(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-01
(45)【発行日】2022-11-10
(54)【発明の名称】レーザ装置
(51)【国際特許分類】
H01S 3/042 20060101AFI20221102BHJP
H01S 3/02 20060101ALI20221102BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
H01S3/042
H01S3/02
H05K7/20 H
H05K7/20 P
(21)【出願番号】P 2018079797
(22)【出願日】2018-04-18
【審査請求日】2021-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】福岡 大
(72)【発明者】
【氏名】田村 悟
【審査官】高椋 健司
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-031430(JP,A)
【文献】実開平03-111479(JP,U)
【文献】特開2016-015435(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0059351(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 3/00 - 3/02
H01S 3/04 - 3/0959
H01S 3/098- 3/102
H01S 3/105- 3/131
H01S 3/136- 3/213
H01S 3/23 - 5/50
B23K 26/00 -26/70
G03B 21/00 -21/10
G03B 21/12 -21/13
G03B 21/134-21/30
G03B 33/00 -33/16
H05K 5/00 - 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザを発振するレーザモジュールと、
前記レーザモジュールに電力を供給する電源モジュールと、
前記レーザモジュールを冷却するための水冷機構と、
前記電源モジュールを冷却するための空冷機構と、を備えるレーザ装置であって、
前記レーザモジュールおよび前記電源モジュールを収容するレーザ装置用キャビネットをさらに備え、
前記レーザ装置用キャビネットの内部は、前記レーザモジュールが収容される第1空間と、前記電源モジュールが収容される第2空間とに
、隔壁により区画され、
前記第1空間は、外気を流通させるための外気口を有しない密閉空間であり、
前記第2空間は、外気を流通させるための外気口を有することを特徴とするレーザ装置。
【請求項2】
前記外気口は、前記第2空間に外気を取り込むための吸気口と、前記第2空間から外部に排気するための排気口と、を含む請求項1に記載のレーザ装置。
【請求項3】
レーザを発振するレーザモジュールと、
前記レーザモジュールに電力を供給する電源モジュールと、
前記レーザモジュールを冷却するための水冷機構と、
前記電源モジュールを冷却するための空冷機構と、を備えるレーザ装置であって、
前記レーザモジュールおよび前記電源モジュールを収容するレーザ装置用キャビネットをさらに備え、
前記レーザ装置用キャビネットの内部は、前記レーザモジュールおよび前記水冷機構が収容される第1空間と、前記電源モジュールが収容される第2空間とに
、隔壁により区画されることを特徴とするレーザ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
産業用の加工ツールとして、レーザ加工機が広く普及している。一般に、レーザ加工機には、レーザを生成するレーザ装置が外付けされる。このようなレーザ装置について、例えば特許文献1には、キャビネット内の全体に送風して、レーザ装置を構成する各種ユニットを一括で空冷する構造を備えたレーザ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、レーザ装置について鋭意検討し、以下の認識を得た。すなわち、従来のレーザ装置では各ユニットの冷却効率を向上させるために、盤用クーラーをキャビネット内に設けてキャビネット内で冷風を循環させることがあった。しかしながら、キャビネット内全体を冷却するためには、大型で且つ高価なクーラーが必要であった。このようなクーラーの設置は、レーザ装置の大型化の要因となり得る。また、レーザ装置のコスト増にもつながり得る。
【0005】
クーラーを用いずに各ユニットを冷却する方法としては、キャビネット内に熱交換器を設け、外部から供給される冷却水によって各ユニットを水冷することが考えられる。しかしながら、各種ユニットを共通の水冷機構で冷却する場合には、高価な熱交換器等が必要となり、レーザ装置のコスト増につながり得る。
