(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-01
(45)【発行日】2022-11-10
(54)【発明の名称】レーダーオーバーレイをもつ熱ディスプレイ
(51)【国際特許分類】
G01S 13/86 20060101AFI20221102BHJP
【FI】
G01S13/86
(21)【出願番号】P 2021531887
(86)(22)【出願日】2019-11-18
(86)【国際出願番号】 US2019062008
(87)【国際公開番号】W WO2020117463
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-08-02
(32)【優先日】2018-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521242152
【氏名又は名称】ルーミナイ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘネン,コービン・ジョーセフ
(72)【発明者】
【氏名】レイシー,メーガン・アイリーン
【審査官】渡辺 慶人
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-527842(JP,A)
【文献】特開2001-076298(JP,A)
【文献】特表2018-506700(JP,A)
【文献】特開平07-151854(JP,A)
【文献】国際公開第2009/082223(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0205937(US,A1)
【文献】安田 浩志 他,拡張現実感による死角交差点での運転支援 ~リアルな壁透過表現は必要か?~,日本バーチャルリアリティ学会論文誌,第19巻 第3号,日本,特定非営利活動法人日本バーチャルリアリティ学会,2014年09月30日,Pages: 309-314,ISSN: 1344-011X
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00 - 7/42
13/00 - 13/95
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
1つ以上のプロセッサと、
1つ以上のプロセッサに接続された1つ以上のレーダーデバイスであって、信号を送信し、反射された信号に基づいて、1つ以上のレーダーデバイスの検出範囲内に位置するオブジェクトを検出するように構成された、1つ以上のレーダーデバイスと、
1つ以上のプロセッサに接続された1つ以上の熱画像デバイスであって、オブジェクトによって放射された赤外光に基づいて、1つ以上の熱画像デバイスの視野中のオブジェクトを検出するように構成された、1つ以上の熱画像デバイスと、
1つ以上のプロセッサに接続された1つ以上のディスプレイと
を備え、
1つ以上のプロセッサが、1つ以上のディスプレイに1つ以上のレーダーデバイスによって検出されたオブジェクトを表示させ、1つ以上のプロセッサが、1つ以上のディスプレイに1つ以上の熱画像デバイスによって検出されたオブジェクトを表示させ
、
1つ以上のレーダーデバイスが障壁を通してオブジェクトを検出し
1つ以上のプロセッサが、1つ以上のディスプレイに、1つ以上の熱画像デバイスによって検出された、障壁の前のオブジェクトを表示させ、1つ以上のレーダーデバイスによって検出された、障壁の後ろのオブジェクトを表示させる、システム。
【請求項2】
1つ以上のレーダーデバイスの検出範囲が100フィート内である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
1つ以上のプロセッサが、1つ以上のディスプレイに、オブジェクトが1つ以上のディスプレイからより遠くに位置するほど、表示されるオブジェクトのサイズを低減させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
1つ以上のレーダーデバイスが少なくとも1つの超広帯域レーダーを備え、1つ以上の熱画像デバイスが少なくとも1つのサーマルカメラを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
1つ以上のプロセッサが、1つ以上のレーダーデバイスによって検出された、障壁の前に位置するオブジェクトを捨てるように構成された、請求項
1に記載のシステム。
【請求項6】
1つ以上のディスプレイが、拡張現実グラス、ウォッチ、ヘッドマウントディスプレイ、またはスマートフォンを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
