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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-01
(45)【発行日】2022-11-10
(54)【発明の名称】サポート衣服
(51)【国際特許分類】
   A41C 3/12 20060101AFI20221102BHJP
   A41D 13/05 20060101ALI20221102BHJP
   A41C 3/00 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
A41C3/12 A
A41D13/05 118
A41C3/00 B
【請求項の数】 5
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021059071
(22)【出願日】2021-03-31
(62)【分割の表示】P 2019542389の分割
【原出願日】2018-02-23
(65)【公開番号】P2021102837
(43)【公開日】2021-07-15
【審査請求日】2021-04-28
(31)【優先権主張番号】62/463,286
(32)【優先日】2017-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/901,651
(32)【優先日】2018-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514144250
【氏名又は名称】ナイキ イノベイト シーブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100174001
【弁理士】
【氏名又は名称】結城 仁美
(72)【発明者】
【氏名】バロン シー ブラント
(72)【発明者】
【氏名】ダニエラ グログロ
(72)【発明者】
【氏名】イウスティニア コシュカロフ
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06769955(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0155283(US,A1)
【文献】米国特許第08845388(US,B1)
【文献】特開2014-167195(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0120235(US,A1)
【文献】実開昭57-034511(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41C1/00-5/00
A41D 13/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の胸部接触面と、前記一対の胸部接触面の間に配置された振動減衰構造とを備える前部を含むサポート衣服であって、
前記サポート衣服が着用時構成にあるときに、前記振動減衰構造が、少なくとも着用者の胸部の内側面および着用者の胸骨によって画定される空間を占拠するように構成されており、前記振動減衰構造が、一つ又は複数の、空気で満たされたピローまたはブラダーを備えている、サポート衣服。
【請求項2】
前記前部は、更に、前記一対の胸部接触面の間に配置されるポケットを備え、前記振動減衰構造は、前記ポケット内に取り外し可能に配置されている、請求項1に記載のサポート衣服。
【請求項3】
前記振動減衰構造は、少なくとも第1の材料層と第2の材料層との間に配置されている、請求項1に記載のサポート衣服。
【請求項4】
前記振動減衰構造は、前記前部の内側に面する表面に対して直接的に固着されている、請求項1に記載のサポート衣服。
【請求項5】
前記振動減衰構造は、全体が前記一対の胸部接触面の間に配置されている、請求項1に記載のサポート衣服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着用者の胸部を支持するように構成されたサポート衣服に関する。
【背景技術】
【0002】
運動活動中にサポートを提供するように構成されたものを含む、ブラジャー等の従来の
サポート衣服は、一般に、着用者の胸部を包囲および/または圧縮することによりサポー
トを提供する。
【発明の概要】
【0003】
本発明の実施例を、添付の図面を参照して、以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】本明細書の態様による、例示的な振動減衰構造を有するサポート衣服を示す説明図である。
