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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-01
(45)【発行日】2022-11-10
(54)【発明の名称】低温液化ガスの気化装置
(51)【国際特許分類】
   F17C 9/02 20060101AFI20221102BHJP
【FI】
F17C9/02
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019008453
(22)【出願日】2019-01-22
(62)【分割の表示】P 2015014232の分割
【原出願日】2015-01-28
(65)【公開番号】P2019090537
(43)【公開日】2019-06-13
【審査請求日】2019-01-22
【審判番号】
【審判請求日】2021-05-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000183369
【氏名又は名称】住友精密工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横山 輝明
(72)【発明者】
【氏名】池田 誠道
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 淳司
【合議体】
【審判長】一ノ瀬 覚
【審判官】内田 博之
【審判官】八木 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-173689(JP,A)
【文献】特開2012-2311(JP,A)
【文献】米国特許第4488537(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水槽内に浸漬されかつ、周面に多数の気泡噴出孔が形成された複数のスパージパイプを有すると共に、高温のガスを、前記気泡噴出孔を通じて水中に噴出するよう構成された気泡噴出機構と、
前記水槽内における前記気泡噴出機構の上側に配置されかつ、前記スパージパイプから噴出された気泡による水の攪拌と加熱とにより、伝熱管の内部を流れる低温液化ガスを気化するように構成された熱交換器と、を備え、
複数の前記スパージパイプはそれぞれ、前記高温のガスの流入端である基端から所定方向に延びて配設されると共に、その先端は閉塞しており、
前記スパージパイプの周面に形成された前記気泡噴出孔の少なくとも一部は、前記スパージパイプの下半分に設けられることによって、その孔軸が水平よりも下向きとなるように設けられた迂回気泡噴出孔であり、
前記迂回気泡噴出孔は、前記スパージパイプの下端を中央とした周方向の両側それぞれに形成されていると共に、前記迂回気泡噴出孔は、前記スパージパイプの横断面において、その孔軸同士の成す角度が、90°以内となる角度範囲に設けられている低温液化ガスの気化装置。
【請求項2】
請求項1に記載の低温液化ガスの気化装置において、
前記迂回気泡噴出孔は、前記スパージパイプの下面に設けられている低温液化ガスの気化装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の低温液化ガスの気化装置において、
前記迂回気泡噴出孔は、前記スパージパイプの基端部に設けられている低温液化ガスの気化装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の低温液化ガスの気化装置において、
前記迂回気泡噴出孔は、前記スパージパイプの基端部から先端部までに亘って設けられている低温液化ガスの気化装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の低温液化ガスの気化装置において、
前記スパージパイプの基端部に設けられた前記迂回気泡噴出孔の孔軸は、鉛直上方に対する角度が、前記スパージパイプの先端部に設けられた前記気泡噴出孔の孔軸の前記角度よりも大である低温液化ガスの気化装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の低温液化ガスの気化装置において、
前記スパージパイプの下側には、冷水域が設けられている低温液化ガスの気化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示する技術は、低温液化ガスの気化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、低温液化ガスの気化装置の1つとして、水中燃焼式気化装置(Submerged Combustion Vaporizer)が記載されている。水中燃焼式気化装置は、液化天然ガスといった低温液化ガスの気化装置の一つであり、水槽内に浸漬されかつ、バーナーからの燃焼ガスを、周面に形成された気泡噴出孔を通じて水中に噴出する複数のスパージパイプと、水槽内におけるスパージパイプの上側に配置された伝熱管を有する熱交換器と、を備えている。水中に気泡として噴出された燃焼ガスが水槽内の水を撹拌しつつ、伝熱管内を流れる低温液化ガスを加熱する。このことによって、低温液化ガスを気化させる。