1つ以上のプロセッサに接続されたオーディオデバイスを備え、1つ以上のプロセッサが、オーディオデバイスに、オブジェクトの検出を可聴式に示させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
1つ以上のプロセッサが、オーディオデバイスに、検出されたオブジェクトの位置を可聴式に示させる、請求項
7に記載のシステム。
【請求項9】
1つ以上のプロセッサが、1つ以上のディスプレイに、障壁の前で検出されたオブジェクトを、障壁の後ろで検出されたオブジェクトと区別させる、請求項
1に記載のシステム。
【請求項10】
1つ以上のディスプレイが、オブジェクトを異なる色で表示するか、オブジェクトを異なる不透明度で表示するか、オブジェクトを異なるアウトラインで表示するか、オブジェクトを異なる形状で表示するか、またはオブジェクトを区別するためのラベルを表示する、請求項
9に記載のシステム。
【請求項11】
1つ以上のプロセッサが障壁までの距離を決定する、請求項
1に記載のシステム。
【請求項12】
1つ以上のプロセッサが、障壁までの距離を決定するために1つ以上のレーダーデバイスあるいは1つ以上の熱画像デバイスを使用する、請求項
11に記載のシステム。
【請求項13】
1つ以上のプロセッサに接続されたセンサーを備え、センサーが、障壁までの距離を測定し、距離を1つ以上のプロセッサに通信する、請求項
11に記載のシステム。
【請求項14】
センサーが、カメラ、超音波トランスデューサ、音響センサー、光検出および測距デバイス、またはレーザー測距器を備える、請求項
13に記載のシステム。
【請求項15】
オブジェクトを検出する方法であって、
信号を送信することと、
反射された信号に基づいてオブジェクトを検出することと、
放射された赤外光に基づいてオブジェクトを検出することと、
放射された赤外光に基づいて障壁の前で検出されたオブジェクトを表示することと、反射された信号に基づいて障壁の後ろで検出されたオブジェクトを表示することと
、
ディスプレイ上で、障壁の前で検出されたオブジェクトを、障壁の後ろで検出されたオブジェクトと区別することと
を含む、オブジェクトを検出する方法。
【請求項16】
反射された信号に基づいて障壁の前で検出されたオブジェクトを捨てることを含む、請求項
15に記載の方法。
【請求項17】
障壁までの距離を測定することを含む、請求項
15に記載の方法。
【請求項18】
装置であって、
プロセッサと、
プロセッサに接続されたレーダーデバイスであって、信号を送信し、反射された信号に基づいてレーダーデバイスの検出範囲内に位置するオブジェクトを検出するように構成された、レーダーデバイスと、
プロセッサに接続されたサーマルカメラであって、オブジェクトによって放射された赤外光に基づいてサーマルカメラの視野中のオブジェクトを検出するように構成された、サーマルカメラと、
プロセッサに接続されたディスプレイと
を備え、
プロセッサが、ディスプレイに、レーダーデバイスによって検出されたオブジェクトを表示させ、プロセッサが、ディスプレイに、サーマルカメラによって検出されたオブジェクトを表示させ
、
レーダーデバイスが障壁を通してオブジェクトを検出し
プロセッサが、レーダーデバイスによって検出された、障壁の前に位置するオブジェクトを捨てるように構成される、装置。
【請求項19】
プロセッサに接続されたオーディオデバイスを備え、プロセッサが、オーディオデバイスに、オブジェクトの検出を可聴式にアナウンスさせる、請求項
18に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で説明する例は、壁などの障壁の前および後ろのオブジェクトを検出するために使用され得る、レーダーデバイスと熱画像(thermal image)デバイスとを含むシステムに関する。本システムは、本システムによって検出されたオブジェクトを表示するために使用されるディスプレイを含む。
【背景技術】
【0002】
軍事要員、法執行機関職員、および/または緊急救援隊員(first responder)などの救急隊員は、オブジェクトおよび/または人間を単に視覚によって識別することが可能であることなしに構造物に入ることがある。たとえば、構造物内の暗さおよび/または煙はオブジェクトおよび/または人間の識別を妨げることがある。
【0003】
熱検出(thermal detection)デバイスは、部屋の中の人間など、いくつかのオブジェクトの検出を助けることがある。しかしながら、熱検出デバイスは、赤外光を放射するオブジェクトしか検出しない。したがって、熱検出デバイスは部屋の中の十分な表現を提供しないことがある。さらに、熱検出デバイスは、壁などの障壁を通してオブジェクトを検出することが可能でなく、障壁の反対側にいる人間および/またはオブジェクトを検出することが可能であることは重要であり得る。たとえば、壁の反対側に人間がいるかどうかを決定することが重要であり得る。
