(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-01
(45)【発行日】2022-11-10
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/476 20060101AFI20221102BHJP
【FI】
A61F13/476
(21)【出願番号】P 2018166235
(22)【出願日】2018-09-05
【審査請求日】2021-07-08
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】与那覇 奨
【審査官】原田 愛子
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-527929(JP,A)
【文献】特開平02-011140(JP,A)
【文献】実開昭57-021608(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2002/0143315(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/476
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透液性の表面シートと、不透液性の裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に設けられた吸収体とを有する本体を備えた吸収性物品であって、
前記本体は、前後方向に所定の長さと、前記前後方向に直交する幅方向に所定の幅とを有し、
前記本体の幅方向各外側に延出する、対をなすウィングを備えており、
前記ウィングの少なくとも一方には、前記前後方向に延びる中心線に対して傾斜して延在する易破断部が設けられて
おり、
前記易破断部は、前記ウィングの一方に設けられ且つ前方から後方に向かうほど前記本体に近付く線状部を含む第1易破断部と、前記ウィングの他方に設けられ且つ後方から前方に向かうほど前記本体に近付く線部を含む第2易破断部とを含み、
前記第1易破断部と前記第2易破断部とは、前記中心線に対し線対称でない、吸収性物品。
【請求項2】
前記易破断部は、前記中心線に対して5~50°の角度をなす線を含む、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記易破断部は、前記ウィングの前後方向の縁部に位置する第1端を有し、前記第1端から前記本体に近付くように延在する、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記第1端は、前記本体から幅方向に10mm以上離れた位置にある、請求項3に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記ウィングは、装着時に、重なり合って、前記易破断部の前記幅方向外側に設けられた粘着部を介して互いに接合可能となっている、請求項1から4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記ウィングの一方は、前記第1端を前方に有する第1易破断部を有し、前記ウィングの他方は、前記第1端を後方に有する第2易破断部を有する、請求項3又は4に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
生理用ナプキン等の吸収性物品として、本体の幅方向外側から延出した一対のフラップ状の部分、すなわちウィングを備えたものが知られている。各ウィングは、装着時には下着側に折り返され、裏面シート側に設けられた粘着部によって着脱可能に下着に固定される。
【0003】
このようなウィングを備えた吸収性物品においては、下着からの取外しを容易にしたものが知られている。例えば、本体を下着から剥がすように引っ張った際に、ウィングが破断されるように構成されたものがある。特許文献1には、本体部から幅方向外側に延出し、下着に装着された状態で互いに重なり合う一対の第1ウィング及び第2ウィングを備え、第1ウィングが、前後方向に延びる引裂誘導部を備えた吸収性物品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された構成では、力の弱い使用者等は、吸収性物品の取外しの際に吸収性物品を下着から引き剥がす動作において、ウィングを破断させることができないことがある。これに対し、ウィングの破断しやすい部分自体をより脆弱に形成することも考えられるが、その場合、吸収性物品を装着する動作において又は装着中にウィングが破断してしまい、吸収性物品を下着に固定するというウィングの本来の機能を発揮できない可能性がある。
【0006】
上記の点に鑑みて、本発明の一態様は、ウィングの本来の機能を確保しつつ、ウィングをより簡単に破断させて下着からより容易に取り外すことのできる吸収性物品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様は、透液性の表面シートと、不透液性の裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に設けられた吸収体とを有する本体を備えた吸収性物品であって、前記本体は、前後方向に所定の長さと、前記前後方向に直交する幅方向に所定の幅とを有し、前記本体の幅方向各外側に延出する、対をなすウィングを備えており、前記ウィングの少なくとも一方には、前記前後方向に延びる中心線に対して傾斜して延在する易破断部が設けられている。
