(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-01
(45)【発行日】2022-11-10
(54)【発明の名称】光電式装置
(51)【国際特許分類】
G01J 1/02 20060101AFI20221102BHJP
G01J 1/06 20060101ALI20221102BHJP
G01J 1/04 20060101ALI20221102BHJP
H01L 31/12 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
G01J1/02 P
G01J1/06 A
G01J1/04 A
H01L31/12 E
(21)【出願番号】P 2018562716
(86)(22)【出願日】2017-02-22
(86)【国際出願番号】 EP2017054069
(87)【国際公開番号】W WO2017144535
(87)【国際公開日】2017-08-31
【審査請求日】2020-01-16
(31)【優先権主張番号】102016103123.2
(32)【優先日】2016-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】399011911
【氏名又は名称】ヴィシャイ セミコンダクター ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Vishay Semiconductor GmbH
【住所又は居所原語表記】Theresienstr.2 D-74025 Heilbronn B.R.Deutschland
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】ブルガー,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】クーン,サッシャ
(72)【発明者】
【氏名】ミューレック,ペーター
【審査官】平田 佳規
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-179252(JP,A)
【文献】特開2015-222803(JP,A)
【文献】特開平06-050743(JP,A)
【文献】特表2015-509184(JP,A)
【文献】実開昭64-036943(JP,U)
【文献】特開平08-184740(JP,A)
【文献】特開2011-146271(JP,A)
【文献】特開2012-122858(JP,A)
【文献】実開昭58-003049(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 1/02- 1/06
G01J 1/42
G01S 7/48- 7/51
G01S 17/00- 17/95
G01V 8/10- 8/26
G02B 7/00- 7/24
H01H 35/00
H01L 23/00- 23/10
H01L 31/12- 31/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの光電式送信機(40)及び少なくとも1つの光電式受信機(42)を上面に備えるキャリア装置(12)を有し、
キャリア装置(12)の上方に層状に配置された
、第1の光学素子
と、第2の光学素子
と、第3の光学素子
と、を備えた少なくとも3つの光学素子を有し、第2の光学素子は第1の光学素子の上に配置され、第3の光学素子は第2の光学素子の上に配置され、前記少なくとも3つの光学素子は、それぞれレンズ要素(16)、開口要素(14)またはフィルタ要素(92)であり、
少なくとも第1の光学素子と第2の光学素子をキャリア装置(12)に対して保持するとともに、少なくとも第1の光学素子と第2の光学素子を部分的に囲む保持装置を有し、
前記保持装置は、下部材(18)と上部材(20)を備え、少なくともキャリア装置(12)、第1の光学素子(16)及び第2の光学素子(14)は、保持装置の下部材(18)と上部材(20)の間に保持されており、
前記第3の光学素子は、保持装置の上部材(20)によって形成されており、
前記キャリア装置(12)、前記第1の光学素子(16)、及び前記第2の光学素子(14)は、前記下部材(18)内に配置され、
前記上部材(20)は、前記下部材(18)を閉じ、それにより前記第1の光学素子(16)及び前記第2の光学素子(14)を前記キャリア装置(12)に固定することを特徴とする光電式装置(10)。
【請求項2】
前記少なくとも3つの光学素子の1つまたは複数が、前記少なくとも1つの光電式送信機(40)及び/または少なくとも1つの光電式受信機用の光チャネル(84)を合わせて形成することを特徴とする請求項1に記載の光電式装置(10)。
【請求項3】
前記レンズ要素(16)は、前記少なくとも1つの光電式送信機用のレンズ部(68)及び/または前記少なくとも1つの光電式受信機(42)用のレンズ部を有することを特徴とする請求項1または2に記載の光電式装置(10)。
【請求項4】
前記開口要素(14,20)は、前記少なくとも1つの光電式受信機(42)に入射する光ビームの入射角の範囲を定めるとともに/または前記少なくとも1つの光電式送信機(40)から放射される光ビームの放射角の範囲を定めることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の光電式装置(10)。
【請求項5】
前記開口要素(14,20)は、前記少なくとも1つの光電式送信機(40)用の開口部及び/または前記少なくとも1つの光電式受信機(42)用の開口部を有することを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の光電式装置(10)。
【請求項6】
前記開口部(52)は、キャリア装置(12)の方向に徐々に減少する断面を有するとともに/または少なくとも実質的に円錐台状の開口部によって形成されていることを特徴とする請求項5に記載の光電式装置(10)。
【請求項7】
前記フィルタ要素(92)は、スペクトルフィルタ特性を有するプラノパラレルなフィルタ部を備えることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の光電式装置(10)。
