(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-01
(45)【発行日】2022-11-10
(54)【発明の名称】アスベスト3次元マップ生成システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/08 20120101AFI20221102BHJP
G06Q 10/00 20120101ALI20221102BHJP
【FI】
G06Q50/08
G06Q10/00 300
(21)【出願番号】P 2020121738
(22)【出願日】2020-07-15
【審査請求日】2022-03-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520262881
【氏名又は名称】株式会社アスマップ
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 泰啓
【審査官】牧 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-107286(JP,A)
【文献】特開2017-134760(JP,A)
【文献】特表2020-507776(JP,A)
【文献】特開2009-157739(JP,A)
【文献】特開2016-017354(JP,A)
【文献】特開2019-191638(JP,A)
【文献】特開2012-068698(JP,A)
【文献】特開2019-028595(JP,A)
【文献】建設ITガイド2019 ,一般財団法人経済調査会,2019年02月10日,p.92-95,ISBN: 978-4-86374-257-4
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象構造物の基礎寸法データに基づき対象構造物の3次元構造データを生成する3次元構造データ生成部と、
対象構造物の特定箇所毎のアスベストの調査又は分析データを保存して管理する調査・分析データ管理部と、
対象構造物の3次元構造データと前記特定箇所とを関連付け、前記特定箇所又は前記特定箇所毎のアスベストの調査又は分析データが参照可能なアスベスト3次元マップを生成する3次元マップ生成部とを備えた情報管理サーバを有
し、
前記3次元マップ生成部は、対象構造物の設計データ、改築データ、及び調査データの少なくともいずれかに基づき、前記特定箇所と同等のアスベストの含有率を有する等価エリアを特定し、前記アスベスト3次元マップ上に前記等価エリアを識別可能に表示することを特徴とするアスベスト3次元マップ生成システム。
【請求項2】
前記アスベスト3次元マップはWebページ上で視点を変えて閲覧可能にユーザ端末に提供され、前記特定箇所が参照可能なアスベスト3次元マップが提供される場合、ユーザがアスベスト3次元マップ中の特定箇所を選択すると、選択された特定箇所のアスベストの調査又は分析データを提供することを特徴とする請求項1に記載のアスベスト3次元マップ生成システム。
【請求項3】
前記3次元マップ生成部は、対象構造物の特定箇所毎のアスベストの分析データ、対象構造物の設計データ、改築データ、及び調査データの少なくともいずれかに基づき、対象構造物内にアスベストを含むエリアとアスベストを含まないエリアが共存する場合、前記アスベスト3次元マップ上に当該2つのエリアを識別可能に表示することを特徴とする請求項1
又は2に記載のアスベスト3次元マップ生成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスベスト3次元マップ生成システムに関し、特に、対象構造物のアスベストの調査又は分析データを取得した特定箇所及びその箇所のアスベストの調査又は分析データを参照可能な対象構造物のアスベスト3次元マップとして生成するアスベスト3次元マップ生成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
アスベストは耐熱性や断熱性などの熱特性が優れるとともに絶縁性などの電気的特性も安定して良好であることから、過去には建築構造物に盛んに使用されていた。しかし、アスベストの繊維が非常に細く、アスベストを取り扱う現場の作業者にアスベストの粉塵を吸い込んでしまったことにより肺線維症や肺がんなどの健康被害が多く発生することが明らかになり、吹付けアスベストの禁止を始め多くの法律でアスベストの使用禁止や取り扱いの制限が規定され、現在では新たな建築構造物には使用されていない。
【0003】
しかし過去に建築され、現存する建築構造物にはアスベストを含有するものが数多く含まれ、その数は数百万棟に上るともいわれている。こうしたアスベストを含有する建築構造物を解体する際、アスベストを含む粉塵が発生することから、作業者の健康被害を防ぐための多くの規制が定められている。
アスベストに関する規制は、今後さらに強化される見込みであり、建築構造物の解体や改修前に事前調査を行って、その結果を報告することが義務化されることも検討されている。建築構造物の解体や改修を行う業者にとっては、報告の義務如何に拘わらず、対象となる構造物のどこにどのように、或はどれだけのアスベストが含まれているかを事前に把握することは、作業者の安全を確保する上で必須のニーズである。
【0004】
