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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-01
(45)【発行日】2022-11-10
(54)【発明の名称】歪みセンサ
(51)【国際特許分類】
   G01L 5/1627 20200101AFI20221102BHJP
   G01L 5/165 20200101ALI20221102BHJP
【FI】
G01L5/1627
G01L5/165
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019100254
(22)【出願日】2019-05-29
(65)【公開番号】P2020193894
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2021-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】594094205
【氏名又は名称】日本リニアックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森本 英夫
【審査官】公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-080931(JP,A)
【文献】特開2017-187399(JP,A)
【文献】特開平05-215627(JP,A)
【文献】特開2004-117293(JP,A)
【文献】特開2001-272203(JP,A)
【文献】特開平02-167440(JP,A)
【文献】米国特許第07301352(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 5/1627
G01L 5/165
G01L 1/14
G01L 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
起歪体に設けられ、当該起歪体の歪みにより電気抵抗が変化する複数の歪みゲージと、
非反転入力端子および反転入力端子を有する複数のオペアンプと、
複数の前記歪みゲージを含むブリッジ回路とを備え、
前記ブリッジ回路は、並列に接続された2つ以上の直列回路により構成され、
複数の前記直列回路の各々は、ブリッジ出力を有するとともに、当該ブリッジ出力は、直列に接続された2つの前記歪みゲージの中間点、または、直列に接続された固定抵抗と前記歪みゲージとの中間点により構成され、
少なくとも1つの前記オペアンプが有する前記非反転入力端子および前記反転入力端子の一方には、複数の前記ブリッジ出力のうちの1つのみが接続され、他方には、複数の前記ブリッジ出力のうちの他の1つのみが接続され
1つの前記ブリッジ出力は、複数の前記オペアンプのうちの一のオペアンプの前記非反転入力端子に接続されるとともに、複数の前記オペアンプのうちの他のオペアンプの前記反転入力端子に接続されている
ことを特徴とする歪みセンサ。
【請求項2】
3つ以上かつ前記オペアンプと同数以上の前記歪みゲージを備え、
前記ブリッジ回路は、並列に接続された3つ以上の直列回路により構成され、
前記直列回路の各々は、1つ以上の前記歪みゲージにより構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の歪みセンサ。
【請求項3】
起歪体に設けられ、当該起歪体の変位により静電容量が変化する複数の可変キャパシタと、
非反転入力端子および反転入力端子を有する複数のオペアンプとを備え、
少なくとも1つの前記オペアンプが有する前記非反転入力端子および前記反転入力端子の一方には、一の前記可変キャパシタが接続され、他方には、他の前記可変キャパシタが接続され、
1つの前記可変キャパシタは、複数の前記オペアンプのうちの一のオペアンプの前記非反転入力端子に接続されるとともに、複数の前記オペアンプのうちの他のオペアンプの前記反転入力端子に接続されている
ことを特徴とする歪みセンサ。
【請求項4】
3つ以上かつ前記オペアンプと同数以上の前記可変キャパシタを備えている
ことを特徴とする請求項3に記載の歪みセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、起歪体の歪みを検出する歪み検出素子を備えた歪みセンサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、歪みゲージ式センサが記載されている。当該歪みゲージ式センサは、歪み検出素子である歪みゲージを備えており、ハーフブリッジ回路を構成する2つの歪みゲージの中間点の電圧がオペアンプに入力され、互いに直交する3軸に平行な力と当該3軸まわりのモーメントとを算出する。
【0003】
