(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-01
(45)【発行日】2022-11-10
(54)【発明の名称】タバコ産業における生産ライン、並びにその検査方法
(51)【国際特許分類】
A24C 5/32 20060101AFI20221102BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
A24C5/32
G05B19/418 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018233944
(22)【出願日】2018-12-14
【審査請求日】2021-10-26
(31)【優先権主張番号】102017000146120
(32)【優先日】2017-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】392003937
【氏名又は名称】ジー.デー ソチエタ ペル アツィオニ
【氏名又は名称原語表記】G.D SOCIETA PER AZIONI
(74)【代理人】
【識別番号】100159905
【氏名又は名称】宮垣 丈晴
(74)【代理人】
【識別番号】100142882
【氏名又は名称】合路 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100158610
【氏名又は名称】吉田 新吾
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】ルカ ヴェッキエッティ
(72)【発明者】
【氏名】ルカ フェデリーチ
【審査官】杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/182996(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/182956(WO,A1)
【文献】特開2010-51315(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24C 5/32
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タバコ産業における生産ライン(1)の少なくとも一部の動作を、プロセッサ(16)と、メモリ(12)と、データ交換モジュール(13)と、電源(22)とを有し且つ喫煙用物品の形状を有するプローブ(10)を用いて検査するための方法であって、前記ライン(1)は、前記喫煙用物品の移動のための経路(P)と、制御ユニット(14)と、前記移動経路(P)に沿って配置された作業ユニットとを備え、前記作業ユニットには、読出し/書込みメモリと、無線通信によりデータを送受信するためのデータ交換インターフェースとを有するタグ(T)が設けられ、
前記移動経路(P)に沿って位置する投入位置において、前記プローブ(10)を前記ライン(1)に投入するステップと、
前記プローブ(10)が前記移動経路(P)に沿った動作位置に位置する場合に、前記プローブ(10)と前記作業ユニットの前記タグ(T)との間でデータ転送を行うステップと、
を備える、方法。
【請求項2】
前記移動経路(P)に沿って前記プローブ(10)を給送するステップを備え、
前記投入位置が、前記移動経路(P)に沿って、前記動作位置より上流側に位置する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プローブ(10)は、前記作業ユニットの前記タグ(T)に対して、以下のリストの一または複数の項目に関連するデータの読み取りおよび/または書き込みを行う、
請求項1に記載の方法:
・作業ユニットの識別コード;
・作業ユニットの製造日;
・前記作業ユニットに対して実施された一回または複数回の調整の日付;
・前記作業ユニットに対して実施された一回または複数回の調整中に設定された、一または複数の調整パラメータの値;
・前記プローブ(10)の起動日;
・前記作業ユニットの運転時間間隔;
・内部において前記作業ユニットが動作した一または複数の機械(2、3、4、5、または6)の種類;
・内部において前記作業ユニットが動作した一または複数の機械(2、3、4、5、または6)内における前記作業ユニットの位置;
・前記ライン(1)を診断するステップ中に得られた、前記作業ユニットに関連した診断データ;
・前記ライン(1)の前記制御ユニットに格納されたデータ項目のうち一または複数。
【請求項4】
前記プローブ(10)は少なくとも一つのローカルセンサ(17)を含み、前記プローブ(10)は、前記作業ユニットを調整するステップ中に、該センサ(10)を介して、前記作業ユニットの調整パラメータを検出し前記制御ユニット(14)に送信する、
請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記プローブ(10)は、前記作業ユニットを調整する前記ステップ中に、前記動作位置において静止状態で保持されるか、または前記移動経路(P)に沿って移動しながら速度を低下させられる、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
以下のステップを通じて前記作業ユニットを確認するステップを備える、
請求項4または5に記載の方法:
前記プローブ(10)により前記作業ユニットタグ(T)の前記メモリを読み取り、前記作業ユニットに対して以前実施された調整ステップ中に設定された一または複数の調整パラメータの過去値を得る;
前記プローブ(10)により、前記一または複数の作業ユニット調整パラメータの現在値を検出する;
前記一または複数の作業ユニット調整パラメータの前記過去値を前記現在値と比較する。
【請求項7】
前記作業ユニットは一または複数の電気的または機械的な調整パラメータを設定することで調整可能であり、且つ前記ライン(1)から取り外し可能である、
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ライン(1)は、前記移動経路(P)に沿って直列に且つ互いに間隔をあけて配置された複数の作業ユニットを備え、
前記プローブ(10)は、前記移動経路(P)に沿って移動しながら前記複数の作業ユニットそれぞれの前記タグ(T)と順次、データ転送により相互に作用する、
請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ライン(1)は、前記喫煙用物品のための別個の移動経路(P)をそれぞれ規定するために並列に配置された複数の作業ユニットを備え、前記方法は、
前記ライン(1)に、対応する複数のプローブ(10)を投入するステップと、
前記複数のプローブ(10)を、同時にまたは実質的に同時に、それぞれ対応する前記移動経路(P)に沿って給送するステップと、
各プローブ(10)について、該プローブ(10)が前記移動経路(P)に沿った対応する動作位置に位置する場合に、該プローブ(10)と対応する前記作業ユニットの前記タグ(T)との間でデータ転送を行うステップと、
を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記プローブ(10)は前記制御ユニット(14)と無線通信を行う、
請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
タバコ産業における生産ライン(1)であって、
連続する喫煙用物品を連続して処理するための機械(2、3、4、5、または6)であって作業ユニットを含み、該作業ユニットは前記喫煙用物品の移動経路(P)に沿って配置されタグ(T)を含み、該タグ(T)は読出し/書込みメモリとデータ交換インターフェースとを有する、機械(2、3、4、5、または6)と、
制御ユニット(14)と、
喫煙用物品の形状に形成され、プロセッサ(16)と、メモリ(12)と、データ交換モジュール(13)と、電源(22)とを含むプローブ(10)と、
を備え、
前記タグ(T)の前記データ交換インターフェースと前記プローブ(10)の前記データ交換モジュール(13)とは、前記移動経路(P)に沿った前記プローブ(10)の動作位置において、前記プローブ(10)と前記作業ユニットタグ(T)との間でデータ転送を行うよう構成される、生産ライン。
【請求項12】
前記作業ユニットタグ(T)の前記メモリは、以下のリストの一または複数の項目に関連するデータを格納する、
請求項11に記載のライン:
・作業ユニットの識別コード;
・作業ユニットの製造日;
・前記作業ユニットに対して実施された一回または複数回の調整の日付;
・前記作業ユニットに対して実施された一回または複数回の調整中に設定された、一または複数の調整パラメータの値;
・前記作業ユニットの運転時間間隔;
・内部において前記作業ユニットが動作した一または複数の機械の種類;
・内部において前記作業ユニットが動作した一または複数の機械内における前記作業ユニットの位置;
・前記ライン(1)を診断するステップ中に得られた、前記作業ユニットに関連した診断データ;
・前記ライン(1)の前記制御ユニット(14)に格納されたデータ項目のうち一または複数。
【請求項13】
前記プローブ(10)は、前記作業ユニットの調整パラメータを検出するよう構成された少なくとも一つのローカルセンサ(17)を含む、
