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特許7169306乾燥炭素含有原料及び/又は乾燥炭化水素含有原料を合成ガスに変換するための装置と設備
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-01
(45)【発行日】2022-11-10
(54)【発明の名称】乾燥炭素含有原料及び/又は乾燥炭化水素含有原料を合成ガスに変換するための装置と設備
(51)【国際特許分類】
   C10J 3/64 20060101AFI20221102BHJP
   C10J 3/02 20060101ALI20221102BHJP
   C10J 3/26 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
C10J3/64
C10J3/02 H
C10J3/02 M
C10J3/26
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019566677
(86)(22)【出願日】2018-05-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-27
(86)【国際出願番号】 EP2018062709
(87)【国際公開番号】W WO2018219648
(87)【国際公開日】2018-12-06
【審査請求日】2021-05-11
(31)【優先権主張番号】1754816
(32)【優先日】2017-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】512200284
【氏名又は名称】シー ― ソルコエス エネルギア イ メイオアンビエンテ リミターダ
(74)【代理人】
【識別番号】100118256
【弁理士】
【氏名又は名称】小野寺 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100166338
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 正夫
(72)【発明者】
【氏名】ギヨマルシュ レイモン
【審査官】岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-519761(JP,A)
【文献】特表2013-543537(JP,A)
【文献】特表2015-509993(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0240172(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0086994(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10J 3/64
C10J 3/02
C10J 3/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥した炭素含有原料(MPCS)を、COとHを含有し、これらの要素から構成された合成ガスに変換する装置(100)であって、以下の
-上部と下部が開いていて、MPCSを受け入れるために計画されたMPCS熱分解室(110)
-前記熱分解室(110)の上部にMPCSの導入開口部(106)、
-熱分解室(110)の下部に合成ガス抽出開口部(108)、
-前記熱分解室(110)内に配置された、下記を具備する中央室(120)
・前記中央室(120)と熱分解室(110)の間でガスのみが通過できる、少なくとも1つの開口部(128)、
・熱分解室(110)から中央室(120)に移動する熱分解ガスの少なくとも一部を酸化する前記中央室(120)内の、少なくとも1つの酸素注入開口部(132)
を具備し、以下の
-少なくとも1つの酸素注入開口部(132)が前記中央室(120)の下部の、いわゆるクラッキング室に位置する
-ガス通過開口部(128)が前記中央室(120)の上部と側面に位置する
-前記中央室(120)は、二重壁(124)で囲まれた側面及びキャップを有する上部を有し、側面の下方に密閉された前記クラッキング室を具備して前記中央室(120)の側壁が形成され、前記クラッキング室の下部が前記熱分解室(110)に対して開いており、前記クラッキング室の下部から熱分解ガスが供給されることを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置(100)であって、中央室(120)に前記装置(100)の起動のために必要な熱を供給する熱源を具備することを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1~2のいずれか一項に記載の装置(100)であって、中央室(120)と熱分解室(110)が同心であることを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の装置(100)であって、熱分解室(110)内の中央室(120)の上部に、高温のCOガス流の導入口(114)を少なくとも1つ具備することを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