IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

7168832無端のフィラメントから成る紡糸フリースを製造する装置及び方法
<図1>
  • -無端のフィラメントから成る紡糸フリースを製造する装置及び方法 図1
  • -無端のフィラメントから成る紡糸フリースを製造する装置及び方法 図2
  • -無端のフィラメントから成る紡糸フリースを製造する装置及び方法 図3
  • -無端のフィラメントから成る紡糸フリースを製造する装置及び方法 図4
  • -無端のフィラメントから成る紡糸フリースを製造する装置及び方法 図5
  • -無端のフィラメントから成る紡糸フリースを製造する装置及び方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-01
(45)【発行日】2022-11-10
(54)【発明の名称】無端のフィラメントから成る紡糸フリースを製造する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   D01D 5/092 20060101AFI20221102BHJP
   D01D 5/088 20060101ALI20221102BHJP
   D01D 5/098 20060101ALI20221102BHJP
   D04H 1/736 20120101ALI20221102BHJP
   D04H 3/16 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
D01D5/092 101
D01D5/088
D01D5/098
D04H1/736
D04H3/16
【請求項の数】 18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019081748
(22)【出願日】2019-04-23
(65)【公開番号】P2019206792
(43)【公開日】2019-12-05
【審査請求日】2020-05-15
(31)【優先権主張番号】18174513.4
(32)【優先日】2018-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】505313830
【氏名又は名称】ライフェンホイザー・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンデイトゲゼルシャフト・マシイネンファブリーク
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・ニチュケ
(72)【発明者】
【氏名】マルティン・ノイエンホーファー
(72)【発明者】
【氏名】デートレフ・フライ
(72)【発明者】
【氏名】クリスティーネ・ノーアック
【審査官】鈴木 祐里絵
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-003853(JP,A)
【文献】特開昭63-275764(JP,A)
【文献】特開2004-003080(JP,A)
【文献】特開昭47-012027(JP,A)
【文献】特開2002-302862(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01D1/00-13/02
D04H1/00-18/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端フィラメント(1)、特に熱可塑性の合成樹脂から成る無端フィラメント(1)で構成された紡糸フリースを製造する装置であって、前記無端フィラメント(1)を紡出する紡糸口金(2)と、紡出された前記フィラメント(1)を冷却空気で冷却する冷却チャンバ(4)とが設けられており、更に前記フィラメント(1)を延伸させるための延伸装置(8)と、前記フィラメント(1)を堆積させるとともに前記フィラメントを機械方向(MD)へ搬出する堆積装置が設けられており、前記冷却チャンバ(4)が、前記機械方向に対して横方向、即ち前記堆積装置の幅方向に(CD方向に)延在する対向する2つの側において、それぞれ、冷却空気を供給するための空気供給室(5,6)を備えており、前記冷却チャンバ(4)の、前記機械方向に対して平行に(MD方向に)配置された側(MD側)のうち少なくとも1つでは、冷却空気が前記冷却チャンバ(4)から排出可能であることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記冷却チャンバ(4)の、前記機械方向に平行に(MD方向に)配置された両MD側(25)では、冷却空気が前記冷却チャンバ(4)から排出可能であるか、あるいは排出されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記機械方向に対して平行に(MD方向に)配置されたMD側(25)のうち少なくとも一方側、好ましくは両側が、それぞれ少なくとも1つの側壁によって、及び/又はそれぞれ少なくとも1つのサイドドア(23)によって画定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
側壁及び/又はサイドドア(23)に少なくとも1つの開口部及び/又は少なくとも1つの透過性あるいは半透過性の範囲が設けられており、該少なくとも1つの開口部及び/又は該少なくとも1つの透過性あるいは半透過性の範囲を通して、冷却空気が前記冷却チャンバ(4)から排出可能であるか、あるいは排出されることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
側壁及び/若しくはサイドドア(23)に複数の開口部、好ましくは少なくとも5個の、有利には少なくとも10個の、特に有利には少なくとも15個の開口部が配置されていること、並びに/又は側壁及び/若しくはサイドドアに複数の透過性あるいは半透過性の範囲が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
