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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-01
(45)【発行日】2022-11-10
(54)【発明の名称】手袋構造
(51)【国際特許分類】
   A41D 19/00 20060101AFI20221102BHJP
【FI】
A41D19/00 N
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019537349
(86)(22)【出願日】2018-01-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-06
(86)【国際出願番号】 CN2018071895
(87)【国際公開番号】W WO2018130138
(87)【国際公開日】2018-07-19
【審査請求日】2021-01-05
(31)【優先権主張番号】201710020727.X
(32)【優先日】2017-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516139492
【氏名又は名称】上海金楓裕手套有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI JIN FENG YU GLOVE CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】RM 2F-B2,No.8 BUILDING,JINQIAO OFFICE PARK,No.27 XINJINQIAO ROAD,PUDONG,SHANGHAI,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100159905
【弁理士】
【氏名又は名称】宮垣 丈晴
(72)【発明者】
【氏名】蔡文▲嵐▼
(72)【発明者】
【氏名】李▲進▼▲鋒▼
(72)【発明者】
【氏名】李志斌
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0070916(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0059739(US,A1)
【文献】中国実用新案第204930473(CN,U)
【文献】中国特許第103415223(CN,B)
【文献】特表2016-537520(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 19/00-19/04
A41H43/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも手袋芯(11)と裁断片(21)を含み、該裁断片(21)の下面(S2)は該手袋芯(S1)の外面に被覆される手袋構造であって、
該外面(S1)には射出成形モジュール(22)が設けられ、該射出成形モジュール(22)は該裁断片(21)の断面(S3)を埋め込
該射出成形モジュール(22)は該裁断片(21)の上面(S4)に向かって延伸されて射出成形重複セグメント(222)を形成し、該射出成形重複セグメント(222)は該上面(S4)の縁部(E1)のみを埋め込み、
該裁断片(21)の該下面(S2)に接着層(23)が増設され、
該射出成形モジュール(22)は該下面(S2)の下方に延伸されて射出成形クランプセグメント(223)を形成し、
該射出成形クランプセグメント(223)は該接着層(23)の接着下面(S5)に接着される、ことを特徴とする手袋構造。
【請求項2】
該接着層(23)は該下面(S2)の縁部(E2)のみに設けられる、ことを特徴とする請求項に記載の手袋構造。
【請求項3】
該裁断片(21)及び該射出成形モジュール(22)は該手袋芯(11)の手袋芯の断面(S6)の周長の50%以上を被覆する、ことを特徴とする請求項1に記載の手袋構造。
【請求項4】
該裁断片(21)は該手袋芯の断面(S6)の周長の50%以上を被覆する、ことを特徴とする請求項に記載の手袋構造。
