場合よりも、複数のサブ電極が局所ドーピングエリア150により被覆され、局所ドーピングエリア150と第2金属電極142との接触面積が大きく増加することで、第2金属電極142に対する局所ドーピングエリア150の界面パッシベーション効果が強くなり、第2金属電極142と局所ドーピングエリア150との間にオーミックコンタクトをさらに形成し、太陽電池の直列抵抗を低減するのに有利である。
【0036】
いくつかの実施例において、トンネル酸化層110がベース100に向かう方向において、ベース100内に位置する第2金属電極142の長さと第2金属電極142の長さとの比は、1:10~9:10であってもよく、例えば、2:3であってもよい。この範囲では、ベース100内に位置する第2金属電極142の長さを長くして、第2金属電極142と局所ドーピングエリア150との接触面積を大きくする一方で、局所ドーピングエリア150による第2金属電極142の界面パッシベーション効果が強く、太陽電池の性能が向上するとともに、第2金属電極142と局所ドーピングエリア150との間にオーミックコンタクトをさらに形成し、太陽電池の直列抵抗を低減するのに有利である。一方、この範囲では、第2金属電極142の長さも長くなり過ぎず、第2金属電極142を形成する材料を節約することができ、コスト制御に有利である。
【0037】
図3は、本願の一実施例に係る太陽電池の別の一種の構成を示す図である。図3を参照すると、いくつかの実施例において、第2金属電極142は、トンネル酸化層110のベース100を向く面と面一になっていてもよいことが理解される。
【0038】
いくつかの実施例において、第1金属電極141及び第2金属電極142の材料は、銀、アルミニウム、銅、錫、金、鉛又はニッケルの少なくともいずれかであってもよい。
【0039】
図1を引き続き参照すると、局所ドーピングエリア150は、ベース100内に位置し、ベース100と同一のドーピングイオン種を有し、局所ドーピングエリア150のドーピングイオン濃度は、ベース100のドーピングイオン濃度よりも大きいので、局所ドーピングエリア150は高濃度ドーピングエリアを形成し、この高濃度ドーピングエリアはベース100と高低接合を形成する。局所ドーピングエリア150は、第2金属電極142と接触しているため、局所ドーピングエリア150は、第2金属電極142とベース100との界面においてパッシベーション作用を奏し、界面でのキャリア再結合を低減し、キャリア濃度を大きくすることができる。そして、局所ドーピングエリア150は、第2金属電極142とオーミックコンタクトを形成し、太陽電池の直列抵抗をさらに低減する。具体的には、いくつかの実施例において、ベース100がN型半導体ベース100である場合、局所ドーピングエリア150のドーピングイオンは、リンイオン、ヒ素イオン、またはアンチモンイオンのいずれかとすることができる。
【0040】
いくつかの実施例において、局所ドーピングエリア150のドーピング濃度とベース100のドーピング濃度との比は、10000:1~200000:1であってもよい。この範囲では、局所ドーピングエリア150とベース100とのドーピング濃度差が大きいため、高低接合を形成することができ、第2金属電極142とベース100との界面におけるキャリアの再結合を低減し、キャリアの輸送能力を増強するのに有利である。そして、この範囲であれば、局所ドーピングエリア150と第2金属電極142との間にオーミックコンタクトを形成することもでき、直列抵抗を小さくすることができるため、太陽電池が大きな開放電圧を有し、太陽電池の光電変換効率を向上させることができる。具体的には、いくつかの実施例において、局所ドーピングエリア150のドーピング濃度は、1×1020atoms/cm~2×1021atoms/cmであってもよく、例えば、5×1020atoms/cmであってもよい。
【0041】
図4は、本願の一実施例に係る太陽電池のさらに別の一種の構成を示す図である。図4を参照して、いくつかの実施例において、ベース100は、トンネル酸化層110がベース100に向かう方向に沿って並べられる第1エリア1と第2エリア2を有し、第1エリア1と第2エリア2との境界線が局所ドーピングエリア150の第2金属電極142から離間している上面と面一となり、そのうち、第1エリア1のドーピング濃度が第2エリア2のドーピング濃度よりも大きく、かつ、局所ドーピングエリア150のドーピング濃度が第1エリア1のドーピング濃度よりも大きい。