一般的に、ハーフブリッジ回路と増幅回路であるオペアンプとは、1対1の関係で設けられており、各オペアンプの非反転入力端子は、2つの歪みゲージの中間点に接続され、各オペアンプの反転入力端子は、分圧回路を構成する2つの固定抵抗の中間点に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-96230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、6個のハーフブリッジ回路に対して上記構成を適用すると、ハーフブリッジ回路と同数のオペアンプと分圧回路が必要となる結果、歪みゲージと同じ数(12個)の固定抵抗とが必要になる。そのため、回路の構成部品が多く、製造コストがかかるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、製造コストを低減することができる歪みセンサを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の歪みセンサは、起歪体に設けられ、当該起歪体の歪みにより電気抵抗が変化する複数の歪みゲージと、非反転入力端子および反転入力端子を有する複数のオペアンプと、複数の前記歪みゲージを含むブリッジ回路とを備え、前記ブリッジ回路は、並列に接続された2つ以上の直列回路により構成され、複数の前記直列回路の各々は、ブリッジ出力を有するとともに、当該ブリッジ出力は、直列に接続された2つの前記歪みゲージの中間点、または、直列に接続された固定抵抗と前記歪みゲージとの中間点により構成され、少なくとも1つの前記オペアンプが有する前記非反転入力端子および前記反転入力端子の一方には、複数の前記ブリッジ出力のうちの1つのみが接続され、他方には、複数の前記ブリッジ出力のうちの他の1つのみが接続され、1つの前記ブリッジ出力は、複数の前記オペアンプのうちの一のオペアンプの前記非反転入力端子に接続されるとともに、複数の前記オペアンプのうちの他のオペアンプの前記反転入力端子に接続されていることを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、オペアンプが有する非反転入力端子および反転入力端子には異なるブリッジ出力が接続されるため、当該オペアンプに一定の電圧を出力する分圧回路を接続する必要が無くなる。そのため、回路の構成部品を少なくして、歪みセンサの製造コストを低減することができる。
【0009】
請求項2に記載の歪みセンサは、請求項1に記載の歪みセンサにおいて、3つ以上かつ前記オペアンプと同数以上の前記歪みゲージを備え、前記ブリッジ回路は、並列に接続された3つ以上の直列回路により構成され、前記直列回路の各々は、1つ以上の前記歪みゲージにより構成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の歪みセンサは、起歪体に設けられ、当該起歪体の変位により静電容量が変化する複数の可変キャパシタと、非反転入力端子および反転入力端子を有する複数のオペアンプとを備え、少なくとも1つの前記オペアンプが有する前記非反転入力端子および前記反転入力端子の一方には、一の前記可変キャパシタが接続され、他方には、他の前記可変キャパシタが接続され、1つの前記可変キャパシタは、複数の前記オペアンプのうちの一のオペアンプの前記非反転入力端子に接続されるとともに、複数の前記オペアンプのうちの他のオペアンプの前記反転入力端子に接続されていることを特徴とする。
【0012】
上記構成によれば、オペアンプが有する非反転入力端子および反転入力端子には異なる可変キャパシタが接続されるため、当該オペアンプに一定の電圧を出力する分圧回路を接続する必要が無くなる。そのため、回路の構成部品を少なくして、歪みセンサの製造コストを低減することができる。
【0013】
請求項4に記載の歪みセンサは、請求項3に記載の歪みセンサにおいて、3つ以上かつ前記オペアンプと同数以上の前記可変キャパシタを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、構成部品を少なくして製造コストを低減できる歪みセンサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】(A)および(B)は、本発明の第1実施形態に係る歪みセンサの概要図である。
図2】(A)~(F)は、起歪体に作用する力およびモーメントを示す斜視図である。
図3】第1実施形態に係る歪みセンサが備える電気回路の概略構成図である。
図4】同実施形態に係る歪みセンサの出力の一例を示すグラフである。
図5】(A)および(B)は、本発明の第2実施形態に係る歪みセンサの概要図である。
図6】第2実施形態に係る歪みセンサが備える電気回路の概略構成図である。
図7】(A)および(B)は、本発明の変形例に係る歪みセンサが備える電気回路の概略構成図である。
図8】本発明の変形例に係る歪みセンサが備える電気回路の概略構成図である。
図9】本発明の変形例に係る歪みセンサが備える電気回路の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面を参照して、本発明の歪みセンサを具体化した複数の実施形態を説明する。なお、図中の一点鎖線は、X軸、Y軸、および、Z軸を示しており、これらの3軸は、センサ原点Pで互いに直交している。
【0018】
(第1実施形態)
図1(A)は、第1実施形態に係る歪みセンサ1の断面を簡略化して示す図であり、図1(B)は、歪みセンサ1が備える歪みゲージRの配置を示す図である。図1(A)は、図1(B)中の二点鎖線で示すS-S線に沿った断面図である。
【0019】
図1(A)に示すように、歪みセンサ1は、起歪体10と、蓋体20と、複数の歪み検出素子としての歪みゲージRとを備えた歪みゲージ式センサである。歪みセンサ1は、歪みゲージRの電気抵抗の変化量に基づいて、起歪体10に作用した力およびモーメントを検出する。
【0020】