【0004】
レーダーデバイスは、障壁を通すことを含めて、構造物中のオブジェクトを検出するために使用され得る。レーダーデバイスはオブジェクトを検出し得るが、従来のレーダーデバイスは、検出されたオブジェクトを区別することが可能でない。たとえば、従来のレーダーデバイスは、検出における精度を提供せず、一般に、オブジェクトの形状を提供しないか、またはオブジェクトが人間であるか何らかの他のオブジェクトであるかを提供しない。検出されたオブジェクトに関する情報は用途によっては重要であり得る。レーダーデバイスを使用してオブジェクト、人々、および/またはオブジェクトの形状を弁別することが可能であるためには、かなりの計算能力が必要とされ得る。かなりの計算能力は処理時間を必要とするので、リアルタイムでオブジェクトを検出し、弁別することが困難になり得、このことは用途によっては重大であり得る。他の欠点があり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、壁などの障壁の前および後ろのオブジェクトを検出するために使用され得る、レーダーデバイスと熱画像デバイスとを含むシステムを対象とする。本システムは、本システムによって検出されたオブジェクトを表示するために使用されるディスプレイを含む。
【0006】
本開示の一実施形態は、1つ以上のプロセッサを備えるシステムである。本システムは、1つ以上のプロセッサに接続された1つ以上のレーダーデバイスを備える。1つ以上のレーダーデバイスは、信号を送信し、反射された信号に基づいて、1つ以上のレーダーデバイスの検出範囲内に位置するオブジェクトを検出するように構成される。本システムは、1つ以上のプロセッサに接続された1つ以上の熱画像デバイスを含む。1つ以上の熱画像デバイスは、オブジェクトによって放射された赤外光に基づいて、1つ以上の熱画像デバイスの視野中のオブジェクトを検出するように構成される。本システムは、1つ以上のプロセッサに接続された1つ以上のディスプレイを備える。1つ以上のプロセッサは、1つ以上のディスプレイに、1つ以上のレーダーデバイスによって検出されたオブジェクトを表示させる。1つ以上のプロセッサは、1つ以上のディスプレイに、1つ以上の熱画像デバイスによって検出されたオブジェクトを表示させる。
【0007】
システムの検出範囲は100フィート内であり得る。1つ以上のプロセッサは、1つ以上のディスプレイに、オブジェクトが1つ以上のディスプレイからより遠くに位置するほど、表示されるオブジェクトのサイズを低減させ得る。1つ以上のレーダーデバイスは少なくとも1つの超広帯域(ultrawide band)レーダーを備え得、1つ以上の熱画像デバイスは少なくとも1つのサーマルカメラを備え得る。1つ以上のレーダーデバイスは障壁を通してオブジェクトを検出する。1つ以上のプロセッサは、1つ以上のレーダーデバイスによって検出された、障壁の前に位置するオブジェクトを捨てるように構成され得る。
【0008】
1つ以上のプロセッサは、1つ以上のディスプレイに、1つ以上の熱画像デバイスによって検出された、障壁の前のオブジェクトを表示させ、1つ以上のレーダーデバイスによって検出された、障壁の後ろのオブジェクトを表示させ得る。1つ以上のディスプレイは、拡張現実グラス(augmented reality glasses)、ウォッチ、ヘッドマウントディスプレイ、スマートフォンなどであり得る。本システムは、1つ以上のプロセッサに接続されたオーディオデバイスを含み得、1つ以上のプロセッサは、オーディオデバイスに、オブジェクトの検出を可聴式に示させる。1つ以上のプロセッサは、1つ以上のディスプレイに、障壁の前で検出されたオブジェクトを、障壁の後ろで検出されたオブジェクトと区別させ得る。1つ以上のディスプレイは、オブジェクトを異なる色で表示するか、オブジェクトを異なる不透明度で表示するか、オブジェクトを異なるアウトラインで表示するか、オブジェクトを異なる形状で表示するか、またはオブジェクトを区別するためのラベルを表示し得る。1つ以上のプロセッサは障壁までの距離を決定し得る。
【0009】
1つ以上のプロセッサは、障壁までの距離を決定するために1つ以上のレーダーデバイスあるいは1つ以上の熱画像デバイスを使用し得る。本システムはセンサーを含み得、センサーは、障壁までの距離を測定し、距離を1つ以上のプロセッサに通信する。センサーは、カメラ、超音波トランスデューサ、音響センサー、光検出および測距デバイス、レーザー測距器などであり得る。
【0010】
