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特許7168940自己密封型導電接続ペースト、それを含むボンディングモジュール及びその製造方法
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  • 特許-自己密封型導電接続ペースト、それを含むボンディングモジュール及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-01
(45)【発行日】2022-11-10
(54)【発明の名称】自己密封型導電接続ペースト、それを含むボンディングモジュール及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 163/02 20060101AFI20221102BHJP
   C09J 9/02 20060101ALI20221102BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20221102BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20221102BHJP
   C09J 7/30 20180101ALI20221102BHJP
   C09D 163/02 20060101ALI20221102BHJP
   C09D 5/24 20060101ALI20221102BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20221102BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20221102BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20221102BHJP
   H01L 33/62 20100101ALI20221102BHJP
【FI】
C09J163/02
C09J9/02
C09J11/04
C09J11/06
C09J7/30
C09D163/02
C09D5/24
C09D7/61
C09D7/63
H01L21/60 311S
H01L33/62
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020213966
(22)【出願日】2020-12-23
(65)【公開番号】P2022051651
(43)【公開日】2022-04-01
【審査請求日】2020-12-23
(31)【優先権主張番号】10-2020-0122040
(32)【優先日】2020-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520508387
【氏名又は名称】フライ アップ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】FLY UP Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】(Sa-dong, RIT Center) #708, Haean-ro 705, Sangnok-gu, Ansan-si, Gyeonggi-do 15588, Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】520508398
【氏名又は名称】イーエルピーエス インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】ELPS Inc.
【住所又は居所原語表記】111, Ballyong-ro, Deokjin-gu, Jeonju-si, Jeollabuk-do 54853, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】パク ビョンギュ
(72)【発明者】
【氏名】シン ジュンシク
【審査官】小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-500635(JP,A)
【文献】特開2010-209152(JP,A)
【文献】特開2006-249342(JP,A)
【文献】特開2003-165825(JP,A)
【文献】特開2003-246838(JP,A)
【文献】特開平06-103821(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0029769(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
C09D 1/00-201/10
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機官能基含有アルコキシシラン変性エポキシ樹脂;及び
導電性粒子;を含み、
20~30℃で30,000~300,000cpsの粘度を有し、
前記有機官能基含有アルコキシシラン変性エポキシ樹脂は、下記式(1)

[式中、R 、R 、R 、R 、R 、R 、R 及びR は、それぞれ独立して、水素原子、C1~C12の直鎖状アルキル基又はC3~C12の分枝状アルキル基であり、
、A 、A 及びA は、それぞれ独立して、-CH -、-CH CH -、-CH CH CH -、-CH CH CH CH -又は-CH CH CH CH CH -であり、
Eは、C3~C30のアルキレン基であり、
及びR 10 は、それぞれ独立して、

(ここで、R 11 は、水素原子、C1~C12の直鎖状アルキル基又はC3~C12の分枝状アルキル基であり、G 及びG は、それぞれ独立して、-CH -、-CH CH -、-CH CH CH -、-CH CH CH CH -、-CH CH CH CH CH -又は-CH CH CH CH CH CH -である)であり、
nは、1~10を満たす有理数である。]で示される化合物を含むことを特徴とする自己密封型導電接続ペースト。
【請求項2】
前記有機官能基含有アルコキシシラン変性エポキシ樹脂は、20~30℃で35,000~150,000cpsの粘度を有する第1エポキシ樹脂と20~30℃で1,000~30,000cpsの粘度を有する第2エポキシ樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の自己密封型導電接続ペースト。
【請求項3】
前記第1エポキシ樹脂は、エポキシ当量が245~275g/eqであり、
前記第2エポキシ樹脂は、エポキシ当量が180~230g/eqであることを特徴とする請求項2に記載の自己密封型導電接続ペースト。
【請求項4】
前記有機官能基含有アルコキシシラン変性エポキシ樹脂は、第1エポキシ樹脂と第2エポキシ樹脂を1:2~9.2の重量比で含むことを特徴とする請求項2に記載の自己密封型導電接続ペースト。
【請求項5】
前記有機官能基含有アルコキシシラン変性エポキシ樹脂は、第1エポキシ樹脂と第2エポキシ樹脂を1:0.1~1の重量比で含むことを特徴とする請求項2に記載の自己密封型導電接続ペースト。
【請求項6】
前記自己密封型導電接続ペーストは、全重量%に対して、有機官能基含有アルコキシシラン変性エポキシ樹脂28.34~45重量%と導電性粒子35~55重量%を含むことを特徴とする請求項1に記載の自己密封型導電接続ペースト。
【請求項7】
前記自己密封型導電接続ペーストは、全重量%に対して、有機官能基含有アルコキシシラン変性エポキシ樹脂12.5~28.34重量%と導電性粒子55~74重量%を含むことを特徴とする請求項1に記載の自己密封型導電接続ペースト。
【請求項8】
前記自己密封型導電接続ペーストは、還元剤;シランカップリング剤;硬化剤;及び硬化促進剤;から選択される1種以上をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の自己密封型導電接続ペースト。
【請求項9】
前記自己密封型導電接続ペーストは、全重量%に対して、還元剤5~30重量%、シランカップリング剤0.5~1.5重量%、硬化剤2.83~4.5重量%及び硬化促進剤2.83~4.5重量%で含むことを特徴とする請求項に記載の自己密封型導電接続ペースト。
【請求項10】
前記自己密封型導電接続ペーストは、全重量%に対して、還元剤5~15重量%、シランカップリング剤0.5~1.5重量%、硬化剤1.25~2.83重量%及び硬化促進剤1.25~2.83重量%で含むことを特徴とする請求項に記載の自己密封型導電接続ペースト。
【請求項11】
前記導電性粒子の粒径は、2~75μmであることを特徴とする請求項1に記載の自己密封型導電接続ペースト。
【請求項12】
前記自己密封型導電接続ペーストは、マイクロLEDチップと回路基板を接合することを特徴とする請求項に記載の自己密封型導電接続ペースト。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の自己密封型導電接続ペーストをコーティング及び乾燥して作製されることを特徴とする自己密封型導電接続フィルム。
【請求項14】
片面に複数の第1端子が形成された少なくとも一つ以上のマイクロLEDチップ;
前記第1端子に対向して、片面に複数の第2端子が形成された回路基板;及び
