(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-01
(45)【発行日】2022-11-10
(54)【発明の名称】配電装置の動作方法
(51)【国際特許分類】
H02J 1/00 20060101AFI20221102BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20221102BHJP
H02H 3/02 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
H02J1/00 304A
H02J13/00 311R
H02H3/02 D
(21)【出願番号】P 2021555872
(86)(22)【出願日】2020-01-31
(86)【国際出願番号】 EP2020052405
(87)【国際公開番号】W WO2020187477
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-11-17
(31)【優先権主張番号】102019203521.3
(32)【優先日】2019-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】509031497
【氏名又は名称】エレンベルガー ウント ペンスケン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110002011
【氏名又は名称】特許業務法人井澤国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100072039
【氏名又は名称】井澤 洵
(74)【代理人】
【識別番号】100123722
【氏名又は名称】井澤 幹
(74)【代理人】
【識別番号】100157738
【氏名又は名称】茂木 康彦
(74)【代理人】
【識別番号】100158377
【氏名又は名称】三谷 祥子
(72)【発明者】
【氏名】フォン デア リエク グイード
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-533900(JP,A)
【文献】特開2008-228379(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0340822(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 1/00-3/07
H02H 99/00
H02J 1/00-1/16
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のコントローラ(4)と前記第1のコントローラ(4)に接続された多数の接続モジュール(16)とを備える配電装置(2)であって、前記接続モジュール(16)はいずれも1つのベース抵抗器(34)を備え、これら前記ベース抵抗器(34)は、直列接続された抵抗器チェーン(32)を形成し、前記抵抗器チェーン(32)は、前記第1のコントローラ(4)の直流電流源(8)によって給電されると共に基準電位(10)に通じており、各前記接続モジュール(16)は、給電コネクタ(26)と、前記第1のコントローラ(4)に信号技術的に接続された共通のバスシステム(24)のバスコネクタ(22)と、を備え、前記接続モジュール(16)には、遮断器(18)が装着されているか、又は、装着可能であり、前記遮断器(18)はいずれも、関連する前記ベース抵抗器(34)に降下する電圧を検知するための第2のコントローラ(20)を備え、前記遮断器(18)は、それぞれ、前記第2のコントローラ(20)によって駆動されるスイッチング素子(30)であって、関連する前記ベース抵抗器(34)の、前記第1のコントローラ(4)に離反した側と、前記基準電位(10)との間に接続されたスイッチング素子(30)を備え、前記遮断器(18)は、関連する前記バスコネクタ(22)に信号技術的に接続され、前記給電コネクタ(26)によって電流供給される配電装置(2)を動作するための方法において、
各遮断器(18)に特定のアドレスが割り当てられていない場合、前記遮断器(18)の前記スイッチング素子(30)が閉鎖されていることを確保し、
前記第1のコントローラ(4)によって、質問(46)を前記バスシステム(24)に送信し、
関連する前記ベース抵抗器(34)を介して電圧が降下した場合、前記第2のコントローラ(20)によって、応答(50)を前記バスシステム(24)に送信する、方法(38)。
【請求項2】
前記応答(50)を送信した後に続けて、前記スイッチング素子(30)を開放することを特徴とする、請求項1に記載の方法(38)。
【請求項3】
前記第1のコントローラ(4)によって、前記スイッチング素子(30)を開放するためのリクエスト(54)が、前記バスシステム(24)に送信されることを特徴とする、請求項2に記載の方法(38)。
【請求項4】
前記スイッチング素子(30)を開放した後に、前記関連するベース抵抗器(34)を介して降下する電圧に応じて、各前記遮断器(18)のアドレス(60)を生成することを特徴とする、請求項2又は請求項3に記載の方法(38)。
【請求項5】
各遮断器(18)の前記アドレス(60)は、前記バスシステム(24)に送信されることを特徴とする、請求項4に記載の方法(38)。
【請求項6】
前記第1のコントローラ(4)によって前記質問(46)を送信することは、周期的に繰り返されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法(38)。
【請求項7】
第1のコントローラ(4)と前記第1のコントローラ(4)に接続された多数の接続モジュール(16)とを備える配電装置(2)であって、前記接続モジュール(16)はいずれも1つのベース抵抗器(34)を備え、これら前記ベース抵抗器(34)は、直列接続された抵抗器チェーン(32)を形成し、前記抵抗器チェーン(32)は、前記第1のコントローラ(4)の直流電流源(8)によって給電されると共に基準電位(10)に通じており、各前記接続モジュール(16)は、給電コネクタ(26)と、前記第1のコントローラ(4)に信号技術的に接続された共通のバスシステム(24)のバスコネクタ(22)と、を備え、前記接続モジュール(16)には、それぞれ1つの遮断器(18)が装着されているか、又は、装着可能であり、前記遮断器(18)はいずれも、関連する前記ベース抵抗器(34)に降下する電圧を検知するための第2のコントローラ(20)を備え、前記遮断器(18)は、それぞれ、前記第2のコントローラ(20)によって駆動されるスイッチング素子(30)であって、関連する前記ベース抵抗器(34)の、前記第1のコントローラ(4)に離反した側と、前記基準電位(10)との間に接続されたスイッチング素子(30)を備え、前記遮断器(18)は、関連する前記バスコネクタ(22)に信号技術的に接続され、前記給電コネクタ(26)によって電流供給される配電装置(2)において、前記第1のコントローラ(4)は、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法(38)を実施するように構成されている、配電装置(2)。