本開示の一実施形態は、オブジェクトを検出する方法である。本方法は、信号を送信することと、反射された信号に基づいてオブジェクトを検出することとを含む。本方法は、放射された赤外光に基づいてオブジェクトを検出することを含む。本方法は、放射された赤外光に基づいて障壁の前で検出されたオブジェクトを表示することと、反射された信号に基づいて障壁の後ろで検出されたオブジェクトを表示することとを含む。本方法は、反射された信号に基づいて障壁の前で検出されたオブジェクトを捨てることを含み得る。本方法は、ディスプレイ上で、障壁の前で検出されたオブジェクトを、障壁の後ろで検出されたオブジェクトと区別することを含み得る。本方法は、障壁までの距離を測定することを含み得る。
【0011】
本開示の一実施形態は、プロセッサと、プロセッサに接続されたレーダーデバイスとを備える装置である。レーダーデバイスは、信号を送信し、反射された信号に基づいてレーダーデバイスの検出範囲内に位置するオブジェクトを検出するように構成される。本装置は、プロセッサに接続されたサーマルカメラを備える。サーマルカメラは、オブジェクトによって放射された赤外光に基づいてサーマルカメラの視野中のオブジェクトを検出するように構成される。本装置は、プロセッサに接続されたディスプレイを含む。プロセッサは、ディスプレイに、レーダーデバイスによって検出されたオブジェクトを表示させ、プロセッサは、ディスプレイに、サーマルカメラによって検出されたオブジェクトを表示させる。本装置は、プロセッサに接続されたオーディオデバイスを含み得る。プロセッサは、オーディオデバイスに、オブジェクトの検出を可聴式にアナウンスさせる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】検出装置の一実施形態のボックスダイヤグラムである。
【
図2】検出システムの一実施形態のボックスダイヤグラムである。
【
図3】障壁を通して信号を送信するレーダーデバイスの概略図である。
【
図5】障壁に隣接して配置される検出装置または検出システムの一実施形態の概略図である。
【
図6】検出装置または検出システムによって検出されたオブジェクトを表示する一実施形態の概略図である。
【
図7】検出装置または検出システムによって検出されたオブジェクトを表示する一実施形態の概略図である。
【
図8】オブジェクトを検出する方法の一実施形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示は様々な修正および代替形態の余地があるが、特定の実施形態が例として図面に示されており、それについて本明細書で詳細に説明される。しかしながら、本開示は、開示された特定の形態に限定することが意図されるものではないことを理解されたい。むしろ、意図は、添付の特許請求の範囲によって定義されている本開示の範囲内に入るすべての修正、均等および代替をカバーすることである。
【0014】
図1は検出装置100の一実施形態のボックスダイヤグラムである。装置100は、ハウジング5内に配置されるプロセッサ10を含む。
図1は単一のプロセッサ10を示すが、装置100は、本開示の利益を受ける当業者によって諒解され得るように、1つ以上のプロセッサ10を含み得る。プロセッサ10は、本開示の利益を受ける当業者によって諒解され得るように、中央処理装置、マイクロコントローラ、コンピュータ、またはデータを処理するために装備される任意の他の同様の電子デバイスであり得る。
【0015】
装置100は、レーダーデバイス20と、レーダーデバイス20に接続されたアンテナ40とを含む。
図1は単一のレーダーデバイス20と単一のアンテナ40とを示すが、装置100は、本開示の利益を受ける当業者によって諒解され得るように、1つ以上のレーダーデバイス20と1つ以上のアンテナ40とを含み得る。レーダーデバイス20は装置100のプロセッサ10に接続される。レーダーデバイス20は、本開示の利益を受ける当業者によって諒解され得るように、装置100から信号を送信し、オブジェクトから反射された信号に基づいてレーダーデバイス20の近傍内に位置するオブジェクトを検出する。レーダーデバイス20は、特定の範囲内、すなわち、レーダーデバイス20から特定の距離内のオブジェクトを検出するように構成され得る。範囲は用途によって変わり得る。たとえば、範囲は、限定はしないが、レーダーデバイス20から100フィートであり得る。範囲は100フィートよりも広くまたは狭くなり得る。
【0016】
アンテナ40と組み合わせられたレーダーデバイス20は、レーダーデバイス20から信号を送信し、信号が反射されたオブジェクトの位置を決定するために、反射された信号を受信するように構成される。アンテナ40はレーダーデバイス20の一体型構成要素であり得る。レーダーデバイス20は、受信した反射された信号を分析するために使用される一体型プロセッサまたは処理ユニットを含み得る。受信した反射された信号に関するデータは分析のためにプロセッサ10に送信され得る。レーダーデバイス20は、プロセッサ10に直接接続され得るか、またはプロセッサ10に無線で接続され得る。レーダーデバイス20は超広帯域レーダーであり得る。レーダーデバイス20は、本開示の利益を受ける当業者によって諒解され得るように、オブジェクトの検出のために、信号を送信し、反射された信号を受信するように構成された様々な他のレーダーデバイスを備え得る。
