(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-01
(45)【発行日】2022-11-10
(54)【発明の名称】ダイヤフラムバルブ
(51)【国際特許分類】
F16K 41/12 20060101AFI20221102BHJP
F16K 31/06 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
F16K41/12
F16K31/06 305J
F16K31/06 305K
(21)【出願番号】P 2018113618
(22)【出願日】2018-06-14
【審査請求日】2021-05-27
(32)【優先日】2017-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505296441
【氏名又は名称】エムエイシー・バルブス,インク
【氏名又は名称原語表記】MAC VALVES,INC
【住所又は居所原語表記】30569 BECK ROAD,P.O.BOX 111,WIXOM,MICHIGAN 48393,UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】ランデイカー ブレット アンソニー
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-539842(JP,A)
【文献】特開2014-066340(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 41/00-41/18
F16K 31/06-31/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイヤフラムバルブであって、
内部に、コイルおよび磁極片を有するソレノイド本体と、
前記ソレノイド本体に接続される弁体カートリッジと、
前記ソレノイド本体内に摺動可能に配置され、長手軸に沿って、通電位置と非通電位置との間を移動する電機子と、
前記弁体カートリッジ内に摺動可能に配置され、前記電機子に接続され一緒に移動するバルブ部材と、前記ソレノイド本体内に配置され、常態では、前記電機子を前記非通電位置に向かって付勢するように作用する付勢部材と、
前記ソレノイド本体に配置され、前記コイルを支持し、前記磁極片の少なくとも一部および前記電機子の少なくとも一部を内部に摺動可能に収容するボビンと、
電機子スリーブ壁部と電機子スリーブフランジとを有する電機子スリーブと、
前記弁体カートリッジから内側に延出し、かつ、前記電機子および前記バルブ部材の前記長手軸に沿った移動に応じて湾曲するように、前記電機子と前記バルブ部材との間に収容されるダイヤフラムと、
スリーブキャビティを形成する支持スリーブ壁部と、内側に延出し前記支持スリーブ壁部に対して横向きである支持スリーブフランジと、を有するダイヤフラム支持スリーブと、を備え、
前記電機子スリーブ壁部は、前記ボビンと前記電機子の少なくとも一部との間に配置され、
前記電機子スリーブフランジは、前記電機子スリーブ壁部から前記ソレノイド本体に向かって外側に延出し、
前記付勢部材は、前記電機子スリーブフランジと当接する第1付勢部材端部を有する
前記スリーブキャビティは、前記電機子の少なくとも一部を収容し、
前記支持スリーブフランジは、前記ダイヤフラムの少なくとも一部と当接し支持することを特徴とするダイヤフラムバルブ。
【請求項2】
請求項1のダイヤフラムバルブにおいて、前記付勢部材は、前記電機子と前記支持スリーブ壁部との間の前記ダイヤフラム支持スリーブの前記スリーブキャビティ内に配置されることを特徴とするダイヤフラムバルブ。
【請求項3】
請求項2のダイヤフラムバルブにおいて、前記電機子は、前記支持スリーブ壁部に向けて外側に延出する付勢部材着座部を有し、前記付勢部材は、前記電機子の前記付勢部材着座部と当接す
る第2付勢部材端部を有することを特徴とするダイヤフラムバルブ。
【請求項4】
