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特許7169343クイッククランプ装置、工作機械、及び、工作機械システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-01
(45)【発行日】2022-11-10
(54)【発明の名称】クイッククランプ装置、工作機械、及び、工作機械システム
(51)【国際特許分類】
   B24B 45/00 20060101AFI20221102BHJP
   B25F 5/00 20060101ALI20221102BHJP
   B24B 23/02 20060101ALI20221102BHJP
   B23B 31/02 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
B24B45/00 Z
B25F5/00 G
B24B23/02
B23B31/02 601A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020507559
(86)(22)【出願日】2018-07-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-29
(86)【国際出願番号】 EP2018070750
(87)【国際公開番号】W WO2019030058
(87)【国際公開日】2019-02-14
【審査請求日】2020-02-10
(31)【優先権主張番号】102017214118.2
(32)【優先日】2017-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】ジンツィッヒ・ブルーノ
(72)【発明者】
【氏名】ザルブラッグ・アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】シュラー・マルクス
(72)【発明者】
【氏名】リュシャー・ブルーノ
【審査官】小川 真
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0108725(US,A1)
【文献】特表2016-529119(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0110908(US,A1)
【文献】特開昭50-008177(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 45/00
B24D 5/16、7/16
B25F 5/00
B24B 23/02
B23B 31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インサート工具ユニット(18a~o)を従動シャフト(12a~o)に工具を使わずに固定するためにクランプ部材(20a,20a’;20b;20c;20d;20e,20e’;20f,20f’;20g;20h;20i,20i’;20j,20j’;20k,20k’;20l;20m;20n;20o)がクランプ位置にあるときインサート工具ユニット(18a~o)に対してクランプ力を作用するために可動に支承された少なくとも1つのクランプ部材(20a,20a’;20b;20c;20d;20e,20e’;20f,20f’;20g;20h;20i,20i’;20j,20j’;20k,20k’;20l;20m;20n;20o)を有する少なくとも1つのクランプユニット(16a~o)を有する、回転駆動可能な従動シャフト(12a~o)を有する持運び可能な工作機械(14a)のためのクイッククランプ装置において、
前記クランプ部材(20a,20a’;20b;20c;20d;20e,20e’;20f,20f’;20g;20h;20i,20i’;20j,20j’;20k,20k’;20l;20m;20n;20o)は、インサート工具ユニット(18a~o)を固定するためにインサート工具ユニット(18a~o)の少なくとも1つの部分領域に形状接合式に係合するために意図される、前記従動シャフト(12a~o)の回転軸(22a~o)に対して横向きに可動の形状接合部材によって構成され、
前記クランプ部材は、前記従動シャフトの回転軸に対して垂直に延びる回転軸を中心として回転可能に支承された揺動レバーによって構成され、
前記従動シャフトの回転軸と前記揺動レバーの回転軸とは、互いに離間しており、
前記クランプ部材(20b;20c;20d;20g)のクランプ位置へ、および/または、インサート工具ユニット(18b;18c;18d;18g)を前記クランプユニット(16b;16c;16d;16g)から取外し可能であるリリース位置へ前記クランプ部材(20b;20c;20d;20g)を動かすための少なくとも1つの操作ユニット(24b;24c;24d;24g)を有し、
前記クランプ部材(20b;20c;20d;20g)は、少なくとも1つの第1の偏心的な力導入点(28b;28c;28d;28g)を有していて、これに対して少なくとも1つの動作状態のときに前記クランプ部材(20b;20c;20d;20g)をクランプ位置へ回転させるためにばね力が作用し、
前記操作ユニット(24b;24c;24d;24g)は、前記クランプ部材(20b;20c;20d;20g)をリリース位置へ回転させるために、前記第1の偏心的な力導入点(28b;28c;28d;28g)から間隔をおく第2の偏心的な力導入点(30b;30c;30d;30g)に対して作用するために意図される
ことを特徴とするクイッククランプ装置。
【請求項2】
記操作ユニット(24e;24n;24o)は、少なくとも1つの前記クランプ部材(20e,20e’;20n;20o)を少なくとも1つの動作状態のとき直接的に、前記従動シャフト(12e;12n;12o)の回転軸(22e;22n;22o)に対して少なくとも実質的に垂直に力で付勢するために意図される少なくとも1つのばね部材(32e;32e’;34n;34o)を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のクイッククランプ装置。
【請求項3】
前記クランプユニット(16f)は、少なくとも1つの前記クランプ部材(20f,20f’)をクランプ位置へ動かすために意図される少なくとも1つのばね部材(32f)と、ばね部材(32f)の力を前記従動シャフト(12f)の回転軸(22f)に対して少なくとも実質的に垂直に向く方向へ方向転換させるために意図される少なくとも1つの方向転換部材(36f)と、を有する
ことを特徴とする請求項1または2に記載のクイッククランプ装置。
【請求項4】
前記工作機械(14a)は、アンギュラ研削機である
ことを特徴とする請求項1からまでのいずれか1項に記載のクイッククランプ装置。
【請求項5】
前記従動シャフト(12a~o)と、請求項1からまでのいずれか1項に記載のクイッククランプ装置(10a~o)と、を有している工作機械。
【請求項6】
請求項に記載の少なくとも1つの工作機械(14a)と、前記インサート工具ユニット(18a~o)と、を含んでいる工作機械システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
特許文献1より、インサート工具ユニットを従動シャフトに工具を使わずに固定するためにクランプ部材がクランプ位置にあるときインサート工具ユニットに対してクランプ力作用をするために可動に支承された少なくとも1つのクランプ部材を有する少なくとも1つのクランプユニットと、クランプ部材のクランプ位置へ、ならびに/またはインサート工具ユニットをクランプユニットおよび/もしくは従動シャフトから取外し可能であるリリース位置へクランプ部材を動かすための少なくとも1つの操作ユニットとを有する、回転駆動可能な少なくとも1つの従動シャフトを有する持運び可能な工作機械のための、特にアンギュラ研削機のためのクイッククランプ装置がすでに公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【文献】独国特許出願公開第10017458号明細書
【発明の概要】
【0003】
本発明は、インサート工具ユニットを従動シャフトに工具を使わずに固定するためにクランプ部材がクランプ位置にあるときインサート工具ユニットに対してクランプ力作用をするために可動に支承された少なくとも1つのクランプ部材を有する少なくとも1つのクランプユニットを有する、回転駆動可能な少なくとも1つの従動シャフトを有する持運び可能な工作機械のための、特にアンギュラ研削機のためのクイッククランプ装置を前提とする。
【0004】
クランプ部材は、インサート工具ユニットを固定するためにインサート工具ユニットの少なくとも1つの部分領域に形状接合式に後方係合するために意図される、従動シャフトの回転軸に対して横向きに可動の形状接合部材によって構成されることが提案される。クランプユニットは、インサート工具ユニットを固定するために、従動シャフトの回転軸に対して少なくとも部分的に径方向に向くクランプ部材の少なくとも1つの部分区域の運動によって、インサート工具ユニットに形状接合式に後方係合するために意図されるのが好ましい。さらにクイッククランプ装置は、インサート工具ユニットへ駆動力を伝達するために、従動シャフトの回転軸に対して軸方向で間隔をおく少なくとも1つのトルク伝達領域を有する少なくとも1つの連行デバイスを有するのが好ましい。可動に支承されたクランプ部材は、クランプ部材がクランプ位置にあるとき、インサート工具ユニットに対して直接的にクランプ力作用をするために配置されるのが好ましい。クランプ力はクイッククランプ装置によって、たとえばばね部材によって、特に自動的に印加されるのが特別に好ましい。クランプ部材は動作状態のとき、操作者の介入がなければクランプ位置にあるのが特別に好ましい。クランプ部材は、特に操作者の介入によって、リリース位置へと移すことができる。クランプ部材は少なくとも部分的に従動シャフトの中に配置されるのが好ましい。従動シャフトは特に中空スピンドルによって構成される。従動シャフトは、従動シャフトの回転軸を中心として延びる円周方向に沿って、クランプ部材を少なくとも部分的に、特に全面的に取り囲むのが好ましい。クランプ部材は従動シャフトと回転不能に結合されるのが好ましい。クランプ部材は、クランプ部材の旋回軸を中心として旋回可能に支承されるのが好ましい。クランプ部材の旋回軸は従動シャフトの回転軸に対して横向きに、特に少なくとも実質的に垂直に延びるのが好ましい。クランプ部材の旋回軸は、クランプユニットのクランプ軸に対して少なくとも実質的に垂直に延びるのが好ましい。「クランプ軸」とは、ここでは特にクランプユニットの軸であって、これに沿ってインサート工具ユニットに対するクランプユニットの軸方向の固定力を従動シャフトへのインサート工具ユニットの固定のために及ぼすことが可能であるもの、および/またはこれに沿ってクランプユニットの伝達部材がクランプ部材の運動のために可動に支承されるものを意味するものとする。「少なくとも実質的に垂直に」とは、ここでは特に基準方向に対して相対的な方向のアライメントを定義するものとし、この方向と基準方向が特に1つの平面で見て90°の角度をなし、この角度は特に8°よりも小さい、好ましくは5°よりも小さい、特別に好ましくは2°よりも小さい最大の差異を有する。クランプ部材はクランプジョーとして構成されるのが好ましい。クランプ部材は、インサート工具ユニットを従動シャフトに軸方向で固定するために意図されるのが好ましい。クランプ部材は少なくともクランプ位置にあるとき、少なくとも部分的にインサート工具ユニットに、特にインサート工具ユニットの固定切欠きに係合するのが好ましい。クランプ部材は、少なくともインサート工具ユニットがクランプユニットにより固定された状態にあるとき、インサート工具ユニットのクランプ延長部に後方係合するのが好ましい。
【0005】
