(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-01
(45)【発行日】2022-11-10
(54)【発明の名称】接圧ロール
(51)【国際特許分類】
C25D 7/00 20060101AFI20221102BHJP
B65H 20/02 20060101ALI20221102BHJP
B65H 27/00 20060101ALI20221102BHJP
C25D 5/02 20060101ALI20221102BHJP
C25D 5/12 20060101ALI20221102BHJP
C25D 5/14 20060101ALI20221102BHJP
C25D 5/56 20060101ALI20221102BHJP
C25D 7/04 20060101ALI20221102BHJP
C25D 17/10 20060101ALI20221102BHJP
C25D 21/00 20060101ALI20221102BHJP
F16C 13/00 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
C25D7/00 A
B65H20/02 Z
B65H27/00 A
B65H27/00 B
C25D5/02 D
C25D5/12
C25D5/14
C25D5/56 B
C25D5/56 C
C25D7/04
C25D17/10 A
C25D21/00 A
F16C13/00 A
(21)【出願番号】P 2018129183
(22)【出願日】2018-07-06
【審査請求日】2021-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006644
【氏名又は名称】日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】512303448
【氏名又は名称】株式会社川村製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100169155
【氏名又は名称】倉橋 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075638
【氏名又は名称】倉橋 暎
(72)【発明者】
【氏名】川村 英亮
【審査官】松村 駿一
(56)【参考文献】
【文献】特許第6009328(JP,B2)
【文献】特開2004-204357(JP,A)
【文献】特開平06-328593(JP,A)
【文献】特開昭62-177313(JP,A)
【文献】特開平02-011914(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 7/00
B65H 20/02
B65H 27/00
C25D 5/02
C25D 5/12
C25D 5/14
C25D 5/56
C25D 7/04
C25D 17/10
C25D 21/00
F16C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素繊維強化樹脂にて
長さ方向に分割されることなく一体にて作製された円筒形状の外筒部材と、前記外筒部材の内側に前記外筒部材と同一軸線にて配置された内筒部材とを有し、前記外筒部材は、前記内筒部材の軸方向中央部に形成された接合部にて
前記内筒部材に一体に
固定され、
前記内筒部材は軸方向両端部に前記内筒部材と同一軸線にて一体に固定された回転軸部材を有し、
前記外筒部材の外周面には金属めっき層が形成された二重管構造の接圧ロールであって、
前記外筒部材の軸方向両端部には、それぞれ、金属めっき層を形成する際のめっき電極を取付けるための金属にて作製された外筒側部端面部材を一体に
固定して有し、
前記外筒側部端面部材は、前記外筒側部端面部材を前記外筒部材の端部内面に取付けるための円筒スリーブ形状の支持部と、前記支持部と同一軸線にて前記外筒部材の外方へと延在した段付き円筒形状の円筒側板とを有し、
前記円筒側板は、前記外筒部材の外径と同じ外径とされ、一側の端面が前記外筒部材の軸方向環状端面に当接した大径部と、前記大径部より外径が小とされ、前記大径部に連接して形成された小径部とを有し、前記小径部の前記大径部とは反対側の外側の環状端面に、前記めっき電極を取付けることができ、
前記接圧ロールの前記金属めっき層は、前記外筒部材、並びに、前記円筒側板の前記大径部及び前記小径部の外周面に形成されている、
ことを特徴とする接圧ロール。
【請求項2】
前記円筒側板の前記大径部と前記小径部の外径差の1/2である段差△Eは、0.1~10mmであることを特徴とする請求項1に記載の接圧ロール。
【請求項3】
