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特許7168987園芸ハウス用掃除機及び園芸ハウス用掃除システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-01
(45)【発行日】2022-11-10
(54)【発明の名称】園芸ハウス用掃除機及び園芸ハウス用掃除システム
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/14 20060101AFI20221102BHJP
【FI】
A01G9/14 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019154731
(22)【出願日】2019-08-27
(65)【公開番号】P2021029192
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2021-12-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000100469
【氏名又は名称】みのる産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108958
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 英一
(72)【発明者】
【氏名】平岡 伸明
(72)【発明者】
【氏名】河原 昭二
【審査官】小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-112516(JP,U)
【文献】特開2016-180273(JP,A)
【文献】特開平01-048912(JP,A)
【文献】特開平08-089151(JP,A)
【文献】特開平07-011611(JP,A)
【文献】特開平08-244618(JP,A)
【文献】実開昭62-097550(JP,U)
【文献】実開平06-042803(JP,U)
【文献】実開平04-073018(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
園芸ハウス内を走行可能な走行手段により支持された車体を備え、該車体には、圧力風を発生させるブロワー装置と、前記圧力風を前記車体の進行方向前方へ噴出する前方ノズル群とが搭載されており、
前記前方ノズル群は、前記車体の前部かつ該車体の幅方向中央部に設けられた前方内ノズルと、前記車体の前部かつ該車体の幅方向両側部にそれぞれ設けられた前方外ノズルとを含み、
前記前方外ノズルは、前記車体の幅方向における配設位置が調節可能に設けられている園芸ハウス用掃除機。
【請求項2】
前記ブロワー装置による圧力風を前記車体の側方へ噴出するサイドノズルを備え、
該サイドノズルは、前記前方外ノズルと一体的に前記配設位置が調節可能に設けられている請求項1記載の園芸ハウス用掃除機。
【請求項3】
前記車体の前部及び後部には、それぞれ前方ハンドル及び後方ハンドルが配設され、該前方ハンドル及び後方ハンドルのそれぞれで車体操作が可能に構成されている請求項1又は2記載の園芸ハウス用掃除機。
【請求項4】
前記前方ノズル群の各ノズル及びサイドノズルは、前記走行手段の接地面に対する上下方向の配設位置が調節可能に構成されている請求項1~3のいずれか一項に記載の園芸ハウス用掃除機。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の園芸ハウス用掃除機と、該園芸ハウス用掃除機の進行方向前方に間隔をおいて設置され、前記前方ノズル群から噴出する圧力風で吹き飛ばされるゴミを回収する回収ネットとを備えている園芸ハウス用掃除システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高設栽培システムを採用している園芸ハウス内の床面に風を噴射して掃除する園芸ハウス用掃除機及びそれを含む園芸ハウス用掃除システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
第一の背景技術としては、特許文献1に記載された集草装置を例示する。この集草装置101は、図6に示すように、地面に散乱した刈草を一方へ吹き飛ばすための風を送り出す送風管111と、該送風管111の出口に設けられた整流板112と、及び同送風管111の出口に設けられた集草部材113とを備え、前記集草部材113は、送風管111の出口に所定間隔をおいて対向する前部材114と、該前部材114の上部と送風管111の出口の上部とを連結する上部材115とからなり、該集草部材113には刈草を促捕するが空気は流通可能とする多数の通風路116が形成され、かつ前記前部材114の下部には接地して移動するガイド体117が設けられている。