「意図される」とは、特に特別にプログラミングされ、設計され、および/または装備されることを意味するものとする。ある部材および/またはユニットが特定の機能のために意図されるとは、特に、その部材および/またはユニットがその特定の機能を少なくとも1つの使用状態および/または動作状態のときに遂行および/または実行することを意味するものとする。「可動に支承される」とは、特に、ある部材および/またはユニットの支承を意味するものとし、その部材および/またはユニットは、特に部材および/またはユニットの弾性変形とは別個に、運動軸に沿って5mm超、好ましくは10mm超、特別に好ましくは50mm超の運動可能性、および/または運動軸を中心として1°超、好ましくは5°超、特別に好ましくは15°超の角度領域に沿った運動可能性を有する。「従動シャフトの回転軸に対して横向きに可動の形状接合部材」とは、ここでの関連では特に、少なくとも1つの動作状態のときに、特にクランプ位置にあるときに、形状接合を成立させるために意図されるクランプ部材を意味するものとする。形状接合部材はその運動余裕の範囲内で、従動シャフトの回転軸に対して径方向に延びる少なくとも1つの運動成分を有するのが好ましい。「形状接合式に後方係合する」とは、ここでの関連では特に、クランプ部材の少なくとも1つの部分区域がインサート工具ユニットの少なくとも1つの部分領域に、従動シャフトの回転軸の軸方向で後方係合することを意味するものとする。後方係合された状態にあるとき、従動シャフトの回転軸の軸方向から力の流れに沿って見たとき、クランプ部材の部分区域がインサート工具の部分領域によって少なくとも部分的に隠れるのが好ましい。
【0006】
クイッククランプ装置の本発明に基づく実施形態により、特に、好ましく確実かつ簡易に成立させることができるインサート工具ユニットの固定を実現することができる。特に、インサート工具ユニットの信頼度の高い形状接合式の固定を軸方向で実現することができる。それにより、高い操作快適性を実現できるという利点がある。特に、好ましく快適かつ確実な工具なしでのインサート工具ユニットの固定を実現できるという利点がある。
【0007】
さらにクイッククランプ装置は、クランプ部材のクランプ位置へ、および/またはインサート工具ユニットをクランプユニットから取外し可能であるリリース位置へクランプ部材を動かすための少なくとも1つの操作ユニットと、操作ユニットによりクランプ部材に対して作用する力の力増強のために意図される、操作ユニットと連結された少なくとも1つの力変換ユニットとを有することが提案される。クランプ部材は、少なくとも操作部材と、操作ユニットと、クランプ部材との間の機械的な結合により、クランプ位置および/またはリリース位置へと操作ユニットによって可動であるのが好ましい。操作部材は操作レバーとして、特に旋回可能に支承された操作レバーとして、操作ボタンとして、および/または操作引張レバーとして構成されるのが好ましい。しかしながら原則として、当業者に有意義と思われるそれ以外の操作部材の実施形態も考えられる。操作ユニットの操作部材によって電気信号を生成可能であり、この電気信号によって、クランプ部材をクランプ位置および/またはリリース位置へと動かすために意図されるアクチュエータを制御可能であることも考えられる。操作ユニットは、操作者の操作コマンドおよび/または操作者の操作力によってクランプ部材をクランプ位置および/またはリリース位置へ動かすために意図される、機械式、電気式、および/または電子式の操作ユニットとして構成されていてよい。力変換ユニットは、特に、操作ユニットによりクランプ部材に対して作用する力を変換によって、および/または特にたとえば押圧シリンダのような追加の力補助部材によって、力増幅するために意図される。操作ユニットの操作部材の運動が、クランプ部材へ伝達されるときに変換されるのが好ましい。操作部材の長い運動が、短い、それに伴っていっそう強いクランプ部材の運動へと変換されるのが好ましい。このとき力変換ユニットは、当業者に有意義と思われるさまざまな方式で具体化することができる。それにより、特に好ましく高い操作快適性を実現することができる。特に、少ない力コストでもクランプユニットの操作を実現することができる。
【0008】
さらにクランプ部材は、従動シャフトの回転軸に対して垂直に延びる回転軸を中心として回転可能に支承された揺動レバーによって構成されることが提案される。クランプ部材は位置固定された回転軸を有していて、これを中心としてクランプ部材が少なくとも制限された角度領域内で回転可能なように支承されるのが好ましい。クランプ部材は、2つのリミットストッパの間で制限される定義された角度領域内で回転可能なように支承されるのが好ましい。クランプ部材は、特に、クランプ位置とリリース位置との間での切換のために揺動するために意図される。クランプ部材は揺動レバーの少なくとも1つの端部に、インサート工具ユニットに直接的に後方係合するために意図される形状接合延長部を有するのが好ましい。このとき特に、従動シャフトがさらに同じく固定的な形状接合延長部を有し、これにインサート工具ユニットを挿通しなければならないことも考えられる。それによって特に、クランプ部材の好ましい実施形態を提供することができる。特に、モーメントを好ましく印加することができるクランプ部材を提供することができる。
【0009】
さらにクランプ部材は、少なくとも1つの第1の偏心的な力導入点を有していて、これに対して少なくとも1つの動作状態のときに、クランプ部材をクランプ位置へ回転させるためにばね力が作用することが提案される。第1の偏心的な力導入点は、クランプ部材の回転軸に対して偏心的であるのが好ましい。第1の偏心的な力導入点は、クランプ部材の回転軸に対して偏心的なだけでなく、従動軸の回転軸に対しても偏心的であるのが好ましい。第1の偏心的な力導入点は、特に、従動シャフトの軸方向で見たときにクランプ部材の回転軸に対して偏心的である。さらに、力導入点への力導入が偏心的に行われるのが特別に好ましい。力導入は、特に、従動シャフトの回転軸に対して平行に行われる。すなわち特に、力導入点に対して作用する力の力ベクトルは、クランプ部材の回転軸とも従動シャフトの回転軸とも交わらない。クランプ部材は第1の偏心的な力導入点で力導入がなされたときに偏心性によって、特にクランプ位置を形成するストッパまで回転するのが好ましい。
【0010】
さらにクイッククランプ装置は、クランプ部材のクランプ位置へ、および/またはインサート工具ユニットをクランプユニットから取外し可能であるリリース位置へクランプ部材を動かすための少なくとも1つの操作ユニットを有し、操作ユニットはクランプ部材をリリース位置へ回転させるために、第1の偏心的な力導入点から間隔をおく第2の偏心的な力導入点に対して作用するために意図されることが提案される。第2の偏心的な力導入点は、第1の偏心的な力導入点に向かい合うクランプ部材の回転軸の側に配置されるのが好ましい。第2の偏心的な力導入点は、第1の偏心的な力導入点に対して反対を向く方向へクランプ部材を回転させるために配置されるのが好ましい。第2の偏心的な力導入点は、クランプ部材の回転軸に対して偏心的であるのが好ましい。第2の偏心的な力導入点は、クランプ部材の回転軸に対して偏心的なだけでなく、従動シャフトの回転軸に対しても偏心的であるのが好ましい。第2の偏心的な力導入点は、特に、従動シャフトの軸方向で見たときにクランプ部材の回転軸に対して偏心的である。さらに、力導入点への力導入が偏心的に行われるのが特別に好ましい。力導入は、特に、従動シャフトの回転軸に対して平行に行われる。クランプ部材は第2の偏心的な力導入点で力導入がなされたとき偏心性によって、特にリリース位置を形成するストッパまで回転するのが好ましい。
【0011】
さらにクランプユニットは、少なくとも1つのクランプ部材を少なくとも1つの動作状態のとき直接的に、従動シャフトの回転軸に対して少なくとも実質的に垂直に、力で付勢するために意図される少なくとも1つのばね部材を有することが提案される。少なくとも1つのばね部材は、従動シャフトの回転軸に対して垂直にばね力を作用するために意図されるのが好ましい。「ばね部材」とは特に、通常の動作状態のとき少なくとも10%だけ、特に少なくとも20%だけ、好ましくは少なくとも30%だけ、特別に好ましくは少なくとも50%だけ弾性的に可変である少なくとも1つの伸長を有し、特に、伸長の変化に依存する、好ましくは当該変化と比例する、当該変化と反対方向に作用する反力を生成する巨視的な部材を意味するものとする。ある部材の「伸長」とは、特に、1つの平面に対する当該部材の垂直方向の投影の2つの点の最大の間隔を意味するものとする。「巨視的な部材」とは、特に、少なくとも1mm、特に少なくとも5mm、好ましくは少なくとも10mmの伸長を有する部材を意味するものとする。それによって特に、クランプ部材の直接的な揺動をばね部材によって実現できるという利点がある。それにより、特にばね力を低く施工することができるという利点がある。
【0012】
さらにクランプユニットは、少なくとも1つのクランプ部材をクランプ位置へと動かすために意図され、ばね部材の力を従動シャフトの回転軸に対して少なくとも実質的に垂直に向く方向へ方向転換させるために意図される少なくとも1つの方向転換部材を有する、少なくとも1つのばね部材を有することが提案される。少なくとも1つのばね部材は、従動シャフトの回転軸に対して平行にばね力を作用させるために意図されるのが好ましく、方向転換部材は、ばね部材の力を90°だけ方向転換させるために意図される。方向転換部材による方向転換は、たとえば方向転換部材の楔形の区域によって具体化することができる。方向転換部材は、三角形の断面を有するリングによって構成されるのが好ましい。ばね部材は、方向転換部材に対して軸方向でばね力を作用させるために意図されるのが好ましく、方向転換部材はその結果として生じるクランプ部材の軸方向運動に基づいて径方向へ押除けられて、従動シャフトの回転軸に対して少なくとも実質的に垂直にたわむ。それによって特に、径方向に少ない設計スペースのときでも、クランプ部材に対する好ましい力作用を実現することができる。特に、好ましい力方向転換を具体化することができる。それによって後方係合を具体化できるという利点がある。
【0013】
さらにクランプユニットは、少なくとも1つのクランプ部材をクランプ位置へ動かすために意図される少なくとも1つの第1のばね部材と、少なくとも1つのクランプ部材をリリース位置へ動かすために意図される、第1のばね部材に比べて弱い少なくとも1つの第2のばね部材とを有することが提案される。第2のばね部材の少なくとも1つの有効ばね力は、第1のばね部材の有効ばね力よりも大幅に小さいのが好ましい。第2のばね部材は、第1のばね部材による負荷がないときにクランプ部材をリリース位置へ動かすために意図されるのが好ましい。それによって特に、操作者がたとえばばね部材を引き戻すことによって第1のばね部材による負荷を取り除くとただちに、クランプ部材が自動的にリリース位置へ動くことを実現することができる。それによって特に好ましい力効果を実現し、特に第1のばね部材が軸方向にアライメントされる場合に、クイッククランプ装置のリリースを実現することができ、それは特に、クランプ部材をリリースのために回転軸に対して横向きに少なくとも部分的にたわませなければならないからである。
【0014】
さらにクランプ部材は、インサート工具ユニットが形状接合式に収容されるとき、従動シャフトの回転軸に対して少なくとも実質的に垂直にたわむために意図される、少なくとも1つのばね弾性的な部分区域を有することが提案される。ばね弾性的な部分区域は、インサート工具が形状接合式に収容されるとき、従動シャフトの回転軸に対して少なくとも実質的に垂直に、回転軸から離れるように向く方向へとたわむために意図されるのが好ましい。ばね弾性的な部分区域は、インサート工具ユニットがリリースされるとき、従動シャフトの回転軸に対して少なくとも実質的に垂直に、回転軸のほうを向く方向にたわむために意図されるのが好ましい。クランプ部材は、特に、少なくとも2つの長尺状の延長部を有するクリップ状に構成されるのが好ましい。クランプ部材は少なくとも部分的にU字型に構成されるのが好ましく、両方の自由端がそれぞればね弾性的な部分区域を介して底面と結合される。それによって特に、好ましく確実なインサート工具ユニットの固定を提供することができる。特に、インサート工具ユニットの固定のために必要な力の少なくとも一部を、クランプ部材そのものによって印加することができる。それにより、たとえばコンポーネントの個数や設計スペースを少なく抑えることができるという利点がある。
【0015】
さらにクランプユニットは、クランプ部材の少なくとも1つの部分領域を軸方向の位置に依存して別様に従動シャフトの回転軸に対して垂直にたわませるために意図される少なくとも1つの突合せ斜面を有することが提案される。突合せ斜面は、特に、従動シャフトのスピンドルカップおよび/またはクランプ部材に配置されるのが好ましい。突合せ斜面は、特に、クランプ部材と従動シャフトの間で作用するために意図される。特に突合せ斜面は、クランプ部材と従動シャフトの間の接触面を形成する。このとき突合せ斜面は、特に、従動シャフトの回転軸に対して傾いている。突合せ斜面は従動シャフトの回転軸に対する傾きをその過程で変化させることができるのが好ましい。それによって特に、クランプ部材の正確な案内を実現できるという利点がある。特に、クランプ部材の好ましく正確な位置決めを軸方向の位置に依存して実現することができる。
【0016】
