(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-01
(45)【発行日】2022-11-10
(54)【発明の名称】フレネルレンズ、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 59/02 20060101AFI20221102BHJP
B29C 33/42 20060101ALI20221102BHJP
G02B 3/08 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
B29C59/02 Z
B29C33/42
G02B3/08
(21)【出願番号】P 2017135254
(22)【出願日】2017-07-11
【審査請求日】2020-05-28
【審判番号】
【審判請求日】2021-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000002901
【氏名又は名称】株式会社ダイセル
(74)【代理人】
【識別番号】110002239
【氏名又は名称】弁理士法人G-chemical
(72)【発明者】
【氏名】藤川 武
(72)【発明者】
【氏名】福井 貞之
【合議体】
【審判長】松波 由美子
【審判官】井口 猶二
【審判官】小濱 健太
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/098736(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/034507(WO,A1)
【文献】特開2002-321243(JP,A)
【文献】特開2017-26759(JP,A)
【文献】特開2016-129263(JP,A)
【文献】特開2007-286499(JP,A)
【文献】特開2017-65173(JP,A)
【文献】特開2016-115779(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 3/08
B29C 59/02
B29C 33/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーンモールドに対する接触角が30°以下、25℃、せん断速度20(1/s)における粘度が0.1~1.0Pa・sであり、硬化物の破断ひずみ(JIS-K7162:1994に準拠)が0.1~30%である硬化性組成物
を、下記(1)~(3)の何れかの方法により
ナノインプリント成型し、硬化して、下記フレネルレンズを製造する、フレネルレンズの製造方法。
(1)基板に硬化性組成物を塗布し、その上にシリコーンモールドを押し付け、硬化性組成物を硬化させた後、モールドを剥離する方法
(2)シリコーンモールドに硬化性組成物を塗布し、その上から基板を押し付け、硬化性組成物を硬化させた後、シリコーンモールドを剥離する方法
(3)シリコーンモールドの上型と下型の少なくとも一方に硬化性組成物を塗布し、上型と下型とを合わせた上で硬化性組成物を硬化させ、その後、上型と下型を剥離する方法
フレネルレンズ:プリズムを同心円状に5個以上有し、前記プリズムの断面が、高さ(h)と幅(w)の比(h/w)が0.5以上、且つ前記高さ(h)が0.5mm以下の山形形状であるフレネルレンズ
【請求項2】
硬化性組成物が、硬化性化合物としてエポキシ樹脂を含むカチオン硬化性組成物である、請求項1に記載のフレネルレンズの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学特性に優れるフレネルレンズ、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォン等の携帯型電子機器に搭載されているカメラには、光源からの光を拡散させるために光源の直前にフラッシュレンズが設置されている。そして、前記フラッシュレンズとしては、薄型化、小型化に対応可能なフレネルレンズが主に使用されている。
【0003】
フレネルレンズとは、レンズ面が連続した球面或いは非球面のレンズを、同心円状等に切断して厚みを減らしたレンズであり、山形形状のプリズムが階段状に形成された構造を有する。そして、フレネルレンズは、レンズ面の分割数を多くすることで、より薄く、且つより集光性を高める効果が得られることが知られている(特許文献1)。
【0004】
フレネルレンズの製造方法としては、例えば、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、シクロオレフィンポリマー等の熱可塑性樹脂を使用して射出成型する方法が知られている(特許文献2、3)。しかし、特にレンズ面の分割数が多いフレネルレンズでは山形形状のプリズムのピッチが狭くなり、それに伴ってプリズムの凸部から凹部への傾斜が急となるため、流動性が低い熱可塑性樹脂では未充填部が生じたり、気泡が発生することによって、形状の精度が低下して光学特性が低下することが問題であった。更に、熱可塑性樹脂から得られた成型物は耐熱性が低く、他の部品と共に一括してリフロー半田付けにより基板実装することができないため、作業効率の点でも問題であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-262187号公報