【請求項8】
第1のコントローラ(4)と前記第1のコントローラ(4)に接続された多数の接続モジュール(16)とを備える配電装置(2)に装着するための遮断器(18)であって、前記接続モジュール(16)はいずれも1つのベース抵抗器(34)を備え、これら前記ベース抵抗器(34)は、直列接続された抵抗器チェーン(32)を形成し、前記抵抗器チェーン(32)は、前記第1のコントローラ(4)の直流電流源(8)によって給電されると共に基準電位(10)に通じており、各前記接続モジュール(16)は、給電コネクタ(26)と、前記第1のコントローラ(4)に信号技術的に接続された共通のバスシステム(24)のバスコネクタ(22)と、を備え、前記遮断器(18)は、関連する前記ベース抵抗器(34)に降下する電圧を検知するための第2のコントローラ(20)を備え、前記遮断器(18)は、前記第2のコントローラ(20)によって駆動されるスイッチング素子(30)であって、関連する前記ベース抵抗器(34)の、前記第1のコントローラ(4)に離反した側と、基準電位(10)との間に接続されたスイッチング素子(30)を備え、前記遮断器(18)は、関連する前記バスコネクタ(22)と信号技術的に接続され、前記給電コネクタ(26)によって電流供給可能である遮断器(18)において、前記第2のコントローラ(20)は、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法(38)を実施するように構成されている、遮断器(18)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本方法は、第1のコントローラと、遮断器が装着される又は装着可能な複数の接続モジュールと、を備える配電装置の動作方法に関する。本発明はまた、配電装置及び遮断器に関する。
【背景技術】
【0002】
集中型電力供給のために、通常、配電装置が使用されている。配電装置は、主配電線に接続されており、該主配電線からは、多数の副回路が分岐される。多くの場合、これらの副回路のそれぞれは、遮断器といった好適な遮断装置により保護されている。したがって、遮断器を駆動することにより、それぞれに関連する副回路を静止させること、又は、少なくとも電流供給を停止することが可能である。遮断器の取り付けを容易にするために、配電装置は、多くの場合、各遮断器を差し込み可能な多数の接続モジュールを含む。配電装置自体は、多くの場合、電気キャビネット内のトップハットレールに取り付けられている。
【0003】
WO 2017/076526 A1からは、配電装置及び配電装置の動作方法が公知である。ここでは、各接続モジュールは、関連するベース抵抗器を有している。これらのベース抵抗器は、電気的に直列接続されている。各抵抗器を介して降下する電圧によって、各接続モジュールに装着された遮断器のアドレスが判定される。その結果、さらなる固定コントローラや遮断器との相互通信が、バスシステムを介して可能になる。したがって、例えば、遮断器の遠隔保守が可能であり、又は、遮断器を後でパラメータ化することが可能になる。また、中央指令によって、個々の遮断器を取り外すことも可能である。
【0004】
上述の配電装置では、配電装置の初期運転時には、つまり、全ての遮断器に最初に電流を供給する時には、遮断器は標準アドレスを有している。したがって、コントローラから、全ての遮断器に、単にこの標準アドレスを介して、又は、ブロードキャストアドレスを介して呼びかけ可能である。このため、コントローラの遮断器に対する各質問は、全ての遮断器からほぼ同時に応答される。この互いに重複した回答を、コントローラが個々の遮断器に割り当てることは不可能である。したがって、初期運転が困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、有利にも信頼性が向上した、及び/又は、初期運転が容易な、特に好適な配電装置の動作方法、及び、特に好適な配電装置、並びに、特に好適な遮断器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本課題は、方法については請求項1の特徴によって、配電装置については請求項7の特徴によって、遮断器については請求項8の特徴によって、本発明に基づき解決される。有効な態様及び発展形態は、従属請求項の対象である。
【0007】
本方法は、配電装置の動作に寄与する。配電装置は、例えば、工業、住宅電源、ボート、又は、他の地上走行用の自動車の一構成要素である。少なくとも、配電装置は、そこに取り付けられて、配電を行うことに適している。具体的には、配電装置は、主配電線への接続部を有している。配電装置はさらに、副回路用の複数の接続部を有していることが都合がよい。これらは、少なくとも間接的に、配電装置のさらなる構成要素を介して、主配電線の接続部に接続されることが都合がよい。
【0008】
配電装置はさらに、多数の接続モジュールを備え、これらの接続モジュールのそれぞれが、想定され得る副回路のうちの1つに関連付けられることが都合がよい。例えば、個々の接続モジュールは互いに同一の構造を有し、このため製造コストが単純化される。各接続モジュールは、遮断器を差し込み可能な差込口を有していることが都合がよい。換言すると、各接続モジュールには、各遮断器が装着されている、又は、少なくとも装着可能である。有利には、各接続モジュールは、単一の遮断器だけを収容するように構成されている。接続モジュールは、好ましくは、互いに直列に配置されており、このため、遮断器の取り付けは容易である。また、取り付け面積も少なくて済む。
【0009】
