(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-01
(45)【発行日】2022-11-10
(54)【発明の名称】天井走行式リフトシステム及び編成搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 1/00 20060101AFI20221102BHJP
【FI】
B65G1/00 501C
(21)【出願番号】P 2020183654
(22)【出願日】2020-11-02
【審査請求日】2020-11-02
(32)【優先日】2020-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】517224908
【氏名又は名称】盟立自動化股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100112874
【氏名又は名称】渡邊 薫
(72)【発明者】
【氏名】ハン チェンユイ
(72)【発明者】
【氏名】リン ターシュウ
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特公昭55-038306(JP,B1)
【文献】特開平07-215667(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00 - 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間に懸設されるレールと、前記レールに配置され、前記レールに沿って移動し得る編成搬送装置とを備える、前記空間に適用する、天井走行式リフトシステムであって、
前記編成搬送装置は、M個の搬送車、M-1個の連結組立体、駆動組立体、給電組立体及び少なくとも1つのクレーン組立体を含み、
M個の前記搬送車が前記レールに配置され、隣り合ういずれか2の前記搬送車が前記連結組立体により連結され、M個の前記搬送車のうち、1つの前記搬送車が能動的搬送車として定義され、M-1個の前記搬送車がそれぞれ受動的搬送車として定義され、Mは2以上の正の整数であり、
前記駆動組立体が前記能動的搬送車に配置され、前記駆動組立体は、前記能動的搬送車がM-1個の前記受動的搬送車を動かせて前記レールに沿って移動させるように前記能動的搬送車を駆動し、
前記給電組立体は、複数の前記搬送車のうちの1つの前記搬送車に配置され、前記給電組立体が前記駆動組立体に電気的に接続され、
前記クレーン組立体は、前記受動的搬送車に配置され、前記クレーン組立体は、収納位置とクレーン位置とに往復移動し得、前記クレーン組立体が前記収納位置に位置した時、前記クレーン組立体が対応的な前記受動的搬送車に固定され、前記クレーン組立体が前記クレーン位置に位置した時、前記クレーン組立体が、対応的な前記受動的搬送車から離れて前記空間内の対象物をつかむことができ、
前記レールの移動方向に沿って、M個の前記搬送車における、一つ目の前記搬送車が前記能動的搬送車であり、残りのM-1個の前記搬送車がそれぞれ前記受動的搬送車であり、
Mは3以上の正の整数であり、かつ、前記クレーン組立体の数はM-2個であり、M-2個の前記クレーン組立体がそれぞれ前記能動的搬送車と、前記能動的搬送車から一番離れる前記受動的搬送車との間のM-2個
の前記受動的搬送車に配置され、前記能動的搬送車における前記レールから離れる上面側と、前記能動的搬送車から一番離れる前記受動的搬送車における前記レールから離れる前記上面側とから、それぞれ阻止壁が下へ延在するように形成され、2つの前記阻止壁は共に衝突回避スペースを形成させ、いずれか1つの前記クレーン組立体が前記収納位置に位置したとき、前記クレーン組立体、及び前記クレーン組立体がつかんだ前記対象物は、前記衝突回避スペース内に収容される、ことを特徴とする、天井走行式リフトシステム。
【請求項2】
2つの前記阻止壁のそれぞれに衝突回避ユニットが配置され、各前記衝突回避ユニットは、前記駆動組立体に電気的に接続され、各前記衝突回避ユニットは、対応的な前記阻止壁の周りの環境情報を取得した後、前記環境情報に基づいて、移動中では、対応的な前記阻止壁が前記空間内の環境物と衝突する可能性があるかについて判断し、前記衝突回避ユニットが、対応的な前記阻止壁が前記環境物と衝突する可能性があると判断した時、前記衝突回避ユニットは、前記駆動組立体が前記能動的搬送車に対する駆動を停止するように前記駆動組立体を命じる、請求項1に記載の天井走行式リフトシステム。
【請求項3】