請求項
1に記載のダイヤフラムバルブにおいて、
前記支持スリーブ壁部と前記電機子スリーブフランジとの間に配置され、前記支持スリーブ壁部と前記電機子スリーブフランジとに当接するスペーサシールをさらに備えることを特徴とするダイヤフラムバルブ。
【請求項5】
請求項1に記載のダイヤフラムバルブにおいて、
前記ダイヤフラムは、前記弁体カートリッジと前記ダイヤフラム支持スリーブとの間に収容され、かつ、前記ダイヤフラムバルブ内に前記ダイヤフラムを固定する外周リップを備えることを特徴とするダイヤフラムバルブ。
【請求項6】
請求項
5に記載のダイヤフラムバルブにおいて、
前記ダイヤフラムの前記外周リップは、傾斜形状の断面を有することを特徴とするダイヤフラムバルブ。
【請求項7】
請求項1に記載のダイヤフラムバルブにおいて、
前記弁体カートリッジは、入口と、出口と、前記入口および前記出口の間の弁座と、を少なくとも備え、
前記バルブ部材は、バルブ閉位置で前記弁座に当接し、バルブ開位置で前記弁座から離れる弁座係合面を有することを特徴とするダイヤフラムバルブ。
【請求項8】
請求項
7に記載のダイヤフラムバルブにおいて、
前記弁体カートリッジは、ピストン穴を有し、前記バルブ部材は、前記ピストン穴内に摺動可能に収容されるピストンを備え、
前記入口は断面積を有し、
前記ピストンは、前記入口の前記断面積と等しいピストン表面積を有し、圧力均衡状態を形成することを特徴とするダイヤフラムバルブ。
【請求項9】
請求項1に記載のダイヤフラムバルブにおいて、
前記ダイヤフラム支持スリーブは、前記弁体カートリッジと螺合することを特徴とするダイヤフラムバルブ。
【請求項10】
請求項1に記載のダイヤフラムバルブにおいて、
前記ダイヤフラムは、前記電機子が前記通電位置または前記非通電位置の一方にある場合、前記長手軸に対して横向きであるダイヤフラム面内で延出することを特徴とするダイヤフラムバルブ。
【請求項11】
請求項1に記載のダイヤフラムバルブにおいて、
前記ダイヤフラムを前記電機子と前記バルブ部材との間で挟持固定可能とする螺合部を、前記電機子と前記バルブ部材との間にさらに備えることを特徴とするダイヤフラムバルブ。
【請求項12】
請求項1に記載のダイヤフラムバルブにおいて、
前記磁極片は、前記ソレノイド本体内で雌ねじと係合し、かつ、前記ソレノイド本体に対して前記磁極片を回転させることにより前記磁極片の軸方向位置を選択可能とするねじ付き端部を備えることを特徴とするダイヤフラムバルブ。
【請求項13】
ダイヤフラムバルブであって、
内部に、コイルおよび磁極片を有するソレノイド本体と、
前記ソレノイド本体に接続される弁体カートリッジと、
前記ソレノイド本体内に摺動可能に配置され、長手軸に沿って、通電位置と非通電位置との間を移動する電機子と、
前記弁体カートリッジ内に摺動可能に配置され、前記電機子に接続され共に移動するバルブ部材と、
前記電機子周りに延出し、常態では、前記電機子を前記非通電位置に向かって付勢するように作用する付勢部材と、
前記ソレノイド本体に配置され、前記コイルを支持し、かつ、前記磁極片の少なくとも一部および前記電機子の少なくとも一部の周りに環状に延出するボビンと、
電機子スリーブ壁部と電機子スリーブフランジとを有する電機子スリーブと、
前記弁体カートリッジから径方向内側に延出し、前記電機子と前記バルブ部材との間に収容されるダイヤフラムと、
支持スリーブ壁部および支持スリーブフランジを有するダイヤフラム支持スリーブと、を備え、
前記電機子スリーブ壁部は、前記ボビンと前記電機子の少なくとも一部との間に径方向に配置され、
前記電機子スリーブフランジは、前記電機子スリーブ壁部から前記ソレノイド本体に向かって径方向外側に延出し、
前記付勢部材は、前記電機子スリーブフランジと当接する第1付勢部材端部を有し、
前記支持スリーブ壁部は、前記付勢部材の周りに環状に延出し、
前記支持スリーブフランジは、前記ダイヤフラムの少なくとも一部に当接し支持するように、前記支持スリーブ壁部から径方向内側に延出することを特徴とするダイヤフラムバルブ。
