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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-01
(45)【発行日】2022-11-10
(54)【発明の名称】構造体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 51/26 20060101AFI20221102BHJP
   B29C 51/12 20060101ALI20221102BHJP
   B29C 48/92 20190101ALI20221102BHJP
【FI】
B29C51/26
B29C51/12
B29C48/92
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019056990
(22)【出願日】2019-03-25
(65)【公開番号】P2019171865
(43)【公開日】2019-10-10
【審査請求日】2022-01-07
(31)【優先権主張番号】P 2018063812
(32)【優先日】2018-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】丹治 忠敏
(72)【発明者】
【氏名】原澤 友紀
【審査官】北澤 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-083851(JP,A)
【文献】特開平11-268124(JP,A)
【文献】特開平04-309245(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 51/00-51/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート形成工程を備える、構造体の製造方法であって、
賦形工程と、貼付工程と、第1検出工程とを備え、
前記シート形成工程では、溶融樹脂を押出機構で押し出して樹脂シートを形成し、
前記賦形工程では、前記樹脂シートを金型の内面に沿って賦形し、
前記貼付工程では、賦形された前記樹脂シートに貼付部材を貼り付け、
前記第1検出工程では、前記樹脂シートに貼り付けられた前記貼付部材の位置ずれの有無を第1センサで検出し、
前記第1検出工程では、前記第1センサは、前記貼付部材の周面の位置ずれの有無を検出する、製造方法。
【請求項2】
シート形成工程を備える、構造体の製造方法であって、
賦形工程と、貼付工程と、第1検出工程とを備え、
前記シート形成工程では、溶融樹脂を押出機構で押し出して樹脂シートを形成し、
前記賦形工程では、前記樹脂シートを金型の内面に沿って賦形し、
前記貼付工程では、賦形された前記樹脂シートに貼付部材を貼り付け、
前記第1検出工程では、前記樹脂シートに貼り付けられた前記貼付部材の位置ずれの有無を第1センサで検出し、
前記第1検出工程では、前記第1センサは、前記貼付部材の上端面及び下端面のうちの少なくとも一方の面の位置ずれの有無を検出する、製造方法。
【請求項3】
シート形成工程を備える、構造体の製造方法であって、
賦形工程と、貼付工程と、第1検出工程とを備え、
前記シート形成工程では、溶融樹脂を押出機構で押し出して樹脂シートを形成し、
前記賦形工程では、前記樹脂シートを金型の内面に沿って賦形し、
前記貼付工程では、賦形された前記樹脂シートに貼付部材を貼り付け、
前記貼付部材は、鋼材を有し、
前記第1検出工程では、前記樹脂シートに貼り付けられた前記貼付部材の位置ずれの有無を第1センサで検出する、製造方法。
【請求項4】
前記第1検出工程では、前記第1センサは、前記貼付部材の周面の位置ずれの有無を検出する、請求項2又は請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記第1検出工程では、前記第1センサは、前記貼付部材の上端面及び下端面のうちの少なくとも一方の面の位置ずれの有無を検出する、請求項又は請求項3に記載の製造方法。
【請求項6】
前記第1センサは、レーザー型の変位センサであり、
前記第1センサは、前記貼付部材の上端面の斜め上方、又は、前記貼付部材の下端面の斜め下方に設けられている、請求項~請求項の何れか1つに記載の製造方法。
【請求項7】
前記金型は、第1金型及び第2金型を有し、
前記賦形工程では、前記樹脂シートを前記第1金型の内面に沿って賦形し、
前記貼付工程では、前記貼付部材を前記第1金型の内面に沿って賦形された前記樹脂シートに貼り付け、
前記第1検出工程では、前記第1センサと前記第1金型との相対距離を一定としている、請求項~請求項の何れか1つに記載の製造方法。
【請求項8】
前記第1検出工程では、前記第1センサによって前記貼付部材の位置ずれが有ると検出された場合に、前記金型を開閉する開閉機構を停止させる、請求項~請求項の何れか1つに記載の製造方法。
【請求項9】
前記貼付部材は、鋼材を有する、請求項1又は請求項2に記載の製造方法。
【請求項10】
送出工程と、第2検出工程とを更に備え、
前記送出工程では、前記シート形成工程で形成した前記樹脂シートをローラーの入口側から出口側へ送り出し、
前記第2検出工程では、前記ローラーへの前記樹脂シートの巻き付きの有無を第2センサで検出する、請求項1~請求項の何れか1つに記載の製造方法。