請求項11または12に記載のライン。
【請求項14】
前記作業ユニットは一または複数の電気的または機械的なパラメータを設定することで調整可能であり、且つ前記ライン(1)から取り外し可能である、
請求項11~13のいずれか一項に記載のライン。
【請求項15】
前記ライン(1)は、前記移動経路(P)に沿って直列に且つ互いに間隔をあけて配置された複数の作業ユニットを備える、
請求項11~14のいずれか一項に記載のライン。
【請求項16】
前記ライン(1)は、前記喫煙用物品のための別個の移動経路(P)をそれぞれ規定するためにカルーセル(413)に配置された複数の作業ユニットを備える、
請求項11~15のいずれか一項に記載のライン。
【請求項17】
タバコ産業における生産ライン(1)の作業ユニットであって、
前記作業ユニットを前記ラインに対して取り外し可能に接続するよう幾何学的に構成された本体と、
前記作業ユニットの外部から検出可能な少なくとも一つの機械的および/または電気的な調整パラメータを含む調整機構と、
読出し/書込みメモリとデータ交換インターフェースとを有するタグ(T)と、
を備える、作業ユニット。
【請求項18】
前記タグ(T)の前記メモリは、以下のリストの一または複数の項目に関連するデータを格納する、
請求項17に記載の作業ユニット:
・作業ユニットの識別コード;
・作業ユニットの製造日;
・前記作業ユニットに対して実施された一回または複数回の調整の日付;
・前記作業ユニットに対して実施された一回または複数回の調整中に設定された、一または複数の調整パラメータの値;
・前記作業ユニットの運転時間間隔;
・内部において前記作業ユニットが動作した一または複数の機械の種類;
・内部において前記作業ユニットが動作した一または複数の機械内における前記作業ユニットの位置;
・前記ライン(1)を診断するステップ中に得られた、前記作業ユニットに関連した診断データ;
・前記ライン(1)の前記制御ユニット(14)に格納されたデータ項目のうち一または複数。
【請求項19】
前記タグ(T)は、使用時において、前記ライン(1)における前記喫煙用物品の移動経路Pと対向することを意図して、前記作業ユニットの前記本体の外表面の一部に配置されている、
請求項17または18に記載の作業ユニット。
【請求項20】
前記作業ユニットはシガレットパッキング機(4)のヘッド(414)である、
請求項17~19のいずれか一項に記載の作業ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タバコ産業における生産ライン、並びにその検査方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
タバコ産業における生産ラインは、喫煙用物品の処理を目的としている。
【0003】
生産ラインは作業ユニットを有し、当該作業ユニットは、メンテナンスや修理作業の際に交換できるように、それぞれラインの残りの部分から取り外し可能である。多くの場合、作業ユニットはそれぞれ、適切なパラメータの設定により、機械的にまたは電子的に調整する必要があり、当該調整は、発送前の機械検査の際に実施されても良いし、または機械設置後のメンテナンスや修理作業の際に実施されても良い。
【0004】
この文脈において、タバコ産業における生産ライン(または機械)の検査・メンテナンス作業の担当者の作業を容易にするニーズが生じる。
【0005】
本出願人名義の特許文献である特許文献1並びに特許文献2には、シガレットパッキング機であって、その重要な構成要素の一部のそれぞれに、当該構成要素を識別するための識別コードが記憶されたパッシブトランスポンダが設けられたシガレットパッキング機が記載されている。各トランスポンダの識別コードは、処理ラインに沿って配置された対応するアンテナによって読み取られる。このシステムの目的は、ラインの重要な構成要素が、効果的にオリジナルな(effectively original)構成要素であるかの確認を可能にすることである。したがって、この技術解決策では診断が実施できず、またライン(または機械)の構造も複雑化するため、当該技術解決策はいくつかの欠点を有する。
【0006】
特許文献である特許文献3には、シガレットの一部(cigarette segment)の形状を有する装置であって、加速度センサが設けられ、機械内での処理中に上述のシガレットの一部が受ける加速度を測定するための診断目的でシガレット製造機に給送されるよう構成された装置が記載されている。しかしながら、この解決策では、ライン中の特定の構成要素を参照したライン検査ができないため、当該解決策もまた、固有の欠点を有しており、その上、当該解決策では、特に精度よく正確な機械の構成要素の不具合の診断はできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来技術が有する上述の欠点が解消された、タバコ産業における生産ライン、並びにその検査方法の提供を目的とする。当該目的は、添付の請求項の一または複数に記載の、ライン並びに方法によって達成される。
【0008】
具体的には、本開示は、ラインの特定の構成要素のメンテナンス・検査作業を容易にする、タバコ産業における生産ライン、並びにその検査方法の提供を目的とし、特に、しかし非限定的に、構成要素のメンテナンスを目的とした予測診断の文脈に言及する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は、タバコ産業における生産ラインの少なくとも一部の動作の検査するための方法を提供する。
【0010】
ある実施形態において、検査は喫煙用物品の形状を有するプローブを用いて実施される。ある可能な実施形態において、プローブは、プロセッサと、メモリと、データ交換モジュールと、電源とを含む。
【0011】
ラインは喫煙用物品のための移動経路を含む(規定する)(なお、当該移動経路は生産経路であり、以下本開示では、「移動経路」および「生産経路」の各表現は等価に用いられる)。ラインは制御ユニットを含み、ある実施形態において、当該制御ユニットはラインの動作を管理する。
【0012】
ラインは、さらに(少なくとも一つの)作業ユニットを含む。ある実施形態において、当該作業ユニットは移動経路に沿って位置している。少なくとも一つの実施形態において、ラインは、移動経路に対して、互いに直列および/または並列に配置された複数の作業ユニットを備えても良い。
【0013】
作業ユニットはタグを含む。少なくとも一つの実施形態において、当該タグは、読出し/書込みメモリと、データ交換インターフェースとを有する。好ましくは、データ交換インターフェースは、無線通信によりデータを送受信するよう構成される。(好ましい)ある実施形態においては、データ交換インターフェースは、短距離通信によりデータを送受信するよう構成されており、少なくとも一つの実施形態において、データ交換インターフェースはRFID技術にしたがって製造されている。ある実施形態において、タグはRFIDタグまたはRFIDチップであっても良く、ある実施形態において、当該RFIDタグ(またはチップ)はパッシブである。
【0014】
なお、本開示において、「タグ」との用語は、作業ユニットと永続的且つ一意に組み合わされた電子部品を示すために用いられる。タグはトランスポンダである場合もある。
【0015】
なお、本開示において、「ライン」(タバコ産業における生産ライン)との用語は、(単一の)機械、または、タバコ製品に対して処理を実施するために、相互に接続されるか相互作用する複数の機械を参照するために用いられる。
【0016】
なお、本開示において、「プローブ」との用語はまた、ラインによる処理を場合によっては受けるべく(必ずしもラインによる処理を受ける訳ではない)、生産(移動)経路の少なくとも一つの位置に置かれることを意図した物体を参照するために用いられ、したがって、プローブは、喫煙用物品(完成品または半製品)の形状を有する。例えば、プローブは、シガレットフィルタ、シガレット、シガレット群(束)、またはシガレットパケットの形状を有することができる。
【0017】
なお、プローブは好ましくは、短距離データ交換システムにより、作業ユニットのタグとのデータ交換を可能とする。
【0018】
データ交換インターフェースが、中距離通信によりデータを送受信するよう構成される変形例もまた可能である。それに加え、またはその代わりに、ラインの(またはラインの機械またはユニットの)一または複数の作業ユニットのタグとのデータ交換に、中距離アンテナがさらに用いられる場合もある。これらの場合には、プローブを用いることなく、且つ各作業ユニットを機械から取り外すことなく、各作業ユニットのタグの読み取りまたは各作業ユニットのタグへの書き込みを行うことができる。一般的に、作業ユニットのタグ(チップ)は、(プローブに加え、またはプローブの代わりに、)特別に構成された電子装置により読み出される場合があり、ある可能な実施形態において、当該電子装置には、(例えば、IRデータ交換技術、Bluetooth(登録商標)接続、またはその他の技術にしたがって)タグの近くへ移動、またはタグの方向に向けられるよう設計されたデータ読取り要素が設けられる場合がある。
【0019】