【請求項14】
請求項
13に記載のダイヤフラムバルブにおいて、
前記電機子は、前記支持スリーブ壁部に向けて径方向外側に延出する付勢部材着座部を有し、
前記付勢部材は、前記電機子の前記付勢部材着座部と当接す
る第2付勢部材端部を有することを特徴とするダイヤフラムバルブ。
【請求項15】
請求項
13に記載のダイヤフラムバルブにおいて、
前記支持スリーブ壁部と前記電機子スリーブフランジとの間に配置され前記支持スリーブ壁部および前記電機子スリーブフランジに当接し、かつ、前記ダイヤフラム支持スリーブと前記電機子スリーブとの公差を許容するスペーサシールをさらに備えることを特徴とするダイヤフラムバルブ。
【請求項16】
請求項
14に記載のダイヤフラムバルブにおいて、
前記支持スリーブフランジは、前記電機子の前記付勢部材着座部の径方向内側に延出することを特徴とするダイヤフラムバルブ。
【請求項17】
請求項
13に記載のダイヤフラムバルブにおいて、
前記ダイヤフラム支持スリーブは、前記支持スリーブ壁部から径方向外側に延出するねじ付き肩部を備え、
前記弁体カートリッジは、前記ダイヤフラム支持スリーブの前記ねじ付き肩部と係合する雌ねじを有することを特徴とするダイヤフラムバルブ。
【請求項18】
ダイヤフラムバルブであって、
マニホールド穴を有するマニホールドと、
前記マニホールド穴に収容される弁体カートリッジと、
前記弁体カートリッジに接続され、かつ、内部にコイルおよび磁極片を有するソレノイド本体と、
前記ソレノイド本体内に摺動可能に配置され、長手軸に沿って、通電位置と非通電位置との間を移動する電機子と、
前記弁体カートリッジ内に摺動可能に配置され、前記電機子に接続され共に移動するバルブ部材と、
前記ソレノイド本体内に配置され、常態では、前記電機子を前記非通電位置に向かって付勢するように作用する付勢部材と、
前記ソレノイド本体に配置され、前記コイルを支持し、かつ、前記磁極片の少なくとも一部および前記電機子の少なくとも一部の周りに環状に延出するボビンと、
電機子スリーブ壁部と電機子スリーブフランジとを有する電機子スリーブと、
前記弁体カートリッジから内側に延出し、かつ、前記電機子および前記バルブ部材の前記長手軸に沿った移動に応じて湾曲するように、前記電機子と前記バルブ部材との間に収容されるダイヤフラムと、
スリーブキャビティを形成する長手方向延出支持スリーブ壁部と、前記長手方向延出支持スリーブ壁部から内側に延出する横向き支持スリーブフランジとを有するダイヤフラム支持スリーブと、を備え、
前記電機子スリーブ壁部は、前記ボビンと前記電機子の少なくとも一部との間に径方向に配置され、
前記電機子スリーブフランジは、前記電機子スリーブ壁部から前記ソレノイド本体に向かって径方向外側に延出し、
前記付勢部材は、前記電機子スリーブフランジと当接する付勢部材端部を有し、
前記スリーブキャビティは、前記電機子の少なくとも一部を収容し、
前記横向き支持スリーブフランジは、前記ダイヤフラムの少なくとも一部と当接し支持する、ことを特徴とするダイヤフラムバルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電磁弁に関し、より詳細には、ダイヤフラムにより密閉される電磁弁に関する。
【背景技術】
【0002】
本セクションは、本願開示事項に関連する背景情報を提供するが、これは必ずしも先行技術にはあたらない。
【0003】
電磁弁(例えば、ポペット弁)は、マニホールド中の流体(例えば、圧縮空気)の流れを制御するために使用可能である。このようなマニホールドは、圧縮流体により駆動されるソーター、包装機、フードプロセッサー等の装置の一部であってもよい。これら電磁弁は、何百万ものサイクルにわたり操作される可能性がある。ソレノイドの非通電時、電磁弁を閉位置に保持するために、ばね等の付勢部材が用いられる。また、流体圧力をバルブ内部で均衡させることにより、バルブ部材を閉位置と開位置との間で動かすのに必要なソレノイド力を低減可能であることも、例えば、特許文献1で公知である。