前記マイクロLEDチップと前記回路基板と間に在し、マイクロLEDチップと回路基板を電気的に接続する請求項1~12のいずれか1項に記載の自己密封型導電接続ペースト;
を含むことを特徴とするボンディングモジュール。
【請求項15】
下記の関係式(1)及び(2)を満たすことを特徴とする請求項14に記載のボンディングモジュール:
<数1>
5μm≦B-A≦87μm (1)
1.2≦B/A≦30 (2)
(式中、Aは、前記自己密封型導電接続ペーストに含まれる導電性粒子の粒径を表し、Bは、前記マイクロLEDチップのサイズを表す。)
【請求項16】
下記の関係式(3)~(6)を満たすことを特徴とする請求項15に記載のボンディングモジュール:
<数2>
3μm≦A≦25μm (3)
30μm≦B≦90μm (4)
10μm≦C≦30μm (5)
20μm≦D≦80μm (6)
(式中、Aは、前記自己密封型導電接続ペーストに含まれる導電性粒子の粒径を表し、
Bは、前記マイクロLEDチップのサイズを表し、
Cは、前記マイクロLEDチップに形成された第1端子の大きさを表し、
Dは、前記マイクロLEDチップに形成された第1端子の中心線と隣接する第1端子の中心線と間の距離(pitch)を表す。)
【請求項17】
下記の関係式(7)及び(8)を満たすことを特徴とする請求項14に記載のボンディングモジュール:
<数3>
55μm≦B-A≦245μm (7)
2.2≦B/A≦50 (8)
(式中、Aは、前記自己密封型導電接続ペーストに含まれる導電性粒子の粒径を表し、Bは、前記マイクロLEDチップのサイズを表す。)
【請求項18】
下記の関係式(9)~(12)を満たすことを特徴とする請求項17に記載のボンディングモジュール:
<数4>
5μm≦A≦45μm (9)
100μm≦B≦250μm 10
30μm≦C≦110μm 11
60μm≦D≦220μm (12)
(式中、Aは、前記自己密封型導電接続ペーストに含まれる導電性粒子の粒径を表し、
Bは、前記マイクロLEDチップのサイズを表し、
Cは、前記マイクロLEDチップに形成された第1端子の大きさを表し、
Dは、前記マイクロLEDチップに形成された第1端子の中心線と隣接する第1端子の中心線と間の距離(pitch)を表す。)
【請求項19】
前記回路基板は、ガラス回路基板、プリント回路基板(PCB)又はフレキシブルプリント回路基板(FPCB)であることを特徴とする請求項14に記載のボンディングモジュール。
【請求項20】
片面に複数の第1端子が形成された少なくとも一つ以上のマイクロLEDチップと、片面に複数の第2端子が形成された回路基板を準備する第1ステップ;
回路基板の複数の第2端子が形成された片面に、請求項1~12のいずれか1項に記載の自己密封型導電接続ペーストを印刷する第2ステップ;
前記複数の第2端子に対向して前記マイクロLEDチップの複数の第1端子を向き合うように配置させ、前記自己密封型導電接続ペーストの片面に、マイクロLEDチップを仮接着させる第3ステップ;及び
前記自己密封型導電接続ペーストを熱処理する第4ステップ;
を含む自己密封型導電接続ペーストを備えるボンディングモジュールを製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己密封型導電接続ペースト、それを含むボンディングモジュール及びその製造方法に関する。より詳細には、50μm以下又は50~220μmのピッチを有するマイクロLEDチップと回路基板を電気的、物理的及び化学的に接合させることができるマイクロLEDチップボンディング用自己密封型導電接続ペースト、それを含むマイクロLEDチップ-回路基板ボンディングモジュール及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、発光ダイオード(以下、LED)は、チップ(chip)のサイズが300μm以上である。このように、チップのサイズが300μm以上であるLEDのパッケージング工程を行う過程の一つとして、LEDチップと基板又はリードフレームを接続して電気的に接続させる工程が行われている。LEDチップと基板又はリードフレームを接続して電気的に接続させる方法には、ワイヤボンディング(Wire Bonding)法、半田ペースト(solder paste)法、フリップチップボンディング(flip chip bonding)法(=LEDチップ下段の電極パッドと基板との電極を熱圧着して貼り合わせる方式)等が行われている。
【0003】
ワイヤボンディング法は、金(Au)を用いてワイヤ(Wire)形態にLEDチップと基板又はリードフレームを接続する方法であり、半田ペースト法及びフリップチップボンディング法と比較して、抵抗が高く、電気的特性が低下する問題がある。したがって、一般に、半田ペースト法やフリップチップボンディング法を使用してLEDチップと基板又はリードフレームを接続している。
【0004】
一方、LED技術の発展において、画質に優れるだけでなく、画面応答速度に優れたOLED(Organic Light Emitting Diodes)が現在最も多く使用されている。OLED技術を引き継ぐ次世代技術としてマイクロ(micro)LED技術が脚光を浴びている。マイクロLEDは、OLEDの膜厚をさらに薄く、さらに高い電力効率、さらに高い解像度を実現することができ、バーンイン(Burn in)現象を改善することができる長所がある。
【0005】
マイクロLEDは、前述したチップ(chip)のサイズが300μm以上のLEDとは異なり、チップのサイズは略30~90μmであり、略50μm以下の極微細ピッチ(pitch;マイクロLEDチップに形成された端子の中心線と隣接する端子の中心線と間の距離)が形成されている。
【0006】
また、別の例として、マイクロLEDは、前述したチップ(chip)のサイズが300μm以上のLEDとは異なり、チップのサイズは略100~250μmであり、略50~220μmの極微細ピッチ(pitch;マイクロLEDチップに形成された端子の中心線と隣接する端子の中心線と間の距離)が形成されている。
【0007】
マイクロLEDチップと基板又はリードフレームを接続して電気的に接続させるために、前述した半田ペースト法(=LEDチップに形成された端子に極少量のペーストを塗布し、基板又はリードフレームを接続する方法)を使用すれば、マイクロLEDチップのピッチが狭いことから、ショート(short)が発生する問題があった。また、フリップチップボンディング法を使用して、マイクロLEDチップと基板又はリードフレームを接続する場合には、フリップチップボンディング法では高温の熱圧着工程が行われるため、マイクロLEDチップの損傷が発生する問題があった。したがって、極微細ピッチが形成されたマイクロLEDチップと基板又はリードフレームを接続するとき、マイクロLEDチップに損傷を与えることなく接続可能な接続ペースト及び接触方法が必要なのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】韓国特許第10-1618878号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記のような点に鑑みて案出されたものであり、50μm以下又は50~220μmのピッチ(pitch)を有するマイクロLEDチップと回路基板とをボンディングする際に、接着力に優れるだけでなく、接続抵抗が低く、印刷性、絶縁性及び自己密封性に優れた自己密封型導電接続ペースト、それを含むボンディングモジュール及びその製造方法を提供することに目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前記のような本発明の目的を達成するために創出されたものであり、本発明は、有機官能基含有アルコキシシラン変性エポキシ樹脂;及び導電性粒子;を含み、20~30℃で30,000~300,000cpsの粘度を有する自己密封型導電接続ペーストを開示する。
【0011】
前記有機官能基含有アルコキシシラン変性エポキシ樹脂は、20~30℃で35,000~150,000cpsの粘度を有する第1エポキシ樹脂と20~30℃で1,000~30,000cpsの粘度を有する第2エポキシ樹脂を含んでいてもよい。
【0012】
前記第1エポキシ樹脂は、エポキシ当量が245~275g/eqであり、前記第2エポキシ樹脂は、エポキシ当量が180~230g/eqであってもよい。
【0013】
前記有機官能基含有アルコキシシラン変性エポキシ樹脂は、第1エポキシ樹脂と第2エポキシ樹脂を1:2~9.2の重量比で含んでいてもよい。
【0014】
前記有機官能基含有アルコキシシラン変性エポキシ樹脂は、第1エポキシ樹脂と第2エポキシ樹脂を1:0.1~1の重量比で含むことができる。
【0015】
前記有機官能基含有アルコキシシラン変性エポキシ樹脂は、下記式(1)
【0016】
【0017】
[式中、R、R、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、C1~C12の直鎖状アルキル基又はC3~C12の分枝状アルキル基であり、
【0018】
、A、A及びAは、それぞれ独立して、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CHCHCHCH-又は-CHCHCHCHCH-であり、
Eは、C3~C30のアルキレン基であり、
【0019】
及びR10は、それぞれ独立して、
