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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-01
(45)【発行日】2022-11-10
(54)【発明の名称】油圧ショベル
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20221102BHJP
   E02F 9/16 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
E02F9/00 Z
E02F9/16 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2017560636
(86)(22)【出願日】2017-06-26
(86)【国際出願番号】 JP2017023373
(87)【国際公開番号】W WO2019003266
(87)【国際公開日】2019-01-03
【審査請求日】2020-02-28
【審判番号】
【審判請求日】2021-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 健夫
(72)【発明者】
【氏名】阿部 洋志
(72)【発明者】
【氏名】奥井 良輔
(72)【発明者】
【氏名】中島 剛介
【合議体】
【審判長】住田 秀弘
【審判官】佐藤 美紗子
【審判官】前川 慎喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-21320(JP,A)
【文献】特表2014-512772(JP,A)
【文献】特開平11-81380(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F9/00
E02F9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行体と、前記走行体に対して旋回自在な旋回体とを有する車体と、
前記旋回体の前方左側に載置されたキャブと、
第1アンテナと第2アンテナとを含む複数の衛星測位信号受信用のアンテナとを備え、
前記第1アンテナは前記キャブの後部に取り付けられ前記キャブの後面より後方に位置しており、
前記第2アンテナは前記キャブよりも右方の前記旋回体の上面の上方に設けられ、前記キャブの後面より前方に配置されている、油圧ショベル
【請求項2】
前記第1アンテナは、前記キャブの上部に取り付けられている、請求項1に記載の油圧ショベル
【請求項3】
前記第1アンテナは、前記キャブに対して固定された固定部を有し、
前記固定部は、前記キャブの上面よりも低い高さ位置に配置されている、請求項2に記載の油圧ショベル
【請求項4】
前記第1アンテナは、前記キャブの上面以下の高さ位置に配置されている、請求項2または3に記載の油圧ショベル
【請求項5】
前記キャブの上面に固定され、前記キャブの前記上面から下方へ屈曲するブラケットをさらに備え、
前記第1アンテナは、前記ブラケットを介して前記キャブに取り付けられている、請求項2~4のいずれか1項に記載の油圧ショベル
【請求項6】
前記油圧ショベルは、後方小旋回型油圧ショベルであり
前記第1アンテナおよび前記第2アンテナは、前記旋回体の旋回半径内に配置されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の油圧ショベル
【請求項7】
前記キャブよりも後方の前記油圧ショベルの上面は、樹脂材料で構成されている、請求項1~6のいずれか1項に記載の油圧ショベル
【請求項8】
エンジンをさらに備え、
前記第2アンテナは、前記エンジンの前方に配置されている、請求項1~7のいずれか1項に記載の油圧ショベル
【請求項9】
前記エンジンの前方に配置され、前記車体に対して移動不能に固定された板金カバーをさらに備え、
前記第2アンテナは、前記板金カバーの上方に配置されている、請求項8に記載の油圧ショベル
【請求項10】
前記エンジンの上方に配置されるエンジンフードをさらに備え、
前記エンジンフードは、前記車体に対して開閉可能である、請求項8または9に記載の油圧ショベル
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、GNSS(Global Navigation Satellite System)用のアンテナを備える建設機械が知られている。特開2015-21320号公報(特許文献1)に開示されている建設機械では、アンテナは、キャブの後側の機器室の上面、および作動油タンクの上面に設置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-21320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