前記円筒側板の前記小径部の前記大径部とは反対側の環状端面に複数のネジ穴が形成されており、前記ネジ穴を利用して前記めっき電極を取付けること、或いは、バランス調整用ネジウェイトを螺合することを可能としたことを特徴とする請求項
1又は2に記載の接圧ロール。
【請求項4】
前記めっき層は、多層構造とされ、
(1)下地層としてNiめっき、表層としてHcrめっきを有するか、
(2)下地層としてCuめっき、表層としてHcrめっきを有するか、又は、
(3)下地層としてCuめっき、中間層としてNiめっき、表層としてHcrめっきを有することを特徴とする請求項1~
3のいずれかの項に記載の接圧ロール。
【請求項5】
前記内筒部材は、炭素繊維強化樹脂にて作製されることを特徴とする請求項1~
4のいずれかの項に記載の接圧ロール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、スリッタ、ワインダ等のフィルム巻取装置の巻取部に使用する接圧ロールに関するものであり、特に、外筒部材及び内筒部材を有する二重管構造とされ、少なくとも外筒部材が炭素繊維強化樹脂にて作製され、且つ、表面に金属めっき層を形成した表面平滑性、耐摩耗性に優れた高精度の接圧ロールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、スリッタ、ワインダ等のフィルム巻取装置においては、皺を発生させることなくフィルムを巻き取るために、接圧ロールを巻取り中のフィルム製品に押し付けながらフィルムを巻き取ることが行われている。
【0003】
特許文献1には、本願添付の
図6(a)に例示するように、接圧ロール1Aのフィルム製品に対する面圧の均一化を行い、フィルム製品中央部から空気を逃げやすくして皺の発生を防止するために、接圧ロール1Aを外筒部材2と、軸部材4とにて構成し、軸部材4と外筒部材2の連結部4Aがロール長手方向中央部に存在する接圧ロール1Aが提案されている。又、斯かる構成の接圧ロール1Aは、軸部材側から外筒部材側への荷重作用点が、ロール長手方向の中央部となり、それにより、軸部材自体に撓みが生じたとしても外筒部材には撓みは生ぜず、外筒部材表面とフィルム製品ロール表面との間の面圧はロール長手方向に均一に保たれ、局部的な空気たまりの発生が防止され、皺の発生が防止されるとしている。
【0004】
また、上記構成の特許文献1に記載の接圧ロールは、適当な弾性をもってフィルム製品に当接するために、3~30mm程度の厚さで、ゴム硬度20~80度程度のゴム層6Aを外筒部材2の表面に形成するものとしている。
【0005】
更に、特許文献2は、本願添付の
図6(b)に示すように、軸部材4、4を内筒部材3の両端部に一体に設け、この内筒部材3の外周囲に二分割された外筒部材2(2A、2B)を配置して、外筒部材2を内筒部材3の中央部に形成された接合部3Aにて突き合わせて接着接合した、所謂、二重管構造の接圧ロール1Bを記載している。また、特許文献2には、外筒部材2及び内筒部材3を炭素繊維強化樹脂にて作製することにより、高剛性と軽量化を図り接圧ロールの固有振動数を高めることができるとしている。更に、接圧ロール1Bが押し当てられるプラスチックフィルムに傷等が付くのを抑制するために、外筒部材2(2A、2B)の表面に、銅、ニッケル、クロム、鉄、アルミニウム等の金属から成るめっき層6Bを形成することを教示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実公平2-29076号公報
【文献】特許第6009328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、本発明者の研究実験の結果によると、特許文献1に記載する接圧ロール1Aは、巻取り中のフィルム製品に押し付けながらフィルムを巻き取る際に有効な構造とされるが、接圧ロールの表面にゴム層6Aを形成した構成では、フィルム製品との接触によりゴム層の摩耗があり耐摩耗性、即ち、耐久性の点で問題があった。また、表面仕上げもゴムライニング表面では、0.8μm以下の鏡面(Ry≦0.8μm)にすることは難しく、また、梨地加工等の表面改質処理もできなかった。
【0008】
一方、特許文献2に記載するように、ゴム層の代わりに、外筒部材の表面に、銅、ニッケル、クロム、鉄、アルミニウム等の金属から成るめっき層6Bを形成することにより、接圧ロールの表面性を向上させ、且つ、耐摩耗性が向上した、高耐久性の接圧ロールを提供し得ることが考えられる。しかしながら、特許文献2には、単に、ロール外筒の表面に金属めっき層を形成すると記述するのみで、めっき層を形成するための手段等についての具体的な記載は何らしていない。
【0009】