遮断器の装着は、例えば取り外し不可能であり、このため、遮断器を各接続モジュールから取り外すこと及び交換することは不可能である。しかしながら、この装着は取り外し可能であることが特に好ましく、この場合、遮断器は例えば各接続モジュールだけに差し込まれる。ここで例えば、係合装置といった安全装置が設けられていることが都合がよい。これによって、遮断器が各接続モジュールから意図せずに外れてしまうことが回避される。したがって安全性が向上する。
【0010】
一例では、配電装置は、接続モジュールのいずれにも、このような遮断器が装着されていない、又は、接続モジュールの内の1つだけに遮断器が装着されている。さらなる変形例では、例えば、多数の接続モジュールに、それぞれ1つの関連するベース抵抗器が装着されているか、又は、全ての接続モジュールに、それぞれ1つの関連するベース抵抗器が装着されている。
【0011】
各接続モジュールは、給電コネクタを備えており、それぞれ関連する遮断器が設けられている場合、具体的にはこの給電コネクタによって当該遮断器への給電が行われる。給電コネクタは、例えば2つの極を有している。具体的には、配電装置は、変圧器といった電源を備える第1のコントローラを含み、電源によって、給電コネクタに印加される供給電圧が提供される。ここで具体的には、供給電圧は、直流電圧、例えば2V~24Vの間の直流電圧である。例えば、給電コネクタの1つの極は、例えばグランドである基準電位に通じている。したがって、各遮断器において基準電位が存在する。
【0012】
給電コネクタは、互いに電気的に並列接続されて、個々の遮断器に対する独立した給電が可能になっていることが好ましい。
【0013】
さらに、各接続モジュールは、共通のバスシステムのバスコネクタを含む。ここで、バスシステムは、具体的には全ての接続モジュール間を延びており、多数の電線を有していることが都合がよい。加えて、バスシステムは、第1のコントローラに信号技術的に接続されている。第1のコントローラは、配電装置の構成要素であり、例えば機械的にこの接続コネクタに通じている。具体的には、第1のコントローラは、バスシステムのマスタとして構成されており、これに従って動作される。
【0014】
さらに、第1のコントローラは、電流源を有していることが都合がよい。電流源は、具体的には直流電流源である。これによって、複数のベース抵抗器から成る抵抗器チェーンが給電される。ここで、抵抗器チェーンは、例えば、第1のコントローラによって提供される基準電位に通じている。例えばここで、抵抗器チェーンは、電気的に直接、基準電位に通じている。しかしながら、具体的にはさらなるオーミック抵抗器を介して、基準電位に間接的に通じていることが特に好ましい。好適には、基準電位は、給電コネクタ/電源を有する、想定され得る基準電位と同一である。したがって、異なる電位の数が低減され、つまり複雑性が低減される。例えば、基準電位として、グランド、好ましくはアースが挙げられる。これによって接続が容易になる。つまり、第1のコントローラの直流電流源もグランドに通じており、これに対して、残りの接続部は抵抗器チェーンに電気的に接触している。具体的には、直流電流源によって、1A、0.5A、又は、0.01Aよりも小さい電流が提供される。具体的には、電流は、100mA~0.1mAの間、及び、例えば10mA~1mAの間である。したがって、比較的安価な構成部材を考慮することが可能である。また、電気絶縁も容易である。
【0015】
まとめると、第1のコントローラによって、好ましくは、バスシステムを介した通信の制御及び抵抗器チェーンの給電が行われる。直流電圧を配電装置の給電コネクタに供給することも、具体的には電流源の第1のコントローラによって行われることが有利な点である。したがって、接続モジュールは、好ましくは各接続モジュールの各部品の給電を行うのに適した各コネクタによって、第1のコントローラに接続されている。第1のコントローラは、例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)、マイクロコントローラ、及び/又は、複数のアセンブリ(具体的にはプリント基板)によって形成されている。各プリント基板には、例えば多数の電気/電子部材がはんだ付けされている。
【0016】
抵抗器チェーンのベース抵抗器は、接続モジュールに関連付けられており、各接続モジュールは、正確に1つのベース抵抗器を有している。したがって、接続モジュールと同じ数の抵抗器が設けられている。例えば、ベース抵抗器は互いに識別可能である。しかしながら、ベース抵抗器は、互いに同一であるか、又は、少なくとも同一のオーミック抵抗を有していることが特に好ましい。ここで、オーミック抵抗は、具体的には10Ω~100kΩ、100Ω~10kΩ、及び、例えばほぼ1kΩであり、例えば、10%、5%、2%、1%、又は、0%の偏差が存在する。
【0017】
接続モジュールに装着するため、又は、接続モジュールを装備するために設けられた各遮断器は、関連するベース抵抗器に降下する電圧を検知するための第2のコントローラを備えている。例えば、第2のコントローラは、関連するベース抵抗器に降下する電圧を検知する電圧測定器を含む。取り付け状態において、遮断器は、例えば、好ましくは関連する各ベース抵抗器の両側において、抵抗器チェーンに電気的に接触している。したがって、遮断器はいずれも、このために設けられた2つのコンタクトを備え、接続モジュールも、この種の2つのコンタクトが提供されていることが好ましい。これらのコンタクトは、共通の差込口の一構成部品であることが好ましい。共通の差込口は、それぞれの給電コネクタ及びバスコネクタに接触するための、同じく好適なコンタクトを含むことが好ましい。したがって、全てのコンタクトは、共通の差込口によって形成されており、このため取り付けが容易である。
【0018】
また取り付け状態において、各遮断器は、関連するバスコネクタに信号技術的に接続されており、給電コネクタによって給電される。しかしながら、少なくとも、バスコネクタによって、各遮断器への信号技術的接続を生成可能であり、給電コネクタによって、各遮断器への給電を実施可能である。具体的には、取り付け状態において、各第2のコントローラは、バスコネクタに信号技術的に接続されており、給電コネクタによって電流供給される。例えば、第2のコントローラは、特定用途向け集積回路(ASIC)、マイクロコントローラ、及び/又は、具体的にはプリント基板を含む複数のアセンブリによって形成されている。各プリント基板には、例えば、多数の電気/電子部材がはんだ付けされている。
【0019】