の装置(100)であって、前記二重壁(124)は、COガス流を循環させるために計画された中央室(120)の側面で中央室(120)を熱分解室(110)から分離することを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の装置(100)であって、中央室(120)の反対側で、熱分解室(110)が前記熱分解室(110)の少なくとも側面部分で二重壁(112)によって画定されていることを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の装置(100)であって、熱分解室(110)と中央室(120)を分離する二重壁(124)と、熱分解室(110)を画定する二重壁(112)が、1つ又は複数の二重横壁(126)によって相互に連絡することを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項5~7のいずれか一項に記載の装置(100)であって、少なくとも1つの二重壁(112、124、126)にCO導入開口部(134)を具備することを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の装置(100)であって、一体型アセンブリ形状をしていることを特徴とする装置。
【請求項10】
乾燥炭素含有原料(MPCS)から、COとHを含有し、これらの要素から構成された合成ガスを生産する設備(400)であって、以下の
-請求項1~9のいずれか一項に記載の変換装置(100)、
-前記変換装置(100)内のMPCS導入手段(402)、
-前記変換装置(100)から供給される合成ガス抽出手段(406)
を具備する設備。
【請求項11】
請求項10に記載の設備(400)であって、抽出手段(406)が次の
-変換装置(100)の抽出開口部(108)に連結又は接続された、少なくとも1つの合成ガス吸引手段(414)、
-前記変換装置(100)から供給される合成ガスを冷却する、少なくとも1つの熱交換機(408、412)、
-前記変換装置(100)から供給される合成ガスの、少なくとも1つのろ過装置(410)
の少なくとも1つを具備することを特徴とする設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥炭素含有原料及び/又は乾燥炭化水素含有原料を合成ガスに変換する装置に関する。さらに、このような装置を具備する設備にも関する。
【0002】
本発明の分野は、乾燥炭素含有原料及び/又は乾燥炭化水素含有原料から合成ガス流を発生する分野である。
【背景技術】
【0003】
本出願の後述部分では、ほとんどの未加工又は加工済み乾燥炭素含有原料は、未使用又は使用済みを問わず、その化学組成に水素元素を含有するため、解説が煩雑になるのを避けるため、「MPCS」は「乾燥炭素含有原料及び/又は乾燥炭化水素含有原料」を指す。
【0004】
現在、特に同じ発明者によって考案された、MPCSを合成ガスに変換する様々な変換システムがある。これらのシステムは、MPCSの熱分解を開始するためにMPCSを加熱する処理容量を備えている。
【0005】
MPCSを熱分解温度にするため、現在のシステムは、通常、外部装置から供給されるCOから構成された伝熱ガス流を使用する。伝熱ガス流は、MPCSが位置する処理容量に投入する前に加熱される。COを伝熱流として使用することは、COがMPCSから供給される炭素分子及び/又は炭化水素分子と反応して、合成ガス中のCOとHの量を増加する炭素原子と酸素原子を含有しているため、非常に有利である。
【0006】
ただし、伝熱ガス流の使用は、このガス流を発生する必要がある。第1の対策は、このガス流を供給する外部設備を備えることだが、必ずしもそうなってはいない。このため、このような設備が整っていないサイトで現在のシステムを使用するには制限が伴う。もう一つの対策は、得られる合成ガスの一部を酸素燃焼させて伝熱ガス流を発生させることだが、この場合には、得られた合成ガス量の全体的な効率が低下する。また、対策の如何を問わず、処理容量に投入する前に伝熱ガス流を加熱することが必要である。
【0007】
最適な熱分解を実現するには、とりわけ、MPCSと伝熱剤を密接に接触させることが不可欠である。このため、処理システムの構成は、処理の有効性を損なう可能性があるあらゆる隅々まで手を抜かずに、MPCSに伝熱剤を完全に統合できるようにすることが必要である。この課題を克服するには熱条件が最も重要であり、システムの内側で熱力学流と相互作用することを踏まえ、使用される手段は、大抵の場合、大げさなものとなっている。例えば、加圧して伝熱剤を高温で注入する外部機械システムを例として挙げられるが、これは特殊な機器を必要とするため、現在のシステムを複雑化し、従って、そのコストも増大する。
【0008】
本発明の一つの目的は、これらの不都合を克服することである。
【0009】
本発明のもう一つの目的は、伝熱ガス流を供給するために外部設備を保有しないサイトでも使用でき、しかも、効率を改善する、MPCSを自律合成ガスに変換する装置を提案することである。
【0010】