起歪体10は、下段部10Aと、上段部10Bと、連結部10Cとにより構成されている。起歪体10の一端を構成する下段部10Aには、歪みゲージRが設けられており、起歪体10の他端を構成する上段部10Bには、歪みセンサ1の取付対象物(不図示)が設けられる。また、起歪体10は、下段部10Aおよび上段部10Bの各々をZ軸方向に薄くして形成されたダイアフラム部11を有している。連結部10Cは、ダイアフラム部11に設けられており、下段部10Aと上段部10Bとを連結している。下段部10A、上段部10B、および、連結部10Cは、それぞれ別々に製作した後に溶接で接合またはボルト等で締結して一体化してもよいし、単一の材料を切削加工することで下段部10A、上段部10B、および、連結部10Cを一体的に形成してもよい。
【0021】
蓋体20は、起歪体10の一端部に設けられており、歪みゲージRを収納する空間を形成している。すなわち、蓋体20は、下段部10Aに取り付けられて起歪体10を支持するとともに、起歪体10に設けられた歪みゲージRを覆っている。
【0022】
歪みゲージRは、金属薄膜または半導体薄膜により構成されている。歪みゲージRは、ダイアフラム部11に設けられており、起歪体10が歪むことによって伸長および収縮する。歪みゲージRの電気抵抗は、起歪体10の歪みにより変化する。具体的には、歪みゲージRの電気抵抗は、その歪みゲージRが設けられた起歪体10の一部が伸長することによって増加し、当該一部が収縮することによって減少する。
【0023】
図1(B)は、起歪体10の一端面である下段部10Aの端面、すなわち、歪みゲージRが設けられている面を示している。図1(B)において、歪みゲージRに接続されているリード線、および、蓋体20の図示は省略している。
【0024】
図1(B)に示すように、起歪体10には、ダイアフラム部11として、センサ原点Pから等間隔、かつ、Z軸まわりに等角度(120°)間隔で3つの円形状のダイアフラム部11A,11B,11Cが設けられている。各ダイアフラム部11A,11B,11Cの中央に、連結部10Cが設けられている。
【0025】
歪みセンサ1は、複数の歪みゲージRとして、12個の歪みゲージR11~R14,R21~R24,R31~R34を備えている。歪みゲージR11~R14と、歪みゲージR21~R24と、歪みゲージR31~R34とは、異なるダイアフラム部11A,11B,11Cに設けられており、それぞれ一列に並ぶように配置されている。歪みゲージR11~R14、歪みゲージR21~R24、および、歪みゲージR31~R34は、それらの並び方向において大きな電気抵抗の変化が発生するように配置されている。歪みゲージR11,R14,R21,R24,R31,R34は、ダイアフラム部11A,11B,11Cの外縁に設けられ、歪みゲージR12,R13,R22,R23,R32,R33は、連結部10Cの近傍に設けられている。
【0026】
図2を参照して、X軸に平行な力Fx、Y軸に平行な力Fy、Z軸に平行な力Fz、X軸まわりのモーメントMx、Y軸まわりのモーメントMy、および、Z軸まわりのモーメントMzの各々を起歪体10の上段部10Bに個別に作用させたときの、歪みゲージR11~R14,R21~R24,R31~R34の電気抵抗の変化を説明する。
【0027】
図2(A)に示すように、上段部10BにX軸に平行な力Fxを作用させると、歪みゲージR11,R13,R22,R24,R31,R33は伸長し、それらの電気抵抗は増加する。一方で、歪みゲージR12,R14,R21,R23,R32,R34は収縮し、それらの電気抵抗は減少する。
【0028】
図2(B)に示すように、上段部10BにY軸に平行な力Fyを作用させると、歪みゲージR11,R13,R32,R34は伸長し、それらの電気抵抗は増加する。一方で、歪みゲージR12,R14,R31,R33は収縮し、それらの電気抵抗は減少する。歪みゲージR21~R24は、それらの近傍に設けられた連結部10Cに対してY軸に垂直な方向に並んでいるため、それらの電気抵抗は略変化しない。
【0029】
図2(C)に示すように、上段部10BにZ軸に平行な力Fzを作用させると、各連結部10Cの近傍に配置された歪みゲージR12,R13,R22,R23,R32,R33は伸長し、それらの電気抵抗は増加する。一方で、歪みゲージR11,R14,R21,R24,R31,R34は収縮し、それらの電気抵抗は減少する。
【0030】
図2(D)に示すように、上段部10BにX軸まわりのモーメントMxを作用させると、力Fzを作用させたときと同様に、連結部10Cの近傍に配置された歪みゲージR22,R23の電気抵抗は増加するとともに、歪みゲージR21,R24の電気抵抗は減少する。一方で、歪みゲージR12,R13,R32,R33の電気抵抗は減少するとともに、歪みゲージR11,R14,R31,R34の電気抵抗は増加する。
【0031】
図2(E)に示すように、上段部10BにY軸まわりのモーメントMyを作用させると、力Fzを作用させたときと同様に、連結部10Cの近傍に配置された歪みゲージR12,R13の電気抵抗は増加するとともに、歪みゲージR11,R14の電気抵抗は減少する。一方で、歪みゲージR32,R33の電気抵抗は減少するとともに、歪みゲージR31,R34の電気抵抗は増加する。歪みゲージR21~24の近傍の連結部10CがY軸の近くに位置するため、歪みゲージR21~24の電気抵抗は略変化しない。
【0032】
