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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-01
(45)【発行日】2022-11-10
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/475 20060101AFI20221102BHJP
【FI】
A61F13/475 111
A61F13/475 112
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019028640
(22)【出願日】2019-02-20
(65)【公開番号】P2020130645
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000110044
【氏名又は名称】株式会社リブドゥコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】特許業務法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉川 善史
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-169967(JP,A)
【文献】特開2006-167197(JP,A)
【文献】特開2015-100615(JP,A)
【文献】特開2018-196623(JP,A)
【文献】特開2006-198397(JP,A)
【文献】特開2018-059244(JP,A)
【文献】特開2004-337387(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/475
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収体と、前記吸収体の肌面側に設けられたトップシートと、前記吸収体の非肌面側に設けられたバックシートとを有する吸収性物品であって、
前記吸収体は、前側部と後側部とこれらの間の中間部とを有し、前記前側部と前記後側部が前記中間部よりも幅広に形成され、
前記吸収性物品の肌面側に立ち上がりフラップが設けられ、
前記立ち上がりフラップは、立ち上がりの起点となる基部と立ち上がりの先端となる自由端を有し、フラップ形成シートが前記自由端で折り返されることにより形成され、
前記折り返されたフラップ形成シートの前記自由端を挟んだ一方部と他方部の間に、前後方向に延びるフラップ弾性部材とアセテート繊維集合体が設けられ、
前記アセテート繊維集合体は、前後方向に対して、前記中間部の最も幅狭な部分に少なくとも設けられ、
前記フラップ弾性部材は、前記アセテート繊維集合体の前側端よりも前方および後側端よりも後方に延在しており、
前記フラップ弾性部材は、接着剤により前記フラップ形成シートの前記一方部に取り付けられ、
前記フラップ弾性部材と前記フラップ形成シートの前記他方部の間に前記アセテート繊維集合体が設けられ、
前記アセテート繊維集合体は、前記フラップ形成シートの前記他方部に設けられた接着領域で前記他方部に接着され、前記フラップ形成シートの前記一方部には、前記フラップ弾性部材に塗布された接着剤により接着され、それ以外の部分では前記フラップ形成シートの前記一方部と非接着とされていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
吸収体と、前記吸収体の肌面側に設けられたトップシートと、前記吸収体の非肌面側に設けられたバックシートとを有する吸収性物品であって、
前記吸収体は、前側部と後側部とこれらの間の中間部とを有し、前記前側部と前記後側部が前記中間部よりも幅広に形成され、
前記吸収性物品の肌面側に立ち上がりフラップが設けられ、
前記立ち上がりフラップは、立ち上がりの起点となる基部と立ち上がりの先端となる自由端を有し、フラップ形成シートが前記自由端で折り返されることにより形成され、
前記折り返されたフラップ形成シートの前記自由端を挟んだ一方部と他方部の間に、前後方向に延びるフラップ弾性部材とアセテート繊維集合体が設けられ、
前記アセテート繊維集合体は、前後方向に対して、前記中間部の最も幅狭な部分に少なくとも設けられ、
前記フラップ弾性部材は、前記アセテート繊維集合体の前側端よりも前方および後側端よりも後方に延在しており、
前記フラップ弾性部材は前記フラップ形成シートの前記一方部に取り付けられ、
前記フラップ弾性部材と前記フラップ形成シートの前記他方部の間に前記アセテート繊維集合体が設けられ、
前記アセテート繊維集合体は、前記フラップ形成シートの前記他方部に接着され、前記フラップ形成シートの前記一方部には接着されていないことを特徴とする吸収性物品。
【請求項3】
前記アセテート繊維集合体は、前後方向に50mm以上の長さで設けられている請求項1または2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記立ち上がりフラップは、前記基部から前記自由端の間で、前後方向に延びる折り返し線に沿って折り返されており、
前記折り返し線から前記自由端の間のフラップ先端部に、前記フラップ弾性部材と前記アセテート繊維集合体が設けられており、