【文献】特開2013-212593号公報
【文献】特開2013-224349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、山形形状のプリズムのピッチが狭く、プリズムの凸部から凹部への傾斜が急な形状を有するフレネルレンズを提供することにある。
本発明の他の目的は、山形形状のプリズムのピッチが狭く、プリズムの凸部から凹部への傾斜が急な形状を有し、光学特性及び耐熱性に優れるフレネルレンズを提供することにある。
本発明の他の目的は、山形形状のプリズムのピッチが狭く、プリズムの凸部から凹部への傾斜が急な形状を有するフレネルレンズを精度良く製造する方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、山形形状のプリズムのピッチが狭く、プリズムの凸部から凹部への傾斜が急な形状を有し、光学特性及び耐熱性に優れるフレネルレンズを精度良く製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、山形形状のプリズムのピッチが狭く、プリズムの凸部から凹部への傾斜が急なフレネルレンズをモールドを使用して成型する場合、モールドの細部(例えば、山形形状の先端部を形成する部分)にまで硬化性組成物を充填させることは困難であり、その結果、一部(例えば、山形形状の先端等)が欠損したフレネルレンズが得られることがあったが、前記モールドに対する接触角が50°以下であり、モールドに濡れやすい性質を有する硬化性組成物を使用し、これを前記モールドを用いて成型すると、モールドの細部に未充填部を残すことがなく、モールドに充填後は、光照射又は加熱処理を施すことで、形状精度に優れたフレネルレンズを形成することができることを見いだした。本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
【0008】
すなわち、本発明は、モールドに対する接触角が50°以下である硬化性組成物のモールド成型硬化物であり、プリズムを同心円状に2個以上有し、前記プリズムの断面が、高さ(h)と幅(w)の比(h/w)が0.3以上、且つ前記高さ(h)が0.5mm以下の山形形状であるフレネルレンズを提供する。
【0009】
本発明は、また、硬化性組成物の硬化物の破断ひずみ(JIS-K7162:1994に準拠)が0.1~30%である、前記のフレネルレンズを提供する。
【0010】
本発明は、また、硬化性組成物をモールドを用いて成型し、硬化することでフレネルレンズを製造する方法であって、モールドに対する接触角が50°以下である硬化性組成物を使用して、下記フレネルレンズを製造する、フレネルレンズの製造方法を提供する。
フレネルレンズ:プリズムを同心円状に2個以上有し、前記プリズムの断面が、高さ(h)と幅(w)の比(h/w)が0.3以上、且つ前記高さ(h)が0.5mm以下の山形形状であるフレネルレンズ
【0011】
本発明は、また、モールドがシリコーンモールドである、前記のフレネルレンズの製造方法を提供する。
【0012】
本発明は、また、硬化性組成物が、硬化性化合物としてエポキシ樹脂を含むカチオン硬化性組成物である、前記のフレネルレンズの製造方法を提供する。
【0013】
本発明は、また、成型が、ナノインプリント法による成型である、前記のフレネルレンズの製造方法を提供する。
【0014】
本発明は、また、硬化性組成物の25℃、せん断速度20(1/s)における粘度が0.01~10.0Pa・sである、前記のフレネルレンズの製造方法を提供する。
【0015】
本発明は、また、硬化性組成物の硬化物の破断ひずみ(JIS-K7162:1994に準拠)が0.1~30%である、前記のフレネルレンズの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明のフレネルレンズは、ピッチが狭く、凸部から凹部への傾斜が急であり、且つ欠損部分を有さないプリズム(入射面と反射面で構成されるプリズム)を同心円状に2個以上有するため、優れた光学特性を発揮することができる。そのため、例えば、携帯電話、スマートフォンをはじめとするモバイル電子機器のセンサー用フレネルレンズやカメラ用フレネルレンズとして好適に使用することができる。
また、本発明のフレネルレンズの製造方法によれば、前記の山形形状のプリズムのピッチが狭く、プリズムの凸部から凹部への傾斜が急なフレネルレンズを精度良く製造することができる。
