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  • 特許-立て置き可能な食品包装容器 図1
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  • 特許-立て置き可能な食品包装容器 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-01
(45)【発行日】2022-11-10
(54)【発明の名称】立て置き可能な食品包装容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 25/20 20060101AFI20221102BHJP
   B65D 1/34 20060101ALI20221102BHJP
   B65D 85/50 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
B65D25/20 V
B65D1/34
B65D85/50 100
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019104220
(22)【出願日】2019-06-04
(65)【公開番号】P2020196519
(43)【公開日】2020-12-10
【審査請求日】2021-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】390003148
【氏名又は名称】エフピコチュ-パ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074251
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100066223
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 政美
(72)【発明者】
【氏名】土田 利一
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3052683(JP,U)
【文献】特開2018-070258(JP,A)
【文献】登録実用新案第3094904(JP,U)
【文献】特開2012-106799(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 25/20
B65D 1/34
B65D 85/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面から見て適宜な幅員の長辺と短辺を備えた縦長状の開口部に補強フランジを有すると共に、周囲の側壁は開口部から底部外側縁に至るに伴い次第に窄まり状に傾斜している容器本体を形成し、この容器本体の底部におけるいずれか一方の短辺側に沿って、短辺の幅員に相当する幅員で底部の外方に突出させた立脚支持部を形成すると共に、この立脚支持部を形成した短辺側の側壁に容器本体の内方側に円弧状に窪ませて、底部外側縁を下縁とし、開口部側を上縁とする立脚補助支持部を形成し、この立脚補助支持部の下縁は、断面で鈍角状を呈する下部の接地端となっていて、上縁は、立脚補助支持部自体が側壁から円弧状に窪ませられていることで側壁との連続部位は断面で鈍角状を呈する上部の接地端となっていて、補強フランジの縁部、上下の接地端、立脚支持部の底角部外側縁の4点を同一の線上に配列してあることを特徴とする立て置き可能な食品包装容器。
【請求項2】
立脚補助支持部は、短辺側の側壁それぞれに対称的に配置形成してある請求項1に記載の立て置き可能な食品包装容器。
【請求項3】
立脚支持部、立脚補助支持部は、容器本体の幅員方向における底部幅員、側壁幅員とほぼ同幅員として形成してある請求項1または2に記載の立て置き可能な食品包装容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば各種の食品を店頭にて販売するためパック詰めされるとき、パック詰めされた食品等が一覧的に視認できるように立たせて陳列できるようにした立て置き可能な食品包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、スーパーマーケット、コンビニエンスストア等で各種の食品を陳列販売するとき、透明な容器に所定量で詰め合わせてパック詰めすることで商品棚等に並べている。その多くは、複数段状に構成されている陳列棚それぞれに並べられているところ、パック詰めされた商品それぞれを購買者が視認できるように平棚であれば重ねられることでも、上段位置の棚板上に並べた場合は商品内容を簡単には確認できない。そのためには、例えば棚板自体を傾斜させることで棚板上の容器内の商品内容をそのまま見ることができるようにしている。
【0003】
また、陳列販売する商品が例えばマスカット、巨峰等の葡萄である場合、その粒形がやや大型であることもあり、その一房の全体が一目でわかるようにこれを収納した容器自体を平台や棚板上で立てることでその商品性を購買者、顧客にアピールできるようにしている。
【0004】
こうした事情から、平台や傾斜していない棚板等に容器を並べる場合に、商品内容をアピールできるように、食品等を収納した容器自体を立てられるようにしたり、傾斜できるようにしたりすることで容器内の食品等を簡単に見ることができるようにした包装容器も提案されている。例えば特許文献1に示される立て置き可能なトレイ型食品容器であり、特許文献2に示される食品陳列用トレーであり、特許文献3に示される陳列保管容器である。
