(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-01
(45)【発行日】2022-11-10
(54)【発明の名称】洗濯機の排水密封装置及び洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 39/08 20060101AFI20221102BHJP
【FI】
D06F39/08 311C
D06F39/08 311A
D06F39/08 311E
(21)【出願番号】P 2021505265
(86)(22)【出願日】2019-07-31
(86)【国際出願番号】 CN2019098681
(87)【国際公開番号】W WO2020029852
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2021-06-28
(31)【優先権主張番号】201810903593.0
(32)【優先日】2018-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】520148792
【氏名又は名称】海爾智家股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】HAIER SMART HOME CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1 Haier Road, Laoshan District Qingdao, Shandong 266101 China
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】姜同春
(72)【発明者】
【氏名】劉尊安
(72)【発明者】
【氏名】呉迪
(72)【発明者】
【氏名】▲ハォ▼興慧
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-284295(JP,A)
【文献】実開昭56-085053(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 39/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯機の排水密封装置であって、
洗濯機は内槽を含み、前記内槽の底部には排水孔が開設されており
、
排水孔と密封状に係合可能な密封機構を含んでおり、
前記密封機構は閉塞部材、接続部材、弾性部材及び固定部材を含み、
前記弾性部材は引張バネであり、前記接続部材は内部が中空の引張バネブッシュであり、前記固定部材は内部が中空のネジブッシュを含み、前記引張バネブッシュは摺動可能にネジブッシュ内に嵌設され、前記引張バネは引張バネブッシュ内に嵌設され、前記固定部材は内槽の底部に固定装着され、
前記引張バネは、周方向に沿って外側へ延伸する第1接続部を一端に有し、第2接続部を他端に有し、前記ネジブッシュの外壁には、前記引張バネの第1接続部を位置規制及び係接する係接溝が設けられており、前記引張バネブッシュの一端における係接溝に対応する箇所には、摺動時に第1接続部から退避する退避貫通溝が設けられており、前記引張バネブッシュの他端には位置規制フランジが備わっており、前記引張バネの第2接続部は、位置規制フランジと閉塞部材の間まで延伸して挟持及び固定され、
洗浄又はすすぎ時には、
前記閉塞部材が運動するよう構成され、排水孔を閉じるために排水孔と密封状に係合し、内槽内に洗浄水が満たされ、排水時には、
前記閉塞部材が排水孔から分離するよう運動するよう構成され、内槽内の洗浄水が排水孔から排出されることを特徴とする排水密封装置。
【請求項2】
前記弾性部材は、閉塞部材と排水孔が分離状態となるまで接続部材が摺動するときに変形して、閉塞部材の弾性復元による密封を実現することを特徴とする請求項
1に記載の洗濯機の排水密封装置。
【請求項3】
前記弾性部材は初期状態において引張状態であり、閉塞部材と排水孔との密封状の係合を維持することを特徴とする請求項1又は2に記載の洗濯機の排水密封装置。
【請求項4】
前記引張バネブッシュにおける退避貫通溝が開設されていない部分の高さをXとし、前記ネジブッシュ全体の高さをYとすると、前記XはYよりも小さいことを特徴とする請求項
