(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-01
(45)【発行日】2022-11-10
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理方法、及び、画像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/04 20060101AFI20221102BHJP
H04N 1/58 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
H04N1/04 101
H04N1/58
(21)【出願番号】P 2019041768
(22)【出願日】2019-03-07
【審査請求日】2021-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 憲吾
【審査官】松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-098623(JP,A)
【文献】特開2016-092475(JP,A)
【文献】特開2009-212815(JP,A)
【文献】特開2011-139349(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00-1/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主走査方向に一列に配列された複数の撮像素子と、青色、赤色、緑色の光を所定の点灯順序で読取対象媒体に照射可能な光源とを有するイメージセンサにより読み取られた読取画像に対する画像処理を行う画像処理装置であって、
前記読取画像を記憶する記憶部と、
前記読取画像において前記イメージセンサの副走査方向での色相の切り替わり部分を検出する検出部と、
前記切り替わり部分に発生する色ズレであって、前記切り替わり部分における前記色相の切り替わりの態様と、前記所定の点灯順序とに応じた前記色ズレを補正する補正部と、
を具備
し、
前記所定の点灯順序は、青色、赤色、緑色の順序であり、
前記読取画像は、コンテンツ画像を形成するコンテンツ画素と、前記コンテンツ画像以外の背景画像を形成する背景画素であって、前記コンテンツ画素に隣接する前記背景画素とを含み、
前記検出部は、前記切り替わり部分として、前記副走査方向で前記背景画素から前記コンテンツ画素に切り替わる第一部分と、前記副走査方向で前記コンテンツ画素から前記背景画素に切り替わる第二部分とを検出し、
前記補正部は、前記第一部分に発生する第一の色ズレであって、マゼンタ色、青色または青紫色を有する前記第一の色ズレ、及び、前記第二部分に発生する第二の色ズレであって、黄色、緑色または黄緑色を有する前記第二の色ズレを補正し、
前記第一の色ズレの補正において、前記マゼンタ色の色ズレにおける色相成分の低減率は、前記青紫色の色ズレにおける色相成分の低減率より大きく、前記青紫色の色ズレにおける色相成分の低減率は、前記青色の色ズレにおける色相成分の低減率より大きく、かつ、前記黄色の色ズレにおける色相成分の低減率は、前記黄緑色の色ズレにおける色相成分の低減率より大きく、前記黄緑色の色ズレにおける色相成分の低減率は、前記緑色での色相成分の低減率より大きい、
画像処理装置。
【請求項2】
前記読取画像の彩度を平滑化する平滑化部、をさらに具備し、
前記検出部は、前記彩度の平滑化後の前記読取画像において前記切り替わり部分を検出する、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記コンテンツ画像は、黒色の文字の画像である、
請求項
1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
主走査方向に一列に配列された複数の撮像素子と、青色、赤色、緑色の光を所定の点灯順序で読取対象媒体に照射可能な光源とを有するイメージセンサにより読み取られた読取画像に対する画像処理方法であって、
前記読取画像において前記イメージセンサの副走査方向での色相の切り替わり部分を検出し、
前記切り替わり部分に発生する色ズレであって、前記切り替わり部分における前記色相の切り替わりの態様と、前記所定の点灯順序とに応じた前記色ズレを補正
し、
前記所定の点灯順序は、青色、赤色、緑色の順序であり、
前記読取画像は、コンテンツ画像を形成するコンテンツ画素と、前記コンテンツ画像以外の背景画像を形成する背景画素であって、前記コンテンツ画素に隣接する前記背景画素とを含み、
前記切り替わり部分として、前記副走査方向で前記背景画素から前記コンテンツ画素に切り替わる第一部分と、前記副走査方向で前記コンテンツ画素から前記背景画素に切り替わる第二部分とを検出し、
前記第一部分に発生する第一の色ズレであって、マゼンタ色、青色または青紫色を有する前記第一の色ズレ、及び、前記第二部分に発生する第二の色ズレであって、黄色、緑色または黄緑色を有する前記第二の色ズレを補正し、
前記第一の色ズレの補正において、前記マゼンタ色の色ズレにおける色相成分の低減率は、前記青紫色の色ズレにおける色相成分の低減率より大きく、前記青紫色の色ズレにおける色相成分の低減率は、前記青色の色ズレにおける色相成分の低減率より大きく、かつ、前記黄色の色ズレにおける色相成分の低減率は、前記黄緑色の色ズレにおける色相成分の低減率より大きく、前記黄緑色の色ズレにおける色相成分の低減率は、前記緑色での色相成分の低減率より大きい、
画像処理方法。
【請求項5】
主走査方向に一列に配列された複数の撮像素子と、青色、赤色、緑色の光を所定の点灯順序で読取対象媒体に照射可能な光源とを有するイメージセンサにより読み取られた読取画像に対する画像処理であって、
前記読取画像において前記イメージセンサの副走査方向での色相の切り替わり部分を検出し、
前記切り替わり部分に発生する色ズレであって、前記切り替わり部分における前記色相の切り替わりの態様と、前記所定の点灯順序とに応じた前記色ズレを補正する、
前記画像処理をプロセッサに実行させるための画像処理プログラム
であって、
前記所定の点灯順序は、青色、赤色、緑色の順序であり、