図2】本明細書の態様による、着用者が着用したときの、振動減衰構造を有するサポート衣服の例示的な部分断面図である。
図3】本明細書の態様による、着用者が着用したときの、振動減衰構造を有するサポート衣服の例示的な部分断面図である。
図4】本明細書の態様による、着用者が着用したときの、振動減衰構造を有するサポート衣服の例示的な部分断面図である。
図5】本明細書の態様による、サポート衣服に使用するための振動減衰構造の異なる形状構成の例示的な正面図である。
図6】本明細書の態様による、サポート衣服に使用するための振動減衰構造の異なる形状構成の例示的な正面図である。
図7】本明細書の態様による、振動減衰構造の例示的な側面図である。
図8】本明細書の態様による、例示的な振動減衰構造を有するサポート衣服の更なる例を示す説明図である。
図9】本明細書の態様による、例示的な振動減衰構造を有するサポート衣服の更なる例を示す説明図である。
図10】本明細書の態様による、代替的な例示的な振動減衰構造を有するサポート衣服を示す説明図である。
図11】本明細書の態様による、図10の例示的な振動減衰構造の正面斜視図である。
図12】本明細書の態様による、図11の例示的な振動減衰構造の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明の主題は、法的要件を満たすように特異性をもって本明細書に記載される。しか
しながら、記載自体は、本開示の範囲を限定するものではない。むしろ、発明者らは、特
許請求の範囲に記載された主題が、現在または将来の他の技術とともに、本明細書に記載
されたものと同様の異なるステップまたはステップの組み合わせを含む他の方法で具体化
され得ることも企図されている。更に、本明細書における「ステップ」および/または「
ブロック」という用語は、採用される方法のうちの異なる要素を意味するために使用され
てもよいが、これらの用語は、個々のステップの順序が明示的に記載されている場合を除
いて、本明細書に開示される様々なステップの間に何らかの特定の順序を暗示するものと
して解釈されるべきではない。
【0006】
高いレベルにおいて、本明細書の態様は、例えば運動活動中の、着用者の胸部の少なく
とも内側から外側への揺れ、移動、または振動を低減するように構成された振動減衰構造
を有する、ブラジャー等のサポート衣服に関する。振動減衰構造はまた、運動活動中の上
方から下方への移動、はずみ、または振動を低減するように構成されてもよい。例示的な
態様では、サポート衣服は、着用者の胸部を被覆するように構成された胸部接触面を含み
、振動減衰構造を胸部接触面の間に配置することができる。振動減衰構造は、少なくとも
着用者の胸部の内側面および着用者の胸骨によって画定される空間(一般に着用者の胸の
谷間として知られる)を占拠、または少なくとも部分的に占拠するように構成されるよう
な形状構成および/または材料特性を有する。
【0007】
例示的な態様では、振動減衰構造は、着用者の胸部によって材料に伝達される力を吸収
および消散させる能力を促進する機械的特性を示す材料からなる。例えば、材料は、着用
者の胸部が材料に接触したときに、材料が着用者の胸部組織よりも大きく変形するように
、胸部組織よりも圧縮性が高い(即ち、剛性が低い)ように選択することができる。これ
は、着用者の胸部から材料への衝撃力の伝達、およびそれに続く材料による衝撃力の吸収
および消散を可能にするために重要である。材料の例示的な剛性は、約15N/mm以下
であり得る。材料はまた、比較的高い割合のエネルギーリターン(即ち、跳ね返り時に回
収される入力エネルギーの割合)を示すように選択されてもよい。例えば、材料は、約7
0%~約90%のエネルギーリターンを示すように選択されてもよい。比較的高い割合の
エネルギーリターンを有することにより、振動減衰構造が、着用者の胸部の間の空間を満
たすだけでなく、着用者の胸部の内側面の周囲に少なくとも部分的に一致またはぴったり
合うように、材料が着用者の胸部の形状に「成形」されるのを可能にする。着用者の胸部
に接触することによって、振動減衰構造は、運動時に胸部によって発生する力をより良く
吸収および消散させることができる。
【0008】
従って、本明細書の態様は、少なくとも前部を含むサポート衣服に関する。前部は、サ
ポート衣服が着用時構成にあるときに着用者の胸部を被覆するように構成された一対の胸
部接触面と、サポート衣服が着用時構成にあるときに、振動減衰構造が少なくとも着用者
の胸部の内側面および着用者の胸骨によって画定される空間を占拠するように構成される