1に記載の洗濯機の排水密封装置。
【請求項5】
前記固定部材は締結ブッシュを含み、前記締結ブッシュとネジブッシュは螺接され、締結ブッシュとネジブッシュをしっかりと螺接することで引張バネを移動させ、引張バネから閉塞部材に付与される予圧力を調節して、閉塞部材による自動密封を実施
することを特徴とする請求項
1又は
4に記載の洗濯機の排水密封装置。
【請求項6】
前記固定部材は更に支持プレートを含み、前記支持プレートは内槽の底部に固定装着され、前記締結ブッシュが支持プレートに固定装着されることを特徴とする請求項5に記載の洗濯機の排水密封装置。
【請求項7】
前記閉塞部材は上部カバーを含み、上部カバーの上端面は円弧面となっており、上部カバーの下端面は排水孔と密封状に係合する密封部を有し、前記接続部材の一端は、上部カバーの下端面の中心位置に固定接続されることを特徴とする請求項
1~
6のいずれか1項に記載の洗濯機の排水密封装置。
【請求項8】
前記密封機構は密封部材を含み、密封部材は、両端が閉塞部材と固定部材の間に密封状に装着されて密封空間を形成し、前記接続部材が密封空間内に設置されることを特徴とする請求項
1~
6のいずれか1項に記載の洗濯機の排水密封装置。
【請求項9】
前記密封機構は密封部材を含み、前記密封部材は密封ネジブッシュであり、密封ネジブッシュは、一端が閉塞部材上部カバーに密封状に接続され、他端が締結ブッシュにおける前記閉塞部材上部カバー寄りの一端に密封状に接続されることで、前記引張バネブッシュ及び引張バネを完全に覆う密封空間を形成することを特徴とする請求項5に記載の洗濯機の排水密封装置。
【請求項10】
洗濯機は、内槽の外部に設置される集水装置を含み、排水密封装置は駆動機構を更に含み、前記駆動機構は集水装置に装着されて密封機構に対応し、前記駆動機構は上下に伸縮可能な出力端を有し、
洗浄又はすすぎ時には、前記駆動機構の出力端が退避し、密封機構が排水孔と密封状に係合して、内槽内に洗浄水が満たされ、排水時には、前記駆動機構の出力端が伸出し、密封機構を突き上げて排水孔から分離させることで、排水孔が開放され、内槽内の洗浄水が排水孔から集水装置内に流出して排出されることを特徴とする請求項2~9のいずれか1項に記載の洗濯機の排水密封装置。
【請求項11】
内槽を含み、前記内槽の底部には排水孔が開設されており、前記内槽の底部には、排水孔と密封状に係合可能な密封機構を含む
、請求項1~10のいずれか1項に記載の排水密封装置が装着され、
洗浄又はすすぎ時には、前記密封機構が排水孔と密封状に係合し、内槽内に洗浄水が満たされ、排水時には、前記密封機構が排水孔を開放することで、内槽内の洗浄水が排水孔から排出されることを特徴とする洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内槽に孔の無い洗濯機における排水の技術分野に関し、具体的には、洗濯機の排水密封装置及び洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、従来の洗濯機の構造には内槽と外槽という2つの部分が含まれており、内槽と外槽が連通している。また、内槽には脱水のための脱水孔が開設されており、外槽は貯水槽となるよう封止されている。そのため、洗濯機が動作する際には、内槽と外槽の間の領域に水が満たされる。よって、洗濯機を長期間にわたり使用・運転しているうちに、内槽と外槽の間の領域が水中に含まれる汚れや糸屑で覆われ、使用年月が長くなると細菌や異臭が発生する結果、洗浄効果やユーザエクスペリエンスに大きな影響を及ぼすことになる。
【0003】
内槽と外槽の間に水が満たされるために生じる内槽と外槽の汚染問題を解決するために、従来の新型の洗濯機は、内槽と外槽の間を密封することで汚染問題を根絶可能としている。既知の解決策では、内槽を孔の無い内槽として設計することで内槽と外槽を隔離し、内槽を貯水槽としている。また、内槽からの排水を実現するために、外部に位置する密封構造を内槽の排水孔に押し付けることで内槽の密封を実現している。しかし、このような場合には、内槽が外槽に対して相対的に回動不可能となる。よって、内槽内の負荷が洗濯物の回動に起因してぐらつくと、密封構造にもぐらつきが生じるリスクがあり、漏水が発生する恐れがある。
