(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-01
(45)【発行日】2022-11-10
(54)【発明の名称】端末デバイスの電源回路、端末デバイス、及び電力供給方法
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20221102BHJP
G06F 1/26 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
H02J7/00 302D
G06F1/26 303
(21)【出願番号】P 2021524083
(86)(22)【出願日】2018-07-27
(86)【国際出願番号】 CN2018097431
(87)【国際公開番号】W WO2020019300
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】521218881
【氏名又は名称】オナー デバイス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】チィウ ユィポン
(72)【発明者】
【氏名】リ ルォイリアン
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ ハイビン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン フェンウエイ
【審査官】坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-529185(JP,A)
【文献】特表2014-524232(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103181054(CN,A)
【文献】特開2003-189485(JP,A)
【文献】特開2006-081369(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0119322(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
G06F 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末デバイスの電源回路であって、
昇圧回路、バッテリチップ、及びコントローラを有し、
前記バッテリチップのバッテリ端はバッテリの正電極へ接続され、前記バッテリチップの電気エネルギ出力端は負荷へ接続され、前記バッテリチップは、前記負荷のために前記バッテリの出力電圧を供給するよう構成され、
前記昇圧回路の入力端は前記バッテリの前記正電極へ接続され、前記昇圧回路の出力端は前記負荷へ接続され、前記昇圧回路は、入力電圧を押し上げ、それから、押し上げられた電圧を出力することができ、
前記コントローラは、サンプリング温度が前もってセットされた温度値よりも低い場合及び/又は前記バッテリの出力電圧が第1の前もってセットされた電圧値よりも小さい場合に、前記昇圧回路を、作動するように制御し、前記バッテリチップを、前記負荷へ電力を供給することを止めるように制御し、前記昇圧回路の出力電圧が前記昇圧回路の入力電圧よりも小さい場合に、前記バッテリチップ及び前記昇圧回路を、前記負荷へ同時に電力を供給するように制御するよう構成され、前記サンプリング温度は、前記端末デバイスの温度又は前記バッテリの温度であ
り、
前記コントローラが、前記昇圧回路を、作動するように制御し、前記バッテリチップを、前記負荷へ電力を供給することを止めるように制御することは、特に、
最初に、前記昇圧回路の出力電圧を、前記バッテリの出力電圧以下であるように制御し、それから、前記バッテリチップを、前記負荷へ電力を供給することを止めるように制御し、次に、前記昇圧回路の出力電圧を、第4の前もってセットされた電圧値であるように制御することを有し、
前記第4の前もってセットされた電圧値は、前記第1の前もってセットされた電圧値よりも小さい、
電源回路。
【請求項2】
電圧比較回路を更に有し、
前記コントローラは、前記昇圧回路を作動するように制御する場合に前記電圧比較回路を作動するように制御するよう更に構成され、
前記電圧比較回路は、前記昇圧回路の出力電圧を前記昇圧回路の入力電圧と比較し、前記昇圧回路の出力電圧が前記昇圧回路の入力電圧よりも小さいと決定する場合にトリガ信号を前記コントローラへ送るよう構成され、
前記コントローラは、前記トリガ信号を受信する場合に、前記バッテリチップ及び前記昇圧回路を、前記負荷へ同時に電力を供給するように制御するよう更に構成される、
請求項1に記載の電源回路。
【請求項3】
前記電圧比較回路は、前記バッテリチップの中に配置されるか、あるいは、前記電圧比較回路は、前記バッテリチップの外に配置される、
請求項2に記載の電源回路。
【請求項4】
前記バッテリチップは、スイッチングチューブを有し、
前記スイッチングチューブの第1端は、前記バッテリチップの前記バッテリ端へ接続され、前記スイッチングチューブの第2端は、前記バッテリチップの前記電気エネルギ出力端へ接続され、
前記コントローラが、前記バッテリチップを、前記負荷へ電力を供給するように制御することは、特に、前記コントローラが、前記スイッチングチューブを、閉じられるように制御することである、
請求項2に記載の電源回路。
【請求項5】
前記コントローラは、充電器が前記端末デバイスに挿入されることが検出される場合に、前記バッテリチップを、前記負荷へ電力を供給するように制御し、前記昇圧回路を、作動を停止するように制御するよう更に構成される、
請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載の電源回路。
【請求項6】
前記コントローラは、該コントローラが、前記昇圧回路を、作動するように制御し、前記バッテリチップを、前記負荷へ電力を供給することを止めるように制御した後に、前記端末デバイスのスクリーンがオフされ、前記バッテリの出力電圧が第2の前もってセットされた電圧値よりも大きい場合に、前記昇圧回路の出力電圧を、前記バッテリの出力電圧以下であるように制御し、それから、前記バッテリチップを、前記負荷へ電力を供給するように制御し、次に、前記昇圧回路を、作動を停止するように制御するよう更に構成され、
前記第2の前もってセットされた電圧値は、前記第1の前もってセットされた電圧値よりも小さい、
請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載の電源回路。
【請求項7】
前記コントローラは、該コントローラが、前記昇圧回路を、作動を停止するように制御した後に、前記端末デバイスの前記スクリーンがオフされ、前記バッテリの出力電圧が前記第2の前もってセットされた電圧値以下である場合に、前記昇圧回路を、作動するように制御し、前記バッテリチップを、前記負荷へ電力を供給することを止めるように制御するよう更に構成される、
請求項6に記載の電源回路。
【請求項8】
前記コントローラは、前記バッテリの出力電圧が第3の前もってセットされた電圧値以下である場合に、前記端末デバイスをシャットダウンされるように制御するよう更に構成され、
前記第3の前もってセットされた電圧値は、前記第2の前もってセットされた電圧値よりも小さい、
請求項6又は7に記載の電源回路。
【請求項9】
前記昇圧回路は、ブースト回路又は電荷ポンプ回路である、
請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載の電源回路。
【請求項10】
電力管理チップを更に有し、
前記電力管理チップは、前記サンプリング温度が前記前もってセットされた温度値よりも低いこと及び/又は前記バッテリの出力電圧が前記第1の前もってセットされた電圧値よりも小さいことを決定し、該決定の結果を前記コントローラへ送るよう構成される、
請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載の電源回路。
【請求項11】
前記コントローラは、前記端末デバイスのシステム・オン・チップによって実施される、
請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載の電源回路。
【請求項12】
端末デバイスの電源回路であって、
昇圧回路、バッテリチップ、及びコントローラを有し、
前記バッテリチップのバッテリ端はバッテリの正電極へ接続され、前記バッテリチップの電気エネルギ出力端は負荷へ接続され、前記バッテリチップは、前記負荷のために前記バッテリの出力電圧を供給するよう構成され、
前記昇圧回路はバイパス回路を備え、前記昇圧回路の入力端は前記バッテリの前記正電極へ接続され、前記昇圧回路の出力端は前記負荷へ接続され、前記昇圧回路は、入力電圧を押し上げ、それから、押し上げられた電圧を出力することができ、前記バイパス回路の第1端は前記昇圧回路の前記入力端へ接続され、前記バイパス回路の第2端は前記昇圧回路の前記出力端へ接続され、前記昇圧回路の導通状態は前記バイパス回路のそれに対して補完的であり、
前記コントローラは、サンプリング温度が前もってセットされた温度値よりも低い場合及び/又は前記バッテリの出力電圧が第1の前もってセットされた電圧値よりも小さい場合に、前記昇圧回路を、作動するように制御し、前記バッテリチップを、前記負荷へ電力を供給することを止めるように制御するよう構成され、前記昇圧回路の出力電圧が前記昇圧回路の入力電圧よりも小さい場合に、前記バイパス回路は、前記負荷へ電力を供給するよう自動的に導通し、前記サンプリング温度は、前記端末デバイスの温度又は前記バッテリの温度であ
り、
前記コントローラが、前記昇圧回路を、作動するように制御し、前記バッテリチップを、前記負荷へ電力を供給することを止めるように制御することは、特に、
最初に、前記昇圧回路の出力電圧を、前記バッテリの出力電圧以下であるように制御し、それから、前記バッテリチップを、前記負荷へ電力を供給することを止めるように制御し、次に、前記昇圧回路の出力電圧を、第4の前もってセットされた電圧値であるように制御することを有し、
前記第4の前もってセットされた電圧値は、前記第1の前もってセットされた電圧値よりも小さい、
電源回路。
【請求項13】
前記コントローラは、充電器が前記端末デバイスに挿入されることが検出される場合に、前記バッテリチップを、前記負荷へ電力を供給するように制御し、前記昇圧回路を、作動を停止するように制御するよう更に構成される、
請求項
12に記載の電源回路。
【請求項14】