さらにクランプ部材は、従動シャフトの回転軸に対して垂直に延びる回転軸を中心として回転可能に支承された揺動レバーによって構成されることが提案され、クランプ部材は1つの端部をもって、クランプ部材の回転軸に対して相対的に可動に支承されたゲートの中で案内される。ゲートは、クランプ部材の回転軸に対して相対的に軸方向へ可動に案内されるのが好ましい。このゲートは、特にクランプ位置からリリース位置への、およびまたはこれと逆のクイッククランプ装置の位置調節のために、クランプ部材の回転軸に対して相対的に軸方向へ動くのが好ましい。クランプ部材は、クランプ部材の回転軸に対して相対的に軸方向へゲートが動くときに、回転軸を中心として旋回するのが特別に好ましい。クランプ部材は1つの端部をもって直接的にも間接的にも、たとえばゲートの表面および/もしくは内部で案内されるレバーを介して、ならびに/またはゲートの表面および/もしくは内部で案内されるロールを介して、ゲートの中で案内されるのが好ましい。
【0017】
さらに本発明は、回転駆動可能な従動シャフトとクイッククランプ装置とを有する工作機械、特にアンギュラ研削機を前提とする。
【0018】
さらに本発明は、クイッククランプ装置を有する工作機械と、クイッククランプ装置に収容可能なインサート工具ユニットとを含む工作機械システムを前提とする。
【0019】
本発明によるクイッククランプ装置、工作機械、および工作機械システムは、上に説明した用途や実施形態だけに限定されるものではない。特に、本発明によるクイッククランプ装置、工作機械、および工作機械システムは、ここに記載されている機能形態を果たすために、ここに挙げている個数とは異なる個数の個々の部材、コンポーネント、およびユニットを有することができる。
【0020】
その他の利点は以下の図面の説明から明らかとなる。図面には本発明の15通りの実施例が示されている。図面、発明の詳細な説明、および特許請求の範囲は、数多くの構成要件を組み合わせの形で含んでいる。当業者はこれらの構成要件を目的に即して単独でも着目し、有意義な別の組み合わせにまとめる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明によるクイッククランプ装置を有する本発明による持運び可能な工作機械を示す模式図である。
図2】本発明による持運び可能な工作機械および本発明によるクイッククランプ装置をクランプ位置の模式的な断面図で示す部分図である。
図3】代替的な本発明による持運び可能な工作機械および代替的な本発明によるクイッククランプ装置をクランプ位置の模式的な断面図で示す部分図である。
図4】別の代替的な本発明による持運び可能な工作機械および代替的な本発明によるクイッククランプ装置をクランプ位置の模式的な断面図で示す部分図である。
図5】別の代替的な本発明による持運び可能な工作機械および代替的な本発明によるクイッククランプ装置をクランプ位置の模式的な断面図で示す部分図である。
図6】別の代替的な本発明による持運び可能な工作機械および代替的な本発明によるクイッククランプ装置をクランプ位置の模式的な断面図で示す部分図である。
図7】別の代替的な本発明による持運び可能な工作機械および代替的な本発明によるクイッククランプ装置をクランプ位置の模式的な断面図で示す部分図である。
図8】別の代替的な本発明による持運び可能な工作機械および代替的な本発明によるクイッククランプ装置をクランプ位置の模式的な断面図で示す部分図である。
図9】別の代替的な本発明による持運び可能な工作機械および代替的な本発明によるクイッククランプ装置をクランプ位置の模式的な断面図で示す部分図である。
図10】別の代替的な本発明による持運び可能な工作機械および代替的な本発明によるクイッククランプ装置をクランプ位置の模式的な断面図で示す部分図である。
図11】別の代替的な本発明による持運び可能な工作機械および代替的な本発明によるクイッククランプ装置をクランプ位置の模式的な断面図で示す部分図である。
図12】別の代替的な本発明による持運び可能な工作機械および代替的な本発明によるクイッククランプ装置をクランプ位置の模式的な断面図で示す部分図である。
図13】別の代替的な本発明による持運び可能な工作機械および代替的な本発明によるクイッククランプ装置を模式的な断面図で示す部分図である。
図14】別の代替的な本発明による持運び可能な工作機械および代替的な本発明によるクイッククランプ装置をリリース位置の模式的な断面図で示す部分図である。
図15】別の代替的な本発明による持運び可能な工作機械および代替的な本発明によるクイッククランプ装置をクランプ位置の模式的な断面図で示す部分図である。
図16】別の代替的な本発明による持運び可能な工作機械および代替的な本発明によるクイッククランプ装置をクランプ位置の模式的な断面図で示す部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、クイッククランプ装置10aを有する、アンギュラ研削機として構成された持運び可能な工作機械14aを示す。しかしながら持運び可能な工作機械14aが、当業者に有意義と思われるその他の構成、たとえば丸鋸機、研削機などとしての構成を有することも考えられる。持運び可能な工作機械14aは、持運び可能な工作機械14aの伝動装置ユニット46aを受容および/または支承するための伝動装置ハウジング44aを含んでいる。伝動装置ハウジング44aは金属材料から形成されるのが好ましい。しかしながら伝動装置ハウジング44aが、当業者に有意義と思われるその他の素材、たとえばプラスチックなどから形成されることも考えられる。伝動装置ユニット46aは、特にアンギュラトランスミッションとして構成される。伝動装置ユニット46aは、特に回転駆動可能な従動シャフト12aを含んでいて、これにインサート工具ユニット18aを、特にクイッククランプ装置10aによって固定可能である。工作機械14aは回転駆動可能な従動シャフト12aを有している。従動シャフト12aは中空スピンドルとして構成されるのが好ましく、その中にクイッククランプ装置10aが少なくとも部分的に配置される(図2)。伝動装置ハウジング44aには、当業者にすでに周知の仕方で、ここには詳しくは図示しない保護フードユニットを配置可能である。伝動装置ハウジング44aには、当業者にすでに周知の仕方で、ここには詳しくは図示しない追加ハンドグリップを配置可能である。持運び可能な工作機械14aは、持運び可能な工作機械14aの駆動ユニット50aを受容および/または支承するためのモータハウジング48aを含んでいる。駆動ユニット50aは、当業者にすでに周知の仕方で、伝動装置ユニット46aとの協同作用によって従動シャフト12aを、従動シャフト12aの回転軸22aを中心として回転駆動するために意図されるのが好ましい。従動シャフト12aの回転軸22aは、駆動ユニット50aの駆動軸52aに対して少なくとも実質的に垂直に延びている。駆動ユニット50aは電気モータユニットとして構成されるのが好ましい。しかしながら駆動ユニット50aが、当業者に有意義と思われるその他の構成、たとえば内燃機関駆動ユニット、ハイブリッド駆動ユニット、空気圧駆動ユニットなどとしての構成を有することも考えられる。工作機械14a、クイッククランプ装置10a、およびクイッククランプ装置10aで受容可能なインサート工具ユニット18aが1つの工作機械システムを形成する。
【0023】
図2は、特に伝動装置ハウジング44aの領域における持運び可能な工作機械14aと、クイッククランプ装置10aとの断面図を示している。回転駆動可能な従動シャフト12aを有する持運び可能な工作機械14aのためのクイッククランプ装置10aは、従動シャフト12aへインサート工具ユニット18aを工具を使わずに固定するために、クランプ部材20a,20a’がクランプ位置にあるときにインサート工具ユニット18aに対してクランプ力作用をするために可動に支承された少なくとも1つのクランプ部材20a,20a’を有する、少なくとも1つのクランプユニット16aを含んでいる。さらにクイッククランプ装置10aは、クランプ部材20a,20a’のクランプ位置へ、ならびに/またはインサート工具ユニット18aをクランプユニット16aおよび/もしくは従動シャフト12aから取外し可能であるリリース位置へ、少なくとも1つのクランプ部材20a,20a’を動かすための少なくとも1つの操作ユニット24aを含んでいる。クランプユニット16aは、可動に支承された少なくとも2つのクランプ部材20a,20a’を含んでいる。しかしながら、クランプユニット16aが2つとは相違する個数のクランプ部材20a,20a’を含むことも考えられる。2つのクランプ部材20a,20a’は少なくとも実質的に同様の構成を有しているので、クランプ部材20a,20a’のうちの1つに関して開示される構成要件は、他のクランプ部材20a,20a’についても同じく開示されているものとみなされる。2つのクランプ部材20a,20a’は旋回可能に支承されている。2つのクランプ部材20a,20a’の回転軸26aは、従動シャフト12aの回転軸22aに対して少なくとも実質的に垂直に延びている。クランプ部材20a,20a’の回転軸26aは旋回軸によって形成される。2つのクランプ部材20a,20a’は、インサート工具ユニット18aを、クランプユニット16aおよび/または従動シャフト12aに配置された状態のときに、特に2つのクランプ部材20a,20a’がクランプ位置にあるときに、従動シャフト12aに軸方向で固定するために意図される。2つのクランプ部材20a,20a’は、従動シャフト12aと回転不能に結合されている。クランプ部材20a,20a’の回転軸26aは、従動シャフト12aと固定的に結合されている。2つのクランプ部材20a,20a’は、従動シャフト12aとともに回転軸22aを中心として回転するように駆動可能である。
【0024】
クランプ部材20a,20a’は、従動シャフト12aの回転軸22aに対して横向きに可動の形状接合部材によってそれぞれ構成されている。さらにクランプ部材20a,20a’は、インサート工具ユニット18aを固定するために、インサート工具ユニット18aの少なくとも1つの部分領域に形状接合式に後方係合するために意図される。クランプユニット16aはインサート工具ユニット18aの固定のために、クランプ部材20a,20a’のそれぞれ少なくとも1つの部分区域の、従動シャフト12aの回転軸22aに対して少なくとも部分的に径方向を向く運動によって、インサート工具ユニット18aに形状接合式に後方係合するために意図される。このとき可動に支承されるクランプ部材20a,20a’は、クランプ部材20a,20a’がクランプ位置にあるとき、インサート工具ユニット18aに対して直接的にクランプ力作用をするために意図される。このクランプ力はクイッククランプ装置10aによって、たとえばばね部材32aによって、特に自動的に印加される。
【0025】
クランプユニット16aは、インサート工具ユニット18aへのトルク伝達のために、少なくとも1つの回転連行部材54aを含んでいる。回転連行部材54aは、インサート工具ユニット18aがクランプユニット16aおよび/または従動シャフト12aに配置された状態のとき、インサート工具ユニット18aの受容切欠き(ここには詳しくは図示せず)に係合するとともに、受容切欠きを区切るインサート工具ユニット18aの少なくとも1つの縁部にトルク伝達のために当接する。従動シャフト12aと、クランプユニット16aおよび/または従動シャフト12aに配置されたインサート工具ユニット18aとの間のトルク伝達は、当業者にすでに周知となっている仕方で、回転連行部材54aとインサート工具ユニット18aの間の形状接合式の結合によって行われるのが好ましい。回転連行部材54aは従動シャフト12aに回転不能に配置されている。回転連行部材54aは従動シャフト12aとともに、回転軸22aを中心として回転するように駆動可能である。クランプユニット16aはインサート工具ユニット18aへのトルク伝達のために、複数の回転連行部材54aを含むのが好ましい。
【0026】