本発明者の多くの研究実験の結果、特許文献2に記載されるような二重管構造の接圧ロールにて、少なくとも外筒を炭素繊維強化樹脂にて作製し、更にその外筒部材の表面に、金属めっき層を均一に形成することは、極めて困難であることが分かった。つまり、炭素繊維強化樹脂製の外筒を有する二重管構造の接圧ロールに対して、通常の金属めっき技術を使用してめっき層を形成したが、外径が40~450mm、長さが500~7000mmといった様々な寸法の接圧ロールの表面に、長さ方向及び周方向に均一に、しかも、強固に付着しためっき層を形成することができなかった。
【0010】
特に、特許文献2に記載の接圧ロールは、炭素繊維強化樹脂にて作製された外筒部材が二分割されており、接圧ロール自体の強度の点で問題がある。また、外筒部材の表面に金属めっき層を形成したとしても、特に、その接合部でのロールの表面性に問題が起き易い。
【0011】
本発明の目的は、少なくとも炭素繊維強化樹脂にて作製された外筒部材を有する二重管構造の接圧ロールにおいて、外筒部材表面に対して金属めっき層が均一に、しかも、強固に付着した、表面平滑性や梨地等の加工性が良好で、特に、回転振れを小さく抑えることができる、高耐摩耗性を有した接圧ロールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的は本発明に係る接圧ロールにて達成される。要約すれば、本発明は、炭素繊維強化樹脂にて長さ方向に分割されることなく一体にて作製された円筒形状の外筒部材と、前記外筒部材の内側に前記外筒部材と同一軸線にて配置された内筒部材とを有し、前記外筒部材は、前記内筒部材の軸方向中央部に形成された接合部にて前記内筒部材に一体に固定され、
前記内筒部材は軸方向両端部に前記内筒部材と同一軸線にて一体に固定された回転軸部材を有し、
前記外筒部材の外周面には金属めっき層が形成された二重管構造の接圧ロールであって、
前記外筒部材の軸方向両端部には、それぞれ、金属めっき層を形成する際のめっき電極を取付けるための金属にて作製された外筒側部端面部材を一体に固定して有し、
前記外筒側部端面部材は、前記外筒側部端面部材を前記外筒部材の端部内面に取付けるための円筒スリーブ形状の支持部と、前記支持部と同一軸線にて前記外筒部材の外方へと延在した段付き円筒形状の円筒側板とを有し、
前記円筒側板は、前記外筒部材の外径と同じ外径とされ、一側の端面が前記外筒部材の軸方向環状端面に当接した大径部と、前記大径部より外径が小とされ、前記大径部に連接して形成された小径部とを有し、前記小径部の前記大径部とは反対側の外側の環状端面に、前記めっき電極を取付けることができ、
前記接圧ロールの前記金属めっき層は、前記外筒部材、並びに、前記円筒側板の前記大径部及び前記小径部の外周面に形成されている、
ことを特徴とする接圧ロールである。
【0013】
本発明の一実施態様によると、前記円筒側板の前記大径部と前記小径部の外径差の1/2である段差△Eは、0.1~10mmである。
【0015】
本発明の他の実施態様によると、前記円筒側板の前記小径部の前記大径部とは反対側の環状端面に複数のネジ穴が形成されており、前記ネジ穴を利用して前記めっき電極を取付けること、或いは、バランス調整用ネジウェイトを螺合することを可能とする。
【0016】
本発明の他の実施態様によると、前記めっき層は、多層構造とされ、
(1)下地層としてNiめっき、表層としてHcrめっきを有するか、
(2)下地層としてCuめっき、表層としてHcrめっきを有するか、又は、
(3)下地層としてCuめっき、中間層としてNiめっき、表層としてHcrめっきを有する。
【0017】
本発明の他の実施態様によると、前記内筒部材は、炭素繊維強化樹脂にて作製される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、炭素繊維強化樹脂にて作製された外筒部材を有する二重管構造の接圧ロールにおいて、外筒部材表面に対して金属めっき層が均一に、しかも、強固に付着した、表面平滑性や梨地等の加工性が良好で、特に、回転振れを小さく抑えることができる、高耐摩耗性を有した接圧ロールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明に係る接圧ロールの一実施例を示す断面図である。
【
図2】
図2(a)及び
図2(b)は、それぞれ、本発明に係る接圧ロールの外筒側部端面部材の一実施例を説明するための側面図及び斜視図である。
【
図3】
図3は、それぞれ、本発明に係る接圧ロールの外筒側部端面部材の一実施例を説明するための部分断面詳細図である。
【
図4】
図4(a)、(b)は、本発明に係る接圧ロールの外筒部材及び内筒部材の製造方法の一実施例を説明する斜視図である。
【
図5】
図5(a)は、本発明に係る接圧ロールにめっき層を形成するために組み立てられた接圧ロール組立体の斜視図であり、