すなわち、局所ドーピングエリア150は、第1エリア1内に位置するため、局所ドーピングエリア150のドーピング濃度は、第1エリア1のドーピング濃度よりも大きく、局所ドーピングエリア150から第1エリア1までの濃度勾配を形成して高低接合を形成するのに有利である。具体的には、第1エリア1のドーピングイオン種と第2エリア2のドーピングイオン種とが同じで、かつ、第1エリア1のドーピングイオン濃度が第2エリア2のドーピングイオン濃度よりも大きい、すなわち、ベース100の第1エリア1と第2エリア2との間に同種のドーピングイオン種の濃度勾配が1つ確立され、裏面電界(Back Surface Field)が形成され、この裏面電界の存在により、キャリアにバリア効果が生じ、ベース100の第1面におけるキャリアの再結合が低減され、キャリアを効率的に収集でき、太陽電池の直列抵抗がより一層低減される。同時に、この裏面電界は、太陽電池の長波応答も改善し、太陽電池の短絡電流および開放電圧を向上させることができる。
【0042】
図1を引き続き参照すると、第1パッシベーション層130は、ドープ導電層120よりもベース100から離れる側に位置し、ベース100への入射光線の入射効果を増強するとともに、ドープ導電層120およびトンネル酸化層110のパッシベーション効果を増強する。第1パッシベーション層130の材料は、酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化シリコン、酸窒化シリコン、または炭酸窒化シリコンのうちの1種または複数種であってもよい。具体的には、いくつかの実施例において、第1パッシベーション層130は、単層構造であってもよい。他のいくつかの実施例において、第1パッシベーション層130は、多層構造であってもよい。
【0043】
いくつかの実施例において、第2面に設けられた反射防止層170をさらに備える。反射防止層170は、入射光線に対する反射防止の役割を果たし、すなわち、入射光線に対するベース100の反射率を低減させる。これにより、入射光線をベース100に多く吸収させることができ、太陽光に対する利用率が高くなり、太陽電池の光電変換性能をさらに向上させることができる。
【0044】
いくつかの実施例において、反射防止層170は、窒化シリコン層であってもよく、窒化シリコン層は窒化シリコン材料を含んでよく、窒化シリコン材料はより高い屈折率を有するので、より多くの入射光線がベース100に入射し、入射光線の利用効率が向上する。また、窒化シリコン材料は、良好な水素パッシベーション効果も有しているため、ベース100の裏面のキャリア濃度を増加させ、キャリア再結合を抑制し、太陽電池の開放電圧、短絡電流および曲線因子を向上させることができる。他のいくつかの実施例において、反射防止層170は、多層構造として設けられていてもよく、例えば、窒化シリコン、酸化シリコンまたは酸窒化シリコンのうちの1種または複数種からなる積層構造であってもよい。
【0045】
いくつかの実施例において、太陽電池は、ベース100の第2面に位置し、反射防止層170を貫通してエミッタ160に電気的に接続された第3金属電極180をさらに備える。
【0046】
上記の実施例により提供される太陽電池において、第1パッシベーション層130を貫通してドープ導電層120に電気的に接続された第1金属電極141と、第1金属電極141のベース100を向く表面に接続され、トンネル酸化層110を貫通してベース100に接触する第2金属電極142を設置しており、これにより、第2金属電極142によるキャリアの輸送がトンネル酸化層110によって制限されず、輸送効率が比較的高く、かつ、第1金属電極141がトンネル酸化層110を貫通しないので、トンネル酸化層110が良いパッシベーション効果を維持する。また、ベース100内に位置し、ベース100内に位置する第2金属電極142を被覆する局所ドーピングエリア150であって、ベース100と同じ導電型のドーパントを有し、かつドーピング濃度がベース100のドーピング濃度よりも大きい局所ドーピングエリア150を設置している。局所ドーピングエリア150の濃度はベース100の濃度よりも大きい、すなわち高濃度ドーピングエリアを形成し、この高濃度ドーピングエリアはベース100と高低接合を形成し、良好な界面パッシベーション効果を奏し、キャリアの再結合を低減できる一方、局所ドーピングエリア150は第2金属電極142とオーミックコンタクトを形成し、太陽電池の直列抵抗を低減することで、キャリア輸送能力を向上させるとともに、良好なパッシベーション効果を保つことを実現する。
【0047】