加えて、各遮断器は、第2のコントローラによって駆動されるスイッチング素子を備える。取り付け状態において、スイッチング素子は、関連するベース抵抗器の、第1のコントローラに離反する側と、基準電位との間に接続されている。したがって、スイッチング素子が第2のコントローラによって駆動される際に、それぞれに関連するベース抵抗器は基準電位に導かれる。このため、接続モジュール中で、第1のコントローラの後段に接続された、想定され得るさらなるベース抵抗器が、第1のコントローラの直流電流源からさらに給電されることはない。
【0020】
スイッチング素子は、例えば、リレー、又は、特に好ましくは、フィールドエフェクトトランジスタ、例えばMOSFETといった半導体スイッチである。具体的には、スイッチング素子の最大電流容量は、比較的小さく、0.5A、0.1A、又は、0.05Aよりも小さいことが都合がよい。具体的には、スイッチング素子によって切替可能な最大電圧は、30Vよりも小さい。したがって、比較的安価なスイッチング素子用の部材を考慮することが可能である。
【0021】
遮断器によって、具体的には、所定のさらなる機能が実施される。例えば、動作時に、接続モジュールによって導かれる電流、及び/又は、そこに印加される電圧が監視される。好ましくは、これは、想定され得る関連する副回路によって導かれる電流又は電圧と同一である。したがって、遮断器によって、副回路によって導かれる電流及び/又はそこに印加される電圧の監視が実現される。例えば、関連する副回路によって導かれる電力が、遮断器によって、動作時に判定されるか、又は、少なくとも各パラメータの変化が判定される。このようにして、遮断器によって副回路の故障を検知することが可能である。
【0022】
具体的には、このような故障の検知又は判定時に、遮断器は停止されるので、副回路に引き続き電流供給されることはない。このために、遮断器は、例えばリレー、半導体スイッチ、又は、その組み合わせである、さらなるスイッチング素子を有していることが都合がよい。したがって、1つ又は複数のさらなるスイッチング素子は、具体的には、副回路の電流路の中に取り付けられる。これらも、好ましくは第2のコントローラによって制御されるか、又は、遮断器は、このためのさらなるコントローラを有している。例えばここで、さらなるスイッチング素子は、10V~1000V、又は、最大20V~500Vの電圧を切り替えるように、及び/又は、最大1A、5A、10A、又は、50Aの電流を供給するように、規定及び構成されている。
【0023】
本方法は、遮断器に特定のアドレスが割り当てられていない場合に、各遮断器のスイッチング素子が閉鎖されていることを確保するように構成されている。ここで、(特定の)アドレスは、好ましくは適した(バス)プロトコルによるバスシステムを介した通信に必要であり、遮断器は、具体的にはスレーブとして形成される。遮断器に特定のアドレス(以下では特に単に「アドレス」とだけ呼ぶ)が割り当てられていない場合、バスプロトコルによるバスシステムを介した通信は不可能であるか、又は、限定的にしか可能でない。したがって、判定に係る動作では、全ての遮断器は、異なる特定アドレスを有していることが好ましい。
【0024】
アドレスが割り当てられていない場合、遮断器は、例えば入力やその等価物を有していないことになる。換言すると、アドレスの値がプレースホルダと見なされる。あるいは、特定のアドレスが割り当てられていない場合、遮断器は、ゼロ(0)といった標準アドレスを有する。この標準アドレスは、製造時に付与されることが好ましい。例えば、特定のアドレスは、配電装置又は少なくとも遮断器の電源が停止した場合に消去/保存される。具体的には、この場合、例えば新たに電流供給される場合には、標準アドレスが割り当てられる。
【0025】
スイッチング素子の閉鎖を確保することは、例えば、スイッチング素子を閉鎖することによって行われる。あるいは、例えば、予め閉鎖されたスイッチング素子を有する遮断器を供給する。好ましくは、好適なルーチンによって、スイッチング状態が判定される。したがって、具体的には、遮断器の初期給電時に、つまり、具体的には関連する接続モジュールが装着されると、スイッチング素子は閉鎖される。したがって、閉鎖されたスイッチング素子によって、このスイッチング素子の後段の抵抗器チェーンは、基準電位に導かれるので、想定され得るさらなる遮断器に関連するベース抵抗器が第1のコントローラから離隔されている場合、当該ベース抵抗器には電圧が降下しない。
【0026】
さらなる動作ステップにおいて、第1のコントローラによって、質問がバスシステムに送信される。この質問は、例えば比較的短いものであり、バスシステムに参加する全ての装置に向けて送信されるので、質問は、これらの装置によって、実際のアドレスとは無関係に受信される。
【0027】
さらなる動作ステップにおいて、遮断器の第2のコントローラによって、応答がバスシステムに送信される。ここで、応答は、関連するベース抵抗器を介して電圧が降下した場合にのみ、つまり0Vとは異なる電圧が降下した場合にのみ、送信される。これに対して、関連するベース抵抗器に電圧が降下していない場合、応答は、バスシステムに送信されない。ここで具体的には、応答が送信される場合の電圧は、0.5Vよりも大きく、例えば、ほぼ1Vである。応答は、第1のコントローラに向けて送信され、第1のコントローラはこの応答を受信する。ここで例えば、応答は、送信元を含んでいなくてもよいし、又は、特定の遮断器が応答を送信したことが特定されていてもよい。具体的には、応答は、遮断器にアドレスが割り当てられていない場合にのみ、バスシステムに送信される。遮断器に既にアドレスが割り当てられている場合、応答の送信は行われないことが都合がよい。
【0028】
複数の接続モジュールに、アドレスが割り当てられていない遮断器が装着されている場合、これらの遮断器のうちの1つにのみ、つまり、第1のコントローラの最も近くに配置された遮断器にのみ、電圧が降下する。したがって、この遮断器からのみ、応答が第1のコントローラに送信される。この手順は、例えば全ての接続モジュールにそれぞれ1つの関連する遮断器が装着されており、これらの遮断器にまだアドレスが割り当てられておらずバス通信ができない場合に、行われる。
【0029】