現状では解体や改修の対象となる建築構造物(以下、対象構造物と称す)の事前調査は、解体や改修を行う業者が個別にサンプルを採取して分析機関に分析を依頼する形で行われている。ビルのような大きな対象構造物の場合、複数個所で分析サンプルを採取することになるが、これによる分析結果は分析機関から個別に提供される。そこで、こうした大きな対象構造物を解体する場合、サンプルを採取した場所とその分析データを、対象構造物の設計データなどと突き合わせて、アスベストが含まれるエリアを特定し、解体や改修を行う作業者が分かり易く、又いつでも参照できる形で整理する必要がある。このような形で分析データが整理できれば、報告書の作成にも有効に活用できるようになる。しかし現状ではせいぜい対象構造物の2次元の構造図に記載することくらいしか行われていないため、分かりにくくまた使い勝手が良くない。
【0005】
特許文献1には、分析機関に分析を依頼しなくても、既存建築物の解体現場において現地で廃棄物を撮影し、得られた画像に基づいてアスベストを含んでいるか否かを検出する装置及び方法が開示されている。特許文献1に記載の発明によれば、所定波長の近赤外線光を通過させる近赤外分光フィルタを介して撮影した検出対象物の画像データを使用し、その場で検出対象物がアスベストを含んでいるか否かを判定できる。
【0006】
しかし、ビルや工場プラントのような大きな対象構造物では複数の点でアスベストの有無を判定する必要があり、得られた複数のデータをどのように解体作業に生かし、また解体に当たる作業者に分かり易く伝えるかについては特許文献1には記載されていない。
プラントなどを含む建築構造物の解体や改修前の事前調査において得られた特定箇所毎のアスベストの分析データを集約し、対象となる構造物のどこのエリアにどれだけのアスベストが含まれるかを、視覚的に分かり易く、また容易に参照することができる3次元データとして生成及び提供可能なシステムの実現が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来のアスベストのデータ管理における問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、対象構造物のアスベストの調査又は分析データを取得した特定箇所又はその箇所のアスベストの調査又は分析データを、視覚的に分かり易く、また容易に参照可能な対象構造物のアスベスト3次元マップとして生成するアスベスト3次元マップ生成システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するためになされた本発明によるアスベスト3次元マップ生成システムは、対象構造物の基礎寸法データに基づき対象構造物の3次元構造データを生成する3次元構造データ生成部と、対象構造物の特定箇所毎のアスベストの調査又は分析データを保存して管理する調査・分析データ管理部と、対象構造物の3次元構造データと前記特定箇所とを関連付け、前記特定箇所又は前記特定箇所毎のアスベストの調査又は分析データが参照可能なアスベスト3次元マップを生成する3次元マップ生成部とを備えた情報管理サーバを有し、前記3次元マップ生成部は、対象構造物の設計データ、改築データ、及び調査データの少なくともいずれかに基づき、前記特定箇所と同等のアスベストの含有率を有する等価エリアを特定し、前記アスベスト3次元マップ上に前記等価エリアを識別可能に表示することを特徴とする。
【0010】
前記アスベスト3次元マップはWebページ上で視点を変えて閲覧可能にユーザ端末に提供され、前記特定箇所が参照可能なアスベスト3次元マップが提供される場合、ユーザがアスベスト3次元マップ中の特定箇所を選択すると、選択された特定箇所のアスベストの調査又は分析データを提供することが好ましい。
【0012】
前記3次元マップ生成部は、対象構造物の特定箇所毎のアスベストの分析データ、対象構造物の設計データ、改築データ、及び調査データの少なくともいずれかに基づき、対象構造物内にアスベストを含むエリアとアスベストを含まないエリアが共存する場合、前記アスベスト3次元マップ上に当該2つのエリアを識別可能に表示することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るアスベスト3次元マップ生成システムによれば、アスベストの調査又は分析を行った対象構造物の構造データが3次元データとして表示され、調査又は分析に関するデータは、その表示の中で、アスベストの調査又は分析を行った特定箇所がどこに位置するのか、またその特定箇所毎のアスベストの調査又は分析データの内容が容易に参照できるように表示されるアスベスト3次元マップとして生成されるので、視覚的に分かり易く調査又は分析データの活用が可能となる。
【0014】
また、本発明に係るアスベスト3次元マップ生成システムによれば、アスベストの調査又は分析を行った特定箇所とその箇所のアスベストの調査又は分析データを参照可能なアスベスト3次元マップは、Webページ上で視点を変えて閲覧可能にユーザ端末に提供されるので、対象構造物を解体する作業者を始め、アスベストの調査又は分析データを参照したいユーザは、いつでも使用する端末機器からWebページにアクセスして、アスベストの調査又は分析データを参照することが可能となる。
【0015】