【請求項5】
該手袋芯(11)は掌面、掌側、掌背、指面、指側及び指背を有し、該手袋芯(11)の手袋芯の断面(S6)における該裁断片(21)は2つの該断面(S3)を有し、いずれか1つの該断面(S3)が該手袋芯(11)の該掌面、該掌面と該掌側との接続部、該掌側、該掌側と該掌背との接続部、該掌背、該指面、該指面と該指側との接続部、該指側、該指側と該指背との接続部、又は該指背に位置し、他方の該断面(S3)が該裁断片(21)の延伸方向に沿って該手袋芯(11)の該掌面、該掌面と該掌側との接続部、該掌側、該掌側と該掌背との接続部、該掌背、該指面、該指面と該指側との接続部、該指側、該指側と該指背との接続部、又は該指背に位置する、ことを特徴とする請求項1に記載の手袋構造。
【請求項6】
該射出成形モジュール(22)は曲面形状を有し、且つ該手袋芯(11)のいずれか1つの部分を被覆する、ことを特徴とする請求項1に記載の手袋構造。
【請求項7】
該手袋芯(11)は掌側を有し、且つ該曲面形状は掌側を被覆し、又は、手袋芯(11)は指側を有し、且つ該曲面形状は該指側を被覆する、ことを特徴とする請求項に記載の手袋構造。
【請求項8】
該手袋芯(11)は掌面、掌側及び掌背を有し、且つ該曲面形状が該掌側及び該掌面、又は該掌側及び該掌背を被覆する、ことを特徴とする請求項に記載の手袋構造。
【請求項9】
該手袋芯(11)は指面、指側及び指背を有し、且つ該曲面形状は該指側及び該指面、又は該指側及び該指背を被覆する、ことを特徴とする請求項に記載の手袋構造。
【請求項10】
該手袋芯(11)は掌面、掌側及び掌背を有し、且つ該曲面形状は該掌背、該掌側及び該掌面を被覆する、ことを特徴とする請求項に記載の手袋構造。
【請求項11】
該手袋芯(11)は指面、指側及び指背を有し、且つ該曲面形状は該指背、該指側及び該指面を被覆する、ことを特徴とする請求項に記載の手袋構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手袋構造の機能的構成に関し、主に長期的にあるべき機能を維持可能な手袋を提供する。
【背景技術】
【0002】
人間の手袋構造(例えば、衣服、ズボン、靴、靴下、帽子、さらに手袋)への依存は、社会的な理由に加え、その特定の形やカラフルな手袋構造は、さらにある文化的、宗教的及び社会的意義を持っている。当然ながら、人間は、身体の特定の部位に手袋を付ける方式で、脆弱な人体が天気や環境による損傷を回避することが最も早くから分かっている。
【0003】
人体の各部位に必要な可動能力を維持するために、手袋構造の手袋芯にたわみがある特性を必要とすることが一般的であり、その材料は初期の獣皮から植物、及び近代の人工合成皮革や化学繊維などにも進化し、さらに手袋芯に異なる数の機能的構成を付けることで、ある潜在的な危害がある活動に従事する場合に安全防護の程度を向上させ、又は単に装飾や警告の目的を達成することが期待されている。
【0004】
一般的に手袋構造の機能的構成は、手袋芯に裁断片を付けることが多く、機能の要求に応じて該裁断片の材質は該手袋芯の材質と同じであってもよいし、又は該手袋芯の材質と異なってもよく、且つ裁断片の材質特性に応じて、一般的に機械で縫製し、又は粘着の方式で裁断片と手袋芯とを結合する。周知のように手袋芯は掌部と指部に分けられ、掌部がさらに掌面(palm piece)、掌側と掌背(back piece)に分けられ、指部がさらに指面、指側と指背に分けられる。
【0005】
例えば、中華人民共和国特許登録番号CN103415223Bは、手袋を開示しており、該特許の内容は参照により本明細書に組み込まれる。非射出成形モジュール(裁断片)をライニング(手袋芯)に固定するために、該特許のセクション[0036]では、非射出成形モジュールが射出成形モジュールによってライニングに接着されて3層構造を形成することを示しているが、それにより非射出成形モジュールと同じ面積の射出成形モジュールを使用するのみで接着できるようになり、その結果、3層構造の設計のため、手袋が厚くなるだけでなく、重量も重くなり、手袋を着用した後に全体的な手の操作が不器用になる。また、射出成形モジュールによって覆われた領域は通気性がないため、手袋を着用したときに蒸し暑い不快感を引き起こす。例えば、非射出成形モジュールが高い通気性と高い耐摩耗性が要求される場合、前述した該特許の3層構造を用いると、非射出成形モジュールの通気性が失われるか、又は完全に通気しなくなる。即ち、前述した該特許の3層構造方式の射出成形モジュールは、非射出成形モジュールに本来の機能を失わせる。
