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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-01
(45)【発行日】2022-11-10
(54)【発明の名称】サポート機能付き衣類用生地
(51)【国際特許分類】
   A41D 31/00 20190101AFI20221102BHJP
   A61F 13/06 20060101ALI20221102BHJP
   A61F 13/10 20060101ALI20221102BHJP
   A41D 13/00 20060101ALI20221102BHJP
   D04B 1/00 20060101ALI20221102BHJP
   D04B 21/10 20060101ALI20221102BHJP
   D04B 21/18 20060101ALI20221102BHJP
   D04B 1/18 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
A41D31/00 502D
A41D31/00 503K
A61F13/06 B
A61F13/10 S
A41D13/00 102
D04B1/00 B
D04B21/10
D04B21/18
D04B1/18
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021151470
(22)【出願日】2021-09-16
【審査請求日】2022-03-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000107907
【氏名又は名称】セーレン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000228866
【氏名又は名称】日本シグマックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141586
【弁理士】
【氏名又は名称】沖中 仁
(72)【発明者】
【氏名】野坂 洸二朗
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 匡平
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-011759(JP,A)
【文献】特開2012-245117(JP,A)
【文献】特開2004-68235(JP,A)
【文献】特開昭52-105035(JP,A)
【文献】特開2010-95841(JP,A)
【文献】国際公開第2011/090194(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/00-13/12
A41D 31/00-31/32
A61F 13/00-13/14
A41B11/00-11/14
D04B 21/00-21/20
D04B 1/00-1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
立体構造編地を用いたサポート機能付き衣類用生地であって、
前記立体構造編地は、少なくとも片方の面にメッシュ構造を有し、
前記立体構造編地を筒状に構成したとき、前記メッシュ構造における開口は、軸方向よりも周方向に大きい扁平形状をなし、前記立体構造編地の面積に占める前記開口の面積の割合である開口率が25~70%であるサポート機能付き衣類用生地。
【請求項2】
前記軸方向の開口幅と前記周方向の開口幅との比が1:1.5~1:12である請求項1に記載のサポート機能付き衣類用生地。
【請求項3】
前記軸方向の開口幅が500~2500μmである請求項1又は2に記載のサポート機能付き衣類用生地。
【請求項4】
前記立体構造編地は、少なくとも片方の面がポリウレタン弾性繊維を含む地糸を用いて編成されている請求項1~3の何れか一項に記載のサポート機能付き衣類用生地。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体構造編地を用いたサポート機能付き衣類用生地に関する。
【背景技術】
【0002】
関節の痛みの緩和、運動による関節の損傷の防止等を目的としたサポーターやインナーウェア等(以下、「サポート機能付き衣類」と称する。)の生地には、ダブルラッセル編地等の立体構造編地が使用されている。立体構造編地は、表地組織と裏地組織とを連結した嵩高な編構造であることから、通気性、クッション性に優れ、肌当たりがよく、サポート機能付き衣類用生地として適している。
【0003】