【0017】
装置100は熱撮像デバイス30を含む。
図1は単一の熱撮像デバイス30を示すが、装置100は、本開示の利益を受ける当業者によって諒解され得るように、1つ以上の熱撮像デバイス30を含み得る。熱撮像デバイス30は装置100のプロセッサ10に接続される。熱撮像デバイス30は、本開示の利益を受ける当業者によって諒解され得るように、オブジェクトから放射された赤外光に基づいて、熱撮像デバイス30の近傍内に位置するオブジェクトを検出する。熱撮像デバイス30は、特定の範囲内、すなわち、熱撮像デバイス30から特定の距離内のオブジェクトを検出するように構成され得る。範囲は用途によって変わり得る。たとえば、範囲は、限定はしないが、熱撮像デバイス30から100フィートであり得る。範囲は100フィートよりも広くまたは狭くなり得る。
【0018】
熱撮像デバイス30は、熱撮像デバイス30によって検出された放射された赤外光を分析するために使用される一体型プロセッサまたは処理ユニットを含み得る。放射された赤外光に関するデータは分析のためにプロセッサ10に送信され得る。熱撮像デバイス30は、プロセッサ10に直接接続され得るか、またはプロセッサ10に無線で接続され得る。熱撮像デバイス30はサーマルカメラであり得る。熱撮像デバイス20は、本開示の利益を受ける当業者によって諒解され得るように、オブジェクトの検出のために、放射された赤外光を検出するように構成された様々な他の熱撮像デバイスを備え得る。
【0019】
装置100は、電源または電力供給源50とディスプレイ60とを含む。電源50は、本開示の利益を受ける当業者によって諒解され得るように、バッテリーまたは他の様々な他の電源であり得る。
図1は単一の電源50と単一のディスプレイ60とを示すが、装置100は、本開示の利益を受ける当業者によって諒解され得るように、1つ以上の電源50と1つ以上のディスプレイ60とを含み得る。電源50およびディスプレイ60はそれぞれ装置100のプロセッサ10に接続される。ディスプレイ60は、レーダーデバイス20と熱撮像デバイス30の両方によって検出されたオブジェクトを表示するように構成される。
【0020】
装置100のプロセッサ10は、熱デバイス30によって検出されたオブジェクトを、レーダーデバイス20によって検出されたオブジェクトとディスプレイ60上にオーバーレイするように構成される。ディスプレイ60は、プロセッサ10に直接接続され得るか、またはプロセッサ10に無線で接続され得る。プロセッサ10は、検出されたオブジェクトを、プロセッサ10に無線で接続された多数のディスプレイ上に表示するように構成され得る。たとえば、検出されたオブジェクトは、無線でプロセッサ10に接続された多数のスマートフォンのスクリーン上に表示され得る。ディスプレイ60は様々な形態を取り得る。たとえば、ディスプレイ60は、拡張現実グラス、ウォッチ、ヘッドマウントディスプレイ、スマートフォンなどであり得る。
【0021】
プロセッサ10は、レーダーデバイス20によって検出されたオブジェクトを、熱撮像デバイス30によって検出されたオブジェクトと区別するように構成され得る。たとえば、プロセッサ10は、レーダーデバイス20によって検出されたオブジェクトの外観を、熱撮像デバイス30によって検出されたオブジェクトと異なるようにさせ得る。同様に、プロセッサ10は、壁などの(
図3-
図5に示された)障壁400の前で検出されたオブジェクトを、障壁400の後ろで検出されたオブジェクトと区別するように構成され得る。たとえば、プロセッサ10は、障壁400の前に位置するオブジェクトの外観を、障壁400の後ろに位置するオブジェクトと異なるようにし得る。プロセッサ10は、異なる色で表示すること、異なる不透明度で表示すること、異なるアウトラインで表示すること、異なる形状で表示すること、ラベル付きで表示することなどによってオブジェクトを区別し得る。
【0022】