本発明のさらに別の目的は、複雑ではなく、コストもかからない、MPCSを合成ガスに変換する装置を提案することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、乾燥炭素含有原料及び/又は乾燥炭化水素含有原料(MPCS)を、COとHを含有し、とりわけ、これらの要素から構成された合成ガスに変換する装置によって、これらの目的の少なくとも一つを達成できる。
【0012】
本発明による装置は、以下を具備する。
-上部と下部が開き、MPCSを受け入れるために計画されたMPCS熱分解室、
-上部で、前記熱分解室にMPCSを導入する開口部、及び、
-下部で、前記熱分解室から合成ガスを抽出する開口部、
さらに、中央室が前記熱分解室内に配置されていることを特徴とし、以下を具備する。
-前記中央室と熱分解室の間を、とりわけ、中央室から熱分解室方向に、ガスのみが通過できる、少なくとも一つの開口部、及び、
-熱分解室から中央室へ移動する熱分解ガスの少なくとも一部を酸化するために前記中央室に設けられた、少なくとも一つの酸素注入開口部。
【0013】
中央室内における熱分解ガスの一部の酸素燃焼は、MPCSを加熱し、熱分解を引き起こし、熱分解室の下部を約1200℃の温度にするために必要な熱エネルギーを供給できる。MPCSの熱分解のための熱エネルギーは、従って、本発明による装置内、とりわけ、熱分解室の中心に位置する中央室の内側で発生する。言い換えると、中央室は本発明による装置の熱発生装置を構成している。従って、本発明による装置は、経時的に動作するために外部設備から供給され、事前に加熱された伝熱ガス流を使用することを必要としない。本発明による装置は、従って、自律的であり、あらゆるサイトに設置し、使用することができる。
【0014】
本発明による装置は伝熱ガス流を発生させるために合成ガスの一部を使用する必要がなく、前記合成ガスは中央カラムの内側の自然な自動熱力学的効果によってリサイクルされ、調整され、いかなる種類の機械的支援もなしに伝熱剤として相互作用する。従って、本発明による装置は、従来技術のシステムと比較すると、効率が改善されている。
【0015】
さらに、MPCSは、上部に位置する投入開口部から熱分解室に投入されると、処理中に重力の作用によって熱分解室内で上部から下部に移動する。熱分解ガスは、下部に位置する抽出開口部から抽出されるため、熱分解室内で、同様に、上部から下部に移動する(下降並流)。一方、中央室内の伝熱ガスの一部の酸素燃焼は中央カラム内の温度と圧力を上昇させ、熱分解室の下降流と反対方向の上昇流を生じさせる。上昇ガスは、従って、熱分解室の方向に強制的に循環させられ、前記熱分解室内に位置するMPCS内に入る。
【0016】
中央室からの高温ガスの強制的な循環及び熱分解室内に位置するMPCSの中心部への注入は、前記MPCSに熱容量を密接に伝達することができる。前記MPCSの熱分解は、加速された方法で、つまり、瞬時に達成される。
【0017】
本出願では、「乾燥炭素含有原料及び/又は乾燥炭化水素含有原料」又は「MPCS」とは、(総質量に対する)相対湿度が8%未満、好ましくは無水である乾燥炭素含有原料及び/又は乾燥炭化水素含有原料を指す。
【0018】
一つの実施形態によると、MPCSは以下を含むことができる
-植物性又は動物性バイオマス、
-水処理スラッジ、
-メタン化残渣、
-石炭、
-泥炭、
-亜炭、
-有機又は非有機の、炭素含有及び/又は炭化水素含有化学組成廃棄物、
-中古タイヤ、あるいは、
-これらの炭素質材料の任意の組み合わせ。
【0019】
本出願では、「合成ガス」とは、本質的に、つまり、排他的ではないが、COとHから構成されたガスを指す。炭素含有原料がその組成内に水素元素を保有しているかどうか、及び/又は前記原料が相対湿度を保有しているかどうかに応じて、「合成ガス」(シンガス)は程度の差こそあれHの構成割合が大きくなる。
【0020】
とりわけ、中央室は熱分解室内に配置し、熱分解室で完全に取り囲み、使用するときに前記中央室が前記熱分解室内に位置するMPCSに浸漬するようにすることができる。
【0021】
本発明による装置は、起動するために熱エネルギーの供給を必要とすることは言うまでもない。
【0022】
これを行うには、例えばトーチ等の熱源を中央室内、とりわけ、下部に配置することができる。
【0023】
起動時に、熱源は中央室の自由空間内で自然な上昇流を開始し、前記中央室の構成及び炭素含有原料内に浸漬したその状況によって定義される過圧を生じる。前記中央室内の過圧が前記MPCSの力と慣性より大きい場合、熱源から発生した熱は熱分解室に放出され、そこでMPCSに伝達される。中央室の周囲で形成される初期分解ガスは、前記中央室内の前記熱源の上昇流によって作り出される単純な熱力学的効果によって中央室の外壁に沿って上部から下部に下降する。前記熱力学的効果は、前記中央室の下部に負圧を生じ、前記初期熱分解ガスを吸引する。前記初期熱分解ガスは起動熱源と混合し、高温になり、膨張し、前記中央室内の過圧は増大し、前記熱分解室内の前記中央カラム内で下部から上部へ、前記中央カラム外で上部から下部への循環動作を加速する。自然な熱サイフォン効果が発生するが、この作用は熱分解装置が停止しない限り停止しない。
【0024】
