(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-01
(45)【発行日】2022-11-10
(54)【発明の名称】送風装置
(51)【国際特許分類】
F01P 11/10 20060101AFI20221102BHJP
F04D 29/32 20060101ALI20221102BHJP
F04D 29/54 20060101ALI20221102BHJP
F04D 29/52 20060101ALI20221102BHJP
F01P 11/14 20060101ALI20221102BHJP
F01P 5/02 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
F01P11/10 F
F04D29/32 E
F04D29/54 B
F04D29/52 C
F04D29/54 F
F04D29/32 F
F01P11/14 B
F01P5/02 G
(21)【出願番号】P 2019025621
(22)【出願日】2019-02-15
【審査請求日】2021-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】太田 秀岳
【審査官】櫻田 正紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-345845(JP,A)
【文献】特開2010-025026(JP,A)
【文献】特開2001-355448(JP,A)
【文献】国際公開第2017/170029(WO,A1)
【文献】実開昭57-061124(JP,U)
【文献】特開2003-254061(JP,A)
【文献】特開2008-303830(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0035316(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01P 11/10
F04D 29/32
F04D 29/54
F04D 29/52
F01P 11/14
F01P 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸線の回りに回転し、前記回転軸線の第1方向から前記第1方向とは反対側の第2方向に向かって風を発生させるファンと、
前記ファンを前記回転軸線の回りに回転自在に支持可能なファンシュラウドと、を備え、
前記ファンは、
前記回転軸線に位置するファン本体と、
前記ファン本体の外周面から前記回転軸線と直交する径方向に沿って延び、前記回転軸線の回りの周方向に並んで配置される複数のファンブレードと、
前記複数のファンブレード
における前記径方向の
最外側
端を連結する
筒状の連結リングと、
前記連結リングにおける前記第2方向の端部から前記径方向の外側に張り出す外フランジ部と、
を備え、
前記ファンシュラウドは、
前記回転軸線の回りに前記ファンの周囲を取り囲み、前記連結リングと径方向で重なる筒状のリング部と、
前記リング部における前記第2方向の端部から前記径方向の内側に張り出し、前記回転軸線の方向で前記外フランジ部と対向する内フランジ部と、
前記リング部における前記径方向の中央に配置され前記ファンを支持するためのファン支持台と、
前記リング部から前記径方向の外側に延びるシュラウド壁面と、
を備え、
前記ファン支持台における前記第2方向の面に設けられ、前記第2方向に向かって突出する回転軸に前記ファン本体が取り付けられたモータを備え、
前記リング部及び前記内フランジ部は、前記連結リングの前記第1方向への変位を規制するストッパ
として機能することを特徴とする送風装置。
【請求項2】
前記連結リングにおける前記回転軸線の方向の長さをL1とし、前記リング部における前記回転軸線の方向の長さをL2としたとき、前記連結リング及び前記リング部は、長さL1,L2が
L1/2≦L2≦L1/3
を満たすように形成されている
ことを特徴とする請求項
1に記載の送風装置。
【請求項3】
前記シュラウド壁面における前記第1方向の前面に設けられ前記ファン支持台と前記シュラウド壁面とに跨る複数のステーを備え、
前記回転軸線の方向における前記外フランジ部と前記リング部との間の距離をL3とし、前記回転軸線の方向における前記連結リングと前記ステーとの間の距離をL4としたとき、前記外フランジ部、前記リング部及び前記ステーは、距離L3,L4が
L3<L4
を満たすように形成されている
ことを特徴とする請求項
