(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-01
(45)【発行日】2022-11-10
(54)【発明の名称】改善された引裂き特性を有する合成紙、およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
C08J 5/18 20060101AFI20221102BHJP
B32B 27/20 20060101ALI20221102BHJP
B32B 27/32 20060101ALI20221102BHJP
C08L 23/00 20060101ALI20221102BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20221102BHJP
C08K 3/26 20060101ALI20221102BHJP
C08L 45/00 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
C08J5/18 CES
B32B27/20 Z
B32B27/32 Z
C08L23/00
C08K3/013
C08K3/26
C08L45/00
(21)【出願番号】P 2019525007
(86)(22)【出願日】2017-11-14
(86)【国際出願番号】 US2017061535
(87)【国際公開番号】W WO2018089999
(87)【国際公開日】2018-05-17
【審査請求日】2020-08-17
(32)【優先日】2016-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518286699
【氏名又は名称】アンパセット コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】パーソンズ マーク
(72)【発明者】
【氏名】ネビンス ダニー
(72)【発明者】
【氏名】ブラウンフィールド ダグ
【審査官】大▲わき▼ 弘子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0072131(US,A1)
【文献】特開2003-127133(JP,A)
【文献】特開2003-026866(JP,A)
【文献】特開2003-034760(JP,A)
【文献】特開2001-055451(JP,A)
【文献】特開2010-077297(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J5/00-5/02、5/12-5/22、B32B1/00-43/00、
C08K3/00-13/08、C08L1/00-101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成紙であって、
組成物の40重量パーセント~60重量パーセントの量で存在する高密度ポリエチレン樹脂と、
10μm~30μmの平均粒径を有する、組成物の10重量パーセント~40重量パーセントの量で存在する粒状充填剤と、
ジシクロペンタジエンとのエチレンの共重合により生産される、組成物の2重量パーセント~10重量パーセントの量で存在する環状オレフィンコポリマーと、
を含む組成物から形成された1層以上の樹脂フィルムを含み、
20°~30°のデッドフォールド角度、および横方向における100mN~1000mNのエルメンドルフ引裂強度を有する、合成紙。
【請求項2】
前記粒状充填剤が、炭酸カルシウムを含む、請求項1に記載の合成紙。
【請求項3】
少なくとも2層の樹脂層を含む、請求項1に記載の合成紙。
【請求項4】
少なくとも3層の樹脂層を含む、請求項1に記載の合成紙。
【請求項5】
12.7μm~101.6μmの厚さを有する、請求項1に記載の合成紙。
【請求項6】
合成紙であって、
組成物の40重量パーセント~60重量パーセントの量で存在する高密度ポリエチレン樹脂と、
10μm~30μmの平均粒径を有する、組成物の10重量パーセント~40重量パーセントの量で存在する粒状充填剤と、
シクロペンタジエンとのエチレンの共重合により生産される、組成物の2重量パーセント~10重量パーセントの量で存在する環状オレフィンコポリマーと、
を含む組成物から形成された1層以上の樹脂フィルムを含み、
横方向における100mN~1000mNのエルメンドルフ引裂強度、および20°~30°のデッドフォールド角度を有する、合成紙。
【請求項7】
縦方向に50mN~750mNのエルメンドルフ引裂強度を有する、請求項6に記載の合成紙。
【請求項8】
前記粒状充填剤が、炭酸カルシウムを含む、請求項6に記載の合成紙。
【請求項9】
少なくとも2層を含む、請求項6に記載の合成紙。
【請求項10】
前記少なくとも2層が、第1の層および第2の層を含み、前記第1の層中の高密度ポリエチレン樹脂が、前記第2の層中の高密度ポリエチレン樹脂とは異なる、請求項9に記載の合成紙。
【請求項11】
組成物から形成された1層以上の樹脂フィルム層を含む合成紙であって、
前記組成物が、
前記組成物の40重量パーセント~60重量パーセントの量で存在する高密度ポリエチレン樹脂と、
10μm~30μmの平均粒径を有する、組成物の10重量パーセント~40重量パーセントの量で存在する粒状充填剤と、
シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン、ジヒドロジシクロペンタジエン、フェニルノルボルネン、テトラシクロドデセン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される環状オレフィンモノマーとのエチレンの共重合により生産される、前記組成物の2重量パーセント~10重量パーセントの量で存在する環状オレフィンコポリマーと、
を含み、
前記合成紙が、横方向における500mN~1500mNのエルメンドルフ引裂強度、および20°~30°のデッドフォールド角度を有する、合成紙。
【請求項12】
縦方向に500mN~1500mNのエルメンドルフ引裂強度を有する、請求項11に記載の合成紙。
【請求項13】
12.7μm~101.6μmの厚さを有する、請求項11に記載の合成紙。
【請求項14】
前記環状オレフィンコポリマーが、前記組成物の5重量パーセント~10重量パーセントの量で存在する、請求項11に記載の合成紙。
【請求項15】
前記合成紙が、縦方向に50mN~750mNのエルメンドルフ引裂強度を有する、請求項1に記載の合成紙。
【請求項16】
前記合成紙が、1g/m
2未満の水蒸気透過率(MVTR)を有する、請求項1に記載の合成紙。
【請求項17】
前記合成紙が、50パーセント~95パーセントの不透明度を有する、請求項1に記載の合成紙。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、合成紙に関し、より詳細には、ポリマー樹脂と、低アスペクト比充填剤、引裂き添加剤、またはそれらの両方とを含む組成物から形成される少なくとも1つの樹脂層を含む、紙のような引裂き特性および折り目特性を有する合成紙に関する。本発明はまた、合成紙を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
合成紙に関する研究および技術開発は、未使用のプラスチック樹脂から、水性インクを含む多数のインクによって印刷および筆記することができるフィルムまたはシートの製造に焦点が当てられてきた。フィルムの少なくとも片面の表面特性は、成分の種類および濃度の変化、表面処理の種類、またはさらには異なる表面コーティングの適用によって、印刷または筆記に適している。機械的および光学的特性もまた、定性的および定量的に記載されており、そこではバランスのとれた特性を有する印刷用合成紙またはフィルムを製造する際に、フィルムの剛性、不透明度、および密度が考慮されている。
【0003】
例えば、米国特許第5,128,183号(非特許文献1)は、概して、高密度ポリプロピレンとアイソタクチックポリエチレンとのブレンド、およびねじれ保持力を向上させるために少なくとも15重量パーセントの非晶質ガラス状低分子量樹脂(マツ樹脂および飽和テルペンなど)を含む二軸延伸フィルムを記載している。
【0004】
しかしながら、これまでの合成紙は紙のように折り畳んだり引裂いたりする能力が欠けているため、ギフト、花、および食品などのパッケージ包装、および他の包装用途に使用することができる合成紙について、これらのニーズを満たす合成紙の製造は欠けたままである。例えば、これまでの合成紙は、典型的には所望の耐湿性および耐臭性を達成するために被覆されている。また、これまでに開発された合成紙は、デッドフォールド特性が劣っている、すなわち、その材料は、所望の折り目の角度を維持して「跳ね返り」を生じさせない能力に欠けている。さらに、これまでに開発された合成紙は、不可能ではないにしても、最初に切断されずに引裂くことが困難であり、引き延ばすと歪んでしまう。
【0005】