【0003】
また、第二の背景技術としては、特許文献2に記載されたサーフェイスクリーナーを例示する。このサーフェイスクリーナーは、図7に示すように、移動式架台209に、送風機201を固定するとともに、前記架台209の送風機201の吹出口側に、上壁が前下方に傾斜した断面逆樋型の風洞202を地面との間に若干の間隙を設けて固定し、前記の風洞202の両側壁下縁には、その先端にキャスター206を取り付けるとともに全長にわたって前記地面との間隙を閉塞するように弾性板を取り付けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実願昭60-190491号(実開昭62ー97550号公報)のマイクロフィルム
【文献】特公平4ー19325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、高設栽培システムを採用している園芸ハウス内の栽培管理用通路には他の機械(収穫台車など)の走行用レールが設置されていることがあり、しかもその通路幅は作物やその栽培方法等によって一定ではないため、背景技術に係る集草装置101や前記サーフェイスクリーナーでは、それらを通路幅に合わせて左右に動かす必要があり、能率が悪いという課題がある。
【0006】
また、栽培ベッドの下部には、ハウス加温用温風ダクトがつり下げられている場合があり、そこに、集草装置101や前記サーフェイスクリーナーにおける掃除機としての機械部分が入らなくて掃除できない状況となることがある。その場合、例えばほうきを使う掃き作業を行うことになるが、同作業は能率が悪いと同時に、通路面の凹部に入り込んだ花粉などの微小ゴミがきれいに掃除できないという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の園芸ハウス用掃除機は、
園芸ハウス内を走行可能な走行手段により支持された車体を備え、該車体には、圧力風を発生させるブロワー装置と、前記圧力風を前記車体の進行方向前方へ噴出する前方ノズル群とが搭載されており、
前記前方ノズル群は、前記車体の前部かつ該車体の幅方向中央部に設けられた前方内ノズルと、前記車体の前部かつ該車体の幅方向両側部にそれぞれ設けられた前方外ノズルとを含み、
前記前方外ノズルは、前記車体の幅方向における配設位置が調節可能に設けられている。
【0008】
前記走行手段としては、特に限定されないが、路面又はレール上を走行する車輪又は無限軌道等を例示する。
【0009】
この構成によれば、前記前方外ノズルの前記車体の幅方向における配設位置を調節することにより、様々な通路の幅に対応させることができる。また、通路に一対のレールが敷設されている場合に、前記前方内ノズル及び前記前方外ノズルにより、レールの内側及び外側をそれぞれ掃除することができる。さらに、通路内に前記前方外ノズルに干渉する障害物があれば、該前方外ノズルの配設位置を前記車体の幅方向内方へ移動させることにより該障害物を回避することができる。
【0010】
前記園芸ハウス用掃除機としては、
前記ブロワー装置による圧力風を前記車体の側方へ噴出するサイドノズルを備え、
該サイドノズルは、前記前方外ノズルと一体的に前記配設位置が調節可能に設けられている態様を例示する。
【0011】
この構成によれば、前記サイドノズルから前記車体の側方に向けて圧力風を噴出することにより、通路に沿って設置されている栽培ベッドの下方のゴミを隣の通路に押し出すことができ、該ゴミを該隣の通路での作業時に容易に掃除することができる。
【0012】
前記園芸ハウス用掃除機としては、
前記車体の前部及び後部には、それぞれ前方ハンドル及び後方ハンドルが配設され、該前方ハンドル及び後方ハンドルのそれぞれで車体操作が可能に構成されている態様を例示する。
【0013】
この構成によれば、前記車体を通路に沿って前方又は後方に進行させたり、前記車体を別の通路に移動させるために持ち上げ又は旋回させたりする車体操作を、前記車体の前部及び後部の両側において行うことができる。
【0014】
前記園芸ハウス用掃除機としては、
前記前方ノズル群の各ノズル及びサイドノズルは、前記走行手段の接地面に対する上下方向の配設位置が調節可能に構成されている態様を例示する。
【0015】
「前記走行手段の接地面に対する上下方向の配設位置が調節可能に構成されている」とは、特に限定されないが、次の態様を例示する。
(a)前記走行手段による前記車体の支持高さを調節可能にすることにより実現する態様。この態様によれば、前記前方ノズル群の各ノズル及びサイドノズルの前記上下方向の配設位置を一括して調節できる。
(b)前記車体に対する前記前方ノズル群の各ノズル及びサイドノズルの上下方向の配設位置を調節可能にすることにより実現する態様。この態様によれば、前記前方ノズル群の各ノズル及びサイドノズルの前記上下方向の配設位置を一括又は個別に調節可能に構成することができる。