前記コントローラは、該コントローラが、前記昇圧回路を、作動するように制御し、前記バッテリチップを、前記負荷へ電力を供給することを止めるように制御した後に、前記端末デバイスのスクリーンがオフされ、前記バッテリの出力電圧が第2の前もってセットされた電圧値よりも大きい場合に、前記昇圧回路の出力電圧を、前記バッテリの出力電圧以下であるように制御し、それから、前記バッテリチップを、前記負荷へ電力を供給するように制御し、次に、前記昇圧回路を、作動を停止するように制御するよう更に構成され、
前記第2の前もってセットされた電圧値は、前記第1の前もってセットされた電圧値よりも小さい、
請求項
12又は
13に記載の電源回路。
【請求項15】
前記コントローラは、該コントローラが、前記昇圧回路を、作動を停止するように制御した後に、前記端末デバイスの前記スクリーンがオフされ、前記バッテリの出力電圧が前記第2の前もってセットされた電圧値以下である場合に、前記昇圧回路を、作動するように制御し、前記バッテリチップを、前記負荷へ電力を供給することを止めるように制御するよう更に構成される、
請求項
14に記載の電源回路。
【請求項16】
前記コントローラは、前記バッテリの出力電圧が第3の前もってセットされた電圧値以下である場合に、前記端末デバイスをシャットダウンされるように制御するよう更に構成され、
前記第3の前もってセットされた電圧値は、前記第2の前もってセットされた電圧値よりも小さい、
請求項
14又は
15に記載の電源回路。
【請求項17】
前記昇圧回路は、ブースト回路又は電荷ポンプ回路である、
請求項
12に記載の電源回路。
【請求項18】
電力管理チップを更に有し、
前記電力管理チップは、前記サンプリング温度が前記前もってセットされた温度値よりも低いこと及び/又は前記バッテリの出力電圧が前記第1の前もってセットされた電圧値よりも小さいことを決定し、該決定の結果を前記コントローラへ送るよう構成される、
請求項
12に記載の電源回路。
【請求項19】
前記コントローラは、前記端末デバイスのシステム・オン・チップによって実施される、
請求項
12に記載の電源回路。
【請求項20】
前記昇圧回路の導通状態が前記バイパス回路のそれと補完的であることは、特に、前記昇圧回路が導通しているときに前記バイパス回路が導通しておらず、あるいは、前記バイパス回路が導通しているときに前記昇圧回路が導通してないことを有する、
請求項
12に記載の電源回路。
【請求項21】
バッテリ、負荷、及び請求項1乃至
20のうちいずれか一項に記載の電源回路を有し、
前記電源回路は、前記負荷のために前記バッテリの電気エネルギを供給するよう構成される、
端末デバイス。
【請求項22】
端末デバイスのための電力供給方法であって、当該電力供給方法は前記端末デバイスへ適用され、該端末デバイスはバッテリ、負荷、及び電源回路を有し、該電源回路は昇圧回路、バッテリチップ、及びコントローラを有し、前記バッテリチップのバッテリ端は前記バッテリの正電極へ接続され、前記バッテリチップの電気エネルギ出力端は前記負荷へ接続され、前記バッテリチップは、前記負荷のために前記バッテリの出力電圧を供給するよう構成され、前記昇圧回路の入力端は前記バッテリの前記正電極へ接続され、前記昇圧回路の出力端は前記負荷へ接続される、前記電力供給方法において、
サンプリング温度が前もってセットされた温度値よりも低い場合及び/又は前記バッテリの出力電圧が第1の前もってセットされた電圧値よりも小さい場合に、前記コントローラによって、前記昇圧回路を、作動するように制御し、前記バッテリチップを、前記負荷へ電力を供給することを止めるように制御することであり、前記サンプリング温度は前記端末デバイスの温度又は前記バッテリの温度である、ことと、
前記昇圧回路の作動過程において、前記昇圧回路の出力電圧が前記昇圧回路の入力電圧よりも小さい場合に、前記バッテリチップ及び前記昇圧回路を、前記負荷へ同時に電力を供給するように制御することと
を有
し、
前記コントローラが、前記昇圧回路を、作動するように制御し、前記バッテリチップを、前記負荷へ電力を供給することを止めるように制御することは、特に、
最初に、前記昇圧回路の出力電圧を、前記バッテリの出力電圧以下であるように制御し、それから、前記バッテリチップを、前記負荷へ電力を供給することを止めるように制御し、次に、前記昇圧回路の出力電圧を、第4の前もってセットされた電圧値であるように制御することを有し、
前記第4の前もってセットされた電圧値は、前記第1の前もってセットされた電圧値よりも小さい、
電力供給方法。
【請求項23】
端末デバイスのための電力供給方法であって、当該電力供給方法は前記端末デバイスへ適用され、該端末デバイスはバッテリ、負荷、及び電源回路を有し、該電源回路は昇圧回路、バッテリチップ、及びコントローラを有し、前記バッテリチップのバッテリ端は前記バッテリの正電極へ接続され、前記バッテリチップの電気エネルギ出力端は前記負荷へ接続され、前記バッテリチップは、前記負荷のために前記バッテリの出力電圧を供給するよう構成され、前記昇圧回路の入力端は前記バッテリの前記正電極へ接続され、前記昇圧回路の出力端は前記負荷へ接続され、前記昇圧回路はバイパス回路を備え、該バイパス回路の第1端は前記昇圧回路の前記入力端へ接続され、前記バイパス回路の第2端は前記昇圧回路の前記出力端へ接続され、前記昇圧回路の導通状態は前記バイパス回路のそれと補完的である、前記電力供給方法において、
サンプリング温度が前もってセットされた温度値よりも低い場合及び/又は前記バッテリの出力電圧が第1の前もってセットされた電圧値よりも小さい場合に、前記コントローラによって、前記昇圧回路を、作動するように制御し、前記バッテリチップを、前記負荷へ電力を供給することを止めるように制御することと、
前記昇圧回路の作動過程において、前記昇圧回路の出力電圧が前記昇圧回路の入力電圧よりも小さい場合に、前記バイパス回路が前記負荷へ電力を供給するよう自動的に導通することを可能にすることと
を有し、
前記サンプリング温度は前記端末デバイスの温度又は前記バッテリの温度であ
り、
前記コントローラが、前記昇圧回路を、作動するように制御し、前記バッテリチップを、前記負荷へ電力を供給することを止めるように制御することは、特に、
最初に、前記昇圧回路の出力電圧を、前記バッテリの出力電圧以下であるように制御し、それから、前記バッテリチップを、前記負荷へ電力を供給することを止めるように制御し、次に、前記昇圧回路の出力電圧を、第4の前もってセットされた電圧値であるように制御することを有し、
前記第4の前もってセットされた電圧値は、前記第1の前もってセットされた電圧値よりも小さい、
電力供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、端末デバイス技術の分野に、特に、端末デバイスの電源回路、端末デバイス、及び電力供給方法に関係がある。
【背景技術】
【0002】
現在、携帯電話機及びiPadなどのほとんどの端末デバイスは、バッテリによって給電されている。バッテリの電圧が比較的低いか、又は端末デバイスが低温シナリオで使用される場合に、例えば、写真撮影又はビデオ録画中に、異常シャットダウン又は再起動の問題がしばしば起きる。
【0003】
端末デバイスは写真撮影中に比較的高い電流を消費する必要があるので、バッテリの出力電圧は急に下がり、ひどいときには、端末デバイスは、低バッテリレベルのプロンプトなしで即時にシャットダウンされる。その結果、ユーザ経験は悪くなる。
【0004】
同様に、周囲温度が低い場合に、バッテリの温度も低い。しかし、内部抵抗がバッテリには存在する。従って、バッテリの温度が比較的低い場合に、バッテリの内部抵抗は増大し、バッテリの出力電圧は下がる。その結果、異常シャットダウンが引き起こされる。
【発明の概要】
【0005】
本願は、バッテリの出力電圧が比較的低いか又は温度が比較的低い場合に端末デバイスが異常シャットダウン又は再起動されないようにするために、端末デバイスの電源回路、端末デバイス、及び電力供給方法を提供する。
【0006】
第1の態様に従って、昇圧回路、バッテリチップ、及びコントローラを含む、端末デバイスの電源回路が提供される。
【0007】
バッテリチップのバッテリ端は、バッテリの正電極へ接続され、バッテリチップの電気エネルギ出力端は、負荷へ接続される。バッテリチップは、負荷のためにバッテリの出力電圧を供給するよう構成される。
【0008】
昇圧回路の入力端は、バッテリの正電極へ接続され、昇圧回路の出力端は、負荷へ接続される。昇圧回路は、入力電圧を押し上げ、それから、押し上げられた電圧を出力することができる。
【0009】
コントローラは、サンプリング温度が前もってセットされた温度値よりも低い場合及び/又はバッテリの出力電圧が第1の前もってセットされた電圧値よりも小さい場合に、昇圧回路を、作動するように制御し、バッテリチップを、負荷へ電力を供給することを止めるように制御し、昇圧回路の出力電圧が昇圧回路の入力電圧よりも小さい場合に、バッテリチップ及び昇圧回路を、負荷へ同時に電力を供給するように制御するよう構成され、サンプリング温度は、端末デバイスの温度又はバッテリの温度である。
【0010】
第1の態様の第1の可能な実施で、電源回路は、電圧比較回路を更に含む。
【0011】
コントローラは、昇圧回路を作動するように制御する場合に電圧比較回路を作動するように制御するよう更に構成される。
【0012】
電圧比較回路は、昇圧回路の出力電圧を昇圧回路の入力電圧と比較し、昇圧回路の出力電圧が昇圧回路の入力電圧よりも小さいと決定する場合にトリガ信号をコントローラへ送るよう構成される。
【0013】
コントローラは、トリガ信号を受信する場合に、バッテリチップ及び昇圧回路を、負荷へ同時に電力を供給するように制御するよう更に構成される。
【0014】
電圧比較回路は、昇圧回路の出力電圧及び入力電圧の間の差を取得することができる。
【0015】
電圧比較回路は、上記の機能を実施する如何なる回路又はチップでもあってよい。例えば、電圧比較回路は、コンパレータ及び周辺形成抵抗によって実施されてよい。上記の差は、異なる抵抗値を有している抵抗を使用することによって計算される。
【0016】
バッテリチップの電力供給状態が頻繁に制御されないことを確かにし、かつ、干渉防止能力を改善するために、この実施形態では、負荷へ同時に電力を供給するようバッテリチップ及び昇圧回路をトリガすべきどうかは、電圧比較回路によって決定される。電圧比較回路は、昇圧回路の出力電圧が昇圧回路の入力電圧よりも小さい場合にのみ、トリガ信号をコントローラへ送る。代替的に、電圧比較回路は、昇圧回路の出力電圧が昇圧回路の入力電圧よりも小さく、かつ、2つの電圧の間の差が第1閾値を上回る場合にのみ、トリガ信号をコントローラへ送る。
【0017】
電圧比較回路は、バッテリチップの中に配置されてよく、あるいは、バッテリチップの外に配置されてよい。