前記フラップ形成シートの前記他方部が、前記立ち上がりフラップの倒伏状態で、前記フラップ先端部の肌面側に位置する請求項のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記アセテート繊維集合体は、前記立ち上がりフラップの前記基部から前記折り返し線の間には設けられていない請求項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記立ち上がりフラップは、前記基部から前記自由端の間で折り返されておらず、
前記フラップ形成シートの前記一方部が、前記立ち上がりフラップの倒伏状態で、前記立ち上がりフラップの肌面側に位置する請求項のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記アセテート繊維集合体は、前記立ち上がりフラップの前記基部から離間して設けられ、前記基部よりも前記自由端の近くに設けられている請求項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記アセテート繊維集合体は、前後方向に配向した長繊維から形成されている請求項1~のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨ておむつ、尿パッド、軽失禁パッド、生理用ナプキン等の吸収性物品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、尿等の排泄物の漏れを防ぐために、肌面側に立ち上がりフラップが設けられた吸収性物品が知られている。立ち上がりフラップには通常弾性部材が設けられており、これにより、吸収性物品を着用した際、弾性部材の収縮力によって立ち上がりフラップが起立し、尿等の横漏れが防止される。尿等の防漏性を高めるためには、立ち上がりフラップと着用者の肌との密着性を高めることが重要となるが、この場合、弾性部材が着用者の肌に対して比較的強く接する可能性があり、その結果、着用者によっては弾性部材によって肌が強く締め付けられたり、違和感を覚えるおそれがある。
【0003】
立ち上がりフラップに設けられた弾性部材の着用者の肌への当たりを緩和するために、特許文献1には、立ち上がりフラップの自由端部に環状縁部が形成され、環状縁部の頂縁部から1mm以上離間して弾性部材が設けられた吸収性物品が開示されている。また、立ち上がりフラップではないが、特許文献2には、セルロースアセテート繊維のトウ開繊体が直接または間接的に固定され、当該開繊体とともに一方向に伸縮する伸縮部材を備えた使い捨ておむつ用ギャザー部材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-181253号公報
【文献】特開2018-059244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
立ち上がりフラップは、防漏性を高めるために、弾性部材をある程度のテンションで設置することが必要となるが、立ち上がりフラップの肌への密着性を高めると、肌への当たりが強くなり、逆に立ち上がりフラップの肌への当たりを弱めると、立ち上がりフラップが好適に起立せずに横漏れが起こりやすくなる。そのため、それらを両立させた立ち上がりフラップがあれば望ましい。本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、立ち上がりフラップが好適に起立するとともに、立ち上がりフラップの肌への当たりが柔軟に形成された吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決することができた本発明の吸収性物品とは、吸収体と、吸収体の肌面側に設けられたトップシートと、吸収体の非肌面側に設けられたバックシートとを有する吸収性物品であって;吸収体は、前側部と後側部とこれらの間の中間部とを有し、前側部と後側部が中間部よりも幅広に形成され;吸収性物品の肌面側に立ち上がりフラップが設けられ;立ち上がりフラップは、立ち上がりの起点となる基部と立ち上がりの先端となる自由端を有し、フラップ形成シートが自由端で折り返されることにより形成され;折り返されたフラップ形成シートの自由端を挟んだ一方部と他方部の間に、前後方向に延びるフラップ弾性部材とアセテート繊維集合体が設けられ;アセテート繊維集合体は、前後方向に対して、中間部の最も幅狭な部分に少なくとも設けられ;フラップ弾性部材は、アセテート繊維集合体の前側端よりも前方および後側端よりも後方に延在しているところに特徴を有する。
【0007】
本発明の吸収性物品は、アセテート繊維集合体が、フラップ弾性部材とともに、折り返されたフラップ形成シートの間に配されているため、フラップ弾性部材が着用者の肌に強く当たりにくくなり、立ち上がりフラップにクッション性を付与することができる。そのため、立ち上がりフラップが高く起立する吸収体の中間部の最も幅狭な部分では、フラップ弾性部材がアセテート繊維集合体によって着用者の肌に強く当たりにくくなる。一方、フラップ弾性部材は、アセテート繊維集合体の前側端よりも前方および後側端よりも後方に延在するように設けられているため、フラップ弾性部材の両端部ではアセテート繊維集合体によってフラップ弾性部材の収縮力が阻害されない。そのため、立ち上がりフラップが着用者の肌に向かって高く起立しやすくなり、尿等の横漏れ防止効果が高まる。従って、本発明の吸収性物品は、立ち上がりフラップが好適に起立でき、尿等の漏れ防止効果を高めることができるとともに、立ち上がりフラップの着用者の肌への当たりが柔軟に形成され、着用感に優れるものとなる。
【0008】