ように、一対の胸部接触面の間に配置される振動減衰構造とを含む。
【0009】
本明細書の別の態様は、サポート衣服が着用時構成にあるときに着用者の胸部を被覆す
るように構成された一対の胸部接触面と、一対の胸部接触面の間に配置される第1の振動
減衰構造と備える、少なくとも前部を含むサポート衣服を提供する。ここで、振動減衰構
造は、約15N/mm以下の剛性および約70%~約90%のエネルギーリターン特性を
有する。
【0010】
本明細書の更に別の態様は、少なくとも前部を含むサポート衣服を提供する。前部は、
一対の胸部接触面であって、各胸部接触面が内側に面する表面と、内側に面する表面に対
向する外側に面する表面とを有し、各胸部接触面の内側に面する表面および外側に面する
表面がその間に第1の平均厚さを画定する一対の胸部接触面と、一対の胸部接触面の間に
配置される振動減衰構造であって、内側に面する表面と、内側に面する表面に対向する外
側に面する表面とを有し、振動減衰構造の内側に面する表面および外側に面する表面がそ
の間に第2の平均厚さを画定する振動減衰構造とを含み、第2の平均厚さは第1の平均厚
さよりも大きい。
【0011】
「上方」、「下方」、「内側」、「外側」等の本明細書で使用される位置的用語は、解
剖学的位置に立つ仮の着用者によって意図されるように着用されているサポート衣服に対
する、それらの一般的な解剖学的意味を与えられる。「接触するように構成される」とい
う語句、または着用者に対するサポート衣服上の構造の位置を説明する際に使用される他
の類似の語句は、着用者にとって適切なサイズのサポート衣服に基づいて解釈されるべき
である。本明細書で使用する場合の「サポート衣服」という用語は、胸部組織を支持する
ために使用される任意のスタイルまたはタイプのサポート衣服に関する。例示的なサポー
ト衣服は、当技術分野で既知の用語であるブラジャー(スポーツブラ、従来のブラジャー
等)、キャミソール、水着、またはサポートを内蔵した他の衣服を含むことができる。更
に、「胸部接触面」という用語は、着用者の胸部に接触するあらゆる種類の構造を包含す
ることを意味する。例えば、各胸部接触面は、モールドカップ、または非モールドカップ
等の胸部カップを含むことができる。胸部接触面は、各接触面が別々の胸を被覆するよう
に構成された分離した別個の構成要素を含んでもよく、または、胸部接触面は、着用者の
両方の胸に接触する単一のまたは連続的な帯状材料を含んでもよい。あらゆる態様、およ
びその任意の変形形態は、本明細書の態様内にあると考えられる。
【0012】
次に、図1を参照すると、本明細書の態様による、着用者によって着用されている、振
動減衰構造105を有する例示的なサポート衣服100の正面斜視図が示されている。例
示的な態様では、ブラジャーの形態で示されるサポート衣服100は、着用者の左右の胸
をそれぞれ被覆するように構成された一対の胸部接触面110および111と、着用者の
肩部に延在するように構成された一対の肩ストラップ112と、サポート衣服100を着
用した際に着用者の胸部の下に配置されるように構成されたアンダーバンド114とを含
むことができる。例示的な態様では、肩ストラップ112は任意とすることができる。例
えば、サポート衣服100は、バンドゥスタイルの衣服として構成されてもよい。更に、
別個の構成要素として示されているが、アンダーバンド114もまた任意とすることがで
きる。例えば、サポート衣服100がトップスの形態である場合、アンダーバンド114
は存在しなくてもよく、またはトップスの下端を含んでもよい。あらゆる態様、およびそ
の任意の変形形態は、本明細書の態様の範囲内にあると考えられる。
【0013】
続いて、図示されていないが、サポート衣服100は、更に、着用者の胴体の周囲に円
周方向に延在する故に、例えば肩ストラップ112および/またはアンダーバンド114
を介して、サポート衣服100の前面に連結する後部を含む。更に、サポート衣服100
の後部は、レーサーバックスタイル、従来のスタイル等として構成されてもよい。あらゆ
る態様、およびその任意の変形形態は、本明細書の態様内にあると考えられる。
【0014】
例示的な態様では、サポート衣服100は、振動減衰構造105を備える(視界から隠
れていることを示すために破線で示されている)。振動減衰構造105は、胸部接触面1
10と111との間に配置されるように構成される。より具体的には、振動減衰構造10
5は、右胸部接触面110の内側面と左胸部接触面111の内側面との間に配置される。