【0003】
また、水中燃焼式気化装置と同様に、水槽内に配設したスパージパイプから高温のガスを気泡として噴出することによって、水槽内に浸漬した伝熱管内を流れる低温液化ガスを気化する気化装置として、スチームエジェクタ式気化装置等の、中間熱媒体式気化装置も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-2734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述の通り、水槽内に設置した各スパージパイプには、その周面に気泡噴出孔が形成されており、その気泡噴出孔は、スパージパイプの上面部分に設けられることが一般的である。この気泡噴出孔を通じて水中に噴出された気泡は、そのまま上昇して、熱交換器の伝熱管に到達する。水槽内に噴出されるガスの温度は、1000℃近いのに対し、伝熱管内を流れる低温液化ガスの温度は、-160℃程度である。水中に噴出された気泡、及び、それによって加熱された水は、スパージパイプから噴出された勢いのまま上昇をすることで、気泡及びその周囲の水は伝熱管に勢いよく衝突し、伝熱管における熱伝達が強まる。また、スパージパイプから噴出した気泡が、温度が低下しないうちに伝熱管に直ぐに到達して、伝熱管の外側を加熱するようになる。そのため、伝熱管の内外の温度差が大きくなって、伝熱管に作用する熱応力が大きくなる。
【0006】
水中燃焼式気化装置や中間熱媒体式気化装置は、急激な需要増加をカバーするためのエマージェンシー用としても使用されるものであり、起動と停止とが繰り返される場合がある。そのため、伝熱管の内外の温度差が大きくなることは、伝熱管の熱疲労を招く。
【0007】
ここに開示する技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、低温液化ガスの気化装置において、伝熱管の熱応力及び熱疲労を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ここに開示する技術は、低温液化ガスの気化装置に係り、この気化装置は、水槽内に浸漬されかつ、周面に多数の気泡噴出孔が形成された複数のスパージパイプを有すると共に、高温のガスを、前記気泡噴出孔を通じて水中に噴出するよう構成された気泡噴出機構と、前記水槽内における前記気泡噴出機構の上側に配置されかつ、前記スパージパイプから噴出された気泡による水の攪拌と加熱とにより、伝熱管の内部を流れる低温液化ガスを気化するように構成された熱交換器と、を備える。
【0009】
そして、複数の前記スパージパイプはそれぞれ、前記高温のガスの流入端である基端から所定方向に延びて配設されると共に、その先端は閉塞しており、前記スパージパイプの周面に形成された前記気泡噴出孔の少なくとも一部は、前記スパージパイプの下半分に設けられることによって、その孔軸が水平よりも下向きとなるように設けられた迂回気泡噴出孔であり、
前記迂回気泡噴出孔は、前記スパージパイプの下端を中央とした周方向の両側それぞれに形成されていると共に、前記迂回気泡噴出孔は、前記スパージパイプの横断面において、その孔軸同士の成す角度が、90°以内となる角度範囲に設けられている。
【0010】
この構成によると、水槽内では、スパージパイプを有する気泡噴出機構が下側に、伝熱管を有する熱交換器が上側に配置されている。スパージパイプから噴出した高温のガスの気泡は上昇をして、水槽内の水を攪拌すると共に、気泡によって加熱された水と共に、伝熱管内を流れる低温液化ガスを加熱する。こうして、低温液化ガスが気化する。
【0011】
前記の構成では、スパージパイプの少なくとも一部の気泡噴出孔が、スパージパイプの下半分に設けられた迂回気泡噴出孔である。迂回気泡噴出孔から噴出された気泡は、迂回して熱交換器の伝熱管に到達する。気泡が迂回する、とは、スパージパイプの気泡噴出孔から水中に噴出した気泡が、噴出した勢いのまま上昇をして、直ぐに熱交換器の伝熱管に到達するのではなく、遠回りした上で、熱交換器の伝熱管に到達することを意味する。迂回することによって、気泡は、噴出した勢いのまま上昇をせず、勢いが弱まった後、主に浮力によって上昇をして伝熱管に到達する。具体的に、迂回気泡噴出孔から噴出された気泡は、水槽内を下向きに移動すると共に、その噴出の勢いがほとんど無くなった後に、上昇に転じて伝熱管に到達する。こうして、気泡及びその周囲の水が、伝熱管に勢いよく衝突することが回避されるため、伝熱管における熱伝達が、その分、弱まる。
【0012】
また、迂回をすることにより、気泡は、スパージパイプから水中に噴出した後、そのまま上昇をして、直ぐに熱交換器の伝熱管に到達する距離よりも長い距離を移動して、伝熱管に到達する。または、直ぐに伝熱管に到達するよりも長い時間をかけて伝熱管に到達する。迂回している間に、気泡と水槽内の水との間で熱交換が行われるため、気泡の温度が低下する。気泡が伝熱管に到達したときの気泡の温度は、気泡が迂回せずに伝熱管に到達した場合よりも低くなる。