建設機械が衛星測位信号受信用のアンテナを複数備える場合、測位精度を向上させるため、アンテナを左右方向にできるだけ離して配置することが求められている。
【0005】
小型の建設機械では、車体フレームの面積が小さい。後方小旋回型油圧ショベルでは、車体の後方側の車体フレームが上方から見て旋回中心を中心とした円弧状に形成されているので、車体の後方側における車体フレームの面積が特に小さい。そのため、複数のアンテナを互いに離れた位置に配置することが難しい。
【0006】
本発明の目的は、複数の衛星測位信号受信用のアンテナを適切に配置できる、油圧ショベルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る建設機械は、車体と、車体に載置されたキャブと、第1アンテナと第2アンテナとを含む複数の衛星測位信号受信用のアンテナとを備えている。第1アンテナは、キャブに取り付けられている。第2アンテナは、キャブを介さずに車体に取り付けられている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数の衛星測位信号受信用のアンテナを適切に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に基づく油圧ショベルの構成を概略的に示す側面図である。
図2図1に示す油圧ショベルの平面図である。
図3図1に示す油圧ショベルの背面図である。
図4図1に示す油圧ショベルを右後方から見た斜視図である。
図5】エンジンフードおよび土砂カバーを開放した状態の斜視図である。
図6】副アンテナの支持構造を拡大して示す斜視図である。
図7】主アンテナの支持構造を拡大して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態について図に基づいて説明する。以下の説明では、同一部品には、同一の符号を付している。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0011】
実施形態においては、建設機械の一例として、後方小旋回型の油圧ショベル1について説明するが、他の種類の建設機械に実施形態の思想を適用することも可能である。
【0012】
図1は、実施形態に基づく油圧ショベル1の構成を概略的に示す側面図である。図2は、図1に示す油圧ショベル1の平面図である。図3は、図1に示す油圧ショベル1の背面図である。図4は、図1に示す油圧ショベル1を右後方から見た斜視図である。図1~4に示されるように、本実施形態の油圧ショベル1は、走行体2と、旋回体3と、作業機4とを主に有している。走行体2と旋回体3とにより、油圧ショベル1の車体が構成されている。
【0013】
走行体2は、左右一対の履帯2Aを有している。左右一対の履帯2Aが回転駆動することにより、油圧ショベル1が自走可能に構成されている。旋回体3は、走行体2に対して旋回自在に設置されている。旋回体3は、キャブ5と、外装パネル6と、カウンタウェイト7とを主に有している。
【0014】
キャブ5は、旋回体3の前方左側(車両前側)に配置されている。キャブ5は、油圧ショベル1の車体に載置されている。キャブ5の内部に、運転室が形成されている。運転室は、オペレータが油圧ショベル1を操作するための空間である。運転室内には、オペレータが着座するための運転席が配置されている。
【0015】
本実施形態においては、作業機4を基準として各部の位置関係について説明する。
作業機4のブーム4Aは、旋回体3に対して、ブームピンを中心に回転移動する。旋回体3に対して回動するブーム4Aの特定の部分、たとえばブーム4Aの先端部が移動する軌跡は円弧状であり、その円弧を含む平面が特定される。油圧ショベル1を平面視した場合に、当該平面は直線として表される。この直線の延びる方向が、車両本体の前後方向、または旋回体3の前後方向であり、以下では単に前後方向ともいう。車両本体の左右方向(車幅方向)、または旋回体3の左右方向とは、平面視において前後方向と直交する方向であり、以下では単に左右方向ともいう。左右方向とは、ブームピンの延びる方向をいう。車両本体の上下方向、または旋回体3の上下方向とは、前後方向および左右方向によって定められる平面に直交する方向であり、以下では単に上下方向ともいう。
【0016】