前記読取画像は、コンテンツ画像を形成するコンテンツ画素と、前記コンテンツ画像以外の背景画像を形成する背景画素であって、前記コンテンツ画素に隣接する前記背景画素とを含み、
前記切り替わり部分として、前記副走査方向で前記背景画素から前記コンテンツ画素に切り替わる第一部分と、前記副走査方向で前記コンテンツ画素から前記背景画素に切り替わる第二部分とを検出し、
前記第一部分に発生する第一の色ズレであって、マゼンタ色、青色または青紫色を有する前記第一の色ズレ、及び、前記第二部分に発生する第二の色ズレであって、黄色、緑色または黄緑色を有する前記第二の色ズレを補正し、
前記第一の色ズレの補正において、前記マゼンタ色の色ズレにおける色相成分の低減率は、前記青紫色の色ズレにおける色相成分の低減率より大きく、前記青紫色の色ズレにおける色相成分の低減率は、前記青色の色ズレにおける色相成分の低減率より大きく、かつ、前記黄色の色ズレにおける色相成分の低減率は、前記黄緑色の色ズレにおける色相成分の低減率より大きく、前記黄緑色の色ズレにおける色相成分の低減率は、前記緑色での色相成分の低減率より大きい、
画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の技術は、画像処理装置、画像処理方法、及び、画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばスキャナ装置やコピー機等の画像読取装置には、コンタクトイメージセンサ(CIS:Contact Image Sensor)を使用したものがある。CISを使用した画像読取装置では、光源のLED(Light Emitting Diode)を例えばB光(青色光)→R光(赤色光)→G光(緑色光)→B光→R光→G光→B光→…という所定の点灯順序で点灯させて画像を読み取る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-060690号公報
【文献】特開2016-092474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
CISを使用した画像読取装置において光源のLEDを上記のような所定の点灯順序で点灯させて画像を読み取ると、CISによって読み取られた画像(以下では「読取画像」と呼ぶことがある)に「色ズレ」が発生してしまうことがある。例えば、読取画像が黒色の文字の画像(以下では「黒文字画像」と呼ぶことがある)である場合、黒文字画像の上端や下端に有彩色の色ズレが発生してしまうことがある。
【0005】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、読取画像に発生する色ズレを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の態様の画像処理装置は、イメージセンサにより読み取られた読取画像に対する画像処理を行う。前記イメージセンサは、主走査方向に一列に配列された複数の撮像素子と、青色、赤色、緑色の光を所定の点灯順序で読取対象媒体に照射可能な光源とを有する。前記画像処理装置は、記憶部と、検出部と、補正部とを有する。前記記憶部は、前記読取画像を記憶する。前記検出部は、前記読取画像において前記イメージセンサの副走査方向での色相の切り替わり部分を検出する。前記補正部は、前記切り替わり部分に発生する色ズレであって、前記切り替わり部分における前記色相の切り替わりの態様と、前記所定の点灯順序とに応じた前記色ズレを補正する。
【発明の効果】
【0007】
開示の態様によれば、読取画像に発生する色ズレを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施例1の画像読取装置の構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施例1の光源の点灯順序の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施例1の色ズレの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施例1の色ズレの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施例1の色ズレの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施例1の画像処理装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施例1の画像処理装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、実施例1の画像処理装置の動作例を示す図である。
【
図9】
図9は、実施例1の画像処理装置の動作例を示す図である。
【
図10】
図10は、実施例1の画像処理装置の動作例を示す図である。
【
図11】
図11は、実施例2の光源の点灯順序の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、実施例2の画像処理装置の動作例を示す図である。
【
図14】
図14は、実施例2の画像処理装置の動作例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願の開示する画像処理装置、画像処理方法、及び、画像処理プログラムの実施例を図面に基づいて説明する。なお、この実施例により本願の開示する画像処理装置、画像処理方法、及び、画像処理プログラムが限定されるものではない。また、実施例において同一の機能を有する構成、及び、同一の処理を行うステップには同一の符号を付す。
【0010】
以下では、黒文字画像をコンテンツ画像の一例に挙げて説明する。しかし、開示の技術を適用可能なコンテンツ画像は黒文字画像に限定されない。例えば、絵柄の画像や図形の画像等のコンテンツ画像に対しても開示の技術を適用可能である。
【0011】
[実施例1]
<画像読取装置の構成>
図1は、実施例1の画像読取装置の構成例を示す図である。
図1において、画像読取装置1は、CIS20と、点灯制御部31と、画像処理装置10とを有する。画像読取装置1の一例として、スキャナ装置、コピー機等が挙げられる。