【請求項11】
第1高さ位置を、前記ローラーが設けられている高さ位置とし、
第2高さ位置を、前記ローラーから、前記ローラーの周長に相当する長さだけ下側に位置する高さ位置としたとき、
前記第2センサは、前記樹脂シートのうち前記第1高さ位置と前記第2高さ位置との間の部分の巻き付きの有無を検出する、請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記第2センサは、前記樹脂シートのうち前記ローラーの高さ位置における部分の巻き付きの有無を検出する、請求項10に記載の製造方法。
【請求項13】
前記第2センサは、前記樹脂シートの短手方向における前記樹脂シートの中央部よりも、前記短手方向における前記樹脂シートの端部寄りの部分の巻き付きの有無を検出する、請求項11又は請求項12に記載の製造方法。
【請求項14】
前記第2センサは、レーザー型の変位センサである、請求項10~請求項13の何れか1つに記載の製造方法。
【請求項15】
前記第2センサは、光電型センサである、請求項10~請求項13の何れか1つに記載の製造方法。
【請求項16】
前記第2検出工程では、前記第2センサによって、前記樹脂シートが前記ローラーへ巻き付いていることが検出された場合に、前記押出機構を停止させる、請求項10~請求項15の何れか1つに記載の製造方法。
【請求項17】
前記第2検出工程では、前記第2センサによって、前記樹脂シートが前記ローラーへ巻き付いていることが検出されてから所定時間経過した場合に、前記押出機構を停止させる、請求項10~請求項16の何れか1つに記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
構造体の製造方法には、金型に取り付けられた樹脂シートにコア材を貼り付けた状態で金型の型閉めを行い、樹脂シートとコア材とを一体化させる方法が各種提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の製造方法において、コア材は、吸着式のマニュピレータによって、金型に取り付けられた樹脂シートに貼り付けられる。また、特許文献1の製造方法の製造装置は、溶融樹脂を押し出して樹脂シートを製造する押出機構と、金型の上側に配置されているローラーとを備えている。このローラーは、樹脂シートを押出機構側から金型側へ送り出す機能を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許2016-083851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1において、樹脂シートに貼り付けられたコア材は、金型が閉まる前に位置ずれする場合がある。コア材が位置ずれした状態で金型が閉まると、金型が破損してしまう場合がある。
また、静電気の作用等により、樹脂シートがローラーを通過する際にローラーに巻き付いてしまう場合がある。樹脂シートがローラーに巻き付いてしまうと、樹脂シートがローラーで固化してしまい、ローラーが適切に機能しなくなる場合がある。
これらの場合のような不具合を回避する手段には、製造装置に作業者を配置して製造装置の不具合の発生を監視する手段が考えられる。しかし、この手段は作業者を製造現場に配置する分、構造体の製造コストを上昇させてしまう。また、作業者を製造現場に配置しても、作業者の負担が大きくなれば、その分作業者が不具合の発生を見落とす可能性が高くなる。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、樹脂シートを用いて構造体を製造するときにおける製造コストの上昇及び樹脂シートを用いて構造体を製造するときにおける作業者の負担を抑制することができる製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、シート形成工程を備える、構造体の製造方法であって、前記シート形成工程では、溶融樹脂を押出機構で押し出して樹脂シートを形成し、次の構成(a)及び構成(b)のうちの少なくとも一方を備えている、製造方法。構成(a):賦形工程と、貼付工程と、第1検出工程とを備え、前記賦形工程では、前記樹脂シートを金型の内面に沿って賦形し、前記貼付工程では、賦形された前記樹脂シートに貼付部材を貼り付け、前記第1検出工程では、前記樹脂シートに貼り付けられた前記貼付部材の位置ずれの有無を第1センサで検出する。構成(b):送出工程と、第2検出工程とを備え、前記送出工程では、前記樹脂シートをローラーの入口側から出口側へ送り出し、前記第2検出工程では、前記ローラーへの前記樹脂シートの巻き付きの有無を第2センサで検出する方法が提供される。
【0007】
本発明に係る一体成形体の製造方法によれば、樹脂シートに貼り付けられた貼付部材の位置ずれの有無を第1センサで検出する第1検出工程と、ローラーへの樹脂シートの巻き付きの有無を第2センサで検出する第2検出工程とのうちの少なくとも一方の構成を有するので、樹脂シートを用いて構造体を製造するときにおける製造コストの上昇を抑制することができる、という効果を奏する。
【0008】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、構成(a)を備えている。