前後方向において、車両本体から作業機4が突き出している側が前方向であり、前方向と反対方向が後方向である。前方向を視て左右方向の右側、左側がそれぞれ右方向、左方向である。上下方向において地面のある側が下側、空のある側が上側である。
【0017】
前後方向とは、キャブ5内の運転席に着座したオペレータの前後方向である。左右方向とは、運転席に着座したオペレータの左右方向である。上下方向とは、運転席に着座したオペレータの上下方向である。運転席に着座したオペレータに正対する方向が前方向であり、運転席に着座したオペレータの背後方向が後方向である。運転席に着座したオペレータが正面に正対したときの右側、左側がそれぞれ右方向、左方向である。運転席に着座したオペレータの足元側が下側、頭上側が上側である。
【0018】
外装パネル6は、エンジンフード6Aと、土砂カバー6Bと、板金カバー6Cとを有している。エンジンフード6A、土砂カバー6Bおよび板金カバー6Cは、旋回体3の上面の一部を構成している。エンジンフード6Aは、キャブ5よりも後方の旋回体3の上面を構成している。土砂カバー6Bおよび板金カバー6Cは、キャブ5よりも右方の旋回体3の上面の一部分を構成している。板金カバー6Cは、旋回体3の上面のうちのエンジンフード6Aを除いた部分の、右後方隅部分を構成している。土砂カバー6Bは、板金カバー6Cに対して左側および前側に配置されている。
【0019】
エンジンフード6Aおよび土砂カバー6Bは、軽量の樹脂材料で形成されている。キャブ5よりも後方の油圧ショベル1の上面は、樹脂材料で構成されている。板金カバー6Cは、鉄鋼材料などの金属材料で形成されている。
【0020】
エンジンフード6Aの前縁は、左右方向に延びている。エンジンフード6Aは、その前縁を支点として、旋回体3に対して相対的に回転可能に構成されている。エンジンフード6Aは、油圧ショベル1の車体に対して開閉可能に構成されている。エンジンフード6Aが回転して上方に移動することにより、エンジン室14が開放される。エンジンフード6Aが下方に移動することにより、エンジン室14がエンジンフード6Aにより覆われて外部に露出しなくなる。エンジンフード6Aは、エンジン室14を開閉可能に構成されている。
【0021】
土砂カバー6Bの後縁は、左右方向に延びている。土砂カバー6Bは、その後縁を支点として、旋回体3に対して相対的に回転可能に構成されている。土砂カバー6Bは、作業機4のブーム4Aと平行に回転可能である。土砂カバー6Bは、燃料タンクおよび作動油タンクなどを収容する収容空間を上方から覆っている。土砂カバー6Bは、当該収容空間を開閉可能に構成されている。なお図5は、エンジンフード6Aおよび土砂カバー6Bを開放した状態の斜視図である。エンジンフード6Aが開けられると、エンジン室14が露出する。図5では、土砂カバー6Bに覆われた収容空間内およびエンジン室14内に収納されている構成、たとえばエンジン12、燃料タンクなどは、図示を省略されている。
【0022】
旋回体3に対して相対移動可能なエンジンフード6Aおよび土砂カバー6Bが軽量の樹脂材料で形成されているので、エンジンフード6Aおよび土砂カバー6Bを開閉しようとする作業者は、特殊な機器を必要とせずに手作業で開閉することが可能である。エンジンフード6Aおよび土砂カバー6Bが樹脂成型品であり、所望の形状に容易に成形が可能であるため、油圧ショベル1の外観の意匠性が向上されている。
【0023】
板金カバー6Cは、メインバルブなどを収容する収容空間を上方および右方から覆っている。板金カバー6Cは、旋回体3に固定されている。油圧ショベル1の組立時に板金カバー6Cが旋回体3に固定された後は、板金カバー6Cは、旋回体3に対して相対移動不能とされている。
【0024】
土砂カバー6Bおよび板金カバー6Cは、エンジンフード6Aよりも前方に配置されている。土砂カバー6Bおよび板金カバー6Cは、エンジンフード6Aの前縁に対し前側に配置されている。エンジンフード6Aがエンジン12を上方から覆っているので、土砂カバー6Bおよび板金カバー6Cは、エンジン12の前方に配置されている。
【0025】
エンジンフード6Aおよびカウンタウェイト7の各々は、旋回体3の後方側(車両後側)に配置されている。エンジンフード6Aは、エンジン室14の上方および後方を覆うように配置されている。エンジン室14内には、エンジンユニット(エンジン12、排気処理ユニットなど)が収納されている。エンジンフード6Aは、エンジン12の上方に配置されている。エンジンフード6Aには、エンジンフード6Aの一部分が切り欠かれた開口6A1が形成されている。エンジン12の排気ガスを大気中に排出するための排気筒8が、開口6A1を経由して、エンジンフード6Aの上方に突き出している。