これに応じて、本願の実施例は光起電力モジュールをさらに提供する。図5を参照して、光起電力モジュールは、上記の実施例により提供される太陽電池101を複数接続してなるセルストリングと、セルストリングの表面を覆うための封止層102と、封止層102のセルストリングから離れた面を覆うためのカバープレート103と、を備える。太陽電池101をノリシックまたはマルチフラグメントで電気的に接続して複数のセルストリングが形成され、複数のセルストリングが直列および/または並列に電気的に接続される。
【0048】
具体的には、いくつかの実施例において、複数のセルストリングの間を導電テープ104により電気的に接続することができる。封止層102は、太陽電池101の前面及び裏面を覆っており、封止層102は、具体的には、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)フィルム、ポリエチレンオクテン共エラストマー(POE)フィルム、またはポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等の有機封止フィルムであってもよい。いくつかの実施例において、カバープレート103は、ガラスカバープレート、プラスチックカバープレートなどの透光性機能を有するカバープレート103であってもよい。具体的には、カバープレート103の封止層102に向かう面を凹凸面とすることができ、これにより、入射光線の利用率を増大させることができる。図1図5を参照して、本願の実施例では、第1金属電極141が第1パッシベーション層130を貫通してドープ導電層120に電気的に接続され、第2金属電極142が第1金属電極141のベース100を向く表面に接続され、トンネル酸化層110を貫通してベース100に接触するように設置しており、これにより、第2金属電極142によるキャリアの輸送がトンネル酸化層110によって制限されず、輸送効率が比較的高く、かつ、第1金属電極141がトンネル酸化層110を貫通しないので、トンネル酸化層110のパッシベーション効果が良好に保たれ、太陽電池の光電変換効率が向上し、さらに光起電力モジュール全体の光電変換性能を向上させることができる。
【0049】
これに応じて、本願の他の実施例は太陽電池の製造方法をさらに提供し、この太陽電池の製造方法により、前の実施例に提供された太陽電池を形成することができる。以下、本願の他の実施例により提供される半導体構造の製造方法について図面を参照して詳細に説明する。
【0050】
図6から図12は、本願の他の実施例により提供される太陽電池の製造方法における各工程に対応する構成を示す図である。
【0051】
図6は、本願の他の実施例に係る太陽電池の製造方法において提供されたベースの構成を示す図である。図6を参照して、ベース100を提供する。
【0052】
ベース100は、入射光線を受光して光生成キャリアを生成するためのものであり、いくつかの実施例において、ベース100は、シリコンベースであってもよく、シリコンベースの材料は、単結晶シリコン、ポリシリコン、アモルファスシリコン、または微結晶シリコンを含み得る。他のいくつかの実施例において、ベース100の材料は、炭素単体、有機材料、または多価化合物であってもよく、多価化合物は、ガリウムヒ素、テルル化カドミウム、銅インジウムセレン等を含む。
【0053】
いくつかの実施例において、太陽電池は、TOPCON電池であり、ベース100は、対向する第1面および第2面を有し、第1面がベース100の裏面であり、第2面がベース100の表面であってもよい。いくつかの実施例において、ベース100の第2面は、入射光線に対するベース100の第2面の反射率が小さくなるようにピラミッドテクスチャーとして設けられることができ、これにより、光線に対する吸収利用率が大きくなる。いくつかの実施例において、ベース100は、N型半導体ベースであり、即ち、ベース100内にN型ドーピングイオンがドープされており、N型ドーピングイオンは、リンイオン、ヒ素イオン、またはアンチモンイオンのいずれであってもよい。
【0054】
図7は、本願の他の実施例に係る太陽電池の製造方法におけるエミッタ形成工程に対応する構成を示す図である。図7を参照して、エミッタ160を形成し、いくつかの実施例において、ベース100はN型半導体ベースであり、エミッタ160は、P型エミッタ160であってもよい。具体的には、エミッタ160を形成する具体的なプロセス方法は、ベース100の第1面をボロン拡散処理してエミッタ160を形成することであってもよく、エミッタ160とN型ベースとがPN接合を形成する。
【0055】