1又は請求項
2に記載の送風装置。
【請求項4】
前記外フランジ部、前記リング部及び前記ステーは、距離L4が
L4≧L1/2
を満たすように形成されている
ことを特徴とする請求項
3に記載の送風装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両に搭載されるラジエータ等の熱交換器の冷却用として、この熱交換器の進行方向後方に送風装置が設けられる。送風装置は、モータと、モータに取り付けられたファンと、ファンの周囲をカバーするファンシュラウドと、を備えている。ファンは、モータの回転軸に取り付けられるファン本体と、ファン本体の外周面から放射状に配置された複数のファンブレードと、を備えている。ファンシュラウドは、車体に固定される。モータは、ファンシュラウドに固定される。
このような構成のもと、ファンが回転するとファンブレードによって熱交換器よりも進行方向前方から空気が引き込まれ、熱交換器、ファンの順で風が通る。このように熱交換器に風を通すことにより、熱交換器の冷却が促進される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4534180号公報
【文献】特開2010-25026号公報
【文献】特許第5364437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、送風装置は風の影響を受けて撓み変形してしまう可能性があった。例えば特に撓み変形しやすいファンブレードが撓んでしまうと、このファンブレードが熱交換器に接触してしまい、熱交換器や送風装置が損傷してしまう可能性があった。送風装置の撓み変形を防止するために、例えば各部品の肉厚を厚くする等すると、送風装置が大型化してしまうとともに、大型化による駆動時の騒音が大きくなってしまう可能性もあった。また、送風装置に大型化により、製造コストも嵩張る可能性があった。
【0005】
そこで、本発明は、小型化、低騒音化を図りつつ装置の損傷を防止できる安価な送風装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明に係る送風装置は、回転軸線の回りに回転し、前記回転軸線の第1方向から前記第1方向とは反対側の第2方向に向かって風を発生させるファンと、前記ファンを前記回転軸線の回りに回転自在に支持可能なファンシュラウドと、を備え、前記ファンは、前記回転軸線に位置するファン本体と、前記ファン本体の外周面から前記回転軸線と直交する径方向に沿って延び、前記回転軸線の回りの周方向に並んで配置される複数のファンブレードと、前記複数のファンブレードにおける前記径方向の最外側端を連結する筒状の連結リングと、前記連結リングにおける前記第2方向の端部から前記径方向の外側に張り出す外フランジ部と、を備え、前記ファンシュラウドは、前記回転軸線の回りに前記ファンの周囲を取り囲み、前記連結リングと径方向で重なる筒状のリング部と、前記リング部における前記第2方向の端部から前記径方向の内側に張り出し、前記回転軸線の方向で前記外フランジ部と対向する内フランジ部と、前記リング部における前記径方向の中央に配置され前記ファンを支持するためのファン支持台と、前記リング部から前記径方向の外側に延びるシュラウド壁面と、を備え、前記ファン支持台における前記第2方向の面に設けられ、前記第2方向に向かって突出する回転軸に前記ファン本体が取り付けられたモータを備え、前記リング部及び前記内フランジ部は、前記連結リングの前記第1方向への変位を規制するストッパとして機能することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る送風装置は、前記連結リングにおける前記回転軸線の方向の長さをL1とし、前記リング部における前記回転軸線の方向の長さをL2としたとき、前記連結リング及び前記リング部は、長さL1,L2がL1/2≦L2≦L1/3を満たすように形成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る送風装置は、前記シュラウド壁面における前記第1方向の前面に設けられ前記ファン支持台と前記シュラウド壁面とに跨る複数のステーを備え、前記回転軸線の方向における前記外フランジ部と前記リング部との間の距離をL3とし、前記回転軸線の方向における前記連結リングと前記ステーとの間の距離をL4としたとき、前記外フランジ部、前記リング部及び前記ステーは、距離L3,L4がL3<L4を満たすように形成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る送風装置では、前記外フランジ部、前記リング部及び前記ステーは、距離L4がL4≧L1/2を満たすように形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、風装置を小型化でき、駆動時の低騒音化を図りつつ、送風装置や熱交換器の損傷も防止できる。さらに、送風装置の小型化によって製造コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態における自動車の車両を例示する斜視図。