【0012】
CIS20は、例えばLEDアレイによって形成される光源21と、CIS20の主走査方向に一列に配列された複数の撮像素子22とを有する。光源21は、B光(青色光)、R光(赤色光)、G光(緑色光)の各光を所定の点灯順序で読取対象媒体に照射可能である。B光、R光、G光の点灯順序と、B光、R光、G光の各点灯時間とは、点灯制御部31により制御される。読取対象媒体の一例として、黒色の文字が印刷されている白色の用紙が挙げられる。
【0013】
画像処理装置10は、記憶部11と、平滑化部12と、検出部13と、補正部14とを有する。
【0014】
CIS20によって読み取られた画像(つまり「読取画像」)は、記憶部11に記憶される。
【0015】
平滑化部12、検出部13、及び、補正部14は、読取画像に対する画像処理を行う。平滑化部12は、読取画像の彩度を平滑化する。検出部13は、彩度の平滑化後の読取画像(以下では「平滑化後画像」と呼ぶことがある)において、CIS20の副走査方向での色相の切り替わり部分(以下では「色相切替部分」と呼ぶことがある)を検出する。補正部14は、色相切替部分に発生する色ズレを補正する。平滑化部12、検出部13及び補正部14についての詳細は後述する。
【0016】
記憶部11は、ハードウェアとして、例えば、メモリにより実現される。メモリの一例として、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)等のRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等が挙げられる。
【0017】
点灯制御部31、平滑化部12、検出部13、及び、補正部14は、ハードウェアとして、例えばプロセッサにより実現される。プロセッサの一例として、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等が挙げられる。また、点灯制御部31、平滑化部12、検出部13、及び、補正部14は、プロセッサと周辺回路とを含むLSI(Large Scale Integrated circuit)によって実現されても良い。さらに、点灯制御部31、平滑化部12、検出部13、及び、補正部14は、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等を用いて実現されても良い。
【0018】
<光源の点灯順序と色ズレとの関係>
図2は、実施例1の光源の点灯順序の一例を示す図である。
図3~
図5は、実施例1の色ズレの一例を示す図である。
【0019】
図2に示すように、点灯制御部31は、CIS20の副走査方向への移動に伴って、一定の周期LTで、B光→R光→G光→B光→R光→G光→B光→…という所定の点灯順序OR1で光源21を点灯させる。周期LTは、CIS20の1ライン(1行)の読取周期に相当する。つまり、点灯順序OR1では、点灯制御部31は、周期LTの始端においてB光の点灯を開始し、B光を所定の点灯時間TB1だけ点灯させた後にB光をR光に切り替え、R光を所定の点灯時間TR1だけ点灯させた後にR光をG光に切り替え、G光を所定の点灯時間TG1だけ周期LTの終端まで点灯させる。また、点灯制御部31は、周期LTの1周期におけるB光、R光、G光の各点灯時間TB1,TR1,TG1の関係を「TB1=TG1」かつ「TB1,TG1<TR1」とする。
【0020】
以上のような点灯順序OR1及び点灯時間TB1,TR1,TG1で光源21を点灯させると、例えば読取画像に
図3に示すような「TEST」なる4つの黒文字画像が含まれる場合には、「TEST」の各文字の画像の上端部と下端部とに色ズレが発生することがある。以下では、黒文字画像の上端部を「黒文字画像上端部」と呼び、黒文字画像の下端部を「黒文字画像下端部」と呼ぶことがある。
図3に示すように、「T」の黒文字画像には、例えば1つの黒文字画像上端部と3つの黒文字画像下端部とが存在し、「E」の黒文字画像には、例えば3つの黒文字画像上端部と3つの黒文字画像下端部とが存在し、「S」の黒文字画像には、例えば4つの黒文字画像上端部と4つの黒文字画像下端部とが存在する。そして、「TEST」なる黒文字画像におけるこれらの黒文字画像上端部及び黒文字画像下端部に色ズレが発生する。
【0021】
例えば、「TEST」なる4つの黒文字画像において「T」の黒文字画像に注目すると、
図4に示すように、コンテンツ画像である黒文字画像「T」は、コンテンツ画素●から形成される。また、読取画像RIは、黒色のコンテンツ画像と、コンテンツ画像以外の白色の画像(以下では「背景画像」と呼ぶことがある)とを含み、背景画像は、
図4に示すように、背景画素○、背景画素△、及び、背景画素▽から形成される。背景画素○,△,▽のうち、背景画素△は、黒文字画像上端部においてコンテンツ画素●と隣接する背景画素(以下では「上端部隣接画素」と呼ぶことがある)であり、背景画素▽は、黒文字画像下端部においてコンテンツ画素●と隣接する背景画素(以下では「下端部隣接画素」と呼ぶことがある)である。そして、以上のような点灯順序OR1及び点灯時間TB1,TR1,TG1で光源21を点灯させると、上端部隣接画素△及び下端部隣接画素▽に、
図5に示すように、B光、R光、G光の各点灯タイミングに応じた特定の色相の色ズレが発生する。なお、
図5では図示を簡略にするために、B光、R光、G光の各点灯時間の長さが同一なものとして図示されているが、実際には上記のように、B光、R光、G光の各点灯時間TB1,TR1,TG1の関係は「TB1=TG1」かつ「TB1,TG1<TR1」である。
【0022】
図5において、状態A1には、B光の点灯開始タイミングに一致して黒文字画像上端部が訪れるとともに、G光の消灯タイミングに一致して黒文字画像下端部が訪れた状態を示す。状態A1では、上端部隣接画素△にも下端部隣接画素▽にも色ズレは発生しない。
【0023】
また、状態B1には、B光の点灯中に黒文字画像上端部が訪れた状態を示す。状態B1では、上端部隣接画素△に青色の色ズレが発生する。
【0024】
また、状態C1には、R光の点灯中またはG光の点灯中に黒文字画像上端部が訪れた状態を示す。状態C1では、上端部隣接画素△にマゼンタ色の色ズレが発生する。
【0025】