【0006】
しかしながら、機械で縫製し又は粘着の方式で裁断片を手袋芯の表面に固定しても、その裁断片の縁部と手袋芯との間に固定しても、いずれも外力や異物に触れやすい段差が形成され、裁断片の縁部が手袋芯から外れると、裁断片を大面積で剥離させるための剥離口になりやすいが、前述した3層構造の設計により逆に段差を大きくするようになり、大きくなった段差はさらに外力や異物に触れて裁断片と手袋芯が離れやすいため、手袋は長期的にあるべき機能を維持することができないだけでなく、さらに手袋構造の耐用年数に深刻な影響を与える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】中華人民共和国特許登録番号CN103415223B
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これに鑑み、本発明の目的は、長期的に手袋構造のあるべき機能を維持可能な手袋構造、及びそれを用いた手袋構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の手袋は、少なくとも手袋芯と裁断片を含み、該裁断片の下面は該手袋芯の外面に被覆される手袋構造であって、該外面には射出成形モジュールが設けられ、該射出成形モジュールは該裁断片の断面を埋め込むことを特徴とする。
【0010】
上記構造的特徴を利用して、本発明の手袋は、射出成形モジュールによって裁断片と手袋芯との間の段差に対する遮蔽作用を果たし、同時に裁断片を固定する接着効果を生じ、相対的に積極的で確実な手段で裁断片の縁部が手袋芯から離れることを防止し、長期的に手袋構造のあるべき機能を維持することに加えて、さらに手袋構造の品質を向上させることに寄与する。また、該射出成形モジュールによって該裁断片の該断面のみを埋め込むため、該裁断片の元の機能に影響を与えることなく、即ち、本発明の手袋における該射出成形モジュールによって該裁断片が元の機能を失うことがない。
【0011】
上記構造的特徴によれば、該射出成形モジュールは該裁断片の上面に向かって延伸されて射出成形重複セグメントを形成し、該射出成形重複セグメントは少なくとも上面の少なくとも一部を埋め込む。
【0012】
上記構造的特徴によれば、該射出成形重複セグメントは該上面の縁部のみを埋め込み、該射出成形重複セグメントによって該断面近傍の該射出成形モジュールとともにファスナーの形態を形成して該裁断片に対する係止効果を奏し、前記上面の縁部は該上面から該断面まで0mmよりも大きく、10mm以下の範囲内であってもよい。
【0013】
上記構造的特徴によれば、該外面と該断面は該射出成形モジュールにおいて共同で角度を成し、該角度は直角である。
【0014】
上記構造的特徴によれば、該外面と該断面は該射出成形モジュールにおいて共同で角度を成し、該角度は鈍角であり、該断面は斜面状を呈し、且つ該射出成形モジュールとの接触面積は該角度が直角の場合よりも大きい。
【0015】
上記構造的特徴によれば、該外面と該断面は該射出成形モジュールにおいて共同で角度を成し、該角度は鋭角であり、該断面も斜面状を呈し、且つ該射出成形モジュールとの接触面積は該角度が直角の場合よりも大きく、射出成形挟持セグメントを形成し、該射出成形挟持セグメントによって該射出成形モジュール及び該射出成形重なりセグメントとともに該裁断片に対する挟持効果を奏する。
【0016】
上記構造的特徴によれば、該裁断片の該下面に接着層が増設される。
【0017】
上記構造的特徴によれば、該接着層は該下面の縁部にのみ配置され、前記下面の縁部は該下面から該断面まで0mmよりも大きく、10mm以下の範囲内であってもよい。