前記レールは、少なくとも1つの直線セクション及び少なくとも1つの湾曲セクションを有し、前記レールにおける、少なくとも1つの前記湾曲セクションの一方端に湾曲位置マークユニットが配置され、前記能動的搬送車に認識ユニットが配置され、前記認識ユニットが前記駆動組立体に電気的に接続され、前記認識ユニットは、前記湾曲位置マークユニットを認識した後、前記駆動組立体は、前記能動的搬送車が前記湾曲セクションを曲がるために駆動するように、前記駆動組立体を命じる、請求項1に記載の天井走行式リフトシステム。
【請求項4】
前記駆動組立体は少なくとも2つの能動的回転ホイールを備え、少なくとも2つの前記能動的回転ホイールが前記能動的搬送車における移動方向に関して両側に配置され、少なくとも2つの前記能動的回転ホイールは、前記レールに沿って前記能動的搬送車を動かすことができ、少なくとも2つの前記能動的回転ホイール同士は、互いの回転差によって、前記能動的搬送車が前記レールを曲がるようにする、請求項1に記載の天井走行式リフトシステム。
【請求項5】
各前記受動的搬送車は、少なくとも2つの従動的回転ホイールを有し、少なくとも2つの前記従動的回転ホイールはそれぞれ、対応的な前記受動的搬送車における移動方向に関して両側に配置され、各前記受動的搬送車の少なくとも2つの前記従動的回転ホイールは、前記レールの上面に配置され、前記駆動組立体における少なくとも2つの前記能動的回転ホイールは、前記レールの前記上面に配置される、請求項4に記載の天井走行式リフトシステム。
【請求項6】
各前記連結組立体は2つの枢着ユニットを備え、隣り合う2つの前記搬送車において、一方の前記枢着ユニットが2つの前記搬送車の上面の間に枢着され、他方の前記枢着ユニットが2つの前記搬送車の底面の間に枢着され、かつ、2つの前記枢着ユニットの位置は互いに対称している、請求項1に記載の天井走行式リフトシステム。
【請求項7】
何れか1つの前記受動的搬送車に位置した前記クレーン組立体の配置位置は、前記レールの底面よりも低い、請求項1に記載の天井走行式リフトシステム。
【請求項8】
M個の搬送車、M-1個の連結組立体、駆動組立体、給電組立体及び少なくとも1つのクレーン組立体を含むと共に、空間に懸設されるレールに配置され、前記レールに沿って移動し得る編成搬送装置であって、
M個の前記搬送車が前記レールに配置され、隣り合ういずれか2の前記搬送車が前記連結組立体により連結され、M個の前記搬送車のうち、1つの前記搬送車が能動的搬送車として定義され、M-1個の前記搬送車がそれぞれ受動的搬送車として定義され、Mは2以上の正の整数であり、
前記駆動組立体が前記能動的搬送車に配置され、前記駆動組立体は、前記能動的搬送車がM-1個の前記受動的搬送車を動かせて前記レールに沿って移動させるように前記能動的搬送車を駆動し、
前記給電組立体は、複数の前記搬送車のうちの1つの前記搬送車に配置され、前記給電組立体が前記駆動組立体に電気的に接続され、
前記クレーン組立体は、複数の前記受動的搬送車のうちの1つの前記受動的搬送車に配置され、前記クレーン組立体は、収納位置とクレーン位置とに往復移動し得、前記クレーン組立体が前記収納位置に位置した時、前記クレーン組立体が対応的な前記受動的搬送車に固定され、前記クレーン組立体が前記クレーン位置に位置した時、前記クレーン組立体が、対応的な前記受動的搬送車から離れて前記空間内の対象物をつかむことができ、
前記レールに沿って、M個の前記搬送車における一つ目の前記搬送車が前記能動的搬送車であり、残りのM-1個の前記搬送車がそれぞれ前記受動的搬送車であり、
Mは3以上の正の整数であり、かつ、前記クレーン組立体の数はM-2個であり、M-2個の前記クレーン組立体がそれぞれ前記能動的搬送車と、前記能動的搬送車から一番離れる前記受動的搬送車との間のM-2個
の前記受動的搬送車に配置され、前記能動的搬送車における前記レールから離れる上面側と、前記能動的搬送車から一番離れる前記受動的搬送車における前記レールから離れる前記上面側とから、それぞれ阻止壁が下へ延在するように形成され、2つの前記阻止壁は共に衝突回避スペースを形成させ、いずれか1つの前記クレーン組立体が前記収納位置に位置したとき、前記クレーン組立体、及び前記クレーン組立体がつかんだ前記対象物は、前記衝突回避スペース内に収容される、ことを特徴とする、編成搬送装置。
【請求項9】
2つの前記阻止壁のそれぞれに衝突回避ユニットが配置され、各前記衝突回避ユニットは、前記駆動組立体に電気的に接続され、各前記衝突回避ユニットは、対応的な前記阻止壁の周りの環境情報を取得した後、前記環境情報に基づいて、移動中では、対応的な前記阻止壁が前記空間内の環境物と衝突する可能性があるかについて判断し、前記衝突回避ユニットが、対応的な前記阻止壁が前記環境物と衝突する可能性があると判断した時、前記衝突回避ユニットは、前記駆動組立体が前記能動的搬送車に対する駆動を停止するように前記駆動組立体を命じる、請求項8に記載の編成搬送装置。