【請求項8】
第1の光学素子は、第1の開口要素(14)であり、第2の光学素子は、レンズ要素(16)であり、第3の光学素子は、他の開口要素(20)であることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の光電式装置(10)。
【請求項9】
第1の光学素子は、レンズ要素(16)であり、第2の光学素子は、開口要素(14)であり、第3の光学素子は、他のレンズ要素(16)であることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の光電式装置(10)。
【請求項10】
前記少なくとも3つの光学素子の1つは、レンズ要素(16)であり、前記少なくとも3つの光学素子の他の1つは、開口要素(14)であり、前記少なくとも3つの光学素子のさらに他の1つは、フィルタ要素(92)であることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の光電式装置(10)。
【請求項11】
第1の光学素子(14)及び/または第2の光学素子(16)は、垂直方向で第3の光学素子(20)とキャリア装置(12)の間に保持されていることを特徴とする請求項1~10のいずれかに記載の光電式装置(10)。
【請求項12】
前記少なくとも3つの光学素子の少なくとも1つは、前記少なくとも3つの光学素子の他の1つを受け入れる少なくとも1つの収容リセス(90)を有することを特徴とする請求項1~11のいずれかに記載の光電式装置(10)。
【請求項13】
保持装置の下部材(18)と上部材(20)は、ラッチ式連結部によって互いに締結されていることを特徴とする請求項1~12のいずれかに記載の光電式装置(10)。
【請求項14】
前記少なくとも3つの光学素子の1つは、保持装置から突出するとともに光電式装置(10)を識別する少なくとも1つのコーディング要素(62,63)を有する機械的なコーディング部(60)を備えることを特徴とする請求項1~13のいずれかに記載の光電式装置(10)。
【請求項15】
請求項1~14のいずれかに記載の複数の異なる光電式装置(10)を含むシステムであって、
前記複数の異なる光電式装置(10)の第1の光学素子は、形状が互いに異なっているとともに/または前記複数の異なる光電式装置(10)の第2の光学素子は、形状が互いに異なっているとともに/または前記複数の異なる光電式装置(10)の第3の光学素子は、形状が互いに異なっていることを特徴とするシステム。
【請求項16】
請求項1~14のいずれかに記載の複数の光電式装置(10)を有するシステムであって、
前記複数の異なる光電式装置(10)の少なくともいくつかの光学素子は、対応する配置に関して互いに異なっていることを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの光電式送信機及び/または少なくとも1つの光電式受信機を上面に有するキャリア装置を備える光電式装置に関する。
【背景技術】
【0002】
キャリア装置は、同時に光電式送信機及び/または光電式受信機の電気接点として機能し得る。送信機及び/または受信機に関連する放射に光学的な影響を及ぼすように、少なくとも1つの光学素子が、垂直方向に対してキャリア装置の上方、すなわち送信機及び受信機の上方に配置されている。
【0003】
このような光電式装置は、特に、物体を光学式に走査して物体の特性を電子的に検出する光電センサ装置として構成される。このようなセンサ装置の用途は、市販のプリンタ装置、レーザプリント技術やインクジェットプリント技術などの周知のプリント技術によるコンピュータ支援の紙印刷装置の分野である。全自動でかつできる限りユーザフレンドリーなプリンタ(またはプリンタを含む多機能装置)の動作を可能とするように、プリンタの収容トレイに配置される紙の量や種類、与えられた紙の判型、紙の端部の相対的位置などのプリンタの異なる動作パラメーターが必要に応じて特定及び監視される。さらに、例えば、走査される紙の内容(画像かテキストか)やプリント結果に対する正しい配置(例えば、プリンタのプリントユニットの機械的なアライメント)を確認するために、対応するプリント結果や走査する紙の自動分析が必要である。
【0004】
典型的に、測定される各動作パラメータに対して個々に適合する光電式装置がそれぞれ設けられ、発せられた光信号と、検出された、例えば反射した光信号と、を比較して、これらの光信号の差から対応する動作パラメータを特定することができるように構成される。光信号は、一般に可視波長または不可視波長、特に赤外線の電磁放射である。装置は、光電式送信機と(少なくとも1つの)光電式受信機との両方を有することが多い。よって、装置は、例えば、近接センサとして機能し得る。さらに、例えば、特に同時に複数の動作パラメータを(例えば、拡散反射と正反射との区別によって)特定可能な複数の送信機及び受信機を有する装置も可能である。
【0005】
多くの動作パラメータを測定するために対応する種々の光電式装置が必要となり、望ましくない製造及び保管コストを伴う。加えて、対応する動作パラメータを測定する光電式装置は、対応する動作パラメータによって大きく異なり得る特定の光学的性質を実現する必要があり、この点に関して多大な開発努力を要し得る。光学的性質は、特に、それぞれの動作パラメータを測定するために光電式送信機から送信されるとともに/または光電式受信機によって受信されるビームや光信号の案内、成形やフィルタリングである。この点に関して、特にビームの断面の大きさ及び/または角度範囲を決定するように、ビームの幾何学的な制限も必要であり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、光学的性質を簡単に決定できる上述した装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的は、請求項1の特徴部を有する光電式装置、特に、キャリア装置の上方で層状に配置された少なくとも1つの第1の光学素子、第2の光学素子及び第3の光学素子を有し、第2の光学素子が第1の光学素子の上方に配置され、第3の光学素子が第2の光学素子の上方に配置され、少なくとも3つの光学素子のそれぞれが、レンズ要素、開口要素またはフィルタ要素である光電式装置によって達成される。少なくとも第1の光学素子と第2の光学素子をキャリア装置に対して保持するとともに第1の光学素子と第2の光学素子を部分的に囲む保持装置がさらに提供され、この保持装置は、さらに、第3の光学素子をキャリア装置に対して保持するとともに第3の光学素子を部分的に囲むか、第3の光学素子を形成する。