また、状態D1には、G光の点灯中に黒文字画像下端部が訪れた状態を示す。状態D1では、下端部隣接画素▽に緑色の色ズレが発生する。
【0026】
また、状態E1には、B光の点灯中またはR光の点灯中に黒文字画像下端部が訪れた状態を示す。状態E1では、下端部隣接画素▽に黄色の色ズレが発生する。
【0027】
このように、点灯順序OR1及び点灯時間TB1,TR1,TG1で光源21を点灯させると、上端部隣接画素△には、青色またはマゼンタ色を有する色ズレが発生する可能性があり、下端部隣接画素▽には、緑色または黄色を有する色ズレが発生する可能性がある。上端部隣接画素△における青色及びマゼンタ色の色ズレと、下端部隣接画素▽における緑色及び黄色の色ズレとの組合せは、「第一の種別の色ズレ」に該当する。また、上端部隣接画素△に発生する色ズレについては、マゼンタ色の色ズレの方が、青色の色ズレよりも発生率が高いため、上端部隣接画素△には、よりマゼンタ色に近い色相の色ズレが発生する可能性が高い。一方で、下端部隣接画素▽に発生する色ズレについては、黄色の色ズレの方が、緑色の色ズレよりも発生率が高いため、下端部隣接画素▽には、より黄色に近い色相の色ズレが発生する可能性が高い。
【0028】
<画像処理装置の処理・動作>
図6及び
図7は、実施例1の画像処理装置の処理の一例を示すフローチャートである。
図8~
図10は、実施例1の画像処理装置の動作例を示す図である。
【0029】
図6において、ステップS101では、平滑化部12は、記憶部11から読取画像RIを取得し、取得した読取画像RIを形成する全画素●,○,△,▽を対象として各画素の彩度を平均化することにより、読取画像RIの彩度を平滑化する。平滑化部12は、例えば、5画素×5画素のサイズの平滑化フィルタを用い、読取画像RIを形成する全画素●,○,△,▽において平滑化の対象となる画素(以下では「平滑化対象画素」と呼ぶことがある)を順次移動しながら、平滑化対象画素を中心とした左右上下2個分の合計25個の画素の彩度成分を平均し、平均後の彩度成分で平滑化対象画素の彩度成分を更新する。このように、例えば5画素×5画素のサイズの平滑化フィルタを用いて彩度の平滑化を行うことにより、色ズレを5分の1程度に低減することが可能になる。
【0030】
次いで、ステップS103では、検出部13は、平滑化後画像において、色相切替部分を検出する。
図7に、ステップS103で行われる色相切替部分の検出の処理フローを示す。
【0031】
図7において、ステップS201では、検出部13は、行カウンタnを「1」にリセットする。
【0032】
次いで、ステップS203では、検出部13は、列カウンタmを「1」にリセットする。
【0033】
次いで、ステップS205では、検出部13は、平滑化後画像に含まれるN×M個の全画素のうち、副走査方向におけるn行目(つまり、nライン目)、かつ、主走査方向におけるm列目の画素(つまり、n×m番目の画素)(以下では「注目画素」と呼ぶことがある)のRGBデータを周知の変換式に従ってYUVデータ(Y:輝度成分、UV:彩度成分)に変換し、注目画素をY成分(輝度成分)と、UV成分(彩度成分)とに分解する。
【0034】
次いで、ステップS207では、検出部13は、注目画素のUV成分(つまり、注目画素の彩度)が閾値TH1未満であるか否かを判定する。
【0035】
注目画素のUV成分が閾値TH1未満である場合は(ステップS207:Yes)、検出部13は、注目画素の色相が無彩色(白,黒またはグレー)であると判定し、処理はステップS211へ進む。
【0036】
一方で、注目画素のUV成分が閾値TH1以上である場合は(ステップS207:No)、ステップS209において、検出部13は、注目画素の色相が有彩色であると判定し、注目画素に「ラベルC」を付与する。ステップS209の処理後、処理はステップS217へ進む。
【0037】
ステップS211では、検出部13は、注目画素のY成分(つまり、注目画素の輝度)が閾値TH2以上であるか否かを判定する。
【0038】
注目画素のY成分が閾値TH2以上である場合は(ステップS211:Yes)、ステップS213において、検出部13は、注目画素の輝度が「ハイライト」であると判定し、注目画素に「ラベルH」を付与する。ステップS213の処理後、処理はステップS217へ進む。
【0039】
一方で、注目画素のY成分が閾値TH2未満である場合は(ステップS211:No)、ステップS215において、検出部13は、注目画素の輝度が「シャドー」であると判定し、注目画素に「ラベルS」を付与する。ステップS215の処理後、処理はステップS217へ進む。
【0040】
ステップS217では、検出部13は、列カウンタmが平滑後画像の全画素における列数Mに達しているか否かを判定する。列カウンタmが列数Mに達していない場合は(ステップS217:No)、処理はステップS219へ進む。一方で、列カウンタmが列数Mに達している場合は(ステップS217:Yes)、処理はステップS221へ進む。
【0041】
ステップS219では、検出部13は、列カウンタmをインクリメントする。ステップS219の処理後、処理はステップS205に戻る。
【0042】
一方、ステップS221では、検出部13は、行カウンタnが平滑後画像の全画素における行数Nに達しているか否かを判定する。行カウンタnが行数Nに達していない場合は(ステップS221:No)、処理はステップS223へ進む。一方で、行カウンタnが行数Nに達している場合は(ステップS221:Yes)、処理はステップS225へ進む。
【0043】
ステップS223では、検出部13は、行カウンタnをインクリメントする。ステップS223の処理後、処理はステップS203に戻る。
【0044】
以上のステップS201~S223の処理により、平滑後画像の全画素の各々に、ラベルC、ラベルH、または、ラベルSの何れかが付される。
【0045】
そして、ステップS225では、検出部13は、平滑後画像の全画素のラベルを調べ、副走査方向(つまり、列方向)において、ラベルHが付された画素(以下では「H画素」と呼ぶことがある)からラベルSが付された画素(以下では「S画素」と呼ぶことがある)への切替部分(以下では「HS切替部分」と呼ぶことがある)を検出するとともに、S画素からH画素への切替部分(以下では「SH切替部分」と呼ぶことがある)を検出する。つまり、平滑後画像の副走査方向での色相切替部分における色相の切り替わりの態様のうち、補正部14での補正の対象となる態様としては、ハイライトからシャドーへの切り替わり、及び、シャドーからハイライトへの切り替わりの2つの態様が存在する。