【0008】
上記第一の態様によれば、吸収性物品が、対をなすウィングを備えており、その少なくとも一方に易破断部が設けられている。そのため、吸収性物品を取り外す動作(取外し動作)において本体を引っ張ることで、易破断部でウィングを破断させることができる。よって、取外し動作の際、使用者がウィングを手で持って下着から剥がす手間を省くことができる。
【0009】
そして、本態様では、ウィングの少なくとも一方には、上記易破断部が、前後方向中心線に対して傾斜して延在するように設けられている。そのため、易破断部の、本体から幅方向に遠い端部から破断が開始するよう吸収性物品を下着から引き剥がす場合、ウィングが引っ張られる方向と易破断部の延在方向とが近付いているため、破断の開始が容易となる。さらに、吸収性物品の取外し動作が進行するほど、ウィングが引っ張られる方向と易破断部の延在方向とが近付いていくため、易破断部での破断を進行させやすい。その結果、ウィングを軽い力で容易に破断させることができ、吸収性物品を容易に取り外すことが可能となる。
【0010】
本発明の第二の態様は、前記易破断部は、前記中心線に対して5~50°の角度をなす線を含む。
【0011】
上記第二の態様によれば、易破断部が所定の角度をなす線を含むことにより、ウィングが引っ張られる方向と易破断部の延在方向とをより確実に近付けることができる一方、ウィングが引っ張られる位置と破断開始位置との距離が遠くなりすぎない。そのため、易破断部に沿ってウィングをより一層容易に破断させることができ、吸収性物品の取外しを容易にするという上記効果を向上させることができる。
【0012】
上記第三の態様では、前記易破断部は、前記ウィングの前後方向の縁部に位置する第1端を有し、前記第1端から前記本体に近付くように延在する。
【0013】
本発明の第三の態様によれば、易破断部が、ウィングの縁部に位置する第1端を有しているため、ウィングを縁部から破断させることができ、易破断部での破断を容易に開始することができる。さらに、本態様では、易破断部が、上記第1端から本体に近付く方向で延在しているため、第1端が破断の開始位置となるように、吸収性物品の、ウィングの上記第1端の側の端部を持って吸収性物品を下着から引き剥がした場合、吸収性物品の取外し動作の開始から終了まで通して、ウィングが引っ張られる方向が易破断部の延在方向に近付いていくので、ウィングを易破断部で容易に破断させることができる。
【0014】
本発明の第四の態様では、前記第1端は、前記本体から幅方向に10mm以上離れた位置にある。
【0015】
上記第四の態様によれば、第1端が、本体から幅方向に所定距離以上離れた位置にあるので、破断開始位置をウィングの折返し位置から離すことができる。そのため、取外し動作以外で(例えば装着動作において)、意図せずウィングの縁部で破断が生じることを防止することができる。
【0016】
本発明の第五の態様では、前記ウィングは、装着時に、重なり合って、前記易破断部の前記幅方向外側に設けられた粘着部を介して互いに接合可能となっている。
【0017】
上記第五の態様によれば、対をなすウィングを重ね合せて、接合させることができるため、ウィングをより確実に下着に固定することができる。さらに、易破断部においてウィングが破断された後には、ウィングの易破断部より幅方向外側の部分(本体から遠い方の部分)を、もう一方のウィングに接合させたまま残すことができる。よって、吸収性物品の取外し動作によってウィングの一方を破断させた場合、ウィングの破断片を下着に残さずに、もう一方のウィングとともに取り去ることが可能となる。
【0018】
本発明の第六の態様では、前記ウィングの一方は、前記第1端を前方に有する第1易破断部を有し、前記ウィングの他方は、前記第1端を後方に有する第2易破断部を有する。
【0019】
上記第六の態様によれば、使用者が吸収性物品を前方から剥がして取り外す場合には、第1端を前方に有する第1易破断部が形成されたウィングを破断させることができる。一方、使用者が吸収性物品を後方から剥がして取り外す場合には、第1端を後方に有する第2易破断部が形成されたウィングを破断させることができる。よって、本態様によれば、前方及び後方のどちらかでも吸収性物品を容易に下着から引き剥がして取り外すことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一態様によれば、ウィングの本来の機能を確保しつつ、ウィングをより簡単に破断させて下着からより容易に取り外すことのできる吸収性物品を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1A】本発明の一形態による吸収性物品の平面図である。
【
図2】本発明の一形態による吸収性物品のウィングを折り返した状態を示す図である。
【
図3】吸収性物品を取り外す動作について説明する図である。
【
図4】吸収性物品を取り外す動作におけるウィングの破断及び変形について説明する図である。
【
