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特許7169305分段蓄冷式超臨界圧縮空気エネルギー貯蔵システムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-01
(45)【発行日】2022-11-10
(54)【発明の名称】分段蓄冷式超臨界圧縮空気エネルギー貯蔵システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   F02C 6/00 20060101AFI20221102BHJP
   F02C 6/14 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
F02C6/00
F02C6/14
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2019565850
(86)(22)【出願日】2017-06-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-09-24
(86)【国際出願番号】 CN2017086877
(87)【国際公開番号】W WO2018218617
(87)【国際公開日】2018-12-06
【審査請求日】2019-12-02
(73)【特許権者】
【識別番号】507414834
【氏名又は名称】中国科学院工程熱物理研究所
【氏名又は名称原語表記】INSTITUTE OF ENGINEERING THERMOPHYSICS,CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 曦鵬
(72)【発明者】
【氏名】王 亮
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 海生
(72)【発明者】
【氏名】謝 ▲寧▼▲寧▼
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼ 征
【審査官】谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0058768(US,A1)
【文献】特表2013-510257(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 6/00
F02C 6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導入されたガス状空気を液状空気に転化するための超臨界液化サブシステムと、液状空気をガス状空気に転化するための蒸発膨張サブシステムと、を備える分段蓄冷式超臨界圧縮空気エネルギー貯蔵システムにおいて、
ガス状空気と液状空気との転化時に冷エネルギーを貯蔵及び放出するための分段蓄冷サブシステムをさらに備え、
前記分段蓄冷サブシステムは、少なくとも1つの液化コールドボックス、少なくとも1つの深冷蓄冷サイクル、及び少なくとも1つの中冷蓄冷サイクルを含み、
前記深冷蓄冷サイクルは液化コールドボックスに接続され、深冷温度から常温までの冷エネルギーを放出し、
前記中冷蓄冷サイクルは液化コールドボックスに接続され、深冷温度から中冷温度までの冷エネルギーを放出
前記分段蓄冷サブシステムは、少なくとも1つのコールドボックス、少なくとも1つの深冷蓄冷サイクル、及び少なくとも1つの中冷蓄冷サイクルを含み、
コールドボックスは、液化コールドボックスまたは蒸発コールドボックスとして使用され、
深冷蓄冷サイクルはコールドボックスに接続され、コールドボックスが液化コールドボックスであるとき、深冷温度から常温までの冷エネルギーを放出し、コールドボックスが蒸発コールドボックスであるとき、深冷温度から常温までの冷エネルギーを貯蔵し、
中冷蓄冷サイクルはコールドボックスに接続され、コールドボックスが液化コールドボックスであるとき、深冷温度から中冷温度までの冷エネルギーを放出し、コールドボックスが蒸発コールドボックスであるとき、深冷温度から中冷温度までの冷エネルギーを貯蔵し、
前記コールドボックスはそれぞれ、少なくとも1つの深冷サイクル内部流路、少なくとも1つの中冷サイクル内部流路、少なくとも1つの超臨界流路、及び少なくとも1つの冷エネルギー回収流路を含み、
前記深冷蓄冷サイクルはそれぞれ、少なくとも1つの深冷貯蔵タンク、少なくとも1つの深冷サイクル送風機、及び少なくとも1つの深冷サイクル外部流路を含み、深冷サイクル外部流路はそれぞれ、少なくとも1つの深冷貯蔵タンク、及び少なくとも1つの深冷サイクル送風機に接続されるとともに、前記コールドボックス中の深冷サイクル内部流路に接続されて完全的なサイクル流路を構成し、
前記中冷蓄冷サイクルはそれぞれ、少なくとも1つの中冷貯蔵タンク、少なくとも1つの中冷サイクル送風機、及び少なくとも1つの中冷サイクル外部流路を含み、中冷サイクル外部流路はそれぞれ、少なくとも1つの中冷貯蔵タンク、及び少なくとも1つの中冷サイクル送風機に接続されるとともに、前記コールドボックス中の中冷サイクル内部流路に接続されて完全的なサイクル流路を構成し、
前記超臨界液化サブシステムは、モータ、少なくとも1つの多段圧縮機、乾燥浄化装置、割合調節装置、液体膨張装置、気液分離器及び低温断熱貯蔵タンクを含み、
モータは多段圧縮機に軸接続され、多段圧縮機間の接続は、軸接続とガス路接続との両方を含み、乾燥浄化装置は多段圧縮機のガス路上に設けられ、空気中の水蒸気、二酸化炭素、アルカン系成分の含有量を低減させるためのものであり、
モータは、導入されたガス状空気が多段圧縮により超臨界空気を形成するように多段圧縮機を駆動し、多段圧縮機出口の超臨界空気は割合調節装置に入って分流し、分流後の一方の超臨界空気は分段蓄冷サブシステムにおける液化コールドボックスの超臨界流路に入ってから、液体膨張装置により膨張され、気液分離器により分離されて液状空気に形成され、液状空気は気液分離器の液側出口を介して低温断熱貯蔵タンクに入り、
前記蒸発膨張サブシステムは、少なくとも1つの低温ポンプ、多段膨張機及び発電機を含み、低温断熱貯蔵タンクにより送り出された液状空気は低温ポンプ、分段蓄冷サブシステムにおける蒸発コールドボックスの超臨界流路を経過してから超臨界空気に蒸発形成され、蒸発により形成された超臨界空気は再熱器により加熱されてから多段膨張機に入って仕事し、発電機を駆動して発電させ、発電機は多段膨張機に軸接続され、多段膨張機の接続は、軸接続とガス路接続との両方を含む、
分段蓄冷式超臨界圧縮空気エネルギー貯蔵システム。
【請求項2】
前記液化コールドボックスはそれぞれ、少なくとも1つの深冷サイクル内部流路、少なくとも1つの中冷サイクル内部流路、少なくとも1つの超臨界流路、少なくとも1つの冷エネルギー補償流路、及び少なくとも1つの冷エネルギー回収流路を含み、
前記冷エネルギー補償流路は、その内部に導入された超臨界空気に冷エネルギーを吸収させて降温させる流路であり、
前記深冷蓄冷サイクルはそれぞれ、少なくとも1つの深冷貯蔵タンク、少なくとも1つの深冷サイクル送風機、及び少なくとも1つの深冷サイクル外部流路を含み、深冷サイクル外部流路はそれぞれ、少なくとも1つの深冷貯蔵タンク、及び少なくとも1つの深冷サイクル送風機に接続されるとともに、前記液化コールドボックス中の深冷サイクル内部流路に接続されて完全的なサイクル流路を構成し、
前記中冷蓄冷サイクルはそれぞれ、少なくとも1つの中冷貯蔵タンク、少なくとも1つの中冷サイクル送風機、及び少なくとも1つの中冷サイクル外部流路を含み、中冷サイクル外部流路はそれぞれ、少なくとも1つの中冷貯蔵タンク、及び少なくとも1つの中冷サイクル送風機に接続されるとともに、前記液化コールドボックス中の中冷サイクル内部流路に接続されて完全的なサイクル流路を構成する、請求項1に記載の分段蓄冷式超臨界圧縮空気エネルギー貯蔵システム。
【請求項3】
前記分段蓄冷サブシステムは少なくとも1つの蒸発コールドボックスをさらに含み、前記蒸発コールドボックスは少なくとも1つの深冷蓄冷サイクル及び少なくとも1つの中冷蓄冷サイクルを液化コールドボックスと共用し、
前記蒸発コールドボックスは、少なくとも1つの深冷サイクル内部流路、少なくとも1つの中冷サイクル内部流路、及び少なくとも1つの超臨界流路を含み、
前記深冷蓄冷サイクルは蒸発コールドボックスに接続され、深冷温度から常温までの冷エネルギーを貯蔵し、
前記中冷蓄冷サイクルは蒸発コールドボックスに接続され、深冷温度から中冷温度までの冷エネルギーを貯蔵する、請求項に記載の分段蓄冷式超臨界圧縮空気エネルギー貯蔵システム。
【請求項4】
前記中冷蓄冷サイクルの数が1よりも大きく、それぞれの中冷蓄冷サイクルにおいて異なる中冷温度間の冷エネルギーを貯蔵する、請求項1に記載の分段蓄冷式超臨界圧縮空気エネルギー貯蔵システム。
【請求項5】
前記深冷貯蔵タンク及び中冷貯蔵タンクはいずれも内部に耐低温蓄冷材料が充填される固定式充填ベッド構造であり、サイクル作動媒体は充填された耐低温蓄冷材料の隙間を流れるとともに、冷量を交換し、
前記サイクル作動媒体は、空気、窒素ガス、アルゴンガス及びヘリウムガスのうちの1種又は複数種を混合したものであり、前記耐低温蓄冷材料は、セラミック、石、アルミナ、金属、パッケージされた相変化粒子及び化学反応粒子のうちの1種又は複数種を混合したものである、請求項に記載の分段蓄冷式超臨界圧縮空気エネルギー貯蔵システム。
【請求項6】
前記深冷サイクル送風機及び中冷サイクル送風機はいずれも両方向サイクル送風機であり、送風機の流路が封止され、送風量が調節可能である、請求項に記載の分段蓄冷式超臨界圧縮空気エネルギー貯蔵システム。
