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特許7169373電流経路の直流電流を遮断するための断路装置及び回路遮断器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-01
(45)【発行日】2022-11-10
(54)【発明の名称】電流経路の直流電流を遮断するための断路装置及び回路遮断器
(51)【国際特許分類】
   H01H 33/59 20060101AFI20221102BHJP
   H01H 73/04 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
H01H33/59 B
H01H73/04
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020565454
(86)(22)【出願日】2019-05-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 EP2019063095
(87)【国際公開番号】W WO2019224198
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2021-06-02
(31)【優先権主張番号】102018208119.0
(32)【優先日】2018-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】509031497
【氏名又は名称】エレンベルガー ウント ペンスケン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110002011
【氏名又は名称】特許業務法人井澤国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100072039
【弁理士】
【氏名又は名称】井澤 洵
(74)【代理人】
【識別番号】100123722
【弁理士】
【氏名又は名称】井澤 幹
(74)【代理人】
【識別番号】100157738
【弁理士】
【氏名又は名称】茂木 康彦
(74)【代理人】
【識別番号】100158377
【弁理士】
【氏名又は名称】三谷 祥子
(72)【発明者】
【氏名】エンゲバル マヌエル
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-104364(JP,A)
【文献】特開2014-241187(JP,A)
【文献】特開平3-196421(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 33/59
H01H 9/54
H01H 50/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
具体的には回路遮断器(8)用の電流経路(2)の直流電流を遮断するための断路装置(14)であって、電流が流れる機械接点システム(18,18’)と前記機械接点システム(18,18’)に並列接続された半導体スイッチングシステム(20)とを有するハイブリッドスイッチ(16)を備える断路装置(14)であって、
前記接点システム(18,18’)は、少なくとも1つの不動の固定接点(22a,22b)と少なくとも1つの移動接点(24a,24b)とを備え、
前記移動接点(24a,24b)は、駆動システム(28,28’)に結合された電流が流れる接点ブリッジ(26,26’)に配置されており、前記接点ブリッジ(26,26’)は、切替運動時に、前記移動接点(24a,24b)を開放位置から、固定接点(22a,22b)に接触力(Fk)を印加する閉鎖位置に移動させるものであり、
前記接点ブリッジ(26,26’)には、少なくとも1つの第1の磁気素子(38,38’)が配置されており、前記少なくとも1つの第1の磁気素子(38,38’)は、空隙(42)によって、不動の第2の磁気素子(40,40’)に対して間隔を置いて配置されて、電流が前記接点ブリッジ(26,26’)を流れる際に、磁界(B)が前記第1の磁気素子(38,38’)に生じて、前記第1及び前記第2の磁気素子(38,38’,40,40’)が磁気で引き寄せられるようになっており、この引き寄せは、前記接触力(Fk)と同じ方向に向けられた磁力(Fm)を生じさせる、
さらに、
前記接点ブリッジ(26’)は、ほぼU字型であり、2つの移動接点(24a,24b)は、縦方向のU字脚部(26’a)のそれぞれの自由端に配置されており、
前記縦方向のU字脚部(26’a)に沿って、それぞれ1つの、アンカープレートとして実施された第1の磁気素子(38’)が配置されており、
磁石ヨークとして実施された2つの第2の磁気素子(40’)が設けられており、前記2つの第2の磁気素子(40’)は、前記回路遮断器(8)の非導電性のハウジング(48)に筐体固定されて配置され、それぞれ、対向して配置された前記接点ブリッジ(26’)の縦方向のU字脚部(26’a)を少なくとも部分的に包囲する2つの縦方向のU字脚部(40’b)を備える、
断路装置(14)。
【請求項2】
前記U字脚部(40’b)は、それぞれ、前記U字脚部(26’a)を、前記U字脚部(26’a)の自由端と上記第1の磁気素子(38’)との間に前記空隙(42)が形成されるように、少なくとも部分的に包囲している、請求項1に記載の断路装置(14)。
【請求項3】