冷却空気が前記冷却チャンバ(4)における過圧により前記冷却チャンバ(4)の少なくとも1つのMD側(25)を通して排出可能であるか、あるいは排出されるという条件で当該装置が設置されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
冷却空気を前記冷却チャンバ(4)から前記冷却チャンバ(4)の少なくとも1つのMD側(25)を通して排出可能であるか、あるいは排出する、少なくとも1つのブロワが設けられていることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記冷却チャンバ(4)の1つのMD側(25)において、好ましくは前記冷却チャンバ(4)の両MD側のそれぞれにおいて、1~400m3/h、好ましくは2~300m3/h、特に好ましくは10~300m3/h、非常に好ましくは30~200m3/hの冷却空気が排出可能であるという条件で当該装置が設定されていることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
少なくとも1つのMD側(25)、好ましくは両MD側(25)が、排出されるべき冷却空気をガイドするために、少なくとも1つの空気ガイド要素(26)、好ましくは複数の空気ガイド要素(26)を備えていることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
1つのMD側(25)を画定する少なくとも1つのサイドドア(23)が、少なくとも1つの空気ガイド要素(26)、好ましくは複数の空気ガイド要素(26)を備えており、好ましくは、サイドドア(23)の縁部輪郭が空気ガイド要素(26)として形成されていることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
少なくとも1つの開ループ制御装置及び/又は閉ループ制御装置が設けられており、該開ループ制御装置及び/又は閉ループ制御装置によって、少なくとも1つのMD側(25)を通して、あるいは複数のMD側(25)を通して排出される冷却空気の体積流量を開ループ制御可能及び/又は閉ループ制御可能であるか、あるいは調整可能であることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
モノマー吸引装置(7)が前記紡糸口金(2)と前記冷却チャンバ(4)の間に配置されており、前記冷却チャンバ(4)の少なくとも1つのMD側(25)から排出される冷却空気が前記モノマー吸引装置(7)へ導入可能であり、好ましくは、前記排出された冷却空気が、前記モノマー吸引装置(7)に設けられたフィルタシステムを通してガイド可能であることを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
求項1~12のいずれか1項に記載の装置を用いて、無端フィラメント(1)、特に熱可塑性の合成樹脂から成る無端フィラメント(1)で構成された紡糸フリースを製造する方法であって、前記無端フィラメント(1)が、紡出され、これにつづいて冷却チャンバ(4)において冷却され、前記フィラメント(1)を冷却するために機械方向に対して横方向、即ち堆積装置の幅方向に延在する対向する2つの側を介して冷却空気が前記冷却チャンバ(4)へ導入され、前記冷却チャンバの、前記機械方向に対して平行に配置された少なくとも1つの側で(MD側で)、好ましくは両MD側(25)で冷却空気が排出されることを特徴とする方法。
【請求項14】
冷却空気が、前記機械方向に対して平行に配置された両側で、あるいは両MD側(25)で排出されることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1つのMD側(25)、好ましくは両MD側(25)を通して排出される冷却空気の体積流量が開ループ制御及び/又は閉ループ制御され、あるいは調整されることを特徴とする請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも1つのMD側(25)、好ましくは両MD側(25)を通して排出される冷却空気についての体積流量が、前記1つのMD側(25)あるいは前記複数のMD側(25)の範囲における前記フィラメントの状態あるいはフィラメント束の状態に依存して開ループ制御及び/又は閉ループ制御され、あるいは制限されることを特徴とする請求項13~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記両MD側(25)を通して排出される冷却空気についての体積流量が、それぞれ別々に開ループ制御及び/又は閉ループ制御され、あるいは調整されることを特徴とする請求項13~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
少なくとも1つのMD側(25)、好ましくは両MD側(25)を通して排出される冷却空気が、紡糸口金(2)と冷却チャンバ(4)の間に設けられたモノマー吸引装置(7)へ、及び/又は前記延伸装置(8)へ、及び/又は前記延伸装置(8)と堆積装置の間に配置されたディフューザ(11)へ導入されることを特徴とする請求項13~17のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無端フィラメント、特に熱可塑性の合成樹脂から成る無端フィラメントで構成された紡糸フリースを製造する装置であって、前記無端フィラメントを紡出する紡糸口金と、紡出された前記フィラメントを冷却空気で冷却する冷却チャンバとが設けられており、更に前記フィラメントを延伸させるための延伸装置と、前記フィラメントを堆積させるとともに前記フィラメントを機械方向(MD)へ搬出する堆積装置が設けられている装置に関するものである。本発明は、更に無端のフィラメントから成る紡糸フリースを製造する方法に関するものである。-紡糸フリースは、本発明の範囲では、特に、スパンボンド方法に従い製造されたスパンボンド不織布を意図している。スパンボンド不織布を生成するための適当なスパンボンド装置は、当業者にとって知られている。無端フィラメントは、例えば10~60mmの明らかによりわずかな長さを有する短繊維のそのほぼ無端の長さに基づき区別される。
【0002】