【0008】
光電式送信機または受信機に関する装置の関連する光学的性質は、上記の少なくとも3つの光学素子によって決定される。この点に関して、3つの光学素子の1つまたは複数は、送信機または受信機用の光チャネルを合わせて構成することができる。従って、このような光チャネルは、光電式装置の入射光路または放射路を形成し、光チャネルは、好ましくは光電式送信機または受信機を通り、光電式装置を部分的に通る光電式装置の放射透過領域の幾何学的及び/または光学的中心を定める仮想軸を有する。光チャネルの軸は、キャリア装置の延長面に対して、例えば、垂直または斜めに延び得る。光電装置に設けられたそれぞれの光電式送信機および受信機に対して、別の関連する光チャネルが提供されることが好ましい。
【0009】
本発明の利点は、少なくとも3つの独立した光学素子が提供されることである。これにより、光チャネルの光学的性質を簡単な方法でかつそれにもかかわらず高い精度で決定することができる。
【0010】
光電式装置は、異なる独立した構成要素からモジュール式装置として組み立てられるモジュール式設計を特徴とする。これらの独立した構成要素は、少なくともキャリア装置、第1の光学素子、第2の光学素子及び保持装置を含み、第3の光学素子も同様に保持装置とは別にあるいは保持装置と一体に形成することができる。個々の構成要素は、好ましくは互いに対して取外し可能に連結あるいは保持されている。構成要素は、特に互いに対して力を伝達する及び/または形状が一致する方法で保持することができる。構成要素は、上記垂直方向に沿って互いの実質的に後方に、すなわち層状配置またはサンドイッチ構造で配置される。キャリア装置、光学素子及び任意の構成要素の異なる変形例は、これにより、ユニバーサルモジュール式プラットフォームに基づいて、単純な方法で互いに組み合わせることができ、異なる光電式装置のいくつかの構成要素(例えば、保持装置)は同じであってもよい。
【0011】
光電式装置は、少なくとも実質的に平行六面体とすることができ、少なくともいくつかの上述の個別の構成要素は細長い実質的に矩形の外形を有しうる。
【0012】
光電式装置のキャリア装置は、少なくとも実質的にプレート状とすることができるとともに/またはオーバーモールドされたリードフレームであり得る。キャリア装置は、キャリア装置のASIC(特定用途向け集積回路)及び/または光電式送信機または受信機に接続可能な複数の電気コネクタを含み得る。キャリア装置のコネクタは、外部からの電気接続を可能とする。コネクタは、装置を用途に応じて動作させるために、特にキャリア装置を光電式装置と関連するマイクロコントローラに接続するために設けることができる。上述の垂直方向は、キャリア装置の延長面に特に垂直に延び得る。
【0013】
保持装置は、キャリア装置に対する第1及び第2の光学素子のアライメントに注意しながら少なくともキャリア装置と2つの光学素子を互いに対して保持するように機能し、キャリア装置は、少なくとも1つの光電式送信機及び受信機を備える。この点で、保持装置は、第1の光学素子及び/または第2の光学素子をキャリア装置に直接的または間接的に固定することができる。保持装置は、この目的で、キャリア装置及び第1及び第2の光学素子の少なくとも周りに係合するか、あるいはこれらの後方に係合する、例えば、クリップまたは少なくともクリップ様の要素を有し得る。加えて、または代わりに、保持装置は、ハウジングまたはケージとして形成可能であり、このような保持装置は、キャリア装置、第1の光学素子及び第2の光学素子を完全に囲む必要はなく、特に面全体を囲む必要はなく、装置の全ての側面を囲む必要もない。よって、保持装置は、少なくとも機能的に装置のハウジングとして機能し、または少なくとも大部分が閉じた本当のハウジングとすることができ、少なくとも装置の構成要素の機械的な封入が確実に得られる。(第3の光学素子が別に形成され、例えば、保持装置と一体に設けられていない場合)第3の光学素子及び他の構成要素も、保持装置によって保持または固定することができる。
【0014】
保持装置は、複数の側壁及び/または互いの反対側に対をなすように設けられた、複数の、特に2つ、4つ、6つの保持アームまたは保持部を備えるベースプレートを特に有し得る。ベースプレートは、例えば、キャリア装置及び/または1つの光学素子の形状及び寸法に適合する均一のプレート寸法を有し得る。これにより、装置は、頑丈でコンパクトなものとなり、装置への汚れ等の付着や侵入が防がれる。ベースプレートは、好ましくはキャリア装置の下面に配置され、底部を構成する。保持装置は、少なくとも部分的にステップ状及び/またはU字形の断面及び/または複数の開口部を有することができ、保持装置内に配置され、保持装置と少なくとも部分的に相補的に形成される装置の構成要素が、独立した締結手段を要することなく保持装置内に横方向及び/または垂直方向で捕捉される。例えば、キャリア装置、第1の光学素子、第2の光学素子及び任意の第3の光学素子は、垂直方向で捕捉することができ、すなわち、それぞれの構成要素は、垂直方向における相互の接触によって保持装置と装置の他の構成要素との間または装置の別の2つの構成要素の間に固定される。保持装置は、さらに、一部材または複数の部材、特に2つの部材で形成可能である。
【0015】
光学素子は、少なくとも実質的にプレート状であってもよく、プレート寸法及び/またはプレート形状は、装置の少なくともいくつかの構成要素の均一のプレート寸法及び/またはプレート形状に対応し得る。
【0016】
本発明に関連して、レンズ要素は、特に屈折特性を有し得る結像要素である。レンズ要素は、特に、少なくとも1つの光電式送信機用のレンズ部及び/または少なくとも1つの光電式受信機用のレンズ部を有し得る。