【0013】
特にスパージパイプの下端近くに気泡噴出孔を形成すると、孔軸がほぼ真下を向くようになるから、水槽内を下向きに移動し、上昇に転じた後、スパージパイプを避けながら上昇をして、伝熱管に到達する。この場合は、気泡の迂回距離がさらに長くなる、又は、伝熱管に到達するまでの時間がさらに長くなるから、伝熱管に到達したときの気泡の温度は、さらに低くなる。
【0014】
こうして、伝熱管の内外の温度差が小さくなって、伝熱管に作用する熱応力が抑制される。また、伝熱管の熱疲労も抑制される。
【0015】
気泡噴出孔の少なくとも一部を、スパージパイプの下半分に設けることによって、伝熱管の熱応力の抑制、及び、熱疲労の抑制がそれぞれ、有効に行われる。
【0016】
前記迂回気泡噴出孔は、前記スパージパイプの下面に設けられている、としてもよい。
【0017】
迂回気泡噴出孔をスパージパイプの下面に設けることによって、伝熱管の熱応力の抑制、及び、熱疲労の抑制がそれぞれ、有効に行われる。
【0018】
前記迂回気泡噴出孔は、前記スパージパイプの基端部に設けられている、としてもよい。
【0019】
スパージパイプの基端部は、先端部と比較して気泡の噴出量が相対的に多くなりがちであるが、スパージパイプの基端部に設ける気泡噴出孔を迂回気泡噴出孔とすることによって、前述の通り、スパージパイプの基端部の上方に位置する伝熱管に、気泡やその周囲の水が勢いよく衝突することが無くなり、伝熱管の熱応力の抑制、及び、熱疲労の抑制が図られる。
【0020】
ここで、スパージパイプの基端部は、所定方向に延びるスパージパイプにおいて、気泡噴出孔が形成されている部分を前記所定方向に2等分したときの基端側の部分における少なくとも一部としてもよく、また、スパージパイプの先端部は、気泡噴出孔が形成されている部分を2等分したときの先端側の部分における少なくとも一部としてもよい。
【0021】
前記迂回気泡噴出孔は、前記スパージパイプの基端部から先端部までに亘って設けられている、としてもよい。
【0022】
こうすることで、スパージパイプの基端部から先端部までの全体に亘って、その上方に位置する伝熱管に、気泡やその周囲の水が勢いよく衝突することが無くなり、伝熱管の熱応力の抑制、及び、熱疲労の抑制が図られる。
【0023】
また、スパージパイプ内に高温のガスが供給されたときに、高温のガスは、スパージパイプ内の上部に溜まることになる。気泡噴出孔が、スパージパイプの上面部分に設けられている場合、スパージパイプ内の基端部から、上部に溜まった高温のガスが、次々と噴出するようになる。結果として、スパージパイプの先端部にまで高温のガスが行き渡り難くなる。つまり、スパージパイプの基端部は、気泡の噴出量が多く、先端部は、気泡の噴出量が少なくなって、気泡の噴出量が、スパージパイプの長手方向に不均等になりやすい。
【0024】
これに対し、スパージパイプの基端部から先端部までに亘って、スパージパイプの下半分に迂回気泡噴出孔を設ける構成では、スパージパイプ内の上部に高温のガスが溜まっても、スパージパイプの下側に形成された迂回気泡噴出孔から高温のガスが噴出せず、スパージパイプの先端から基端までの上部全体にガスが溜まった後、スパージパイプの先端から基端までの全体に亘って一斉に、下向きの迂回気泡噴出孔を通じて高温のガスが噴出されるようになる。つまり、スパージパイプの基端部から先端部までに亘って迂回気泡噴出孔を設ける構成は、スパージパイプの長手方向に、気泡噴出量の均等化を図ることが可能である。
【0025】
そうしてスパージパイプの長手方向に、気泡噴出量の均等化が図られる結果として、スパージパイプの基端部の上方に位置する伝熱管の熱応力や熱疲労を抑制することも可能になる。
【0026】
前記スパージパイプの基端部に設けられた前記迂回気泡噴出孔の孔軸は、鉛直上方に対する角度が、前記スパージパイプの先端部に設けられた前記気泡噴出孔の孔軸の前記角度よりも大である、としてもよい。
【0027】
ここで、スパージパイプの先端部に設けられた気泡噴出孔は、その孔軸が水平よりも下向きの迂回気泡噴出孔であってもよいし、孔軸が水平又は水平よりも上向きの気泡噴出孔であってもよい。
【0028】
前記の構成によると、スパージパイプの基端部に設けられた迂回気泡噴出孔の孔軸は、鉛直上方に対する角度が大きいため、当該迂回気泡噴出孔から噴出した気泡は、下向きに大きく移動をした後に上昇し、伝熱管に到達する。これにより、気泡の迂回距離がより一層長くなるため、伝熱管に到達したときの気泡の温度がさらに低くなると共に、気泡及びその周囲の水が、伝熱管に勢いよく衝突することが回避される。
【0029】
前記スパージパイプの下側には、冷水域が設けられている、としてもよい。こうすることで、孔軸が水平よりも下向きとなった迂回気泡噴出孔を通じて、水槽内に下向きに噴出した気泡は、スパージパイプの下側に設けられた冷水域において熱交換が促進される。その結果、伝熱管に到達したときの気泡の温度をさらに低くすることが可能になる。
【発明の効果】
【0030】