好ましくは、前記第1検出工程では、前記第1センサは、前記貼付部材の周面の位置ずれの有無を検出する。
好ましくは、前記第1検出工程では、前記第1センサは、前記貼付部材の上端面及び下端面のうちの少なくとも一方の面の位置ずれの有無を検出する。
好ましくは、前記第1センサは、レーザー型の変位センサであり、前記第1センサは、前記貼付部材の上端面の斜め上方、又は、前記貼付部材の下端面の斜め下方に設けられている。
好ましくは、前記金型は、第1金型及び第2金型を有し、前記賦形工程では、前記樹脂シートを前記第1金型の内面に沿って賦形し、前記貼付工程では、前記貼付部材を前記第1金型の内面に沿って賦形された前記樹脂シートに貼り付け、前記第1検出工程では、前記第1センサと前記第1金型との相対距離を一定としている。
好ましくは、前記第1検出工程では、前記第1センサによって前記貼付部材の位置ずれが有ると検出された場合に、前記金型を開閉する開閉機構を停止させる。
好ましくは、前記貼付部材は、鋼材を有する。
好ましくは、構成(b)を備える。
好ましくは、第1高さ位置を、前記ローラーが設けられている高さ位置とし、第2高さ位置を、前記ローラーから、前記ローラーの周長に相当する長さだけ下側に位置する高さ位置としたとき、前記第2センサは、前記樹脂シートのうち前記第1高さ位置と前記第2高さ位置との間の部分の巻き付きの有無を検出する。
好ましくは、前記第2センサは、前記樹脂シートのうち前記ローラーの高さ位置における部分の巻き付きの有無を検出する。
好ましくは、前記第2センサは、前記樹脂シートの短手方向における前記樹脂シートの中央部よりも、前記短手方向における前記樹脂シートの端部寄りの部分の巻き付きの有無を検出する。
好ましくは、前記第2センサは、レーザー型の変位センサである。
好ましくは、前記第2センサは、光電型センサである。
好ましくは、前記第2検出工程では、前記第2センサによって、前記樹脂シートが前記ローラーへ巻き付いていることが検出された場合に、前記押出機構を停止させる。
好ましくは、前記第2検出工程では、前記第2センサによって、前記樹脂シートが前記ローラーへ巻き付いていることが検出されてから所定時間経過した場合に、前記押出機構を停止させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る製造方法の概要説明図である。
図2】樹脂シートP1がローラー3a側から第1金型5a側へ垂下する様子を示している。
図3】センサ4aの配置の説明図である。
図4図4Aは貼付部材Cmの斜視図であり、図4Bは貼付部材Cmの側面図である。
図5】第1金型5aの斜視図である。
図6】第1金型5aの背面図である。
図7】第1金型5aの側面図である。
図8】制御部7の機能ブロック図である。
図9】送出工程が完了した状態を示す断面図である。
図10】賦形工程が完了した状態を示す断面図である。
図11】貼付工程が完了した状態を示す断面図である。
図12】型閉め工程が完了した状態を示す断面図である。
図13】貼付部材Cmが重力方向に平行移動した様子を模式的に示している。
図14】貼付部材Cmが回転した様子を模式的に示している。
図15図15Aは鋼材Smを含む貼付部材Cmの分解斜視図であり、図15Bは鋼材Smを含む貼付部材Cmを樹脂シートP1に貼り付けた状態を示す断面図である。
図16】変形例に係る製造方法のセンサ4aの監視位置の説明図である。
図17】変形例に係る製造方法のセンサ4aの配置の説明図である。
図18】樹脂シートP1がローラー3aに巻き付きながらもローラー3aから垂下する様子を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴事項について独立して発明が成立する。
【0011】
<実施形態の構成>
図1は、実施形態に係る製造方法の概要説明図である。図2は、樹脂シートP1がローラー3a側から第1金型5a側へ垂下する様子を示している。図3は、センサ4aの配置の説明図である。図4Aは貼付部材Cmの斜視図であり、図4Bは貼付部材Cmの側面図である。図5は、第1金型5aの斜視図である。図6は、第1金型5aの背面図である。図7は、第1金型5aの側面図である。なお、図2図1に示す矢印a1を視点としている図であり、図3図1に示す矢印a2を視点としている図である。また、図2及び図3では説明の便宜上、移動機構3bの図示を省略している。図1図7を参照して、実施形態の構成を説明する。
【0012】
成形装置100は、一体成形体である構造体を製造する装置である。具体的には、成形装置100は、樹脂シートP1、P2と、樹脂シートP1に貼り付けられる貼付部材Cmとを一体成形する装置である。図1に示すように、成形装置100は、溶融樹脂を押し出す押出機構1と、押出機構1の下側に設けられている金型5と、金型5を開閉する開閉機構6(図8参照)とを備えている。成形装置100は2機の押出機構1を備えている。また、成形装置100は、押出機構1から押し出された樹脂シートP1、P2を金型5へ送り出すローラー3aと、ローラー3aを移動させる移動機構3bとを備えている。図1において開閉機構6は図示を省略している。更に、成形装置100は、センサ4aと、センサ4bと、制御部7とを備えている。センサ4aは、ローラー3aへの樹脂シートP1、P2の巻き付きの有無を検出する。センサ4bは、樹脂シートP1、P2に貼り付けられた貼付部材Cmの位置ずれの有無を検出する。制御部7は、センサ4aの信号及びセンサ4bの信号に基づいて押出機構1等を制御する。センサ4bは第1センサに対応し、センサ4aは第2センサに対応している。