【0006】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、レーザ装置の小型化と低コスト化との両立を図るための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様はレーザ装置である。当該レーザ装置は、レーザを発振するレーザモジュールと、レーザモジュールに電力を供給する電源モジュールと、レーザモジュールを冷却するための水冷機構と、電源モジュールを冷却するための空冷機構とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、レーザ装置の小型化と低コスト化との両立を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態に係るレーザ装置を模式的に示す透視斜視図である。
【
図2】レーザ装置のマニホールドを含む領域を模式的に示す透視斜視図である。
【
図3】
図3(A)は、レーザ装置の正面図である。
図3(B)は、レーザ装置の側面図である。
図3(C)は、レーザ装置の背面図である。
図3(D)は、レーザ装置の平面図である。
【
図4】
図4(A)は、従来のレーザ装置をレーザ加工機に接続した状態を模式的に示す斜視図である。
図4(B)は、実施の形態に係るレーザ装置をレーザ加工機に接続した状態を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図に示す各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。また、本明細書または請求項中に「第1」、「第2」等の用語が用いられる場合には、特に言及がない限りこの用語はいかなる順序や重要度を表すものでもなく、ある構成と他の構成とを区別するためのものである。
【0011】
図1は、実施の形態に係るレーザ装置を模式的に示す透視斜視図である。
図2は、レーザ装置のマニホールドを含む領域を模式的に示す透視斜視図である。
図3(A)は、レーザ装置の正面図である。
図3(B)は、レーザ装置の側面図である。
図3(C)は、レーザ装置の背面図である。
図3(D)は、レーザ装置の平面図である。
【0012】
レーザ装置1は、レーザモジュール2と、電源モジュール4と、レーザ制御部6と、レーザ装置用キャビネット8(以下では適宜、キャビネット8という)とを、主な構成として備える。レーザモジュール2、電源モジュール4およびレーザ制御部6は、1つのパッケージに収容されておらず、それぞれ別体でキャビネット8に収容される。また、レーザ装置1は、安全回路部10と、制御用コンピュータ12と、マニホールド14と、光ファイバ16と、操作部18と、モニタ20と、本体側操作スイッチ22と、本体側表示部24と、コネクタ26とを備える。
【0013】
レーザモジュール2は、レーザを発振するユニットである。レーザモジュール2は、例えばファイバレーザ発振器で構成される。電源モジュール4は、レーザモジュール2に電力を供給するユニット(構成要素)である。レーザ制御部6は、レーザモジュール2の駆動を制御するユニットである。安全回路部10は、レーザ装置1全体の電源制御やレーザ加工機との間でデータの入出力を行うユニットである。制御用コンピュータ12は、レーザ制御部6の制御パラメータの書き換え等を実行するユニットである。例えば、制御用コンピュータ12は、PC(Personal Computer)等の汎用のコンピュータで構成される。
【0014】
マニホールド14は、キャビネット8の外部からレーザモジュール2へ冷却水等の冷媒を供給する流路、およびレーザモジュール2からキャビネット8の外部へ冷媒を排出する流路を構成する流路ブロックである。マニホールド14は、上流側供給口14aと、下流側供給口14bとを有する。上流側供給口14aは、キャビネット8の外部に敷設される図示しない冷媒供給配管に接続される。上流側供給口14aと冷媒供給配管とは、キャビネット8の配管接続用開口8aを介して接続される。下流側供給口14bは、レーザモジュール2に接続される。また、マニホールド14内には図示しない供給流路が設けられる。供給流路は、一端側が上流側供給口14aに接続され、他端側が下流側供給口14bに接続される。
【0015】
また、マニホールド14は、上流側排出口14cと、下流側排出口14dとを有する。上流側排出口14cは、レーザモジュール2に接続される。下流側排出口14dは、キャビネット8の外部に敷設される図示しない冷媒排出配管に接続される。下流側排出口14dと冷媒排出配管とは、キャビネット8の配管接続用開口8bを介して接続される。また、マニホールド14内には図示しない排出流路が設けられる。排出流路は、一端側が上流側排出口14cに接続され、他端側が下流側排出口14dに接続される。
【0016】
冷媒は、上流側供給口14a、供給流路および下流側供給口14bを経由してレーザモジュール2に供給され、上流側排出口14c、排出流路および下流側排出口14dを経由してキャビネット8の外部に排出される。これにより、レーザモジュール2が冷却される。したがって、マニホールド14は、レーザモジュール2を冷却するための水冷機構を構成する。