図8は、本願の他の実施例に係る太陽電池の製造方法におけるトンネル酸化層およびドープ導電層を形成する工程に対応する構成を示す図である。図8を参照して、ベース100の第1面にかつベース100から離れる方向に、トンネル酸化層110、ドープ導電層120を順に形成する。
【0056】
トンネル酸化層110は、ベース100の裏面における界面パッシベーションを実現するためのものである。いくつかの実施例において、堆積プロセスを用いてトンネル酸化層110を形成することができ、例えば、化学気相成長法を採用できる。他のいくつかの実施例において、In-situ(その場)生成プロセスでトンネル酸化層110を形成することもでき、例えば、熱酸化プロセスおよび硝酸パッシベーションなどのプロセスによって、ベース100にトンネル酸化層110をIn-situ生成する。トンネル酸化層110の材料は、具体的には誘電体材料、例えば、酸化シリコンであってもよい。
【0057】
ドープ導電層120は、フィールドパッシベーションを形成するためのものであり、具体的には、いくつかの実施例において、ドープ導電層120はドーピングシリコンであってもよい。具体的には、いくつかの実施例において、ドープ導電層120は、ベース100と同じ導電型のドーパントを有し、ドーピングシリコンは、N型ドーピングポリシリコン、N型ドーピング微結晶シリコン、またはN型ドーピングアモルファスシリコンの1種または複数種を含み得る。いくつかの実施例において、堆積プロセスによってドープ導電層120を形成してもよく、具体的には、トンネル酸化層110のベース100から離れる表面に真性ポリシリコンを堆積させてポリシリコン層を形成し、イオン注入及びソース拡散によりリンイオンをドーピングしてN型のドープポリシリコン層を形成し、ドープポリシリコン層をドープ導電層120としてもよい。
【0058】
図9は、本願の他の実施例に係る太陽電池の製造方法における反射防止層形成工程に対応する構成を示す図である。図9を参照して、ベース100の第2面に反射防止層170を形成し、いくつかの実施例において、反射防止層170は窒化シリコン層であってもよく、窒化シリコン層は窒化シリコン材料を含む。具体的には、いくつかの実施例において、反射防止層170は、PECVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition:ラズマ化学気相成長法)法を用いて形成することができ、具体的には、反射防止層170を形成するプロセス方法には、PECVD反応チャンバー内にシランおよびアンモニアガスを導入してイオン化し、ベース100の第2面に反射防止層170を形成することが含まれる。
【0059】
図10は、本願の他の実施例に係る太陽電池の製造方法における第1パッシベーション層を形成する工程に対応する構成を示す図である。図10を参照して、ドープ導電層120のベース100から離れる面に第1パッシベーション層130を形成する。幾つかの実施例において、第1パッシベーション層130の材料は、酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化シリコン、酸窒化シリコン、または炭酸窒化シリコンのうちの1種または複数種であってもよい。具体的には、いくつかの実施例において、第1パッシベーション層130は、単層構造であってもよい。他のいくつかの実施例において、第1パッシベーション層130は、多層構造であってもよい。具体的には、いくつかの実施例において、PECVD法によって第1パッシベーション層130を形成することができる。
【0060】
図11は、本願の他の実施例に係る太陽電池の製造方法におけるレーザ処理領域を形成する工程に対応する構成を示す図であり、図12は、本願の他の実施例に係るもう一種の太陽電池の製造方法におけるレーザ処理領域を形成する工程に対応する構成を示す図である。
【0061】
図11図12及び図1を参照して、第1金属電極141および第2金属電極142を形成し、第1金属電極141は、第1パッシベーション層130を貫通してドープ導電層120に電気的に接続され、第2金属電極142は、第1金属電極141のベース100を向く表面に接続され、トンネル酸化層110を貫通してベース100に接触し、かつ幅が第1金属電極141の幅より小さい。ベース内に局所ドーピングエリア150を形成し、局所ドーピングエリア150は、ベース100内に位置する第2金属電極142を被覆し、ベース100と同じ導電型のドーパントを有し、かつドーピング濃度がベース100のドーピング濃度よりも大きい。
【0062】