レーダーデバイス20は、障壁400の前および/または後ろに位置するオブジェクトを検出するために使用され得る。熱画像デバイス30は、障壁400の前に位置するオブジェクトを検出するために使用され得る。熱画像デバイス30は、障壁400の前に位置していたオブジェクトを検出することが可能であり得る。たとえば、手など、人間の一部が以前に上に置かれていた障壁400の表面から赤外光が放射され得る。一実施形態では、プロセッサ10は、障壁400の後ろのオブジェクトを検出するためのレーダーデバイス20からの反射された信号を使用し、障壁400の前のオブジェクトを検出するための熱画像デバイス30を使用し、レーダーデバイスからのオブジェクトから反射された、レーダーデバイス20からの反射された信号を使用して、障壁400の前に位置するオブジェクトに関するデータを決定するように構成され得る。たとえば、レーダーデバイス20は、障壁400の前にいる人間の心拍数データを取得するために使用され得る。レーダーデバイス20は、本開示の利益を受ける当業者によって諒解され得るように、障壁400の前のオブジェクトに関する様々な他のデータを取得するために使用され得る。
【0023】
一実施形態では、プロセッサ10は、レーダーデバイス20から送信された信号からの、障壁400の前に位置するオブジェクトからの反射された信号を無視するように構成され得る。プロセッサ10は、熱撮像デバイス30から検出された、障壁400の前で検出されたオブジェクトを、レーダーデバイス20から検出された、障壁400の後ろで検出されたオブジェクトと組み合わせ、ディスプレイ60に、検出されたオブジェクトのすべてを表示させ得る。本明細書で論じるように、プロセッサ10は、ディスプレイ60によって表示されたときに、オブジェクトが区別されるようにさせ得る。たとえば、表示されるオブジェクトのサイズは、装置100からの、オブジェクトが位置する距離に基づいて低減され得る。
【0024】
装置100は、装置100から障壁400までの距離を決定するように構成され得る。装置100は、レーダーデバイス20および/または熱撮像デバイス30を使用して障壁400までの距離を測定し得る。装置100は追加の1つまたは複数のセンサー70を含み得る。センサー70は、装置100から障壁400までの距離を測定するために使用され得る。距離を測定するために様々なセンサー70が使用され得る。たとえば、センサー70は、限定はしないが、カメラ、超音波トランスデューサ、音響トランスデューサ、光検出および測距デバイス、レーザー測距器などであり得る。
【0025】
装置100はオーディオデバイス80を含み得る。オーディオデバイス80はプロセッサ10に接続される。プロセッサ10は、オーディオデバイス80に、装置100によるオブジェクトの検出を可聴式に示させ得る。プロセッサ10は、オーディオデバイス80に、オブジェクトに関する情報を可聴式に示させ得る。たとえば、オーディオデバイス80は、人間が検出されたことを示し得、および/または装置100に対する検出されたオブジェクトの位置を示し得る。オーディオデバイス80は、限定はしないが、スピーカー、有線ヘッドフォン、無線ヘッドフォンなどであり得る。
【0026】
図2は検出システム200の一実施形態のボックスダイヤグラムである。検出システム200は、多数のレーダーデバイス20、熱撮像デバイス30、多数のアンテナ40、電力供給源50、ディスプレイ60、任意選択の1つまたは複数のセンサー70、および任意選択のオーディオデバイス80に接続されたプロセッサ10を含む。本明細書で論じるように、プロセッサ10は、壁、ドアなど、(
図3に示された)障壁400の前および後ろに位置するオブジェクトを検出するためのレーダーデバイス20と熱撮像デバイス30とを使用する。レーダーデバイス20と熱撮像デバイス30の両方によって検出されたオブジェクトはディスプレイ60上に一緒に表示され得る。
【0027】
プロセッサ10は、ユーザが、障壁400の後ろに位置するオブジェクトから、障壁400の前に位置するオブジェクトを決定することができるように、表示されたオブジェクトを区別し得る。システム200は各レーダーデバイス20のための多数のアンテナ40を含み得る。アンテナ40は、レーダーデバイス20に組み込まれるか、またはレーダーデバイス20と一体であり得る。
図1に関して、検出装置100は多数の構成要素(すなわち、プロセッサ10、レーダーデバイス20、熱撮像デバイス30、アンテナ40、電力供給源50、ディスプレイ60、任意選択のセンサー70、および任意選択のオーディオデバイス80)を、単一のハウジング中に組み込み得る。検出システム200は、レーダーデバイス20、熱撮像デバイス30、アンテナ40、電力供給源50、およびディスプレイ60を、少なくとも1つのプロセッサ10に結合し得るが、各構成要素は共通のハウジング内に配置されないことがある。検出システム200はまた、1つ以上のセンサー70を少なくとも1つのプロセッサ10に結合し、および/または1つ以上のオーディオデバイス80を少なくとも1つのプロセッサ10に結合し得る。
【0028】
図3は、オブジェクトの検出のための信号25A、25Bを送信するレーダーデバイス20の概略図である。