アセテート繊維集合体は、前後方向に50mm以上の長さで設けられていることが好ましい。これにより、着用者の股間部のより広い範囲において、立ち上がりフラップの着用者の肌への当たりを柔軟なものにすることができる。
【0009】
フラップ弾性部材はフラップ形成シートの一方部に取り付けられ、フラップ弾性部材とフラップ形成シートの他方部の間にアセテート繊維集合体が設けられることが好ましい。これにより、フラップ弾性部材の収縮力がフラップ形成シートに直接伝わり、フラップ弾性部材の収縮力によって立ち上がりフラップがより高く起立できるようになる。
【0010】
フラップ弾性部材は、接着剤によりフラップ形成シートの一方部に取り付けられることが好ましい。この場合、アセテート繊維集合体は、フラップ形成シートの他方部に設けられた接着領域でフラップ形成シートの他方部に接着され、フラップ形成シートの一方部には、アセテート繊維集合体はフラップ弾性部材に塗布された接着剤により接着され、それ以外の部分ではフラップ形成シートの一方部と非接着とされていることが好ましい。アセテート繊維集合体はまた、フラップ形成シートの他方部に接着され、フラップ形成シートの一方部には接着されないことも好ましい。これにより、フラップ形成シートの自由端を挟んだ一方部において、フラップ弾性部材の収縮力がフラップ形成シートに伝わりやすくなり、フラップ弾性部材がアセテート繊維集合体と重なる部分において、フラップ弾性部材の収縮力がアセテート繊維集合体によって阻害されにくくなる。
【0011】
立ち上がりフラップは、例えば、基部から自由端の間で、前後方向に延びる折り返し線に沿って折り返されて構成される。このように構成された立ち上がりフラップでは、折り返し線から自由端の間のフラップ先端部に、フラップ弾性部材とアセテート繊維集合体が設けられ、フラップ弾性部材がフラップ形成シートの一方部に取り付けられ、フラップ形成シートの他方部が、立ち上がりフラップの倒伏状態で、フラップ先端部の肌面側に位置することが好ましい。これにより、立ち上がりフラップが起立した際に、フラップ弾性部材がアセテート繊維集合体を介して着用者の肌に当たりやすくなり、着用者の肌に対するクッション性が高められる。
【0012】
上記のように形成された立ち上がりフラップでは、アセテート繊維集合体が、立ち上がりフラップの基部から折り返し線の間には設けられないことが好ましい。これにより、立ち上がりフラップが着用者の肌に向かって高く起立しやすくなる。また、吸収性物品の使用前において、立ち上がりフラップを薄く折り畳むことができる。
【0013】
立ち上がりフラップは、基部から自由端の間で折り返されていないものであってもよい。この場合、フラップ弾性部材がフラップ形成シートの一方部に取り付けられ、フラップ形成シートの一方部が、立ち上がりフラップの倒伏状態で、立ち上がりフラップの肌面側に位置することが好ましい。このように構成された立ち上がりフラップでは、立ち上がりフラップが高く起立するほど、起立状態での立ち上がりフラップの幅方向の内側面が着用者の肌に当たりやすくなる。そのため、フラップ形成シートにおいてフラップ弾性部材が取り付けられる一方部が、立ち上がりフラップの倒伏状態で立ち上がりフラップの肌面側に位置することで、立ち上がりフラップが起立した際に、フラップ形成シートの一方部が幅方向の外側面に位置しやすくなり、フラップ弾性部材がアセテート繊維集合体を介して着用者の肌に当たりやすくなる。
【0014】
上記のように形成された立ち上がりフラップでは、アセテート繊維集合体は、立ち上がりフラップの基部から離間して設けられ、基部よりも自由端の近くに設けられていることが好ましい。これにより、立ち上がりフラップが着用者の肌に向かってより高く起立しやすくなる。
【0015】
アセテート繊維集合体は、前後方向に配向した長繊維から形成されていることが好ましい。これにより、フラップ弾性部材の収縮力によって立ち上がりフラップにギャザーが形成された際に、アセテート繊維が前後方向に撓んだり折り畳まれてアセテート繊維集合体の嵩が高まり、立ち上がりフラップのクッション性を高めることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の吸収性物品は、立ち上がりフラップが高く起立する吸収体の中間部の最も幅狭な部分で、フラップ弾性部材がアセテート繊維集合体によって着用者の肌に強く当たりにくくなる。一方、フラップ弾性部材の両端部では、フラップ弾性部材の収縮力がアセテート繊維集合体によって阻害されない。そのため、本発明の吸収性物品は、立ち上がりフラップが着用者の肌に向かって高く起立でき、尿等の漏れ防止効果を高めることができるとともに、立ち上がりフラップの着用者の肌への当たりが柔軟なものとなり、着用感に優れるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の吸収性物品の一例として、尿パッドをトップシート側から見た平面図を表す。
図2図1に示した吸収性物品のII-II断面図を表す。
図3】本発明の吸収性物品の一例として、軽失禁パッドをトップシート側から見た平面図を表す。
図4図3に示した吸収性物品のIV-IV断面図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の吸収性物品について、図面を参照して説明する。なお本発明は、図面に示された実施態様に限定されるものではない。図1および図2には、本発明の吸収性物品の一例として、尿パッドの構成例を示した。図1は、吸収性物品(尿パッド)をトップシート側から見た平面図を表し、図2は、図1に示した吸収性物品のII-II断面図を表す。本願の図では、矢印xが幅方向、矢印yが前後方向を表し、矢印x,yにより形成される面に対して垂直方向が厚み方向zを表す。図1では、図面の上側が吸収性物品の前側に相当し、図面の下側が吸収性物品の後側に相当する。