【0013】
図1に示すように、押出機構1は、樹脂ペレットの投入部であるホッパ16と、ホッパ16に繋がっているシリンダ15と、シリンダ15内に設けられた図示省略のスクリューと、スクリューに連結されたモータ17と、シリンダ15に繋がっているアキュムレータ13とを有する。また、押出機構1は、アキュムレータ13に繋がっているTダイ11と、樹脂シートP1、P2の吐出口が形成されたノズル12と、アキュムレータ13内の樹脂をTダイ11へ押し出すプランジャ14とを備えている。
【0014】
図1に示すように、金型5は、第1金型5aと第2金型5bを有する。第2金型5bは第1金型5aに向かい合っている。第1金型5aは、ローラー3aから垂下する樹脂シートP1が賦形されるキャビティ5dと、凸状のピンチオフ5pとを有する。図5図7に示すように、第1金型5aは、基台4cと、基台4cに固定されている配線部4dとを有する。基台4cには第1金型5aの横側面に固定されている。基台4cは配線部4dを第1金型5aに固定する機能を有する。配線部4dは基台4cに固定されている。また、配線部4dの上端部にはセンサ4bが固定されている。配線部4dの上端部は、第1金型5aよりも上側に設けられ、且つ、第1金型5aの端面Srよりも第2金型5b寄りに設けられている。配線部4dには、センサ4bの電力線及びセンサ4bの信号線が設けられている。配線部4dは、垂れ下がることがないように適度な剛性を有する。
【0015】
ローラー3aは、樹脂シートP1、P2をローラー3aの入口側から出口側へ送り出す機能を有する。ローラー3aはノズル12の下側であって金型5の上側に設けられている。成形装置100は4つのローラー3aを備えている。具体的には、樹脂シートP1を製造する押出機構1が1対のローラー3aを有し、樹脂シートP2を製造する押出機構1が一対のローラー3aを有する。移動機構3bはローラー3aを移動させる機能を有する。移動機構3bがローラー3aを移動させることで、ローラー3aと樹脂シートP1、P2との適度な接触が確保される。
【0016】
センサ4aは、レーザー型の変位センサである。センサ4aはレーザー光を照射する図示省略の発光部と、発光部の光を受光する図示省略の受光部を有する。センサ4aは、監視対象物(樹脂シートP1、P2)のローラー3aへの巻き付きの有無を検出するセンサである。監視対象物が捲れ上がって監視対象物がローラー3aに巻き付くと、センサ4aの受光部で受光する光の位置等が変化する。センサ4aの受光部で受光する光の位置等が変化することで、センサ4aの受光部から制御部7へ伝達される信号が変化する。制御部7は、この信号の変化に基づいて、監視対象物の位置ずれの有無を判定する。図1図3に示すように、センサ4aは、樹脂シートP1、P2のうちローラー3aを通過し、金型5を垂下する部分を監視している。つまり、センサ4aのレーザー光は、樹脂シートP1、P2のうちローラー3aを通過し、金型5を垂下する部分に照射されている。具体的に、センサ4aのレーザー光の照射位置を説明する。まず、水平方向に係る照射位置を説明する。図3に示すように、センサ4aのレーザー光は、樹脂シートP1、P2の短手方向における端部寄りに照射されている。次に、上下方向に係る照射位置を説明する。図2に示すように、第1高さ位置h1を、ローラー3aが設けられている高さ位置とする。また、第2高さ位置h2を、ローラー3aから、ローラー3aの周長に相当する長さだけ下側に位置する高さ位置とする。このとき、センサ4aは、樹脂シートP1、P2のうち第1高さ位置h1と第2高さ位置h2との間の部分に照射されている。図2に示す部分Rgは、上述の水平方向に係る照射位置及び上述の上下方向に係る照射位置を満たす範囲を模式的に示している。
【0017】
センサ4bも、センサ4aと同様に、レーザー型の変位センサである。つまり、センサ4bはレーザー光を照射する図示省略の発光部と、発光部の光を受光する図示省略の受光部を有する。センサ4bは、監視対象物(貼付部材Cm)の位置ずれを検出するセンサである。センサ4bは、監視対象物の位置ずれの有無を検出するセンサである。監視対象物が位置ずれすると、センサ4bの受光部で受光する光の位置等が変化する。センサ4bの受光部で受光する光の位置等が変化することで、センサ4bの受光部から制御部7へ伝達される信号が変化する。制御部7は、この信号の変化に基づいて、監視対象物の位置ずれの有無を判定する。図4A図7に示すように、センサ4bは貼付部材Cmの上端面Cuを監視している。つまり、センサ4bのレーザー光は、貼付部材Cmの上端面Cuに照射されている。また、センサ4bは上端面Cuの斜め上方に設けられている。センサ4bは配線部4d及び基台4cを介して第1金型5aに固定されている。このため、金型5が開閉することで第1金型5aが移動すると、センサ4bは第1金型5aとともに移動する。つまり、センサ4aと第1金型5aとの相対距離は一定である。なお、実施形態ではセンサ4bが1つ設けられた態様となっているが、その態様の限定されるものではない。貼付部材Cmの上端面Cuを監視するセンサ4bに加えて、貼付部材Cmの下端面Clを監視するセンサ4bを備えた態様であってもよい。また、貼付部材Cmの上端面Cuを監視するセンサ4bの代わりに、貼付部材Cmの下端面Clを監視するセンサ4bを備えた態様であってもよい。