以上説明したように、前記低温液化ガスの気化装置によると、スパージパイプから噴出された気泡を、迂回させつつ、熱交換器の伝熱管に到達させるようにすることで、気泡及びその周囲の水が、伝熱管に勢いよく衝突することが回避される上に、気泡と水槽内の水との熱交換が促進されて、伝熱管に到達したときの気泡の温度を低くすることが可能になる。その結果、伝熱管の内外の温度差が小さくなり、熱応力が抑制されると共に、伝熱管の熱疲労が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】水中燃焼式気化装置の全体構成を示す概念図である。
図2】水槽内に配設された熱交換器と気泡噴出機構とを示す正面図である。
図3図2に示す熱交換器と気泡噴出機構との平面図である。
図4図2に示す熱交換器と気泡噴出機構との側面図である。
図5図2に示す気泡噴出機構のスパージパイプを示す底面図である。
図6図2に示す気泡噴出機構の断面説明図である。
図7】変形例に係るスパージパイプを示す底面図である。
図8】参考形態に係る熱交換器と気泡噴出機構とを示す平面図である。
図9図8に示す熱交換器と気泡噴出機構との側面図である。
図10図8に示す気泡噴出機構の断面説明図である。
図11】変形例に係る熱交換器と気泡噴出機構との側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、低温液化ガスの気化装置の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、水中燃焼式気化装置1全体の概略を示している。図2図4はそれぞれ、水槽11内に浸漬された熱交換器32及び気泡噴出機構100の構成を示している。水中燃焼式気化装置1は、低温液化ガスの気化装置の1つであり、ここでは、液化天然ガス(LNG)を気化する。
【0033】
水中燃焼式気化装置1は、例えば直方体状の水槽11中に浸漬されると共に、LNGの流路となる多数の伝熱管31が多段に曲げ成形されて構成された熱交換器32を備えている。各伝熱管31の一端は、LNGの入口となるLNG流入管12bに連通し、他端が、気化した天然ガス(NG)を排出させるNG排出管12cに連通している。図1では、伝熱管31は簡易化して図示しているが、実際には、図2図4に示すように、多数の伝熱管31がY方向に並んで配置されており、各伝熱管31は、LNG流入管12bに接続されるヘッダタンク33と、NG排出管12cに接続されるヘッダタンク34とのそれぞれに連通している。伝熱管31の本数やその配置は、水中燃焼式気化装置1の性能に応じて、適宜決定される。
【0034】
水槽11は、例えば矩形板状の天板11aで覆われている。この天板11aは、作業員が歩くこともでき、その所定箇所に円筒状のダウンカマー13が水槽11内に浸漬するように配設されている。
【0035】
ダウンカマー13の上端には、図外の燃料供給源から燃料供給管6を介して供給された燃料ガスと、ブロワー14を通じて供給された空気と、を燃焼させるバーナー2が設けられている。
【0036】
水槽11の底部には、ダウンカマー13に連通すると共に、バーナー2の燃焼ガスが噴出する多数の気泡噴出孔(尚、図1等では図示を省略する)が形成されたスパージパイプ15が配置されている。このスパージパイプ15も、図1では1本しか描いていないが、実際には、図2図4に示すように、各々がY方向に延びると共に、X方向に多数並べられており、熱交換器32の全体に燃焼ガスを含む気泡Bが供給されるようになっている。スパージパイプ15の本数やその配置は特に限定されない。複数のスパージパイプ15によって、燃焼ガスを気泡Bとして、水槽11内に噴出する気泡噴出機構100が構成されている。
【0037】
ダウンカマー13と各スパージパイプ15との間には、マニホールド17が介設している。マニホールド17は、図4に示すように、ダウンカマー13の下端部に接続されていると共に、図3に示すように、X方向に延びて配設されている。尚、図1図4とでは、マニホールド17の配置及びスパージパイプ15の向きが逆転している。各スパージパイプ15の基端は、マニホールド17に連通しており、マニホールド17は、バーナー2からの燃焼ガスを、各スパージパイプ15に分配する機能を有している。尚、各スパージパイプ15の先端は閉塞している。
【0038】
水槽11の天板11aには、水槽11内に噴出された燃焼ガスを排気する煙突状のスタック16が設けられ、その上端は大気に開放されている。
【0039】
水中燃焼式気化装置1は、バーナー2の燃焼ガスをスパージパイプ15の気泡噴出孔を通じて水槽11内に気泡Bとして噴出させることによって、水槽11内の水を撹拌しつつ、伝熱管31内を流れるLNGを加熱する。このことによって、LNGを気化させてNGとし、これをNG排出管12cの出口から送り出すように構成されている。水中燃焼式気化装置1は、燃焼ガスを気泡Bとして水槽11内に噴出して水槽11内の水を撹拌すること、及び、スタック16から排出する排気ガスの温度を、水槽11内の温水温度とほぼ同等に低くすることにより、燃焼ガス中の燃焼生成水を100%再凝縮させ、その潜熱を全て温水に与えることが可能であることから熱効率が極めて高いという特徴がある。
【0040】