本発明のフレネルレンズの製造方法において、硬化性組成物として、エポキシ樹脂を含むカチオン硬化性組成物を使用すれば、形状精度に優れ、優れた光学特性を発揮することができる上、耐熱性にも優れるフレネルレンズが得られる。そのため、得られたフレネルレンズは、リフロー半田(特に、鉛フリー半田)付けにより基板実装することができ、優れた作業効率で当該フレネルレンズを搭載した光学装置を製造することができる。また、耐熱性が求められる車載用電子機器にも使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施例で得られたフレネルレンズを示す模式図(平面図(1)と、前記平面図のA-A’の位置における断面図(2))である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[フレネルレンズ]
本発明のフレネルレンズは、モールドに対する接触角が50°以下である硬化性組成物のモールド成型硬化物(すなわち、モールドで成型された硬化物)であり、プリズム(例えば、リング状のプリズム)を同心円状に2個以上有する。また、前記プリズムは、その断面が、高さ(h)と幅(w)の比(h/w)が0.3以上、且つ前記高さ(h)が0.5mm以下の山形形状であることを特徴とする。
【0019】
本発明のフレネルレンズは円形のレンズ部を少なくとも有し、レンズ部の周囲に鍔部を有していてもよい。前記レンズ部はプリズムを同心円状に2個以上(例えば2~100個、好ましくは5~100個)有する。本発明におけるフレネルレンズの断面(当該フレネルレンズの中心点を通り、フレネルレンズ面に垂直な面で切断して得られる断面)は、プリズムの山形形状の断面がノコギリの歯のように軸対称に配置する。
【0020】
前記フレネルレンズにおけるレンズ部の直径は、例えば1~100mm、好ましくは1~50mmである。また、前記フレネルレンズの最も厚い部分における厚みは、例えば0.1~3.0mm、好ましくは0.1~1.5mmである。
【0021】
前記山形形状の高さ(h)と幅(w)の比(h/w)は0.3以上であり、好ましくは好ましくは0.4以上、特に好ましくは0.5以上である。尚、前記比の上限は、例えば5、好ましくは3である。
【0022】
また、前記山形形状の高さ(h)は0.5mm以下であり、好ましくは0.4mm以下、特に好ましくは0.3mm以下である。尚、下限は、例えば0.05mm程度である。
【0023】
従って、前記山形形状の幅(w)は、例えば1.6mm以下であり、好ましくは1.0mm以下、より好ましくは0.8mm以下、特に好ましくは0.6mm以下である。尚、下限は、例えば0.05mm程度である。
【0024】
本発明のフレネルレンズを構成する硬化性組成物の硬化物の破断ひずみ(JIS-K7162:1994に準拠)は、例えば0.1~30%であることが、離型性に優れる点で好ましい。
【0025】
本発明のフレネルレンズを構成する硬化性組成物の硬化物は、透明性に優れることが好ましく、光線透過率(波長450nm、硬化物の厚み100μmの場合)、80%以上が好ましく、より好ましくは90%以上である。
【0026】
本発明のフレネルレンズを構成する硬化性組成物の硬化物は、耐熱性に優れることが好ましく、ガラス転移温度(Tg)は100℃以上が好ましい。
【0027】
本発明のフレネルレンズは上記構成を有するため光学特性に優れ、例えば、拡散レンズや撮像レンズとして好適に使用される。また、携帯電話やスマートフォンをはじめとするモバイル電子機器のセンサー用レンズやカメラ用レンズとして好適に使用される。
【0028】
[フレネルレンズの製造方法]
本発明のフレネルレンズの製造方法は、硬化性組成物をモールドを用いて成型し、硬化することでフレネルレンズを製造する方法であって、モールドに対する接触角が50°以下である硬化性組成物を使用して、上述のフレネルレンズを製造することを特徴とする。
【0029】
(硬化性組成物)
本発明における硬化性組成物のモールドに対する接触角は50°以下であり、好ましくは45°以下、特に好ましくは40°以下、最も好ましくは35°以下、とりわけ好ましくは30°以下である。そのため、本発明における硬化性組成物はモールドに対する濡れ性に優れ、ハジキや気泡の発生を抑制して、未充填部を残すことがなくモールドに充填することができる。尚、硬化性組成物の接触角(θ)は、例えばθ/2法によって求められる。
【0030】
また、本発明における硬化性組成物は低粘度であることが、モールドの充填性に優れ、気泡の発生を一層低減することができる点で好ましく、25℃、せん断速度20(1/s)における粘度は、例えば0.01~10.0Pa・s、好ましくは0.1~5.0Pa・s、特に好ましくは0.1~1.0Pa・sである。尚、粘度はレオメーター(商品名「PHYSICA UDS200」、Anton Paar社製)を用いて測定できる。
【0031】
更に、本発明における硬化性組成物は、その硬化物の破断ひずみが、例えば0.1%以上(好ましくは0.3%以上、特に好ましくは0.5%以上)であるものが好ましい。また、破断ひずみの上限は、例えば30%、好ましくは20%、特に好ましくは10%、最も好ましくは5%、とりわけ好ましくは3%である。尚、破断ひずみは、JIS-K7162:1994に準拠して、試験片5B型を用いて測定できる。硬化物の破断ひずみが上記範囲であると、フレネルレンズに脆さが発現することを抑制することができ、モールドから離型する際等に、欠けたり割れたりすることを防止することができる。すなわち、離型性に優れる。