【0019】
吸収性物品1(1A)は、トップシート2とバックシート3とこれらの間に設けられた吸収体4とを有する。トップシート2は吸収体4の肌面側に配され、バックシート3は吸収体4の非肌面側に配されている。トップシート2を透過した排泄物は、吸収体4により収容される。バックシート3は排泄物が外へ漏れるのを防いでいる。
【0020】
吸収性物品1は、前後方向yと幅方向xを有する。前後方向yとは、吸収性物品を着用した際に着用者の股間の前後方向に延びる方向に相当する。幅方向xとは、吸収性物品と同一面上にあり前後方向yと直交する方向を意味し、吸収性物品を着用した際の着用者の左右方向に相当する。また、吸収性物品を着用者が着用した際に、着用者の肌に向かう側を肌面側とし、その反対側を非肌面側とする。
【0021】
トップシート2は吸収体4の肌面側に配されるシート部材であり、吸収性物品の着用の際に着用者の肌に面するように設けられる。トップシート2は、液透過性であることが好ましい。トップシート2としては、例えば、セルロース、レーヨン、コットン等の親水性繊維から形成された不織布や;ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布であって、疎水性繊維の表面が界面活性剤により親水化されたもの等を用いることができる。また、トップシート2として、織布、編布、有孔プラスチックフィルム等を用いてもよい。
【0022】
バックシート3は吸収体4の非肌面側に配されるシート部材であり、液不透過性であることが好ましい。バックシート3としては、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布や、プラスチックフィルム等を用いることができる。また、バックシート3として、不織布とプラスチックフィルムとの積層体を用いてもよい。
【0023】
トップシート2やバックシート3として不織布を用いる場合、不織布としては、スパンボンド不織布、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、メルトブロー不織布、エアレイド不織布、SMS不織布等を用いることが好ましい。
【0024】
吸収体4は、尿等の排泄物を吸収できる吸収性材料を含むものであれば特に限定されない。吸収体4としては、例えば、吸収性材料を所定形状に成形した成形体を用いたり、あるいは当該成形体を紙シート(例えば、ティッシュペーパーや薄葉紙)や液透過性不織布シート等の被覆シートで覆ったものを用いることができる。吸収性材料としては、例えば、パルプ繊維等の親水性繊維や、ポリアクリル酸系、ポリアスパラギン酸系、セルロース系、デンプン・アクリロニトリル系等の吸水性樹脂等が挙げられる。また、吸水性材料には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン繊維や、PET等のポリエステル繊維、ポリアミド繊維等の熱融着性繊維が含まれてもよい。これらの熱融着性繊維は、尿等との親和性を高めるために、界面活性剤等により親水化処理がされていてもよい。
【0025】
吸収性材料は、尿等の吸収速度を高める点から、親水性繊維を含むことが好ましい。また、吸収容量を高める点からは、吸収性材料は吸水性樹脂を含むことが好ましい。従って、吸収体4は親水性繊維(特にパルプ繊維)と吸水性樹脂を含むことが好ましい。この場合、例えば、親水性繊維の集合体に吸水性樹脂を混合または散布したものを用いることが好ましい。
【0026】
吸収体4は、シート状吸収体であってもよい。シート状吸収体としては、不織布間に吸水性樹脂を有しパルプ繊維を有しないように形成されたものが挙げられる。このように形成されたシート状吸収体は、不織布間に吸水性樹脂を有するため、高い吸収容量を実現できる。また、シート状吸収体は不織布間にパルプ繊維を有しないため、嵩張らず薄型に形成することができる。
【0027】
シート状吸収体は、吸収性材料として吸水性繊維を用いてもよい。この場合もまた、シート状吸収体は嵩張らず薄型に形成される。吸水性繊維としては、プロトン化または塩形成したカルボキシル基を含有する繊維が挙げられる。例えば、アクリル繊維を加水分解して、アクリル繊維に含まれるニトリル基をカルボキシル基に変換することにより、吸水性繊維を得ることができる。このとき、吸水性繊維に含まれるカルボキシル基は、アルカリ金属塩またはアンモニア塩を形成していることが好ましい。また吸水性繊維は、親水性繊維をアクリル酸に浸漬し、繊維表面でアクリル酸を析出させることにより製造することができる。
【0028】
吸収体4の略砂時計形の平面形状を有している。具体的には、吸収体4は、前側部4Aと後側部4Cとこれらの間の中間部4Bとを有し、前側部4Aと後側部4Cが中間部4Bよりも幅広に形成されている。これにより、吸収体4が着用者の大腿部に挟まれて幅方向xに圧迫されても歪みにくくなる。吸収体4において、前側部4Aと中間部4Bとは、前側部4Aの最も幅広な部分(具体的には、前側部4Aの最も幅広な部分の最も後側の位置)と中間部4Bの最も幅狭な部分(具体的には、中間部4Bの最も幅狭な部分の最も前側の位置)の前後方向yの中間点において区分され、後側部4Cと中間部4Bとは、後側部4Cの最も幅広な部分(具体的には、後側部4Cの最も幅広な部分の最も前側の位置)と中間部4Bの最も幅狭な部分(具体的には、中間部4Bの最も幅狭な部分の最も後側の位置)の前後方向yの中間点で区分される。