従来の立体構造編地として、例えば、空孔を有するダブルラッセル生地を繊維基材とし、空孔に対向する貫通孔が形成された樹脂層を繊維基材に積層した体表面接触装具用複合材料がある(特許文献1を参照)。特許文献1の体表面接触装具用複合材料では、伸長時の張力と圧縮時の圧縮応力とを適切に調節することで、クッション性及び伸長性を両立できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-154605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ヒザ、ヒジ等の関節は、関節部が曲げられる際に凸状に変形する側(以下、「凸側」とする。)の皮膚が伸長し、関節部が曲げられる際に凹状に変形する側(以下、「凹側」とする。)の皮膚が収縮する。そのため、サポート機能付き衣類を装着して関節を曲げた場合、凸側よりの皮膚に接する部分では、皮膚の伸張に応じて生地が面方向に沿って引き延ばされる一方で、凹側よりの皮膚に接する部分では、皮膚の収縮に応じて生地が面方向に沿って圧縮される。
【0006】
立体構造編地の嵩高な構造は、サポート機能付き衣類として用いたときに良好な通気性及びクッション性に寄与するものであるが、その一方で、生地が面方向に沿って圧縮されたときに生じるシワが嵩高になり、衣類の美観を損ねる原因となる。また、面方向に沿う圧縮により生じる立体構造編地の嵩高なシワは、サポート機能付き衣類において関節凹側の生地だまりとなり、サポート機能付き衣類として求められる以上に関節の動きを制限する抵抗感を生じたり、関節凹側の皮膚に食い込んで痛みをもたらしたりするという問題がある。
【0007】
特許文献1の体表面接触装具用複合材料は、皮膚に対してフィッティングしやすい良好な伸長性と、緩衝機能を実現するクッション性とを両立することで、義肢の下巻き用の装具等に用いたときに、振動や衝撃等から保護しながら装着部位からのずれを防ぐものであり、関節の屈曲への影響は考慮されていなかった。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、筒状にして関節に装着したときに、関節の屈曲を妨げる抵抗感を抑制することができるサポート機能付き衣類用生地を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明に係るサポート機能付き衣類用生地の特徴構成は、
立体構造編地を用いたサポート機能付き衣類用生地であって、
前記立体構造編地は、少なくとも片方の面にメッシュ構造を有し、
前記立体構造編地を筒状に構成したとき、前記メッシュ構造における開口は、軸方向よりも周方向に大きい扁平形状をなし、前記立体構造編地の面積に占める前記開口の面積の割合である開口率が25~70%であることにある。
【0010】
本構成のサポート機能付き衣類用生地によれば、上記の構造を有するため、軸方向に圧縮する力がかかったときに、開口が軸方向に押し潰されやすくなり、且つ開口が押し潰された領域での生地のサイズ変化が大きくなる。本構成のサポート機能付き衣類用生地を筒状に構成(例えば、縫製)し、人体に装着すると、装着部位の関節を曲げたとき、関節の凹側よりの部分で、皮膚の収縮方向となる軸方向に沿って開口が押し潰されて生地が大きく収縮する。従って、適度なサポート力を保持しながら、生地が折れ重ならないため、嵩高なシワによる生地だまりが生じ難くなり、関節の屈曲を妨げる抵抗感を抑制することができる。
【0011】
本発明に係るサポート機能付き衣類用生地において、
前記軸方向の開口幅と前記周方向の開口幅との比が1:1.5~1:12であることが好ましい。
【0012】
本構成のサポート機能付き衣類用生地によれば、軸方向の開口幅と周方向の開口幅との比が上記の範囲にあるため、筒状に構成して人体に装着した場合、軸方向に圧縮する力がかかったときにシワがより生じ難くなり、装着部位の関節を曲げたときの抵抗感を抑制することができる。
【0013】
本発明に係るサポート機能付き衣類用生地において、
前記軸方向の開口幅が500~2500μmであることが好ましい。
【0014】
本構成のサポート機能付き衣類用生地によれば、軸方向の開口幅が上記の範囲にあるため、開口が軸方向に押し潰された領域での生地のサイズ変化がより大きくなり、筒状に構成して人体に装着した場合、装着部位の関節を曲げたときの抵抗感を抑制することができる。
【0015】
本発明に係るサポート機能付き衣類用生地において、
前記立体構造編地は、少なくとも片方の面がポリウレタン弾性繊維を含む地糸を用いて編成されていることが好ましい。
【0016】
本構成のサポート機能付き衣類用生地によれば、立体構造編地が、少なくとも片方の面がポリウレタン弾性繊維を含む地糸を用いて編成されていることにより、ポリウレタン弾性繊維を含む地糸を用いて編成された面が極めて伸縮性に優れたものなる。そして、ポリウレタン弾性繊維を含む地糸を用いて編成された面を内側にして、サポート機能付き衣類用生地を筒状に構成して人体に装着した場合、ポリウレタン弾性繊維を含む地糸を用いて編成された面が皮膚に密着した状態を維持し、サポート機能付き衣類の装着位置がずれることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明に係るサポート機能付き衣類用生地の説明図である。
図2図2は、実施例における立体構造編物の組織図である。
図3図3は、実施例及び比較例における立体構造編物の組織図である。
図4図4は、実施例における立体構造編物の組織図である。
図5図5は、比較例における立体構造編物の組織図である。
図6図6は、比較例における立体構造編物の組織図である。
図7図7は、比較例における立体構造編物の組織図である。