【0004】
バルブ部材は、弁体カートリッジ内に摺動可能に配置される。閉位置において、通常、バルブ部材は、付勢部材により、弁体カートリッジの弁座と接触した状態に保持される。開位置において、通常、ソレノイドがバルブ部材を弁座から離す方向に動かし、バルブ部材と弁座との間に隙間を形成する。特許文献2に開示されるように、弁体カートリッジとソレノイドとの間を密閉するために、蛇腹状ダイヤフラムを使用することもできる。このようなダイヤフラムは、バルブ部材の長手方向移動を許容しつつ、汚染物質がソレノイド側に進入するのを防ぐ。
【0005】
弁体カートリッジは、マニホールドに設けられる穴に収容されるように設計される。マニホールドは、通常、マニホールド穴と流体連結される複数の通路を備える。稼動中、電磁弁は、これら複数の通路間の流体流れを制御する。通常、O-リングシールが弁体カートリッジの外側に設けられ、弁体カートリッジをマニホールド穴内でシールする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第4,598,736号明細書
【文献】米国特許第3,985,333号明細書
【発明の概要】
【0007】
本セクションは、開示事項の概略を示すものであり、その範囲全体又はその全ての特徴を包括的に開示するものではない。
【0008】
本願開示により、ソレノイド本体と、ソレノイド本体に接続された弁体カートリッジとを備える改良ダイヤフラムバルブが提供される。コイル、磁極片および電機子がソレノイド本体内に配置される。電機子は、ソレノイド本体内で、長手軸に沿って、通電位置と非通電位置との間を摺動可能である。バルブ部材も、弁体カートリッジ内に配置される。バルブ部材は、電機子に接続され、電機子が通電位置と非通電位置との間を移動すると、バルブ部材は弁体カートリッジ内を摺動可能である。常態では、電機子を非通電位置に向かって付勢するように作用する付勢部材も、ソレノイド本体内に配置される。ダイヤフラムは、弁体カートリッジから内側にバルブ部材に向かって延出する。ダイヤフラムは、長手軸に沿った電機子およびバルブ部材の移動に応じて湾曲するように、電機子とバルブ部材との間に収容される。
【0009】
ダイヤフラムバルブは、さらにダイヤフラム支持スリーブを備える。ダイヤフラム支持スリーブは、支持スリーブ壁部および支持スリーブフランジを有する。支持スリーブ壁部は、電機子の少なくとも一部を収容するスリーブキャビティを形成する。支持スリーブフランジは、内側に延出し、支持スリーブ壁部に対して横向きである。支持スリーブフランジは、ダイヤフラムの少なくとも一部と当接し支持する。
【0010】
さらなる利用分野は、本明細書に示される記載から明らかになるであろう。
この発明の概要における説明および具体例は説明目的のみを意図したものであり、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本明細書中で説明される図面は、選択された実施形態の図示目的にすぎず、可能性のある実施の全てを図示するのでなく、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【
図1】本開示にかかる例示的マニホールドおよび例示的ダイヤフラムバルブの側面断面図。
【
図2】
図1に示される例示的ダイヤフラムバルブの正面斜視図。
【
図3】電機子が非通電位置にある場合の、
図1に示される例示的ダイヤフラムバルブの側面断面図。
【
図4】電機子が通電位置にある場合の、
図1に示される例示的ダイヤフラムバルブ側面断面図。
【0012】
いくつかの図面を通して、対応する参照番号は、対応する部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