【0017】
光ファイバ16は、レーザモジュール2で生成されるレーザ光をレーザ加工機に伝送するための部材である。光ファイバ16は、一端側がレーザモジュール2に接続され、他端側がキャビネット8の外部に延在してレーザ加工機に接続される。操作部18は、制御用コンピュータ12への指示を入力するための部材である。モニタ20は、制御用コンピュータ12への指示内容等の各種情報を表示する部材である。操作部18およびモニタ20は、有線あるいは無線により制御用コンピュータ12に接続される。ユーザは、操作部18およびモニタ20を用いて、レーザ装置1の駆動状態の変更などを指示することができる。
【0018】
本体側操作スイッチ22は、例えばレーザ装置1の駆動/停止を切り替える主電源スイッチ等を含む。本体側表示部24は、例えばレーザ装置1の駆動/停止等の状態を光源の点消灯で表示する。コネクタ26には、各種の外部機器が接続される。
【0019】
キャビネット8は、上述した複数のユニットを収容するための筐体である。操作部18およびモニタ20は、キャビネット8外に配置される。キャビネット8は、レーザ装置1の外郭を構成する。キャビネット8は、互いに直交する第1方向A、第2方向Bおよび第3方向Cにおける寸法について、第1方向Aの寸法が、第2方向Bの寸法および第3方向Cの寸法のうち小さい方の寸法の1/3以下、好ましくは1/4以下、より好ましくは1/5以下である。本実施の形態では説明の便宜上、レーザ装置1の正面視で横方向(幅方向)を第1方向Aとし、レーザ装置1の側面視で横方向(奥行き方向)を第2方向Bとし、レーザ装置1の正面視および側面視で縦方向(高さ方向)を第3方向Cとする。
【0020】
また、本実施の形態のキャビネット8は、底部にキャスター8cを有する。キャスター8cを設けることで、レーザ装置1を簡単に移動させることができる。キャビネット8の第3方向Cの寸法は、キャスター8cを含む寸法である。なお、レーザ装置1の姿勢は特に限定されず、任意の姿勢で使用することができる。また、キャスター8cは省略することができる。
【0021】
例えば、第1方向Aの寸法は、150mm~250mmであり、第2方向Bの寸法は、750mm~1200mmであり、第3方向Cの寸法は、1000mm~1400mmである。
【0022】
キャビネット8は、上記した第1方向A~第3方向Cの寸法を有するため、外形が扁平形状であって対向する一組の主表面8dを有する。本実施の形態のキャビネット8は、第1方向Aに扁平な直方体形状である。キャビネット8の内部は、4層構造となっている。最も下側の第1層L1には、マニホールド14が収容される。キャビネット8の背面における第1層L1に対応する領域には、配管接続用開口8a,8bが配置される。
【0023】
第1層L1の直上の第2層L2には、レーザモジュール2および電源モジュール4が収容される。レーザモジュール2および電源モジュール4は、第1方向Aに配列されている。レーザモジュール2は、扁平形状であって対向する一組の主表面2aを有する。レーザモジュール2は、自身の主表面2aがキャビネット8の主表面8dに対して平行に延在するように配置される。言い換えれば、レーザモジュール2は、主表面2aが第2方向Bおよび第3方向Cに拡がるように配置される。
【0024】
つまり、キャビネット8およびレーザモジュール2は、最も短い辺を含む面が同じ方向を向くように配置される。本実施の形態では、最も短い辺を含む面が下方を向くように配置されている。同様に、電源モジュール4も扁平な形状であり、最も短い辺を含む面が下方を向くように配置されている。
【0025】
第2層L2の直上の第3層L3には、レーザ制御部6および制御用コンピュータ12が収容される。レーザモジュール2とレーザ制御部6とは、第2方向Bおよび/または第3方向Cにずれて配置される。言い換えれば、レーザ制御部6は、レーザモジュール2の主表面2aの面外方向(面直方向)から見て、主表面2aの面内方向に配列される。つまり、レーザ制御部6は、キャビネット8の主表面8dに沿って、レーザモジュール2と並ぶように配置される。
【0026】
また、レーザモジュール2とレーザ制御部6とは、第2方向Bおよび/または第3方向Cから見て、少なくとも一部が重なるように配置される。本実施の形態では、レーザ制御部6とレーザモジュール2とは、第3方向Cにずれて配置され、第3方向Cから見て重なっている。なお、電源モジュール4が第3層L3に収容されて、レーザモジュール2と上記の位置関係をとってもよい。
【0027】
キャビネット8の背面における第3層L3に対応する領域には、一部のコネクタ26が配置される。また、当該領域において、光ファイバ16がキャビネット8の外部に延伸する。光ファイバ16が挿通される貫通孔の周縁部には、防塵防水のためのブッシュが設けられる。
【0028】
