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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-01
(45)【発行日】2022-11-10
(54)【発明の名称】自己洗浄イオン生成装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/003 20210101AFI20221102BHJP
   A61L 9/22 20060101ALI20221102BHJP
   H01T 19/04 20060101ALI20221102BHJP
   H01T 23/00 20060101ALI20221102BHJP
   B08B 1/04 20060101ALN20221102BHJP
【FI】
F24F7/003 100
A61L9/22
H01T19/04
H01T23/00
B08B1/04
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020564797
(86)(22)【出願日】2019-02-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-27
(86)【国際出願番号】 US2019017424
(87)【国際公開番号】W WO2019157419
(87)【国際公開日】2019-08-15
【審査請求日】2020-09-28
(31)【優先権主張番号】62/629,295
(32)【優先日】2018-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520302855
【氏名又は名称】グローバル プラズマ ソリューションズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ワデル,チャールズ,ヒューストン
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/168800(WO,A1)
【文献】特開2011-233301(JP,A)
【文献】国際公開第2010/140434(WO,A1)
【文献】特開2017-050183(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/003
A61L 9/22
H01T 19/04
H01T 23/00
B08B 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外縁に向かって延びる底面部と、前記外縁から前記底面部に対して垂直方向に延びて、角部で交わり、その内部に空洞を形成する第1の対向側壁対及び第2の対向側壁対とを備えた第1の部分と、
外縁に向かって延びる底面部を含み、前記第1の部分に選択的に固定されて筐体を形成する第2の部分と、
前記筐体から延出する少なくとも1つのイオン放出装置と、
前記少なくとも1つのイオン放出装置を洗浄するために回転可能に構成された少なくとも1つの洗浄装置と
を備え
前記洗浄装置は、前記空洞内に収容されたモータで駆動される、
自己洗浄イオン生成装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つのイオン放出装置と前記少なくとも1つの洗浄装置とを取り囲む格子を更に備える、請求項1に記載の自己洗浄イオン生成装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つのイオン放出装置は、上部と底部とを有し、
前記上部は、前記筐体の外方向に延出し、前記底部は、前記筐体の前記空洞内に配置される、請求項1に記載の自己洗浄イオン生成装置。
【請求項4】
互いに離間して前記筐体から延出する少なくとも2つのイオン放出装置を備える、請求項1に記載の自己洗浄イオン生成装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの洗浄装置上に配置された、前記少なくとも1つのイオン放出装置を洗浄するための少なくとも1つの洗浄ヘッドを更に備える、請求項1に記載の自己洗浄イオン生成装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つのイオン放出装置は、当該少なくとも1つのイオン放出装置から延びる複数の剛毛を含んで構成されている、請求項1に記載の自己洗浄イオン生成装置。