第1のコントローラによって応答が受信されない場合、例えば、遮断器が存在しないことになる。したがって、応答がない場合、接続モジュールのいずれにも遮断器が装着されていないという情報を第1のコントローラは有する。あるいは、例えば、各遮断器にアドレスが割り当てられている場合、妨害なくさらなる動作を行うことが可能である。複数の遮断器が存在するが、応答が検知されていないことが第1のコントローラに既に保存されている場合、さらなる遮断器が存在すること、及び、例えばさらなる接続モジュールに遮断器が装着されていることを導出可能である。したがって、動作時にも、さらなる遮断器が取り付けられたかどうかを判定可能である。具体的には、この方法は、少なくとも、配電装置の初期運転に使用される。つまり、具体的には遮断器又は少なくとも接続モジュールの最初の電流供給が、特に電源によって行われる場合に、この方法が使用される。
【0030】
つまり、本方法に基づき、第1のコントローラには、割り当てられたアドレスを有さない遮断器が存在するかどうか、又は、接続モジュールに例えば何も装着されていないかについての情報が存在する。したがって信頼性が向上する。
【0031】
例えば、1つ又は複数のスイッチング素子は、その後も閉鎖された状態を維持する。しかしながら、応答を送信するステップの後に、スイッチング素子は開放されることが特に好ましい。つまり、少なくともさらなるベース抵抗器を介して電圧が降下する。したがって、さらなる遮断器については、これが、第1のコントローラに二番目に近い位置に配置されているかどうかが明らかとなる。具体的には、応答を送信した後は、遮断器の全てのスイッチング素子が開放される。第1のコントローラには、アドレスが割り当てられていない少なくとも1つの遮断器が設けられているという情報が存在するので、アドレスを有さない遮断器とのさらなるバス通信を行うことが可能である。ここで具体的には、全ての遮断器に関する詳細な知識は必要ない。
【0032】
例えば、第1のコントローラに向けて送信された(第2の)コントローラの応答が受信されると、全ての遮断器におけるスイッチング素子は開かれる。したがって、応答が検知されると、全ての第2のコントローラにおいて、関連するスイッチング素子が開放される。しかしながら、バスシステムによって応答が受信されると、第1のコントローラによって、スイッチング素子を開くためのリクエストがバスシステムに送信されることが特に好ましい。このリクエストは、具体的には、全ての遮断器に向けて送信されるか、又は、少なくともアドレスが割り当てられていない遮断器に向けて送信される。このことは、スイッチング素子を解放するためのリクエストを使用することによって、第1のコントローラが実際に応答を受信した時にのみ行われる。したがって、全てのスイッチング素子を開放する前に、第1のコントローラに、実際に、追加的な1つまたは複数の遮断器に関する情報が提供されることが確保される。したがって、信頼性がさらに向上する。
【0033】
例えば、各遮断器に、第1のコントローラによってアドレスが割り当てられる。しかしながら、第1のコントローラを介した好ましくは対応するリクエストに応じて、各遮断器によって適したアドレスが生成されることが特に好ましい。(特定の)アドレスを生成することは、関連するベース抵抗器を介して降下する電圧に応じて行われることが都合がよい。スイッチング素子を開放した後、全てのベース抵抗器を介して電圧が降下する。ここで、電圧の値は、各接続モジュールと第1のコントローラとの間に配置されたベース抵抗器の数に依存する。したがって、各接続モジュールに、具体的には各遮断器から受け取ったそれぞれ1つの一意の特定アドレスが割り当てられる。各アドレスは、具体的には、実際に存在する遮断器の台数に無関係、つまり、実際に遮断器が装着されている接続モジュールの台数に無関係である。特に、アドレスを判定するために、各ベース抵抗器の基準電位に対する電圧を検知する。
【0034】
その後、各遮断器のアドレスをバスシステムに送信することが好ましい。このために、例えば、第1のコントローラによって、それぞれ可能なアドレスが、所定の時間スロット又は時間領域において提供される。所定の時間スロット又は時間領域になると、各第2のコントローラによって、具体的には各アドレスがバスシステムに送信される、又は、少なくともステータスが通知され、こうして、第1のコントローラに、当該アドレスに遮断器が存在することが通知される。したがって、その後、各遮断器にアドレスが割り当てられ、第1のコントローラは、遮断器が存在するか、又は、何台存在するかについての情報、及び、これらの遮断器がどのアドレスを有しているかについての情報を有する。したがって、バスシステムによって、第1のコントローラと第2のコントローラとの間の調整された通信が行われる。第1のコントローラによる対応するリクエストに応じて、特定の各アドレスが各遮断器からバスシステムに送信される。
【0035】
例えば、第1のコントローラの質問は、一度だけ、具体的には配電装置の初期運転時にのみ、バスシステムに送信される。しかしながら、この質問は複数回送信されることが特に好ましい。例えば、質問の送信は、ユーザの入力に応じて、第1のコントローラによって行われる。質問を送信することは、第1のコントローラによって、周期的に繰り返される。ここで具体的には、一定の周期が設けられる。これは、具体的には100ms~2秒の間、例えば200ms~1秒の間である。具体的には、この周期は500msである。周期的に繰り返すため、配電装置の運転の間に新たに取り付けられた遮断器も、第1のコントローラによって認識される。この新たな遮断器が取り付けられる場合、当該遮断器においても、スイッチング素子が閉鎖されることが確保される。つまり、質問を受信すると、応答が送信される。したがって、遮断器の取り付けは、配電装置を手動で設定しなくても可能となる。したがって利便性が向上する。
【0036】
配電装置は、第1のコントローラと、第1のコントローラに接続された多数の接続モジュールを備える。例えば、配電装置は、2個の接続モジュールと40個の接続モジュールとの間、特に5個の接続モジュールと30個の接続モジュールとの間の接続モジュールを含む。配電装置がちょうど16個の接続モジュールを含むことが好ましい。第1のコントローラ及び接続モジュールは、トップハット又はGレールに取り付け可能な共通の部材を形成することが都合がよい。例えば、配電装置はこのようなレールを含む。接続モジュールは、隣り合わせに整列される。各接続モジュールは、1つのベース抵抗器を含み、全てのベース抵抗器は、電気的に直列接続されることにより、1つの抵抗器チェーンを形成する。抵抗器チェーンは、第1のコントローラの直流電流源によって給電され、したがって、第1のコントローラによって、直流電圧が抵抗器チェーンに印加される。少なくとも第1のコントローラは、こうすることに適しており、具体的にはそのように規定及び構成されている。