【請求項7】
深冷温度は低温断熱貯蔵タンク内の低温液体温度+30Kを超えず、中冷温度は深冷温度と常温との間にある、請求項1に記載の分段蓄冷式超臨界圧縮空気エネルギー貯蔵システム。
【請求項8】
超臨界液化サブシステムの割合調節装置内部には、その分流した2つの回路中の超臨界空気の流量割合を調節するための流量調節機構が設けられる、請求項に記載の分段蓄冷式超臨界圧縮空気エネルギー貯蔵システム。
【請求項9】
前記蒸発膨張サブシステムは多段膨張機出口における高温熱エネルギーを回収するための予熱機をさらに備え、前記予熱機は超臨界空気が多段膨張機に入る前の位置に設けられ、かつ多段膨張機出口の排ガスが当該予熱機に入ってガス路回路が形成される、請求項に記載の分段蓄冷式超臨界圧縮空気エネルギー貯蔵システム。
【請求項10】
少なくとも1つの蓄熱タンク、少なくとも1つの常温タンク、少なくとも2つの再生器及び少なくとも2つの再熱器を含む蓄熱・熱交換サブシステムをさらに備え、各再生器は互いに独立しており、各再熱器は互いに独立しており、
常温タンクの出口は各再生器の一端に接続され、それぞれの再生器の他端が蓄熱タンクの入口に接続され、
蓄熱タンクの出口は各再熱器の一端に接続され、それぞれの再熱器の他端が常温タンクの入口に接続され、
少なくとも1つの再生器は超臨界液化サブシステムの多段圧縮機の後に接続され、
少なくとも1つの再熱器は蒸発膨張サブシステムにおけるガス路の多段膨張機の前に接続される、請求項に記載の分段蓄冷式超臨界圧縮空気エネルギー貯蔵システム。
【請求項11】
前記蓄熱・熱交換サブシステムは、再熱器の出口と常温タンクの入口との間にあり、再熱器の出口における蓄熱作動媒体の余熱を回収するための余熱利用装置をさらに備える、請求項10に記載の分段蓄冷式超臨界圧縮空気エネルギー貯蔵システム。
【請求項12】
蓄熱・熱交換サブシステムの余熱利用装置は、熱供給熱交換器または冷凍機群または両者の組み合わせである、請求項11に記載の分段蓄冷式超臨界圧縮空気エネルギー貯蔵システム。
【請求項13】
低温膨張機群及び混合機を含む冷エネルギー補償サブシステムをさらに備え、超臨界液化サブシステムの割合調節装置により分流された他方の超臨界空気は分段蓄冷サブシステムの液化コールドボックスの冷エネルギー補償流路に入って降温されてから低温膨張機群に入って膨張しさらに降温され、かつ混合機内において気液分離器における気側出口の低温空気と混合し、その後、分段蓄冷サブシステムの液化コールドボックスの冷エネルギー回収流路により冷エネルギーが回収されるとともに、多段圧縮機入口に戻りまたは多段圧縮機の各段圧縮機間の気路に戻る、請求項10に記載の分段蓄冷式超臨界圧縮空気エネルギー貯蔵システム。
【請求項14】
前記コールドボックスは冷エネルギー補償サブシステムに接続されたとき、少なくとも1つの冷エネルギー補償流路をさらに含み、超臨界液化サブシステムの割合調節装置により分流された他方の超臨界空気は分段蓄冷サブシステムのコールドボックスの冷エネルギー補償流路に入って降温されてから低温膨張機群に入って膨張しさらに降温され、かつ混合機内において気液分離器における気側出口の低温空気と混合し、その後、分段蓄冷サブシステムのコールドボックスの冷エネルギー回収流路により冷エネルギーが回収されるとともに、多段圧縮機入口に戻りまたは多段圧縮機の各段圧縮機間の気路に戻る、請求項13に記載の分段蓄冷式超臨界圧縮空気エネルギー貯蔵システム。
【請求項15】
請求項1に記載の分段蓄冷式超臨界圧縮空気エネルギー貯蔵システムに応用される分段蓄冷式超臨界圧縮空気エネルギー貯蔵方法であって、
超臨界液化サブシステムが、導入されたガス状空気を液状空気に転化することと、
蒸発膨張サブシステムが、液状空気をガス状空気に転化することと、
分段蓄冷サブシステムが、ガス状空気と液状空気との転化時に冷エネルギーを貯蔵及び/又は放出することと、
を含む分段蓄冷式超臨界圧縮空気エネルギー貯蔵方法。
【請求項16】
前記超臨界液化サブシステムが、導入されたガス状空気を液状空気に転化することにおいて、具体的に、
モータは、導入された空気が多段圧縮により超臨界空気を形成するように多段圧縮機を駆動し、多段圧縮機出口の超臨界空気は割合調節装置に入って分流し、分流後の一方の超臨界空気は分段蓄冷サブシステムにおける液化コールドボックスの超臨界流路に入ってから、液体膨張装置により膨張され、気液分離器により分離されて液状空気に形成され、液状空気は気液分離器の液側出口を介して低温断熱貯蔵タンクに入り、
前記蒸発膨張サブシステムが、液状空気をガス状空気に転化することにおいて、具体的に、
低温断熱貯蔵タンクにより送り出された液状空気は低温ポンプ、分段蓄冷サブシステムにおける蒸発コールドボックスの超臨界流路を経過してから超臨界空気に蒸発形成され、蒸発により形成された超臨界空気は多段膨張機に入って仕事し、発電機を駆動して発電させ、
蓄熱・熱交換サブシステムが、昇温された蓄熱作動媒体を蓄熱タンクに貯蔵すること、及び降温された蓄熱作動媒体を常温タンクに戻すことにおいて、具体的に、
各段再生器内において圧縮熱を吸収して昇温した蓄熱作動媒体を蓄熱タンク内に貯蔵し、
各段再熱器内の高温蓄熱作動媒体は超臨界空気と熱交換して降温され、各段再熱器液側出口の蓄熱作動媒体は余熱利用装置により蓄熱作動媒体の熱エネルギーをさらに吸収するとともに常温付近の冷エネルギーを放出し、降温後の蓄熱作動媒体を常温タンク内に戻す、請求項15に記載の分段蓄冷式超臨界圧縮空気エネルギー貯蔵方法。
【請求項17】
分段蓄冷サブシステムが、ガス状空気と液状空気との転化時に冷エネルギーを貯蔵及び/又は放出することにおいて、具体的に、
サイクル送風機はサイクル作動媒体を駆動し、深冷貯蔵タンク及び中冷貯蔵タンク内の冷エネルギーを液化コールドボックスの深冷サイクル内部流路及び中冷サイクル内部流路にそれぞれ導入し、超臨界流路内の超臨界空気の液化のために冷エネルギーを提供し、
サイクル送風機はサイクル作動媒体を駆動し、深冷貯蔵タンク及び中冷貯蔵タンク内の冷エネルギーを蒸発コールドボックスの深冷サイクル内部流路及び中冷サイクル内部流路にそれぞれ導入し、超臨界流路内の超臨界空気の蒸発のために熱エネルギーを提供して冷エネルギーを貯蔵する、請求項15に記載の分段蓄冷式超臨界圧縮空気エネルギー貯蔵方法。
【請求項18】
冷エネルギー補償サブシステムが冷エネルギーを自主的に補償することをさらに含み、
冷エネルギー補償サブシステムが冷エネルギーを自主的に補償することにおいて、具体的に、分段蓄冷サブシステムが、少なくとも1つの液化コールドボックス及び少なくとも1つの蒸発コールドボックスを含むとき、超臨界液化サブシステムの割合調節装置により分流された他方の超臨界空気は分段蓄冷サブシステムの液化コールドボックスの冷エネルギー補償流路に入って冷エネルギーを吸収して降温されてから低温膨張機群に入って膨張しさらに降温され、かつ混合機内において気液分離器における気側出口の低温空気と混合し、その後、分段蓄冷サブシステムの液化コールドボックスの冷エネルギー回収流路により冷エネルギーが回収されるとともに、多段圧縮機入口に戻りまたは多段圧縮機の各段圧縮機間の気路に戻り、あるいは、
分段蓄冷サブシステムは、液化及び蒸発に同時使用される少なくとも1つのコールドボックスを含むとき、コールドボックスが冷エネルギー補償サブシステムに接続され、少なくとも1つの冷エネルギー補償流路及び少なくとも1つの冷エネルギー回収流路をさらに含み、超臨界液化サブシステムの割合調節装置により分流された他方の超臨界空気は分段蓄冷サブシステムのコールドボックスの冷エネルギー補償流路に入って冷エネルギーを吸収して降温されてから低温膨張機群に入って膨張しさらに降温され、かつ混合機内において気液分離器における気側出口の低温空気と混合し、その後、分段蓄冷サブシステムのコールドボックスの冷エネルギー回収流路により冷エネルギーが回収されるとともに、多段圧縮機入口に戻りまたは多段圧縮機の各段圧縮機間の気路に戻る、請求項15に記載の分段蓄冷式超臨界圧縮空気エネルギー貯蔵方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生可能エネルギー、圧縮空気エネルギー貯蔵、分布式エネルギー等の分野に関し、特に分段蓄冷式超臨界圧縮空気エネルギー貯蔵システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮空気エネルギー貯蔵は、揚水ストレージ以外の唯一の熟成した大規模グリッド電気貯蔵の物理エネルギー貯蔵技術であり、グリッドのピーククリッピング及び太陽エネルギーや風エネルギー等の再生可能エネルギーの安定的出力等の分野に使用可能である。従来の圧縮空気エネルギー貯蔵は圧縮機を利用して空気を大型な岩穴へ圧縮して保存し、エネルギー放出段階では、化石燃料の燃焼により再熱して膨張仕事をし、大型のシステムに適し、低コスト、長寿命であるが、その建設場所が制限され、かつ化石エネルギーの燃焼に依存して汚染になる。蓄熱式圧縮空気エネルギー貯蔵は圧縮過程に生じた圧縮熱を回収するとともにエネルギー放出過程におけるタービン段間の再熱に用いられ、スターリングサイクルに属し、効率が高く、環境にやさしいが、その普及は依然として貯気岩穴地形条件に制限される。大型の貯気岩穴の代わりに、大規模の耐高圧容器管路は使用され、地形条件の制限から逃げ、大範囲の普及に適しているが、金属圧力容器による高圧空気の貯蔵は、コストが高く、かつエネルギー貯蔵時間の増大につれて容器のコストの占める割合は大きくなり、圧縮空気エネルギー貯蔵システムのコスト回収及び大規模の普及応用に影響している。