図2(F)に示すように、上段部10BにZ軸まわりのモーメントMzを作用させると、歪みゲージR11,R13,R21,R23,R31,R33は収縮し、それらの電気抵抗は減少する。一方で、歪みゲージR12,R14,R22,R24,R32,R34は伸長し、それらの電気抵抗は増加する。
【0033】
以上のように、X軸に平行な力Fx、Y軸に平行な力Fy、Z軸に平行な力Fz、X軸まわりのモーメントMx、Y軸まわりのモーメントMy、および、Z軸まわりのモーメントMzの各々を起歪体10に作用させたときの、歪みゲージR11~R14,R21~R24,R31~R34の電気抵抗の変化を下記の[表1]にまとめる。表中の「+」は電気抵抗が増加することを示し、表中の「-」は電気抵抗が減少することを示している。また、空欄は、電気抵抗が略変化しないことを示している。なお、図2(A)~(C)中の力Fx,Fy,Fzと反対方向の力、および、図2(D)~(F)中のモーメントMx,My,Mzと反対方向のモーメントを、上段部10Bに作用させた場合は、表中の符号は逆になる。
【0034】
【表1】
【0035】
図3は、歪みセンサ1が備える回路構成を示している。
図3に示すように、歪みゲージR12,R11、歪みゲージR13,R14、歪みゲージR21,R22、歪みゲージR24,R23、歪みゲージR32,R31、および、歪みゲージR33,R34は、それぞれ、直列に接続されている。
【0036】
また、歪みセンサ1は、歪みゲージR11~R14,R21~R24,R31~R34により構成されたブリッジ回路Bと、ブリッジ回路Bに接続された6個のオペアンプA1~A6とを備えている。
【0037】
ブリッジ回路Bは、並列に接続された複数の直列回路B1~B6を備えており、直列回路B1~B6の各々は、ブリッジ出力を有している。具体的には、直列回路B1のブリッジ出力は、歪みゲージR12,R11の中間点P1により構成され、直列回路B2のブリッジ出力は、歪みゲージR13,R14の中間点P2により構成され、直列回路B3のブリッジ出力は、歪みゲージR21,R22の中間点P3により構成され、直列回路B4のブリッジ出力は、歪みゲージR24,R23の中間点P4により構成され、直列回路B5のブリッジ出力は、歪みゲージR32,R31の中間点P5により構成され、直列回路B6のブリッジ出力は、歪みゲージR33,R34の中間点P6により構成されている。
【0038】
オペアンプA1~A6は、非反転入力端子と反転入力端子とを有する差動増幅回路により構成されている。オペアンプA1~A6は、非反転入力端子に入力された電圧と反転入力端子に入力された電圧との差分を増幅して、出力端子から出力する。
【0039】
各オペアンプA1~A6の非反転入力端子および反転入力端子は、以下の箇条書きに記すようにブリッジ回路Bが有するブリッジ出力に接続されている。
・オペアンプA1の非反転入力端子-歪みゲージR12,R11の中間点P1
・オペアンプA1の反転入力端子‐歪みゲージR33,R34の中間点P6
・オペアンプA2の非反転入力端子-歪みゲージR13,R14の中間点P2
・オペアンプA2の反転入力端子-歪みゲージR12,R11の中間点P1
・オペアンプA3の非反転入力端子-歪みゲージR21,R22の中間点P3
・オペアンプA3の反転入力端子-歪みゲージR13,R14の中間点P2
・オペアンプA4の非反転入力端子-歪みゲージR24,R23の中間点P4
・オペアンプA4の反転入力端子-歪みゲージR21,R22の中間点P3
・オペアンプA5の非反転入力端子-歪みゲージR32,R31の中間点P5
・オペアンプA5の反転入力端子-歪みゲージR24,R23の中間点P4
・オペアンプA6の非反転入力端子-歪みゲージR33,R34の中間点P6
・オペアンプA6の反転入力端子-歪みゲージR32,R31の中間点P5
【0040】
以上のように、オペアンプA1~A6が有する非反転入力端子および反転入力端子の一方には、複数のブリッジ出力のうちの1つのみが接続され、他方には、複数のブリッジ出力のうちの他の1つのみが接続されている。すなわち、オペアンプA1~A6の非反転入力端子と反転入力端子には、互いに異なるブリッジ出力(中間点P1~P6)が1つずつ接続されている。具体的には、オペアンプA1の非反転入力端子および反転入力端子には、互いに異なるブリッジ出力である中間点P1,P6が接続され、オペアンプA2の非反転入力端子および反転入力端子には、互いに異なるブリッジ出力である中間点P2,P1が接続され、オペアンプA3の非反転入力端子および反転入力端子には、互いに異なるブリッジ出力である中間点P3,P2が接続され、オペアンプA4の非反転入力端子および反転入力端子には、互いに異なるブリッジ出力である中間点P4,P3が接続され、オペアンプA5の非反転入力端子および反転入力端子には、互いに異なるブリッジ出力である中間点P5,P4が接続され、オペアンプA6の非反転入力端子および反転入力端子には、互いに異なるブリッジ出力である中間点P6,P5が接続されている。換言すれば、1つのブリッジ出力は、複数のオペアンプA1~A6のうちの2つに入力される。
【0041】