【0018】
上記構造的特徴によれば、該射出成形モジュールは該裁断片の該下面の下方に射出成形クランプセグメントが延伸される。
【0019】
上記構造的特徴によれば、該射出成形クランプセグメントが該下面に粘着される。
【0020】
上記構造的特徴によれば、該射出成形クランプセグメントが該接着層の接着下面に粘着される。
【0021】
上記構造的特徴によれば、該射出成形クランプセグメントと該射出成形モジュール及び該射出成形重複セグメントとともに該裁断片に対するクランプ効果を奏する。
【0022】
上記構造的特徴によれば、該裁断片及び該射出成形モジュールは該手袋芯の手袋芯の断面の周長の50%以上を被覆することで、該裁断片及び該射出成形モジュールの張力が該手袋芯と該裁断片、及び該手袋芯と該射出成形モジュールとの粘着固定の合力に変わる。
【0023】
上記構造的特徴によれば、該裁断片は該手袋芯の断面の周長の50%以上を被覆する。
【0024】
上記構造的特徴によれば、該射出成形モジュールは設置された該裁断片の他方の方向に延伸されて射出成形機能セグメントを形成することで、該射出成形モジュールと該裁断片との効率を補完することができる。
【0025】
上記構造的特徴によれば、該射出成形モジュールは曲面形状を有し、且つ該手袋芯の任意の部分を被覆する。
【0026】
上記構造的特徴によれば、該手袋芯は、掌面、掌側及び掌背を有し、且つ該曲面形状が該掌側を被覆する。
【0027】
上記構造的特徴によれば、該手袋芯は、指面、指側及び指背を有し、且つ該曲面形状は該指側を被覆する。
【0028】
上記構造的特徴によれば、該曲面形状は、該掌側及び該掌面、又は該掌側及び該掌背を被覆する。
【0029】
上記構造的特徴によれば、該曲面形状は、該指側及び該指面、又は該指側及び該指背を被覆する。
【0030】
上記構造的特徴によれば、該曲面形状は、該掌背、該掌側及び該掌面を被覆する。
【0031】
上記構造的特徴によれば、該指背、該指側及び該指面を被覆する。
【発明の効果】
【0032】
本発明は、主に射出成形モジュールを用いて裁断片と手袋芯との間の段差に対する遮蔽作用を果たし、同時に裁断片を固定する接着効果を生じ、相対的に積極的で確実な手段で裁断片の縁部が手袋芯から離れることを防止し、手袋構造のあるべき機能を長期的に維持可能であり、さらに手袋構造の品質の向上に寄与する。特に、それぞれの様々な機能を持つ射出成形モジュール及び裁断片を手袋構造の手袋芯と確実に結合し、手袋構造の機能的特性を効果的に向上させ、且つ手袋構造の耐用年数を大幅に延長させる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の手袋構造の使用配置を示す図である。
図2】本発明の実施例1に係る手袋構造の局所構造を示す断面図である。
図3】本発明の実施例1に係る手袋構造の鈍角構造を示す断面図である。
図4】本発明の実施例1に係る手袋構造の鋭角構造を示す断面図である。
図5】本発明の実施例2に係る手袋構造の局所構造を示す断面図である。
図6】本発明の実施例3に係る手袋構造の局所構造を示す断面図である。
図7】本発明の実施例4に係る手袋構造の局所構造を示す断面図である。
図8】本発明の手袋を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明は、主に手袋構造を提供し、図1及び図2に示すように、手袋構造10の手袋芯11に少なくとも1つの裁断片21を被覆し、該裁断片21を用いて、例えば滑り止め、引っかき止め、防水、断熱又は絶縁などの予め設定された機能的特性を生じる。
【0035】
実施中、前記該手袋構造10の該手袋芯11は、綿糸、皮革、パイル、繊維、天然繊維、人造繊維、不織布、プラスチック又はゴム製であってもよく、該手袋芯は、ニット手袋、縫製手袋又は機械による織物手袋であってもよく、該裁断片21の材質は該手袋芯11の材質と同じであってもよいし、当然ながら、該裁断片21の材質は該手袋芯11の材質と異なってもよい。周知のように該手袋芯11は掌部と指部に分けられ、該掌部がさらに掌面、掌側と掌背に分けられ、該指部がさらに指面、指側と指背に分けられる。当然ながら、該手袋芯11は、該掌部のみを備え、必ずしも該指部を備えなくてもよいし、又は該手袋芯11は、該指部のみを備え、必ずしも該掌部を備えなくてもよい。ここで特に説明するのは、該掌部、該指部、該掌面、該掌側、該掌背、該指面、該指側及び該指背は一般的な知識で知られているため、ここで符号を省略する。