【0037】
抵抗器チェーンは、例えば、同じく第1のコントローラによって提供される基準電位に通じている。ここで例えば、抵抗器チェーンは、電気的に直接、基準電位に通じている。しかしながら、具体的にはさらなるオーミック抵抗器を介して、基準電位に間接的に通じていることが特に好ましい。基準電位は、例えば第1のコントローラによって提供され、及び/又は、グランド、好ましくはアースによって形成されている。
【0038】
加えて、各接続モジュールは、当該接続モジュールに接続された、遮断器といった部材に給電するための1つの給電コネクタを有する。換言すると、給電コネクタは、それぞれ関連する遮断器に電流供給することに寄与し、給電コネクタによって、各接続モジュールに装着を行うことが可能である。つまり、各接続モジュールは、それぞれ関連する遮断器を装着することに適しており、具体的にはそのように規定及び構成されている。このため、各接続モジュールは、適した収容部を有していることが都合がよい。好ましくは、各接続モジュールは、それぞれに関連する遮断器を安定化するための好適な機械装置を含む。ここで、この装着は取り外し可能に行われることが好ましい。
【0039】
加えて、各接続モジュールは、共通のバスシステムの1つのバスコネクタを含む。バスシステムは、有利にもマスタとして形成された第1のコントローラに信号技術的に接続されている。また、取り付け状態において、各遮断器は、関連するバスコネクタに、したがってバスシステムに信号技術的に接続されている。
【0040】
各遮断器は、関連するベース抵抗器に降下する電圧を検知するための第2のコントローラを含むことが都合がよい。具体的には、それぞれに関連する接続モジュールによって、ベース抵抗器の好適な電気接触が提供される。また、各遮断器は、第2のコントローラによって動作されるスイッチング素子を含む。スイッチング素子は、取り付け状態において、関連するベース抵抗器の、第1のコントローラに離反した側と、基準電位との間に電気的に接続される。
【0041】
第1のコントローラは、遮断器に特定のアドレスが割り当てられていない場合に、各遮断器のスイッチング素子が閉鎖されていることを確保し、第1のコントローラによって質問をバスシステムに送信する方法を実施することに適しており、具体的にはそのように規定及び構成されている。この確保することは、例えば、第1のコントローラの側から、既に1つまたは複数のスイッチング素子を開くためのリクエストが送信されたかどうかを判定することによって行われる。具体的には、これがまだ行われていない場合、各遮断器のスイッチング素子が閉鎖されていることが確保される。
【0042】
関連するベース抵抗器を介して電圧が降下した場合、第2のコントローラによって、応答がバスシステムに送信される。したがって、この方法は、少なくとも部分的に、第1のコントローラによって実施される。具体的には、第1のコントローラは、これを行うために回路技術的及び/又はソフトウェア技術的に構成されている。こうして、配電装置はこの方法に従って動作される。具体的には、配電装置は、このような遮断器を多数含み、これら遮断器は、好ましくは、遮断器がそれぞれ関連する接続モジュールに接続されている場合に、配電装置の構成部品である。
【0043】
遮断器は、具体的には、配電装置に取り付けられるように、つまり配電装置の一構成部品になることに適しており、具体的にはそのように規定及び構成されている。このために遮断器は、配電装置の接続モジュールに差し込まれる。接続モジュール及び/又は遮断器は、こうすることに適しており、具体的にはそのように規定及び構成されている。ここで具体的には、遮断器は、接続モジュールのバスコネクタに信号技術的に接続されており、この接続モジュールの給電コネクタによって給電、したがって電流供給される。まとめると、遮断器は、第1のコントローラと第1のコントローラに接続された接続モジュールとを含む配電装置の装着部品として機能し、各接続モジュールは、1つのベース抵抗器を備え、これらのベース抵抗器は、直列接続された抵抗器チェーンを形成する。抵抗器チェーンは、第1のコントローラの直流電流源によって給電され、基準電位に通じている。ここで、各接続モジュールは、給電コネクタと、第1のコントローラに信号技術的に接続された共通のバスシステムのバスコネクタとを含む。
【0044】
遮断器は、関連するベース抵抗器に降下する電圧を検知するための第2のコントローラと、第2のコントローラによって駆動されるスイッチング素子とを含む。スイッチング素子は、取り付け状態において、関連するベース抵抗器の、第1のコントローラに離反した側と、基準電位との間に接続可能である。第2のコントローラは、例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)、及び/又は、マイクロチップ/マイクロコントローラによって形成されている、又は、少なくともこれらを含む。
【0045】
第2のコントローラは、遮断器に特定のアドレスが割り当てられていない場合に、スイッチング素子が閉鎖されていることを確保する方法によって少なくとも部分的に動作される。関連するベース抵抗器を介して電圧が降下した場合、第1のコントローラによって質問がバスシステムに送信されると、第2のコントローラによって応答がバスシステムに送信される。第2のコントローラは、こうすることに適しており、具体的にはそのように規定及び構成されている。
【0046】
遮断器は、例えば、電気的に直列又は並列接続された、パワー半導体スイッチ及び/又はリレーを備えることが都合がよい。これによって、具体的には保護機能の知覚が実現されるので、遮断器は保護機構として機能する。遮断器は、電流センサ及び/又は電圧センサを含むことが好ましい。パワー半導体スイッチ/リレーは、各センサデータに応じて駆動されることが都合がよい。
【0047】
部材を、第1、第2、第3、…の部材と呼ぶ場合、これは具体的には、単に特定の部材を指すことと理解される。具体的には、特定の数の同様の部材が存在することを意味するものではない。
【0048】
配電装置の動作方法に関連して説明した発展形態及び利点は、配電装置/遮断器にも相互に適用され、またその逆も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
以下に、本発明の実施形態を、図面を参照しながらより詳細に説明する。
【
図1】配電装置の回路図を概略的に単純化して示す図である。
【0050】