【0004】
このほか、生活水準の向上に伴って、衣類の洗浄効果に対するユーザの要求も高まり続けている。基本的に、従来の洗濯機は、洗浄又はすすぎ過程において、いずれもパルセータの回動により水流を攪拌することで衣類を洗浄する。しかし、このような洗浄方式で形成される水流はやや画一的であり、洗浄効果の向上が望まれる。一方、従来のデュアルパワー洗濯機の場合には、洗浄及びすすぎ時にパルセータと内槽を逆方向に回動させるよう制御することで、水流に対しより多くの動力を付与可能である。これにより、水流方式が増加し、水流効果が強化されるため、比較的良好な洗浄効果が備わる。
【0005】
以上より、本発明は、槽間に水が存在し得ない洗濯機を提供するとともに、デュアルパワー洗濯機の洗浄方式を備えることで、衣類の清潔度と洗濯機の清潔度というユーザによる2つの要求を満足させることを主旨とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の第1の目的は、洗濯機の排水密封装置を提供することである。具体的には、以下の技術方案を用いる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
洗濯機の排水密封装置であって、洗濯機は内槽を含む。前記内槽の底部には排水孔が開設されている。前記排水密封装置は内槽の底部に装着されており、排水孔と密封状に係合可能な密封機構を含んでいる。
【0008】
洗浄又はすすぎ時には、前記密封機構が排水孔と密封状に係合し、内槽内に洗浄水が満たされる。また、排水時には、前記密封機構が排水孔を開放することで、内槽内の洗浄水が排水孔から排出される。
【0009】
更に、前記密封機構は、閉塞部材、接続部材及び固定部材を含む。前記固定部材は内槽の底部に固定装着され、接続部材は相対的に摺動可能に固定部材に装着される。また、接続部材は閉塞部材にも接続され、閉塞部材を運動させることで、閉塞部材と排水孔の密封及び分離を実現する。
【0010】
更に、前記固定部材は中空の摺動経路を有する。前記接続部材は、一端が摺動可能に固定部材における中空の摺動経路内に設置され、他端が延出して閉塞部材に接続される。前記接続部材は、中空の摺動経路内で軸方向に往復摺動して、閉塞部材と排水孔を密封及び分離させる。
【0011】
更に、前記密封機構は弾性部材を含む。前記弾性部材は、一端が固定部材に接続され、他端が閉塞部材又は接続部材に接続される。前記弾性部材は、閉塞部材と排水孔が分離状態となるまで接続部材が摺動するときに変形して、閉塞部材の弾性復元による密封を実現する。
【0012】
好ましくは、前記弾性部材は初期状態において圧縮状態であり、閉塞部材と排水孔との密封状の係合を維持する。
【0013】
更に、前記弾性部材は引張バネであり、前記接続部材は内部が中空の引張バネブッシュである。また、前記固定部材は内部が中空のネジブッシュを含む。前記引張バネブッシュは摺動可能にネジブッシュ内に嵌設され、前記引張バネは引張バネブッシュ内に嵌設される。引張バネは、一端がネジブッシュに接続され、他端が引張バネブッシュ又は閉塞部材に接続される。
【0014】
更に、前記引張バネは、周方向に沿って外側へ延伸する第1接続部を一端に有し、第2接続部を他端に有する。前記ネジブッシュの外壁には、引張バネの第1接続部を位置規制及び係接する係接溝が設けられている。また、前記引張バネブッシュの一端における係接溝に対応する箇所には、摺動時に第1接続部から退避する退避貫通溝が設けられている。且つ、引張バネブッシュの他端には位置規制フランジが備わっている。前記引張バネの第2接続部は、位置規制フランジと閉塞部材の間まで延伸して挟持及び固定される。
【0015】
好ましくは、前記引張バネブッシュにおける退避貫通溝が開設されていない部分の高さをXとし、前記ネジブッシュ全体の高さをYとすると、前記XはYよりも小さい。
【0016】
更に、前記固定部材は締結ブッシュを含み、前記締結ブッシュとネジブッシュが螺接される。締結ブッシュとネジブッシュをしっかりと螺接することで引張バネを移動させ、引張バネから閉塞部材に付与される予圧力を調節して、閉塞部材による自動密封を実施する。