【0018】
第1の態様及び上記の可能な実施を参照して、第2の可能な実施で、電圧比較回路は、バッテリチップの中に配置されるか、あるいは、電圧比較回路は、バッテリチップの外に配置される。
【0019】
第1の態様及び上記の可能な実施のいずれか1つを参照して、第3の可能な実施で、バッテリチップは、スイッチングチューブを含む。
【0020】
スイッチングチューブの第1端は、バッテリチップのバッテリ端へ接続され、スイッチングチューブの第2端は、バッテリチップの電気エネルギ出力端へ接続される。
【0021】
コントローラがバッテリチップを負荷へ電力を供給するように制御することは、特に、コントローラがスイッチングチューブを閉じられるように制御することである。
【0022】
第1の態様及び上記の可能な実施のいずれか1つを参照して、第4の可能な実施で、コントローラは、充電器が端末デバイスに挿入されることが検出される場合に、バッテリチップを、負荷へ電力を供給するように制御し、昇圧回路を、作動を停止するように制御するよう更に構成される。
【0023】
充電器が端末デバイスに挿入される場合に、負荷は、充電器によって直接給電される。
【0024】
第1の態様及び上記の可能な実施のいずれか1つを参照して、第5の可能な実施で、コントローラは、コントローラが、昇圧回路を、作動するように制御し、バッテリチップを、負荷へ電力を供給することを止めるように制御した後に、端末デバイスのスクリーンがオフされ、バッテリの出力電圧が第2の前もってセットされた電圧値よりも大きい場合に、昇圧回路の出力電圧を、バッテリの出力電圧以下であるように制御し、それから、バッテリチップを、負荷へ電力を供給するように制御し、次に、昇圧回路を、作動を停止するように制御するよう更に構成される。
【0025】
第2の前もってセットされた電圧値は、第1の前もってセットされた電圧値よりも小さい。
【0026】
端末デバイスのスクリーンがオフされる場合に、必要とされる電力は減少する。従って、たとえバッテリの出力電圧が第1の前もってセットされた電圧値よりも小さいとしても、バッテリの出力電圧が第2の前もってセットされた電圧値よりも大きいとの条件で、昇圧回路は、作動を停止するように制御されてよく、バッテリチップは、負荷のための電力供給経路を提供するよう作動する。
【0027】
第1の態様及び上記の可能な実施のいずれか1つを参照して、第6の可能な実施で、コントローラは、コントローラが、昇圧回路を、作動を停止するように制御した後に、端末デバイスのスクリーンがオフされ、バッテリの出力電圧が第2の前もってセットされた電圧値以下である場合に、昇圧回路を、作動するように制御し、バッテリチップを、負荷へ電力を供給することを止めるように制御するよう更に構成される。
【0028】
第1の態様及び上記の可能な実施のいずれか1つを参照して、第7の可能な実施で、コントローラは、バッテリの出力電圧が第3の前もってセットされた電圧値以下である場合に、端末デバイスをシャットダウンされるように制御するよう更に構成される。
【0029】
第3の前もってセットされた電圧値は、第2の前もってセットされた電圧値よりも小さい。
【0030】
第1の態様及び上記の可能な実施のいずれか1つを参照して、第8の可能な実施で、コントローラが、昇圧回路を、作動するように制御し、バッテリチップを、負荷へ電力を供給することを止めるように制御することは、特に、
最初に、前記昇圧回路の出力電圧を、前記バッテリの出力電圧以下であるように制御し、それから、前記バッテリチップを、前記負荷へ電力を供給することを止めるように制御し、次に、前記昇圧回路の出力電圧を、第4の前もってセットされた電圧値であるように制御することを含み、前記第4の前もってセットされた電圧値は、前記第1の前もってセットされた電圧値よりも小さい。
【0031】
端末デバイスが、バッテリチップによって提供される電力供給経路から、昇圧回路によって供給される電力供給経路へまさに切り替わるときに、昇圧回路の出力電圧が比較的高いが、バッテリチップによって提供される電力供給経路が切り離されていない場合に、比較的高い出力電圧がバッテリチップに逆流する可能性がある。そのような逆流を回避するために、昇圧回路の出力電圧は、最初に、バッテリの出力電圧よりも小さいか又はそれに近い(例えば、それに等しいか若しくはわずかに大きい)ように制御され、それから、バッテリチップは、負荷へ電力を供給することを止めるように制御され、次に、昇圧回路の出力電圧は、第4の前もってセットされた電圧値であるように制御される。第4の前もってセットされた電圧値は、第1の前もってセットされた電圧値よりも小さい。
【0032】
第1の態様及び上記の可能な実施のいずれか1つを参照して、第9の可能な実施で、昇圧回路は、ブースト回路又は電荷ポンプ回路である。
【0033】
第1の態様及び上記の可能な実施のいずれか1つを参照して、第10の可能な実施で、電源回路は、電力管理チップを更に含む。
【0034】
電力管理チップは、サンプリング温度が前もってセットされた温度値よりも低いこと及び/又はバッテリの出力電圧が第1の前もってセットされた電圧値よりも小さいことを決定し、決定の結果をコントローラへ送るよう構成される。
【0035】
第1の態様及び上記の可能な実施のいずれか1つを参照して、第11の可能な実施で、コントローラは、端末デバイスのシステム・オン・チップによって実施される。
【0036】
上記の実施形態で提供される電源回路に従って、コントローラは、バッテリチップ及び昇圧回路の作動状態を制御する必要がある。下記は、電力供給経路間の切り替えが制御不要でバッテリの出力電圧に基づいて自動的に実行され得るような電源回路を提供する。これは、簡単でありかつ使いやすく、更には制御コストを下げる。次の実施形態の昇圧回路と上記の実施形態の昇圧回路との間の違いは、バイパス回路が加えられている点である。
【0037】
第2の態様に従って、昇圧回路、バッテリチップ、及びコントローラを含む、端末デバイスの電源回路が提供される。
【0038】
バッテリチップのバッテリ端は、バッテリの正電極へ接続され、バッテリチップの電気エネルギ出力端は、負荷へ接続される。バッテリチップは、負荷のためにバッテリの出力電圧を供給するよう構成される。
【0039】
昇圧回路は、バイパス回路を備える。昇圧回路の入力端は、バッテリの正電極へ接続され、昇圧回路の出力端は、負荷へ接続される。昇圧回路は、入力電圧を押し上げ、それから、押し上げられた電圧を出力することができる。バイパス回路の第1端は、昇圧回路の入力端へ接続され、バイパス回路の第2端は、昇圧回路の出力端へ接続される。昇圧回路の導通状態は、バイパス回路のそれに対して補完的である。
【0040】
コントローラは、サンプリング温度が前もってセットされた温度値よりも低い場合及び/又はバッテリの出力電圧が第1の前もってセットされた電圧値よりも小さい場合に、昇圧回路を、作動するように制御し、バッテリチップを、負荷へ電力を供給することを止めるように制御するよう構成される。昇圧回路の出力電圧が昇圧回路の入力電圧よりも小さい場合に、バイパス回路は、負荷へ電力を供給するよう自動的に導通する。サンプリング温度は、端末デバイスの温度又はバッテリの温度である。
【0041】
第2の態様の第1の可能な実施で、コントローラは、充電器が端末デバイスに挿入されることが検出される場合に、バッテリチップを、負荷へ電力を供給するように制御し、昇圧回路を、作動を停止するように制御するよう更に構成される。
【0042】
第2の態様及び上記の可能な実施を参照して、第2の可能な実施で、コントローラは、コントローラが、昇圧回路を、作動するように制御し、バッテリチップを、負荷へ電力を供給することを止めるように制御した後に、端末デバイスのスクリーンがオフされ、バッテリの出力電圧が第2の前もってセットされた電圧値よりも大きい場合に、昇圧回路の出力電圧を、バッテリの出力電圧以下であるように制御し、それから、バッテリチップを、負荷へ電力を供給するように制御し、次に、昇圧回路を、作動を停止するように制御するよう更に構成される。
【0043】
第2の前もってセットされた電圧値は、第1の前もってセットされた電圧値よりも小さい。
【0044】
第2の態様及び上記の可能な実施のいずれか1つを参照して、第3の可能な実施で、コントローラは、コントローラが、昇圧回路を、作動を停止するように制御した後に、端末デバイスのスクリーンがオフされ、バッテリの出力電圧が第2の前もってセットされた電圧値以下である場合に、昇圧回路を、作動するように制御し、バッテリチップを、負荷へ電力を供給することを止めるように制御するよう更に構成される。
【0045】
第2の態様及び上記の可能な実施のいずれか1つを参照して、第4の可能な実施で、コントローラは、バッテリの出力電圧が第3の前もってセットされた電圧値以下である場合に、端末デバイスをシャットダウンされるように制御するよう更に構成される。
【0046】
第3の前もってセットされた電圧値は、第2の前もってセットされた電圧値よりも小さい。
【0047】
第2の態様及び上記の可能な実施のいずれか1つを参照して、第5の可能な実施で、コントローラが、昇圧回路を、作動するように制御し、バッテリチップを、負荷へ電力を供給することを止めるように制御することは、特に、
最初に、昇圧回路の出力電圧を、バッテリの出力電圧よりも小さいか又はそれに近い(例えば、それに等しいか若しくはわずかに大きい)ように制御し、それから、バッテリチップを、負荷へ電力を供給することを止めるように制御し、次に、昇圧回路の出力電圧を、第4の前もってセットされた電圧値であるように制御することを含む。
【0048】
第4の前もってセットされた電圧値は、第1の前もってセットされた電圧値よりも小さい。
【0049】
第2の態様及び上記の可能な実施のいずれか1つを参照して、第6の可能な実施で、昇圧回路は、ブースト回路又は電荷ポンプ回路である。
【0050】
第2の態様及び上記の可能な実施のいずれか1つを参照して、第7の可能な実施で、電源回路は、電力管理チップを更に含む。
【0051】
電力管理チップは、サンプリング温度が前もってセットされた温度値よりも低いこと及び/又はバッテリの出力電圧が第1の前もってセットされた電圧値よりも小さいことを決定し、決定の結果をコントローラへ送るよう構成される。
【0052】
第2の態様及び上記の可能な実施のいずれか1つを参照して、第8の可能な実施で、コントローラは、端末デバイスのシステム・オン・チップによって実施される。
【0053】
第2の態様及び上記の可能な実施のいずれか1つを参照して、第9の可能な実施で、昇圧回路の導通状態がバイパス回路のそれと補完的であることは、特に、昇圧回路が導通しているときにバイパス回路が導通しておらず、あるいは、バイパス回路が導通しているときに昇圧回路が導通してないことを含む。