図8図8は、サポート機能付き衣類用生地を筒状に縫製してヒザに装着し、ヒザを90°に曲げたときの様子を撮影した画像である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明のサポート機能付き衣類用生地について説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施形態や図面に記載される構成に限定されることを意図しない。
【0019】
<サポート機能付き衣類用生地>
図1は、本発明に係るサポート機能付き衣類用生地1の説明図であり、(a)は、サポート機能付き衣類用生地1を用いたサポート機能付き衣類(サポーター)10の斜視図であり、(b)は、サポート機能付き衣類用生地1の表地組織の拡大図である。サポート機能付き衣類用生地1は、立体構造編地により構成され、図1(a)に示すように、筒状に構成して使用可能なものである。立体構造編地とは、表地組織と裏地組織とこれらを連結する連結糸とを有する二重編地等であり、例えば、ダブルラッセル編地等の経編地や、ダブル丸編地等の丸編地が挙げられる。立体構造編地は、伸長させたときの形状復元力に優れるため、サポート機能付き衣類用生地1として用いた場合、関節を支持する優れたサポート力、及び引き締め効果をもたらす強い着圧を発揮し得る。
【0020】
サポート機能付き衣類用生地1は、例えば、矩形の生地の対向する辺を向かい合わせて縫い目線Sで縫製することにより、図1(a)に示す筒状に構成したサポーター10やインナーウェアの袖部等とすることができる。ここで、「筒状に構成」とは、図1(a)に示すように、筒状のサポーター10の全周にわたってサポート機能付き衣類用生地1だけを配して構成する場合に限らず、サポート機能付き衣類用生地1と他の生地とを筒状のサポーター10の周方向に並ぶように配して接合し、サポーター10の周方向の一部の領域にのみサポート機能付き衣類用生地1を使用するように構成する場合も含む。また、サポート機能付き衣類用生地1は、矩形の生地の対向する辺の夫々に面ファスナの雄部及び雌部を設けることでサポーターを構成し、このサポーターを人体の四肢等の周囲に巻いた状態で面ファスナを接着することにより、筒状に構成して人体に装着してもよい。なお、以下の実施形態では、サポート機能付き衣類用生地1を筒状に縫製したものとして説明する。
【0021】
サポート機能付き衣類用生地1は、図1(b)に示すように、立体構造編地の少なくとも片方の面の地組織が、開口11を有するメッシュ構造をなす。ここで、「メッシュ構造」とは、地組織において地糸のループよりも大きい開口11が形成される構造である。メッシュ構造の開口11は、サポート機能付き衣類用生地1を筒状に縫製して使用するときの軸方向Daよりも周方向Dcに大きい扁平形状をなす。開口11が軸方向Daよりも周方向Dcに大きい扁平形状をなすことにより、サポート機能付き衣類用生地1を軸方向Daに圧縮する力がかかったとき、開口11が軸方向Daに容易に押し潰されるため、圧縮によりサポート機能付き衣類用生地1が折れ重なることが防止され、嵩高なシワが生じることが抑制される。そのため、サポート機能付き衣類用生地1を筒状に縫製したサポート機能付き衣類10は、人体に装着した状態で関節を曲げたときに、関節の凹側よりの部位に嵩高なシワによる生地だまりが生じることが抑制され、関節の屈曲を妨げる抵抗感を抑えることができる。
【0022】
開口11は、軸方向Daの開口幅Waと周方向Dcの開口幅Wcとの比が1:1.5~1:12であることが好ましく、1:2~1:7であることがより好ましい。開口幅Waと開口幅Wcとの比が上記の範囲にあれば、開口11が軸方向Daにより容易に押し潰されやすくなるため、サポート機能付き衣類用生地1を圧縮する力の向きが軸方向Daからずれた場合にも、開口11が軸方向Daに押し潰され、サポート機能付き衣類用生地1が折れ重なったシワが生じ難い。そのため、サポート機能付き衣類用生地1を筒状に縫製したサポート機能付き衣類10は、関節の凹側よりのさらに広い部位において、生地だまりが生じることが抑制され、関節の屈曲を妨げる抵抗感を確実に抑えることができる。
【0023】
開口11の軸方向Daの開口幅Waは、500~2500μmであることが好ましく、800~2000μmであることがより好ましく、1000~1500μmであることがさらに好ましい。開口幅Waが上記の範囲にあれば、開口11が軸方向Daに押し潰された領域でのサポート機能付き衣類用生地1のサイズ変化が大きくなるため、サポート機能付き衣類10を装着した状態で関節を曲げたときに、生地の面方向に沿った圧縮による変形が十分に吸収され、生地だまりが生じることがより確実に抑制される。
【0024】
開口11の周方向Dcの開口幅Wcは、2000~7000μmであることが好ましく、3000~6500μmであることがより好ましく、3800~6000μmであることがさらに好ましい。開口幅Wcが上記の範囲にあれば、開口幅Waと開口幅Wcとの比を上記の適切な範囲に設定したときに、立体構造編地が適度に柔軟なものとなり、サポート機能付き衣類用生地1を筒状に縫製したサポート機能付き衣類10が、人体に装着したときに関節を支持する適度なサポート力を有するものとなる。