さらに、本開示において、「作業ユニット」との用語は、ラインの構成要素であって、取り外し/交換ができるように、ラインの残りの部分に取り外し可能な状態で組み合わされたラインの構成要素を示すために用いられる。好ましくは、作業ユニットは一体として取り外し可能である。当該構成要素は、単一の要素であっても良いし、システムまたは装置を形成する要素群であっても良い。また、作業ユニットは調整可能であり、具体的には、作業ユニットは、少なくとも一つの調整パラメータを設定することで調整可能である。状況に応じて(例えば、作業ユニットの種類により)、作業ユニットは機械的に調整されても良く、また電気信号を用いて調整されても良い。例えば、作業ユニットが光電セルである場合、信号を用いて遠隔調整されても良く、作業ユニットが、例えば喫煙用物品に対して(例えば喫煙用物品を収容または保持するために)圧力を加えることで喫煙用物品と(したがってプローブと)機械的に相互作用するよう構成される機械部品である場合、当該部品自体に直接的に(機械的に)作用を及ぼすことで、機械的な調整がなされても良い。
【0020】
なお、好ましくは、作業ユニットは個別に調整可能である。これは、調整パラメータの設定が、作業ユニットの動作には直接作用する一方、ラインの他の部分に対しては直接作用しないことを意味する。なお、作業ユニットは、独立して調整可能である。これは、他の作業ユニットや機械の他の部分の調整パラメータに対して作業を行うことなく、作業ユニット自体のパラメータ(または複数のパラメータ)に対してのみ作業を行うことで調整が可能であることを意味し、好ましくは、作業ユニットは一方で独立して調整可能な構成部分を含まない(すなわち、作業ユニットは、それ自体が作業ユニットを構成する下位構成要素を含まない)。
【0021】
タバコ産業における生産ラインは、以下の機械またはユニットのうち、一または複数を備えても良い:シガレットフィルタ製造用のユニット;(フィルタ製造ユニットと接続され、フィルタ製造ユニットからフィルタを受け取る)シガレット製造用のユニット;シガレット製造ユニットから受け取ったシガレットを貯留する貯留ユニット;(貯留ユニットまたはシガレット製造ユニットと接続され、シガレットを受け取る)シガレットパッキングユニット;(シガレットパッキングユニットと接続され、シガレットパケットを透明なプラスチックフィルムまたはセロファンでラッピングする)セロファンラッピングユニット;(セロファンラッピングユニットに接続され、シガレットパケットのカートンを形成する)カートン化ユニット。
【0022】
プローブ形状は、ラインの検査対象部分、すなわち、プローブを投入すべきユニット、またはユニットの部分により異なる。
【0023】
例えば、シガレット製造ユニットを検査するため、プローブはシガレットフィルタのような形状を有しても良く、貯留ユニットを検査するため、プローブはシガレットのような形状を有しても良く、シガレットパッキングユニットを検査するため、プローブはシガレットまたはシガレット群のような形状を有しても良く、セロファンラッピングユニットを検査するため、プローブはシガレットパケットのような形状を有しても良く、カートン化ユニットを検査するため、プローブは(セロファン包装済みの)シガレットパケット、または整列したパケット群のような形状を有しても良い。
【0024】
なお、特にシガレットパッキング機について、当該機械は、ばらのシガレットを送込み端より受け取り、一連の処理ステーション通過後、完成したシガレットパケットを送出し端より送り出す。シガレットパッキング機の少なくとも一つのステーションは個々のシガレットを受け取る一方、当該機械の他のステーションの少なくとも一つはシガレット群(束)を受け取る。したがって、当該機械では、シガレットのような形状を有するプローブを第一のステーションの入り口から投入可能であり、またシガレット群(束)のような形状を有するプローブを少なくとも一つの他のステーションの入り口から投入可能である。
【0025】
本開示に係る方法は、移動(生産)経路に沿って位置する投入位置から、プローブをラインに投入するステップを備える。
【0026】
当該方法はさらに、プローブが移動経路に沿った動作位置に位置する場合に、プローブと作業ユニットのタグとの間でデータの転送を行うステップを備える。なお、動作位置は、投入位置と一致しても良いし、また移動(生産)経路に沿って投入位置よりも進んだ位置であっても良い。
【0027】
したがって、本開示に係る方法により、データを簡単に作業ユニットに書き込むことができ、また当該データは、作業ユニットが当初取り付けられた機械から取り外され、例えば別の機械に設置されたり、交換または修理されたとしても、当該作業ユニットに追随する。また、当該方法はさらに、この情報を同じように簡単に読み取り可能にする。このことにより、ラインの特定の構成要素である各作業ユニットのメンテナンス・チェックが容易になる。
【0028】
以下に、作業ユニットのタグに記憶可能な(そしていわばその「識別カード」を構成する)データ項目を、非限定的な例を用い、列挙する:
・作業ユニットの識別コード;
・作業ユニットの製造日;
・作業ユニットに対して実施された一回または複数回の調整の日付;
・作業ユニットに対して実施された一回または複数回の調整中に設定された、一または複数の調整パラメータの値;
・プローブの起動日;
・作業ユニットの運転時間間隔;
・内部において作業ユニットが動作した一または複数の機械の種類;
・内部において作業ユニットが動作した一または複数の機械内における作業ユニットの位置;
・ラインを診断するステップ中に得られた、作業ユニットに関連した(referred to)診断データ;
・ラインの制御ユニットに格納されたデータ項目のうち一または複数。
【0029】
作業ユニットのタグ(チップ)には、さらに、上に列挙したデータ項目のうち一または複数、または他のデータ項目が記憶された時間を示すタイムスタンプを記憶可能である。
【0030】
ある実施形態において、タグ(チップ)内には他のデータ項目(例えば、上で列挙した項目のうちの一または複数)を記憶しても良い。
【0031】
本開示の一態様によると、タグ(チップ)内には、機械(または作業ユニット)の製造者によって設けられた仕様を示すデータ、例えば動作限界や許容誤差、キャリブレーションまたは試験に関連するデータ、を記憶可能である。
【0032】
なお、この文脈において、本開示に係る検査方法は、異なる適用状況下で好適に使用可能である。
【0033】
当該検査方法の第一の適用状況は、喫煙用物品(例えば、パケット)に関する各規格への準拠、または喫煙用物品と機械との間の相互作用の検証のための、(機械またはラインの製造者による)機械または生産ラインの設計の確認である。
【0034】
当該検査方法の第二の適用状況は、例えば機械の設置先の工場への出荷の前および/または後における、(機械またはラインの製造者による)機械の動作確認である。
【0035】
当該検査方法の第三の適用状況は、(特に、喫煙用物品に関する各規格への準拠、または喫煙用物品と機械との相互作用の検証を目的とした)ある程度の時間経過後のラインの動作確認であり、当該確認は、ラインまたは機械が(例えば、所定の)ある程度の期間動作した後に実施されることを意図しており、ラインのユーザによって実施されても良い。
【0036】
この文脈において、各作業ユニットそれ自身に簡単に当該作業ユニットの製造に関する情報(例えば、日付および場所)、製造者による仕様に関する情報、そして後に検査・メンテナンスに関する情報(例えば、各調整作業の詳細および日付)を記憶可能であること、およびある程度の時間の経過後(いつでも、しかも必ずしも機械を停止することもなく)その情報が簡単に読み出し可能であることにより、個別の作業ユニットに記憶された「過去」データを考慮し、また作業ユニットが時間の経過の中で新たな作業ユニットまたは他の機械から取り外された「使用済みの」作業ユニットに交換された(当業界ではこの慣習は「艤装変更」として知られている)可能性を考慮に入れて、機械動作を診断することが可能になる。
【0037】
ある実施形態において、制御ユニットには機械運転カウンタが設けられていても良く、パケット型プローブが機械に投入されると、当該プローブは各作業ユニットのタグに動作時間数をインクリメントして書き込む。このことで、各作業ユニットの実際の動作時間に関する情報を、それぞれの作業ユニット自身のタグに記憶することが可能になる。
【0038】
また、タグは、(作業ユニットの「誕生日」を構成する)当該作業ユニットの製造日を記憶し、当該情報項目は、実際に稼働した時間とは関係なく、絶対時間に基づいて(計画)メンテナンスを行う上で有用である。
【0039】
また、内部において作業ユニットが動作した各機械の種類・位置がさらにタグに書き込まれる(記憶される)場合もある。また、当該機械における作業ユニットの位置がさらにタグに書き込まれる(記憶される)場合もある。
【0040】
また、プローブが通過するときに、制御ユニットに記憶されているデータの一部がさらにタグに書き込まれる(記憶される)場合もある。
【0041】
したがって、本開示の一態様によると、プローブは、ログブックマネージャの機能に例えられる機能を果たす。事実上、プローブは、各作業ユニットのタグからの読み取り、および各作業ユニットのタグへの書き込みを行うことができ、これを考慮すると、作業ユニットのタグは、作業ユニットに一体化された、書き換え可能なログブックに例えられる機能を果たす。
【0042】