機械方向(MD)は、ここでは、及び以下では、フィラメント堆積物あるいはフリース堆積物が堆積装置を用いて、特に堆積スクリーンベルトを用いて搬出される方向を意図している。通常、公知のスパンボンド装置では、冷却チャンバ及び延伸装置は、機械方向(MD)に対して横方向に、したがっていわゆるCD方向へ延在している。通常、フィラメントの流れへ向いた、冷却チャンバ及び延伸装置の壁部は、CD方向において、MD方向におけるその端面側あるいは端面壁部よりも明らかに長い。通常、冷却チャンバにおける冷却空気の供給は、フィラメントの流れに向いた長い壁部にわたってCD方向(CD壁部)においてなされる。
【背景技術】
【0003】
上述の種類の装置及び方法は、基本的に実務から様々な実施形態において知られている。これら公知の装置及び方法の多くは、これにより生じる紡糸フリースがその面延長にわたって常に十分に均等に、あるいは均一に形成されていないという欠点を有している。製造される紡糸フリースは、しばしば、空所あるいは欠陥箇所の形態の不都合な不均一性を有している。このような不均一性は、とりわけ、フィラメント堆積物の縁部範囲において見られる。当該欠陥は、明らかに、縁部範囲におけるフィラメントのガイドにおける不安定性に起因する。これにより、この縁部範囲における、間引かれ、大きく不均等なフィラメント堆積物が生じる。縁部範囲における静的でないフィラメントの移動により、糸切断に至り得るフィラメントの相互の接触も生じることとなる。このような糸の破断時には、後続の新たなフィラメントの始部がフィラメント堆積物において視認可能である。なぜなら、糸部分が同一の速度を受けず、したがって明らかにフィラメント堆積物において包囲するフィラメントよりも厚いためである。しばしば、糸部分は十分に冷却もされておらず、これにより、堆積粒あるいは堆積スクリーンベルトに接着することがある。フィラメントの相互の接触により、フリース堆積物の縁部範囲に、深刻な障害を引き起こす、いわゆる「しずく」も生じる。このしずくは、材料蓄積物として堆積物あるいは堆積スクリーンベルトにおいて視認可能となる複数のフィラメントの接触によって生じる。これにより、場合によっては堆積物に、又はフリース堆積物に接触するローラにも付着するフリース堆積物における接着が引き起こされる。これら欠陥箇所は、カレンダへのフリースの引渡し時にはぎ取られ、これにより不都合な孔箇所が紡糸フリースに生じる。このような理由により、フリース堆積物は、その縁部範囲あるいはMD側の範囲において改善が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これに対応して、本発明の基礎となる技術的な問題は、縁部範囲あるいはMD範囲におけるフィラメント堆積物の不均一性あるいは欠陥箇所を回避することができるか、又は少なくとも大幅に最小化可能な、冒頭に挙げた種類の装置を提供することにある。さらに、本発明の基礎となる技術的な問題は、このような紡糸フリースを製造する、対応する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この技術的な問題を解決するために、本発明は、無端フィラメント、特に熱可塑性の合成樹脂から成る無端フィラメントで構成された紡糸フリースを製造する装置であって、前記無端フィラメントを紡出する紡糸口金と、紡出された前記フィラメントを冷却空気で冷却する冷却チャンバとが設けられており、更に前記フィラメントを延伸させるための延伸装置と、前記フィラメントを堆積させるとともに前記フィラメントを機械方向(MD)へ搬出する堆積装置が設けられており、前記冷却チャンバが、前記機械方向に対して横方向に(CD方向に)延在するその対向する側において、それぞれ、冷却空気を供給するための空気供給室を備えており、前記冷却チャンバの、前記機械方向に対して平行に(MD方向に)配置された側(MD側)のうち少なくとも1つでは、冷却空気が前記冷却チャンバから排出可能であることを特徴とする装置を示唆するものである。
【0006】
したがって、本発明によれば、冷却空気あるいはプロセス空気が、通常は短い側か、あるいはより短い側(MD側)あるいは冷却チャンバの端面側へ冷却チャンバから排出される。このとき、機械方向に平行に(MD方向に)配置された冷却チャンバの両側(MD側)において、冷却空気が冷却チャンバから排出されることが本発明の範囲にある。-合目的には、空気の排出は、冷却チャンバのMD側の高さあるいは垂直方向の高さにわたって、好ましくは冷却チャンバのMD側の全長あるいは垂直方向の全長にわたって、あるいは冷却チャンバのMD側の高さあるいは垂直方向の高さにわたって分配された箇所あるいは排出箇所においてなされる。
【0007】
この点では、まず、本発明は、装置のMD側の縁部範囲あるいはMD側の範囲におけるフリース堆積物の均一性の改善のために、縁部範囲における冷却空気流の影響が好都合であるとともに合目的であるという認識に基づいている。このとき、フィラメントの移動は、フィラメント堆積物の均一性が達成されるように影響を受け得る。本発明による、MD側における空気の排出により、CD方向への断面拡張に際して空気流の剥離を効果的に回避することができると思われ、その結果、均等なフィラメントのガイドを維持することが可能である。さらに、本発明は、端面側あるいはMD側における冷却空気の排出がそれにもかかわらず技術的な問題を効果的かつフェールセーフをもって解決することができる比較的単純な措置であるという認識に基づいている。さらに、本発明は、紡糸口金と冷却チャンバの間のモノマー吸引部の範囲における、又は延伸装置の範囲における、及び/又はディフューザの範囲における場合によってはあり得る端面側の空気吸引がここでは改善とならず、実際には冷却チャンバの範囲あるいは冷却チャンバの高さ範囲における冷却空気の排出に依存するという認識に基づいている。特に150kg/h/mより大きな、200kg/h/mより大きな、250kg/h/mよりも大きな、大きな処理量においても本発明による措置が実証されていることが特に重要である。ポリオレフィン、特にポリプロピレンから成るフィラメントの生成時には、2000m/分より大きな糸速度での本発明による措置が実証されている。ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート(PET)から成るフィラメントの生成時には、4000~5000m/分又は5000m/分より大きな糸速度での本発明による措置が実証されている。