【
図2】本発明の実施形態における熱交換器、及び送風装置の側面図。
【
図3】本発明の実施形態における送風装置を後方からみた平面図。
【
図5】
図3のファンを取り外した状態を示す平面図。
【
図6】本発明の実施形態における送風装置を前方からみた平面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
(車両及び送風装置)
図1は、送風装置110が搭載された自動車の車両100を例示する斜視図である。
図2は、熱交換器(ラジエータ)120、及び送風装置110の側面図である。なお、
図1では説明を分かりやすくするために熱交換器120の図示を省略している。
図1、
図2に示すように、送風装置110は、車両100の熱交換器120等を冷却するために用いられる。なお、以下の説明では、車両100の進行方向前方を単に前方(請求項における第1方向に相当)、進行方向後方を単に後方(請求項における第2方向に相当)、重力方向上方を単に上方、重力方向下方を単に下方と称する。以下の説明において、送風装置110における前方、後方、上方、下方は、車両100に送風装置110を取り付けた姿勢での方向を指しているものとする。また、前方を向いて右側を単に右側、左側を単に左側と称する。
図2は、車両の左側からみた熱交換器120、及び送風装置110の側面図である。
【0018】
車両100は、車室前方のエンジンルーム101内にエンジン105が搭載され、エンジン105の前方に、熱交換器120が搭載されている。そして、このラジエータの通風面(後方の面)に対向して、熱交換器120に強制冷却風を流通させる送風装置110が設けられている。送風装置110は、例えば車両100の車幅方向に2つ並んで配置される。これら送風装置110は同一構成であるので、以下の説明では、2つの送風装置110のうちの一方についてのみ説明し、他方についての説明を省略する。
【0019】
(送風装置)
送風装置110は、駆動源であるモータ111と、モータ111により回転駆動されるファン1と、送風装置110の外郭を形成し、車両100のエンジンルーム101や熱交換器120等に固定されるファンシュラウド2と、を備えている。モータ111としては、例えばブラシ付き直流モータが用いられる。モータ111は、ロータ112を有している。ロータ112の回転軸113は、後方に向かって突出している(
図5も併せて参照)。このロータ112の回転軸113に、ファン1が取り付けられる。
なお、以下の説明では、モータ111(回転軸113)の回転軸線Cの方向を単に軸方向、モータ111の回転方向を周方向、回転軸線C、及び周方向に直交する方向を径方向と称する。
【0020】
(ファン)
図3は、送風装置110を後方からみた平面図である。
図3に示すように、ファン1は、いわゆる軸流ファンである。ファン1は、モータ111によって前方から熱交換器120を介して空気を吸引するように回転される。ファン1は、回転軸線Cと同軸上に位置する略有底筒状のファン本体3を有している。ファン本体3は、開口部3aを熱交換器120側(前方、第1方向)に向けた状態で回転軸113の先端(後方端)に取り付けられている。ファン本体3内に、モータ111が収納されている。
【0021】
ファン本体3の外周面には、径方向外側に向かって延びる複数のファンブレード4が一体成形されている。各ファンブレード4は、周方向で等間隔となるように放射状に配置されている。
各ファンブレード4の径方向外側端は、略円筒状の連結リング5を介して連結されている。連結リング5は、ファン1の外周部を構成している。
【0022】
図4は、
図3のA-A線に沿う断面図である。
連結リング5には、熱交換器120とは反対側である後方(第2方向)の端部に、径方向の外側に向かって張り出す外フランジ部6が一体成形されている。
【0023】
(ファンシュラウド)
図5は、
図3のファン1を取り外した状態を示す平面図である。