【0025】
サポート機能付き衣類用生地1は、所定の開口率を有するように構成される。ここで、サポート機能付き衣類用生地1における開口率とは、筒状に構成した状態の立体構造編地においてメッシュ構造をなす地組織の面積に占める開口11の面積の割合である。本発明において、開口率は25~70%に設定されており、30~65%であることが好ましく、40~60%であることがより好ましい。立体構造編地の両方の面の地組織がメッシュ構造をなす場合、少なくとも一方の面における開口率が上記の範囲にあればよい。開口率が上記の範囲にあれば、開口11が押し潰された領域でのサポート機能付き衣類用生地1のサイズ変化が大きくなる。そのため、サポート機能付き衣類用生地1を筒状に縫製したサポート機能付き衣類10は、人体に装着したときに関節を支持する適度なサポート力を得ることが可能でありながら、人体に装着した状態で関節を曲げたときに、関節の凹側よりの部位で生地が大きく収縮し、生地に大きなシワが生じることが抑制される。
【0026】
サポート機能付き衣類用生地1における開口率Hは、例えば、次の方法により求められる。画像解析装置(VHX-200 株式会社キーエンス製)を用いて、立体構造編地を筒状に構成した状態でサポート機能付き衣類用生地1の地組織のニードルループ側を、編地表面の垂直方向から25倍に拡大して撮影し、得られた画像を20.2cm×28.9cmの大きさの紙に印刷する。画像を印刷した紙面において、ニードルループ側に繊維がなく貫通している開口部11と、ニードルループ側に繊維が存在している繊維部分12との境界に線を引き、開口部11に相当する箇所を全て切り取る。開口部11に相当する紙の重量A(g)、繊維部分12に相当する紙の重量B(g)を夫々計量し、下記の式(1)から開口率Hを算出する。
H(%)= A/(A+B) × 100 ・・・(1)
【0027】
開口11の形状としては、例えば、四角形(ダイヤ形状)、六角形(ハニカム形状)、八角形等が挙げられ、その中でも、四角形又は六角形であることが好ましい。開口11の形状を四角形又は六角形とする場合、開口11が軸方向Daに押し潰されやすいものとなるように、サポート機能付き衣類用生地1は、開口11の対角線のうち一本が周方向Dcに沿うように編成することが好ましい。
【0028】
メッシュ構造において、隣接する開口11の間に存在する繊維部分12の幅Wpは、100~1500μmであることが好ましく、200~800μmであることがより好ましい。繊維部分12の幅Wpが上記の範囲にあれば、サポート機能付き衣類用生地1が適度に柔軟なものとなり、サポート機能付き衣類用生地1を筒状に縫製してサポート機能付き衣類10として使用した場合に、適切なサポート力を発揮しながら、関節の屈曲時に生地だまりの発生をさらに抑制することができる。
【0029】
サポート機能付き衣類用生地1の厚みは、0.5~6.0mmであることが好ましい。サポート機能付き衣類用生地1の厚みが上記の範囲にあれば、サポート機能付き衣類10を装着した状態で関節を曲げたときに生地だまりが生じることを抑制しつつ、サポート機能付き衣類10として好適な軽量性及び強度が得られる。
【0030】
サポート機能付き衣類用生地1の地糸として用いる糸条の形態としては、紡績糸(短繊維糸)、マルチフィラメント糸、モノフィラメント糸等が挙げられる。マルチフィラメント糸は、必要に応じて撚りをかけてもよいし、仮撚り加工や流体攪乱処理などの加工を施してもよい。地糸として用いる糸条の繊度は、33~167dtexであることが好ましい。繊度が上記の範囲にあれば、サポート機能付き衣類10を装着した状態で関節を曲げたときに生地だまりが生じることを抑制しつつ、サポート機能付き衣類用途として好適な強度が得られる。
【0031】
サポート機能付き衣類用生地1の地糸を構成する繊維としては、例えば、合成繊維、半合成繊維、天然繊維、再生繊維等を挙げることができる。これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、洗濯による寸法安定性および染色堅牢度に優れた合成繊維が好ましい。さらに、サポート機能付き衣類として求められるストレッチ性を実現するために、表地組織及び裏地組織の少なくとも一方の地糸を構成する繊維が、ポリウレタン弾性繊維(スパンデックス)を含むことがより好ましい。このような構成であれば伸縮性が極めて高くなるため、サポート機能付き衣類用生地1を筒状に縫製してサポート機能付き衣類10として人体に装着し、関節を曲げたとき、表地組織のメッシュ構造の開口11が軸方向Daに押し潰されることで圧縮による生地の変形を吸収してシワの発生を抑制しながら、裏地組織が皮膚に密着した状態を維持し、サポート機能付き衣類の装着位置がずれることを防ぐことができる。サポート機能付き衣類用生地1に用いる繊維の繊維長は、特に限定されるものではなく、長繊維、短繊維のいずれであってもよい。また、繊維の断面形状は、特に限定されるものではなく、通常の丸型だけでなく、扁平型、楕円型、三角型、中空型、Y型、T型、U型などの異型であってもよい。
【0032】