【請求項7】
前記第1の部分は、前記側壁の1つから前記イオン放出装置の延出方向に延びる第1の側面格子を含み、
前記第2の部分は、前記側壁の1つから前記イオン放出装置の延出方向に延びる第2の側面格子を含み、
前記第1の部分と前記第2の部分とが互いに選択的に固定されると、前記第1の側面格子及び前記第2の側面格子が、前記少なくとも1つのイオン放出装置及び前記少なくとも1つの洗浄装置を保護する、請求項1に記載の自己洗浄イオン生成装置。
【請求項8】
前記筐体に配置された取付装置によって固定可能に構成されている、請求項1に記載の自己洗浄イオン生成装置。
【請求項9】
外縁に向かって延びる底面部と、前記外縁から前記底面部に対して垂直方向に延びて、角部で交わり、その内部に空洞を形成する第1の対向側壁対及び第2の対向側壁対とを備えた第1の部分と、
外縁に向かって延びる底面部を含み、前記第1の部分に選択的に固定されて筐体を形成する第2の部分と、
前記筐体から延出する第1のイオン放出装置及び第2のイオン放出装置と、
前記第1のイオン放出装置を洗浄するために回転可能に構成された第1の洗浄装置と前記第2のイオン放出装置を洗浄するために回転可能に構成された第2の洗浄装置とを含む洗浄アセンブリと
を備え
前記洗浄アセンブリが、前記第1の洗浄装置の歯車と前記第2の洗浄装置の歯車とに係合して前記第1の洗浄装置及び前記第2の洗浄装置を回転させるモータを含む
自己洗浄イオン生成装置。
【請求項10】
前記第2の部分の前記底面部が、当該底面部から外方向に延出する縁を含む、請求項に記載の自己洗浄イオン生成装置。
【請求項11】
少なくとも1つの放出部が、前記筐体内に配置されたイオン生成部に選択的に固定される、請求項に記載の自己洗浄イオン生成装置。
【請求項12】
外縁に向かって延びる底面部と、前記外縁から前記底面部に対して垂直方向に延びて、角部で交わり、その内部に空洞を形成する第1の対向側壁対及び第2の対向側壁対とを備えた略矩形の第1の部分と、
外縁に向かって延びる底面部を含み、前記第1の部分に選択的に固定されて筐体を形成する略矩形の第2の部分と、
前記筐体から延出する第1のイオン放出装置及び第2のイオン放出装置と、
前記第1のイオン放出装置を洗浄するために回転可能に構成された第1の洗浄装置と、前記第2のイオン放出装置を洗浄するために回転可能に構成された第2の洗浄装置と、前記第1の洗浄装置に係合する第1の従動歯車及び第2の洗浄装置に係合する第2の従動歯車に回転可能に接続する駆動歯車とを含む洗浄アセンブリと
を備える自己洗浄イオン生成装置。
【請求項13】
前記空洞内に回路基板を更に備える、請求項12に記載の自己洗浄イオン生成装置。
【請求項14】
前記洗浄装置は、細長部と、前記イオン放出装置の方向に延出する洗浄部とを備え、前記細長部を回転軸として回転可能に構成されている、請求項1に記載の自己洗浄イオン生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概略的には、空気処理の分野に関する。更に、本発明は、具体的には、細い導管やダクトと、電極及び洗浄アセンブリを取り囲む保護格子とからイオン化装置を取り外す必要なしに、当該イオン化装置の放出部を洗浄する、自己洗浄機構を有するイオン化を用いた空気処理に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、空気やその他の流体は、様々な用途に処理されて届けられる。例えば、暖房、換気、及び空調(heating,ventilation and air-conditioning;HVAC)の用途では、空気は、加熱、冷却、加湿、除湿、濾過やその他の処理を施されて、居住スペースや商用スペースなどに届けられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これらの用途や他の用途のために、空気を処理して送るシステム及び方法の改良に関するニーズが存在する。本発明の主な目的は、これらのニーズに応える、改良されたシステム及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一実施形態によれば、自己洗浄イオン生成装置は、外縁に向かって延びる底面部と、前記外縁から前記底面部に対して垂直方向に延びて、角部で交わり、その内部に空洞を形成する第1の対向側壁対及び第2の対向側壁対とを備えた第1の部分と、外縁に向かって延びる底面部を含み、前記第1の部分に選択的に固定されて筐体を形成する第2の部分と、前記筐体から延出する少なくとも1つのイオン放出装置と、記少なくとも1つのイオン放出装置を洗浄するために回転可能に構成された少なくとも1つの洗浄装置と備え、前記洗浄装置は、前記空洞内に収容されたモータで駆動される。