さらに、本発明に係るアスベスト3次元マップ生成システムによれば、対象構造物の設計データ、改築データ調査又は調査データの少なくともいずれかに基づき、特定箇所と同等のアスベストの含有率を有する等価エリアを特定し、アスベスト3次元マップ上に等価エリアを識別可能に表示し、また、対象構造物内にアスベストを含むエリアとアスベストを含まないエリアが共存する場合、アスベスト3次元マップ上に当該2つのエリアを識別可能に表示するため、改修・解体作業に限らず不動産鑑定においても、どのエリアにアスベスト対策を施す必要があるかが容易に把握できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態によるアスベスト3次元マップ生成システムの構成を概略的に示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態による3次元構造データの一例を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態による付加情報付きの3次元構造データの一例を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態によるアスベスト3次元マップの一例を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態による等価エリア表示付きのアスベスト3次元マップの一例を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態によるアスベスト3次元マップ生成システムの作業フローを説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明に係るアスベスト3次元マップ生成システムを実施するための形態の具体例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態によるアスベスト3次元マップ生成システムの構成を概略的に示すブロック図である。
【0018】
図1を参照すると、本発明の実施形態によるアスベスト3次元マップ生成システム1は、改修や解体作業の対象構造物のアスベストの含有情報を管理し、視覚的に分かり易いアスベスト3次元マップとして出力する情報管理サーバ10、対象構造物の調査又は分析箇所などのデータを入力する作業者端末20、及び、ネットワーク50を介して情報管理サーバ10から対象構造物の調査又は分析データを取得するユーザ端末30を有する。
【0019】
過去には建築構造物に多く使用されていたアスベストは、人体に対する有害性が明らかになり、現在では使用が規制されているが、アスベストが使用された建築構造物は、住宅、商業施設、工場プラントなど多様な形態で現在も非常に多く残存している。このような建築構造物に対し改修や解体作業などを行うとアスベストが飛散し、作業者の健康被害が懸念される。
【0020】
本発明の実施形態によるアスベスト3次元マップ生成システム1は、不動産鑑定、改修や解体作業の対象となる対象構造物のアスベストに関する調査又は分析データを保存して管理し、対象構造物の設計図や現場での寸法実測値などの基礎寸法データに基づいて対象構造物の3次元構造データを生成したうえで、保存した調査又は分析データを採取した対象構造物の特定箇所と3次元構造データとを関連付けし、特定箇所又は特定箇所毎のアスベストの調査又は分析データが参照可能なアスベスト3次元マップを生成及び出力するシステムである。
【0021】
出力されるアスベスト3次元マップは、Webページ上で視点を変えて閲覧可能に提供されるため、現場で改修や解体作業に当たる作業者を始め、改修や解体作業の仕様を決定する技術者や対象構造物の管理者等多くのユーザがユーザ端末30を介して、いつでも対象構造物のどこに、或はどれだけのアスベストが含有されているかを分かり易く閲覧することができる。
【0022】
以下、情報管理サーバ10、作業者端末20、及びユーザ端末30の各構成要素について順に説明する。
情報管理サーバ10は、制御部11、入出力部12、記憶部13、表示部14、3次元構造データ生成部15、調査・分析データ管理部16、及び3次元マップ生成部17を備える。
【0023】
3次元構造データ生成部15は、対象構造物の設計図や、現場での寸法実測値などの基礎寸法データに基づいて対象構造物の3次元構造データを生成する。
対象構造物の設計図や設計図に基づく改修図面が残っている場合、3次元構造データ生成部15は、入力された設計図や改修図面の2次元データから3次元構造データを生成する。2次元データから3次元構造データを生成する場合、例えば、2次元データを読み込んだ後、対象構造物の正面図、背面図、左右の側面図をそれぞれ立体的になるように垂直に引き起こし、平面図と整合するように組み合わせて外壁を構成する。これに各階ごとの内装のレイアウト図を組み合わせ、内壁等を立体的に構成して生成する。また対象構造物が複雑な形状で、多方面からの図がある場合には、各図面に奥行きを持たせるように立体化する押し出しの加工処理を行ってから互いに重ね合わせ、重なり部分の輪郭線を抽出して外形線を求めるようにしてもよい。
【0024】
対象構造物の設計図面が残存していない場合や、改修を繰り返し、設計段階の構造と大幅に変更されている場合などは、3次元のレーザースキャナーなどにより、現場での寸法実測を行い、この実測値を基礎寸法データとして対象構造物の3次元構造データを生成する。