以下により完全に説明されるように、振動減衰構造105は、着用者の胸部の間の空隙ま
たは空間を満たすことを可能にする形状構成および/または材料特性を有する。即ち、サ
ポート衣服100が着用時構成にあるとき、少なくとも着用者の胸部の内側面が振動減衰
構造105と接触するように構成されるように、振動減衰構造105は、少なくとも着用
者の胸部の内側面および着用者の胸骨によって画定される空間または空隙(即ち、着用者
の胸の谷間)を完全に満たすまたは少なくともほぼ満たすことができる形状構成および/
または材料特性を有する。
【0015】
別の態様では、サポート衣服100はまた、右胸部接触面110および左胸部接触面1
11の側面に配置された振動減衰構造116を任意に有してもよい(斜視図である故に、
左胸部接触面111の側面に隣接する振動減衰構造116のみを図1に示す)。振動減衰
構造116は、横方向への運動時に着用者の胸部によって付与される力を吸収および消散
させるのを助けるために使用され得る。
【0016】
続いて、図8に示すように、更に別の態様では、サポート衣服800は、胸部接触面8
05と806との間から、胸部接触面805および806の下方に延在して、胸部接触面
805および806の側面に沿って終端する単一の連続構造を含む例示的な振動減衰構造
810を含み得る。更に別の態様では、図9に示すように、サポート衣服900は、サポ
ート衣服900の実質的に前部全体にわたって延在する(即ち、参照番号912によって
示されるように、胸部接触面910と911との間に、胸部接触面910および911に
わたって、胸部接触面910および911の側面上を延在する)単一の連続構造を有する
例示的な振動減衰構造905を含み得る。サポート衣服900に関して、胸部接触面91
0および911に隣接して配置される振動減衰構造の厚さは、ブラジャーの総重量を実質
的に増加させないように、および/または審美的に望ましくならないように、胸部接触面
910および911の内側面の間(参照番号912によって示される)に配置される振動
減衰構造の厚さよりも薄いと考えられる。
【0017】
図1に戻ると、例示的な態様では、振動減衰構造105は、例えば運動活動中に一般的
に生じるように着用者の胸部によって構造105に付与される衝撃力を吸収および消散す
るように構成される。衝撃力の吸収および消散は、振動減衰構造105の機械的変形(即
ち、受動減衰)によって起こり得る。より具体的には、着用者の胸部の間に振動減衰構造
105を配置することにより、減衰構造105は、着用者の胸部の内側から外側への動き
を通して発生する衝撃力を消散させるように最適化することができる。更に、以下でより
完全に説明されるように、振動減衰構造105はまた、着用者の胸部の上方から下方への
動きを通して発生する衝撃力を更に吸収および消散させるように最適化された形状構成を
有してもよい。
【0018】
続いて、力を吸収および消散させることができるようにするために、振動減衰構造10
5および/または116用の材料は、特定の機械的特性を示すように選択される。例えば
、例示的な態様では、振動減衰構造105および/または116を形成するために選択さ
れる材料は、約15N/mm以下の剛性を示し得る(本明細書で使用される「約」という
用語は、所与の値の±10%以内を意味する)。剛性は、材料が印加された力に応答して
変形に抵抗する程度として定義することができる。一般に、振動減衰構造105および/
または116を形成するのに使用される材料の剛性は、胸部組織の平均剛性未満となるよ
うに選択される。従って、振動減衰構造105および/または116の材料は、胸部組織
が材料と接触すると胸部組織よりも大きく変形する(例えば、機械的変形を受ける)よう
に選択することができ、それによって、材料が胸部組織からのあらゆる衝撃力を吸収およ
び/または消散させることを可能にする。本明細書では、振動減衰構造105および/ま
たは116を形成するために使用される材料の剛性は、サポート衣服100によって支持
されるであろう胸部の可能性のあるサイズおよび/または硬さに応じてカスタマイズする
ことができると考えられる。例えば、より大きい、および/またはより硬い胸部は、より
小さな胸部と比較して、より大きな衝撃力を発生させる可能性がある。それ故、胸部が大
きい女性および/またはより硬い胸部組織を有する女性のために構成されたサポート衣服
に対しては、より高い剛性(例えば、約7N/mm~約15N/mmの間の剛性)を有す
る材料が選択され得る。
【0019】
減衰構造105および/または116が胸部の振動を減衰させる能力に寄与する別の機