【0003】
液化空気エネルギー貯蔵システム(LAES)内の作動媒体は液状常圧や低圧で貯蔵され、エネルギー貯蔵密度を大きく向上させるだけでなく、システムの建設コスト及び占有面積も大幅に低減させる。早期の液状空気技術においてエネルギー放出過程は依然として化石燃料の燃焼に依存し、システムに蓄冷設計がなく、外部液状空気の導入に依存し、主に従来の空気システムとの組合せであり、エネルギー放出段階の冷エネルギーの回収を考慮せず、技術がかなり熟成しているが、システムの実際の電気効率は低い。一部の文献には新規な液状空気エネルギー貯蔵技術が開示されており、前の技術に比べて、いかなる燃焼過程を含まず、空気だけが作動媒体であり、熱や冷エネルギー貯蔵技術により、液状空気の蒸発時の冷エネルギーを回収して空気液化に用いるフローが増加し、システム効率が向上した。一部の文献には、空気超臨界液化サイクル、エネルギー貯蔵システム及びランキンサイクルを組み合わせて、エネルギー貯蔵段階において圧縮機出口における超臨界空気は冷エネルギーを吸収して降温するとともに、等エンタルピスロットル/等エントロピ膨張され、低圧液化空気が低温断熱貯蔵タンクに貯蔵され、エネルギー放出段階において低温ポンプにより昇圧された液状空気は熱量を吸収するとともに冷エネルギーを回収してから気化されて再熱器により再熱されてからタービンに入り仕事する、冷エネルギーを回収するとともに貯蔵する超臨界圧縮空気エネルギー貯蔵システムが開示されている。建設場所に対する制限がない利点及び零汚染排出等の利点をさらに有する。また、タービン入口における圧力及び流量は安定に保持可能であるため、断熱式圧縮空気エネルギー貯蔵システム貯気装置とタービン入口との間の圧力調節及び圧縮機出口において可変圧力で運行する等の欠点を解消し、高効率点における動力機械の安定的運行を保持可能である。
【0004】
上記の研究において、冷エネルギー回収を液化フローに用いるが、冷エネルギー利用率が依然として不足であり、かつ貯蔵・放出過程における冷量が閉ループではなく、後続の研究において液化フローにいずれも最適化したクロードを用いてより多くの冷エネルギーを吸収するとともにシステム冷エネルギーの自己補償を実現することは考慮される。一部の文献には、プロパン及びメタノールの二流体による蓄冷のサイクルが開示されており、原子力発電所との集成により原子力発電所をほぼ全負荷運行に維持させるとともに応変需要を満たし、熱伝導及び冷エネルギー貯蔵作動媒体として液状作動媒体は冷エネルギーの不可逆損失を低減させるが、メタノール及びプロパンはいずれも可燃性・爆発性・毒性を有する危険化学品であり、空気液化過程中に酸素富化領域との接触が存在して爆発しやすく、安全性、経済性及びメンテンスコストの点から、その大規模の長期貯蔵は想像し難い。
【0005】
以上の通り、現在の研究では、液化過程中の冷エネルギー利用に関する研究は既にかなり十分であるが、蒸発冷箱内の高温液状空気冷エネルギーの回収については明らかに不足であり、従来発明では、大規模、低コスト及びエネルギー貯蔵の安全性、信頼性の要求を依然として満足せず、更なる最適化が依然として求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記課題について、本発明は、冷エネルギー回収不足、及び大規模、低コスト及びエネルギー貯蔵の安全性、信頼性の要求を満足しない課題を解決するために、分段蓄冷サブシステム及び超臨界圧縮空気エネルギー貯蔵システムを提供している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、導入されたガス状空気を液状空気に転化するための超臨界液化サブシステムと、液状空気をガス状空気に転化するための蒸発膨張サブシステムと、を備える分段蓄冷式超臨界圧縮空気エネルギー貯蔵システムにおいて、ガス状空気と液状空気との転化時に冷エネルギーを貯蔵及び/又は放出するための分段蓄冷サブシステムをさらに備える分段蓄冷式超臨界圧縮空気エネルギー貯蔵システムを提供している。
【0008】
前記分段蓄冷サブシステムは、少なくとも1つの液化コールドボックス、少なくとも1つの深冷蓄冷サイクル、及び少なくとも1つの中冷蓄冷サイクルを含み、前記深冷蓄冷サイクルは液化コールドボックスに接続され、深冷温度から常温までの冷エネルギーを放出し、前記中冷蓄冷サイクルは液化コールドボックスに接続され、深冷温度から中冷温度までの冷エネルギーを放出する。
【0009】
前記液化コールドボックスはそれぞれ、少なくとも1つの深冷サイクル内部流路、少なくとも1つの中冷サイクル内部流路、少なくとも1つの超臨界流路、少なくとも1つの冷エネルギー補償流路、及び少なくとも1つの冷エネルギー回収流路を含み、前記深冷蓄冷サイクルはそれぞれ、少なくとも1つの深冷貯蔵タンク、少なくとも1つの深冷サイクル送風機、及び少なくとも1つの深冷サイクル外部流路を含み、深冷サイクル外部流路はそれぞれ、少なくとも1つの深冷貯蔵タンク、及び少なくとも1つの深冷サイクル送風機に接続されるとともに、前記液化コールドボックス中の深冷サイクル内部流路に接続されて完全的なサイクル流路を構成し、前記中冷蓄冷サイクルはそれぞれ、少なくとも1つの中冷貯蔵タンク、少なくとも1つの中冷サイクル送風機、及び少なくとも1つの中冷サイクル外部流路を含み、中冷サイクル外部流路はそれぞれ、少なくとも1つの中冷貯蔵タンク、及び少なくとも1つの中冷サイクル送風機に接続されるとともに、前記液化コールドボックス中の中冷サイクル内部流路に接続されて完全的なサイクル流路を構成する。
【0010】
前記分段蓄冷サブシステムは少なくとも1つの蒸発コールドボックスをさらに含み、前記蒸発コールドボックスは少なくとも1つの深冷蓄冷サイクル及び少なくとも1つの中冷蓄冷サイクルを液化コールドボックスと共用し、前記深冷蓄冷サイクルは蒸発コールドボックスに接続され、深冷温度から常温までの冷エネルギーを貯蔵し、前記中冷蓄冷サイクルは蒸発コールドボックスに接続され、深冷温度から中冷温度までの冷エネルギーを貯蔵する。
【0011】
前記蒸発コールドボックスは、少なくとも1つの深冷サイクル内部流路、少なくとも1つの中冷サイクル内部流路、及び少なくとも1つの超臨界流路を含み、深冷蓄冷サイクル中の深冷サイクル外部流路はそれぞれ、少なくとも1つの深冷貯蔵タンク、及び少なくとも1つの深冷サイクル送風機に接続されるとともに、前記蒸発コールドボックス中の深冷サイクル内部流路に接続されて完全的なサイクル流路を構成し、中冷蓄冷サイクル中の中冷サイクル外部流路はそれぞれ、少なくとも1つの中冷貯蔵タンク、及び少なくとも1つの中冷サイクル送風機に接続されるとともに、前記蒸発コールドボックス中の中冷サイクル内部流路に接続されて完全的なサイクル流路を構成する。
【0012】
前記液化コールドボックス及び蒸発コールドボックスはいずれも、熱交換器群、保冷材料及び封止ケースを含み、前記熱交換器群は、少なくとも1つのプレートフィン式熱交換器、少なくとも1つのプレート式熱交換器、または少なくとも1つの管巻き式熱交換器である。
【0013】
前記保冷材料は、ガラス繊維マット、パーライト、ロックウール、及び真空パネルのうちの1種又は複数種を混合したものである。
【0014】
前記分段蓄冷サブシステムは、少なくとも1つのコールドボックス、少なくとも1つの深冷蓄冷サイクル、及び少なくとも1つの中冷蓄冷サイクルを含み、コールドボックスは、液化コールドボックスまたは蒸発コールドボックスとして使用され、深冷蓄冷サイクルはコールドボックスに接続され、コールドボックスが液化コールドボックスであるとき、深冷温度から常温までの冷エネルギーを放出し、コールドボックスが蒸発コールドボックスであるとき、深冷温度から常温までの冷エネルギーを貯蔵し、中冷蓄冷サイクルはコールドボックスに接続され、コールドボックスが液化コールドボックスであるとき、深冷温度から中冷温度までの冷エネルギーを放出し、コールドボックスが蒸発コールドボックスであるとき、深冷温度から中冷温度までの冷エネルギーを貯蔵する。
【0015】
前記コールドボックスはそれぞれ、少なくとも1つの深冷サイクル内部流路、少なくとも1つの中冷サイクル内部流路、及び少なくとも1つの超臨界流路を含み、前記深冷蓄冷サイクルはそれぞれ、少なくとも1つの深冷貯蔵タンク、少なくとも1つの深冷サイクル送風機、及び少なくとも1つの深冷サイクル外部流路を含み、深冷サイクル外部流路はそれぞれ、少なくとも1つの深冷貯蔵タンク、及び少なくとも1つの深冷サイクル送風機に接続されるとともに、前記コールドボックス中の深冷サイクル内部流路に接続されて完全的なサイクル流路を構成し、前記中冷蓄冷サイクルはそれぞれ、少なくとも1つの中冷貯蔵タンク、少なくとも1つの中冷サイクル送風機、及び少なくとも1つの中冷サイクル外部流路を含み、中冷サイクル外部流路はそれぞれ、少なくとも1つの中冷貯蔵タンク、及び少なくとも1つの中冷サイクル送風機に接続されるとともに、前記コールドボックス中の中冷サイクル内部流路に接続されて完全的なサイクル流路を構成する。
【0016】
前記中冷蓄冷サイクルの数が1よりも大きい場合、それぞれの中冷蓄冷サイクルにおいて異なる中冷温度間の冷エネルギーを貯蔵する。
【0017】
前記少なくとも1つの中冷貯蔵タンクが2つの中冷貯蔵タンクである場合、2つの中冷貯蔵タンクは直列接続または並列接続され、2つの中冷貯蔵タンクが直列接続される場合、一方の中冷貯蔵タンクは深冷側と常温側とに分けられ、深冷から常温までの冷エネルギーを内部に貯蔵し、他方の中冷貯蔵タンクは中冷側と常温側とに分けられ、中冷から常温までの冷エネルギーを内部に貯蔵し、中冷サイクル送風機は2つの中冷貯蔵タンクの常温側間に直列接続され、2つの中冷貯蔵タンクが並列接続される場合、2つの中冷貯蔵タンクはいずれも深冷から中冷までの冷エネルギーを内部に貯蔵する。