図5】本発明の一形態による吸収性物品の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図面において、特に説明がない限り、同一の又は対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。また、図面は、発明の理解を助けるための模式的なものであり、一部の寸法が大きく又は小さく描かれている場合がある。
【0023】
図1Aに、本発明の一形態による吸収性物品1の平面図を示す。また、
図1Bに、
図1AのI-I線断面を示す。
図1A及び
図1Bに示すように、吸収性物品1は、不透液性の裏面シート2と、透液性の表面シート3と、これら両シート2、3間に設けられた吸収体4とを有する本体(吸収性物品本体)8とを備えている。吸収体4の形状保持等のために、吸収体4は、クレープ紙又は不織布等からなる被包シートによって包まれていてもよい。吸収性物品1の使用時には、本体8の裏面シート2側が下着(ショーツ等)に固定され、表面シート3側が肌側となるように装着する。
【0024】
本体8は、前後方向(図中の第1方向D1)に所定の長さを有し、前後方向D1と直交する幅方向(図中の第2方向D2)に所定の幅を有する細長形状を有している。本体8の幅は、図示の例では略一定となっているが、前後方向D1にわたって変化していてもよい。図示の例では、吸収性物品1は、前後方向D1に延びる中心線(前後方向中心線)CLに対し略線対称の平面視形状を有しているが、吸収性物品1の平面視形状は必ずしも線対称でなくともよい。また、吸収性物品1の各構成要素のその他の構成(厚さ、材料等)も、前後方向中心線CLに対して略線対称であってもよく、非線対称であってもよい。
【0025】
吸収性物品1の全長は、特に限定されないが、200~420mm程度とすることができる。また、吸収性物品1の本体8の幅も特に限定されないが、50~110mm程度とすることができる。
【0026】
吸収性物品1は、装着時に体液排出口に対応させる領域(体液排出口対応領域)を含む中央領域Mと、中央領域Mの前方にある前方領域Fと、中央領域Mの後方にある後方領域Rとを有する。中央領域Mは、その両側方から延出するウィングW1、W2(詳細は後述)を有していている。前方領域Fは、ウィングの前方の起点となる位置から前端縁までの領域とすることができ、後方領域Rは、ウィングの後方の起点となる位置から後端縁までの領域とすることができる。
【0027】
吸収体4の前方及び後方の端縁部では裏面シート2と表面シート3との外縁がホットメルト等の接着剤やヒートシール、超音波シール等の接着手段によって接合されている。また、吸収体4の側方においては、表面シート3側の両側部に長手方向D1に沿って設けられたサイド不織布7、7と、裏面シート2とが上記接着手段によって接合されており、これによりウィングW1、W2が形成されていてよい。
【0028】
裏面シート2としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂シート等の少なくとも遮水性を有するシート材を用いることができる。ポリエチレンシート等に不織布を積層したラミネート不織布や、さらには防水フィルムを介在させて実質的に不透液性を確保した不織布の積層シート等を用いることができる。また、ムレ防止の観点から透湿性を有するものが用いられることがさらに望ましい。このような遮水・透湿性シート材としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を溶融混練してシートを成形した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートを用いることができる。
【0029】
表面シート3は、経血、おりもの、尿等の体液を速やかに透過させる透液性のシートである。表面シート3としては、有孔又は無孔の不織布や多孔性プラスチックシート等が好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン、ポリエステル、ポリアミド等の合成繊維、レーヨン、キュプラ等の再生繊維、及びこれらの混紡繊維、並びに綿等の天然繊維を単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。また、不織布の加工法としては、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等が挙げられる。これらの加工法のうち、スパンレース法は柔軟性、スパンボンド法はドレープ性に富む不織布を製造できる点で好ましく、サーマルボンド法は嵩高でソフトな不織布を製造できる点で好ましい。また、融点の高い繊維を芯とし融点の低い繊維を鞘とした芯鞘型繊維、サイドバイサイド型繊維、分割型繊維等の複合繊維を用いることができる。
【0030】
裏面シート2と表面シート3との間に介在される吸収体4は、体液を吸収して保持できる材料であれば限定されないが、綿状パルプと吸水性ポリマーとを含むことが好ましい。吸水性ポリマーとしては、高吸水ポリマー粒状粉(superabsorbent polymer(SAP))、高吸水ポリマー繊維(superabsorbent fiber(SAF))及びこれらの組合せを用いることができる。パルプとしては、木材から得られる化学パルプ、溶解パルプ等のセルロース繊維、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維からなるものが挙げられる。化学パルプの原料材としては、広葉樹材、針葉樹材等が用いられるが、繊維長が長いこと等から針葉樹材が好適に使用される。