第1金属電極141が第1パッシベーション層130を貫通してドープ導電層120に電気的に接続され、かつ、第2金属電極142がトンネル酸化層110を貫通してベース100に接触するように設置しており、これにより、第2金属電極142によるキャリアの輸送がトンネル酸化層110によって制限されず、輸送効率が比較的高く、かつ、第1金属電極141がトンネル酸化層110を貫通しないので、トンネル酸化層110のパッシベーション効果が良好に保たれる。
【0063】
具体的には、いくつかの実施例において、第1金属電極141および第2金属電極142を形成する方法は、以下のことを含む。
【0064】
図11及び図12を参照して、ベース100の第1パッシベーション層130の一部にレーザ加工を施すことにより、レーザ処理領域191を形成し、レーザ処理領域191が第2金属電極形成待ち領域に対応し、第1パッシベーション層130において、レーザ処理領域191以外の領域が、第1金属電極形成待ち領域を含む平坦エリアとなり、レーザ処理領域191が第1金属電極形成待ち領域に位置される。形成されたレーザ処理領域191に対応する第1パッシベーション層130の厚さが、平坦エリアに対応する第1パッシベーション層130の厚さより小さくなるように、第1パッシベーション層130の一部をレーザプロセスでレーザエッチングすると、後に第1パッシベーション層130をメタル化する際に、厚さが小さい第1パッシベーション層130の表面に形成された第2金属電極142は、トンネル酸化層110を貫通してベース100に接触することができるが、厚さが大きい第1金属電極形成待ち領域に対応する第1パッシベーション層130でメタル化する際に、導電性ペーストとトンネル酸化層110との間の距離が大きいため、形成された第1金属電極141は、トンネル酸化層110を貫通することなく、ドープ導電層120のみと電気的に接続される。また、レーザプロセスにより第1パッシベーション層130の一部をエッチングするので、プロセス工程が簡単であり、第1パッシベーション層130の表面にマスクを形成する必要がなく、第2金属電極形成待ち領域を作製した後にマスクを除去する必要がなく、プロセス工程を簡素化し、プロセスに要する時間を大幅に節約する。レーザ処理領域191が第1金属電極形成待ち領域内に位置され、このように、後にレーザ処理領域191及び第1金属電極形成待ち領域に導電性ペーストを印刷して、第1金属電極141及び第2金属電極142を形成した場合、形成された第2金属電極142は第1金属電極141と接触し、かつ第1金属電極141の幅が第2金属の幅より大きくなる。
【0065】
図11を参照して、いくつかの実施例において、ベース100の第1パッシベーション層130の一部にレーザ加工を施すことによりレーザ処理領域191を形成する方法には、レーザ加工により、レーザ処理領域を形成する待つ第1パッシベーション層130を、ドープ導電層120の表面の一部が露出するまでレーザエッチングして、レーザ処理領域191を形成することが含まれる。つまり、レーザプロセスにより、レーザ処理領域191に対応する第1パッシベーション層130を全てエッチングし、露出した部分のドープ導電層120表面をレーザ処理領域191とする。このように、後にレーザ処理領域191に導電性ペーストを印刷して第2金属電極142(図1を参照)を形成した場合、レーザ処理領域191の第1パッシベーション層130が完全にエッチングされたので、レーザ処理領域191の導電性ペーストが焼結過程において第1パッシベーション層130を貫通する必要がなく、導電性ペーストがドープ導電層120及びトンネル酸化層110を直接貫通してベース100に直接接触することができ、かつ、ベース100内に位置する第2金属電極142(図1を参照)の長さを長くすることもできる。
【0066】
図12を参照して、いくつかの実施例において、ベース100の第1パッシベーション層130の一部にレーザ加工を施すことによりレーザ処理領域191を形成する方法には、レーザ加工により、形成待ちレーザ処理領域の第1パッシベーション層130に対してレーザエッチングを行うことが含まれ、形成待ちレーザ処理領域は、第1形成待ちレーザ処理領域と第2形成待ちレーザ処理領域を含み、そのうち、ドープ導電層120の表面の一部が露出するように、第1形成待ちレーザ処理領域をレーザエッチングし、予め設定された厚さを有する第2パッシベーション層131を形成するように、第2形成待ちレーザ処理領域をレーザエッチングする。