【0018】
前記深冷貯蔵タンク及び中冷貯蔵タンクはいずれも内部に耐低温蓄冷材料が充填される固定式充填ベッド構造であり、サイクル作動媒体は充填された耐低温蓄冷材料の隙間を流れるとともに、冷量を交換し、前記サイクル作動媒体は、空気、窒素ガス、アルゴンガス及びヘリウムガスのうちの1種又は複数種を混合したものであり、前記耐低温蓄冷材料は、セラミック、石、アルミナ、金属、パッケージされた相変化粒子及び化学反応粒子のうちの1種又は複数種を混合したものである。
【0019】
前記深冷サイクル送風機及び中冷サイクル送風機はいずれも両方向サイクル送風機であり、送風機の流路が封止され、送風量が調節可能である。
【0020】
深冷温度は低温断熱貯蔵タンク内の低温液体温度+30Kを超えず、中冷温度は深冷温度と常温との間にある。
【0021】
前記超臨界液化サブシステムは、モータ、少なくとも1つの多段圧縮機、乾燥浄化装置、割合調節装置、液体膨張装置、気液分離器及び低温断熱貯蔵タンクを含み、モータは多段圧縮機に軸接続され、多段圧縮機間の接続は、軸接続とガス路接続との両方を含み、乾燥浄化装置は多段圧縮機のガス路上に設けられ、空気中の水蒸気、二酸化炭素、アルカン系成分の含有量を低減させるためのものであり、モータは、導入されたガス状空気が多段圧縮により超臨界空気を形成するように多段圧縮機を駆動し、多段圧縮機出口の超臨界空気は割合調節装置に入って分流し、分流後の一方の超臨界空気は分段蓄冷サブシステムにおける液化コールドボックスの超臨界流路に入ってから、液体膨張装置により膨張され、気液分離器により分離されて液状空気に形成され、液状空気は気液分離器の液側出口を介して低温断熱貯蔵タンクに入る。
【0022】
超臨界液化サブシステムの割合調節装置内部には、その分流した2つの回路中の超臨界空気の流量割合を調節するための流量調節機構が設けられる。
【0023】
前記蒸発膨張サブシステムは、少なくとも1つの低温ポンプ、多段膨張機及び発電機を含み、低温断熱貯蔵タンクにより送り出された液状空気は低温ポンプ、分段蓄冷サブシステムにおける蒸発コールドボックスの超臨界流路を経過してから超臨界空気に蒸発形成され、蒸発により形成された超臨界空気は多段膨張機に入って仕事し、発電機を駆動して発電させ、発電機は多段膨張機に軸接続され、多段膨張機の接続は、軸接続とガス路接続との両方を含む。
【0024】
前記蒸発膨張サブシステムは多段膨張機出口における高温熱エネルギーを回収するための予熱機をさらに備え、前記予熱機は超臨界空気が多段膨張機に入る前の位置に設けられ、かつ多段膨張機出口の排ガスが当該予熱機に入ってガス路回路が形成される。
【0025】
前記蒸発膨張サブシステムの予熱器は、プレートフィン式、プレート式、シェル・チューブ式、スクリュープレート式熱交換器のうちの1種又は複数種の組み合わせである。
【0026】
該圧縮空気エネルギー貯蔵システムは、少なくとも1つの蓄熱タンク、少なくとも1つの常温タンク、少なくとも2つの再生器及び少なくとも2つの再熱器を含む蓄熱・熱交換サブシステムをさらに備え、各再生器は互いに独立しており、各再熱器は互いに独立しており、常温タンクの出口は各再生器の一端に接続され、それぞれの再生器の他端が蓄熱タンクの入口に接続され、蓄熱タンクの出口は各再熱器の一端に接続され、それぞれの再熱器の他端が常温タンクの入口に接続され、少なくとも1つの再生器は超臨界液化サブシステムの多段圧縮機間に接続されるとともに、少なくとも1つの再生器は超臨界液化サブシステムの多段圧縮機と割合調節装置との間に接続され、少なくとも1つの再熱器は蒸発により形成された超臨界空気が多段膨張機に入る前の位置に接続されるとともに、少なくとも1つの再熱器は蒸発膨張サブシステムにおけるガス路の多段膨張機間に接続される。
【0027】
前記蓄熱・熱交換サブシステムは、再熱器の出口と常温タンクの入口との間にあり、再熱器の出口における蓄熱作動媒体の余熱を回収するための余熱利用装置をさらに備える。
【0028】
蓄熱・熱交換サブシステムの余熱利用装置は、熱供給熱交換器または冷凍機群または両者の組み合わせである。
【0029】
該圧縮空気エネルギー貯蔵システムは、低温膨張機群及び混合機を含む冷エネルギー補償サブシステムをさらに備え、超臨界液化サブシステムの割合調節装置により分流された他方の超臨界空気は分段蓄冷サブシステムの液化コールドボックスの冷エネルギー補償流路に入って降温されてから低温膨張機群に入って膨張しさらに降温され、かつ混合機内において気液分離器における気側出口の低温空気と混合し、その後、分段蓄冷サブシステムの液化コールドボックスの冷エネルギー回収流路により冷エネルギーが回収されるとともに、多段圧縮機入口に戻りまたは多段圧縮機の各段圧縮機間の気路に戻る。
【0030】
前記コールドボックスは冷エネルギー補償サブシステムに接続されたとき、少なくとも1つの冷エネルギー補償流路及び少なくとも1つの冷エネルギー回収流路をさらに含み、超臨界液化サブシステムの割合調節装置により分流された他方の超臨界空気は分段蓄冷サブシステムのコールドボックスの冷エネルギー補償流路に入って降温されてから低温膨張機群に入って膨張しさらに降温され、かつ混合機内において気液分離器における気側出口の低温空気と混合し、その後、分段蓄冷サブシステムのコールドボックスの冷エネルギー回収流路により冷エネルギーが回収されるとともに、多段圧縮機入口に戻りまたは多段圧縮機の各段圧縮機間の気路に戻る。
【0031】
本発明の別態様は、前記分段蓄冷式超臨界圧縮空気エネルギー貯蔵システムに応用される分段蓄冷式超臨界圧縮空気エネルギー貯蔵方法であって、超臨界液化サブシステムが、導入されたガス状空気を液状空気に転化することと、蒸発膨張サブシステムが、液状空気をガス状空気に転化することと、分段蓄冷サブシステムが、ガス状空気と液状空気との転化時に冷エネルギーを貯蔵及び/又は放出することと、を含む分段蓄冷式超臨界圧縮空気エネルギー貯蔵方法を提供している。
【0032】
前記超臨界液化サブシステムが、導入されたガス状空気を液状空気に転化することにおいて、具体的に、モータは、導入された空気が多段圧縮により超臨界空気を形成するように多段圧縮機を駆動し、多段圧縮機出口の超臨界空気は割合調節装置に入って分流し、分流後の一方の超臨界空気は分段蓄冷サブシステムにおける液化コールドボックスの超臨界流路に入ってから、液体膨張装置により膨張され、気液分離器により分離されて液状空気に形成され、液状空気は気液分離器の液側出口を介して低温断熱貯蔵タンクに入る。
【0033】
前記蒸発膨張サブシステムが、液状空気をガス状空気に転化することにおいて、具体的に、低温断熱貯蔵タンクにより送り出された液状空気は低温ポンプ、分段蓄冷サブシステムにおける蒸発コールドボックスの超臨界流路を経過してから超臨界空気に蒸発形成され、蒸発により形成された超臨界空気は多段膨張機に入って仕事し、発電機を駆動して発電させる。
【0034】
分段蓄冷サブシステムが、ガス状空気と液状空気との転化時に冷エネルギーを貯蔵及び/又は放出することにおいて、具体的に、サイクル送風機はサイクル作動媒体を駆動し、深冷貯蔵タンク及び中冷貯蔵タンク内の冷エネルギーを液化コールドボックスの深冷サイクル内部流路及び中冷サイクル内部流路にそれぞれ導入し、超臨界流路内の超臨界空気の液化のために冷エネルギーを提供し、サイクル送風機はサイクル作動媒体を駆動し、深冷貯蔵タンク及び中冷貯蔵タンク内の冷エネルギーを蒸発コールドボックスの深冷サイクル内部流路及び中冷サイクル内部流路にそれぞれ導入し、超臨界流路内の超臨界空気の蒸発のために熱エネルギーを提供して冷エネルギーを貯蔵する。
【0035】
蓄熱・熱交換サブシステムが、昇温された蓄熱作動媒体を蓄熱タンクに貯蔵すること、及び降温された蓄熱作動媒体を常温タンクに戻すことをさらに含む。
【0036】
前記蓄熱・熱交換サブシステムが、昇温された蓄熱作動媒体を蓄熱タンクに貯蔵すること、及び降温された蓄熱作動媒体を常温タンクに戻すことにおいて、具体的に、各段再生器内において圧縮熱を吸収して昇温した蓄熱作動媒体を蓄熱タンク内に貯蔵し、各段再熱器液側出口の蓄熱作動媒体は余熱利用装置により蓄熱作動媒体の熱エネルギーをさらに吸収するとともに常温付近の冷エネルギーを放出し、降温後の蓄熱作動媒体を常温タンク内に戻す。
【0037】
冷エネルギー補償サブシステムが冷エネルギーを自主的に補償することをさらに含む。
【0038】
冷エネルギー補償サブシステムが冷エネルギーを自主的に補償することにおいて、具体的に、分段蓄冷サブシステムが、少なくとも1つの液化コールドボックス及び少なくとも1つの蒸発コールドボックスを含むとき、超臨界液化サブシステムの割合調節装置により分流された他方の超臨界空気は分段蓄冷サブシステムの液化コールドボックスの冷エネルギー補償流路に入って降温されてから低温膨張機群に入って膨張しさらに降温され、かつ混合機内において気液分離器における気側出口の低温空気と混合し、その後、分段蓄冷サブシステムの液化コールドボックスの冷エネルギー回収流路により冷エネルギーが回収されるとともに、多段圧縮機入口に戻りまたは多段圧縮機の各段圧縮機間の気路に戻り、あるいは、分段蓄冷サブシステムは、液化及び蒸発に同時使用される少なくとも1つのコールドボックスを含むとき、コールドボックスが冷エネルギー補償サブシステムに接続され、少なくとも1つの冷エネルギー補償流路及び少なくとも1つの冷エネルギー回収流路をさらに含み、超臨界液化サブシステムの割合調節装置により分流された他方の超臨界空気は分段蓄冷サブシステムのコールドボックスの冷エネルギー補償流路に入って降温されてから低温膨張機群に入って膨張しさらに降温され、かつ混合機内において気液分離器における気側出口の低温空気と混合し、その後、分段蓄冷サブシステムのコールドボックスの冷エネルギー回収流路により冷エネルギーが回収されるとともに、多段圧縮機入口に戻りまたは多段圧縮機の各段圧縮機間の気路に戻る。