前記機械接点システム(18,18’)は、2つの固定接点(22a,22b)と2つの移動接点(24a,24b)とを備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の断路装置(14)。
【請求項4】
前記第1の磁気素子(38,38’)及び前記第2の磁気素子(40,40’)は、いずれも、軟磁性材料、具体的には軟磁性鉄材料から成ることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の断路装置(14)。
【請求項5】
前記接点ブリッジ(26’)の切替運動は、揺動又は回転運動であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の断路装置(14)。
【請求項6】
請求項1~のいずれか1項に記載の断路装置(14)を備える回路遮断器(8)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、具体的には回路遮断器用の、電流経路の直流電流を遮断するための断路装置であって、電流が流れる機械接点システムとこれに並列接続された半導体スイッチングシステムとを含むハイブリッドスイッチを備える断路装置に関する。本発明はさらに、このような断路装置を備える回路遮断器に関する。
【背景技術】
【0002】
電気部品又は装置を回路又は電流回路から確実に分離することが、例えば、設置、取り付け、又は、メンテナンス目的のため、及び具体的には、一般的な人的保護のために望ましい。したがって、対応するスイッチユニット又は断路装置は、負荷下の遮断、つまり電流回路に供給する電圧源を事前にオフしない遮断が可能でなければならない。
【0003】
負荷を分離するために、パワー半導体スイッチを使用することが可能である。しかしながら、これらは、通常動作においても避けることができない動力損失が半導体スイッチに発生するという欠点がある。さらに、このようなパワー半導体では、典型的には、ガルバニック分離を確保すること、したがって確実な人的保護を確保することは不可能である。これに対して、負荷を分離するために、機械スイッチ(開閉接点)を使用するならば、接点開放を行う際に、電気装置の電圧源からのガルバニック分離も行われる。
【0004】
このような機械スイッチ又は接点システムの電気接点は、多くの場合、不動の固定接点及びこれに対して移動可能な移動接点として実施されている。ここで、移動接点は、固定接点に対して移動可能であり、閉鎖位置から開放位置に移行可能である。これは、接点システム又はスイッチユニットを切り替えるために、移動接点が、開放位置と閉鎖位置との間を、切替運動によって移動することを意味している。
【0005】
接点システムの接点は、閉鎖位置において、接点システムを流れる電流が集中する典型的には極めて小さな接触位置を形成する。この場合、動作中に磁気効果が生じる。これは具体的には、いわゆる「ホルムの収縮力(holmsche Engekraft: constriction force)」と呼ばれ、移動接点と固定接点との間の接触接点を解消する力を接点に及ぼすものである。これを回避するために、このような接点システムは、通常、バネ要素を備えている。バネ要素は、バネの力で移動接点を固定接点に対して押圧する、すなわち、閉鎖位置に向けた接触力又は接触圧力を追加的に印加する。
【0006】
しかしながら、故障電流又は過負荷電流の場合、ホルムの収縮力が接触力を超えることが起こる場合があり、これによって、望ましくない接点の分離が生じる。具体的には、切り替え対象の直流電圧が24ボルト(DC)以上である場合、電流が流れている電気接点が分離されると、接点の開放後に、電流がアーク経路に沿ってアーク放電の形で流れ続けるため、スイッチングアークが生じる場合が多い。約50ボルト以上の直流電圧及び約1アンペア以上の直流電流の場合、このようなスイッチングアークは、場合によっては自然に消えないため、接点システムが損傷を受けたり完全に壊れてしまったりする場合がある。
【0007】
ハイブリッドスイッチを備える、いわゆるハイブリッド断路装置が想定可能である。このようなハイブリッドスイッチは、通常、機械接点システムとこれに並列接続された半導体スイッチングシステムとを備える。ここで、半導体スイッチングシステムは、少なくとも1つのパワー半導体スイッチを備えている。このパワー半導体スイッチは、接点システムが閉鎖されている時に開放し、すなわち非導電状態であり、接点システムが開放されている時には、少なくとも一時的に導電状態に切り替えられる。
【0008】
具体的には、オンした時に、まず半導体スイッチングシステムが起動し、しばらくして電流が安定化した後に、接点システムが閉鎖される。その後、半導体スイッチングシステムが動作を停止し、機械接点システムが全ての電流を引き受ける。オフする場合は、逆の順番で対応して行われる。これによって、アークの電流が、接点システムの接点から半導体スイッチングシステムに導かれる、又は、転流することにより、アークは、接点システムの開閉接点の間で消弧されるか、又は、最初から発生しない。
【0009】
したがって、このようなハイブリッド断路装置では、移動接点を開放位置に移動させるスイッチング工程、すなわち機械接点システムが開放されるスイッチング工程において、接点間のスイッチングアークを、少なくとも限られた電流領域において、確実に回避することが可能である。好適には、断路装置は、ハイブリッドスイッチに対して直列接続して配置されたヒューズを備える。ここで、このヒューズは、この電流領域以上の電流の場合に、当該システムを、確実に保護することを確保するものである。