以上のように構成されたサポート機能付き衣類用生地1は、少なくとも片方の面にメッシュ構造を有し、立体構造編地を筒状に構成したとき、メッシュ構造における開口11は、軸方向Daよりも周方向Dcに大きい扁平形状をなすため、軸方向Daに圧縮する力がかかったときに、開口11が軸方向Daに押し潰されやすくなることで、生地が折れ重なって生地だまりが生じることが抑制される。また、サポート機能付き衣類用生地1は、立体構造編地を筒状に構成した状態での開口率が25~70%であるため、開口11が押し潰された領域での生地のサイズ変化が大きくなる。この結果、サポート機能付き衣類用生地1は、筒状に縫製して人体に装着すると、装着部位の関節を曲げたとき、関節の凹側よりの部分で、皮膚の収縮方向となる軸方向Daに沿って開口11が容易に押し潰されて大きく収縮する。従って、適度なサポート力を保持しながら、大きな生地だまりが生じることがなく、関節の屈曲を妨げる抵抗感を抑制することができる。
【実施例
【0033】
以下、本発明のサポート機能付き衣類用生地の実施例、及び比較例について説明する。
【0034】
<実施例1>
ダブルラッセル編機を使用して、図2(a)に示す編組織に従い、筬L1に導糸した78dtexのポリウレタンモノフィラメント糸と筬L2、L3に導糸した56dtex/17fのナイロンマルチフィラメント糸とにより表地組織を編成し、筬L5に導糸した56dtex/17fのナイロンマルチフィラメント糸と筬L6に導糸した78dtexのポリウレタンモノフィラメント糸とにより裏地組織を編成し、両地組織を筬L4に導糸した33dtexのナイロンモノフィラメント糸で連結することによって、表地組織にのみ開口率が44.3%であるメッシュ構造を形成し、当該メッシュ構造の開口の形状が四角形(ダイヤ形状)である立体構造編地を得た。この立体構造編地を、筒状に縫製した場合に周方向の開口幅が軸方向の開口幅より大きくなる向きに配置し、これを実施例1のサポート機能付き衣類用生地とした。実施例1のサポート機能付き衣類用生地は、軸方向の開口幅が970μmであり、周方向の開口幅が5710μmであり、軸方向の開口幅と周方向の開口幅との比が1:5.9であった。
【0035】
<実施例2>
ダブルラッセル編機を使用して、図2(b)に示す編組織に従い、筬L2に導糸した44dtexのポリウレタンモノフィラメント糸と筬L3に導糸した56dtex/17fのナイロンマルチフィラメント糸とにより表地組織を編成し、筬L5に導糸した56dtex/17fのナイロンマルチフィラメント糸と筬L6に導糸した44dtexのポリウレタンモノフィラメント糸とにより裏地組織を編成し、両地組織を筬L4に導糸した33dtexのナイロンモノフィラメント糸で連結することによって、表地組織にのみ開口率が55.4%であるメッシュ構造を形成し、当該メッシュ構造の開口の形状が六角形(ハニカム形状)である立体構造編地を得た。この立体構造編地を、筒状に縫製した場合に周方向の開口幅が軸方向の開口幅より大きくなる向きに配置し、これを実施例2のサポート機能付き衣類用生地とした。実施例2のサポート機能付き衣類用生地は、軸方向の開口幅が1100μmであり、周方向の開口幅が2250μmであり、軸方向の開口幅と周方向の開口幅との比が1:2.0であった。
【0036】
<実施例3>
ダブルラッセル編機を使用して、図3(a)に示す編組織に従い、筬L2に導糸した44dtexのポリウレタンモノフィラメント糸と筬L3に導糸した56dtex/17fのナイロンマルチフィラメント糸とにより表地組織を編成し、筬L5に導糸した56dtex/17fのナイロンマルチフィラメント糸と筬L6に導糸した44dtexのポリウレタンモノフィラメント糸とにより裏地組織を編成し、両地組織を筬L4に導糸した33dtexのナイロンモノフィラメント糸で連結することによって、表地組織にのみ開口率が57.6%であるメッシュ構造を形成し、当該メッシュ構造の開口の形状が六角形(ハニカム形状)である立体構造編地を得た。この立体構造編地を、筒状に縫製した場合に周方向の開口幅が軸方向の開口幅より大きくなる向きに配置し、これを実施例3のサポート機能付き衣類用生地とした。実施例3のサポート機能付き衣類用生地は、軸方向の開口幅が1200μmであり、周方向の開口幅が3950μmであり、軸方向の開口幅と周方向の開口幅との比が1:3.3であった。
【0037】
<実施例4>
ダブルラッセル編機を使用して、図3(a)に示す編組織に従い、筬L2に導糸した44dtexのポリウレタンモノフィラメント糸と筬L3に導糸した56dtex/17fのナイロンマルチフィラメント糸とにより表地組織を編成し、筬L5に導糸した56dtex/17fのナイロンマルチフィラメント糸と筬L6に導糸した44dtexのポリウレタンモノフィラメント糸とにより裏地組織を編成し、両地組織を筬L4に導糸した33dtexのナイロンモノフィラメント糸で連結することによって、表地組織にのみ開口率が57.3%であるメッシュ構造を形成し、当該メッシュ構造の開口の形状が六角形(ハニカム形状)である立体構造編地を得た。この立体構造編地を、筒状に縫製した場合に周方向の開口幅が軸方向の開口幅より大きくなる向きに配置し、これを実施例4のサポート機能付き衣類用生地とした。実施例4のサポート機能付き衣類用生地は、軸方向の開口幅が800μmであり、周方向の開口幅が4850μmであり、軸方向の開口幅と周方向の開口幅との比が1:6.1であった。