図3に示されているように、信号の部分25Aはレーダーデバイス20から障壁400まで進行し、部分25Bは、障壁400を通って進行し、レーダーデバイス20に対して障壁400の後ろにあるオブジェクトを検出するために使用され得る。レーダー20に戻った、オブジェクトの反射された信号は、本開示の利益を受ける当業者によって諒解され得るように、オブジェクトを検出するために使用され得る。
【0029】
図4は、放射された赤外光を検出するための視野35をもつ熱撮像デバイス30の概略図である。熱撮像デバイス30の視野35は障壁400を貫通しない。熱撮像デバイス30は、熱撮像デバイス30に対して障壁400の後ろにあるオブジェクトを検出することができない。
【0030】
図5は、障壁400に隣接して配置される検出装置100または検出システム200の一実施形態の概略図である。検出装置/検出システム100、200は(
図5に示されていない)少なくとも1つのレーダーデバイス20と、(
図5に示されていない)少なくとも1つの熱撮像デバイス30とを含む。検出装置/検出システム100、200は、本明細書で論じるように、検出装置/検出システム100、200に対して障壁400の前に位置するオブジェクトを検出するための少なくとも1つの熱撮像デバイス30の視野35を使用する。検出装置/検出システム100、200は、本明細書で論じるように、検出装置/検出システム100、200に対して障壁400の後ろに位置するオブジェクトを検出するための少なくとも1つのレーダーデバイス20からの信号25Bを使用する。検出装置/検出システム100、200は、障壁400の前で検出されたオブジェクトと障壁400の後ろで検出されたオブジェクトとを、(
図5に示されていない)1つ以上のディスプレイデバイス60上に一緒に表示するように構成され得る。検出装置/検出システム100、200は、検出装置/検出システム100、200に対して障壁400の前にあるオブジェクトについての1つ以上のレーダーデバイス20から受信した反射された信号を無視するように構成され得る。
【0031】
図6は、検出装置100または検出システム200によって検出されたオブジェクト61A、61Bを表示する一実施形態の概略図である。ディスプレイ60は、障壁400の前に位置する第1のオブジェクト61Aを示す。第1のオブジェクト61Aは検出装置100/検出システム200の熱撮像デバイス30によって検出される。検出装置100/検出システム200は、第1のオブジェクト61Aが人であるかどうかを決定するように構成され得る。検出装置100/検出システム200が、第1のオブジェクトが人であることを決定した場合、人間のシルエットがディスプレイ60上に表示される。
図6に示されているように、第1のオブジェクト61Aについてのシルエットは、検出された人間が腹臥位(prone position)であることを示す。
【0032】
ディスプレイ60は、第2のオブジェクト61Bが障壁400の後ろに位置する状態で、第2のオブジェクトが検出されたことを示す。第2のオブジェクト61Bは検出装置100/検出システム200のレーダーデバイス20によって検出される。本明細書で論じられるように、検出装置100/検出システム200は、第2のオブジェクト61Bが人であるかどうかを決定するように構成され得る。検出装置100/検出システム200が、第2のオブジェクト61Bが人であることを決定した場合、人間のシルエットがディスプレイ60上に表示される。
図6に示されているように、第2のオブジェクト61Bについてのシルエットは、検出された人間が立位(standing position)であることを示す。検出装置100/検出システム200は、障壁400の前に位置する検出されたオブジェクトと、障壁400の後ろに位置する検出されたオブジェクトとを区別するように構成され得る。たとえば、障壁400の後ろにあるオブジェクトは破線アウトラインを含み得る。
【0033】
図6に示されたオブジェクト61A、61Bの、形状、サイズ、位置、および/または構成は、本開示の利益を受ける当業者によって諒解され得るように、説明の目的であり、用途によって変わり得る。本開示の利益を受ける当業者によって諒解され得るように、位置および/またはタイプに基づいてオブジェクトを区別するために様々な方法または機構が使用され得る。たとえば、検出装置100/検出システム200は、オブジェクトを、異なる色、異なる不透明度、異なるアウトライン、異なる形状で表示し、および/またはオブジェクトを区別するためのラベルを表示し得る。
【0034】
図7は、検出装置100または検出システム200によって検出されたオブジェクト61C、61Dを表示する一実施形態の概略図である。ディスプレイ60は、障壁400の前に位置するオブジェクト61Cを示す。オブジェクト61Cは検出装置100/検出システム200の熱撮像デバイス30によって検出される。検出装置100/検出システム200は、オブジェクト61Cが人であるかどうかを決定するように構成され得る。検出装置100/検出システム200が、オブジェクト61Cが人であることを決定した場合、人間のシルエットがディスプレイ60上に表示される。