【0017】
好ましくは、前記固定部材は更に支持プレートを含む。前記支持プレートは内槽の底部に固定装着され、前記締結ブッシュが支持プレートに固定装着される。
【0018】
更に、前記閉塞部材は上部カバーを含む。上部カバーの上端面は円弧面となっており、上部カバーの下端面は排水孔と密封状に係合する密封部を有する。前記接続部材の一端は、上部カバーの下端面の中心位置に固定接続される。
【0019】
好ましくは、前記閉塞部材はガスケットを更に含み、前記ガスケットが上部カバーの下端面に設置されている。
【0020】
更に、前記密封機構は密封部材を含んでいる。密封部材は、両端が閉塞部材と固定部材の間に密封状に装着されて密封空間を形成する。また、前記接続部材が密封空間内に設置される。
【0021】
好ましくは、前記密封部材は密封ネジブッシュである。密封ネジブッシュは、一端が上部カバーに密封状に接続され、他端が締結ブッシュにおける上部カバー寄りの一端に密封状に接続される。これにより、前記引張バネブッシュ及び引張バネを完全に覆う密封空間が形成される。
【0022】
更に、洗濯機は内槽の外部に設置される集水装置を含む。排水密封装置は駆動機構を更に含み、前記駆動機構は集水装置に装着されて密封機構に対応する。前記駆動機構は上下に伸縮可能な出力端を有する。
【0023】
洗浄又はすすぎ時には、前記駆動機構の出力端が退避する。そして、密封機構が排水孔と密封状に係合し、内槽内に洗浄水が満たされる。排水時には、前記駆動機構の出力端が伸出し、密封機構を突き上げることで排水孔から分離させる。これにより、排水孔が開放され、内槽内の洗浄水が排水孔から集水装置内に流出して排出される。
【0024】
本発明の第2の目的は、洗濯機を提供することである。具体的には、以下の技術方案を採用する。
【0025】
洗濯機は内槽を含む。前記内槽の底部には排水孔が開設されている。また、前記内槽の底部には、排水孔と密封状に係合可能な密封機構を含む排水密封装置が装着される。
【0026】
洗浄又はすすぎ時には、前記密封機構が排水孔と密封状に係合し、内槽内に洗浄水が満たされる。また、排水時には、前記密封機構が排水孔を開放することで、内槽内の洗浄水が排水孔から排出される。
【発明の効果】
【0027】
本発明における排水密封装置は内槽自体の構造に設計されている。密封機構は内槽を自動的に密封可能なため、洗濯機の動作時には内槽と外槽の間に水が存在し得ず、汚染されるとの事態が防止される。且つ、ユーザにとっては節水技術の応用にもなる。このほか、内槽を密封機構で自動的に密封したあとは、内槽とパルセータの相対的な回動を実現可能なため、衣類のデュアルパワー洗浄機能が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、本発明の実施例における排水密封装置の密封機構の分解図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施例における排水密封装置を洗濯機に装着した場合の組み付けを示す図である(排水孔が閉状態)。
【
図3】
図3は、本発明の実施例における排水密封装置を洗濯機に装着した場合の組み付けを示す図である(排水孔が開状態)。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、図面を組み合わせて、本発明における洗濯機の排水密封装置及び洗濯機について詳細に記載する。
【0030】
図1~
図3に示すように、洗濯機の排水密封装置において、洗濯機は内槽700を含んでいる。前記内槽700の底部には排水孔が開設されている。前記排水密封装置は内槽700の底部に装着されており、排水孔と密封状に係合可能な密封機構を含んでいる。
【0031】
洗浄又はすすぎ時には、前記密封機構が排水孔と密封状に係合し、内槽内に洗浄水が満たされる。また、排水時には、前記密封機構が排水孔を開放することで、内槽内の洗浄水が排水孔から排出される。
【0032】
本実施例における排水密封装置は、内槽自体の構造に設計されている。密封機構は内槽を自動的に密封可能なため、洗濯機の動作時には内槽と外槽の間に水が存在し得ず、汚染されるとの事態が防止される。且つ、ユーザにとっては節水技術の応用にもなる。このほか、内槽を密封機構で自動的に密封したあとは、内槽とパルセータの相対的な回動を実現可能なため、衣類のデュアルパワー洗浄機能が実現される。