【0029】
吸収性物品1の肌面側には立ち上がりフラップ6が設けられる。立ち上がりフラップ6を設けることにより、尿等の横漏れが防止される。立ち上がりフラップ6には前後方向yに延びるフラップ弾性部材8が設けられ、フラップ弾性部材8の収縮力によって立ち上がりフラップ6の起立が促進される。
【0030】
立ち上がりフラップ6は、立ち上がりの起点となる基部10と立ち上がりの先端となる自由端11を有し、基部10と自由端11の間にフラップ弾性部材8が設けられる。図2では、立ち上がりフラップ6の基部10がトップシート2に接合されているが、立ち上がりフラップ6の基部10は、例えば幅方向xの両側部が吸収体4の肌面側に折り返されたバックシート3に接合されてもよく、これらの両方に接合されてもよい。立ち上がりフラップ6は、前側端部と後側端部がトップシート2および/またはバックシート3に接合され、前側端部と後側端部の間の部分にフラップ弾性部材8が設けられることにより、起立可能に形成されることが好ましい。
【0031】
立ち上がりフラップ6はフラップ形成シート7から構成することができ、フラップ形成シート7が自由端11で折り返されることにより立ち上がりフラップ6が形成され、折り返されたフラップ形成シート7の間にフラップ弾性部材8が配される。すなわち、自由端11で折り返されたフラップ形成シート7の自由端11を挟んだ一方部7Aと他方部7Bの間に、フラップ弾性部材8が設けられる。図面では、フラップ形成シート7は基部10でトップシート2に接合されている。
【0032】
フラップ形成シート7は、液不透過性のプラスチックフィルムや液不透過性の不織布等により構成することができ、バックシート3に使用可能なシート材料を用いることができる。フラップ形成シート7は、トップシート2の幅方向xの両側に設けられたサイドシートによって形成されてもよい。この場合、サイドシートのトップシート2との接合部より幅方向xの内方部分をフラップ形成シート7とすることができる。
【0033】
フラップ弾性部材8は、図1に示すように、前後方向yに対して、吸収体4の中間部4Bの最も幅狭な部分に少なくとも設けられる。好ましくは、フラップ弾性部材8は、前後方向yに対して、吸収体4の前側部4Aから後側部4Cかけて少なくとも設けられ、より好ましくは、吸収体4の前側部4Aの最も幅広な部分から後側部4Cの最も幅広な部分にかけて少なくとも設けられる。フラップ弾性部材8は、これらの前後方向yの範囲において連続的に設けられることが好ましい。吸収体4の前側部4Aの最も幅広な部分が前後方向yに対してある程度の長さで形成される場合は、フラップ弾性部材8の前側端が、前後方向yに対して、前側部4Aの最も幅広な部分の最も後側の位置かそれよりも前方にあることが好ましい。吸収体4の後側部4Cの最も幅広な部分が前後方向yに対してある程度の長さで形成される場合は、フラップ弾性部材8の後側端が、前後方向yに対して、後側部4Cの最も幅広な部分の最も前側の位置かそれよりも後方にあることが好ましい。このようにフラップ弾性部材8が設けられることにより、着用者の大腿部で挟まれた部分で立ち上がりフラップ6が着用者の肌に向かって立ち上がり、尿等の横漏れを防ぐことができる。
【0034】
フラップ弾性部材8は、伸張状態でフラップ形成シート7に直接または間接的に取り付けられることが好ましい。これにより、フラップ弾性部材8の収縮力によって立ち上がりフラップ6が起立しやすくなる。フラップ弾性部材8は伸張倍率1.2倍以上5.0倍以下で取り付けられることが好ましく、当該伸張倍率は1.5倍以上がより好ましく、1.8倍以上がさらに好ましく、また4.0倍以下がより好ましく、3.5倍以下がさらに好ましい。ここで説明した伸張倍率は、非伸張状態を1.0倍とする。
【0035】
フラップ弾性部材8としては、ポリウレタン糸、ポリウレタンフィルム、天然ゴム等の通常の吸収性物品に用いられる弾性伸縮材料を用いることができる。なお、下記に説明する様々な弾性部材についても、同様の弾性伸縮材料を用いることができる。
【0036】
立ち上がりフラップ6は、防漏性を高める観点から、できるだけ高く着用者の肌に向かって立ち上がることが好ましい。しかしこの場合、立ち上がりフラップ6のフラップ弾性部材8が設けられた部分が着用者の肌に強く当たりやすくなり、着用感の低下に繋がる。そこで吸収性物品1では、自由端11で折り返されたフラップ形成シート7の自由端11を挟んだ一方部7Aと他方部7Bの間に、フラップ弾性部材8とともにアセテート繊維集合体9を設けている。アセテート繊維集合体9は、綿等の天然のセルロース繊維のように柔軟に形成することができるとともに、セルロース繊維と比べて非常に嵩高に形成することができ、弾性回復力に優れるものとなる。そのため、アセテート繊維集合体9をフラップ弾性部材8と重ねて、折り返されたフラップ形成シート7の間に配することにより、立ち上がりフラップ6にクッション性が付与され、立ち上がりフラップ6の肌への当たりを柔軟なものとすることができる。
【0037】