【請求項10】
前記駆動組立体は少なくとも2つの能動的回転ホイールを備え、少なくとも2つの前記能動的回転ホイールが前記能動的搬送車における移動方向に関して両側に配置され、少なくとも2つの前記能動的回転ホイールは、前記レールに沿って前記能動的搬送車を動かすことができ、少なくとも2つの前記能動的回転ホイール同士は、互いの回転差によって、前記能動的搬送車が前記レールを曲がるようにする、請求項9に記載の編成搬送装置。
【請求項11】
各前記受動的搬送車は、少なくとも2つの従動的回転ホイールを有し、少なくとも2つの前記従動的回転ホイールはそれぞれ、対応的な前記受動的搬送車における移動方向に関して両側に配置され、各前記受動的搬送車の少なくとも2つの前記従動的回転ホイールは、前記レールの上面に配置され、前記駆動組立体における少なくとも2つの前記能動的回転ホイールは、前記レールの前記上面に配置される、請求項10に記載の編成搬送装置。
【請求項12】
各前記連結組立体は2つの枢着ユニットを備え、隣り合う2つの前記搬送車において、一方の前記枢着ユニットが2つの前記搬送車の上面の間に枢着され、他方の前記枢着ユニットが2つの前記搬送車の底面の間に枢着され、かつ、2つの前記枢着ユニットの位置は互いに対称している、請求項8に記載の編成搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は搬送システム及び搬送装置に関し、特に、天井走行式リフトシステム及び編成搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、商品を効率的に管理し、輸送時間を短縮するために、ほとんどの工場では輸送システムを導入することになっている。具体的には、従来の搬送システムは、レールと搬送装置からなり、前記レールは工場内の天井に取り付けられ、前記搬送装置は前記レール上に配置され、前記搬送装置は前記レールに沿って移動して搬送を行うことができる。
【0003】
しかしながら、従来の搬送システムの前記搬送装置は、移動・クレーンの目的を達成するために、電源、駆動装置、クレーン部材等の構成要素を同一搬送車に搭載するような構造設計となっているが、この設計では、前記搬送装置全体の大きさ、特に高さが大きくなりすぎてしまうという問題があった。
【0004】
搬送装置と工場内の床との最短距離が床上の機器に影響を与えないようにするため、また、安全規制を遵守するために、工場を改造したり、工場を吹きぬけのものに変更したりすることで解決することが多く、それは、コストがかかるだけでなく、工場の一時的な閉鎖にもつながってしまう。
【0005】
従って、本発明者は、上記の欠陥を改善できると考え、微妙な検討を重ね、科学的原理を応用して、上記の欠陥を効果的に改善できる合理的な本発明の設計を思いついた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする技術的手段は、既存技術の不足に対して、既存の搬送システムの改善を効果的にし得る、天井走行式リフトシステム及び編成搬送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る実施形態は、空間に適用する天井走行式リフトシステムを開示する。前記天井走行式リフトシステムは、前記空間に懸設されるレールと、前記レールに配置される編成搬送装置とを含む。前記編成搬送装置は前記レールに沿って移動し得る。前記編成搬送装置は、M個の搬送車、M-1個の連結組立体、駆動組立体、給電組立体、及び少なく1つのクレーン組立体を含む。M個の前記搬送車は前記レールに配置される。隣り合ういずれか2の前記搬送車の間に前記連結組立体が配置される。M個の前記搬送車のうち、1つの前記搬送車は能動的搬送車として定義され、M-1個の前記搬送車がそれぞれ受動的搬送車として定義される。なかでも、Mは2以上の正の整数である。駆動組立体,は、前記能動的搬送車に配置され、前記駆動組立体は、前記能動的搬送車がM-1個の前記受動的搬送車を牽引し(または押送する)前記レールに沿って移動させるように前記能動的搬送車を駆動する。給電組立体は、前記複数の搬送車のうちの1つ前記搬送車に配置され、前記給電組立体が前記駆動組立体に電気的に接続される。少なく1つのクレーン組立体は、前記複数の受動的搬送車のうちの1つ前記受動的搬送車に配置され、少なく1つの前記クレーン組立体は、収納位置とクレーン位置とに往復移動し得る。少なく1つの前記クレーン組立体が前記収納位置に位置した時、少なく1つの前記クレーン組立体は、対応的な前記受動的搬送車に固定される。少なく1つの前記クレーン組立体が前記クレーン位置に位置したとき、少なく1つの前記クレーン組立体は、対応的な前記受動的搬送車から離れて前記空間内の対象物をつかむことができる。