すなわち、一部のレーザ処理待ち領域に対応する第1パッシベーション層130を完全にエッチングして除去し、残りのレーザ処理待ち領域に対応する第1パッシベーション層130を部分的にエッチングして除去しており、これにより、第1形成待ちレーザ処理領域に形成された第1レーザ処理領域は、露出したドープ導電層120の表面となり、第2形成待ちレーザ処理領域に形成された第2レーザ処理領域は、第2パッシベーション層131の表面となる。レーザ処理領域191に導電性ペーストを印刷する際には、第1レーザ処理領域にある導電性ペーストは、ドープ導電層120およびトンネル酸化層110を直接貫通してベース100と接触し、第2レーザ処理領域にある導電性ペーストは、予め設定された厚さを有する第2パッシベーション層131、ドープ導電層120およびトンネル酸化層110をさらに貫通する必要がある。したがって、図12図1を併せて参照して、ベース100において、第2レーザ処理領域に対応する第2金属電極142の長さが、第1レーザ処理領域に対応する第1金属電極141の長さよりも小さいことにより、トンネル酸化層110がベース100に向かう方向に沿った方向において、第2金属電極142の幅が小さくなるようなを形態することができる。レーザプロセスによる第1パッシベーション層130に対するレーザエッチングの程度を制御して、予め設定された厚さを有する第2パッシベーション層131を形成することにより、ベース100内に位置する第2金属電極142の長さを調整することができる。また、異なるレーザプロセスと組み合わせて第1パッシベーション層130をレーザエッチングし、複数のレーザ処理領域191を形成することで、第2金属電極142の形態を調整し、このように、第2金属電極142を形成する方法は簡単で効率的である。
【0067】
具体的には、いくつかの実施例において、第2パッシベーション層131の厚さと第1パッシベーション層130の厚さとの比は、1:10~2:3であり、例えば、1:2であってもよい。第1パッシベーション層130をレーザーエッチングした後に、残りの第1パッシベーション層130を第2パッシベーション層131とするので、第2パッシベーション層131と第1パッシベーション層130の厚さの比、すなわち第1パッシベーション層130に対するエッチング厚さを調整することが理解される。第1パッシベーション層130のエッチング厚さを調整することで、レーザーエッチング後に形成された第2パッシベーション層131の表面からベース100の第1面までの距離が変化するため、後に第2パッシベーション層131の表面に導電性ペーストを印刷すると、導電性ペーストが焼結過程において貫通する必要がある距離も変化する。第2パッシベーション層131の表面からベース100の第1面までの距離が小さいほど、第2パッシベーション層131の表面に位置する導電性ペーストがベース100内に浸透する深さが大きくなり、ベース100における第2金属電極142の長さが大きくなることが理解される。このため、レーザ処理領域191が第2パッシベーション層131の表面と露出した導電ドープ層の表面とを含む場合、トンネル酸化層110がベース100に向かう方向に沿った方向において、レーザ処理領域191に形成された第2金属電極142は幅が小さくなる形態を有する。以上のことから、第2パッシベーション層131の厚さと第1パッシベーション層130の厚さとの比が、1:10~2:3の範囲内になるように制御することで、第2パッシベーション層131の厚さが大きくなりすぎないようにし、第2パッシベーション層131の表面に位置する導電性ペーストが焼結中にドープ導電層120を貫通できることを確保できる。一方、第2パッシベーション層131の厚さも小さすぎないため、トンネル酸化層110がベース100に向かう方向に沿った方向において、第2金属電極142の幅が小さくなる形態を形成できる。
【0068】
図1図11および図12を参照して、第1面のレーザ処理領域191及び第1金属電極形成待ち領域には、ベース100と同じドーピングイオン種である第1ドーピングイオンを含む導電性ペーストが印刷される。導電性ペーストには、ベース100のドーピングイオン種と同種の第1ドーピングイオンが添加されており、このように、導電性ペーストを焼結処理する際に、導電性ペーストにおける第1ドーピングイオンが導電性ペーストからベース100中に拡散することにより、ベース100には局所ドーピングエリア150が形成され、かつ、形成された局所ドーピングエリア150はベース100内に位置する第2金属電極142を被覆する。具体的には、導電性ペーストにおける第1ドーピングイオン濃度を調整することにより、局所ドーピングエリア150の濃度がベース100の濃度よりも大きくなるように、形成された局所ドーピングエリア150の濃度を制御し、高濃度ドーピング領域を形成しており、この高濃度ドーピング領域は、ベース100と高低接合を形成し、界面パッシベーション効果が高く、キャリアの再結合を低減できる一方、局所ドーピングエリア150と第2金属電極142とがオーミックコンタクトを形成し、太陽電池の直列抵抗を低減することができる。いくつかの実施例において、ベース100がN型の半導体ベース100である場合、第1ドーピングイオンは、リンイオン、ヒ素イオン、またはアンチモンイオンのいずれかであってもよい。