【0008】
本発明の特に好ましい実施形態は、本発明による装置が少なくとも1つのMD側において、好ましくは両MD側において冷却空気の連続的な排出あるいは本質的に連続的な排出が行われるという条件で設置されていることを特徴としている。
【0009】
機械方向に対して平行に配置された、冷却チャンバの少なくとも1つの、好ましくは両方のMD側がそれぞれ少なくとも1つの側壁及び/又はそれぞれ少なくとも1つのサイドドアによって画定されているか、あるいは閉鎖されていることが推奨される。そして、冷却空気の排出は、側壁及び/又はサイドドアの範囲において、あるいは側壁及び/又はサイドドアを通してなされる。ここで、側壁又はサイドドアが透明な範囲を備えており、この透明な範囲を通して糸状態あるいはフィラメントの移動を外部から検査可能であることが本発明の範囲にある。
【0010】
本発明の推奨される実施形態によれば、MD側の、少なくとも1つの側壁に、及び/又は少なくとも1つのサイドドアに、少なくとも1つの開口部あるいは複数の開口部が設けられており、当該少なくとも1つの開口部を通して、あるいは当該複数の開口部を通して、冷却空気がMD側を介して冷却チャンバから排出される。本発明の好ましい実施形態は、MD側の、少なくとも1つの側壁に、及び/又は少なくとも1つのサイドドアに、少なくとも1つの透過性あるいは半透過性の範囲又は複数の透過性あるいは半透過性の範囲が設けられており、当該透過性あるいは半透過性の範囲を通して、冷却空気がMD側を介して冷却チャンバから排出されることを特徴としている。本発明の特に実証された実施形態は、開口部及び/又は透過性あるいは半透過性の範囲が少なくとも1つの側壁の高さ及び/又は少なくとも1つのサイドドアの高さにわたって、好ましくは両側壁あるいは両サイドドアの高さにわたって分配されて配置されていることを特徴としている。開口部が側壁及び/又はサイドドアに設けられていれば、開口部は、少なくとも5個、好ましくは少なくとも10個、特に好ましくは少なくとも15個の開口部である。開口部は、孔、隙間及びこれらに類するものの形態で実現されることができる。本発明の非常に好ましい実施形態によれば、上述の実施形態は、冷却チャンバの両MD側あるいは両側壁又はサイドドアにおける開口部及び/又は透過性あるいは半透過性の範囲によって実現されている。
【0011】
本発明の非常に推奨される実施形態によれば、透過性あるいは半透過性の範囲が少なくとも1つのサイドドアの、好ましくは両サイドドアの縁部輪郭及び/又は開口部へ挿設されている。
【0012】
本発明の非常に実証された実施形態は、少なくとも1つのMD側、好ましくは両MD側が、排出されるべき冷却空気をガイドするために、少なくとも1つの空気ガイド要素、好ましくは複数の空気ガイド要素を備えていることを特徴としている。本発明の推奨される実施形態は、少なくとも1つのサイドドアの、好ましくは両サイドドアの縁部輪郭が空気ガイド要素として形成されていることを特徴としている。
【0013】
MD側の範囲において圧力勾配あるいは十分な圧力勾配が存在することが本発明の範囲にあり、その結果、冷却空気はMD側から流出することが可能である。本発明の好ましい実施形態は、冷却チャンバからの冷却空気の排出が冷却チャンバのMD側を介してパッシブになされることを特徴としている。この場合、装置は、冷却空気が冷却チャンバにおける過圧に基づき、冷却チャンバの、少なくとも1つのMD側、好ましくは両MD側を通して排出可能であるという条件で設置されている。さらに、本発明の好ましい実施形態は、冷却チャンバからの冷却空気のアクティブな排出が少なくとも1つのMD側を介してなされることを特徴としている。この好ましい実施形態では、少なくとも1つのブロワが設けられており、該ブロワにより、冷却空気を、冷却チャンバから冷却チャンバの少なくとも1つのMD側を通して排出可能である。
【0014】
冷却チャンバのMD側において、好ましくは冷却チャンバの両MD側のそれぞれにおいて1~400m3/h、好ましくは2~350m3/h、特に5~350m3/hの冷却空気量を排出可能であるという条件で本発明による装置が設定されていることが本発明の範囲にある。特に好ましくは、冷却チャンバのMD側において、好ましくは冷却チャンバの両MD側のそれぞれにおいて、10~300m3/h、特に25~250m3/h、非常に好ましくは30~200m3/hの冷却空気量を排出可能である。
【0015】
さらに、排出された冷却空気体積流量の制御あるいは制限(調整)が糸状態あるいはMD側の範囲におけるフィラメント配置及び/又は糸の移動に依存してなされることが本発明の範囲にある。したがって、MD側の範囲での糸状態あるいはフィラメントの移動を監視することができ、フィラメント束が不都合な移動をもはや行わないまで、排出される冷却空気体積流量の制御あるいは制限が適合される。この監視は、特に装置のサイドドアにおける透明な範囲によって行うことが可能である。合目的には、排出される冷却空気体積流量は、両MD側において別々に制御可能あるいは制限可能である。
【0016】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、MD側で排出される冷却空気体積流量の半自動的な、あるいは自動的な制御あるいは制限がなされる。この点では、少なくとも1つのMD側で、好ましくは両MD側で排出される冷却空気体積流量が少なくとも1つの測定パラメータに依存して制御あるいは制限されることが本発明の範囲にある。このとき、一実施形態によれば、冷却チャンバにおける圧力は、少なくとも1つの測定パラメータに依存して制御あるいは制限されることができ、そして、冷却チャンバにおける圧力あるいは過圧に基づき、合目的には設定された制限に対していわば冷却空気体積流量のパッシブな排出がなされる。一実施形態は、冷却空気体積流量を排出するための少なくとも1つの吸引ブロワが少なくとも1つのMD側、好ましくは両MD側において少なくとも1つの測定パラメータに依存して調整される(アクティブな冷却空気排出)ことを特徴としている。少なくとも1つの測定パラメータは、特に装置の処理量、及び/又はフィラメントのために選択された合成樹脂、及び/又は溶融温度、及び/又は空気温度、及び/又は冷却チャンバにおける体積流量、及び/又は冷却チャンバにおける圧力である。そして、冷却チャンバの1つのMD側あるいは複数のMD側を介して排出される冷却空気体積流量の上述の制御あるいは制限は、測定された測定パラメータに依存してなされる。