【0026】
カウンタウェイト7は、採掘時などにおいて油圧ショベル1の本体のバランスをとるために、エンジン室の後方に配置されている。油圧ショベル1は、後面の旋回半径を小さくした、後方小旋回型の油圧ショベルとして形成されている。そのため、平面視したカウンタウェイト7の後面は、上方から見て旋回体3の旋回中心を中心とした円弧状に形成されている。
【0027】
土砂カバー6Bおよび板金カバー6Cは、旋回体3の右側に配置されている。土砂カバー6Bおよび板金カバー6Cは、作業機4に対し右側に設けられている。
【0028】
作業機4は、土砂の掘削などの作業を行うためのものである。作業機4は、旋回体3の前方側に取り付けられている。作業機4は、たとえばブーム4A、アーム4B、バケット4C、油圧シリンダ4D,4E,4Fなどを有している。ブーム4A、アーム4Bおよびバケット4Cの各々が油圧シリンダ4F,4E,4Dによって駆動されることにより、作業機4は駆動可能である。
【0029】
ブーム4Aの基端部は、ブームピンを介して、旋回体3に連結されている。ブーム4Aは、ブームピンを中心として旋回体3に対して両方向に回転可能に、旋回体3に取り付けられている。ブーム4Aは、上下方向に作動可能である。アーム4Bの基端部は、アームピンを介して、ブーム4Aの先端部に連結されている。アーム4Bは、アームピンを中心としてブーム4Aに対して両方向に回転可能に、ブーム4Aに取り付けられいる。バケット4Cは、バケットピンを介して、アーム4Bの先端部に連結されている。バケット4Cは、バケットピンを中心としてアーム4Bに対して両方向に回転可能に、アーム4Bに取り付けられている。
【0030】
作業機4は、キャブ5に対し右側に設けられている。なお、キャブ5と作業機4との配置は図1,2に示す例に限られるものではなく、たとえば旋回体3の前方右側に配置されたキャブ5の左側に作業機4が設けられていてもよい。
【0031】
キャブ5は、運転席を覆って配置されている屋根部分と、屋根部分を支持する複数のピラーとを含んでいる。各々のピラーは、キャブ5の床部に連結されている下端と、キャブ5の屋根部分に連結されている上端とを有している。複数のピラーは、フロントピラー40と、リアピラーとを有している。フロントピラー40は、運転席に対し前方の、キャブ5のコーナ部に配置されている。リアピラーは、運転席に対し後方の、キャブ5のコーナ部に配置されている。
【0032】
フロントピラー40は、右ピラー41と、左ピラー42とを有している。右ピラー41は、キャブ5の前方右隅に配置されている。左ピラー42は、キャブ5の前方左隅に配置されている。キャブ5に対し右方に、作業機4が配置されている。右ピラー41は、作業機4に近い側に配置されている。左ピラー42は、作業機4から離れる側に配置されている。
【0033】
右ピラー41と、左ピラー42と、一対のリアピラーとによって囲まれた空間は、キャブ5の室内空間を形成している。運転席は、キャブ5の室内空間に収容されている。キャブ5の左側面には、オペレータがキャブ5に乗降するためのドアが設けられている。
【0034】
右ピラー41と左ピラー42との間には、前窓47が配置されている。前窓47は、運転席に対し前方に配置されている。前窓47は、透明材料により形成されている。運転席に着座しているオペレータは、前窓47を通して、キャブ5の前方の外部を視認可能である。たとえば運転席に着座しているオペレータは、前窓47を通して、土砂を掘削するバケット4C、および施工対象の現況地形などを、直接見ることができる。
【0035】
キャブ5は、キャブ5の上方の外表面を構成する上面5Aと、キャブ5の後方の外表面を構成する後面5Bとを有している。上面5Aは、キャブ5の屋根部分を構成している。後面5Bの一部は、後窓48により構成されている。後窓48は、運転席に対し後方に配置されている。後窓48は、透明材料により形成されている。オペレータは、後窓48を通して、キャブ5の後方の外部を視認可能である。
【0036】
旋回体3には、一対のアンテナ9が取り付けられている。一対のアンテナ9は、旋回体3の上面に設けられている。アンテナ9は、GNSS用のアンテナである。アンテナ9は、衛星測位信号受信用のアンテナである。
【0037】
一対のアンテナ9は、主アンテナ9Aと、副アンテナ9Bとを有している。主アンテナ9Aおよび副アンテナ9Bは、左右方向に間隔をあけて、旋回体3の後方側に配置されている。一対のアンテナ9のうち、主アンテナ9Aが旋回体3の左方に配置されており、副アンテナ9Bが旋回体3の右方に配置されている。主アンテナ9Aおよび副アンテナ9Bは、平面視において、旋回体3からはみ出ることのない位置に配置されている。主アンテナ9Aおよび副アンテナ9Bは、旋回体3の旋回半径内に配置されている。