【0008】
本発明に係る実施形態はさらに、空間に懸設するレールに適用する編成搬送装置を開示する。前記編成搬送装置は前記レールに沿って移動し得る。前記編成搬送装置は、M個の搬送車、M-1個の連結組立体、駆動組立体、給電組立体及び少なく1つの前記クレーン組立体を含む。M個の前記搬送車は前記レールに配置され、隣り合ういずれか2の前記搬送車の間に前記連結組立体が配置される。M個の前記搬送車のうち、1つの前記搬送車が能動的搬送車として定義され、M-1個の前記搬送車がそれぞれ受動的搬送車として定義される。なかでも、Mは2以上の正の整数である。駆動組立体は、前記能動的搬送車に配置され、前記駆動組立体は、前記能動的搬送車がM-1個の前記受動的搬送車を牽引し(または押送する)前記レールに沿って移動させるように、前記能動的搬送車を駆動する。給電組立体は、複数の前記搬送車のうちの1つの前記搬送車に配置され、前記給電組立体は前記駆動組立体に電気的に接続される。少なく1つのクレーン組立体は、複数の前記受動的搬送車のうちの1つの前記受動的搬送車に配置され、少なく1つの前記クレーン組立体は、収納位置とクレーン位置とに往復移動し得る。少なく1つの前記クレーン組立体が前記収納位置に位置したとき、少なく1つの前記クレーン組立体は、対応的な前記受動的搬送車に固定される。少なく1つの前記クレーン組立体が前記クレーン位置に位置した時、少なく1つの前記クレーン組立体は、対応的な前記受動的搬送車から離れて前記空間内の対象物をつかむことができる。
【発明の効果】
【0009】
上記を纏めて、本発明に係る実施形態が開示する天井走行式リフトシステム及び編成搬送装置では、前記編成搬送装置における複数の前記搬送車はそれぞれ、前記駆動組立体、前記給電組立体、及び少なく1つの前記クレーン組立体を別々に備えることにより、前記駆動組立体が配置された前記搬送車(前記能動的搬送車)は、他の前記搬送車(前記受動的搬送車)を牽引し(または押送する)前記レールに沿って移動させることができるため、前記天井走行式リフトシステムの全高を大幅に減少することができる。したがって、使用者は、既存の空間(例えば工場)を変更することなく、安全規制に適合し、かつ、地上設備に影響を与えることなく、移動・クレーンの目的を前記空間に実現する前記天井走行式リフトシステムを設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1本発明に係る第1の実施形態の天井走行式リフトシステムを示す斜視模式図である。
【
図2】本発明に係る第1の実施形態の天井走行式リフトシステムの別の視角を示す斜視模式図である。
【
図3】本発明に係る第1の実施形態の天井走行式リフトシステムが天井に配置された状態を示す模式図である。
【
図4】本発明に係る第1の実施形態の天井走行式リフトシステムのクレーン組立体が収納位置にあった時の状態を示す模式図である。
【
図5】本発明に係る第1の実施形態の天井走行式リフトシステムのクレーン組立体がクレーン位置に位置した時の状態を示す模式図である。
【
図6】本発明に係る第1の実施形態の天井走行式リフトシステムを示す上面模式図である。
【
図7】本発明に係る第1の実施形態の天井走行式リフトシステムにおける編成搬送装置が曲がる時の状態を示す上面模式図である。
【
図8】本発明に係る第2の実施形態の天井走行式リフトシステムを示す側面模式図である。
【
図9】本発明に係る第2の実施形態の天井走行式リフトシステムにおける編成搬送装置が曲がる時の状態を示す上面模式図である。
【
図10】本発明に係る第3の実施形態の天井走行式リフトシステムを示す側面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の特徴及び技術内容がより一層分かるように、以下本発明に関する詳細な説明と添付図面を参照する。しかし、提供される添付図面は参考と説明のために提供するものに過ぎず、本発明の特許請求の範囲を制限するためのものではない。
【0012】
下記より、具体的な実施例で本発明が開示する「天井走行式リフトシステム及び編成搬送装置」に係る実施形態を説明する。当業者は本明細書の公開内容により本発明のメリット及び効果を理解し得る。本発明は他の異なる実施形態により実行又は応用できる。本明細書における各細節も様々な観点又は応用に基づいて、本発明の精神逸脱しない限りに、均等の変形と変更を行うことができる。また、本発明の図面は簡単で模式的に説明するためのものであり、実際的な寸法を示すものではない。以下の実施形態において、さらに本発明に係る技術事項を説明するが、公開された内容は本発明を限定するものではない。