【0005】
特許文献1の容器は、容器本体の開口部に形成したフランジ縁と容器本体の底部縁とによって支持した状態で容器自体を立てられるようにしている。特許文献2のトレーは、容器本体の底部に突出形成した脚部によって容器本体を傾斜支持できるようにしている。特許文献3の容器は、側面から見てほぼ直角三角形状を呈している容器本体と蓋体とを嵌合可能に開閉揺動自在に連結すると共に、相互間で閉じ合わせたときには側面から見て菱形状を呈するようにし、内部に食品等を立てて収納配列するようにして成る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】登録実用新案第3052683号公報
【文献】登録実用新案第3115032号公報
【文献】US8,215,485B2号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが特許文献1の容器では、容器自体が深くはなく浅底状であるから、立てた場合にフランジ縁と底部縁との間隔が大きくはないので安定性に欠け、僅かな外力によって簡単に倒れてしまう。また特許文献2のトレーは、浅底状であって脚部自体の高さが低いために、トレー全体としても僅かな角度で起き上がり状になるにすぎず、例えば棚板上で配置するとしてもそのスペースは大きくならざるを得ない。特許文献3の容器は、容器本体内を視認できるように立てるとき、容器の嵌合部縁と容器本体側壁に形成してある傾斜面の上下縁との3箇所にて支持するにすぎないから、収納商品が重量的に嵩張る場合では立てたときの安定性は十分ではない。
【0008】
そこで本発明は叙上のような従来存した諸事情に鑑み創出されたもので、例えばマスカット、巨峰等の葡萄の重量的にやや嵩張る商品を収納支持した状態で立てて陳列する場合、その支持安定性を一層増大させて例えば外力によっても簡単には倒れないようにし、また狭い陳列スペースであっても有効に利用でき、商品性を購買者、顧客等に大きくアピールできるようにした立て置き可能な食品包装容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するため、本発明にあっては、平面から見て適宜な幅員の長辺と短辺を備えた縦長状の開口部に補強フランジ2を有すると共に、周囲の側壁は開口部から底部外側縁に至るに伴い次第に窄まり状に傾斜している容器本体1を形成し、この容器本体1の底部におけるいずれか一方の短辺側に沿って、短辺の幅員に相当する幅員で底部の外方に突出させた立脚支持部4を形成すると共に、この立脚支持部4を形成した短辺側の側壁に容器本体1の内方側に円弧状に窪ませて、底部外側縁を下縁とし、開口部側を上縁とする立脚補助支持部5を形成し、この立脚補助支持部5の下縁は、断面で鈍角状を呈する下部の接地端6となっていて、上縁は、立脚補助支持部5自体が側壁から円弧状に窪ませられていることで側壁との連続部位は断面で鈍角状を呈する上部の接地端6となっていて、補強フランジ2の縁部、上下の接地端6、立脚支持部4の底角部外側縁の4点を同一の線上に配列してあることを特徴とする。
容器本体1の開口部は、短辺の両隅部を斜状に面取りすることで縦長八角形状に形成されて構成することができる。
立脚補助支持部5は、短辺側の側壁それぞれに対称的に配置形成して、また、断面で円弧状に彎曲形成することで構成することができる。
立脚支持部4、立脚補助支持部5は、容器本体1の幅員方向における底部幅員、側壁幅員とほぼ同幅員として構成することができる。
【0010】
以上のように構成された本発明に係る立て置き可能な食品包装容器にあって、容器本体1の底部に形成した立脚支持部4を下側にして容器本体1を立てたとき、補強フランジ2の縁部、立脚支持部4の底部縁、この立脚支持部4の短辺側の側壁の立脚補助支持部5の上下の接地端6の計4点を載置面に接地させて立てさせる。
立脚支持部4の幅員は容器本体1の底部の幅員と、立脚補助支持部5の幅員は側壁の幅員と、それぞれほぼ同幅員としてあり、立脚支持部4、立脚補助支持部5それぞれによる立て置き時の接地状態を安定化させる。
容器本体1の内方側に彎曲形成された立脚補助支持部5は、容器本体1の側壁の強度を高め、容器本体1内に収納した葡萄G等の重量によっても撓ませられず、立脚支持部4と共に立て置き時の容器本体1の保形性を維持させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は以上説明したように構成されているため、例えば葡萄G等を収納した状態で容器本体1を立て置き状に配置、配列でき、収納した商品等を一覧的に購買者、顧客等に見せることができ、また立て置き時には4点で接地支持することでその安定性を向上でき、しかも立てた状態では配置スペースが小さくなることで効率的に陳列配置できる。
【0012】
すなわちこれは本発明において、縦長状の開口部に補強フランジ2を有する容器本体1の底部に立脚支持部4を形成すると共に、この立脚支持部4側の容器本体1の側壁に窪ませた立脚補助支持部5の上下縁を接地端6として形成し、補強フランジ2の縁部、上下の接地端6、立脚支持部4の底角部外側縁の4点を同一の線上に配列してあるからである。これによって、収納した商品例えば葡萄G等を見せるように容器本体1を立てたときの支持安定性を向上でき、また陳列時の配置スペースを有効に利用できるのである。
【0013】
また、立脚支持部4、立脚補助支持部5は、容器本体1の幅員方向における底部幅員、側壁幅員とほぼ同幅員としてあることで、立脚支持部4によって容器本体1を立て置き状態としたとき、側方への傾斜、倒立等をも防止する。