【0005】
本発明の別の実施形態によれば、自己洗浄イオン生成装置は、少なくとも1つのイオン放出装置と少なくとも1つの洗浄装置とを取り囲む格子を含む。
【0006】
本発明の更に別の実施形態によれば、少なくとも1つの洗浄装置は、空洞内に収容されたモータで駆動される。
【0007】
本発明の更に別の実施形態によれば、自己洗浄イオン生成装置は、少なくとも1つのイオン放出装置を含む。このイオン放出装置は、上部と底部とを有し、上部は、筐体よりも上まで延出し、底部は、筐体の空洞内に配置される。
【0008】
本発明の更に別の実施形態によれば、自己洗浄イオン生成装置は、互いに離間して筐体から延出する、少なくとも2つの放出部を含む。
【0009】
本発明の更に別の実施形態によれば、自己洗浄イオン生成装置は、少なくとも1つの洗浄装置上に配置された、少なくとも1つのイオン放出装置を洗浄するための少なくとも1つの洗浄ヘッドを含む。
【0010】
本発明の更に別の実施形態によれば、少なくとも1つのイオン放出装置を含む自己洗浄イオン生成装置は、複数の剛毛を備えたイオン放出装置を含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】自己洗浄イオン生成装置の外観斜視図である。
図2】自己洗浄イオン生成装置の内部図である。
図3】自己洗浄イオン生成装置の外観斜視図である。
図4】自己洗浄イオン生成装置の別の内部図である。
図5】自己洗浄イオン生成装置の外観斜視図である。
図6】自己洗浄イオン生成装置の外観斜視図である。
図7】自己洗浄イオン生成装置の内部図である。
図8】自己洗浄イオン生成装置の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
関連出願の相互参照
本特許出願/特許は、2018年2月12日に出願された「SELF CLEANING ION GENERATOR DEVICE」という名称の、同時係属中の米国特許仮出願62/629,295の優先権の利益を主張するものであり、当該出願はその全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0013】
本発明を、各種図面を参照しながらここに例示し説明する。図面において、類似の方法、ステップ及び/又はシステムの構成要素には、それぞれ、類似の符号を付してある。
本開示の一部をなす添付の図面に関連して、以下の本発明の詳細な説明を参照することにより、本発明はより分かり易く理解されるだろう。本発明は、ここに説明、及び/又は図示する具体的な装置や方法、条件、パラメータに限定されるものではない。ここで用いられる用語は、ほんの一例として特定の実施形態を説明する目的で用いられ、特許請求の範囲に記載する発明を限定するものではないことを理解されたい。本明細書で特定される特許及びその他の刊行物の全ては、その全体が本明細書で説明されているかのように、参照により組み込まれているものとする。
【0014】
また、本明細書及び特許請求の範囲において、単数として記述がある場合は、複数であることも含み、特定の数値に言及する場合は、文脈上明らかに別段の規定がない限り、少なくともその値を含むものとする。本明細書において、範囲については、「約」あるいは「おおよそ」の特定値から、及び/又は、「約」あるいは「おおよそ」の別の特定値までであるとして表され得る。このような範囲が表される場合、別の実施形態は、上記特定値から、及び/又は、上記別の特定値までの範囲を含むものとする。同様に、値が、「約」という副詞によって近似値として表されている場合、その特定の値が別の実施形態を形成するものとして理解されたい。
【0015】
ここで特に図面を参照して、概ね符号10として示される自己洗浄イオン生成装置を、図1図2図3図5及び図6に例示する。装置10は、第1の部分14と第2の部分16とを有する筐体12を含む。第1の部分14は矩形であってよく、第2の部分16に選択的に固定される。第2の部分16もまた、矩形であってよい。第1の部分14は、外縁に向かって延びる底面部18を含み、この外縁から上方向に、第1の対向側壁対20及び第2の対向側壁対22が延出する。第1の対向側壁対20及び第2の対向側壁対22は、角部において交わり、その内部に空洞24を形成する。
【0016】
