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特許7168920コルチゾール結合核酸分子、コルチゾール検出用センサ、コルチゾール検出方法
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  • 特許-コルチゾール結合核酸分子、コルチゾール検出用センサ、コルチゾール検出方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-01
(45)【発行日】2022-11-10
(54)【発明の名称】コルチゾール結合核酸分子、コルチゾール検出用センサ、コルチゾール検出方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/115 20100101AFI20221102BHJP
   C12Q 1/68 20180101ALI20221102BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
C12N15/115 Z ZNA
C12Q1/68
G01N33/53 F
G01N33/53 M
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018067581
(22)【出願日】2018-03-30
(65)【公開番号】P2019176775
(43)【公開日】2019-10-17
【審査請求日】2021-02-08
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成29年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、研究成果展開事業研究成果最適プログラム シーズ育成タイプ「人工核酸によるバイオマーカー簡易検出センサの技術開発」に係る委託研究、産業技術強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000232092
【氏名又は名称】NECソリューションイノベータ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504145364
【氏名又は名称】国立大学法人群馬大学
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【弁理士】
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【弁理士】
【氏名又は名称】伊佐治 創
(72)【発明者】
【氏名】金子 直人
(72)【発明者】
【氏名】皆川 宏貴
(72)【発明者】
【氏名】堀井 克紀
(72)【発明者】
【氏名】和賀 巌
(72)【発明者】
【氏名】▲桑▼原 正靖
【審査官】池上 京子
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-139239(JP,A)
【文献】Sensors,2017年,17(5):1180,doi:10.3390/s17051180
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a)または(b)のポリヌクレオチドを含むことを特徴とする、コルチゾール結合核酸分子。
(a)配列番号1から20のいずれかの塩基配列からなるポリヌクレオチド
(b)前記(a)の塩基配列に対して、90以上の同一性を有する塩基配列からなり、コルチゾールに結合するポリヌクレオチド
【請求項2】
前記結合核酸分子が、塩基が修飾基で修飾された修飾塩基を含む、請求項1記載のコルチゾール結合核酸分子。
【請求項3】
前記修飾塩基が、チミン塩基が修飾基で修飾された修飾チミン塩基を含む、請求項2記載のコルチゾール結合核酸分子。
【請求項4】
前記修飾チミン塩基が、下記式(1)または(2)で表される修飾チミン塩基を含む、請求項3記載のコルチゾール結合核酸分子。
【化1】
【化2】
【請求項5】
前記修飾塩基が、修飾基で修飾された修飾プリン塩基を含む、請求項2から4のいずれか一項に記載のコルチゾール結合核酸分子。
【請求項6】
前記修飾プリン塩基が、下記式(3)で表される修飾プリン塩基である、請求項5記載のコルチゾール結合核酸分子。
【化3】
【請求項7】
前記(b)のポリヌクレオチドが、下記(e)のポリヌクレオチドである、請求項1から6のいずれか一項に記載のコルチゾール結合核酸分子。
(e)前記(a)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、下記式(4-1)から(4-20)で表されるいずれかの二次構造を形成可能であり、コルチゾールに結合するポリヌクレオチド
【化4-1】
【化4-2】
【化4-3】
【化4-4】
【化4-5】
【化4-6】
【化4-7】
【化4-8】
【化4-9】
【化4-10】
【化4-11】
【化4-12】
【化4-13】
【化4-14】
【化4-15】
【化4-16】
【化4-17】
【化4-18】
【化4-19】
【化4-20】
【請求項8】
相補鎖を含み、
前記相補鎖が、前記(a)または(b)のポリヌクレオチドに相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチドを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のコルチゾール結合核酸分子。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載のコルチゾール結合核酸分子を含むことを特徴とする、コルチゾール検出試薬。
【請求項10】
試料と核酸分子とを接触させ、前記試料中のコルチゾールを検出する工程を含み、
前記核酸分子が、請求項1から8のいずれか一項に記載のコルチゾール結合核酸分子であり、
前記検出工程において、前記試料中のコルチゾールと前記核酸分子とを結合させて、前記結合により、前記試料中のコルチゾールを検出することを特徴とする、コルチゾールの検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コルチゾール結合核酸分子、コルチゾール検出用センサ、コルチゾール検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ストレスが、疲労や鬱の一因となり得ることから、ストレスのチェックが重要視されている。しかしながら、ストレス状態か否かは、例えば、本人が気づいていない、または、主観的であるが故に他人によって判断することが難しいという問題がある。このため、ストレスを客観的に判断する方法の確立が求められている。
【0003】
血液、尿、唾液等の体液中のコルチゾール濃度は、ストレスと相関することが明らかとなっている。このため、採取が容易な唾液中のコルチゾール濃度を測定することにより、ストレス度合いを測定することが試みられている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】田中 喜秀、脇田 慎一、「ストレスと疲労のバイオマーカー」、2011年、日薬理誌(Folia Pharmacol. Jpn.)、vol.137、185-188ページ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の目的は、コルチゾールの分析に利用可能な、新たなコルチゾール結合核酸分子、コルチゾール検出用センサ、コルチゾール検出方法を試験する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のコルチゾール結合核酸分子(以下、「核酸分子」ともいう)は、下記(a)または(b)のいずれかのポリヌクレオチドを含むことを特徴とする。
(a)配列番号1から20のいずれかの塩基配列からなるポリヌクレオチド
(b)前記(a)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、コルチゾールに結合するポリヌクレオチド
【0007】
本発明のコルチゾール検出試薬(以下、「検出試薬」ともいう)は、前記本発明のコルチゾール結合核酸分子を含むことを特徴とする。
【0008】
本発明のコルチゾールの検出方法(以下、「検出方法」ともいう)は、試料と核酸分子とを接触させ、前記試料中のコルチゾールを検出する工程を含み、
前記核酸分子が、前記本発明のコルチゾール結合核酸分子であり、
前記検出工程において、前記試料中のコルチゾールと前記核酸分子とを結合させて、前記結合により、前記試料中のコルチゾールを検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のコルチゾール核酸分子は、コルチゾールに結合可能である。このため、本発明のコルチゾール結合核酸分子によれば、例えば、試料中のコルチゾールとの結合の有無によって、優れた精度でコルチゾールを検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施例における候補アプタマーのコルチゾールに対する結合能を示すグラフである。
図2図2は、実施例におけるアプタマーのコルチゾールに対する検出感度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(1)コルチゾール結合核酸分子
本発明のコルチゾール結合核酸分子は、下記(a)または(b)のいずれかのポリヌクレオチドを含むことを特徴とする。
(a)配列番号1から20のいずれかの塩基配列からなるポリヌクレオチド
(b)前記(a)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、コルチゾールに結合するポリヌクレオチド
【0012】
本発明において、ある配列に対して他の配列が相補的であるとは、例えば、両者間でアニーリングが生じ得る配列であることを意味する。前記アニーリングを、ステム形成ともいう。本発明において、相補的とは、例えば、2種類の配列をアラインメントした際の相補性が、例えば、90%以上であること、好ましくは95%以上、96%以上、97%以上、98%以上であり、より好ましくは99%以上であり、特に好ましくは100%、すなわち完全相補である。また、核酸分子内において、ある配列に対して他の配列が相補的であるとは、一方の5’側から3’側に向かう配列と、他方の3’側から5’側に向かう配列とを対比させた際に、互いの塩基が相補的であることを意味する。
【0013】
本発明の核酸分子は、コルチゾールに対する結合力を示す解離定数が、例えば、1.17μmol/L以下である。
【0014】
本発明において、「コルチゾールに結合する」とは、例えば、コルチゾールに対する結合能を有している、または、コルチゾールに対する結合活性を有しているともいう。本発明のコルチゾール結合核酸分子と前記コルチゾールとの結合は、例えば、蛍光偏光法、表面プラズモン共鳴分子相互作用(SPR;Surface Plasmon resonance)解析等により決定できる。
【0015】
前記コルチゾールは、下記式(5)で表わされる。前記コルチゾールは、例えば、異性体、塩、水和物、溶媒和物等の誘導体でもよい。以下、前記コルチゾールに関する記載は、前記誘導体に援用できる。
【化5】
【0016】
本発明の核酸分子は、例えば、前記(a)または(b)のポリヌクレオチドからなる分子でもよいし、前記ポリヌクレオチドを含む分子でもよい。また、本発明の核酸分子は、例えば、DNA、RNAまたはDNAおよびRNAから構成されてもよい。本発明の核酸分子がDNAから構成される場合、本発明の核酸分子は、例えば、DNA分子、DNAアプタマーということができる。
【0017】
前記(a)のポリヌクレオチドは、例えば、前記配列番号1から20のいずれかの塩基配列を含むポリヌクレオチドでもよいし、前記配列番号1から20のいずれかの塩基配列からなるポリヌクレオチドでもよい。また、前記(a)のポリヌクレオチドは、前記配列番号1から20のいずれかの塩基配列の部分配列を含むヌクレオチドでもよいし、前記部分配列からなるポリヌクレオチドでもよい。前記部分配列は、特に制限されず、例えば、前記配列番号1から20のいずれかの塩基配列において、5’末端および3’末端の少なくとも一方の配列を欠失した配列でもよいし、中間領域の配列を欠失した配列でもよい。前記配列番号1から20のポリヌクレオチドを、下記表1A~Bに示す。なお、下記表1A~Bにおける「修飾塩基」は、一例であり、前記配列番号1から20のポリヌクレオチドにおいて、各塩基は、後述のように、天然塩基でもよいし、修飾塩基でもよい。
【0018】
【表1A】
【表1B】
【0019】
前記(b)において、「同一性」は、特に制限されず、例えば、前記(b)のポリヌクレオチドが、コルチゾールに結合する範囲であればよい。前記同一性は、例えば、80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、96%以上、97%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上である。前記同一性は、例えば、BLAST、FASTA等の解析ソフトウェアを用いて、デフォルトのパラメータにより算出できる(以下、同様)。
【0020】
本発明の核酸分子における前記ポリヌクレオチドは、例えば、下記(c)のポリヌクレオチドでもよい。この場合、本発明の核酸分子は、例えば、前記(c)のポリヌクレオチドからなる分子でもよいし、前記ポリヌクレオチドを含む分子でもよい。
(c)前記(a)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対して、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに相補的な塩基配列からなり、コルチゾールに結合するポリヌクレオチド
【0021】