【0010】
このような断路装置を回路遮断器において使用する際には、ハイブリッドスイッチが故障電流又は過負荷電流を確実に保持することを確保する必要がある。なぜなら、そうでなければ、所定の特性曲線内の(ヒューズ)安全装置の確実な応答が確保されないからである。特性曲線内の安全装置の応答を、経年劣化作用も考慮しつつ確保するためには、数キロアンペア(kA)までの過電流が、機械接点システムによって確実に保持される必要がある。したがって、接触圧力をその何倍もの高さに上昇させる必要がある。このことは、接点システムの、定格電流領域における低オーム抵抗の接点形成にとって、必須であり得る。
【0011】
安全装置の確実な応答を確保するためには、例えば、接触圧力を生成するための1つ又は複数のバネ要素を、対応して大型に形成することが可能である。こうすれば、接触力又は接触圧力は、収縮力が発生した際に、例えば機械振動に対しても十分な予備を有することが可能になる。しかしながら、これによって、製造コストだけでなく断路装置用に必要となる設置スペース要件も高くなることが欠点である。さらに、接点システムの切り替え及び維持に係る手間が、比較的大きくなる。
【0012】
具体的には、1つの固定接点及び1つの移動接点だけを有する接点システムでは、移動接点を(導体)ループとして実施することが想定可能である。動作中は、ループを通って流れる電流が、磁界を生成し、これが、接触力を補助するための磁力を作用させる。これによって、収縮力を補償することが可能である。この場合この作用は、電流の流れる方向とは無関係である。
【0013】
例えば、永久磁石の磁界を、直接又はバッフル板を介して、接点システムの領域に方向付けて、電流が流れる間に移動接点を包囲する磁界と協働して、有効な作用を接触圧力に生じさせるようにすることも想定可能である。ここで、生じる磁力の方向は、電流の流れる方向に依存する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の課題は、電流経路の直流電流を遮断するために特に適した断路装置を提供することにある。本発明の課題はさらに、対応する断路装置を備える回路遮断器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る断路装置は、具体的には電流経路に接続された回路遮断器用の、電流経路の直流電流を遮断するために適していると共に、そのように構成されている。この、具体的にはハイブリッド断路装置は、電流経路の直流電流を遮断するためのハイブリッドスイッチを備えている。
【0016】
ハイブリッドスイッチは、切り替え可能な機械接点システムを備えている。「機械接点システム」とは、以下において、完全に機械式だけでなく電気機械式の接点システムであると理解される。
【0017】
「切り替える」とは、ここで及び以下において、具体的には、接点システムの機械式又はガルバニック式に接点を分離すること(「開放」)及び/又は接点を閉鎖すること(「閉鎖」)であると理解される。接点システムの接点経路は、ハイブリッドスイッチの半導体スイッチングシステムに並列接続されている。換言すると、ハイブリッドスイッチは、接点システムと半導体スイッチングシステムとの並列接続体を有する。半導体スイッチングシステムは、少なくとも1つの制御可能なパワー半導体スイッチを備えていることが、都合が良い。
【0018】
接点システムは、少なくとも1つの不動の固定接点と、これに対して相対運動可能な少なくとも1つの移動接点とを備える。移動接点は、電流が流れる接点ブリッジ(スイッチングアーム)に支援されている。ここで、接点ブリッジは、例えば、銅材料から成る。接点ブリッジは、駆動システムに結合されており、接点ブリッジ及び従って移動接点を、開放位置から、固定接点に接触力を印加する閉鎖位置に移動させる。換言すると、移動接点には、駆動システムによって、接点の確実な当接を確保する押圧又は接触圧力が印加される。駆動システムは、好ましくは、バネ要素を有して実施されており、接触力(閉鎖力)が、バネ要素の初張力として又は復元力として生じる。
【0019】
本発明によれば、接点ブリッジには、少なくとも1つの第1の磁気素子が配置されており、第1の磁気素子は、空隙によって、不動の第2の磁気素子に対して間隔を置いて配置されており、電流が接点ブリッジを流れる際に、第1の磁気素子に磁界を生じさせて、第1及び第2の磁気素子が磁力で引き寄せられるようになっている。換言すると、第1の磁気素子は、電流が流れる接点ブリッジによって生成された磁界を導き、磁気回路が、空隙を介して第2の磁気素子によって閉鎖される。この引き寄せ又は磁気相互作用の間に、接触力と同じ方向に向けられた磁力(引き寄せ力)が生じ、これによって、移動接点の固定接点に対する接触力が有効かつ効果的に上昇する。
【0020】
電流によって、駆動システムの接触力に追加的に、接触圧力を上昇させる力、つまり生じるホルムの収縮力に反作用する力が、両方の磁気素子間に発生する。換言すると、接触力及び磁力は、収縮力の反対の方向に向けられる。ここで、この力の作用は、電流の流れる方向とは無関係であり、したがって、常に接触力を強化するように機能する。
【0021】