【0039】
本発明の別態様は、少なくとも1つの液化コールドボックス、少なくとも1つの深冷蓄冷サイクル及び少なくとも1つの中冷蓄冷サイクルを含み、前記深冷蓄冷サイクルは液化コールドボックスに接続され、深冷温度から常温までの冷エネルギーを放出し、前記中冷蓄冷サイクルが液化コールドボックスに接続され、深冷温度から中冷温度までの冷エネルギーを放出する、分段蓄冷サブシステムをさらに提供している。
【0040】
前記液化コールドボックスは、少なくとも1つの深冷サイクル内部流路、少なくとも1つの中冷サイクル内部流路、少なくとも1つの超臨界流路、少なくとも1つの冷エネルギー補償流路、及び少なくとも1つの冷エネルギー回収流路を含み、前記少なくとも1つの深冷蓄冷サイクルにおいて、深冷蓄冷サイクルはそれぞれ、少なくとも1つの深冷貯蔵タンク、少なくとも1つの深冷サイクル送風機及び少なくとも1つの深冷サイクル外部流路を含み、深冷サイクル外部流路はそれぞれ、少なくとも1つの深冷貯蔵タンク、及び少なくとも1つの深冷サイクル送風機に接続されるとともに、前記液化コールドボックス中の深冷サイクル内部流路に接続されて完全的なサイクル流路を構成し、前記少なくとも1つの中冷蓄冷サイクルにおいて、中冷蓄冷サイクルはそれぞれ、少なくとも1つの中冷貯蔵タンク、少なくとも1つの中冷サイクル送風機及び少なくとも1つの中冷サイクル外部流路を含み、中冷サイクル外部流路はそれぞれ、少なくとも1つの中冷貯蔵タンク、及び少なくとも1つの中冷サイクル送風機に接続されるとともに、前記液化コールドボックス中の中冷サイクル内部流路に接続されて完全的なサイクル流路を構成する。
【0041】
前記分段蓄冷サブシステムは少なくとも1つの蒸発コールドボックスをさらに含み、前記蒸発コールドボックスは少なくとも1つの深冷蓄冷サイクル及び少なくとも1つの中冷蓄冷サイクルを液化コールドボックスと共用し、前記深冷蓄冷サイクルは蒸発コールドボックスに接続され、深冷温度から常温までの冷エネルギーを貯蔵し、前記中冷蓄冷サイクルは蒸発コールドボックスに接続され、深冷温度から中冷温度までの冷エネルギーを貯蔵する。
【0042】
前記蒸発コールドボックスは、少なくとも1つの深冷サイクル内部流路、少なくとも1つの中冷サイクル内部流路、及び少なくとも1つの超臨界流路を含み、深冷サイクル外部流路はそれぞれ、少なくとも1つの深冷貯蔵タンク、及び少なくとも1つの深冷サイクル送風機に接続されるとともに、前記蒸発コールドボックス中の深冷サイクル内部流路に接続されて完全的なサイクル流路を構成し、中冷サイクル外部流路はそれぞれ、少なくとも1つの中冷貯蔵タンク、及び少なくとも1つの中冷サイクル送風機に接続されるとともに、前記蒸発コールドボックス中の中冷サイクル内部流路に接続されて完全的なサイクル流路を構成する。
【0043】
本発明の別態様は、コールドボックス、少なくとも1つの深冷蓄冷サイクル、及び少なくとも1つの中冷蓄冷サイクルを含み、コールドボックスは、液化コールドボックスまたは蒸発コールドボックスとして使用され、深冷蓄冷サイクルはコールドボックスに接続され、コールドボックスが液化コールドボックスであるとき、深冷温度から常温までの冷エネルギーを放出し、コールドボックスが蒸発コールドボックスであるとき、深冷温度から常温までの冷エネルギーを貯蔵し、中冷蓄冷サイクルはコールドボックスに接続され、コールドボックスが液化コールドボックスであるとき、深冷温度から中冷温度までの冷エネルギーを放出し、コールドボックスが蒸発コールドボックスであるとき、深冷温度から中冷温度までの冷エネルギーを貯蔵する、分段蓄冷サブシステムをさらに提供している。
【0044】
前記コールドボックスは、少なくとも1つの深冷サイクル内部流路、少なくとも1つの中冷サイクル内部流路、及び少なくとも1つの超臨界流路を含み、前記深冷蓄冷サイクルはそれぞれ、少なくとも1つの深冷貯蔵タンク、少なくとも1つの深冷サイクル送風機、及び少なくとも1つの深冷サイクル外部流路を含み、深冷サイクル外部流路はそれぞれ、少なくとも1つの深冷貯蔵タンク、及び少なくとも1つの深冷サイクル送風機に接続されるとともに、前記コールドボックス中の深冷サイクル内部流路に接続されて完全的なサイクル流路を構成し、前記中冷蓄冷サイクルはそれぞれ、少なくとも1つの中冷貯蔵タンク、少なくとも1つの中冷サイクル送風機、及び少なくとも1つの中冷サイクル外部流路を含み、中冷サイクル外部流路はそれぞれ、少なくとも1つの中冷貯蔵タンク、及び少なくとも1つの中冷サイクル送風機に接続されるとともに、前記コールドボックス中の中冷サイクル内部流路に接続されて完全的なサイクル流路を構成する。
【0045】
前記中冷蓄冷サイクルの数が1よりも大きい場合、それぞれの中冷蓄冷サイクルにおいて異なる中冷温度間の冷エネルギーを貯蔵する。
【0046】
前記少なくとも1つの中冷貯蔵タンクが2つの中冷貯蔵タンクである場合、2つの中冷貯蔵タンクは直列接続または並列接続され、2つの中冷貯蔵タンクが直列接続される場合、一方の中冷貯蔵タンクは深冷側と常温側とに分けられ、深冷から常温までの冷エネルギーを内部に貯蔵し、他方の中冷貯蔵タンクは中冷側と常温側とに分けられ、中冷から常温までの冷エネルギーを内部に貯蔵し、中冷サイクル送風機は2つの中冷貯蔵タンクの常温側間に直列接続され、2つの中冷貯蔵タンクが並列接続される場合、2つの中冷貯蔵タンクはいずれも深冷から中冷までの冷エネルギーを内部に貯蔵する。
【0047】
前記深冷貯蔵タンク及び中冷貯蔵タンクはいずれも内部に耐低温蓄冷材料が充填される固定式充填ベッド構造であり、サイクル作動媒体は充填された耐低温蓄冷材料の隙間を流れるとともに、冷量を交換し、前記サイクル作動媒体は、空気、窒素ガス、アルゴンガス及びヘリウムガスのうちの1種又は複数種を混合したものであり、前記耐低温蓄冷材料は、セラミック、石、アルミナ、金属、パッケージされた相変化粒子及び化学反応粒子のうちの1種又は複数種を混合したものである。
【0048】
前記深冷サイクル送風機及び中冷サイクル送風機はいずれも両方向サイクル送風機であり、送風機の流路が封止され、送風量が調節可能である。
【0049】
深冷温度は低温断熱貯蔵タンク内の低温液体温度+30K超えず、中冷温度は深冷温度と常温との間にある。
【0050】
前記液化コールドボックス及び蒸発コールドボックスはいずれも、熱交換器群、保冷材料及び封止ケースを含み、前記熱交換器群は、少なくとも1つのプレートフィン式熱交換器、少なくとも1つのプレート式熱交換器、または少なくとも1つの管巻き式熱交換器である。
【0051】
前記保冷材料は、ガラス繊維マット、パーライト、ロックウール、及び真空パネルのうちの1種又は複数種を混合したものである。
【発明の効果】
【0052】
上記の技術案から分かる通り、本発明による分段蓄冷式超臨界圧縮空気エネルギーシステム及び方法は、下記の有益効果を有する。
【0053】
1)本発明では、分段蓄冷サブシステムは中冷蓄冷サイクルを追加して中間温度の冷量を貯蔵することにより、冷エネルギーの回収利用効率を増加し、冷エネルギーの回収不足の課題を解決し、システムサイクル効率をさらに向上させるとともに、圧縮機出口における圧力を低下させるという利点を有する。
【0054】
2)本発明では、使用するサイクル作動媒体は、空気、窒素ガス、アルゴンガス及びヘリウムガスのうちの1種又は複数種を混合したものであり、入手しやすく、安全で信頼性がよく、コストが低く、効率が高く、環境にやさしく、大規模応用に適切である等の利点を有する。
【0055】
3)本発明では、エネルギー貯蔵過程中における冷エネルギーの自主的補償及び圧縮熱の回収利用を完成するとともに、外部冷・熱源の導入がない場合、高効率で独立的な運行を実現でき、地形条件に制限されない冷エネルギー補償システム及び蓄熱・熱交換システムをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図1図1は本発明による具体的な実施例における分段蓄冷式超臨界圧縮空気エネルギー貯蔵方法のフロー図である。
図2図2は本発明による具体的な実施例における単深冷蓄冷サイクルと中冷貯蔵タンクとの組み合わせによる分段蓄冷式超臨界圧縮空気エネルギー貯蔵システムの模示図である。
図3図3は本発明による具体的な実施例における中冷貯蔵タンクがダブルタンク直列接続構造である分段蓄冷式超臨界圧縮空気エネルギー貯蔵システムの模示図である。
図4図4は本発明による具体的な実施例における低温液体貯蔵タンクの高圧力下の分段蓄冷式超臨界圧縮空気エネルギー貯蔵システムの模示図である。
図5図5は本発明による具体的な実施例におけるコールドボックスを備える分段蓄冷式超臨界圧縮空気エネルギー貯蔵システムの模示図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
本発明の目的、技術案及び利点をさらに明瞭にするために、以下、具体的な実施例を結合しながら、図面を参照して本発明をさらに詳細に説明する。
【0058】