全ての図において、互いに対応する部材には、同一の参照番号が付されている。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図1には、第1のコントローラ4を備える配電装置2が示されている。配電装置2は、建物の個々の副(電気)回路に電流供給を行う建物装置の構成要素である。このために、配電装置2は、建物のスイッチング回路網内に配置され、そこで固定されている。また、配電装置2は、詳細には図示されていないが、主配電線に接続されている。第1のコントローラ4は、電源6を備えており、電源6によって、24Vの直流電圧を提供可能である。また、第1のコントローラ4は、直流電流源8を含む。直流電流源8によって、2mA~10mAの間、具体的には4.8mAの直流電圧が提供される。ここで、直流電流源8は、グランドである基準電位10に通じている。第1のコントローラ4は、バスインターフェース12及び制御ユニット14をさらに含む。制御ユニット14によって、直流電流源8だけでなく電源6及びバスインターフェース12も制御される。
【0052】
配電装置2は、第1のコントローラ4に直列接続された、同一の構造を有する多数の接続モジュール16をさらに含む。したがって、接続モジュール16によって、第1のコントローラ4を先頭とする一つの列が形成される。このため、配電装置2の取り付けも容易である。各接続モジュール16は、主配電線によって電流供給される副回路のうちの1つに関連付けられる。
【0053】
全部で20個の接続モジュール16のそれぞれは、遮断器18を収容するように構成されているので、各接続モジュール16には、それぞれ1つの遮断器18を装着可能である。ここで具体的には、遮断器18は、各接続モジュール16に取り付けられている限り、配電装置2の一構成要素である。遮断器18によって、それぞれに関連する副回路の保護が実現される。このために、各遮断器18は、好適な保護装置、具体的にはパワー半導体スイッチ及び/又はリレーを備える。これらはそれぞれ、第2のコントローラ20によって制御及び/又は調整されることが都合がよい。これによって保護が実現されるので、関連する各副回路には、過出力、過電流、又は、過電圧が発生しない。ここで、図示されていないさらなるコンタクトによって、各接続モジュール16によって導かれる副回路と各遮断器18との接触が実現される。
【0054】
第2のコントローラ20は、それぞれに関連する接続モジュール16のバスコネクタ22に信号技術的に接続されている。一方で、接続モジュール16の全てのバスコネクタ22は、信号技術的に互いに接続されており、共通のバスシステム24が形成されている。一方で、バスシステム24は、第1のコントローラ4のバスインターフェース12に信号技術的に接続されている。
【0055】
したがって、全ての遮断器18は、第1のコントローラ4に信号技術的に接続されており、そのため、これらの間で通信を行うことが可能である。
【0056】
さらに、各接続モジュール16は、給電コネクタ26を備える。給電コネクタ26は、2つの極を有し、送電線28によって、第1のコントローラ4の電源6に電気的に接触している。したがって、電源6による遮断器18への電流供給が、それぞれに関連する給電コネクタ26を介して行われる。
【0057】
加えて、各遮断器18は、各第2のコントローラ20によって駆動される、MOSFETの形のスイッチング素子30を備える。各スイッチング素子30は、基準電位10、すなわちグランドに通じている。また、各スイッチング素子30は、抵抗器チェーン32に通じている。抵抗器チェーン32は、全ての接続モジュールと同じ数のベース抵抗器34を有する。ここで、各接続モジュール16には、電気的に直列接続されたベース抵抗器34のうちの1つが関連づけられている。抵抗器チェーン32は、第1のコントローラ4の直流電流源8によって給電され、さらなる抵抗器36を介して基準電位10に通じている。したがって、抵抗器チェーン32は、さらなる抵抗器36に電気的に直列接続されている。全てのベース抵抗器34及びさらなる抵抗器36のオーム値は、同一であり、すなわち1kΩである。
【0058】
第2のコントローラ20はさらに、それぞれに関連する接続モジュール16とのさらなる接続コンタクトに接続されており、これによって、関連するベース抵抗器34を介して降下する電圧を検出可能である。このために、第2のコントローラ20はいずれも、適したセンサ、具体的には適したハードウェアを有する。スイッチング素子は、関連するベース抵抗器34の、第1のコントローラ4に離反する側と、基準電位10との間に接続されている。したがって、それぞれに関連するスイッチング素子30の駆動時には、抵抗器チェーン32が、第1のコントローラ4の反対側において既に基準電位10に通じているので、後段のベース抵抗器34を介して電圧は降下しない。
【0059】
配電装置2及び遮断器18は、
図2に示される方法38に従って動作される。ここで、方法38は、特に、配電装置2の初期運転のために実施される、又は、少なくとも開始される。第1の動作ステップ40では、制御ユニット14によって直流電流源8だけでなく電源6も活性化され、したがって、想定され得る遮断器18にも電流供給される。第1のコントローラ4には、遮断器18が存在するかどうか、及び、何台存在するのかについての情報は、存在しない。
【0060】
第2の動作ステップ42では、各遮断器18において、各スイッチング素子30が閉鎖されていることが確保される。これは、各第2のコントローラ20によって行われ、具体的には、各第2のコントローラ20に電圧が印加されるとすぐに行われる。したがって、第1のコントローラ4から見て、装着された第1の接続モジュール16の後段の抵抗器チェーン32は、既に基準電位10に通じており、そのため、後段のベース抵抗器34を介して電圧は降下しない。
【0061】
各遮断器18に特定のアドレスがまだ割り当てられていないならば、スイッチング素子30が閉鎖されることだけが確保される。換言すると、最初の電流供給時に、各遮断器18が特定のアドレスを有しているかどうかが検査される。例えば、特定のアドレスは、電流供給が終了する際に消去される揮発性記憶装置に保存されている。したがって、初期電流供給時には、特定のアドレスは割り当てられていない。記憶装置が空である場合、具体的には、ゼロ等の標準アドレスが使用されるか、又は、特定のアドレスの値は空になっている。特定のアドレスは、バスシステム24を介した通信に必要である。ここで、第1のコントローラ4によってマスタが提供され、これに対して、遮断器18はスレーブとして機能することになる。