収縮力だけでなく生じる磁力も、接点システムを介して流れる電流強度の二乗に対して比例して増大する。これは、過負荷電流又は故障電流の場合に、収縮力だけでなく磁力も同様に増大するので、磁気素子による磁力は、常に、収縮力を補償するために十分な大きさを有することを意味している。したがって、常に確実かつ動作信頼性を有して接点を当接させることが確保される。具体的には、故障電流又は過負荷電流の場合でも、望ましくない接点の分離が有効かつ容易に回避される。これによって、電流経路の直流電流を遮断するために特に適した断路装置が実現される。
【0022】
具体的には、接触圧力用の追加的な磁力は、移動接点を確実に固定接点に押圧することが必要な時に初めて生成される。したがって、従来技術とは異なり、駆動システムの接触圧力バネを大きな寸法で形成する必要がなくなり、これによって、断路装置の製造コスト及び設置スペース要件が低減される。さらに、接点システム又はハイブリッドスイッチを切り替える際に、比較的わずかな引き寄せ及び保持エネルギーや、比較的わずかな手間しか必要とされない。保持エネルギーが低減されることにより、駆動システムの発熱作用が低減され、これによって、特に小さい設置スペースの駆動システムが利用可能になる。また、より高い定格電流を実現可能である。したがって、双安定の接点システムとして実施する場合、例えば、比較的弱い永久磁石を利用することが可能になる。
【0023】
機械接点システムがハイブリッドスイッチの一部であるため、切り替え時に、具体的には接点を開放する際に、(スイッチング)アークは生じない。このため、接点燃焼による作用を実質的に回避することができ、空隙による磁気素子の調節を特に効果的に設定可能又は規定可能である。したがって具体的には、断路装置の少なくとも磁気素子の力の作用については、その耐用年数を通してほとんど変動しない。
【0024】
不動の第2の磁気素子は、ハイブリッドスイッチの一部でないこと、具体的には可動接点システムの一部でないことが好ましい。第2の磁気素子は、例えば、断路装置又は回路遮断器のハウジングに配置されて、そのため、生じる磁力の作用点は、接点システムの駆動システムの外部に、又は、これから間隔を置いて設置される。これによって、磁気素子の機能は常に確保される。
【0025】
空隙は、例えば約0.3mm(ミリメートル)から1mmの空間距離を有している。好ましくは、空隙は、具体的には約0.5mmの空間距離を有している。
【0026】
本発明によれば、電流が流れる接点ブリッジ自体が、駆動システムを支える磁界を生成するために利用される。したがって、磁気素子は、生じる磁力が直接接点ブリッジに作用する、追加的な電磁気アクチュエータ又はソレノイドとして機能するので、電流強度が高い場合、具体的にはキロアンペアの領域(kA)の場合に生じる接点の反発が、確実かつ動作信頼性を有して補償される。具体的には、本発明に係る断路装置の接点システムは、補助用の引き寄せ又は閉鎖力(磁力)を生成するための追加的な永久磁石を必要としない。このため、断路装置は、特に安価に製造される。さらに、この機能は、電流の流れる方向に無関係であるので、接点システム及び従って断路装置は、実質的には双方向で使用可能である。
【0027】
従来技術とは異なり、本発明に係る磁気素子の引き寄せ作用により、接点ブリッジを介して電流を導くことを、ループ状に導かれる接点ブリッジ(導体ループ)の反発と比べてより好適に行うことが可能である。これによって、極めて設置スペースが小さい断路装置の形態が可能になる。また、接点閉鎖時の最大作用が実現される。移動距離がより大きい接点(長い分離距離、高い電圧)の場合は逆に、導体ループを、対応して広く及び従って無駄に広く実施しなければならない。したがって、接点ブリッジ自体を、特に設置スペースを小さくして、かつ、省材料化して実施可能であり、これによって、さらに接点システムの電力損失も低減される。
【0028】
好適な一発展形態では、機械接点システムは、2つの固定接点と2つの移動接点とを備えている。ここで好適にも、移動接点がほぼ同時に、すなわち同期して移動するので、両方の切り替え位置又は接点位置における切り替えがほぼ同時に行われる。換言すると、接点システム及び従ってハイブリッドスイッチは、好ましくは互いに間隔を置いて配置された2つの接点対又は分離位置を有している。したがって、特に動作信頼性を有した接点システムの切り替えが可能であり、これによって、断路装置の切替動作が改善される。
【0029】
好適な一形態では、第1の磁気素子及び第2の磁気素子はいずれも、軟磁性材料、具体的には軟磁性鉄材料から成る。ここで、軟磁性材料又は原料とは、具体的には、磁界の存在下において容易に磁化される強磁性材料であると理解される。この磁気分極は、具体的には、電流が流れる接点ブリッジ内の電流によって生成される。分極によって、各磁気素子の磁束密度は何倍にも上昇する。これは、軟磁性材料が外部磁界を、その各材料透磁率だけ「強化」することを意味している。これによって、磁気素子間にできるだけ高い磁力が生成されるので、収縮力は常に確実に補償されることが確保される。
【0030】
軟磁性の原料は、1000A/m(アンペア毎メートル)未満の保磁力を有している。軟磁性材料としては、例えば、80~120A/mの保磁力を有する磁気軟鉄(RFe80~Rfe120)が使用される。同様に、例えば、EN10139-DC01+LC-MA(「変圧器板」)といった冷延板の使用も想定可能である。これによって、特に安価な形態が実現される。
【0031】
想定可能な一形態では、第1の磁気素子及び第2の磁気素子は、一対の、ヨーク/アンカー対として実施されている。ここで、磁気素子のうちの一方は、ほぼU字型又は馬蹄型の磁石ヨークとして実施されており、他方の各磁気素子は、平坦なアンカープレートとして構成されていることが好ましい。