添付の図面を参照して、より詳しく実施形態を説明する。本開示が完全なものとなり、当業者に発明の範囲を完全に伝えるように、実施形態を提示する。本開示の実施形態の完全な理解のために、特定の部品、装置および方法の例示のような具体的詳細が多数記載される。当業者にとって、具体的な詳細を用いる必要はなく、例示的実施形態は多くの異なる形態で実装可能であり、また本願開示を限定するものと解釈すべきでないことは明らかであろう。いくつかの例示的実施形態において、公知の方法、公知の素子構造及び公知の技術は、詳細に記載されない。
【0014】
本明細書中で用いられる用語は、具体的な例示的実施形態を記述することのみを目的とするものであり、限定的であることを意図しない。本明細書で使用される際、単数形は、明示されていない限り複数形も含むことを意図する。用語「備える」、「備えて」、「含んで」および「有して」は包括的であり、述べられた特徴、整数、工程、操作、要素、および/または部品の存在を特定する。しかし、1以上の特徴、整数、工程、操作、要素、部品および/または群の存在または追加を排除するものではない。本明細書で記載される方法工程、プロセスおよび操作は、実行順序として詳細に特定されない限り、必ずしも記載または図示された特定の順序で実行を要するものと解釈されるべきではない。追加工程または代替工程が用いられてもよいことも理解されるであろう。
【0015】
要素または層が、他の要素または層「上に」ある、「に係合」、「に接続」または「に連結」すると記される場合、この要素または層は直接に他の要素または層上にあるか、係合、接続、または連結してもよい。または、介在要素または層があってもよい。一方、要素が、他の要素または層の「直接上に」ある、「に直接係合」、「に直接接続」または「に直接連結」すると記される場合、介在要素または層は存在しなくてよい。要素同士の関係を説明するのに使用される他の文言(例えば、「の間に」と「直接の間に」、「隣接して」と「直接隣接して」など)は、同様に解釈されるべきである。本明細書で用いられる際、用語「および/または」は1以上の関連づけられたリスト項目の全ての組み合わせを含む。
【0016】
第一、第二、第三等の用語が各種要素、部品、領域、層および/または切断面を説明するために本明細書で使用されるが、これらの要素、部品、領域、層および/または切断面はこれらの用語により限定されるものではない。これらの用語は、ある要素、部品、領域、層および/または切断面を他の領域、層または切断面から区別するためにのみ使用されてもよい。本明細書で使用される際の「第一」「第二」のような用語および他の数に関する用語は、文脈で明示されない限り、配列または順序を意味しない。したがって、下記で論じられる第一要素、部品、領域、層および/または切断面は、実施例の教示から逸脱することなく第二要素、部品、領域、層および/または切断面と称されることも可能である。
【0017】
「インナー」、「アウター」、「真下に」、「下に」、「下側の」「上に」、「上部に」等のような空間的に相対的な用語が、図示する際、ある要素または特徴と他の要素または特徴との関係の記載を容易にするために、本明細書で使われてもよい。空間的に相対的な用語は、図示される向きに加えて、使用時または操作時における装置の異なる向きを包含するとしてもよい。例えば、図の装置がひっくり返ると、他の要素または特徴の「下に」または「真下に」と記載される要素は、他の要素または特徴の「上に」置かれるだろう。このように、例示の用語「下に」は上と下両方への向きを包含することが可能である。装置は他方向に向かされてもよい(90度回動または他の向きに)。本明細書で使用される空間関連の記述は適宜解釈される。
【0018】
図1および