【0033】
そのため、本実施例の密封機構は、排水孔を密封しているときに内槽の運転に干渉することがない。本実施例の一実施形態として、前記密封機構は、閉塞部材、接続部材及び固定部材を含む。前記固定部材は内槽の底部に固定装着され、接続部材は相対的に摺動可能に固定部材に装着される。また、接続部材は閉塞部材にも接続され、閉塞部材を運動させることで、閉塞部材と排水孔の密封及び分離を実現する。
【0034】
本実施例における密封機構の閉塞部材は、初期状態では排水孔を閉止しており、内槽の排水孔について自動的な密封を実現する。一方、排水時には、外部の駆動機構が接続部材に作用してこれを運動させ、接続部材が閉塞部材を運動させる結果、閉塞部材と排水孔の分離が実現されて排水孔が開放される。
【0035】
更に、本実施例で記載する固定部材は中空の摺動経路を有している。前記接続部材は、一端が摺動可能に固定部材における中空の摺動経路内に設置され、他端が延出して閉塞部材に接続される。前記接続部材は、中空の摺動経路内で軸方向に往復摺動して、閉塞部材と排水孔を密封及び分離させる。
【0036】
密封機構による排水孔の自動密封を実現するために、本実施例で記載する密封機構は弾性部材を含んでいる。前記弾性部材は、一端が固定部材に接続され、他端が閉塞部材又は接続部材に接続される。前記弾性部材は、閉塞部材と排水孔が分離状態となるまで接続部材が摺動するときに変形して、閉塞部材の弾性復元による密封を実現する。
【0037】
好ましくは、前記弾性部材は初期状態において圧縮状態であり、閉塞部材と排水孔との密封状の係合を維持する。
【0038】
本実施例の一実施形態として、前記弾性部材は引張バネ300であり、前記接続部材は内部が中空の引張バネブッシュ200である。また、前記固定部材は内部が中空のネジブッシュ400を含む。前記引張バネブッシュ200は摺動可能にネジブッシュ400内に嵌設され、前記引張バネ300は引張バネブッシュ内に嵌設される。引張バネ300は、一端がネジブッシュ400に接続され、他端が引張バネブッシュ200又は閉塞部材に接続される。
【0039】
具体的には、
図3に示すように、前記引張バネ300は、周方向に沿って外側へ延伸する第1接続部302を一端に有し、第2接続部301を他端に有する。前記ネジブッシュ400の外壁には、引張バネ300の第1接続部302を位置規制及び係接する係接溝401が設けられている。また、前記引張バネブッシュ200の一端における係接溝401に対応する箇所には、摺動時に第1接続部302から退避する退避貫通溝202が設けられている。且つ、引張バネブッシュ200の他端には位置規制フランジ201が備わっている。前記引張バネ300の第2接続部301は、位置規制フランジ201と閉塞部材の間まで延伸して挟持及び固定される。
【0040】
好ましくは、前記引張バネブッシュ200における退避貫通溝が開設されていない部分の高さをXとし、前記ネジブッシュ全体の高さをYとすると、前記XはYよりも小さい。これにより、引張バネブッシュ200は上下に摺動する際に内部の引張バネに邪魔されることがないため、排水孔の開閉の有効性及び安定性が確保される。
【0041】
更に、本実施例で記載する固定部材は締結ブッシュ600を含み、前記締結ブッシュ600とネジブッシュ400が螺接される。締結ブッシュ600とネジブッシュ400をしっかりと螺接することで引張バネ300を移動させ、引張バネ300から閉塞部材に付与される予圧力を調節して、閉塞部材による自動密封を実施する。
【0042】
好ましくは、前記固定部材は更に支持プレート500を含む。前記支持プレート500は内槽700の底部に固定装着され、前記締結ブッシュ600が支持プレート500に固定装着される。
【0043】
具体的に、前記支持プレート500は、内槽の底部に固定接続される接続孔501と、締結ブッシュ600を固定装着するための固定孔502を有する。
【0044】
より好ましくは、前記固定孔502は、2つ/2組の接続孔501の間に位置する。
【0045】