操作ユニット24aは、2つのクランプ部材20a,20a’を、クランプユニット16aおよび/または従動シャフト12aからインサート工具ユニット18aを取外し可能であるリリース位置へと少なくとも動かすために意図されるのが好ましい。その代替または追加として操作ユニット24aは、2つのクランプ部材20a,20a’を、クランプユニット16aによって従動シャフト12aにインサート工具ユニット18aを固定可能であるクランプ位置へと少なくとも動かすために意図されることが考えられる。操作ユニット24aは、操作者によって操作可能である操作部材56aを含んでいる。操作部材56aは操作レバーとして構成されている。しかしながら原則として、当業者に有意義と思われるその他の操作部材56aの構成、たとえば押しボタンおよび/または引張レバーとしての構成も考えられる。操作部材56aは、従動シャフト12aの回転軸22aに対して横向きに、特に少なくとも実質的に垂直に延びる、詳しくは見ることができない運動軸、特に旋回軸を含んでいる。操作部材56aはこの運動軸、特に旋回軸を中心として旋回可能に支承されるのが好ましい。操作部材56aは従動シャフト12aの回転運動からは切り離されている。操作部材56aは、操作ユニット24aの作動部材58aを作動させるための偏心区域を含んでいる。作動部材58aは回転軸22aに沿って並進的に可動なように、特に従動シャフト12aおよび/または伝動装置ハウジング44aに支承されている。作動部材58aは、特に、軸方向の運動を可能にするとともに回転運動を阻止する、作動部材58aの少なくとも1つの側方の平坦部の結果として、伝動装置ハウジング44aに対して相対的に回転しないように伝動装置ハウジング44aに固定される。作動部材58aは、作動部材58aの互いに反対を向く2つの側に、それぞれ少なくとも1つの平坦部を有するのが好ましい。しかしながら作動部材58aが、伝動装置ハウジング44aに対して相対的に回転しないように作動部材58aを固定するために意図される、当業者に有意義と思われるその他の構成、たとえば多角形の断面、噛合部などを有することも考えられる。作動部材58aの領域には、特に伝動装置ハウジング44aおよび/またはクランプユニット16aの中への汚れの侵入を少なくともほぼ回避するために、たとえばゴムシールなどのシール部材が配置されるのが好ましい。シール部材は作動部材58aに当接するのが好ましい。作動部材58aは、特にシール部材に対して相対的に可動に支承される。作動部材58aは、シール部材に対して相対的に動くとき、シール部材の少なくとも1つの封止面に沿って摺動する。
【0027】
従動シャフト12aの回転運動中には、クランプ位置を起点としてリリース位置へとクランプ部材20a,20a’を移行させるための、操作ユニット24aによる操作力の作用の結果としての作動部材58aの運動を、ほぼ阻止可能である。従動シャフト12aの回転数が小さいときには、または従動シャフト12aの停止状態のときには、作動部材58aからクランプ部材20a,20a’に対して作用する軸方向力を伝達可能である。そのために作動部材58aとクランプ部材20a,20a’の間に、伝達部材60aが配置されている。伝達部材60aは従動シャフト12aの内部で、限られた範囲内で軸方向に案内される。伝達部材60aは作動部材58aと連結されている。さらに作動部材58aはばね部材32aにより、クランプ位置に割り当てられた上側の位置へと押圧される。伝達部材60aは操作ユニット24aにより、特に作動部材58aのスライドにより、ばね部材32aのばね力に抗して可動である。伝達部材60aは、クランプ部材20a,20a’をクランプ位置を起点としてリリース位置へ動かすために意図される。操作ユニット24aはクランプユニット16aと連結されている。クランプ部材20a,20a’は、操作ユニット24aによってリリース位置へと可動である。
【0028】
クランプ部材20a,20a’は可動なように、特に旋回可能なように、従動シャフト12aに支承されている。クランプ部材20a,20a’は、クランプユニット16aのゲート係合部材66aと協同作用するために意図される、少なくとも1つの運動ゲート部材64aを有している。ゲート係合部材66aは伝達部材60aに固定されている。ゲート係合部材66aは、特に伝達部材60aの2つのフォーク状端部の間で伝達部材60aに固定されたボルトとして構成される。ゲート係合部材66aと運動ゲート部材64aの協同作用の結果として、クランプ部材20a,20a’はクランプ位置を起点としてリリース位置へと可動であり、またはリリース位置からクランプ位置へと可動である。クランプ部材20a,20a’は、特に伝達部材60aに対するばね部材32aのばね力の作用によって、リリース位置を起点としてクランプ位置へと可動である。クランプ部材20a,20aは自動的に、特に操作ユニット24aを介しての操作力の作用が消滅した後に、ばね部材32aのばね力の作用の結果としてクランプ位置へと可動である。
【0029】
クイッククランプ装置10aは、操作ユニット24aからクランプ部材20a,20a’に作用する力を力増幅するために意図される、操作ユニット24aと連結された力変換ユニット68aを有している。力変換ユニット68aは、詳しくは見えていないたとえば押圧シリンダなどの追加の力補助部材によって、操作ユニット24aからクランプ部材20a,20a’に作用する力を力増幅するために意図される。力変換ユニット68aの詳しくは見えていない力補助部材は、作動部材58aと伝達部材60aの間につながれる。しかしながら原則として、当業者に有意義と思われる力転換ユニット68aの力補助部材のその他の配置も考えられる。
【0030】
図3図16には、本発明の別の14通りの実施例が示されている。以下の説明と図面は、基本的に、それぞれの実施例の間の相違点だけに限定し、同じ名称のコンポーネントに関しては、特に同じ符号をもつコンポーネントに関しては、原則として他の実施例の、特に図1および図2の、図面および/または説明も参酌することができる。各実施例を区別するために、図1および図2の実施例の符号にはアルファベットaが後置されている。図3図16の実施例では、このアルファベットaがアルファベットb~oで置き換えられている。
【0031】
図3は、特に伝動装置ハウジングの領域における持運び可能な工作機械14bと、クイッククランプ装置10bとの断面図を示している。回転駆動可能な従動シャフト12bを有する持運び可能な工作機械14bのためのクイッククランプ装置10bは、インサート工具ユニット18bを従動シャフト12bへ工具を使わずに固定するために、クランプ部材20bがクランプ位置にあるときにインサート工具ユニット18bに対してクランプ力作用をするために可動に支承された少なくとも1つのクランプ部材20bを有する、少なくとも1つのクランプユニット16bを含んでいる。さらにクイッククランプ装置10bは、少なくとも1つのクランプ部材20bをクランプ部材20bのクランプ位置へ、ならびに/またはインサート工具ユニット18bをクランプユニット16bおよび/もしくは従動シャフト12bから取外し可能であるリリース位置へ動かすための少なくとも1つの操作ユニット24bを含んでいる。
【0032】
クランプ部材20bは旋回可能に支承されている。クランプ部材20bの回転軸26bは、従動シャフト12bの回転軸22bに対して少なくとも実質的に垂直に延びている。クランプ部材20bは、従動シャフト12bの回転軸22bに対して垂直に延びる回転軸26bを中心として回転可能に支承された揺動レバーによって構成されている。クランプ部材20bは、クランプユニット16bおよび/または従動シャフト12bに配置された状態にあるインサート工具ユニット18bを軸方向で従動シャフト12bに固定するために、特にクランプ部材20bのクランプ位置で固定するために意図される。クランプ部材20bは従動シャフト12bと結合されている。クランプ部材20bの回転軸26bは、従動シャフト12bと固定的に結合されている。クランプ部材20bは従動シャフト12bとともに、回転軸22bを中心として回転駆動可能である。
【0033】
クランプ部材20bは、従動シャフト12bの回転軸22bに対して横向きに可動の形状接合部材によって構成されている。さらにクランプ部材20bは、インサート工具ユニット18bを固定するために、インサート工具ユニット18bの少なくとも1つの部分領域に形状接合式に後方係合するために意図される。そのためにクランプ部材20bはフック状の延長部を有していて、これがクランプ部材20bのクランプ位置のときにインサート工具ユニット18bの部分領域に形状接合式に後方係合する。クランプユニット16bは、インサート工具ユニット18bを固定するために、クランプ部材20bの少なくとも1つの部分区域の、従動シャフト12bの回転軸22bに対して少なくとも部分的に径方向を向く運動によって、インサート工具ユニット18bに形状接合式に後方係合するために意図される。このとき可動に支承されたクランプ部材20bは、クランプ部材20bがクランプ位置にあるとき、インサート工具ユニット18bに対して直接的なクランプ力作用をするために意図される。このクランプ力はクイッククランプ装置10bによって、たとえばばね部材32bによって、特に自動的に印加される。
【0034】
操作ユニット24bは、インサート工具ユニット18bをクランプユニット16bおよび/または従動シャフト12bから取外し可能である少なくともリリース位置へとクランプ部材20bを動かすために意図されるのが好ましい。操作ユニット24bは、操作者により操作可能である操作部材を含んでいる。操作部材は操作レバーとして構成されている。しかしながら原則として、当業者に有意義と思われる操作部材のその他の構成、たとえば押しボタンおよび/または引張レバーとしての構成も考えられる。操作部材は、操作ユニット24bの作動部材58bを作動させるための偏心区域を含んでいる。作動部材58bは回転軸22bに沿って並進的に可動なように、特に従動シャフト12bおよび/または伝動装置ハウジングに支承される。作動部材58bは、特に軸方向の運動を可能にするとともに回転運動を阻止する作動部材58bの少なくとも1つの側方の平坦部の結果として、伝動装置ハウジングに対して相対的に回転しないように伝動装置ハウジングに固定される。
【0035】
さらにクランプ部材20bは、第1の偏心的な力導入点28bを有している。第1の偏心的な力導入点28bは、クランプ部材20bの回転軸26bに対して偏心的である。第1の偏心的な力導入点28bは、クランプ部材20bの回転軸26bに対して偏心的なだけでなく、従動シャフト12bの回転軸22bに対しても偏心的である。第1の偏心的な力導入点28bは、従動シャフト12bの軸方向で見たときに、クランプ部材20bの回転軸26bに対して偏心的である。さらに、力導入点28bへの力導入がさらに偏心的に行われる。力導入は従動シャフト12bの回転軸22bと平行に行われる。第1の偏心的な力導入点28bに対して、少なくとも1つの動作状態のとき、クランプ部材20bをクランプ位置へと回転させるためにばね力が作用する。第1の力導入点28bでのクランプ部材20bに対する力導入は、ばね部材32bによって行われる。ばね部材32bはコイルばねによって構成されている。しかしながら原則として、当業者に有意義と思われるばね部材32bのその他の構成も考えられる。ばね部材32bは、クランプ部材20bをクランプ位置へと動かす、および/またはそこで保持するばね力を、クランプ部材20bに対して作用させるために意図される。クランプ部材20bは、第1の偏心的な力導入点28bでばね部材32bの力導入がなされるとき偏心性によって、クランプ位置を形成するストッパまで回転する。正確な力作用のために、クランプ部材20bとばね部材32bの間には軸方向へスライド可能な中間プレート75bが配置されている。操作ユニット24bにより、クランプ部材20bをばね部材32bのばね力に抗して、クランプ部材20bがインサート工具ユニット18bに後方係合しないリリース位置へと動かすことができる。操作ユニット24bは、クランプ部材20bがリリース位置へと回転するとき、第1の偏心的な力導入点28bから間隔をおく第2の偏心的な力導入点30bに対して作用するために意図される。
【0036】
第2の偏心的な力導入点30bは、第1の偏心的な力導入点28bに向かい合う、クランプ部材20bの回転軸26bの側に配置されている。さらに第2の偏心的な力導入点30bは、第1の偏心的な力導入点28bと反対を向く方向へとクランプ部材20bを回転させるために意図される。第2の偏心的な力導入点30bは、クランプ部材20bの回転軸26bに対して、および従動シャフト12bの回転軸22bに対して偏心的である。第2の偏心的な力導入点30bは、特に従動シャフト12bの軸方向で見たときに、クランプ部材20bの回転軸26bに対して偏心的である。第2の力導入点30bへの力導入は偏心的である。力導入は、従動シャフト12bの回転軸22bと平行に行われる。力導入は、操作ユニット24bの作動部材58bによって直接的に行われる。クランプ部材20bは、作動部材58bと操作部材56bによって第2の偏心的な力導入点30bで力導入がなされると偏心性により、インサート工具ユニット18bを取り付けることができる、または取り外すことができるリリース位置を形成するストッパまで回転する。
【0037】