このような熱源は、本発明による装置の動作を開始するために必要な熱エネルギーを供給するためにのみ使用することができる。初期熱分解ガスが形成され、中央カラム内に入ると、この熱源の使用は停止する。
【0025】
勿論、上述した熱源によって開始される自然な熱サイフォン効果は熱分解ガスの一部の酸素燃焼のおかげで維持され、熱源の停止後も同様である。
【0026】
特定の実施形態によれば、中央室は、その下部に、少なくとも一つの酸素注入開口部を具備した、いわゆるクラッキング室を備えることができる。
【0027】
従って、熱分解ガスの酸素燃焼はクラッキング室の中央カラムの下部で行われる。
【0028】
このクラッキング室は下部が熱分解室と、上部が中央室の残りの部分と連絡している。
【0029】
さらに、クラッキング室は好ましくは側面を密封することができる。
【0030】
非限定的な一つの実施形態によれば、中央室と熱分解室は同心とすることができる。
【0031】
さらに、中央室は熱分解室の側壁から等距離に配置することができる。
【0032】
さらに、中央室は熱分解室内の1/3~2/3の高さ、より具体的には熱分解室内の中間高さに配置することができる。
【0033】
有利には、中央室は上部と側面を閉じ、下部では熱分解室を開くことができる。
【0034】
とりわけ、中央室の上部は円錐形状又はピラミッド形状にして、中央室の周囲に位置する熱分解室内の装置内で注がれるMPCSを方向付けることができる。
【0035】
熱分解室から供給され、中央室、とりわけ、クラッキング室で酸化される熱分解ガスは、熱分解室に対して開かれた中央室の下部から前記中央室内に入る。
【0036】
中央室は、前記中央室の上部と前記中央室の側面で、前記中央室と熱分解室の間をガスのみが通過できる開口部を具備することができる。
【0037】
従って、中央室における熱分解ガスの一部の酸素燃焼から発生する熱エネルギーは、中央室の側壁と上壁を通過し、中央室から熱分解室に移動し、熱分解室のほぼ全体にわたって前記熱分解室に位置するMPCSに入ることができる。
【0038】
熱分解の開始時に始まる自然な熱サイフォン効果による中央室から熱分解室への循環は、前記クラッキング室内への酸素の流入を制御することによって加速される。これらの制御された熱力学的効果は、前記自然熱サイフォン効果の動的特性と熱分解プロセスの速度を決定付ける。
【0039】
言い換えると、熱分解ガスの一部は、設定温度によって制御される熱/圧力の制御に応じて、熱分解室と関連部分に対して開かれた前記中央室の下部で中央室に入り、この熱分解ガスの一部はクラッキング室への酸素の注入によって酸化される。酸素燃焼から発生する温度は中央室内で上昇運動を作り出し、酸素燃焼後に得られるガス流を中央室の側壁と上壁から押し出し、熱分解室内に位置するMPCSに入り込ませる。
【0040】
この反対方向の垂直循環流(上昇/下降)を伴う熱力学的運動は、(中央室とクラッキング室から構成される)中央カラムの周囲全体にわたり、「自然な熱サイフォン効果」として知られている。
【0041】
しかしながら、(原料がガス化されない限り、静的質量を形成する)断片化された固形物で満たされたゾーン内で機械的支援なしにこのような運動を実装するのは、環境と完全に共生し、相乗効果のあるシステムでなければ実現できない。
【0042】
熱分解室の中心にある中央室の配置及び前記中央室の構成のみが、このような運動の存在を可能にする。
-断片化された固形物で満たされたゾーンの中央にある垂直壁と上壁によって区切られた前記中央室の空洞、その中における全ての燃焼が自動的に上昇流を生じる。ただし、
-断片化された固形物で満たされたゾーンの中央にある垂直壁と上壁によって区切られた前記中央室の空洞、その中における全ての燃焼が自動的に燃焼ガスの体積膨張を生じる。
-垂直壁と上壁によって区切られた前記空洞内に含まれる前記燃焼ガスの体積膨張は、自動的に前記空洞の内圧の膨張を生じる。
-前記空洞を画定する前記垂直壁と上壁は、前記高温ガス圧の出口穴が開けられている。
-前記出口穴は前記高温ガスを前記熱分解室の方向に排出することができ、中央室内の上昇流を加速し、前記熱分解室との相互接続部位で前記中央室の下部に相対的な負圧を生じる。
-前記上昇流は、前記断片化された固形物の下降する重力流とは反対方向であり、前記下降流内に前記中央室が位置する。
-高温ガスは加圧されて前記断片化された固形物に相互に浸透し、それぞれの熱容量を伝達する。
【0043】
この相互作用は激しく、前記断片化された固形物に重大な熱衝撃を加える。前記MPCSはサイトの周囲温度(>15℃~30℃以上)であり、ガスは1200℃である。
熱交換は瞬時にMPCSの熱分解を発生し、同時に、前記ガスの1200℃を超える温度は、前記MPCSの炭素と前記熱分解ガスのCO及びH分子の酸化に起因するCOとHO分子及び前記熱分解室に注入される追加COとの間でレドックス反応を開始する。
前記MPCSの熱分解は、前記熱分解室内の前記中央室の周囲でガス化する炭素含有/炭化水素含有固形物の体積を90%以上減少させる。この体積の減少は、連続的な下降重力流によってMPCSを供給することにより、すぐに補充される。
その際に、前記熱分解室内の前記中央室から放出された前記ガス及びこの相互作用のときに発生した前記熱分解ガスは、前記MPCSの前記下降重力流に瞬時にさらされる。このガス集合体の下降流は、変換装置の下部で合成ガスの機械的抽出吸引によって促進される。