【0032】
更にまた、本発明の硬化性組成物は、加熱処理及び/又は紫外線照射を行う前は上述の通り低粘度であり、加熱処理及び/又は紫外線照射を行うことにより速やかに硬化して、光学特性に優れた硬化物を形成することができるものが好ましい。本発明においては、なかでも、酸素存在下でも優れた硬化性を有する点でカチオン硬化性組成物が好ましく、特に、カチオン硬化性化合物としてエポキシ樹脂を含む組成物が、光学特性(特に、透明性)に優れ、高硬度と耐熱性とを兼ね備えた硬化物が得られる点で好ましい。また、紫外線照射により硬化する光硬化性組成物が好ましい。
【0033】
エポキシ樹脂としては、分子内に1以上のエポキシ基(オキシラン環)を有する公知乃至慣用の化合物を使用することができ、例えば、脂環式エポキシ化合物、芳香族エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物等が挙げられる。本発明においては、なかでも、耐熱性、及び透明性に優れた硬化物を形成することができる点で、1分子内に脂環構造と、官能基としてのエポキシ基を2個以上有する、多官能脂環式エポキシ化合物が好ましい。
【0034】
前記多官能脂環式エポキシ化合物としては、具体的には、
(i)脂環を構成する隣接する2つの炭素原子と酸素原子とで構成されるエポキシ基(すなわち、脂環エポキシ基)を有する化合物
(ii)脂環に直接単結合で結合したエポキシ基を有する化合物
(iii)脂環とグリシジル基とを有する化合物
等が挙げられる。
【0035】
上述の(i)脂環エポキシ基を有する化合物としては、例えば、下記式(i)で表される化合物が挙げられる。
【化1】
【0036】
上記式(i)中、Xは単結合又は連結基(1以上の原子を有する二価の基)を示す。上記連結基としては、例えば、二価の炭化水素基、炭素-炭素二重結合の一部又は全部がエポキシ化されたアルケニレン基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、カーボネート基、アミド基、これらが複数個連結した基等が挙げられる。尚、式(i)中のシクロヘキセンオキシド基には、置換基(例えば、アルキル基等)が結合していてもよい。
【0037】
上記二価の炭化水素基としては、炭素数が1~18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、二価の脂環式炭化水素基等が挙げられる。炭素数が1~18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基等が挙げられる。上記二価の脂環式炭化水素基としては、例えば、1,2-シクロペンチレン基、1,3-シクロペンチレン基、シクロペンチリデン基、1,2-シクロヘキシレン基、1,3-シクロヘキシレン基、1,4-シクロヘキシレン基、シクロヘキシリデン基等のシクロアルキレン基(シクロアルキリデン基を含む)等が挙げられる。
【0038】
上記炭素-炭素二重結合の一部又は全部がエポキシ化されたアルケニレン基(「エポキシ化アルケニレン基」と称する場合がある)におけるアルケニレン基としては、例えば、ビニレン基、プロペニレン基、1-ブテニレン基、2-ブテニレン基、ブタジエニレン基、ペンテニレン基、ヘキセニレン基、ヘプテニレン基、オクテニレン基等の炭素数2~8の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニレン基等が挙げられる。特に、上記エポキシ化アルケニレン基としては、炭素-炭素二重結合の全部がエポキシ化されたアルケニレン基が好ましく、より好ましくは炭素-炭素二重結合の全部がエポキシ化された炭素数2~4のアルケニレン基である。
【0039】
上記式(i)で表される化合物の代表的な例としては、(3,4,3’,4’-ジエポキシ)ビシクロヘキシル、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、1,2-エポキシ-1,2-ビス(3,4-エポキシシクロヘキサン-1-イル)エタン、2,2-ビス(3,4-エポキシシクロヘキサン-1-イル)プロパン、1,2-ビス(3,4-エポキシシクロヘキサン-1-イル)エタンや、下記式(i-1)~(i-10)で表される化合物等が挙げられる。下記式(i-5)中のLは炭素数1~8のアルキレン基であり、中でも、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基等の炭素数1~3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基が好ましい。下記式(i-5)、(i-7)、(i-9)、(i-10)中のn1~n8は、それぞれ1~30の整数を示す。
【0040】
【0041】
上述の(i)脂環エポキシ基を有する化合物には、エポキシ変性シロキサンも含まれる。エポキシ変性シロキサンとしては、例えば、下記式(i’)で表される構成単位を有する、鎖状又は環状のポリオルガノシロキサンが挙げられる。