(c)前記(a)及び(b)を組み合わせた態様。
【0016】
この構成によれば、ゴミの種類や、レールの高さ等に応じて、前記ノズルの前記上下方向の配設位置を適宜調節することができる。
【0017】
また、本発明の園芸ハウス用掃除システムは、
前記いずれかの園芸ハウス用掃除機と、該園芸ハウス用掃除機の進行方向前方に間隔をおいて設置され、前記前方ノズル群から噴出する圧力風で吹き飛ばされるゴミを回収する回収ネットとを備えている。
【0018】
この構成によれば、前記回収ネットに向かって前記園芸ハウス用掃除機を走行させることにより、ゴミを前記回収ネットに回収することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る園芸ハウス用掃除機及び園芸ハウス用掃除システムによれば、高設栽培システムを採用している園芸ハウス内の様々な幅の栽培管理用通路に対応することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明を具体化した一実施形態に係る園芸ハウス用掃除機の平面図である。
図2】同園芸ハウス用掃除機の右側面図である。
図3】同園芸ハウス用掃除機の前方ノズル群の配置を示す正面図である。
図4】同園芸ハウス用掃除機のノズルの取付構造を示す図であり、(a)は前方ノズル群における前方内ノズルの取付け構造を同園芸ハウス用掃除機の右側面側から見た図であり、(b)は、前方ノズル群における前方外ノズルの取付け構造を同右側面側からみた図であり、(c)はサイドノズルの取付構造を同園芸ハウス用掃除機の背面側から見た図である。
図5】本発明の園芸ハウス用掃除システムの使用方法を示す平面図である。
図6】第一の背景技術としての集草装置の一部を破断して示した側面図である。
図7】第二の背景技術としてのサーフェイスクリーナーの一部を破断して示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1図5は本発明を具体化した一実施形態の園芸ハウス用掃除機2及びそれを含む園芸ハウス用掃除システム1を示しており、高設栽培システムを採用している園芸ハウス内の床面を掃除するものである。本例の園芸ハウス用掃除システム1は、園芸ハウス用掃除機2と、回収ネット3とを含んでいる。なお、各図において、矢印Fは機体前側を指し示している。
【0022】
本例の園芸ハウスは、複数の栽培ベッド5が、互いに栽培ベッド5の幅方向へ一定間隔をおいて平行に列設されている。栽培ベッド5には、その下側にハウス加温用温風ダクト5aが吊り下げられているものがある。隣接する栽培ベッド5の間と、両端の栽培ベッド5における前記幅方向外方には、管理用通路6が設けられている。各管理用通路6には、通路の全長に渡って一対の走行用レール7が敷設されており、収穫台車などの作業台車が走行用レール7の上を走行可能になっている。
【0023】
園芸ハウス用掃除機2は、走行手段としての4輪の車輪11により支持された車体12を備えており、該車体12には、車体12の前部及び後部にそれぞれ配設された前方ハンドル13及び後方ハンドル14と、圧力風を発生させるブロワー装置15と、該圧力風を噴出する前方ノズル群16及びサイドノズル17とが搭載されている。
【0024】
車体12は、平面視で略矩形枠状に形成されており、前部及び後部における両側部それぞれに車体の幅方向に延びる軸を介して車輪11が回転自在に設けられている。各車輪11における車体の幅方向外方にはフランジ状の円環部11aが設けられており、該円環部11aによって、走行用レール7に対する車体幅方向における車体12の位置決めをするようになっている。
【0025】
前方ハンドル13は、車体12の前部における車体幅方向中央部に立設されており、その持ち手13aが前方に突設されている。後方ハンドル14は、略逆U字状に形成されており、側面視で後ろ斜め上方に延びるようにして、その両下端部が車体12の後部における両側にそれぞれ支持されている。後方ハンドル14の上端部にはブロワー装置15の圧力風の強さを制御するためのスロットルレバー18が設けられている。
【0026】
ブロワー装置15は、平面視で車体12の略中央に装備されており、圧力風を送出するメインダクトホース21が車体12の前部に向けて延設されている。メインダクトホース21の先端部は、車体前部に設けられ、前方ノズル群16及びサイドノズル17に対して圧力風を分配する分配ケース22に接続されており、該分配ケース22はメインダクトホース21を介してブロワー装置15から送られた圧力風を導入するようになっている。
【0027】