【0017】
対応するレンズ部は、(例えば、収束レンズ、発散レンズまたはフレネルレンズのように)特に一方の面または両面にアーチを有する点でビーム成形特性を有し得る。これに変えて、またはこれに加えて、対応するレンズ部は、ビームの屈折、すなわち発信または受信されたビームの伝搬方向の変更を生じさせ得る。対応するレンズ部は、特にウェッジ形状(例えば、互いに対して鋭角に並んだ2つの平面を有するウェッジレンズとしての設計)を有し得る。対応するレンズ部は、キャリア装置の延長面に対して平行にまたは斜めに位置決めすることができる。レンズ要素は、対応するレンズ部の外側でプレート状とすることができる。対応するレンズ部は、一体でかつ/または光電式送信機または受信機の上方に設けることができる。
【0018】
1つの光学素子が開口要素である場合には、少なくとも1つの光電式受信機に入射する光ビームの入射角の範囲を定め得る。代わりにまたはこれに加えて、開口要素は、少なくとも1つの光電式送信機によって光チャネルを通して放射される光ビームの放射角の範囲を定める。それぞれの角度範囲は、特にアライメント及び開口部の角度によって定めることができ、光チャネルはこれによって少なくとも部分的に定められる。
【0019】
開口要素は、少なくとも1つの光電式送信機用の開口部及び/または少なくとも1つの光電式受信機用の開口部を有し得る。対応する開口部は、対応する開口要素の開口部によって形成することができ、この開口部は、例えば、円形または楕円形であり、形成される光チャネルの軸と同軸あるいはこの軸からオフセットされる。光電式装置の幾何学的な光電特性は、決定することができ、対応する開口部の配置及び形状によって(例えば、内部及び外部の反射による)望ましくない干渉の影響が抑えられる。このために対応する開口要素を備える複数の独立した開口要素を有利に提供することができ、各々の開口要素は関連する送信機から放射されるとともに/または関連する受信機で受信されるビームの断面を制限することができる。例えば、対応する開口要素を形成する2つの光学素子は、キャリア装置から異なる間隔に設けることができ、特にレンズ要素の異なる側に設けることができる。よって、各々の開口要素は、光チャネルの所望の光学的性質に貢献することができ、各々の開口要素によって実現される光学的性質は重ね合わされるか、または機能的な方法で組み合わされる(例えば、入射角の範囲や放射角の範囲を制限して、散乱光絞りとして機能する)。換言すると、光電式装置の設計された光学的性質を実現するためのビームを幾何学的に制限する手段は、2つ以上の開口要素に分散可能である。これにより、単一の開口要素の場合に比べて、対応する開口要素の機械的な複雑さを小さくすることができ、これは、一方では設計を単純化し、他方では開口要素の産業的な製造を単純化する。
【0020】
入射角及び/または放射角の上記範囲を定めるために、対応する開口要素の開口部は、キャリア装置の方向に徐々に減少する断面を有し得る。対応する開口部は、少なくとも実質的に円錐台状の開口部によって特に形成可能であり、この開口部は、特に傾斜した光チャネルの軸を有し、変形していてもよい。
【0021】
光電式装置の少なくとも1つの光学素子は、スペクトルフィルタ特性を有するフィルタ要素を含む。フィルタ要素は、スペクトルフィルタ特性を有する特にプラノパラレルなフィルタ部を備え得る。
【0022】
対応する光学素子は、レンズ要素、開口要素またはフィルタ要素のいずれかのみを含まなくてもよい。レンズ要素、開口要素、フィルタ要素の組み合わせも可能である。例えば、スペクトルフィルタ特性が組み込まれたレンズ要素を提供することができる。しかし、このことは、上記の機能(屈折、開口、フィルタリング)の少なくとも1つをそれぞれ満たす少なくとも3つの光学素子が必ず提供される事実に影響を与えない。
【0023】
装置のモジュール式設計は、僅かしか異ならない実質的に同一の構成要素を有する複数の異なる種類の装置を安価に製造するために、少なくとも3つの光学素子との組合わせにおいて特に有利である。この点について、対応する種類の装置で要求される光学的性質は、例えば、光学素子の1つの開口要素の少なくとも1つの開口部の形状及び/または位置、レンズ要素のレンズ部の形状及び/または位置及び/またはフィルタ要素のフィルタ部の形状または位置が適合することによって定められ得る。この目的で、異なる選択的な開口要素及び/または異なる選択的なレンズ要素及び/または異なる選択的なフィルタ要素を提供することができる。光電式装置の基本設計、特に個々の構成要素の外形は、この点に関して変更する必要はない。
【0024】
以下に3つの光学素子の層状配置に関するいくつかの例示的な形態を説明する。
【0025】
一実施例によれば、第1の光学素子は、第1の開口要素であり、第2の光学素子は、レンズ要素であり、第3の光学素子は他の開口要素である。換言すると、第1の開口要素は、レンズ要素の下に配置され、他の(第2の)開口要素はレンズ要素の上方に配置される。一方では、これにより、第1の開口要素は、第2の開口要素よりもキャリア装置からの離間距離が短い。他方では、2つの開口要素は、レンズ要素によって互いから離間されている。開口要素のこのような配置は、各々の開口要素によって特定の光学的な効果を実現するのに有利である。例えば、第1の(下方の)開口要素は、光チャネルの角度特性(キャリア装置の平面及び開口部の角度に対する光チャネルの光軸の傾斜)を共に決定するように設けることができるとともに/または光電式装置における散乱光を減少させるように設けることができる。光電式装置における散乱光は、例えば、キャリア装置で反射した光で光チャネルを通って装置の測定環境に移動すべきでない光である。対照的に、第2の(上方の)開口要素は、測定環境から装置内へ入る散乱光を減少または防止するように設けることができる。これにより、特に効果的でかつそれにもかかわらず単純に実現可能な方法でビームを二段階で光学的に制限することができる。上述した開口要素の目的は、単に例示的なものである。
【0026】
本発明の他の実施例では、第1の光学素子はレンズ要素であり、第2の光学素子は開口要素であり、第3の光学素子は他のレンズ要素である。特に、2つの光学素子にわたって所望の屈折特性を分散させることができる。