(ここで、R11は、水素原子、C1~C12の直鎖状アルキル基又はC3~C12の分枝状アルキル基であり、G及びGは、それぞれ独立して、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CHCHCHCH-、-CHCHCHCHCH-又は-CHCHCHCHCHCH-である)であり、
nは、1~10を満たす有理数である。]で示される化合物を含んでいてもよい。
【0020】
前記自己密封型導電接続ペーストは、全重量%に対して、有機官能基含有アルコキシシラン変性エポキシ樹脂28.34~45重量%と導電性粒子35~55重量%を含んでいてもよい。
【0021】
前記自己密封型導電接続ペーストは、全重量%に対して、有機官能基含有アルコキシシラン変性エポキシ樹脂12.5~28.34重量%と導電性粒子55~74重量%を含んでいてもよい。
【0022】
前記自己密封型導電接続ペーストは、還元剤;シランカップリング剤;硬化剤;及び硬化促進剤;から選択される1種以上をさらに含んでいてもよい。
【0023】
前記自己密封型導電接続ペーストは、全重量%に対して、還元剤5~30重量%、シランカップリング剤0.5~1.5重量%、硬化剤2.83~4.5重量%及び硬化促進剤2.83~4.5重量%を含んでいてもよい。
【0024】
前記自己密封型導電接続ペーストは、全重量%に対して、還元剤5~15重量%、シランカップリング剤0.5~1.5重量%、硬化剤1.25~2.83重量%及び硬化促進剤1.25~2.83重量%を含んでいてもよい。
【0025】
前記導電性粒子の粒径は、2~75μmであってもよい。
【0026】
前記自己密封型導電接続ペーストは、マイクロLEDチップと回路基板を接合してもよい。
【0027】
本発明は、前記自己密封型導電接続ペーストをコーティング及び乾燥して作製されることを特徴とする自己密封型導電接続フィルムを開示する。
【0028】
また、本発明は、片面に複数の第1端子が形成された少なくとも一つ以上のマイクロLEDチップ;前記第1端子に対向して、片面に複数の第2端子が形成された回路基板;及び前記マイクロLEDチップと前記回路基板との間に介在し、マイクロLEDチップと回路基板を電気的に接続する請求項1~13のいずれか1項に記載の自己密封型導電接続ペースト;を含むことを特徴とするボンディングモジュールを開示する。
【0029】
ボンディングモジュールは、下記の関係式(1)及び(2)を満たすことができる:
【0030】
<数1>
5μm≦B-A≦87μm (1)
1.2≦B/A≦30 (2)
(式中、Aは、前記自己密封型導電接続ペーストに含まれる導電性粒子の粒径を表し、Bは、前記マイクロLEDチップのサイズを表す。)
【0031】
ボンディングモジュールは、下記の関係式(3)~(6)を満たすことができる。
【0032】
<数2>
3μm≦A≦25μm (3)
30μm≦B≦90μm (4)
10μm≦C≦30μm (5)
20μm≦D≦80μm (6)
(式中、Aは、前記自己密封型導電接続ペーストに含まれる導電性粒子の粒径を表し、
Bは、前記マイクロLEDチップのサイズを表し、
Cは、前記マイクロLEDチップに形成された第1端子の大きさを表し、
Dは、前記マイクロLEDチップに形成された第1端子の中心線と隣接する第1端子の中心線と間の距離(pitch)を表す。)
【0033】
ボンディングモジュールは、下記の関係式(7)及び(8)を満たすことができる:
【0034】
<数3>
55μm≦B-A≦245μm (7)
2.2≦B/A≦50 (8)
(式中、Aは、前記自己密封型導電接続ペーストに含まれる導電性粒子の粒径を表し、Bは、前記マイクロLEDチップのサイズを表す。)
【0035】
ボンディングモジュールは、下記の関係式(9)~(12)を満たすことができる:
【0036】
<数4>
5μm≦A≦45μm (9)
100μm≦B≦250μm (10)
30μm≦C≦110μm (11)
60μm≦D≦220μm (12)
(式中、Aは、前記自己密封型導電接続ペーストに含まれる導電性粒子の粒径を表し、
Bは、前記マイクロLEDチップのサイズを表し、
Cは、前記マイクロLEDチップに形成された第1端子の大きさを表し、
Dは、前記マイクロLEDチップに形成された第1端子の中心線と隣接する第1端子の中心線と間の距離(pitch)を表す。)
【0037】
前記回路基板は、ガラス回路基板、プリント回路基板(PCB)又はフレキシブルプリント回路基板(FPCB)であってもよい。
【0038】
本発明は、片面に複数の第1端子が形成された少なくとも一つ以上のマイクロLEDチップと、片面に複数の第2端子が形成された回路基板を準備する第1ステップ;回路基板の複数の第2端子が形成された片面に、請求項1~13のいずれか1項に記載の自己密封型導電接続ペーストを印刷する第2ステップ;前記複数の第2端子に対向して前記マイクロLEDチップの複数の第1端子を向き合うように配置させ、前記自己密封型導電接続ペーストの片面に、マイクロLEDチップを仮接着させる第3ステップ;及び、前記自己密封型導電接続ペーストを熱処理する第4ステップ;を含む自己密封型導電接続ペーストを備えるボンディングモジュールを製造する方法を開示する。
【発明の効果】
【0039】
本発明の自己密封型導電接続ペースト、それを含むボンディングモジュール及びその製造方法は、有機官能基含有アルコキシシラン変性エポキシ樹脂を含むことで、ガラスのような無機被着基材だけでなく、マイクロLEDチップ及び回路基板に形成された端子に使用される金属との接着力に優れ、印刷性、ディスペンシング特性、絶縁性及び自己密封性に優れる。
【0040】
また、本発明の自己密封型導電接続ペースト、それを含むボンディングモジュール及びその製造方法は、安定した電気的導通特性を実現するだけでなく、マイクロLEDチップに圧力を加えないことから、マイクロLEDチップに加えられる物理的ダメージを最小化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本発明の自己密封型導電接続ペースト(Self-assembled conductive bonding paste)の導通の実現方式を概略的に示す。導電性粒子が熱処理過程で溶融し、マイクロLEDチップの第1端子と回路基板の第2端子に凝集し、マイクロLEDチップと回路基板間との電気的導通が行われることを示した図である。
図2】本発明の好ましい一実施例によるマイクロLEDチップの断面図である。
図3】本発明の好ましい一実施例によるマイクロLEDチップ-回路基板ボンディングモジュールの断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施例について、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳細に説明する。本発明は、種々の形態で具現することができ、ここで説明する実施例に限定されない。図面において、本発明を明確に説明するために、説明と関係ない部分は省略した。明細書全体を通じて同一又は類似の構成要素については同じ参照符号を付加した。
【0043】
以下、本発明による自己密封型導電接続ペースト、それを含むボンディングモジュール及びその製造方法について説明する。
【0044】
図1を参照して、本発明の自己密封型導電接続ペースト、それを含むボンディングモジュール及びその製造方法の導通の実現方式を説明すると、本発明のマイクロLEDチップボンディング用自己密封型導電接続ペースト(Self-assembled conductive bonding paste)100は、圧力を加えることなく、熱処理のみで導電性粒子1(conductive particle)が溶融し、溶融した導電性粒子1は、マイクロLEDチップ20の第1端子(電極部位;electrode)21と回路基板10の第2端子(電極部位;electrode)11のみに選択的に自己密封する効果が発生する。このとき、本発明の自己密封型導電接続ペースト100の導電性粒子1を除いた構成成分の部分には、残留した導電性粒子1がないので、接着力に優れ、接続抵抗が低いだけでなく絶縁性に優れる。
【0045】
また、図2を参照すると、本発明のマイクロLEDチップ20は、チップのサイズaが、100~250μm、好ましくは100~200μm、より好ましくは120~180μm、さらに好ましくは140~160μmであるLEDチップであり、マイクロLEDチップ20のピッチ(pitch)bは、60~220μm、好ましくは60~150μm、より好ましくは60~120μm、さらに好ましくは80~120μm、さらにより好ましくは90~110μmであってもよい。ピッチbは、マイクロLEDチップ20に形成された第1端子21の中心線と隣接する第1端子21の中心線と間の距離(pitch)を示す。
【0046】
また、マイクロLEDチップ20に形成された第1端子21の大きさdは、30~110μm、好ましくは30~90μm、より好ましくは30~70μm、さらに好ましくは40~60μmであってもよい。さらに、マイクロLEDチップ20に形成された第1端子21の高さcは、0.1~4μm、好ましくは0.1~3μmであってもよい。
【0047】
一方、本発明の別の例として、本発明のマイクロLEDチップ20は、チップのサイズaが、30~90μm、好ましくは30~70μm、より好ましくは30~60μmであるLEDチップであり、マイクロLEDチップ20のピッチ(pitch)bは、50μm以下、好ましくは10~50μm、より好ましくは20~40μmであってもよい。