【0035】
ディスプレイ60は、別のオブジェクト61Dが障壁400の後ろに位置する状態でオブジェクト61Dが検出されたことを示す。オブジェクト61Dは検出装置100/検出システム200のレーダーデバイス20によって検出される。本明細書で論じるように、検出装置100/検出システム200は、オブジェクト61Dが人であるかどうかを決定するように構成され得る。検出装置100/検出システム200が、オブジェクト61Dが人であることを決定した場合、人間のシルエットがディスプレイ60上に表示される。検出装置100/検出システム200は、障壁400の前に位置する検出されたオブジェクトと、障壁400の後ろにある検出されたオブジェクトとを区別するように構成され得る。たとえば、障壁400の後ろにあるオブジェクト61Dは、障壁400の前に位置するオブジェクト61Cに対してより小さいサイズで表示され得る。さらに、検出装置100/検出システム200はまた、検出されたオブジェクト61C、61Dに隣接して位置するラベル62C、62Dを表示し得る。ラベル62C、62Dは、限定はしないが、オブジェクトまでの距離および/またはオブジェクトのタイプなど、様々な情報を示し得る。
【0036】
オブジェクト61C、61Dのラベル62C、62Dの、形状、サイズ、位置、および/または構成は、本開示の利益を受ける当業者によって諒解され得るように、説明の目的で
図7に示されており、用途によって変わり得る。本開示の利益を受ける当業者によって諒解され得るように、位置および/またはタイプに基づいてオブジェクトを区別するために様々な方法または機構が使用され得る。たとえば、検出装置100/検出システム200は、オブジェクトを、異なる色、異なる不透明度、異なるアウトライン、異なる形状で表示し、および/またはオブジェクトを区別するためのラベルを表示し得る。
【0037】
図8は、オブジェクトを検出する方法300の一実施形態のフローチャートである。方法300は、310において信号を送信することを含む。たとえば、信号はレーダーデバイス20によって送信される。方法300は、320において、反射された信号に基づいてオブジェクトを検出することを含む。方法300は、330において、放射された赤外光に基づいてオブジェクトを検出することを含む。たとえば、熱撮像デバイス30は、オブジェクトから放射された赤外光を検出し得る。方法300は、340において、放射された赤外光に基づいて障壁の前で検出されたオブジェクトを表示することと、反射された信号に基づいて障壁の後ろで検出されたオブジェクトを表示することとを含む。たとえば、熱画像デバイス30によって検出されたオブジェクトは、レーダーデバイス20によって検出されたオブジェクトとともにディスプレイ60上に表示され得る。熱画像デバイス30は、障壁400の前に位置するオブジェクトを検出し得、レーダーデバイスは、壁400の後ろに位置するオブジェクトを検出し得る。
【0038】
方法300は、350において、反射された信号に基づいて、障壁の前で検出されたオブジェクトを捨てることを含み得る。たとえば、検出装置100または検出システム200のプロセッサ10は、レーダーデバイス20の位置に対して障壁400の前に位置するオブジェクトから反射された信号を無視するように構成され得る。方法300は、360において、ディスプレイ上で、障壁の前で検出されたオブジェクトを、障壁の後ろで検出されたオブジェクトと区別することを含み得る。たとえば、検出装置100/検出システム200は、オブジェクトを異なる色、異なる不透明度、異なるアウトライン、異なる形状で表示し、および/またはオブジェクトを区別するためのラベルを表示し得る。方法300は、370において、障壁までの距離を測定することを含み得る。たとえば、検出装置100/検出システム200は、検出装置100/検出システム200から障壁までの距離を測定するためにレーダーデバイス20および/または熱撮像デバイス30を使用し得る。代替的に、検出装置100/検出システム200は、検出装置100/検出システム200から障壁までの距離を測定するためにセンサー70を使用し得る。
【0039】
本開示についていくつかの実施形態に関して説明したが、本明細書に記載された特徴および利点のすべてを与えるとは限らない実施形態を含む、当業者に明らかである他の実施形態も本開示の範囲内である。したがって、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲およびそれの均等を参照することによってのみ定義される。