第3層L3の直上の第4層L4には、安全回路部10が収容される。キャビネット8の正面における第4層L4に対応する領域には、本体側操作スイッチ22および本体側表示部24が配置される。キャビネット8の背面における第4層L4に対応する領域には、残りのコネクタ26が配置される。キャビネット8内で、各ユニットは電気的に接続される。レーザ制御部6は、制御用コンピュータ12からの信号またはコネクタ26に接続される外部機器からの信号に基づいて、レーザモジュール2の駆動を制御する。
【0029】
キャビネット8の正面におけるレーザモジュール2に対応する領域には、開閉可能な第1扉部D1が設けられる。第1扉部D1が開いた状態で、レーザモジュール2をキャビネット8に対して挿抜することができる。また、キャビネット8の正面における電源モジュール4に対応する領域には、開閉可能な第2扉部D2が設けられる。第2扉部D2が開いた状態で、電源モジュール4をキャビネット8に対して挿抜することができる。また、キャビネット8の正面におけるレーザ制御部6に対応する領域には、開閉可能な第3扉部D3が設けられる。第3扉部D3が開いた状態で、レーザ制御部6をキャビネット8に対して挿抜することができる。
【0030】
また、キャビネット8の正面における制御用コンピュータ12に対応する領域には、開閉可能な第4扉部D4が設けられる。第4扉部D4が開いた状態で、制御用コンピュータ12をキャビネット8に対して挿抜することができる。また、キャビネット8の正面における安全回路部10に対応する領域には、開閉可能な第5扉部D5が設けられる。第5扉部D5が開いた状態で、安全回路部10をキャビネット8に対して挿抜することができる。第1扉部D1~第5扉部D5の周縁部には、防塵防水のためのシール部材が設けられる。
【0031】
キャビネット8の正面には、第1扉部D1~第5扉部D5を覆う正面カバー36が設けられる。正面カバー36は、後述する吸気口28に対応する領域に、スリット38を有する。キャビネット8の背面には、背面カバー40が設けられる。背面カバー40は、後述する排気口30に対応する領域に、スリット42を有する。
【0032】
また、キャビネット8の内部は、第1空間R1と、第2空間R2とに区画されている。キャビネット8は隔壁8eを内部に有し、隔壁8eによって第1空間R1と第2空間R2とが区切られている。第1空間R1には、レーザモジュール2、レーザ制御部6、安全回路部10および制御用コンピュータ12が収容される。第2空間R2には、電源モジュール4が収容される。第1空間R1は、IP54保護等級に準ずる防塵防水性能を有する。第1空間R1と第2空間R2との間の空気の流通は、隔壁8eによって防止されている。
【0033】
キャビネット8は、第2空間R2に外気を取り込むための吸気口28と、第2空間R2から外部に排気するための排気口30とを有する。吸気口28には、空気中の微粒子を捕集するフィルタ32が嵌め込まれている。排気口30には、排気ファン34が嵌め込まれている。排気ファン34の駆動により、キャビネット8外の空気がスリット38およびフィルタ32を経由して第2空間R2に引き込まれる。第2空間R2に引き込まれた空気は、電源モジュール4との間で熱交換した後、排気ファン34およびスリット42を経由してキャビネット8外に排出される。これにより、電源モジュール4が冷却される。したがって、吸気口28、排気口30、フィルタ32、排気ファン34およびスリット38,42は、電源モジュール4を冷却するための空冷機構を構成する。なお、電源モジュール4は、IP54保護等級に準ずる防塵防水性能を有することが好ましい。
【0034】
図4(A)は、従来のレーザ装置をレーザ加工機に接続した状態を模式的に示す斜視図である。
図4(B)は、実施の形態に係るレーザ装置をレーザ加工機に接続した状態を模式的に示す斜視図である。
図4(A)に示すように、従来のレーザ装置100では、各種ユニットは19インチ規格のキャビネットに収容されていた。このため、レーザ装置100の設置面積は比較的大きかった。また、設置面積の大きいレーザ装置100をレーザ加工機200に併設すると、レーザ加工機200周囲における作業者の動線の障害となり得る。このため、レーザ装置100は、作業者がレーザ装置100とレーザ加工機200との間を通り抜けられるように、レーザ加工機200から所定の距離を隔てて設置されていた。
【0035】
一方、
図4(B)に示すように、実施の形態に係るレーザ装置1は、従来のレーザ装置100よりも薄い形状を有する。このため、従来のレーザ装置100よりも設置面積を小さくすることができる。また、キャビネット8の主表面8dがレーザ加工機200に当接あるいは近接するようにレーザ装置1を縦置きすることで、レーザ装置1をレーザ加工機200に併設した場合であっても、レーザ加工機200周囲における作業者の動線を確保することができる。つまり、実施の形態に係るレーザ装置1は、自身の設置面積の小ささと、レーザ加工機200に当接または近接するように設置できることとから、レーザ装置1およびレーザ加工機200を敷設する際のスペース効率を向上させることができる。なお、例えばレーザ加工機200にデッドスペースがある場合には、このスペースにレーザ装置1を収納することもできる。この際、レーザ装置1は、キャビネット8の主表面8dが上下方向を向くように横置きすることもできる。