【0048】
また、マイクロLEDチップ20に形成された第1端子21の大きさdは、5~30μm、好ましくは10~30μm、より好ましくは10~25μm、さらに好ましくは15~25μmであってもよい。さらに、マイクロLEDチップ20に形成された第1端子21の高さcは、0.1~4μm、好ましくは1~3μmであってもよい。
【0049】
本発明のマイクロLEDチップボンディング用自己密封型導電接続ペーストは、マイクロLEDチップと回路基板を接合することができ、有機官能基含有アルコキシシラン変性エポキシ樹脂及び導電性粒子を含む。
【0050】
まず、本発明の有機官能基(organofunctional group)含有アルコキシシラン変性エポキシ樹脂は、エポキシ樹脂、ダイマー(dimer)及び有機官能基含有アルコキシシランを反応させて合成・製造した樹脂であり、本発明のマイクロLEDチップボンディング用自己密封型導電接続ペーストは、有機官能基含有アルコキシシラン変性エポキシ樹脂を含むことにより、PCB、FPCBのように有機ペーストからなる回路基板だけでなく、ガラスのような無機被着基材、マイクロLEDチップ及び回路基板に形成された端子に使用される金属との接着力に優れ、印刷性、ディスペンシング特性、絶縁性及び自己密封性に優れる。
【0051】
また、本発明の有機官能基含有アルコキシシラン変性エポキシ樹脂は、下記式(1)
【0052】
[式中、R、R、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、C1~C12の直鎖状アルキル基又はC3~C12の分枝状アルキル基、好ましくは水素原子又はC1~C12の直鎖状アルキル基、より好ましくは水素原子又はC1~C3の直鎖状アルキル基であり、
【0053】
、A、A及びAは、それぞれ独立して、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CHCHCHCH-又は-CHCHCHCHCH-、好ましくは-CH-、-CHCH-又は-CHCHCH-であり、
Eは、C3~C30のアルキレン基、好ましくはC10~C20のアルキレン基、より好ましくはC16~18のアルキレン基であり、
(ここで、R11は、水素原子、C1~C12の直鎖状アルキル基又はC3~C12の分枝状アルキル基、好ましくは水素原子又はC1~C12の直鎖状アルキル基、C1~C3の直鎖状アルキル基であり、
及びGは、それぞれ独立して、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CHCHCHCH-、-CHCHCHCHCH-又は-CHCHCHCHCHCH-、好ましくは-CHCHCH-、-CHCHCHCH-又は-CHCHCHCHCH-である)であり、
nは、1~10、好ましくは1~5を満たす有理数である。]で示される化合物を含んでいてもよい。
【0054】
また、本発明の有機官能基含有アルコキシシラン変性エポキシ樹脂は、本発明の自己密封型導電接続ペーストの全重量%に対して、12.5~28.34重量%、好ましくは12.5~22.75重量%、より好ましくは14~21重量%、さらに好ましくは15.75~19.25重量%を含んでいてもよい。有機官能基含有アルコキシシラン変性エポキシ樹脂が12.5重量%未満のとき、本発明の自己密封型導電接続ペーストがペースト(paste)状態に製造できないか、ショート(short)不良が発生する可能性があり、28.34重量%を超えると、本発明の自己密封型導電接続ペーストを含むマイクロLEDチップ-回路基板ボンディングモジュールの電気的特性の低下、及び工程で不良が発生する可能性がある。
【0055】
また、別の例として、本発明の有機官能基含有アルコキシシラン変性エポキシ樹脂は、本発明の自己密封型導電接続ペーストの全重量%に対して、28.34~45重量%、好ましくは28.6~43.1重量%、より好ましくは32.2~39.5重量%、さらに好ましくは34.0~41.3重量%を含んでいてもよい。有機官能基含有アルコキシシラン変性エポキシ樹脂が28.34重量%未満のとき、本発明の自己密封型導電接続ペーストがペースト(paste)状態に製造できないか、ショート(short)不良が発生する可能性があり、45重量%を超えると、本発明の自己密封型導電接続ペーストを含むマイクロLEDチップ-回路基板ボンディングモジュールの電気的特性の低下、及び工程で不良が発生する可能性がある。
【0056】
一方、本発明の有機官能基含有アルコキシシラン変性エポキシ樹脂は、第1エポキシ樹脂と第2エポキシ樹脂を含むことができる。
【0057】
本発明の第1エポキシ樹脂は、前記式(1)で示される化合物を含んでいてもよく、本発明の第1エポキシ樹脂は、20~30℃、好ましくは23~27℃で35,000~150,000cps、好ましくは40,000~100,000cps、より好ましくは50,000~90,000cps、さらに好ましくは60,000~80,000cpsの粘度を有してもよい。粘度が35,000cps未満のとき、自己密封型導電接続ペーストを回路基板又はマイクロLEDチップに印刷後、印刷形状の維持が難しくなる可能性があり、150,000cpsを超えると、自己密封型導電接続ペーストを製造する時、混合及び分散が難しくなる可能性がある。
【0058】
また、本発明の第1エポキシ樹脂は、エポキシ当量が245~275g/eq、好ましくは250~270g/eq、より好ましくは255~265g/eqであってもよい。エポキシ当量が245g/eq未満のとき、接着力が低くなる可能性があり、275g/eqを超えると、エポキシがゲル(gel)化する可能性がある。
【0059】
本発明の第2エポキシ樹脂は、前記式(1)で示される化合物を含んでいてもよく、本発明の第2エポキシ樹脂は、20~30℃、好ましくは23~27℃で1,000~30,000cps、好ましくは5,000~20,000cps、より好ましくは8,000~17,000cps、さらに好ましくは10,000~14,000cpsの粘度を有してよい。粘度が1,000cps未満のとき、自己密封型導電接続ペーストを回路基板又はマイクロLEDチップに印刷後、印刷形状の維持が難しくなる可能性があり、30,000cpsを超えると、自己密封型導電接続ペーストを製造する時、混合及び分散が難しくなる可能性がある。
【0060】
また、本発明の第2エポキシ樹脂は、エポキシ当量が180~230g/eq、好ましくは185~225g/eqであってもよい。エポキシ当量が180g/eq未満のとき、接着力が低くなる可能性があり、230g/eqを超えると、エポキシがゲル(gel)化する可能性がある。
【0061】
さらに、本発明の有機官能基含有アルコキシシラン変性エポキシ樹脂は、第1エポキシ樹脂と第2エポキシ樹脂を1:0.1~1の重量比、好ましくは1:0.2~0.8の重量比、より好ましくは1:0.4~0.63の重量比で含んでもよい。重量比が1:0.1未満のとき、粘度が高く、工程に問題が生じる可能性があり、重量比が1:1を超えると、印刷の問題による電気的特性が低下する可能性がある。
【0062】
また、本発明の別の例として、有機官能基含有アルコキシシラン変性エポキシ樹脂は、第1エポキシ樹脂と第2エポキシ樹脂を1:2~9.2の重量比、好ましくは1:2.5~7.5の重量比、より好ましくは1:3.5~5の重量比で含んでもよい。重量比が1:2未満のとき、工程に問題が生じる可能性があり、重量比が1:9.2を超えると、印刷の問題が生じる可能性がある。
【0063】
次に、本発明の導電性粒子は、マイクロLEDチップと回路基板を電気的に導通させる物質であり、本発明の自己密封型導電接続ペーストの全重量%に対して、55~74重量%、好ましくは61.2~74.8重量%、より好ましくは64.6~78.2重量%で含んでもよい。導電性粒子が55重量%未満のとき、未導通の問題が生じる可能性があり、74重量%を超えると、ショート(short)が発生する可能性がある。
【0064】
また、本発明の別の例として、導電性粒子は、マイクロLEDチップと回路基板を電気的に導通させる物質であり、本発明の自己密封型導電接続ペーストの全重量%に対して、35~55重量%、好ましくは36.8~55.2重量%、より好ましくは41.4~50.6重量%で含んでもよい。導電性粒子が35重量%未満のとき、未導通の問題が生じる可能性があり、55重量%を超えると、ショート(short)が発生する可能性がある。
【0065】
本発明の導電性粒子は、ビズマス(Bi)、スズ(Sn)、インジウム(In)、銀(Ag)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、アンチモン(Sb)、ニッケル(Ni)及びこれらの合金から選択される1種以上を含んでもよい。好ましくはビズマス(Bi)、スズ(Sn)及び銀(Ag)の合金及びビズマス(Bi)及びスズ(Sn)の合金から選択される1種以上、より好ましくはビズマス(Bi)及びスズ(Sn)の合金を含んでもよい。
【0066】
本発明の導電性粒子として、ビズマス(Bi)、スズ(Sn)及び銀(Ag)の合金を含むとき、ビズマス100重量部に対して、スズ58.2~87.4重量部、好ましくは65.5~80.1重量部、より好ましくは69.1~76.5重量部を含んでもよい。また、導電性粒子として、ビズマス(Bi)、スズ(Sn)及び銀(Ag)の合金を含むとき、ビズマス100重量部に対して、0.41~0.63重量部、好ましくは0.46~0.58重量部、より一層好ましくは0.49~0.55重量部を含んでもよい。