また、歪みセンサ1は、オペアンプA1~A6の出力V1~V6に基づいて、起歪体10に作用した3軸(X軸、Y軸、Z軸)に平行な力Fx,Fy,Fzと3軸まわりのモーメントMx,My,Mzとを算出する演算回路(図示略)を備えている。具体的には、演算回路は、以下の[数1]の式に基づいて、3軸に平行な力Fx,Fy,Fzと、3軸まわりのモーメントMx,My,Mzとを算出する。なお、6行6列の変換行列Tは、図2に示すように所定の力Fx,Fy,FzおよびモーメントMx,My,Mzを起歪体10に個別に作用させたときの出力V1~V6の計測結果に基づいて算出することができる。具体的には、例えば、10Nの力Fx、10Nの力Fy、20Nの力Fz、15N・cmのモーメントMx、15N・cmのモーメントMy、および、15N・cmのモーメントMzを上段部10Bに個別に作用させたときの出力V1~V6を計測し、力Fx,Fy,FzおよびモーメントMx,My,Mzに掛け合わせることで出力V1~V6が算出される6行6列の特性行列Aを算出し、この特性行列Aの逆行列を変換行列Tとして算出することができる。
【0042】
【数1】
【0043】
図4は、所定の力Fx,Fy,FzおよびモーメントMx,My,Mzを起歪体10に個別に作用させたときの、出力V1~V6のうちの最大出力電圧(絶対値)の計測結果を示すグラフである。図4中の実線は、本実施形態に係るグラフであり、図4中の一点鎖線は、比較例に係るグラフである。比較例に係る歪みセンサ(不図示)は、本実施形態に係るオペアンプA1~A6の反転入力端子に、一定の電圧(2.5V)を出力する固定抵抗が接続された構成を備えている。
【0044】
具体的には、図4に示すグラフは、10Nの力Fx、10Nの力Fy、20Nの力Fz、15N・cmのモーメントMx、15N・cmのモーメントMy、および、15N・cmのモーメントMzを上段部10Bに個別に作用させたときの最大出力電圧(絶対値)の値を示している。10Nの力Fxを上段部10Bに作用させたときの最大出力電圧の値は、3.5Nの力Fxを上段部10Bに作用させたときの出力V1~V6の中から絶対値が最も大きい出力Vmax(絶対値)を抽出し、「3.5(N):10(N)=Vmax:V」の比例式から「V」を算出することで得た。同様にして、10Nの力Fy、20Nの力Fz、15N・cmのモーメントMx、15N・cmのモーメントMy、および、15N・cmのモーメントMzを上段部10Bに作用させたときの最大出力電圧の値を得た。
【0045】
図4に示すように、本実施形態では、力Fx,Fy,FzおよびモーメントMzを起歪体10に作用させたとき、比較例の歪みセンサに比べて、最大出力電圧が大きくなっており、4方向の力(3軸に平行な力と1軸まわりのモーメント)の感度を向上できていることが判った。
【0046】
また、図4に示した最大出力電圧の最大値および最小値の比の値(最大値/最小値)は、比較例では4.27であったのに対して、本実施形態では3.29であった。したがって、最大出力電圧のばらつきが小さく、比較例に比べてオペアンプA1~A6の増幅率を大きくできることが判った。
【0047】
歪みセンサ1の動作について説明する。
例えば、上段部10BにX軸に平行な力Fxが作用したとき、上記の[表1]に記載したように、歪みゲージR13の電気抵抗は増加し、歪みゲージR14の電気抵抗は減少するため、歪みゲージR13,R14の中間点P2の電圧は低くなる。一方で、上段部10BにX軸に平行な力Fxが作用したとき、上記の[表1]に記載したように、歪みゲージR12の電気抵抗は減少し、歪みゲージR11の電気抵抗は増加するため、歪みゲージR12,R11の中間点P1の電圧は高くなる。したがって、上段部10Bに力Fxが作用したとき、オペアンプA2の非反転入力端子に入力される電圧が低くなるとともに、その反転入力端子に入力される電圧が高くなるため、その反転入力端子に一定の電圧が入力される構成に比べて、オペアンプA2の出力V2が高くなる。こうして、1つ以上のオペアンプA1~A6について、その非反転入力端子および反転入力端子に入力される電圧のうち、一方が高くなるとともに他方が低くなることで、1つ以上の出力V1~V6を高めることができる。出力V1~V6の少なくとも1つが高くなれば、出力V1~V6に掛け合わせる変換行列Tの成分を小さくでき、起歪体10に作用した力およびモーメントを精度良く高感度に算出することが可能となる。
【0048】
上記の第1実施形態においては以下の効果が得られる。
(1)オペアンプA1~A6が有する非反転入力端子および反転入力端子の一方には、複数のブリッジ出力(中間点P1~P6)のうちの1つのみが接続されるとともに、他方には、複数のブリッジ出力(中間点P1~P6)のうちの他の1つのみが接続されている。この構成によれば、オペアンプA1~A6が有する非反転入力端子に一定の電圧を出力する分圧回路を接続する必要が無い。そのため、回路の構成部品を少なくして、歪みセンサ1の製造コストを低減することができる。また、回路の構成部品が少なくなるため、小型化を図ることができる。また、各オペアンプA1~A6の非反転入力端子および反転入力端子に入力される電圧のうち、一方が高くなるとともに他方が低くなることで、1つ以上の出力V1~V6を高めることができ、起歪体10に作用した力およびモーメントの検出精度と感度を高めることができる。
【0049】
(2)歪みセンサ1は、歪みゲージRとして、オペアンプA1~A6と同数(すなわち6個)以上の歪みゲージR11~R14,R21~R24,R31~R34を備え、ブリッジ回路Bは、並列に接続された6つの直列回路B1~B6により構成され、直列回路B1~B6の各々は、1つ以上の歪みゲージRにより構成されている。この構成によれば、6方向の力(3軸に平行な力と3軸まわりのモーメント)を精度良く検出できる。