【0018】
図8は、制御部7の機能ブロック図である。制御部7は、各種のデータを記憶する記憶部7aと、センサ4aの信号及びセンサ4bの信号に基づいて各種の演算をする演算部7bと、押出機構1、移動機構3b及び開閉機構6等を制御する動作制御部7cとを有する。
【0019】
演算部7bはセンサ4aの信号に基づいて樹脂シートP1、P2のローラー3aへの巻き付きの有無を判定する。センサ4aによって樹脂シートP1、P2が検出されなくなってから所定時間経過した場合に、演算部7bは樹脂シートP1、P2のローラー3aへの巻き付きが有ると判定する。つまり、樹脂シートP1、P2がローラー3aに巻き付いていないときにおいて制御部7がセンサ4aから受け取る信号と、樹脂シートP1、P2がローラー3aに巻き付いたときにおいて制御部7がセンサ4aから受け取る信号とは異なる。制御部7がセンサ4aから受け取る信号が異なる状態が所定時間継続すると、演算部7bは樹脂シートP1、P2のローラー3aへの巻き付きが有ると判定する。
【0020】
また、演算部7bはセンサ4bの信号に基づいて貼付部材Cmの位置ずれの有無を判定する。貼付部材Cmが位置ずれしていないときにおいて制御部7がセンサ4bから受け取る信号と、貼付部材Cmが位置ずれしたときにおいて制御部7がセンサ4bから受け取る信号とは異なる。演算部7bはこれらの信号の変化に基づいて貼付部材Cmの位置ずれの有無を判定する。
【0021】
樹脂シートP1、P2のローラー3aへの巻き付きが有ると演算部7bが判定した場合には、動作制御部7cは押出機構1を停止させる。加えて、動作制御部7cは開閉機構6を停止させてもよい。また、貼付部材Cmの位置ずれが有ると演算部7bが判定した場合には、動作制御部7cは開閉機構6を停止させる。
【0022】
<実施形態の製造方法>
図9は、送出工程が完了した状態を示す断面図である。図10は、賦形工程が完了した状態を示す断面図である。図11は、貼付工程が完了した状態を示す断面図である。図12は、型閉め工程が完了した状態を示す断面図である。図9図12を参照して、実施形態の構造体の製造方法を説明する。
【0023】
まず、樹脂シートP1、P2を製造するシート形成工程を説明する。ホッパ16に投入された樹脂ペレットはシリンダ15内に至る。シリンダ15の樹脂ペレットは、スクリューによって溶融され、溶融樹脂となる。溶融樹脂はアキュムレータ13に供給される。アキュムレータ13の溶融樹脂は、プランジャ14の押出作用によって、Tダイ11を介してノズル12から押し出される。ノズル12から押し出された樹脂シートP1、P2はローラー3aに垂下する。以上の一連のフローが、シート形成工程である。
【0024】
次に、樹脂シートP1、P2がローラー3aの入口側から出口側へ送り出される(送出工程)。このとき、センサ4aは樹脂シートP1、P2のローラー3aへの巻き付きの有無を検出する(巻き付き検出工程)。ローラー3aを通過した樹脂シートP1は第1金型5aのキャビティ5dの内面に沿って賦形され、また、ローラー3aを通過した樹脂シートP2は第2金型5bのキャビティ5eの内面に沿って賦形される(賦形工程)。第1金型5aにはキャビティ5dに連通する図示省略の真空吸引孔が形成されている。第2金型5bにもキャビティ5eに連通する図示省略の真空吸引孔が形成されている。真空吸引孔が真空吸引されることで、樹脂シートP1は第1金型5aのキャビティ5dの内面に沿って賦形され、樹脂シートP2は第2金型5bのキャビティ5eの内面に沿って賦形される。
【0025】
貼付部材Cmを保持しているマニュピレータが、貼付部材Cmを樹脂シートP1に押し付ける(貼付工程)。ここで、貼付部材Cmは発泡体を有する。このため、樹脂シートP1の熱により、貼付部材Cmの発泡体が樹脂シートP1に溶着される。これにより、貼付部材Cmは樹脂シートP1に貼り付けられる。センサ4bは樹脂シートP1に貼り付けられた貼付部材Cmの位置ずれの有無を検出している(位置ずれ検出工程)。金型5が閉まり、樹脂シートP1、P2と貼付部材Cmとが一体成形される(型閉め工程)。
【0026】
<実施形態の作用及び効果>
図15は、図15Aは鋼材Smを含む貼付部材Cmの分解斜視図であり、図15Bは鋼材Smを含む貼付部材Cmを樹脂シートP1に貼り付けた状態を示す断面図である。なお、図15Bに示す断面は、図15Aに示す3つの点Xを通る断面に対応している。また、図15Bに示す状態は図11に示す貼付工程が完了した状態に対応している。図15Aに示すように、発泡体Fmには鋼材Smを配置する凹部Rsが形成されている。上述の図1図14に加えて、図15も参照して、実施形態の作用及び効果を説明する。
【0027】
貼付部材Cmは発泡体を有するため、貼付部材Cmの発泡体が樹脂シートP1に溶着される。このため、一般的には、貼付工程において樹脂シートP1に貼り付けされた貼付部材Cmが位置ずれすることは回避されている。しかし、貼付工程において貼付部材Cmが樹脂シートP1へ適切に保持されない場合がある。このような場合には、貼付部材Cmが位置ずれしてしまうことがある。
【0028】