【0017】
排出される冷却空気体積流量の推奨される制御あるいは制限は、MD側における縁部範囲でのフィラメントあるいはフィラメントの移動をカメラ又はこれに類するものを用いて検出することを特徴としている。このとき、排出すべき必要な冷却空気流量は、フィラメントの移動に依存して、又は適切な照明における明るさ分布に依存して演算され、調整され、及び制御されることが可能である。対応するカメラ画像又はカメラ評価は、コントロールパネルにも示されることができ、その結果、そこから排出される冷却空気体積流量の開ループ制御あるいは閉ループ制御が可能である。本発明の別の実施形態は、MD側における縁部範囲でのフリース堆積物が監視されるか、あるいは測定され、かつ、評価され、評価結果に依存して、排出されるべき必要な冷却空気体積流量が調整あるいは制御されることを特徴としている。本発明による装置が少なくとも1つの開ループ制御装置及び/又は閉ループ制御装置を備えており、該開ループ制御装置及び/又は閉ループ制御装置によって、少なくとも1つのMD側を通して、あるいは複数のMD側を通して排出される冷却空気の体積流量を開ループ制御可能及び/又は閉ループ制御可能であるか、あるいは制限可能であることが本発明の範囲にある。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、両MD側を介して排出される冷却空気体積流量は、同一あるいは本質的に同一であり得る。しかし、両MD側において異なる大きさの冷却空気体積流量を排出することも本発明の範囲にある。本発明の別の実施形態は、冷却チャンバの高さあるいは垂直方向の高さにわたって異なる冷却空気の排出がなされるか、あるいは異なる冷却空気体積流量が排出されることを特徴としている。この点では、この実施形態では、冷却チャンバの高さあるいは垂直方向の高さにわたって異なる吹き出しプロファイルが生じる。
【0019】
以下に、本発明の範囲で用いられるスパンボンド装置の推奨される実施形態を記載する。-本発明によれば、無端フィラメントは、紡糸口金を用いて紡出され、フィラメントを冷却空気で冷却するために冷却チャンバへ供給される。-フィラメントを繰り出す少なくとも1つの紡糸ビームが機械方向(MD方向)に対して横方向に配置されていることが本発明の範囲にある。本発明の非常に有利な実施形態によれば、このとき、紡糸ビームは、機械方向に対して垂直あるいは本質的に垂直に向けられている。しかし、本発明の範囲では、紡糸ビームが機械方向に対して傾斜して配置されていることも可能である。本発明の好ましい実施形態は、紡糸口金と冷却チャンバの間に少なくとも1つのモノマー吸引装置が配置されていることを特徴としている。このモノマー吸引装置により、紡糸口金の下方のフィラメント形成空間から空気が吸引される。このようにして、無端フィラメントの近傍で出る、モノマー、オリゴマー、分解生成物及びこれらに類するもののような気体を装置から排出することが可能である。好ましくは、モノマー吸引装置は、少なくとも1つの吸引チャンバを備えており、この吸引チャンバには、合目的には少なくとも1つの吸引ブロワが接続されている。フィラメントの流れ方向において、冷却チャンバがこれに配置された冷却空気の供給のための空気供給室と共にモノマー吸引装置へ接続することが本発明の範囲にある。冷却空気は、CD方向(機械方向に対して横方向)へ延在するこれら空気供給室から冷却チャンバへ導入される。機械方向に対して平行に、したがってMD方向に、本発明による冷却空気の排出が冷却チャンバから冷却チャンバのMD側を介してなされる。合目的には、冷却チャンバのこれらMD側は、冷却チャンバのCD側よりも短いか、あるいは大幅に短く、CD側に沿って、冷却チャンバの対向する空気供給室が延在している。
【0020】
空気供給室は、本発明の好ましい実施形態により、それぞれ2つ以上の互いに重ねて配置された室部分へ分割されることができ、これら室部分から好ましくは異なる温度の冷却空気を供給可能である。推奨すべきは、空気供給室の対向する2つの室部分を介して冷却チャンバへの温度T1の冷却空気の導入がなされ、両空気供給室のその下に配置された対向する2つの室部分を介して冷却チャンバへの温度T2の冷却空気の導入がなされ、両温度T,Tは合目的には異なっている。本発明による冷却空気の排出が供給室の各室部分の範囲でのMD側において行われることは、本発明の範囲にある。
【0021】
フィラメントが冷却チャンバからフィラメントを延伸させる延伸装置へ導入されることが本発明の範囲にある。合目的には、冷却チャンバを延伸装置の延伸竪穴に接続する中間通路が冷却チャンバに接続されている。本発明の特に好ましい実施形態は、冷却チャンバ及び延伸装置から成るユニットあるいは冷却チャンバ、中間通路及び延伸竪穴から成るユニットは、閉じたシステムとして形成されていることを特徴としている。このとき、閉じたシステムは、特に、冷却チャンバへの冷却空気の供給以外にこのユニットへの別の空気供給が行われないことを意図している。冷却チャンバのMD側における冷却空気の本発明による排出は、好ましくは閉じたユニットとの組合せにおいて、技術的な問題の解決に関して特に実証されている。とりわけこの組合せにおいては、フィラメント堆積物の縁部範囲において特に均一で欠陥箇所のないフリース部分が得られる。これは、特に冷却チャンバのMD側における冷却空気の排出がMD側の高さにわたって分配された箇所でなされる場合にあてはまり、また、とりわけ、冷却空気の排出が冷却チャンバのMD側の上側半分においても、またMD側の下側半分においても行われる場合にあてはまる。
【0022】