図4は、特に伝動装置ハウジングの領域における持運び可能な工作機械14cと、クイッククランプ装置10cとの断面図を示している。回転駆動可能な従動シャフト12cを有する持運び可能な工作機械14cのためのクイッククランプ装置10cは、インサート工具ユニット18cを従動シャフト12cへ工具を使わずに固定するために、クランプ部材20cがクランプ位置にあるときにインサート工具ユニット18cに対してクランプ力作用をするために可動に支承された少なくとも1つのクランプ部材20cを有する、少なくとも1つのクランプユニット16cを含んでいる。さらにクイッククランプ装置10cは、少なくとも1つのクランプ部材20cをクランプ部材20cのクランプ位置へ、ならびに/またはインサート工具ユニット18cをクランプユニット16cおよび/もしくは従動シャフト12cから取外し可能であるリリース位置へ動かすための少なくとも1つの操作ユニット24cを含んでいる。
【0038】
クランプ部材20cは旋回可能に支承されている。クランプ部材20cの回転軸26cは、従動シャフト12cの回転軸22cに対して少なくとも実質的に垂直に延びている。クランプ部材20cは、従動シャフト12cの回転軸22cに対して垂直に延びる回転軸26cを中心として回転可能に支承された揺動レバーによって構成されている。クランプ部材20cは、クランプユニット16cおよび/または従動シャフト12cに配置された状態にあるインサート工具ユニット18cを軸方向で従動シャフト12cに固定するために、特にクランプ部材20cのクランプ位置で固定するために意図される。回転軸22cは、従動シャフト12cの円周に配置されている。クランプ部材20cは、従動シャフト12cの回転軸22cに対して横向きに可動の形状接合部材によって構成されている。さらにクランプ部材20cは、インサート工具ユニット18cを固定するために、インサート工具ユニット18cの少なくとも1つの部分領域と形状接合式に後方係合するために意図される。そのためにクランプ部材20cはフック状の延長部を有していて、これがクランプ部材20cのクランプ位置のときにインサート工具ユニット18cの部分領域に形状接合式に後方係合する。
【0039】
操作ユニット24cは、インサート工具ユニット18cをクランプユニット16cおよび/または従動シャフト12cから取外し可能である少なくともリリース位置へとクランプ部材20cを動かすために意図される。操作ユニット24cは、操作者により操作可能である操作部材を含んでいる。操作部材は、操作ユニット24cの作動部材58cを作動させるための偏心区域を含んでいる。作動部材58cは回転軸22cに沿って並進的に可動なように、特に従動シャフト12cおよび/または伝動装置ハウジングに支承される。
【0040】
さらにクランプ部材20cは、第1の偏心的な力導入点28cを有している。第1の偏心的な力導入点28cは、クランプ部材20cの回転軸26cに対して偏心的である。第1の偏心的な力導入点28cは、クランプ部材20cの回転軸26cに対して偏心的なだけでなく、従動シャフト12cの回転軸22cに対しても偏心的である。第1の偏心的な力導入点28cは、従動シャフト12cの軸方向で見たときに、クランプ部材20cの回転軸26cに対して偏心的である。さらに、力導入点28cへの力導入がさらに偏心的に行われる。力導入は従動シャフト12cの回転軸22cに対して部分的に横向きに行われる。第1の偏心的な力導入点28cに対して、少なくとも1つの動作状態のとき、クランプ部材20cをクランプ位置へと回転させるためにばね力が作用する。第1の力導入点28cでのクランプ部材20cに対する力導入は、ばね部材32cによって行われる。ばね部材32cはコイルばねによって構成されている。ばね部材32cは、クランプ部材20cをクランプ位置へと動かす、および/またはそこで保持するばね力を、クランプ部材20cに対して作用させるために意図される。クランプ部材20cは、第1の偏心的な力導入点28cでばね部材32cの力導入がなされるとき偏心性によって、クランプ位置を形成するストッパまで回転する。ばね部材32cからクランプ部材20cへの力伝達のために、クランプ部材20cとばね部材32cの間には、ばね部材32cの軸方向に作用するばね力を回転によってクランプ部材20cに対して作用させるために意図される別の揺動レバー70cが配置されている。揺動レバー70cは、従動シャフト12cと固定的に結合された回転軸を有している。揺動レバー70cの回転軸は、クランプ部材20cの回転軸26cに向かい合う従動シャフト12cの側に配置されている。
【0041】
操作ユニット24cにより、クランプ部材20cをばね部材32cのばね力に抗して、クランプ部材20cがインサート工具ユニット18cに後方係合しないリリース位置へと動かすことができる。操作ユニット24cは、クランプ部材20cがリリース位置へと回転するとき、第1の偏心的な力導入点28cから間隔をおく第2の偏心的な力導入点30cに対して作用するために意図される。さらに第2の偏心的な力導入点30cは、第1の偏心的な力導入点28cに対して反対を向く方向へクランプ部材20cを回転させるために意図される。第2の偏心的な力導入点30cは、クランプ部材20cの回転軸26cに対して、および従動シャフト12cの回転軸22cに対して偏心的である。第2の偏心的な力導入点30cは、特に、従動シャフト12cの軸方向で見たときに、クランプ部材20cの回転軸26cに対して偏心的である。第2の力導入点30cへの力導入は偏心的である。力導入は、従動シャフト12cの回転軸22cと平行に行われる。力導入は、操作ユニット24cの作動部材58cによって直接的に行われる。クランプ部材20cは、作動部材58cと操作部材56cによって第2の偏心的な力導入点30cで力導入がなされるとき偏心性により、インサート工具ユニット18cを取り付けることができる、または取り外すことができるリリース位置を形成するストッパまで回転する。そのために作動部材58は、揺動レバー70を貫いて通るように案内される。
【0042】
図5は、特に伝動装置ハウジングの領域における持運び可能な工作機械14dと、クイッククランプ装置10dとの断面図を示している。回転駆動可能な従動シャフト12dを有する持運び可能な工作機械14dのためのクイッククランプ装置10dは、インサート工具ユニット18dを従動シャフト12dへ工具を使わずに固定するために、クランプ部材20dがクランプ位置にあるときにインサート工具ユニット18dに対してクランプ力作用をするために可動に支承された少なくとも1つのクランプ部材20dを有する、少なくとも1つのクランプユニット16dを含んでいる。さらにクイッククランプ装置10dは、少なくとも1つのクランプ部材20dをクランプ部材20dのクランプ位置へ、ならびに/またはインサート工具ユニット18dをクランプユニット16dおよび/もしくは従動シャフト12dから取外し可能であるリリース位置へ動かすための少なくとも1つの操作ユニット24dを含んでいる。
【0043】
クランプ部材20dは旋回可能に支承されている。クランプ部材20dの回転軸26dは、従動シャフト12dの回転軸22dに対して少なくとも実質的に垂直に延びている。クランプ部材20dは、従動シャフト12dの回転軸22dに対して垂直に延びる回転軸26dを中心として回転可能に支承された揺動レバーによって構成されている。クランプ部材20dは、クランプユニット16dおよび/または従動シャフト12dに配置された状態にあるインサート工具ユニット18dを軸方向で従動シャフト12dに固定するために、特にクランプ部材20dのクランプ位置で固定するために意図される。回転軸22dは、従動シャフト12dの円周に配置されている。クランプ部材20dは、従動シャフト12dの回転軸22dに対して横向きに可動の形状接合部材によって構成されている。さらにクランプ部材20dは、インサート工具ユニット18dを固定するために、インサート工具ユニット18dの少なくとも1つの部分領域と形状接合式に後方係合するために意図される。そのためにクランプ部材20dはフック状の延長部を有していて、これがクランプ部材20dのクランプ位置のときにインサート工具ユニット18dの部分領域に形状接合式に後方係合する。
【0044】
操作ユニット24dは、インサート工具ユニット18dをクランプユニット16dおよび/または従動シャフト12dから取外し可能である少なくともリリース位置へとクランプ部材20dを動かすために意図される。操作ユニット24dは、操作者により操作可能である操作部材を含んでいる。操作部材は、操作ユニット24dの作動部材58dを作動させるための偏心区域を含んでいる。作動部材58dは回転軸22dに沿って並進的に可動なように、特に従動シャフト12dおよび/または伝動装置ハウジングに支承される。
【0045】
さらにクランプ部材20dは、第1の偏心的な力導入点28dを有している。第1の偏心的な力導入点28dは、クランプ部材20dの回転軸26dに対して偏心的である。第1の偏心的な力導入点28dは、クランプ部材20dの回転軸26dに対して偏心的なだけでなく、従動シャフト12dの回転軸22dに対しても偏心的である。第1の偏心的な力導入点28dは、従動シャフト12dの軸方向で見たときに、クランプ部材20dの回転軸26dに対して偏心的である。さらに、力導入点28dへの力導入がさらに偏心的に行われる。力導入は従動シャフト12dの回転軸22dに対して部分的に横向きに行われる。第1の偏心的な力導入点28dに対して、少なくとも1つの動作状態のとき、クランプ部材20dをクランプ位置へと回転させるためにばね力が作用する。第1の力導入点28dでのクランプ部材20dに対する力導入は、ばね部材32dによって行われる。ばね部材32dはコイルばねによって構成されている。ばね部材32dは、クランプ部材20dをクランプ位置へと動かす、および/またはそこで保持するばね力を、クランプ部材20dに対して作用させるために意図される。クランプ部材20dは、第1の偏心的な力導入点28dでばね部材32dの力導入がなされるとき偏心性によって、クランプ位置を形成するストッパまで回転する。ばね部材32dからクランプ部材20dへの力伝達のために、クランプ部材20dとばね部材32dの間には、ばね部材32dの軸方向に作用するばね力をクランプ部材20dへ偏心的に伝達するために意図される案内カップ72dが配置されている。案内カップ72dはばね部材32dをカップ状に収容し、従動シャフト12dの中で軸方向に案内される。さらに案内カップ72dは、クランプ部材20dの第1の偏心的な力導入点28dに対する力作用のために意図される延長部を有している。
【0046】
操作ユニット24dにより、クランプ部材20dをばね部材32dのばね力に抗して、クランプ部材20dがインサート工具ユニット18dに後方係合しないリリース位置へと動かすことができる。操作ユニット24dは、クランプ部材20dがリリース位置へと回転するとき、第1の偏心的な力導入点28dから間隔をおく第2の偏心的な力導入点30dに対して作用するために意図される。さらに第2の偏心的な力導入点30dは、第1の偏心的な力導入点28dに対して反対を向く方向へクランプ部材20dを回転させるために意図される。第2の偏心的な力導入点30dは、クランプ部材20dの回転軸26dに対して、および従動シャフト12dの回転軸22dに対して偏心的である。第2の偏心的な力導入点30dは、特に、従動シャフト12dの軸方向で見たときに、クランプ部材20dの回転軸26dに対して偏心的である。第2の力導入点30dへの力導入は偏心的である。力導入は、従動シャフト12dの回転軸22dと平行に行われる。力導入は、操作ユニット24dの作動部材58dによって直接的に行われる。クランプ部材20dは、作動部材58dと操作部材56dによって第2の偏心的な力導入点30dで力導入がなされるとき偏心性により、インサート工具ユニット18dを取り付けることができる、または取り外すことができるリリース位置を形成するストッパまで回転する。そのために作動部材58dは、案内カップ72dを貫いて通るように案内される。
【0047】
図6は、特に伝動装置ハウジングの領域における持運び可能な工作機械14eと、クイッククランプ装置10eとの断面図を示している。回転駆動可能な従動シャフト12eを有する持運び可能な工作機械14eのためのクイッククランプ装置10eは、インサート工具ユニット18eを従動シャフト12eへ工具を使わずに固定するために、クランプ部材20e,20e’がクランプ位置にあるときにインサート工具ユニット18eに対してクランプ力作用をするために可動に支承された少なくとも1つのクランプ部材20e,20e’を有する、少なくとも1つのクランプユニット16eを含んでいる。さらにクイッククランプ装置10eは、少なくとも1つのクランプ部材20e,20e’をクランプ部材20e,20e’のクランプ位置へ、ならびに/またはインサート工具ユニット18eをクランプユニット16eおよび/もしくは従動シャフト12eから取外し可能であるリリース位置へ動かすための少なくとも1つの操作ユニット24eを含んでいる。クランプユニット16eは、可動に支承された2つのクランプ部材20e,20e’を含んでいる。2つのクランプ部材20e,20e’は旋回可能に支承されている。2つのクランプ部材20e,20e’の回転軸は、従動シャフト12eの回転軸22eに対してそれぞれ少なくとも実質的に垂直に延びている。2つのクランプ部材20e,20e’は、クランプユニット16eおよび/または従動シャフト12eに配置された状態にあるインサート工具ユニット18eを軸方向で従動シャフト12eに固定するために、特に2つのクランプ部材20e,20e’のクランプ位置で固定するために意図される。