図2において、ダイヤフラムバルブ20がマニホールド22に設置された例が示される。ダイヤフラムバルブ20は、長手軸28に対して同軸上に配置される、弁体カートリッジ24とソレノイド本体26を備える。弁体カートリッジ24は、開口端30とダイヤフラム収容端部32との間を長手方向に延出する。ソレノイド本体26は、電機子収容端部34と磁極片収容端部36との間を長手方向に延出する。本明細書において用いられる用語、「長手方向の」「長手方向に」「軸方向の」「軸方向に」は、長手軸28に沿った、または長手軸28に平行なことを意味する。弁体カートリッジ24のダイヤフラム収容端部32と、ソレノイド本体26の電機子収容端部34は、螺合部38により脱着可能に接続される。マニホールド22は、マニホールド穴40を有する。弁体カートリッジ24は、マニホールド22のマニホールド穴40に摺動可能に挿入される。1つ以上のシール部材42(例えば、O-リング)が、弁体カートリッジ24とソレノイド本体26に作られた1つ以上の円周スロット44に配置される。シール部材42は、マニホールド穴40と当接し、流体シールを形成する。
【0019】
ソレノイド本体26は、長手軸28から径方向外側に延出する、第1つば46aおよび第2つば46bを備える。また、ソレノイド本体26は、マニホールド穴40と係合し、かつ、ダイヤフラムバルブ20をマニホールド22に固定する雄ねじ50を有する。マニホールド22は、マニホールド穴40と流体連結される通路52a、52bを備える。
作動中、ダイヤフラムバルブ20は、マニホールド22の通路52a、52bの間の流体(例えば、圧搾空気)の流れを制御する。
【0020】
さらに
図3および
図4を参照すると、コイル54および磁極片56がソレノイド本体26に配置される。同様にソレノイド本体26に配置されるボビン58が、コイル54を支持する。電機子62は、ソレノイド本体26内に摺動可能に配置され、長手軸28に沿って、非通電位置(
図3)から通電位置(
図4)の間を移動する。磁極片56の少なくとも一部および電機子62の少なくとも一部が、ボビン58内に摺動可能に配置される。磁極片56は、長手軸28に沿って磁極片56を貫通する圧力均等化通路64を備えてもよい。また、磁極片56は、ソレノイド本体26の磁極片収容端部36の雌ねじ68と係合するねじ付き端部66を備えてもよい。したがって、磁極片56の軸方向位置は、ソレノイドに対して磁極片56を長手軸28周りに回転させることにより調整可能である。
【0021】
磁極片56は磁極片スリーブ70内に配置される。磁極片スリーブ70は、磁極片スリーブ壁部72および磁極片スリーブフランジ74を備える。磁極片スリーブ壁部72は、ボビン58と磁極片56の少なくとも一部との間で径方向に配置される。磁極片スリーブフランジ74は、磁極片スリーブ壁部72からソレノイド本体26に向かって、径方向外側に延出する。磁極片56をソレノイドに対して長手軸28周りに回転させることにより、磁極片56の軸方向位置を調整する場合、磁極片スリーブ壁部72により、磁極片56と、ボビン58、コイル54およびソレノイド本体26との同軸配置が維持される。
【0022】
電気カバー76は、ソレノイド本体26の磁極片収容端部36に螺合部78により脱着可能に接続される。電気カバー76は、コイル54に電気的に接続されるプリント回路基板(PCB)82上に複数の電気接触子80を備える。電気接触子80は、ダイヤフラムバルブ20に電気を供給する1本以上の電気リード線86と接続される電気コネクタ84と係合するように構成される。 電気カバー76は、電気コネクタ84との間にコネクタシール部88を収容してもよい。ダイヤフラムバルブ20は、磁極片56とプリント回路基板82との間に絶縁体90を備えてもよい。
【0023】
図3に示されるように、電機子62が非通電位置にある場合、磁極片56と電機子62との間に隙間92が設けられる。電機子62は、ソレノイド本体26の電機子収容端部34内の電機子スリーブ94内に摺動可能に配置される。電機子スリーブ94は、電機子スリーブ壁部96および電機子スリーブフランジ98を有する。電機子スリーブ壁部96は、ボビン58と電機子62の少なくとも一部との間で径方向に配置される。電機子スリーブフランジ98は、電機子スリーブ壁部96からソレノイド本体26に向かって径方向外側に延出する。電機子スリーブ壁部96により、電機子62が通電位置と非通電位置との間を摺動する間、電機子62とボビン58、コイル54およびソレノイド本体26との同軸配置が維持される。他の構成も可能であるが、電機子スリーブ壁部96は、電機子スリーブフランジ98と一体に接続されてもよい。電機子62は、ダイヤフラムバルブ20の組立中に電機子62を保持するための1つ以上の平坦部100を有してもよい。