【0046】
よって例えば、上記の
図4において、H画素である上端部隣接画素△とS画素であるコンテンツ画素との副走査方向での境界、つまり、副走査方向で背景画素からコンテンツ画素に切り替わる部分が検出部13によってHS切替部分として検出される。また、上記の
図4において、S画素であるコンテンツ画素とH画素である下端部隣接画素▽との副走査方向での境界、つまり、副走査方向でコンテンツ画素から背景画素に切り替わる部分が検出部13によってSH切替部分として検出される。
【0047】
このようして、検出部13は、平滑後画像においてCIS20の副走査方向での色相の切り替わり部分を検出する。
【0048】
ステップS225の処理後、処理はステップS105(
図6)へ進む。
【0049】
図6に戻り、ステップS105では、補正部14は、以下のようにして、HS切替部分に発生する色ズレ(以下では「HS部分色ズレ」と呼ぶことがある)、及び、SH切替部分に発生する色ズレ(以下では「SH部分色ズレ」と呼ぶことがある)を補正する。
【0050】
ここで、以上のように、点灯順序OR1及び点灯時間TB1,TR1,TG1で光源21を点灯させると、HS切替部分を形成する上端部隣接画素△には、HS部分色ズレとして、青色またはマゼンタ色を有する色ズレが発生する可能性があり、SH切替部分を形成する下端部隣接画素▽には、SH部分色ズレとして、緑色または黄色を有する色ズレが発生する可能性がある。また、上端部隣接画素△に発生する色ズレ(つまり、HS部分色ズレ)については、マゼンタ色の色ズレの方が、青色の色ズレよりも発生率が高く、下端部隣接画素▽に発生する色ズレ(つまり、SH部分色ズレ)については、黄色の色ズレの方が、緑色の色ズレよりも発生率が高い。
【0051】
そこで、補正部14は、まず、上端部隣接画素△及び下端部隣接画素▽のRGBデータを周知の変換式に従ってXYZデータに変換し、さらに周知の変換式に従って、XYZデータをLabデータに変換する。Labデータにおいて、「L」は輝度成分であり、「ab」は彩度成分である。また、彩度成分abを用いると、
図8及び
図9に示すように、a軸(±a)とb軸(±b)との二次元の座標によって各画素の色相が表される。
図8及び
図9において、a及びbが0(ゼロ)に近づくほど色相は無彩色に近づく。
【0052】
なお、
図9では、a軸(±a)とb軸(±b)との二次元の座標によって表される色相の範囲を36°ずつ10分割することにより設定した10個の所定の範囲のそれぞれに各色相を割り当てた場合を一例として示す。
図9に示す例では、例えば、108°以上144°未満の範囲がマゼンタ色に相当し、144°以上180°未満の範囲が青紫色に相当し、180°以上216°未満の範囲が青色に相当する。また例えば、
図9に示す例では、324°以上360°未満の範囲が黄色に相当し、288°以上324°未満の範囲が黄緑色に相当し、252°以上288°未満の範囲が緑色に相当する。
【0053】
次いで、補正部14は、
図10に示すようにして、上端部隣接画素△及び下端部隣接画素▽の色ズレを補正する。
図10において、「L-in」は補正前の輝度成分、「a_in」は補正前のa、「b_in」は補正前のbを示し、「L_out」は補正後の輝度成分、「a_out」は補正後のa、「b_out」は補正後のbを示す。
【0054】
すなわち、
図10に示すように、補正部14は、上端部隣接画素△及び下端部隣接画素▽ともに、輝度成分Lを補正しない。
【0055】
また、補正部14は、上端部隣接画素△について、例えば、上端部隣接画素△の補正前の色相(つまり、上端部隣接画素△に発生する色ズレが有する色相)が(a_in,b_in)=(20,-20)である場合CS11には、(a_in,b_in)=(20,-20)を(a_out,b_out)=(2.0,-2.0)に補正する。(a_in,b_in)=(20,-20)によって特定される色相は、
図9に示すように、マゼンタ色に相当する。
【0056】
また、補正部14は、上端部隣接画素△について、例えば、上端部隣接画素△の補正前の色相が(a_in,b_in)=(5,-30)である場合CS12には、(a_in,b_in)=(5,-30)を(a_out,b_out)=(2.5,-15.0)に補正する。(a_in,b_in)=(5,-30)によって特定される色相は、
図9に示すように、青紫色に相当する。
【0057】
また、補正部14は、上端部隣接画素△について、例えば、上端部隣接画素△の補正前の色相が(a_in,b_in)=(-10,-30)である場合CS13には、(a_in,b_in)=(-10,-30)を(a_out,b_out)=(-9.0,-27.0)に補正する。(a_in,b_in)=(-10,-30)によって特定される色相は、
図9に示すように、青色に相当する。
【0058】
このように、場合CS11での色相成分の低減率は、場合CS12での色相成分の低減率より大きく、場合CS12での色相成分の低減率は、場合CS13での色相成分の低減率より大きいため、上端部隣接画素△についての色相成分の低減率の大きさを大,中,小の順に並べると、場合CS11,場合CS12,場合CS13の順になる(
図9及び
図10)。
【0059】
また、補正部14は、下端部隣接画素▽について、例えば、下端部隣接画素▽の補正前の色相(つまり、下端部隣接画素▽に発生する色ズレが有する色相)が(a_in,b_in)=(-5,30)である場合CS21には、(a_in,b_in)=(-5,30)を(a_out,b_out)=(-0.5,3.0)に補正する。(a_in,b_in)=(-5,30)によって特定される色相は、
図9に示すように、黄色に相当する。
【0060】