【0031】
また、吸収体4には合成繊維を混合してもよい。合成繊維としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン等のポリアミド、及びこれらの共重合体を使用することができ、これらのうちの2種を混合して使用することもできる。また、融点の高い繊維を芯とし融点の低い繊維を鞘とした芯鞘型繊維、サイドバイサイド型繊維、分割型繊維等の複合繊維も用いることができる。なお、疎水性繊維を親水化剤で表面処理し、体液に対する親和性を付与したものを用いることもできる。
【0032】
吸収体4の厚みは、0.5~25mmの範囲内とすることができ、1.5~6.5mmの範囲であると好ましい。吸収体4は、前面にわたり均一な厚みを有していなくともよく、中央領域Mにおける体液排出口対応領域及びその付近、また後方領域Rの幅方向中央部分を膨出させた構造とすることもできる。
【0033】
サイド不織布7としては、撥水処理不織布又は親水処理不織布を使用することができる。例えば、経血やおりもの等が浸透するのを防止する効果又は肌触り感を高める場合は、シリコン系、パラフィン系の撥水剤等をコーティングした撥水処理不織布を用いることが好ましい。また、ウィングWにおける経血等の吸収性を高める場合には、不織布の材料として、親水処理された不織布を用いることが好ましい。不織布の種類としては、折り癖が付きにくく、シワになりにくく柔らかいエアスルー不織布が好ましい。
【0034】
図1A及び
図1Bに示すように、本形態の吸収性物品1は、本体8から幅方向D2外側に延出する、対をなす第1ウィングW1及び第2ウィングW2を備えている。第1ウィングW1及び第2ウィングW2は、吸収性物品1を装着する際に、下着側に折り返して、下着に且つ/又はウィング同士で、着脱可能に接合させることができるように構成されている。これにより、吸収性物品を下着に確実に固定させることができるので、装着中の吸収性物品のズレやヨレを防止することができる。
【0035】
第1ウィングW1及び第2ウィングW2は、前後方向中心線CLを対称軸として線対称の輪郭形状を有しているが、両者の輪郭形状は必ずしも線対称でなくともよい。
【0036】
また、第1ウィングW1及び第2ウィングW2のいずれについても、ウィングの最大長さ(前後方向D1長さ)は40~110mm程度であってよい。図示の形態では、各ウィングは、ウィングの基端(本体8との境界)に最大幅を有している。ウィングの最大幅(幅方向D2長さ)は、本体8の幅を超えない大きさであればよく、20~65mm程度であってよい。
【0037】
図1A及び
図1Bに示すように、第1ウィングW1には粘着部41A、41Bが、第2ウィングW2には粘着部42A、42Bが、裏面シート2側に設けられていてよい。このような粘着部によって、上述の下着への且つ/又はウィング同士での着脱可能な接合が可能となる。
【0038】
粘着部は、粘着剤を塗布して形成される層であってよく、そのような粘着剤層が塗布されたテープとして構成されていてもよい。粘着剤層としては、例えば、スチレン系ポリマー、粘着付与剤、可塑剤及びこれらの組合せを主成分とするものが好適に使用される。
【0039】
スチレン系ポリマーとしては、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体、スチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体、スチレン-イソブチレン-スチレン共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体等が挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を使用することができる。
【0040】
また、粘着付与剤及び可塑剤としては、常温で固体のものを用いることができる。粘着付与剤としては、例えば、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、ジシクロペンタジエン系石油樹脂、ロジン系石油樹脂、ポリテルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂等が挙げられる。可塑剤としては、例えば、リン酸トリフレシル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル等のモノマー可塑剤の他、ビニル重合体やポリエステル等のポリマー可塑剤が挙げられる。
【0041】
図2に、吸収性物品1の第1ウィングW1及び第2ウィングW2を下着側に折り返した状態を示す(下着は図示せず)。
図2は、吸収性物品1を裏面シート2側から見た平面図であるので、
図1Aに示す平面図とは左右が反転している。また、折り返し前のウィングも二点鎖線で示している。
【0042】