【0067】
一方、本発明の導電性粒子として、ビズマス(Bi)及びスズ(Sn)の合金を含むとき、ビズマス及びスズを1:0.57~0.87の重量比、好ましくは1:0.65~0.8の重量比、より好ましくは1:0.68~0.77の重量比で含んでもよい。
【0068】
また、本発明の導電性粒子の粒径は、2~75μm、好ましくは5~45μm、より好ましくは10~38μm、さらに好ましくは10~25μmであってもよい。導電性粒子の粒径が2μm未満のとき、粘度が高くなり、印刷の問題が発生する可能性があり、75μmを超えると、マイクロLEDチップと比較して、粒子径が大きくなり、マイクロLEDチップの実装に問題があり得る。
【0069】
一方、本発明のマイクロLEDチップボンディング用自己密封型導電接続ペーストは、20~30℃、好ましくは23~27℃で100,000~300,000cps、好ましくは150,000~240,000cps、より好ましくは170,000~225,000cpsの粘度を有してもよい。粘度が100,000cps未満であるか、300,000cpsを超えると、印刷できない問題があり得る。
【0070】
また、本発明の別の実施例は、20~30℃、好ましくは23~27℃で30,000~90,000cps、好ましくは40,000~80,000cps、より好ましくは45,000~70,000cpsの粘度を有してもよい。粘度が30,000cps未満のとき、電気的特性の問題が生じる可能性があり、90,000cpsを超えると、印刷不良及び電気的特性に問題が生じる可能性がある。
【0071】
さらに、本発明のマイクロLEDチップボンディング用自己密封型導電接続ペーストは、還元剤、シランカップリング剤、硬化剤及び硬化促進剤から選択される1種以上をさらに含むことができ、好ましくは還元剤、シランカップリング剤、硬化剤及び硬化促進剤をさらに含むことができる。
【0072】
まず、本発明の還元剤は、本発明の自己密封型導電接続ペーストの全重量%に対して、5~15重量%、好ましくは7~13重量%、より好ましくは8~12重量%、さらに好ましくは9~11重量%で含んでもよい。還元剤が5重量%未満のとき、還元できず、電気的な問題が生じる可能性があり、15重量%を超えると、粘度が高くなるだけでなく、経時的な問題が発生する可能性がある。
【0073】
また、本発明の別の実施例は、還元剤が、本発明の自己密封型導電接続ペーストの全重量%に対して、5~30重量%、好ましくは5~15重量%、より好ましくは7~13重量%、さらに好ましくは8~12重量%、さらにより好ましくは9~11重量%で含んでもよい。還元剤が5重量%未満のとき、還元できず、電気的な問題が生じる可能性があり、30重量%を超えると、粘度が高くなるだけでなく、経時的な問題が発生する可能性がある。
【0074】
本発明の還元剤は、ロジン系還元剤、有機酸系還元剤、金属還元剤及びアミン塩還元剤から選択される1種以上を含んでもよく、好ましくは有機酸系還元剤を含んでもよく、より好ましくは有機酸系還元剤であるアジピン酸及びクエン酸から1種以上を含むことができる。
【0075】
具体的に、本発明の還元剤は、塩化亜鉛、塩化亜鉛と無機ハロゲン化物の混合物、塩化亜鉛と無機酸の混合物、溶融塩、リン酸、リン酸の誘導体、有機ハロゲン化物、ヒドラジン、アミン塩還元剤、有機酸、酢酸、乳酸、カルボキシ基を2個有するシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、フタル酸、クエン酸、活性化ロジン及び非活性化ロジンから選択される1種以上を含むことができる。
【0076】
次に、本発明のシランカップリング剤は、ガラスなどの無機材料からなる基材との接着力の向上のために含まれ得る物質であり、本発明の自己密封型導電接続ペーストの全重量%に対して、0.5~1.5重量%、好ましくは0.7~1.3重量%、より好ましくは0.8~1.2重量%、さらに好ましくは0.9~1.1重量%で含んでもよい。シランカップリング剤が0.5重量%未満のとき、接着力が低下する可能性があり、1.5重量%を超えると、経時的な問題が生じる可能性がある。
【0077】
本発明のシランカップリング剤は、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン(3-glycidyloxypropyl methyldimethoxysilane)、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン及び3-メタクリルオキシプロピルメチルジエトキシシランから選択される1種以上であってもよく、好ましくは2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン及び3-グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシランから選択される1種以上を含むことができる。
【0078】
次に、本発明の硬化剤は、本発明の自己密封型導電接続ペーストの全重量%に対して、1.25~2.83重量%、好ましくは1.4~2.1重量%、より好ましくは1.57~1.93重量%で含んでもよい。硬化剤が1.25重量%未満のとき、未硬化の問題が生じる可能性があり、2.83重量%を超えると、粘度が高くなる可能性がある。
【0079】
また、本発明の別の実施例は、硬化剤が、自己密封型導電接続ペーストの全重量%に対して、2.83~4.5重量%、好ましくは2.83~4.3重量%、より好ましくは3.2~4.0重量%で含んでもよい。硬化剤が2.83重量%未満のとき、未硬化の問題が生じる可能性があり、4.5重量%を超えると、粘度が高かくなる可能性がある。
【0080】
また、本発明の硬化剤は、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤、ポリチオール硬化剤、潜在性硬化剤及びカチオン硬化剤から選択される1種以上を含むことができる。また、潜在性硬化剤は、イミダゾール系硬化剤、ヒドラジド系硬化剤、三フッ化ホウ素-アミン錯体硬化剤、アミンイミド硬化剤、ポリアミン系硬化剤、第3級アミン硬化剤、アルキル尿素系硬化剤及びジシアンジアミド系硬化剤から選択される1種以上を含むことができる。
【0081】
次に、本発明の硬化促進剤は、本発明の自己密封型導電接続ペーストの全重量%に対して、1.25~2.83重量%、好ましくは1.4~2.1重量%、より好ましくは1.57~1.93重量%で含んでもよい。硬化剤が1.25重量%未満のとき、未硬化の問題が生じる可能性があり、2.83重量%を超えると、経時的な問題が生じる可能性がある。
【0082】
また、本発明の別の実施例は、硬化促進剤が、本発明の自己密封型導電接続ペーストの全重量%に対して、2.83~4.5重量%、好ましくは2.83~4.3重量%、より好ましくは3.2~4.0重量%で含んでもよい。硬化剤が2.83重量%未満のとき、未硬化の問題が生じる可能性があり、4.5重量%を超えると、経時的な問題が生じる可能性がある。
【0083】
一方、本発明の硬化促進剤は、アミン系硬化促進剤、フェノール系硬化促進剤及びイミダゾール系硬化促進剤から選択される1種以上であってもよく、好ましくは1H-イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール及びこれの変性物から選択される1種以上を含むことができる。
【0084】
また、本発明のマイクロLEDチップボンディング用自己密封型導電接続ペーストは、150~180℃の温度で熱処理後、0.5~2kgf/cmの接着力を有することができる。
【0085】
また、本発明のマイクロLEDチップボンディング用自己密封型導電接続ペーストは、150~180℃の温度で熱処理後、0.1~1Ω/cmの接続抵抗を有することができる。
【0086】
また、本発明は、自己密封型導電接続ペーストをコーティング及び乾燥して作製される自己密封型導電接続フィルムを含む。
【0087】
前記自己密封型導電接続フィルムは、前述した自己密封型導電接続ペーストをコーティング及び乾燥してフィルム状態に作製された構成であり、多様な構成が可能である。
【0088】
特に、前記自己密封型導電接続フィルムは、自己密封型導電接続ペーストから一定の過程を経て薄膜のフィルム形態に作製された構成であり、この過程でコーティング及び乾燥過程を含むことができる。
【0089】
さらに、本発明は、本発明のマイクロLEDチップボンディング用自己密封型導電接続ペーストを含むマイクロLEDチップ-回路基板ボンディングモジュールを提供する。
【0090】
図3に示すように、本発明のマイクロチップ-回路基板ボンディングモジュールは、片面に複数の第1端子21が形成された少なくとも1つ以上のマイクロLEDチップ20、前記第1端子21に対抗して、片面に複数の第2端子11が形成された回路基板10及び前記マイクロLEDチップ20と前記回路基板10との間に介在し、マイクロLEDチップ20と回路基板10とを電気的に接続する自己密封型導電接続ペースト100を含むことができる。
【0091】
このとき、マイクロLEDチップ20は、前述した図2に記載されたマイクロLEDチップ20であってもよく、回路基板10は、ガラス回路基板、プリント回路基板(PCB)又はフレキシブルプリント回路基板(FPCB)であってもよい。