械的特性として、そのエネルギーリターンが挙げられるが、このエネルギーリターンは、
負荷が取り除かれたときに(熱として消散するのとは対照的に)回収される、振動減衰構
造105および/または116によって蓄えられたエネルギー量として定義することがで
きる。例示的な態様では、振動減衰構造105および/または116を形成するのに使用
される材料は、約70%~約90%のエネルギーリターンを有するように選択される。比
較的高い割合のエネルギーリターンを有することにより、振動減衰構造105および/ま
たは116が着用者の胸部の周囲に一致する、またはぴったりと合うことが可能となる。
例えば、振動減衰構造105は、高いエネルギーリターンを有する故に、着用者の胸部の
少なくとも内側面の周囲にぴったりと合うように構成されてもよく、また振動減衰構造1
16は、少なくとも着用者の胸部の側面の一部の周囲にぴったりと合うように構成されて
もよい。これにより、減衰構造105および/または116が着用者の胸部によって構造
105および/または116に伝達された力を吸収および消散することを可能にすること
を促進する。
【0020】
振動減衰構造105および/または116を形成する材料によって示され得る更なる機
械的特性として、塑性変形することなく、衝撃時に着用者の胸部組織によって付与される
垂直荷重または垂直力に耐える能力が挙げられる。例えば、振動減衰構造105および/
または116は、塑性変形を受ける前に、約10ニュートン(N)、20N、30N、4
0N、50N、60N、70N、80N、90N、または100N(および/またはその
間の値)の最大限界荷重を有し得る。
【0021】
振動減衰構造105および/または116を形成するために選択される例示的な材料は
、連続気泡フォーム、独立気泡フォーム、スペーサメッシュ材料、ばね状構造(例えば、
弾性コイル構造)、ビーズ(例えば、発泡スチロールビーズ)、例えばモノフィラメント
および他の糸から形成される中空および可撓性を有するパイプ構造体、例えば日本の大阪
のToyoba Co.,Ltd.によって製造されているBreathair(商標)
等の不織材料、空気で満たされたピローまたはブラダー、射出成形材料、押出し材料、三
次元印刷構造体等を含み得る。これらの材料は全て、衝撃力に応答してある種の機械的変
形を受けることが可能である。上述した機械的特性を示すことに加えて、材料はまた、振
動減衰構造105および/または116の通気性(即ち、材料を通過する水蒸気の伝達)
を促進するように選択することもできる。
【0022】
振動減衰構造105および/または116は、多数の方法でサポート衣服100に組み
込むことができる。一例では、振動減衰構造105および/または116は、構造105
および/または116を胸部接触面110および111の内側に面する表面および/また
はサポート衣服100に直接的に固着することによって、サポート衣服100に直接的に
一体化してもよい。固着は、縫合、接合、接着剤、溶接、ボタンの使用、スナップ、マジ
ックテープ等によって行うことができる。固着には、振動減衰構造105および/または
116をサポート衣服100に恒久的にまたは解放可能に固着することを含み得る。
【0023】
第2の例では、振動減衰構造105および/または116を布地の層の間に封入するこ
とができ、布地の層を胸部接触面110および111の内側に面する表面および/または
サポート衣服100に固着することができる。この例では、減衰構造105および/また
は116は、胸部接触面110および111に直接的に固着されていなくてもよく、代わ
りに、布地の層を介して胸部接触面110および111に間接的に固着されてもよい。更
に別の例では、胸部接触面110および111が2つ以上の布地の層から形成されるとき
、減衰構造105および/または116は、布地の層の間に配置されてもよい。本明細書
において、一態様では、振動減衰構造105の外側に面する部分を形成するために選択さ
れる布地は、振動減衰構造105の前方方向への拡張を制限するように非伸縮性材料であ
り得る。これは、着用者の快適性を促進するだけでなく、サポート衣服100の美観を向
上させ得る。同様に、減衰構造105および/または116の前方への拡張を制限するこ
とにより、減衰構造105および/または116の全体的な剛性およびエネルギーリター
ンを維持するのに役立ち得る。
【0024】
別の態様では、振動減衰構造105および/または116は、胸部接触面110および
111の一体的な延長部を含むことができる。例えば、胸部接触面110および111を
形成するのに使用される編成、製織、および/または成形工程は、振動減衰構造105お