図2に示すように、第1ウィングW1及び第2ウィングW2は、本体8と各ウィングとの境界線(ウィングの基端)付近で裏面シート2側にそれぞれ折り返される。そして、第1ウィングW1の幅方向D2の末端部分と第2ウィングW2の幅方向D2の末端部分とが、互いに重ね合されている。図示の形態では、第2ウィングW2が先に下着側に折り返され、その上に第1ウィングW1が重ねられている。第2ウィングW2は、粘着部52Aによって下着と接合されており、第1ウィングW1は、粘着部41Aによって第2ウィングW2に接合されている。両ウィングが重ね合される順序は特に限定されず、第1ウィングW1を先に折返し、その上に第2ウィングW2を重ね合せてもよい。
【0043】
なお、図示のように両ウィングが重なるよう構成する場合には、重なり部分の幅は、5~30mm程度であると好ましい。
【0044】
図3(a)に、吸収性物品1を下着Sに装着させた状態の模式的な斜視図を示す。
図3(a)は、装着された吸収性物品1を肌側(表面シート3側)から斜めから見た図である。ウィングは下着S側に折り返され、上述の粘着部によって下着Sに接合されていてよい。
図3では、一方のウィングのみがウィングWとして示されている。
【0045】
このような一旦装着された吸収性物品1を取り外す際、使用者は通常、吸収性物品1の本体8の、前後方向D1のどちらかの端を持って、下着から離す方向に引っ張ることによって下着から吸収性物品を引き剥がす。例えば、
図3(a)に矢印で示すように、吸収性物品1は、吸収性物品1の前端(本体8の前端)を持って下着Sから離す方向に引っ張ることができる。この本体8を引っ張る力は、下着Sに接合されているウィングWにも伝わる。
【0046】
図3(b)に、吸収性物品1の取外し動作の中間段階を示す。
図3(b)に示すように、本体8が下着から離れる方向に立ち上げられ、ウィングWは、本体8から、すなわちウィングWの基端から引っ張られる。
【0047】
このように本体8を持って吸収性物品1を下着から引き剥がそうとする場合、易破断部を有さない構成においては、ウィングの下着Sへの接合及び/又はウィング同士の接合が強固であると、取外しに比較的大きな力を要することがある。また場合によっては、吸収性物品を引っ張るだけでは下着から取り外すことができず、使用者がウィングを持ってその接合を剥がす必要があり、吸収性物品の取外し動作が煩雑となる場合がある。
【0048】
これに対し、本形態では、対をなすウィングの少なくとも一方に易破断部が設けられている。そのため、引っ張られたウィングを易破断部で破断させることができ、使用者がウィングを下着から剥がす手間を省くことができる。
【0049】
図1及び
図2に示す形態では、第1ウィングW1及び第2ウィングW2に、第1易破断部21及び第2易破断部22(合せて、単に易破断部という場合がある)がそれぞれ設けられている。本明細書において、易破断部とは、他の部分よりも脆弱になっており、引張りや捩じり等により外力を加えられた場合にその位置で破断しやすくなっている部分である。易破断部は、例えば、ミシン目等によって形成することができる。ミシン目は、層が切れている部分(カット部)と切れていない部分(タイ部)とを交互に配置することによって形成される。この場合、カット部は、ウィングを構成する裏面シート2及びサイド不織布7の両層を貫通させたものであってもよいし、両層のうちいずれか一方の層を貫通させたものであってもよい。また、易破断部は、その部分の厚みを他の部分よりも薄くすることや、材料を脆弱化する薬剤を線状に塗布することによっても形成することができる。
【0050】
図示の形態では、第1易破断部21及び第2易破断部22はそれぞれ、第1ウィングW1及び第2ウィングW2の前方の縁部から後方の縁部まで延びる線状のミシン目として形成されている。
【0051】
図1A及び
図2に示すように、第1易破断部21及び第2易破断部22はいずれも、前後方向中心線CLに対して傾斜して延在している。本明細書において、易破断部が傾斜するとは、易破断部の延在方向に対して水平方向の成分と垂直方向の成分とを含む方向に延びていることを指す。易破断部の延在方向は、前後方向中心線CLに対して60°以下の角度をなして傾いていることが好ましい。
【0052】
図示の形態では、第1易破断部21は、前方から後方に向かうほど本体8に近付く線(線状部)として、第2易破断部22は、後方から前方に向かうほど本体8に近付く線(線状部)として構成されている。
図1Aにおいて、前方から後方に向かうほど本体8に近付く第1易破断部21は右側に、後方から前方に向かうほど本体8に近付く第2易破断部22は左側に形成されている。しかし、
図1Aにおいて、左側のウィングに、前方から後方に向かうほど本体8に近付く易破断部が形成され、右側のウィングに、後方から前方に向かうほど本体8に近付く易破断部22が形成されていてもよい。
【0053】
図1A、
図1B、及び
図2に示すような第1易破断部21及び第2易破断部22の両方を備えた吸収性物品1を下着に装着させ、前方から取り外す場合、ウィングは、第1易破断部21で破断する。これは、第1易破断部21が破断される方向(第1易破断部の延在方向)が、第2破断部22が破断される方向(第2易破断部の延在方向)に比べて、ウィングが本体8を通じて引っ張られる方向により近くなっているためである。
【0054】