【0038】
主アンテナ9Aは、キャブ5に取り付けられている。主アンテナ9Aは、ブラケット10を介して、キャブ5に取り付けられている。主アンテナ9Aは、キャブ5の後部に取り付けられている。主アンテナ9Aは、キャブ5の上部に取り付けられている。
【0039】
主アンテナ9Aは、キャブ5の外部に配置されている。主アンテナ9Aは、キャブ5の外装カバーによって覆われていない。主アンテナ9Aは、キャブ5の後面5Bよりも後方に配置されている。主アンテナ9Aは、カウンタウェイト7よりも前方に配置されている。主アンテナ9Aは、エンジンフード6Aの上方に配置されている。主アンテナ9Aは、平面視においてエンジンフード6Aと重なる位置に、配置されている。
【0040】
主アンテナ9Aは、樹脂材料により形成されたエンジンフード6Aおよび土砂カバー6Bには支持されていない。主アンテナ9Aは、油圧ショベル1の車体に対して開閉可能なエンジンフード6Aおよび土砂カバー6Bに取り付けられていない。
【0041】
主アンテナ9Aは、キャブ5の上面5A以下の高さ位置に配置されている。主アンテナ9Aは、キャブ5の上面5Aよりも下方に配置されている。主アンテナ9Aは、キャブ5内の運転席の上端よりも上方に配置されている。後方から見て、主アンテナ9Aは、後窓48の一部分と重なる位置に配置されている。主アンテナ9Aは、前後方向に見て、後窓48の上縁部分付近の一部と重なっている。後窓48の上縁は、主アンテナ9Aの一部分と同じ高さ位置に配置されている。
【0042】
主アンテナ9Aは、上方に露出している。主アンテナ9Aは、キャブ5の後面5Bが主アンテナ9Aの上空視界を妨げる障害物とならない位置に、配置されている。主アンテナ9Aは、GNSS衛星からの電波を受信するために、最低高度角15°を確保できるように配置されている。
【0043】
副アンテナ9Bは、キャブ5を介さずに、油圧ショベル1の車体に取り付けられている。副アンテナ9Bは、板金カバー6Cの上方に設けられている。平面視において、副アンテナ9Bは、板金カバー6Cと重なっている。副アンテナ9Bは、マスト13によって支持されている。マスト13は、上下方向に延びている。マスト13は、板金カバー6Cから上方に突出している。マスト13は、板金カバー6Cを貫通している。副アンテナ9Bは、マスト13の上端に固定されている。副アンテナ9Bは、上方に露出しており、副アンテナ9Bの上空視界が確保されている。
【0044】
副アンテナ9Bは、樹脂材料により形成されたエンジンフード6Aおよび土砂カバー6Bには支持されていない。副アンテナ9Bは、油圧ショベル1の車体に対して開閉可能なエンジンフード6Aおよび土砂カバー6Bに取り付けられていない。
【0045】
副アンテナ9Bは、エンジンフード6Aの前縁よりも前方に配置されている。エンジンフード6Aがエンジン12を上方から覆っているので、副アンテナ9Bは、エンジン12の前方に配置されている。エンジン12には、油圧ポンプが直結されている。エンジンフード6Aは、当該油圧ポンプを収容する機械室を上方から覆っており、機械室を開閉可能である。副アンテナ9Bは、油圧ポンプを収容する機械室よりも前方に配置されている。
【0046】
副アンテナ9Bは、カウンタウェイト7よりも前方に配置されている。副アンテナ9Bは、キャブ5の後面5Bよりも前方に配置されている。副アンテナ9Bは、主アンテナ9Aよりも前方に配置されている。前後方向において、主アンテナ9Aと副アンテナ9Bとの間に、キャブ5の後面5Bが介在している。前後方向において、主アンテナ9Aと副アンテナ9Bとの間に、エンジンフード6Aの前縁が介在している。前後方向において、主アンテナ9Aと副アンテナ9Bとの間に、板金カバー6Cの後縁が介在している。
【0047】
副アンテナ9Bは、キャブ5の上面5Aよりも低い高さ位置に、配置されている。副アンテナ9Bは、主アンテナ9Aよりも低い高さ位置に配置されている。
【0048】
走行体2の履帯2Aが前後方向に延びている図1~4に示す配置において、主アンテナ9Aは、左側の履帯2Aと平面視において重なっている。図1~4に示す配置において、副アンテナ9Bは、右側の履帯2Aと平面視において重なっている。
【0049】
キャブ5には、ステー11Bを介して、ミラー11Aが取り付けられている。ステー11Bは、キャブ5の後面5Bに固定されており、キャブ5の後面5Bから後方に延びている。ミラー11Aは、ステー11Bの先端部に取り付けられている。ミラー11Aは、キャブ5に対し後方に配置されている。ミラー11Aは、キャブ5の後面よりも後方に配置されている。ミラー11Aは、キャブ5の屋根部分を構成する上面5Aよりも下方に配置されている。