前方ノズル群16は、該ブロワー装置15による圧力風を車体12の進行方向前方へ噴出するものであり、車体12の前部かつ車体12の幅方向中央部に設けられた一対の前方内ノズル16a,16aと、車体12の前部かつ車体12の幅方向両側部にそれぞれ設けられた前方外ノズル16b,16bとを含んでいる。本例では前方内ノズル16aは、分配ケース22に対し、車体幅方向に延びる仮想的な軸を中心とする回動位置を調節可能に取り付けられており、平面視で車体12の進行方向に向けて、かつ、側面視で車体12の進行方向よりもやや下方に向けて、圧力風を噴出するように回動位置が調節されている。前方外ノズル16bは、平面視で車体12の進行方向よりもやや車体幅方向内方に向けて、かつ、側面視で車体12の進行方向よりもやや下方に向けて、圧力風を噴出するように調節されているとともに、車体12の幅方向における配設位置が調節可能に設けられており、分配ケース22に設けられた前方外ノズル配管口22aにダクトホース24を介して接続されている。本例では、車体12の前部に設けられた車体12の幅方向に延びる略角筒状のスライドパイプ支え26と、該スライドパイプ支え26における両端部の開口にスライド可能に挿入されたスライド桿27と、スライドパイプ支え26に対する各スライド桿27のスライド位置を固定する固定手段としての固定ネジ28とを備えさせ、両スライド桿27の先端部に前方外ノズル16bを支持させることにより、前方外ノズル16bの配設位置を調節可能にしている。前方外ノズル16bは、スライド桿27の先端部に対する上下位置、左右の向き、及び上下の向きが調節可能に取り付けられている。
【0028】
サイドノズル17は、ブロワー装置15による圧力風を車体12の側方へ噴出するものであり、車体12の両側におけるスライド桿27の先端部に設けられており、各前方外ノズル16bと一体的に、車体12の幅方向における配設位置が調節可能に設けられている。後述する園芸ハウス用掃除システムの使用方法で説明するように、園芸ハウス内での園芸ハウス用掃除機2の動かし方に応じて、いずれか一方のサイドノズル17のみが、分配ケース22に設けられたサイドノズル配管口22bにダクトホース25を介して接続されるようになっている。サイドノズル17は、平面視で車体12の側方に向けて、かつ、正面視で車体12の側方よりもやや下方に向けて、圧力風を噴出するように設けられている。サイドノズル17は、スライド桿27の先端部に対する上下位置、左右の向き、及び上下の向きが調節可能に取り付けられている。
【0029】
回収ネット3は、正面視略矩形枠状に形成された枠体31と、該枠体31の開口31aが正面を向くように起立した状態で支持する脚部32と、該枠体31に周囲が支持されたネット33とにより構成されている。この回収ネット3は、園芸ハウス用掃除機2の進行方向前方である管理用通路6の終端部に、開口31aが管理用通路6の始端部に向くように設置され、園芸ハウス用掃除機2の前方ノズル群16から噴出される圧力風で吹き飛ばされたゴミを回収するようになっている。
【0030】
次に、園芸ハウス用掃除システム1の使用方法の一例について図5を参照しながら説明する。図5において、外枠は園芸ハウス9の壁の内面の位置を示しており、該園芸ハウス9内には、中央の作業用通路8の両側に栽培ベッドが4台ずつ設置されており、隣接する栽培ベッド5の間と、両端の栽培ベッド5における前記幅方向外方には、管理用通路6が設けられている。本例の管理用通路6は、その作業用通路側が終端部であり、その反対側が始端部となっている。まず、図5に二点鎖線で示すように、園芸ハウス用掃除機2を、同図における右上側の管理用通路6の終端部(作業用通路側)のレール7上に後ろ向きに載せる。次いで、スライドパイプ支え26に対する各スライド桿27のスライド位置を調節することにより、前方外ノズル16b及びサイドノズル17の車体の幅方向における配設位置を管理用通路6の幅に合わせて調節するとともに、スライド桿27の先端部に対する前方ノズル群16及びサイドノズル17の上下位置、左右の向き、及び上下の向きを調節する。次いで、図5に実線で示すように、園芸ハウス用掃除機2を管理用通路6の始端部へ移動させるとともに、管理用通路6の終端部に回収ネット3を設置する。次いで、園芸ハウス用掃除機2の後方に立ち、ブロワー装置15を始動させるとともに、後方ハンドル14を持ち、それを前方に押して、車体12を前方に進行させる。すると、管理用通路6上のゴミが圧力風で吹き飛ばされて回収ネット3に回収されるとともに、車体12の進行方向左側にある栽培ベッド5の下方にあるゴミが、同進行方向左隣の管理用通路6側へ圧力風で吹き飛ばされる。その後は、順次、同進行方向左隣の管理用通路6に移行し、同様に掃除して行く。そして、図5における右下側の管理用通路6の掃除が終了すると、同図における左下側の管理用通路6に移行し、その後は、順次、同進行方向左隣の管理用通路6に移行し、左上側の管理用通路6まで掃除すると、園芸ハウス9全体の掃除が終了する。なお、図5における右下側の管理用通路6から掃除を開始し、同図における左下側の管理用通路6で終了する場合は、サイドノズル配管口22bを、同図とは逆側のサイドノズル17にダクトホース25で接続する。