図6は、送風装置110を前方からみた平面図である。
図3~
図6に示すように、ファンシュラウド2は、ファン1の連結リング5の周囲を取り囲む略円筒状のリング部(マウス)7と、リング部7の径方向中央に配置された略円板状のファン支持台8と、リング部7の外周面から径方向の外側に延びるシュラウド壁面(一般面)9と、を主構成としている。
【0024】
リング部7は、回転軸線Cと同軸上に配置されている。また、リング部7は、ファン1の連結リング5と径方向で重なる位置に配置されている。さらに、リング部7は、ファン1の外フランジ部6と軸方向で対向する位置に配置されている。すなわち、ファン1の外フランジ部6は、リング部7よりも熱交換器120とは反対側の後方に位置している。リング部7の後方端には、径方向の内側に向かって張り出す内フランジ部10が一体成形されている。この内フランジ部10とファン1の外フランジ部6とが軸方向で対向されている。また、内フランジ部10の内周縁よりも径方向内側にファン1の連結リング5が位置されている。
【0025】
シュラウド壁面9は、リング部7の前端から前方に向かうに従って漸次径方向外側に湾曲状に広がる湾曲連結部11と、湾曲連結部11のリング部7とは反対側端から前方に向かうに従って漸次径方向外側に直線状に広がる傾斜面12と、傾斜面12の湾曲連結部11とは反対側端から軸方向に沿って屈曲延出された立ち上がり部13と、が一体成形されたものである。
【0026】
傾斜面12は、その外郭形状が軸方向からみて左右方向に長い略長方形状に形成されている。すなわち、傾斜面12は、湾曲連結部11から2つの長辺12a及び2つの短辺12bに向かって4つの下り勾配面14を形成している。各下り勾配面14の接続部には、後ろ側の後面12cに、4つの稜線15が形成されている。また、立ち上がり部13も、傾斜面12の外郭形状に対応するように軸方向からみて左右方向に長い略長方形の額縁状に形成されている。
【0027】
図6に詳示するように、傾斜面12(下り勾配面14)の前側の前面12dには、複数のリブ16が前方に向かって突出形成されている。各リブ16は、径方向に沿って傾斜面12の全体に渡って延びている。すなわち、リブ16は、リング部7における外周部の近傍からシュラウド壁面9の外周縁を構成する立ち上がり部13の近傍に至る間に延びている。また、各リブ16は、周方向に等間隔に配置され、軸方向からみて放射状に配置されている。各リブ16は、周方向で隣り合うリブ16の間隔をθとしたとき、
20°≦θ≦25° ・・・(1)
を満たすように形成されている。
なお、間隔θは、径方向に沿う直線間の角度である。各リブ16は、径方向に沿って形成されているので、周方向で隣り合うリブ16間の角度が間隔θとなる。
【0028】
ファン支持台8は、軸方向で立ち上がり部13とほぼ同一位置に配置されている。ファン支持台8の外径D1は、リング部7の内径D2よりも十分小さい。ファン支持台8は、このファン支持台8とシュラウド壁面9に跨る複数のステー17を介し、シュラウド壁面9に支持されている。
【0029】
より具体的には、ステー17は、ファン支持台8の外周面から、軸方向からみてリング部7の内周面に至る間に径方向に沿って延びるステー本体18と、ステー本体18の径方向外側端から立ち上がり部13(シュラウド壁面9の外周面)に至る間にステー本体18の延出方向に沿って延びる補強ステー19と、が一体成形されたものである。そして、補強ステー19が傾斜面12の前面12dに接続されている。複数のステー17は、軸方向からみて放射状に配置されている。このようなステー17によって支持されたファン支持台8の後ろ側の後面8aに、モータ111が固定される。
【0030】
ここで、
図4に示すように、連結リング5における軸方向の長さをL1とし、リング部7における軸方向の長さをL2としたとき、連結リング5は、長さL1,L2が
L1/2≦L2≦L1/3 ・・・(2)
を満たすように形成されている。
【0031】
また、軸方向における外フランジ部6とリング部7との間の距離をL3とし、軸方向における連結リング5とステー17との間の距離をL4としたとき、外フランジ部6及びリング部7は、距離L3,L4が
L3<L4 ・・・(3)
を満たすように形成されている。
さらに、外フランジ部6及びリング部7は、距離L4が
L4≧L1/2 ・・・(4)
を満たすように形成されている。
【0032】
(送風装置の作用)
次に、送風装置110の作用について説明する。