【0050】
図6は、副アンテナ9Bの支持構造を拡大して示す斜視図である。図6に示すように、旋回体3は、旋回フレーム50を有している。キャブ5および図6には図示しない作業機4、エンジン12などは、旋回フレーム50上に搭載されており、旋回フレーム50の上面に配置されている。なお図6には、旋回フレーム50上に搭載されている各構成のうちの一部のみが図示されている。エンジンフード6A、土砂カバー6Bおよび板金カバー6Cを含む外装パネル6は、図6では図示を省略されている。
【0051】
旋回体3は、仕切板51を有している。仕切板51は、左右方向に延び、かつ上下方向に延びる、平板状の概略形状を有している。仕切板51は、エンジン室14の前方の側壁を構成している。仕切板51は、キャブ5とエンジン室14とを仕切っている。エンジン室14は、エンジンフード6A、仕切板51およびカウンタウェイト7によって上方および側方を覆われて規定されている。
【0052】
仕切板51の右方の縁部に、柱部材52が設けられている。柱部材52は、上下方向に延びている。柱部材52は、旋回フレーム50の上面に固定された下端部を有している。柱部材52は、仕切板51を支持している。柱部材52は、仕切板51を支持するための支持構造を構成する部材である。
【0053】
柱部材52の上端部には、平板状の支持部53が固定されている。支持部53は、直接、または他の部材を介して、仕切板51にも固定されている。支持部53は、マスト13の下端部が固定される上面を有している。マスト13は、下端部に固定板部13Aを有している。固定板部13Aは、複数のボルトを用いて支持部53に固定されている。マスト13が支持部53の上面に平面的に固定されることにより、マスト13は支持部53により強固に固定されている。
【0054】
マスト13の上下方向に延びる本体部分と固定板部13Aとは、リブ部13Bで連結されている。リブ部13Bが形成されていることにより、マスト13の強度が向上している。
【0055】
副アンテナ9Bは、マスト13の先端部(上端部)に固定されている。副アンテナ9Bは、マスト13を介して、仕切板51に固定されている。副アンテナ9Bは、マスト13および仕切板51を介して、旋回フレーム50に固定されている。副アンテナ9Bは、キャブ5を介さずに、旋回体3に固定されている。
【0056】
マスト13が旋回体3に高い強度で固定され、かつマスト13自身の強度も高められていることにより、マスト13に支持された副アンテナ9Bの、旋回体3に対する位置決めの精度が向上されている。
【0057】
図7は、主アンテナ9Aの支持構造を拡大して示す斜視図である。図7に示すように、ブラケット10は、固定部10Aを有している。固定部10Aは、略平板状の形状を有しており、複数のボルトを用いてキャブ5の上面5Aに固定されている。
【0058】
ブラケット10は、固定部10Bを有している。固定部10Bは、略平板状の形状を有している。固定部10Bは、固定部10Aの後縁とつながっている。固定部10Bは、固定部10Aに対して折り曲げられた形状を有している。固定部10Bは、固定部10Aに対して屈曲している。固定部10Bは、固定部10Aから下方へ屈曲している。固定部10Aがキャブ5の上面5Aに固定されていることにより、固定部10Bおよび次に述べる搭載部10Cは、キャブ5の上面5Aから下方へ屈曲している。
【0059】
固定部10Bは、キャブ5の後面5Bに面して配置されている。固定部10Bは、ボルトを用いて、キャブ5の後面5Bに固定されている。固定部10Aがキャブ5の上面5Aに固定され、かつ固定部10Bがキャブ5の後面5Bに固定されることにより、ブラケット10はキャブ5により強固に固定されている。
【0060】
固定部10Bが一部切り欠かれて、貫通孔が形成されている。ミラー11Aを取り付けるためのステー11Bは、この貫通孔を通って配置されており、キャブ5の後面5Bに固定されている。キャブ5の後面5Bに固定されており後面5Bから後方に延びる吊り具は、固定部10Bに形成された貫通孔を貫通して配置されている。
【0061】
ブラケット10は、搭載部10Cを有している。搭載部10Cは、固定部10Bの下縁とつながっている。搭載部10Cは、キャブ5の上面5Aよりも低い高さ位置に配置されている。搭載部10Cは、固定部10Bに対して折り曲げられた形状を有している。搭載部10Cは、固定部10Bに対して屈曲している。搭載部10Cは、固定部10Bから後方へ屈曲している。板材を複数回折り曲げた形状にブラケット10を形成することにより、ブラケット10の強度が向上している。