【0024】
付勢部材102(例えば、コイル状金属圧縮ばね)が、電機子62の周りに配置される。電機子62は、ソレノイド本体26に向かって径方向外側に延出する付勢部材着座部104を有する。付勢部材102は、電機子62の付勢部材着座部104と当接する
第2付勢部材端部106と、電機子スリーブフランジ98と当接する
第1付勢部材端部108とを有する。付勢部材102は、電機子62を非通電位置に向かって付勢するように作用する付勢力110を電機子62に加える(
図3)。
【0025】
図4に示されるように、コイル54に通電すると、コイル54は、磁極片56側に電機子62を磁気的に引きつける磁界を形成する。磁界は、付勢部材102の付勢力110を超える磁力112を電機子62に与え、その結果、電機子62が通電位置に移動する(
図4)。コイル54に通電している限り、電機子62は通電位置に保持される。
【0026】
ダイヤフラムバルブ20は、弁体カートリッジ24内に配置されるバルブ部材114を有する。電機子62は、接続部116を備える。バルブ部材114は、電機子62の接続部116に螺合部118で接続される。したがって、バルブ部材114は、電機子62が通電位置と非通電位置の間を移動するに伴い、弁体カートリッジ24内を摺動する。
【0027】
ダイヤフラム120は、電機子62の接続部116とバルブ部材114との間の、弁体カートリッジ24のダイヤフラム収容端部32に収容される。より具体的には、電機子62とバルブ部材114との螺合部118により、ダイヤフラム120が電機子62の接続部116とバルブ部材114との間で挟持固定可能となる。ダイヤフラム120は、ダイヤフラムバルブ20に対して空気シールを提供し、流体(例えば、圧縮空気)および汚染物質がソレノイド本体26に進入するのを防ぐ。ダイヤフラム120は、電機子62が非通電位置にある場合(
図3)、長手軸28に対して横向きであるダイヤフラム面122内で、弁体カートリッジ24から径方向内側に向かって延出する。このことは、ダイヤフラム120が略平坦であり、U字状断面を有する蛇腹状部分を1つ以上有しないことを意味する。ダイヤフラム120は、電機子62が通電位置に移動すると(
図4)、ダイヤフラム面122から離れる方向に湾曲する。様々な構成や構成材料が可能であるが、ダイヤフラム120は、ゴム製であってもよい。
【0028】
弁体カートリッジ24の開口端30は、少なくとも入口124および出口126を有する。
図1に示すように、弁体カートリッジ24がマニホールド穴40に設置されると、入口124および出口126は、マニホールド22の通路52a、52bと流体連通して配置される。弁座128が、入口124と出口126との間に配置される。弁座128は、弁体カートリッジ24と一体形成されてもよいし、ゴムのような柔らかい材料で作られる別部品であってもよい。バルブ部材114は、バルブ閉位置で弁座128に当接し(
図3)、バルブ開位置で弁座128から離れる(
図4)弁座係合面130を有する。
【0029】
弁体カートリッジ24は、またピストン穴132も有する。バルブ部材114は、ピストン穴132内に収容され、かつ、バルブ部材114がバルブ開位置とバルブ閉位置との間を移動するに伴い、ピストン穴132内を摺動するように構成されたピストン134を有する。あるいは、ダイヤフラムバルブ20は、均圧バルブとして構成されてもよい。入口124は断面積を有する。ダイヤフラムバルブ20が均圧構造を有する場合、ピストン134は、入口124の断面積と等しいピストン表面積を有する。
【0030】
図3に示されるバルブ閉位置において、付勢部材102の付勢力110は、電機子62を非通電位置まで押し、バルブ部材114をバルブ閉方向136に押す。バルブ部材114の弁座係合面130が、付勢部材102の付勢力110により、弁座128と接触した状態に保持される。したがって、ダイヤフラムバルブ20は非通電の場合、入口124と出口126との間の流体流れを妨げる。