前記(c)において、「ハイブリダイズ可能なポリヌクレオチド」は、例えば、前記(a)のポリヌクレオチドに対して、完全または部分的に相補的なポリヌクレオチドであり、前記コルチゾールに結合する範囲であればよい。前記ハイブリダイズは、例えば、各種ハイブリダイゼーションアッセイにより検出できる。前記ハイブリダイゼーションアッセイは、特に制限されず、例えば、ザンブルーク(Sambrook)ら編「モレキュラー・クローニング:ア・ラボラトリーマニュアル第2版(Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd Ed.)」〔Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)〕等に記載されている方法を採用することもできる。
【0022】
前記(c)において、「ストリンジェントな条件」は、例えば、低ストリンジェントな条件、中ストリンジェントな条件、高ストリンジェントな条件のいずれでもよい。「低ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、32℃の条件である。「中ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、42℃の条件である。「高ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、50℃の条件である。ストリンジェンシーの程度は、当業者であれば、例えば、温度、塩濃度、プローブの濃度および長さ、イオン強度、時間等の条件を適宜選択することで、設定可能である。「ストリンジェントな条件」は、例えば、前述したザンブルーク(Sambrook)ら編「モレキュラー・クローニング:ア・ラボラトリーマニュアル第2版(Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd Ed.)」〔Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)〕等に記載の条件を採用することもできる。
【0023】
本発明の核酸分子における前記ポリヌクレオチドは、例えば、下記(d)のポリヌクレオチドでもよい。この場合、本発明の核酸分子は、例えば、前記(d)のポリヌクレオチドからなる分子でもよいし、前記ポリヌクレオチドを含む分子でもよい。
(d)前記(a)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、前記コルチゾールに結合するポリヌクレオチド
【0024】
前記(d)において、「1もしくは数個」は、例えば、前記(d)のポリヌクレオチドが、コルチゾールに結合する範囲であればよい。前記「1もしくは数個」は、前記(a)の塩基配列において、例えば、1~16個、1~12個、1~10個、1~8個、1~7個、1~5個、1~3個、1~2個、1個である。本発明において、塩基数および配列数等の個数の数値範囲は、例えば、その範囲に属する正の整数を全て開示するものである。つまり、例えば、「1~5塩基」との記載は、「1、2、3、4、5塩基」の全ての開示を意味する(以下、同様)。
【0025】
本発明の核酸分子における前記(b)のポリヌクレオチドは、例えば、下記(e)のポリヌクレオチドでもよい。この場合、本発明の核酸分子は、例えば、前記(e)のポリヌクレオチドからなる分子でもよいし、前記(e)のポリヌクレオチドを含む分子でもよい。
(e)前記(a)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、下記式(4-1)から(4-20)で表されるいずれかの二次構造を形成可能であり、コルチゾールに結合するポリヌクレオチド
【化4-1】
【化4-2】
【化4-3】
【化4-4】
【化4-5】
【化4-6】
【化4-7】
【化4-8】
【化4-9】
【化4-10】
【化4-11】
【化4-12】
【化4-13】
【化4-14】
【化4-15】
【化4-16】
【化4-17】
【化4-18】
【化4-19】
【化4-20】
【0026】
前記(e)のポリヌクレオチドにおいて、前記(a)の塩基配列が配列番号1~20の塩基配列の場合、前記(e)のポリヌクレオチドは、例えば、それぞれ、下記(e1)~(e20)のポリヌクレオチドである。
(e1)配列番号1の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、前記式(4-1)で表されるいずれかの二次構造を形成可能であり、コルチゾールに結合するポリヌクレオチドである。
(e2)配列番号2の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、前記式(4-2)で表されるいずれかの二次構造を形成可能であり、コルチゾールに結合するポリヌクレオチドである。
(e3)配列番号3の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、前記式(4-3)で表されるいずれかの二次構造を形成可能であり、コルチゾールに結合するポリヌクレオチドである。
(e4)配列番号4の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、前記式(4-4)で表されるいずれかの二次構造を形成可能であり、コルチゾールに結合するポリヌクレオチドである。
(e5)配列番号5の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、前記式(4-5)で表されるいずれかの二次構造を形成可能であり、コルチゾールに結合するポリヌクレオチドである。
(e6)配列番号6の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、前記式(4-6)で表されるいずれかの二次構造を形成可能であり、コルチゾールに結合するポリヌクレオチドである。
(e7)配列番号7の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、前記式(4-7)で表されるいずれかの二次構造を形成可能であり、コルチゾールに結合するポリヌクレオチドである。
(e8)配列番号8の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、前記式(4-8)で表されるいずれかの二次構造を形成可能であり、コルチゾールに結合するポリヌクレオチドである。
(e9)配列番号9の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、前記式(4-9)で表されるいずれかの二次構造を形成可能であり、コルチゾールに結合するポリヌクレオチドである。
(e10)配列番号10の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、前記式(4-10)で表されるいずれかの二次構造を形成可能であり、コルチゾールに結合するポリヌクレオチドである。
(e11)配列番号11の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、前記式(4-11)で表されるいずれかの二次構造を形成可能であり、コルチゾールに結合するポリヌクレオチドである。
(e12)配列番号12の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、前記式(4-12)で表されるいずれかの二次構造を形成可能であり、コルチゾールに結合するポリヌクレオチドである。
(e13)配列番号13の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、前記式(4-13)で表されるいずれかの二次構造を形成可能であり、コルチゾールに結合するポリヌクレオチドである。
(e14)配列番号14の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、前記式(4-14)で表されるいずれかの二次構造を形成可能であり、コルチゾールに結合するポリヌクレオチドである。
(e15)配列番号15の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、前記式(4-15)で表されるいずれかの二次構造を形成可能であり、コルチゾールに結合するポリヌクレオチドである。
(e16)配列番号16の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、前記式(4-16)で表されるいずれかの二次構造を形成可能であり、コルチゾールに結合するポリヌクレオチドである。
(e17)配列番号17の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、前記式(4-17)で表されるいずれかの二次構造を形成可能であり、コルチゾールに結合するポリヌクレオチドである。
(e18)配列番号18の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、前記式(4-18)で表されるいずれかの二次構造を形成可能であり、コルチゾールに結合するポリヌクレオチドである。
(e19)配列番号19の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、前記式(4-19)で表されるいずれかの二次構造を形成可能であり、コルチゾールに結合するポリヌクレオチドである。
(e20)配列番号20の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、前記式(4-20)で表されるいずれかの二次構造を形成可能であり、コルチゾールに結合するポリヌクレオチドである。
【0027】
前記(e)において、「同一性」は、特に制限されず、例えば、前記(b)と同様である。前記(e)のポリヌクレオチドにおいて、「二次構造を形成可能」とは、例えば、前記(e)のポリヌクレオチドが、前記式(4-1)~(4-20)におけるステム構造およびループ構造を形成可能であることをいう。
【0028】
前記(e1)のポリヌクレオチドにおいて、前記「二次構造を形成可能」とは、例えば、下記(e1-1)~(e1-6)の塩基がステム構造を形成し、下記(e1-1)~(e1-6)以外の塩基が、ループ構造を形成することを意味する。各ループ構造における塩基は、保存されていることが好ましい。前記(e1)のポリヌクレオチドにおいて、下記(e1-1)~(e1-6)の塩基は、例えば、ステム構造を形成すればよく、ステム構造において向かい合う塩基対は、水素結合を形成可能な塩基の組合せであればよい。前記水素結合を形成可能な塩基の組合せは、例えば、A-T、T-A、A-U、U-A、G-C、またはC-Gがあげられる(以下、同様)。前記塩基対は、いわゆるゆらぎ塩基対(wobble base pair)でもよい。前記ゆらぎ塩基対を形成可能な組み合わせは、例えば、T-G、G-U、I(イノシン)-U、I-A、I-C等があげられる(以下、同様)。
(e1-1)配列番号1の塩基配列の14~19番目の塩基に対応する塩基と46~51番目の塩基に対応する塩基
(e1-2)配列番号1の塩基配列の21~23番目の塩基に対応する塩基と42~44番目の塩基に対応する塩基
(e1-3)配列番号1の塩基配列の26~27番目の塩基に対応する塩基と38~39番目の塩基に対応する塩基
(e1-4)配列番号1の塩基配列の52~53番目の塩基に対応する塩基と77~78番目の塩基に対応する塩基
(e1-5)配列番号1の塩基配列の55~59番目の塩基に対応する塩基と71~75番目の塩基に対応する塩基
(e1-6)配列番号1の塩基配列の61~63番目の塩基に対応する塩基と67~69番目の塩基に対応する塩基
【0029】
前記(e2)のポリヌクレオチドにおいて、前記「二次構造を形成可能」とは、例えば、下記(e2-1)~(e2-5)の塩基がステム構造を形成し、下記(e2-1)~(e2-5)以外の塩基が、ループ構造を形成することを意味する。各ループ構造における塩基は、保存されていることが好ましい。前記(e2)のポリヌクレオチドにおいて、下記(e2-1)~(e2-5)の塩基は、例えば、ステム構造を形成すればよく、ステム構造において向かい合う塩基対は、水素結合を形成可能な塩基の組合せであればよい。
(e2-1)配列番号2の塩基配列の8~9番目の塩基に対応する塩基と33~34番目の塩基に対応する塩基
(e2-2)配列番号2の塩基配列の11~13番目の塩基に対応する塩基と30~32番目の塩基に対応する塩基
(e2-3)配列番号2の塩基配列の16~17番目の塩基に対応する塩基と26~27番目の塩基に対応する塩基
(e2-4)配列番号2の塩基配列の36~40番目の塩基に対応する塩基と47~51番目の塩基に対応する塩基
(e2-5)配列番号2の塩基配列の59~66番目の塩基に対応する塩基と75~82番目の塩基に対応する塩基
【0030】
前記(e3)のポリヌクレオチドにおいて、前記「二次構造を形成可能」とは、例えば、下記(e3-1)~(e3-2)の塩基がステム構造を形成し、下記(e3-1)~(e3-2)以外の塩基が、ループ構造を形成することを意味する。各ループ構造における塩基は、保存されていることが好ましい。前記(e3)のポリヌクレオチドにおいて、下記(e3-1)~(e3-2)の塩基は、例えば、ステム構造を形成すればよく、ステム構造において向かい合う塩基対は、水素結合を形成可能な塩基の組合せであればよい。
(e3-1)配列番号3の塩基配列の24~32番目の塩基に対応する塩基と49~57番目の塩基に対応する塩基
(e3-2)配列番号3の塩基配列の58~66番目の塩基に対応する塩基と75~83番目の塩基に対応する塩基
【0031】
前記(e4)のポリヌクレオチドにおいて、前記「二次構造を形成可能」とは、例えば、下記(e4-1)~(e4-5)の塩基がステム構造を形成し、下記(e4-1)~(e4-5)以外の塩基が、ループ構造を形成することを意味する。各ループ構造における塩基は、保存されていることが好ましい。前記(e4)のポリヌクレオチドにおいて、下記(e4-1)~(e4-5)の塩基は、例えば、ステム構造を形成すればよく、ステム構造において向かい合う塩基対は、水素結合を形成可能な塩基の組合せであればよい。