【0069】
導電性ペーストを焼結処理して第2金属電極142及び第1金属電極141を形成する。具体的には、レーザ処理領域191に位置する導電性ペーストを焼結処理した後に第2金属電極142を形成し、第1金属電極形成待ち領域に位置する導電性ペーストを焼結処理した後に第1金属電極141を形成する。幾つかの実施例において、第1面のレーザ処理領域191及び第1金属電極形成待ち領域にスクリーン印刷により導電性ペーストを印刷し、さらに導電性ペーストを高温焼結処理してもよく、例えば、750℃~850℃のピーク温度で焼結して第1金属電極141及び第2金属電極142を形成してもよい。いくつかの実施例では、導電性ペーストにおいて、導電材料は、銀、アルミニウム、銅、錫、金、鉛またはニッケルの少なくとも一つであってもよい。
【0070】
幾つかの実施例において、反射防止層170の表面に第3金属電極180を形成することをさらに含み、第3金属電極180は、反射防止層170を貫通してエミッタ160と電気的に接続する。第3金属電極180を形成する方法には、反射防止層170の表面に対して、スクリーン印刷法及び高温焼結法を含むメタル化処理を行って、エミッタ160と電気的に接続される第3金属電極180を形成することが含まれる。
【0071】
上記の実施例により提供された太陽電池の製造方法において、形成された第1金属電極141が第1パッシベーシヨン層130を貫通してドープ導電層120に電気的に接続され、かつ、第2金属電極142がトンネル酸化層110を貫通してベース100に接触しており、これにより、第2金属電極142によるキャリアの輸送がトンネル酸化層110に制限されず、輸送効率が高く、第1金属電極141がトンネル酸化層110を貫通しないので、トンネル酸化層110のパッシベーシヨン効果が良好に保たれる。また、ベース100には、第2金属電極142を被覆する局所ドーピングエリア150が形成され、局所ドーピングエリア150のドーピング濃度がベース100のドーピング濃度よりも高く、ベース100と高低接合を形成するので、局所ドーピングエリア150は、第2金属電極142とベース100との界面に対してパッシベーションの役割を果たし、界面におけるキャリアの再結合を低減し、キャリアの輸送能力をさらに向上させ、太陽電池の直列抵抗を低減させることができる。
【0072】
本願は、好ましい実施例で上記のように開示しているが、請求の範囲を限定するものではなく、いずれの当業者は、本願の構想を逸脱しない限り、若干の可能な変動、修正を加えることができる。よって、本願の保護範囲は、本願の請求項に限定された範囲を基準にすべきである。
【0073】
当業者であれば、前記各実施形態は本願を実現する具体的な実施例であるが、実用上では本願の精神と範囲を逸脱することなく、形態及び細部において様々な変更が可能であることが理解できる。いずれの当業者は、本願の精神と範囲を逸脱しない限り、それぞれ変更及び修正を行うことが可能であるため、本願の保護範囲は、請求項に限定された範囲を基準にすべきである。

【要約】
【課題】本願は、太陽電池の技術分野に関し、特に太陽電池およびその製造方法、光起電力モジュールに関する。
【解決手段】太陽電池は、ベースの第1面に位置し、ベースから離れる方向に順に設けられたトンネル酸化層、ドープ導電層および第1パッシベーション層と、第1パッシベーション層を貫通してドープ導電層に電気的に接続された第1金属電極、および、第1金属電極のベースを向く表面に接続され、トンネル酸化層を貫通してベースに接触し、かつ第1金属電極の幅より小さい幅を有する第2金属電極と、ベース内に位置し、ベース内に位置する第2金属電極を被覆する局所ドーピングエリアであって、ベースと同じ導電型のドーパントを有し、かつドーピング濃度がベースのドーピング濃度よりも大きい局所ドーピングエリアと、を備える。本願の実施例は、太陽電池の直列抵抗を小さくするのに有利である。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12