【0032】
好適な一形態では、接点ブリッジは、接点ブリッジの対向する先端に配置された、2つの移動接点を備えるほぼ矩形体に実施されている。これによって、特に容易な、接点システムの可動部の構成が実現される。移動接点は、接点ブリッジの共通の平面に配置されていることが好ましく、ここで、駆動システムへの結合は、好適には、移動接点の反対側の接点ブリッジの平面において行われる。
【0033】
有効な一形態では、第1の磁気素子は、水平方向のU字脚部の領域において接点ブリッジに当接する、U字型の磁石ヨークとして実施されている。ここで、第1の磁気素子又は磁石ヨークは、具体的には機械結合する領域において水平方向のU字脚部で駆動システムに当接し、磁石ヨークは、縦方向のU字脚部によって、接点ブリッジを少なくとも部分的に包囲する。
【0034】
好適には、縦方向のU字脚部は、接点ブリッジを包囲して、接点ブリッジの第1の磁気素子の縦方向のU字脚部が固定接点の方向に突出し、それぞれ1つの自由端側の空隙によって、アンカープレートとして実施された第2の磁気素子に対して間隔を置いて配置されるようにする。ここで、第2の磁気素子又はアンカープレートは、接点ブリッジに対して実質的に横方向に、すなわち、第1の磁気素子又は磁石ヨークの水平方向のU字脚部に対してほぼ平行に向けられている。
【0035】
有効な一発展形態では、接点ブリッジの切替運動、すなわち、駆動システム及び/又は磁気素子によって生じる接点ブリッジの運動は、直線状である。接続詞「及び/又は」は、ここで及び以下において、この接続詞によって関連付けられた特徴が、共に、及び、互いに対して選択的に構成可能なことであると理解される。これによって、駆動システム及び接点ブリッジ並びに磁気素子の、構造的に特に簡素な形態及び配置が可能である。
【0036】
有効な他の一形態では、接点ブリッジは実質的にU字型に実施されており、縦方向のU字脚部の各自由端に、2つの移動接点が配置されている。この接点ブリッジの他の形態は、安価に製造可能であり、接点間の特に大きな分離距離、すなわち、開放位置における接点間の大きな空間距離を可能にする。本実施形態では、駆動システムは、好ましくは、傾斜アンカー磁気システムとして実施されており、これによって、特に安価で、設置スペースが小さく、耐用年数の長い断路装置が実現される。
【0037】
本実施形態の追加的又はさらなる態様では、接点ブリッジの縦方向のU字脚部に沿って、それぞれ1つのアンカープレートとして実施された第1の磁気素子が配置されるように構成されている。さらに、U字型又は馬蹄型の磁石ヨークとして実施された2つの第2の磁気素子が設けられている。これらは、固定接点の領域に配置され、それぞれ2つの縦方向のU字脚部を有している。これらの縦方向のU字脚部は、それぞれ対向して配置された接点ブリッジの縦方向のU字脚部を少なくとも部分的に包囲する。これによって、移動接点の領域における、補助用の磁力の均一な生成又は作用が確保される。
【0038】
特に好適な一発展形態では、接点ブリッジの切り替え運動は、揺動又は回転運動によって行われる。ここで、揺動又は回転軸は、具体的には、接点ブリッジの水平方向のU字脚部に沿って、又は、これに平行に向けられている。好ましくは、接点ブリッジは、ここでは、例えばバネ鋼から成る型打ち部材として構成された、駆動システムのほぼU字型のバネ要素に固定又は保持されている。ここで、揺動又は回転運動は、具体的には、傾斜アンカー磁気システムによって実現され、バネ要素の屈曲弾性によって接触圧力が生成される。揺動又は回転運動によって、容易に、接点間の特に大きな分離距離が生成可能又は実施可能である。これによって、断路装置の特に安全かつ確実なガルバニック分離が実現される。
【0039】
さらに、具体的には、U字型に形成されたバネ要素を有する構成であって、該バネ要素の縦方向のU字脚部が接点ブリッジのU字脚部に実質的に揃えられた構成は、接点システムが外からの振動又は衝撃時にも確実に閉鎖位置に維持されるという点において利点を有している。具体的には、このような回転する接点システムにおいて、移動する接点ブリッジの質量中心を、回転点又は回転軸の近傍に位置づけることが可能である。
【0040】
好ましい一用途では、上述の断路装置は回路遮断器の一部である。回路遮断器は、ここでは、電流回路において、直流電流源と電気器具又は負荷との間に接続されて、回路遮断器の駆動時に、断路装置が電気器具又は負荷をガルバニック式に直流電流源から分離するようになっていることが、都合が良い。
【0041】
回路遮断器は、具体的には、ハイブリッド回路遮断器として、又は、ハイブリッド(電力)中継器として、又は、ヒューズが後段に接続された回路遮断器として実施され、電力網側及び従って電流が流れる電線に接続された供給端子と、負荷側に繋がる電線に接続可能な負荷端子とを備えている。
【0042】
好適には、回路遮断器は、例えば6kAの領域の高い電圧及び直流電流を切り替えるために適していると共に、そのように構成されている。このために、断路装置は、このような高い電流強度を導くと共に安全に切り替えるために対応した寸法を有していることが、都合が良い。したがって、本発明に係る断路装置によって、高い過負荷電流又は故障電流の場合でも、回路遮断器の安全かつ確実な切り替えが確保される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