前記熱分解ガス(上述した相互作用のときに発生)は、ガス化されず、純粋炭素(炭又はバイオ炭)の状態に還元され、前記熱分解室の下部の灰排出グリッドに重力によって蓄積されるMPCSを通過し、前記熱分解ガス内の残留COとのレドックス反応により前記純粋炭素のガス化を完了する。
前記中央室内、より具体的には前記中央室の下部に位置するクラッキング室内の合成ガスの酸化により前記熱分解室の下部で発生する自然吸引は、この下降ガス流を利用する。
前記熱分解ガスの一部(前記出口穴から排出されたガスの体積に等しい)は、前記クラッキング室内に自然に吸引され、そこで、酸素の注入に起因するOの供給によって部分的に酸化される。
これにより、前記中央室内に上昇ガス流が供給され、前記熱分解室内で自己熱力学サイクルが再生する。
【0044】
これらの反対方向の垂直ガス流(上昇/下降)は、このようにして生成されると、MPCSの自然重力流及び変換機の下部に位置する出口における合成ガスの機械的抽出吸引の影響を全体的に受けるゾーン内の中央室の周囲全体に自己生成熱力学パワープラントを作り出し、そのおかげでMPCSの全ての粒子が高温の反応性伝熱ガスにさらされ、ガス化される。
【0045】
オプションとして、本発明による装置は熱分解室内、とりわけ、中央室の上部に、特に高温のCOガス流の導入口を少なくとも一つ具備することができる。
【0046】
このようなCOの注入は、本発明による装置から発生する合成ガス内の酸素元素と炭素元素の割合を調整することができる。
【0047】
有利には、本発明による装置は、COガス流を循環させるため、中央室と熱分解室を分離する少なくとも一つの二重壁を、とりわけ、中央室の側面に具備することができる。
【0048】
このCOガス流は、上述したように、熱分解室に一部又は全体を注入するガス流としてもよい。
【0049】
有利には、中央室の反対側で、熱分解室は、前記熱分解室の少なくとも側面部分が二重壁で区切られ、つまり、取り囲まれ、前記二重壁は、とりわけ、COガス流を循環させるために計画されており、COガス流は、上述したように、その後、熱分解室に注入することができる。
【0050】
このような二重壁は、一つには、熱分解室の熱交換を促進することにより、本発明による装置の環境の熱損失を減らすことができる。
【0051】
好ましくは、熱分解室と中央室を分離する二重壁及び熱分解室を画定する二重壁は、一つ又は複数の二重横壁によって相互に連絡してもよい。
【0052】
この場合、これらの二重横壁は熱分解室を通過する。
【0053】
本発明による装置は、少なくとも一つの二重壁にCO導入開口部を具備することができる。
【0054】
好ましくは、本発明による装置は一体型構造とすることができる。
【0055】
一体型構造及び/又は熱分解室及び/又は中央室は、円筒形としてもよい。
【0056】
さらに、熱分解室と中央室は好ましくは縦型とすることができる。
【0057】
本発明のもう一つの側面によると、乾燥炭素含有原料及び乾燥炭化水素含有原料(MPCS)から、COとHを含有し、とりわけ、これらの要素から構成された合成ガスを製造する設備が提案されており、前記設備は以下を具備する。
-本発明による変換装置、
-前記変換装置内にMPCSを導入する手段、及び、
-前記変換装置から供給される合成ガスの抽出手段。
【0058】
抽出手段は、以下の手段のうちの少なくとも1つを具備することができる。
-変換装置の抽出開口部に連結又は接続された、少なくとも1つの合成ガス吸引手段、
-前記変換装置から供給される合成ガスを冷却する、少なくとも1つの熱交換機、
-前記熱交換器から供給される合成ガスの、少なくとも1つのろ過装置。
【0059】
変換装置にMPCSを導入する手段は、ワームネジ又はその他のMPCS送込装置とすることができる。
【0060】
その他の利点と特徴は、非限定的な実施形態の詳細な説明及び以下の添付図を検討することによって明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
図1図1は、本発明による変換装置の非限定的実施例の縦断面図の概略図である。
図2図2は、図1の装置の上面図の概略図である。
図3図3は、図1の装置の横断面図の概略図である。
図4図4は、本発明による設備の非限定的実施例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
以下で説明する実施例がまったく限定的でないことは言うまでもないことである。一連の特徴が技術的利点を付与する場合、あるいは従来技術と比較して本発明を際立たせるのに十分な場合、とりわけ、説明したその他の特徴とは別に、この後で説明する一連の特徴だけを具備する本発明のバリエーションを想像することができる。この一連の特徴は、好ましくは少なくとも1つ機能的特徴を含み、構造的詳細を伴わないか、技術的利点を付与する、あるいは従来技術と比較して本発明を際立たせるのに十分な場合には、構造的詳細の一部だけを伴う。
【0063】
図では、幾つかの図に共通する要素には同じ参照番号が振られている。
【0064】
図1~3は、MPCSを合成ガスに変換する本発明による装置の非限定的実施例の略図である。
【0065】