本発明の推奨すべき実施形態によれば、少なくとも1つのディフューザがフィラメントの流れ方向において延伸装置へ接続されており、ディフューザによって、フィラメントがガイドされる。合目的には、このディフューザは、フィラメント堆積物の方向において拡大するディフューザ断面あるいは末広がりのディフューザ部分を含んでいる。フィラメントがフィラメント堆積あるいはフリース堆積のための堆積装置に堆積されることが本発明の範囲にある。合目的には、堆積装置は、堆積スクリーンベルトあるいは通気性の堆積スクリーンベルトである。この堆積装置によって、あるいはこの堆積スクリーンベルトによって、フィラメントから形成されるフリース帯が機械方向(DM)において搬出される。フィラメントの堆積範囲においてプロセス空気を堆積装置あるいは堆積スクリーンベルトを通して吸引し、あるいは下方から堆積スクリーンベルトを通して吸引することが推奨される。これにより、特に安定的なフィラメント堆積あるいはフリース堆積を達成することができる。この吸引は、冷却チャンバのMD側における本発明における冷却空気の排出との組合せにおいても同様に特に有意義である。-合目的には、堆積装置における堆積後、フィラメント堆積物あるいはフリース帯は、別の処理措置へ、特にカレンダ処理へ供給される。
【0023】
本発明の非常に推奨すべき実施形態は、冷却チャンバの少なくとも1つの空気供給室において、好ましくは両空気供給室において、冷却チャンバ側に整流装置が設けられていることを特徴としており、この整流装置を、冷却チャンバへ入る前に冷却空気が通過する。整流装置は、フィラメントへ当たる冷却空気流を整流するために用いられる。整流装置がフィラメントの流れに対して垂直に向けられた複数の流れ通路を備えていることが本発明の範囲にある。合目的には、これら流れ通路は、それぞれ通路壁部によって画定されているとともに、好ましくは線形に形成されている。自由に通過可能な、各整流装置の開放された面積が、整流装置の全面積の90%を超えていることが実証された。ここで、整流装置の自由に通過可能な解放された面積は、冷却空気が自由に通過可能で、通路壁部を通らず、又は場合によっては流れ通路間に配置されたスペーサによって阻止される面積を意図している。好ましくは、流れ通路の最小の内径Diに対する流れ通路の長さLの割合は、1~10の範囲、合目的には1~9の範囲にある。流れ通路は、例えば多角形状の断面、特に六角形状の断面を有することが可能である。しかし、流れ通路は、断面において丸みを有し、例えば円形状に形成されることも可能である。-ここでは、及び以下では、「最小の内径Di」という用語は、流れ通路がその断面について異なる内径を有している場合に、整流装置の流れ通路において測定した最小の内径に関するものである。したがって、最小の内径Diは、規則的な六角形の形態の断面において、2つの対向するコーナ間ではなく、2つの対向する側の間で測定される。異なる流れ通路における最小の内径が変化する場合には、最小の直径Diは、特に複数の流れ通路について平均化された最小の内径あるいは平均の最小の内径を意図するものである。
【0024】
本発明の一実施形態によれば、冷却チャンバの少なくとも1つのMD側、好ましくは両MD側から排出される冷却空気は、モノマー吸引装置へ導入可能である。このために、モノマー吸引装置へ接続された少なくとも1つの吸引ブロワを用いることが可能である。好ましくは、この実施形態では、排出される冷却空気は、モノマー吸引装置に設けられたフィルタシステムによってガイドされる。これに代えて、又はこれに加えて、冷却チャンバの1つのMD側あるいは両MD側で排出される冷却空気は、中間通路及び/又はディフューザ及び/又は堆積装置の下方の吸引部へ導入されることが可能である。この排出により、それぞれ、又は組み合わせて、冷却チャンバから冷却空気を排出するために十分な圧力勾配を生じさせることが可能である。
【0025】
技術的な問題を解決するために、本発明は、無端フィラメント、特に熱可塑性の合成樹脂から成る無端フィラメントで構成された紡糸フリースを製造する方法であって、前記無端フィラメントが、紡出され、これにつづいて冷却チャンバにおいて冷却され、前記フィラメントを冷却するために機械方向に対して横方向に(CD方向に)延在する対向する2つの側を介して冷却空気が前記冷却チャンバへ導入され、前記冷却チャンバの、前記機械方向に対して平行に配置された側で(MD側で)、好ましくは両MD側で冷却空気が排出されることを特徴とする方法を示唆している。
【0026】
推奨すべき実施形態によれば、冷却チャンバの少なくとも1つのMD側、好ましくは両MD側を通して排出される冷却空気流が開ループ制御及び/又は閉ループ制御され、あるいは制限されることを上述した。このとき、少なくとも1つのMD側、好ましくは両MD側を通して排出される冷却空気流は、合目的には、フィラメント状態あるいはフィラメント束状態に依存してMD側の範囲あるいは両MD側の範囲において制御あるいは制限される。さらに、両MD側を通して排出される冷却空気流は、それぞれ別々に開ループ制御及び/又は閉ループ制御され、あるいは制限されることが可能であることが本発明の範囲にある。本発明による方法の範囲では、冷却チャンバの少なくとも1つのMD側、好ましくは両MD側を通して排出される冷却空気は、紡糸口金と冷却チャンバの間に設けられたモノマー吸引装置へ、及び/又は冷却チャンバの下方のプロセス体積流(量)へ、及び/又は延伸装置へ、及び/又は延伸装置と堆積装置の間に配置されたディフューザへ、及び/又は堆積装置の下方の吸引部へ導入されることが可能である。
【0027】
本発明の推奨すべき実施形態は、150kg/h/mを超える、好ましくは200kg/h/mを超える、また、250kg/h/mを超える処理量で動作されることを特徴としている。合目的には、本発明による方法の範囲で進行する処理量は、150~300kg/h/mである。本発明による方法において、ポリオレフィン、特にポリプロピレンから成るフィラメントあるいは紡糸フリースの生成中に、2000m/分より大きな糸速度あるいはフィラメント速度で動作することが本発明の範囲にある。さらに、本発明による方法において、ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート(PET)から成るフィラメントあるいは紡糸フリースの生成中に、4000m/分より大きな、特に5000m/分より大きな糸速度あるいはフィラメント速度で動作することが本発明の範囲にある。本発明による措置は、とりわけ、上述の大きな処理量及び大きな糸速度においても実証されている。ここでも、非常に安定的で、コンパクトかつ均等なフリースの縁部堆積を得ることが可能である。
【0028】