【0050】
(3)全てのオペアンプA1~A6が有する非反転入力端子の各々に互いに異なるブリッジ出力が接続され、全てのオペアンプA1~A6が有する反転入力端子の各々に互いに異なるブリッジ出力が接続されている。換言すれば、1つのブリッジ出力は、対応するオペアンプ(複数のオペアンプのうちの一のオペアンプ)の非反転入力端子に接続されるとともに、そのブリッジ出力は、回路を分岐させて対応するオペアンプとは異なるオペアンプ(複数のオペアンプのうちの他のオペアンプ)の反転入力端子に接続されている。しかも、互いに異なるブリッジ出力が、それらの出力での電圧変化を特徴づける力の向きを考慮せずに各オペアンプの非反転入力端子および反転入力端子に接続されることで、最大出力電圧のばらつきを小さくし、増幅率を大きく設定することが可能となっている。よって、ブリッジ出力(歪みゲージによる検出結果)を有効に活用することで、センサ構成の簡素化、小型化に寄与することができる。
【0051】
(4)ブリッジ出力は、直列に接続された2つの歪みゲージRの中間点P1~P6により構成されている。この構成によれば、ブリッジ出力が直列に接続された固定抵抗と歪みゲージとの中間点により構成される場合に比べて、非反転入力端子および反転入力端子に入力される電圧の変化量を大きくすることができる場合があり、感度を高めることが可能となっている。
【0052】
(5)歪みゲージRは薄膜により構成されているため、PVD(Physical Vapor Deposition)、CVD(Chemical Vapor Deposition)やフォトリソグラフィ等の半導体製造技術を用いて、歪みゲージRを容易に多数形成することができる。
【0053】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、上記実施形態と共通する構成については、その説明を省略する。
【0054】
図5(A)は、第2実施形態に係る歪みセンサ2の断面を簡略化して示す図であり、図5(B)は、歪みセンサ2が備える可変キャパシタCの配置を示す図である。図5(A)は、図5(B)中の二点鎖線で示すS-S線に沿った断面図である。
【0055】
図5(A)に示すように、歪みセンサ2は、起歪体10と、蓋体20と、複数の歪み検出素子としての可変キャパシタCとを備えた静電容量式センサである。歪みセンサ2は、可変キャパシタCの静電容量の変化量に基づいて、起歪体10に作用した力およびモーメントを検出する。
【0056】
起歪体10の一端を構成する下段部10Aには、可変キャパシタCを構成する電極31が設けられ、蓋体20には、可変キャパシタCを構成する電極32が設けられている。蓋体20は、下段部10Aに取り付けられて起歪体10を支持するとともに、起歪体10に設けられた可変キャパシタCを覆っている。
【0057】
可変キャパシタCは、対向する電極31,32により構成されており、電極31,32の相対的な変位量を検出する素子である。電極31は、起歪体10の上段部10Bに作用する力やモーメントに応じて変位する変位電極であり、電極32は、変位しない固定電極である。なお、電極32は、蓋体20に取り付けた基板(図示略)に設けてもよい。可変キャパシタCは、ダイアフラム部11に設けられており、ダイアフラム部11が変位するように起歪体10が歪むことによって電極31,32間の距離が変化する。可変キャパシタCの静電容量は、起歪体10の変位により変化する。具体的には、可変キャパシタCの静電容量は、対向する電極31,32間の距離が短くなることによって増加し、対向する電極31,32間の距離が長くなることによって減少する。
【0058】
図5(B)は、下段部10Aの端面、すなわち、可変キャパシタCが設けられている面を示している。図5(B)において、電極31,32に接続されているリード線、および、蓋体20の図示は省略されている。
【0059】
図5(B)に示すように、歪みセンサ2は、複数の可変キャパシタCとして、それぞれ電極31,32により構成された6個の可変キャパシタC11,C12,C21,C22,C31,C32を備えている。可変キャパシタC11,C12と、可変キャパシタC21,C22と、可変キャパシタC31,C32とは、異なるダイアフラム部11A,11B,11Cに設けられている。
【0060】
X軸に平行な力Fx、Y軸に平行な力Fy、Z軸に平行な力Fz、X軸まわりのモーメントMx、Y軸まわりのモーメントMy、および、Z軸まわりのモーメントMzの各々を起歪体10の上段部10Bに作用させたときの、可変キャパシタC11,C12,C21,C22,C31,C32の静電容量の変化を下記の[表2]に示す。表中の「+」は静電容量が増加することを示し、表中の「-」は静電容量が減少することを示している。また、空欄は、静電容量が略変化しないことを示している。力Fx,Fy,Fzと反対方向の力、および、モーメントMx,My,Mzと反対方向のモーメントを、上段部10Bに作用させた場合は、表中の符号は逆になる。
【0061】
【表2】
【0062】
図6は、歪みセンサ2が備える回路構成を示している。
図6に示すように、歪みセンサ2は、可変キャパシタC11,C12,C21,C22,C31,C32に接続された6個の静電容量電圧変換回路41(以下「CV変換回路41」)を備えている。CV変換回路41と可変キャパシタC11,C12,C21,C22,C31,C32とは、1対1の関係で設けられている。CV変換回路41は、可変キャパシタC11,C12,C21,C22,C31,C32の静電容量を電圧に変換して出力する。