【0014】
容器本体1の開口形状を縦長八角形状とすることで、例えばマスカット、巨峰等の葡萄Gの一房を体裁よく収納でき、立て置き状態で陳列することで、商品内容を一覧的に購買者等に見せることができる。
【0015】
容器本体1の底部で外方に突出させた立脚支持部4、側壁で内方に窪ませた立脚補助支持部5によって容器本体1を補強でき、重量的に嵩張る葡萄G等によっても容器本体1が歪んだり、破損したりすることはない。
【0016】
尚、上記の課題を解決するための手段、発明の効果の項それぞれにおいて付記した符号は、図面中に記載した構成各部を示す部分との参照を容易にするために付した。本発明は、これらの記載、図面中の符号等によって示された構造・形状等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明を実施するための一形態を示す斜視図である。
図2】同じく立て置きした使用状態の側面図である。
図3】同じく他の使用状態における側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明を実施するための一形態を説明すると、図において示される符号1は例えば透明な合成樹脂製薄膜シート材によって成型された容器本体であり、この容器本体1は、例えばマスカット、巨峰等の一房の葡萄Gを収納させるに足りるように、平面から見て縦長八角形状となっている所定の幅員、長さ、深さ等に設定されて形成されている。
【0019】
図示のように容器本体1自体は、縦長の長方形状における短辺側の両隅部を斜状に面取りして傾斜縁とすることで平面から見た全体が縦長八角形状に形成されていると共に、周囲の短辺、長辺、更に傾斜辺それぞれの側壁は開口部から底部に至るに伴い次第に窄まり状となる傾斜壁となっていて、底部と側壁との連続部位である底部外側縁は断面で鈍角状を呈している。そして、容器本体1は、収納する例えば一房の葡萄Gの外形に沿い、また一房の葡萄Gを収納するに足りる内容積を有しており、容器本体1の開口部縁には折り返し状にした補強フランジ2が形成されている。尚、収納される食品は葡萄Gに限らないことは勿論である。
【0020】
また、容器本体1の側壁の全域には、例えば深さ方向に沿う複数本の溝状の補強溝3が形成されている。
【0021】
容器本体1のいずれか一方の短辺側の側壁に沿って、容器本体1の底部における幅員に相当する幅員で、容器本体1の底部の外方に突出させることで脚部状の立脚支持部4を形成してある。この立脚支持部4を形成してある側の短辺の傾斜側壁には、図2に示すように、容器本体1の内方側に向かって円弧状に窪ませて、前記底部外側縁を下縁とし、開口部側を上縁とする立脚補助支持部5を形成する。この立脚補助支持部5の下縁は、上記のように断面で鈍角状を呈する下部の接地端6となっていて、上縁は、立脚補助支持部5自体が側壁から円弧状に窪ませられていることで側壁との連続部位は断面で鈍角状を呈する上部の接地端6となっている。そして、これらの上下の接地端6は、前記補強フランジ2の縁部と立脚支持部4の底部外縁とを結ぶ線上に位置させてある。
【0022】
なお、図示例の容器本体1にあっては、相対向している短辺の傾斜側壁それぞれに立脚補助支持部5を形成してあり、こうすることで短辺における傾斜側壁の補強を一層増大させることができる。
【0023】
前記補強フランジ2の縁部、立脚補助支持部5の上下の接地端6、立脚支持部4の底部外縁の4箇所は同一の線上に位置するように配列形成されており、立脚支持部4側の短辺を下方に向けて容器本体1を立てたとき(図2参照)、載置面にこれらの4点が接地することで容器本体1を立てられるようにしている。このとき、容器本体1の起き上がり角度は、設置面に対して例えばほぼ57度前後としてあるも、これに限定されず、収納した葡萄G等の重量によって容器本体1自体が後方に倒れることがないようにしている。
【0024】
また、立脚支持部4を後方側に位置させた状態で容器本体1を立てることもでき、この場合は容器本体1を僅かに起き上がらせるように傾斜したものとなり、設置面との角度は例えばほぼ15度前後とされる(図3参照)。
【0025】
次にこれの使用の一例を説明すると、例えば葡萄Gの一房を容器本体1内に収納し、必要あれば適宜に施蓋した状態として店頭等に陳列するのであり、立脚支持部4を下側にして、すなわち前方側に位置させて容器本体1を立てるように載置面に置くことで、収納した商品である葡萄G等を一覧的に購買者等に見せることができる。このとき、容器本体1自体は、補強フランジ2の縁部、立脚補助支持部5の上下の接地端6、立脚支持部4の底部外縁の計4箇所によって載置面に接地されるから、容器本体1が立てられた状態を安定的に維持される。
【0026】
しかも、容器本体1を立てることでこれの載置面積を小さくできるから、陳列スペースの単位面積当たりの配置個数を倍加できる(図2参照)。
【0027】
あるいは、立脚支持部4を後方側に位置させた容器本体1をいくらか起き上がらせるようにして載置面におくのであり、容器本体1は底角部外側面と、立脚支持部4の底部外側面との2点で容器本体1の傾斜陳列状態を維持する。この場合、容器本体1は設置面から僅かな角度で起き上がり状であるため、単位面積当たりの配置個数に変動はない。
【0028】
なお、いずれの立ち上がりあるいは起き上がり形態を選択するかは、収納した商品内容、配置面積の大小その他によって適宜に選択される。
【符号の説明】
【0029】
G…葡萄
1…容器本体
2…補強フランジ
3…補強溝
4…立脚支持部
5…立脚補助支持部
6…接地端
図1
図2
図3