【0036】
本発明の手袋構造は、主に該裁断片21の下面S2が該手袋芯11の外面に被覆され、該外面S1には射出成形モジュール22が設けられ、該射出成形モジュール22が該裁断片21の断面S3を埋め込むことを特徴とする。
【0037】
原則として、該裁断片21を所定の輪郭を呈するように予め裁断し、その後、モールドを用いて該裁断片21を該手袋芯11の予め設定された位置に位置決めし、続いてモールドを介して溶融した射出成形材料を該手袋芯11の該外面S1及び該裁断片21の該断面S3に埋め込むことができる。溶融した射出成形材料が冷却して成形した後に、該手袋芯11と該裁断片21との間の段差Dを埋め込む該射出成形モジュール22を構成することができる。
【0038】
それによると、本発明の手袋構造は、即ち該射出成形モジュール22によって該裁断片21と該手袋芯11との段差Dに対する遮蔽作用を果たすことができ、同時に射出成形材料が溶融した後に流体となることにより、モールド内の高圧作動で、該外面S1及び該断面S3への浸透が生じ、該外面S1及び該断面S3の内部の微細なホールに入り込むことで、分子絡み合いの高い付着力、又は化学結合の高い結合力が生じる物理的現象が発生し、従って該裁断片21の該下面S2と該手袋芯11の該外面S1との粘着力や結合力がない状況でも、該外面S1の射出成形モジュール22が該裁断片21の該断面S3のみを埋め込むことで、該裁断片21(即ち、該下面S2)を該手袋芯11(即ち、該外面S1)に固定することができる。
【0039】
また、射出成形材料は一般に弾性材料であるため、外力によって該手袋芯11と該裁断片21を該段差Dから分離させようと衝突する場合、外力が該射出成形モジュール22に衝突すると、弾性材料の緩衝特性により外力の一部が相殺するため、該手袋芯11と該裁断片21が該段差Dから分離する可能性を大幅に低減させ、よって該手袋構造10の耐用年数が延長する。本発明は、少量の該外表面S1の該射出成形モジュール22で該裁断片21の該断面S3のみを埋め込むことで、該裁断片21(即ち、該下面S2)を該手袋芯11(即ち、該外面S1)に固定することができ、且つ該手袋構造10全体を、前述した背景技術の節で言及した3層構造による厚くて重い欠点をなくすように、略、該手袋芯11の厚さと該裁断片21の厚さとの合計に維持することができ、且つ該射出成形モジュール22は少量で、該裁断片21の面積を占有していないため、該裁断片21の元の通気性は、該射出成形モジュール22に影響を受けず、同時に、本発明は、該射出成形モジュール22の緩衝特性により一部の外力の破壊が相殺するため、該手袋構造10の耐用年数を延長させる。従って、本発明は、相対的に積極的で確実な手段で、該裁断片21が該段差Dから該手袋芯11と離れることを防止し、該手袋構造10に長期的にあるべき機能を維持することができることに加えて、さらに該手袋構造10の品質及び耐用年数の向上に寄与することができる。
【0040】
また、該射出成形モジュール22は、設置された該裁断片21の方向に延伸されて射出成形重複セグメント222を形成し、該射出成形モジュール22の該射出成形重複セグメント22は少なくとも該裁断片21の上面S4の少なくとも一部を埋め込むことで、該射出成形重複セグメント222によって該射出成形モジュール22と該裁断片21との接触面積を増加させ、さらに好ましくは該射出成形モジュール22と該裁断片21との接着力や結合力を増加させ、即ち、前述した原理のとおり、該裁断片21を該手袋芯11により強固に固定させることができる。