よび/または116を形成するために修正可能である。この態様では、減衰構造105お
よび/または116は、胸部接触面110および111を形成するのに使用されるのと同
じ糸または材料のうちの1つ以上を含むであろう。
【0025】
続いて、更に別の態様では、サポート衣服100は、必要に応じて、振動減衰構造10
5および/または116を挿入することができるポケットを含むことができる。従って、
着用者が運動活動に従事していないとき、着用者は構造105および/または116を各
ポケットに挿入しないとの選択をすることができる。しかしながら、着用者が運動活動に
従事しているとき、着用者は構造105および/または116の一方または両方を各ポケ
ットに挿入することができる。振動減衰構造105に関して、いくつかの態様では、サポ
ート衣服100は、着用者が運動活動に従事しているときに振動減衰構造105の上に配
置されるように構成されたストラップを含むことができる。例えば、いくつかの態様では
、振動減衰構造105は、着用者が運動していないときに、着用者の快適性を向上させる
ために着用者の胸部の間の空間を完全には満たさないように構成することができる。着用
者が運動することを望むとき、着用者はストラップ(または他の種類の緊張構造)を振動
減衰構造105の外側に面する表面上に配置することができる。ストラップによって付与
される張力は、着用者の胸部の間の空間を実質的に満たす(例えば、約60%、70%、
80%、90%、および/または100%満たす)ように、振動減衰構造105を配置す
るのに役立つ。あらゆる態様、およびその任意の変形形態は、本明細書の態様内にあると
考えられる。
【0026】
図2図4は、図1の振動減衰構造105等の例示的な振動減衰構造が、本明細書の態
様に従って、着用者の胸部の内側面および着用者の胸骨によって画定される空間を満たす
、またはほぼ満たすためにどのように構成されているかを示すために提供される。図2
図4は、着用者の胸部のほぼ上部(上方の部分)、着用者の胸部のほぼ中間、および着用
者の胸部のほぼ下部(下方の部分)の部分断面図をそれぞれ表す。図2図4に関して、
着用者の身体は参照番号210によって示されている。
【0027】
代表的な例として図2に示すように、例示的な態様では、各胸部接触面110、111
は、着用者の体表面210に面するように構成された内側に面する表面212と、着用者
の体表面210と反対に面するように構成された外側に面する表面214とを含む。内側
に面する表面212および外側に面する表面214は、これら2つの表面の間に延在する
第1の厚さ216を画定する。
【0028】
続いて、振動減衰構造105はまた、内側に面する表面218と外側に面する表面22
0とを備える。振動減衰構造105の内側に面する表面218および外側に面する表面2
20は、2つの表面218と220との間に延在する第2の厚さ222を画定する。例示
的な態様では、振動減衰構造105の外側に面する表面220は、例えば、胸部接触面1
10および111の頂点(サポート衣服100が着用時構成にあるときに、最も前方に延
在する領域)から測定したときに、胸部接触面110の外側に面する表面214とほぼ同
一平面上にあってもよい。
【0029】
例示的な態様では、第2の厚さ222は、振動減衰構造105の上方側面(図2におい
て最もよく分かる)から、振動減衰構造105のほぼ中間点(図3において最もよく分か
る)まで、振動減衰構造105の下方側面(図4において最もよく分かる)まで変化する
ことで、全体的な平均厚さ222を生成する。より詳細には、第2の厚さ222は、減衰
構造105の上方側面から、振動減衰構造105のおおよそ中間点まで徐々に増加させる
ことができ、続いて、減衰構造105のほぼ中間点から、振動減衰構造105の下方側面
まで徐々に減少させることができる。この厚さにおける漸次的な変化は、着用者の胸の谷
間の通常の解剖学的構造を模倣することを意味している。説明したように、振動減衰構造
105の第2の厚さ222を変更することによって、減衰構造105は着用者の胸部の間
の空間を有機的に満たすことができる。例示的な態様では、振動減衰構造105の平均厚
さ222(構造105の上部、中間部、および下部にわたって平均化)は、胸部接触面1
10および111の第1の厚さ216よりも大きい。例えば、振動減衰構造105の平均
厚さ222は、胸部接触面110および110の厚さの少なくとも約2倍、3倍、4倍、
5倍、またはそれ以上であり得る。これは、2つの胸部接触面を連結する中央部分の厚さ