【0062】
第3の動作ステップ44では、第1のコントローラ4によって、質問46がバスシステム24に送信される。これは、想定され得る全ての遮断器18に対して送信され、その後、全ての遮断器18、すなわちその第2のコントローラ20によって受信される。
【0063】
その後の第4の動作ステップ48において、質問46を受信した各遮断器18は、関連するベース抵抗器34を介して電圧が降下したかどうかを判定する。各遮断器18に既に(特定の)アドレスが割り当てられているかどうかも判定される。電圧が降下した場合、及び、その時までに特定のアドレスが割り当てられていない場合、遮断器18によって、応答50がバスシステム24に送信されるが、それ以外の場合には送信されない。
図1に示される例では、いずれの遮断器18も特定のアドレスを有していない。したがって、第1の遮断器18においてのみ、ベース抵抗器34を介して電圧が降下するので、この第1の遮断器18からのみ、応答50がバスシステム24に送信される。応答50は、第1のコントローラ4に対して送信され、第1のコントローラ4によって受信される。
【0064】
その後の第5の動作ステップ52において、第1のコントローラ4によって、スイッチング素子30を開放するためのリクエスト54が、バスシステム24に送信される。このリクエスト54は、全ての第2のコントローラ20に対して送信され、これらによって受信される。その後の第6の動作ステップ56において、リクエスト54を受信した第2のコントローラ20によって、それぞれに関連するスイッチング素子30が駆動されて、スイッチング素子30が開放される。それに従って、各ベース抵抗器34を介して、電圧が降下する。
【0065】
その後の第7の動作ステップ58において、各第2のコントローラ20によって、それぞれに関連するベース抵抗器34を介して降下する電圧が測定される。この電圧は、各接続モジュール16において異なり、具体的には第1のコントローラ4への距離が大きいほど低くなる。ここで具体的には、基準電位10に対する電圧が、考慮される。この電圧に基づきアドレスが生成される。各ベース抵抗器34を介して降下する電圧が異なるので、アドレス60もそれぞれ異なり、各遮断器18に、固有のアドレス60が割り当てられる。
【0066】
その後の第8の動作ステップ62において、第1のコントローラ4によって、バスシステム24に、所定の時間ウィンドウが送信される、又は、少なくとも所定の時間ウィンドウが規定される。この時間ウィンドウのそれぞれは、所定のアドレス60に対応する。第9の動作ステップ64において、割り当てられたアドレス60に対応する時間ウィンドウになると、各第2のコントローラ20によって、当該アドレス60がバスシステム24に送信される。したがって、第1のコントローラ4には、各アドレス60に対応する遮断器18が存在することが通知される。この時間ウィンドウによって、個々のアドレス60の通知が干渉することが回避される。これに続いて、第1のコントローラ4と遮断器18とのほぼ妨害されない通信が可能となり、この通信は、第1のコントローラ4によって制御される。ここで具体的には、所定の時間ウィンドウの分配が行われる。
【0067】
アドレス60の割り当てが完了した後、周期的に新たに第3の動作ステップ44が行われ、これによって質問46がバスシステム24に送信される。ここで、第3の動作ステップ44は、500ms毎に行われる。遮断器18に変化が無い場合、これらのいずれによっても、応答50がバスシステム24に送信されない。したがって、応答50は、第1のコントローラ4によって受信されず、第10の動作ステップ66において、当該構成に変化が生じなかったことが確認される。さらなる遮断器18を取り付けた場合、この遮断器18においても、第2の動作ステップ42を行い、質問46が送信されたならば、これによって応答50が生成される。配電装置2の初期運転時に応答50が受信されない限り、既に第10の動作ステップ66が実施されており、第1のコントローラ4において、遮断器18が存在しないという情報が存在する。
【0068】
まとめると、遮断器18は、具体的にはその特定のアドレスを必ず伝送する必要がある。これらは、スレーブ動作でのみ処理を行う。遮断器18は、好ましくは、その特定のアドレスも必ず特定する必要がある。アドレスの特定は、好適には、第1のコントローラ4のリクエストに基づいて行われ、これによって、遮断器18がアドレス指定される。しかしながら、第1のコントローラ4がバスシステム24を介してこのリクエストを送信する前に、これまで特定のアドレスが割り当てられていない少なくとも1つの遮断器18が存在する/追加されているかどうかを認識することが求められる。したがって、「新たな遮断器ですか?」といった質問が周期的に送信されることが都合がよい。この質問に対して、方法38に基づいて、これまでアドレス指定されていない遮断器18、つまりこれまで特定のアドレスを有していない遮断器18が応答する。応答50を受信した後、第1のコントローラ4によって、このアドレス指定に必要な直流電流源8が安定した状態にあることが確認される。これが確認されると、第1のコントローラ4は、遮断器18に、その(特定の)アドレスを特定するように求めることが都合がよい。
【0069】
本発明は、上述の実施形態に限定されない。むしろ、本発明の他の様々な変形例が、当業者により、本発明の対象から逸脱することなく想定可能である。また、具体的には、実施形態に関連して記載される全ての個々の特徴を、本発明の対象から逸脱することなく、別の方法で互いに組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0070】
2 配電装置
4 第1のコントローラ
6 電源
8 直流電流源
10 基準電位
12 バスインターフェース
14 制御ユニット
16 接続モジュール
18 遮断器
20 第2のコントローラ
22 バスコネクタ
24 バスシステム
26 給電コネクタ
28 送電線
30 スイッチング素子
32 抵抗器チェーン
34 ベース抵抗器
36 さらなる抵抗器
38 方法
40 第1の動作ステップ
42 第2の動作ステップ
44 第3の動作ステップ
46 質問
48 第4の動作ステップ
50 応答
52 第5の動作ステップ
54 リクエスト
56 第6の動作ステップ
58 第7の動作ステップ
60 アドレス
62 第8の動作ステップ
64 第9の動作ステップ
66 第10の動作ステップ