次に、スパージパイプ15を有する気泡噴出機構100の構成について、図面を参照しながら詳細に説明をする。このような水中燃焼式気化装置1では、水槽11内に噴出される燃焼ガスの温度は、1000℃近いのに対し、伝熱管31内を流れるLNGの温度は、-160℃程度である。このため、伝熱管31の内外の温度差が大きくなり、伝熱管31に作用する熱応力が大きくなる。また、水中燃焼式気化装置1は、急激な需要増加をカバーするためのエマージェンシー用としても使用されるものであり、その起動と停止とが繰り返される場合もある。伝熱管31の内外の温度差が大きいことによって、伝熱管31の熱疲労を招く。
【0041】
そこで、この水中燃焼式気化装置1では、熱交換器32の伝熱管31の熱応力及び熱疲労が抑制されるように気泡噴出機構100が構成されている。図5は、スパージパイプ15の底面図である。スパージパイプ15には、前述の通り、その周面に、多数の気泡噴出孔151が形成されている。気泡噴出孔151は、スパージパイプ15の閉塞した先端側(図5の左側)から、マニホールド17に接続される基端側(図5の右側)までの長手方向の広い範囲に亘って形成されている。気泡噴出孔151は、図例では、スパージパイプ15の長手方向に延びる孔列が、周方向に5列をなすように形成されていると共に、隣り合う孔列の気泡噴出孔151は、菱形格子状となるように配置されている。尚、気泡噴出孔151の配置は、菱形格子状に限らない。気泡噴出孔151は、例えば矩形格子状に配置してもよい。また、その他の構成も、適宜採用することが可能である。気泡噴出孔151の径は、全て同じである。
【0042】
図6は、図5のVI-VI断面を示している。スパージパイプ15は、断面円形状であり、気泡噴出孔151は、水槽11内において、スパージパイプ15の下面部分に設けられている。各気泡噴出孔151は、その孔軸が円の中心を通るように、スパージパイプ15を貫通して設けられている。前述したように、周方向に5列をなすよう形成されている気泡噴出孔151(図6に示す断面には3列分が描かれている)は、スパージパイプ15の下端を中央とした周方向の両側それぞれにおいて、所定の角度範囲内に形成されることになる。図例では、気泡噴出孔151の孔軸の成す角度θは、60°に設定されている。各気泡噴出孔151の孔軸の鉛直上方に対する角度は、180°±30°の範囲に含まれる。これにより、スパージパイプ15に形成されている気泡噴出孔151の孔軸は全て、図6に破線で示す水平線よりも下向きとなるように設定され、各気泡噴出孔151を通じて噴出される気泡Bは、水平よりも下向きに、水中に噴出される。これらの気泡噴出孔151は、迂回気泡噴出孔に相当し、このスパージパイプ15には、迂回気泡噴出孔が、スパージパイプ15の基端部から先端部までに亘って設けられることになる。
【0043】
図6に矢印で示すように、スパージパイプ15の下面部分に設けた気泡噴出孔151から下向きに、水中に噴出された気泡Bは、一旦、下向きに移動をし、噴射の勢いが弱まった後、主に浮力によって上昇に転じる。そうして、気泡Bは、図6においては仮想的に示すが、スパージパイプ15の上側に配設された伝熱管31に到達するようになる。特にスパージパイプ15の下端付近に設けた気泡噴出孔151から噴出される気泡Bは、ほぼ真下に移動をした後、上昇に転じるが、その気泡Bは、スパージパイプ15を迂回しながら上昇をして、伝熱管31に到達するようになる。このように、気泡噴出孔151の孔軸を下向きにすることによって、気泡Bは、噴出した勢いのまま上昇をするのではなく、迂回をして伝熱管31に到達するようになり、気泡及びその周囲の水が、伝熱管31に勢いよく衝突することが回避される。また、その迂回の分だけ、気泡Bは、水槽11内を移動する距離が長くなる。または、伝熱管31に到達するまでの時間が長くなる。その間に、気泡Bと水槽11内の水との間で熱交換が行われるから、伝熱管31に到達する際の、気泡Bの温度が低くなる。
【0044】
また、図2及び図4に示すように、水槽11内において、スパージパイプ15と水槽11の底との間には、比較的広い間隔が設けられており、このスパージパイプ15と水槽11の底との間は、水温が相対的に低い冷水域110となる。下向きに噴出した気泡Bは、この冷水域110において熱交換が促進される結果、その温度がさらに低下する。こうして、気泡Bが迂回をして伝熱管31に到達したときの温度は、気泡Bが迂回せずに伝熱管31に到達したときの温度よりも低くなる。
【0045】
前述したように、スパージパイプ15から噴出される燃焼ガスの温度と、伝熱管31内を流れるLNGの温度との差は大きく、スパージパイプ15から噴出された気泡Bは、スパージパイプ15から噴出した勢いのまま上昇をして、高温のまま、周囲の水と共に伝熱管31に衝突した場合には、伝熱管31における熱伝達が強まると共に、伝熱管31の内外の温度差が大きくなるのに対し、前述の気泡噴出機構100は、気泡Bが迂回して伝熱管31に到達するように構成されているため、気泡及びその周囲の水が伝熱管に勢いよく衝突することが防止されると共に、伝熱管31に到達した際の気泡Bの温度を低くすることが可能になる。その結果、伝熱管31の内外の温度差が小さくなって、伝熱管31に作用する熱応力が抑制される。また、起動と停止とが繰り返される水中燃焼式気化装置1においては、伝熱管31の内外の温度差を小さくすることにより、伝熱管31の熱疲労も抑制することが可能になる。