【0038】
<実施例5>
ダブルラッセル編機を使用して、図2(a)に示す編組織に従い、筬L1に導糸した44dtexのポリウレタンモノフィラメント糸と筬L2、L3に導糸した56dtex/17fのナイロンマルチフィラメント糸とにより表地組織を編成し、筬L5に導糸した56dtex/17fのナイロンマルチフィラメント糸と筬L6に導糸した44dtexのポリウレタンモノフィラメント糸とにより裏地組織を編成し、両地組織を筬L4に導糸した33dtexのナイロンモノフィラメント糸で連結することによって、表地組織にのみ開口率が42.6%であるメッシュ構造を形成し、当該メッシュ構造の開口の形状が四角形(ダイヤ形状)である立体構造編地を得た。この立体構造編地を、筒状に縫製した場合に周方向の開口幅が軸方向の開口幅より大きくなる向きに配置し、これを実施例5のサポート機能付き衣類用生地とした。実施例5のサポート機能付き衣類用生地は、軸方向の開口幅が1000μmであり、周方向の開口幅が5480μmであり、軸方向の開口幅と周方向の開口幅との比が1:5.5であった。
【0039】
<実施例6>
ダブルラッセル編機を使用して、図2(a)に示す編組織に従い、筬L1に導糸した44dtexのポリウレタンモノフィラメント糸と筬L2、L3に導糸した56dtex/17fのナイロンマルチフィラメント糸とにより表地組織を編成し、筬L5に導糸した56dtex/17fのナイロンマルチフィラメント糸と筬L6に導糸した44dtexのポリウレタンモノフィラメント糸とにより裏地組織を編成し、両地組織を筬L4に導糸した33dtexのナイロンモノフィラメント糸で連結することによって、表地組織にのみ開口率が34.1%であるメッシュ構造を形成し、当該メッシュ構造の開口の形状が四角形(ダイヤ形状)である立体構造編地を得た。この立体構造編地を、筒状に縫製した場合に周方向の開口幅が軸方向の開口幅より大きくなる向きに配置し、これを実施例6のサポート機能付き衣類用生地とした。実施例6のサポート機能付き衣類用生地は、軸方向の開口幅が930μmであり、周方向の開口幅が9540μmであり、軸方向の開口幅と周方向の開口幅との比が1:10.3であった。
【0040】
<実施例7>
ダブルラッセル編機を使用して、図2(a)に示す編組織に従い、筬L1に導糸した78dtexのポリウレタンモノフィラメント糸と筬L2、L3に導糸した56dtex/17fのナイロンマルチフィラメント糸とにより表地組織を編成し、筬L5に導糸した56dtex/17fのナイロンマルチフィラメント糸と筬L6に導糸した78dtexのポリウレタンモノフィラメント糸とにより裏地組織を編成し、両地組織を筬L4に導糸した33dtexのナイロンモノフィラメント糸で連結することによって、表地組織にのみ開口率が48.9%であるメッシュ構造を形成し、当該メッシュ構造の開口の形状が四角形(ダイヤ形状)である立体構造編地を得た。この立体構造編地を、筒状に縫製した場合に周方向の開口幅が軸方向の開口幅より大きくなる向きに配置し、これを実施例7のサポート機能付き衣類用生地とした。実施例7のサポート機能付き衣類用生地は、軸方向の開口幅が2250μmであり、周方向の開口幅が7810μmであり、軸方向の開口幅と周方向の開口幅との比が1:3.5であった。
【0041】
<実施例8>
ダブルラッセル編機を使用して、図3(b)に示す編組織に従い、筬L1、L2に導糸した167dtex/48fのポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸により表地組織を編成し、筬L5、L6に導糸した167dtex/48fのポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸により裏地組織を編成し、両地組織を筬L3、L4に導糸した56dtexのナイロンモノフィラメント糸で連結することによって、表地組織にのみ開口率が61.8%であるメッシュ構造を形成し、当該メッシュ構造の開口の形状が六角形(ハニカム形状)である立体構造編地を得た。この立体構造編地を、筒状に縫製した場合に周方向の開口幅が軸方向の開口幅より大きくなる向きに配置し、これを実施例8のサポート機能付き衣類用生地とした。実施例8のサポート機能付き衣類用生地は、軸方向の開口幅が2720μmであり、周方向の開口幅が6270μmであり、軸方向の開口幅と周方向の開口幅との比が1:2.3であった。
【0042】
<実施例9>
ダブル丸編機を使用して、図4に示す編組織に従い、編糸1、編糸2、編糸4、編糸5として155dtex/34fのナイロンマルチフィラメント糸により表地組織を編成し、編糸3、編糸6として155dtex/34fのナイロンマルチフィラメント糸と78dtexのポリウレタンモノフィラメント糸とにより裏地組織を編成し、表地組織にのみ開口率が33.2%であるメッシュ構造を形成し、当該メッシュ構造の開口の形状が六角形(ハニカム形状)である立体構造編地を得た。この立体構造編地を、筒状に縫製した場合に周方向の開口幅が軸方向の開口幅より大きくなる向きに配置し、これを実施例9のサポート機能付き衣類用生地とした。実施例9のサポート機能付き衣類用生地は、軸方向の開口幅が610μmであり、周方向の開口幅が2400μmであり、軸方向の開口幅と周方向の開口幅との比が1:3.9であった。