一方、本発明のマイクロLEDチップ-回路基板ボンディングモジュールは、下記の関係式(1)及び(2)を満たすことができる:
【0092】
<数5>
55μm≦B-A≦245μm、好ましくは55μm≦B-A≦190μm、より好ましくは75μm≦B-A≦160μm、さらに好ましくは100μm≦B-A≦140μm (1)
2.2≦B/A≦50、好ましくは2.2≦B/A≦20、より好ましくは2.2≦B/A≦16、さらに好ましくは5≦B/A≦15 (2)
(式中、Aは、前記自己密封型導電接続ペースト100に含まれる導電性粒子1の粒径を表し、Bは、前記マイクロLEDチップ20のサイズを表す。)
【0093】
前記式(1)を満たすことができない場合、マイクロLEDチップ20の実装時、接続不良を引き起こす可能性がある。
【0094】
前記式(2)を満たすことができない場合、マイクロLEDチップ20の実装時、接続不良を引き起こす可能性がある。
【0095】
また、本発明のマイクロLEDチップ-回路基板ボンディングモジュールは、下記の関係式(3)~(6)を満たすことができる:
【0096】
<数6>
5μm≦A≦45μm、好ましくは10μm≦A≦38μm (3)
100μm≦B≦250μm、好ましくは100μm≦B≦200μm、より好ましくは100μm≦B≦160μm (4)
30μm≦C≦110μm、好ましくは30μm≦C≦75μm、より好ましくは30μm≦C≦70μm (5)
60μm≦D≦220μm、好ましくは80μm≦D≦110μm (6)
(式中、Aは、自己密封型導電接続ペースト100に含まれる導電性粒子1の粒径を表し、Bは、前記マイクロLEDチップ20のサイズを表し、Cは、マイクロLEDチップ20に形成された第1端子21の大きさを表し、Dは、前記マイクロLEDチップ20に形成された第1端子21の中心線と隣接する第1端子21の中心線間の距離(pitch)を表す。)
【0097】
前記式(3)を満たすことができない場合、マイクロLEDチップ20の実装時、接続不良を引き起こす可能性がある。
【0098】
前記式(4)を満たすことができない場合、マイクロLEDチップ20を使用したディスプレイの解像度が低下する可能性がある。
【0099】
前記式(5)を満たすことができない場合、電気的接続の問題が生じる可能性がある。
【0100】
前記式(6)を満たすことができない場合、電気的接続の問題が生じる可能性がある。
【0101】
さらに、本発明のマイクロLEDチップ-回路基板ボンディングモジュールの別の実施例は、下記の関係式(7)及び(8)を満たすことができる:
【0102】
<数7>
5μm≦B-A≦87μm、好ましくは5μm≦B-A≦62μm、より好ましくは15μm≦B-A≦57μm (7)
1.2≦B/A≦30、好ましくは1.2≦B/A≦20、より好ましくは1.5≦B/A≦10、さらに好ましくは2≦B/A≦7 (8)
(式中、Aは、自己密封型導電接続ペースト100に含まれる導電性粒子(1)の粒径を表し、Bは、マイクロLEDチップ20の大きさを表す。)
【0103】
前記式(7)を満たすことができない場合、マイクロLEDチップ20の実装時、接続不良を引き起こす可能性がある。
【0104】
前記式(8)を満たすことができない場合、マイクロLEDチップ20の実装時、接続不良を引き起こす可能性がある。
【0105】
また、本発明のマイクロLEDチップ-回路基板ボンディングモジュールは、下記の関係式(9)~(12)を満たすことができる:
【0106】
<数8>
3μm≦A≦38μm、好ましくは3μm≦A≦25μm、より好ましくは5μm≦A≦25μm (9)
30μm≦B≦90μm、好ましくは30μm≦B≦70μm、より好ましくは30μm≦B≦60μm (10)
10μm≦C≦30μm、好ましくは10μm≦C≦25μm、より好ましくは10μm≦C≦20μm (11)
20μm≦D≦80μm、好ましくは20μm≦D≦70μm、より好ましくは20μm≦D≦60μm (12)
(式中、Aは、自己密封型導電接続ペースト100に含まれる導電性粒子(1)の粒径を表し、Bは、マイクロLEDチップ20の大きさを表し、Cは、マイクロLEDチップ20に形成された第1端子21の大きさを表し、Dは、前記マイクロLEDチップ20に形成された第1端子21の中心線と隣接する第1端子21の中心線間の距離(pitch)を表す。)
【0107】
前記式(9)を満たすことができない場合、マイクロLEDチップ20の実装時、接続不良を引き起こす可能性がある。
【0108】
前記式(10)を満たすことができない場合、マイクロLEDチップ20を使用したディスプレイの解像度が低下する可能性がある。
【0109】
前記式(11)を満たすことができない場合、電気的接続の問題が生じる可能性がある。
【0110】
前記式(12)を満たすことができない場合、電気的接続の問題が生じる可能性がある。
【0111】
一方、本発明のマイクロLEDチップ-回路基板ボンディングモジュールを製造する方法は、第1ステップ~第4ステップを含む。
【0112】
まず、本発明のマイクロLEDチップ-回路基板ボンディングモジュールを製造する方法の第1ステップは、片面に複数の第1端子が形成された少なくとも一つ以上のマイクロLEDチップと片面に複数の第2端子が形成された回路基板を準備する。
【0113】
次に、本発明のマイクロLEDチップ-回路基板ボンディングモジュールを製造する方法の第2ステップは、回路基板の複数の第2端子が形成された片面に、本発明の自己密封型導電接続ペーストを印刷する。このとき、印刷は、20~30℃の温度、好ましくは23~27℃の温度で行うことができる。
【0114】
次に、本発明のマイクロLEDチップ-回路基板ボンディングモジュールを製造する方法の第3ステップは、複数の第2端子に対向してマイクロLEDチップの複数の第1端子を向き合うように配置させ、自己密封型導電接続ペーストの片面に、マイクロLEDチップを仮接着させる。このとき、仮接着は20~30℃の温度、好ましくは23~27℃の温度で行うことができる。
【0115】
最後に、本発明のマイクロLEDチップ-回路基板ボンディングモジュールを製造する方法の第4ステップは、自己密封型導電接続ペーストを熱処理する。熱処理は、加熱ツールを使用して、140~230℃、好ましくは150~180℃で、1分~20分、好ましくは2~15分、より好ましくは3~8分間加熱して行うことができる。熱処理温度が、140℃未満のとき、導電性粒子が密封されない可能性があり、230℃を超えると、部品の劣化又は樹脂の過硬化によって接着力が低下する可能性がある。
【0116】
加熱ツールは、本発明の自己密封型導電接続ペーストに熱を加え、導電性粒子を溶融させることができる手段であれば特に制限されなく、例えば、加熱オーブン又はリフロー乾燥段などを含むことができる。
【0117】
以上、本発明について、実現例を中心に説明したが、これは単に例示であって本発明の実現例を限定するものではない。本発明の実施例が属する分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性を逸脱しない範囲内で、以上に例示されていない種々の変形及び応用が可能である。例えば、本発明の実現例に具体的に示された各構成要素は変形して実施できることはもちろんである。また、このような変形及び応用に関係した相違点は、添付した特許請求の範囲で規定する本発明の範囲に含まれると解釈されなければならない。
【0118】
実施例1:マイクロLEDチップボンディング用自己密封型導電接続ペーストの製造
有機官能基含有アルコキシシラン変性エポキシ樹脂17重量%、導電性粒子(粒径:10~25μm、SnとBiを42:58の重量比で含む合金)68重量%、還元剤のアジピン酸10重量%、シランカップリング剤の3-グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン1重量%、ジシアンジアミド系硬化剤1.75重量%、硬化促進剤の2-ウンデシルイミダゾール1.75重量%を混合し、絶縁化処理した後、自己密封型導電接続ペーストを製造した。
【0119】
有機官能基含有アルコキシシラン変性エポキシ樹脂は、第1エポキシ樹脂と第2エポキシ樹脂を1:0.54の重量比で混合した樹脂であり、第1エポキシ樹脂は、下記式(1-1)
【0120】
[式中、R、R、R及びRは、水素原子であり、R、R、R及びRは、メチル基であり、A、A、A及びAは、-CH-であり、Eは、C17のアルキレン基であり、R及びR10は、
(*は、Siと結合する結合部位を意味する。)であり、R11は、水素原子であり、Gは、-CHCHCH2-であり、nは1を満たす有理数である。]で示される化合物を含み、25℃で70,000cpsの粘度を有し、エポキシ当量が260g/eqである樹脂である。また、第2エポキシ樹脂は、前記式(1-1)で示される化合物を含み、25℃で12,000cpsの粘度を有し、エポキシ当量が205g/eqである樹脂である。
【0121】
実施例2:マイクロLEDチップボンディング用自己密封型導電接続ペーストの製造
実施例1と同じ方法で自己密封型導電接続ペーストを製造した。ただし、実施例1と異なり、有機官能基含有アルコキシシラン変性エポキシ樹脂として、第1エポキシ樹脂と第2エポキシ樹脂を1:0.33の重量比で混合した樹脂を用いて、自己密封型導電接続ペーストを製造した。