図1は装置の縦断面図、図2は上面図、図3図1のAA線に沿った横断面図である。
【0066】
図1~3に示された変換装置100は、側壁102と下壁104から形成された縦型円筒形一体型アセンブリの形状をしている。
【0067】
装置100は、上端部にMPCS導入開口部106及び下部に合成ガス抽出開口部108を備えている。
【0068】
装置100は、さらに、変換装置100のほぼ全高にわたって延びているMPCS熱分解室110を具備している。
【0069】
熱分解室110は、その上部が、処理するMPCSを流し込むため導入開口部106の幅全体にわたって開いている。
【0070】
熱分解室110では、MPCSは重力により下降運動を行う。
【0071】
熱分解室110内で発生する合成ガスは、装置100の下部に位置する抽出開口部108から例えば吸引によって排出されるため、同じように下降運動を行う。
【0072】
熱分解室110は、装置100の中央部分では垂直軸に沿って二重壁112によって装置100の外側側壁102から分離されている。この二重壁は、COガス流を循環させて加熱するために計画されている。
【0073】
さらに、熱分解室110は、上部に、二重壁112に形成された高温のCO注入口114を具備し、加熱されたCOガス流が上部の熱分解室に投入されるようになっている。
【0074】
熱分解室110の幅は下部で減少し、前記熱分解室110の下部は漏斗を形成している。この漏斗は抽出開口部108側が開いており、この抽出開口部は漏斗の底部の上に配置されている。従って、MPCSの熱分解のときに放出されるガス化しない固形残留物は、合成ガス抽出開口部108から出ることができない。
【0075】
漏斗の下、つまり、熱分解室110の下には、ガス化しない固形残留物を排出するグリッド116と灰だめ118が設けられている。
【0076】
装置100は、さらに、縦型カラム形状をした中央室120を備えている。中央室120は、熱分解室110内に配置され、上部、下部及び側面が熱分解室によって完全に囲まれている。言い換えると、中央室120は熱分解室110内に完全に浸漬している、あるいは沈み込んでいる。
【0077】
中央室120は熱分解室110から分離されている。
【0078】
中央室120は、中央室120の周囲全体に位置する熱分解室内にMPCSを方向付けるため、キャップを形成する、あるいは円錐形状又はピラミッド形状をした単純な壁122を上部に具備している。
【0079】
中央室120は、側面で、COガス流を巡回させ、加熱するために設けられた二重壁124によって熱分解室から分離されている。この二重壁124は、二重壁124と二重壁112とを連結する横方向の管状リンク126によって二重壁112と連絡している。中央室120の二重壁124の上部から熱分解室110の二重壁112の上部及び熱分解室110の二重壁112の下部から中央室120の二重壁124の下部まで。この構成は、クラッキング室内で発生する高熱(本文で後述する条件下では温度は1200℃以上に上昇する)によって発生し、制御される「熱サイフォン効果」及び中央室120の二重壁124に内包されるCO上昇流を発生し、加熱して膨張する、この二重壁の内壁による伝導と放射による熱交換によって、このアセンブリの中でCOの自然循環を可能にする。前記COは、前記二重壁124と112の中を循環し、MPCSとの熱交換、伝導及び放射によって冷却し、熱分解室110の二重壁112の中で下降流を伝達することによって高密度化する。これらの対向流は、クラッキング室内で発生する熱分解ガスの一部の酸素燃焼によって発生し、制御される「熱サイフォン効果」によって、前記COの循環する自然な熱力学を生じる。
【0080】
壁122と124は、ガス連絡開口部128を具備していて、中央室120と熱分解室110の間でガスだけを通過させる。従って、中央室120内で発生した高温(1200℃以上)のガスは、例えば、二重側壁124又はキャップ122を横断して、熱分解室110内に移動することができる。
【0081】
中央室120は、下部に、いわゆるクラッキング室130を具備し、中央室120の下部を形成している。この部屋130は、上部が中央室120の残りの部分に対して、下部が熱分解室110に対して開いている。クラッキング室の側壁は密閉されている。
【0082】
このクラッキング室130は、下端部に、クラッキング室130の酸素注入器132を具備し、クラッキング室内に存在し、後述するように、クラッキング室130の下部の周辺を通じて熱分解室110から供給される熱分解ガスの一部を酸化するようになっている。
【0083】