本実施例の一実施形態として、本実施例で記載する閉塞部材は上部カバー100を含む。上部カバー100の上端面は円弧面となっており、上部カバー100の下端面は排水孔と密封状に係合する密封部101を有する。前記接続部材の一端は、上部カバー100の下端面の中心位置に固定接続される。
【0046】
好ましくは、前記閉塞部材はガスケット800を更に含み、前記ガスケット800が上部カバーの下端面に設置されている。
【0047】
本実施例における密封機構の各部品間の組み付け関係について、
図3を参照する。まず、引張バネブッシュ200とネジブッシュ400を一体的に装着し、係接溝401と退避貫通溝202の位置を合わせる。退避貫通溝202は、径方向において溝が貫通している。また、係接溝401は、ネジブッシュの径方向における溝の深さが壁厚の半分を占めている。引張バネブッシュ200に退避貫通溝202を軸方向に開設したあとに残された寸法である図示のXは、ネジブッシュ400の高さである図示のYよりも低くする必要がある。
【0048】
引張バネ300を引張バネブッシュ200内に装着する際には、引張バネ300から飛び出た一端を、引張バネブッシュ200に掛止することなく、ネジブッシュ400の係接溝401に掛止する。また、引張バネ300から飛び出た他端については、引張バネブッシュ200のテーパー状構造と上部カバー100とをねじって締め付けることで引張バネ300を押圧する。これにより、引張バネ300の両端によって、ネジブッシュ400と引張バネブッシュ200を一体的に固定する。そして、ガスケット800を備える上部カバー100とともに一体的にねじることで、1つのモジュールを構成する(100、200、400、600を含む)。また、もう一方の側については、支持プレート500をフランジ900にネジで締結する。そして、締結ブッシュ600をネジブッシュ400に螺接することで、ネジブッシュ400が引張バネ300を外側に移動させ、引張バネ300が上部カバー100を移動させる。ねじり力が大きいほど、モジュールは支持プレート500と内槽700の間でしっかりと引っ張られる。
【0049】
密封の動作原理:引張バネ300は、一端が引張バネブッシュ200のベルマウス構造と上部カバー100の作用によって固定され、他端がネジブッシュ400に係接される。締結ブッシュ600とネジブッシュ400を相互にねじって締め付ける過程では、ネジブッシュ400が引張バネ300を下方に移動させる。引張バネ300を引っ張ると引張力が発生し、上部カバー100がガスケット800に押し付けられることで初期状態における自動密封が実現される。このとき、洗濯機に衣類を投入して給水し、洗浄を開始することが可能である。また、内槽は自由に回動可能である。且つ、漏水が発生することもない。以上については
図2に示す通りである。
【0050】
排水の動作原理:排水準備時には、内槽が位置決め構造によって密封構造と駆動機構1000の位置を重ね合わせる。このとき、駆動機構1000の出力端が上部カバー100の円柱102を突き上げて、上部カバー100を上方へ移動させる。これにより、上部カバー100と槽底の間に隙間が発生し、排水が実現される。また、その際には、引張バネ300も最大ストロークまで引っ張られる。排水が完了すると、駆動機構1000の出力端1001が退避することで、上部カバー100が引張バネ300の作用によって排水孔を再び密封する。以上については
図3に示す通りである。
【0051】
本実施例の排水密封装置を設計する際には、内槽とガスケットの双方にテーパー状設計を採用する。これにより、衣類が排水口付近に集中した場合、水流の衝撃及び異物自体の重力の作用によって、異物をいっそう排出しやすくなる。また、長期間の運転による糸屑の堆積も防止しやすい。
【0052】
本実施例では、上部カバー100を傘状構造とすることで、パルセータと内槽底の間のスペースを有効利用しており、内槽と外槽の間のスペースが不足するとの欠点を合理化している。また、これにより、洗濯機の密封機構が確実に最大限持ち上げられる。且つ、開口の高さは12mmに達する。よって、ボタンやヘアピン、硬貨、糸屑等の洗浄に伴う異物を槽内から効果的に排出可能である。
【0053】