このように、当技術分野においては、グリースの染みを減少させるかまたは排除して食品への化学物質およびワックスの転移を防止する食品包装として使用される合成紙に対する必要性が残っている。また、当技術分野においては、様々な用途に使用することができ、折り目を維持し、最小限から全く歪みなしで多方向に容易に引裂くことができるティッシュペーパー様の感触を有する合成紙が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【0007】
ティッシュペーパーの見た目を有する合成紙様フィルムに関する方法および組成物を開示する。一態様において、本発明は、1層以上の樹脂フィルムを含む合成紙に関し、樹脂フィルムは、炭酸カルシウム(CaCO3)がその中に均一に分散されている連続オレフィン樹脂マトリックスを含む。一実施形態では、CaCO3の粒子径は少なくとも20μmである。別の実施形態では、合成紙は、ティッシュペーパーのような質感および外観を有する。例えば、合成紙は、紙を引き伸ばしたりもしくは歪ませたり、または裂き始めるために紙を切ったりすることなく引裂くことができる。
【0008】
本発明は、合成紙であって、合成紙の約40重量パーセント~約60重量パーセントの量で存在するポリオレフィン樹脂と、約10μm~約30μmの平均粒径を有する粒状充填剤と、を含む組成物から形成された1層以上の樹脂フィルムを含み、約20°~約30°のデッドフォールド角度を有する、合成紙を対象とする。一実施形態では、ポリオレフィン樹脂は、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、またはそれらの混合物を含む。別の実施形態では、粒状充填剤は、組成物中に10重量%~40重量%の量で存在する。さらに別の実施形態では、粒状充填剤は、炭酸カルシウムを含む。
【0009】
合成紙は、少なくとも2層の樹脂層を含んでいてもよい。一実施形態では、合成紙は、少なくとも3層の樹脂層を含む。別の実施形態では、合成紙は、約0.5ミル~約4ミルの厚さを有する。さらに別の実施形態では、組成物は、環状オレフィンコポリマーを含む。
【0010】
本発明はまた、合成紙であって、合成紙の約40重量パーセント~約60重量パーセントの量で存在するポリオレフィン樹脂と、約10μm~約30μmの平均粒径を有する粒状充填剤と、環状オレフィンコポリマーとを含む組成物から形成された1層以上の樹脂フィルムを含み、横方向に約100mN~約1000mNのエルメンドルフ引裂強度を有する、合成紙を対象とする。一実施形態では、合成紙は、約20°~約30°のデッドフォールド角度を有する。別の実施形態では、合成紙は、縦方向に約50mN~約750mNのエルメンドルフ引裂強度を有する。さらに別の実施形態では、粒状充填剤は、約10重量パーセント~約40重量パーセントの量で組成物中に存在する。さらに別の実施形態では、粒状充填剤は、炭酸カルシウムを含む。さらに、合成紙は、少なくとも2層を含んでもよい。この態様では、少なくとも2層は、第1の層および第2の層を含んでもよく、第1の層中のポリオレフィン樹脂は、第2の層中のポリオレフィンとは異なる。環状オレフィンコポリマーは、組成物の約2重量パーセント~約10重量パーセントの量で存在してもよい。
【0011】
本発明はまた、合成紙であって、合成紙の約40重量パーセント~約60重量パーセントの量で存在するポリオレフィン樹脂であって、低密度ポリエチレンを含むポリオレフィン樹脂と、前記組成物の約2重量パーセント~約10重量パーセントの量で存在する環状オレフィンコポリマーと、を含む組成物から形成された樹脂フィルムを含み、横方向に約500mN~約1500mNのエルメンドルフ引裂強度を有する、合成紙に関する。一実施形態では、合成紙は、縦方向に約500mN~約1500mNのエルメンドルフ引裂強度を有する。別の実施形態では、合成紙は、約0.5ミル~約4ミルの厚さを有する。さらに別の実施形態では、環状オレフィンコポリマーは、組成物の約5重量パーセント~約10重量パーセントの量で存在する。
[本発明1001]
合成紙であって、
前記合成紙の約40重量パーセント~約60重量パーセントの量で存在するポリオレフィン樹脂と、
約10μm~約30μmの平均粒径を有する粒状充填剤と
を含む組成物から形成された1層以上の樹脂フィルムを含み、
約20°~約30°のデッドフォールド角度を有する、合成紙。
[本発明1002]
前記ポリオレフィン樹脂が、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、またはそれらの混合物を含む、本発明1001の合成紙。
[本発明1003]
前記粒状充填剤が、10重量%~40重量%の量で前記組成物中に存在する、本発明1001の合成紙。
[本発明1004]
前記粒状充填剤が、炭酸カルシウムを含む、本発明1001の合成紙。
[本発明1005]
少なくとも2層の樹脂層を含む、本発明1001の合成紙。
[本発明1006]
少なくとも3層の樹脂層を含む、本発明1001の合成紙。
[本発明1007]
約0.5ミル~約4ミルの厚さを有する、本発明1001の合成紙。
[本発明1008]
前記組成物が、環状オレフィンコポリマーをさらに含む、本発明1001の合成紙。
[本発明1009]
合成紙であって、
前記合成紙の約40重量パーセント~約60重量パーセントの量で存在するポリオレフィン樹脂と、
約10μm~約30μmの平均粒径を有する粒状充填剤と、
環状オレフィンコポリマーと
を含む組成物から形成された1層以上の樹脂フィルムを含み、
横方向に約100mN~約1000mNのエルメンドルフ引裂強度を有する、合成紙。
[本発明1010]
約20°~約30°のデッドフォールド角度を有する、本発明1009の合成紙。
[本発明1011]
縦方向に約50mN~約750mNのエルメンドルフ引裂強度を有する、本発明1009の合成紙。
[本発明1012]
前記粒状充填剤が、約10重量パーセント~約40重量パーセントの量で前記組成物中に存在する、本発明1009の合成紙。
[本発明1013]
前記粒状充填剤が、炭酸カルシウムを含む、本発明1009の合成紙。
[本発明1014]
少なくとも2層を含む、本発明1009の合成紙。
[本発明1015]
前記少なくとも2層が、第1の層および第2の層を含み、前記第1の層中のポリオレフィン樹脂が、前記第2の層中のポリオレフィンとは異なる、本発明1014の合成紙。
[本発明1016]
前記環状オレフィンコポリマーが、前記組成物の約2重量パーセント~約10重量パーセントの量で存在する、本発明1009の合成紙。
[本発明1017]
組成物から形成された樹脂フィルム層を含む合成紙であって、
前記組成物が、
前記合成紙の約40重量パーセント~約60重量パーセントの量で存在するポリオレフィン樹脂であって、低密度ポリエチレンを含む、ポリオレフィン樹脂と、
前記組成物の約2重量パーセント~約10重量パーセントの量で存在する環状オレフィンコポリマーと
を含み、
前記合成紙が、横方向に約500mN~約1500mNのエルメンドルフ引裂強度を有する、合成紙。
[本発明1018]
縦方向に約500mN~約1500mNのエルメンドルフ引裂強度を有する、本発明1017の合成紙。
[本発明1019]
約0.5ミル~約4ミルの厚さを有する、本発明1017の合成紙。
[本発明1020]
前記環状オレフィンコポリマーが、前記組成物の約5重量パーセント~約10重量パーセントの量で存在する、本発明1017の合成紙。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明のさらなる特徴および利点は、以下に記載される図面と関連して提供される以下の詳細な説明から確かめることができる。
【0013】
【
図1】未使用HDPEフィルムおよび紙のデッドフォールド角度を示す。
【
図2】本発明の実施形態に従って製造された異なる厚さの合成紙のデッドフォールド角度を示す。
【
図3A】本発明の実施形態に従って製造された合成紙の引裂き特性のグラフ図である。
【
図3B】本発明の実施形態に従って製造された合成紙の引裂き特性のグラフ図である。
【
図3C】本発明の実施形態に従って製造された合成紙の引裂き特性のグラフ図である。
【
図4】本発明の他の実施形態に従って製造された合成紙の引裂き特性のグラフ図である。
【
図5A】本発明の他の実施形態に従って製造された合成紙の引裂き特性のグラフ図である。
【
図5B】本発明の他の実施形態に従って製造された合成紙の引裂き特性のグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明の詳細な説明
本発明の化合物、組成物、物品、装置、および/または方法を開示および説明する前に、それらは、他に特定されない限り特定の合成方法、または他に特定されない限り特定の成分に限定されず、したがって、当然ながら異なっていてもよいことが理解される。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図するものではないこともまた理解される。
【0015】
定義
明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈が明らかにそうでないことを指示しない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「ポリマー樹脂」への言及は、2つ以上のそのようなポリマー樹脂の混合物などを含む。