【0062】
固定部10Bと搭載部10Cとは、リブ部10Dで連結されている。リブ部10Dが形成されていることにより、ブラケット10の強度が向上している。
【0063】
主アンテナ9Aは、搭載部10Cの上面に載置されている。主アンテナ9Aは、搭載部10Cに固定されている。主アンテナ9Aは、搭載部10Cに固定された固定部9A1を有している。主アンテナ9Aの固定部9A1は、キャブ5の上面5Aよりも低い高さ位置に配置されている。主アンテナ9Aは、ブラケット10を介して、キャブ5に取り付けられている。主アンテナ9Aの固定部9A1は、ブラケット10の搭載部10Cを介して、キャブ5に対して固定されている。主アンテナ9Aは、ブラケット10およびキャブ5を介して、旋回体3に固定されている。
【0064】
ブラケット10がキャブ5に高い強度で固定され、かつブラケット10自身の強度も高められていることにより、ブラケット10に支持された主アンテナ9Aの、旋回体3に対する位置決めの精度が向上されている。
【0065】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
実施形態に基づく油圧ショベル1によれば、図4に示すように、主アンテナ9Aはキャブ5に取り付けられており、副アンテナ9Bはキャブ5を介さずに油圧ショベル1の車体に取り付けられている。このように主アンテナ9Aおよび副アンテナ9Bを設置することにより、主アンテナ9Aと副アンテナ9Bとを、旋回体3の左右方向に互いに離れた位置に配置することができる。したがって、油圧ショベル1の現在位置の測位精度を向上することができる。
【0066】
主アンテナ9Aの受信範囲内に作業機4が存在したならば、作業機4が、主アンテナ9Aが受信しようとする電波信号を遮蔽して主アンテナ9Aが電波を受信できなくしたり、電波を反射させることにより主アンテナ9Aが受信する電波信号に乱れを生じさせたりする。特に、実施形態の油圧ショベル1は後方小旋回型であるので、旋回半径を小さくするために、最も上げた状態の作業機4が、旋回体3のより後方に配置されることになる。図4に示すように、主アンテナ9Aをキャブ5の後部に取り付けることで、主アンテナ9Aが旋回体3の後方側に配置される。これにより、作業機4が主アンテナ9Aへの電波信号の遮蔽物となることを抑制できる。主アンテナ9Aの受信環境に作業機4が及ぼす影響を小さく抑えることができるので、油圧ショベル1の現在位置の測位精度の低下を抑制することができる。
【0067】
また、キャブ5に取り付けられている主アンテナ9Aに対して、キャブ5自身が電波信号の遮蔽物とならないようにするためには、主アンテナ9Aの受信範囲内にキャブ5が存在しない配置とする必要がある。そのため、図4に示すように、主アンテナ9Aをキャブ5の上部に取り付けることで、キャブ5が主アンテナ9Aの上空視界を妨げる障害物となることを抑制できる。主アンテナ9Aの受信環境にキャブ5が及ぼす影響を小さく抑えることができるので、油圧ショベル1の現在位置の測位精度の低下を抑制することができる。
【0068】
また、主アンテナ9Aをキャブ5の上部に取り付けることで、キャブ5に設けられた窓、たとえば後窓48が、主アンテナ9Aによって塞がれることが抑制されている。したがって、キャブ5内の運転室に搭乗しているオペレータがキャブ5の外部を見る直接視界を確保することができる。
【0069】
また図1,3に示すように、主アンテナ9Aがキャブ5に対して固定された固定部9A1を有し、固定部9A1がキャブ5の上面5Aよりも低い高さ位置に配置されていることにより、キャブ5の上面5Aに対して相対的に低い位置に主アンテナ9Aを配置することができる。図1,3に示すように、主アンテナ9Aをキャブ5の上面5A以下の高さ位置に配置することで、主アンテナ9Aがキャブ5の上面5Aから上方に突出して油圧ショベル1の輸送高さ制限を超える事態を、確実に回避することができる。
【0070】
また図4,7に示すように、主アンテナ9Aは、ブラケット10を介してキャブ5に取り付けられている。ブラケット10は、キャブ5の上面5Aに固定されている固定部10Aと、キャブ5の上面5Aから後方へ延び下方へ屈曲している固定部10Bおよび搭載部10Cとを有している。キャブ5の上面5Aよりも下方に位置する搭載部10Cに主アンテナ9Aが載置されていることにより、主アンテナ9Aを、キャブ5の上面5A以下の高さ位置により確実に配置することができる。
【0071】