図4に示されるバルブ開位置において、コイル54に通電すると、付勢部材102の付勢力110は、磁極片56を通して作用する磁力112に劣り、電機子62を通電位置に引きつけ、バルブ部材114をバルブ開方向138に引きつける。ダイヤフラムバルブ20に通電して、バルブ部材114の弁座係合面130が弁座128から離れると、入口124から出口126への流路140が形成される。
【0031】
ソレノイド本体26の電機子収容端部34は、電機子キャビティ142を有する。ダイヤフラム支持スリーブ144は、電機子キャビティ142内に配置される。ダイヤフラム支持スリーブ144は、支持スリーブ壁部146および支持スリーブフランジ148を有する。支持スリーブ壁部146は、長手方向に延出し、略円筒形であり、長手軸28と同軸上に配置される。支持スリーブ壁部146は、電機子62周りに環状に延出し、かつ、電機子62と離間配置されて、内部にスリーブキャビティ150を形成する。スリーブキャビティ150は、電機子62の少なくとも一部を収容する。付勢部材102は、電機子62と支持スリーブ壁部146との間のスリーブキャビティ150に径方向に配置される。 支持スリーブフランジ148は、支持スリーブ壁部146から径方向内側に延出し、長手軸28に対して横向きである。より具体的には、支持スリーブフランジ148は、電機子62の付勢部材着座部104の径方向内側に延出し、支持スリーブフランジ148の径方向内側に電機子62の接続部116が配置される。支持スリーブフランジ148は、ダイヤフラム120の少なくとも一部と当接し支持する。
【0032】
スペーサシール152が、支持スリーブ壁部146と電機子スリーブフランジ98との間に配置され、支持スリーブ壁部146と電機子スリーブフランジ98と当接する。スペーサシール152は、ダイヤフラム支持スリーブ144と電機子スリーブ94との間の公差を許容する。ダイヤフラム支持スリーブ144は、弁体カートリッジ24と螺合する。具体的には、ダイヤフラム支持スリーブ144は、支持スリーブ壁部146から径方向外側に延出するねじ付き肩部154を備え、弁体カートリッジ24は、ダイヤフラム支持スリーブ144のねじ付き肩部154と係合する雌ねじ156を有する。
【0033】
ダイヤフラム120は、外周リップ158を備えてもよい。外周リップ158は、弁体カートリッジ24とダイヤフラム支持スリーブ144との間に収容され、ダイヤフラムバルブ20内にダイヤフラム120を固定する。図示した例では、ダイヤフラム120の外周リップ158の断面は、傾斜しているが、他の形状であってもよい。
【0034】
いくつかの実施形態によれば、弁体カートリッジ24は、ポリマー材料で作られ、ソレノイド本体26に脱着可能に螺合される。ポリマー材料は、複数の理由により、弁体カートリッジ24用に使用される。その理由とは、ダイヤフラムバルブ20のコストおよび重量を減らすため;弁体カートリッジ24の複雑な結合構造を、成形作業により、より簡単に製造可能にするため;マニホールド22内の設置位置において、弁体カートリッジ24が腐食するのを減らすまたは無くすため;および、コイル54の作動中、弁体カートリッジ24への磁界の影響を無くすため、である。また別の実施形態では、弁体カートリッジ24は金属製である。
【0035】
実施形態に関する上記記載は、図解および説明の目的で提供される。網羅的または開示事項を限定することを意図しない。特定の実施形態における個々の要素および特徴は、一般的に、その特定の実施形態に限定されるものではなく、適用可能な場合、交換可能であり、たとえ詳細に図示または記載されないとしても、選択された実施形態で使用可能である。同じものが多くの方法で変更されてもよい。そのような変更は本願開示事項からの逸脱とはみなされない。そのような修正は全て本願開示事項の範囲内に含まれることが意図される。