【0016】
本明細書では、範囲は、「約」ある特定の値から、および/または「約」別の特定の値までとして表現することができる。そのような範囲が表現されるとき、他の実施形態は、ある特定の値から、および/または他の特定の値までを含む。同様に、先行詞「約」を使用して値が近似値として表される場合、その特定の値は別の実施形態を形成することが理解されよう。さらに、各範囲の終点は、他の終点に関しておよび他の終点とは無関係に両方ともに重要であることが理解されよう。本明細書に複数の値が開示されており、各値はまた、その値自体に加えて、「約」その特定の値として本明細書に開示されていることもまた理解される。例えば、値「10」と開示されている場合には、「約10」も開示されている。当業者によって適切に理解されるように、ある値が開示される場合には、その値「以下」、「その値以上」、および値の間の取り得る範囲もまた開示されることも理解される。例えば、値「10」が開示されている場合には、「10以下」および「10以上」も開示されている。本出願を通して、データは複数の異なるフォーマットで提供され、このデータは、終点および開始点を表し、データ点の任意の組み合わせの範囲であることもまた理解される。例えば、特定のデータ点「10」と特定のデータ点「15」とが開示されている場合には、10と15との間だけでなく、10超および15超、10以上および15以上、10未満および15未満、10以下および15以下、10および15が開示されているとみなされる。2つの特定の単位間の各単位もまた開示されていることも理解される。例えば、10と15が開示されている場合には、11、12、13、および14も開示されている。
【0017】
本明細書および添付の特許請求の範囲において、以下の意味を有すると定義されるいくつかの用語について言及する:
「任意の」または「任意で」は、後で説明される事象または状況が発生してもしなくてもよいこと、およびその説明がその事象または状況が発生した場合と発生しなかった場合を含むことを意味する。
【0018】
樹脂フィルム組成物
上で簡単に説明したように、本発明の合成紙は、1層以上の樹脂フィルムを含み得る。一実施形態では、合成紙を形成するのに使用される樹脂フィルムは、ポリマー樹脂および低アスペクト比充填剤を含む組成物から形成される。別の態様では、合成紙を形成するのに使用される樹脂フィルムは、ポリマー樹脂、低アスペクト比の充填剤、および引裂き添加剤を含む組成物から形成される。さらに別の態様では、合成紙を形成するのに使用される樹脂フィルムは、ポリマーフィルムおよび引裂き添加剤を含む組成物から形成される。以下により詳細に考察される他の添加剤もまた、上に概説された組成物のいずれにも含まれ得る。最終的に本発明の合成紙になる樹脂フィルムを形成するために使用される組成物の各成分は、以下により詳細に議論される。これらおよび他の材料は本明細書に開示されており、これらの材料の組み合わせ、サブセット、相互作用、グループなどについて、これらの化合物の多様な個々および集合の組み合わせおよび順列の具体的な言及を明示的に開示しない場合があるように開示されているとき、それぞれは本明細書において具体的に企図され記載されている、ということが理解される。例えば、本発明の合成紙の特定の実施形態が開示されて論じられ、なされ得るいくつかの変形が論じられる際には、特に断らない限り可能な合成紙のありとあらゆる組み合わせおよび順列ならびにそれらの変形が具体的に企図される。したがって、成分A、B、およびC、ならびに成分D、E、およびFが開示され、A~Dを含む組成物の例が論じられる際には、それぞれが個別に列挙されていなくても、それぞれ個別におよびまとめて企図される。例えば、A~E、A~F、B~D、B~E、B~F、C~D、C~E、およびC~Fを含む組成物が開示されているとみなされる。同様に、これらの任意のサブセットまたは組み合わせもまた開示されている。したがって、例えば、A~E、B~F、およびC~Eのサブグループが開示されているとみなされることになる。この概念は、開示された組成物を製造および使用する方法における工程を含むがこれらに限定されない、本出願のすべての態様に適用される。したがって、実施することができる様々な追加の工程がある場合、これらの追加の工程のそれぞれは、開示された方法の任意の特定の実施形態または実施形態の組み合わせを用いて実施され得ることが理解される。
【0019】
ポリマー樹脂
組成物は、ポリマー樹脂を含む。本発明での使用に適した樹脂は、ポリオレフィンを含むが、これに限定されない。一実施形態では、ポリオレフィンは、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、高分子量ポリエチレン(HMWPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、超低分子量ポリエチレン(ULMWPEまたはPE-WAX)、架橋ポリエチレン(PEXまたはXLPE)、高密度架橋ポリエチレン(HDXLPE)、およびそれらの組み合わせを含み得る。ポリエチレンという用語は、エチレンと少なくとも1つの他のオレフィンモノマーとからなるエチレンホモポリマーまたはコポリマーを意味する。さらに、ポリプロピレン(PP)ポリマー、低密度ポリプロピレン(LDPP)、高密度ポリプロピレン(HDPP)、およびそれらの組み合わせがポリオレフィンとしての使用に適している。一実施形態では、ポリオレフィンは、エチレン酢酸ビニル(EVA)コポリマーである。別の実施形態では、ポリオレフィンは、メタロセン触媒ポリオレフィン(すなわち、プラストマー)樹脂である。ポリエチレンポリオレフィン、ポリプロピレンポリオレフィン、EVAコポリマー、およびプラストマーの組み合わせを、ポリマー樹脂として使用することが企図される。例えば、他のポリマー材料を含む、または含まない、低密度ポリエチレン(LDPE)の混合物またはブレンドを使用してもよい。さらに、他のポリマー材料を含む、または含まない、高密度ポリエチレン(HDPE)の混合物またはブレンドを使用してもよい。
【0020】
本発明のポリマー樹脂は、ホモポリマーまたはコポリマーのいずれでもよい。一実施形態では、ポリマー樹脂は、オレフィンコポリマーである。オレフィンコポリマーの非限定的な例としては、ポリエチレンブチルアクリレート、ポリエチレンメタクリレート、ポリエチレンビニルアセテート、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0021】
一態様では、ポリマー樹脂は、低密度ポリエチレン(LDPE)である。LDPEは、約0.910g/cm3~約0.940g/cm3の範囲の密度を有し得る。別の態様では、ポリマー樹脂は、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)である。LLDPEは、約0.915g/cm3~約0.925g/cm3の範囲の密度を有し得る。
【0022】
さらに別の態様では、ポリマー樹脂は、高密度ポリプロピレン(HDPE)である。HDPEの密度は、約0.940g/cm3~約0.960g/cm3であり得、一実施形態では、約0.941g/cm3より大きい。HDPEは、少なくとも約200,000の分子量を有し得る。一実施形態では、HDPEの分子量は、約200,000~3,000,000である。別の実施形態では、HDPEは、少なくとも約500,000の分子量を有する。別の実施形態では、HDPEは、少なくとも約750,000の分子量を有する。例えば、HDPEは、約1,000,000~約1,500,000の範囲の分子量を有し得る。さらに別の実施形態では、HDPEは、約2,000,000未満の分子量を有する。
【0023】
さらに別の態様では、ポリマー樹脂は、超低密度ポリエチレン(VLDPE)である。VLDPEの密度は、約0.880g/cm3~約0.915g/cm3である。さらに別の態様では、ポリマー樹脂は、中密度ポリエチレン(MDPE)である。MDPEの密度は、約0.926g/cm3~約0.940g/cm3である。
【0024】
別の態様では、ポリマー樹脂は、再利用されるまたは生分解性のポリオレフィン樹脂である。例えば、ポリマー樹脂は、再生可能な原材料から導出されたバイオプラスチック、または生分解を促進する生分解性添加剤を含有する石油化学製品から製造されたプラスチックから構築されたポリオレフィン樹脂であってもよい。一実施形態では、ポリマー樹脂は、芳香族ポリエステル(例えば、ポリ-3-ヒドロキシブチレート(PHB)、ポリヒドロキシバレレート(PHV)、およびポリヒドロキシヘキサン酸(PHH)などのポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、およびポリカプロラクトン(PCL))、ポリ無水物、ポリビニルアルコール、出発誘導体、またはセルロースエステルから作られるポリオレフィン樹脂を含む。
【0025】