【0027】
上述の形態のさらに他の形態として、3つの光学素子の1つは、レンズ要素とすることができ、3つの光学素子の他の1つは、開口要素とすることができ、3つの光学素子のさらに他の1つは、フィルタ要素とすることができる。この点について、レンズ要素は、例えば、(3つの光学素子の最も上方の)第3の光学素子によって形成可能である。
【0028】
上述の形態以外の他の形態の光学素子も提供することができる。3つ以上の光学素子を特に使用することもできる。層状の配置は、好ましくは少なくとも1つの開口要素と1つのレンズ要素を含む。
【0029】
さらに他の実施例では、第1の光学素子と第2の光学素子は、第3の光学素子とキャリア装置との間に垂直方向で捕捉され、すなわち第1及び第2の光学素子は、これらの光学素子の個々の固定が不要で、かつ装置の構成要素を異なる第1及び第2の光学素子と容易に組み合わせることができるように、少なくとも垂直方向で装置に間接的に固定される。第1及び/または第2の光学素子や他の構成要素、特に第3の光学素子は、この目的で少なくとも部分的に(例えば、対応する周辺部において)保持要素と相補的に設けることができる。
【0030】
さらに他の実施例では、少なくとも3つの光学素子の少なくとも1つは、少なくとも3つの光学素子の他の1つを(部分的または完全に)収容する少なくとも1つの収容リセスを有する。第1及び/または第3の光学素子は、好ましくは第2の光学素子の収容リセスに部分的及び/または形状が一致する方法で収容することができる。これにより、光電式装置は、特にコンパクトに構成することができ、収容リセスに収容される第1及び/または第3の光学素子は、好ましくは第2の光学素子の外側面と整列した位置で終端となる。第1及び/または第3の光学素子の位置は、収容リセスによって第2の光学素子に対して特に信頼性の高い方法で(横方向及び/または垂直方向で)固定されてもよく、対応する光学素子の光学部(レンズ部、開口部、フィルタ部)は、対応する光学素子が収容リセスに収容されたときに光チャネルを形成するように互いに対して正確に整列する。
【0031】
さらに他の実施例では、保持装置は2つの部材によって形成され、下部材と上部材を備える。下部材と上部材は、この点で特に互いに取外し可能に固定され、下部材及び/または上部材は、第1の光学素子、第2の光学素子、キャリア装置、そして、任意に(別に形成されている場合に)第3の光学素子及び装置の他の任意の構成要素の周囲または後方に係合可能となっている。保持装置の下部材は、底部及びここから上向きに突出する複数の連結部を有し得る。保持装置の上部材は、さらに、頂部と、ここから下向きに突出して下部材の連結部と協同する複数の連結部と、を有することができる。下部材及び/または上部材は、少なくともキャリア装置とレンズ要素のための収容空間を形成する実質的にU字形の断面を有することができ、収容空間は装置の製造を容易にする。
【0032】
キャリア装置、第1の光学素子、第2の光学素子とともに任意に(別に形成されている場合に)第3の光学素子は、保持装置の下部材と上部材の間に配置することができ、特に保持装置の下部材と上部材の間で垂直方向に捕捉可能である。よって、光電式装置は、少なくともキャリア装置、第1の光学素子及び第2の光学素子を個々に固定する必要がないので、特に効率的に組み立てることができる。例えば、キャリア装置、第1の光学素子、第2の光学素子、そして(別個に形成されている場合に)任意に第3の光学素子は、下部材に配置することができ、下部材は続いて上部材によって閉じられ、これにより、キャリア装置の上方に配置された構成要素は、キャリア装置に自動的に固定される。
【0033】
保持装置の下部材と上部材は、特にラッチ式連結部によって互いに固定することができる。
【0034】
下部材に第3の光学素子が配置される代わりに、第3の光学素子は、保持装置の上部材によって形成することができる。第3の光学素子(例えば、開口要素)は、例えば、保持装置の上部材と一体に設けられ、光電式装置のコンパクトな構造的形状及び少ない数の構成要素に関して有利である。
【0035】
さらに他の実施例では、保持装置は一部材として設けられており、開いた上部を有し、第3の光学素子は保持装置の上面に配置される。第3の光学素子は、(例えば、開口部は別として)開いた上面を閉じるように構成され得る。第3の光学素子は、特にラッチ式連結部によって保持装置に締結することができる。
【0036】
さらに他の実施例では、少なくとも3つの光学素子の1つは、保持装置から突出するとともに光電式装置を識別する少なくとも1つのコーディング要素を有する機械的なコーディング部を有する。これにより、特に組立時に、異なる種類や形式の光電式装置を互いに識別することができる。これは、例えば、複数の異なる光電式装置を(プリンタ)装置に一緒に組み付ける必要があり、一様なモジュール性により装置の外観に類似して混同しやすい場合に有利である。しかし、コーディング部によって、異なる光電式装置間の混同のおそれは効果的に減少する。
【0037】
本発明は、さらに、上述のいずれかの実施例による複数の異なる光電式装置を含むシステムに関し、複数の異なる光電式装置の第1の光学素子は形状が互いに異なっているとともに/または複数の異なる光電式装置の第2の光学素子は形状が互いに異なっているとともに/または複数の異なる光電式装置の第3の光学素子は形状が互いに異なっている。よって、異なる装置の光学的性質は、同様の要素のモジュール式設計にかかわらず単純な方法で適合させることができる。
【0038】
本発明は、さらに、上述のいずれかの実施例による複数の異なる光電式装置を含むシステムに関し、上述のシステムの代わりにまたはこれに加えて、複数の異なる光電式装置の少なくともいくつかの光学素子が、対応する配置、特に上記垂直方向に沿った対応する順番に関して互いに異なっている。
【0039】
例えば、対応する光電式装置の少なくとも2つの光電式要素は、対応する開口要素を有することができ、異なる光電式装置の少なくともいくつかの開口要素は、他の異なる光電式装置の開口要素とは対応する配置及び/または形状が異なる。
【0040】