【化4】
【0042】
上記式(i’)中、R
1は下記式(1a)又は(1b)で表されるエポキシ基を含む置換基を示し、R
2はアルキル基又はアルコキシ基を示す。
【化5】
【0043】
前記式(1a)(1b)中のR1a、R1bは、同一又は異なって、直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基を示し、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、デカメチレン基等の炭素数1~10の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基が挙げられる。
【0044】
エポキシ変性シロキサンのエポキシ当量(JIS K7236に準拠)は、例えば100~400、好ましくは150~300である。
【0045】
エポキシ変性シロキサンとしては、例えば、下記式(i’-1)で表されるエポキシ変性環状ポリオルガノシロキサン(商品名「X-40-2670」、信越化学工業(株)製)等の市販品を用いることができる。
【化6】
【0046】
上述の(ii)脂環に直接単結合で結合したエポキシ基を有する化合物としては、例えば、下記式(ii)で表される化合物等が挙げられる。
【化7】
【0047】
式(ii)中、R'は、p価のアルコールの構造式からp個の水酸基(-OH)を除いた基(p価の有機基)であり、p、n9はそれぞれ自然数を表す。p価のアルコール[R'-(OH)p]としては、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノール等の多価アルコール(炭素数1~15のアルコール等)等が挙げられる。pは1~6が好ましく、n9は1~30が好ましい。pが2以上の場合、それぞれの角括弧(外側の括弧)内の基におけるn9は同一でもよく異なっていてもよい。上記式(ii)で表される化合物としては、具体的には、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物[例えば、商品名「EHPE3150」((株)ダイセル製)等]等が挙げられる。
【0048】
上述の(iii)脂環とグリシジル基とを有する化合物としては、例えば、水添ビスフェノールA型エポキシ化合物、水添ビスフェノールF型エポキシ化合物、水添ビフェノール型エポキシ化合物、水添フェノールノボラック型エポキシ化合物、水添クレゾールノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールAの水添クレゾールノボラック型エポキシ化合物、水添ナフタレン型エポキシ化合物、トリスフェノールメタンから得られるエポキシ化合物の水添エポキシ化合物等の水素化芳香族グリシジルエーテル系エポキシ化合物等が挙げられる。
【0049】
多官能脂環式エポキシ化合物としては、表面硬度が高く、耐熱性及び透明性に優れた硬化物が得られる点で、(i)脂環エポキシ基を有する化合物が好ましく、上記式(i)で表される化合物(特に、(3,4,3',4'-ジエポキシ)ビシクロヘキシル)が特に好ましい。
【0050】
本発明における硬化性組成物は、カチオン硬化性化合物としてエポキシ樹脂以外にも他のカチオン硬化性化合物を含有していても良く、例えば、オキセタン化合物、ビニルエーテル化合物等を含有することができる。また、硬化性化合物としてカチオン硬化性化合物以外にも、ラジカル硬化性化合物を含有していてもよい。
【0051】
前記硬化性組成物に含まれる硬化性化合物全量(100重量%)に占めるエポキシ樹脂の割合は、例えば50重量%以上であることが、表面硬度が高く、透明性に優れた硬化物が得られる点で好ましく、より好ましくは60重量%以上、特に好ましくは70重量%以上、最も好ましくは80重量%以上である。尚、上限は、例えば100重量%、好ましくは90重量%である。
【0052】
また、前記硬化性組成物に含まれる硬化性化合物全量(100重量%)に占める(i)脂環エポキシ基を有する化合物の割合は、例えば20重量%以上であることが、表面硬度が高く、透明性に優れた硬化物が得られる点で好ましく、より好ましくは30重量%以上、特に好ましくは40重量%以上である。尚、上限は、例えば70重量%、好ましくは60重量%である。
【0053】
また、前記硬化性組成物に含まれる硬化性化合物全量(100重量%)に占める式(i)で表される化合物の割合は、例えば10重量%以上であることが、表面硬度が高く、透明性に優れた硬化物が得られる点で好ましく、より好ましくは15重量%以上、特に好ましくは20重量%以上である。尚、上限は、例えば50重量%、好ましくは40重量%である。
【0054】
前記硬化性組成物は、上記硬化性化合物と共に重合開始剤を含有することが好ましい。重合開始剤には、光重合開始剤や熱重合開始剤が含まれる。本発明においては、なかでも、光重合開始剤を含有することが、より速やかに硬化物を形成することができる点で好ましい。従って、前記硬化性組成物がカチオン硬化性化合物を含有する場合、重合開始剤としては、光カチオン重合開始剤を含有することが好ましい。