(e4-1)配列番号4の塩基配列の19~23番目の塩基に対応する塩基と84~88番目の塩基に対応する塩基
(e4-2)配列番号4の塩基配列の24~28番目の塩基に対応する塩基と77~81番目の塩基に対応する塩基
(e4-3)配列番号4の塩基配列の31~34番目の塩基に対応する塩基と43~46番目の塩基に対応する塩基
(e4-4)配列番号4の塩基配列の48~52番目の塩基に対応する塩基と72~76番目の塩基に対応する塩基
(e4-5)配列番号4の塩基配列の53~57番目の塩基に対応する塩基と63~67番目の塩基に対応する塩基
【0032】
前記(e5)のポリヌクレオチドにおいて、前記「二次構造を形成可能」とは、例えば、下記(e5-1)~(e5-6)の塩基がステム構造を形成し、下記(e5-1)~(e5-6)以外の塩基が、ループ構造を形成することを意味する。各ループ構造における塩基は、保存されていることが好ましい。前記(e5)のポリヌクレオチドにおいて、下記(e5-1)~(e5-6)の塩基は、例えば、ステム構造を形成すればよく、ステム構造において向かい合う塩基対は、水素結合を形成可能な塩基の組合せであればよい。
(e5-1)配列番号5の塩基配列の9~11番目の塩基に対応する塩基と81~83番目の塩基に対応する塩基
(e5-2)配列番号5の塩基配列の13~14番目の塩基に対応する塩基と78~79番目の塩基に対応する塩基
(e5-3)配列番号5の塩基配列の15~16番目の塩基に対応する塩基と75~76番目の塩基に対応する塩基
(e5-4)配列番号5の塩基配列の25~28番目の塩基に対応する塩基と61~64番目の塩基に対応する塩基
(e5-5)配列番号5の塩基配列の31~35番目の塩基に対応する塩基と53~57番目の塩基に対応する塩基
(e5-6)配列番号5の塩基配列の38~40番目の塩基に対応する塩基と46~48番目の塩基に対応する塩基
【0033】
前記(e6)のポリヌクレオチドにおいて、前記「二次構造を形成可能」とは、例えば、下記(e6-1)~(e6-5)の塩基がステム構造を形成し、下記(e6-1)~(e6-5)以外の塩基が、ループ構造を形成することを意味する。各ループ構造における塩基は、保存されていることが好ましい。前記(e6)のポリヌクレオチドにおいて、下記(e6-1)~(e6-5)の塩基は、例えば、ステム構造を形成すればよく、ステム構造において向かい合う塩基対は、水素結合を形成可能な塩基の組合せであればよい。
(e6-1)配列番号6の塩基配列の8~9番目の塩基に対応する塩基と33~34番目の塩基に対応する塩基
(e6-2)配列番号6の塩基配列の11~12番目の塩基に対応する塩基と31~32番目の塩基に対応する塩基
(e6-3)配列番号6の塩基配列の48~50番目の塩基に対応する塩基と54~56番目の塩基に対応する塩基
(e6-4)配列番号6の塩基配列の57~59番目の塩基に対応する塩基と77~79番目の塩基に対応する塩基
(e6-5)配列番号6の塩基配列の61~64番目の塩基に対応する塩基と72~75番目の塩基に対応する塩基
【0034】
前記(e7)のポリヌクレオチドにおいて、前記「二次構造を形成可能」とは、例えば、下記(e7-1)~(e7-6)の塩基がステム構造を形成し、下記(e7-1)~(e7-6)以外の塩基が、ループ構造を形成することを意味する。各ループ構造における塩基は、保存されていることが好ましい。前記(e7)のポリヌクレオチドにおいて、下記(e7-1)~(e7-6)の塩基は、例えば、ステム構造を形成すればよく、ステム構造において向かい合う塩基対は、水素結合を形成可能な塩基の組合せであればよい。
(e7-1)配列番号7の塩基配列の2~5番目の塩基に対応する塩基と49~52番目の塩基に対応する塩基
(e7-2)配列番号7の塩基配列の7~10番目の塩基に対応する塩基と44~47番目の塩基に対応する塩基
(e7-3)配列番号7の塩基配列の14~17番目の塩基に対応する塩基と38~41番目の塩基に対応する塩基
(e7-4)配列番号7の塩基配列の18~19番目の塩基に対応する塩基と35~36番目の塩基に対応する塩基
(e7-5)配列番号7の塩基配列の53~56番目の塩基に対応する塩基と78~81番目の塩基に対応する塩基
(e7-6)配列番号7の塩基配列の58~60番目の塩基に対応する塩基と74~76番目の塩基に対応する塩基
【0035】
前記(e8)のポリヌクレオチドにおいて、前記「二次構造を形成可能」とは、例えば、下記(e8-1)~(e8-5)の塩基がステム構造を形成し、下記(e8-1)~(e8-5)以外の塩基が、ループ構造を形成することを意味する。各ループ構造における塩基は、保存されていることが好ましい。前記(e8)のポリヌクレオチドにおいて、下記(e8-1)~(e8-5)の塩基は、例えば、ステム構造を形成すればよく、ステム構造において向かい合う塩基対は、水素結合を形成可能な塩基の組合せであればよい。
(e8-1)配列番号8の塩基配列の8~10番目の塩基に対応する塩基と73~75番目の塩基に対応する塩基
(e8-2)配列番号8の塩基配列の12~15番目の塩基に対応する塩基と69~72番目の塩基に対応する塩基
(e8-3)配列番号8の塩基配列の17~18番目の塩基に対応する塩基と66~67番目の塩基に対応する塩基
(e8-4)配列番号8の塩基配列の32~35番目の塩基に対応する塩基と49~52番目の塩基に対応する塩基
(e8-5)配列番号8の塩基配列の36~39番目の塩基に対応する塩基と44~47番目の塩基に対応する塩基
【0036】
前記(e9)のポリヌクレオチドにおいて、前記「二次構造を形成可能」とは、例えば、下記(e9-1)~(e9-4)の塩基がステム構造を形成し、下記(e9-1)~(e9-4)以外の塩基が、ループ構造を形成することを意味する。各ループ構造における塩基は、保存されていることが好ましい。前記(e9)のポリヌクレオチドにおいて、下記(e9-1)~(e9-4)の塩基は、例えば、ステム構造を形成すればよく、ステム構造において向かい合う塩基対は、水素結合を形成可能な塩基の組合せであればよい。
(e9-1)配列番号9の塩基配列の15~17番目の塩基に対応する塩基と41~43番目の塩基に対応する塩基
(e9-2)配列番号9の塩基配列の21~23番目の塩基に対応する塩基と37~39番目の塩基に対応する塩基
(e9-3)配列番号9の塩基配列の26~28番目の塩基に対応する塩基と32~34番目の塩基に対応する塩基
(e9-4)配列番号9の塩基配列の45~48番目の塩基に対応する塩基と58~61番目の塩基に対応する塩基
【0037】
前記(e10)のポリヌクレオチドにおいて、前記「二次構造を形成可能」とは、例えば、下記(e10-1)~(e10-6)の塩基がステム構造を形成し、下記(e10-1)~(e10-6)以外の塩基が、ループ構造を形成することを意味する。各ループ構造における塩基は、保存されていることが好ましい。前記(e10)のポリヌクレオチドにおいて、下記(e10-1)~(e10-6)の塩基は、例えば、ステム構造を形成すればよく、ステム構造において向かい合う塩基対は、水素結合を形成可能な塩基の組合せであればよい。
(e10-1)配列番号10の塩基配列の9~11番目の塩基に対応する塩基と81~83番目の塩基に対応する塩基
(e10-2)配列番号10の塩基配列の13~14番目の塩基に対応する塩基と78~79番目の塩基に対応する塩基
(e10-3)配列番号10の塩基配列の15~16番目の塩基に対応する塩基と75~76番目の塩基に対応する塩基
(e10-4)配列番号10の塩基配列の25~27番目の塩基に対応する塩基と62~64番目の塩基に対応する塩基
(e10-5)配列番号10の塩基配列の29~32番目の塩基に対応する塩基と58~61番目の塩基に対応する塩基
(e10-6)配列番号10の塩基配列の37~41番目の塩基に対応する塩基と53~57番目の塩基に対応する塩基
【0038】
前記(e11)のポリヌクレオチドにおいて、前記「二次構造を形成可能」とは、例えば、下記(e11-1)~(e11-7)の塩基がステム構造を形成し、下記(e11-1)~(e11-7)以外の塩基が、ループ構造を形成することを意味する。各ループ構造における塩基は、保存されていることが好ましい。前記(e11)のポリヌクレオチドにおいて、下記(e11-1)~(e11-7)の塩基は、例えば、ステム構造を形成すればよく、ステム構造において向かい合う塩基対は、水素結合を形成可能な塩基の組合せであればよい。
(e11-1)配列番号11の塩基配列の8~9番目の塩基に対応する塩基と33~34番目の塩基に対応する塩基
(e11-2)配列番号11の塩基配列の11~12番目の塩基に対応する塩基と31~32番目の塩基に対応する塩基
(e11-3)配列番号11の塩基配列の16~18番目の塩基に対応する塩基と25~27番目の塩基に対応する塩基
(e11-4)配列番号11の塩基配列の39~42番目の塩基に対応する塩基と67~70番目の塩基に対応する塩基
(e11-5)配列番号11の塩基配列の43~44番目の塩基に対応する塩基と63~64番目の塩基に対応する塩基
(e11-6)配列番号11の塩基配列の45~47番目の塩基に対応する塩基と59~61番目の塩基に対応する塩基
(e11-7)配列番号11の塩基配列の49~51番目の塩基に対応する塩基と56~58番目の塩基に対応する塩基
【0039】
前記(e12)のポリヌクレオチドにおいて、前記「二次構造を形成可能」とは、例えば、下記(e12-1)~(e12-7)の塩基がステム構造を形成し、下記(e12-1)~(e12-7)以外の塩基が、ループ構造を形成することを意味する。各ループ構造における塩基は、保存されていることが好ましい。前記(e12)のポリヌクレオチドにおいて、下記(e12-1)~(e12-7)の塩基は、例えば、ステム構造を形成すればよく、ステム構造において向かい合う塩基対は、水素結合を形成可能な塩基の組合せであればよい。
(e12-1)配列番号12の塩基配列の1~7番目の塩基に対応する塩基と46~52番目の塩基に対応する塩基
(e12-2)配列番号12の塩基配列の9~10番目の塩基に対応する塩基と43~44番目の塩基に対応する塩基
(e12-3)配列番号12の塩基配列の12~13番目の塩基に対応する塩基と40~41番目の塩基に対応する塩基
(e12-4)配列番号12の塩基配列の17~19番目の塩基に対応する塩基と35~37番目の塩基に対応する塩基
(e12-5)配列番号12の塩基配列の24~26番目の塩基に対応する塩基と32~34番目の塩基に対応する塩基
(e12-6)配列番号12の塩基配列の56~57番目の塩基に対応する塩基と78~79番目の塩基に対応する塩基
(e12-7)配列番号12の塩基配列の58~62番目の塩基に対応する塩基と72~76番目の塩基に対応する塩基
【0040】
前記(e13)のポリヌクレオチドにおいて、前記「二次構造を形成可能」とは、例えば、下記(e13-1)~(e13-5)の塩基がステム構造を形成し、下記(e13-1)~(e13-5)以外の塩基が、ループ構造を形成することを意味する。各ループ構造における塩基は、保存されていることが好ましい。前記(e13)のポリヌクレオチドにおいて、下記(e13-1)~(e13-5)の塩基は、例えば、ステム構造を形成すればよく、ステム構造において向かい合う塩基対は、水素結合を形成可能な塩基の組合せであればよい。
(e13-1)配列番号13の塩基配列の10~15番目の塩基に対応する塩基と53~58番目の塩基に対応する塩基
(e13-2)配列番号13の塩基配列の17~18番目の塩基に対応する塩基と50~51番目の塩基に対応する塩基
(e13-3)配列番号13の塩基配列の25~27番目の塩基に対応する塩基と39~41番目の塩基に対応する塩基
(e13-4)配列番号13の塩基配列の29~30番目の塩基に対応する塩基と34~35番目の塩基に対応する塩基
(e13-5)配列番号13の塩基配列の61~64番目の塩基に対応する塩基と74~77番目の塩基に対応する塩基
【0041】
前記(e14)のポリヌクレオチドにおいて、前記「二次構造を形成可能」とは、例えば、下記(e14-1)~(e14-7)の塩基がステム構造を形成し、下記(e14-1)~(e14-7)以外の塩基が、ループ構造を形成することを意味する。各ループ構造における塩基は、保存されていることが好ましい。前記(e14)のポリヌクレオチドにおいて、下記(e14-1)~(e14-7)の塩基は、例えば、ステム構造を形成すればよく、ステム構造において向かい合う塩基対は、水素結合を形成可能な塩基の組合せであればよい。
(e14-1)配列番号14の塩基配列の14~16番目の塩基に対応する塩基と45~47番目の塩基に対応する塩基
(e14-2)配列番号14の塩基配列の18~19番目の塩基に対応する塩基と42~43番目の塩基に対応する塩基
(e14-3)配列番号14の塩基配列の22~26番目の塩基に対応する塩基と37~41番目の塩基に対応する塩基
(e14-4)配列番号14の塩基配列の27~28番目の塩基に対応する塩基と33~34番目の塩基に対応する塩基
(e14-5)配列番号14の塩基配列の48~52番目の塩基に対応する塩基と74~78番目の塩基に対応する塩基
(e14-6)配列番号14の塩基配列の55~56番目の塩基に対応する塩基と72~73番目の塩基に対応する塩基
(e14-7)配列番号14の塩基配列の60~63番目の塩基に対応する塩基と67~70番目の塩基に対応する塩基
【0042】
前記(e15)のポリヌクレオチドにおいて、前記「二次構造を形成可能」とは、例えば、下記(e15-1)~(e15-7)の塩基がステム構造を形成し、下記(e15-1)~(e15-7)以外の塩基が、ループ構造を形成することを意味する。各ループ構造における塩基は、保存されていることが好ましい。前記(e15)のポリヌクレオチドにおいて、下記(e15-1)~(e15-7)の塩基は、例えば、ステム構造を形成すればよく、ステム構造において向かい合う塩基対は、水素結合を形成可能な塩基の組合せであればよい。
(e15-1)配列番号15の塩基配列の14~16番目の塩基に対応する塩基と46~48番目の塩基に対応する塩基