異なる光電式装置の少なくとも1つの構成要素は、上述のシステムの1つにおける、特に保持装置及び/またはキャリア装置内で(送信機、受信機及びASIC等の光電要素または電子要素は別として)好ましくは同一に形成される。
【0041】
以下で、図面を参照して本発明を単に例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図5】(a)設置された装置を含まない(b)設置された装置を含む、
図1の装置の設置位置を示す2つの透視図である。
【
図6】(a)設置された装置を含まない(b)組み立てられた装置を含む、
図1の装置の他の設置位置を示す2つの透視図である。
【
図7】光電式装置の概略的な長手方向断面図である。
【
図8】別の光電式装置の概略的な長手方向断面図である。
【
図9】別の光電式装置の概略的な長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図面における同じまたは類似する要素には、同じ参照符号が付されている。
【0044】
光電式装置10は、キャリア装置12、第1の開口要素14の形態の第1の光学素子、レンズ要素16の形態の第2の光学素子及び下部材18と上部材20とを備える保持装置を有する。保持装置の上部材は、この実施例では、光電式装置10の他の開口要素の形態の第3の光学素子を同時に形成する。
図1では、これら全ての構成要素を斜め上方から示しており、すなわち視点が構成要素の上面に対して斜めに位置する。
【0045】
以下で、光電式装置10の個々の構成要素についてより詳しく述べながら、装置10の組立方法を説明する。
【0046】
最初に、キャリア装置12を下部材18内に配置する。挿入されたキャリア装置12を含む下部材18は
図2に示されており、
図2の縮尺は
図1よりも大きくなっている。下部材18は、複数の接続部が上向きに突出する底部22を有する。詳細には、下部材18の長手方向に対して鏡面対称の2つの側部24’,24”が、底部22に対して実質的に垂直に配置された状態で、底部22から離れるように上向きに延在する。底部22は、さらに、端面留め具26及び噛合部28を有する。これにより、U字形に形成された下部材18は、キャリア装置12、開口要素14(第1の光学素子)及びレンズ要素16(第2の光学素子)を収容するように上向きに完全に開口し、かつ部分的に横方向に開口する収容空間30を有する。収容空間30の寸法及び形状は、キャリア装置12、開口要素14及びレンズ要素16の寸法及び形状と断面が実質的に対応する。よって、構成要素12,14,16は、下部材18にぴったりと嵌るように配置可能である。
【0047】
側部24’,24”は、それぞれ2つの矩形の開口部32’,32”を有するとともに、離間された2つのラッチノーズ部34を外面に有する。側部24’,24”は、さらに、中央に配置されたラッチ式留め具36を外側に有する。収容空間30は、噛合部28の領域において中央領域に対して幅が広がっている。
【0048】
キャリア装置12は、種々の装備を備え得るオーバーモールドされたリードフレーム(所謂“プレモールドリードフレーム”)として形成される。
図2に示すように、キャリア装置12を下部材18内に配置することができるように、キャリア装置12の周縁部は底部18の収容空間30と相補的であり、キャリア装置12は、留め具26、噛合部28及び側部24’,24”の間で底部22の平面内に横方向で捕捉される。キャリア装置12の上部は、長手方向で複数のチャンバ38に分割されており、一般に、光電式送信機または光電式受信機を各チャンバ38内に取り付けて電気的に接続することができるようになっている。
図1に示すキャリア装置12は、光電式送信機40、2つの光電式受信機42及びASIC(特定用途向け集積回路 application-specific integrated circuit)44を有する。キャリア装置12を外部のマイクロコントローラ(図示省略)と接続するために、キャリア装置12から離れるようにキャリア装置12の幅が狭い側から一様の弓形に延在する複数の電気コネクタ46が設けられている。キャリア装置12が下部材18に配置されると、コネクタ46は下部材18の噛合部28と弾性的に係合し、プラグ接続式電気コネクタ(図示省略)を差込むための接触ゾーンが形成される(
図2参照)。
【0049】
キャリア装置12が下部材18に配置された後、開口要素14(第1の光学素子)が下部材18の収容空間30内に配置される。この点に関して、開口要素14の対応する横方向突出部48が、側部24’,24”の対応する開口部32’,32”と係合する(
図1,
図2参照)。さらに、第1の開口要素14の幅が広い領域50が、噛合部28の領域で幅が広くなった収容空間30と係合する。これにより、第1の開口要素14は、特に装置の長手方向に移動不能となり、この点で下部材18に固定される。
図1の第1の開口要素14は、さらに3つの異なる形状の開口部52a,52b,52cを有し、これらの開口部は、第1の開口要素14の長手方向で互いの後方に配置され、実質的に円錐台状に境界付けられた開口部によって形成される。
【0050】
次に、レンズ要素16(第2の光学素子)が下部材18の収容空間30内に配置され、対応する横方向の突出部54’,54”が側部24’,24”の対応する開口部32’,32”と係合する。さらに、レンズ要素16の幅が広くなった領域56が、噛合部28の領域で幅が広くなった収容空間30の領域と係合する。これにより、レンズ要素16は、底部22と平行な平面内で長手方向及び横方向で下部材18に固定される。
【0051】
最後に保持装置の上部材20が、ラッチ式連結部によって下部材18に締結され、この目的で上部材20には、側部24’,24”のラッチノーズ部34のうちの1つにそれぞれラッチされる4つの下向きに突出するラッチタブ58が設けられている。この状態で、キャリア装置12、開口要素14及びレンズ要素16は、上部材20と下部材18との間に完全に捕捉されて互いに固定される。従って、保持装置の下部材18、キャリア要素12、開口要素14、レンズ要素16及び保持装置の上部材20は、垂直方向で互いの後方に配置される。
【0052】
このように組み立てられた装置10は、