以下に、吸収性物品1を下着から取り外す動作における、動作の進行に伴うウィングが引っ張られる方向の変化、及び易破断部の破断方向との関係について説明する。
【0055】
図4(a)に、吸収性物品1を下着に装着した状態、すなわち第1ウィングW1及び第2ウィングW2をそれぞれ下着側に折り返して下着に接合させた状態を、裏面シート2側から見た図であって、ウィングW1、W2の部分を拡大した図を示す。
図4(a)は、
図2に示す状態に対応している。
【0056】
図4(a)に示す状態から、吸収性物品1を取り外す場合、吸収性物品1の本体を下着から剥がすように引っ張るので(
図3(a)及び(b))、ウィングW1、W2は、
図4(a)の矢印51、52で示される方向に、すなわち吸収性物品1の幅方向D2に引っ張られる。
【0057】
ここで、
図4(a)に示すように、第1ウィングW1が引っ張られる方向51と第1易破断部21を破断させる方向(又は第1易破断部21の延在方向)61とがなす角度α1は、第2ウィングW2が引っ張られる方向52と第2易破断部22を破断させる方向(又は第2易破断部22の延在方向)62とがなす角度α2よりも小さい。すなわち、第1易破断部21の破断方向61は、第2易破断部22の破断方向52に比べ、ウィングが引っ張られる方向により近付いている。別の言い方をすると、第1易破断部21の破断方向61は、第2易破断部22の破断方向52に比べ、ウィングが引っ張られる方向に対してより平行に近い。
【0058】
ここで、ウィングのようなシート状体を引っ張って破断させたい場合、破断させようとする方向(形成したい破断線の方向)により近い方向で引っ張った方が破断させやすい。そのため、図示の形態では、吸収性物品1を取り外す際、ウィングが引っ張られる方向により近い方向に延在する第1易破断部21にて、破断が開始され得る(
図4(b))。
【0059】
図4(a)に示す状態から、吸収性物品1の取外し動作が進むと、吸収性物品1が引っ張れられる方向は、吸収性物品1の前方から後方へと徐々に移行する(
図3(b))。よって、ウィングが引っ張られる方向も、前方から後方へと移行する。すなわち、
図4(b)に示すように、第1ウィングが引っ張られる方向51及び第2ウィングが引っ張れられる方向52は、
図4(a)に示す状態における方向と比較して、やや後方に移行し、斜め後方となる。
【0060】
ウィングW1、W2が引っ張られる方向が後方に移行すると、第1ウィングW1が引っ張られる方向51と第1易破断部21の破断方向61とのなす角度α1は、さらに小さくなる(
図4(b))。そのため、第1ウィングW1の第1易破断部21での破断は、さらに進みやすくなる。
【0061】
図4(c)には、吸収性物品1の取外し動作が進み、第1易破断部21の破断がさらに進んだ状態を示す。ウィングが引っ張られる方向はさらに後方に移行しており、第1ウィングW1が引っ張られる方向51と第1易破断部21の破断方向61とのなす角度α1は、さらに小さくなっている。
【0062】
図4(d)には、吸収性物品1の取外し動作が進み、第1易破断部21がほぼ破断された状態を示す。
【0063】
このように、本形態では、第1易破断部21が前後方向中心線CLに対して傾斜していることで、吸収性物品1の取外し動作の初期において第1ウィングW1が引っ張られる方向51と第1易破断部21の延在方向(破断方向61)とを90°未満にすることができ、破断を開始させやすくなる。また、吸収性物品1の取外し動作が進むにつれ、第1ウィングW1が引っ張られる方向51が第1易破断部21の延在方向(破断方向61)に近付くため、第1易破断部21における破断が進みやすくなる。
【0064】
第1易破断部21の、前後方向中心線CLに対してなす角度(鋭角)θは、5~50°とすることができ、9~45°であると好ましく、15~40°であるとより好ましく、23~35°であるとさらに好ましい。角度の大きさは、第2易破断部22についても同様である。易破断部の角度θが5°以上であることにより、ウィングが引っ張られる方向と易破断部の延在方向とを近付けることができ、易破断部を破断させやすくなる。また、易破断部の角度θが50°以下であることにより、ウィングが引っ張られる位置と破断開始位置との距離が大きくなりすぎず、引張り力を易破断部へ伝えやすくなる。
【0065】
また、本形態では、
図4(a)~(d)に示すように、第2ウィングW2が引っ張られる方向52と、破断されなかった第2易破断部22の延在方向62とのなす角度α2は、吸収性物品1の本体8の下着からの引剥しが進んでも、あまり変化がない。そのため、易破断部にかかる応力を、第1易破断部21に比較的集中させることができる。
【0066】
なお、吸収性物品1を後方から、例えば使用者が吸収性物品1の後端を持って、剥がして下着から取り外す場合には、上述と同様の機構で、第2易破断部22から破断が開始されやすく、また、第2易破断部22における破断が進みやすい。
【0067】
よって、第1易破断部21及び第2易破断部22のどちらかを備えていれば、易破断部の延在方向に応じて吸収性物品1を取り外す際に持つ端部を、前端及び後端から選択することで、ウィングを容易に破断させ、吸収性物品1を容易に取り外すことができる。但し、図示のような第1易破断部21及び第2易破断部22を備えた構成は、吸収性物品1を取り外す際、吸収性物品1の前方から剥がしても、後方から剥がしても、どちらかの易破断部でウィングを容易に破断させることができるので、好ましい。