ある実施形態において、上述の方法は、移動経路に沿ってプローブを給送するステップを備え、投入位置は、移動経路に沿って、動作位置の上流側に位置する。
【0043】
したがって、プローブは、機械内部で移動(調整)経路を(必要であれば基準速度より遅い速度で)通過する際、各作業ユニットのタグとデータ交換を行うためタグの付近(例えば、2~3センチ離れた位置)を通過しても良い。
【0044】
少なくとも一つの実施形態において、プローブはセンサ化(sensorized)されている。
【0045】
本開示の別の態様によると、(センサ化された)プローブは、作業ユニット(または複数のユニット)を設定(調整)するときにおける設置者または試験実施者の作業を容易にするよう設計されている。この場合、機械は、(好ましくは)この作業の実施中は静止状態にある。
【0046】
プローブは、調整対象の作業ユニットのタグにデータを書き込むため、調整対象の作業ユニットのデータ交換モジュールと、当該作業ユニットのタグとが通信状態になるよう、移動(生産)経路に沿って、調整対象の作業ユニットにおける動作位置に置かれる。
【0047】
操作者は、作業ユニットの一または複数の調整パラメータの値を所望の値(例えば、製造者によって設けられたプリセット範囲内の値)をとるまで(機械的または電気的な調整要素に対して作用を及ぼし)変化させることで、当該調整パラメータを調整する。
【0048】
調整が完了すると、調整パラメータの設定値が、好ましくは当該調整が実施された日付を示すタイムスタンプとともに、作業ユニットのタグに記憶される。この際、例えば調整時の機械における周囲温度、湿度、または他の変数を示す情報(この場合、プローブには対応する温度センサ、湿度センサ、またはその他のセンサが設けられる)等、他の情報がさらに記憶されても良い。
【0049】
ある実施形態において、プローブ自身が、プローブによりリアルタイムで測定された調整パラメータの値を示す信号を測定・送信し、このことで、プローブは操作者に対して、操作者が行った調整行為に関するフィードバックを提供する。
【0050】
例えば、作業ユニットがシガレット群を保持するよう構成されたヘッドであり、調整対象のパラメータが当該ヘッドがシガレット群に加える圧力である場合、使用されるプローブはシガレット群(束)のような形状を有するプローブであり、当該プローブにはそれ自身に加わる圧力を測定するセンサが設けられる。この場合、操作者はプローブをヘッド内に配置し(または、プローブを機械内のヘッドの上流側に投入し、プローブがヘッド内に位置するまで移動させ)、その後ヘッドを(機械的に)動作させてヘッドがプローブに加える圧力(使用時にヘッドがシガレット群に加えるであろう圧力に対応)を変化させる。当該動作中、プローブはリアルタイムで調整パラメータを測定し、当該調整パラメータを、操作者に視認させるためにスクリーン(例えば、制御ユニットに接続されたグラフィカルインターフェース、またはプローブと通信状態にあるタブレットや他の電子装置)へと送信する。操作者は、表示される値およびその変化(variations)に応じて、調整パラメータを所望の値に設定する。最後に操作者は、上述のように当該値が作業ユニット内において設定され且つ作業ユニットのタグに記憶された状態とすることで、調整完了の旨を示す。
【0051】
同様に、プローブは、作業ユニットを確認するステップにおいて使用されてもよく、その際、プローブは作業ユニットタグのメモリを読み取り、メモリ内に格納されたデータ(例えば、作業ユニットに対して以前実行された調整ステップ中に設定された、一または複数の調整パラメータの過去値)を読み取るステップを実行する。
【0052】
ある実施形態において、作業ユニットを確認するステップはさらに、(この場合、センサ化されている必要がある)プローブが、一または複数の作業ユニット調整パラメータの現在値を検出するステップを実施するステップを含む。このことで、作業ユニットの調整パラメータの過去値と現在値との、(例えば、診断目的で、例えば予知メンテナンスを実施するための)比較が可能になる。
【0053】
本開示の別の態様によると、プローブに適切なセンサが設けられている場合、喫煙用物品が処理中に受ける機械的または温度的な応力に関する情報を取得するため、または喫煙用物品が移動(生産)経路に沿った処理中に相互作用する一または複数の機械部品の状態または動作に関する情報を取得するために、プローブを、機械内において、あたかも処理中の喫煙用物品であるかのように(好ましくは、機械がその基準速度で運転している状態で)使用しても良い。
【0054】
したがって、本開示の一態様によると、プローブは少なくとも二つの異なる機能を果たすことができ、それはすなわち、(i)ラインの一または複数の作業ユニットのタグからデータを読み取り、またはタグにデータを書き込むことで、ラインまたはその一部を検査する機能、および(ii)プローブを機械内で処理し、ラインの動作と時間的な関連付けがなされたデータを取得することで、ラインまたはその一部の動作を診断的に分析する機能である。
【0055】
これらの機能は、一つの同じプローブにより果たされても良く、また種類の異なる二つのプローブであって、異なる機能に固有の技術的特徴を有する二つのプローブ、例えば機能(i)用の検査プローブ、および機能(ii)用の診断プローブ、により果たされても良い。
【0056】
なお、プローブはその検査機能において、制御ユニットと、各作業ユニットのタグとの間において、リンクまたは通信インターフェースを構成する。
【0057】
プローブにより捉えられたデータは、プローブ自身により処理されても良く、また制御ユニットまたは他の電子装置(例えば、ラインまたは機械を設定するためのタブレット)により処理されても良い。
【0058】
したがって、本開示はさらに、タバコ産業における生産ラインを提供する。
【0059】
ラインは、連続する喫煙用物品を連続して処理するための一の機械(または複数の機械)を備え、当該機械は処理ユニットまたはステーションである。
【0060】
ライン(または機械)は、喫煙用物品のための移動(生産)経路を規定する。
【0061】
機械(またはラインは)、一または複数の作業ユニットを含む。ある実施形態において、作業ユニットは喫煙用物品の移動経路に沿って位置している。
【0062】
作業ユニットはタグを含む。タグは、読出し/書込みメモリと、データ交換インターフェースとを有する。
【0063】
機械(ライン)は、(ラインの)機械の動作を管理する制御ユニットを含む。
【0064】
ある実施形態において、機械(ライン)は、喫煙用物品のような形状を有するプローブを含む。
【0065】
プローブは、プロセッサと、メモリと、データ交換モジュールと、電源とを備える。
【0066】
タグのデータ交換インターフェースとプローブのデータ交換モジュールは、プローブの動作位置において、プローブと作業ユニットタグとの間でデータの転送を行うよう構成される。好ましくは、動作位置は、移動経路に沿って位置している。
【0067】
なお、ラインは、喫煙用物品の処理用の以下の機械またはユニットの一または複数を含んでも良い:シガレットフィルタ製造用のユニット(フィルタ製造機);フィルタを貯留および/または給送するためのユニット;シガレット製造用のユニット(「フィルタチップアタッチメント」と組み合わされた「シガレット製造機」);シガレットを貯留および/または給送するためのユニット;シガレットをパック詰めするためのユニット(「パッキング機」);パケット貯留用のユニット;パケットを上包みするためのユニット(「セロファンラッピング機」);カートン製造用のユニット(「カートン化機」);ケース詰めユニット(「ケースパッキング機」);パレタイザ。
【0068】
シガレットをパック詰めするための機械(またはユニット)について、以下の点に注目する。
【0069】
シガレットパッキング機(「パッキング機」)は、シガレット製造機からの(連続した)整列していないシガレットの流入を入力として受け取り、ホッパを用いて、「束」として知られる、整列したシガレット群を形成する。
【0070】
プローブをシガレットパッキング機内に投入する際の可能な位置として、ホッパの下流側があり、この場合、プローブは整列したシガレット群、またはシガレットの束、のような形状を有する。
【0071】
パッキング機は少なくとも一つのカルーセル(ラッピングホイール)を含み、ある実施形態において、作業ユニットは、移動経路に沿って連続して配置された複数のカルーセルを含む。各カルーセルに対応して、パッキング機は複数のヘッドを有し、各ヘッドは、カルーセルと接続され、カルーセルと一体に回転する。第一のカルーセルにおける各ヘッドは(整列した)シガレット群を受け取り、適切な器具と連動することで、(整列した)シガレット群に対してホイル紙およびカラー(collar)を巻きつける。第二のカルーセルは、第一のカルーセルから複数の処理対象物(ホイルが巻きつけられ、カラーが設けられたシガレットの束)を個別に受け取る。第二のカルーセルにおける各ヘッドは、適切な器具と連動することで、それぞれ対応する処理対象物の外側にブランク(blank)を巻きつける。
【0072】
少なくとも一つの実施形態において、(各カルーセルの)各ヘッドは、(本開示に含まれる特徴のうち一または複数によると)作業ユニットを規定(構成)しても良い。
【0073】