【0031】
以上のように構成された本例の園芸ハウス用掃除機2は、園芸ハウス内を走行可能な走行手段としての車輪11により支持された車体12を備え、該車体12には、圧力風を発生させるブロワー装置15と、前記圧力風を車体12の進行方向前方へ噴出する前方ノズル群16とが搭載されており、前方ノズル群16は、車体12の前部かつ車体12の幅方向中央部に設けられた一対の前方内ノズル16aと、車体12の前部かつ車体12の幅方向両側部にそれぞれ設けられた前方外ノズル16bとを含み、前方外ノズル16bは、車体12の幅方向における配設位置が調節可能に設けられている。この構成によれば、前方外ノズル16bの車体12の幅方向における配設位置を調節することにより、様々な通路の幅に対応させることができる。また、管理用通路6に一対の走行用レール7が敷設されている場合でも、前方内ノズル16a及び前方外ノズル16bにより、走行用レール7の内側及び外側をそれぞれ掃除することができる。さらに、通路内に前方外ノズル16bに干渉する障害物があれば、該前方外ノズル16bの配設位置を車体12の幅方向内方へ移動させることにより該障害物を回避することができる。
【0032】
また、ブロワー装置15による圧力風を車体12の側方へ噴出するサイドノズル17を備え、該サイドノズル17は、前方外ノズル16bと一体的に前記配設位置が調節可能に設けられている。この構成によれば、サイドノズル17から車体12の側方に向けて圧力風を噴出することにより、通路に沿って設置されている栽培ベッド5の下方のゴミを隣の通路に押し出すことができ、該ゴミを該隣の通路での作業時に容易に掃除することができる。
【0033】
また、車体12の前部及び後部には、それぞれ前方ハンドル13及び後方ハンドル14が配設され、該前方ハンドル13及び後方ハンドル14のそれぞれで車体操作が可能に構成されている。この構成によれば、車体12を通路6,7に沿って前方又は後方に進行させたり、車体12を別の通路6,7に移動させるために持ち上げ又は旋回させたりする車体操作を、車体12の前部及び後部の両側において行うことができる。
【0034】
また、前方ノズル群16の各ノズル16a,16b及びサイドノズル17は、前記走行手段としての車輪11の接地面に対する上下方向の配設位置が調節可能に構成されている。この構成によれば、ゴミの種類や、走行用レール7の高さ等に応じて、前記上下方向の配設位置を適宜調節することができる。
【0035】
さらに、本発明の園芸ハウス用掃除システム1は、園芸ハウス用掃除機2と、該園芸ハウス用掃除機の進行方向前方に間隔をおいて設置され、前記前方ノズル群16から噴出する圧力風で吹き飛ばされるゴミを回収する回収ネット3とを備えている。この構成によれば、回収ネット3に向かって園芸ハウス用掃除機2を走行させることにより、ゴミを回収ネット3に回収することができる。
【0036】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のように、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することもできる。
(1)車輪11の駆動部を車体12に搭載することにより、車体12を自走式に構成すること。
(2)走行手段として路面を走行する車輪を備えさせ、走行用レール7が敷設されていない管理用通路6で使用すること。
(3)走行手段としての車輪11の接地面に対する上下方向の配設位置が調節可能に構成されている態様を、前記実施形態の態様、すなわち「車体12に対する前方ノズル群16の各ノズル16a,16b及びサイドノズル17の上下方向の配設位置を調節可能にすることにより実現する態様」に代えて又は加えて、「車輪11による車体12の支持高さを調節可能にすることにより実現する態様」を備えさせること。
【符号の説明】
【0037】
1 園芸ハウス用掃除システム
2 園芸ハウス用掃除機
3 回収ネット
5 栽培ベッド
6 管理用通路
7 走行用レール
8 作業用通路
9 園芸ハウス
11 車輪
11a 円環部
12 車体
13 前方ハンドル
13a 持ち手
14 後方ハンドル
15 ブロワー装置
16 前方ノズル群
16a 前方内ノズル
16b 前方外ノズル
17 サイドノズル
18 スロットルレバー
21 メインダクトホース
22 分配ケース
22a 前方外ノズル配管口
22b サイドノズル配管口
24 ダクトホース
25 ダクトホース
26 スライドパイプ支え
27 スライド桿
28 固定ネジ
31 枠体
31a 開口
32 脚部
33 ネット
F 機体前側
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7