【0025】
3次元構造データ生成部15は、設計図や改修図面に、図面データ以外に使用部材の材質や型名等の情報が含まれる場合、これらの情報を、生成した3次元構造データの付加情報として3次元構造データとともに記憶部13に保存する。「断熱材を使用」などの注釈や、「吹付け加工」などの加工方法の記載なども付加情報に含まれる。
【0026】
一実施形態では、3次元構造データ生成部15は、付加情報がある場合、3次元構造データの中に盛り込み、付加情報付き3次元構造データを生成する。付加情報は注釈の形でまとめて表示してもよいし、付加情報が関連するエリアとの対応付けができるようにして3次元構造データ中に表示するようにしてもよい。
【0027】
対象構造物の設計図面が残存せず、現場での寸法実測を行う場合も、現場で使用部材の材質や型名等の情報が得られる場合は、これらの情報を、実測値を基礎寸法データとして生成した3次元構造データの付加情報として、3次元構造データとともに記憶部13に保存する。
【0028】
また、対象構造物の建築や改修の時期がわかっている場合は、この時期も付加情報に含めることが望ましい。これは建築や改修の時期により適用されるアスベストの規制の基準が異なるため、建築や改修の時期に適用される基準からアスベストの含有の可能性の判断が可能となるからである。このため対象構造物の建築や改修の時期がわかる場合、3次元構造データ生成部15は、3次元構造データの内、どの部分がいつ着工したかを識別できるように3次元構造データを構成する。
【0029】
調査・分析データ管理部16は、対象構造物の特定箇所毎のアスベストの調査又は分析データを保存して管理する。特定箇所は、アスベストの調査又は分析を行った場所のことであり、特に分析によりアスベストの含有率の調査を行う場合は、分析のためのサンプルを採取した場所である。調査データは、目視による外観観察や、使用部材に表示されている型名や材質情報を調べることにより、アスベストの含有の可能性を調べたデータであり、分析データは、調査ではアスベストの含有が把握できない場合に、現場で分析用のサンプルを採取し、分析機関に依頼することで得られるデータである。調査、分析はいずれか一方のみが行われることもあるし、併用されることもある。
【0030】
対象構造物の規模が大きくなると、複数箇所での調査や分析が必要となる。もし調査又は分析を行った場所と、その時の調査データや分析データとの対応を間違えてしまうと、例えば、アスベストが含有されているエリアに、防塵対策をしないで改修や解体作業を行ってしまうなどの作業者の健康被害のリスクが発生してしまう。
そこで、実施形態では調査・分析データ管理部16は、特定箇所毎に固有の識別IDを対応させ、調査データや分析データを、対応する特定箇所の識別IDに関連付けして記憶部13に保存する。
【0031】
特定箇所は、実施形態によって、3次元構造データ生成部15により生成された3次元構造データと、その付加情報を参照して予め選定しておき、調査又は分析サンプルの採取を行う担当者が対象構造物の現場に赴き、予め選定された特定箇所に従い、調査又は分析サンプルの採取を行ってもよいし、対象構造物の現場に赴いた調査又は分析サンプルの採取を行う担当者が、現場の状況に応じて特定箇所を選定するようにしてもよい。
【0032】
予め特定箇所を選定してから調査又は分析を行う場合、即ち3次元構造データを調査・分析計画図として使用する場合は、予め特定箇所を選定する時点で特定箇所毎の識別IDを発行してもよいし、調査又は分析サンプルの採取を行う担当者が予め選定された特定箇所にて実際に調査又は分析サンプルの採取を行った時点で識別IDを発行してもよい。
【0033】
一実施形態では、いずれの場合も、調査又は分析サンプルの採取を行う担当者は、ネットワーク50を介して情報管理サーバ10と通信可能な作業者端末20を携行し、実際に調査又は分析サンプルの採取を行った特定箇所の撮影を行い、取得した画像データを情報管理サーバ10に送信する。情報管理サーバ10では、受信した特定箇所の画像データを該当する特定箇所の識別IDと関連付けして保存する。これにより、現場で特定箇所を確認する際の確実性が向上する。
【0034】
特定箇所を予め選定しないで調査又は分析サンプルの採取を行う場合、一実施形態では、担当者が調査又は分析サンプルの採取を行った特定箇所を、携行する作業者端末20に位置がわかるように入力して情報管理サーバ10に送信し、情報管理サーバ10では受信した特定箇所の情報に対し固有の識別IDを発行し、特定箇所の情報を発行した識別IDと関連付けして保存する。このとき作業者端末20により特定箇所の撮影を行い、その画像データも添付する。
【0035】
特定箇所の情報は、例えば「2階、第1階段脇の壁中央部」のように言葉で入力してもよいが、実施形態では3次元構造データ生成部15が生成した3次元構造データを作業者端末20により受信し、受信した3次元構造データ上で位置を指定することにより作成し、この情報を情報管理サーバ10に送信して保存するようにする。また、作業者端末20が位置情報、高度情報、方位情報などの検知手段を備える場合は、作業者端末20により特定箇所の撮影を行った時点で、作業者端末20の位置情報、高度情報、方位情報を取得し、これを特定箇所の情報としてもよい。
【0036】