【0036】
以上説明したように、本実施の形態に係るレーザ装置1は、レーザモジュール2を冷却するための水冷機構と、電源モジュール4を冷却するための空冷機構とを備える。このように、レーザ装置1における主な発熱体であるレーザモジュール2と電源モジュール4とについて、一方を水冷し他方を空冷することで、クーラーを省略あるいは小型化することができ、また高価な熱交換器の使用を回避することができる。よって、レーザ装置1の小型化と低コスト化との両立を図ることができる。また、キャビネット8内の全体を空冷する場合とは異なり、空気の流れを考慮した各ユニットの配置が不要なため、キャビネット8内の各ユニットの配置自由度を高めることができる。
【0037】
また、本実施の形態では、電源モジュール4に比べて高い温度安定性が求められるレーザモジュール2に対して、空冷機構に比べて冷却効率の高い水冷機構が適用されている。これにより、レーザ装置1におけるレーザ出力の安定性を高めることができる。
【0038】
また、キャビネット8の内部は、レーザモジュール2等が収容される第1空間R1と、電源モジュール4が収容される第2空間R2とに区画されている。第1空間R1に収容された各ユニットのうち、主な発熱体であるレーザモジュール2が水冷機構によって冷却される。これにより、第1空間R1内の他のユニットの温度上昇が抑制される。なお、第1空間R1に収容される全てのユニットが水冷されてもよい。また、キャビネット8には、第2空間R2に外気を取り込むための吸気口28と、第2空間R2から外部に排気するための排気口30とが設けられる。これにより、第2空間R2に収容された電源モジュール4が空冷される。また、排気口30には排気ファン34が設けられる。これにより、電源モジュール4の冷却効率を高めることができる。
【0039】
また、キャビネット8は、互いに直交する第1方向A~第3方向Cにおける寸法について、第1方向Aの寸法が、第2方向Bの寸法および第3方向Cの寸法のうち小さい方の寸法の1/3以下である。したがって、キャビネット8は、外形が扁平形状であって対向する一組の主表面8dを有する。このように、キャビネット8を第1方向Aに薄い形状とすることで、レーザ装置1の設置スペースを小さくすることができる。また、レーザ装置1の設置スペースの縮小により、レーザ装置1の設置自由度も高めることができる。この結果、レーザ装置1およびレーザ加工機200を敷設する際のスペース効率を向上させることができる。特に、レーザ装置1の実際の使用状況においては、最も小さい第1方向Aの寸法を2番目に小さい第2方向Bまたは第3方向Cの寸法の1/3以下とすることで、スペース効率をより確実に向上させることができる。
【0040】
また、レーザモジュール2は、扁平形状であって対向する一組の主表面2aを有する。そして、レーザモジュール2は、自身の主表面2aがキャビネット8の主表面8dに対して平行に延在するように配置される。また、レーザモジュール2と、電源モジュール4およびレーザ制御部6の少なくとも一方とは、第2方向Bおよび/または第3方向Cにずれて配置される。これらにより、キャビネット8ひいてはレーザ装置1を薄型化しやすくすることができる。また、レーザモジュール2、電源モジュール4およびレーザ制御部6は、それぞれ別体で、つまり1つのパッケージに収容されていない状態で、キャビネット8に収容される。これによっても、キャビネット8ひいてはレーザ装置1を薄型化しやすくすることができる。
【0041】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を加えることが可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれる。上述の実施の形態に変形が加えられた新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態及び変形それぞれの効果をあわせもつ。
【0042】
上述した実施の形態において、レーザモジュール2の水冷と電源モジュール4の空冷とを実現し得る範囲で、各ユニットの配置は適宜変更することができる。また、キャビネット8を防塵防水構造とする必要がない場合は、ブッシュやシール部材を省略することができる。
【0043】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム等の間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【符号の説明】
【0044】
1 レーザ装置、 2 レーザモジュール、 2a 主表面、 4 電源モジュール、 6 レーザ制御部、 8 レーザ装置用キャビネット、 8d 主表面、 28 吸気口、 30 排気口、 R1 第1空間、 R2 第2空間。