【0054】
第3の態様に従って、バッテリ、負荷、及び第1の態様又は第2の態様で提供される電源回路を含む端末デバイスが提供される。
【0055】
電源回路は、負荷のためにバッテリの電気エネルギを供給するよう構成される。
【0056】
第4の態様に従って、端末デバイスのための電力供給方法が提供される。方法は、端末デバイスへ適用される。端末デバイスは、バッテリ、負荷、及び電源回路を含む。電源回路は、昇圧回路、バッテリチップ、及びコントローラを含む。バッテリチップのバッテリ端は、バッテリの正電極へ接続され、バッテリチップの電気エネルギ出力端は、負荷へ接続される。バッテリチップは、負荷のためにバッテリの出力電圧を供給するよう構成される。昇圧回路の入力端は、バッテリの正電極へ接続され、昇圧回路の出力端は、負荷へ接続される。
【0057】
方法は、
サンプリング温度が前もってセットされた温度値よりも低い場合及び/又はバッテリの出力電圧が第1の前もってセットされた電圧値よりも小さい場合に、コントローラによって、昇圧回路を、作動するように制御し、バッテリチップを、負荷へ電力を供給することを止めるように制御することであり、サンプリング温度は端末デバイスの温度又はバッテリの温度である、ことと、
昇圧回路の作動過程において、昇圧回路の出力電圧が昇圧回路の入力電圧よりも小さい場合に、バッテリチップ及び昇圧回路を、負荷へ同時に電力を供給するように制御することと
を含む。
【0058】
第5の態様に従って、端末デバイスのための電力供給方法が更に提供される。方法は、端末デバイスへ適用される。端末デバイスは、バッテリ、負荷、及び電源回路を含む。電源回路は、昇圧回路、バッテリチップ、及びコントローラを含む。バッテリチップのバッテリ端は、バッテリの正電極へ接続され、バッテリチップの電気エネルギ出力端は、負荷へ接続される。バッテリチップは、負荷のためにバッテリの出力電圧を供給するよう構成される。昇圧回路の入力端は、バッテリの正電極へ接続され、昇圧回路の出力端は、負荷へ接続される。昇圧回路は、バイパス回路を備える。バイパス回路の第1端は、昇圧回路の入力端へ接続され、バイパス回路の第2端は、昇圧回路の出力端へ接続される。昇圧回路の導通状態は、バイパス回路のそれと補完的である。
【0059】
方法は、
サンプリング温度が前もってセットされた温度値よりも低い場合及び/又はバッテリの出力電圧が第1の前もってセットされた電圧値よりも小さい場合に、コントローラによって、昇圧回路を、作動するように制御し、バッテリチップを、負荷へ電力を供給することを止めるように制御することと、
昇圧回路の作動過程において、昇圧回路の出力電圧が昇圧回路の入力電圧よりも小さい場合に、バイパス回路が負荷へ電力を供給するよう自動的に導通することを可能にすることと
を含み、サンプリング温度は、端末デバイスの温度又はバッテリの温度である。
【0060】
上記の技術的解決法から、本願の実施形態は、次の利点を有していることが分かる。
【0061】
昇圧回路が端末デバイスに加えられる。サンプリング温度が前もってセットされた温度値よりも低いと及び/又はバッテリの出力電圧が前もってセットされた電圧値よりも小さいと決定される場合に、昇圧回路は、作動するように制御される。昇圧回路の出力電圧が昇圧回路の入力電圧よりも小さい場合に、バッテリチップ及び昇圧回路は、負荷へ同時に電力を供給するように制御される。サンプリング温度は、端末デバイスの温度又はバッテリの温度である。従って、本願の実施形態で提供される電源回路に従って、端末デバイスの温度が比較的低い場合及び/又はバッテリの出力電圧が比較的低い場合に、バッテリの出力電圧は押し上げられ得、それから、押し上げられた電圧が負荷のために供給される。このようにして、負荷の電力需要は満足され、負荷が高い電流を必要とする場合に引き起こされる異常シャットダウン又は再起動は回避される。本願の実施形態で提供される技術的解決法に従って、ユーザ経験は改善可能であり、バッテリの残電力は更に十分に使用され得る。昇圧回路の存在により、端末デバイスのシャットダウンに対応するバッテリ電圧値は更に低減されてよく、それによって、端末デバイスのランタイムを引き延ばす。その上、たとえ昇圧回路が作動中であるとしても、昇圧回路の出力電圧は、比較的高いパルス電流が負荷で現れる場合に下がる可能性がある。この場合に、本願のコントローラは、バッテリチップ及び昇圧回路の両方を、負荷へ電力を供給するように制御してよい。すなわち、2つの電力供給経路が導通する。このようにして、電源電流は、高電流に対する負荷の要求を満足するよう、増大され得る。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【
図1】本願の実施形態に従う端末デバイスの電源回路の概略図である。
【
図2】本願の実施形態に従う端末デバイスの他の電源回路の概略図である。
【
図3】本願の実施形態に従う端末デバイスの更なる他の電源回路の概略図である。
【
図4】本願の実施形態に従って、電圧比較回路がバッテリチップの中に配置されている概略図である。
【
図5】本願の実施形態に従う端末デバイスの別の他の電源回路の概略図である。
【
図6】本願の実施形態に従う端末デバイスの更に別の他の電源回路の概略図である。
【
図7A】本願の実施形態に従う電力供給方法のフローチャートである。
【
図7B】本願の実施形態に従う電力供給方法のフローチャートである。
【
図8】本願の実施形態に従う他の電力供給方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0063】
当業者に、本願の実施形態で提供される技術的解決法をより良く理解させるために、下記は、まず、端末デバイスの電源回路について記載する。
【0064】
[電源回路の実施形態1]
端末デバイスの具体的なタイプは、本願のこの実施形態で制限されない。端末デバイスは、バッテリによって給電されるあらゆるデバイス、例えば、携帯電話機、ノートブックコンピュータ、ウェアラブル電子デバイス(例えば、スマートウォッチ)、タブレットコンピュータ、拡張現実(augmented reality,AR)デバイス/仮想現実(virtual reality,VR)デバイス、又は車載型コンピュータデバイスであってよい。
【0065】
次のシナリオでは、バッテリ端(VBAT)の電圧VBは低下する。例えば、端末デバイスが携帯電話機である場合に、写真撮影中に高電流が消費される必要があるので、VBは急に下がり、ひどいときには、携帯電話機は、低バッテリレベルのプロンプトなしで即時にシャットダウンされる。その結果、ユーザ経験は悪くなる。その上、内部抵抗がバッテリには存在し、バッテリの内部抵抗は、温度が下がるにつれて増大する。従って、周囲温度が比較的低いか又はバッテリの温度が比較的低い場合に、バッテリの内部抵抗は増大し、VBは低下する。その結果、携帯電話機はシャットダウン又は再起動される。
【0066】
端末デバイスが異常シャットダウン又は再起動されるという上記の問題を解決するために、本願のこの実施形態は、端末デバイスの電源回路を提供する。昇圧回路が端末デバイスに加えられる。サンプリング温度が前もってセットされた温度値よりも低いと及び/又はバッテリの出力電圧が前もってセットされた電圧値よりも小さいと決定される場合に、昇圧回路は、作動するように制御される。昇圧回路の出力電圧が昇圧回路の入力電圧よりも小さい場合に、バッテリチップ及び昇圧回路は、負荷へ同時に電力を供給するように制御される。サンプリング温度は、端末デバイスの温度又はバッテリの温度である。従って、本願のこの実施形態で提供される電源回路に従って、端末デバイスの温度が比較的低い場合及び/又はバッテリの出力電圧が比較的低い場合に、バッテリの出力電圧は押し上げられ得、それから、押し上げられた電圧が負荷のために供給される。このようにして、負荷の電力需要は満足され、負荷が高い電流を必要とする場合に引き起こされる異常シャットダウン又は再起動は回避される。その上、たとえ昇圧回路が作動中であるとしても、昇圧回路の出力電圧は、負荷がより高い電流を必要とする場合に下がる可能性がある。この場合に、本願の電源回路は、バッテリチップ及び昇圧回路の両方を、負荷へ電力を供給するように制御することができる。すなわち、2つの電力供給経路が両方とも導通し、2つの経路の電流は両方とも負荷へ供給される。このようにして、電源電流は、高電流に対する負荷の要求を満足するよう、増大され得る。従って、負荷が高電流を必要とする場合に、端末デバイスは異常シャットダウンされず、引き続き正常に使用可能であり、それによって、ユーザ経験を更に改善する。
【0067】
図1は、本願の実施形態に従う端末デバイスの電源回路の概略図である。
【0068】
本願のこの実施形態で提供される端末デバイスの電源回路は、バッテリチップ100、昇圧回路300、コントローラ(図示せず)、及び電力管理チップ200を含む。
【0069】
バッテリチップ100のバッテリ端VBATは、バッテリBATの正電極へ接続され、バッテリチップ100の電気エネルギ出力端VSYSは、負荷へ接続され、例えば、システム・オン・チップSOC及び他の負荷へ接続される。VBATの電圧は、VBと表される。
【0070】
昇圧回路300の入力端は、バッテリBATの正電極へ接続され、昇圧回路300の出力端は、負荷へ接続され、すなわち、昇圧回路300の出力端は、バッテリチップ100の電気エネルギ出力端VSYSへ接続される。
【0071】
バッテリチップ100は、負荷のためにバッテリの出力電圧を供給してよい。
【0072】
その上、バッテリチップ100は、例えば、通常はスイッチモード電源を使用することによって、バッテリBATの充電及び放電を主に制御する。例えば、充電電源端VCHGがBATを充電する場合に、バッテリチップ100は、スイッチングチューブQ1、Q2、Q3、及びQ4を、閉じられるように制御する。
【0073】
BATが負荷のための電気エネルギを供給する場合に、Q4は閉じられ、BATは、Q4を使用することによってバッテリチップ100の電気エネルギ出力端VSYSへ電力を供給する。対応する電源電圧は、VSと表される。電力管理チップ200は、VSYSの電気エネルギを変換し、それから電力を負荷へ供給する。負荷は、システム・オン・チップ(SOC,System-On-a-Chip)及び他の負荷を含む。
【0074】
電力管理チップ200は、VSの値を検出する。VSが指定されたシャットダウン閾値又は低電圧誤動作防止機能(UVLO,Under Voltage Lock Out)電圧よりも小さいと決定する場合に、電力管理チップ200は、シャットダウン又は再起動されるよう端末デバイスをトリガする。
【0075】