その一つの態様によると、本開示は、タグを備える少なくとも一つの作業ユニットを含む、タバコ産業における生産ライン(機械)を提供し、タグは、本開示に含まれる特徴のうち一または複数によると、検査装置(「リーダ」)と情報を交換するために、読出し/書込みメモリを有する。当該態様において、本開示は、検査装置の実施形態に限定して解釈すべきものではない。これは、当該検査装置が、喫煙用物品のような形状を有し且つ機械によって処理されるよう構成されたプローブであるという事実が、複数な可能な実施形態の一つであることを意味する。
【0074】
その一つの態様によると、本開示は、タグを備える(少なくとも一つの)作業ユニットを含む、タバコ産業における生産ライン(機械)を提供し、タグは、本開示に含まれる特徴のうち一または複数によると、喫煙用物品の移動(生産)経路に沿って位置し、喫煙用物品のような形状を有し且つ機械によって処理されるよう構成されたプローブ(からなる検査装置)によって読取り/書込み可能である。当該態様において、本開示は、タグの実施形態に限定して解釈すべきものではない。これは、当該タグが、検査装置(プローブ)と情報を交換するための読出し/書込みメモリを有するという事実が、複数の可能な実施形態の一つであることを意味する。
【0075】
したがって、本開示は、タバコ産業における生産ライン(機械)の作業ユニットをさらに提供する。
【0076】
作業ユニットは、当該作業ユニットをライン(機械)と取り外し可能に接続するよう幾何学的に構成された本体を備える。
【0077】
ある実施形態において、作業ユニットは調整機構を備える。調整機構は、少なくとも一つの機械的および/または電気的な調整パラメータを設定するよう構成される。調整パラメータは、作業ユニット外部から検出可能であっても良い。
【0078】
本開示に含まれる特徴のうち一または複数によると、作業ユニットはさらに、読出し/書込みメモリとデータ交換インターフェースとを有するタグを含む。
【0079】
これらや他の特徴は、添付の図面において非限定的な例を用いて示される好適な実施形態の、以下の詳細な説明からより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【
図1】本開示に係る、タバコ産業における生産ラインを示す模式図である。
【
図2】
図1のラインのシガレットパッキング機を示す図である。
【
図4】本開示に係る、タバコ産業における生産ラインを、プローブの可能な使用形態の一つに関連して示す模式図である。
【
図7】
図5のプローブの別の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0081】
参照番号1はタバコ分野における物品を製造するための(特にシガレットの製造のための)ラインを示し、以下、当該タバコ分野における物品は、タバコ産業の製品や喫煙用物品とも言う。
【0082】
ライン1は、移動経路(
図1)に沿って接続された、一または複数の機械またはユニットを備えても良く、当該一または複数の機械またはユニットは、具体的には連続して接続されている。以下、ライン1が含んでも良い機械またはユニットの一部について簡潔に記載する。
【0083】
ライン1は、タバコ葉を含む(フィルタなしの)シガレットロッド部分を製造するよう構成される、「シガレット製造機」として知られる、機械201を備えても良い。シガレット製造機201は、所定量のタバコ葉を一枚の紙で包み、所定の大きさおよび長さを有する紙で巻かれた複数のタバコロッドの製造を可能にする。当該タバコロッドは、後にそれぞれシガレットを構成することになる。本発明と同じ出願人名義の特許文献4ではシガレット製造機201の一例が申し分なく記載されており、特許文献4の内容(特に機械構成部品の構造、機能、および動作モードに関する内容)は参照により本願に援用される。
【0084】
ライン1は、フィルタを製造するユニットを構成する、「フィルタ製造機」として知られる、機械3を備えても良い。
【0085】
ライン1はさらに、フィルタ製造機3によって製造されたフィルタとシガレット製造機201によって製造されたシガレットロッド部分とを連結するよう構成されたフィルタチップ装着機202を備えても良い。フィルタチップ装着機202は、シガレットの完成品を製造するため、フィルタ素材からなる一または複数の部分、すなわち「複合」フィルタまたは複数のフィルタを、シガレット製造機201によって先に製造された所定の大きさおよび長さを有する要素に装着することを可能にする。本発明と同じ出願人名義の特許文献5ではフィルタチップ装着機202の一例が申し分なく記載されており、特許文献5の内容(特に機械構成部品の構造、機能、および動作モードに関する内容)は参照により本願に援用される。
【0086】
シガレット製造機201とフィルタチップ装着機202とは、シガレット製造のためのユニット2を形成する。
【0087】
ライン1はさらに、シガレットパッキングユニットを構成するパッキング機4を備えても良い。パッキング機4は、所定数のシガレットを含んだシガレットパケットを製造するよう構成される。
【0088】
本発明と同じ出願人名義の特許文献6ではパッキング機4の一例が申し分なく記載されており、特許文献6の内容(特に機械構成部品の構造、機能、および動作モードに関する内容)は参照により本願に援用される。
【0089】
ラインはさらに、貯留ユニット7を備えても良い。ある実施形態において、貯留ユニット7は、シガレット製造のユニット2とパッキング機4との間に介装されており、このような場合、貯留ユニット7は、シガレット製造のためのユニット2から受け取ったシガレットを貯留しパッキング機4に給送することで、シガレットの貯留「バッファ」を提供する機能を有する。
【0090】
ライン1はさらに、セロファンラッピング機(またはユニット)5、またはパケットを上包みするためのユニットを備えても良い。セロファンラッピング機5は、各シガレットパケットの外側にラッピングフィルムを巻きつけるよう構成され、パッキング機4の下流側においてパッキング機4と接続される。具体的には、セロファンラッピング機5は、透明または印刷が施されたヒートシール性プラスチック材料による、シガレットパケットの包装を可能にする。本発明と同じ出願人名義の特許文献7ではセロファンラッピング機5の一例が申し分なく記載されており、特許文献7の内容(特に機械構成部品の構造、機能、および動作モードに関する内容)は参照により本願に援用される。
【0091】
ライン1はさらに、カートン化機6、またはカートン化ユニットを備えても良い。カートン化機6は、(当該カートン化機6内に給送されるシガレットパケットから)シガレットパケットのカートンを製造するよう構成される。本発明と同じ出願人名義の特許文献8(または対応する優先権書類である特許文献9)ではカートン化機6の一例が申し分なく記載されており、当該特許文献の内容(特に機械構成部品の構造、機能、および動作モードに関する内容)は参照により本願に援用される。
【0092】
上述のパッキング機4について、その一つの可能な実施形態(例えば、
図2および
図3を参照のこと)を参照して、以下の点に注目する。
【0093】
パッキング機4は、ラッピング材を給送するための給送ステーション401と、シガレットを給送するための給送ステーション402と、パッキングステーション400とを備える。
【0094】
給送ステーション401は一または複数のラッピング材貯留部を含み、当該一または複数のラッピング材貯留部は、インナーラッピング材(「インナーライナー」)の第一ロール403と、クーポン貯留部404と、硬い紙材の第二ロール405とを含んでも良い。当該硬い紙材には、硬質パケットに通常用いられるカラー(「インナーフレーム」)を形成するために連続して行われる切断および折りステップが施される。好ましくは、ロール403は、ホイル紙またはその他軟質材のロールである。
【0095】
シガレットの給送に関し、給送ステーション402は、水平に整列した大量のシガレットを貯留ユニット7からその上部にて受け取り、且つ当該シガレットを、整列したシガレット群Gの状態で取り出し(drawer)コンベヤ407上に放出するよう構成される(垂直)ホッパ406を備える。当該取り出しコンベヤ407は、ホッパ406の下に位置する。
【0096】
なお、パッキングに関し、パッキングステーション403は以下のステップ(機能)を実施するよう構成される:
・各シガレット群Gの、ラッピング材(ホイル)製のインナーライナーによる包装;
・シガレット群Gの周囲に配置されたインナーライナーへのカラーの装着;
・硬質材製の平らなブランクSを折ることによる、硬質外装の形成;
・必要に応じた、例えばクーポンや納税印紙の付与等の他のステップ。
【0097】
これらのステップを実施するため、パッキングステーション400は、(好ましくは垂直な)支持壁408を備える。支持壁408は、複数の駆動軸409を支持する(または含む)。好ましくは、各駆動軸409は水平である(支持壁408に対して直交している)。支持壁408はさらに、それぞれ対応する駆動軸409に接続可能な複数のコンベヤを支持する(または含む)。ある実施形態において、パッキング機4は、第一コンベヤ410と、第二コンベヤ411と、第三コンベヤ412とを含む。
【0098】
ある実施形態において、駆動軸409は、上述の複数のコンベヤが位相同期して動作するよう、相互に運動学的に接続されている。この目的のため、パッキング機4は、駆動軸409を相互に、且つ(図示しない)一つのモータに接続するグリッドクランクシステム(grid crank system)を備えても良い。特許文献10には当該システムの一例が記載されている。