【0046】
スパージパイプ15内に燃焼ガスが供給されるときには、図6に仮想的に水面を示すように、スパージパイプ15内の上部に、燃焼ガスが溜まる。この気泡噴出機構100において、気泡噴出孔151は、スパージパイプ15の下面部分に形成されており、上面部分には形成されていない。このため、スパージパイプ15の長手方向の全域に亘って、その上部に燃焼ガスが溜まった後で、その長手方向の全域の気泡噴出孔151から一斉に、燃焼ガスが気泡Bとして噴出するようになる。これは、スパージパイプ15の長手方向に、気泡噴出量を均等化することになる。つまり、気泡噴出孔がスパージパイプの上面部分に設けられていた従来構成の水中燃焼式気化装置では、スパージパイプ内の上部に溜まった燃焼ガスが、スパージパイプの基端側に設けた気泡噴出孔から次々と噴出するため、スパージパイプの先端側まで燃焼ガスが行き渡り難くなる。結果として、スパージパイプの基端部は気泡噴出量が相対的に多く、先端部は気泡噴出量が相対的に少なくなっていた。このため、スパージパイプの基端部の上方に位置する伝熱管は特に、前述の熱応力の影響や、熱疲労を受けやすかった。
【0047】
これに対し、前記構成の気泡噴出機構100は、スパージパイプ15の長手方向に、気泡噴出量の均等化が図られるため、スパージパイプ15の基端部の上方に位置する伝熱管31の熱応力や熱疲労を抑制することが可能になる。
【0048】
尚、スパージパイプ15の周面に形成する気泡噴出孔151は、その孔軸が水平よりも下向きとなるようにすればよい。従って、断面円形状のスパージパイプ15において、孔軸が円の中心を通るように、スパージパイプ15の周面に気泡噴出孔151を設ける場合、スパージパイプ15の下半分に気泡噴出孔151を設ければよい。但し、気泡Bの迂回距離をできるだけ長くするには、気泡噴出孔151は、スパージパイプ15の下端の近くに設けることが好ましい。例えば、スパージパイプ15の下端を中央とした周方向の両側それぞれにおいて、気泡噴出孔151の孔軸の成す角度θが90°以内となる角度範囲で、気泡噴出孔151を設けてもよい。
【0049】
また、気泡噴出孔151の径は、全て同じにするのではなく、スパージパイプ15の長手方向の位置に応じて変更してもよい。例えばスパージパイプ15の基端部に設ける気泡噴出孔151の径は、相対的に小さく、スパージパイプ15の先端部に設ける気泡噴出孔151の径は、相対的に大きくしてもよい。これは、スパージパイプ15の長手方向に気泡噴出量が不均等になることを抑制する。
【0050】
さらに、変形例として、スパージパイプ15の長手方向の位置に応じて、気泡噴出孔151の孔軸の鉛直上方に対する角度を変更してもよい。例えば図7は、変形例に係るスパージパイプ15の底面図である。同図に示すように、スパージパイプ15において気泡噴出孔151が形成されている部分を、基端部、中間部及び先端部に3等分したときの基端部には、気泡噴出孔151を、スパージパイプ15の下面に設ける一方、先端部には、気泡噴出孔151を、スパージパイプ15の側面に設け、さらに、中間部には、気泡噴出孔151を、スパージパイプ15の下面と側面との間に設けてもよい。各気泡噴出孔151は、その孔軸が円の中心を通るように設けられている。この構成は、スパージパイプ15の基端部に設けた気泡噴出孔151の孔軸の、鉛直上方に対する角度(つまり、約180°)が、スパージパイプ15の先端部に設けた気泡噴出孔151の孔軸の角度(つまり、約90°)よりも大とした構成である。
【0051】
こうすることで、スパージパイプ15の基端部及び中間部には少なくとも、迂回気泡噴出孔が設けられることになり、スパージパイプ15の基端部及び中間部の上方に位置する伝熱管31において、熱応力の抑制、及び、熱疲労の抑制がそれぞれ図られる。この構成はまた、スパージパイプ15の長手方向に気泡噴出量が不均等になることが抑制される。
【0052】
尚、図7の構成例とは異なり、スパージパイプ15の先端部には、気泡噴出孔151を、スパージパイプ15の上面に設けるようにしてもよい。その場合、スパージパイプ15の中間部には、気泡噴出孔151を、スパージパイプ15の側面に設けるようにしてもよい。
【0053】
また、図7の構成例は、スパージパイプ15の先端側から基端側に向かって、気泡噴出孔151の孔軸の角度を段階的に変更していることになるが、これとは異なり、スパージパイプ15の先端側から基端側に向かって、気泡噴出孔151の孔軸の角度を連続的に変更する結果、基端部に設ける気泡噴出孔151は、その孔軸が水平よりも下向きとなるようにしてもよい。
【0054】