図5(b)は、めっき処理方法の一実施例を説明する概略図である。
【
図6】
図6(a)、(b)は、従来の接圧ロールの一例を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る接圧ロールを図面に則して更に詳しく説明する。本実施例にて、本発明の接圧ロールは、スリッタ、ワインダ等のフィルム巻取装置において巻取り中のフィルム製品に押し付けながらフィルムを巻き取るための接圧ロールとして説明するが、本発明の接圧ロールは、これらの用途に限定されるものではなく、例えば、その他に、フィルムラミネートロール、ニップ、プレスロールなどとしても使用可能であり、フィルム、薄膜等のウェブ加工一般の接圧ロールとして使用可能である。
【0021】
実施例1
図1及び
図2を参照すると、本発明に係る接圧ロールの一実施例を示す。本実施例では、接圧ロール1は、円筒形状の外筒部材2と、この外筒部材2の内側に位置して外筒部材2と同一軸線にて配置された内筒部材3とを備え、外筒部材2は、内筒部材3の軸方向中央部に形成された接合部3Aにおいて一体に連結されている。また、外筒部材2は、その外周面に金属めっき層6が形成されている。内筒部材3は、軸方向両端部に同一軸線にて回転軸部材4を備え、回転軸部材4は、それぞれ、軸受け8を介して、接圧ロールを担持するフィルム巻取装置のアーム部材等のハウジング11に担持されている。本実施例にて、接圧ロール1は、フィルム巻取装置におけるフィルム巻き取りのための接圧ロールとして説明するが、その全体形状は、直径(外径D2)が40~450mm、長手方向(軸線方向)の長さL2が500~7000mm、の範囲で種々の形状のものが作製される。より具体的には、直径(D2)×長さ(L2)が40mm×500mmといった小型のロールから直径(D2)×長さ(L2)が450mm×7000mmといった大型のロールをも高表面性、且つ、高精度にて作製することができる。
【0022】
以下、本実施例の接圧ロールの各構成部材について更に詳しく説明する。
【0023】
(外筒部材及び内筒部材)
本実施例にて、外筒部材2は、長手方向長さL2、外径D2、肉厚T2とされる円筒形状とされ、炭素繊維強化樹脂にて作製される。上述したように、本実施例にて、接圧ロールは、フィルム巻取装置におけるフィルム巻き取りのための接圧ロールとして使用するために、外筒部材2の外径D2は40~450mm、長手方向(軸線方向)の長さL2が500~7000mmとされ、肉厚T2は、3~20mmの範囲で用途に合わせて種々の寸法に形成することができる。
【0024】
上記外筒部材2の内側に配置される内筒部材3は、外筒部材2と同一軸線にて、長手方向に長さL3(L3≦L2)だけ延在した円筒形状とされ、本実施例では、外筒部材2より片側で長さL23(全長で、2×L23)だけ短くされる。また、内筒部材3は、中央部において幅(長さL3A)にて拡径されて、外筒部材2との接合部3Aを形成している。従って、外筒部材2の内周面と内筒部材3の外周面とは、接合部3Aにて接着又は圧入により、一体に固定されている。内筒部材3にて、接合部3Aの両側に延在する縮径部3Bの厚さT3bは、外筒部材2と接合する接合部3Aの厚さT3aより、外筒部材2の内面と内筒部材3の外面との間の間隔Gだけ薄くされる。間隔Gは、接圧ロールの大きさにもよるが、通常1~50mm程度とされる。即ち、本実施例にて、外筒部材2と内筒部材3は、軸線方向にて接合部3Aの両側においては所定の間隔Gだけ離間しており、外筒部材2と内筒部材3とは接合部3Aにおいてのみ接合された二重管構造を形成している。
【0025】
内筒部材3は、ステンレススチール、アルミニウム等の金属にて作製することもできるが、軽量化、剛性化の点で、繊維強化樹脂にて作製することができ、特に、外筒部材2と同様に炭素繊維強化樹脂にて作製するのが好ましい。本実施例では、内筒部材3もまた炭素繊維強化樹脂にて作製されるものとして説明する。
【0026】
内筒部材3の長手方向両端部には、同一軸線にて回転軸部材4を備えている。回転軸部材4は、内筒部材3の端部内面に固定された円筒部材支持部41と、支持部41より同軸にて内筒部材3の外方向へと延在した回転軸部42とを有している。支持部41と回転軸部42との間にはフランジ43が形成され、内筒部材3の環状端面に当接している。フランジ43は、内筒部材3の縮径部3Bの外径と略同じ外径とされ、厚さL43は、略5mm程度とされる。回転軸部42は、限定されるものではないが、本実施例では支持部41とは反対側の方向へと順次外方へと縮径された軸部42a(外径D42a)、42b(外径D42b)、42c(外径D42c)にて形成され、先端の軸部42cに軸受け8がワッシャ9及び固定ネジ10により取付けられる。軸受け8は巻取装置本体のアーム等のハウジング11に支持されており、アームを作動させることにより、接圧ロール1は、フィルム製品に所定の圧力にて押圧され、フィルムの移動により従動回転することとなる。