が胸部接触面の厚さとほぼ同じか、またはそれよりも更に小さい、従来のブラジャー構造
の多くとは対照的である。
【0030】
本明細書では、振動減衰構造105の変化する厚さ222は、振動減衰構造105のお
およそ水平方向の中間点に対して対称的ではない場合があると考えられる。例えば、ほと
んどの胸部は、一般に、着用者が直立している場合、胸部の上方側面と比較して、胸部の
下方側面に向けてより大きい体積の組織を有する。従って、振動減衰構造105の厚さは
、一般に、振動減衰構造105の下部においてより厚く、振動減衰構造部105の上部に
おいてより薄くなり得る。あらゆる態様、およびその任意の変形形態は、本明細書の態様
内にあるものと考えられる。
【0031】
図5図7は、本明細書の態様による、振動減衰構造105等の振動減衰構造のいくつ
かの例示的な形状を示す。図5図6は、例示的な振動減衰構造の正面図を示し、図7
、例示的な振動減衰構造の側面図を示す。図5を参照すると、例示的な振動減衰構造50
0は、上縁510、下縁512、および対向する外側縁514および516を含む周囲形
状によって画定される。上縁510は、着用者の胸部の上方側面に配置されるように構成
されており、下縁512は、着用者の胸部の下方側面に配置されるように構成され、また
、外側縁514および516は、着用者の胸部の内側面に隣接して配置されるように構成
される。図5に示すように、外側縁514および516は、減衰構造500の垂直方向の
中心線から凸状に離れるように延在する。垂直方向の中心線から凸状に離れるように延在
することで、外側縁514および516は、振動減衰構造500がサポート衣服に組み込
まれる際に、着用者の胸部の内側面に完全に接触するように構成することができる。
【0032】
図6は、本明細書の態様による、振動減衰構造600の代替的な形状構成を示す。振動
減衰構造600は、砂時計形状を模した周囲形状を有する。即ち、減衰構造の上方部分6
10および下方部分612は、構造600の中央部分614よりも大きな幅を有する。よ
り具体的には、図6に示すように、上方部分610の幅616および下方部分612の幅
618は、一般に、中央部分614の幅620よりも大きい。本明細書では、上方部分6
10の幅616は、下方部分612の幅618と等しい、下方部分612の幅618より
も大きい、または下方部分612の幅618よりも小さいと考えらえる。
【0033】
続いて、減衰構造600の形状構成は、着用者の胸部の内側から外側への移動を通して
発生する衝撃力だけでなく、着用者の胸部の上方から下方への移動を通して発生する衝撃
力に対しても減衰をもたらすように最適化することができる。例えば、構造600の形状
構成は、上方部分610が着用者の胸部の上方側面の少なくとも一部に沿って延在して接
触することができ、また下方部分612が着用者の胸部の下方側面の少なくとも一部に沿
って延在して接触することができるようにする。従って、上方部分610および下方部分
612は、胸部の上方から下方への移動中に、着用者の胸部によって発生する衝撃力を吸
収および消散させるのを助けるように配置することができる。
【0034】
図7は、本明細書の態様による、例示的な振動減衰構造700の側面図を示す。振動減
衰構造700は、例えば、図1の振動減衰構造105または図5および図6の振動減衰構
造500および600を含むことができる。振動減衰構造700は、着用者によって着用
されるサポート衣服に組み込まれる減衰構造700に対して、上方側面710、下方側面
712、前方側面714、および後方側面716を含むことができる。図2図4に関し
て上述したように、振動減衰構造700は、上方側面710に第1の厚さ718と、構造
の上方側面710と下方側面712との間のほぼ中間点にある第2の厚さ720と、下方
側面712に第3の厚さ722とを有することで、全体的な平均厚さを生成する。図示す
るように、構造700の中間点および下方側面712に向かう厚さは、着用者の胸部の自
然な胸部形状を模倣するために、一般に、上方側面710における厚さ718よりも大き
い。本明細書では、構造700は、他の構成を有してもよいと考えられる。例えば、上方
側面710および下方側面712の厚さはほぼ同じでもよく、これらの厚さは両方とも厚
さ720よりも薄くてもよい。あるいは、構造700は、上方側面710から下方側面7
12まで均一な厚さを有してもよい。あらゆる態様、およびその任意の変形形態は、本明
細書の範囲内にあると考えられる。
【0035】
次に、図10図12を参照すると、本明細書の態様による、振動減衰構造の代替的な