【0063】
また、歪みセンサ2は、CV変換回路41を介して可変キャパシタC11,C12,C21,C22,C31,C32に接続された6個のオペアンプA1~A6を備えている。各オペアンプA1~A6の非反転入力端子および反転入力端子は、以下の箇条書きに記すようにCV変換回路41を介して可変キャパシタC11,C12,C21,C22,C31,C32に接続されている。
・オペアンプA1の非反転入力端子-可変キャパシタC11
・オペアンプA1の反転入力端子‐可変キャパシタC32
・オペアンプA2の非反転入力端子-可変キャパシタC12
・オペアンプA2の反転入力端子-可変キャパシタC11
・オペアンプA3の非反転入力端子-可変キャパシタC21
・オペアンプA3の反転入力端子-可変キャパシタC12
・オペアンプA4の非反転入力端子-可変キャパシタC22
・オペアンプA4の反転入力端子-可変キャパシタC21
・オペアンプA5の非反転入力端子-可変キャパシタC31
・オペアンプA5の反転入力端子-可変キャパシタC22
・オペアンプA6の非反転入力端子-可変キャパシタC32
・オペアンプA6の反転入力端子-可変キャパシタC31
【0064】
以上のように、オペアンプA1~A6が有する非反転入力端子および反転入力端子の一方には、1つの可変キャパシタCが接続され、他方には、他の1つの可変キャパシタCが接続されている。すなわち、オペアンプA1~A6の非反転入力端子と反転入力端子には、互いに異なる可変キャパシタCが1つずつ接続されている。具体的には、オペアンプA1の非反転入力端子および反転入力端子には、互いに異なる可変キャパシタC11,C32が接続され、オペアンプA2の非反転入力端子および反転入力端子には、互いに異なる可変キャパシタC12,C11が接続され、オペアンプA3の非反転入力端子および反転入力端子には、互いに異なる可変キャパシタC21,C12が接続され、オペアンプA4の非反転入力端子および反転入力端子には、互いに異なる可変キャパシタC22,C21が接続され、オペアンプA5の非反転入力端子および反転入力端子には、互いに異なる可変キャパシタC31,C22が接続され、オペアンプA6の非反転入力端子および反転入力端子には、互いに異なる可変キャパシタC32,C31が接続されている。換言すれば、1つの可変キャパシタCは、複数のオペアンプA1~A6のうちの2つに入力される。
【0065】
また、歪みセンサ2は、オペアンプA1~A6の出力V1~V6に基づいて、起歪体10の上段部10Bに作用した3軸(X軸、Y軸、Z軸)に平行な力Fx,Fy,Fzと、3軸まわりのモーメントMx,My,Mzとを算出する演算回路(図示略)を備えている。当該演算回路による、力Fx,Fy,FzおよびモーメントMx,My,Mzの算出方法は、第1実施形態と同様である。
【0066】
歪みセンサ2の動作について説明する。
例えば、上段部10BにX軸に平行な力Fxが作用したとき、上記の[表2]に記載したように、可変キャパシタC12の静電容量は増加し、可変キャパシタC11の静電容量は減少する。したがって、上段部10Bに力Fxが作用したとき、オペアンプA2の非反転入力端子に入力される電圧が高くなるとともに、その反転入力端子に入力される電圧が低くなるため、その反転入力端子に一定の電圧が入力される構成に比べて、オペアンプA2の出力V2が高くなる。こうして、第1実施形態と同様に、1つ以上の出力V1~V6を高めることができ、起歪体10に作用した力およびモーメントを精度良く高感度に算出することが可能となる。
【0067】
上記の第2実施形態においては以下の効果が得られる。
(6)オペアンプA1~A6が有する非反転入力端子および反転入力端子の一方には、1つの可変キャパシタCが接続されるとともに、他方には、他の1つの可変キャパシタCが接続されている。この構成によれば、上記(1)に記載したように、歪みセンサ2の製造コストを低減することができ、小型化を図ることができ、起歪体10に作用した力およびモーメントの検出精度と感度を高めることができる。
【0068】
(7)歪みセンサ2は、可変キャパシタCとして、オペアンプA1~A6と同数(すなわち6個)以上の可変キャパシタC11,C12,C21,C22,C31,C32を備えている。この構成によれば、6方向の力(3軸に平行な力と3軸まわりのモーメント)を精度良く検出できる。
【0069】
(8)全てのオペアンプA1~A6が有する非反転入力端子の各々に互いに異なる可変キャパシタCが接続され、全てのオペアンプA1~A6が有する反転入力端子の各々に互いに異なる可変キャパシタCが接続されている。換言すれば、1つの可変キャパシタは、対応するオペアンプ(複数のオペアンプのうちの一のオペアンプ)の非反転入力端子に接続されるとともに、その可変キャパシタは、回路を分岐させて対応するオペアンプとは異なるオペアンプ(複数のオペアンプのうちの他のオペアンプ)の反転入力端子に接続されている。しかも、互いに異なる可変キャパシタが、それらの可変キャパシタでの電圧変化(CV変換後の電圧)を特徴づける力の向きを考慮せずに各オペアンプの非反転入力端子および反転入力端子に接続されることで、最大出力電圧のばらつきを小さくし、増幅率を大きく設定することが可能となっている。よって、検出出力(可変キャパシタによる検出結果)を有効に活用することで、センサ構成の簡素化、小型化に寄与することができる。