第2の部分16は、外縁に向かって延びる底面部26を有する。縁28が、底面部26の外周に亘って、底面部26から上方向に延出する。縁28は、底面部26の外縁から所定の距離だけ内側に位置がずれている。すなわち、縁28は、底面部26から上方向に延出するが、底面部26の外縁とは接することなく、底面部26の外縁から離れて配置される。
【0017】
少なくとも1つの円筒状ボア30が、第1の部分14の底面部18に取り付けられ、底面部18から上方向に延出する。図2及び図4に例示するように、円筒状ボア30は、各角部に隣接して配置され、第1の部分14の底面部18から上方向に延出する。追加の円筒状ボア30が、底面部18の中央部付近に配置され、そこから上方向に延出してもよい。円筒状ボア30は、図示のように、第1の対向側壁対20及び第2の対向側壁対22の高さと実質的に同様な所定の高さまで延出する。
【0018】
対応する孔32が第2の部分16に配置されており、底面部26の上面から底面まで延びている。この孔32は、第2の部分16に第1の部分14を選択的に固定するためのネジやボルト等の締結手段34を挿入するためのものであり、第2の部分16を第1の部分14の上から被せると、図8に例示するように、円筒状ボア30の真上に位置する。
【0019】
図2図4図7及び図8に示すように、少なくとも1つのイオン放出装置36が空洞24内に位置し、回路基板38に電気的に、且つ通信可能に接続されている。図示のように、装置10は、離間した2つのイオン放出装置36を含む。回路基板38は、空洞24の中に収容され、第1の部分14に嵌合している。回路基板38は、装置10に電力を供給する電力供給源を含んでもよい。この電源は、電気を供給してイオン放出装置36を駆動することにより、イオンを生成させる。イオン放出装置36は、ニードルやブラシなどの、イオンを放出可能な任意の構成要素である放出部を含む。図中に示すように、イオン放出装置36は、上部と底部とを含む。イオン放出装置36の上部は、装置10から外方向に延びている。すなわち、イオン放出装置36の上部は、第1の部分14及び第2の部分16が結合した形態のとき、第1の部分14及び第2の部分16の一側壁から外方向に延びている。この上部は、イオンを放出するための放出部を含む。イオン放出装置36の底部は、空洞24内に配置され、電源と電気的に接続された回路基板38に電気的に接続される。あるいは、イオン放出装置36の底部は、直接、電源に電気的に接続されてもよい。
【0020】
イオン放出装置36の放出部は、ニードルやブラシであってもよい。ニードルは、先端に行くほど細くなる細長部を一端に含む。すなわち、ニードルは、底部と上部とを有する。底部は上部よりも幅が大きく、上部は、イオンを放出可能な先端を規定する。あるいは、放出部は、ブラシを含んでもよく、このブラシは、ブラシから離れて外側に延出する複数の剛毛を有する。ブラシ及びその剛毛は、任意の導電性材料からできていてもよく、ここでは、剛毛を備えたブラシと高電圧線又は電極との組み合わせを、電極と総称することがある。一実施形態において、ブラシの剛毛は、ポリマーに導電性を付与するための導電性材料が組み込まれた熱可塑性ポリマーから成る。例えば、ブラシの剛毛は、カーボンを含浸したポリプロピレンやポリエチレンから成ってもよい。一般に、ブラシの剛毛は、約20~約80重量%のポリプロピレン共重合体又はポリエチレン共重合体と、約5~約40重量%のタルクと、約5~40重量%のカーボンブラックとを含んでもよい。しかし、ブラシの剛毛には、その他の任意の抵抗性、誘導性、反応性、又は導電性をもつプラスチックや非金属材料を使用してもよい。ブラシは、取り替え可能で簡単に取り外せるものであり、新しい剛毛を挿入・保持できるものであってもよい。
【0021】
装置10内には、洗浄アセンブリ42が配置されている。図8に示すように、洗浄アセンブリ42は、モータ44と、駆動歯車46と、第1の従動歯車48と、第2の従動歯車50と、第1の洗浄装置52と、第2の洗浄装置54とを含む。モータ44は、好ましくは、駆動歯車46を回転させるDCステッピングモータである。駆動歯車46は、第1の従動歯車48及び第2の従動歯車50と噛み合う。駆動歯車46の歯は、第1の従動歯車48及び第2の従動歯車50の歯と相互に連結している。駆動歯車46が回転すると、第1の従動歯車48及び第2の従動歯車50も回転する。第1の従動歯車48及び第2の従動歯車50は、駆動歯車46の両側に配置されている。第1の洗浄装置52は、第1の従動歯車48に係合する。第2の洗浄装置54は、第2の従動歯車50に係合する。