【0013】
なお、本明細書において「第1」、「第2」、「第3」等の用語で各種の部品又は信号を説明する可能性があるが、これらの部品又は信号はこれらの用語によって制限されるものではない。これらの用語は、主として一つの部品と別の部品、又は一つの信号と別の信号を区分するためのものであることが理解されたい。また、本明細書に用いられる「又は」という用語は、実際の状況に応じて、関連する項目中の何れか一つ又は複数の組合せを含み得る。
【0014】
本発明は、天井走行式リフトシステム100を開示する。
図1乃至
図10は、本発明の技術的思想を基にする複数の実施形態である。まず、以下は本発明の技術的思想を説明する。前記天井走行式リフトシステム100は、レール1及び編成搬送装置2を含む。前記天井走行式リフトシステム100は、前記レール1を介してある空間(例えば、工場、倉庫など)に懸設され、前記編成搬送装置2は、前記レール1を移動し得る。言い換えれば、空間内に懸設される形ではないいずれの搬送システムでは、本発明における天井走行式リフトシステム100ではないと言ってもよい。
【0015】
なお、上記レール1及び編成搬送装置2は、本実施形態において、共に前記天井走行式リフトシステム100として定義されるが、本発明はこれに制限されないことを説明しておきたい。例えば、編成搬送装置2は個別に利用(例えば、販売)されてもよいが、他の周辺と組み合わせて利用されてもよい。次は、前記天井走行式リフトシステム100の各要素の構造をそれぞれ説明しながら、前記天井走行式リフトシステム100の要素互いの連接関係を適時に説明する。
【0016】
前記レール1は、前記空間に懸設される。前記編成搬送装置2は前記レール1に配置される。前記編成搬送装置2は前記レール1に沿って移動し得る。前記編成搬送装置2は、M個の搬送車21、M-1個の連結組立体22、駆動組立体23、給電組立体24、及び少なく1つのクレーン組立体25を含む。なかでも、Mは2以上の正の整数である。
【0017】
M個の前記搬送車21は、前記レール1に配置され、隣り合ういずれか2の前記搬送車21は前記連結組立体22により連結されている。M個の前記搬送車21のうち、1つの前記搬送車21が能動的搬送車21Aとして定義され、M-1個の前記搬送車21のそれぞれが、受動的搬送車21Bとして定義される。前記レール1の移動方向を沿えば、M個の前記搬送車21における一つ目の前記搬送車21が、前記能動的搬送車21Aであり、残りのM-1個の前記搬送車21はそれぞれ前記受動的搬送車21Bである。
【0018】
前記駆動組立体23は前記能動的搬送車21Aに配置される。前記駆動組立体23は、前記能動的搬送車21AがM-1個の前記受動的搬送車21Bを前記レール1に沿って移動させるように、前記能動的搬送車21Aを駆動する。前記給電組立体24は、複数の前記搬送車21のうちの1つの前記搬送車21に配置され、前記給電組立体24が前記駆動組立体23に電気的に接続される。即ち、前記給電組立体24は、前記能動的搬送車21Aに配置されるか、又は何れか1つの前記受動的搬送車21B上に配置されるか、ここでは制限されない。
【0019】
少なく1つの前記クレーン組立体25は、複数の前記受動的搬送車21Bのうちの1つの前記受動的搬送車21Bに配置され、少なく1つの前記クレーン組立体25は、収納位置LA(例えば、
図4に示すように)とクレーン位置LB(例えば、
図5に示すように)とに往復移動し得る。少なく1つの前記クレーン組立体25が前記収納位置LAに位置したとき、少なく1つの前記クレーン組立体25は、対応的な前記受動的搬送車21Bに固定される。少なく1つの前記クレーン組立体25が前記クレーン位置LBに位置してとき、少なく1つの前記クレーン組立体25は、対応的な前記受動的搬送車21Bから離れて前記空間内の対象物Gをつかむことができる。
【0020】
上記発明の思想に基づいて、本発明は複数の実施形態に変化できる。例えば、Mが2である場合、前記編成搬送装置2は、1つの前記能動的搬送車21Aと1つの前記受動的搬送車21Bを含む。なお、Mが3である場合、前記編成搬送装置2は、1つの前記能動的搬送車21A及び2つの前記受動的搬送車21Bを含むことになる。以下は、実行できる3つの実施形態を例として説明する。
[第1の実施形態]
【0021】
図1乃至
図7に示すように、本発明に係る第1の実施形態は、レール1、及び前記レール1に配置される編成搬送装置2を含む天井走行式リフトシステム100を提供する。前記レール1は、前記空間に、天井Wに懸設されるために用いあれる。詳しくは、