【0055】
光カチオン重合開始剤は、光の照射によって酸を発生して、硬化性組成物に含まれる硬化性化合物(特に、カチオン硬化性化合物)の硬化反応を開始させる化合物であり、光を吸収するカチオン部と酸の発生源となるアニオン部からなる。
【0056】
光カチオン重合開始剤としては、例えば、ジアゾニウム塩系化合物、ヨードニウム塩系化合物、スルホニウム塩系化合物、ホスホニウム塩系化合物、セレニウム塩系化合物、オキソニウム塩系化合物、アンモニウム塩系化合物、臭素塩系化合物等が挙げられる。
【0057】
本発明においては、なかでも、スルホニウム塩系化合物を使用することが、硬化性に優れた硬化物を形成することができる点で好ましい。スルホニウム塩系化合物のカチオン部としては、例えば、(4-ヒドロキシフェニル)メチルベンジルスルホニウムイオン、トリフェニルスルホニウムイオン、ジフェニル[4-(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムイオン、4-(4-ビフェニリルチオ)フェニル-4-ビフェニリルフェニルスルホニウムイオン、トリ-p-トリルスルホニウムイオン等のアリールスルホニウムイオン(特に、トリアリールスルホニウムイオン)が挙げられる。
【0058】
光カチオン重合開始剤のアニオン部としては、例えば、[(Y)sB(Phf)4-s]-(式中、Yはフェニル基又はビフェニリル基を示す。Phfは水素原子の少なくとも1つが、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルコキシ基、及びハロゲン原子から選択される少なくとも1種で置換されたフェニル基を示す。sは0~3の整数である)、BF4
-、[(Rf)tPF6-t]-(式中、Rfは水素原子の80%以上がフッ素原子で置換されたアルキル基を示す。tは0~5の整数を示す)、AsF6
-、SbF6
-、SbF5OH-等が挙げられる。
【0059】
本発明における光カチオン重合開始剤としては、例えば、(4-ヒドロキシフェニル)メチルベンジルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4-(4-ビフェニリルチオ)フェニル-4-ビフェニリルフェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4-(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、[4-(4-ビフェニリルチオ)フェニル]-4-ビフェニリルフェニルスルホニウム フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル[4-(フェニルチオ)フェニル]スルホニウム トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、ジフェニル[4-(フェニルチオ)フェニル]スルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル[4-(フェニルチオ)フェニル]スルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、4-(4-ビフェニリルチオ)フェニル-4-ビフェニリルフェニルスルホニウム トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、ビス[4-(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、[4-(2-チオキサントニルチオ)フェニル]フェニル-2-チオキサントニルスルホニウム フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4-(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、商品名「サイラキュアUVI-6970」、「サイラキュアUVI-6974」、「サイラキュアUVI-6990」、「サイラキュアUVI-950」(以上、米国ユニオンカーバイド社製)、「Irgacure250」、「Irgacure261」、「Irgacure264」(以上、BASF社製)、「CG-24-61」(チバガイギー社製)、「オプトマーSP-150」、「オプトマーSP-151」、「オプトマーSP-170」、「オプトマーSP-171」(以上、(株)ADEKA製)、「DAICAT II」((株)ダイセル製)、「UVAC1590」、「UVAC1591」(以上、ダイセル・サイテック(株)製)、「CI-2064」、「CI-2639」、「CI-2624」、「CI-2481」、「CI-2734」、「CI-2855」、「CI-2823」、「CI-2758」、「CIT-1682」(以上、日本曹達(株)製)、「PI-2074」(ローディア社製、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート トリルクミルヨードニウム塩)、「FFC509」(3M社製)、「BBI-102」、「BBI-101」、「BBI-103」、「MPI-103」、「TPS-103」、「MDS-103」、「DTS-103」、「NAT-103」、「NDS-103」(以上、ミドリ化学(株)製)、「CD-1010」、「CD-1011」、「CD-1012」(以上、米国、Sartomer社製)、「CPI-100P」、「CPI-101A」(以上、サンアプロ(株)製)等の市販品を使用できる。