本発明は、本発明による装置及び本発明による方法によって最適な品質及び非常に均等な特性の紡糸フリースを製造することができるという認識に基づいている。とりわけ、フィラメント堆積物の縁部範囲(MD側)では、現場及び従来技術から知られた多くの措置とは異なり、いわば欠陥箇所を有さない均等なフリース部分が可能である。本発明により生成されるフリース堆積物は、その幅にわたって、特に縁部範囲においても、均一な、あるいは本質的に均一な目付けを有している。好ましい流れ方向がMD範囲において空気あるいは冷却空気へ強制されることにより、非常に安定的で、コンパクトかつ均等な縁部範囲を得ることが可能である。-本発明による装置及び本発明による方法は、大きなフィラメント速度及び大きな処理量についても適したものである。この場合にも、フリース帯の全幅にわたって、したがって縁部範囲においても、卓越して均等なフリース帯の特性を得ることができる。冷却チャンバのMD側の範囲における本発明による冷却空気の排出に基づき、フィラメントの流れの非常にポジティブな影響がなされ、場合によっては行われるべき、排出されるべき冷却空気体積流量の調整が、容易かつわずかな手間で可能である。多くの公知の措置において監視されるべきしずくがフリース帯の縁部範囲において回避されることができるか、あるいは少なくとも大幅に最小化されることが可能であることが特に強調される。そのほか、上述の利点は、比較的単純な措置によって、及びわずかな手間の装置の機器的な構造によって達成され得ることが強調されるべきである。これまで公知のスパンボンド装置に比べて、ここでは、本発明による措置の実現のために追加的なハードウェアがほとんど不要であるか、あるいはわずかのみの追加的なハードウェアが必要である。これは、とりわけ、冷却チャンバにおける過圧によるパッシブな冷却空気の排出において当てはまる。さらに、本発明は容易かつわずかな手間でフリース帯堆積物の異なる動作幅へ調整可能であることが強調されるべきである。
【0029】
以下に、1つの実施例のみを示す図面に基づいて本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明による装置の垂直方向の概略的な断面図である。
図2図1の対象の断面A-Aを概略的に示す図である。
図3図1の対象の断面B-Bを概略的に示す平面図である。
図4】本発明による装置のMD側における空気ガイド要素の概略的な斜視図である。
図5】前方及び後方に接続された流れスクリーンを有する整流装置から成るユニットの概略的な斜視図である。
図6】整流装置部分を通る概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
各図には、無端フィラメント1、特に熱可塑性の合成樹脂から成る無端フィラメント1で構成された紡糸フリースを製造する本発明による装置が示されている。この装置は、無端フィラメント1を紡糸するための紡糸口金2を備えている。紡糸された当該無端フィラメント1は、冷却チャンバ4と、この冷却チャンバ4の対向する2つの側に配置された空気供給室5,6とを有する冷却装置3へ導入される。冷却チャンバ4及び空気供給室5,6は、機械方向MDに対して横方向へ、したがって装置のCD方向へ延在している。対向する空気供給室5,6から冷却空気が冷却チャンバ4へ導入される。合目的には、及びこの実施例では、両空気供給室5,6のそれぞれには、冷却チャンバ側に整流装置18が設けられており、冷却空気は、冷却チャンバ4へ入る前にこの整流装置を通過する。
【0032】
紡糸口金2と冷却装置3の間には、好ましくは、及び本実施例では、モノマー吸引装置7が配置されている。このモノマー吸引装置7により、紡糸プロセスにおいて生じる邪魔な気体を装置から排除することが可能である。このような気体は、例えばモノマー、オリゴマーあるいは分解生成物及びこのような物質であり得る。合目的には、及びこの実施例では、モノマー吸引装置7は、邪魔な気体を吸引する吸引ブロワ22を備えている。
【0033】
その整流装置18を有する空気供給室5,6は、冷却チャンバ4のCD側24に沿って機械方向MDに対して横方向へ延在している。冷却チャンバ4には、CD側を通して空気供給室5,6から冷却空気が供給される。本発明によれば、冷却空気は、冷却チャンバの端面側あるいはMD側25において排出される。これら冷却空気流は、特に図3において図示されているとともに、そこで矢印によって明示されている。MD側25における冷却空気の排出を以下において詳細に説明する。合目的には、及びこの実施例では、冷却チャンバ4の端面側あるいはMD側25は、特にCD側24よりも明らかに短く形成されている、冷却チャンバ4の短い側である。一実施形態によれば、及びこの実施例では、冷却チャンバ4のMD側25にはサイドドア23が設けられている。
【0034】
フィラメント流れ方向FSにおいて、フィラメント1が延伸される延伸装置8が冷却装置3に後続配置されている。延伸装置8は、好ましくは、及びこの実施例では、中間通路9を備えており、この中間通路は、冷却装置3を延伸装置8の延伸竪穴(ダクト)10に接続させるものである。特に好ましい実施形態及びこの実施例によれば、冷却装置3及び延伸装置8から成るユニットあるいは冷却装置3、中間通路9及び延伸竪穴10から成るユニットは、閉じたシステムとして形成されている。このとき、閉じたシステムは、特に、冷却装置3における冷却空気の供給以外にこのユニットへの別の空気供給がなされないことを意図している。この閉じたシステムは、装置のMD側25における本発明による冷却空気排出との関連において実証されている。
【0035】
好ましくは、及びこの実施例では、フィラメント流れ方向FSにおいて延伸装置8にディフューザ11が接続されており、このディフューザによって、フィラメント1がガイドされる。推奨すべき実施形態及びこの実施例によれば、延伸装置8あるいは延伸竪穴10とディフューザ11の間には、セカンダリ空気をディフューザ11へ導入するためのセカンダリ空気入口隙間12が設けられている。ディフューザ11を通過した後、フィラメントは、好ましくは、及びこの実施例では、堆積スクリーンベルト13として形成された堆積装置に排出される。そして、フィラメント堆積物あるいはフリース帯14は、堆積スクリーンベルト13によって機械方向MDへ排出あるいは搬出される。合目的には、及びこの実施例では、堆積装置の下方あるいは堆積スクリーンベルト13の下方には、空気あるいはプロセス空気を堆積スクリーンベルト13を通して吸引する吸引装置が設けられている。このために、好ましくは、及びこの実施例では、ディフューザ出口の下方に吸引範囲15が堆積スクリーンベルト13の下方に配置されている。有利には、吸引範囲15が少なくともディフューザ出口の幅Bにわたって延在している。翠帳すべきは、及びこの実施例では、吸引範囲15の幅bは、ディフューザ出口の幅Bよりも大きい。