【0099】
別の実施形態において,駆動軸409はそれぞれ対応する、独立した電気モータにより駆動される。それら電気モータの位相協調は、制御ユニットによりなされる。
【0100】
各コンベヤ410、411、412は、回転支持体、またはカルーセル413を備える(例示的実施形態において、カルーセル413は対応する駆動軸409と同軸に回転可能である)。各コンベヤ410、411、412は、対応するカルーセル413に接続された、対応する複数のヘッド414を(好ましくは、対応するカルーセルの外周に沿った位置に)備える。
【0101】
各コンベヤのヘッド414は、移動することで、各(整列された)シガレット群Gを部分的にまたは全体的に包装することを意図した対応する種類のラッピング材と接触するよう構成される。各コンベヤ410、411、412のヘッド414はさらに、少なくとも一つの隣接コンベヤ410、411、412のヘッド414と協働するよう構成される。
【0102】
ある実施形態において、ヘッド414はそれぞれ、シガレット群Gまたはパケットを搬送するためのポケットを備える。ある実施形態において(追加的にまたは代替的に)、ヘッド414はそれぞれ、ラッピング材を搬送するよう構成された搬送要素を備える。ある実施形態において(追加的にまたは代替的に)、ヘッド414はそれぞれ、ラッピング材を折るよう構成された折り要素を備える。
【0103】
ある実施形態において、第一コンベヤ410は、取り出しコンベヤ407から移動経路Pの給送方向に沿って前方に移動する連続するシガレット群Gを受け取るため、取り出しコンベヤ407の(直)下流側に位置する。
【0104】
第一コンベヤ410と取り出しコンベヤ407との相互接続領域において、第一ロール403からのインナーラッピング材(ホイル)を放出するよう構成された、第一放出装置415が存在しても良い。
【0105】
第一コンベヤ410のヘッド414は、ホイル片と連続するシガレット群Gとを受け取り、各折り装置の助力を得て、シガレット群Gをそれぞれホイル片で完全に包む。
【0106】
第一コンベヤ410は、カラーを放出するよう構成された第二放出装置416に接続されている。第二放出装置416は、硬い紙材の第二ロール405に接続され、当該紙材を切断および/または穿孔することで連続するカラーを製造し、当該カラーを第一コンベヤ410に運ぶよう構成される。各カラーはその後、シガレット群Gに巻きつけられた対応するホイル片と組み合わされる。
【0107】
第二カラー放出装置416と対応するロール405との間には、(例えば空気式の)補償装置417が存在しても良く、当該補償装置417は、各カラーが円滑に且つ一定の間隔で第一コンベヤ410に運ばれるよう、紙材の給送時のばらつきを吸収する機能を有する。
【0108】
第一コンベヤ410の下流側には第二コンベヤ411が位置しており、第二コンベヤ411は、先にホイルに包まれた各シガレット群Gを受け取るとともに、各ブランクSを放出するよう構成された第三放出装置419によりブランクSの貯留部418から引き出された硬質材製のブランクSも受け取る。ブランクSを貯留部418から取り出し第二コンベヤ411に運ぶため、第三放出装置419は、ブランクSの貯留部418と第二コンベヤ411との間に介装されている。
【0109】
ブランクSの貯留部418は、それぞれ垂直方向を向き且つ水平方向に積み重ねられたブランクSを収容するよう構成される。(ブランクSを放出するための)第三放出装置419はさらに、水平軸の周りを回転可能であり、外周に取出し作業ユニットを備えた支持要素を備える。
【0110】
シガレット群Gが第二コンベヤ411上にある間に、(公知の種類の、例えば複数の湾曲(curved)ディフレクタおよび/または複数の可動グリッパを備える)折り手段の助力を得て、ブランクSの少なくとも一部が折られる。
【0111】
第二コンベヤ411の下流側に第三コンベヤ412が存在する。第三コンベヤ412は、半製品パケットを第二コンベヤ411から受け取り、ブランクSの残りの部分を折ることで硬質パケットを完成させる。
【0112】
第二コンベヤ411同様、第三コンベヤ412も、パケットの特定部分を折るよう構成された(公知の種類の、例えば複数の湾曲(curved)ディフレクタおよび/または複数の可動グリッパを備える)特定の折り手段と組み合わされている。
【0113】
第三コンベヤ412の下流側に移送装置420が存在する。移送装置420は、パッキングステーションから完成品パケットを受け取り、当該完成品パケットを貯留ユニット(「バッファ」)または別のステーション(例えば、セロファンラッピング機5)に送るよう構成される。貯留ユニット(「バッファ」)または別のステーション(例えば、セロファンラッピング機5)において、完成品パケットに外側熱可塑性フィルムが装着される。
【0114】
ある可能な実施形態において、コンベヤ410、411、412の少なくとも一つは、別の種類のコンベヤに交換可能であり、および/または他のコンベヤ410、411、412に対して異なる位置に移動可能であり、および/または支持壁408上の異なる駆動軸409に搭載可能である。このことで、製造対象のパケットの大きさや種類および/または使用するラッピング材の種類が変わった場合に、コンベヤ410、411、412が再分配および/または交換可能になる。ある実施形態において、各駆動軸409は、コンベヤ410、411、412のそれぞれに相互に取り替え可能に連結されるよう、構成される。ある実施形態において、少なくとも第二コンベヤ411と第三コンベヤ412とが相互に取り替え可能であり、一方で第一コンベヤ410は取り替えができない。ある変形例において、互換性は上述のコンベヤ410、411、412全てに拡張されても良い。
【0115】
互換性は、各駆動軸409に、複数のコンベヤを複数の駆動軸409に様々な異なる組み合わせで搭載するために使用される、対応する同一の接続部分を設けることで達成される。ある実施形態において、各コンベヤ410、411、412には、上述の駆動軸409のいずれをも任意に受けるように構成されたスロットが設けられている。シャフトとスロットとは、駆動トルクの伝達を可能とするため、キー接続(keyed connection)により相互に連結されても良い。
【0116】
ある実施形態において、各コンベヤ410、411、412は、当該コンベヤの各ヘッド414に接続された伝達構造を有する。当該伝達構造は、対応する駆動軸409が駆動されるときに、コンベヤの各ヘッド414を動かすためのものである。伝達構造は、例えば、複数のカムとカム従動子からなるシステム、または公知の種類の他のシステムを含んでも良い。
【0117】
ある実施形態において、異なる大きさや種類のパケット(例えば、軟質パケットの代わりに硬質パケット)を製造するために、コンベヤ410、411、412はそれぞれ、異なる特徴を有するコンベヤに交換するために(例えば、対応する駆動軸409から引き抜くことで)取り外されても良い。
【0118】
ここで全体としてのラインの記載に戻ると、ライン1はさらに制御ユニット14を備える。制御ユニット14は、電子制御ユニットであっても良い。
【0119】
制御ユニット14は、ライン1の一部を構成する機械やユニット(例えば、ユニット2、3、4、5、6)の一部または全てを制御するよう構成される。
【0120】
なお、制御ユニット14は単一の(または集中型の)制御ユニットであっても良く、また分散型の制御ユニットであっても良い(すなわち、ライン1に沿って分配された複数のモジュールであって、それぞれが特定の機能専用のもの、例えば、特定の機械またはユニット専用のものであり、相互通信するまたは相互連携された複数のモジュールからなっても良い)。
【0121】
上述のラインは複数の機械を含んでも良いと解されるが、以下簡略化のため、一つの機械に着目する。
【0122】
動作の上では(Operatively)、当該機械は連続する複数の喫煙用物品を連続して処理する。状況(機械の種類、または同じ機械における処理の段階)により、喫煙用物品は例えばフィルタであっても、シガレットであっても、整列されたシガレット群Gであっても、シガレットパケットであっても良い。
【0123】
機械は、少なくとも一つの作業ユニットを含み、少なくとも一つの実施形態において、機械は複数の作業ユニットを含む。
【0124】
作業ユニットは、(例えば、交換するために)機械との接続を解除し、取り外すことができる機械部品である。また、少なくとも一つの実施形態において、作業ユニットは(機械的または電子的な)調整の対象である。
【0125】
パッキング機4の(コンベヤ410、411、または412の)各ヘッド414が作業ユニットを構成しても良い。
【0126】
本開示に定義される作業ユニットを構成可能な他の構成要素として、コンベヤ間移送ユニット、張力付与または牽引ユニット、ホイル型押し要素、カラー用打抜ポンチ(blanking punch)やその他の構成部分が挙げられる。
【0127】
ある実施形態において、一または複数の作業ユニットが喫煙用物品の移動経路P(生産経路)に沿って位置している。しかしながら、一または複数の作業ユニットが、喫煙用物品の移動経路Pから間隔を置いた位置にも位置する場合もある。