さらに、図7の例では、スパージパイプ15の気泡噴出孔151が形成された部分を、先端部、中間部及び基端部の3つに等分して、各部分において気泡噴出孔151の孔軸の角度を異ならせているが、例えば、スパージパイプ15の気泡噴出孔151が形成された部分を、先端部及び基端部の2つに等分した上で、基端部においては、気泡噴出孔151の孔軸が水平よりも下向きとなるように、鉛直上方に対する孔軸の角度を相対的に大にし、先端部においては、孔軸の角度を相対的に小にしてもよい。このときに、先端部に設ける気泡噴出孔151は、その孔軸が水平よりも下向きとなるようにしてもよいし、水平又は水平よりも上向きとなるようにしてもよい。孔軸が水平よりも下向きとなった迂回気泡噴出孔は、スパージパイプ15の基端部にのみ設けてもよい。尚、気泡噴出孔151の高さ位置の変更に係る分割数は、2や3に限らず、4以上で適宜設定してもよい。
【0055】
尚、スパージパイプ15の周面に設ける気泡噴出孔151は、その孔軸が円の中心を通るように設けることには限定されない。
【0056】
図8図10は、気泡噴出機構の参考構成を示している。この気泡噴出機構101は、スパージパイプ15と、バッフルプレート152とを有して構成されている。バッフルプレート152は、各スパージパイプ15に対応して、スパージパイプ15と伝熱管31との間に介在している。
【0057】
この気泡噴出機構101において、気泡噴出孔151は、図10に示すように、スパージパイプ15の上面部分に設けられている。気泡噴出孔151は、スパージパイプ15の上端を中央とした周方向の両側それぞれにおいて、所定の角度範囲内に形成されている。従って、前記の構成とは逆に、気泡噴出孔151の孔軸は、水平よりも上向きである。また、スパージパイプ15の上面部分に形成された気泡噴出孔151は、図5に示す気泡噴出孔151の配置と同様に構成されており、スパージパイプ15の閉塞した先端側(図5の左側)から、マニホールド17に接続される基端側(図5の右側)までの長手方向の広い範囲に亘って、所定の配置で形成されている。
【0058】
バッフルプレート152は、図8に示すように、その横断面形状が、上に凸となる略円弧状をなしていると共に、図9に示すように、スパージパイプ15の長手方向に沿って延びて配設されている。これにより、バッフルプレート152は、スパージパイプ15に設けた気泡噴出孔151の全体を覆うように、周方向に広がると共に、長手方向に延びている。
【0059】
図10に示すように、この構成の気泡噴出機構101では、気泡噴出孔151がスパージパイプ15の上面部分に設けられているため、気泡噴出孔151から、上向きに噴出された気泡Bは、水中を上昇するものの、バッフルプレート152に遮られる。そのため、気泡Bは、スパージパイプ15から噴出した勢いのまま伝熱管31に到達することができず、図10に矢印で示すように、バッフルプレート152を迂回して伝熱管31に到達するようになる。前記の構成と同様に、迂回することにより、気泡は、主に浮力によって上昇することになり、気泡及びその周囲の水が、伝熱管31に勢いよく衝突することが回避されると共に、迂回する分だけ、気泡Bの移動する距離が長くなる。または、伝熱管31に到達するまでの時間が長くなる。これにより、伝熱管31に到達する際の気泡Bの温度を低くすることが可能になる。よって、この構成の気泡噴出機構101においても、伝熱管31の内外の温度差を小さくして、伝熱管31の熱応力、及び、熱疲労を抑制することが可能になる。
【0060】
また、上に凸となる横断面円弧状のバッフルプレート152は、その下面に気泡(つまり、燃焼ガス)が溜まった後、バッフルプレート152の側端縁から溢れた気泡Bが上昇をして、伝熱管31に到達するようになる。ここで、気泡噴出孔151が、スパージパイプ15の上面部分に設けられているため、前述したように、スパージパイプ15の基端部は気泡噴出量が相対的に多く、先端部は気泡噴出量が相対的に少なくなる。しかしながら、スパージパイプ15と伝熱管31との間に介在したバッフルプレート152の下面にガスを溜めるように構成することによって、スパージパイプ15から噴出される気泡Bの噴出量は長手方向に不均等であっても、バッフルプレート152から伝熱管31に供給する気泡Bの供給量は、長手方向に略均等にすることが可能になる。従って、この気泡噴出機構101においても、スパージパイプ15の基端部の上方に位置する伝熱管31の熱応力や熱疲労を抑制することが可能になる。
【0061】
尚、図8等に示す構成例では、断面円弧状のバッフルプレート152を例示しているが、バッフルプレートの形状は、これに限るものではない。図示は省略するが、例えば断面逆V字状のバッフルプレートを採用してもよい。また、気泡Bを迂回させる機能を得るだけであれば、平板状のバッフルプレートを採用することも可能である。
【0062】
また、図8等に示す構成例では、スパージパイプ15の上面部分に気泡噴出孔151を形成しているが、バッフルプレート152を有する気泡噴出機構101において、図6に示す構成例と同様に、スパージパイプ15の下面部分に気泡噴出孔151を形成してもよい。つまり、スパージパイプ15の下面部分に気泡噴出孔151を形成することと、バッフルプレート152とを組み合わせてもよい。
【0063】