そして、該射出成形重複セグメント222が存在するため、さらに該断面S3近傍の該射出成形モジュール22とともに直角ファスナーの形態を形成して該裁断片21に対する係止効果を奏し、該射出成形モジュール22と該裁断片21との固定を強化することに加え、さらに該射出成形モジュール22と該裁断片21との外力による剥離意図を受け止め、特に、外力が該外面S1に垂直である方向であり、該射出成形モジュール22を該裁断片21から剥離することを意図している場合、該射出成形重複セグメント222の存在のために、該断面S3近傍の該射出成形モジュール22とともに直角ファスナーの形態を形成して該裁断片21に対する係止効果を奏し、特に、該射出成形重複セグメント222と該射出成形モジュール22が一体成形される場合の係止効果が特に優れており、従って該射出成形モジュール22と該裁断片21との外力による剥離意図を受け止める。
【0041】
該射出成形モジュール22の該射出成形重複セグメント222は、該裁断片21の該上面S4の縁部E1のみを埋め込むことができる。このようにすると、その利点は、該射出成形重複セグメント222が、前述したように射出成形モジュール22と裁断片21との接触面積を増加し、及び直角ファスナーの形態を形成できることに加えて、前述したように該裁断片21の本来の通気性が該射出成形モジュール22の影響を受けることがないことである。
【0042】
該外表面S1と該断面S3は、該射出成形モジュール22において共同で角度Aを成し、図2に示すように、該角度Aは直角で、即ち該角度Aが90度である。同時に図3に示すように、該角度Aは鈍角で、即ち該角度Aが90度よりも大きく180度よりも小さい場合、該断面S3は斜面状を呈し、且つ該射出成形モジュール22との接触面積は該角度Aが直角の場合よりも大きい。同時に図4に示すように、該角度Aは鋭角で、即ち該角度Aが0度よりも大きく90度よりも小さい場合、該断面S3も斜面状を呈し、且つ該射出成形モジュール22との接触面積は該角度Aが直角の場合よりも大きい以外、それにより射出成形挟持セグメント221を形成し、該射出成形挟持セグメント221は、該射出成形モジュール22及び該射出成形重複セグメント222と共同で該裁断片21に対する挟持効果を奏し、そのため、該射出成形モジュール22と該裁断片21との固定、及び該裁断片21、該射出成形モジュール22と該裁断片21との全体的な固定を強化する。
【0043】
また、図5に示すように、前述したように、モールドを用いて該裁断片21を該手袋芯11の予め設定された位置に位置決めして被覆させることができ、本実施例では、該裁断片21の下面S2に接着層23を増設し、該接着層23は、該裁断片21の該下面S2を該手袋芯11の該外面S1に接着させるように、接着材で構成される。該接着層23は、該裁断片21の元の機能に与える影響、例えば通気性を低減するために、該下面S2に該接着材を全面的に塗布する必要がなく、該下面S2の縁部E2のみに設けられてもよい。当然ながら、該接着層23は、該下面S2において非連続的な塗布を呈してもよく、例えば、他の領域には該接着材を塗布せず、該下面S2の特定の領域のみに該接着材を塗布することで、該裁断片21の元の機能に与える影響を減らすこともできる。
【0044】
また、図6に示すように、前述したように、モールドによって溶融した射出成形材料を該手袋芯11の該外面S1及び該裁断片21の該断面S3に埋め込み、材質の異なる該手袋芯11が示す材料特性に応じて、該射出成形モジュール22の射出成形材料を設置された該手袋芯11に予め設定された深さまで相対的に浸透させ、それにより該射出成形モジュール22と該手袋芯11との間にインタフェース補強効果(又はアンカレッジanchorageともいう)を奏し、機能的構成の構造強度を高めるという目的を達する。当然、該射出成形モジュール22は該手袋芯11に浸透した後、該裁断片21の該下面S2の下方に射出成形クランプセグメント223が延伸されて該下面S2に粘着し、又は該接着層23の接着下面S5に粘着することができ、該射出成形クランプセグメント223は該射出成形モジュール22及び該射出成形重複セグメント222とともに該裁断片21に対するクランプ効果を奏するため、該射出成形モジュール22と該裁断片21との固定、及び該裁断片21、該射出成形モジュール22と該裁断片21との全体的な固定を強化する。