また、補正部14は、下端部隣接画素▽について、例えば、下端部隣接画素▽の補正前の色相が(a_in,b_in)=(-20,20)である場合CS22には、(a_in,b_in)=(-20,20)を(a_out,b_out)=(-10.0,10.0)に補正する。(a_in,b_in)=(-20,20)によって特定される色相は、
図9に示すように、黄緑色に相当する。
【0061】
また、補正部14は、下端部隣接画素▽について、例えば、下端部隣接画素▽の補正前の色相が(a_in,b_in)=(-30,0)である場合CS23には、(a_in,b_in)=(-30,0)を(a_out,b_out)=(-27.0,0)に補正する。(a_in,b_in)=(-30,0)によって特定される色相は、
図9に示すように、緑色に相当する。
【0062】
このように、場合CS21での色相成分の低減率は、場合CS22での色相成分の低減率より大きく、場合CS22での色相成分の低減率は、場合CS23での色相成分の低減率より大きいため、下端部隣接画素▽についての色相成分の低減率の大きさを大,中,小の順に並べると、場合CS21,場合CS22,場合CS23の順になる(
図9及び
図10)。
【0063】
補正部14は、
図10に示すような彩度成分の補正を、例えば、様々な複数の(a_in,b_in)に対して様々な複数の(a_out,b_out)が対応付けて設定された色相変換テーブルTB1を用いて行う。色相変換テーブルTB1は、予め記憶部11に記憶される。
【0064】
そして、補正部14は、彩度成分補正後の上端部隣接画素△及び下端部隣接画素▽のLabデータを周知の変換式に従ってXYZデータに逆変換し、さらに周知の変換式に従って、XYZデータをRGBデータに逆変換する。
【0065】
以上のように、補正部14は、第一の種別の色ズレが有する可能性がある特定の色相であるマゼンタ色、青紫色、青色、黄色、黄緑色、及び、緑色の彩度を低減させることにより第一の種別の色ズレを補正する。
【0066】
また、補正部14は、第一の種別の色ズレが有する可能性がある特定の色相であるマゼンタ色、青紫色、青色、黄色、黄緑色、及び、緑色の彩度に応じた低減率で彩度を低減させる。
【0067】
以上、実施例1について説明した。
【0068】
[実施例2]
実施例2では、光源21におけるB光、R光、G光の点灯順序が実施例1と異なる。以下、実施例1と相違する点について説明する。
【0069】
<光源の点灯順序と色ズレとの関係>
図11は、実施例2の光源の点灯順序の一例を示す図である。
図12は、実施例2の色ズレの一例を示す図である。
【0070】
図11に示すように、点灯制御部31は、CIS20の副走査方向への移動に伴って、一定の周期LTで、R光→B光→G光→R光→B光→G光→R光→…という所定の点灯順序OR2で光源21を点灯させる。周期LTは、CIS20の1ラインの読取周期に相当する。つまり、点灯順序OR2では、点灯制御部31は、周期LTの始端においてR光の点灯を開始し、R光を所定の点灯時間TR2だけ点灯させた後にR光をB光に切り替え、B光を所定の点灯時間TB2だけ点灯させた後にB光をG光に切り替え、G光を所定の点灯時間TG2だけ周期LTの終端まで点灯させる。また、点灯制御部31は、周期LTの1周期におけるR光、B光、G光の各点灯時間TR2,TB2,TG2の関係を「TR2=TG2」かつ「TR2,TG2<TB2」とする。
【0071】
以上のような点灯順序OR2及び点灯時間TR2,TB2,TG2で光源21を点灯させると、実施例1と同様に、黒文字画像上端部及び黒文字画像下端部の双方に色ズレが発生することがある。
【0072】
また、以上のような点灯順序OR2及び点灯時間TR2,TB2,TG2で光源21を点灯させると、上端部隣接画素△及び下端部隣接画素▽に、
図12に示すように、R光、B光、G光の各点灯タイミングに応じた特定の色相の色ズレが発生する。なお、
図12では図示を簡略にするために、R光、B光、G光の各点灯時間の長さが同一なものとして図示されているが、実際には上記のように、R光、B光、G光の各点灯時間TR2,TB2,TG2の関係は「TR2=TG2」かつ「TR2,TG2<TB2」である。
【0073】
図12において、状態A2には、R光の点灯開始タイミングに一致して黒文字画像上端部が訪れるとともに、G光の消灯タイミングに一致して黒文字画像下端部が訪れた状態を示す。状態A2では、上端部隣接画素△にも下端部隣接画素▽にも色ズレは発生しない。
【0074】
また、状態B2には、R光の点灯中に黒文字画像上端部が訪れた状態を示す。状態B2では、上端部隣接画素△に赤色の色ズレが発生する。
【0075】
また、状態C2には、B光の点灯中またはG光の点灯中に黒文字画像上端部が訪れた状態を示す。状態C2では、上端部隣接画素△にマゼンタ色の色ズレが発生する。
【0076】
また、状態D2には、G光の点灯中に黒文字画像下端部が訪れた状態を示す。状態D2では、下端部隣接画素▽に緑色の色ズレが発生する。
【0077】
また、状態E2には、R光の点灯中またはB光の点灯中に黒文字画像下端部が訪れた状態を示す。状態E2では、下端部隣接画素▽にシアン色の色ズレが発生する。
【0078】
このように、点灯順序OR2及び点灯時間TR2,TB2,TG2で光源21を点灯させると、上端部隣接画素△には、赤色またはマゼンタ色を有する色ズレが発生する可能性があり、下端部隣接画素▽には、緑色またはシアン色を有する色ズレが発生する可能性がある。上端部隣接画素△における赤色及びマゼンタ色の色ズレと、下端部隣接画素▽における緑色及びシアン色の色ズレとの組合せは、「第二の種別の色ズレ」に該当する。また、上端部隣接画素△に発生する色ズレについては、マゼンタ色の色ズレの方が、赤色の色ズレよりも発生率が高いため、上端部隣接画素△には、よりマゼンタ色に近い色相の色ズレが発生する可能性が高い。一方で、下端部隣接画素▽に発生する色ズレについては、シアン色の色ズレの方が、緑色の色ズレよりも発生率が高いため、下端部隣接画素▽には、よりシアン色に近い色相の色ズレが発生する可能性が高い。
【0079】
<画像処理装置の処理・動作>
図13及び
図14は、実施例2の画像処理装置の動作例を示す図である。
【0080】
図6のステップS105では、補正部14は、以下のようにして、HS部分色ズレ及びSH部分色ズレを補正する。
【0081】