【0043】
<比較例1>
ダブルラッセル編機を使用して、図5に示す編組織に従い、筬L2に導糸した84dtexのポリエチレンテレフタレート糸と筬L3に導糸した78dtexのポリウレタン糸とにより表地組織を編成し、筬L5に導糸した84dtexのポリエチレンテレフタレート糸と筬L6に導糸した78dtexのポリウレタン糸とにより裏地組織を編成し、両地組織を筬L4に導糸した33dtexのポリエチレンテレフタレート糸で連結することによって、表地組織にのみ開口率が21.6%であるメッシュ構造を形成し、当該メッシュ構造の開口の形状が六角形(ハニカム形状)である立体構造編地を得た。この立体構造編地を、筒状に縫製した場合に周方向の開口幅が軸方向の開口幅より大きくなる向きに配置し、これを比較例1のサポート機能付き衣類用生地とした。比較例1のサポート機能付き衣類用生地は、軸方向の開口幅が950μmであり、周方向の開口幅が1990μmであり、軸方向の開口幅と周方向の開口幅との比が1:2.1であった。
【0044】
<比較例2>
ダブルラッセル編機を使用して、図6に示す編組織に従い、筬L2に導糸した84dtexのポリエチレンテレフタレート糸と筬L3に導糸した78dtexのポリウレタン糸とにより表地組織を編成し、筬L5に導糸した84dtexのポリエチレンテレフタレート糸と筬L6に導糸した78dtexのポリウレタン糸とにより裏地組織を編成し、両地組織を筬L4に導糸した33dtexのポリエチレンテレフタレート糸で連結することによって、表地組織にのみ開口率が21.6%であるメッシュ構造を形成し、当該メッシュ構造の開口の形状が六角形(ハニカム形状)である立体構造編地を得た。この立体構造編地を、筒状に縫製した場合に周方向の開口幅が軸方向の開口幅より大きくなる向きに配置し、これを比較例2のサポート機能付き衣類用生地とした。比較例2のサポート機能付き衣類用生地は、軸方向の開口幅が770μmであり、周方向の開口幅が1490μmであり、軸方向の開口幅と周方向の開口幅との比が1:1.9であった。
【0045】
<比較例3>
ダブルラッセル編機を使用して、図3(a)に示す編組織に従い、筬L2に導糸した44dtexのポリウレタンモノフィラメント糸と筬L3に導糸した56dtex/17fのナイロンマルチフィラメント糸とにより表地組織を編成し、筬L5に導糸した56dtex/17fのナイロンマルチフィラメント糸と筬L6に導糸した44dtexのポリウレタンモノフィラメント糸とにより裏地組織を編成し、両地組織を筬L4に導糸した33dtexのナイロンモノフィラメント糸で連結することによって、表地組織にのみ開口率が57.6%であるメッシュ構造を形成し、当該メッシュ構造の開口の形状が六角形(ハニカム形状)である立体構造編地を得た。この立体構造編地を、筒状に縫製した場合に軸方向の開口幅が周方向の開口幅より大きくなる向きに配置し、これを比較例3のサポート機能付き衣類用生地とした。比較例3のサポート機能付き衣類用生地は、軸方向の開口幅が3950μmであり、周方向の開口幅が1200μmであり、軸方向の開口幅と周方向の開口幅との比が1:0.3であった。
【0046】
<比較例4>
ダブルラッセル編機を使用して、図7に示す編組織に従い、筬L1、L2に導糸した167dtex/48fのポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸により表地組織を編成し、筬L5、L6に導糸した167dtex/48fのポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸により裏地組織を編成し、両地組織を筬L3、L4に導糸した56dtexのナイロンモノフィラメント糸で連結することによって、表地組織にのみ開口率が71.3%であるメッシュ構造を形成し、当該メッシュ構造の開口の形状が六角形(ハニカム形状)である立体構造編地を得た。この立体構造編地を、筒状に縫製した場合に周方向の開口幅が軸方向の開口幅より大きくなる向きに配置し、これを比較例4のサポート機能付き衣類用生地とした。比較例4のサポート機能付き衣類用生地は、軸方向の開口幅が4650μmであり、周方向の開口幅が10350μmであり、軸方向の開口幅と周方向の開口幅との比が1:2.2であった。
【0047】
実施例1~9、及び比較例1~4のサポート機能付き衣類用生地を用いてヒザ用サポーターを縫製し、被験者の膝関節部に装着して「シワの軽減」、「曲げ伸ばしの容易性」、及び「ヒザ裏の痛み」を評価した。
【0048】
<評価方法>
1. シワの軽減
ヒザ用サポーターを装着した被験者のヒザを90°に曲げた際に生地に生じたシワの程度を目視で観察した。評価基準は、以下のとおりとした。
(評価基準)
A:皮膚にできるシワとほぼ同等である。
B:皮膚にできるシワより大きなシワが生じている。
C:大きな波打ちや皮膚からの浮きが生じている。
【0049】
2. 曲げ伸ばしの容易性
ヒザ用サポーターを装着した被験者のヒザを90°に曲げた際の曲げ伸ばしのし易さを評価した。評価基準は、以下のとおりとした。