コントローラは、サンプリング温度が前もってセットされた温度値よりも低い場合及び/又はバッテリの出力電圧が第1の前もってセットされた電圧値よりも小さい場合に、昇圧回路300を、作動するように制御し、バッテリチップ100を、負荷へ電力を供給することを止めるように制御し、具体的に言えば、昇圧回路300を使用することによって負荷のためにバッテリの出力電圧を供給し、昇圧回路300の出力電圧が昇圧回路300の入力電圧よりも小さい場合に、バッテリチップ100及び昇圧回路300を、負荷へ同時に電力を供給するように制御するよう構成される。サンプリング温度は、端末デバイスの温度又はバッテリの温度である。
【0076】
昇圧回路300は、昇圧機能を実施することができる回路であってよく、例えば、ブースト回路又は電荷ポンプ回路であってよい。昇圧回路300は、入力電圧を押し上げ、それから、押し上げられた電圧を供給することができることが留意されるべきである。しかし、昇圧回路は必ずしも入力電圧を押し上げず、単に透過的に入力電圧を伝える。具体的に言えば、昇圧回路を通った後に、バッテリの出力電圧は変更されないままであってよく、あるいは、昇圧されてもよい。例えば、昇圧回路300の出力電圧は、V0にセットされる。昇圧回路300の入力電圧がV0よりも小さい場合に、昇圧回路300は入力電圧をV0に押し上げ、それから、押し上げられた電圧を出力する。昇圧回路300の入力電圧がV0よりも大きい場合に、昇圧回路300は、透過的に電圧を伝え、すなわち、入力電圧は、昇圧回路300によって出力されるときに変更されないままである。
【0077】
サンプリング温度は温度センサによって取得されてよい。温度センサは、端末デバイスの温度又はバッテリの温度を収集してよい。例えば、端末デバイスが携帯電話機である場合に、温度センサが携帯電話機の温度を収集するとき、温度センサは、携帯電話機上の如何なる場所にも配置されてよく、あるいは、温度センサがバッテリの温度を収集するとき、温度センサは、携帯電話機上でバッテリの近くの場所に配置されてよい。
【0078】
比較的低い温度及びバッテリの比較的低い出力電圧は夫々、端末デバイスの異常シャットダウンを引き起こす可能性がある。従って、昇圧回路を作動するように制御するようコントローラをトリガする条件は、そのどちらか一方であってよい。具体的に言えば、温度が比較的低い場合に、昇圧回路は、作動するよう起動され、あるいは、バッテリの出力電圧が比較的低い場合に、昇圧回路は、作動するよう起動される。その上、昇圧回路を頻繁に起動することを回避するために、昇圧回路は、温度が比較的低くかつバッテリの出力電圧が比較的低い場合にのみ起動されてもよい。
【0079】
昇圧回路300の機能は、入力電圧を押し上げ、それから、押し上げられた電圧を出力することである。昇圧回路300の入力端はバッテリBATの正電極へ接続されているので、昇圧回路300は、バッテリの出力電圧を押し上げ、それから、押し上げられた電圧を負荷へ出力することができる。
【0080】
昇圧回路が作動する場合に、比較的高いパルス電流が端末デバイスの運転過程で現れるならば、昇圧回路300の出力電圧は急に下がり、具体的に言えば、昇圧回路300の出力電圧は、昇圧回路300の入力電圧よりも小さい。この場合に、バッテリチップ100及び昇圧回路300は、比較的高いパルス電流が現れるときに端末デバイスが異常シャットダウンされないために、負荷へ同時に電力を供給して電源電流及び電源電圧を押し上げるように制御されてよい。
【0081】
作動するよう起動されるように昇圧回路をトリガする条件が、サンプリング温度が前もってセットされた温度値よりも低いことである場合に、サンプリング温度が前もってセットされた温度値以上であるとき、昇圧回路は作動せず、バッテリチップ100のみが負荷へ電力を供給する。すなわち、サンプリング温度が前もってセットされた温度値以上である場合に、Q4は導通するように制御され、昇圧回路は作動しないように制御され、バッテリチップ100のみが負荷へ電力を供給する。
【0082】
作動するよう起動されるように昇圧回路をトリガする条件が、バッテリの出力電圧が第1の前もってセットされた電圧値よりも小さいことである場合に、バッテリの出力電圧が第1の前もってセットされた電圧値以上であるとき、昇圧回路は作動せず、バッテリチップ100のみが負荷へ電力を供給する。すなわち、バッテリの出力電圧が第1の前もってセットされた電圧値以上である場合に、Q4は導通するように制御され、昇圧回路は作動しないように制御され、バッテリチップ100のみが負荷へ電力を供給する。
【0083】
作動するよう起動されるように昇圧回路をトリガする条件が、サンプリング温度が前もってセットされた温度値よりも低くかつバッテリの出力電圧が第1の前もってセットされた電圧値よりも小さいことで場合に、サンプリング温度が前もってセットされた温度値以上であるか、あるいは、バッテリの出力電圧が第1の前もってセットされた電圧値以上であるとき、昇圧回路は作動せず、バッテリチップ100のみが負荷へ電力を供給する。
【0084】
[電源回路の実施形態2]
この実施形態では、電圧比較回路が、入力電圧を昇圧回路の出力電圧と比較する。
【0085】
図2は、本願の実施形態に従う端末デバイスの他の電源回路の概略図である。
【0086】
本願で提供される端末デバイスの電源回路は、
図1に示される電源回路を含み、更には、電圧比較回路101を含む。
【0087】
コントローラは、昇圧回路300を作動するように制御する場合に電圧比較回路101を作動するように制御するよう更に構成される。すなわち、電圧比較回路101は、昇圧回路300が作動する場合にのみ作動する必要がある。
【0088】
電圧比較回路101は、昇圧回路300の出力電圧を昇圧回路300の入力電圧と比較し、昇圧回路300の出力電圧が昇圧回路300の入力電圧よりも小さいと決定する場合にトリガ信号をコントローラへ送るよう構成される。代替的に、電圧比較回路101は、昇圧回路300の出力電圧が昇圧回路300の入力電圧よりも小さくかつ2つの電圧の間の差が第1閾値を上回る場合にのみトリガ信号をコントローラへ送る。
【0089】
電圧比較回路101は、昇圧回路300の出力電圧及び入力電圧の差を取得することができる。
【0090】
電圧比較回路101は、上記の機能を実施する如何なる回路又はチップでもあってよい。例えば、電圧比較回路101は、コンパレータ及び周辺形成抵抗によって実施されてよい。上記の差は、異なる抵抗値を有している抵抗を使用することによって計算される。
【0091】
コントローラは、電圧比較回路101によって送られたトリガ信号を受信する場合に、バッテリチップ100及び昇圧回路300を、負荷へ同時に電力を供給するように制御し、具体的に言えば、Q4を導通するように制御し、昇圧回路300を作動し続けるように制御するよう更に構成される。
【0092】
バッテリチップ100の電力供給状態が頻繁に制御されないことを確かにし、かつ、干渉防止能力を改善するために、この実施形態では、負荷へ同時に電力を供給するようバッテリチップ100及び昇圧回路300をトリガすべきどうかは、電圧比較回路101によって決定される。電圧比較回路101は、昇圧回路300の出力電圧が昇圧回路300の入力電圧よりも小さい場合にのみ、トリガ信号をコントローラへ送る。代替的に、電圧比較回路101は、昇圧回路300の出力電圧が昇圧回路300の入力電圧よりも小さく、かつ、2つの電圧の間の差が第1閾値を上回る場合にのみ、トリガ信号をコントローラへ送る。
【0093】
第1閾値は、必要条件に応じてセットされてよい。例えば、第1閾値は、50mVから100mVまで選択されてよい。
【0094】
バッテリチップ100が電力を負荷へ供給するかどうかは、バッテリチップ100内の内部スイッチングチューブの導通/断線状態を制御することによって、決定されてよい。
図3に示されるように、バッテリチップは、スイッチングチューブQ4を含む。
【0095】
スイッチングチューブQ4の第1端は、バッテリチップ100のバッテリ端VBATへ接続され、スイッチングチューブQ4の第2端は、バッテリチップ100の電気エネルギ出力端VSYSへ接続される。
【0096】
コントローラが、バッテリチップ100を、負荷へ電力を供給するように制御することは、特に、コントローラが、スイッチングチューブQ4を、閉じられるように制御することである。
【0097】
Q4はバッテリチップ100のバッテリ端VBAT及び電気エネルギ出力端VSYSの間に接続されているので、Q4が閉じられる場合に、VBATはVSYSへ接続される。従って、BATの出力電圧は、VBAT、Q4、及びVSYSを使用することによって、負荷のために供給される。Q4が切り離される場合に、負荷のためにバッテリチップ100によって提供される電力供給経路は切断される。
【0098】
Q4は、制御可能なスイッチングチューブである。具体的に言えば、スイッチングチューブQ4の導通/断線状態は、Q4の制御端のレベルを制御することによって、制御されてよい。例えば、Q4は、ハイレベルで導通し、Q4は、ローレベルで切り離される。Q4のタイプは、具体的に、本願のこの実施形態で制限されない。例えば、Q4は、MOSチューブ、IGBTチューブ、又はBJTチューブであってよい。
【0099】
図2に示されるように、電圧比較回路101は、バッテリチップ100の中に配置されてよい。
【0100】
代替的に、
図3に示されるように、電圧比較回路101は、バッテリチップ100の外に配置されてもよい。
【0101】
コントローラは、端末デバイスのシステム・オン・チップSOCによって実施されてよい。確かに、コントローラは、代替的に、SOCとは独立に配置されてもよい。
【0102】
図3に示されるように、コントローラがSOCによって実施される例が使用される。SOCは、昇圧回路300を作動するように制御してよい。例えば、昇圧回路300は、イネーブリングピンを備え、イネーブリングピンは、ハイレベルで有効であってよい。SOCが昇圧回路300を起動する必要がある場合に、SOCは、昇圧回路300のイネーブリングピンへハイレベル信号を送り、昇圧回路300は、作動するよう起動される。これに反して、SOCが昇圧回路300のイネーブリングピンへハイレベル信号を送らない場合に、昇圧回路300のイネーブリングピンは、デフォルトでローレベルにあり、作動しない。その上、電圧比較回路101によって送られたトリガ信号を受信する場合に、SOCは、Q4を導通するように制御し、それにより、バッテリチップ100及び昇圧回路300は、負荷へ同時に電力を供給する。具体的に、SOCは、バッテリチップ100がQ4を導通するように制御するように、バッテリチップ100へ制御信号を送ってよい。
【0103】
同様に、