【0068】
一方、両ウィングの易破断部を前後方向中心線CLを中心軸として線対称に形成した場合には、吸収性物品の前端及び後端のうち、易破断部の本体からより遠い方の端部がある側から吸収性物品を引き剥がすことにより、両ウィングを破断させることができる。
【0069】
第1易破断部21は、第1ウィングW1の前方の縁部に、一方の端部(第1端)21aを有しており、この第1端21aから本体8に近付くように形成されている(
図1及び
図2)。また、第1易破断部21は、他方の端部(第2端)22bで終端している。第1易破断部21の端部が第1ウィングW1の縁部上にあることで、ウィングの縁部から破断を開始することができ、破断はより容易となる。同様に、第2易破断部22は、第2ウィングW2の後方の縁部に第1端22aを有しており、この第1端22aから本体に近付くように形成されており、第2端22bで終端している。
【0070】
易破断部がミシン目によって形成されている場合には、縁部にカット部が配置されている、すなわち、縁部に切れ込みが入っていることが好ましい。これにより、易破断部における破断を、より軽い力で開始させることができる。
【0071】
このように、易破断部の少なくとも一端は、ウィングの前後方向の縁部上に位置することが好ましい。また、ウィングの前後方向の縁部上に位置する易破断部の端部が、もう一方の端部よりも、本体8から幅方向D2に遠い位置にあることがより好ましい。
【0072】
第1易破断部21の第1端21aは、本体8から幅方向D2に10mm以上離れた位置にあると好ましく、20mm以上離れた位置にあるとより好ましい。第1端21aと本体8との距離が10mm以上であることで、破断の開始位置となる第1端21aを本体8から離すことができる。本体8とウィングの基端との境界付近、すなわちウィングが折り返される位置付近は、折りによって材料の強度が弱まりやすく、また応力も集中しやすい。そのため、第1端21aを本体8から離すことによって、意図せずにウィングの縁部で破断が開始してしまうことを防止することができる。
【0073】
第1易破断部21の第1端21aと本体8との幅方向D2の距離の上限は、本体8やウィングの寸法等によって、適宜設定することができるが、35mm以下であると好ましく、30mm以下であるとより好ましい。35mm以下とすることで、第1ウィングW1が引っ張られる位置と第1端21a(破断開始位置)との距離が大きくなることで破断開始に要する力が過度に大きくなることを防止できる。
【0074】
第1易破断部21の第1端21aの反対側の第2端21bと、本体8との幅方向D2の距離も、本体8やウィングの寸法等によって適宜設定することができるが、20mm以下であると好ましく、5mm以下であるとより好ましい。また、第2端21bは、本体8を損傷させない位置であれば、本体8とウィングとの境界上にあってもよい。
【0075】
また、図示の形態では、易破断部は直線状になっているが、ウィングが引っ張られる方向と易破断部の延在方向との配置関係が、上述のように破断の開始及び進行が容易となるという効果を奏するようになっているのであれば、易破断部の一部又は全体が、緩く湾曲していてもよいし、また波線状になっていてもよい。
【0076】
上述のように、第1ウィングW1には、粘着部41A、41Bが設けられている(
図1A及び
図2)。ウィングが折り返されていない状態(
図1A)で、粘着部41Aは、第1易破断部21の幅方向D2外側に配置されており、粘着部41Bは、第1易破断部21の幅方向D2内側に配置されている。同様に、第2ウィングW2には、粘着部42A、42Bが設けられている。ウィングが折り返されていない状態(
図1A)で、粘着部42Aは、第2易破断部22の幅方向D2外側に配置されており、粘着部42Bは、第2易破断部22の幅方向D2内側に配置されている。
【0077】
第1易破断部21の外側に粘着部41Aが設けられ、且つ/又は第2易破断部22の外側に粘着部42Aが設けられていることで、吸収性物品1の装着の際に2つのウィングを重ね合せて互いに接合させることができる。これにより、接合によりウィング同士が確実に固定されるため、本体の側縁部でのヨレやシワを良好に防止できるという利点を有する。また、どちらかのウィングが易破断部で破断された後、破断されたウィングの、本体8に接続されていない部分(すなわち、ウィングの幅方向D2末端に近い方の破断片)を、もう一方のウィングに接合させたまま残すことができる。これにより、ウィングの破断後、吸収性物品1を最終的に下着から取り外す際、ウィングの破断片を下着に残さず、もう一方のウィングとともに取り去ることが可能となる。
【0078】
このようなウィング同士が接合される構成では、吸収性物品を下着から取り外す際に比較的大きな力を要する場合がある。しかしながら、易破断部を備えた本形態によれば、ウィング同士が強く結合されていた場合であっても、吸収性物品の取外しを容易に行うことができる。
【0079】