以下に、本発明の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1】直流電流源と、電気器具と、これらの間に接続された回路遮断器とを備える電流回路を示す概略図である。
図2】回路遮断器の機械接点システムを示す斜視図である。
図3】接点システムを示す断面図である。
図4】接点システムを示す斜視図である。
図5】接点システムを示す側面図である。
図6】接点システムの下部を上から見た上面図である。
図7】閉鎖位置にある接点システムの他の実施形態を示す斜視図である。
図8】開放位置にある接点システムの他の実施形態を示す斜視図である。
図9】他の実施形態における接点システムを部分的に示す側面図である。
図10】接点システムの縦断面図である。
図11】接点システムの横断面図である。
【0044】
互いに対応する部分及び寸法には、全ての図面において、常に同じ参照番号が付されている。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1は、(直流)電流Iを導くための電流回路2を概略的にかつ簡略化して示す図である。電流回路2は、陽極4a及び負極4bを有する直流電流源4を備える。陽極4a及び負極4bの間に、動作電圧Uが印加される。電流回路2には、負荷又は電気器具6が接続されている。陽極4aと負荷6との間には、例えばハイブリッドパワー中継器の形の回路遮断器8が接続されている。
【0046】
回路遮断器8は、一方において供給端子10を介して、供給源側、すなわち電流が流れる電線に接続されており、他方では負荷端子12を介して、負荷側に繋がる電線に接続されている。
【0047】
回路遮断器8は、ハイブリッド断路装置14と安全装置15との直列接続体を備えている。断路装置14は、ここでは、ハイブリッドスイッチ16を有して形成されており、ハイブリッドスイッチ16は、機械接点システム18と、これに並列接続された、半導体スイッチングシステム20及び(補助)中継器21の直列接続体とを備えている。半導体スイッチングシステム20は、図1では、例えば、制御されたパワー半導体スイッチによって、具体的にはIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)によって示されている。
【0048】
ここで、追加的な中継器又は分離素子21は、断路装置14の作動時に、電流回路2のガルバニック分離を確保する。断路装置14は、故障電流又は過負荷電流が生じた場合に、安全装置15が作動するまで、電流Iを十分に長い時間確実に保持することに適していると共に、そのように構成されている。ここで、「電流Iを確実に保持する」とは、具体的には、機械接点システム18の接点が、遮断又は分離されないことであると理解される。
【0049】
以下に、図2図6を参照しながら、接点システム18の第1の実施形態をより詳細に説明する。
【0050】
図2に示される接点システム18は、2つの不動の固定接点22a、22bを備える。これらの固定接点22a、22bは、一方では供給端子10に、他方では負荷端子12に導電接続されている。固定接点22a、22bは、それぞれ、対応する電気端子23a、23bに繋がっており、これを介して、接点システム18は電流回路2に接続可能である。
【0051】
接点システム18は、2つの移動接点24a、24bをさらに備える。これらの移動接点24a、24bは、電流が流れる共通の接点ブリッジ26によって支えられている。接点ブリッジ26は、駆動システム28に結合されており、これを介して、接点ブリッジ26は、固定接点22a、22bに対して接近又は離反するように運動可能である。
【0052】
接点システム18を切り替えるために、接点ブリッジ26は、駆動システム28によって、切替運動の間に開放位置から閉鎖位置に移動可能である。図2図6では、移動接点24a、24bが、各接点位置において、それぞれ対向する固定接点22a、22bと導電接触接点を形成する閉鎖位置にある接点システム18が示されている。
【0053】
図2図6の実施形態では、接点システム18の開閉時の駆動装置28によって行われる切替運動は、接点22a、22b、24a、及び、24bに対して垂直に方向付けられた、駆動装置28の(駆動)方向に沿って直線状に行われる。
【0054】
長手方向に直線状に延びるほぼ板状の接点ブリッジ26は、例えば、銅から成る型打ち部品として製造されている。移動接点24a及び24bは、ここで、ほぼ四角形の接点ブリッジ26の対向する先端に配置されている。移動接点24a及び24bは、接点ブリッジ26の、固定接点22a及び22b側の平面又は下面30に配置されている。接点ブリッジ26の反対側の平面又は上面32には、駆動システム28が配置されている。
【0055】
図3は、図2の線III-IIIに沿った接点システム18の縦断面を部分的に示す断面図である。図3の断面図に比較的明瞭に示されるように、駆動装置28は、接点ブリッジ26を作動又は運動させるためのバネ負荷がかけられたプランジャ34を備える。
【0056】
プランジャ34は、例えばコイルバネとして実施された、以下では接触圧力バネとも呼ばれるバネ要素36によって少なくとも部分的に包囲されている。ここで、接触圧力バネ36は、閉鎖位置において少なくとも所定のバネ張力が存在し、その復元力が、接触力Fk又は接触圧力として、接点ブリッジ26、つまり移動接点24a及び24bに作用するように配置されている(図4)。換言すると、移動接点24a及び24bには、駆動システム28を介して押圧力又は接触圧力が印加され、この押圧力又は接触圧力は、接点22a、22b、24a、及び、24bの確実な当接を確保する。接触力Fkは、ここでは、駆動装置の駆動又は作動方向に沿うように方向付けられており、すなわち接点システム18の直線状の切替運動が行われる方向に沿うように方向付けられている。