(e15-2)配列番号15の塩基配列の23~26番目の塩基に対応する塩基と37~40番目の塩基に対応する塩基
(e15-3)配列番号15の塩基配列の27~28番目の塩基に対応する塩基と34~35番目の塩基に対応する塩基
(e15-4)配列番号15の塩基配列の49~50番目の塩基に対応する塩基と77~78番目の塩基に対応する塩基
(e15-5)配列番号15の塩基配列の52~55番目の塩基に対応する塩基と72~75番目の塩基に対応する塩基
(e15-6)配列番号15の塩基配列の57~58番目の塩基に対応する塩基と70~71番目の塩基に対応する塩基
(e15-7)配列番号15の塩基配列の60~62番目の塩基に対応する塩基と66~68番目の塩基に対応する塩基
【0043】
前記(e16)のポリヌクレオチドにおいて、前記「二次構造を形成可能」とは、例えば、下記(e16-1)~(e16-6)の塩基がステム構造を形成し、下記(e16-1)~(e16-6)以外の塩基が、ループ構造を形成することを意味する。各ループ構造における塩基は、保存されていることが好ましい。前記(e16)のポリヌクレオチドにおいて、下記(e16-1)~(e16-6)の塩基は、例えば、ステム構造を形成すればよく、ステム構造において向かい合う塩基対は、水素結合を形成可能な塩基の組合せであればよい。
(e16-1)配列番号16の塩基配列の1~5番目の塩基に対応する塩基と55~59番目の塩基に対応する塩基
(e16-2)配列番号16の塩基配列の7~9番目の塩基に対応する塩基と51~53番目の塩基に対応する塩基
(e16-3)配列番号16の塩基配列の10~15番目の塩基に対応する塩基と43~48番目の塩基に対応する塩基
(e16-4)配列番号16の塩基配列の17~18番目の塩基に対応する塩基と41~42番目の塩基に対応する塩基
(e16-5)配列番号16の塩基配列の24~26番目の塩基に対応する塩基と32~34番目の塩基に対応する塩基
(e16-6)配列番号16の塩基配列の61~63番目の塩基に対応する塩基と79~81番目の塩基に対応する塩基
【0044】
前記(e17)のポリヌクレオチドにおいて、前記「二次構造を形成可能」とは、例えば、下記(e17-1)~(e17-3)の塩基がステム構造を形成し、下記(e17-1)~(e17-3)以外の塩基が、ループ構造を形成することを意味する。各ループ構造における塩基は、保存されていることが好ましい。前記(e17)のポリヌクレオチドにおいて、下記(e17-1)~(e17-3)の塩基は、例えば、ステム構造を形成すればよく、ステム構造において向かい合う塩基対は、水素結合を形成可能な塩基の組合せであればよい。
(e17-1)配列番号17の塩基配列の7~14番目の塩基に対応する塩基と55~62番目の塩基に対応する塩基
(e17-2)配列番号17の塩基配列の18~20番目の塩基に対応する塩基と47~49番目の塩基に対応する塩基
(e17-3)配列番号17の塩基配列の34~37番目の塩基に対応する塩基と43~46番目の塩基に対応する塩基
【0045】
前記(e18)のポリヌクレオチドにおいて、前記「二次構造を形成可能」とは、例えば、下記(e18-1)~(e18-4)の塩基がステム構造を形成し、下記(e18-1)~(e18-4)以外の塩基が、ループ構造を形成することを意味する。各ループ構造における塩基は、保存されていることが好ましい。前記(e18)のポリヌクレオチドにおいて、下記(e18-1)~(e18-4)の塩基は、例えば、ステム構造を形成すればよく、ステム構造において向かい合う塩基対は、水素結合を形成可能な塩基の組合せであればよい。
(e18-1)配列番号18の塩基配列の8~12番目の塩基に対応する塩基と49~53番目の塩基に対応する塩基
(e18-2)配列番号18の塩基配列の15~16番目の塩基に対応する塩基と44~45番目の塩基に対応する塩基
(e18-3)配列番号18の塩基配列の26~27番目の塩基に対応する塩基と33~34番目の塩基に対応する塩基
(e18-4)配列番号18の塩基配列の55~57番目の塩基に対応する塩基と61~63番目の塩基に対応する塩基
【0046】
前記(e19)のポリヌクレオチドにおいて、前記「二次構造を形成可能」とは、例えば、下記(e19-1)~(e19-4)の塩基がステム構造を形成し、下記(e19-1)~(e19-4)以外の塩基が、ループ構造を形成することを意味する。各ループ構造における塩基は、保存されていることが好ましい。前記(e19)のポリヌクレオチドにおいて、下記(e19-1)~(e19-4)の塩基は、例えば、ステム構造を形成すればよく、ステム構造において向かい合う塩基対は、水素結合を形成可能な塩基の組合せであればよい。
(e19-1)配列番号19の塩基配列の9~14番目の塩基に対応する塩基と61~66番目の塩基に対応する塩基
(e19-2)配列番号19の塩基配列の23~25番目の塩基に対応する塩基と58~60番目の塩基に対応する塩基
(e19-3)配列番号19の塩基配列の30~32番目の塩基に対応する塩基と49~51番目の塩基に対応する塩基
(e19-4)配列番号19の塩基配列の34~37番目の塩基に対応する塩基と44~47番目の塩基に対応する塩基
【0047】
前記(e20)のポリヌクレオチドにおいて、前記「二次構造を形成可能」とは、例えば、下記(e20-1)~(e20-4)の塩基がステム構造を形成し、下記(e20-1)~(e20-4)以外の塩基が、ループ構造を形成することを意味する。各ループ構造における塩基は、保存されていることが好ましい。前記(e20)のポリヌクレオチドにおいて、下記(e20-1)~(e20-4)の塩基は、例えば、ステム構造を形成すればよく、ステム構造において向かい合う塩基対は、水素結合を形成可能な塩基の組合せであればよい。
(e20-1)配列番号20の塩基配列の1~6番目の塩基に対応する塩基と54~59番目の塩基に対応する塩基
(e20-2)配列番号20の塩基配列の8~9番目の塩基に対応する塩基と51~52番目の塩基に対応する塩基
(e20-3)配列番号20の塩基配列の12~14番目の塩基に対応する塩基と45~47番目の塩基に対応する塩基
(e20-4)配列番号20の塩基配列の24~27番目の塩基に対応する塩基と32~35番目の塩基に対応する塩基
【0048】
前記(e)のポリヌクレオチドにおいて、前記同一性は、前記(e)のポリヌクレオチドにおけるステム構造を除いた領域の塩基配列、すなわち、前記(e)のポリヌクレオチドにおけるループ構造を構成する塩基配列が、前記(a)のポリヌクレオチドにおいてループ構造を形成する塩基配列に対して、前述の同一性の範囲を満たすことが好ましい。このため、前記(e1)~(e20)のポリヌクレオチドは、例えば、各ポリヌクレオチドにおいてループ構造を形成する塩基配列が、それぞれ、前記配列番号1~20の塩基配列からなるポリヌクレオチドにおいてループ構造を形成する塩基配列に対して、80%以上の同一性を有することが好ましい。
【0049】
本発明の核酸分子における前記(d)のポリヌクレオチドは、例えば、下記(f)のポリヌクレオチドでもよい。この場合、本発明の核酸分子は、例えば、前記(f)のポリヌクレオチドからなる分子でもよいし、前記(f)のポリヌクレオチドを含む分子でもよい。
(f)前記(a)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、前記式(4-1)から(4-20)で表されるいずれかの二次構造を形成可能であり、前記コルチゾールに結合するポリヌクレオチド
【0050】
前記(f)のポリヌクレオチドにおいて、前記(a)の塩基配列が配列番号1~20の塩基配列の場合、前記(f)のポリヌクレオチドは、例えば、それぞれ、下記(f1)~(f20)のポリヌクレオチドである。
(f1)配列番号1の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、前記式(4-1)で表されるいずれかの二次構造を形成可能であり、コルチゾールに結合するポリヌクレオチドである。
(f2)配列番号2の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、前記式(4-2)で表されるいずれかの二次構造を形成可能であり、コルチゾールに結合するポリヌクレオチドである。
(f3)配列番号3の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、前記式(4-3)で表されるいずれかの二次構造を形成可能であり、コルチゾールに結合するポリヌクレオチドである。
(f4)配列番号4の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、前記式(4-4)で表されるいずれかの二次構造を形成可能であり、コルチゾールに結合するポリヌクレオチドである。
(f5)配列番号5の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、前記式(4-5)で表されるいずれかの二次構造を形成可能であり、コルチゾールに結合するポリヌクレオチドである。
(f6)配列番号6の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、前記式(4-6)で表されるいずれかの二次構造を形成可能であり、コルチゾールに結合するポリヌクレオチドである。
(f7)配列番号7の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、前記式(4-7)で表されるいずれかの二次構造を形成可能であり、コルチゾールに結合するポリヌクレオチドである。
(f8)配列番号8の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、前記式(4-8)で表されるいずれかの二次構造を形成可能であり、コルチゾールに結合するポリヌクレオチドである。
(f9)配列番号9の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、前記式(4-9)で表されるいずれかの二次構造を形成可能であり、コルチゾールに結合するポリヌクレオチドである。
(f10)配列番号10の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、前記式(4-10)で表されるいずれかの二次構造を形成可能であり、コルチゾールに結合するポリヌクレオチドである。
(f11)配列番号11の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、前記式(4-11)で表されるいずれかの二次構造を形成可能であり、コルチゾールに結合するポリヌクレオチドである。
(f12)配列番号12の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、前記式(4-12)で表されるいずれかの二次構造を形成可能であり、コルチゾールに結合するポリヌクレオチドである。
(f13)配列番号13の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、前記式(4-13)で表されるいずれかの二次構造を形成可能であり、コルチゾールに結合するポリヌクレオチドである。
(f14)配列番号14の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、前記式(4-14)で表されるいずれかの二次構造を形成可能であり、コルチゾールに結合するポリヌクレオチドである。
(f15)配列番号15の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、前記式(4-15)で表されるいずれかの二次構造を形成可能であり、コルチゾールに結合するポリヌクレオチドである。
(f16)配列番号16の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、前記式(4-16)で表されるいずれかの二次構造を形成可能であり、コルチゾールに結合するポリヌクレオチドである。
(f17)配列番号17の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、前記式(4-17)で表されるいずれかの二次構造を形成可能であり、コルチゾールに結合するポリヌクレオチドである。
(f18)配列番号18の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、前記式(4-18)で表されるいずれかの二次構造を形成可能であり、コルチゾールに結合するポリヌクレオチドである。
(f19)配列番号19の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、前記式(4-19)で表されるいずれかの二次構造を形成可能であり、コルチゾールに結合するポリヌクレオチドである。
(f20)配列番号20の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、前記式(4-20)で表されるいずれかの二次構造を形成可能であり、コルチゾールに結合するポリヌクレオチドである。
【0051】
前記(f)において、「1もしくは数個」は、特に制限されず、例えば、前記(d)と同様である。前記(f)のポリヌクレオチドにおいて、「二次構造を形成可能」とは、例えば、前記(f)のポリヌクレオチドが、前記式におけるステム構造およびループ構造を形成可能であることをいい、例えば、前記(e)のポリヌクレオチドにおける説明を援用でき、具体的には、前記(f1)~(f20)のポリヌクレオチドは、それぞれ、前記(e1)~(e20)のポリヌクレオチドの説明を援用できる。ステム構造およびループ構造については、後述する。
【0052】