【0122】
実施例3:マイクロLEDチップボンディング用自己密封型導電接続ペーストの製造
実施例1と同じ方法で自己密封型導電接続ペーストを製造した。ただし、実施例1と異なり、有機官能基含有アルコキシシラン変性エポキシ樹脂として、第1エポキシ樹脂と第2エポキシ樹脂を1:0.18の重量比で混合した樹脂を用いて、自己密封型導電接続ペーストを製造した。
【0123】
実施例4:マイクロLEDチップボンディング用自己密封型導電接続ペーストの製造
実施例1と同じ方法で自己密封型導電接続ペーストを製造した。ただし、実施例1と異なり、有機官能基含有アルコキシシラン変性エポキシ樹脂として、第1エポキシ樹脂と第2エポキシ樹脂を1:0.67の重量比で混合した樹脂を用いて、自己密封型導電接続ペーストを製造した。
【0124】
実施例5:マイクロLEDチップボンディング用自己密封型導電接続ペーストの製造
実施例1と同じ方法で自己密封型導電接続ペーストを製造した。ただし、実施例1と異なり、有機官能基含有アルコキシシラン変性エポキシ樹脂として、第1エポキシ樹脂と第2エポキシ樹脂を1:0.82の重量比で混合した樹脂を用いて、自己密封型導電接続ペーストを製造した。
【0125】
実施例6~11:マイクロLEDチップボンディング用自己密封型導電接続ペーストの製造
実施例1と同じ方法で自己密封型導電接続ペーストを製造した。ただし、下記表1に示すように、混合する有機官能基含有アルコキシシラン変性エポキシ樹脂、導電性粒子及びアジピン酸の重量%を変えて、自己密封型導電接続ペーストを製造した。
【0126】
実施例12:マイクロLEDチップボンディング用自己密封型導電接続ペーストの製造
実施例1と同じ方法で自己密封型導電接続ペーストを製造した。ただし、実施例1と異なり、有機官能基含有アルコキシシラン変性エポキシ樹脂として、第1エポキシ樹脂のみを用いて、自己密封型導電接続ペーストを製造した。
【0127】
実施例13:マイクロLEDチップボンディング用自己密封型導電接続ペーストの製造
実施例1と同じ方法で自己密封型導電接続ペーストを製造した。ただし、実施例1と異なり、有機官能基含有アルコキシシラン変性エポキシ樹脂として、第2エポキシ樹脂のみを用いて、自己密封型導電接続ペーストを製造した。
【0128】
比較例1:マイクロLEDチップボンディング用自己密封型導電接続ペーストの製造
実施例1と同じ方法で自己密封型導電接続ペーストを製造した。ただし、実施例1と異なり、有機官能基含有アルコキシシラン変性エポキシ樹脂ではないビスフェノールA型エポキシ樹脂(YD128;KUKDO CHEMICALCO., LTD.製、粘度:11,500~13,500cps、エポキシ当量:184~190g/eq)を用いて、自己密封型導電接続ペーストを製造した。
【0129】
比較例2:マイクロLEDチップボンディング用自己密封型導電接続ペーストの製造
実施例1と同じ方法で自己密封型導電接続ペーストを製造した。ただし、実施例1と異なり、有機官能基含有アルコキシシラン変性エポキシ樹脂ではないビスフェノールF型エポキシ樹脂(YDF-170;KUKDO CHEMICAL CO., LTD.製、粘度:2,000~5,000cps、エポキシ当量:160~180g/eq)を用いて、自己密封型導電接続ペーストを製造した。
【0130】
比較例3:マイクロLEDチップボンディング用自己密封型導電接続ペーストの製造
実施例1と同じ方法で自己密封型導電接続ペーストを製造した。ただし、実施例1と異なり、有機官能基含有アルコキシシラン変性エポキシ樹脂ではないNBR変性エポキシ樹脂(KR-415;KUKDO CHEMICAL CO., LTD.製、粘度:50,000~100,000cps、エポキシ当量:375~425g/eq)を用いて、自己密封型導電接続ペーストを製造した。
【0131】
比較例4:マイクロLEDチップボンディング用自己密封型導電接続ペーストの製造
実施例1と同じ方法で自己密封型導電接続ペーストを製造した。ただし、実施例1と異なり、有機官能基含有アルコキシシラン変性エポキシ樹脂でないCTBN変性エポキシ樹脂(KR-170;KUKDO CHEMICAL CO., LTD.製、粘度:30,000~60,000cps、エポキシ当量:200~235g/eq)を使用して自己密封型導電接続ペーストを製造した。
【0132】
【0133】
実験例1
実施例1~13及び比較例1~4で製造した各自己密封型導電接続ペーストを以下の物性評価法に基づいて評価を行い、その結果を表2に示した。
【0134】
(1)マイクロLEDチップ-回路基板ボンディングモジュールの製造
片面に2個の第1端子が形成されたマイクロLEDチップ(マイクロLEDチップのサイズ:150μm、第1端子の大きさ:50μm、マイクロLEDチップに形成された第1端子の中心線と隣接する第1端子の中心線間の距離(pitch):100μm、第1端子の高さ:2μm)と、片面に2個の第2端子が形成された回路基板(回路基板の大きさ:150μm、第2端子の大きさ:50μm、回路基板に形成された第2端子の中心線と隣接する第2端子の中心線と間の距離(pitch):100μm、第2端子の高さ:10μm)を準備した。
【0135】
実施例1~15及び比較例1~4で製造した各導電接続ペーストを、回路基板に45μmの膜厚で印刷し、次いで、回路基板の第2端子に対向するように、マイクロLEDチップの第1端子を向き合うように配置させ、実施例1~15及び比較例1~4で製造した各導電接続ペーストの片面にマイクロLEDチップを仮接着させた。その後、180℃の乾燥器に8分間熱処理(硬化及び自己密封)し、マイクロLEDチップ-回路基板ボンディングモジュールを製造した。
【0136】
(2)接続抵抗測定(Ω/cm)
製造した各マイクロLEDチップ-回路基板ボンディングモジュールを、測定器(Keithley社製の2000 Multimeter)を使用して、4-probe方式で試験電流1mAを印加し、初期接続抵抗を測定して、その平均値を計算した。
【0137】
(3)接着力測定(kgf/cm)
製造した各マイクロLEDチップ-回路基板ボンディングモジュールを、Dage4000(Nordson社製)装置を使用して、0.5mm/秒の速度でせん断強度を測定し、接着力を測定した。
【0138】
(4)絶縁性測定
製造した各マイクロLEDチップ-回路基板ボンディングモジュールを、マルチテスター(HIOKI社製の3244-60 CARD HITESTER)を使用して、端子間の電気的導通の有無を確認し、絶縁性を測定した。
【0139】
(5)自己密封性測定
製造した各マイクロLEDチップ-回路基板ボンディングモジュールを、マルチテスター(HIOKI社製3244-60 CARD HITESTER)を使用して、ペーストにより接続されたマイクロLEDチップ及び回路基板の端子の電気的導通の有無を確認し、かつ高倍率の顕微鏡で確認し、自己密封性を測定した。
【0140】
(6)印刷性測定
製造した各マイクロLEDチップ-回路基板ボンディングモジュールの外観を肉眼(又は顕微鏡)で確認し、印刷性を測定した。
【0141】
(7)粘度測定
Malcom社製のPCU-205を使用して、JIS測定法に基づいて25℃の温度範囲で実施例1~13及び比較例1~4で製造した自己密封型導電接続ペーストの粘度を測定した。
【0142】
【0143】
前記表2に示すように、実施例1で製造した自己密封型導電接続ペーストは、別の実施例及び比較例で製造した自己密封型導電接続ペーストの接続抵抗、絶縁性、自己密封性に優れているだけでなく、接着力に優れていることを確認することができた。具体的に、実施例で製造した自己密封型導電接続ペーストと比較して、比較例1で製造した自己密封型導電接続ペーストは、接着力が著しく低下し、比較例2で製造した自己密封型導電接続ペーストは、接着力が著しく低下するだけでなく、印刷性が著しく悪くなり、比較例3で製造した自己密封型導電接続ペーストは、接続抵抗が著しく悪くなるだけでなく、絶縁性、自己密封型及び印刷性が著しく悪くなり、比較例4で製造した自己密封型導電接続ペーストは、接着力が低下し、印刷性が著しく悪くなることを確認することができた。
【0144】
以下、本発明による自己密封型導電接続ペースト、それを含むボンディングモジュール及びその製造方法に対する別の実施例及び比較実験例についてさらに説明する。
【0145】
実施例14:マイクロLEDチップボンディング用自己密封型導電接続ペーストの製造
有機官能基含有アルコキシシラン変性エポキシ樹脂35.84重量%、導電性粒子(粒径:10~25μm、SnとBiを42:58の重量比で含む合金)46重量%、還元剤のアジピン酸10重量%、シランカップリング剤の3-グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン1重量%、ジシアンジアミド系硬化剤3.58重量%、硬化促進剤の2-ウンデシルイミダゾール3.58重量%を混合し、絶縁化処理した後、自己密封型導電接続ペーストを製造した。
【0146】
有機官能基含有アルコキシシラン変性エポキシ樹脂は、第1エポキシ樹脂と第2エポキシ樹脂を1:4の重量比で混合した樹脂であり、第1エポキシ樹脂は、下記式(1-1)
【0147】
[式中、R、R、R及びRは、水素原子であり、R、R、R及びRは、メチル基であり、A、A、A及びAは、-CH-であり、Eは、C17のアルキレン基であり、R及びR10は、