また図2に示すように、主アンテナ9Aおよび副アンテナ9Bが旋回体3の旋回半径内に配置されているので、旋回体3の旋回時に、主アンテナ9Aもしくは副アンテナ9B、またはこれらアンテナに接続されたケーブル類が、異物に接触することを抑制できる。したがって、油圧ショベル1の信頼性を向上することができる。
【0072】
また図2に示すように、キャブ5よりも後方の油圧ショベル1の上面は、エンジンフード6Aが構成しており、エンジンフード6Aは樹脂材料製である。キャブ5よりも後方に主アンテナ9Aを配置するにあたって、主アンテナ9Aをキャブ5に取り付ける構成とすることで、樹脂材料製のエンジンフード6Aの形状を変更する必要がない。そのため、アンテナ9を備える実施形態の油圧ショベル1と、アンテナを備えない油圧ショベルとで、エンジンフード6Aを共通化できる。実施形態のエンジンフード6Aを成型するために新たに金型を準備する必要がないため、油圧ショベル1の製造コストを低減することができる。
【0073】
また図2に示すように、副アンテナ9Bをエンジン12の前方に配置することにより、エンジン12を上方から覆うエンジンフード6Aの形状を変更する必要がない。アンテナ9を備える実施形態の油圧ショベル1と、アンテナを備えない油圧ショベルとで、エンジンフード6Aを共通化できるため、油圧ショベル1の製造コストを低減することができる。
【0074】
また、板金カバー6Cは鉄鋼材料に代表される金属材料で形成されているため、加工が容易である。図2,4に示すように、副アンテナ9Bを支持するためのマスト13を、板金カバー6Cを一部切り欠いて板金カバー6Cを貫通させて配置することができる。したがって、副アンテナ9Bを板金カバー6Cの上方に配置する構成とすることで、副アンテナ9Bを旋回体3に容易に取り付けることが可能である。
【0075】
また図4,5に示すように、エンジンフード6Aは、旋回体3に対して開閉可能である。旋回体3に対して相対移動する構造物にアンテナ9が固定されている場合、当該構造物の移動に伴ってアンテナ9が移動するため、較正が頻繁に必要になり煩雑である。実施形態の主アンテナ9Aはキャブ5に取り付けられており、実施形態の副アンテナ9Bはエンジン室14の前方に配置されており、エンジンフード6Aには主アンテナ9Aおよび副アンテナ9Bは取り付けられていない。そのため、エンジン室14を開閉するためにエンジンフード6Aを移動させても、主アンテナ9Aおよび副アンテナ9Bが移動することがなく、再較正の必要がない。したがって、アンテナ9の較正の頻度の増加を回避でき、メンテナンス作業に伴う作業者の負担を軽減することができる。
【0076】
上記の実施形態においては、ブラケット10が、キャブ5の上面5Aに固定されている固定部10Aとキャブ5の後面5Bに固定されている固定部10Bとを有している例について説明した。ブラケット10は、キャブ5の後面5Bのみに固定されて、キャブ5の後面5Bから後方に延びる構成であってもよい。主アンテナ9Aは、ブラケット10を介してキャブ5に固定される構成に限られず、キャブ5に直接固定されてもよい。
【0077】
上記の実施形態においては、主アンテナ9Aの全体がキャブ5の上面5A以下の高さ位置に配置されている例について説明した。キャブ5の上面5Aに、油圧ショベル1の輸送時にも取り外されない構造物が搭載されている場合には、油圧ショベル1の輸送高さ制限は当該構造物の上端部によって定められる。この場合主アンテナ9Aは、当該構造物の上端部以下の高さ位置に配置されていれば輸送高さ制限を超えないため、主アンテナ9Aの一部がキャブ5の上面5Aよりも上方の位置に配置されていても構わない。
【0078】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0079】
1 油圧ショベル、2 走行体、2A 履帯、3 旋回体、4 作業機、4A ブーム、4B アーム、4C バケット、4D,4E,4F 油圧シリンダ、5 キャブ、5A 上面、5B 後面、6 外装パネル、6A エンジンフード、6A1 開口、6B 土砂カバー、6C 板金カバー、7 カウンタウェイト、8 排気筒、9 アンテナ、9A 主アンテナ、9A1 固定部、9B 副アンテナ、10 ブラケット、10A,10B 固定部、10C 搭載部、10D,13B リブ部、11A ミラー、11B ステー、12 エンジン、13 マスト、13A 固定板部、14 エンジン室、40 フロントピラー、41 右ピラー、42 左ピラー、47 前窓、48 後窓、50 旋回フレーム、51 仕切板、52 柱部材、53 支持部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7