【0060】
重合開始剤の含有量は、硬化性組成物に含まれる硬化性化合物(特に、カチオン硬化性化合物)100重量部に対して、例えば0.1~5.0重量部となる範囲である。重合開始剤の含有量が0.1重量部以上であると、優れた硬化性を発揮することができ、硬化不良となることを抑制することができる。また、重合開始剤の含有量が5.0重量部以下であると、硬化物の着色を抑制して、透明性に優れた硬化物を形成することができる。
【0061】
本発明における硬化性組成物は、上記硬化性化合物と重合開始剤と、必要に応じて他の成分(例えば、溶剤、酸化防止剤、表面調整剤、光増感剤、消泡剤、レベリング剤、カップリング剤、界面活性剤、難燃剤、紫外線吸収剤、着色剤等)を混合することによって製造することができる。他の成分の含有量は、硬化性組成物全量の、例えば20重量%以下、好ましくは10重量%以下、特に好ましくは5重量%以下である。
【0062】
本発明における硬化性組成物としては、例えば、商品名「CELVENUS OUH106」((株)ダイセル製)等の市販品を使用することもできる。
【0063】
(モールド)
本発明において使用するモールドは、上記硬化性組成物の濡れ性が良好なモールド[上記硬化性組成物の接触角が50°以下(好ましくは45°以下、特に好ましくは40°以下、最も好ましくは35°以下、とりわけ好ましくは30°以下)であるモールド]である。本発明においては、前記モールドを使用するため、上記硬化性組成物を、ハジキを生じることなく、未充填部を残すことがなく充填することができる。
【0064】
前記モールドとしては、シリコーンモールドを使用することが、離型性に優れる点で好ましい。シリコーンモールドは、シリコーン樹脂組成物の硬化物から成る。
【0065】
前記シリコーン樹脂組成物には、付加反応型シリコーン樹脂組成物と縮合反応型シリコーン樹脂組成物が含まれる。本発明においては、なかでも硬化収縮が抑制され、得られる硬化物(すなわち、シリコーンモールド)の温度変化に伴う膨張や収縮が抑制される点で、付加反応型シリコーン樹脂組成物が好ましい。
【0066】
付加反応型シリコーン樹脂組成物には、シリコーン樹脂(例えば、分子内に2個以上のアルケニル基を有するシロキサン)、硬化剤(例えば、分子内に2個以上のヒドロシリル基(Si-H)を有するシロキサン)、及びヒドロシリル化触媒(例えば、白金系触媒)が含まれる。
【0067】
シリコーン樹脂組成物は、加熱処理を施すことにより速やかに高密度の架橋構造を形成することができ、適度な弾性を有し、耐熱性に優れた硬化物を形成することができる。
【0068】
シリコーンモールドは、シリコーン樹脂組成物の硬化物から成り、その表面にフレネルレンズ[プリズムを同心円状に2個以上有し、前記プリズムの断面が、高さ(h)と幅(w)の比(h/w)が0.3以上、且つ前記高さ(h)が0.5mm以下の山形形状であるフレネルレンズ]の逆転形状の凹部を少なくとも1個[好ましくは、複数個(例えば10個以上、好ましくは20個以上、特に好ましくは30個以上、最も好ましくは50個以上有する。尚、上限は、例えば5000個、好ましくは2000個である)]有する。また、シリコーンモールドは、上型と下型の2部構成になっていてもよい。
【0069】
シリコーンモールドは、その表面に離型剤が塗布されたものであってもよい。前記離型剤としては、例えば、フッ素系離型剤、シリコーン系離型剤、ワックス系離型剤等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0070】
(硬化性組成物の成型)
上記硬化性組成物をモールドを用いて成型する方法としては、ナノインプリント法による成型が好ましい。ナノインプリント法による成型とは、硬化性組成物にモールドを押し付けてモールドの凹部形状を転写し、凹部形状が転写された硬化性組成物を硬化させることにより成型物を得る方法である。
【0071】
モールドを用いて硬化性組成物を成型する方法としては、例えば、下記(1)~(3)の方法が挙げられる。
(1)基板に硬化性組成物を塗布し、その上にモールドを押し付け、硬化性組成物を硬化させた後、モールドを剥離する方法
(2)モールドに硬化性組成物を塗布し、その上から基板を押し付け、硬化性組成物を硬化させた後、モールドを剥離する方法
(3)モールドの上型と下型の少なくとも一方に硬化性組成物を塗布し、上型と下型とを合わせた上で硬化性組成物を硬化させ、その後、上型と下型を剥離する方法
【0072】