構造が描かれている。更なる態様では、図10に示すように、サポート衣服1000は、
フレーム1012と、フレーム1012の境界間に延在する一連の架橋要素1014とを
含む例示的な振動減衰構造1010を含むことができる。フレーム1012および架橋要
素1014は、振動減衰構造105および116について説明したのと同様の機械的特性
を有することができる。図10に示すように、振動減衰構造1010は、サポート衣服1
000が着用時構成にあるときに、着用者の胸部の内側面と着用者の胸骨とによって画定
される空間を満たす、またはほぼ満たすように、サポート衣服1000の胸部接触面の間
に配置される。本明細書では、振動減衰構造1010は、サポート衣服1000に固定的
に取り付けられても、またはサポート衣服1000に取り外し可能に取り付けられてもよ
いことが企図される。あらゆる態様、およびその任意の変形形態は、本明細書の態様内に
あると考えられる。
【0036】
振動減衰構造1010を単独で示した図が、図11および図12に示されている。振動
減衰構造1010の正面斜視図を示す図11を参照すると、本明細書では、フレーム10
12は振動減衰構造1010の周囲に連続的に延在し得ると考えられる。即ち、フレーム
1012は、振動減衰構造1010の上端から、振動減衰構造1010の側面に沿って、
かつ振動減衰構造の下端に沿って、連続的に延在することができる。また、本明細書では
、フレーム1012は、上端および下端を有しない側面を備えることができることも企図
されている。フレーム1012は、例えば、可撓性プラスチック材料(一般に「ボニング
」として知られる)で形成されてもよいが、本明細書では他の可撓性材料も考えられる。
【0037】
続いて、一連の架橋要素1014は、フレーム1012の第1の側面からフレーム10
12の第2の側面まで、フレーム1012にわたって横方向に延在する。例示的な態様で
は、架橋要素1014もまた、可撓性プラスチック材料(または他の可撓性材料)から形
成され得る。更に、本明細書では、フレーム1012および架橋要素1014は、例えば
成形プロセスによって形成された単一の連続構造を含むことができると考えられる。本明
細書ではまた、架橋要素1014が、当技術分野で知られている固着技術を使用してフレ
ーム1012に接合される別個の構造を含み得ることも考えられる。あらゆる態様、およ
びその任意の変形形態は、本明細書の態様内にあると考えられる。振動減衰構造1010
がサポート衣服1000等のサポート衣服内で使用される場合、本明細書では、振動減衰
構造は、サポート衣服に組み込まれる前に、材料(例えば、布地)の層の間に挟まれるか
、または材料(例えば、布地)の層の間に配置され得ることが企図される。
【0038】
図10および図12に示すように、架橋要素1014は、架橋要素1014が着用者の
胸部の内側面および着用者の胸骨によって画定される空間を少なくとも部分的に占拠する
ように内方に屈曲または湾曲するように、フレーム1012に対して後方に延在する。図
7の振動減衰構造700と同様に、本明細書では、振動減衰構造1010の上端付近に配
置された架橋要素1014は、振動減衰構造1010の上端と下端との間のほぼ中央に配
置された架橋要素1014、または、振動減衰構造1010の下端付近に配置された架橋
要素1014ほど後方に延在しなくてもよいと考えられる。同様に、振動減衰構造101
0の下端付近に配置された架橋要素1014は、振動減衰構造1010の上端と下端との
間のほぼ中央に配置された架橋要素1014ほど後方に延在しなくてもよい。あらゆる態
様、およびその任意の変形形態は、本明細書の態様内にあると考えられる。振動減衰構造
1010の構成は、運動中の着用者の胸部の内側から外側への揺れを防ぐのを助けるだけ
でなく、振動減衰構造1010を通過する空気および水蒸気の移動も促進し、着用者を涼
しく保つのを助ける。
【0039】
本開示の態様を、限定的ではなく例示的であることを意図して説明してきた。本発明の
範囲から逸脱しない代替的な態様が当業者には明らかであろう。当業者は、本発明の範囲
から逸脱することなく、前述の改良を実施する代替手段を開発し得る。
【0040】
特定の特徴およびサブコンビネーションは有用であり、他の特徴およびサブコンビネー
ションを参照することなく採用することができ、それらは特許請求の範囲内で企図される
ことが理解されよう。様々な図に列挙されている全てのステップが、説明されている特定
の順序で実行される必要があるわけではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12