フラップ弾性部材8は、アセテート繊維集合体9の前側端よりも前方および後側端よりも後方に延在するように設けられる。詳細には、フラップ弾性部材8は、アセテート繊維集合体9の前側端よりも前方の位置から後側端よりも後方の位置まで連続的に延在するように設けられる。このようにフラップ弾性部材8とアセテート繊維集合体9を設けることにより、立ち上がりフラップ6が高く起立する中間部4Bの最も幅狭な部分では、フラップ弾性部材8がアセテート繊維集合体9によって着用者の肌に強く当たりにくくなる。一方、フラップ弾性部材8の前後方向yの両端部では、フラップ弾性部材8がアセテート繊維集合体9と重なって設けられないことにより、フラップ弾性部材8の収縮力が前後方向yの両端部で阻害されない。そのため、立ち上がりフラップ6が着用者の肌に向かって高く起立しやすくなり、尿等の横漏れ防止効果が高まる。フラップ弾性部材8は、アセテート繊維集合体9の前側端よりも10mm以上前方に延在することが好ましく、20mm以上がより好ましく、30mm以上がさらに好ましく、またアセテート繊維集合体9の後側端よりも10mm以上後方に延在することが好ましく、20mm以上がより好ましく、30mm以上がさらに好ましい。
【0038】
なお、フラップ弾性部材8とアセテート繊維集合体9の前後方向yの位置関係は、フラップ弾性部材8を細かく切断するなどして、フラップ弾性部材8の収縮力が発現しない状態で測定される。本発明における様々な長さや位置の測定は同様に、吸収性物品1に配された弾性部材を細かく切断するなどして、弾性部材の収縮力が発現しない状態で行うものとする。
【0039】
アセテート繊維集合体9は、前後方向yに対して、中間部4Bの最も幅狭な部分に少なくとも設けられればよいが、アセテート繊維集合体9は、前後方向yに50mm以上の長さで設けられることが好ましく、80mm以上がより好ましく、100mm以上がさらに好ましい。これにより、着用者の股間部のより広い範囲において、立ち上がりフラップ6の着用者の肌への当たりを柔軟なものにすることができる。アセテート繊維集合体9の前後方向yの長さの上限は、例えば300mm以下が好ましく、250mm以下がより好ましく、200mm以下がさらに好ましい。アセテート繊維集合体9の幅は、例えば3mm以上が好ましく、5mm以上がより好ましく、8mm以上がさらに好ましく、また30mm以下が好ましく、25mm以下がより好ましく、20mm以下がさらに好ましい。
【0040】
アセテート繊維集合体9は、前後方向yに対して、吸収体4の前側部4Aの最も幅広な部分およびそれより前方ならびに後側部4Cの最も幅広な部分およびそれより後方には設けられないことが好ましい。これにより、アセテート繊維集合体9と重ならない部分で立ち上がりフラップ6の通気性が高まり、吸収性物品1の着用者の腹部や臀部における蒸れを抑えることができる。なお、吸収体4の前側部4Aの最も幅広な部分が前後方向yに対してある程度の長さで形成される場合は、アセテート繊維集合体9の前側端が、前後方向yに対して、前側部4Aの最も幅広な部分の最も後側の位置よりも後方にあることが好ましい。吸収体4の後側部4Cの最も幅広な部分が前後方向yに対してある程度の長さで形成される場合は、アセテート繊維集合体9の後側端が、前後方向yに対して、後側部4Cの最も幅広な部分の最も前側の位置よりも前方にあることが好ましい。
【0041】
アセテート繊維としては、セルロースジアセテート繊維とセルローストリアセテート繊維の2種類が広く用いられているが、アセテート繊維としてはジアセテート繊維を用いることが好ましい。セルロースジアセテートは、セルロースの無水グルコースの繰り返し単位に含まれる3個の水酸基のうち、平均で2.22個以上2.76個未満の水酸基がアセチル化されていること、すなわちエステル化度が2.22以上2.76未満であることが好ましい。
【0042】
アセテート繊維集合体9は、前後方向yに配向した長繊維から形成されていることが好ましい。具体的には、アセテート繊維集合体9を構成するアセテート繊維は長繊維から構成され、当該長繊維が前後方向yに配向していることが好ましい。これにより、フラップ弾性部材8の収縮力によって立ち上がりフラップ6にギャザーが形成された際に、アセテート繊維が前後方向yに撓んだり折り畳まれてアセテート繊維集合体9の嵩が高まり、立ち上がりフラップ6のクッション性を高めることができる。
【0043】
アセテート繊維は長繊維の束(フィラメント束)として用いることが好ましい。例えば、アセテート繊維集合体9をトウから形成し、この状態で自由端11で折り返されたフラップ形成シート7の間に挟んだり、アセテート繊維集合体9をトウ開繊繊維として自由端11で折り返されたフラップ形成シート7の間に挟むことができる。アセテート繊維の長繊維の長さとしては、5cm以上が好ましく、10cm以上がより好ましく、15cm以上がさらに好ましい。アセテート繊維の長繊維は、アセテート繊維集合体9の前後方向yの全体にわたって連続的に延びるものであってもよい。
【0044】
アセテート繊維の繊度は特に限定されないが、使用上十分な強度を有するようにする点から、例えば0.1dtex~10dtexであることが好ましい。
【0045】
アセテート繊維集合体9は、アセテート繊維を主成分として含んでいればよく、アセテート繊維以外の繊維を含んでいてもよい。アセテート繊維集合体9は、アセテート繊維を50質量%以上の割合で含むことが好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましく、90質量%以上がさらにより好ましい。アセテート繊維集合体9は、繊維成分として、アセテート繊維のみから構成されていることが特に好ましい。一方、フラップ形成シート7はアセテート繊維を含まないことが好ましい。
【0046】