【0036】
好ましい実施形態によれば、及びこの実施例では、各空気供給室5,6は、2つの室部分16,17に分割されており、これら室部分からそれぞれ異なる温度の冷却空気を冷却チャンバ4へ導入可能である。この実施例では、上側の室部分16からそれぞれ温度T1の冷却空気を供給可能であって浴室、一方、下側の両室部分17からはそれぞれ温度T1とは異なる温度T2の冷却空気を供給可能である。空気供給室5,6は、互いに重ねて配置された少なくとも2つの室部分に分割されることも可能であり、合目的には、これら室部分からそれぞれ異なる温度の冷却空気が供給される。MD側25を介した本発明による冷却空気の排出との関連において、同様に特別な意義は、空気供給室5,6のこの分割及び異なる温度を有する冷却空気の流入にある。この実施例では、フリース堆積の非常に均等な縁部分が得られ、フリース帯14の非常に安定的かつコンパクトな縁部が得られる。
【0037】
冷却チャンバ4のMD側25を介した本発明による冷却空気の排出が、特に図2図3及び図4に示されている。ここで、冷却空気体積流量は、機械方向MDに対して横方向へ、したがってCD方向へ、あるいは本質的にCD方向へ排出される。流れベクトルの方向は、図において冷却空気流を象徴する矢印に対応する。本発明による措置に基づき、冷却空気は、本発明による利点を生じさせる、ここでは縁部範囲において、好ましくは(CD方向における)流れ方向を得る。
【0038】
本発明の一実施形態によれば、冷却チャンバ4の両MD側25において排出される冷却空気体積流量は異なるように設定されることが可能である。これにより、均等なフリース堆積物に関して、障害となる製造公差及び取付公差及び/又は異なるプロセス空気体積流量あるいはモノマー体積流量が補整され得る。そのほか、不均一性をもたらす、フリース堆積物の両縁部間の差異は、合成樹脂溶融物による異なる熱入力により、又は紡糸口金における異なる孔ごとの処理量により、又は異なる混合比率により、補整されることが可能である。
【0039】
図4には、本発明による冷却空気の排出の目的の、冷却チャンバ4のMD側25の構成の好ましい例が示されている。ここで、冷却チャンバ4の高さにわたって延在する角状の空気ガイド要素26がMD側25に設けられている。この実施例では、当該空気ガイド要素26は、サイドドア23の縁部輪郭を形成している。これら空気ガイド要素26は、冷却チャンバ4の高さにわたって分配して配置された孔27を備えている。空気ガイド要素26のこれら孔27を介して、MD側での冷却空気の排出がなされる。この排出は、冷却チャンバ4における過圧によりパッシブになされることができるか、及び/又は例えば不図示のブロワを用いて冷却空気のアクティブな吸引によってなされることができる。好ましくは、及びこの実施例では、冷却空気の排出は冷却チャンバ4の全高にわたってなされる。孔27を通して流出される冷却空気流が管路及び/又はチャンバへ集められ、例えばスライダを介して調整されることが本発明の範囲にある。1つの実施形態は、冷却チャンバ4の両MD側25において流出される冷却空気部分体積流量が集められ、例えばチャンバ及び/又は管路において集められ、共に特に調整装置及び/又は制御装置によって調整あるいは制御されることを特徴としている。
【0040】
本発明による特別な意義は、冷却チャンバ4の空気供給室5,6に配置された整流装置18を有する冷却チャンバ4のMD側25における冷却空気の排出の組合せにある。好ましくは、及びこの実施例では、整流装置は、各空気供給室5,6の両室部分16,17にわたって延在している。整流装置18は、フィラメント1へ当たる冷却空気流を整流するために用いられる。図5には、好ましくは本発明の範囲において用いられる整流装置18の斜視図が示されている。推奨すべきは、及びこの実施例では、整流装置18は、フィラメントの流れFSに対して垂直に向けられた複数の流れ通路19を備えている。合目的には、これら流れ通路19は、それぞれ通路壁部20によって画定されているとともに、好ましくは線形に形成されている。
【0041】
好ましい実施形態によれば、及びこの実施例では、自由に通過可能な、各整流装置18の開放された面積は、整流装置18の全面積の90%を超えている。実証された、及びこの実施例では、流れ通路19の最小の内径Diに対する流れ通路19の長さLの割合は、1~10の範囲、合目的には1~9の範囲にある。整流装置18の流れ通路19は、例えば、及び図6による実施例では、六角形状あるいはハニカム状の断面を有することが可能である。最小の内径Diは、ここでは六角形の対向する側間で測定される。
【0042】
推奨すべきは、及びこの実施例では、各整流装置18は、その冷却空気流入側ESにも、また冷却空気流出側ASにも流れスクリーン21を備えている。好ましくは、及びこの実施例では、整流装置18の両流れスクリーン21は、整流装置18の直前あるいは直後に配置されている。推奨すべきは、及びこの実施例では、整流装置18の両流れスクリーン21あるいは当該流れスクリーン21の面は、整流装置18の流れ通路19の長手方向に対して垂直に向けられている。流れスクリーン21が0.1~0.5mm、好ましくは0.1~0.4mmのメッシュ幅を有し、0.05~0.35mm、好ましくは0.05~0.32mmのワイヤ厚さを有していることが実証された。-好ましい実施形態によれば、自由に通過可能な、各整流装置18の開放された面積が、整流装置18の全面積の90%を超えていることが上述された。流れスクリーンは、自由に通過可能な、整流装置18の開放された面積のこの計算に算入されない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6