前記(f)のポリヌクレオチドにおいて、1もしくは数個の塩基の欠失等は、前記(a)のポリヌクレオチドにおけるステム構造を除いた領域の塩基配列、すなわち、前記(a)のポリヌクレオチドにおけるループ構造を構成する塩基配列に生じていることが好ましい。このため、前記(f)のポリヌクレオチドは、例えば、前記(a)のポリヌクレオチドにおけるループ構造を構成する塩基配列おいて、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加されていることが好ましい。前記(f1)~(f20)のポリヌクレオチドは、例えば、それぞれ、前記配列番号1~20の塩基配列からなるポリヌクレオチドにおけるループ構造を形成する塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなることが好ましい。
【0053】
本発明の核酸分子において、前記ポリヌクレオチドの構成単位は、例えば、ヌクレオチド残基であり、デオキシリボヌクレオチド残基およびリボヌクレオチド残基があげられる。前記ポリヌクレオチドは、後述するように、例えば、デオキシリボヌクレオチド残基からなるDNA、デオキシリボヌクレオチド残基およびリボヌクレオチド残基を含むDNAであり、さらに、非ヌクレオチド残基を含んでもよい。本発明の核酸分子は、例えば、以下、アプタマーともいう。
【0054】
本発明の核酸分子は、例えば、前記(a)~(f)のいずれかのポリヌクレオチドからなる分子でもよいし、前記(a)~(f)のいずれかのポリヌクレオチドを含む分子でもよい。後者の場合、本発明の核酸分子は、例えば、後述するように、前記(a)~(f)のいずれかのポリヌクレオチドを2つ以上含んでもよい。前記(a)~(f)の2つ以上のポリヌクレオチドは、同じ配列でもよいし、異なる配列でもよい。また、後者の場合、本発明の核酸分子は、例えば、さらに、リンカーおよび/または付加配列等を有してもよい。ここで、前記リンカーとは、例えば、ポリヌクレオチド間の配列であり、前記付加配列とは、例えば、末端に付加された配列である。
【0055】
本発明の核酸分子が、例えば、複数のポリヌクレオチドを含む場合、複数のポリヌクレオチドの配列が連結して、一本鎖のポリヌクレオチドを形成していることが好ましい。前記複数のポリヌクレオチドの配列は、例えば、それぞれが直接的に連結してもよいし、リンカーを介して、それぞれが間接的に連結してもよい。前記ポリヌクレオチドの配列は、それぞれの末端において、直接的または間接的に連結していることが好ましい。前記ポリヌクレオチドの配列を複数含む場合、前記配列の数は、特に制限されず、例えば、2以上、2~20、2~10、2または3である。
【0056】
前記リンカーの長さは、特に制限されず、例えば、1~200塩基長、1~24塩基長、1~20塩基長、3~12塩基長、5~9塩基長である。前記リンカーの構成単位は、例えば、ヌクレオチド残基であり、デオキシリボヌクレオチド残基およびリボヌクレオチド残基等があげられる。前記リンカーは、特に制限されず、例えば、デオキシリボヌクレオチド残基からなるDNA、リボヌクレオチド残基を含むDNA等のポリヌクレオチドがあげられる。前記リンカーの具体例として、例えば、ポリデオキシチミン(ポリdT)、ポリデオキシアデニン(ポリdA)、AとTの繰り返し配列であるポリdAdT等があげられ、好ましくはポリdT、ポリdAdTである。
【0057】
本発明の核酸分子において、前記(a)~(f)のポリヌクレオチドは、一本鎖ポリヌクレオチドであることが好ましい。前記一本鎖ポリヌクレオチドは、例えば、自己アニーリングによりステム構造およびループ構造を形成可能であることが好ましい。前記ポリヌクレオチドは、例えば、ステムループ構造、インターナルループ構造および/またはバルジ構造等を形成可能であることが好ましい。
【0058】
本発明において、「ステム構造およびループ構造を形成可能」とは、例えば、実際にステム構造およびループ構造を形成すること、ならびに、ステム構造およびループ構造が形成されていなくても、条件によってステム構造およびループ構造を形成可能なことも含む。「ステム構造およびループ構造を形成可能」とは、例えば、実験的に確認した場合、および、コンピュータ等のシミュレーションで予測した場合の双方を含む。
【0059】
本発明の核酸分子は、例えば、二本鎖でもよい。二本鎖の場合、例えば、一方の一本鎖ポリヌクレオチドは、前記(a)~(f)のいずれかのポリヌクレオチドを含み、他方の一本鎖ポリヌクレオチドは、制限されない。前記他方の一本鎖ポリヌクレオチドは、例えば、相補鎖ということができる。前記相補鎖は、例えば、前記(a)~(f)のいずれかのポリヌクレオチドに相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチドがあげられる。本発明の核酸分子が二本鎖の場合、例えば、使用に先立って、変性等により、一本鎖ポリヌクレオチドに解離させることが好ましい。また、解離した前記(a)~(f)のいずれかの一本鎖ポリヌクレオチドは、例えば、前述のように、ステム構造およびループ構造を形成していることが好ましい。
【0060】
前記相補鎖は、例えば、前記(a)~(f)のいずれかのポリヌクレオチドに相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチドであり、前記(a)~(f)のいずれかのポリヌクレオチドにハイブリダイズ可能なポリヌクレオチドということもできる。前記相補鎖の塩基配列は、前記(a)~(f)のいずれかのポリヌクレオチドに相補的であればよく、前記(a)~(f)のポリヌクレオチドの塩基配列に応じて、適宜設計できる。前記相補鎖は、例えば、前記(a)~(f)のいずれかのポリヌクレオチドの一部に相補的な配列を有していればよく、前記相補的な配列のみから構成されてもよいし、前記相補的な配列を含んでもよい。前記相補鎖は、前記(a)~(f)のいずれかのポリヌクレオチドのどの領域に対して相補的でもよく、好ましくは、5’末端領域または3’末端領域に相補的である。また、例えば、前記(a)~(f)のポリヌクレオチドが、その5’末端または3’末端にリンカーを有し、前記相補的な配列は、前記リンカーに相補的であることが好ましい。前記リンカーの長さは、特に制限されず、例えば、10~30塩基長、15~25塩基長、18~24塩基長である。前記相補鎖の長さは、特に制限されず、例えば、10~30塩基長、15~25塩基長、18~24塩基長である。具体例として、前記相補鎖は、例えば、下記配列番号21の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含む。また、前記相補鎖は、例えば、その5’末端および3’末端の少なくとも一方が標識されていてもよく、好ましくは、5’末端が標識されている。前記標識は、特に制限されず、例えば、TYE665である。
配列番号21:GCCGCGTCGAGT
【0061】
本発明の核酸分子の構成単位は、例えば、ヌクレオチド残基である。前記核酸分子の長さは、特に制限されない。前記核酸分子の長さの下限は、例えば、15塩基長、35塩基長、55塩基長、75塩基長である。前記核酸分子の長さの上限は、例えば、1000塩基長であり、200塩基長、100塩基長、90塩基長、80塩基長である。前記核酸分子の長さの範囲は、例えば、15~1000塩基長、35~200塩基長、55~90塩基長、75~80塩基長である。
【0062】
前記ヌクレオチド残基は、例えば、デオキシリボヌクレオチド残基およびリボヌクレオチド残基があげられる。本発明の核酸分子は、例えば、デオキシリボヌクレオチド残基のみから構成されるDNA、1もしくは数個のリボヌクレオチド残基を含むDNA等があげられる。後者の場合、「1もしくは数個」は、特に制限されず、例えば、前記ポリヌクレオチドにおいて、例えば、1~91個、1~30個、1~15個、1~7個、1~3個、1または2個である。
【0063】
前記ポリヌクレオチドは、ヌクレオチド残基における塩基として、天然塩基を含んでもよいし、修飾塩基を含んでもよい。前記天然塩基(非人工塩基)は、特に制限されず、例えば、プリン骨格を有するプリン塩基、ピリミジン骨格を有するピリミジン塩基等があげられる。前記プリン塩基は、特に制限されず、例えば、アデニン(a)、グアニン(g)があげられる。前記ピリミジン塩基は、特に制限されず、例えば、シトシン(c)、チミン(t)、ウラシル(u)等があげられ、好ましくは、シトシン(c)、およびチミン(t)である。
【0064】
本発明において、「アデニン」とは、例えば、前記天然塩基であるアデニン(a)の他に、その7位の窒素原子が、炭素原子に置換されているプリン誘導体を含む。
【0065】
前記ポリヌクレオチドが前記修飾塩基を有する場合、その部位および個数は、特に制限されない。本発明の核酸分子が前記修飾塩基を有する場合、前記配列番号5~13、および16~20のポリヌクレオチドにおいては、例えば、チミンの一部または全部が、修飾塩基である。前記チミンが修飾塩基の場合、前記修飾塩基は、チミン塩基が修飾された修飾チミン塩基であることが好ましい。前記配列番号5~13、および16~20のポリヌクレオチドにおける下線部のチミンが修飾塩基の場合、前記修飾塩基は、チミン塩基が修飾基で修飾された修飾チミン塩基であることが好ましい。本発明の核酸分子が前記修飾塩基を有する場合、前記配列番号7、8、16、および20のポリヌクレオチドにおいては、例えば、アデニンの一部または全部が、修飾塩基である。前記アデニンが修飾塩基の場合、前記修飾塩基は、プリン塩基が修飾された修飾プリン塩基であることが好ましい。前記配列番号7、8、16、および20のポリヌクレオチドにおける下線部のアデニンが修飾塩基の場合、前記修飾塩基は、プリン塩基が修飾基で修飾された修飾プリン塩基であることが好ましい。
【0066】
前記修飾塩基は、例えば、塩基が修飾基で修飾されたものである。前記修飾基により修飾される塩基(被修飾塩基)は、例えば、前記天然塩基である。前記天然塩基は、例えば、プリン塩基、ピリミジン塩基等があげられる。前記修飾塩基は、特に制限されず、例えば、修飾アデニン、修飾グアニン、修飾シトシン、修飾チミン、修飾ウラシルがあげられる。
【0067】
前記修飾塩基は、例えば、前記被修飾塩基が、直接、前記修飾基で修飾されてもよいし、前記被修飾塩基が、間接的に、前記修飾基で修飾されてもよい。後者の場合、例えば、前記被修飾塩基が、リンカーを介して、前記修飾基で修飾される形態があげられる。前記リンカーは、特に制限されない。
【0068】
前記被修飾塩基の前記修飾基による修飾部位は、特に制限されない。前記塩基がプリン塩基の場合、前記プリン塩基の修飾部位は、例えば、前記プリン骨格の7位および8位があげられ、7位が好ましい。前記プリン塩基の修飾部位が7位の場合、7位の窒素原子は、炭素原子に置換されていることが好ましい。前記塩基がピリミジン塩基の場合、前記ピリミジン塩基の修飾部位は、例えば、前記ピリミジン骨格の5位および6位があげられ、5位が好ましい。前記ピリミジン塩基の5位が修飾される場合、チミンは、5位の炭素にメチル基を有することから、例えば、5位の炭素に、直接的または間接的に前記修飾基が結合してもよいし、5位の炭素に結合したメチル基の炭素に、直接的または間接的に前記修飾基が結合してもよい。前記ピリミジン骨格において、4位の炭素に「=O」が結合し、5位の炭素に「-CH」または「-H」以外の基が結合している場合、修飾ウラシルまたは修飾チミンということができる。
【0069】
前記修飾塩基が修飾プリン塩基である場合、前記修飾基は、アデニン残基が好ましい。すなわち、前記修飾プリン塩基は、例えば、塩基が前記アデニン残基で修飾されている。前記アデニン残基が前記被修飾塩基を修飾する部位(前記アデニン残基における被修飾塩基との結合部位)は、特に制限されず、前記アデニン残基における6位の炭素に結合するアミノ基があげられる。前記アデニン残基で修飾される前記被修飾塩基は、特に制限されないが、例えば、プリン塩基が好ましく、プリン塩基の7位の原子が、前記アデニン残基で修飾されていることが好ましい。前記修飾塩基が修飾チミンである場合、前記修飾基は、グアニン残基またはアデニン残基が好ましい。すなわち、前記修飾塩基は、例えば、塩基が前記グアニン残基または前記アデニン残基で修飾されている。前記グアニン残基または前記アデニン残基が前記被修飾塩基を修飾する部位は、特に制限されず、例えば、前記グアニン残基または前記アデニン残基における6位の炭素に結合するアミノ基があげられる。前記グアニン残基または前記アデニン残基で修飾される前記被修飾塩基は、特に制限されないが、例えば、チミンが好ましく、チミンの5位の炭素に結合したメチル基の炭素が、前記グアニン残基または前記アデニン残基で修飾されていることが好ましい。前記修飾基は、例えば、その一部がさらに置換または修飾されてもよい。
【0070】
前記修飾基が前記グアニン残基または前記アデニン残基の場合、例えば、以下に示すように、前記リンカーを介して、前記修飾基により前記被修飾塩基が修飾されていることが好ましい。
[ヌクレオチド残基]-[リンカー]-[アデニン残基]
[ヌクレオチド残基]-[リンカー]-[グアニン残基]
【0071】
前記リンカーは、特に制限されず、例えば、以下のように、前記ヌクレオチド残基と前記アデニン残基または前記グアニン残基との間の式で表されるが、これには限定されない。下記式において、(CH2)nにおけるnの数値は、例えば、1~10、2~10、2である。
[ヌクレオチド残基] =C-C(=O)-NH-(CH2)n- [アデニン残基]
[ヌクレオチド残基] =C-C(=O)-NH-(CH2)n- [グアニン残基]
[ヌクレオチド残基] -C=C-C(=O)-NH-(CH2)n- [アデニン残基]
[ヌクレオチド残基] =C-C(=O)-NH-CH2-CH2- [アデニン残基]
[ヌクレオチド残基] =C-C(=O)-NH-CH2-CH2- [グアニン残基]
[ヌクレオチド残基] -C=C-C(=O)-NH-CH2-CH2- [アデニン残基]
【0072】
前記式において、前記リンカーの一端[=C]および[-C]は、例えば、ヌクレオチド残基における被修飾塩基の炭素と、それぞれ、二重結合または単結合を形成し、前記リンカーの他端[CH-]は、例えば、グアニン残基またはアデニン残基のアミン(-NH)(例えば、6位の炭素に結合したアミン)と結合している。
【0073】