ポリマー樹脂は、組成物の約20重量パーセント~約90重量パーセントの量で樹脂組成物中に含まれてもよい。一実施形態では、ポリマー樹脂は、組成物の約30重量パーセント~約80重量パーセントの量で組成物中に存在する。別の実施形態では、組成物は、組成物の約50重量パーセント~約80重量パーセントのポリマー樹脂を含む。さらに別の実施形態では、ポリマー樹脂は、組成物の約60重量パーセント~約80重量パーセントの量で組成物中に存在する。さらに別の実施形態では、組成物は、組成物の約40重量パーセント~約60重量パーセントのポリマー樹脂を含む。
【0026】
一実施形態では、ポリマー樹脂は、ポリエチレン系であり、組成物の約40~約60重量パーセントを占める。例えば、組成物は、組成物の約45重量パーセント~約55重量パーセントのLDPE、LLDPE、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0027】
低アスペクト比充填剤
一態様では、本発明の組成物は、低アスペクト比充填剤材料も含む。組成物に含まれる場合、適切な低アスペクト比充填剤としては、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の炭酸塩、硫酸塩およびリン酸塩、ならびにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、低アスペクト比充填剤材料としては、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸カルシウム、およびそれらの混合物が挙げられる。他の低アスペクト比充填剤は、例えばタルク、シリカ、マイカなども企図される。一実施形態では、低アスペクト比充填剤は、炭酸カルシウム(CaCO3)を含む。
【0028】
低アスペクト比充填剤の粒径は、得られるフィルムの特性に影響を与えるということが理解され、本明細書において企図される。低アスペクト比充填剤は、その中に多様なサイズの粒子を有することができることもまた理解され企図される。よって、平均(mean)粒径(または平均(average)粒径)は、本明細書に記載の低アスペクト比充填剤を定義するのに使用される。低アスペクト比充填剤中の粒子のサイズは、粉末粒子サイズ分析ための標準ガイドであるASTM E2651-10に従って決定し得る。他の実施形態では、低アスペクト比充填剤の平均粒径は、少なくとも約10ミクロンである。例えば、低アスペクト比充填剤の平均粒径は、約10ミクロン~約30ミクロンの範囲であってもよい。さらに別の実施形態では、低アスペクト比充填剤は、約12ミクロン~約21ミクロンの平均粒径を有する。特に、低アスペクト比充填剤は、約12ミクロン、約17ミクロン、約21ミクロンの平均粒径、または約12ミクロン~約21ミクロンの範囲内の他の特定の粒径を有してもよい。
【0029】
さらに別の実施形態では、低アスペクト比充填剤の平均粒径は、少なくとも約18ミクロンである。この態様では、低アスペクト比充填剤は、約18~約50ミクロンの平均粒径を有してもよい。例えば、低アスペクト比充填剤の平均粒径は、約20~約40ミクロン、約20~約30ミクロン、またはそれらの間の他の範囲であってもよい。一実施形態では、低アスペクト比充填剤の平均粒径は、である。低アスペクト比充填剤は、組成物の約10重量パーセント~約80重量パーセントの量で組成物中に含まれていてもよい。一実施形態では、組成物は、組成物の約20重量パーセント~約60重量パーセントの低アスペクト比充填剤を含む。別の実施形態では、組成物は、組成物の約20重量パーセント~約50重量パーセントの低アスペクト比充填剤を含む。さらに別の実施形態では、低アスペクト比充填剤は、組成物の約20重量パーセント~約40重量パーセントの量で組成物中に含まれる。しかしながら、組成物に含まれる他の成分の量に応じて、他の範囲の低アスペクト比充填剤が本発明で使用されることが企図される。例えば、低アスペクト比充填剤は、組成物の約10重量パーセント~約70重量パーセント、約10重量パーセント~約50重量パーセント、および約10重量パーセント~約40重量パーセントの量で含まれてもよい。
【0030】
例えば、組成物は、LDPEまたはLLDPEなどのポリエチレンを含むポリマー樹脂、およびCaCO3などの低アスペクト比充填剤を含んでもよい。この態様では、ポリマー樹脂は、組成物の約40重量パーセント~約60重量パーセントの量で組成物中に存在してもよく、低アスペクト比充填剤は、組成物の約20重量パーセント~約40重量パーセントの量で組成物中に均一に分散されてもよい。一実施形態では、樹脂フィルムは、約45パーセント~約55パーセントのLDPEまたはLLDPEおよび約30パーセント~約40パーセントのCaCO3を含む組成物から形成される。この態様では、CaCO3は、約12ミクロン~約21ミクロンの平均粒径を有し得る。
【0031】
引裂き添加剤
本発明の組成物が引裂き添加剤を含む場合、引裂き添加剤の適切な非限定的な例としては、ブロックコポリマー、交互ポリマー、ステレオブロックコポリマー、およびそれらの組み合わせが挙げられる。例えば、引裂き添加剤は、分岐状(例えば星型、刷毛状、または櫛状)または直鎖状コポリマーであり得る。一実施形態では、コポリマーは、ポリ(ラクチド)のコポリマー、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(ホスファゼン)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(ヒドロキシブタレート)を含有するコポリマー、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)、ポリカーボネート、ポリエステルアミド、ポリ無水物、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(アルキレンアルキレート)、ポリエチレングリコールのコポリマー、およびポリオルトエステル、生分解性ポリウレタン、ポリ(アミノ酸)、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステル、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、ポリ(オキシエチレン)/ポリ(オキシプロピレン)コポリマー、ポリアセタール、ポリケタール、ポリホスホエステル、ポリヒドロキシバレレートもしくはポリヒドロキシバレレートを含有するコポリマー、ポリアルキレンオキサレート、ポリアルキレンコハク酸、ポリ(マレイン酸)、またはそれらの組み合わせとすることができる。一態様では、コポリマーは、ポリ(ラクチド)、95:5のポリ(ラクチド-コ-グリコリド)、85:15のポリ(ラクチド-コ-グリコリド)、75:25のポリ(ラクチド-コ-グリコリド)、65:35のポリ(ラクチド-コ-グリコリド)、50:50のポリ(ラクチド-コ-グリコリド)、またはそれらの組み合わせとすることができるとすることができる。ここで、比率はモル比である。
【0032】
一実施形態では、樹脂フィルムは、ポリマー樹脂、低アスペクト比充填剤、および引裂き添加剤を含む組成物から形成され、引裂き添加剤は、ブロックコポリマー、交互ポリマー、ステレオブロックコポリマー、またはそれらの組み合わせを含む。別の実施形態では、低アスペクト比充填剤は、炭酸カルシウム(CaCO3)を含み、組成物中に均一に分散している。さらに別の実施形態では、樹脂フィルムは、ポリマー樹脂および引裂き添加剤を含む組成物から形成され、引裂き添加剤は、ブロックコポリマー、交互ポリマー、ステレオブロックコポリマー、またはそれらの組み合わせを含む。
【0033】
引裂き添加剤は、環状オレフィンコポリマー(cyclic olefin copolymer、「COC」)でもよい。当業者に理解されるように、COCは、エチレンと環状オレフィンモノマーとの共重合によって製造することができる。これに関して、環状オレフィンモノマーは、シクロペンタジエンまたはジシクロペンタジエンの誘導体であってもよい。一実施形態では、環状オレフィンモノマーとして、ノルボルネン、ジヒドロジシクロペンタジエン、フェニルノルボルネン、テトラシクロドデセン、またはそれらの組み合わせが挙げられる。引裂き添加剤として使用されるCOCはまた、種々の環状モノマーの開環メタセシス重合とそれに続く水素化(環状オレフィンポリマー)によっても製造することができる。一態様では、COCは、8,9,10-トリノルボルン-2-エン(ノルボルネン)または1,2,3,4,4a、5,8,8a-オクタヒドロ-1,4:5,8-ジメタノナフタレン(テトラシクロドデセン)などの環状モノマーのエタンとの連鎖共重合体であってもよい。一実施形態では、引裂き添加剤は、エチレンとノルボルネンのCOCであってもよい。別の実施形態では、COCは、5:95、10:80、15:85、20:80、25:75、30:70、35:65、40:60、45:55、50:50、55:45、60:40、65:35、70:30、75:25、80:20、85:15、90:10、または95:5のモル比のエチレンとノルボルネンである。
【0034】