対象構造物の調査を行う場合、担当者は調査結果を特定箇所毎に作業者端末20に入力し、情報管理サーバ10に送信する。情報管理サーバ10では、調査・分析データ管理部16にて該当する特定箇所の識別ID毎に対応付けして記憶部13に保存する。
対象構造物の分析を行う場合、担当者は採取した分析用のサンプルを、サンプルを採取した特定箇所と対応が付くようにして分析機関にアスベストの分析を依頼する。分析の結果は、情報管理サーバ10に特定箇所毎のデータとして入力され、調査・分析データ管理部16は、入力されたデータを特定箇所のそれぞれの識別IDと関連付けして、記憶部13に保存する。
対象構造物が複数ある場合、調査・分析データ管理部16は、対象構造物毎に固有の構造物IDを発行し、対象構造物毎に調査又は分析データが参照できるように管理する。
【0037】
3次元マップ生成部17は、対象構造物の3次元構造データと特定箇所とを関連付け、特定箇所又は特定箇所毎のアスベストの調査又は分析データが参照可能なアスベスト3次元マップを生成する。
3次元マップ生成部17が生成するアスベスト3次元マップは、Webページ上で視点を変えて閲覧可能にユーザ端末30に提供される。そこでユーザは、例えばアスベスト3次元マップ上の1点をマウスなどでクリックしたまま任意の方向に移動し、その方向に移動量に対応した角度分回転したアスベスト3次元マップ画像を閲覧することができる。
【0038】
実施形態において、特定箇所が参照可能なアスベスト3次元マップが提供される場合、ユーザがアスベスト3次元マップ中の特定箇所を選択すると、3次元マップ生成部17は、選択された特定箇所のアスベストの調査又は分析データを提供する。一実施形態では、対象構造物の特定箇所が少なく、調査又は分析データも情報量が少ない場合、3次元マップ生成部17は、アスベスト3次元マップ上で特定箇所の位置と、その特定箇所の調査又は分析データが同時に参照できるように表示するアスベスト3次元マップを生成する。
【0039】
また、3次元マップ生成部17は、対象構造物の設計データ、改築データ、及び調査データの少なくともいずれかに基づき、特定箇所と同等のアスベストの含有率を有する等価エリアを特定し、アスベスト3次元マップ上に等価エリアを識別可能に表示する。調査の場合は、アスベストの有無に関する調査データは、使われている部材の状況などから、エリアに対するデータとしてまとめることができるが、分析の場合は、サンプル採取場所が限られるので、分析データがどのエリアまでを代表するものかがわからない。そこで3次元マップ生成部17は、対象構造物の設計データ、改築データ、及び調査データの少なくともいずれかに基づき、分析サンプルを取得した特定箇所と材質が同等と思われるエリアを特定箇所と同等のアスベストの含有率を有する等価エリアとして特定する。これにより等価エリアの工事を行う場合、作業者はアスベスト3次元マップを参照して、特定箇所と同等のアスベストの含有率を有するエリアとして認識し、適正な防塵対策を施すことが可能となる。
【0040】
尚、同じ材質の材料を使用していても、その材料の製造時期や改修などに使用した時期により適用されるアスベストの規制の基準が異なり、想定されるアスベストの含有率が異なってくることが有る。そのため実施形態では3次元構造データの付加情報として改修などの時期が含まれる場合は、この時期を考慮して等価エリアを特定する。一実施形態ではアスベストの規制の基準の変更時期とそれに伴うアスベストの規制値をデータベースとして保存し、付加情報に改修などの時期が含まれる場合、このデータベースを基にアスベストの含有の可能性や想定される最大の含有率を参照し等価エリアの特定に使用する。
【0041】
さらに、3次元マップ生成部17は、対象構造物の特定箇所毎のアスベストの分析データ、対象構造物の設計データ、改築データ、及び調査データの少なくともいずれかに基づき、対象構造物内にアスベストを含むエリアとアスベストを含まないエリアが共存する場合、アスベスト3次元マップ上に当該2つのエリアを識別可能に表示する。
ユーザによってはアスベストの含有率までは求めず、対象構造物がアスベストを含有するか否かの情報が求められる。例えば不動産鑑定などで対象構造物の価値を判定する場合などである。またプラントなどの大型施設の場合は、対象構造物がアスベストを含有するか否か、またアスベストを含有する場合はどの施設がアスベストを含有しているかがわかれば、改修や解体作業の範囲の特定などに利用しやすい。そこで3次元マップ生成部17は、アスベストを含むエリアと含まないエリアが簡単に識別できるようなアスベスト3次元マップを生成して提供する。
【0042】
実施形態によっては、アスベストを含有するか否かの判定条件の代わりに、最新のアスベストの規制の基準に基づき、アスベストの含有率が規制値を超えるか超えないかでエリアを区分してアスベスト3次元マップとして表示するようにしてもよい。
【0043】
入出力部12は、ネットワーク50を介して作業者端末20やユーザ端末30とデータを送受信するための通信手段を有する。また分析データや3次元構造データの付加情報などを入力するためのキーボード、タッチパネル、マウスなどの入力手段のいずれかを備える。また設計図や改修図面等の2次元データを読み込むためのスキャナなどを外部接続機器として備える。