前記グアニン残基により修飾された修飾チミン塩基は、下記式(1)で表される修飾チミン塩基が好ましい。
【化1】
【0074】
前記アデニン残基により修飾された修飾チミン塩基は、下記式(2)で表される修飾チミン塩基が好ましい。
【化2】
【0075】
前記アデニン残基により修飾されたプリン塩基は、下記式(3)で表される修飾プリン塩基が好ましい。
【化3】
【0076】
前記式(1)の修飾チミン塩基は、例えば、チミン塩基の5位の炭素に結合しているメチル基が、下記式(6)の修飾基により置換されているということもできる。
【化6】
【0077】
前記式(2)の修飾チミン塩基は、例えば、チミン塩基の5位の炭素に結合しているメチル基が、下記式(7)の修飾基により置換されているということもできる。
【化7】
【0078】
前記式(3)の修飾プリン塩基は、例えば、アデニン塩基の7位の窒素原子が炭素原子に置換され、さらに、前記炭素原子が、下記式(8)の修飾基により修飾されているということもできる。
【化8】
【0079】
前記ポリヌクレオチドにおける前記グアニン残基で修飾されたチミジンヌクレオチド残基の具体例として、例えば、下記式(9)に示す残基(以下、「NG7」ともいう)があげられる。前記ポリヌクレオチドにおける前記アデニン残基で修飾されたチミジンヌクレオチド残基の具体例として、例えば、下記式(10)に示す残基(以下、「KS9」ともいう)があげられる。また、前記ポリヌクレオチドにおける前記アデニン残基で修飾されたアデノシンヌクレオチド残基の具体例として、例えば、下記式(11)に示す残基(以下、「MK4」ともいう)があげられる。なお、本発明は、これには限定されない。
【化9】
【化10】
【化11】
【0080】
前記表1A~Bのポリヌクレオチドにおいて、例えば、前記配列番号5、6、12、13、および19の塩基配列からなるポリヌクレオチドにおける下線部のチミンが、前記KS9のヌクレオチド残基であることが好ましい。前記表1A~Bのポリヌクレオチドにおいて、例えば、配列番号7~11、16~18、および20の塩基配列からなるポリヌクレオチドにおける下線部のチミンが、前記NG7のヌクレオチド残基であることが好ましい。前記表1A~Bのポリヌクレオチドにおいて、例えば、配列番号7、8、16、および20の塩基配列からなるポリヌクレオチドにおける下線部のアデニンが、前記MK4のヌクレオチド残基であることが好ましい。前記表1A~Bのポリヌクレオチドにおいて、例えば、配列番号7、8、16、および20の塩基配列からなるポリヌクレオチドにおける下線部のチミンが、前記NG7であり、下線部のアデニンが、前記MK4のヌクレオチド残基であることが好ましい。
【0081】
本発明の核酸分子が、例えば、KS9を有する場合、前記ポリヌクレオチドの合成には、例えば、下記式(12)で表されるヌクレオチド三リン酸(以下、「KS9モノマー」ともいう)を、モノマー分子として使用することができる。本発明の核酸分子が、例えば、NG7を有する場合、前記ポリヌクレオチドの合成には、例えば、下記式(13)で表されるヌクレオチド三リン酸(以下、「NG7モノマー」ともいう)を、モノマー分子として使用することができる。本発明の核酸分子が、例えば、MK4を有する場合、前記ポリヌクレオチドの合成には、例えば、下記式(14)で表されるヌクレオチド三リン酸(以下、「MK4モノマー」ともいう)を、モノマー分子として使用することができる。前記ポリヌクレオチドの合成において、例えば、前記モノマー分子は、ホスホジエステル結合により、他のヌクレオチド三リン酸と結合する。前記KS9モノマーの製造方法は、公知の方法で製造でき、例えば、特開2004-238353号公報を参照できる。前記NG7モノマーの製造方法は、公知の方法で製造でき、例えば、国際公開2018/052063号を参照できる。前記MK4モノマーの製造方法は、公知の方法で製造でき、例えば、国際公開2018/052064号を参照できる。
【化12】
【化13】
【化14】
【0082】
前記修飾基としては、この他に、例えば、メチル基、フルオロ基、アミノ基、チオ基、ベンジルアミノカルボニル基(benzylaminocarbonyl)、トリプタミノカルボニル基(tryptaminocarbonyl)およびイソブチルアミノカルボニル基(isobutylaminocarbonyl)等があげられる。
【0083】
前記修飾アデニンの具体例としては、例えば、7’-デアザアデニン等があげられ、前記修飾グアニンの具体例としては、例えば、7’-デアザグアニン等があげられ、前記修飾シトシンの具体例としては、例えば、5’-メチルシトシン(5-Me-dC)等があげられ、前記修飾チミンの具体例としては、例えば、5’-ベンジルアミノカルボニルチミン、5’-トリプタミノカルボニルチミン、5’-イソブチルアミノカルボニルチミン等があげられ、前記修飾ウラシルの具体例としては、例えば、5’-ベンジルアミノカルボニルウラシル(BndU)、5’-トリプタミノカルボニルウラシル(TrpdU)および5’-イソブチルアミノカルボニルウラシル等があげられる。例示した前記修飾ウラシルは、チミンの修飾塩基ということもできる。
【0084】
前記ポリヌクレオチドは、例えば、いずれか1種類の前記修飾塩基のみを含んでもよいし、2種類以上の前記修飾塩基を含んでもよい。
【0085】
本発明の核酸分子は、例えば、修飾ヌクレオチドを含んでもよい。前記修飾ヌクレオチドは、前述の前記修飾塩基を有するヌクレオチドでもよいし、糖残基が修飾された修飾糖を有するヌクレオチドでもよいし、前記修飾塩基および前記修飾糖を有するヌクレオチドでもよい。
【0086】
前記糖残基は、特に制限されず、例えば、デオキシリボース残基またはリボース残基があげられる。前記糖残基における修飾部位は、特に制限されず、例えば、前記糖残基の2’位または4’位があげられ、いずれか一方でも両方が修飾されてもよい。前記修飾糖の修飾基は、例えば、メチル基、フルオロ基、アミノ基、チオ基等があげられる。
【0087】
前記修飾ヌクレオチド残基において、塩基がピリミジン塩基の場合、例えば、前記糖残基の2’位および/または4’位が修飾されていることが好ましい。前記修飾ヌクレオチド残基の具体例は、例えば、デオキシリボース残基またはリボース残基の2’位が修飾された、2’-メチル化-ウラシルヌクレオチド残基、2’-メチル化-シトシンヌクレオチド残基、2’-フルオロ化-ウラシルヌクレオチド残基、2’-フルオロ化-シトシンヌクレオチド残基、2’-アミノ化-ウラシルヌクレオチド残基、2’-アミノ化-シトシンヌクレオチド残基、2’-チオ化-ウラシルヌクレオチド残基、2’-チオ化-シトシンヌクレオチド残基等があげられる。
【0088】
前記修飾ヌクレオチドの個数は、特に制限されず、例えば、前記ポリヌクレオチドにおいて、例えば、1~100個、1~90個、1~80個、1~70個である。また、前記ポリヌクレオチドを含む前記核酸分子の全長における前記修飾ヌクレオチドも、特に制限されず、例えば、1~91個または1~78個、前述の範囲と同様である。
【0089】
本発明の核酸分子は、例えば、1もしくは数個の人工核酸モノマー残基を含んでもよい。前記「1もしくは数個」は、特に制限されず、例えば、前記ポリヌクレオチドにおいて、例えば、1~100個、1~50個、1~30個、1~10個である。前記人工核酸モノマー残基は、例えば、PNA(ペプチド核酸)、LNA(Locked Nucleic Acid)、ENA(2’-O,4’-C-Ethylenebridged Nucleic Acids)等があげられる。前記モノマー残基における核酸は、例えば、前述と同様である。
【0090】
本発明の核酸分子は、例えば、ヌクレアーゼ耐性であることが好ましい。本発明の核酸分子は、ヌクレアーゼ耐性のため、例えば、前記修飾化ヌクレオチド残基および/または前記人工核酸モノマー残基を有することが好ましい。本発明の核酸分子は、ヌクレアーゼ耐性のため、例えば、5’末端または3’末端に、数10kDaのPEG(ポリエチレングリコール)またはデオキシチミジン等が結合してもよい。
【0091】
本発明の核酸分子は、例えば、さらに付加配列を有してもよい。前記付加配列は、例えば、前記核酸分子の5’末端および3’末端の少なくとも一方に結合していることが好ましく、より好ましくは3’末端である。前記付加配列は、特に制限されない。前記付加配列の長さは、特に制限されず、例えば、1~200塩基長、1~50塩基長、1~25塩基長、18~24塩基長である。前記付加配列の構成単位は、例えば、ヌクレオチド残基であり、デオキシリボヌクレオチド残基およびリボヌクレオチド残基等があげられる。前記付加配列は、特に制限されず、例えば、デオキシリボヌクレオチド残基からなるDNA、リボヌクレオチド残基を含むDNA等のポリヌクレオチドがあげられる。前記付加配列の具体例として、例えば、ポリdT、ポリdA等があげられる。
【0092】
本発明の核酸分子は、例えば、担体に固定化して使用できる。前記本発明の核酸分子は、例えば、5’末端および3’末端のいずれかを固定化することが好ましく、より好ましくは3’末端である。本発明の核酸分子を固定化する場合、例えば、前記核酸分子は、前記担体に、直接的に固定化してもよいし、間接的に固定化してもよい。後者の場合、例えば、前記付加配列を介して固定化することが好ましい。
【0093】
本発明の核酸分子の製造方法は、特に制限されず、例えば、化学合成を利用した核酸合成方法、遺伝子工学的手法等の公知の方法により合成できる。
【0094】
本発明の核酸分子は、前述のように、前記コルチゾールに結合性を示す。このため、本発明の核酸分子の用途は、前記コルチゾールへの結合性を利用する用途であれば、特に制限されない。本発明の核酸分子は、例えば、前記コルチゾールに対する抗体に代えて、種々の方法に使用できる。
【0095】
(2)コルチゾール検出用センサ
本発明の検出用センサは、コルチゾールの検出用センサであって、前記本発明の核酸分子を含むことを特徴とする。本発明の検出用センサは、前記本発明の核酸分子を含んでいればよく、その他の構成は、特に制限されない。本発明の検出用センサを使用すれば、例えば、前記核酸分子と前記コルチゾールとを結合させることで、前述のように、前記コルチゾールを検出できる。
【0096】
本発明の検出用センサは、例えば、さらに担体を有し、前記担体に前記核酸分子が配置されている。前記核酸分子は、前記担体に固定化されていることが好ましい。前記担体への前記核酸分子の固定化は、例えば、前述の通りである。本発明の検出用センサの使用方法は、特に制限されず、前記本発明の核酸分子および後述の検出方法を援用できる。
【0097】
(3)検出方法
本発明の検出方法は、前述のように、試料と核酸分子とを接触させ、前記試料中のコルチゾールを検出する工程を含み、前記核酸分子が、前記本発明のコルチゾール結合核酸分子であり、前記検出工程において、前記試料中のコルチゾールと前記核酸分子とを結合させて、前記結合により、前記試料中のコルチゾールを検出することを特徴とする。本発明の検出方法は、前記本発明の核酸分子を使用することが特徴であって、その他の工程および条件等は、特に制限されない。また、本発明の検出方法は、前記本発明の核酸分子として、前記本発明のコルチゾール検出用センサを使用してもよい。
【0098】
本発明によれば、前記本発明の核酸分子が、コルチゾールに特異的に結合することから、例えば、コルチゾールと前記核酸分子との結合を検出することによって、試料中のコルチゾールを特異的に検出可能である。具体的には、例えば、試料中のコルチゾールの有無またはコルチゾールの量を分析可能であることから、定性または定量も可能といえる。
【0099】
本発明において、前記試料は、特に制限されない。前記試料は、例えば、唾液、尿、血漿および血清等があげられる。
【0100】
前記試料は、例えば、液体試料でもよいし、固体試料でもよい。前記試料は、例えば、前記核酸分子と接触させ易く、取扱いが簡便であることから、液体試料が好ましい。前記固体試料の場合、例えば、溶媒を用いて、混合液、抽出液、溶解液等を調製し、これを使用してもよい。前記溶媒は、特に制限されず、例えば、水、生理食塩水、緩衝液等があげられる。
【0101】
前記検出工程は、例えば、前記試料と前記核酸分子とを接触させて、前記試料中のコルチゾールと前記核酸分子とを結合させる接触工程と、前記コルチゾールと前記核酸分子との結合を検出する結合検出工程とを含む。また、前記検出工程は、例えば、さらに、前記結合検出工程の結果に基づいて、前記試料中のコルチゾールの有無または量を分析する工程を含む。
【0102】
前記接触工程において、前記試料と前記核酸分子との接触方法は、特に制限されない。前記試料と前記核酸分子との接触は、例えば、液体中で行われることが好ましい。前記液体は、特に制限されず、例えば、水、生理食塩水、緩衝液等があげられる。
【0103】
前記接触工程において、前記試料と前記核酸分子との接触条件は、特に制限されない。接触温度は、例えば、4~37℃、18~25℃であり、接触時間は、例えば、10~120分、30~60分である。
【0104】
前記接触工程において、前記核酸分子は、例えば、担体に固定化された固定化核酸分子でもよいし、未固定の遊離した核酸分子でもよい。後者の場合、例えば、容器内で、前記試料と接触させる。前記核酸分子は、例えば、取扱性に優れることから、前記固定化核酸分子が好ましい。前記担体は、特に制限されず、例えば、基板、ビーズ、容器等があげられ、前記容器は、例えば、マイクロプレート、チューブ等があげられる。前記核酸分子の固定化は、例えば、前述の通りである。
【0105】
前記結合検出工程は、前述のように、前記試料中のコルチゾールと前記核酸分子との結合を検出する工程である。前記両者の結合の有無を検出することによって、例えば、前記試料中のコルチゾールの有無を分析(定性)でき、また、前記両者の結合の程度(結合量)を検出することによって、例えば、前記試料中のコルチゾールの量を分析(定量)できる。
【0106】
そして、前記コルチゾールと前記核酸分子との結合が検出できなかった場合は、前記試料中にコルチゾールは存在しないと判断でき、前記結合が検出された場合は、前記試料中にコルチゾールが存在すると判断できる。