【0022】
第1の洗浄装置52は、第1の従動歯車48から外方向に延出する延伸部56を含む。第2の洗浄装置54は、第2の従動歯車50から外方向に延出する延伸部56を含む。第1及び第2の洗浄装置(52,54)のそれぞれの上には、洗浄部58が配置される。洗浄部58は、それぞれのイオン放出装置36の上部に接触可能となるように、延伸部56から外方向に延出する。
【0023】
第1の部分14及び第2の部分16の上方側壁は、少なくとも1つのボア60を含んでいてもよく、図1に例示するように、上端に少なくとも2つのボア60を含んでいてもよい。上方側壁は、第1の対向側壁対20又は第2の対向側壁対22のうちの、一方の側壁である。ボア60は、上方側壁の内面から外面へと延びる。各イオン放出装置36は、ボア60を通って延び、その上部がボア60より上方に延出し、その底部がボア60より下方に延出する。
【0024】
図4に例示するように、第1の高電圧線が一方のイオン放出装置36と係合し、第2の高電圧線が他方のイオン放出装置36と係合し、それぞれのイオン放出装置36の上部からイオンが生成されるように電力を供給する。
【0025】
離間した2つの開口部62が、第1の部分14の上記の上方側壁に配置されている。
図2図4図7、及び図8に示すように、これらの開口部62は、それぞれ、上方側壁内に形成され片側に開口するU字状部を含む。第2の部分16が第1の部分14に係合すると、底面部26は開口した側を閉鎖する役を果たす。図2及び図8に示すように、第1の弓状部64が、第1の部分14の開口部62よりも上に上方向に延出する。第1の弓状部64は、U字状の開口部62の底部に隣接し、開口部62から上方向に延出する。一対の第2の弓状部66が、第2の部分16に配置されている。図2に例示するように、第2の弓状部66は、第2の部分16の上端に隣接して配置される。第1の部分14と第2の部分16とが選択的に固定されると、第1の弓状部64と第2の弓状部66とが、開口部62から上方向に延出する円形状のカラーを形成する。選択的に固定されたとき、この円形状のカラーは、中空であり、開口部62を完全に取り囲み、上記上方側壁から上方向に垂直に延びる。図2に示すように、第1の弓状部64と第2の弓状部66とが係合することにより形成される円形状のカラーは、洗浄アセンブリ42の延伸部56を取り囲む。図2に示すように、モータ44、駆動歯車46、第1の従動歯車48、及び第2の従動歯車50が、装置10の空洞24内に配置されている。延伸部56の第1の部分も空洞24内に配置されているが、開口部62を通って、第1の弓状部64と第2の弓状部66との係合により形成される円形状のカラーの上端より上まで延出する。
【0026】
イオン放出装置36の放出部に接触して放出部を洗浄するための洗浄ヘッド68が、洗浄部58上に配置されている。洗浄ヘッド68は、取り外し可能且つ取り替え可能であることが好ましい。洗浄ヘッド68は、ブラシ、布、発泡パッド等の、イオン放出装置36の放出部を洗浄し得る任意の手段を含んでもよい。
【0027】
回路基板38の電気回路系は、モータ44を所定の時間に起動又は作動させる、モータ44のタイミングを調整するタイミング回路を含んでもよい。駆動歯車46は、モータ44により駆動され、所定の間隔でモータ44を作動させるタイミング回路に動作可能に接続されている。ほんの一例として、駆動歯車46を12~24時間毎に作動させてもよい。これにより、第1の従動歯車48及び第2の従動歯車50が回転し、イオン放出装置36の放出部を洗浄するために、第1の洗浄装置52及び第2の洗浄装置54が回転する。洗浄装置(52,54)の作動中、装置10はイオンの生成を停止して、ばらばらの粒子が洗浄ヘッド68に付着することを防止する。
【0028】
格子70が、装置10の1つの側面に配置されている。格子70は、第1の側面72及び第2の側面74を有する。格子70の第1の側面72は、上方側壁の外面に配置される。第1の側面72は、互いに離間して側壁の外側の面に沿って延びる第1の端部及び第2の端部を有する。格子70の第1の面部は、側壁の長さに沿って延び、この面部の第1の辺は、第1の端部の端に接する。第1の面部の第2の辺は、第2の端部の端に接する。好ましくは、第1及び第2の端部は連続しており、第1の面部は、第1の面部の内側から外側に向かって縦方向に延びる複数のスロット80を有し、第1の面部を空気が通過できるようになっている。
【0029】