図3に示すように、前記レール1は、複数の固定部3により、前記天井Wに懸吊される。前記レール1と前記天井Wとの間に所定高さWAが設けられる。なお、説明の便宜上、複数の前記固定部3は
図3のみで示すことは説明しておきたい。
【0022】
再び
図1乃至
図3を参照する。前記レール1は、少なく1つの直線セクション11及び少なく1つの湾曲セクション12を含む。少なく1つの前記湾曲セクション12の一方端に湾曲位置マークユニット121が配置される。具体的に、前記レール1は、本実施形態において、2つの前記直線セクション11と1つの前記湾曲セクション12を有し、前記直線セクション11は、実施形態では、複数の位置マークユニット111が配置され、かつ、前記湾曲セクション12の両端部のそれぞれには、1つの前記湾曲位置マークユニット121が配置される。複数の前記位置マークユニット111及び2つの前記湾曲位置マークユニット121は、本実施形態では、表示用ホルダーであってもよいが、本発明は本実施形態の例に制限されない。例えば、複数の前記位置マークユニット111及び2つの前記湾曲位置マークユニット121としては、表示用ラベルであってもよい。
【0023】
図1、
図4及び
図6を一緒に参照されたい。前記編成搬送装置2は、前記レール1に配置され、前記編成搬送装置2は、前記レール1に沿って移動し得る。具体的に、前記編成搬送装置2が前記レール1に配置された時、前記編成搬送装置2における上にある部分は、前記所定高さWA内に(例えば、
図3に示すように)抑えられ、前記編成搬送装置2における下にある部分は、前記レール1の下方に位置する。前記編成搬送装置2は、本実施形態において、2つの搬送車21、1つの連結組立体22、駆動組立体23、給電組立体24、及びクレーン組立体25を含む。即ち、Mは、本実施形態では2である。
【0024】
2つの前記搬送車21は、前記連結組立体22により連結され、前記連結組立体22は、本実施形態では、2つの枢着ユニット221を備え、2つの前記枢着ユニット221は、本実施形態では、それぞれ枢着柱及び枢着棒で構成される。かつ、一方の前記枢着ユニット221は、2つの前記搬送車21の上面の間に枢着され、他方の前記枢着ユニット221は、2つの前記搬送車21の底面の間に枢着されると共に、2つの前記枢着ユニット221の位置は実質的に対称となるが、本発明は、本実施形態の例に制限されない。例えば、前記連結組立体22は、単一の前記枢着ユニット221のみで構成されてもよい。
【0025】
さらに、前記搬送車21のうちの一方は、能動的搬送車21Aとして定義され、前記搬送車21のうちの他方は、受動的搬送車21Bとして定義され、前記能動的搬送車21Aは、前記受動的搬送車21Bが前記レール1に沿って移動するように前記受動的搬送車21Bを牽引し(または押送)移動させることができる。即ち、前記レール1の移動方向を沿えば、2つの前記搬送車21における一つ目の前記搬送車21が前記能動的搬送車21Aであり、二つ目の前記搬送車21が前記受動的搬送車21Bであるようになっている。
【0026】
前記能動的搬送車21Aは、本実施形態では、前記駆動組立体23、前記給電組立体24、及び認識ユニット26を備える。前記駆動組立体23は、本実施形態では、少なくとも2つの能動的回転ホイール231、及び駆動モーター(図示しない)を備え、前記駆動モーターは、前記能動的搬送車21Aに配置され、少なくとも2つの前記能動的回転ホイール231は、前記能動的搬送車21Aの移動方向に関して両側に、前記レール1の上面に配置される。前記駆動モーターは、前記レール1に沿って前記能動的搬送車21Aが少なくとも2つの前記能動的回転ホイール231に連動して移動するように、少なくとも2つの前記能動的回転ホイール231を駆動し得る。その移動は、例えば、前記レール1に沿って前進または後退する。
【0027】
前記給電組立体24は、本実施形態では、バッテリーであり、前記給電組立体24が前記駆動組立体23に電気的に接続され、前記駆動組立体23における前記駆動モーターに給電し得る。そのように、前記能動的搬送車21Aは、前記受動的搬送車21Bを牽引(または押送)し前記レール1に沿って移動し得るが、本発明は本実施形態の例に制限されない。例えば、本発明は、図示しない別の実施形態において、前記給電組立体24は集電舟であってもよい。前記駆動組立体23は、集電舟から電力を得ることができる。
【0028】
再び
図1及び