ここで、以上のように、点灯順序OR2及び点灯時間TR2,TB2,TG2で光源21を点灯させると、HS切替部分を形成する上端部隣接画素△には、HS部分色ズレとして、赤色またはマゼンタ色を有する色ズレが発生する可能性があり、SH切替部分を形成する下端部隣接画素▽には、SH部分色ズレとして、緑色またはシアン色を有する色ズレが発生する可能性がある。また、上端部隣接画素△に発生する色ズレ(つまり、HS部分色ズレ)については、マゼンタ色の色ズレの方が、赤色の色ズレよりも発生率が高く、下端部隣接画素▽に発生する色ズレ(つまり、SH部分色ズレ)については、シアン色の色ズレの方が、緑色の色ズレよりも発生率が高い。
【0082】
そこで、補正部14は、実施例1と同様に、まず、上端部隣接画素△及び下端部隣接画素▽のRGBデータを周知の変換式に従ってXYZデータに変換し、さらに周知の変換式に従って、XYZデータをLabデータに変換する。
【0083】
次いで、補正部14は、
図13に示すようにして、上端部隣接画素△及び下端部隣接画素▽の色ズレを補正する。
【0084】
すなわち、
図13に示すように、補正部14は、上端部隣接画素△及び下端部隣接画素▽ともに、輝度成分Lを補正しない。
【0085】
また、補正部14は、上端部隣接画素△について、例えば、上端部隣接画素△の補正前の色相(つまり、上端部隣接画素△に発生する色ズレが有する色相)が(a_in,b_in)=(20,-20)である場合CS31には、(a_in,b_in)=(20,-20)を(a_out,b_out)=(2.0,-2.0)に補正する。(a_in,b_in)=(20,-20)によって特定される色相は、
図14に示すように、マゼンタ色に相当する。
【0086】
また、補正部14は、上端部隣接画素△について、例えば、上端部隣接画素△の補正前の色相が(a_in,b_in)=(30,0)である場合CS32には、(a_in,b_in)=(30,0)を(a_out,b_out)=(15.0,0)に補正する。(a_in,b_in)=(30,0)によって特定される色相は、
図14に示すように、赤紫色に相当する。
【0087】
また、補正部14は、上端部隣接画素△について、例えば、上端部隣接画素△の補正前の色相が(a_in,b_in)=(20,20)である場合CS33には、(a_in,b_in)=(20,20)を(a_out,b_out)=(18.0,18.0)に補正する。(a_in,b_in)=(20,20)によって特定される色相は、
図14に示すように、赤色に相当する。
【0088】
このように、場合CS31での色相成分の低減率は、場合CS32での色相成分の低減率より大きく、場合CS32での色相成分の低減率は、場合CS33での色相成分の低減率より大きいため、上端部隣接画素△についての色相成分の低減率の大きさを大,中,小の順に並べると、場合CS31,場合CS32,場合CS33の順になる(
図13及び
図14)。
【0089】
また、補正部14は、下端部隣接画素▽について、例えば、下端部隣接画素▽の補正前の色相(つまり、下端部隣接画素▽に発生する色ズレが有する色相)が(a_in,b_in)=(-20,-20)である場合CS41には、(a_in,b_in)=(-20,-20)を(a_out,b_out)=(-2.0,-2.0)に補正する。(a_in,b_in)=(-20,-20)によって特定される色相は、
図14に示すように、シアン色に相当する。
【0090】
また、補正部14は、下端部隣接画素▽について、例えば、下端部隣接画素▽の補正前の色相が(a_in,b_in)=(-25,-10)である場合CS42には、(a_in,b_in)=(-25,-10)を(a_out,b_out)=(-12.5,-5.0)に補正する。(a_in,b_in)=(-25,-10)によって特定される色相は、
図14に示すように、シアン緑色に相当する。
【0091】
また、補正部14は、下端部隣接画素▽について、例えば、下端部隣接画素▽の補正前の色相が(a_in,b_in)=(-30,0)である場合CS43には、(a_in,b_in)=(-30,0)を(a_out,b_out)=(-27.0,0)に補正する。(a_in,b_in)=(-30,0)によって特定される色相は、
図14に示すように、緑色に相当する。
【0092】
このように、場合CS41での色相成分の低減率は、場合CS42での色相成分の低減率より大きく、場合CS42での色相成分の低減率は、場合CS43での色相成分の低減率より大きいため、下端部隣接画素▽についての色相成分の低減率の大きさを大,中,小の順に並べると、場合CS41,場合CS42,場合CS43の順になる(
図13及び
図14)。
【0093】
なお、
図14では、
図9と同様に、a軸(±a)とb軸(±b)との二次元の座標によって表される色相の範囲を36°ずつ10分割することにより設定した10個の所定の範囲のそれぞれに各色相を割り当てた場合を一例として示す。
図14に示す例では、
図9と同様に、例えば、108°以上144°未満の範囲がマゼンタ色に相当し、144°以上180°未満の範囲が青紫色に相当し、180°以上216°未満の範囲が青色に相当する。また例えば、
図14に示す例では、
図9と同様に、324°以上360°未満の範囲が黄色に相当し、288°以上324°未満の範囲が黄緑色に相当し、252°以上288°未満の範囲が緑色に相当する。
【0094】
補正部14は、
図13に示すような彩度成分の補正を、例えば、様々な複数の(a_in,b_in)に対して様々な複数の(a_out,b_out)が対応付けて設定された色相変換テーブルTB2を用いて行う。色相変換テーブルTB2は、予め記憶部11に記憶される。
【0095】
そして、補正部14は、彩度成分補正後の上端部隣接画素△及び下端部隣接画素▽のLabデータを周知の変換式に従ってXYZデータに逆変換し、さらに周知の変換式に従って、XYZデータをRGBデータに逆変換する。
【0096】
以上のように、補正部14は、第二の種別の色ズレが有する可能性がある特定の色相であるマゼンタ色、赤紫色、赤色、シアン色、シアン緑色、及び、緑色の彩度を低減させることにより第二の種別の色ズレを補正する。
【0097】