【0070】
(9)全てのオペアンプA1~A6が有する反転入力端子の各々に互いに異なる可変キャパシタCが接続されているため、非反転入力端子および反転入力端子に入力される電圧の一方が高くなり他方が低くなることで、出力V1~V6を高めることができる。
【0071】
(10)可変キャパシタCが、CV変換回路41を介して非反転入力端子および反転入力端子に接続されている。この構成によれば、可変キャパシタCに流れようとする電流の積分値に応じた電圧を、非反転入力端子および反転入力端子に入力することができる。
【0072】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、上記構成を適宜変更することもできる。例えば、上記実施形態を、以下のように変更して実施してもよく、以下の変更を適宜組み合わせてもよい。
【0073】
第1実施形態において、歪みゲージの個数がオペアンプと同数以上になるのであれば、歪みゲージの個数およびオペアンプの個数を適宜変更してもよい。例えば、図7(A)に示すように、歪みセンサ1が、6個の歪みゲージR13,R14,R23,R24,R33,R34と、3個のオペアンプA1~A3とを備えるように構成してもよい。図7(A)に示す変形例では、ブリッジ回路Bは、並列に接続された3つの直列回路B2,B4,B6により構成され、直列回路B2,B4,B6の各々は、1つ以上の歪みゲージRにより構成されており、オペアンプA1~A3の非反転入力端子と反転入力端子に、互いに異なるブリッジ出力である中間点P2,P4,P6が接続されている。この構成によれば、3方向の力(例えば力Fx,FyおよびモーメントMz)を精度良く検出できる。
【0074】
また、第2実施形態において、可変キャパシタの個数がオペアンプと同数以上になるのであれば、可変キャパシタの個数およびオペアンプの個数を適宜変更してもよい。例えば、図7(B)に示すように、歪みセンサ2が、3個の可変キャパシタC12,C22,C32と、3個のオペアンプA1~A3とを備えるように構成してもよい。図7(B)に示す変形例では、オペアンプA1~A3の非反転入力端子と反転入力端子に、互いに異なる可変キャパシタC12,C22,C32が接続されている。この構成によれば、3方向の力(例えば力Fx,FyおよびモーメントMz)を精度良く検出できる。
【0075】
また、第1実施形態において、歪みゲージR12,R11の一方、歪みゲージR13,R14の一方、歪みゲージR21,R22の一方、歪みゲージR24,R23の一方、歪みゲージR32,R31の一方、および、歪みゲージR33,R34の一方を、固定抵抗に置き換えてもよい。すなわち、ブリッジ出力が、直列に接続された固定抵抗と歪みゲージとの中間点により構成されていてもよい。このような構成によれば、歪みゲージの個数を少なくすることができる。その結果、コスト低減効果だけでなく、1個当たりの歪みゲージのサイズを大きくすることが可能となるため、起歪体に歪みゲージを設ける作業効率を向上することが可能となる。
【0076】
また、複数の非反転入力端子または複数の反転入力端子を同一の歪み検出素子に接続してもよい。また、一部のオペアンプの反転入力端子を固定抵抗またはグラウンドに接続してもよい。例えば、図8に示すように、オペアンプA2,A6の反転入力端子を同一のブリッジ出力である中間点P1に接続し、オペアンプA5の反転入力端子をグラウンドに接続してもよい。
【0077】
また、一部の歪み検出素子を非反転入力端子および反転入力端子の一方のみに接続してもよい。例えば、図9に示すように、ブリッジ出力である中間点P2をオペアンプA2の反転入力端子のみに接続し、ブリッジ出力である中間点P4をオペアンプA4の非反転入力端子のみに接続し、ブリッジ出力である中間点P5をオペアンプA1の反転入力端子のみに接続し、ブリッジ出力である中間点P6をオペアンプA6の非反転入力端子のみに接続してもよい。そして、オペアンプA2の非反転入力端子およびオペアンプA6の反転入力端子に、新たに設けた直列回路B7のブリッジ出力である中間点P7を接続し、オペアンプA4の反転入力端子およびオペアンプA5の非反転入力端子に、新たに設けた直列回路B8のブリッジ出力である中間点P8を接続してもよい。
【0078】
また、起歪体の歪みまたは変位を検出することができるのであれば、歪みゲージおよび可変キャパシタの構成および配置等を適宜変更してもよい。例えば、ピエゾ抵抗素子、感圧抵抗体、または、感圧抵抗インク等を歪み検出素子として採用してもよい。また、歪み検出素子を含む回路構成を適宜変更してもよく、例えば、静電容量変換回路を介して複数の可変キャパシタをオペアンプに接続してもよい。
【符号の説明】
【0079】
1,2 歪みセンサ
10 起歪体
10A 下段部
10B 上段部
10C 連結部
11,11A,11B,11C ダイアフラム部
20 蓋体
31,32 電極
41 静電容量電圧変換回路
A1~A6 オペアンプ
B ブリッジ回路
B1~B6 直列回路
C 可変キャパシタ(歪み検出素子)
C11,C12,C21,C22,C31,C32 可変キャパシタ(歪み検出素子)
P1~P6 中間点(ブリッジ出力)
R 歪みゲージ(歪み検出素子)
R11~R14,R21~R24,R31~R34 歪みゲージ(歪み検出素子)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9