【0027】
次に、上記構成とされる本発明の接圧ロール1における特徴構成について説明する。
【0028】
本発明の接圧ロール1は、外筒部材2の長手方向両端部に、外筒部材2と同一軸線にて一体に固着された段付き円筒形状とされる外筒側部端面部材5を備えている。外筒側部端面部材5は、詳しくは後述するが、外筒部材2の表面に金属めっき層6を形成する際のめっき電極として機能し、更に、接圧ロール1のアンバランスを調整するためのバランス調整手段として機能することができる。
【0029】
外筒側部端面部材5は、ステンレススチール、アルミニウムなどの金属にて作製される。外筒側部端面部材5は、本実施例では、外筒部材2の端部内面に固定された円筒スリーブ形状の支持部51と、支持部51より同一軸線にて外筒部材2の外方へと延在した円筒形状の円筒側板52とを有している。
【0030】
円筒スリーブ形状支持部51の内面の大きさ(内径D5)は、内筒部材3に取付けられた回転軸部材4の回転軸部42が貫通し得る大きさとされている。つまり、本実施例では、円筒スリーブ形状支持部51の内面の大きさ(内径D5)は、回転軸部材4の回転軸部42a~42cの外周面(外径D42a~42c)より大とされる(D5>D42a~42c)。
【0031】
一方、円筒側板52の外径(D52)は、外筒部材2の外周面と同じ円筒表面を形成するべく、外筒部材2の外径(D2)と同じとされる。従って、側板52と支持部51により形成される環状の肩部端面51Aは、外筒部材2の側部環状端面2Aに当接しており、外筒部材2と円筒側板52との接合位置における外周面には、段差のない同一円周面を形成している。
【0032】
なお、本実施例によると、
図2をも参照すると理解されるように、外筒側部端面部材5の円筒側板52には、支持部51とは反対側の外側端面51Bに、外筒部材2と同軸とされる外筒側部端面部材5の側板52の軸線中心O5から同一半径R53にて、複数のネジ穴53が形成される。本実施例では、詳しくは後述するが、側板52の外径D52、即ち、外筒部材2の外径D2が49.4mm、内径D5が32mm、側板52の軸方向長さL52が15mmとされたので、半径R53が20mm(直径40mm)の同一円周上に、M6のタップを深さ10mm(下穴深さ13mm)で形成した。本実施例では、ネジ穴53は、円筒側板52の外側端面51Bに円周上等間隔にて16個形成したが、ネジ穴53の寸法、数は、これに限定されるものではなく、接圧ロールの寸法に応じて適宜選定される。
【0033】
このネジ穴53を利用して、外筒部材2にめっき層6を形成する際のめっき電極を設置する。また、作製された接圧ロール1のアンバランス量を調整する際に、該ネジ穴53を利用してバランスウェイトとして、重さ1g、0.5gなどとされる複数種類の雄ネジウェイトを、適宜、指定された調整箇所に螺合することにより、バランス調整を行うことができる。本発明によると、接圧ロール1の長手方向両面からのアンバランス調整が可能となり、接圧ロール1の回転振れ精度を調整することができる。
【0034】
又、本実施例では、
図3を参照すると、外筒側部端面部材5の円筒側板52は、段付きの円筒形状とすることができ、外筒部材2に隣接した大径部52a(外径D52a)と、大径部52aから、外筒部材2の端面2Aから離間する方向に延在した小径部52b(外径D52b)とにて形成される。大径部52aと小径部52bとの外径差、つまり、段差△E=(1/2)×(D52a-D52b)は、0.1~10mm、通常、0.5mm程度とされる。このように、外筒側部端面部材5の側板外周面に段差△Eを設けたことにより、外筒部材表面にめっき層6を形成すると、めっき層6は、外筒部表面に連接して外筒側部端面部材5の側板52a、52bの外周面にも形成される。つまり、接圧ロール1の外周面に形成されためっき層6は、接圧ロール1の長手方向両端部にて、即ち、円筒側板52の外方端部52bの外周面にて段差△Eだけ縮径された構成とされる。従って、めっき層6が接圧ロール1から軸線方向に移動したり、抜け落ちることが完全に防止される。
【0035】
次に、
図4をも参照して、本発明の接圧ロールの製造法の一実施例について説明する。
【0036】
(外筒部材及び内筒部材の成形)
本実施例では、外筒部材2及び内筒部材3が炭素繊維強化樹脂にて作製される場合について説明する。つまり、外筒部材及び内筒部材である炭素繊維強化樹脂を使用した円筒体(以下、「CFRP円筒体」という。)は、従来当業者には周知のフィラメントワインディング法、或いは、シートワインディング法を用いて好適に作製することができるが、成型法はこれらの方法に限定されるものではない。