また、補正部14は、第二の種別の色ズレが有する可能性がある特定の色相であるマゼンタ色、赤紫色、赤色、シアン色、シアン緑色、及び、緑色の彩度に応じた低減率で彩度を低減させる。
【0098】
以上、実施例2について説明した。
【0099】
なお、実施例1及び実施例2において、画像処理装置10から平滑化部12を省き、検出部13が、記憶部11に記憶されている読取画像、つまり、彩度が平滑化されていない読取画像に対してステップS103(
図6)の処理を施しても良い。例えば、補正部14だけで補正することが困難な過度な色ズレが読取画像に発生する場合に、補正部14での補正の前処理として、平滑化部12が読取画像の彩度の平滑化を行うと良い。また例えば、読取画像の画像ファイルのサイズを圧縮したい場合に読取画像の彩度の平滑化を行うと良い。
【0100】
以上のように実施例1及び実施例2では、画像処理装置10は、読取画像に対する画像処理を行う。CIS20は、CIS20の主走査方向に一列に配列された複数の撮像素子22と、青色、赤色、緑色の光を所定の点灯順序で読取対象媒体に照射可能な光源21とを有する。また、画像処理装置10は、記憶部11と、検出部13と、補正部14とを有する。記憶部11は、読取画像を記憶する。検出部13は、読取画像において色相切替部分を検出する。補正部14は、色相切替部分に発生する色ズレであって、色相切替部分における色相の切り替わりの態様と、青色、赤色、緑色の光の所定の点灯順序とに応じた色ズレを補正する。
【0101】
こうすることで、読取画像に発生する色ズレを低減することができる。また、色相切替部分における色相の切り替わりの態様と、青色、赤色、緑色の光の所定の点灯順序とに応じた色ズレを補正することで、色相が限定される色ズレを重点的に補正することが可能になるため、色ズレの低減効果を高めることができる。
【0102】
また、実施例1及び実施例2では、検出部13は、色相切替部分として、副走査方向で背景画素からコンテンツ画素に切り替わるHS切替部分と、副走査方向でコンテンツ画素から背景画素に切り替わるSH切替部分とを検出する。
【0103】
また、実施例1では、補正部14は、マゼンタ色または青色を有するHS部分色ズレ、及び、黄色または緑色を有するSH部分色ズレを補正する。
【0104】
また、実施例2では、補正部14は、マゼンタ色または赤色を有するHS部分色ズレ、及び、シアン色または緑色を有するSH部分色ズレを補正する。
【0105】
こうすることで、読取画像においてHS切替部分とSH切替部分とに対してだけ色ズレ補正が行われるため、効率的に色ズレの補正を行うことができる。また、HS切替部分とSH切替部分とのそれぞれに応じた最適な補正を行うことができる。
【0106】
また、実施例1及び実施例2では、補正部14は、色ズレの種別に応じた特定の色相の彩度を低減させることにより色ズレを補正する。
【0107】
こうすることで、色ズレを効率的に補正することができる。
【0108】
また、実施例1及び実施例2では、補正部14は、色ズレの種別に応じた特定の色相の彩度に応じた低減率で、色ズレの種別に応じた特定の色相の彩度を低減させる。
【0109】
こうすることで、色ズレの種別に応じて色相が限定される色ズレを重点的に補正することができる。
【0110】
また、実施例1及び実施例2では、画像処理装置10は、平滑化部12を有する。平滑化部12は、読取画像の彩度を平滑化する。そして、検出部13は、平滑化後画像において色相切替部分を検出する。
【0111】
こうすることで、読取画像に過度な色ズレが発生している場合でも、補正部14が補正可能な範囲に色ズレの度合を収めることができる。
【0112】
また、実施例1及び実施例2におけるコンテンツ画像は黒文字画像である。
【0113】
こうすることで、OCR(Optical Character Recognition)の認識精度を向上させることができる。
【0114】
[実施例3]
画像処理装置10での上記説明における各処理の全部または一部は、各処理に対応するプログラムを画像処理装置10が有するプロセッサに実行させることによって実現しても良い。例えば、上記説明における各処理に対応するプログラムが記憶部11に記憶され、プログラムがプロセッサによって記憶部11から読み出されて実行されても良い。また、プログラムは、任意のネットワークを介して画像処理装置10に接続されたプログラムサーバに記憶され、そのプログラムサーバから画像処理装置10にダウンロードされて実行されたり、画像処理装置10が読み取り可能な記録媒体に記憶され、その記録媒体から読み出されて実行されても良い。画像処理装置10が読み取り可能な記録媒体には、例えば、メモリカード、USBメモリ、SDカード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD、及び、Blu-ray(登録商標)ディスク等の可搬の記憶媒体が含まれる。また、プログラムは、任意の言語や任意の記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードやバイナリコード等の形式を問わない。また、プログラムは必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールや複数のライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものも含む。
【0115】
画像処理装置10の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、画像処理装置10の全部または一部を、各種の付加等に応じて、または、機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0116】
実施例1及び実施例2では、画像処理装置10が画像読取装置1に搭載される場合を一例として挙げた。しかし、画像処理装置10は、画像読取装置に搭載されず、コンピュータ装置のように、画像読取装置とは別の装置として存在しても良い。
【0117】
以上、実施例3について説明した。
【符号の説明】
【0118】
1 画像読取装置
20 CIS
21 光源
22 撮像素子
31 点灯制御部
10 画像処理装置
11 記憶部
12 平滑化部
13 検出部
14 補正部