排水時には、排水孔から流出する洗浄水が締結ブッシュ600内に進入する恐れがある。その場合、時間の経過とともに、洗浄水中の糸屑や汚物、或いは異物が進入することで、例えば引張バネ200といった締結ブッシュ600内の部材に影響が及び、正常な動作が不可能になる結果、閉塞部材の正常な位置復帰及び密封効果に支障をきたす恐れがある。そこで、締結ブッシュ600内の部材の動作環境について相対的な安定性を保証するために、本実施例で記載する密封機構は密封部材を含んでいる。密封部材は、両端が閉塞部材と固定部材の間に密封状に装着されて密封空間を形成する。また、前記接続部材が密封空間内に設置される。
【0054】
好ましくは、前記密封部材は密封ネジブッシュ1200である。密封ネジブッシュ1200は、一端が上部カバーに密封状に接続され、他端が締結ブッシュにおける上部カバー寄りの一端に密封状に接続される。これにより、前記引張バネブッシュ200及び引張バネ300を完全に覆う密封空間が形成される。密封ネジブッシュ1200は、密封効果を有するとともに、上部カバーの上下運動に伴って伸縮することが可能である。本構造はシンプル且つ低コストであり、引張バネ300の動作環境について密封性を保証する。
【0055】
本実施例の一実施形態として、洗濯機は、内槽の外部に設置される集水装置1100を含む。また、排水密封装置は駆動機構1000を更に含み、前記駆動機構は集水装置に装着されて密封機構に対応する。前記駆動機構は、上下に伸縮可能な出力端1001を有する。
【0056】
洗浄又はすすぎ時には、前記駆動機構の出力端が退避する。そして、密封機構が排水孔と密封状に係合し、内槽内に洗浄水が満たされる。排水時には、前記駆動機構の出力端が伸出し、密封機構を突き上げることで排水孔から分離させる。これにより、排水孔が開放され、内槽内の洗浄水が排水孔から集水装置内に流出して排出される。
【0057】
好ましくは、前記駆動機構として排水弁構造を選択可能である。
【0058】
本実施例の集水装置1000は、主として内槽700からの排水の収集及び排出に用いられるとともに、内槽700からの脱水を収集して排出する。よって、集水装置1000は、外槽としてもよいし、集水室を有するトレイ状構造としてもよい。これにより、ハウジング内の内槽と同等の容積を増加可能なため、容量増大の効果を有する。
【0059】
本実施例における駆動機構の出力端1001は伸縮ロッドである。前記伸縮ロッドは締結ブッシュ600内に伸入し、上部カバー100を突き上げることが可能である。
【0060】
本実施例は、内槽を含む洗濯機を更に提供する。前記内槽の底部には排水孔が開設されている。また、前記内槽の底部には、排水孔と密封状に係合可能な密封機構を含む排水密封装置が装着される。
【0061】
洗浄又はすすぎ時には、前記密封機構が排水孔と密封状に係合し、内槽内に洗浄水が満たされる。また、排水時には、前記密封機構が排水孔を開放することで、内槽内の洗浄水が排水孔から排出される。
【0062】
本実施例の洗濯機によれば、槽間に水が存在し得なくなるため、内槽と外槽の間の領域が容易に汚染されるとの課題が解決される。且つ、本実施例の洗濯機は、デュアルパワー洗浄を実現可能なため、洗濯効果が向上し、洗濯に対するユーザの要求を満足させられる。
【0063】
本実施例の内槽は孔の無い内槽である。本実施例の内槽の槽壁は、上部に脱水孔が周設されているほかは全て封止されている。好ましくは、脱水孔は内槽口に設置されている。また、内槽口にバランスリングを装着することで、バランスリングによって脱水孔を隠すことができるため、見た目的には孔の無い内槽構造が実現される。
【0064】
以上は本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明を何らかの形式に制限するものではない。本発明については好ましい実施例によって上記のように開示したが、本発明を限定するとの主旨ではない。本発明の技術方案を逸脱しない範囲において、当業者が上記で提示した技術内容を用いて実施可能なわずかな変形或いは補足は、同等に変形された等価の実施例とみなされ、いずれも本発明の技術方案の内容を逸脱するものではない。また、本発明の技術的本質に基づいて上記の実施例に加えられる任意の簡単な修正、同等の変形及び補足は、いずれも本発明の方案の範囲に属する。