【0107】
前記コルチゾールと前記核酸分子との結合の分析方法は、特に制限されない。前記方法は、例えば、物質間の結合を検出する従来公知の方法が採用でき、具体例として、SPR、蛍光偏光法等があげられる。また、前記結合は、例えば、前記コルチゾールと前記核酸分子との複合体の検出でもよい。
【0108】
前記蛍光偏光法による前記コルチゾールと前記核酸分子との結合の検出は、例えば、以下のようにして行うことができる。
【0109】
前記蛍光偏光法は、一般に、偏光励起光を前記標識物質に照射した際、前記標識物質から発せられる蛍光が、前記標識物質で標識された分子の分子量に応じて異なった偏光度を示すという特性に基づく測定方法である。本発明においては、例えば、前記標識物質で標識化した前記核酸分子(標識化核酸分子)を使用することで、前記蛍光偏光法により前記コルチゾールと前記核酸分子との結合を検出することができる。具体的には、前記標識化核酸分子が一本鎖の場合、前記標識化核酸分子は、コルチゾールと未結合の状態とコルチゾールと結合した状態を比較した場合、前者は、相対的に分子量が小さいため、相対的に偏光度が低く、一方、後者は、相対的に分子量が大きいため、相対的に偏光度が高い。このため、例えば、試料と接触させる前の前記標識化核酸分子の偏光度と、前記試料と接触させた後の前記標識化核酸分子の前記偏光度とを比較することで、コルチゾールと前記標識化核酸分子との結合を検出できる。また、前記標識化核酸分子が二本鎖の場合、前記標識化核酸分子は、コルチゾールと未結合の状態とコルチゾールと結合した状態を比較した場合、前者は、相対的に分子量が大きいため、相対的に偏光度が高く、一方、後者は、相対的に分子量が小さいため、相対的に偏光度が低い。このため、例えば、試料と接触させる前の前記標識化核酸分子の偏光度と、前記試料と接触させた後の前記標識化核酸分子の前記偏光度とを比較することで、コルチゾールと前記標識化核酸分子との結合を検出できる。さらに、コルチゾールと未結合の前記標識化核酸分子およびコルチゾールと結合した前記標識化核酸分子の少なくとも一方の偏光度を評価基準として、前記試料と接触させた後の前記標識化核酸分子の偏光度を評価することでも、コルチゾールと前記標識化核酸分子との結合を検出できる。
【0110】
前記蛍光偏光法によれば、例えば、前記本発明の核酸分子を、前記標識物質で標識化するのみで、センサとして容易に使用できる。また、前記標識物質は、その種類によって検出波長が異なるため、例えば、試料の種類に応じて前記標識物質を選択することで、前記試料由来の蛍光の影響を低減することもできる。
【0111】
前記標識化核酸分子は、例えば、前記本発明の核酸分子が前記標識物質で標識化されていればよく、その標識方法は、特に制限されない。
【0112】
前記標識化核酸分子としては、例えば、前記本発明の核酸分子に前記標識物質が連結した形態があげられる。この形態は、例えば、前述の記載が援用でき、前記本発明の核酸分子に、前記標識物質が直接的に連結してもよいし、前述のようにリンカー等を介して前記標識物質が間接的に連結してもよい。前記リンカーの長さは、特に制限されず、例えば、0~10塩基長、0~7塩基長、0~5塩基長である。前記標識物質は、例えば、前記本発明の核酸分子のいずれの部位に連結されてもよく、具体例としては、5’末端および3’末端があげられ、両末端に連結してもよいし、いずれか一方の末端に連結してもよく、好ましくは、5’末端である。
【0113】
前記標識化核酸分子としては、この他に、例えば、前記本発明の核酸分子と、これに相補的であって且つ標識物質が連結した相補鎖(以下、「標識化相補鎖」ともいう)とを含み、前記核酸分子と前記標識化相補鎖とがハイブリダイズしたハイブリッド分子があげられる。
【0114】
前記相補鎖は、例えば、前述のように、前記(a)~(f)のいずれかのポリヌクレオチドの一部に相補的な配列を有していればよく、前記相補的な配列のみから構成されてもよいし、前記相補的な配列を含んでもよい。前記相補鎖は、前記(a)~(f)のいずれかのポリヌクレオチドのどの領域に対して相補的でもよく、好ましくは、5’末端領域または3’末端領域に相補的である。また、前記(a)~(f)のポリヌクレオチドが、例えば、その5’末端または3’末端にリンカーを有し、前記相補的な配列は、前記リンカーに相補的であることが好ましい。前記リンカーの長さは、特に制限されず、例えば、10~30塩基長、15~25塩基長、18~24塩基長である。前記相補鎖の長さは、特に制限されず、例えば、10~30塩基長、15~25塩基長、18~24塩基長である。具体例として、前記相補鎖は、例えば、配列番号21の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含む。
【0115】
前記標識化相補鎖において、前記標識物質は、例えば、前記相補鎖のいずれの部位に連結されてもよく、具体例としては、5’末端および3’末端があげられ、両末端に連結してもよいし、いずれか一方の末端に連結してもよい。前記標識化相補鎖が、前記本発明の核酸分子の3’末端領域に相補的な場合、前記標識物質は、前記相補鎖の5’末端に連結することが好ましく、前記標識化相補鎖が、前記本発明の核酸分子の5’末端領域に相補的な場合、前記標識物質は、前記相補鎖の3’末端に連結することが好ましい。
【0116】
前記標識物質は、特に制限されず、前述した例示を援用でき、中でも前記蛍光物質および前記色素が好ましい。
【0117】
前記蛍光偏光法を採用する場合、本発明の検出方法は、例えば、前記試料と前記標識化核酸分子とを接触させ、前記試料中のコルチゾールと前記標識化核酸分子とを結合させる接触工程と、前記標識化核酸分子に偏光励起光を照射して、前記標識化核酸分子の偏光度を測定する測定工程と、前記測定工程における測定結果と評価基準とを比較し、コルチゾールと前記標識化核酸分子との結合を検出する工程を検出する検出工程を含むことが好ましい。
【0118】
前記測定工程において、前記偏光励起光の波長および前記偏光度の検出波長は、特に制限されず、例えば、前記標識物質の種類に応じて適宜設定できる。具体例として、前記標識物質がTYE665の場合、前記偏光励起光の波長は、例えば、620~680nmであり、偏光度の検出波長は、例えば、660~800nmである。前記偏光励起光の照射時間は、特に制限されず、例えば、1ナノ~5ナノ秒があげられる。
【0119】
前記検出工程において、前記評価基準は、例えば、予め決定してもよいし、測定ごとに決定してもよい。前記評価基準としては、例えば、コルチゾール未結合の基準、コルチゾール結合の基準が設定できる。前者の基準は、例えば、コルチゾールが結合していない前記標識化核酸分子のみの偏光度であり、後者の基準は、例えば、コルチゾールが結合した前記標識化核酸分子の偏光度である。
【0120】
前者の基準を用いる場合は、例えば、前記測定工程における測定値が、前記基準よりも高ければ、コルチゾールが存在すると判断でき、また、前記基準よりも相対的に高ければ、相対的に多くのコルチゾールが存在すると判断できる。他方、前記測定工程における測定値が、前記基準と同程度または低ければ、コルチゾールが存在しないと判断できる。前者の基準は、例えば、前記接触工程前の前記標識化核酸分子の偏光度でもよい。
【0121】
また、後者の基準を用いる場合は、例えば、前記測定工程における測定値が、前記基準よりも低ければ、コルチゾールが存在しないと判断できる。他方、前記測定工程における測定値が、前記基準と同程度または高ければ、コルチゾールが存在すると判断でき、また、前記基準よりも相対的に高ければ、相対的に多くのコルチゾールが存在すると判断できる。
【0122】
また、前記基準は、コルチゾールの量と偏光度との相関関係であってもよい。例えば、複数の既知濃度のコルチゾールと所定量の前記標識化核酸分子とを接触させ、各濃度のコルチゾールに結合した前記標識化核酸分子の偏光度を測定することにより、前記相関関係を示す相関式が得られる。そして、この相関式と、前記測定工程における測定値とから、前記試料におけるコルチゾールの量を判断することができる。
【0123】
また、本発明の核酸分子として、前記本発明のコルチゾール検出用センサを使用する場合、例えば、酸化還元反応の検出または蛍光発生の検出によって、前記コルチゾールの検出を行うことができる。
【0124】
(4)検出試薬および検出キット
本発明の検出キットは、前記本発明のコルチゾール結合核酸分子を含むことを特徴とする。本発明の検出キットは、前記本発明の核酸分子を含んでいればよく、その他の構成は何ら制限されない。本発明の検出キットを使用すれば、前述のように、例えば、前記コルチゾールの検出等を行うことができる。
【0125】
本発明の検出キットは、例えば、前記本発明の核酸分子として、前記本発明のセンサを含んでもよい。また、前記本発明の検出キットは、例えば、前記本発明の核酸分子の他に、その他の構成要素を含んでもよい。前記構成要素は、例えば、前記担体、緩衝液、使用説明書等があげられる。
【0126】
本発明の検出キットにおいて、例えば、前記核酸分子および前記緩衝液等のその他の構成要素は、それぞれ別個の容器に収容されてもよいし、同一の容器に混合または未混同で収容されてもよい。前記核酸分子と前記その他の構成要素とが同一の容器に混合して収容されている場合、本発明のキットは、検出試薬ということもできる。
【0127】
<ストレス評価試薬および評価キット>
本発明のストレス評価試薬は、前記本発明の核酸分子を含むことを特徴とする。本発明のストレス評価キットは、前記本発明の核酸分子を含むことを特徴とする。本発明の評価試薬および評価キットは、前記本発明の核酸分子を含むことが特徴であり、その他の構成および条件は、特に制限されない。本発明の評価試薬および評価キットを使用すれば、後述するように、例えば、ストレス評価を行うことができる。本発明の評価試薬および評価キットは、例えば、前記本発明の核酸分子、検出試薬、検出方法等の説明を援用できる。
【0128】
<ストレス評価方法>
本発明のストレス評価方法は、前述のように、被検者の試料と前記本発明の核酸分子とを接触させる接触工程、前記試料中のコルチゾールと前記核酸分子とを結合させることにより、前記試料中のコルチゾールを検出する検出工程、および前記検出工程における前記コルチゾール量を、基準値と比較することにより、ストレスに関する情報を取得する取得工程を含むことを特徴とする。本発明の評価方法は、前記本発明核酸分子を使用することが特徴であって、その他の工程および条件等は、特に制限されない。
【0129】
本発明の評価方法は、例えば、本発明の核酸分子および本発明の検出方法等の説明を援用できる。また、本発明の評価方法において、前記接触工程および前記検出工程は、前記本発明の検出方法の説明を援用できる。
【0130】
前記被検者は、例えば、ヒト、ヒトを除く非ヒト動物等があげられ、前記非ヒト動物は、前述のように、例えば、マウス、ラット、イヌ、サル、ウサギ、ヒツジ、ウマ等の哺乳類があげられる。
【0131】
前記基準値は、例えば、ストレスを負荷していない状態(非負荷状態)および/またはストレスを負荷した状態(負荷状態)の健常者から単離した試料を用いて、得ることができる。前記基準値は、例えば、前記被検者の試料と同時に測定してもよいし、予め測定してもよい。前記非負荷状態および前記負荷状態は、例えば、公知のストレステストにより実施できる。
【0132】
前記取得工程において、前記被検者のストレスに関する情報の取得方法は、特に制限されず、前記基準値の種類によって適宜決定できる。具体例として、前記被検者の試料におけるコルチゾールの量が、前記非負荷状態の健常者の試料におけるコルチゾールの量より高い場合、前記負荷状態の健常者の試料におけるコルチゾール量と同じ場合(有意差がない場合)、および/または、前記負荷状態の健常者の試料におけるコルチゾール量より有意に高い場合、前記被検者は、ストレス状態であるとの情報を取得できる。また、前記被検者の試料におけるコルチゾールの量が、前記非負荷状態の健常者の試料におけるコルチゾールの量より低い場合、前記非負荷状態の健常者の試料におけるコルチゾール量と同じ場合(有意差がない場合)、および/または、前記負荷状態の健常者の試料におけるコルチゾール量より有意に低い場合、前記被検者は、非ストレス状態であるとの情報を取得できる。
【0133】
<コルチゾール関連疾患の試験試薬および試験キット>
本発明のコルチゾール関連疾患の試験試薬(診断試薬)は、前述のように、前記本発明の核酸分子を含むことを特徴とする。本発明のコルチゾール関連疾患の試験キット(診断キット)は、前記本発明の核酸分子を含むことを特徴とする。本発明の試験試薬および試験キットは、前記本発明の核酸分子を含むことが特徴であり、その他の構成および条件は、特に制限されない。本発明の試験試薬および試験キットを使用すれば、後述するように、例えば、コルチゾール関連疾患の罹患可能性の試験を行うことができる。本発明の試験試薬および試験キットは、例えば、前記本発明の核酸分子、検出試薬、検出方法等の説明を援用できる。
【0134】
<コルチゾール関連疾患の罹患可能性を試験する方法>
本発明のコルチゾール関連疾患の罹患可能性を試験する方法は、前述のように、被検者の試料と前記本発明の核酸分子とを接触させる接触工程、前記試料中のコルチゾールと前記核酸分子とを結合させることにより、前記試料中のコルチゾールを検出する検出工程、および前記検出工程における前記コルチゾールの量を、基準値と比較することにより、コルチゾール関連疾患の罹患の可能性を試験する試験工程を含むことを特徴とする。本発明の評価方法は、前記本発明の核酸分子を使用することが特徴であって、その他の工程および条件等は、特に制限されない。
【0135】
本発明の試験方法は、例えば、本発明の核酸分子および本発明の検出方法、評価方法等の説明を援用できる。また、本発明の試験方法において、前記接触工程および前記検出工程は、前記本発明の検出方法の説明を援用できる。
【0136】