【0128】
作業ユニットはタグT、すなわち検査装置によってアクセス可能(読み取り可能)な情報を記憶するよう構成された電子部品、を含む。
【0129】
ある実施形態において、タグTは、読出し/書込みメモリを有する。ある実施形態において、タグTはデータ交換インターフェースを有する。例えば、タグTはRFID技術(または他の短距離データ伝送技術)を用いる。
【0130】
少なくとも一つの実施形態において、ライン1はプローブ10を備える。ある実施形態において、プローブ10は各作業ユニットの各タグTと通信するよう構成される。
【0131】
少なくとも一つの実施形態において、プローブ10は、実際の喫煙用物品と同様にライン1の一または複数の機械内において投入可能かつ処理可能なように(好ましくは)喫煙用物品のような形状を有する。例えば、プローブ10は、シガレットまたはシガレット群Gのような形状を有しており(例えば、
図6および
図7を参照)、後者の場合、プローブ10はパッキング機4に投入されても良い。
【0132】
プローブ10はプロセッサ16を含み、プロセッサ16は電子カード11に一体化されていても良い(例えば、
図5を参照)。プローブ10は、メモリ12を含み、メモリ12は好ましくは読出し/書込みメモリである。
【0133】
プローブ10は、データ交換モジュール13、すなわち通信モジュールを含む。例えば、データ交換モジュール13はRFID技術(または他の短距離データ伝送技術)を用いる。
【0134】
少なくとも一つの実施形態において、プローブ10はさらに電源22(バッテリ)を含む。
【0135】
ある実施形態において、作業ユニットのタグTはパッシブRFIDタグである。プローブ10は、移動経路Pに沿った動作位置において作業ユニットの付近に位置しているとき、タグTからデータを読み取る、またはタグTにデータを書き込むことができる。
【0136】
変形例において、作業ユニットのタグTはアクティブタグであり、その場合プローブ10にデータを送信可能である。
【0137】
タグTに格納されるデータに関しては、タグTのメモリは種々のデータを格納可能であり、以下にその例を示す。
【0138】
タグTは、タグTが属する作業ユニットの識別コードを格納可能である。なお、タグTは作業ユニットに対して安定的かつ取り外し不可能に組み合わされている。さらに、タグTは、作業ユニットの製造日、および作業ユニットがこれまで搭載された各機械の識別データを格納可能である。
【0139】
タグTは、活動の記述にそれぞれ関連づけられた日付、例えば作業ユニットに対して実施された一または複数の調整の日付、をさらに格納可能である。
【0140】
タグTは、作業ユニットの試験時、またはその後の各キャリブレーション時に設定された一または複数の調整パラメータそれぞれの値を格納可能である。当該調整の特質は作業ユニットの種類・機能によって異なり、例えば作業ユニットがシガレット群Gを保持する機能を有する場合、調整は、シガレット群Gに加えられる圧力(この場合の調整パラメータであっても良い)を所定の値の範囲内とするための各把持要素の機械的移動を伴っても良い。当該所定の値の範囲は例えば、製造者によって特定されるか、またはシガレットパケットに対する作業ユニットの有効作用の確認に基づいて特定されたものである(シガレット群Gに対して、破損の原因となるような過剰な圧力が加えることは避ける必要があるのは明らかである)。
【0141】
タグTはさらに、作業ユニットの動作時間間隔を格納しても良い。また、タグTは、一または複数の機械であって、作業ユニットの作業寿命中に、当該作業ユニットが搭載された一または複数の機械の種類に関する情報を格納しても良い。タグTはさらに、内部において作業ユニットが動作した一または複数の機械内における作業ユニットの位置についての情報も格納しても良い。
【0142】
タグTはさらに、ラインを診断するステップ中に得られた、作業ユニットに関連した(referred to)診断データを格納しても良い。より一般的に、タグTはさらに、ライン1の制御ユニット14に格納されたデータの全てまたは一部を格納しても良い。
【0143】
ある実施形態において、プローブ10は、作業ユニットの調整パラメータを検出するよう構成されたローカルセンサ17(少なくとも一つの、または複数のローカルセンサ)を含む。例えば、プローブ10には、プローブ10の外側に(例えば、特定の作業ユニットによって)加えられた圧力を検出するようそれぞれ構成された複数のセンサが設けられても良い。
【0144】
これら各センサの機能は、(例えば、機械が固定され、状況により、プローブ10が作業ユニットに連結されるかまたは作業ユニットの付近に配置された状態での)作業ユニットの調整時または据え付け時に操作者のための制御信号を提供することである。
【0145】
例えば、作業ユニットがパッキング機4のヘッド414であり、プローブ10がシガレット群Gの形をしている場合、ユーザはプローブ10を当該作業ユニット内に置き、その後、当該ヘッド414によりプローブ10に加えられる圧力が必要値になる(または値の範囲内に収まる)まで作業ユニットの設定を(フィードバックにより)調整するため、プローブ10を用いてヘッド414によりプローブ10に加えられる圧力(または他のパラメータ)の値を読み取ることができる。
【0146】
ある実施形態において、ライン1は、移動経路Pに沿って直列に且つ互いに間隔をあけて配置された複数の作業ユニットを有する。例えば、第一コンベヤ410の各ヘッド414は(機能的には)第二コンベヤ411の各ヘッド414および第三コンベヤ412の各ヘッド414と直列である。
【0147】
同じ例において、コンベヤ410、411、412のうち一のコンベヤの同じカルーセル413と組み合わされた複数のヘッドの各ヘッド414は(機能的には)互いに並列である。
【0148】
したがって、ライン1は、互いに並列に配置された複数の作業ユニットに対応する複数のプローブ10を備える。このことで、複数のプローブ10は、機械により同時に処理可能となるとともに、それぞれが対応する作業ユニットと同時に(また、どのような場合であっても機械の停止を必要とせずに)接触または相互作用する(または、それぞれが対応する作業ユニットの付近の各動作位置へと移動する)ことができる。
【0149】
したがって、本開示の一態様によると、タバコ産業における生産ライン1の作業ユニットが提供される。
【0150】
作業ユニットは、作業ユニットをライン(1)に対して取り外し可能に接続するよう幾何学的に構成された本体を備える。作業ユニットはさらに、作業ユニットの外部から検出可能な少なくとも一つの機械的および/または電気的な調整パラメータを含む調整機構を備える。作業ユニットさらに、読出し/書込みメモリとデータ交換インターフェースとを有するタグTを備える。
【0151】
ある実施形態において、タグTは、使用時において、ラインにおける喫煙用物品の移動(生産)経路Pとの関連でプローブ10がとる少なくとも一つの動作位置においてプローブ10と対向することを意図して、作業ユニット本体の外表面の一部に配置されている。
【0152】
本開示の(
図4にその一例が示された)別の態様によると、ライン1は、ラインの少なくとも一つの要素の動作を示す少なくとも一つの機械パラメータを測定するよう構成された一または複数のラインセンサ15を備える。ラインの少なくとも一部の動作を制御するため、ラインセンサ15には制御ユニット14が接続されている。
【0153】
ある実施形態において、ラインは診断プローブを含み、当該診断プローブは、ラインを移動し喫煙用物品と同様に処理されると、一または複数のラインセンサ15と相互作用するよう構成されても良い。
【0154】
(これ以上説明しない)ある実施形態において、診断プローブは、(各作業ユニットの各タグTを検査する機能を有するという意味で検査プローブであるところの)プローブ10とは別個であり且つ独立している。(本開示が注目するが、そのことで一般性を損なわない)別の実施形態において、同じプローブ10が、(検査機能に加えて)さらに診断機能を有する。したがって、以下においては単にプローブ10に言及することで、診断プローブがプローブ10とは別個である実施形態と、プローブ10と診断プローブとが一つの同じものである実施形態の双方を含める。
【0155】
プローブ10は少なくとも一つのプローブパラメータを取得するよう構成される。(プロセッサ16と、少なくとも一つのローカルセンサ17と、メモリ12と、データ送信モジュール13と、電源22とを備えた)プローブ10は、喫煙用物品のような形状を有し、少なくとも一つのローカルセンサ17を有し、少なくとも一つのプローブパラメータを取得するよう構成される。
【0156】
ライン1は、少なくとも一つの機械パラメータおよび少なくとも一つのプローブパラメータについて取得されたデータを受信し記憶するために動作的に(operatively)制御ユニット14およびプローブ10のメモリ12と通信する電子データベース21を含んでも良い。
【0157】
ライン1は、起動信号を生成し、開始時点において当該起動信号をプローブ10および制御ユニット14に送信するよう構成されるコンピュータ18をさらに含む。コンピュータは、電子データベース21に格納されているデータに時間的な関連付けを行うようにプログラムされている。
【0158】