図3に透視図として示されている。上部材20(装置10の他の開口要素または第3の光学素子)は、2つの開口部52’,52”を有する(
図1,
図3参照)。さらに、上部材20は、レンズ要素16と整列した位置で終端となって装置10の実質的に滑らかな上面を形成するように、レンズ要素16の相補的な係合部90と係合する(
図1参照)。レンズ要素16は、さらに固定され、装置10の寸法は小さく維持される。
【0053】
光電式装置10の光学的性質は、第1の開口要素14の3つの開口部52a,52b,52cと他の開口要素または上部材20の2つの開口部52’,52”との組み合わせによって決定され、発信または受信されたビームのそれぞれの断面の幾何学的な境界が生じるため、望ましくない干渉の影響が抑制される。
【0054】
装置10は、細い実質的に平行六面体のベース本体を有し、装置の筐体は互いに整列した位置で終端となる面によって特徴づけられている。特にラッチタブ58は、側部24’,24”の外側面と整列した位置で終端となる。
【0055】
実質的にプレート状のレンズ要素16(装置10の第2の光学素子)は、そうでなければプレート状であるレンズ要素16から離れるように長手方向に延在する一体形成された機械的コーディング部60を有する(
図1参照)。リング状のコーディング部60は、レンズ要素16の長手方向で互いの後方に配置された3つのレンズ部68の延長面から垂直に突出する中空のシリンダ64を備える。レンズ要素16のレンズ部68は、ここに示す実施例ではビーム成形特性を有し、例えば、凸レンズ、両凸レンズまたはフレネルレンズとすることができる。
【0056】
レンズ要素16の他の詳細は、
図4に示されており、ここでは、レンズ要素16の上面の平面図が示されている。
図4のレンズ要素16は、コーディング部60における第1のコーディング要素62及び第2のコーディング要素63を有する。第1のコーディング要素62は、コーディング部60の中空シリンダ64の外周に設けられた矩形のリセスとして形成され、第1のコーティング要素62は、中空シリンダ64のシリンダジャケットに矩形の溝が形成されるように、シリンダ64の軸と平行に(
図4の紙面に垂直に)延在する。リングディスク66が、中空シリンダ64内で中空シリンダ64の長手方向軸に垂直に延在する。第2のコーディング要素63は、リングディスク66の内周に設けられ、実質的に半円形のリセスとして形成されて中空シリンダ64の軸に平行な円形の溝として構成される。
【0057】
第1のコーディング要素62は、下に位置する装置10の種類を識別するために単に例示的に示されている。装置の種類は、特に、レンズ要素16、上部材20及び/または第1の開口要素14の対応する形態やキャリア装置が備える光電式送信機40及び受信機42によって特徴づけられる。これに関して、レンズ要素16のレンズ部68の位置及び形態は特に異なり得る。第2のコーディング要素63は、キャリア装置12をマイクロコントローラと接続するために設けられたバスについて装置10を識別するために設けられる。
【0058】
このリストは、単に例示的なものである。原則的に、コーディング要素62,63は、自由に特定可能な特徴について光電式装置10を識別することができる。コーディング要素62,63は、形状に加えて中空シリンダ64の長手方向軸を中心とする角度位置によってのみ定められ、対応するコーディング要素62,63の角度位置によって、対応するコーディング要素62,63に関連する特徴に関して装置10の明確な識別が可能となる。
【0059】
図5には、本発明と関連する光電式装置10の設置環境とも呼ばれる光電式装置10の設置位置の2つの透視図が示されている。
図5(a)では、設置位置はそのまま、すなわち対応する装置10が設置されていない状態で示されている。設置位置は、矩形の開口部72を有するベースプレート70の断面によって特徴づけられ、断面の長手方向内側端部に2つの互いに反対側に配置されたラッチアーム74’,74”が設けられる。開口部72の狭い側に隣接して、ベースプレート70の平面に垂直に延在するとともに中央開口部78を有するシリンダ76が形成されている。開口部78は、ねじ用の図示省略の雌ねじを有し得る。
【0060】
シリンダ76は、第1のデコーディング要素80及び第2のデコーディング要素81を有する。第1のデコーディング要素80はT字形であり、シリンダ76のジャケット面から径方向に離間されている。デコーディング要素80の高さは、シリンダ76の高さよりも低い。第2のデコーディング要素81は、シリンダ76の端面に形成され、部分的な円筒形状を有する。シリンダ76及びデコーディング要素80,81は、合わせて装置10のコーディング部60のデコーディング部83を構成する。デコーディング部83は、ベースプレート70と一体形成される。シリンダ76及びデコーディング要素80,81の端部は、装置10の設置を容易にする面取部をそれぞれ有する。
【0061】
図5(a)に示される設置位置に設置される装置10は、装置10の上面がベースプレート70の開口部72に面する
図5(b)に示す位置となるように、装置10の上面が前方に位置する状態で設置される。デコーディング部83によって、デコーディング部83と相補的な形状を有し、かつ形状の一致によって対応する設置位置における装置10の設置を明確に定めるコーディング部を有する装置10のみが設置可能となる。組立状態では、第1のコーディング要素62が第1のデコーディング要素80と係合する。そして、第2のコーディング要素63は、第2のデコーディング要素81と部分的に係合する。さらに、ラッチアーム74’,74”は、装置10がベースプレート70にしっかりと固定されるように、下部材18のラッチ式留め具36にラッチされる。
【0062】
装置10の別の設置位置が
図6に示されており、
図6(b)では、装置10は
図5(b)と違って逆向きに、すなわち放射を送信または受信する装置10の上面がベースプレート70から離れて設置されている。従って、装置10は、実質的に同様に形成された設置位置に異なる方法で柔軟に設置可能であり、このために単にコーディング要素62,63の位置とデコーディング要素80,81の位置を調整すればよい(
図5(a),