図4に示されるように、比較回路101は、バッテリチップ100の中に配置され、コントローラは、システム・オン・チップSOCによって実施される。
【0104】
この実施形態で、コントローラは、充電器が端末デバイスに挿入されると検出される場合に、バッテリチップ100を、負荷へ電力を供給するように制御し、昇圧回路300を、作動を停止するように制御するよう更に構成される。
【0105】
充電器が端末デバイスに挿入されると検出される場合に、バッテリは外部電源によって充電され得るので、バッテリレベルは徐々に増大し、バッテリの出力電圧も徐々に押し上げられる。従って、昇圧回路300は作動を停止してよく、バッテリチップ100は、負荷のための電力供給経路を提供するよう作動する。充電器が端末デバイスに挿入される場合に、負荷は、外部電源によって直接給電される。
【0106】
その上、コントローラが、サンプリング温度が前もってセットされた温度値よりも低いと及び/又はバッテリの出力電圧が第1の前もってセットされた電圧値よりも小さいと決定する場合に、昇圧回路300を、作動するように制御し、バッテリチップ100を、負荷へ電力を供給することを止めるように制御した後、コントローラは、端末デバイスのスクリーンがオフされ、バッテリの出力電圧が第2の前もってセットされた電圧値よりも大きい場合に、昇圧回路の出力電圧を、バッテリの出力電圧以下であるように制御し、それから、バッテリチップを、負荷へ電力を供給するように制御し、次に、昇圧回路を、作動を停止するように制御するよう更に構成される。
【0107】
第2の前もってセットされた電圧値は、第1の前もってセットされた電圧値よりも小さい。
【0108】
第1の前もってセットされた電圧値は、例えば、3.6Vであり、第2の前もってセットされた電圧値は、例えば、3.3Vである。
【0109】
端末デバイスのスクリーンがオフされる場合に、必要とされる電力は減少する。従って、たとえバッテリの出力電圧が第1の前もってセットされた電圧値よりも小さいとしても、バッテリの出力電圧が第2の前もってセットされた電圧値よりも大きいとの条件で、昇圧回路300は、作動を停止するように制御されてよく、バッテリチップ100は、負荷のための電力供給経路を提供するよう作動する。
【0110】
コントローラは、端末デバイスのスクリーンがオフされ、バッテリの出力電圧が第2の前もってセットされた電圧値以下である場合に、昇圧回路を作動するように制御するよう更に構成される。たとえ、端末デバイスのスクリーンがオフされる場合に、必要とされる電力が減少するとしても、バッテリの出力電圧が第2の前もってセットされた電圧値以下である場合に、昇圧回路は依然として作動する必要がある。さもなければ、端末デバイスはシャットダウン又は再起動される。
【0111】
その上、コントローラは、バッテリの出力電圧が第3の前もってセットされた電圧値以下である場合に、端末デバイスをシャットダウンされるように制御するよう更に構成される。第3の前もってセットされた電圧値は、第2の前もってセットされた電圧値よりも小さい。
【0112】
例えば、第3の前もってセットされた電圧値は3Vである。この場合に、バッテリの出力電圧が3V以下である場合に、それは、バッテリレベルが非常に低いことを示し、バッテリレベルは、端末デバイスの正常な作動を維持するには不十分であり、端末デバイスは、シャットダウンされる必要がある。
【0113】
上記の実施形態における第1の前もってセットされた電圧値、第2の前もってセットされた電圧値、及び第3の前もってセットされた電圧値は、降順に並べられていることが留意されるべきである。しかし、具体的な電圧値は、端末デバイスのタイプ及びバッテリのタイプに基づいて選択されてよいこれは、特に、本願で制限されない。
【0114】
端末デバイスが、バッテリチップによって提供される電力供給経路から、昇圧回路によって供給される電力供給経路へまさに切り替わるときに、昇圧回路の出力電圧が比較的高いが、バッテリチップによって提供される電力供給経路が切り離されていない場合に、比較的高い出力電圧がバッテリチップに逆流する可能性がある。そのような逆流を回避するために、コントローラが、昇圧回路を、作動し始めるように制御し、バッテリチップを、負荷へ電力を供給することを止めるように制御することは、特に、
最初に、昇圧回路の出力電圧を、バッテリの出力電圧以下であるように制御し、それから、バッテリチップを、負荷へ電力を供給することを止めるように制御し、次に、昇圧回路の出力電圧を、第4の前もってセットされた電圧値であるように制御することを含んでよい。
【0115】
第4の前もってセットされた電圧値は、第1の前もってセットされた電圧値よりも小さい。
【0116】
第4の前もってセットされた電圧値及び第2の前もってセットされた電圧値は等しくてよく、例えば、両方とも3.3Vである。代替的に、第4の前もってセットされた電圧値及び第2の前もってセットされた電圧値は等しくなくてもよく、具体的に、実際の要件に従ってセットされてよい。
【0117】
バッテリ電圧が比較的低い時に昇圧回路を起動するために、昇圧回路は、バッテリの出力電圧が第1の前もってセットされた電圧値よりも低い場合に起動される必要がある。本願のこの実施形態で、昇圧回路を起動することは、昇圧回路を有効にすることとして理解されてよい。バッテリの出力電圧が第4の前もってセットされた電圧まで下がる場合にのみ昇圧回路が起動される場合に、電力供給遅延が引き起こされる。第4の前もってセットされた電圧値は、通常は、負荷によって必要とされる標準電圧であり、バッテリの出力電圧は、電力供給時間が長期にわたるつれて徐々に下がる。昇圧回路が起動された後に、バッテリの出力電圧(すなわち、昇圧回路の入力電圧)が第4の前もってセットされた電圧値よりも大きい場合に、昇圧回路はバッテリの出力電圧を押し上げず、バッテリの出力電圧を透過的に伝える。この場合に、実際の昇圧回路によって出力される電圧は、第4の前もってセットされた電圧値よりも大きい。バッテリの出力電圧が第4の前もってセットされた電圧値よりも小さくなった後、昇圧回路は、バッテリの出力電圧を第4の前もってセットされた電圧値に押し上げ、それから、押し上げられた電圧を出力する。この場合に、実際に昇圧回路によって出力される電圧は、第4の前もってセットされた電圧値に等しい。
【0118】
バッテリの出力電圧よりも小さいように昇圧回路の出力電圧を制御することは、特に、昇圧回路の出力電圧が、バッテリの出力電圧から前もってセットされた閾値を減じたものに等しいことであってよい。例えば、前もってセットされた閾値は、150mVであってよい。具体的な、前もってセットされた閾値は、特に、この実施形態で制限されず、バッテリチップのタイプに基づいて選択されてよい。
【0119】
電源回路は、電力管理チップ200を更に含んでよい。
【0120】
電力管理チップ200は、サンプリング温度が前もってセットされた温度値よりも低いこと及び/又はバッテリの出力電圧が第1の前もってセットされた電圧値よりも小さいことを決定し、決定の結果をコントローラへ送るよう構成される。
【0121】
すなわち、電力管理チップ200は、温度が比較的低いかどうかと、バッテリの出力電圧が比較的低いかどうかとを判定する。
【0122】
電力管理チップ200は、直流-直流DC-DC変換回路及び低ドロップアウトレギュレータ(LDO,Low Dropout Regulator)を含んでよい。LDOは、電圧を安定させ、電圧をSOCのために供給するよう構成される。VSYSの電圧VSを使用することによって電力を直接供給するLDO、例えば、内蔵マルチメディアカード(eMMC,Embedded Multi Media Card)の電力供給、の場合に、VSYSの電圧が下がるためにLDOの出力電圧が下がるという問題は、LDOによる電力供給の信頼性を更に改善するために、本願のこの実施形態で提供される電源回路を使用することによって起こらない。LDOによる電力供給の信頼性が確保されることを前提として、バックブースト回路又はブースト回路などの回路は、電源回路全体のコストを下げるために、LDOの入力端に加えられる必要がない。
【0123】
本願で提供される電源回路に従って、端末デバイスの既存のバッテリチップ内のスイッチングタブQ4は、バッテリチップの電力供給経路を制御するようQ4の導通/断線状態を制御するために使用されてよく、昇圧回路の電力供給経路は、端末デバイスの既存のSOCを使用することによって制御されてよい。このようにして、既存の端末デバイスのハードウェア設備に対して、ただ1つの昇圧回路が加えられる。従って、。コストは低く、ハードウェアはわずかにしか変更されず、それによって、技術的解決法の普及及び応用を促進する。
【0124】
この実施形態で提供される電源回路内のバッテリチップ及び昇圧回路は夫々、アクティブ制御の下で電力供給経路を提供する。例えば、バッテリチップ100内のスイッチングチューブQ4は、閉じられるように制御される必要がある。その上、バッテリの出力電圧が比較的高い、すなわち、昇圧回路が作動する必要がない、場合に、昇圧回路も、作動を停止するように制御される必要がある。下記は、他の実施を提供する。昇圧回路がバッテリの出力電圧を押し上げ、それから、押し上げられた電圧を出力するかどうかが、制御され得る。その上、2つの電力供給経路が提供される必要がある場合に、Q4は、閉じられるように制御される必要がなく、2つの電力供給経路は自動的に導通する。
【0125】
上記の実施形態で提供される電源回路に従って、コントローラは、バッテリチップ及び昇圧回路の作動状態を制御する必要がある。下記は、電力供給経路間の切り替えが制御不要でバッテリの出力電圧に基づいて自動的に実行され得るような電源回路を提供する。これは、簡単でありかつ使いやすく、更には制御コストを下げる。この実施形態の昇圧回路と上記2つの実施形態の昇圧回路との間の違いは、バイパス回路が加えられている点にある。
【0126】
[電源回路の実施形態3]
図5は、本願の実施形態に従う端末デバイスの別の他の電源回路の概略図である。
【0127】
本願で提供される端末デバイスの電源回路は、バイパス回路を備える昇圧回路400と、バッテリチップ100と、コントローラとを含む。
【0128】
バッテリチップ100のバッテリ端VBATは、バッテリBATの正電極へ接続され、バッテリチップ100の電気エネルギ出力端VSYSは、負荷へ接続される。バッテリチップ100は、負荷のためにバッテリBATの出力電圧を供給するよう構成される。
【0129】
バイパス回路を備える昇圧回路400は、昇圧回路及びバイパス回路を含む。昇圧回路の入力端は、バッテリの正電極へ接続され、昇圧回路の出力端は、負荷へ接続される。バイパス回路の第1端は、昇圧回路の入力端へ接続され、バイパス回路の第2端は、昇圧回路の出力端へ接続される。昇圧回路の導通状態は、バイパス回路のそれと補完的である。