よって、一実施形態では、樹脂フィルムは、ポリマー樹脂、低アスペクト比充填剤、および引裂き添加剤を含む組成物から形成され、引裂き添加剤は、COCを含む。別の実施形態では、低アスペクト比充填剤は、炭酸カルシウム(CaCO3)を含み、組成物中に均一に分散している。さらに別の実施形態では、樹脂フィルムは、ポリマー樹脂および引裂き添加剤を含む組成物から形成され、引裂き添加剤は、COCを含む。
【0035】
引裂き添加剤は、組成物の約1重量パーセント~約20重量パーセントの量で組成物中に存在してもよい。一実施形態では、引裂き添加剤は、組成物の約2重量パーセント~約15重量パーセントの量で組成物中に存在してもよい。別の実施形態では、引裂き添加剤は、組成物の約2重量パーセント~約10重量パーセントの量で組成物中に存在してもよい。さらに別の実施形態では、組成物は、組成物の約5重量パーセント~約10重量パーセントの引裂き添加剤を含む。
【0036】
その他の添加剤
本発明の組成物はまた、「特殊効果剤」を含んでもよい。特殊効果剤とは、着色顔料、真珠光沢顔料、光干渉顔料、艶消し添加剤、または他の特殊効果顔料を含むがこれらに限定されない視覚効果を生み出すことができる任意の試剤を指す。添加剤の特定の所望の結果に応じて、特殊効果剤が、組成物の約1重量パーセント~約30重量パーセントの範囲の量で組成物中に含まれてもよい。例えば、特殊効果剤が、組成物の約5重量パーセント~約25重量パーセントの量で含まれてもよい。一実施形態では、本発明の組成物は、組成物の約20重量パーセント~約25重量パーセントの量の艶消し添加剤を含む。別の実施形態では、着色顔料を、組成物の約5重量パーセント~約10重量パーセントの量で本発明の組成物中に含める。さらに別の実施形態では、本発明の組成物は、組成物の約5重量パーセント~約20重量パーセントの量の真珠光沢顔料を含む。
【0037】
本発明の組成物は、帯電防止剤、防曇剤、難燃剤、乾燥剤、酸化防止剤、酸素捕捉剤、紫外線防止剤、水分遮断剤、およびそれらの組み合わせなどの機能性添加剤も含んでもよい。帯電防止添加剤の適切な非限定的な例として、エトキシル化アミンおよびアルキルアミンもしくはステアラミドなどの脂肪酸アミドとの混合物中に存在するか否かにかかわらず、エルカアミドアミドおよびオレアミドなどの滑り添加剤と混合される可能性も有する、グリセロールモノステアレートなどのポリエチレングリコールの脂肪酸エステルが挙げられる。
【0038】
当業者に理解されるように、帯電防止剤は、一般に移動性および非移動性の化学物質で利用可能である。両方とも別個に本発明の組成物で使用できるものとして企図される。例えば、一実施形態では、帯電防止剤は、最終ポリマーが形成されたときに帯電防止特性が効果を生じるように移動性マスターバッチ中に存在する。具体的には、低分子量帯電防止剤は、ポリマーの表面に移動し始めて微視的に薄いコーティングを形成する(コーティングが空気から水蒸気を能動的に捕捉した時点で)。捕捉された水は、次に、静電気を消散させる導体となる。表面上に存在する帯電防止剤が使用中に拭き取られると、より多くの帯電防止剤がポリマーから移動してそれに置き換える。このような帯電防止剤は、合成紙の最終用途に応じて、アミンを含んでいてもアミンを含まなくてもよい。例えば、アミンを含む帯電防止剤は、電子機器の包装、またはポリカーボネートを含むかまたはポリカーボネートと接触する包装に使用することは推奨されていない。アミンは、存在する場合、帯電防止剤の約1重量パーセント~約5重量パーセントを占めてもよい。別の実施形態では、帯電防止剤は、非移動性マスターバッチ中に存在する。このようなマスターバッチは、大気中の湿度とは無関係であり、静電気浸透ネットワークを形成することによって組成物(および最終的には合成紙)に帯電防止特性を与える。言い換えれば、いかなる特定の理論にも縛られることなく、その試剤自体は導電性であり、十分な量で存在する場合には、電気はポリマーを通り抜けることができ、そのポリマーは、その試剤とその非導電性ポリマーとの間のギャップにそのようなトンネリング効果を可能にするサイズを与える。
【0039】
本発明で使用する酸化防止剤の適切な非限定的な例として、フェノール系、芳香族アミン系、硫酸塩系、メルカプタン系、亜リン酸塩系、ベンゾフェノン系およびその誘導体系、ベンゾトリアゾール系、立体障害アミン系、サリチル酸系、クロモ系、およびマンガン塩系、リン化合物系の化合物、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0040】
添加剤の特定の所望の結果に応じて、機能性添加剤が、組成物の約1重量パーセント~約40重量パーセントの範囲の量で組成物中に含まれてもよい。例えば、これらの種類の添加剤は、組成物の約2重量パーセント~約30重量パーセントの量で含まれてもよい。一実施形態では、本発明の組成物は、組成物の約5重量パーセント~約30重量パーセントの量の少なくとも1つの乾燥剤を含む。別の実施形態では、抗酸化剤を、組成物の約2重量パーセント~約5重量パーセントの量で本発明の組成物中に含める。さらに別の実施形態では、本発明の組成物は、組成物の約5重量パーセント~約20重量パーセントの量の脱酸素剤を含む。さらに別の実施形態では、紫外線防止剤を、組成物の約2重量パーセント~約5重量パーセントの量で本発明の組成物中に含める。さらに別の実施形態では、本発明の組成物は、組成物の約2重量パーセント~約20重量パーセントの量の少なくとも1つの防湿剤を含む。防曇剤および難燃剤はそれぞれ、組成物の約2重量パーセント~約5重量パーセントの量で本発明の組成物中に含まれてもよい。移動性帯電防止剤は、組成物の約1重量パーセント~約8重量パーセントの量で本発明の組成物中に含まれてもよい。一実施形態では、組成物は、約2重量パーセント~約4重量パーセントの移動性帯電防止剤を含む。別の実施形態では、組成物は、約1重量パーセント~約5重量パーセントの移動性帯電防止剤を含む。さらに別の実施形態では、組成物は、約5重量パーセント~約8重量パーセントの移動性帯電防止剤を含む。非移動性帯電防止剤は、組成物の約15重量パーセント~約40重量パーセントの量で本発明の組成物中に含まれてもよい。
【0041】
また、相溶化剤も本発明の組成物中に含まれてもよい。適切な相溶化剤としては、ジブロックSBスチレン-ブタジエンコポリマー、ポリプロピレンおよびポリエチレンとスチレン(S)または無水マレイン酸(MAH)(PP-g-S、PP-g-MAH、PE-g-S、PE-g-MAHなど)とのスチレン-エチレン-ブチレン-スチレン(SEBS)グラファイト化コポリマーなどのトリブロックSBSもしくは星型および直鎖状マルチブロックもしくは「グラファイト化」(グラフト化)マルチブロックSB水素化コポリマー、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。相溶化剤は、含まれる場合には、組成物の約1重量パーセント~約10重量パーセントの量で含まれてもよい。一実施形態では、相溶化剤は、組成物の約2重量パーセント~約5重量パーセントの量で本発明の組成物中に含まれる。
【0042】
本発明の組成物が低アスペクト比充填剤を含まない、すなわち組成物がポリマー樹脂および引裂き添加剤を含むが低アスペクト比充填剤を含まない場合、ブロッキング防止添加剤を用いてフィルムがくっつくのを防止してもよい。この態様では、そのような組成物に有用な適切なブロッキング防止添加剤として、エルカアミドアミドおよびオレアミドなどの滑り添加剤と混合するか、またはステアラミドなどの脂肪酸アミドとの混合物で存在する可能性のある、表面処理を有するまたは有しない多孔質および非多孔質の合成ケイ酸塩、ケイ酸塩、ポリ(メチルメタクリレート)の薄球、およびシリコーンが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、本発明の組成物は、組成物の約1重量パーセント~約5重量パーセントの量の少なくとも1つのブロッキング防止添加剤を含む。滑り添加剤は、存在する場合、組成物の約1重量パーセント~約5重量パーセントの量で存在する。
【0043】
合成紙の製造方法
最も単純な形態ではあるが、本発明の合成紙は、単層の樹脂フィルムから形成され、その樹脂フィルムは本発明の組成物から形成される。しかしながら、合成紙は、多層の樹脂フィルムを含むことが十分に企図される。例えば、合成紙は、少なくとも2層を含み得る。一実施形態では、合成紙は、少なくとも3層を含む。別の実施形態では、合成紙は、4層超を含む。実際、合成紙は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、29、20、25、30、35、40、45、または50の層、またはそれ以上の層を含んでもよい。
【0044】