【0037】
・
フィラメントワインディング法
先ず、外筒部材用のCFRP円筒体2をフィラメントワインディング法にて作製する場合を、
図4(a)を参照して説明する。本実施例では、先ず、マンドレル100に炭素繊維fを所定の樹脂を用いて巻き付け、CFRP円筒体2Mのための炭素繊維層20を形成する。
【0038】
炭素繊維に含侵される樹脂は、熱硬化性樹脂若しくは熱可塑性樹脂であるか、又は、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の混合樹脂とすることができる。熱硬化性樹脂としては、常温硬化型或は熱硬化型のエポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、MMA樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、又はフェノール樹脂などが好適に使用され、又、熱可塑性樹脂としては、ナイロン、ビニロンなどが好適に使用可能である。又、炭素繊維に対する樹脂量は、30~70重量%、好ましくは、40~60重量%とされる。
【0039】
炭素繊維層20は、複数層、例えば、第1~第n層の炭素繊維層20a、20b、・・・・20nから構成することができ、各炭素繊維層20a、20b、・・・・20nは、円筒体の軸線に対する繊維fの巻き付け角度(α)を互いに異ならせることができる。
【0040】
次いで、炭素繊維層20の上からテーピングを行い、炭素繊維層20を巻き締めた後、マンドレル100ごと硬化炉に装入し、炭素繊維層20の樹脂を硬化させる。これにより、CFRP円筒体が成形される。
【0041】
テープ除去後の上述のようにして得られたCFRP円筒体2Mは、研磨処理して円筒体の径を所定寸法に合わせる。研磨処理後の円筒体の表面の粗さRaは、0.8~15μm、好ましくは、2~8μm、とされる。
【0042】
・シートワインディング法
シートワインディング法は、シート状の炭素繊維プリプレグを使用する点を除けば、上記フィラメントワインディング法と同様にして実施される。
【0043】
つまり、CFRP円筒体をシートワインディング法にて作製する場合には、
図4(a)を参照して説明すると、先ず、マンドレル100に所定の積層構成で、所定の厚さを得るように、炭素繊維プリプレグ20(20a、20b、・・・・20n)を所定の繊維配向にて巻き付ける。
【0044】
次いで、テーピングを行い、炭素繊維プリプレグ20を巻き締めた後、マンドレルごと硬化炉に装入し、炭素繊維プリプレグ20の樹脂を硬化させ、炭素繊維強化樹脂から成るCFRP円筒体を作製する。
【0045】
テープ除去後の上述のようにして得られたCFRP円筒体は、上記フィラメントワインディング法と同様に、研磨処理して円筒体の径を所定寸法に合わせる。研磨処理後の円筒体の表面の粗さRaは、0.8~15μm、好ましくは、2~8μm、とされる。
【0046】
内筒部材3も、上記外筒円筒部材と同様にして作製することができるが、
図4(b)に示すように、フィラメントワインディング法、或いは、シートワインディング法を用いて作製する際に、CFRP円筒体3Mの中央部において、拡径された接合部3Aを形成する点において相違している。また、内筒部材のCFRP円筒体3Mにおいても、全外周表面に対して研磨処理を施し、所定の寸法に合わせる。研磨処理後の円筒体の表面の粗さRaは、0.8~15μm、好ましくは、2~8μm、とされる。ただ、場合によっては、研磨処理は、接合部3Aに対してのみ精度よく実施しても良い。
【0047】
なお、内筒部材3は、場合によっては、炭素繊維強化樹脂ではなく、他の繊維強化樹脂にて作製することもできる。この場合は、強化繊維としては、ガラス繊維などの無機繊維、スチール繊維などの金属繊維、更には、アラミド繊維などの有機繊維等を単独で、又は、複数種混入してハイブリッドにて使用することができる。強化繊維に含侵される樹脂及び含浸量は、上記炭素繊維に含浸される樹脂及び含浸量と同様とし得る。
【0048】
(接圧ロールの組み立て)
上述のようにして作製されたCFRP円筒体2M、3Mを所定の長さにて切断し、外筒部材2及び内筒部材3を作製する。次いで、内筒部材3には、その両端部の円筒状内面、即ち、取付け穴部に回転軸部材4の円筒状支持部41を接着或いは圧入嵌合して一体的に固定する。このようにして回転軸部材4が一体とされた内筒部材3の外側に外筒部材2を挿入し、内筒部材3の接合部3Aに接着或いは圧入嵌合して一体的に接合する。
【0049】
勿論、外筒部材2と内筒部材3とを接合部3Aにて一体に接合した後、内筒部材3の両端部の円筒状内面に回転軸部材4の円筒状支持部41を接着或いは圧入嵌合して一体的に固定することもできる。