クラッキング室130内の熱分解ガスの酸素燃焼は、非常に発熱性である。この発熱は、一方で、MPCSを合成ガスに変換するために装置100が必要とするエネルギーを供給する熱エネルギーを発生する。もう一方で、クラッキング室130内の発熱性酸素燃焼は、クラッキング室130と中央室120の壁によって内包されたガスが1200℃以上にも達する強力な膨張を発生する。この膨張は、中央室120内で急激な過圧を発生し、その過剰部分は出口128から高温ガスの強力な噴射として排出される。この過圧とこれらの排出流は、熱分解室120内で、熱分解室130の下降流と反対方向のガス流の上昇流を発生する。上昇流は加圧と組み合わされ、温度が1200℃を超えるガス流は壁124と122を通過して、熱分解室110の中に存在するMPCS全体に入り込むことができるようになる。これらの出口は熱力学的上昇流を促進し、加速し、熱分解室110と連動し、クラッキング室130の下部の周辺に相対的な負圧を作り出す。これにより、この熱分解ガス(COとH)の通過ゾーン内でガスを吸引し、ガスは後述する抽出システムによって吸引される下降運動を生じる。出口128によって放出されるガス相当量が前記クラッキング室130内に吸引され、これらの熱分解ガスの一部が注入器132から導入される酸素によって酸化される。前記酸素の注入は中央室120の内側の(記載されていない既知のセンサーによる)温度制御によって徹底的に制御され、クラッキング室130内に吸引された熱分解ガスの一部の酸化は(クラッキング室130の下部周辺部と熱分解室110の接続部で吸引される)前記熱分解ガス全体の温度を1200℃以上に増加し、熱力学的上昇流及び高温ガスの過圧と熱分解室110の方向への放出を作り出す。この反対方向の垂直循環流(上昇/下降)を伴う熱力学的運動は、(中央室120とクラッキング室130から構成される)中央カラムの周囲全体にわたり、「自然な熱サイフォン効果」として知られている。1200℃以上のガス集合体は、熱分解室110の全容量内のMPCSの中心部に放出され、(クラッキング室130と熱分解室110の下部周辺の接続部で吸引される)前記熱分解ガスの大部分のCOとH及び(クラッキング室130に吸引される)前記熱分解ガスの一部の酸素燃焼に起因するCOとHO分子から構成され、注入器132から供給される酸素による発熱性酸化は、所要熱分解速度に応じて、このガス集合体を1200℃以上にすることができる。熱サイフォン効果を伴う熱力学的サイクルは自発的で、恒久的であり、熱分解ガスの一部を連続的にリサイクルし、熱分解ガスは主要な伝熱剤となり、パイプ108から合成ガスとして抽出される前に、熱分解室110内に存在するMPCS全体を熱分解するために必要な熱エネルギーを供給できるようになる。(中央室110の中央部の温度によって制御される)過圧は、クラッキング室130の下にある熱分解室110の漏斗内に存在するMPCSの慣性より大きいと定義され、前記クラッキング室から供給される過熱された熱分解ガスを部分的に排出できるようにする効果がある。この熱分解ガスの一部は1200℃以上に過熱され、吸引された熱分解ガス(合成ガス抽出システムによる動的下降流)と直接相互作用し、MPCSの残留炭素(1000℃以上で、熱分解室110のこの段階では熱分解されていない)と反応し、これらの「還元」炭素及び、熱分解ガスによって運ばれるCOとHOの「酸化」分子の間で生じる酸素還元反応の補正エネルギーをもたらす。この酸化還元反応は、MPCSの前記残留炭素をガス化し、Boudouardが記述した公式C+CO⇔2CO及びC+HO⇔CO+Hに従って、前記COとHOを資源エネルギーCOとHに再変換する「吸熱」熱化学反応である。熱分解は、従って、合成ガス「シンガス」にMPCSのポテンシャルエネルギーを伝達する効率を損なう熱分解ガスを消費することなく完了する。反対に、「還元」炭素とCOの「酸化」分子の間で生じる酸化還元反応は、シンガスにCO分子(COの還元に起因する資源エネルギー)をもたらし、最終反応の吸熱を補正する。
【0084】
中央室120の二重壁124は、内面が上昇ガス流の温度(>1200℃)になる。中央室120の二重壁124のこの内壁は、前記二重壁124内を循環するCOと接触して、中央室120の熱を伝達する。前記二重壁124内を循環するCOも、前記二重壁124を通過する出口管128によって加熱される。中央室120の二重壁124の外壁は、前記二重壁124内を循環するCOによって加熱され、循環する前記COによって運ばれる熱を熱分解室110内のMPCSに伝達する。この同じCOは、上管状リンク126内を1200℃に近い温度で循環し、熱分解室110に供給されるMPCSに熱容量を伝達する。この同じCOは、温度が1000℃まで低下しながら、熱分解室110の二重壁112内を下降流として循環し、熱容量を二重壁内のMPCSに伝達する。この同じCOは、熱サイフォン効果を伴う循環サイクルで(下管状リンク126によって)中央室120の二重壁124内に戻り、そこで、前記中央室120内のガス流によって加熱され、前記ガス流は、前記ガス流によって発生した熱分解ガスの部分的酸化から発生する熱サイフォン効果を伴う独自の循環熱力学的サイクルによって循環する。これらの2つの渦巻きは垂直軸を備え、従って、自己エネルギー源が同じで、相互に依存し、それぞれの相乗的自己熱は熱分解室110内のMPCSとの均一な熱交換に役立つ。垂直方向の熱力学的渦巻きの相乗効果と永続的効果の組み合わせは、最適な熱分解に不可欠なあらゆる共生条件を作り出す。中央室から供給される過熱した熱分解ガスの過圧ジェットによる、1200℃以上の伝熱ガスによるMPCSの完全かつ密接な相互浸透。対流、伝導、放射及び熱分解ガス(CO+H)と(クラッキング室130内に吸引された前記伝熱ガスの一部の酸素燃焼に起因する)COとHOの分子から構成された伝熱剤の加圧下における相互浸透の共役から生み出される動的浸透効果(自発的自然熱力学的効果)による1200℃以上の伝熱ガスとMPCS間の瞬間的な熱力学的交換。これらの分子(MPCSを構成し、すでに熱分解された同じMPCSに起因する分子と同じ)は、1200℃以上に過熱され、前記MPCSに浸透する。同様に、静的熱交換の複合作用(1200℃~1000℃の間でCOが循環する二重壁全体のMPCSと接触する壁の伝導と放射)及び熱分解室110内の動的及び熱力学的下降流による熱分解室の壁による熱力学的交換。