したがって、本開示によると、喫煙用物品を製造するための生産ライン1の少なくとも一部、すなわちライン1自体を構成する一または複数の機械(2、3、4、5、6)の動作を分析するための診断方法がさらに規定される。
【0159】
当該方法は、プローブ10により以下のステップを通じて実施される:
・起動信号の生成;
・開始(または起動)時点における、起動信号のプローブ10のプロセッサへの送信;
・開始時点における、起動信号のライン1のプロセッサ制御ユニット14への送信;
・開始時点と取得終了時点との間における、受信された起動信号への応答として、プローブ10から(連続する複数の時点において)取得されるプローブ10のデータのセットの、電子データベース21における受信;
・開始時点と取得終了時点との間における、受信された起動信号への応答として、制御ユニット14により取得されるラインデータのセットの、電子データベース21における受信;
・プローブのデータセットとラインのデータセットとの時間的な関連付け。
【0160】
なお、ラインデータは少なくとも一つの機械パラメータを示すデータセットを備える。別の態様によると、方法はさらに、取得終了時点において、プローブ10のプロセッサとライン1の制御ユニットとに停止信号を送信するステップを備える。このことで、プローブデータおよびラインデータの取得が終了する。
【0161】
なお、好ましくは、電子機器19は、プローブ10との通信のための(ハードウェアおよび/またはソフトウェア)モジュールと、制御ユニット14との通信のための(ハードウェアおよび/またはソフトウェア)モジュールとを備える。また、電子機器19はさらに、事前に互いに時相一致がなされた(関連付けられた)ラインデータおよびプローブデータを統計的に分析するよう構成されたデータ分析モジュールを備えても良い。
【0162】
なお、より一般的に、電子機器19は、(ユーザによるコマンド発行を可能にする)ユーザインターフェースと、メモリと、ディスプレイとを備える。
【0163】
好ましくは、時間的な関連付けを行うステップは、プローブデータセットの各項目について、開始時点を参照し(referred to)且つ当該データ項目に割り当てられた同期パラメータ値と、ラインデータセットの少なくとも一つの対応する項目に割り当てられた対応する参照時点(reference instant)とを相互に関連した状態で設定するステップを備える。
【0164】
別の態様によると、当該方法は、「開始」(または起動)時点においてプローブ10のプロセッサに起動信号を送信するステップの後、プローブパラメータそれぞれの値を(好ましくは所定のサンプリング間隔で)取得するステップを備える。別の態様によると、当該方法は、起動信号を送信するステップの後、上述のラインデータを取得するステップを備える。
【0165】
ある実施形態において、ラインパラメータは、喫煙用物品(およびプローブ)をライン1の少なくとも一部に沿って移動するよう構成された一または複数のコンベヤユニットがある時点において占める位置をそれぞれ示すパラメータを含む。これは、(ライン)パラメータを経時的に分析することで、(一または複数のコンベヤユニットにより移動される、または一または複数のコンベヤユニットと一体として移動する)プローブ10の位置を高い精度と正確性で追跡できることを意味する。
【0166】
なお、より一般的に、各ラインパラメータは、ある時点における機械の状態や設定を識別するために用いられる。
【0167】
別の態様によると、ライン1の制御ユニット14はクロックを備え、開始時点を参照する参照時点を、制御ユニット14が取得する各データ項目と関連づけるようにプログラミングされている。好ましくは、プローブ10は、開始時点を参照する同期信号を生成するよう構成される同期装置を備え、プローブ10のプロセッサ16は、プローブ10により取得された各データ項目に対して同期パラメータの値を関連づけるようプログラミングされている。
【0168】
換言すれば、制御ユニット14のクロックと同期装置とは、同じ開始時点を起点として、プローブおよびラインのデータの各サンプルに対して時間軸上の点を割り当てるために用いられる。
【0169】
また、プローブ10は、電子カード11を収容する(外観的には喫煙用物品のような形状を有する)ベース要素、またはフレームを有する。
【0170】
なお、本開示の少なくとも一つの態様によると、機械に対して非常に精度の高い診断を実施することができる。これは、プローブ10の位置を把握することで、不具合および/または故障の発生位置を非常に高い精度で突き止めることが可能であるためである。
【0171】
なお、プローブ10は通常の製品と同様に処理することができ、この意味において、プローブ10は、同種の製品と同じ物理的現象(衝撃、圧縮、加速、加熱)を受けても良く、同種の製品と同じ処理を施される。
【0172】
先のいずれか一項に記載の方法であって、前記プローブ(10)は前記制御ユニット(14)と無線通信を行い且つ前記制御ユニット(14)によりリアルタイムで駆動される。
【0173】
作業ユニットの調整について、プローブ10が有しても良い診断機能は、プローブ10の検査機能と相乗的に相互作用する。実際において、プローブ10が作業ユニットのタグTからデータを読み取り、タグTにデータを書き込むことができるということは、作業ユニット内に以前設定された各調整パラメータ値をメモリから取得することができ、(新規の)調整後に設定された新たな値のメモリへの書き込みが可能であることを意味する。
【0174】
本開示は、その一態様によると、ライン1の少なくとも一部(例えば、ライン1の機械またはユニット2、3、4、5、6のうち一または複数)を検査するための診断方法を提供する。
【0175】
当該方法は、作業ユニットのタグTに特定のデータを記憶させるステップを備える。好ましくは、これらのデータは、作業ユニットの構造上または運転上の仕様を示し、作業ユニットに対して経時的に実施された調整や設定を示しても良く、ある実施形態において、タグに記憶されたデータは作業ユニットの動作を経時的に記録するものであり、ある実施形態において、タグTに記憶されたデータは「追跡記録」、すなわち、その製造時に始まる作業ユニットの履歴を示すファイル、または「フィンガープリント」を構成する。
【0176】
当該検査方法は、(ライン1の一または複数の作業ユニットについて)作業ユニットのタグTに格納されたデータを読み取るステップを含む。また、当該方法はさらに、作業ユニットのタグTに、または作業ユニットのタグTからデータを転送するステップを備える。
【0177】
ある実施形態において、当該読み取りステップは、喫煙用物品の移動経路Pに沿った投入位置において、プローブ10をライン1内に投入するステップを有する。当該実施形態において、プローブと作業ユニットのタグTとの間でデータを転送するステップは、プローブが移動経路Pに沿った動作位置に位置する場合に実施される。
【0178】
ある実施形態において、機械(またはライン1)にプローブ10を処理させ、プローブが移動経路Pに沿って進むにしたがって、一または複数の作業ユニットから連続的にデータが読み取られる。具体的には、同じプローブ10が、移動経路Pに沿って位置し且つ機能的に互いに対して直列に配置された複数の作業ユニットの全てのタグTを読み取る。互いに対して機能的に並列に配置された作業ユニット(例えば、パッキング機4における一つのカルーセル413の複数のヘッド414)の複数のタグTの読み取りは、並列に配置された複数の作業ユニットの数と同数の連続するプローブ10を機械に投入する必要がある。
【0179】
ある実施形態において、作業ユニットとのデータ交換のステップ中、プローブ10は動作位置において静止状態で保持されても良い。当該解決策は、作業ユニットのタグTとプローブ10との間のデータ交換が、作業ユニットの調整中に、または作業ユニットの調整を目的として実施される場合に特に有利である。
【0180】
この文脈で、当該(検査)方法は、以下のステップを通じて作業ユニットを確認する工程を備えても良い:
・参照データ(例えば、製造者により設けられた値の範囲、または作業ユニットに対して以前実施された調整ステップ中に設定された一または複数の調整パラメータの過去値)を得るための、プローブ10による作業ユニットタグのメモリの読み取り;
・プローブによる、一または複数の作業ユニット調整パラメータそれぞれの現在値の検出;
・一または複数の作業ユニット調整パラメータそれぞれの過去値と現在値との比較。
【0181】
ある実施形態において、プローブ10は、好ましくはリアルタイムに、制御ユニット14または電子装置18と無線通信を行う。
【0182】
ある実施形態において、プローブ10は、好ましくはリアルタイムに、制御ユニット14または電子装置18により駆動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0183】
【文献】イタリア特許出願第2006A000110号明細書
【文献】国際公開第2017/182996号
【文献】欧州特許出願第2159176号明細書
【文献】欧州特許第2522237号明細書
【文献】欧州特許第1791146号明細書
【文献】欧州特許出願第1267231号明細書
【文献】欧州特許第1640268号明細書
【文献】米国特許出願第2005/0005580号明細書
【文献】イタリア特許出願第2003A000317号明細書
【文献】イタリア特許出願第97A000371号明細書