ここで特に説明したのは、該射出成形モジュール22の射出成形材料が、設置された該手袋芯11に予め設定された深さまで相対的に浸透することで、溶融した射出成形材料が冷却して成形された後、該手袋芯11の剛性(stiffness)が意外に向上したことを発見した。ヤング率(Young's modulus)の原理によると、該手袋芯11は意外に変形に抗する能力が高くなると同時に、フークの法則(Hooke's law)が適用される範囲で、該手袋芯11は該射出成形モジュール22の被覆領域で長く着用してもゆるくて変形しないという特性を持っており、依然として未使用時の状態を維持でき、手袋全体の使用の耐久性と快適性が増やすことを発見した。
【0045】
同様に、図7に示すように、前記射出成形モジュール22は、その材料特性によって該手袋芯11及び該裁断片21と異なる機能的特性を生じ、該射出成形モジュール22の機能的特性は、例えば滑り止め、引っかき止め、防水、断熱又は絶縁などの機能的特性が挙げられ、そのため該射出成形モジュール22は、設置された該裁断片21の他方の方向に延伸されて射出成形機能セグメント224を形成し、該射出成形機能セグメント224は、例えば滑り止め、引っかき止め、防水、断熱又は絶縁などの機能的特性を備えてもよい。本実施例では、該射出成形モジュール22と該裁断片21の効果を互いに補うことができ、例えば、該裁断片21の良好な通気性を利用して該射出成形モジュール22の不通気性を補うことができ、また該射出成形モジュール22の耐摩耗性で該裁断片21の非耐摩耗性を補うことができ、あるいは、該射出成形モジュール22と該裁断片21の効果は相乗効果であってもよく、前述したように、該射出成形モジュール22は該手袋芯11と該裁断片21との間の該段差を埋め込むように構成されてもよく、従って該手袋芯11と該裁断片21は該段差から分離する可能性が大幅に低減され、且つ該手袋全体が略、該手袋芯11の厚さと該裁断片21の厚さとの合計に維持することができ、しかも、該射出成形モジュール22は、該裁断片21が元の該射出成形モジュール22の機能に取って代わるので、該射出成形モジュール22の使用量を減らすことができ、しかも、前述した背景技術の節で言及した3層構造による厚くて、重くて、完全に通気しないという欠点がない。
【0046】
具体的には、本発明の手袋構造は、手袋以外に、衣服、ズボン、靴、靴下及び帽子に幅広く適用して、例えば滑り止め、引っかき防止、防水、断熱、絶縁、さらには光反射、警告などの機能を生じさせることができる。
【0047】
また、図8に示すように、本発明が開示した該手袋構造10は、該手袋芯11に被覆された該裁断片21、及び該手袋芯11に射出成形された該射出成形モジュール22が、該手袋芯11の手袋芯の断面S6の周長の50%以上を被覆するか、又は該裁断片21が、該手袋芯の断面S6の周長の50%以上を単独で被覆してもよく、該裁断片21及び該射出成形モジュール22によって該手袋芯11の靱性を補強することができ、しかも着用時に保護される安心感を高めることができる。着用者が本発明の該手袋構造10を着用すると、風船を吹いて膨らませるように、該手袋芯11を内側から外側に膨らませるための外向きの圧力が発生する。該手袋芯11に固着した該裁断片21及び該射出成形モジュール22は、張力を発生して、該外向きの圧力と同等であるが方向が逆である内向きの圧力を形成することで、該外向きの圧力と平衡状態となる。前述した該手袋芯の断面S6の周長の50%以上を被覆するデザインは、着用時に該手袋構造10を少なくともアール曲面に突き出させ、空気入りの風船にたとえると、風船曲面表面の各部分の張力の合力が該風船曲面の内部を指向し、本発明に対応すると、該アール曲面の内部を指向する合力方向は、該手袋芯11と該裁断片21及び該手袋芯11と該射出成形モジュール22との固着方向と一致しており、即ち、該手袋芯の断面S6の内部に向かって中心方向を向いていることを意味する。本発明は、該裁断片21及び該射出成形モジュール22の張力を着用時に発生する曲面から、該手袋芯11と該裁断片21及び該手袋芯11と該射出成形モジュール22との固着の合力を増強することができる張力を巧みに変換し、該手袋構造10が相対的に完全な機能的特性を得ることができる以外、該手袋構造10全体の機械構造強度をより完全にすることができる。