特に、図15に示すように、貼付部材Cmが発泡体Fmに加えて鋼材Smを含む場合がある。貼付部材Cmが鋼材Smを含む場合には、その分、貼付部材Cmの重量が増大するので、貼付部材Cmは更に位置ずれしやすくなる。状況によっては、図15Bに示す貼付部材Cmが落下してしまうこともある。貼付部材Cmが位置ずれした状態で金型5が閉まると、貼付部材Cmと金型5とが干渉し、金型5が破損してしまう場合がある。ここで、作業者が貼付部材Cmの位置ずれを目視で監視する手段が考えられる。そして、作業者が貼付部材Cmの位置ずれを発見したときには、作業者が開閉機構6を停止させる。これにより、作業者は金型5の破損を抑制することができる。しかし、この手段は作業者を製造現場に配置する必要があるので、その結果、この手段は構造体の製造コストを上昇させてしまう。また、貼付部材Cmの位置ずれを監視する作業は、貼付部材Cmが位置ずれしているか否かを、継続して目視する作業であり、作業者の負担は大きい。製造現場の作業者の負担が大きくなると、その分、作業者が不具合の発生を見落とす可能性が高くなる。更に、作業者の目視では、位置ずれの有無を正確に判断できない可能性がある。そこで、実施形態に係る製造方法は、貼付部材Cmの位置ずれの有無をセンサ4bで検出する第1検出工程を有する。つまり、実施形態に係る製造方法は、貼付部材Cmの位置ずれの有無を、人的な手段ではなく、機械的な手段で検出している。このため、実施形態に係る製造方法において、製造コストの増加が抑制され、且つ、製造現場の作業者の負担が抑制され、且つ、位置ずれの有無の検出精度が向上する。
【0029】
図13は、貼付部材Cmが重力方向に平行移動した様子を模式的に示している。図13に示す矢印m1、n1、s1、t1は貼付部材Cmが重力方向に平行移動する前のレーザー光を模式的に示し、図13に示す矢印m2、n2、s2、t2は貼付部材Cmが重力方向に平行移動した後のレーザー光を模式的に示している。図14は、貼付部材Cmが回転した様子を模式的に示している。
図13の矢印m1、m2に示すように、センサ4bが貼付部材Cmの前面Cfを監視している場合を検討する。つまり、センサ4bが貼付部材Cmの側面Ctの位置ずれの有無を検出している場合を検討する。ここで、前面Cfが平面状であるとすると、貼付部材Cmが重力方向に平行移動したときに、センサ4bの監視部位Msの状態の変化は乏しくなる。図14の矢印m1、m2に示すように、貼付部材Cmが金型5の開閉方向に平行な軸を中心に回転したときも同様に、センサ4bの監視部位Msの状態の変化は乏しくなる。このため、センサ4bがレーザー型の変位センサであっても、センサ4bが光電型のセンサであっても、センサ4bの受信部が受信する光の位置等の変化量が小さくなる。したがって、センサ4bが貼付部材Cmの側面Ctを監視している場合には、貼付部材Cmの位置ずれの検出精度が低下する可能性がある。
【0030】
それに対し、実施形態において、センサ4bは貼付部材Cmの周面Cpを監視している。つまり、センサ4bは貼付部材Cmの周面Cpの位置ずれの有無を検出している。図14に示すように、貼付部材Cmが金型5の開閉方向に平行な軸を中心に回転したとすると、貼付部材Cmの周面の位置がずれる。このため、センサ4bの監視部位Msの状態が変化する。したがって、センサ4bが貼付部材Cmの周面Cpの位置ずれの有無を検出することで、貼付部材Cmの位置ずれの有無の検出精度が向上する。
【0031】
図13の矢印t1、t2に示すように、センサ4bが貼付部材Cmの側面Ctを監視している場合を検討する。つまり、センサ4bが貼付部材Cmの側面Ctの位置ずれの有無を検出している場合を検討する。側面Ctが平面であるとすると、貼付部材Cmが重力方向に平行移動した場合には、センサ4bの監視部位Msの状態の変化が乏しい。このため、センサ4bが貼付部材Cmの側面Ctを監視している場合には、貼付部材Cmの位置ずれが検出されなくなる可能性が高まる。
【0032】
それに対し、実施形態において、センサ4bは貼付部材Cmの上端面Cu及び下端面Clのうちの少なくとも一方の面を監視している。つまり、センサ4bは、貼付部材Cmの上端面Cu及び下端面Clのうちの少なくとも一方の面の位置ずれの有無を検出している。図13に示すように、貼付部材Cmが重力方向に平行移動したとすると、貼付部材Cmの上端面Cu及び下端面Clの位置がずれる。このため、センサ4bの監視部位Msの状態が変化する。したがって、センサ4bが貼付部材Cmの上端面Cu及び下端面Clのうちの少なくとも一方の面の位置ずれの有無を検出することで、貼付部材Cmの位置ずれの有無の検出精度が更に向上する。
【0033】
センサ4bは、レーザー型の変位センサである。このため、制御部7の演算部7bはセンサ4bの信号に基づいて貼付部材Cmの位置ずれ量を演算することができる。そして、算出した位置ずれ量が予め定められた値以上である場合には、制御部7の演算部7bは貼付部材Cmの位置がずれたと判定する。ここで、センサ4bは、上端面Cuの斜め上方、又は、下端面Clの斜め下方に設けられている。このため、センサ4bのレーザー光は、上端面Cu又は下端面Clに対して垂直に照射されない。具体的には、図13に示すように、センサ4bのレーザー光と上端面Cuとは鋭角θをなしている。ここでは、貼付部材Cmが重力方向に平行移動したとする。図13の矢印n1、n2に示すように、センサ4bのレーザー光と上端面Cuとが鋭角θをなしている分、監視部位Msの状態の変化量すなわち監視部位Msの距離の変化量が増大する。その結果、貼付部材Cmの位置ずれの有無の検出精度が更に向上する。なお、図13の矢印s1、s2は、センサ4bのレーザー光が上端面Cuに対して垂直に照射されている様子を示している。図13の矢印s1、s2に対応する監視部位Msの距離の変化量は、図13の矢印m1、m2に対応する監視部位Msの距離の変化量と比較すると小さくなっている。