前記基板としては、400nmの波長の光線透過率が90%以上である基板を使用することが好ましく、石英やガラスからなる基板を好適に使用することができる。尚、前記波長の光線透過率は、基板(厚み:1mm)を試験片として使用し、当該試験片に照射した前記波長の光線透過率を分光度計を用いて測定することで求められる。
【0073】
硬化性組成物の塗布方法としては、スプレー法、スピンコート法、スクリーン印刷法等を利用することができる。
【0074】
硬化性組成物の硬化は、例えば光硬化性組成物の場合は、紫外線を照射することによって行われる。紫外線照射を行う際の光源としては、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯等が用いられる。露光量は、光源の種類、光源と塗布面との距離、その他の条件により異なるが、例えば500~3000mJ/cm2程度である。紫外線照射後は、必要に応じて加熱(ポストキュア)を行って硬化の促進を図ってもよい。
【0075】
硬化性組成物の硬化後は、得られた硬化物をモールドから離型することにより、フレネルレンズが得られる。モールドとしてシリコーンモールドを使用すると、フレネルレンズの剥離が容易であり、剥離時にフレネルレンズが破損することを防止できる点で好ましい。
【0076】
モールドとして、フレネルレンズの反転形状の凹部を複数個有するものを使用した場合は、複数個のフレネルレンズが接合部を介して連結した成型物が得られる。得られた成型物をダイシング等によって個片化することにより、フレネルレンズが得られる。
【実施例】
【0077】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
尚、硬化性組成物のモールド(シリコーンモールド若しくは金型)に対する接触角は、θ/2法により、硬化性組成物をモールドに一滴塗布した際の接触角(θ)を測定した。
【0078】
調製例1
SYLGARD184(ビニル基含有ポリオルガノシロキサン、東レ・ダウコーニング製)にSYLGARD184 Curing agent(ヒドロシリル基含有ポリオルガノシロキサンとヒドリシリル化触媒とを含む、東レ・ダウコーニング製)を加えて撹拌後、金属製の型に流し込み、100℃で2時間硬化した。その後、金属型から離型し、シリコーンモールドを得た。
【0079】
実施例1~3
調製例1で得られたシリコーンモールドであって、下記表に記載のフレネルレンズの反転形状の凹部を有するモールド上に硬化性組成物(商品名「CELVENUS OUH106」、カチオン硬化性化合物と光カチオン重合開始剤とを含有し、カチオン硬化性化合物全量の80重量%がエポキシ樹脂(多官能脂環式エポキシ化合物を含む)である、25℃、せん断速度20(1/s)における粘度:0.2Pa・s、硬化物の破断ひずみ(JIS-K7162:1994に準拠した方法で、試験片5B型を用いて測定):0.8%、硬化物の光線透過率(450nm):90%以上、硬化物のTg:100℃以上、(株)ダイセル製)を塗布し、上から平板状のシリコーンモールドにて型閉じを行い、その後、UV照射(露光量:3000mJ/cm
2)を行い、離型して成型物(フレネルレンズ)を得た(
図1)。
【0080】
比較例1
硬化性組成物として、IRR-214K(トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ダイセル・オルネクス(株)製)5g、PETIA(ペンタエリスリトール(トリ/テトラ)アクリレート、ダイセル・オルネクス(株)製)2.5g、IBOA(イソボルニルアクリレート、ダイセル・オルネクス(株)製)2.5g、及びIRGACURE184(光ラジカル重合開始剤、BASF製)0.3gを撹拌、混合して、IRGACURE184を完全に溶解させたもの(アクリル樹脂(A)、25℃、せん断速度20(1/s)における粘度:0.12Pa・s、硬化物の破断ひずみ(JIS-K7162:1994に準拠した方法で、試験片5B型を用いて測定):1.0%)を使用した以外は実施例と同様にして、成型物を得た。
【0081】
比較例2
シリコーンモールドに代えて金型(SUS基材にニッケル-リンめっきを施したもの)を使用した以外は実施例と同様にして、成型物を得た。
【0082】
比較例3
硬化性組成物として、ユーピロンH4000(熱可塑性樹脂、ポリカーボネート、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)を使用し、金型(SUS基材にニッケル-リンめっきを施したもの)を用いて射出成型した以外は実施例と同様に行ったが、成型物を金型から取り出すことができなかった。
【0083】
実施例及び比較例で得られた成型物について、離型性及び形状精度を下記方法で評価した。
【0084】
(離型性)
外観を目視で観察し、離型性を下記基準で評価した。
○(離型性良好):欠損部分なし
×(離型性不良):欠損部分あり
【0085】
(形状精度)
外観を目視で観察し、気泡の数(個)を計数して形状精度を評価した。気泡の数が多いと、形状精度は低い。
【0086】
【符号の説明】
【0087】
1 プリズム
2 入射面
3 反射面