図2を参照されたい。前記認識ユニット26は、前記駆動組立体23に電気的に接続される。前記認識ユニット26は、前記レール1における複数の前記位置マークユニット111及び2つの前記湾曲位置マークユニット121を認識することができる。詳しくは、前記能動的搬送車21Aが前記レール1を移動する時、前記認識ユニット26は、複数の前記位置マークユニット111を認識することにより、前記能動的搬送車21Aの現在位置を確認するようになる。前記認識ユニット26が前記湾曲位置マークユニット121を認識したとき、前記認識ユニット26は、前記駆動組立体23の前記駆動モーターに命令を与えることにより、少なくとも2つの前記能動的回転ホイール231同士は互いの回転差によって、前記能動的搬送車21Aが前記受動的搬送車21Bを牽引し前記レール1の前記湾曲セクション12に沿って曲がるように前記能動的搬送車21Aを駆動する(例えば、
図6及び
図7に示すように)。
【0029】
前記受動的搬送車21Bには、本実施形態において、前記クレーン組立体25及び少なくとも2つの従動的回転ホイール28が配置される。具体的に、少なくとも2つの前記従動的回転ホイール28はそれぞれ対応的な前記受動的搬送車21Bにおける移動方向に関して両側に、前記レール1の上面に配置される。前記受動的搬送車21Bは少なくとも2つの前記従動的回転ホイール28によって動かせる。
【0030】
図4に示すように、前記クレーン組立体25は前記受動的搬送車21Bにおける前記レール1の上面から離れる側面に配置される。前記クレーン組立体25の配置位置は、前記レール1の底面よりも低い。即ち、前記クレーン組立体25が前記収納位置LAにあった時、前記クレーン組立体25は、前記受動的搬送車21Bに固定されると共に、前記レール1の下方側に位置する。
図5に示すように、前記クレーン組立体25が前記クレーン位置LBに位置する時、前記クレーン組立体25は、対応的な前記受動的搬送車21Bから離れて、前記空間内の前記対象物Gをつかむことができる。なお、前記クレーン組立体25は、爪や籠に制限されず、物を取ることができる構成であればよい。
[第2の実施形態]
【0031】
図8及び
図9は、本発明に係る第2の実施形態である。本実施形態は、基本的に上記第1の実施形態と同様であるため、両実施形態の同じところの説明は省略する。なお、本実施形態と上記第1の実施形態の主な相違点は、Mは、本実施形態では、3以上の正の整数であり、かつ、少なく1つの前記クレーン組立体25の数は、M-2個であり、M-2個の前記クレーン組立体25はそれぞれ前記能動的搬送車21Aと、前記能動的搬送車21Aから一番離れる前記受動的搬送車の間のM-2個前記受動的搬送車21Bに配置される。説明の便宜上、以下はMが3である場合について説明する。
【0032】
前記編成搬送装置2は、本実施形態では、3つの搬送車21、2つの連結組立体22、駆動組立体23、給電組立体24、及びクレーン組立体25を含む。前記レールの移動方向に沿えば、3つの前記搬送車21における一つ目の前記搬送車21が前記能動的搬送車21Aであり、二つ目の前記搬送車21及び三つ目の前記搬送車21が順序に第1の受動的搬送車21B1及び第2の受動的搬送車21B2として定義される。前記能動的搬送車21Aに前記駆動組立体23が配置され、前記第1の受動的搬送車21B1に前記クレーン組立体25が配置され、前記第2の受動的搬送車21B2に前記給電組立体24が配置される。
【0033】
さらに、
図8に示すように、前記能動的搬送車21Aにおける前記レール1から離れる前記上面側と、前記第2の受動的搬送車21B2における前記レール1から離れる前記上面側とは、それぞれ阻止壁27が下へ延在するように形成される。2つの前記阻止壁27は共に衝突回避スペースSPとして形成される。即ち、前記能動的搬送車21A、及び前記能動的搬送車21Aから一番離れる前記受動的搬送車21Bはそれぞれ、前記阻止壁27を備える。前記クレーン組立体25が前記収納位置LAに位置した時、前記クレーン組立体25と、前記クレーン組立体25につかまれた前記対象物Gとは、前記衝突回避スペースSP内に収容される。
【0034】
好ましくは、2つの前記阻止壁27のそれぞれに、さらに衝突回避ユニット271が配置される。前記衝突回避ユニット271のそれぞれは、前記駆動組立体23に電気的に接続される。前記衝突回避ユニット271のそれぞれは、本実施形態において、画像認識装置を含んで、対応的な前記阻止壁27の周辺の環境情報を取得した後、前記環境情報に基づいて、対応的な前記阻止壁27が前記空間にある環境物(図示しない)と衝突するかについて判断するものであるが、本発明は、本実施形態の例に制限されない。例えば、前記衝突回避ユニット271のそれぞれは、赤外線環境センサー装置又はレーダーセンサー装置等であってもよい。前記衝突回避ユニット271の一方が、対応的な前記阻止壁27が前記環境物と衝突する可能性があると判断した時、前記衝突回避ユニット271は、前記駆動組立体23による前記能動的搬送車21Aの駆動を停止することを命じる。即ち、前記編成搬送装置2は、2つの前記阻止壁27及び2つの前記衝突回避ユニット271によって、前記クレーン組立体25及び前記対象物Gが前記環境物との衝突から避けて、それゆえの損害から避けることもできる。