【0085】
さらに、注入器132は、装置100内で熱分解を開始するために必要な熱エネルギーを供給するためのトーチとして使用することができる。あるいは、注入器132とは独立したトーチを計画してもよい。
【0086】
装置100は、さらに、二重壁全体112、124とそれぞれの管状リンク126を外部循環装置に接続し、これらの二重壁内でCOが循環できるようにするオリフィス134を具備している。
【0087】
装置100は、さらに、二重壁全体112、124とそれぞれの管状リンク126と連絡するCOガス流の生産室136を具備している。この部屋136は、合成ガスの一部又はその他のガスの導入管138を具備し、COガス流を自律的に生産することができる。
【0088】
図4は、本発明による設備の非限定的実施例の略図である。
【0089】
図4に示された設備400は、例えば、図1~3の装置100など、MPCS変換装置を実装する。
【0090】
設備400は、さらに、変換装置100のMPCS供給装置402を具備している。この供給装置402は、変換装置100の導入開口部106に連結されている。決して限定的ではないが、密閉管内に配置され、熱分解室110内で放出されるまでMPCSを輸送するワームネジ404を具備している。
【0091】
設備400は、さらに、抽出開口部108に連結された合成ガス抽出・処理装置406を具備している。この抽出・処理装置406は、以下を、次の順序で具備している。
-合成ガスの温度を低下するため抽出開口部108に連結された第1の熱交換機408、
-ガス内に存在する固体粒子を除去する第1の熱交換機408の下流側のサイクロン410、
-合成ガスの温度を50℃未満の温度に低下するサイクロン410の下流側の第2の熱交換機412、及び、
-合成ガスを吸引するモーター416を具備する機械的抽出器414。
【0092】
以下に、図1~3を参照して、変換装置100の動作の非限定的な事例を説明する。装置100を参照して説明するが、この動作は本発明によるあらゆる装置に適用することができる。
【0093】
MPCSは、熱分解室110がMPCSで一杯になり、中央室120が完全にMPCSに浸漬するまで、前記熱分解室110に投入する。この構成の場合、MPCSはグリッド116からCO注入穴114の上部の位置まで、熱分解室全体を占有する。
【0094】
起動段階では、熱エネルギーは、例えばトーチ又は酸素注入器132のおかげで中央室120に供給される。熱エネルギーの供給は、熱分解室110内で熱分解の開始まで、つまり、MPCSが200℃以上の温度になるまで行われる。MPCSが熱分解ガスに分解し始めると、熱エネルギーの供給は停止し、装置は自律的に動作できるようになる。
【0095】
機械的抽出器414の作用を受け、熱分解ガスは開口部108を通過し、熱分解室110内で下降運動によって吸引される。熱分解室110内で発生した熱分解ガスの一部は、前記クラッキング室130の下部周辺部と熱分解室110の接続部でクラッキング室130内に入る。これらの熱分解ガスは温度が1000℃以上である。
【0096】
クラッキング室130内の酸素注入は、クラッキング室130内に吸引された熱分解ガスの一部の酸素燃焼を引き起こす。この酸素燃焼は極めて発熱性であり、1200℃以上の温度を発生するため、幾つかの結果を伴う。第1に、クラッキング室130の壁及び壁128と122は加熱され、熱分解室110内で熱を放射する。これにより、熱分解室110内全体の熱分解温度が維持される。第2に、温度の上昇はクラッキング室130内に過圧を発生し、中央室120内でガスの上昇運動を強制的に発生する。この上昇運動と発生した過圧は、中央室120内に存在するガスを開口部128から中央室120の外に強制的に押し出し、熱分解室内に存在するMPCS内に入らせる。1200℃以上と極めて高温なガスの浸透は、以下を可能にする。
-一つには、熱分解室内に存在する全てのMPCSを加熱する。
-もう一つには、酸素燃焼によって発生したCOとHO化合物をMPCSと接触させる。これらの化合物は、MPCSを酸化剤として反応し、COとHを発生し、化学反応を完成し、MPCSの熱分解の効率を改善することができる。
【0097】
必要に応じて、1200℃のCOガス流を穴114から熱分解室内の上部に注入する。
【0098】
熱分解の進捗に応じて、MPCSは熱分解室内で下降運動に従う。新しいMPCSは熱分解室110の上部に投入される。
【0099】
MPCSの温度は、本発明による装置100の熱発生器を構成する中央室120からもたらされる熱エネルギーにより熱分解室内で下方向に徐々に増加する。熱分解室110の下部では、MPCSと得られる合成ガスは温度が1200℃以下である。
【0100】
得られる合成ガスは、主として、さらには排他的に、COとHから形成される。
【0101】
本発明が上記で詳述した例に限定されないことは言うまでもないことである。

図1
図2
図3
図4