【0034】
第1検出工程では、センサ4bと第1金型5aとの相対距離を一定としている。実施形態では、センサ4bは基台4c及び配線部4dを介して第1金型5aに固定されている。これにより、センサ4bは第1金型5aとともに移動する。したがって、貼付部材Cmが樹脂シートP1に貼り付けられてから、金型5が閉まる直前まで、貼付部材Cmの監視が継続されることになる。
【0035】
貼付部材Cmは上述のように鋼材Smを含む場合もある。鋼材Smは発泡体Fmよりも硬度が高い。このため、貼付部材Cmが鋼材Smを含む場合において、貼付部材Cmが位置ずれした状態で開閉機構6が金型5を閉めてしまうと、金型5が破損する可能性が更に高まる。そこで、実施形態に係る製造方法は、センサ4bによって貼付部材Cmの位置ずれが有ると検出された場合に、金型5を開閉する開閉機構6を停止させる。このため、貼付工程において貼付部材Cmが位置ずれした状態で開閉機構6が金型5を閉めてしまい、金型5と貼付部材Cmとが干渉してしまうことが回避される。したがって、実施形態に係る製造方法は、金型5が破損する不具合の発生が抑制される効果を奏する。
【0036】
樹脂シートP1、P2がローラー3aを通過する過程で帯電し、その結果、樹脂シートP1、P2のうちローラー3aの下側の部分が静電気の作用で捲れ上がる場合がある。樹脂シートP1、P2のうちローラー3aの下側の部分が捲れ上がることで、樹脂シートP1、P2がローラー3aに巻き付いてしまう。樹脂シートP1、P2がローラー3aに巻き付くと、ローラー3aの回転が阻害され、ローラー3aが適切に機能しなくなる。ここで、作業者が樹脂シートP1、P2のローラー3aへの巻き付きを目視で監視する手段が考えられる。そして、作業者が樹脂シートP1、P2のローラー3aへの巻き付きを発見したときには、作業者が押出機構1を停止させる。これにより、作業者は樹脂シートP1、P2のローラー3aへの巻き付きを抑制することができる。しかし、この手段は作業者を製造現場に配置する必要があるので、その結果、この手段は構造体の製造コストを上昇させてしまう。また、作業者の目視では、樹脂シートP1、P2の捲れ上がりの有無を正確に判断できない可能性がある。そこで、実施形態に係る製造方法は、ローラー3aへの樹脂シートP1、P2の巻き付きの有無をセンサ4aで検出する第2検出工程を有する。つまり、実施形態に係る製造方法は、ローラー3aへの樹脂シートP1、P2の巻き付きの有無を、人的な手段ではなく、機械的な手段で検出している。このため、実施形態に係る製造方法において、製造コストの増加が抑制され、且つ、ローラー3aへの樹脂シートP1、P2の巻き付きの有無の検出精度が向上する。
【0037】
樹脂シートP1、P2がローラー3aに巻き付いた後に冷えると、樹脂シートP1、P2がローラー3aに巻き付いた状態で固化してしまう。樹脂シートP1、P2がローラー3aに巻き付いた状態で固化してしまうと、作業者は、構造体の製造を再開するため、樹脂シートP1、P2をローラー3aから剥がす作業をする必要がある。特に、樹脂シートP1、P2がローラー3aに1周以上巻き付いてしまうと、ローラー3aから樹脂シートP1、P2を剥がす作業負担が大幅に増加する。そこで、センサ4aは、樹脂シートP1、P2のうち第1高さ位置h1と第2高さ位置h2との間の部分の巻き付きの有無を検出する。ここで、第1高さ位置h1と第2高さ位置h2との間の距離は、ローラー3aの周長に相当する。これにより、樹脂シートP1、P2がローラー3aに1周以上巻き付いてしまうことを抑制することができる。
【0038】
樹脂シートP1、P2がローラー3aに巻き付く場合には、樹脂シートP1、P2の中央部よりも樹脂シートP1、P2の端部寄りの部分Rgの方が先にローラー3aに巻き付きやすい。そこで、センサ4aは、樹脂シートP1、P2の端部寄りの部分Rgの巻き付きの有無を検出する。これにより、ローラー3aへの樹脂シートP1、P2の巻き付きが有ったことを、より早く検出することができる。
【0039】
実施形態において、金型5には樹脂シートP1及び樹脂シートP2が供給される。そして、樹脂シートP1と樹脂シートP2とは向かい合っている。ここで、センサ4aが光電型のセンサであり、且つ、樹脂シートP1がローラー3aに巻き付いた場合を検討する。この場合には、センサ4aのうち樹脂シートP1を監視する方のセンサ(ここでは、センサAと略記する)の光が、樹脂シートP1に当たらず、樹脂シートP2に当たる可能性がある。そうすると、センサAの受信部が、樹脂シートP2で反射した光を検出してしまう。その結果、実際には樹脂シートP1がローラー3aに巻き付いているのに、制御部7が、樹脂シートP1のローラー3aへの巻きつきがない、と判定してしまう。すなわち、センサ4aが光電型のセンサであると、制御部7が誤判定してしまう。そこで、実施形態において、センサ4aは、レーザー型の変位センサである。これにより、制御部7が上述のように誤判定してしまうことを回避することができる。