【0048】
操作ユニット24eは、インサート工具ユニット18eをクランプユニット16eおよび/または従動シャフト12eから取外し可能である少なくともリリース位置へとクランプ部材20eを動かすために意図されるのが好ましい。操作ユニット24eは、操作者により操作可能である操作部材を含んでいる。操作部材は操作レバーとして構成されている。操作部材は、操作ユニット24eの作動部材58eを作動させるための偏心区域を含んでいる。作動部材58eは回転軸22eに沿って並進的に可動なように、特に従動シャフト12eおよび/または伝動装置ハウジングに支承される。さらに操作ユニット24eは、クランプ部材20e,20e’を少なくとも1つの動作状態のとき直接的に、従動シャフト12eの回転軸22eに対して実質的に垂直に力で付勢するために意図される少なくとも1つのばね部材32e,32e’を有している。操作ユニット24eは、クランプ部材20e,20e’を直接的に、従動シャフト12eの回転軸22eに対して実質的に垂直に力で付勢するために意図される2つのばね部材32e,32e’を有している。ばね部材32e,32e’は作動部材58eの一部を形成する。ばね部材32e,32e’は、クランプ部材20e,20e’を直接的にたわませるために意図される、作動部材58eのアーム状の延長部を形成する。ばね部材32e,32e’は、ばね弾性的な材料からなる少なくとも1つの部分領域を有する。ばね部材32e,32e’により、クランプ部材20e,20e’がクランプ位置へと揺動する。作動部材58eが作動していない状態のとき、クランプ部材20e,20e’はばね部材32e,32e’によって恒常的に負荷される。操作部材によって作動部材58eが軸方向に作動することで、作動部材58eが、およびこれに伴ってばね部材32e,32e’も、クランプ部材20e,20e’の方向へ軸方向にスライドする。このときばね部材32e,32e’は、詳しくは見えていない突合せ斜面に向かって従動シャフト12eの内面に沿ってスライドし、これがばね部材32e,32e’を径方向内側に向かってたわませる。それによってばね部材32e,32e’は、作動状態のときにはクランプ部材20e,20e’と接触しない。作動部材58eの作動が消失すると、作動部材58eは、突合せ斜面に対して作用するばね部材32e,32e’のばね力によって初期位置へ押し戻される。
【0049】
図7は、特に伝動装置ハウジングの領域における持運び可能な工作機械14fと、クイッククランプ装置10fとの断面図を示している。回転駆動可能な従動シャフト12fを有する持運び可能な工作機械14fのためのクイッククランプ装置10fは、インサート工具ユニット18fを従動シャフト12fへ工具を使わずに固定するために、クランプ部材20f,20f’がクランプ位置にあるときにインサート工具ユニット18fに対してクランプ力作用をするために可動に支承された少なくとも1つのクランプ部材20f,20f’を有する、少なくとも1つのクランプユニット16fを含んでいる。さらにクイッククランプ装置10fは、少なくとも1つのクランプ部材20f,20f’をクランプ部材20f,20f’のクランプ位置へ、ならびに/またはインサート工具ユニット18fをクランプユニット16fおよび/もしくは従動シャフト12fから取外し可能であるリリース位置へ動かすための少なくとも1つの操作ユニット24fを含んでいる。クランプユニット16fは、可動に支承された2つのクランプ部材20f,20f’を含んでいる。2つのクランプ部材20f,20f’は旋回可能に支承されている。2つのクランプ部材20f,20f’の回転軸は、従動シャフト12fの回転軸22fに対してそれぞれ少なくとも実質的に垂直に延びている。
【0050】
操作ユニット24fは、インサート工具ユニット18fをクランプユニット16fおよび/または従動シャフト12fから取外し可能である少なくともリリース位置へとクランプ部材20fを動かすために意図されるのが好ましい。操作ユニット24fは、操作者により操作可能である操作部材を含んでいる。操作部材は操作レバーとして構成されている。操作部材は、操作ユニット24fの作動部材58fを作動させるための偏心区域を含んでいる。作動部材58fは回転軸22fに沿って並進的に可動なように、特に従動シャフト12fおよび/または伝動装置ハウジングに支承される。
【0051】
さらにクランプユニット16fは、クランプ部材20f,20f’をクランプ位置へ動かすために意図されるばね部材32fを有している。ばね部材32fはコイルばねによって構成されている。ばね部材32fは上側の端部をもって、作動部材58fの円環部に支持される。さらにクランプユニット16fは、ばね部材32fの力を、従動シャフト12fの回転軸22fに対して少なくとも実質的に垂直に向く方向へ方向転換させるために意図される方向転換部材36fを有している。ばね部材32fは、従動シャフト12fの回転軸22fと平行にばね力を作用させるために意図され、方向転換部材36fは、ばね部材32fの力を90°だけ方向転換させるために意図される。このとき方向転換部材36fによる方向転換は、方向転換部材36fの楔形の区域によって行われる。方向転換部材36fは、三角形の断面を有するリングとして構成される。方向転換部材36fは、作動部材58fの円環部に向かい合うばね部材32fの端部に配置されている。方向転換部材36fにより、作動していない状態のとき、クランプ部材20f,20f’の上側の平面が径方向外方に向かってクランプ位置へとたわむ。
【0052】
さらに作動部材58fの下側の自由端には、方向転換部材36fに対して鏡像反転した方向転換部材74fが固定的に配置され、これにクランプ部材20f,20f’が上側端部をもって当接する。クランプ部材20f,20f’の上側端部は方向転換部材36fにより、方向転換部材74fに向かって押圧される。作動部材58fを作動させることで、方向転換部材74fが下方に向かってスライドし、それによってクランプ部材20f,20f’の上側端部が径方向内側に向かって内方旋回する。それにより、クランプ部材20f,20f’がリリース位置へと旋回する。
【0053】
図8は、特に伝動装置ハウジングの領域における持運び可能な工作機械14gと、クイッククランプ装置10gとの断面図を示している。回転駆動可能な従動シャフト12gを有する持運び可能な工作機械14gのためのクイッククランプ装置10gは、インサート工具ユニット18gを従動シャフト12gへ工具を使わずに固定するために、クランプ部材20gがクランプ位置にあるときにインサート工具ユニット18gに対してクランプ力作用をするために可動に支承された少なくとも1つのクランプ部材20gを有する、少なくとも1つのクランプユニット16gを含んでいる。さらにクイッククランプ装置10gは、少なくとも1つのクランプ部材20gをクランプ部材20gのクランプ位置へ、ならびに/またはインサート工具ユニット18gをクランプユニット16gおよび/もしくは従動シャフト12gから取外し可能であるリリース位置へ動かすための少なくとも1つの操作ユニット24gを含んでいる。クランプ部材20gは旋回可能に支承されている。クランプ部材20gの回転軸26gは、従動シャフト12gの回転軸22gに対してそれぞれ少なくとも実質的に垂直に延びている。クランプ部材20gは、従動シャフト12gの回転軸22gに対して垂直に延びる回転軸26gを中心として回転可能に支承された揺動レバーによって構成される。クランプ部材20gは従動シャフト12gと結合されている。クランプ部材20gの回転軸26gは、従動シャフト12gと固定的に結合されている。クランプ部材20gは従動シャフト12gとともに回転軸22gを中心として回転駆動可能である。クランプ部材20gは、従動シャフト12gの回転軸22gに対して横向きに可動の形状接合部材によって構成されている。さらにクランプ部材20gは、インサート工具ユニット18gを固定するためにインサート工具ユニット18gの少なくとも1つの部分領域に形状接合式に後方係合するために意図される。そのためにクランプ部材20gはフック状の延長部を有していて、これがクランプ部材20gのクランプ位置のときに、インサート工具ユニット18gの部分領域に形状接合式に後方係合する。
【0054】
操作ユニット24gは、インサート工具ユニット18gをクランプユニット16gおよび/または従動シャフト12gから取外し可能である少なくともリリース位置へとクランプ部材20gを動かすために意図されるのが好ましい。操作ユニット24gは、操作者により操作可能である操作部材を含んでいる。操作部材は操作レバーとして構成されている。操作部材は、操作ユニット24gの作動部材58gを作動させるための偏心区域を含んでいる。作動部材58gは回転軸22gに沿って並進的に可動なように、特に従動シャフト12gおよび/または伝動装置ハウジングに支承される。
【0055】
さらにクランプ部材20gは、第1の偏心的な力導入点28gを有している。第1の偏心的な力導入点28gは、クランプ部材20gの回転軸26gに対して偏心的である。第1の偏心的な力導入点28gは、クランプ部材20gの回転軸26gに対して偏心的なだけでなく、従動シャフト12gの回転軸22gに対しても偏心的である。第1の偏心的な力導入点28gは、従動シャフト12gの軸方向で見たときに、クランプ部材20gの回転軸26gに対して偏心的である。さらに、力導入点28gへの力導入がさらに偏心的に行われる。力導入は従動シャフト12gの回転軸22gに対して平行に行われる。第1の偏心的な力導入点28gに対して、少なくとも1つの動作状態のとき、クランプ部材20gをクランプ位置へと回転させるためにばね力が作用する。第1の力導入点28gでのクランプ部材20gに対する力導入は、ばね部材32gによって行われる。ばね部材32gはコイルばねによって構成されている。しかしながら原則として、当業者に有意義と思われるその他のばね部材32gの構成も考えられる。ばね部材32gは、クランプ部材20gをクランプ位置へと動かす、および/またはそこで保持するばね力を、クランプ部材20gに対して作用させるために意図される。クランプ部材20gは、第1の偏心的な力導入点28gでばね部材32gの力導入がなされるとき偏心性によって、クランプ位置を形成するストッパまで回転する。正確な力作用のために、クランプ部材20gとばね部材32gの間には、回転軸を介してクランプ部材20gの端部と結合された中間プレート75gが配置される。操作ユニット24gにより、クランプ部材20gがインサート工具ユニット18gに後方係合しないリリース位置へと、クランプ部材20gをばね部材32gのばね力に抗して動かすことができる。操作ユニット24gは、リリース位置へとクランプ部材20gを回転させるために、第1の偏心的な力導入点28gから間隔をおく第2の偏心的な力導入点30gに対して作用するために意図される。
【0056】
第2の偏心的な力導入点30gは、第1の偏心的な力導入点28gに向かい合う、クランプ部材20gの回転軸26gの側に配置されている。さらに第2の偏心的な力導入点30gは、第1の偏心的な力導入点28gに対して反対を向く方向へとクランプ部材20gを回転させるために意図される。第2の偏心的な力導入点30gは、クランプ部材20gの回転軸26gに対して、および従動シャフト12gの回転軸22gに対して偏心的である。第2の偏心的な力導入点30gは、特に、従動シャフト12gの軸方向で見たときに、クランプ部材20gの回転軸26gに対して偏心的である。第2の力導入点30gへの力導入は偏心的である。力導入は従動シャフト12gの回転軸22gに対して平行に行われる。力導入は、操作ユニット24gの作動部材58gによって直接的に行われる。クランプ部材20gは、第2の偏心的な力導入点30gで操作部材56gによって作動部材58gによる力導入がなされたときに偏心性により、インサート工具ユニット18gを取り付けることができる、または取り外すことができるリリース位置を形成するストッパまで回転する。
【0057】