本発明の試験方法によれば、例えば、コルチゾール関連疾患(以下、「関連疾患」ともいう)の発症の可能性、関連疾患の発症の有無、関連疾患の進行度および予後の状態等を評価できる。前記関連疾患は、例えば、前記コルチゾールの増加または減少により生じる疾患である。具体例として、前記コルチゾールの減少により生じる関連疾患としては、例えば、アジソン病、先天性副腎低形成症、先天性副腎皮質過形成症、下垂体腫瘍、下垂体性副腎皮質機能低下症、視床下部性副腎皮質機能低下症等があげられる。前記コルチゾールの増加により生じる関連疾患としては、例えば、クッシング病、クッシング症候群、グルココルチコイド不応症等があげられる。
【0137】
前記基準値は、特に制限されず、例えば、健常者、関連疾患患者および関連疾患のステージごとの関連疾患患者のコルチゾールの量があげられる。予後の評価の場合、前記基準値は、例えば、同じ被検者の治療後(例えば、治療直後)のコルチゾールの量であってもよい。
【0138】
前記基準値は、例えば、健常者および/または関連疾患患者から単離した試料(以下、「基準試料」ともいう。)を用いて、得ることができる。また、予後の評価の場合、例えば、同じ被検者から治療後に単離した基準試料を用いてもよい。前記基準値は、例えば、前記被検者の試料と同時に測定してもよいし、予め測定してもよい。
【0139】
前記試験工程において、被検者の関連疾患の罹患危険度の評価方法は、特に制限されず、前記関連疾患および前記基準値の種類によって適宜決定できる。具体例として、コルチゾールの増加により生じる疾患の場合、前記被検者の試料におけるコルチゾールの量が、前記健常者の基準試料におけるコルチゾールの量よりも有意に高い場合、前記関連疾患患者の基準試料におけるコルチゾールの量と同じ場合(有意差がない場合)、および/または、前記関連疾患患者の基準試料におけるコルチゾールの量よりも有意に高い場合、前記被検者は、関連疾患に罹患する危険性があるまたは危険性が高いと評価できる。また、前記被検者の試料におけるコルチゾールの量が、前記健常者の基準試料におけるコルチゾールの量と同じ場合(有意差が無い場合)、前記健常者の基準試料におけるコルチゾールの量よりも有意に低い場合、および/または、前記関連疾患患者の基準試料におけるコルチゾールの量よりも有意に低い場合、前記被検者は、関連疾患に罹患する危険性が無いまたは危険性が低いと評価できる。他方、コルチゾールの減少により生じる疾患の場合、前記被検者の試料におけるコルチゾールの量が、前記健常者の基準試料におけるコルチゾールの量よりも有意に低い場合、前記関連疾患患者の基準試料におけるコルチゾールの量と同じ場合(有意差がない場合)、および/または、前記関連疾患患者の基準試料におけるコルチゾールの量よりも有意に低い場合、前記被検者は、関連疾患に罹患する危険性があるまたは危険性が高いと評価できる。また、前記被検者の試料におけるコルチゾールの量が、前記健常者の基準試料におけるコルチゾールの量と同じ場合(有意差が無い場合)、前記健常者の基準試料におけるコルチゾールの量よりも有意に高い場合、および/または、前記関連疾患患者の基準試料におけるコルチゾールの量よりも有意に高い場合、前記被検者は、関連疾患に罹患する危険性が無いまたは危険性が低いと評価できる。
【実施例
【0140】
つぎに、本発明の実施例について説明する。ただし、本発明は、下記実施例により制限されない。市販の試薬は、特に示さない限り、それらのプロトコルに基づいて使用した。
【0141】
[実施例1]
各アプタマーについて、コルチゾールに対する結合能を確認した。
【0142】
(1)アプタマー
前記表1A~Bのポリヌクレオチドを合成し、実施例のアプタマーとした。前記配列番号5、6、12、13、および19のアプタマーは、前記表1A~Bにおいて下線で示すチミンが、前記KS9のヌクレオチド残基(前記式(10)で示すヌクレオチド残基)である。前記配列番号7、8、16、および20のアプタマーは、前記表1A~Bにおいて下線で示すチミンが、前記NG7のヌクレオチド残基(前記式(9)で示すヌクレオチド残基)であり、下線で示すアデニンが、前記MK4のヌクレオチド残基(前記式(11)で示すヌクレオチド残基)である。前記配列番号9~11、17、および18のアプタマーは、前記表1A~Bにおいて下線で示すチミンが、前記NG7のヌクレオチド残基(前記式(9)で示すヌクレオチド残基)である。各ポリヌクレオチドは、DNAとした。配列番号1~20の塩基配列の各アプタマーの推定二次構造は、それぞれ、前記式(4-1)~(4-20)の通りである。ただし、各アプタマーの二次構造は、これに限定されない。
【0143】
(2)相補鎖
前記配列番号21のポリヌクレオチドを合成し、相補鎖とした。前記相補鎖の5’末端は、TYE665で標識した。
【0144】
(3)サンプルの調製
まず、チューブに、2× SB1T buffer 25μLを添加し、さらに、100nmol/Lの実施例のアプタマー溶液 5μLと、100nmol/Lの相補鎖溶液 5μLを添加した。前記2× SB1T bufferの組成は、80mmol/L HEPES、250mmol/L NaCl、10mmol/L KCl、2mmol/L MgCl、および0.02% Tween(登録商標)20とし、pHは、7.5とした。
【0145】
得られた混合液を、ヒートブロックで95℃、5分間インキュベートした。つぎに、前記混合液を、室温(約25℃、以下同様)で15分静置し、その温度を室温に戻すことにより、前記実施例のアプタマーと、前記相補鎖とで二本鎖を形成させた。さらに、前記混合液に蒸留水 14.5μLを添加し、撹拌した。そして、DMSO(ジメチルスルホキシド)に溶解した10mmol/L コルチゾール液 0.5μLを添加し、攪拌することにより、サンプルを調製した。前記サンプルにおけるDMSOの濃度は、1%(v/v)である。
【0146】
なお、前記サンプルの組成は、40mmol/L HEPES、125mmol/L NaCl、5mmol/L KCl、1mmol/L MgCl、0.01%Tween(登録商標)20、10nmol/L アプタマー、10nmol/L 相補鎖、100μmol/L コルチゾール、1% DMSOであり、pHは、7.5である。
【0147】
前記撹拌後、前記サンプルを室温で30分静置した。つぎに、前記サンプル 50μLをプレート(Greiner 384 well flat bottom black plate)に移し、光学分析機器(Tecan infinite M1000 pro)を用いて、偏光度を測定した。測定時の励起波長は、635nmとし、蛍光波長は、670nmを測定した。そして、前記実施例のアプタマーおよびコルチゾール未添加の相補鎖のみのサンプル(without(w/o) aptamer)の偏光度を20mPとし、コルチゾール添加前のサンプルの偏光度(A)から、コルチゾール添加後のサンプルの偏光度(B)を引くことにより、各サンプルの偏光度の相対値(ΔFP=A-B)を算出した。これらの結果を図1に示す。
【0148】
図1は、蛍光偏光度の結果を示すグラフである。図1において、横軸は、比較例(without(w/o) aptamer)および実施例のアプタマーの種類を示し、縦軸は、蛍光偏光度(ΔFP)を示す。図1に示すように、実施例のアプタマーは、コルチゾールに結合した。中でも、配列番号11および17のアプタマーの蛍光偏光度が高く、コルチゾールに対して優れた結合能を示した。
【0149】
[実施例2]
本発明の核酸分子が、コルチゾールに対して優れた結合性を示すことを確認した。
【0150】
前記配列番号11のアプタマーを使用し、本発明のコルチゾール結合アプタマーの検出感度の測定を行った。具体的には、実施例のアプタマーとして、配列番号11のアプタマーのみを用い、前記サンプルの調製において、サンプル中のコルチゾールの終濃度が、0.1、1、10、100、または1000μmol/Lとなるようにコルチゾール液を添加した以外は、前記実施例1と同様にして試験を行った。これらの結果を図2に示す。
【0151】
図2は、検出感度を示すグラフである。図2において、横軸は、コルチゾールの濃度を示し、縦軸は、蛍光偏光度(ΔFP)を示す。図2に示すように、配列番号11のアプタマーは、コルチゾール濃度が0.1μmol/Lという低濃度であっても検出できた。また、これらの結果を用い、4パラメーターロジスティック曲線を算出したところ、配列番号11のアプタマーにおける解離定数(Kd値)は1.17μmol/Lであった。
【0152】
これらの結果から、本発明の核酸分子は、コルチゾールに対して優れた結合性を示すことがわかった。
【0153】
以上、実施形態および実施例を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態および実施例に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をできる。
【0154】
<付記>
上記の実施形態および実施例の一部または全部は、以下の付記のように記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
下記(a)または(b)のポリヌクレオチドを含むことを特徴とする、コルチゾール結合核酸分子。
(a)配列番号1から20のいずれかの塩基配列からなるポリヌクレオチド
(b)前記(a)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、コルチゾールに結合するポリヌクレオチド
(付記2)
前記結合核酸分子が、塩基が修飾基で修飾された修飾塩基を含む、付記1記載のコルチゾール結合核酸分子。
(付記3)
前記修飾塩基が、チミン塩基が修飾基で修飾された修飾チミン塩基を含む、付記2記載のコルチゾール結合核酸分子。
(付記4)
前記修飾チミン塩基が、下記式(1)または(2)で表される修飾チミン塩基を含む、付記3記載のコルチゾール結合核酸分子。
【化1】
【化2】
(付記5)
前記修飾塩基が、修飾基で修飾された修飾プリン塩基を含む、付記2から4のいずれかに記載のコルチゾール結合核酸分子。
(付記6)
前記修飾プリン塩基が、下記式(3)で表される修飾プリン塩基である、付記5記載のコルチゾール結合核酸分子。
【化3】
(付記7)
前記(b)のポリヌクレオチドが、下記(e)のポリヌクレオチドである、付記1から6のいずれかに記載のコルチゾール結合核酸分子。
(e)前記(a)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、下記式(4-1)から(4-20)で表されるいずれかの二次構造を形成可能であり、コルチゾールに結合するポリヌクレオチド
【化4-1】
【化4-2】
【化4-3】
【化4-4】
【化4-5】
【化4-6】
【化4-7】
【化4-8】
【化4-9】
【化4-10】
【化4-11】
【化4-12】
【化4-13】
【化4-14】
【化4-15】
【化4-16】
【化4-17】
【化4-18】
【化4-19】
【化4-20】
(付記8)
相補鎖を含み、
前記相補鎖が、前記(a)または(b)のポリヌクレオチドに相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチドを含む、付記1から7のいずれかに記載のコルチゾール結合核酸分子。
(付記9)
前記相補鎖が、配列番号21の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含む、付記8記載のコルチゾール結合核酸分子。
(付記10)
前記ポリヌクレオチドが、DNAである、付記1から9のいずれかに記載のコルチゾール結合核酸分子。
(付記11)
付記1から10のいずれかに記載のコルチゾール結合核酸分子を含むことを特徴とする、コルチゾール検出用センサ。
(付記12)
付記1から10のいずれかに記載のコルチゾール結合核酸分子を含むことを特徴とする、コルチゾール検出試薬。
(付記13)
試料と核酸分子とを接触させ、前記試料中のコルチゾールを検出する工程を含み、
前記核酸分子が、付記1から10のいずれかに記載のコルチゾール結合核酸分子であり、
前記検出工程において、前記試料中のコルチゾールと前記核酸分子とを結合させて、前記結合により、前記試料中のコルチゾールを検出することを特徴とする、コルチゾールの検出方法。
(付記14)
前記試料が、唾液、尿、血漿、および血清からなる群から選択された少なくとも1つである、付記13記載のコルチゾールの検出方法。
(付記15)
付記1から10のいずれかに記載のコルチゾール結合核酸分子を含むことを特徴とする、ストレス評価試薬。
(付記16)
被検者の試料と付記1から10のいずれかに記載のコルチゾール結合核酸分子とを接触させる接触工程、
前記試料中のコルチゾールと前記コルチゾール結合核酸分子とを結合させることにより、前記試料中のコルチゾールを検出する検出工程、および
前記検出工程における前記コルチゾール量を、基準値と比較することにより、ストレスに関する情報を取得する取得工程を含むことを特徴とする、ストレス評価方法。
(付記17)
付記1から10のいずれかに記載のコルチゾール結合核酸分子を含むことを特徴とする、コルチゾール関連疾患の試験試薬。
(付記18)
被検者の試料と付記1から10のいずれかに記載のコルチゾール結合核酸分子とを接触させる接触工程、
前記試料中のコルチゾールと前記コルチゾール結合核酸分子とを結合させることにより、前記試料中のコルチゾールを検出する検出工程、および
前記検出工程における前記コルチゾール量を、基準値と比較することにより、コルチゾール関連疾患の罹患の可能性を試験する試験工程を含むことを特徴とする、コルチゾール関連疾患の罹患可能性を試験する方法。
【産業上の利用可能性】
【0155】
以上のように、本発明のコルチゾール結合核酸分子は、コルチゾールと結合可能である。このため、本発明のコルチゾール結合核酸分子によれば、例えば、試料中のコルチゾールとの結合の有無によって、優れた精度で、コルチゾールを検出できる。したがって、本発明のコルチゾール結合核酸分子は、例えば、予防医学、健康管理、感染症等の診断、およびストレスの診断等の分野におけるコルチゾールの検出に、極めて有用なツールといえる。
図1
図2
【配列表】
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