【0050】
次いで、
図5(a)に示すように、外筒部材2の両端部の円筒状内面に外筒側部端面部材5の円筒状支持部51を嵌合して、好ましくは、少なくとも側板52の肩部端面51Aと、外筒部材2の側部環状端面2Aとの間は導電性接着剤を介して密着して一体的に固定して接圧ロール組立体1Pが作製される。
【0051】
(外筒部材めっき層の形成)
上述のようにして作製された接圧ロール組立体1Pを、
図5(b)に示すように、めっき装置200のめっき槽201に設置し、接圧ロール1の外周面にめっき処理を施し、めっき層6を形成する。
【0052】
めっき処理に際して、本実施例では、接圧ロール組立体1Pの両側の外筒側部端面部材5の円筒側板52に形成したネジ穴53を利用してめっき電極としての陰極電極治具203をネジ208にて固定する。陰極電極治具203は、一端が開口し、他端が壁部材205にて閉鎖された凹部有する円筒体204とされる。陰極電極治具203の円筒体204の外径は、円筒側板52の外径と同じとされ、内径は円筒側板52の内径と略同じとされ、円筒体凹部内に回転軸部材4を内包し得る形状とされる。陰極電極治具203は、円筒体204部分を貫通して、円周状に均等間隔にて例えば4個形成された貫通穴207を挿通されたネジ208にて外筒側部端面部材5の円筒側板52に固定される。
【0053】
従って、陰極電極治具203は、接圧ロール組立体1Pのめっき層形成箇所、即ち、本実施例では、外筒部材2の外周面、及び、円筒側板52の外周面を除いてめっき液の付着を防止するマスキング材としても機能する。
【0054】
陰極電極治具203は、壁部材205から外方へと突出して陰極電極取付軸206が形成されており、めっき装置200の電源に導線202にて接続され、電流が供給される。
【0055】
従って、本実施例にて、外筒部材2は、少なくとも、外筒部材2の端面2Aの環状端面領域の全面が給電面となる。つまり、外筒側部端面部材5の円筒側板52の環状肩部端面51Aの全環状端面領域から外筒部材2の環状端面2Aを介して電流が外筒部材2に供給される。また、上述したように、外筒部材2の全表面は研磨処理により、最外層樹脂層が除去され、炭素繊維が露出した状態とされている。
【0056】
従って、本実施例に構成によれば、外筒部材2の全表面において流れる電流の密度が均一とされ、均一なめっき層を形成することができる。
【0057】
本発明者の実験の結果、金属めっきとしては、硬度がビッカース硬度(HV)で800以上とされ、摩擦係数が低く耐摩耗性に優れた硬質クロム(Hcr)めっきが好ましいことが分かった。ただ、硬質クロム(Hcr)めっきは、炭素繊維強化樹脂にめっきを直接形成するのは困難であるという性質がある。そこで、めっき層を2層以上の多層構造とするのが好ましく、下地層、更には、中間層を設けることが好ましい。特に、
(1)下地層:Niめっき 表層:Hcrめっき
(2)下地層:Cuめっき 表層:Hcrめっき
(3)下地層:Cuめっき 中間層:Niめっき 表層:Hcrめっき
などの組み合せを採用することができる。本実施例では、上記(1)を選択したが、詳しくは後述するように、好ましい結果を得ることができた。
【0058】
めっき層のめっき厚みは、特に限定されるものではないが、一般に、下地層(Ni又はCuめっき層)は、200~1000μm、表層(Hcrめっき層)は、10~150μmとされる。中間層を設ける場合は、下地層(Cuめっき層)200~1000μm、中間層(Niめっき層)として20~200μm、表層(Hcrめっき層)は、10~150μmとされる。
【0059】
(外筒円筒部材めっき層の表面仕上げ加工及びバランス調整)
上述のようにして外筒部材2にめっき層6が形成された接圧ロール組立体1Pは、次いで、バフ研磨等による表面研磨・仕上げ加工がなされる。
【0060】
このような表面研磨・仕上げ加工により、表面硬度(HV)が800以上とされる接圧ローラの外筒部材2の表面粗度(Ry)は、0.2μm以下となるように仕上げることができる。
【0061】
更に、本発明によれば、上述のようにして作製した接圧ローラ組立体を、バランサー(バランス調整装置)に設置し、アンバランス量を測定し、接圧ローラ組立体の側面に一体に設置された外筒側部端面部材5に形成したネジ穴53に、バランスウェイトとしてのネジ重り(1g、0.5g)を螺合することにより、バランスを微調整することができる。本実施例では、接圧ロール1のアンバランス量を動バランス片面残量2g/3000rpm以下とすることができた。
【0062】
バランス調整を行った後の接圧ロールの精度(回転振れ)は、0.02mm以下に加工することができた。即ち、従来のロールに比較して、非常に回転振れ精度の高いローラを得ることができた。