図9は、特に伝動装置ハウジングの領域における持運び可能な工作機械14hと、クイッククランプ装置10hとの断面図を示している。回転駆動可能な従動シャフト12hを有する持運び可能な工作機械14hのためのクイッククランプ装置10hは、インサート工具ユニット18hを従動シャフト12hへ工具を使わずに固定するために、クランプ部材20hがクランプ位置にあるときにインサート工具ユニット18hに対してクランプ力作用をするために可動に支承された少なくとも1つのクランプ部材20hを有する、少なくとも1つのクランプユニット16hを含んでいる。さらにクイッククランプ装置10hは、少なくとも1つのクランプ部材20hをクランプ部材20hのクランプ位置へ、ならびに/またはインサート工具ユニット18hをクランプユニット16hおよび/もしくは従動シャフト12hから取外し可能であるリリース位置へ動かすための少なくとも1つの操作ユニット24hを含んでいる。クランプ部材20hは旋回可能に支承されている。クランプ部材20hの回転軸26hは、従動シャフト12hの回転軸22hに対して少なくとも実質的に垂直に延びている。クランプ部材20hは、従動シャフト12hの回転軸22hに対して垂直に延びる回転軸26hを中心として回転可能に支承された揺動レバーによって構成される。回転軸22hは従動シャフト12hの円周に配置されている。クランプ部材20hは、従動シャフト12hの回転軸22hに対して横向きに可動の形状接合部材によって構成されている。
【0058】
操作ユニット24hは、インサート工具ユニット18hをクランプユニット16hおよび/または従動シャフト12hから取外し可能である少なくともリリース位置へとクランプ部材20hを動かすために意図される。操作ユニット24hは、操作者により操作可能である操作部材を含んでいる。操作部材は、操作ユニット24hの作動部材58hを作動させるための偏心区域を含んでいる。作動部材58hは回転軸22hに沿って並進的に可動なように、特に従動シャフト12hおよび/または伝動装置ハウジングに支承される。作動部材58hは自由端でカップ状に構成されている。さらに作動部材58hは、クランプ部材20hと接触するために意図される延長部を有している。クランプ部材20hは、従動シャフト12hに支持される第2のばね部材34hによって、下から延長部に向かって押圧される。さらに作動部材58hは、従動シャフト12hに支持される第1のばね部材32hによって、上から軸方向へクランプ部材20hに向かって押圧される。クランプユニット16hは、クランプ部材20hをクランプ位置へと動かすために意図される第1のばね部材32hと、クランプ部材20hをリリース位置へと動かすために意図される、第1のばね部材32hに比べて弱い第2のばね部材34hとを有している。作動部材58hが作動していない状態のとき、クランプ部材20hは強いほうの第1のばね部材32hにより、作動部材58hの延長部によってクランプ位置へと回転する。作動部材58hが作動すると、すなわちこのケースでは上方へ引っ張られると、第1のばね部材32hが操作者によって押し縮められ、延長部がクランプ部材20hから持ち上げられ、その結果、第2のばね部材34hがクランプ部材20hを延長部に沿って案内しながらリリース位置まで回転させる。
【0059】
図10は、特に伝動装置ハウジングの領域における持運び可能な工作機械14iと、クイッククランプ装置10iとの断面図を示している。回転駆動可能な従動シャフト12iを有する持運び可能な工作機械14iのためのクイッククランプ装置10iは、インサート工具ユニット18iを従動シャフト12iへ工具を使わずに固定するために、クランプ部材20i,20i’がクランプ位置にあるときにインサート工具ユニット18iに対してクランプ力作用をするために可動に支承された少なくとも1つのクランプ部材20i,20i’を有する、少なくとも1つのクランプユニット16iを含んでいる。さらにクイッククランプ装置10iは、少なくとも1つのクランプ部材20i,20i’をクランプ部材20i,20i’のクランプ位置へ、ならびに/またはインサート工具ユニット18iをクランプユニット16iおよび/もしくは従動シャフト12iから取外し可能であるリリース位置へ動かすための少なくとも1つの操作ユニット24iを含んでいる。クランプユニット16iは、可動に支承された2つのクランプ部材20i,20i’を含んでいる。2つのクランプ部材20i,20i’は旋回可能に支承されている。2つのクランプ部材20i,20i’の回転軸26i,26i’は、従動シャフト12iの回転軸22iに対してそれぞれ少なくとも実質的に垂直に延びている。
【0060】
操作ユニット24iは、インサート工具ユニット18iをクランプユニット16iおよび/または従動シャフト12iから取外し可能である少なくともリリース位置へとクランプ部材20iを動かすために意図されるのが好ましい。操作ユニット24iは、操作者により操作可能である操作部材を含んでいる。操作部材は操作レバーとして構成されている。操作部材は、操作ユニット24iの作動部材58iを作動させるための偏心区域を含んでいる。作動部材58iは回転軸22iに沿って並進的に可動なように、特に従動シャフト12iおよび/または伝動装置ハウジングに支承される。
【0061】
さらにクランプユニット16iは、クランプ部材20i,20i’をクランプ位置へと動かすために意図されるばね部材32iを有している。ばね部材32iは、コイルばねによって構成されている。ばね部材32iは、上側の端部をもって従動シャフト12iに支持される。さらにクランプユニット16iは、ばね部材32iの軸方向力をクランプ部材20i,20i’に伝達するために意図される伝達リング76iを有している。方向転換部材36iにより、作動していない状態のとき、クランプ部材20i,20i’の上側の平面は軸方向で下方に向かってたわみ、それに伴ってクランプ部材20i,20i’をクランプ位置にする。
【0062】
さらに、作動部材58iの下側の自由端には円環部78iが固定的に配置されていて、その上にクランプ部材20i,20i’が上側端部をもって載る。クランプ部材20i,20i’の上側端部は、伝達リング76iにより円環部78iに向かって押圧される。作動部材58iが作動することで、すなわちこのケースでは作動部材58iが上方に向かって引っ張られることで、クランプ部材20i,20i’の上側端部がばね部材32iのばね力に抗して円環部78iにより上方に向かって引っ張られ、それに伴って外方に向かって旋回する。それによってクランプ部材20i,20i’がリリース位置へと旋回する。
【0063】
図11および図12は、図10に対して代替的なクランプ部材20j,20j’;20k,20k’の形状をそれぞれ示しており、機能形態は、図10に関して説明した機能形態に実質的に呼応する。
【0064】
図13は、特に伝動装置ハウジングの領域における持運び可能な工作機械14lと、クイッククランプ装置10lとの断面図を示している。回転駆動可能な従動シャフト12lを有する持運び可能な工作機械14lのためのクイッククランプ装置10lは、インサート工具ユニット18lを従動シャフト12lへ工具を使わずに固定するために、クランプ部材20lがクランプ位置にあるときにインサート工具ユニット18lに対してクランプ力作用をするために可動に支承された少なくとも1つのクランプ部材20lを有する、少なくとも1つのクランプユニット16lを含んでいる。さらにクイッククランプ装置10lは、クランプ部材20lをクランプ部材20lのクランプ位置へ、ならびに/またはインサート工具ユニット18lをクランプユニット16lおよび/もしくは従動シャフト12lから取外し可能であるリリース位置へ動かすための少なくとも1つの操作ユニット24lを含んでいる。クランプ部材20lは部分的に旋回可能に支承されている。クランプ部材20lは、従動シャフト12lの回転軸22lに対して実質的に平行に延びている。クランプ部材20lは従動シャフト12の中で自由に保持される。さらに、クランプ部材20lはばね部材32lによってばね付勢される。ばね部材32lは、下側端部をもって従動シャフト12lの内部空間の底面に支持されるとともに、上側端部をもって伝達リング76lに支持される。さらに伝達リング76lは、クランプ部材20lの上側端部に配置された円環部に支持されるとともに、ばね部材32lのばね力をクランプ部材20lへ伝達する。クランプ部材20lは、ばね部材32lのばね軸に沿ってばね部材32lを通るように延びている。さらにクランプ部材20lは、インサート工具ユニット18lに形状接合式に後方係合するために意図される下側端部をもって、従動シャフト12lの内部空間の底面にある切欠きを通るように案内されている。
【0065】
さらにクランプユニット16lは、クランプ部材20lの部分領域を軸方向の位置に依存して別様に、従動シャフト12lの回転軸22lに対して垂直にたわませるために意図される少なくとも1つの突合せ斜面40lを有している。クランプ部材20lの下側の自由端は突合せ斜面40lにより、軸方向の位置に依存して従動シャフト12lの回転軸22lに対して相対的に別様に旋回する。突合せ斜面40lは、従動シャフト12のスピンドルカップにもクランプ部材20lにも配置されている。クランプユニット16lは2つの突合せ斜面40lを有している。1つは、従動シャフト12lの内部空間の底面にある切欠きの内面にあり、1つは、従動シャフト12lの内部空間の底面にある切欠きの高さでクランプ部材20lの外面にある。突合せ斜面40lは、クランプ部材20lと従動シャフト12lの間で直接的に作用するために意図される。突合せ斜面40lは、クランプ部材20lと従動シャフト12lの間の接触面を形成する。このとき突合せ斜面40lは、従動シャフト12lの回転軸22lに対して傾いている。
【0066】
操作ユニット24lは、インサート工具ユニット18lをクランプユニット16lおよび/または従動シャフト12lから取外し可能である少なくともリリース位置へとクランプ部材20lを動かすために意図されるのが好ましい。操作ユニット24lは、操作者により操作可能である操作部材を含んでいる。操作部材は、操作ユニット24lの作動部材58lを作動させるための偏心区域を含んでいる。作動部材58lは回転軸22lに沿って並進的に可動なように、特に従動シャフト12lおよび/または伝動装置ハウジングに支承される。作動していない状態のとき、ばね部材32lは最大限にたわんでクランプ部材20lを軸方向で上方に向かってスライドさせる。突合せ斜面40lにより、クランプ部材20lの下側端部がこの位置のとき径方向外方に向かって旋回する。クランプ部材20lはこの位置のときクランプ位置にある。作動部材58lはクランプ部材20lに対して直接作用する。作動部材58lが作動すると、クランプ部材20lがばね部材32lのばね力に抗して軸方向下方に向かってスライドする。突合せ斜面40lにより、クランプ部材20lの下側端部がこの位置のとき径方向内方に向かって旋回する。クランプ部材20lはこの位置のときリリース位置にある。
【0067】
図14は、特に伝動装置ハウジングの領域における持運び可能な工作機械14mと、クイッククランプ装置10mとの断面図を示している。回転駆動可能な従動シャフト12mを有する持運び可能な工作機械14mのためのクイッククランプ装置10mは、インサート工具ユニット18mを従動シャフト12mへ工具を使わずに固定するために、クランプ部材20mがクランプ位置にあるときにインサート工具ユニット18mに対してクランプ力作用をするために可動に支承された少なくとも1つのクランプ部材20mを有する、少なくとも1つのクランプユニット16mを含んでいる。さらにクイッククランプ装置10mは、クランプ部材20mをクランプ部材20mのクランプ位置へ、ならびに/またはインサート工具ユニット18mをクランプユニット16mおよび/もしくは従動シャフト12mから取外し可能であるリリース位置へ動かすための少なくとも1つの操作ユニット24mを含んでいる。
【0068】
クランプ部材20mは、インサート工具ユニット18mの形状接合式の受容のために従動シャフト12mの回転軸22mに対して実質的に垂直にたわむために少なくとも意図される少なくとも1つのばね弾性的な部分区域38m,38m’を有している。クランプ部材20mは、2つのばね弾性的な部分区域38m,38m’を有している。ばね弾性的な部分区域38m,38m’は、インサート工具ユニット18mの形状接合式の受容のために、従動シャフト12mの回転軸22mに対して実質的に垂直に、回転軸22mから離れるほうを向く方向へ径方向にたわむために意図される。さらに部分区域38m,38m’は、インサート工具ユニット18mのリリースのために、従動シャフト12mの回転軸22mに対して少なくとも実質的に垂直に、回転軸22mのほうを向く方向へ径方向にたわむために意図される。クランプ部材20mは、少なくとも2つの長尺状の延長部を有するようにクリップ状に構成され、これらの延長部がばね弾性的な部分区域38m,38m’を構成する。クランプ部材20mは部分的にU字型に構成されており、両方の自由端がばね弾性的な部分区域38m,38m’を構成する。さらにクランプ部材20mは、ばね部材32mによってばね付勢されている。ばね部材32mは、下側端部をもって従動シャフト12mの内部空間の底面に支持されるとともに、上側端部をもってクランプ部材20mの円環部に支持される。クランプ部材20mはばね部材32mのばね軸に沿って、ばね部材32mを通るように延びている。さらにクランプ部材20mは、インサート工具ユニット18mに形状接合式に後方係合するために意図されるばね弾性的な部分区域38m,38m’をもって、従動シャフト12mの内部空間の底面にある切欠きを通るように案内されている。