第2の面部は、第2の部分16の底面部26の一辺の上端から延びる。第2の面部は、第1の面部と同一の構成であり、第2の面部の内側から外側に向かって縦方向に延びる複数のスロット80を有し、第2の面部を空気が通過できるようになっている。第1の部分14と第2の部分16とが互いに係合すると、第2の面部の第1の端が、第1の端部の一端に係合し、第2の面部の第2の端が、第2の端部の一端に係合する。格子70の第1の側面72及び第2の側面74が互いに係合すると、格子70は、矩形をなし、各イオン放出装置36と第1の洗浄装置52及び第2の洗浄装置54とを取り囲む。格子70の上側は開口している。格子70は、洗浄部58が延伸部56の回りを一周できるような十分な幅を有する。
【0030】
本発明の他に採りうる実施形態において、装置10は、建物管理システムに通信可能に接続されて、装置10からイオンが生成されていない場合に建物管理システムに信号を送る警報接点を含む警報機能を含む。建物管理システムは、この信号を受けて、装置10がイオンを生成していないことをユーザに知らせる警報を発する。予防整備中にモータの状態を確認するために、装置10にテストボタン76を設けて、発光ダイオード(LED)ライト等のライト78を点灯させて洗浄テストを実施中であることを示してもよい。LEDライト等のライトを点灯させて、装置10に電力が供給されていることを示す。
【0031】
装置10は、気流速度や、湿度や気温等のその他の条件に拘らず、おおよそ等量の陽イオン及び陰イオンを生成してもよい。例としての形態において、装置10は、少なくとも約2億個/ccの濃度の陽イオン及び陰イオンを生成し、外部の変圧器を使用せずに、24ボルトAC(VAC)、110VAC、又は200VAC~240VACで動作する。他の選択しうる実施形態において、装置は、陰イオンのみ、陽イオンのみ、又は、不等量の陰イオン及び陽イオンを生成する。装置10は、超小型化のために随意にナノ電子部品を用いると、一つのイオン生成モジュール当たり10ワットしか必要としない。筐体12は、そこから延出する、24VAC、110~240VAC、及びニュートラルな入力を接続するための端子を含んでもよい。
【0032】
装置10は、正電荷を帯びたイオンが負電荷を帯びたイオンと再結合することを防ぐため、放出部が装置10を横切る気流の方向に対して概ね垂直になるように、ダクト等の、エアハンドリングユニットの導管や筐体の所定位置に配置されて、固定されてもよい。装置10は、取付手段を受けるためのボアが中央に設けられている取付装置82を含んで、当該装置を所定位置に固定できるようになっていてもよい。装置10は、ダクトユニット及びダクトレスユニットを含む、可変冷媒流HVACシステム内の導管内部に取り付けられてもよい。
【0033】
本発明のシステム及び方法による、導管内の気流を双極性イオン化することによる空気処理は、様々な目的に利用され得る。例えば、エアハンドリングユニットの筐体又はダクト等の、HVAC導管内の気流への双極性イオン化の適用は、気流が向かう空気処理がなされる空間における、アレルゲン、病原体、臭気、ガス、揮発性有機化合物、細菌、ウイルス、カビ、鱗屑、真菌、ヒョウヒダニ類、動物やタバコの臭い、及び/又は静電気の軽減に利用されてもよい。居住スペース及び作業スペースにおける空気のイオン化は、ビル関連疾患を低減させ、室内空気の質を改善させ得ると共に、処理済の室内空気と混合させる必要のある外気の量を減らすことができ、空気循環をより高めて加熱及び冷却のコストを削減することができる。
【0034】
使用中、装置10に電力が供給されると、装置10は全システムの内部チェックを開始する。初期化後、このチェックにより全てのシステムが動作可能であると確認されると、LEDライト78が点滅して、装置に電力が供給されたことを示す。装置10は、テストボタン76も含む。テストボタン76は、押下されると、装置10の洗浄サイクルを開始させる。これにより、モータ44が起動して、駆動歯車46を回転させる。その結果、第1及び第2の洗浄装置(52,54)が回転して、イオン放出装置36の放出部を洗浄する。
【0035】
本発明を、好ましい実施形態及びその具体的な実施例を参照しながらここに例示・説明したが、その他の実施形態や実施例でも同様の機能を発揮できる、及び/又は類似の結果を達成できるだろうということが、当業者にはすぐに分かるだろう。そのような同等の実施形態や実施例も全て本発明の趣旨及び範囲内にあり、以下のクレームが適用されるものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8