【0057】
接点ブリッジ26には、磁気素子38が配置されている。磁気素子38は、ほぼ馬蹄型又はU字型の磁石ヨークとして構成されており、その水平方向のU字脚部38aは、接点ブリッジ26の上面32に配置される。U字脚部38aは、プランジャ34が少なくとも部分的に貫通する、詳細には図示されていない円形の中央開口部を有している。U字脚部38aは、接点ブリッジ26に対して横方向に、すなわちほぼ垂直に配置されている。
【0058】
U字脚部38aの対向する先端には、それぞれ1つの縦方向のU字脚部38bが成形されている。これらのU字脚部38bは、U字脚部38a及び接点ブリッジ26に対して垂直に、すなわちプランジャ34に対してほぼ平行に方向付けられている。ここで、U字脚部38bは、接点ブリッジ26を包囲して、U字脚部38bがその各自由端において、少なくとも部分的に接点ブリッジ26の下面30を軸方向に超えるように、すなわち下面30から突出するようになっている。U字脚部38bの自由端に対して間隔を置いて、第2の磁気素子40が配置されている。この、平坦なほぼ四角形のアンカープレートとして実施された磁気素子40は、U字脚部38aに対して平行に、すなわち接点ブリッジ26に対して横方向に配置されている。
【0059】
これらの図に示される閉鎖位置において、U字脚部38bの自由端は、それぞれ、空隙42によって、アンカープレート40から間隔を置いて維持されている。アンカープレート40は、不動であり、つまり断路装置14又は回路遮断器8のハウジングに対して筐体固定して配置されている。磁石ヨーク38及びアンカープレート40はいずれも、軟磁性材料、具体的には軟磁性鉄材料から成る。
【0060】
U字脚部38bは、具体的には図4及び図5に明示されているように、U字脚部38b及び接点ブリッジ26の長手方向にまたがる平面において、ほぼ漏斗状の横断面形状を有している。ここで、U字脚部38bは、基部がU字脚部38aに当接して形成された切頭錐体又は台形状の領域、及び、台形状の領域の該基部の反対側にある基部面に形成されたほぼ長方形の領域を備える。ここで、長方形の領域が、U字脚部38bの自由端を形成している。U字脚部38bには、例えば図4に示されるように、円形の開口部44が設けられていることが可能である。
【0061】
具体的には、図6に示される、下面30を上から見た上面図から明らかなように、アンカープレート40は、接点ブリッジ26及びU字脚部38aの長手方向にまたがる平面において、ほぼ砂時計の形、すなわち腰部がくびれた横断面形状を有している。これによって、腰部のくびれ部又はテーパ部は、各長手側面に沿った中央に、及び、固定接点22a及び22bの領域内に配置される。
【0062】
図4に概略的に矢印で示されるように、電流Iは、固定接点22a及び移動接点24aを介して、接点ブリッジ26の中に供給され、移動接点24b及び固定接点22bを介して接点システム18から排出される。磁気作用により、接点対22a及び24a、並びに、接点対22b及び24bに形成される接点位置において、それぞれ収縮力Feが生じる。この収縮力Feは、接触力Fkの逆方向に向いている。
【0063】
接触圧力バネ36の接触力Fkすなわちバネ力は、具体的には、正常電流において、すなわち正常値又は定格値以下の電流強度を有する電流Iにおいて、収縮力Feが確実に補償されるような大きさを有している。これは、正常電流時の接触力Fkが常に、収縮力Feよりも大きいため、望ましくない移動接点24a及び24bの固定接点22a及び22bからの分離が、確実かつ容易に回避されることを意味している。
【0064】
ここで、磁気素子38及び40は、電流Iの電流強度が定格値を超える故障電流又は過負荷電流の場合に、収縮力Feが接点22a、22b、24a、及び、24bを互いに分離させることを回避する。このような過電流の場合、接触圧力バネ36の接触力Fkは、益々増大する収縮力Feを確実に補償するには十分でない。
【0065】
電流が接点ブリッジ26を通って流れる場合、電流Iによって、接点ブリッジ26の周りに磁界が生成される。磁界は、軟磁性磁石ヨーク38と軟磁性アンカープレート40とを分極し、これによって磁気素子38及び40の領域内の磁束密度は、周囲と比べて著しく上昇する。したがって、磁石ヨーク38、空隙42、及び、アンカープレート40の間に、磁気回路が形成される。
【0066】
したがって、空隙42によって離間されることにより、磁石ヨーク38とアンカープレート40との間に引き寄せる磁力Fmが生じる。アンカープレート40が不動状態又は筐体固定した状態で、回路遮断器8に配置されているので、磁石ヨーク38がアンカープレート40に引き寄せられる。すなわち、結果として生じる磁力Fmが、接触圧力バネ36の接触力Fkと同じ方向に向けられるので、磁力Fm及び接触力Fkは加算されて結果として1つの合力になる。これは収縮力Feに反作用する。したがって、接点22a、22b、24a、及び、24b間の接触圧力は上昇するため、故障電流又は過負荷電流の場合でも、接点22a、22b、24a、及び、24bの分離が確実かつ安全に回避される。
【0067】