【0069】
さらにクランプユニット16mは、クランプ部材20mの部分領域を軸方向の位置に依存して別様に、従動シャフト12mの回転軸22mに対して垂直にたわませるために意図される少なくとも1つの突合せ斜面40mを有している。ばね弾性的な部分区域38m,38m’は突合せ斜面40mにより、軸方向の位置に依存して従動シャフト12mの回転軸22mに対して相対的に別様に旋回する。突合せ斜面40mは、従動シャフト12のスピンドルカップにもクランプ部材20mにも配置されている。クランプユニット16mは2つの突合せ斜面40mを有している。1つは、従動シャフト12mの内部空間の底面にある切欠きの内面にあり、1つは、従動シャフト12mの内部空間の底面にある切欠きの高さでクランプ部材20mのばね弾性的な部分区域38m,38m’の外面にある。突合せ斜面40mは、クランプ部材20mと従動シャフト12mの間で直接的に作用するために意図される。突合せ斜面40mは、クランプ部材20mと従動シャフト12mの間の接触面を形成する。このとき突合せ斜面40mは、従動シャフト12mの回転軸22mに対して傾いている。
【0070】
操作ユニット24mは、インサート工具ユニット18mをクランプユニット16mおよび/または従動シャフト12mから取外し可能である少なくともリリース位置へとクランプ部材20mを動かすために意図される。操作ユニット24mは、操作者により操作可能である操作部材を含んでいる。操作部材は、操作ユニット24mの作動部材58mを作動させるための偏心区域を含んでいる。作動部材58mは回転軸22mに沿って並進的に可動なように、特に従動シャフト12mおよび/または伝動装置ハウジングに支承される。作動部材58mはクランプ部材20mと一体的に構成されている。作動していない状態のとき、ばね部材32mは最大限にたわんでクランプ部材20mを軸方向で上方に向かってスライドさせる。突合せ斜面40mにより、ばね弾性的な部分区域38m,38m’がこの位置のとき径方向外方に向かって旋回する。クランプ部材20mはこの位置のときクランプ位置にある。作動部材58mはクランプ部材20mに対して直接作用する。作動部材58mが作動すると、クランプ部材20mがばね部材32mのばね力に抗して軸方向下方に向かってスライドする。突合せ斜面40mにより、ばね弾性的な部分区域38m,38m’がこの位置のとき径方向内方に向かって旋回する。クランプ部材20mはこの位置のときリリース位置にある。
【0071】
図15は、特に伝動装置ハウジングの領域における持運び可能な工作機械14nと、クイッククランプ装置10nとの断面図を示している。回転駆動可能な従動シャフト12nを有する持運び可能な工作機械14nのためのクイッククランプ装置10nは、インサート工具ユニット18nを従動シャフト12nへ工具を使わずに固定するために、クランプ部材20nがクランプ位置にあるときにインサート工具ユニット18nに対してクランプ力作用をするために可動に支承された少なくとも1つのクランプ部材20nを有する、少なくとも1つのクランプユニット16nを含んでいる。さらにクイッククランプ装置10nは、クランプ部材20nをクランプ部材20nのクランプ位置へ、ならびに/またはインサート工具ユニット18nをクランプユニット16nおよび/もしくは従動シャフト12nから取外し可能であるリリース位置へ動かすための少なくとも1つの操作ユニット24nを含んでいる。クランプ部材20nは旋回可能に支承されている。クランプ部材20nの回転軸26nは、従動シャフト12nの回転軸22nに対して少なくとも実質的に垂直に延びている。クランプ部材20nは、従動シャフト12nの回転軸22nに対して垂直に延びる回転軸26nを中心として回転可能に支承された揺動レバーによって構成される。クランプ部材20nは回転軸22nに対して部分的にスライド可能である。クランプ部材20nは、従動シャフト12nの回転軸22nに対して実質的に平行に延びている。さらにクランプ部材20nは、ばね部材32nによって間接的にばね付勢される。ばね部材32nは、下側端部をもって従動シャフト12nの内部空間の底面で支持されるとともに、上側端部をもってゲート部材80nに支持されている。ゲート部材80nは従動シャフト12nの中で軸方向にスライド可能に支承されている。ゲート部材80nはゲート42nを有している。ゲート42nは、従動シャフト12の回転軸22nに対して実質的に横向きに延びている。クランプ部材20nは1つの端部をもって、クランプ部材20nの回転軸26nに対して相対的に可動に支承されたゲート42nの中で案内されている。クランプ部材20nは、インサート工具ユニット18nと反対を向くほうの端部をもって、ゲート42nの中で直接的に案内されている。さらに操作ユニット24は、クランプ部材20nを少なくとも1つの動作状態のとき直接的に、従動シャフト12nの回転軸22nに対して実質的に垂直に力で付勢するために意図される第2のばね部材34nを有している。第2のばね部材34nは、従動シャフト12nの回転軸22nに対して横向きに、ゲート部材80nとクランプ部材20nの間に張設されている。
【0072】
操作ユニット24nは、インサート工具ユニット18nをクランプユニット16nおよび/または従動シャフト12nから取外し可能である少なくともリリース位置へとクランプ部材20nを動かすために意図される。操作ユニット24nは、操作者により操作可能である操作部材を含んでいる。操作部材は、操作ユニット24nの作動部材58nを作動させるための偏心区域を含んでいる。作動部材58nは回転軸22nに沿って並進的に可動なように、特に従動シャフト12nおよび/または伝動装置ハウジングに支承される。作動部材58nは、ゲート部材80nに対して直接的に作用して、これを軸方向へスライドさせるために意図される。作動していない状態のとき、ばね部材32nは最大限までたわんでおり、ゲート部材80nを軸方向で上方に向かってスライドさせる。ゲート42nにより、クランプ部材20nの上側端部がゲート42nの中で第2のばね部材34nのばね力に抗して径方向外方に向かって摺動し、それにより、クランプ部材20nの下側端部が回転軸26nを中心として同じく径方向外方に向かって旋回する。クランプ部材20nは、この位置のときにクランプ位置にある。作動部材58nが作動すると、ゲート部材80nがばね部材32nのばね力に抗して軸方向で下方に向かってスライドする。第2のばね部材34nにより、クランプ部材20nの上側端部がゲート42nの中で径方向内方に向かってスライドし、それにより、クランプ部材20nの下側端部が回転軸26nを中心として径方向内方に向かって旋回する。クランプ部材20nは、この位置のときにリリース位置にある。
【0073】
図16は、特に伝動装置ハウジングの領域における持運び可能な工作機械14oと、クイッククランプ装置10oとの断面図を示している。回転駆動可能な従動シャフト12oを有する持運び可能な工作機械14oのためのクイッククランプ装置10oは、インサート工具ユニット18oを従動シャフト12oへ工具を使わずに固定するために、クランプ部材20oがクランプ位置にあるときにインサート工具ユニット18oに対してクランプ力作用をするために可動に支承された少なくとも1つのクランプ部材20oを有する、少なくとも1つのクランプユニット16oを含んでいる。さらにクイッククランプ装置10oは、クランプ部材20oをクランプ部材20oのクランプ位置へ、ならびに/またはインサート工具ユニット18oをクランプユニット16oおよび/もしくは従動シャフト12oから取外し可能であるリリース位置へ動かすための少なくとも1つの操作ユニット24oを含んでいる。クランプ部材20oは旋回可能に支承されている。クランプ部材20oの回転軸26oは、従動シャフト12oの回転軸22oに対して少なくとも実質的に垂直に延びている。クランプ部材20oは、従動シャフト12oの回転軸22oに対して垂直に延びる回転軸26oを中心として回転可能に支承された揺動レバーによって構成される。クランプ部材20oは回転軸22oに対して部分的にスライド可能である。クランプ部材20oは、従動シャフト12oの回転軸22oに対して実質的に平行に延びている。さらにクランプ部材20oは、ばね部材32oによって間接的にばね付勢される。ばね部材32oは、下側端部をもって従動シャフト12oの内部空間の底面で支持されるとともに、上側端部をもってゲート部材80oに支持されている。ゲート部材80oは従動シャフト12oの中で軸方向へスライド可能に支承されている。ゲート部材80oはゲート42oを有している。ゲート42oは、従動シャフト12の回転軸22oに対して実質的に横向きに延びている。クランプ部材20oは1つの端部をもって、クランプ部材20oの回転軸26oに対して相対的に可動に支承されたゲート42oの中で案内されている。クランプ部材20oは、インサート工具ユニット18oと反対を向くほうの端部をもって、ゲート42oの中で中間レバー82oを介して間接的に案内されている。中間レバー82oは自由端をもって、回転軸としての役目を果たすゲート42oの凹部に配置されている。さらに操作ユニット24は、クランプ部材20oを少なくとも1つの動作状態のとき直接的に、従動シャフト12oの回転軸22oに対して実質的に垂直に力で付勢するために意図される第2のばね部材34oを有している。第2のばね部材34oは、従動シャフト12oの回転軸22oに対して横向きに、ゲート部材80oとクランプ部材20oの間に張設されている。
【0074】
操作ユニット24oは、インサート工具ユニット18oをクランプユニット16oおよび/または従動シャフト12oから取外し可能である少なくともリリース位置へとクランプ部材20oを動かすために意図される。操作ユニット24oは、操作者により操作可能である操作部材を含んでいる。操作部材は、操作ユニット24oの作動部材58oを作動させるための偏心区域を含んでいる。作動部材58oは回転軸22oに沿って並進的に可動なように、特に従動シャフト12oおよび/または伝動装置ハウジングに支承される。作動部材58oは、ゲート部材80oに対して直接的に作用して、これを軸方向へスライドさせるために意図される。作動していない状態のとき、ばね部材32oは最大限までたわんでおり、ゲート部材80oを軸方向で上方に向かってスライドさせる。ゲート42oと中間レバー82oにより、クランプ部材20oの上側端部が第2のばね部材34oのばね力に抗して径方向外方に向かって揺動し、それにより、クランプ部材20oの下側端部が回転軸26oを中心として同じく径方向外方に向かって旋回する。クランプ部材20oは、この位置のときにクランプ位置にある。作動部材58oが作動すると、ゲート部材80oがばね部材32oのばね力に抗して軸方向で下方に向かってスライドする。第2のばね部材34oにより、クランプ部材20oの上側端部が径方向内方に向かってスライドし、中間レバー82oがゲート42oの中で起き上がり、それにより、クランプ部材20oの下側端部が回転軸26oを中心として径方向内方に向かって旋回する。クランプ部材20oは、この位置のときにリリース位置にある。
【符号の説明】
【0075】
10a~o クイッククランプ装置
12a~o 従動シャフト
14a 持運び可能な工作機械
16a~o クランプユニット
18a~o インサート工具ユニット
20a,20a’;20b;20c;20d;20e,20e’;20f,20f’;20g;20h;20i,20i’;20j,20j’;20k,20k’;20l;20m;20n;20o クランプ部材
22a~o 回転軸
24b;24c;24d;24g 操作ユニット
28b;28c;28d;28g 第1の偏心的な力導入点
30b;30c;30d;30g 第2の偏心的な力導入点
32e,32e’;32f;32h;32n;32o;34h;34n;34o ばね部材
36f 方向転換部材
40l;40m 突合せ斜面
42n;42o ゲート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16