記憶部13は、3次元構造データ、付加情報、調査データ、分析データ、アスベスト3次元マップデータなどの各種データの他、情報管理サーバ10自身の基本動作を制御する制御プログラムなどのプログラムを保存する。記憶部13はメモリ半導体やハードディスクドライブなどの記憶手段で実現化される。
【0044】
表示部14は、記憶部13に保存した各種データの表示を行う。また必要により制御プログラムなどのプログラムの表示を行う。表示部14は液晶パネルや有機ELパネルなどで実現化される。
制御部11は、情報管理サーバ10の各構成要素が上記で説明した機能を果たすように制御する。制御部11はマイクロコンピュータなどの半導体装置を含む制御回路により実現化される。
【0045】
作業者端末20は、制御部21、入出力部22、記憶部23、表示部24、及び画像取得部25を備える。
作業者端末20は、対象構造物の調査又は分析サンプルの採取を行う担当者が携行する端末機器であり、調査の場合、担当者はアスベストが含有されていると判断される材料がどのエリアにどのように使用されているかを調べて、その結果を、調査を行った特定箇所毎に作業者端末20に入力する。分析サンプルの採取の場合、担当者は、分析サンプルの採取を行った特定箇所を、その位置がわかるように作業者端末20に入力する。一実施形態では、調査又は分析サンプルの採取の際、作業者端末20により特定箇所の撮影を行い、調査結果や分析サンプルの採取の位置などの情報とともに情報管理サーバ10に送信する。
【0046】
入出力部22は、調査結果などを入力するためのタッチパネルなどの入力手段を備える。また、入力された調査結果や撮影した画像データを情報管理サーバ10に送信したり、情報管理サーバ10から3次元構造データを受信したりするための通信手段を備える。
記憶部23は、入力された調査結果や撮影した画像データの他、受信した3次元構造データなどのデータを保存する。また、作業者端末20自身の基本動作を制御する制御プログラムなどのプログラムを保存する。
【0047】
表示部24は、調査結果や分析サンプルの採取を行った特定箇所の入力画面を表示したり、受信した3次元構造データを表示したりする。また必要によりアプリケーションプログラムを始め各種プログラムを表示する。
画像取得部25は、調査や分析サンプルを取得する特定箇所の画像を取得する。画像取得部25は、カメラにより実現される。
制御部21は、作業者端末20の各構成要素が上記で説明した機能を果たすように制御する。
作業者端末20は、スマートフォンやタブレット端末に専用のアプリケーションプログラムを実装することで実現化される。
【0048】
ユーザ端末30は、情報管理サーバ10が提供するアスベスト3次元マップを利用する改修又は解体作業の作業者や、改修又は解体作業の仕様を決定する技術者などのユーザが利用する端末機器であり、制御部31、入出力部32、記憶部33、表示部34を備える。
ユーザは、アスベスト3次元マップを利用する場合、情報管理サーバ10が提供するWebページにアクセスして、アスベスト3次元マップを表示部34に表示させ、必要によりアスベスト3次元マップの視点を変えるように回転して閲覧する。
【0049】
入出力部32は、Webページにアクセスしたり、アスベスト3次元マップを受信したりするための通信手段を備える。またWebページにアクセスするときの入力やアスベスト3次元マップの閲覧時の操作の際の入力のためのタッチパネルなどの入力手段を備える。
記憶部33は、アスベスト3次元マップの1画面を切り出したコピーデータなどのデータの他、ユーザ端末30自身の基本動作を制御する制御プログラムなどのプログラムを保存する。
【0050】
表示部34は、受信したアスベスト3次元マップやそれに関連するアスベストの分析データなどを表示する。
制御部31は、ユーザ端末30の各構成要素が上記で説明した機能を果たすように制御する。
ユーザ端末30は、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータなどで実現化される。
ネットワーク50は、インターネットなどの広域のネットワーク50である。
【0051】
図2は、本発明の実施形態による3次元構造データの一例を示す図である。
図2(a)は対象構造物全体が表示画面内に収まるように出力する例であり、
図2(b)は
図2(a)の一部を拡大表示した例である。
【0052】
図2(a)を参照すると、本発明の実施形態による3次元構造データ60は、地面62に対し地下3階、地上8階(一部11階)の対象構造物61が建築された状態を3次元的に示す。3次元構造データ60は、情報管理サーバ10の表示部14に限らず、情報管理サーバ10とネットワーク50を介して接続される作業者端末20の表示部24でも表示して確認することができるように提供される。表示される3次元構造データ60は、表示画面内の任意の点をクリックして移動することで、その移動方向と移動量に応じて、元の3次元構造データ60が回転した図として表示される。また、任意の点を基準として拡大したり縮小したりして観察することも可能である。
対象構造物61は、例えば設計データ、改築データを基に生成され、
図2(a)の例では、左下に示すxyz座標系の任意のyz平面で切断した断面を含めて表示している。
【0053】
図2(b)は
図2(a)の右下部分を拡大して表示した3次元構造データ60である。