モータ111を駆動させることにより回転軸113を介してファン1が回転する。すると、熱交換器120よりも前方から空気が引き込まれ、熱交換器120、ファン1の順で風が通る。より具体的には、ファンシュラウド2における傾斜面12の前面12dに沿って風がリング部7内へと引き込まれる。その後、ファン1を介して後方に風が流れていく。このように熱交換器120に風を通すことで熱交換器120の冷却が促進される。
【0033】
ここで、傾斜面12の前面12dには、複数リブ16が形成されている。これらリブ16によって、ファンシュラウド2の機械的強度が高まる。これに加え、周方向で隣り合う各リブ16は、間隔θが上記式(1)を満たすように形成されている。このため、周方向で隣り合う各リブ16間には、小さい空気の渦が複数発生する。この渦によって傾斜面12の前面12dを風が流れやすくなる。また、ファン1のファンブレード4には、径方向外側端に略円筒状の連結リング5が設けられている。このため、この連結リング5がガイドとなってファン1内に効率よく空気が取り込まれる。
【0034】
これに加え、連結リング5とファンシュラウド2のリング部7とが径方向で重なる位置に配置されている。連結リング5及びファンシュラウド2のリング部7は、軸方向における連結リング5とステー17との間の距離L4が上記式(4)を満たすように形成されているので、連結リング5とリング部7とが径方向で確実に重なる。このため、ファン1内に確実に空気が取り込まれる。
ここで、連結リング5及びリング部7は、連結リング5における軸方向の長さL1と、リング部7における軸方向の長さL2とが上記式(2)を満たすように形成されている。このため、送風装置110の風量を確保しつつ、送風装置110に余計な負荷がかかってしまうことを防止できる。
【0035】
ファン1に前方から後方に向かって風が流れると、ファン1は前方に向かって反力を受ける。このため、ファンブレード4は、ファン本体3側の根本を支点にして径方向外側が前方に向かって撓み変形しようとする(
図4における矢印Y1参照)。
ここで、ファンブレード4に設けられた連結リング5には、外フランジ部6が一体成形されている。外フランジ部6は、軸方向でファンシュラウド2のリング部7(内フランジ部10)と対向配置されている。このため、ファンブレード4が撓み変形しようとすると、ファンシュラウド2のリング部7に連結リング5の外フランジ部6が当接される。つまり、リング部7は、連結リング5の前方への変位を規制するストッパ20として機能する。この結果、ファンブレード4の撓み変形が抑制される。しかも、外フランジ部6及びリング部7は、軸方向における外フランジ部6とリング部7との間の距離L3と、軸方向における連結リング5とステー17との間の距離L4とが、上記式(3)を満たすように形成されている。このため、連結リング5とリング部7とが接触するよりも先に連結リング5とステー17とが接触してしまうことを防止できる。
【0036】
このように、上述の実施形態では、ファンブレード4の径方向外側端に、略円筒状の連結リング5を設けている。一方、ファンシュラウド2には、連結リング5の前方(熱交換器120側)への変位を規制するリング部7(ストッパ20)を設けている。このため、特に撓み変形しやすいファンブレード4を肉厚化することなく、リング部7により連結リング5の変位を規制できる。この結果、ファンブレード4の撓み変形も抑制でき、熱交換器120とファンブレード4との接触を確実に防止できる。このため、送風装置110の小型化、低コスト化を図りつつ、送風装置110や熱交換器120の損傷も防止できる。さらに、送風装置110の小型化によって駆動時の騒音も抑制できる。
【0037】
しかも、外フランジ部6及びリング部7は、軸方向における外フランジ部6とリング部7との間の距離L3と、軸方向における連結リング5とステー17との間の距離L4とが上記式(3)を満たすように形成されている。このため、連結リング5とリング部7とが接触するよりも先に連結リング5とステー17とが接触してしまうことを防止できる。
【0038】
また、送風装置110は、ファン支持台8の後面8aにモータ111が配置されている。モータ111の回転軸113を後方に向かって突出させ、この突出した箇所にファン本体3を取り付けている。そして、ファン本体3内にモータ111を収納している。このように、ファン本体3の内側を有効活用して送風装置110の軸長を短くできる。このため、送風装置110を小型化でき、駆動時の騒音も抑制できる。