アセテート繊維集合体9は、立ち上がりフラップ6の基部10よりも自由端11の近くに設けられることが好ましい。例えば、図1および図2に示されるように、立ち上がりフラップ6が基部10から自由端11の間で折り返されない場合は、アセテート繊維集合体9は、立ち上がりフラップ6の基部10から離間して設けられ、基部10よりも自由端11の近くに設けられることが好ましい。フラップ弾性部材8も同様に、立ち上がりフラップ6の基部10から離間して設けられ、基部10よりも自由端11の近くに設けられることが好ましい。また後述する図3および図4に示されるように、立ち上がりフラップ6が、基部10から自由端11の間で前後方向yに延びる折り返し線12に沿って折り返されている場合は、折り返し線12から自由端11の間のフラップ先端部13に、フラップ弾性部材8とアセテート繊維集合体9が設けられることが好ましい。これにより、立ち上がりフラップ6が着用者の肌に向かってより高く起立しやすくなる。
【0047】
アセテート繊維集合体9は、幅方向xの断面で見たときに、フラップ弾性部材8と並んで設けられてもよく、フラップ弾性部材8を囲むように設けられてもよい。なお、フラップ弾性部材8の収縮力によって立ち上がりフラップ6がより高く起立できるようにする点から、フラップ弾性部材8はフラップ形成シート7に取り付けられることが好ましい。これにより、フラップ弾性部材8の収縮力がフラップ形成シート7に直接伝わり、立ち上がりフラップ6の起立が促進される。具体的には、図2に示すように、フラップ弾性部材8がフラップ形成シート7の一方部7Aに取り付けられ、フラップ弾性部材8とフラップ形成シート7の他方部7Bの間にアセテート繊維集合体9が設けられることが好ましい。この場合、フラップ形成シート7において、自由端11を挟んでフラップ弾性部材8が取り付けられる側が一方部7Aとなる。立ち上がりフラップ6の基部10は、フラップ形成シート7の一方部7Aに設けられてもよく、他方部7Bに設けられてもよく、その両方に設けられてもよい。図2では、フラップ形成シート7の一方部7Aに基部10が形成されている。
【0048】
フラップ弾性部材8は、接着剤によりフラップ形成シート7に取り付けられることが好ましい。接着剤としては、ホットメルト接着剤を用いることが好ましく、より好ましくはゴム系のホットメルト接着剤を用いる。なお、フラップ弾性部材8は、アセテート繊維集合体9と重なる部分で、フラップ形成シート7の自由端11を挟んだ他方部7Bには取り付けられないことが好ましい。
【0049】
アセテート繊維集合体9は、フラップ形成シート7の自由端11を挟んだ他方部7Bに接着されることが好ましい。具体的には、アセテート繊維集合体9は、フラップ形成シート7の他方部7Bに設けられた接着領域でフラップ形成シート7の他方部7Bに接着されることが好ましい。これにより、フラップ弾性部材8の伸縮によって立ち上がりフラップ6のギャザーが前後方向yに伸び縮みしても、アセテート繊維集合体9をフラップ形成シート7の所定の位置にしっかりと固定することができる。アセテート繊維集合体9がフラップ形成シート7の他方部7Bに接着される接着領域は、所定の幅で、前後方向yに連続的または断続的に設けられることが好ましい。接着領域の幅は、3mm以上が好ましく、5mm以上がより好ましく、8mm以上がさらに好ましく、また30mm以下が好ましく、25mm以下がより好ましく、20mm以下がさらに好ましい。接着領域を前後方向yに断続的に設ける場合は、その断続部の前後方向yの長さは50mm以下が好ましく、30mm以下がより好ましく、20mm以下がさらに好ましい。接着領域はまた、少なくともアセテート繊維集合体9の前側端から後方に30mm以内に存在することが好ましく、20mm以内がより好ましく、10mm以内がさらに好ましく、アセテート繊維集合体9の後側端から前方に30mm以内に存在することが好ましく、20mm以内がより好ましく、10mm以内がさらに好ましい。
【0050】
アセテート繊維集合体9は、フラップ形成シート7の自由端11を挟んだ一方部7Aには接着されないか、限定された部分のみで一方部7Aに接着されることが好ましい。後者の場合、アセテート繊維集合体9は、フラップ弾性部材8に塗布された接着剤によりフラップ形成シート7の一方部7Aに接着され、それ以外の部分ではフラップ形成シート7の一方部7Aと非接着とされていることが好ましい。これにより、フラップ形成シート7の自由端11を挟んだ一方部7Aにおいて、フラップ弾性部材8の収縮力がフラップ形成シート7に伝わりやすくなり、フラップ弾性部材8がアセテート繊維集合体9と重なる部分において、フラップ弾性部材8の収縮力がアセテート繊維集合体9によって阻害されにくくなる。
【0051】
立ち上がりフラップ6は、フラップ形成シート7の自由端11を挟んだ一方部7Aと他方部7Bのどちらが吸収性物品1の肌面側に面していてもよい。好ましくは立ち上がりフラップ6は、立ち上がった際に、よりクッション性が高いフラップ形成シート7の他方部7Bが着用者の肌に当たるように形成される。すなわち立ち上がりフラップ6は、フラップ形成シート7の自由端11を挟んだ他方部7Bが着用者の肌に当たるように形成されることが好ましい。
【0052】