さらに、気泡噴出孔151の径は、全て同じにするのではなく、スパージパイプ15の長手方向の位置に応じて変更してもよい。例えばスパージパイプ15の基端部に設ける気泡噴出孔151の径は、相対的に小さく、スパージパイプ15の先端部に設ける気泡噴出孔151の径は、相対的に大きくしてもよい。これは、スパージパイプ15の長手方向に気泡噴出量が不均等になることを抑制する。
【0064】
加えて、スパージパイプ15の長手方向の位置に応じて、気泡噴出孔151の孔軸の、鉛直上方に対する角度を変更してもよい。例えば図7に示すように、スパージパイプ15の基端部に設ける気泡噴出孔151は、孔軸の前記角度を相対的に大にし、スパージパイプ15の先端部に設ける気泡噴出孔151は、孔軸の前記角度を相対的に小にしてもよい。これは、スパージパイプ15の長手方向に気泡噴出量が不均等になることを抑制する。
【0065】
また、変形例として、図11に示すように、スパージパイプ15の基端部の上方にのみ、バッフルプレート153を配設してもよい。こうすることで、スパージパイプ15の基端部においては、上昇する気泡がバッフルプレート153に遮られるようになる。スパージパイプ15の基端部は気泡噴出量が相対的に多くなりがちであるが、バッフルプレート153によって、スパージパイプ15の基端部の上方に位置する伝熱管31の熱応力や熱疲労を抑制することが可能になる。
【0066】
尚、図11の例は、スパージパイプ15の気泡噴出孔151が形成されている部分を、先端部、中間部及び基端部の3つに分割したときの基端部に、バッフルプレート153を設けた構成を一例として示しているが、スパージパイプ15の長手方向について、バッフルプレート153を配設する範囲は、適宜の範囲に設定することが可能である。
【0067】
また、図11に示す構成例において、スパージパイプ15に形成する気泡噴出孔151は、図5に示す構成例と同様に、スパージパイプ15の基端部から先端部の全体に亘って、その下面部分に形成してもよいし、図7に示す構成例のように、スパージパイプ15の長手方向の位置に応じて、気泡噴出孔151の孔軸の、鉛直上方に対する角度を変更してもよい。
【0068】
尚、図8等に示す構成例では、スパージパイプ15と伝熱管31との間において、バッフルプレート152、153を、スパージパイプ15に近い側に配設しているが、バッフルプレート152、153を、伝熱管31に近い側に配設してもよい。例えば、バッフルプレート152、153を、伝熱管31の直下に配設してもよい。伝熱管31の直下に配設するバッフルプレート152、153は、伝熱管31に沿うように設けてもよい。この構成は、気泡及びその周囲の水が、伝熱管31に勢いよく衝突することを、確実に防止する上で有利になる。
【0069】
また、バッフルプレート152、153には、1つ又は複数の貫通孔が形成されていてもよい。こうすることで、バッフルプレート152、153に遮られた気泡の一部は、バッフルプレート152、153の貫通孔を通過するようになるが、その際に、上昇速度が低減するようになり、気泡及びその周囲の水が、伝熱管31に勢いよく衝突することが防止される。また、貫通孔の径を比較的小径にして、バッフルプレート152、153の貫通孔を通過した後の気泡の大きさが小さくなるようにすれば、上昇速度の低減と共に、気泡が伝熱管31に到達するまでの間において、気泡と水との熱交換が促進されるようになる。その結果、伝熱管に到達したときの気泡の温度の低下を図ることが可能になる。尚、少なくとも一部の気泡は、バッフルプレート152、153を迂回するように、貫通孔を形成することが好ましい。
【0070】
さらに、図示は省略するが、バッフルプレートは、スパージパイプ15の基端側に配設するバッフルプレートと、スパージパイプ15の先端側に配設するバッフルプレートとの構成、及び/又は、配置を互いに異ならせるようにしてもよい。例えば、スパージパイプ15の基端側に配設するバッフルプレートと、先端側に配設するバッフルプレートとの大きさを、互いに異ならせてもよい。また、スパージパイプ15の基端側に配設するバッフルプレートの高さ位置と、先端側に配設するバッフルプレートの高さ位置とを互いに異ならせてもよい。また、湾曲したバッフルプレートを用いる場合、スパージパイプ15の基端側に配設するバッフルプレートと、先端側に配設するバッフルプレートとの湾曲の曲率を、互いに異ならせてもよい。さらに、バッフルプレートに貫通孔を設ける場合、スパージパイプ15の基端側に配設するバッフルプレートと、先端側に配設するバッフルプレートとの貫通孔の数や大きさ等を、互いに異ならせてもよい。
【0071】
尚、ここに開示する技術は、水槽内に配設されたスパージパイプを有するスチームエジェクタ式の気化装置を始めとした、中間熱媒体式気化装置に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0072】
1 水中燃焼式気化装置(気化装置)
11 水槽
15 スパージパイプ
100 気泡噴出機構
101 気泡噴出機構
110 冷水域
151 気泡噴出孔
152、153 バッフルプレート
31 伝熱管
32 熱交換器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11