(*は、Siと結合する結合部位を意味する。)であり、R11は、水素原子であり、Gは、-CHCHCH-であり、nは1を満たす有理数である。]で示される化合物を含み、25℃で70,000cpsの粘度を有し、エポキシ当量が260g/eqである樹脂である。また、第2エポキシ樹脂は、前記式(1-1)で示される化合物を含み、25℃で12,000cpsの粘度を有し、エポキシ当量が205g/eqである樹脂である。
【0148】
実施例15:マイクロLEDチップボンディング用自己密封型導電接続ペーストの製造
実施例14と同じ方法で自己密封型導電接続ペーストを製造した。ただし、実施例14と異なり、有機官能基含有アルコキシシラン変性エポキシ樹脂として、第1エポキシ樹脂と第2エポキシ樹脂を1:3の重量比で混合した樹脂を用いて、自己密封型導電接続ペーストを製造した。
【0149】
実施例16:マイクロLEDチップボンディング用自己密封型導電接続ペーストの製造
実施例14と同じ方法で自己密封型導電接続ペーストを製造した。ただし、実施例14と異なり、有機官能基含有アルコキシシラン変性エポキシ樹脂として、第1エポキシ樹脂と第2エポキシ樹脂を1:2.33の重量比で混合した樹脂を用いて、自己密封型導電接続ペーストを製造した。
【0150】
実施例17:マイクロLEDチップボンディング用自己密封型導電接続ペーストの製造
実施例14と同じ方法で自己密封型導電接続ペーストを製造した。ただし、実施例14と異なり、有機官能基含有アルコキシシラン変性エポキシ樹脂として、第1エポキシ樹脂と第2エポキシ樹脂を1:5.67の重量比で混合した樹脂を用いて、自己密封型導電接続ペーストを製造した。
【0151】
実施例18:マイクロLEDチップボンディング用自己密封型導電接続ペーストの製造
実施例14と同じ方法で自己密封型導電接続ペーストを製造した。ただし、実施例14と異なり、有機官能基含有アルコキシシラン変性エポキシ樹脂として、第1エポキシ樹脂と第2エポキシ樹脂を1:9の重量比で混合した樹脂を用いて、自己密封型導電接続ペーストを製造した。
【0152】
実施例19~24:マイクロLEDチップボンディング用自己密封型導電接続ペーストの製造
実施例14と同じ方法で自己密封型導電接続ペーストを製造した。ただし、下記表3に示すように、混合する有機官能基含有アルコキシシラン変性エポキシ樹脂、導電性粒子及びアジピン酸の重量%を変えて、自己密封型導電接続ペーストを製造した。
【0153】
実施例25:マイクロLEDチップボンディング用自己密封型導電接続ペーストの製造
実施例14と同じ方法で自己密封型導電接続ペーストを製造した。ただし、実施例14と異なり、有機官能基含有アルコキシシラン変性エポキシ樹脂として、第1エポキシ樹脂のみを用いて、自己密封型導電接続ペーストを製造した。
【0154】
実施例26:マイクロLEDチップボンディング用自己密封型導電接続ペーストの製造
実施例14と同じ方法で自己密封型導電接続ペーストを製造した。ただし、実施例14と異なり、有機官能基含有アルコキシシラン変性エポキシ樹脂として、第2エポキシ樹脂のみを用いて、自己密封型導電接続ペーストを製造した。
【0155】
比較例5:マイクロLEDチップボンディング用自己密封型導電接続ペーストの製造
実施例14と同じ方法で自己密封型導電接続ペーストを製造した。ただし、実施例14と異なり、有機官能基含有アルコキシシラン変性エポキシ樹脂ではないビスフェノールA型エポキシ樹脂(YD128;KUKDO CHEMICAL CO., LTD.製、粘度:11,500~13,500cps、エポキシ当量:184~190g/eq)を用いて、自己密封型導電接続ペーストを製造した。
【0156】
比較例6:マイクロLEDチップボンディング用自己密封型導電接続ペーストの製造
実施例14と同じ方法で自己密封型導電接続ペーストを製造した。ただし、実施例14と異なり、有機官能基含有アルコキシシラン変性エポキシ樹脂ではないビスフェノールF型エポキシ樹脂(YDF-170;KUKDO CHEMICAL CO., LTD.製、粘度:2,000~5,000cps、エポキシ当量:160~180g/eq)を用いて、自己密封型導電接続ペーストを製造した。
【0157】
比較例7:マイクロLEDチップボンディング用自己密封型導電接続ペーストの製造
実施例14と同じ方法で自己密封型導電接続ペーストを製造した。ただし、実施例14と異なり、有機官能基含有アルコキシシラン変性エポキシ樹脂ではないNBR変性エポキシ樹脂(KR-415;KUKDO CHEMICAL CO., LTD.製、粘度:50,000~100,000cps、エポキシ当量:375~425g/eq)を用いて、自己密封型導電接続ペーストを製造した。
【0158】
比較例8:マイクロLEDチップボンディング用自己密封型導電接続ペーストの製造
実施例14と同じ方法で自己密封型導電接続ペーストを製造した。ただし、実施例14と異なり、有機官能基含有アルコキシシラン変性エポキシ樹脂ではないCTBN変性エポキシ樹脂(KR-170、KUKDO CHEMICAL CO., LTD.製、粘度:30,000~60,000cps、エポキシ当量:200~235g/eq)を用いて、自己密封型導電接続ペーストを製造した。
【0159】
【0160】
実験例2
実施例14~26及び比較例5~8で製造した各自己密封型導電接続ペーストを、以下の物性評価法に基づいて評価を行い、その結果を表4に示した。
【0161】
(1)マイクロLEDチップ-回路基板ボンディングモジュールの製造
片面に2個の第1端子が形成されたマイクロLEDチップ(マイクロLEDチップのサイズ:50μm、第1端子の大きさ:20μm、マイクロLEDチップに形成された第1端子の中心線と隣接する第1端子の中心線と間の距離(pitch):30μm、第1端子の高さ:1μm)と、片面に2個の第2端子が形成された回路基板(回路基板の大きさ:50μm、第2端子の大きさ:20μm、回路基板に形成された第2端子の中心線と隣接する第2端子の中心線と間の距離(pitch):30μm、第2端子の高さ:5μm)を準備した。
【0162】
実施例14~26及び比較例5~8で製造した各導電接続ペーストを、回路基板に15μmの膜厚で印刷し、次いで、回路基板の第2端子に対向するように、マイクロLEDチップの第1端子を向き合うように配置させ、実施例14~26及び比較例5~8で製造した各導電接続ペーストの片面に、マイクロLEDチップを仮接着させた。その後、180℃の乾燥器に8分間熱処理(硬化及び自己密封)し、マイクロLEDチップ-回路基板ボンディングモジュールを製造した。
【0163】
(2)接続抵抗測定(Ω/cm)
製造した各マイクロLEDチップ-回路基板ボンディングモジュールを、測定器(Keithley社製の2000 Multimeter)を使用して、4-probe方式で試験電流1mAを印加し、初期接続抵抗を測定し、その平均値を計算した。
【0164】
(3)接着力測定(kgf/cm)
製造した各マイクロLEDチップ-回路基板ボンディングモジュールを、Dage4000(Nordson社製)装置を使用して、0.5mm/秒の速度でせん断強度を測定し、接着力を測定した。
【0165】
(4)絶縁性測定
製造した各マイクロLEDチップ-回路基板ボンディングモジュールを、マルチテスター(HIOKI社製の3244-60 CARD HITESTER)を使用して、端子間の電気的導通の有無を確認し、絶縁性を測定した。
【0166】
(5)自己密封性測定
【0167】
製造した各マイクロLEDチップ-回路基板ボンディングモジュールを、マルチテスター(HIOKI社製の3244-60 CARD HITESTER)を使用して、ペーストにより接続されたマイクロLEDチップ及び回路基板の端子の電気的導通の有無を確認し、かつ高倍率の顕微鏡で確認し、自己密封性を測定した。
【0168】
(6)印刷性測定
製造した各マイクロLEDチップ-回路基板ボンディングモジュールの外観を肉眼(又は顕微鏡)で確認し、印刷性を測定した。
【0169】
(7)粘度測定
Malcom社製のPCU-205を使用して、JIS測定法に基づいて25℃の温度範囲で実施例14~26及び比較例5~8で製造した自己密封型導電接続ペーストの粘度を測定した。
【0170】
【0171】
前記表4に示すように、実施例14で製造した自己密封型導電接続ペーストは、別の実施例及び比較例で製造した自己密封型導電接続ペーストの接続抵抗、絶縁性、自己密封性に優れているだけでなく、接着力に優れていることを確認することができた。具体的に、実施例で製造した自己密封型導電接続ペーストと比較して、比較例5及び6で製造した自己密封型導電接続ペーストは、接着力が著しく低下するだけでなく、印刷性が著しく悪くなり、比較例7で製造した自己密封型導電接続ペーストは、接続抵抗が著しく悪くなるだけでなく、絶縁性、自己密封型及び印刷性が著しく悪くなり、比較例8で製造した自己密封型導電接続ペーストは、接着力が低下し、印刷性が著しく悪くなることを確認することができた。
【0172】
本発明の単純な変形や変更は、この分野における通常の知識を有する者によって容易に実施することができ、このような変形又は変更はすべて本発明の領域に含まれる。
【符号の説明】
【0173】
1 :導電性粒子
10 :回路基板
11 :第2端子
20 :マイクロLEDチップ
21 :第2端子
100:自己密封型導電接続ペースト
図1
図2
図3