【0130】
昇圧回路の導通状態がバイパス回路のそれと補完的であることは、昇圧回路が導通している場合にバイパス回路が導通しておらず、あるいは、バイパス回路が導通している場合に昇圧回路が導通していないことを意味する。しかし、昇圧回路の非導通状態は、バイパス回路のそれと補完的ではない。すなわち、昇圧回路及びバイパス回路の両方が同時に非導通状態であり得る。
【0131】
コントローラは、サンプリング温度が前もってセットされた温度値よりも低い場合及び/又はバッテリの出力電圧が第1の前もってセットされた電圧値よりも小さい場合に、昇圧回路を、作動するように制御し、バッテリチップを、負荷へ電力を供給することを止めるように制御するよう構成される。昇圧回路の出力電圧が昇圧回路の入力電圧よりも小さい場合に、バイパス回路は、負荷へ電力を供給するよう自動的に導通する。サンプリング温度は、端末デバイスの温度又はバッテリの温度である。
【0132】
昇圧回路が作動する場合に、比較的高いパルス電流が端末デバイスの運転過程で現れるならば、昇圧回路の出力電圧は急に下がり、具体的に言えば、昇圧回路の出力電圧は、昇圧回路の入力電圧よりも小さい。この場合に、バイパス回路の入力電圧はバイパス回路の出力電圧よりも大きいので、バイパス回路は、比較的高いパルス電流が現れるときに端末デバイスが異常シャットダウンされないために、自動的に導通して電源電流及び電源電圧を押し上げる。
【0133】
具体的に、バイパス回路は、専用のチップによって実施されてよい。すなわち、チップは、昇圧回路及びバイパス回路の両方を含む。
【0134】
確かに、電源回路はまた、昇圧回路及びバイパス回路を形成することによって実施されてもよい。例えば、昇圧回路の入力端及び出力端は、並列にダイオードへ接続される。具体的に言えば、ダイオードのアノードは、昇圧回路の入力端へ接続され、ダイオードのカソードは、昇圧回路の出力端へ接続される。ダイオードの順方向導通及び逆方向カットオフの基本属性に基づいて、昇圧回路の入力電圧が昇圧回路の出力電圧よりも大きく、電圧差がダイオードのPN接合電圧降下を上回る場合に、ダイオードは導通する。ダイオードが導通する場合に、昇圧回路はバイパスされる。具体的に言えば、バッテリの出力電圧は、昇圧回路を通らずに、ダイオードを通ってVSYS端へ直接出力される。
【0135】
昇圧回路の入力電圧が昇圧回路の出力電圧以下である場合に、昇圧回路は、バッテリの出力電圧を押し上げ、押し上げられた電圧をVSYSに供給するよう作動する。この場合に、押し上げられた電圧は、バッテリの出力電圧よりも大きい。従って、それは、VSYSの電圧VBがVBATの電圧VSよりも大きいことと同等である。従って、ダイオードは逆方向にカットオフされ、導通しない。具体的に言えば、バッテリの出力電圧は、ダイオードが位置するブランチを通らない。
【0136】
作動するよう起動されるように昇圧回路をトリガする条件が、サンプリング温度が前もってセットされた温度値よりも低いことである場合に、サンプリング温度が前もってセットされた温度値以上であるとき、昇圧回路は作動せず、バッテリチップ100のみが負荷へ電力を供給する。
【0137】
作動するよう起動されるように昇圧回路をトリガする条件が、バッテリの出力電圧が第1の前もってセットされた電圧値よりも小さいことである場合に、バッテリの出力電圧が第1の前もってセットされた電圧値以上であるとき、昇圧回路は作動せず、バッテリチップ100のみが負荷へ電力を供給する。
【0138】
作動するよう起動されるように昇圧回路をトリガする条件が、サンプリング温度が前もってセットされた温度値よりも低くかつバッテリの出力電圧が第1の前もってセットされた電圧値よりも小さいことで場合に、サンプリング温度が前もってセットされた温度値以上であるか、あるいは、バッテリの出力電圧が第1の前もってセットされた電圧値以上であるとき、昇圧回路は作動せず、バッテリチップ100のみが負荷へ電力を供給する。
【0139】
この実施形態で提供される電源回路に従って、バイパス回路を備える昇圧回路400が端末デバイスに加えられる。サンプリング温度が前もってセットされた温度値よりも低いと及び/又はバッテリの出力電圧が第1の前もってセットされた電圧値よりも小さいと決定される場合に、昇圧回路は、作動するように制御される。昇圧回路の出力電圧が昇圧回路の入力電圧よりも小さい場合に、バイパス回路は、負荷のための電力供給経路を提供するよう自動的に導通する。従って、本願のこの実施形態で提供される電源回路に従って、端末デバイスの温度が比較的低い場合及び/又はバッテリの出力電圧が比較的低い場合に、バッテリの出力電圧は押し上げられ、それから、押し上げられた電圧が負荷のために供給される。このようにして、負荷の電力需要は満足され、負荷が高電流を必要とする場合に引き起こされる異常シャットダウン又は再起動は回避される。その上、たとえ昇圧回路が作動中であるとしても、昇圧回路の出力電圧は、高いパルス電流が電力使用中に現れる場合に下がる可能性がある。この場合に、昇圧回路の出力電圧は下がり、昇圧回路の入力電圧よりも小さいので、バイパス回路は、高電流に対する負荷の要求を満足するように、自動的に導通する。従って、負荷が高電流を必要とする場合に、端末デバイスは異常シャットダウンされず、引き続き正常に使用可能であり、それによって、ユーザ経験を更に改善する。
【0140】
電力管理チップ200は、直流-直流DC-DC変換回路及び低ドロップアウトレギュレータ(LDO,Low Dropout Regulator)を含んでよい。LDOは、電圧を安定させ、電圧をSOCのために供給するよう構成される。VSYSの電圧VSを使用することによって電力を直接供給するLDO、例えば、内蔵マルチメディアカード(eMMC,Embedded Multi Media Card)の電力供給、の場合に、VSYSの電圧が下がるためにLDOの出力電圧が下がるという問題は、LDOによる電力供給の信頼性を更に改善するために、本願のこの実施形態で提供される電源回路を使用することによって起こらない。LDOによる電力供給の信頼性が確保されることを前提として、バックブースト回路又はブースト回路などの回路は、電源回路全体のコストを下げるために、LDOの入力端に加えられる必要がない。
【0141】
[電源回路の実施形態4]
図6は、本願の実施形態に従う端末デバイスの更に別の他の電源回路の概略図である。
【0142】
コントローラは、端末デバイスのシステム・オン・チップSOCによって実施されてよい。確かに、コントローラは、代替的に、SOCとは独立に配置されてもよい。
【0143】
図6に示されるように、コントローラがSOCによって実施される例が使用される。SOCは、バイパス回路を備える昇圧回路400を作動するように制御するよう構成される。例えば、バイパス回路を備える昇圧回路400は、イネーブリングピンを備え、イネーブリングピンは、ハイレベルで有効であってよい。SOCが、バイパス回路を備える昇圧回路400を起動する必要がある場合に、SOCは、バイパス回路を備える昇圧回路400のイネーブリングピンへハイレベル信号を送り、バイパス回路を備える昇圧回路400は、作動するよう起動される。これに反して、SOCが、バイパス回路を備える昇圧回路400のイネーブリングピンへハイレベル信号を送らない場合に、バイパス回路を備える昇圧回路400のイネーブリングピンは、デフォルトでローレベルにあり、作動しない。
【0144】
この実施形態で提供される電源回路は、電圧比較回路を必要としない。実際に、VSYSの電圧VSがVBATの電圧VBよりも小さい場合に、昇圧回路は導通し、そうでない場合には、バイパス回路が導通する。具体的に言えば、バイパス回路を備える昇圧回路400が有効にされると、昇圧回路及びバイパス回路の導通状態は、制御不要で入力端の電圧及び出力端の電圧に基づいて自動的に切り替えられ得る。
【0145】
端末デバイスが、バッテリチップによって提供される電力供給経路から、昇圧回路によって供給される電力供給経路へまさに切り替わるときに、昇圧回路の出力電圧が比較的高いが、バッテリチップによって提供される電力供給経路が切り離されていない場合に、比較的高い出力電圧がバッテリチップに逆流する可能性がある。そのような逆流を回避するために、コントローラが、昇圧回路を、作動し始めるように制御し、バッテリチップを、負荷へ電力を供給することを止めるように制御することは、特に、
最初に、昇圧回路の出力電圧を、バッテリの出力電圧以下であるように制御し、それから、バッテリチップを、負荷へ電力を供給することを止めるように制御し、次に、昇圧回路の出力電圧を、第4の前もってセットされた電圧値であるように制御することを含んでよい。
【0146】
第4の前もってセットされた電圧値は、第1の前もってセットされた電圧値よりも小さい。
【0147】
第4の前もってセットされた電圧値及び第2の前もってセットされた電圧値は等しくてよく、例えば、両方とも3.3Vである。代替的に、第4の前もってセットされた電圧値及び第2の前もってセットされた電圧値は等しくなくてもよく、具体的に、実際の要件に従ってセットされてよい。
【0148】
バッテリ電圧が比較的低い時に昇圧回路を起動するために、昇圧回路は、バッテリの出力電圧が第1の前もってセットされた電圧値よりも低い場合に起動される必要がある。バッテリの出力電圧が第4の前もってセットされた電圧まで下がる場合にのみ昇圧回路が起動される場合に、電力供給遅延が引き起こされる。第4の前もってセットされた電圧値は、通常は、負荷によって必要とされる標準電圧であり、バッテリの出力電圧は、電力供給時間が長期にわたるつれて徐々に下がる。昇圧回路が起動された後に、バッテリの出力電圧が昇圧回路の出力電圧よりも大きい場合に、バイパス回路は導通し、昇圧回路は電力を供給しない。この場合に、負荷は、バッテリによって給電される。昇圧回路は、バッテリの出力電圧が第4の前もってセットされた電圧値よりも小さくなるまで、電力を供給する。
【0149】
[デバイス実施形態]
上記の実施形態で提供される電源回路に基づいて、本願のこの実施形態は、端末デバイスを更に提供する。端末デバイスは、携帯電話機又はiPadなどのモバイル端末デバイスであってよく、あるいは、バッテリを電源として使用する他の固定端末デバイスであってよい。端末デバイスは、上記の実施形態のいずれか1つで提供される電源回路を含む。電源回路は、端末デバイス内の負荷のためにバッテリの電気エネルギを供給するよう構成される。
【0150】