【0048】
当然ながら、図8に示すように、該手袋芯の断面S6における該裁断片21は、該断面S3を2つ有してもよく、いずれか1つの該断面S3が該手袋芯11の該掌面、該掌面と該掌側との接続部、該掌側、該掌側と該掌背との接続部、該掌背、該指面、該指面と該指側との接続部、該指側、該指側と該指背との接続部、又は該指背に位置してもよく、他方の該断面S3が該裁断片21の延伸方向に沿って該手袋芯11の該掌面、該掌面と該掌側との接続部、該掌側、該掌側と該掌背との接続部、該掌背、該指面、該指面と該指側との接続部、該指側、該指側と該指背との接続部、又は該指背に位置してもよい。ここで特に説明するのは、該掌部、該指部、該掌面、該掌側、該掌背、該指面、該指側及び該指背が通常の知識で知られているので、ここでは符号を省略する。
【0049】
ここで特に説明すると、別の意外に発見したのは、該射出成形モジュール22の成形方式は、射出成形材料を溶融した後に流体となり、また該手袋芯11を着用した人体の手の形状を模擬した立体的な手形状の内側モールドと外側モールドの間に流体を注入し、モールド内の高圧作動で、該外面S1と該断面S3への浸透が生じ、溶融した射出成形材料が冷却されて成形した後、図8に示すように、該射出成形モジュール22が湾曲した曲面形状(curved-surface)を有することに形成される。一方、溶融した射出成形材料が冷却されて成形した後、該手袋芯11の剛性(stiffness)が以外に上昇し、ヤング率(Young's modulus)の原理によって、該手袋芯11は意外に変形に抗する能力が増強されたため、該曲面形状は外力によって圧迫されても、例えば複数の手袋スタックから発生した圧力によって、該曲面形状は圧力下又は圧力が開放された時、フックの法則(Hooke's law)が適用される範囲で、元の該曲面形状に維持し又は復元することができる。該曲面形状の形成と維持は、以外に該手袋構造10に立体形状を有するようにさせることである。該曲面形状は、該手袋芯11のいずれか1つの部分に被覆して該立体形状を呈することができ、好ましくは、該曲面形状は、該手袋芯11の該掌側又は該指側を被覆する時に該立体形状を呈することができ、より好ましくは、該曲面形状は、該手袋芯11の該掌側及び該掌面、該掌側及び該掌背、該指側及び該指面、又は該指側及び該指背を被覆する時に該立体形状を呈することができ、最も好ましいのは、該曲面形状は、該手袋芯の該掌背、該掌側及び該掌面又は該指背、該指側及び該指面を被覆する時に該立体形状を呈することができる。該射出成形モジュール22の該曲面形状は、意外に該射出成形モジュール22に結合される該裁断片21の該上面の縁部縁E1も曲面形状とし、これにより、さらに該手袋構造10の形状が該立体形状を呈することができる。
【0050】
従来の慣用技術と比較すると、本発明は、主に射出成形モジュールを用いて裁断片と手袋芯との間の段差に対する遮蔽作用が構成され、同時に裁断片を固定する接着効果を生じ、相対的に積極的、確実な手段で裁断片の縁部が手袋芯から離れることを防止し、長期的に手袋構造のあるべき機能を維持可能であり、さらに手袋構造の品質の向上に寄与する。特に、それぞれ異なる機能を有する射出成形モジュール及び裁断片を手袋構造の手袋芯と確実に結合し、手袋構造の機能的特性を効果的に向上させ、且つ手袋構造の耐用年数を大幅に延長させ、且つ該手袋に湾曲した曲面形状を備えさせ、また立体形状を呈することができる。
【符号の説明】
【0051】
10手袋構造
11手袋芯
21裁断片
22射出成形モジュール
221射出成形挟持セグメント
222射出成形重複セグメント
223射出成形クランプセグメント
224射出成形機能セグメント
23接着層
A角度
D段差
E1上面の縁部
E2下面の縁部
S1外面
S2下面
S3断面
S4上面
S5接着下面
S6手袋芯の断面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8