なお、図面や明細書の記載において、類似や同一の部分はいずれも同一の符号を用いる。かつ図面において、便宜上、実施例における形状や厚さを拡大することや簡略化することができる。また、図示されていない素子または実現形態は、当業者にとって公知のものである。また、本文は特定値を含むパラメータの模範を提供可能であるが、理解できるように、パラメータは相応する値に確実に等しい必要がなく、所定の許容誤差または設計拘束の範囲内において相応する値に近い。
【0059】
以下、上記実施例の上で、本発明の最も好ましい実施例が与えられる。なお、この最も好ましい実施例は本発明を理解するためのものにすぎず、本発明の保護範囲を限定するためのものではない。かつ、最も好ましい実施例における特徴は、特に説明がない限り、いずれも方法実施例及び装置実施例に同時に適用し、同一または異なる実施例に出現した技術特徴は、相互衝突しない限り、組み合わせて使用することができる。
【0060】
本発明による分段蓄冷式超臨界圧縮空気エネルギー貯蔵システムは、導入されたガス状空気を液状空気に転化するための超臨界液化サブシステムと、液状空気をガス状空気に転化するための蒸発膨張サブシステムと、ガス状空気と液状空気との転化時に冷エネルギーを貯蔵及び/又は放出するための分段蓄冷サブシステムと、を備える。
【0061】
分段蓄冷サブシステムは、少なくとも1つの液化コールドボックス、少なくとも1つの深冷蓄冷サイクル、及び少なくとも1つの中冷蓄冷サイクルを含み、深冷蓄冷サイクルは液化コールドボックスに接続され、深冷温度から常温までの冷エネルギーを放出し、中冷蓄冷サイクルは液化コールドボックスに接続され、深冷温度から中冷温度までの冷エネルギーを放出する。液化コールドボックスはそれぞれ、少なくとも1つの深冷サイクル内部流路、少なくとも1つの中冷サイクル内部流路、少なくとも1つの超臨界流路、少なくとも1つの冷エネルギー補償流路、及び少なくとも1つの冷エネルギー回収流路を含み、深冷蓄冷サイクルはそれぞれ、少なくとも1つの深冷貯蔵タンク、少なくとも1つの深冷サイクル送風機及び少なくとも1つの深冷サイクル外部流路を含み、深冷サイクル外部流路はそれぞれ、少なくとも1つの深冷貯蔵タンク、及び少なくとも1つの深冷サイクル送風機に接続されるとともに、液化コールドボックス中の深冷サイクル内部流路に接続されて完全的なサイクル流路を構成し、中冷蓄冷サイクルはそれぞれ、少なくとも1つの中冷貯蔵タンク、少なくとも1つの中冷サイクル送風機及び少なくとも1つの中冷サイクル外部流路を含み、中冷サイクル外部流路はそれぞれ、少なくとも1つの中冷貯蔵タンク、及び少なくとも1つの中冷サイクル送風機に接続されるとともに、液化コールドボックス中の中冷サイクル内部流路に接続されて完全的なサイクル流路を構成する。
【0062】
分段蓄冷サブシステムは少なくとも1つの蒸発コールドボックスをさらに含み、前記蒸発コールドボックスは、少なくとも1つの深冷蓄冷サイクル及び少なくとも1つの中冷蓄冷サイクルを液化コールドボックスと共用し、深冷蓄冷サイクルは蒸発コールドボックスに接続され、深冷温度から常温までの冷エネルギーを貯蔵し、中冷蓄冷サイクルは蒸発コールドボックスに接続され、深冷温度から中冷温度までの冷エネルギーを貯蔵する。蒸発コールドボックスは、少なくとも1つの深冷サイクル内部流路、少なくとも1つの中冷サイクル内部流路、及び少なくとも1つの超臨界流路を含み、深冷蓄冷サイクル中の深冷サイクル外部流路はそれぞれ、少なくとも1つの深冷貯蔵タンク、及び少なくとも1つの深冷サイクル送風機に接続されるとともに、蒸発コールドボックス中の深冷サイクル内部流路に接続されて完全的なサイクル流路を構成し、中冷蓄冷サイクル中の中冷サイクル外部流路はそれぞれ、少なくとも1つの中冷貯蔵タンク、及び少なくとも1つの中冷サイクル送風機に接続されるとともに、蒸発コールドボックス中の中冷サイクル内部流路に接続されて完全的なサイクル流路を構成する。
【0063】
液化コールドボックス及び蒸発コールドボックスはいずれも、熱交換器群、保冷材料及び封止ケースを含み、熱交換器群は、少なくとも1つのプレートフィン式熱交換器、少なくとも1つのプレート式熱交換器、または少なくとも1つの管巻き式熱交換器である。保冷材料は、ガラス繊維マット、パーライト、ロックウール、及び真空パネルのうちの1種又は複数種を混合したものである。
【0064】
本発明の実施例において、液化コールドボックス及び蒸発コールドボックスは同じコールドボックスを共用することができ、この際、コールドボックスは、液化コールドボックスまたは蒸発コールドボックスとして使用され、少なくとも1つの深冷蓄冷サイクル及び少なくとも1つの中冷蓄冷サイクルを含み、コールドボックスはそれぞれ、冷エネルギーの放出や貯蔵に使用可能であり、コールドボックスはそれぞれ、少なくとも1つの深冷サイクル内部流路、少なくとも1つの中冷サイクル内部流路、及び少なくとも1つの超臨界流路を含む。深冷蓄冷サイクルはコールドボックスに接続され、深冷温度から常温までの冷エネルギーを放出及び/又は貯蔵し、深冷蓄冷サイクルはそれぞれ、少なくとも1つの深冷貯蔵タンク、少なくとも1つの深冷サイクル送風機及び少なくとも1つの深冷サイクル外部流路を含み、深冷サイクル外部流路はそれぞれ、少なくとも1つの深冷貯蔵タンク、及び少なくとも1つの深冷サイクル送風機に接続されるとともに、コールドボックス中の深冷サイクル内部流路に接続されて完全的なサイクル流路を構成する。中冷蓄冷サイクルは、コールドボックスに接続され、深冷温度から中冷温度までの冷エネルギーを放出及び/又は貯蔵し、中冷蓄冷サイクルはそれぞれ、少なくとも1つの中冷貯蔵タンク、少なくとも1つの中冷サイクル送風機及び少なくとも1つの中冷サイクル外部流路を含み、中冷サイクル外部流路はそれぞれ、少なくとも1つの中冷貯蔵タンク、及び少なくとも1つの中冷サイクル送風機に接続されるとともに、コールドボックス中の中冷サイクル内部流路に接続されて完全的なサイクル流路を構成する。
【0065】
中冷蓄冷サイクルの数が1よりも大きい場合、それぞれの中冷蓄冷サイクルにおいて異なる中冷温度間の冷エネルギーを貯蔵する。
【0066】
少なくとも1つの中冷貯蔵タンクが2つの中冷貯蔵タンクである場合、2つの中冷貯蔵タンクは直列接続または並列接続され、2つの中冷貯蔵タンクが直列接続される場合、一方の中冷貯蔵タンクは深冷側と常温側とに分けられ、深冷から常温までの冷エネルギーを内部に貯蔵し、他方の中冷貯蔵タンクは中冷側と常温側とに分けられ、中冷から常温までの冷エネルギーを内部に貯蔵し、中冷サイクル送風機は2つの中冷貯蔵タンクの常温側間に直列接続され、2つの中冷貯蔵タンクが並列接続される場合、2つの中冷貯蔵タンクはいずれも深冷から中冷までの冷エネルギーを内部に貯蔵する。
【0067】
深冷貯蔵タンク及び中冷貯蔵タンクはいずれも内部に耐低温蓄冷材料が充填される固定式充填ベッド構造であり、サイクル作動媒体は充填された耐低温蓄冷材料の隙間を流れるとともに、冷量を交換し、サイクル作動媒体は、空気、窒素ガス、アルゴンガス及びヘリウムガスのうちの1種又は複数種を混合したものであり、耐低温蓄冷材料は、セラミック、石、アルミナ、金属、パッケージされた相変化粒子及び化学反応粒子のうちの1種又は複数種を混合したものである。
【0068】
深冷サイクル送風機及び中冷サイクル送風機はいずれも両方向サイクル送風機であり、送風機の流路が封止され、送風量が調節可能である。
【0069】
深冷温度は低温断熱貯蔵タンク内の低温液体温度+30Kを超えず、中冷温度は深冷温度と常温との間にある。
【0070】
超臨界液化サブシステムは、モータ、少なくとも1つの多段圧縮機、乾燥浄化装置、割合調節装置、液体膨張装置、気液分離器及び低温断熱貯蔵タンクを含み、モータは多段圧縮機に軸接続され、多段圧縮機間の接続は、軸接続とガス路接続との両方を含み、乾燥浄化装置は多段圧縮機のガス路上に設けられ、空気中の水蒸気、二酸化炭素、アルカン系成分の含有量を低減させるためのものであり、モータは、導入されたガス状空気が多段圧縮により超臨界空気を形成するように多段圧縮機を駆動し、多段圧縮機出口の超臨界空気は割合調節装置に入って分流し、分流後の一方の超臨界空気は分段蓄冷サブシステムにおける液化コールドボックスの超臨界流路に入ってから、液体膨張装置により膨張され、気液分離器により分離されて液状空気に形成され、液状空気は気液分離器の液側出口を介して低温断熱貯蔵タンクに入る。超臨界液化サブシステムの割合調節装置内部には、その分流した2つの回路中の超臨界空気の流量割合を調節するための流量調節機構が設けられる。
【0071】
蒸発膨張サブシステムは、少なくとも1つの低温ポンプ、多段膨張機及び発電機を含み、低温断熱貯蔵タンクにより送り出された液状空気は低温ポンプ、分段蓄冷サブシステムにおける蒸発コールドボックスの超臨界流路を経過してから超臨界空気に蒸発形成され、蒸発により形成された超臨界空気は多段膨張機に入って仕事し、発電機を駆動して発電させ、発電機は多段膨張機に軸接続され、多段膨張機の接続は、軸接続とガス路接続との両方を含む。
【0072】
蒸発膨張サブシステムは多段膨張機出口における高温熱エネルギーを回収するための予熱機をさらに備え、前記予熱機は超臨界空気が多段膨張機に入る前の位置に設けられ、かつ多段膨張機出口の排ガスが当該予熱機に入ってガス路回路が形成される。予熱器は、プレートフィン式、プレート式、シェル・チューブ式、スクリュープレート式熱交換器のうちの1種又は複数種の組み合わせである。
【0073】