図1および図2に示した吸収性物品1Aは、立ち上がりフラップ6が基部10から自由端11の間で折り返されていないが、この場合は、フラップ形成シート7の一方部7Aが、立ち上がりフラップ6の倒伏状態で、立ち上がりフラップ6の肌面側に位置することが好ましい。吸収性物品1Aでは、立ち上がりフラップ6が高く起立するほど、起立状態での立ち上がりフラップ6の幅方向xの内側面が着用者の肌に当たりやすくなる。そのため、フラップ形成シート7においてフラップ弾性部材8が取り付けられる一方部7Aが、立ち上がりフラップ6の倒伏状態で立ち上がりフラップ6の肌面側に位置することで、立ち上がりフラップ6が起立した際に、フラップ形成シート7の一方部7Aが幅方向xの外側面に位置しやすくなり、フラップ弾性部材8がアセテート繊維集合体9を介して着用者の肌に当たりやすくなる。なお、フラップ弾性部材8の収縮力がそれほど強くない場合は、立ち上がりフラップ6の起立の程度が抑えられ、起立状態での立ち上がりフラップ6の幅方向xの外側面が着用者の肌に当たりやすくなる場合もある。そのような場合は、フラップ形成シート7の他方部7Bが、立ち上がりフラップ6の倒伏状態で、立ち上がりフラップ6の肌面側に位置していてもよい。
【0053】
図3および図4には、本発明の吸収性物品の他の一例として、軽失禁パッドの構成例を示した。図3は、吸収性物品(軽失禁パッド)を肌面側から見た平面図を表し、図4は、図3に示した吸収性物品のIV-IV断面図を表す。図3および図4に示した吸収性物品において、図1および図2の吸収性物品と同じ構成部材は同一の参照符号を用いて示されており、これらの部材の詳細については、上記の説明が参照される。
【0054】
吸収性物品1(1B)は、トップシート2とバックシート3とこれらの間に設けられた吸収体4とを有し、バックシート3と吸収体4の間にさらに台紙5が設けられている。台紙5により吸収性物品1Bの形状保持性を向上させることができる。台紙5は、クレープ紙や不織布から構成することができる。台紙5は設けなくてもよい。
【0055】
吸収性物品1Bでは、立ち上がりフラップ6は、基部10から自由端11の間で、前後方向yに延びる折り返し線12に沿って折り返されており、折り返し線12から自由端11の間の部分であるフラップ先端部13に、フラップ弾性部材8とアセテート繊維集合体9が設けられている。このように形成された吸収性物品1Bでは、フラップ弾性部材8がフラップ形成シート7の自由端11を挟んだ一方部7Aに取り付けられ、フラップ形成シート7の他方部7Bが、立ち上がりフラップ6の倒伏状態、すなわち立ち上がりフラップ6が折り畳まれた状態で、フラップ先端部13の肌面側に位置していることが好ましい。これにより、立ち上がりフラップ6が起立した際に、フラップ弾性部材8がアセテート繊維集合体9を介して着用者の肌に当たりやすくなり、着用者の肌に対するクッション性が高められる。吸収性物品1Bでは、フラップ形成シート7の他方部7Bに基部10が形成されることとなる。
【0056】
吸収性物品1Bでは、アセテート繊維集合体9は、立ち上がりフラップ6の基部10から折り返し線12の間の部分であるフラップ起立部14には設けられないことが好ましい。これにより、立ち上がりフラップ6が着用者の肌に向かって高く起立しやすくなる。また、吸収性物品1Bの使用前において、立ち上がりフラップ6を薄く折り畳むことができる。一方、フラップ弾性部材8はフラップ起立部14に設けられてもよい。
【0057】
なお、図3および図4では、立ち上がりフラップ6の折り返し線12はフラップ先端部13の幅方向xの外方端に形成されているが、立ち上がりフラップ6の折り返し線12はフラップ先端部13の幅方向xの内方端に形成されていてもよい。この場合、立ち上がりフラップ6の自由端11は、フラップ先端部13の幅方向xの外方端に位置することとなる。
【0058】
以上、本発明の吸収性物品について図面を参照して説明したが、本発明の吸収性物品は図面に示したような尿パッドや軽失禁パッドに限定されず、使い捨ておむつや生理用ナプキンであってもよい。
【0059】
吸収性物品が使い捨ておむつである場合、使い捨ておむつは、例えば、前腹部と後背部とこれらの間に位置し吸収体が備えられた股部とから構成される。前腹部は、使い捨ておむつを着用の際に着用者の腹側に当てる部分に相当し、後背部は、使い捨ておむつを着用の際に着用者の背側に当てる部分に相当する。股部は、前腹部と後背部との間に位置し、着用者の股間に当てる部分に相当する。
【0060】
使い捨ておむつは、テープタイプの使い捨ておむつであってもよく、パンツタイプの使い捨ておむつであってもよい。テープタイプの使い捨ておむつは、例えば、後背部の幅方向の両端部に止着部材が設けられて構成され、当該止着部材を前腹部に止着することにより、着用時にパンツ形状に形成することができる。パンツタイプの使い捨ておむつは、ウェスト開口部と一対の脚開口部とを有するパンツ形状を有し、着用前からパンツ形状に形成されているものである。
【0061】
吸収性物品が使い捨ておむつである場合は、使い捨ておむつは、例えば、トップシートとバックシートの間に吸収体が配された積層体が、前腹部と後背部とこれらの間に位置する股部とを有するように形成される。使い捨ておむつはまた、前腹部と後背部とこれらの間に位置する股部とを有する外装部材の股部に、トップシートとバックシートの間に吸収体が配された吸収性本体を設けて構成することもできる。後者の場合、外装部材をパンツ形状に形成することで、パンツタイプの使い捨ておむつとすることができる。いずれの場合も、吸収性物品の肌面側(例えばトップシート)に立ち上がりフラップを設け、上記に説明したように吸収体と立ち上がりフラップを形成することにより、本発明の吸収性物品とすることができる。
【符号の説明】
【0062】
1,1A,1B:吸収性物品
2:トップシート
3:バックシート
4:吸収体
6:立ち上がりフラップ
7:フラップ形成シート、7A:一方部、7B:他方部
8:フラップ弾性部材
9:アセテート繊維集合体
10:基部
11:自由端
12:折り返し線
図1
図2
図3
図4