(評価基準)
A:ほどよいサポート力があり、抵抗感なく曲げられる。
B:サポート力があるが、少し抵抗感を感じる。
C:サポート力がなく、かなり抵抗感を感じる。
【0050】
3. ヒザ裏の痛み
ヒザ用サポーターを装着した被験者のヒザを90°に曲げた際のヒザの裏側の皮膚への生地の食い込みの程度を評価した。評価基準は、以下のとおりとした。
(評価基準)
A:食い込みがなく、痛みを感じない。
B:わずかに食い込みがあり、少し痛みを感じる。
C:かなり食い込みがあり、痛みを感じる。
【0051】
実施例1~9のサポート機能付き衣類用生地の構成及び評価結果を表1に示し、比較例1~4のサポート機能付き衣類用生地の構成及び評価結果を表2に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
実施例1~8のサポート機能付き衣類用生地は、ヒザ用サポーターにできるシワの大きさが皮膚にできるシワと同程度に抑えられ、ヒザの凹側に生地の浮きが生じることがなかった。実施例9のサポート機能付き衣類用生地は、ヒザ用サポーターにできるシワの大きさが皮膚にできるシワより大きかったが、実用上問題になる大きさではなかった。図8(a)は、シワの軽減評価試験において、実施例3のサポート機能付き衣類用生地を筒状に縫製して被験者のヒザに装着し、ヒザを90°に曲げたときの様子を撮影した画像である。図8(a)より、実施例3のサポート機能付き衣類用生地は、ヒザの凹側の屈曲した部位で開口が押し潰されていることが確認できる。また、実施例1~9のサポート機能付き衣類用生地は、関節を支持するのにほどよいサポート力があり、その中でも実施例1~5、9のサポート機能付き衣類用生地は、抵抗感なくヒザを曲げられるものであった。さらに、実施例1~9のサポート機能付き衣類用生地は、サポーターを装着してヒザを曲げたときに、ヒザの裏側の皮膚に生地が食い込むことがなく、痛みを感じなかった。
【0055】
一方、メッシュ構造における開口が軸方向よりも周方向に大きい扁平形状であるが、メッシュ構造の開口率が25%より小さい比較例1~2のサポート機能付き衣類用生地は、大きな波打ちや、皮膚からの生地の浮きが生じた。また、ヒザ用サポーターを装着したときにサポート力を感じたが、曲げ伸ばしに抵抗感があった。さらに、ヒザ用サポーターを装着してヒザを曲げたときに、ヒザの裏に生地が強く食い込み、痛みを感じた。
【0056】
図8(b)は、シワの軽減評価試験において、比較例3のサポート機能付き衣類用生地を筒状に縫製して被験者のヒザに装着し、ヒザを90°に曲げたときの様子を撮影した画像である。比較例3のサポート機能付き衣類用生地は、実施例3のサポート機能付き衣類用生地と糸使い及び編組織が同じであるが、メッシュ構造における開口が周方向よりも軸方向に大きい扁平形状となるように、筒状に縫製してサポーターを形成したために、図8(b)に示すように、大きな波打ちや、皮膚からの生地の浮きが生じた。図8(b)より、比較例3のサポート機能付き衣類用生地は、ヒザの凹側の屈曲した部位において開口が押し潰されていないことも確認できる。また、比較例3のサポート機能付き衣類用生地は、サポーターを装着したときにサポート力を感じたが、曲げ伸ばしに抵抗感があった。さらに、サポーターを装着してヒザを曲げたときに、ヒザの裏に生地が強く食い込み、痛みを感じた。
【0057】
メッシュ構造における開口が軸方向よりも周方向に大きい扁平形状であるが、メッシュ構造の開口率が70%を超える比較例4のサポート機能付き衣類用生地は、皮膚にできるシワより大きなシワが生じた。また、関節を支持するサポート力がなく、関節の屈曲を妨げる抵抗感が大きかった。
【0058】
以上の結果より、本発明のサポート機能付き衣類用生地を筒状に構成してサポート機能付き衣類として用いるときに、適切なサポート力を維持して、生地だまりとなるシワが生じることを抑制するためには、メッシュ構造の開口が軸方向よりも周方向に大きい扁平形状をなすように構成し、且つ開口率を25~70%に設定することが有効であることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明のサポート機能付き衣類用生地は、ヒザ、ヒジ、腰等の関節の支持機能を有するサポーターや、着用による引き締め効果を有するインナーウェア等に利用可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 サポート機能付き衣類用生地
11 開口
Da 軸方向
Dc 周方向
Wa 軸方向の開口幅
Wc 周方向の開口幅
【要約】
【課題】筒状にして関節に装着したときに、関節の屈曲を妨げる抵抗感を抑制することができるサポート機能付き衣類用生地を提供する。
【解決手段】立体構造編地を用いたサポート機能付き衣類用生地1であって、立体構造編地は、少なくとも片方の面にメッシュ構造を有し、立体構造編地を筒状に構成したとき、メッシュ構造における開口11は、軸方向Daよりも周方向Dcに大きい扁平形状をなし、立体構造編地の面積に占める開口11の面積の割合である開口率が25~70%である。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8