合成紙は、多層の樹脂フィルムを含み得るので、各層を形成するポリマー組成物は、合成紙に与えられる視覚的およびテクスチャー的効果、ならびにフィルムの意図した用途を考えるとフィルムの他の物理的属性に寄与し得る。したがって、合成紙の各層を形成するのに使用される組成物は独立しており、任意の1層以上の追加の層とは異なるかまたは同じであり得る。一態様において、合成紙の各層は、同じまたは異なるポリオレフィン樹脂を含むことができる。一実施形態では、合成紙は複数の層を含み、各層を形成するのに使用される組成物はすべて同じポリマー樹脂を含む。別の実施形態では、合成紙は複数の層を含み、各層を形成するのに使用される組成物はすべて異なるポリマー樹脂を含む。さらに別の実施形態では、合成紙は複数の層を含み、少なくとも1層は他の層(複数可)を形成するのに使用される組成物に含まれるポリマー樹脂とは異なるポリマー樹脂を使用する組成物から形成される。例えば、合成紙は、第1の層が低密度ポリエチレン(LDPE)を含む組成物から形成され、第2の層が直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、または上記の他の任意のポリマー樹脂を含む組成物から形成される、少なくとも2層を含み得る。
【0045】
合成紙の個々の層は同じまたは異なる組成物を含み得ること、および個々の層の比率は異なる視覚効果を達成するために変更され得ることが理解され、本明細書において企図される。例えば、合成紙が2層を含む場合、各層は合成紙の約50重量パーセントを占めてもよい。或いは、合成紙が2層を含む場合、各層は、合成紙の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99重量パーセントを占めてもよく、残りの層は合成紙の残りの割合を占める。同様に、合成紙が3層を含む場合、各層は合成紙の同じ重量の部分(すなわち、1/3部分)を含んでもよく、または最大で2層が同じ量を含む一方で残りの層が合成紙の全重量の異なる重量パーセントを占めるか、または3層すべてが合成紙の全重量の異なる重量パーセントを占めるように異なる比率としてもよい。例えば、第1の(すなわち、外側の)層および第3の層(すなわち、最も内側の層)が、それぞれ合成紙の20重量パーセント(合計40重量パーセント)を占めことができる一方、第2の層(中間層またはコア層)が、合成紙の全重量の残りの60パーセントを占めることが企図される。この態様では、合成紙中において存在することができる層重量比の任意の組み合わせとして、5:90:5、10:80:10、15:70:15、20:60:20、25:50:25、30:40:30、35:30:35、40:20:40、45:10:45、5:5:90、10:10:80、15:15:70、20:20:60、25:25:50、30:30:40、35:35:30、40:40:20、45:45:10、90:5:5、80:10:10、70:15:15、60:20:20、50:25:25、40:30:30、30:35:35、20:40:40、10:45:45、5:10:85、10:15:75、15:20:65、20:25:55、25:30:45、10:5:85、15:10:75、20:15:65、25:20:55、30:25:45、85:10:5、75:15:10、65:20:15、55:25:20、45:30:25、85:5:10、75:10:15、65:15:20、55:20:25、45:25:30、5:85:10、10:75:15、15:65:20、20:55:25、25:45:30、10:85:5、15:75:10、20:65:15、25:55:20、もしくは30:45:25、またはその他の組み合わせの外側:中央:内側の割合が挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
合成紙の多層を構築するために使用される相対的組成物は、層の用途および種類、すなわち、外側、内側、またはコアによって主に異なることが理解され、本明細書において企図される。例えば、中間層またはコア層は、約40パーセント~約80パーセントのポリオレフィン樹脂、20パーセント~約40パーセントの低アスペクト比充填剤、および約1パーセント~約20パーセントの引裂き添加剤から構成されてもよい。さらに、1層が引裂き添加剤を含み、他の層は含まなくてもよい。
【0047】
前述のように、特殊効果剤は、視覚効果を生み出すことができる試剤である。このように、特殊効果剤は、単層の樹脂フィルムを含む合成紙に使用されてもよい。さらに、樹脂フィルムが多層を含む場合、特殊効果剤を多層ポリマーフィルムの任意の層に組み込むことができる。例えば、一実施形態では、本発明の合成紙は、少なくとも2層の樹脂フィルムを含み、両層は、その中に分散された特殊効果剤を有する本発明の組成物を含む。別の実施形態では、本発明の合成紙は、2層以上、例えば3層を含んでもよく、第2の層および第3の層のそれぞれは、特殊効果剤を含む組成物から形成される。さらに別の実施形態では、本発明の合成紙は3層を含み、各層は特殊効果剤を含む組成物から形成される。この態様において、各層に含まれる特殊効果剤は同一であっても異なっていてもよい。
【0048】
合成紙は、所望の用途を考慮して必要な任意の厚さにすることができる。厚さは、層の数および/または1つ以上の個々の層の厚さによって決定することができる。一態様では、合成紙の厚さは一般に約0.5ミル~約4.0ミルの範囲であってもよい。一実施形態では、合成紙は、約0.5ミル~約3.0ミルの厚さを有してもよい。他の実施形態では、合成紙は、約0.5ミル~約2.0ミルの厚さを有してもよい。合成紙が多層を含む場合、各層の厚さは同じであっても異なっていてもよい。例えば、合成紙が約1.0ミルの全厚を有するが多層を含む場合、各層の厚さは約0.5ミルとしてもよい。或いは、合成紙が約2.0ミルの全厚を有するが多層を含む場合、第1の層の厚さは約1.5ミルとしてもよく、第2の層の厚さは約0.5ミルとしてもよい。
【0049】
合成紙が2層以上を含む場合、各層は、合成紙の全厚の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99パーセントを占め、残りの層は合成紙の残りの割合を占める。
【0050】
一実施形態では、合成紙は、第1の層が合成紙の全厚の約20パーセント~約40パーセントを占め、第2の層が合成紙の全厚の約60パーセント~約80パーセントを占める、少なくとも2層を含む。別の実施形態では、第1の層は合成紙の全厚の約10パーセント~約20パーセントを占め、第2の層は合成紙の全厚の約80パーセント~約90パーセントを占める。さらに別の実施形態では、第1の層は合成紙の全厚の約30パーセント~約50パーセントを占め、第2の層は合成紙の全厚の約50パーセント~約70パーセントを占める。
【0051】
合成紙は、インフレートまたはキャスト押出し法で製造し得る。本発明のフィルムを調製するために使用される組成物中の成分を混合する順序および方法は重要ではない。一実施形態では、成分は同時に組み合わせることができる。
【0052】
本発明の合成紙は、意図する最終用途に応じて、光沢表面処理または曇り表面処理で処理してもよい。例えば、本発明の合成紙をコーティングするために、水性コーティングおよび非水性コーティングの両方を使用することができる。水性コーティングの配合物は、アクリル樹脂、イソプロパノール、ポリビニルアルコール、粘土、帯電防止剤、28パーセントアンモニア水、純水、および酢酸ビニルを含み得る。
【0053】
さらに、本発明の合成紙は、最も一般的な印刷方法およびインクシステムを許容する表面を有する。よって、フレキソ印刷、グラビア印刷、凸版印刷、スクリーン印刷またはオフセット印刷機を使用して、本発明の合成紙に線画または多色プロセスを印刷することが企図される。
【0054】
合成紙の特性
デッドフォールド特性
特定の理論に縛られることなく、本発明の組成物中に低アスペクト比充填剤を使用すると、得られる合成紙のデッドフォールド特性が改善されると考えられる。「デッドフォールド」とは、合成紙が折り目または畳み目を保持する能力のことを指す。典型的には、優れたデッドフォールド特性を有する材料として、金属箔、紙、ポリスチレンおよびPVCが挙げられる。デッドフォールド特性についての従来の試験は、周囲温度で材料に180°の折り目を作り、次いで一定時間後に折り目が開く角度を測定することによって実施し得る。これはより大きいデッドフォールド保持を示すので、より低いまたはより小さい角度が望ましい。本開示の目的のために、デッドフォールド角度は、約5分後の折り目の角度を指すことを意図している。
【0055】
図1に示すように、厚さ2ミルの未使用HDPEフィルムは、5分後に約75°のデッドフォールド角度を有する。比較として、厚さ約3.75ミルの1枚のコピー用紙は、5分後に約20°のデッドフォールド角度を有する。本発明の合成紙は、未使用ポリエチレンフィルムよりも改善されたデッドフォールド特性およびコピー用紙に匹敵するデッドフォールド特性を示す。より具体的には、本発明の合成紙は、5分後に約50°以下のデッドフォールド角度を有し得る。一実施形態では、5分後の本発明の合成紙のデッドフォールド角度は、約10°~約40°である。別の実施形態では、本発明の合成紙は、5分後に約20°~約30°のデッドフォールド角度を有する。
【0056】
引裂き特性