【0040】
センサ4aによって樹脂シートP1、P2が検出されなくなった場合に、押出機構1を停止させる。センサ4aによって樹脂シートP1、P2が検出されなくなった場合では、樹脂シートP1、P2が捲れ上がって樹脂シートP1、P2がローラー3aに巻き付いた状態を意味している。このような場合には、押出機構1を停止させる。これにより、樹脂シートP1、P2がノズル12からローラー3aへ供給されることを防止することができる。したがって、樹脂シートP1、P2のローラー3aへの巻き付き量が増大してしまうことを抑制することができる。
【0041】
センサ4aによって樹脂シートP1、P2が検出されなくなったとしても、樹脂シートP1、P2がローラー3aに必ず巻き付いているとは限らない。そこで、好ましくは、センサ4aによって樹脂シートP1、P2が検出されなくなってから所定時間経過した場合に、押出機構1を停止させる。これにより、樹脂シートP1、P2のローラー3aへの巻き付きの検出精度が向上する。
【0042】
<変形例>
実施形態は、図1図3に示すように、センサ4aが、樹脂シートP1、P2のうち第1高さ位置h1と第2高さ位置h2との間の部分の巻き付きの有無を検出する形態であったが、この形態に限定されるものではない。図17に示すように、センサ4aは、樹脂シートP1、P2のうちローラー3aの高さ位置における部分の巻き付きの有無を検出するものであってもよい。
【0043】
図18に示すように、樹脂シートP1は、ローラー3aに巻き付きつつも、ローラー3aの下方に垂下する場合がある。この場合には、上述の図1図3に示す形態では、センサ4aが樹脂シートP1の巻き付きを検出できなくなる可能性がある。樹脂シートP2についても同様である。このため、本変形例では、樹脂シートP1、P2のうちローラー3aの高さ位置における部分の巻き付きの有無を検出することができるよう、センサ4aの光がローラー3aに照射されている。つまり、本変形例では、センサ4aは、樹脂シートP1、P2がローラー3aへ巻き付くことを直接的に検出している。
【0044】
本変形例では、センサ4aは、光電型センサである。これにより、樹脂シートP1、P2のローラー3aへの巻き付きを検出する設備を安価に構成することができる。光電型センサは、例えばLED等の発光素子を有する発光部と、受光素子を有する受光部と、を備えている。そして、光電型センサは、反射光の光量の変化に基づいて、監視対象物(本変形例では樹脂シートP1、P2)のローラー3aへの巻き付きを検出する。センサ4aの発光部の光は通常時はローラー3aに照射され、そして、ローラー3aに照射された光(反射光)は受光部で検出される。一方、ローラー3aに樹脂シートP1が巻き付くと、センサ4aの発光部の光は樹脂シートP1に照射される。その結果、受光部で検出される反射光の光量が変化し、センサ4aが樹脂シートP1のローラー3aの巻き付きを検出する。
【0045】
図18では、樹脂シートP1が右側のローラー3aに巻き付いている様子を示しているが、樹脂シートP1は左側のローラー3aに巻き付く可能性もある。このため、図16及び図17に示すように、センサ4aは、各樹脂シートP1、P2の各ローラー3aに光を照射するように、配置されている。つまり、樹脂シートP2の巻き付き検出用のセンサ4aは、一方のローラー3aへの樹脂シートP1の巻き付きを検出するセンサと、他方のローラー3aへの樹脂シートP1の巻き付きを検出するセンサと、を備えている。同様に、樹脂シートP2の巻き付き検出用のセンサ4aは、一方のローラー3aへの樹脂シートP1の巻き付きを検出するセンサと、他方のローラー3aへの樹脂シートP1の巻き付きを検出するセンサと、を備えている。
【0046】
なお、本変形例では、センサ4a(センサ4aの発光部)は、ローラー3aの高さ位置と同じ高さ位置に配置されているが、これに限定されるものではない。センサ4aの光がローラー3aに照射されていれば、センサ4aは、ローラー3aの高さ位置よりも上方又は下方に配置されていてもよい。
【0047】
なお、変形例のセンサ4aも、実施形態と同様に、レーザー型のセンサで構成してもよい。逆に、実施形態において、センサ4aはレーザー型のセンサで構成したが、本変形例のように、光電センサで構成してもよい。
【0048】
実施形態及び変形例を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0049】
1 :押出機構
3a :ローラー
3b :移動機構
4a :センサ
4b :センサ
4c :基台
4d :配線部
5 :金型
5a :第1金型
5b :第2金型
5d :キャビティ
5e :キャビティ
5p :ピンチオフ
6 :開閉機構
7 :制御部
7a :記憶部
7b :演算部
7c :動作制御部
11 :Tダイ
12 :ノズル
13 :アキュムレータ
14 :プランジャ
15 :シリンダ
16 :ホッパ
17 :モータ
100 :成形装置
Cf :前面
Cl :下端面
Cm :貼付部材
Cp :周面
Ct :側面
Cu :上端面
Fm :発泡体
Ms :監視部位
P1 :樹脂シート
P2 :樹脂シート
Rg :部分
Rs :凹部
Sm :鋼材
Sr :端面
θ :鋭角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18