【0035】
何れか1つの前記連結組立体22における2つの前記枢着ユニット221は、隣り合う2つの前記搬送車21の上面及び底面に配置され、かつ、2つの前記枢着ユニット221の位置は互いに対称することにより、3つの前記搬送車21は互いに連結される。
[第3の実施形態]
【0036】
図10を参照されたい。
図10は、本発明に係る第3の実施形態を示している。本実施形態は、基本的に上記第2の実施形態と同様であるため、両実施形態の同じところの説明については省略されている。なお、本実施形態と上記第2の実施形態との主な相違点は、Mが本実施形態において4である点である。
【0037】
即ち、前記編成搬送装置2は、本実施形態において、4つの搬送車21、3つの連結組立体22、駆動組立体23、給電組立体24、及び2つのクレーン組立体25を含む。4つの前記搬送車21は、前記レールの移動方向を沿えば、一つ目の前記搬送車21が前記能動的搬送車21Aであり、二つ目の前記搬送車21、三つ目の前記搬送車21、さらに四つ目の前記搬送車21は、順序に第1の受動的搬送車21B1、第2の受動的搬送車21B2、及び第3の受動的搬送車21B3として定義される。前記能動的搬送車21Aに前記駆動組立体23が配置され、前記第1の受動的搬送車21B1及び前記第2の受動的搬送車21B2に前記クレーン組立体25が配置され、前記第3の受動的搬送車21B3に、前記給電組立体24が配置される。前記能動的搬送車21A及び前記第3の受動的搬送車21B3のそれぞれに前記阻止壁27及び前記衝突回避ユニット271が配置される。
【0038】
上記第1の実施形態乃至第3の実施形態から見れば、本発明に係る前記天井走行式リフトシステム100及び前記編成搬送装置2は、デザイナーの要望に応じて前記編成搬送装置2の搬送車21の数、位置、配置形式、及び搬送車21に配置される素子を変更できることが看取できる。例えば、本発明に係る図示しない別の実施形態において、前記編成搬送装置2は5つの搬送車21を備え、前記レール1の移動方向を沿えば、一つ目の前記搬送車21が前記能動的搬送車21Aであると共に前記阻止壁27が配置されており、二つ目の前記搬送車21に前記阻止壁27が配置されて、三つ目の前記搬送車21に一方の前記クレーン組立体25が配置されて、四つ目の前記搬送車21に他方の前記クレーン組立体25が配置される。
[本発明に係る実施形態による技術的効果]
【0039】
上記を纏めて、本発明に係る実施形態が開示した天井走行式リフトシステム100及び編成搬送装置2では、前記編成搬送装置2における複数の前記搬送車21に、前記駆動組立体23、前記給電組立体24、及び少なく1つの前記クレーン組立体25が散在されることにより、前記駆動組立体23が配置された前記搬送車21(前記能動的搬送車21A)は、他の前記搬送車21(前記受動的搬送車21B)が前記レール1に沿って移動するように、他の前記搬送車21を動かせることにより、前記天井走行式リフトシステム100の全高を大幅に下げることができる。それにより、使用者は、既存の空間(例えば工場)を変更することなく、安全規制に適合し、かつ、地上設備に影響を与えることなく、移動・クレーンの目的を前記空間に実現する前記天井走行式リフトシステムを設置することができる。
【0040】
以上に開示される内容は本発明の好ましい実施可能な実施例に過ぎず、これにより本発明の特許請求の範囲を制限するものではないので、本発明の明細書及び添付図面の内容に基づき為された等価の技術変形は、全て本発明の特許請求の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0041】
100: 天井走行式リフトシステム
1:レール
11:直線セクション
111:位置マークユニット
12:湾曲セクション
121:湾曲位置マークユニット
2:編成搬送装置
21:搬送車
21A:能動的搬送車
21B:受動的搬送車
21B1:第1の受動的搬送車
21B2:第2の受動的搬送車
21B3:第3の受動的搬送車
22:連結組立体
221:枢着ユニット
23:駆動組立体
231:能動的回転ホイール
24:給電組立体
25:クレーン組立体
26:認識ユニット
27:阻止壁
271:衝突回避ユニット
28:従動的回転ホイール
3:固定部
LA:収納位置
LB:クレーン位置
SP:衝突回避スペース
W:天井
WA:所定高さ
G:対象物