該圧縮空気エネルギー貯蔵システムは、少なくとも1つの蓄熱タンク、少なくとも1つの常温タンク、少なくとも2つの再生器及び少なくとも2つの再熱器を含む蓄熱・熱交換サブシステムをさらに備え、各再生器は互いに独立しており、各再熱器は互いに独立しており、常温タンクの出口は各再生器の一端に接続され、それぞれの再生器の他端が蓄熱タンクの入口に接続され、蓄熱タンクの出口は各再熱器の一端に接続され、それぞれの再熱器の他端が常温タンクの入口に接続され、少なくとも1つの再生器は超臨界液化サブシステムの多段圧縮機間に接続されるとともに、少なくとも1つの再生器は超臨界液化サブシステムの多段圧縮機と割合調節装置との間に接続され、少なくとも1つの再熱器は蒸発により形成された超臨界空気が多段膨張機に入る前の位置に接続されるとともに、少なくとも1つの再熱器は蒸発膨張サブシステムにおけるガス路の多段膨張機間に接続される。蓄熱・熱交換サブシステムは、再熱器の出口と常温タンクの入口との間にあり、再熱器の出口における蓄熱作動媒体の余熱を回収するための余熱利用装置をさらに備える。蓄熱・熱交換サブシステムの余熱利用装置は、熱供給熱交換器または冷凍機群または両者の組み合わせである。
【0074】
該圧縮空気エネルギー貯蔵システムは、冷エネルギーを自主的に補償する冷エネルギー補償サブシステムをさらに備え、具体的に、分段蓄冷サブシステムが、少なくとも1つの液化コールドボックス及び少なくとも1つの蒸発コールドボックスを含むとき、超臨界液化サブシステムの割合調節装置により分流された他方の超臨界空気は分段蓄冷サブシステムの液化コールドボックスの冷エネルギー補償流路に入って降温されてから低温膨張機群に入って膨張しさらに降温され、かつ混合機内において気液分離器における気側出口の低温空気と混合し、その後、分段蓄冷サブシステムの液化コールドボックスの冷エネルギー回収流路により冷エネルギーが回収されるとともに、多段圧縮機入口に戻りまたは多段圧縮機の各段圧縮機間の気路に戻り、あるいは、
分段蓄冷サブシステムは、液化及び蒸発に同時使用される少なくとも1つのコールドボックスを含むとき、コールドボックスが冷エネルギー補償サブシステムに接続され、少なくとも1つの冷エネルギー補償流路及び少なくとも1つの冷エネルギー回収流路をさらに含み、超臨界液化サブシステムの割合調節装置により分流された他方の超臨界空気は分段蓄冷サブシステムのコールドボックスの冷エネルギー補償流路に入って降温されてから低温膨張機群に入って膨張しさらに降温され、かつ混合機内において気液分離器における気側出口の低温空気と混合し、その後、分段蓄冷サブシステムのコールドボックスの冷エネルギー回収流路により冷エネルギーが回収されるとともに、多段圧縮機入口に戻りまたは多段圧縮機の各段圧縮機間の気路に戻る。
【0075】
本発明による分段蓄冷式超臨界圧縮空気エネルギー貯蔵方法は、分段蓄冷式超臨界圧縮空気エネルギー貯蔵システムに応用され、図1に示すように、本発明による具体的な実施例における分段蓄冷式超臨界圧縮空気エネルギー貯蔵方法のフロー図は以下のステップを含む。
【0076】
S101:超臨界液化サブシステムが、導入されたガス状空気を液状空気に転化することにおいて、具体的に、モータは、導入された空気が多段圧縮により超臨界空気を形成するように多段圧縮機を駆動し、多段圧縮機出口の超臨界空気は割合調節装置に入って分流し、分流後の一方の超臨界空気は分段蓄冷サブシステムにおける液化コールドボックスの超臨界流路に入ってから、液体膨張装置により膨張され、気液分離器により分離されて液状空気に形成され、液状空気は気液分離器の液側出口を介して低温断熱貯蔵タンクに入る。
【0077】
S102:蒸発膨張サブシステムが、液状空気をガス状空気に転化することにおいて、具体的に、低温断熱貯蔵タンクにより送り出された液状空気は低温ポンプ、分段蓄冷サブシステムにおける蒸発コールドボックスの超臨界流路を経過してから超臨界空気に蒸発形成され、蒸発により形成された超臨界空気は多段膨張機に入って仕事し、発電機を駆動して発電させる。
【0078】
S103:分段蓄冷サブシステムが、ガス状空気と液状空気との転化時に冷エネルギーを貯蔵及び/又は放出することにおいて、具体的に、サイクル送風機はサイクル作動媒体を駆動し、深冷貯蔵タンク及び中冷貯蔵タンク内の冷エネルギーを液化コールドボックスの深冷サイクル内部流路及び中冷サイクル内部流路にそれぞれ導入し、超臨界流路内の超臨界空気の液化のために冷エネルギーを提供し、サイクル送風機はサイクル作動媒体を駆動し、深冷貯蔵タンク及び中冷貯蔵タンク内の冷エネルギーを蒸発コールドボックスの深冷サイクル内部流路及び中冷サイクル内部流路にそれぞれ導入し、超臨界流路内の超臨界空気の蒸発のために熱エネルギーを提供して冷エネルギーを貯蔵する。
【0079】
本発明の分段蓄冷式超臨界圧縮空気エネルギー貯蔵方法はさらに以下のステップを含む。
【0080】
S104:蓄熱・熱交換サブシステムが、昇温された蓄熱作動媒体を蓄熱タンクに貯蔵すること、及び降温された蓄熱作動媒体を常温タンクに戻すことにおいて、具体的に、各段再生器内において圧縮熱を吸収して昇温した蓄熱作動媒体を蓄熱タンク内に貯蔵し、各段再熱器液側出口の蓄熱作動媒体は余熱利用装置により蓄熱作動媒体の熱エネルギーをさらに吸収するとともに常温付近の冷エネルギーを放出し、降温後の蓄熱作動媒体を常温タンク内に戻す。
【0081】
本発明の分段蓄冷式超臨界圧縮空気エネルギー貯蔵方法はさらに以下のステップを含む。
【0082】
S105:冷エネルギー補償サブシステムが冷エネルギーを自主的に補償することにおいて、具体的に、分段蓄冷サブシステムが、少なくとも1つの液化コールドボックス及び少なくとも1つの蒸発コールドボックスを含む場合、超臨界液化サブシステムの割合調節装置により分流された他方の超臨界空気は分段蓄冷サブシステムの液化コールドボックスの冷エネルギー補償流路に入って降温されてから低温膨張機群に入って膨張しさらに降温され、かつ混合機内において気液分離器における気側出口の低温空気と混合し、その後、分段蓄冷サブシステムの液化コールドボックスの冷エネルギー回収流路により冷エネルギーが回収されるとともに、多段圧縮機入口に戻りまたは多段圧縮機の各段圧縮機間の気路に戻り、あるいは、
分段蓄冷サブシステムは、液化及び蒸発に同時使用される少なくとも1つのコールドボックスを含むとき、コールドボックスが冷エネルギー補償サブシステムに接続され、少なくとも1つの冷エネルギー補償流路及び少なくとも1つの冷エネルギー回収流路をさらに含み、超臨界液化サブシステムの割合調節装置により分流された他方の超臨界空気は分段蓄冷サブシステムのコールドボックスの冷エネルギー補償流路に入って降温されてから低温膨張機群に入って膨張しさらに降温され、かつ混合機内において気液分離器における気側出口の低温空気と混合し、その後、分段蓄冷サブシステムのコールドボックスの冷エネルギー回収流路により冷エネルギーが回収されるとともに、多段圧縮機入口に戻りまたは多段圧縮機の各段圧縮機間の気路に戻る。
【0083】
実施例1
図2は本発明による具体的な実施例における単深冷蓄冷サイクルと中冷貯蔵タンクとの組み合わせによる分段蓄冷式超臨界圧縮空気エネルギー貯蔵システムの模示図である。
【0084】
この実施例では、作動媒体は熱伝導オイルであり、圧縮機は2段圧縮であり、膨張機は2段膨張であり、1つの蓄熱タンク、1つの常温タンク、1つの低温液体貯蔵タンク、及び1つの分段蓄冷サブシステムを使用する。分段蓄冷サブシステムは1つの深冷貯蔵タンク、1つの中冷貯蔵タンク、1つの液化コールドボックス、及び1つの蒸発コールドボックスを含み、余熱利用装置は吸収式冷凍機群であり、低温膨張機は2段膨張であり、低温液体貯蔵タンク内の圧力は常圧に近い。本実施例による液化コールドボックスの冷エネルギー回収流路4035により還流されたガスは初段圧縮機101の入口に戻る。
【0085】
使用フローは以下の通りである。
【0086】
1.エネルギー貯蔵の開始段階において、モータ100は、常圧空気及び冷エネルギー回収流路4035の出口における回流空気を圧縮するように初段圧縮機101を駆動し、圧縮空気は段間における再生器203を介して熱量を交換してから乾燥浄化装置102に導入されて水蒸気、二酸化炭素、アルカン系成分の含有量が低減され、乾燥浄化された圧縮空気は終段圧縮機103内においてさらに圧縮されて熱交換された後、超臨界状態で割合調節装置104に導入される。各段の再生器203及び204内において圧縮熱を吸収して昇温された蓄熱作動媒体は蓄熱タンク201内に貯蔵される。
【0087】
2.サイクル送風機405及び406はサイクル作動媒体を駆動し、深冷貯蔵タンク401及び中冷貯蔵タンク402内の冷エネルギーを液化コールドボックス403の深冷サイクル内部流路4031及び中冷サイクル内部流路4032にそれぞれ導入し、超臨界流路4033内の超臨界空気の液化のために冷量を提供する。深冷サイクル外部流路4051は深冷貯蔵タンク401及び深冷サイクル送風機405に接続されるとともに、液化コールドボックス403中の深冷サイクル内部流路403に接続されて完全的なサイクル流路を構成する。中冷サイクル外部流路4061は中冷貯蔵タンク402及び中冷サイクル送風機406に接続されるとともに、液化コールドボックス403中の中冷サイクル内部流路403に接続されて完全的なサイクル流路を構成する。
【0088】
3.超臨界空気は割合調節装置104により分流されてから所定の流量割合で送り出されて、その大部分が液化コールドボックスの超臨界流路4033に入って冷エネルギーを吸収して降温されてから高圧流体に液化され、残りの超臨界空気は液化コールドボックスの冷エネルギー補償流路4034に入って、一部の冷エネルギーを吸収して降温されてから低温膨張機群108によりさらに膨張されて常圧に近い低温ガスに降温され、システム全体に低温冷エネルギーを補償する。
【0089】