拡大表示にしても3次元構造データ60は回転して観察することが可能であり、これにより壁や柱などの内部構造を、より詳細に観察することができる。
【0054】
図3は、本発明の実施形態による付加情報付きの3次元構造データの一例を示す図である。
設計データや改築データに付加情報を含む場合、3次元構造データ60に付加情報を含めて表示することができ、
図3を参照すると、
図2(b)の拡大表示に加え、付加情報70、71、72が表示されている。例えば、付加情報70は対象構造物61が元々1970年に建築されたものであり、地下部分で地面62に接する外壁の内装に使用される断熱材の種類が何かを示す情報である。付加情報71は地下3階部分が2007年に改装され、その際に地下部分で地面62に接する外壁の内装の吹付け材が除去され、断熱材を変更したことを示す情報である。付加情報72は同じく地下3階部分が2007年に改装され、居室の隔壁がどの材料で構成されているかを示す情報である。一実施形態では付加情報71や72のように対象範囲が明確な場合は、色分けや網掛け模様の違いなどにより、対象エリアが識別できるように表示する。
【0055】
図4は、本発明の実施形態によるアスベスト3次元マップの一例を示す図である。
図4を参照すると、3次元構造データ60に、アスベストの調査又は分析を行った特定箇所80を付加して生成されたアスベスト3次元マップ65は、対象構造物61の3次元構造データ60の中で、位置がわかるように特定箇所80を対応する位置に表示する。
図4の例では、特定箇所80は黒四角の背景上に白の×印を付したシンボルで示すが、位置がわかるように表示されれば、シンボルの色や形状はどのようなものでも構わない。
【0056】
それぞれの特定箇所80には、区別を明確にするように識別ID81を併せて表示する。例えば
図4の略中央に示す対象構造物61の1階の居室の隔壁の特定箇所80に対して、識別ID81として「CP001」が関連付けられ、アスベスト3次元マップ65の中で当該特定箇所80のシンボルに近接して表示される。特定箇所80がアスベスト分析サンプルの取得場所を示す場合、一実施形態ではアスベスト3次元マップ65の中で特定箇所80のシンボルをクリックすると、その特定箇所80におけるアスベストの分析データを表示するように構成される。特定箇所80が調査を行った場所を示す場合、分析によらず、調査により使用されている材料の仕様からアスベストの含有率などが推定されるときは、特定箇所80のシンボルをクリックすると、調査結果から得られるアスベストの含有率の推定値を表示するようにしてもよい。
【0057】
図5は、本発明の実施形態による等価エリア表示付きのアスベスト3次元マップの一例を示す図である。
図5を参照すると、
図4のアスベスト3次元マップ65に加えて等価エリア(90、91)を示す網掛けが付加されている。等価エリア(90、91)は特定箇所80の分析データ、及び対象構造物61の設計データ、改築データ、及び調査データの少なくともいずれかに基づき特定箇所80と同等のアスベストの含有率を有すると判断されるエリアである。
【0058】
例えば識別ID81が、CP001~CP005の5点の特定箇所80でサンプルを分析し、CP002とCP003の2点で含有率の異なるアスベストが検出された場合、情報管理サーバ10はアスベスト3次元マップ65上で、設計データなどからCP002の特定箇所80と同等のアスベストの含有率を有すると判断されるエリアを斜線で示す等価エリア90として、同様にCP003の特定箇所80と同等と判断されるエリアを縦線で示す等価エリア91として識別可能に表示する。
【0059】
このようにしてスポット的なアスベストの分析データを適用可能なエリアを示すことでより広く有効に活用することができる。
図5に示すアスベスト3次元マップ65は一つの実施形態であって、等価エリア(90、91)の表示は、実施形態によって様々な網掛けパターンで区別してもよいし、色分けにより区別して表示してもよい。また、単純にアスベストを含むか否かの情報だけでよい場合は、等価エリア(90、91)同士で区別せず1種類の網掛けパターンや色表示でアスベストが含有されるエリアを識別するように表示してもよい。
【0060】
図6は、本発明の実施形態によるアスベスト3次元マップ生成システムの作業フローを説明するためのフローチャートである。
図6を参照すると、段階S100にて情報管理サーバ10に対象構造物の基礎寸法データを入力する。基礎寸法データは対象構造物の3次元構造データを生成するための基となるデータであり、設計図や設計図に基づく改修図面がある場合は、これらの図面をスキャナ等で読み込むことで入力される。設計図や改修図面が入手できない場合は、3次元のレーザースキャナーなどにより、現場での寸法実測を行い、この実測値を基礎寸法データとして入力する。
【0061】
次に段階S105にて、入力した基礎寸法データに対して付加情報があるか否かを判断する。現場での寸法実測などにより、予めアスベストの含有が懸念される材料が使用されていることが判明し、基礎寸法データとともに付加情報が入力及び登録されている場合、情報管理サーバ10は、付加情報があるか否かを、登録された付加情報の有無により判断することができる。付加情報が設計図や改修図面の中の注釈の様な記載にしかない場合は、読み込んだ図面のデータに基づきオペレータの採否の判断を加えるようにしてもよい。
【0062】