いかなる特定の理論にも縛られることなく、本発明の組成物における引裂き添加剤の使用は、プライミングカットを必要とせずに合成紙の伸張を最小限に抑えるかまたは全く伴わずに紙を引裂くことを可能にする合成紙をもたらすと考えられる。これに関して、引裂強度は、組成物中の引裂き添加剤の減少率(すなわち、全組成物の重量に対する引裂き添加剤の重量パーセント)を調整することによって調整することができる。一実施形態では、エルメンドルフ引裂強度(ASTM D1922)は横方向で約50mN~約4000mNの範囲である。本明細書で使用するとき、横方向とは作業方向に垂直な方向を意味する。別の実施形態では、エルメンドルフ引裂強度は、横方向に約100mN~約3500mNの範囲である。さらに別の実施形態では、エルメンドルフ引裂強度は、横方向で約100mN~約1900mNの範囲である。例えば、LDPEを使用して形成される場合、本発明の合成紙は、横方向に約100mN~約1500mNの範囲のエルメンドルフ引裂強度を有し得る。一実施形態では、LDPEを使用して形成される場合、本発明の合成紙は、横方向に約100mN~約500mNの範囲のエルメンドルフ引裂強度を有し得る。別の実施形態では、HDPEを使用して形成される場合、本発明の合成紙は、横方向に約50mN~約800mNの範囲のエルメンドルフ引裂強度を有し得る。別の実施形態では、HDPEを使用して形成される場合、本発明の合成紙は、横方向に約100mN~約600mNの範囲のエルメンドルフ引裂強度を有し得る。
【0057】
エルメンドルフ引裂強度(ASTM D1922)は、縦方向に約50mN~約3500mNの範囲である。本明細書で使用するとき、縦方向とは作業方向と平行な方向を意味する。別の実施形態では、エルメンドルフ引裂強度は、縦方向において約100mN~約2000mNの範囲である。さらに別の実施形態では、エルメンドルフ引裂強度は、縦方向において約100mN~約1000mNの範囲である。例えば、LDPEを使用して形成される場合、本発明の合成紙は、縦方向に約50mN~約1500mNの範囲のエルメンドルフ引裂強度を有し得る。一実施形態では、LDPEを使用して形成される場合、本発明の合成紙は、縦方向に約50mN~約500mNの範囲のエルメンドルフ引裂強度を有し得る。別の実施形態では、HDPEを使用して形成される場合、本発明の合成紙は、縦方向に約50mN~約400mNの範囲のエルメンドルフ引裂強度を有し得る。別の実施形態では、HDPEを使用して形成される場合、本発明の合成紙は、縦方向に約50mN~約150mNの範囲のエルメンドルフ引裂強度を有し得る。
【0058】
本発明の合成紙の引裂き特性は、未使用フィルムと比較して測定することもできる。例えば、未使用LLDPEフィルムと比較した場合、本発明の合成紙は、横方向に少なくとも約5パーセント、および縦方向に少なくとも約10パーセントのエルメンドルフ引裂強度の低下を有し得る。一実施形態では、横方向において、本発明の合成紙のエルメンドルフ引裂強度は、未使用LLDPEフィルムのエルメンドルフ引裂強度の約95パーセント~約45パーセントである。別の実施形態では、横方向において、本発明の合成紙のエルメンドルフ引裂強度は、未使用LLDPEフィルムのエルメンドルフ引裂強度の約85パーセント~約45パーセントである。さらに別の実施形態では、横方向において、本発明の合成紙のエルメンドルフ引裂強度は、未使用LLDPEフィルムのエルメンドルフ引裂強度の約55パーセント~約45パーセントである。別の実施形態では、縦方向において、本発明の合成紙のエルメンドルフ引裂強度は、未使用LLDPEフィルムのエルメンドルフ引裂強度の縦方向において約90パーセント~約45パーセントである。さらに別の実施形態では、縦方向において、本発明の合成紙のエルメンドルフ引裂強度は、未使用LLDPEフィルムのエルメンドルフ引裂強度の約65パーセント~約45パーセントである。さらに別の実施形態では、縦方向において、本発明の合成紙のエルメンドルフ引裂強度は、未使用LLDPEフィルムのエルメンドルフ引裂強度の約55パーセント~約45パーセントである。
【0059】
未使用LDPEフィルムと比較すると、本発明の合成紙は、LDPEおよび引裂き添加剤を含む樹脂フィルムから形成された場合、横方向に少なくとも約35パーセント、縦方向に少なくとも約10パーセントのエルメンドルフ引裂強度の低下を有し得る。一実施形態では、横方向において、本発明の合成紙のエルメンドルフ引裂強度は、未使用LDPEフィルムのエルメンドルフ引裂強度の約65パーセント~約20パーセントである。他の実施形態では、横方向において、本発明の合成紙のエルメンドルフ引裂強度は、未使用LDPEフィルムのエルメンドルフ引裂強度の約50パーセント~約20パーセントである。さらに別の実施形態では、横方向において、本発明の合成紙のエルメンドルフ引裂強度は、未使用LDPEフィルムのエルメンドルフ引裂強度の約25パーセント~約20パーセントである。別の実施形態では、縦方向において、本発明の合成紙のエルメンドルフ引裂強度は、未使用LDPEフィルムのエルメンドルフ引裂強度の約90パーセント~約50パーセントである。さらに別の実施形態では、縦方向において、本発明の合成紙のエルメンドルフ引裂強度は、未使用LDPEフィルムのエルメンドルフ引裂強度の約70パーセント~約50パーセントである。さらに別の実施形態では、本発明の合成紙のエルメンドルフ引裂強度は、未使用LDPEフィルムのエルメンドルフ引裂強度の約60パーセント~約50パーセントである。
【0060】
未使用LDPEフィルムと比較すると、本発明の合成紙は、LDPE、低アスペクト比充填剤、および引裂き添加剤を含む樹脂フィルムから形成された場合、横方向に少なくとも約15パーセントのエルメンドルフ引裂強度の低下を有し得る。一実施形態では、横方向において、本発明の合成紙のエルメンドルフ引裂強度は、未使用LDPEフィルムのエルメンドルフ引裂強度の約85パーセント~約15パーセントである。他の実施形態では、横方向において、本発明の合成紙のエルメンドルフ引裂強度は、未使用LDPEフィルムのエルメンドルフ引裂強度の約82パーセント~約15パーセントである。さらに別の実施形態では、横方向において、本発明の合成紙のエルメンドルフ引裂強度は、未使用LDPEフィルムのエルメンドルフ引裂強度の約25パーセント~約15パーセントである。別の実施形態では、縦方向において、本発明の合成紙のエルメンドルフ引裂強度は、未使用LDPEフィルムのエルメンドルフ引裂強度の約100パーセント~約20パーセントである。さらに別の実施形態では、縦方向において、本発明の合成紙のエルメンドルフ引裂強度は、未使用LDPEフィルムのエルメンドルフ引裂強度の約45パーセント~約20パーセントである。さらに別の実施形態では、本発明の合成紙のエルメンドルフ引裂強度は、未使用LDPEフィルムのエルメンドルフ引裂強度の約30パーセント~約20パーセントである。
【0061】
未使用のHDPEフィルムと比較した場合、本発明の合成紙は、HDPE、低アスペクト比充填剤、および引裂き添加剤を含む樹脂フィルムから形成された場合、縦方向に少なくとも約5パーセントのエルメンドルフ引裂強度の低下を有する。一実施形態では、横方向において、本発明の合成紙のエルメンドルフ引裂強度は、未使用HDPEフィルムのエルメンドルフ引裂強度の約100パーセント~約60パーセントである。一実施形態では、横方向において、本発明の合成紙のエルメンドルフ引裂強度は、未使用HDPEフィルムのエルメンドルフ引裂強度の約80パーセント~約60パーセントである。さらに別の実施形態では、横方向において、本発明の合成紙のエルメンドルフ引裂強度は、未使用HDPEフィルムのエルメンドルフ引裂強度の約75パーセント~約65パーセントである。別の実施形態では、縦方向において、本発明の合成紙のエルメンドルフ引裂強度は、未使用HDPEフィルムのエルメンドルフ引裂強度の約95パーセント~約70パーセントである。さらに別の実施形態では、縦方向において、本発明の合成紙のエルメンドルフ引裂強度は、未使用HDPEフィルムのエルメンドルフ引裂強度の約85パーセント~約70パーセントである。さらに別の実施形態では、本発明の合成紙のエルメンドルフ引裂強度は、未使用LDPEフィルムのエルメンドルフ引裂強度の約80パーセント~約70パーセントである。
【0062】
さらに、本発明の合成紙の引裂きは、より少ない騒音で行える。一実施形態では、本発明の合成紙の引裂きは、コピー用紙またはボンド紙を引裂くことよりも少なくとも20パーセント静かである。結果として、本発明の合成紙は、映画館、公衆トイレなどでの包装に有用である。
【0063】
バリア特性
本発明の合成紙は、優れた耐水性、耐油性および耐グリース性を有する。本発明の合成紙の他の重要な利点は、改善された酸素遮断性および水分遮断性である。本発明の合成紙は、コーティングされていない包装材料と比較して、酸素遮断性において約30~約60パーセントの改善、および水分遮断性において最大約40パーセントの改善をもたらす。言い換えれば、本発明の合成紙は、ワックス紙のそれと同様のMVTR値を有する。
【0064】
本発明の合成紙の水蒸気透過率は、吸収、例えば特定の条件下でのある期間にわたる重量増加またはサイズ増加、および透過率、例えばASTM E96-00に従った水蒸気透過率(MVTR)で表すことができる。MVTRは、特定の温度および湿度の差において単位時間当たりの単位面積当たりの所与の厚さの材料中に拡散した水蒸気の質量を指す。