【0063】
なお、本発明の接圧ロール1の特徴の一つとして、外筒部材2の表面のメッキ層6が摩耗した場合には、当業者には周知の化学的方法又は電気化学的方法によりめっき層を外筒部材から剥離し、再めっきが可能とされる点にある。
【0064】
次に、本発明に従って製造した接圧ロールの性能を立証するために行った実験例について説明する。
【0065】
実験例1
先ず、外筒部材2及び内筒部材3として使用する炭素繊維強化樹脂製の中空管2M、3Mをフィラメントワインディング法により作製した。
【0066】
炭素繊維強化樹脂の強化繊維である炭素繊維fとしては、モノフィラメント平均径7μm、収束本数12000本の繊維束、即ち、PAN系炭素繊維ストランド(三菱レイヨン株式会社製「TR50」(商品名))を用い、樹脂としてはエポキシ樹脂(新日鉄住金マテリアルズ株式会社製「HP100」)を用いた。
【0067】
また、
図4(a)、(b)に示すように、所定の外径(Dm)及び長さ(Lm)のマンドレル100に90°(周方向)±5°の角度にて炭素繊維層20(20a、20b、・・・・20n)が所定厚み(繊維体積含有率Vf=57%)となるように巻き付けた。なお、炭素繊維層20の最外層20nの繊維fの巻き付けは、同一方向に角度(α)45°にて巻き付けた。
【0068】
その後、幅25mm、厚さ0.1mmのPETテープを用いてテーピングを行った後、樹脂が含浸された炭素繊維層20を巻き付けたマンドレル100を加熱硬化炉に装入し、樹脂を硬化させた。その後、硬化した炭素繊維強化樹脂成形物(中空管)2M、3Mをマンドレル100より脱型し、マンドレル100より脱型したCFRP中空管2M、3Mは研磨処理した。研磨処理後の中空管2M、3Mの表面の粗さRaは、6μmであった。
【0069】
このようにして得たCFRP中空管2M、3Mを使用して、外筒部材2及び内筒部材3を作製し、他の部材と共に、
図5(a)に示す接圧ローラ組立体1Pを組立てた。その後、
図5(b)を参照して説明しためっき処理装置200にて接圧ローラ組立体1Pの表面に、めっき処理して金属めっき層6を形成した。めっき層は、下地層としてNiめっき層を形成し、その後、表層としてHcrめっき層を形成した。
【0070】
このようにして作製した接圧ロール1は、下記の寸法、形状とされた。
【0071】
(外筒部材2)
材質: 炭素繊維強化樹脂
外径(D2)×長さ(L2): 49.4mm×1070mm
層厚み(T2):5.7mm
(めっき層6)
下地層めっき(Niめっき)厚:0.25mm
表層めっき(Hcr)厚:0.05mm
(内筒部材3)
材質: 炭素繊維強化樹脂
外径(D3)×長さ(L3): 38mm(接合部)×1020mm
接合部層厚み(T3a): 7mm
接合部両側部の層厚み(T3b): 5.5mm
(外筒側部端面部材5)
材質: ステンレススチール(SUS420j2)
内径(D5)×長さ(L5): 32mm×30mm
側板大径部外径(D52a)×長さ(L52a): 49.4mm×10mm
側板小径部外径(D52b)×長さ(L52b): 48.9mm×5mm
ネジ穴半径(R53):20mm
ネジ穴(53): M6 タップ深さ10mm 下穴深さ13mm
(回転軸部材4)
材質: ステンレススチール(SUS420j2)
回転軸部材長さ(L4): 120mm
支持部内径(D41)×長さ(L41): 18mm×60mm
軸部外径(D42a、b、c)×長さ(L42a、b、c): (24、20.5、17)mm×(35、10、10)mm
【0072】
めっき処理された接圧ローラ組立体1Pの表面をバフ研磨手段により研磨して仕上げ加工した。更に、バランス調整装置にてバランス調整した。
【0073】
このようにして作製した表面仕上げされた接圧ローラ1の外筒部材の表面硬度はHVで800以上とされ、表面粗度(Ry)は、0.2μmとされた。また、バランス調整した後の接圧ロール1の精度(真円度、円筒度、振れ)は、0.02mm以下であった。また、回転振れも3000rpmで0、02mmであった。
【0074】
上述のようにして作製した接圧ロール1は、必要に応じて、梨地加工仕上げも容易に達成することが可能である。
【0075】
更に、本発明に従って製造された接圧ロールのメッキ層6は、化学的方法又は電気化学的方法により外筒部材から剥離することができるので、長期間使用時における経年劣化の際は、再加工が可能である。
【符号の説明】
【0076】
1 接圧ロール
1P 接圧ロール組立体
2 外筒部材
3 内筒部材
4 回転軸部材
41 内筒部材支持部
42 軸部
5 外筒側部端面部材
51 端面部材支持部
52 円筒側板
53 ネジ穴
6 めっき層
203 めっき電極