一方、幅方向D2内側の粘着部(第1易破断部21の幅方向D2内側の粘着部41B及び第2易破断部22の幅方向D2内側の粘着部42B)が設けられていることで、ウィングを基端付近で固定することができ、本体のズレ防止の機能を向上させることができる。但し、粘着部41B、42Bは、吸収性物品1の取外し動作においては、初期の段階で下着から剥がされる部分であるので、取外しの容易性の観点からは、粘着部41B、42Bの配置を省略してもよい。
【0080】
図示の形態では、1つのウィングに対し2つの粘着部が設けられているが、設けられる粘着部の数は特に限定されない。また、粘着部の平面視形状は長方形になっているが、長方形以外の四角形でもよく、四角形以外の多角形でも、円形、楕円形等の任意の形状としてもよい。
【0081】
このように粘着部の数、形状、及び寸法は特に限定されないが、第1易破断部21及び第2易破断部のいずれにおいても、粘着部は、易破断部と重ならないように設けることが好ましい。これにより、粘着部が、易破断部が破断された位置でのウィングの引裂きの妨げとなることを回避できる。
【0082】
図5に、本発明の実施形態の変形例を示す。
図5(a)~(d)に示す例は、いずれも第1ウィングW1及び第2ウィングW2を下着側に折り返して粘着部によって下着に粘着させた状態を、下着側(裏面シート2側)から見た図である。
図5(a)~(d)においては、吸収性物品の前方及び後方の部分は省略されている。
【0083】
図5(a)に示す例は、第1ウィングW1及び第2ウィングW2が重ね合されないように設計されている。このように、第1ウィングW1及び第2ウィングW2が重ね合されていない場合、第1ウィングW1及び第2ウィングW2はいずれも、粘着部によって直接下着に接合される。なお、本例では、易破断部の破断後、ウィングの破断片が下着に残されるので、残された破断片を取り去りたい場合には、使用者はその破断片を手で取り去る。
【0084】
図5(a)に示すように、第1ウィングW1と第2ウィングW2とが重ね合されていない例では、易破断部の延在方向と前後方向中心線CLとのなす角度(鋭角)θは、15~45°であると好ましく、20~40°であるとより好ましい。
【0085】
また、
図5(b)に示す例のように、第1易破断部21の第1端21aと反対側の第2端1b(後端)は、第1ウィングW1の縁部上には配置されず、第1ウィングの途中で終端させることもできる。第1易破断部21が終端する位置は、第1ウィングW1の前後方向D1の長さの中央よりも後方であることが好ましい。
【0086】
さらに、
図5(c)に示すように、第1易破断部21は、本体8から離れた第1端21a側に、湾曲した部分を含んでいてもよい。本例のように、第1易破断部21の第1端21a側が、本体8に近付くように湾曲している場合、破断の初期段階(破断開始の段階)では、第1ウィングW1が引っ張られる方向と第1易破断部21の延在方向とが、45°より大きくなり得る。そのため、破断がやや開始しにくくなる。よって、ウィングの材料がもともと脆弱な場合等に、装着動作時又は装着中での意図しない破断を防止することができる。一方、ウィングの材料が引張りや引裂きに対して強い場合には、第1易破断部21の端部の湾曲の程度に応じて、第1易破断部21の、第1端21a付近の部分をより脆弱に形成して、破断を開始しやすくすることもできる。
【0087】
図5(d)に示す例では、第1易破断部21はミシン目によって形成されているが、その一部は、並んで設けられた複数の、より具体的には2つのミシン目(二重ミシン目)を含む。このように部分的に複数のミシン目を含むことで、第1易破断部21はより容易に破断することができる。ミシン目間の距離は、0.2~4mmとすることができる。
【0088】
また、図示の形態では、2つのミシン目は、第1端21a側の部分に形成されている。これにより、第1易破断部21の第1端21a側がより容易に破断され得るので、破断の開始を軽い力で行うことができる。なお、第1易破断部21全体を、2つのミシン目又は3以上のミシン目から形成することもできる。
【0089】
上記の説明では、
図5(b)~(d)に示す例における第1易破断部21について言及したが、各図に示すように、第1易破断部21に加えて、第2易破断部22も第1易破断部21と同様に形成してもよい。また、第2易破断部22のみを、第1易破断部21と同様に形成することもできる。
【0090】
以上、本明細書において説明した構成、特に対をなすウィングに設けられた易破断部の構成は、任意に組み合わせることができる。例えば、
図1に示す第1易破断部と、
図5(b)に示す第2易破断部とを組み合わせて吸収性物品を構成することができるし、第1易破断部において、
図5(a)に示す特徴と
図5(d)に示す特徴とを組み合わせることもできる。
【符号の説明】
【0091】
1 吸収性物品
2 裏面シート
3 表面シート
4 吸収体
7 サイド不織布
8 本体(吸収性物品本体)
21 第1易破断部
21a 第1易破断部の第1端
21b 第1易破断部の第2端
22 第2易破断部
22a 第2易破断部の第1端
22b 第2易破断部の第2端
41A、41B、42A、42B 粘着部
51 第1ウィングW1が引っ張られる方向
52 第2ウィングW2が引っ張られる方向
61 第1易破断部の破断方向
62 第2易破断部の破断方向
CL 長手方向中心線
F 前方領域
M 中央領域
R 後方領域
D1 第1方向(長手方向)
D2 第2方向(幅方向)
W1 第1ウィング
W2 第2ウィング