4.超臨界空気は液化されてから液体膨張装置105により膨張されて常圧に近い気液混合流体になるとともに、気液分離器106に入り、分離された低温ガスと冷エネルギー補償路4034の出口における膨張降温後の低温ガスとは混合機109内において混合し、混合後の常圧に近い低温ガスは液化コールドボックスの冷エネルギー回収流路4035に導入され、冷エネルギーを回収して冷エネルギーの不足を補償する。気液分離器106内における分離された液状空気は収集されかつ低温断熱貯蔵タンク107内に貯蔵され、エネルギーの貯蔵を完成する。
【0090】
5.エネルギー放出段階において、液状空気は低温ポンプ301により圧力が向上されてから蒸発コールドボックス404に導入され、深冷貯蔵タンク401'及び中冷貯蔵タンク402'内のサイクル作動媒体はサイクル送風機405'及び406'により駆動され、蒸発コールドボックスの深冷サイクル内部流路4041及び中冷サイクル内部流路4042にそれぞれ導入され、サイクル作動媒体は蒸発コールドボックス内において蒸発流路4043内の液状空気の蒸発による放出冷量を吸収してから深冷貯蔵タンク401'及び中冷貯蔵タンク402'内にそれぞれ導入され、冷エネルギーの回収及び貯蔵を完成する。蒸発コールドボックス404と液化コールドボックス403とは、深冷蓄冷サイクル及び中冷蓄冷サイクルを共用する。深冷貯蔵タンク401と深冷貯蔵タンク401'とは実際に同一の深冷貯蔵タンクであり、中冷貯蔵タンク402と中冷貯蔵タンク402'とは実際に同一の中冷貯蔵タンクである。深冷サイクル送風機405と深冷サイクル送風機405'とは実際に同一の深冷サイクル送風機であり、中冷サイクル送風機406と中冷サイクル送風機406'とは実際に同一の中冷サイクル送風機であり、深冷サイクル外部流路4051と深冷サイクル外部流路4051'とは実際に同一の深冷サイクル外部流路であり、中冷サイクル外部流路4061と中冷サイクル外部流路4061'とは実際に同一の中冷サイクル外部流路である。蒸発コールドボックスは、深冷サイクル内部流路4041、中冷サイクル内部流路4042及び超臨界流路403を含む。深冷蓄冷サイクル中の深冷サイクル外部流路4051'は深冷貯蔵タンク401'及び深冷サイクル送風機405'に接続されるとともに、蒸発コールドボックス404中の深冷サイクル内部流路404に接続されて完全的なサイクル流路を構成する。中冷蓄冷サイクル中の中冷サイクル外部流路4061'は、中冷貯蔵タンク402'及び中冷サイクル送風機406'に接続されるとともに、蒸発コールドボックス404中の中冷サイクル内部流路404に接続されて完全的なサイクル流路を構成する。
【0091】
6.蒸発コールドボックスの蒸発流路4043出口における超臨界空気は予熱器302内に導入されるとともに、終段膨張機304出口における高温度の排ガスと熱量を交換し、超臨界空気の温度をさらに向上させる。予熱後の超臨界空気は再熱器205を介して蓄熱作動媒体の熱量を吸収してから初段膨張機303に入って仕事し、発電機305を駆動して発電させ、初段膨張機303出口における圧縮空気は終段再熱器206内に入って改めて加熱されてから終段膨張機304に入って膨張して仕事する。
【0092】
7.各段の再熱器205及び206の液側出口における蓄熱作動媒体は依然として高い温度を有し、余熱利用装置207を介して蓄熱作動媒体の熱エネルギーをさらに吸収するとともに、常温付近の冷エネルギーを放出し、降温された蓄熱作動媒体は常温タンク202内へ戻る。
【0093】
実施例2
図3は本発明による具体的な実施例における中冷貯蔵タンクがダブルタンク直列接続構造である分段蓄冷式超臨界圧縮空気エネルギー貯蔵システムの模示図である。図3に示すように、実施例1に比べて、その改善は下記の通りである。少なくとも1つの中冷貯蔵タンクが2つの中冷貯蔵タンクである場合、下中冷貯蔵タンク4021と上中冷貯蔵タンク4022とは直列接続され、下中冷貯蔵タンク4021は、冷から常温までの冷エネルギーを内部に貯蔵し、上中冷貯蔵タンク4022は、冷から常温までの冷エネルギーを内部に貯蔵し、下中冷貯蔵タンク4021と上中冷貯蔵タンク4022との常温側は中冷サイクル送風機406を介して接続され、中冷サイクル送風機406は常温下で運行し、圧縮熱により送風機出口における中冷温度サイクル作動媒体の温度が大幅に向上することによる冷エネルギー損失を回避できる利点を有する。同様に、下中冷貯蔵タンク4021'と上中冷貯蔵タンク4022'とが直列接続され、下中冷貯蔵タンク4021'は、冷から常温までの冷エネルギーを内部に貯蔵し、上中冷貯蔵タンク4022'は、冷から常温までの冷エネルギーを内部に貯蔵し、下中冷貯蔵タンク4021'と上中冷貯蔵タンク4022'との常温側は中冷サイクル送風機406'を介して接続され、中冷サイクル送風機406'は常温下で運行し、圧縮熱により送風機出口における中冷温度サイクル作動媒体の温度が大幅に向上することによる冷エネルギー損失を回避できる利点を有する。中冷サイクル送風機406と中冷サイクル送風機406'とは実際に同一の中冷サイクル送風機であり、下中冷貯蔵タンク4021と下中冷貯蔵タンク4021'とは実際に同一の下中冷貯蔵タンクであり、上中冷貯蔵タンク4022と上中冷貯蔵タンク4022'とは実際に同一の上中冷貯蔵タンクである。
【0094】
実施例3
図4は本発明による具体的な実施例における低温液体貯蔵タンクの高圧力下の分段蓄冷式超臨界圧縮空気エネルギー貯蔵システムの模示図である。図4に示すように、実施例1に比べて、その改善は下記の通りである。液化コールドボックスの冷エネルギー回収流路4035から還流した低温常圧ガスは初段圧縮機101の入口に戻らずに、乾燥浄化装置102と終段圧縮機との間のガス路に戻る。この際、低温断熱貯蔵タンク107内の液状空気を貯蔵する圧力は常圧に近いのではなく、常圧よりもはるかに高い。
【0095】
エネルギー貯蔵段階において、液化コールドボックスの冷エネルギー補償流路4034内の超臨界流体は一部の冷エネルギーを吸収して降温してから2段の低温膨張機108により低温断熱貯蔵タンク107内の圧力に近いように膨張され、かつ気液分離器内で分離された低温ガスと混合機109内において混合してから冷エネルギー回収流路4035に導入され、冷エネルギー回収流路4035は終段圧縮機103の入口に接続され、初段圧縮機101により圧縮された圧縮空気と混合してから終段圧縮機103に導入されて超臨界空気に圧縮される。
【0096】
実施例4
図5は本発明による具体的な実施例におけるコールドボックスを備える分段蓄冷式超臨界圧縮空気エネルギー貯蔵システムの模示図である。図5に示すように、実施例1に比べて、その改善は下記の通りである。液化コールドボックス及び蒸発コールドボックスは同一のコールドボックスを共用し、即ち1つのコールドボックス407のみを設け、このコールドボックス407は冷エネルギーを放出するための液化コールドボックスとして用いられてもよく、冷エネルギーを貯蔵するための蒸発コールドボックスとして用いられてもよい。エネルギー貯蔵の開始段階において、第1の弁G1と第3の弁G3がオンされ、第2の弁G2と第4の弁G4がオフされる。超臨界空気は第2の弁G2を介して割合調節装置104に入る。超臨界空気は割合調節装置104により分流されてから、その大部分がコールドボックスの超臨界流路4033に入り、そして第3の弁G3を介して液体膨張装置105に入る。エネルギー放出段階において、第1の弁G1と第3の弁G3はオフされ、第2の弁G2と第4の弁G4はオンされる。液状空気は低温ポンプ301により圧力が向上されてから第4の弁G4を介して液化コールドボックスの超臨界流路4033に導入され、超臨界流路4033により送り出された超臨界空気は割合調節装置104により第2の弁G2を介して予熱器302内に導入される。
【0097】
上記の具体的な実施例により、本発明の目的、技術案及び有益効果をさらに詳細に説明したが、理解できるように、上記の記載は本発明の具体的な実施例にすぎず、本発明を限定するものではなく、本発明の精神と原則から逸脱しない限り、いかなる補正、同等置換え、改善等も本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0098】
100 モータ
101 初段圧縮機
102 乾燥浄化装置
103 終段圧縮機
104 割合調節装置
105 液体膨張装置
106 気液分離器
107 低温断熱貯蔵タンク
108 低温膨張機群
109 混合機
201 蓄熱タンク
202 常温タンク
203 初段再生器
204 終段再生器
205 初段再熱器
206 終段再熱器
207 余熱利用装置
301 低温ポンプ
302 予熱器
303 初段膨張機
304 終段膨張機
305 発電機
401,401' 深冷貯蔵タンク
402,402' 中冷貯蔵タンク
4021,4021' 下中冷貯蔵タンク
4022,4022' 上中冷貯蔵タンク
403 液化コールドボックス
4031 液化コールドボックス深冷サイクル内部流路
4032 液化コールドボックス中冷サイクル内部流路
4033 液化コールドボックス超臨界流路
4034 液化コールドボックス冷エネルギー補償流路
4035 液化コールドボックス冷エネルギー回収流路
404 蒸発コールドボックス
4041 蒸発コールドボックス深冷サイクル内部流路
4042 蒸発コールドボックス中冷サイクル内部流路
4043 蒸発コールドボックス蒸発流路
405,405' 深冷サイクル送風機
4051,4051' 深冷サイクル外部流路
406,406' 中冷サイクル送風機
4061,4061' 中冷サイクル外部流路
407 液化蒸発両用コールドボックス
図1
図2
図3
図4
図5