したがって、電流が流れる接点ブリッジ26によって、駆動装置28を支援する磁界が生成され、これは、接触圧力を強化するために利用される。したがって、磁気素子38及び40は、電流が接点ブリッジ26を流れる際に、追加的な電磁気アクチュエータ又はソレノイドとして作用し、それが生じさせる磁力Fmは、U字脚部38aを介して、接点ブリッジ26、つまり移動接点24a及び24bに直接作用する。
【0068】
以下に、図7図11を参照して、他の実施形態である第2の実施形態に係る接点システム18’をより詳細に説明する。
【0069】
本実施形態では、接点ブリッジ26’は、ほぼU字型の銅部材として実施されており、2つの移動接点24a及び24bが、縦方向のU字脚部26’aの各自由端に配置されている。
【0070】
接点ブリッジ26’の縦方向のU字脚部26’aに沿って、それぞれ1つのアンカープレートとして実施された磁気素子38’が配置されている。接点システム18’の駆動システム28’は、本実施形態では、傾斜アンカー磁気システムとして実施されており、ここでは、傾斜アンカーに結合された1つの、ほぼU字型のバネ要素46だけが示されている。ここで、U字脚部26’a及びアンカープレート38’並びにU字脚部46aは、実質的に、前後に重なって並んで配置されている。
【0071】
バネ要素46の縦方向のU字脚部46aは、実質的に、接点ブリッジ26’のU字脚部26’aに揃えられて配置されており、バネ要素46の水平方向のU字脚部46bは、接点ブリッジ26’の水平方向のU字脚部26’bに対して離間されている。換言すると、U字脚部46aは、脚部長手方向に沿って、U字脚部26’aよりも長い長さを有しているので、U字脚部46bは、U字脚部26’bの、脚部長手方向に沿った上方に配置される。
【0072】
バネ要素46は、屈曲弾性材料、例えばバネ鋼から成り、そのため、実質的に独立して配置されたU字脚部46bによって、駆動システム28’の揺動又は回転可動性が実現される。つまり具体的には、バネ要素46のU字脚部46aは、U字脚部46bに平行に延びる揺動又は回転軸Sに対して、揺動又は回転可能に保持されている。
【0073】
したがって本実施形態では、切替運動は、具体的には接点ブリッジ26’が揺動軸Sの周りを揺動することによって行われる。この揺動運動は、閉鎖位置にある接点システム18’を示す図7、及び、開放位置にある接点システム18’を示す図8に示されている。揺動又は回転運動によって、接点22a、22b、24a、及び、24b間の比較的大きな分離距離が実現される。
【0074】
本実施形態では、2つの不動の磁気素子40’が設けられている。これらは、回路遮断器8の絶縁性の、つまり非導電性のハウジング48に、筐体固定されて配置されている。磁気素子40’は、横断面が馬蹄型又はU字型の磁石ヨークとして実施されており、少なくとも部分的にU字脚部26’a及び46‘の脚部長手方向に沿って延びている。つまり、磁石ヨーク40’は、実質的に馬蹄型又はU字型の基部又は横断面を有する円筒形部材として実施されている。
【0075】
磁気素子40’は、閉鎖位置においてU字脚部26’a及び46’に平行に向けられたそれぞれ1つの水平方向のU字脚部40’aを有している。磁石ヨーク40’の背中の形のU字脚部40’aに接して、2つの縦方向のU字脚部40’bが形成されている。磁石ヨーク40’のU字脚部40’bは、例えば図9に示されているように、閉鎖位置において、それぞれ対向して配置された接点ブリッジ26’の縦方向のU字脚部26’aを、U字脚部26’aの自由端と各アンカープレート38’との間に空隙42が形成されるように、少なくとも部分的に包囲している。
【0076】
図10及び図11の断面図から明らかなように、電流Iは、接点ブリッジ26’の脚部26’a及び26’bを流れる際に磁界Bを生成し、この磁界Bは、電流の方向とは無関係に、磁気素子38’及び40’を互いに引き寄せ合う磁力Fmを生じさせ、これによって、接触力Fkはバネ要素46のバネ張力によって強化される。
【0077】
本発明は、上述の実施形態に限定されない。むしろ、本発明の他の変形例も、本発明の対象から逸脱することなく、当業者によって導かれることが可能である。具体的には、実施形態に関連して説明した全ての個々の特徴を、本発明の対象から逸脱することなく、他の方法で互いに組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0078】
2 電流回路
4 直流電流源
4a 陽極
4b 負極
6 負荷/電気器具
8 回路遮断器
10 供給端子
12 負荷端子
14 断路装置
15 安全装置
16 ハイブリッドスイッチ
18,18’ 接点システム
20 半導体スイッチングシステム
22a,22b 固定接点
23a,23b 端子
24a,24b 移動接点
26 接点ブリッジ
26’ 接点ブリッジ
26’a,26’b U字脚部
28,28’ 駆動システム
30 平面/下面
32 平面/上面
34 プランジャ
36 バネ要素/接触圧力バネ
38 磁気素子/磁石ヨーク
38a,38b U字脚部
38’ 磁気素子/アンカープレート
40 磁気素子/アンカープレート
40’ 磁気素子/磁石ヨーク
40’a,40’b U字脚部
42 空隙
44 開口部
46 バネ要素
46a,46b U字脚部
48 ハウジング
U 動作電圧
I 電流
Fk 接触力
Fm 磁力
Fe 収縮力
S 揺動軸/回転軸
B 磁界
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11