【0065】
(表1)
MVTR:38℃、90パーセント相対湿度での24時間にわたる透湿度(g/m
2)
【0066】
相対湿度100パーセントおよび72°Fで7週間にわたって監視された合成紙の重量変化は、本発明の合成紙が従来のワックス紙と同等の耐水性を有することを実証するのに役立つ。一実施形態では、本発明の合成紙は、7週間後に約0.15グラム以下の重量増加を有する。別の実施形態では、本発明の合成紙は、7週間の保存期間後に約0.13グラム以下の重量増加を有する。さらに別の実施形態では、本発明の合成紙の重量増加は7週間後に約0.09グラム以下である。さらに別の実施形態では、重量増加は7週間後に約0.06グラム以下である。本発明の合成紙は、好ましくは7週間の保存期間にわたって約0.03グラム以下の重量増加を有する。
【0067】
不透明度
本発明の合成紙は、約50~約95パーセントの不透明度であり得る。一実施形態では、本発明の合成紙の不透明度は、約60パーセント~約95パーセントである。さらに別の実施形態では、本発明の合成紙は、約70~約85パーセントの不透明であり得る。
【0068】
再利用性
上述したように、樹脂フィルムを形成する組成物には再利用されるまたは生分解性のポリオレフィンを使用してもよい。したがって、本発明の合成紙は完全に再利用可能となるように配合することができると企図される。
【0069】
本発明により製造された紙は、印刷、包装および装飾の分野に適用することができる。例えば、本発明の合成紙は、食品、デリ、およびミートラップ、ベーカリー包装、チューインガム包装、調味料/甘味料パケット、パーソナルケアパケット、スナックバッグパウチ、ギフト包装、花束包装、クラフト用途、コンクリートバッグ、商品バッグに使用することができる。実際、本発明の合成紙は、従来の紙製食品包装材と比較してグリースの染みを減少または排除し、化学物質およびワックスの食品への移行を防止する。
【実施例】
【0070】
以下の非限定的な実施例は、本発明の好ましい実施形態の単なる例示であり、本発明を限定するものとして解釈されるべきではなく、その範囲は添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0071】
実施例1:ポリオレフィン樹脂および低アスペクト比充填剤を含む組成物
ポリオレフィン樹脂および低アスペクト比充填剤を含む本発明の組成物は、下記の表2に示すように形成された。
【0072】
(表2)樹脂フィルム組成物
1 103805は平均粒径21μmの炭酸カルシウムである。
2 LR-241679は、平均粒径が12μmの炭酸カルシウムである。
3 LR-241680は、平均粒径17μmの炭酸カルシウムである。
【0073】
表3に示すように、組成物A~Fを縦方向(MD)および横方向(TD)に試験したとき、低アスペクト比充填剤中の粒径が小さいほど、伸び率および引張強度が最大となった。
【0074】
【0075】
さらに、縦方向または横方向において、組成物AとCまたはDとFとの間で試験された特性に有意な差はない。
【0076】
実施例2:ポリオレフィン樹脂および引裂き添加剤を含む組成物
異なる種類のポリオレフィン樹脂および様々な量の引裂き添加剤を含む本発明の組成物を使用して、本発明による樹脂フィルムを形成した。いずれの場合も、ポリオレフィン樹脂は組成物の50重量パーセント~55重量パーセントの量で使用した。
【0077】
図3Aは、LLDPEフィルムに対する様々な量の引裂き添加剤の効果を示す。特に、引裂き添加剤を2パーセント充填した場合、縦方向にエルメンドルフ引裂強度が5パーセント低下し、横方向にエルメンドルフ引裂強度が12パーセント低下した。引裂き添加剤を5パーセント充填した場合、縦方向にエルメンドルフ引裂強度が19パーセント低下し、横方向にエルメンドルフ引裂強度が39パーセント低下した。引裂き添加剤を10パーセント充填した場合、縦方向にエルメンドルフ引裂強度が53パーセント低下し、横方向にエルメンドルフ引裂強度が51パーセント低下した。
【0078】
図3Bは、LDPEフィルムに対する引裂き添加剤の様々な量の効果を示す。特に、引裂き添加剤を2パーセント充填した場合、縦方向にエルメンドルフ引裂強度が36パーセント低下し、横方向にエルメンドルフ引裂強度が12パーセント低下した。引裂き添加剤を5パーセント充填した場合、縦方向にエルメンドルフ引裂強度が52パーセント低下し、横方向にエルメンドルフ引裂強度が36パーセント低下した。引裂き添加剤を10パーセント充填した場合、縦方向にエルメンドルフ引裂強度が78パーセント低下し、横方向にエルメンドルフ引裂強度が44パーセント低下した。
【0079】
図3Cは、HDPEフィルムに対する様々な量の引裂き添加剤の効果を示す。特に、引裂き添加剤を5パーセント充填した場合、縦方向にエルメンドルフ引裂強度が7パーセント低下し、横方向にエルメンドルフ引裂強度の低下はなかった。引裂き添加剤を10パーセント充填した場合、縦方向にエルメンドルフ引裂強度が8パーセント低下し、横方向にエルメンドルフ引裂強度の低下はなかった。2パーセントの充填では縦方向にも横方向にもエルメンドルフ引裂強度に影響はなかった。
【0080】
実施例3:低密度ポリオレフィン、低アスペクト比充填剤、引裂き添加剤、および着色添加剤を含む組成物
ポリオレフィン樹脂、着色添加剤、様々な量の引裂き添加剤、および低アスペクト比充填剤を含む本発明の組成物を使用して、本発明による樹脂フィルムを形成した。いずれの場合も、ポリオレフィン樹脂は、組成物の40重量パーセントの量で含まれるLDPEであり、着色添加剤は、組成物の10重量パーセントの量で含まれるブラウンマスターバッチであり、低アスペクト比充填剤は、平均粒径が21μmの炭酸カルシウムであり、これは組成物の40重量パーセントの量で含まれていた。
【0081】
図4は、引裂き添加剤の効果を示す。特に、引裂き添加剤を2パーセント充填した場合、縦方向に16パーセントのエルメンドルフ引裂強度の低下があり、横方向にエルメンドルフ引裂強度の低下はなかった。引裂き添加剤を5パーセント充填した場合、縦方向にエルメンドルフ引裂強度が19パーセント低下し、横方向にエルメンドルフ引裂強度が60パーセント低下した。引裂き添加剤を10パーセント充填した場合、縦方向にエルメンドルフ引裂強度が80パーセント低下し、横方向にエルメンドルフ引裂強度が75パーセント低下した。
【0082】
図3Bと
図4を比較すると、LDPE、低アスペクト比充填剤、および引裂き添加剤を含む組成物は、LDPEおよび引裂き添加剤のみを含む組成物よりも優れた引裂き特性を有する樹脂フィルムを形成することが示されている。
【0083】
実施例4:高密度ポリオレフィン、低アスペクト比充填剤、および引裂き添加剤を含む組成物
ポリオレフィン樹脂、様々な量の引裂き添加剤、および低アスペクト比充填剤を含む本発明の組成物を使用して、本発明による樹脂フィルムを形成した。いずれの場合も、ポリオレフィン樹脂は、組成物の40重量パーセントの量で含まれるHDPEであり、低アスペクト比充填剤は、平均粒径が21μmの炭酸カルシウムであり、これは組成物の40重量パーセントの量で含まれていた。その対照は、HDPEのみを含み、低アスペクト比充填剤は含まなかった。
【0084】
図5Aおよび5Bは、LDPEを用いて実施例3で得られた結果がHDPEを用いて実現されないことを示す。特に、引裂き添加剤を2パーセント充填した場合、縦方向に10パーセントのエルメンドルフ引裂強度の低下があり、横方向にエルメンドルフ引裂強度の低下はなかった。引裂き添加剤を5パーセント充填した場合、縦方向にエルメンドルフ引裂強度が20パーセント低下し、横方向にエルメンドルフ引裂強度が28パーセント低下した。引裂き添加剤を10パーセント充填した場合、縦方向にエルメンドルフ引裂強度が25パーセント低下し、横方向にエルメンドルフ引裂強度が30パーセント低下した。
【0085】
本発明の広い範囲を説明する数値範囲およびパラメータは近似値であるにもかかわらず、特定の実施例に記載されている数値は可能な限り正確に報告されている。しかしながら、いずれの数値も、それらのそれぞれの試験測定値に見られる標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を本質的に含む。さらに、様々な範囲の数値範囲が本明細書に記載されている場合、列挙された値を含むこれらの値の任意の組み合わせが使用され得ることが企図される。
【0086】
本明細書に記載され請求される本発明は、本明細書に開示される特定の実施形態によって範囲が限定されるべきではない。これらの実施形態は本発明のいくつかの態様の例示として意図されるからである。あらゆる同等の実施形態は、本発明の範囲内にあることが意図されている。実際、本明細書に示され記載されたものに加えて本発明の様々な改変は、前述の記載から当業者に明らかとなるであろう。そのような修正も添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されている。