また、上記のようにファン1とモータ111とを配置すると、結果的に、ファンブレード4の熱交換器120側にファンシュラウド2が位置することになる。しかしながら、上記のようにファンブレード4の撓み変形が抑制されるので、送風装置110や熱交換器120の損傷も防止できる。
【0039】
また、ファンシュラウド2における傾斜面12の前面12dには、複数リブ16が形成されている。これらリブ16によって、ファンシュラウド2の機械的強度を高めることができる。これに加え、リブ16は、周方向で隣り合う各リブ16の間隔Kが上記式(1)を満たすように形成されている。このため、傾斜面12の前面12dを風が流れやすくなり、送風装置110の駆動効率を高めることができるとともに、送風装置110の駆動時の騒音を確実に抑制できる。
【0040】
また、ファン1のファンブレード4には、径方向外側端に略円筒状の連結リング5が設けられている。このため、この連結リング5がガイドとなってファン1内に効率よく空気が取り込まれる。よって、送風装置110の風量を確実に確保できる。さらに、送風装置110の風量の観点だけに注目すれば、仮にリング部7を廃止した場合であっても、連結リング5によって十分な風量を確保することが可能になる。
【0041】
また、連結リング5とファンシュラウド2のリング部7とが径方向で重なる位置に配置されている。連結リング5及びステー17は、軸方向における連結リング5とステー17との間の距離L4が上記式(4)を満たすように形成されているので、連結リング5とリング部7とが径方向で確実に重なる。連結リング5とリング部7とが径方向で確実に重なるので、ファン1内に空気を確実に取り込むことができる。しかも、連結リング5及びリング部7は、連結リング5における軸方向の長さL1と、リング部7における軸方向の長さL2とが上記式(2)を満たすように形成されている。このため、送風装置110の風量を確保しつつ、送風装置110に余計な負荷がかかってしまうことを防止できる。
【0042】
また、ステー17は、ステー本体18と、補強ステー19と、により構成されている。補強ステー19によって、シュラウド壁面9の機械的強度をより確実に高めることができる。このため、送風装置110をより確実に小型化できる。
【0043】
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば、上述の実施形態では、送風装置110は、車両100の熱交換器120等を冷却するために用いられる場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、さまざまな冷却装置として送風装置110を用いることができる。
【0044】
また、上述の実施形態では、ファン支持台8の後面8aにモータ111を固定し、モータ111の回転軸113を後方に向かって突出させた場合について説明した。そして、この突出させた箇所にファン本体3を取り付けた場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、ファン支持台8の前方の前面にモータ111を固定し、回転軸113を前方に向かって突出させてもよい。そして、この突出させた箇所にファン本体3を取り付けるように構成してもよい。
【0045】
また、上述の実施形態では、ファンシュラウド2のリング部7を連結リング5の前方への変位を規制するストッパ20として機能させた場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、ファンシュラウド2にストッパ20を別途設けてもよい。また、ストッパ20は、円筒状でなくてもよく、連結リング5の前方への変位を規制できればよい。例えば、複数の突起を周方向に並べて、これら突起をストッパ20としてもよい。
【0046】
さらに、上述の実施形態では、ファンブレード4の径方向外側端に連結リング5を設けた場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、ファンブレード4の径方向の任意の箇所に連結リング5を設けてもよい。ストッパ20は、連結リング5に位置に応じて配置すればよい。
【符号の説明】
【0047】
1…ファン、2…ファンシュラウド、3…ファン本体、4…ファンブレード、5…連結リング、6…外フランジ部、7…リング部、8…ファン支持台、8a…後面(面)、9…シュラウド壁面、10…内フランジ部(ストッパ)、12…傾斜面、12d…前面、13…立ち上がり部(外周面)、16…リブ、17…ステー、20…ストッパ、100…車両、110…送風装置、111…モータ、113…回転軸、120…熱交換器、C…回転軸線