サンプリング温度が前もってセットされた温度値よりも低いと及び/又はバッテリの出力電圧が前もってセットされた電圧値よりも小さいと決定される場合に、昇圧回路は、作動するように制御される。昇圧回路の出力電圧が昇圧回路の入力電圧よりも小さい場合に、バイパス回路は、負荷のための電力供給経路を提供するよう自動的に導通する。サンプリング温度は、端末デバイスの温度又はバッテリの温度である。従って、本願のこの実施形態で提供される電源回路に従って、端末デバイスの温度が比較的低い場合及び/又はバッテリの出力電圧が比較的低い場合に、バッテリの出力電圧は押し上げられ、それから、押し上げられた電圧が負荷のために供給される。このようにして、負荷の電力需要は満足され、負荷が高電流を必要とする場合に引き起こされる異常シャットダウン又は再起動は回避される。
【0151】
[方法実施形態1]
上記の実施形態で提供される電源回路及び端末デバイスに基づいて、本願のこの実施形態は、端末デバイスのための電力供給方法を更に提供する。下記は、添付の図面を参照して詳細な説明を提供する。
【0152】
図7A及び
図7Bは、本願の実施形態に従う端末デバイスのための電力供給方法のフローチャートである。
【0153】
この実施形態で提供される端末デバイスのための電力供給方法は、電源回路に適用される。電源回路については、
図1乃至
図4に示される電源回路を参照されたい。
【0154】
方法は、次のステップを含む。
【0155】
S801:端末デバイスの運転過程で、端末デバイスの温度又はバッテリの温度が実時間でモニタされてよく、かつ/あるいは、バッテリの出力電圧もモニタされてよい。この場合に、Q4は閉じられ、昇圧回路は作動しない。
【0156】
S802:サンプリング温度が前もってセットされた温度値よりも低いと及び/又はバッテリの出力電圧が第1の前もってセットされた電圧値よりも小さいと決定される場合に、S803を実行する。具体的に言えば、作動するよう起動されるように昇圧回路をトリガする条件は、温度のみを決定することであってよく、又は電圧のみを決定することであってよく、又は温度及び電圧の両方を決定することであってよい。
【0157】
例えば、Q4が電力を供給するよう導通している最中に、温度のみがモニタされる場合に、昇圧回路は、温度が前もってセットされた温度値よりも低いと決定されるときに起動されてよい。昇圧回路がブースト回路、すなわち、イネーブリングブースト回路である場合に、ブースト回路のチップはイネーブリングピンを備える。Q4が電力を供給するよう導通している最中に、温度及び電圧の両方が決定される場合に、昇圧回路は、温度が前もってセットされた温度値よりも低と決定され、かつ、電圧も第1の前もってセットされた電圧値よりも小さいと決定されるときに起動されてよい。代替的に、電圧が最初に決定されてよく、次いで、温度が決定される。電圧及び温度を決定する根拠は、本願のこの実施形態で制限されない。
【0158】
前もってセットされた温度値は、端末デバイスが位置している具体的な環境に基づいてセットされてよく、例えば、0℃にセットされてよい。第1の前もってセットされた電圧値は、端末デバイスのタイプに基づいてセットされてよく、例えば、3.6Vにセットされてよい。
【0159】
S803:作動するように昇圧回路を制御し、負荷へ電力を供給することを止めるようにバッテリチップを制御する。具体的に、昇圧回路の出力電圧は、最初に、バッテリの出力電圧より小さいか又はそれに近い(例えば、それに等しいか若しくはわずかに大きい)ように制御される。例えば、昇圧回路の出力電圧は、バッテリの出力電圧から閾電圧を減じたものに等しいように制御される。閾電圧は、必要条件に従って選択されてよく、例えば、150mVであってよい。代替的に、昇圧回路の出力電圧は、バッテリの出力電圧に等しいように制御され、それから、バッテリチップは、負荷へ電力を供給することを止めるように制御され、次に、昇圧回路の出力電圧は、第4の前もってセットされた電圧値であるように制御される。第4の前もってセットされた電圧値は、第1の前もってセットされた電圧値以下であってよく、第4の前もってセットされた電圧値は、バッテリの現在の出力電圧以上であってよい。第4の前もってセットされた電圧値は、代替的に、実際の要件に従って選択されてもよく、例えば、3.3Vであってよい。
【0160】
この場合に、電力供給経路は、端末デバイスのために昇圧回路によって提供される。
【0161】
S804:充電器が端末デバイスに挿入されるかどうかを検出し、そうである場合に、S805を実行する。
【0162】
S805:閉じられるようにQ4を制御し、具体的に言えば、負荷へ電力を供給するようにバッテリチップを制御し、作動を停止するように昇圧回路を制御する。この場合に、電力供給経路は、端末デバイスの負荷のためにバッテリチップによって提供される。
【0163】
S806:充電器が外されることが検出される場合にS801へ戻る。
【0164】
S803の後、方法はS807を更に含む。具体的に言えば、昇圧回路が作動するように制御され、バッテリチップが負荷へ電力を供給することを止めるように制御された後、方法はS807を更に含んでよい。
【0165】
S807:端末デバイスのスクリーンがオフされるかどうかと、バッテリの出力電圧が第2の前もってセットされた電圧値よりも大きいかどうかとを判定し、スクリーンがオフされ、かつ、バッテリの出力電圧が第2の前もってセットされた電圧値よりも大きい場合に、S808を実行し、あるいは、スクリーンがオフされない場合、又はスクリーンはオフされるが、バッテリの出力電圧が第2の前もってセットされた電圧値以下である場合に、S809を実行する。S807で、端末デバイスのスクリーンがオフされないと決定される場合に、S809は、バッテリの出力電圧が第2の前もってセットされた電圧値よりも大きいかどうかを判定せずに直接実行されてよいことが留意されるべきである。
【0166】
第2の前もってセットされた電圧値は、実際の要件に従ってセットされてよく、例えば、3.3Vであってよい。
【0167】
S808:バッテリの出力電圧以下であるように昇圧回路の出力電圧を制御し、それから、負荷へ電力を供給するようにバッテリチップを制御し、つまり、Q4を閉じ、次に、作動を停止するように昇圧回路を制御し、具体的に言えば、昇圧回路のイネーブリング信号を無効にする。この場合に、電力供給経路は、端末デバイスのためにバッテリチップによって提供される。この場合に、電力供給経路は、バッテリの出力電圧が第3の前もってセットされた電圧値以下である場合に端末デバイスがシャットダウンされるように制御されるまで、いつでもバッテリチップによって提供されてよい。第3の前もってセットされた電圧値は、第2の前もってセットされた電圧値よりも小さい。代替的に、電力供給経路は、最初にバッテリチップによって提供され、それから、バッテリの出力電圧がモニタされ続ける。バッテリの出力電圧が第2の前もってセットされた電圧値よりも小さい場合に、電力供給経路は、昇圧回路によって提供されてよく、バッテリチップは、負荷へ電力を供給することを止める。
【0168】
S809:電力供給経路は、バッテリの出力電圧が第3の前もってセットされた電圧値以下である場合に端末デバイスがシャットダウンされるように制御されるまで、端末デバイスのために昇圧回路によって提供され続ける。ここで、第3の前もってセットされた電圧値は、第2の前もってセットされた電圧値よりも小さい。
【0169】
第3の前もってセットされた電圧値は、実際の要件に従ってセットされてよく、例えば、3Vであってよい。具体的に言えば、バッテリの出力電圧が3V以下である場合に、端末デバイスは、シャットダウンされるように制御される。
【0170】
上記の前もってセットされた電圧値及び閾値は、実際の要件に基づいて選択されてよい。本願の上記の実施形態における値は、説明のための例にすぎず、複数のバリエーションを有し得る。
【0171】
図8は、本願の実施形態に従う端末デバイスのための他の電力供給方法のフローチャートである。
【0172】
この実施形態で提供される端末デバイスのための電力供給方法は、電源回路に適用される。電源回路については、
図5及び
図6に示される電源回路を参照されたい。
【0173】
方法は、次のステップを含む。
【0174】
S901:サンプリング温度が前もってセットされた温度値よりも低い場合及び/又はバッテリの出力電圧が第1の前もってセットされた電圧値よりも小さい場合に、作動するように昇圧回路を制御し、負荷へ電力を供給することを止めるようにバッテリチップを制御する。
【0175】
S902:昇圧回路の出力電圧が昇圧回路の入力電圧よりも小さい場合に、バイパス回路は、負荷へ電力を供給するよう自動的に導通する。このとき、サンプリング温度は、端末デバイスの温度又はバッテリの温度である。
【0176】
加えて、方法は、充電器が端末デバイスに挿入されることが検出される場合に、負荷へ電力を供給するようにバッテリチップを制御し、作動を停止するように昇圧回路を制御することを更に含む。
【0177】
端末デバイスのスクリーンがオフされ、バッテリの出力電圧が第2の前もってセットされた電圧値よりも大きい場合に、昇圧回路の出力電圧は、バッテリの出力電圧以下であるように制御され、それから、バッテリチップは、負荷へ電力を供給するように制御され、次に、昇圧回路は、作動を停止するように制御される。
【0178】
第2の前もってセットされた電圧値は、第1の前もってセットされた電圧値よりも小さい。
【0179】
端末デバイスのスクリーンがオフされ、バッテリの出力電圧が第2の前もってセットされた電圧値以下である場合に、昇圧回路は、作動するように制御される。
【0180】
バッテリの出力電圧が第3の前もってセットされた電圧値以下である場合に、端末デバイスは、シャットダウンされるように制御される。
【0181】
第3の前もってセットされた電圧値は、第2の前もってセットされた電圧値よりも小さい。
【0182】
作動するように昇圧回路を制御し、負荷へ電力を供給することを止めるようにバッテリチップを制御することは、特に、
最初に、バッテリの出力電圧より小さいか又はそれに近い(例えば、それに等しいか若しくはわずかに大きい)ように昇圧回路の出力電圧を制御し、それから、負荷へ電力を供給することを止めるようにバッテリチップを制御し、次に、第4の前もってセットされた電圧値であるように昇圧回路の出力電圧を制御することを含んでよい。
【0183】
第4の前もってセットされた電圧値は、第1の前もってセットされた電圧値よりも小さい。
【0184】
上記の実施形態は、単に、本願の技術的解決法について説明することを目的とし、本願を制限する意図はない。本願は上記の実施形態を参照して詳細に記載されているが、当業者であれば、本願の実施形態の技術的解決法の精神及び範囲から外れずに、上記の実施形態で記載されている技術的解決法を変更することや、そのいくつかの技術的特徴を等価物で置換することが依然として可能であると理解するはずである。