図6(a)参照)。
【0063】
コーディング部60のベース形状(特にリングディスク66を備える中空シリンダ64)は、垂直方向に垂直な光電式装置10の中央面に対して対称に設けられることが好ましい。さらに、光電式装置10を設置環境に締結する締結装置(特にベースプレート70のラッチアーム74’,74”のための保持装置のラッチ式留め具36)が、垂直方向に垂直な光電式装置10の中央面に対して対称に設けられていることが好ましい。これにより、
図5,
図6を参照して説明したように、装置10は、設置環境において上面の2つの異なるアライメントの1つで選択的に特に容易に締結可能となる。
【0064】
図7は、本発明による他の例示的な光電式装置10の長手方向断面図である。サンドイッチ型の設計は、
図1に示す光電式装置10の設計に対応し、キャリア装置12、第1の開口要素14の形態の第1の光学素子、レンズ要素16の形態の第2の光学素子および開口部52’を有する他の開口要素20の形態の第3の光学素子が
図7に部分的に示されている。キャリア装置12、第1の開口要素14、レンズ要素16及び他の開口要素20(第3の光学素子)は、保持装置(図示省略)によって互いに対して保持され、この保持装置は、一部材として形成することができ、別の観点から言えば実質的に
図1の下部材のように設けることができる。光電式の送信機40が、キャリア装置12のチャンバ38a内に設けられている。光電式の受信機42が、隣接するチャンバ38b内に儲けられている。光チャネル(optical channel)84aが送信機40の上方に延びており、その軸Kが送信機40を通ってキャリア装置12の延長面に実質的に垂直に延びている。光チャネル84bが、受信機42の上方に延びており、その軸Lが受信機42を通ってキャリア装置12の延長面に対して斜めに延びている。
【0065】
他の開口要素20の開口部52’は、水平方向で両方の光チャネル84a,84b上に延びて、横方向、すなわち軸K,Lの延長線上から大きく異なる方向からレンズ要素16に入力される望ましくない放射を減少させる。光チャネル84a,84bは、それぞれレンズ要素16の平面内にレンズ部68a,68bを有する。対応する実質的に円錐台状の開口部52a,52bが、レンズ部68a,68bの下で第1の開口要素14に設けられる。一方の開口部52は、第1の開口要素14に設けられた実質的に回転対称な円錐台状開口部によって形成される。他方の開口部52bは、第1の開口要素14に設けられた変形した(sheared)円錐台状の開口部によって形成され、光チャネル84bの軸Lは、キャリア装置12に対して傾いている。光学的性質は、互いに異なる垂直位置に設けられた第1の開口要素14及び第2の開口要素20によって特に効果的に得られる。上部材20を通して横方向から光チャネル84a,84bに入る散乱光の入射は、第1の開口要素14の断面制限特性から独立して決定することができる。よって、光チャネル84の所望の角度特性を実現するために、例えば、第1の開口要素14を交換するだけで十分であり得る。
【0066】
図8には、
図7と同様に構成された別の光電式装置10の長手方向の図が示されている。
図7の装置とは異なり、2つのプラノパラレルな(planoparallel)フィルタ部94を有するフィルタ要素92の形態の第3の光学素子が、第1の開口要素14(第1の光学素子)の上方でかつレンズ要素16(第2の開口要素)の上方に設けられている。フィルタ部94は、スペクトルフィルタ特性(例えば、赤外バンドパス)を有し、フィルタ部94aは第1の光チャネル84aと一致し、フィルタ部94bは第2の光チャネル84bと一致する。フィルタ要素92は、二部材からなる保持装置の上部材として、または単一部材からなる保持装置(例えば、
図1における下部材18)から独立して構成することができ、フィルタ要素92は単一部材からなる保持装置(
図8では保持装置は省略)の端部の窓(end window)を形成し得る。
【0067】
さらに別の可能な実施例が、
図9に示されている。ここでは、第1の光学素子は、2つのレンズ部68’a,68’bを有するレンズ要素16’を含む。その上に配置された第2の光学素子は、
図7,
図8と同様に形成された2つの開口部52a,52bを有する開口要素14を含む。最後に、第3の光学素子は、レンズ部68’a,68’bよりも薄い2つのレンズ部68”a,68”bを有する他のレンズ部16”を含む。レンズ要素16”は、二部材からなる保持装置の上部材または単一部材からなる保持要素から独立して構成することができる(保持装置は
図9では省略)。レンズ要素16”が独立して形成されている場合には、ラッチ式連結部によって保持要素に締結することができ、同時に装置の上面を形成し得る。
【0068】
説明した実施例に関して、キャリア装置12は、特に異なる数の光電式送信機40及び/または光電式受信機42を備え得ることに留意されたい。それぞれの光電式装置10のモジュール式構造、そして特に個々の構成要素(開口要素14,20及びフィルタ要素92またはレンズ要素16)を交換することによって、送信機40及び受信機43の数に対応する開口部52、レンズ部68またはフィルタ部94を設けることができることにより、異なる用途に容易に適応可能である。
【符号の説明】
【0069】
10…光電式装置
12…キャリア装置
14…第1の開口要素
16…レンズ要素
18…下部材
20…上部材または第2の開口要素
22…底部
24…側部
26…留め具
28…噛合部
30…収容空間
32…開口部
34…ラッチノーズ
36…ラッチ式留め具
38…チャンバ
40…送信機
42…受信機
44…ASIC
46…コネクタ
48…突出部
50…領域
52…開口部
54…突出部
56…領域
58…ラッチタブ
60…コーディング部
62…第1のコーディング要素
63…第2のコーディング要素
64…中空シリンダ
66…リングディスク
68…レンズ部
70…ベースプレート
72…開口部
74…ラッチアーム
76…シリンダ
78…開口部
80…第1のデコーディング要素
81…第2のデコーディング要素
83…デコーティング部
84…光チャネル
90…係合部
92…フィルタ要素
94…フィルタ部
K…軸
L…軸