付加情報がある場合、情報管理サーバ10は、基礎寸法データと付加情報より付加情報付き3次元構造データを生成する(段階S110)。付加情報がテキストファイルとして基礎寸法データとは別に登録されている場合、情報管理サーバ10は保存されたテキストファイルから付加情報のテキストを抽出し、3次元構造データにテキストボックスのようにして付加してもよい。付加情報の関連するエリアが明確である場合は、オペレータからの入力を受けて関連するエリアがわかるように、例えば吹き出しデータのように関連付けして3次元構造データに付加情報を付加する。
【0063】
段階S115にて、対象構造物の調査又は分析サンプルの採取を行った特定箇所の入力を行う。付加情報付き3次元構造データを参照して予め特定箇所を選定できる場合は、付加情報付き3次元構造データ上でオペレータが特定箇所を順次指定し、情報管理サーバ10は指定された位置を付加情報付き3次元構造データと対応付けして保存する。このとき情報管理サーバ10は特定箇所毎に固有の識別IDを発行し、識別IDと指定された位置を関連付けして保存する。
【0064】
実際に対象構造物の現場にて状況を見ながらでないと特定箇所が明確にできない場合、情報管理サーバ10は、対象構造物の調査又は分析サンプルの採取を行う担当者が携行する作業者端末20からの特定箇所の位置を示す情報を受信し、特定箇所毎に固有の識別IDを発行し、識別IDと受信した特定箇所の位置を示す情報を関連付けして保存する。
【0065】
次いで段階S120にて、特定箇所毎の調査又は分析データを入力する。調査データは調査を行う担当者が作業者端末20に入力した調査データを受信して入力してもよいし、現場で調査した結果をまとめて情報管理サーバ10に直接入力するようにしてもよい。一方、分析データの入力は、分析を依頼した分析機関の端末から送信される分析結果の電子データを受信して入力してもよいし、分析結果が書面として送付される場合は、送付された書面に基づきオペレータが入力するようにしてもよい。入力された調査又は分析データは特定箇所毎の識別IDと関連付けされて記憶部13に保存される。
【0066】
保存された調査又は分析データは特定箇所に限らず、特定箇所と等価なエリアが広がっていたり他にも存在したりすれば、その等価なエリアを含む代表データとすることで、特に個別に費用の掛かる分析結果を有効に活用することができる。そこで情報管理サーバ10は、段階S125にて、対象構造物の設計データ、改築データ、及び調査データの少なくともいずれかに基づき、分析サンプルを取得した特定箇所と材質が同等と思われるエリアを特定箇所と同等のアスベストの含有率を有する等価エリアとして特定する。
【0067】
最後に情報管理サーバ10は、保存した特定箇所及び当該特定箇所の調査又は分析データを段階S110で生成した付加情報付き3次元構造データに盛り込み、特定箇所又は特定箇所毎のアスベストの調査又は分析データが参照可能なアスベスト3次元マップを生成する(段階S130)。一実施形態では、アスベスト3次元マップには段階S125にて特定した等価エリアも識別可能に表示する。また、対象構造物の特定箇所毎のアスベストの分析データ、対象構造物の設計データ、改築データ、及び調査データの少なくともいずれかに基づき、対象構造物内にアスベストを含むエリアとアスベストを含まないエリアが共存する場合、アスベスト3次元マップ上に当該2つのエリアを識別可能に表示するようにしてもよい。
このように実施形態によるアスベスト3次元マップは様々な表示形態があるが、これらの表示形態はWebページ上で表示形態を選択可能にユーザに提供するようにしてもよい。
【0068】
段階S105に戻って、対象構造物の基礎寸法データに付加情報がない場合、即ち形状の情報しかない場合は、情報管理サーバ10は基礎寸法データに基づき3次元構造データを生成する(段階S135)。
付加情報がない場合は特定箇所を選定するのが難しいため、情報管理サーバ10は段階S140にて、作業者端末20から送信される特定箇所の位置を示す情報を受信し、特定箇所毎に固有の識別IDを発行して特定箇所の位置を示す情報と関連付けして保存する。
【0069】
さらに、特定箇所毎の調査又は分析データを入力する(段階S145)。このときの詳細は段階S120にて説明した入力方法と変わらない。
最後に情報管理サーバ10は、保存した特定箇所及び当該特定箇所の調査又は分析データを段階S135で生成した3次元構造データに盛り込み、特定箇所又は記特定箇所毎のアスベストの調査又は分析データが参照可能なアスベスト3次元マップを生成する(段階S150)。
【0070】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更することが可能である。
【符号の説明】
【0071】
1 アスベスト3次元マップ生成システム
10 情報管理サーバ
11、21、31 制御部
12、22、32 入出力部
13、23、33 記憶部
14、24、34 表示部
15 3次元構造データ生成部
16 調査・分析データ管理部
17 3次元マップ生成部
20 作業者端末
25 画像取得部
30 ユーザ端末
50 ネットワーク
60 3次元構造データ
61 対象構造物
62 地面
65 アスベスト3次元マップ
70、71、72 付加情報
80 特定箇所
81 識別ID
90、91 等価エリア